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2019年4月24日 中央社会保険医療協議会 総会 第413回議事録

○日時

平成31年4月24日(水)9:30~12:03

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

田辺国昭会長 松原由美委員 野口晴子委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 
安部好弘委員
吉川久美子専門委員 横地常弘専門委員 田村文誉専門委員
〈参考人〉
保険医療材料等専門組織岩瀬委員長代理
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○先進医療会議からの報告について
○遺伝子パネル検査の保険収載について
○年代別・世代別の課題(その2)について
 

○議事 

 

○田辺会長
それでは、定刻でございますので、ただいまより、第413回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は染谷委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、関委員におかれましては、おくれて御参加とのことでございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、報告事項でございますけれども、議事に入らせていただきます。
初めに「先進医療会議からの報告について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明のほうをお願いいたします。
では、企画官、よろしくお願いいたします。
○古元医療課企画官
企画官でございます。
それでは、資料総-1に基づきまして、御説明を申し上げます。
今回御報告する内容でございますが、1件でございます。先進医療会議で承認されました先進医療Bの案件の御報告でございます。
1ページ目をごらんください。今回承認されました先進医療Bの技術は、整理番号128番「自己細胞シートによる軟骨再生医療」でございます。
本技術にかかる費用は表のとおりでございまして、先進医療会議での総評は「適」でございました。
技術の説明に移りたいと思います。技術の概要は5ページ目をごらんください。医療技術の概要図でございます。本技術は変形性膝関節症のうち、上段中央のような高位脛骨骨切り術の適応となる患者を対象としております。事前に採取いたしました軟骨細胞を培養、シート化した後に、高位脛骨骨切り術の際に軟骨欠損部に軟骨細胞シートを移植いたしまして、軟骨の再生を図る技術でございます。
ロードマップについては、6ページ目をごらんください。本先進医療の結果によりまして、また、その状況によりまして、企業治験へと進み、薬事承認申請を目指す予定でございます。
御報告、説明は以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
本件は薬事承認申請が認められた後、間違いなく保険適用という議論に至る過程でございますけれども、今回提示されている軟骨再生治療の対象となる軟骨欠損の患者さんというのは膨大になるというのは想定できると思います。
このようなことを踏まえれば、どのような患者さんを対象にするのか、その範囲が無制限に広がるということがないように、本件の2ページの「将来の保険収載の必要性」の欄のAに記載がされているのですけれども、本治療法の適応となる症例の記述を明確にしということをわざわざ触れていらっしゃるということでございますので、こういう事項を踏まえて、先進医療としてこれを行う段階から将来の保険適用も見据えた検討、検証をぜひ行っていただきたいと思います。要望です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に「遺伝子パネル検査の保険収載について」を議題といたします。
本日は、保健医療材料等専門組織の岩瀬委員長代理にお越しいただいております。岩瀬委員長代理より御説明のほうをお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○岩瀬委員長代理
よろしくお願いいたします。
それでは、御説明いたします。4月12日の保険医療材料等専門組織におきまして、遺伝子パネル検査の保険収載にかかわる検討を行いました。事務局から提示された論点を踏まえつつ、遺伝子パネル検査の製造販売企業2社より意見聴取及び質疑を行った上で、事務局の提示した論点について、主に技術的な観点から議論を行いました。その際の論点につては、後ほど事務局から御説明があると思いますが、中医協総会において、さらに検討をいただきたく存じます。
以上でございます。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
では、引き続きまして、事務局より説明をお願いいたします。
企画官、よろしくお願いいたします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
今し方、岩瀬委員長代理に御報告をいただきましたとおり、事務局におきまして論点の整理を行いましたので、御説明を申し上げたいと思います。
まず、資料総-2-1をごらんください。こちらで私、今回の経緯及び目的について御説明申し上げました後に、がんゲノム医療の現状について、健康局がん・疾病対策課長より御説明を申し上げたいと思います。その上で論点について御協議をしたいと思います。
まず、総-2-1の1つ目、経緯並びに目的の部分でございます。がん治療につきましては、近年、がんの遺伝子変異に基づき治療方針を決定する「がんゲノム医療」が推進されております。このうち、一度に多くの遺伝子検査を行うことのできる「がん遺伝子パネル検査」の2品目が、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律の承認を得たところでございます。
このパネル検査につきましては、これまでにない先進的な検査であり、かつ、非常に複雑なプロセスを要する検査でございますので、先ほど御報告いただきましたとおり、保材専のほうで技術的な検討を行っていただきました。その検討を踏まえまして、本日、御検討いただきたいという趣旨でございます。
ここで、がんゲノム医療の現状について、健康局がん・疾病対策課長より御説明を申し上げます。
○佐々木健康局がん・疾病対策課長
健康局がん・疾病対策課長の佐々木でございます。
資料の中医協総-2-2を御用意ください。この資料を使って大きく2つ、まずはがんゲノム医療が提供体制としてどうなのか、後段部分ではここで御審議いただきますパネル検査がどういうものなのかということで御説明したいと思います。
スライド2をごらんください。見出しが第3期がん対策推進基本計画となっております。これは昨年の3月に閣議決定をしたものでございます。閣議決定というのは、政府全体の決定でございますから、いわば厚労省というよりは国家そのものの政策ということが言えるかと思います。
真ん中ほど、2.がん医療の充実、赤で書いておりますけれども「(1)がんゲノム医療」とあります。これは今回の第3期で初めて盛り込まれたものでございます。つまり、昨今の医療の進歩に伴って、がんゲノム医療ががん医療の充実の中でも、ある意味で一番注目されている、また、さらに推進すべきということで、この閣議決定がなされております。これがまず政策上の位置づけの御紹介です。
スライド3をごらんください。具体的に国家政策である第3期がん対策推進基本計画でどのような記述があるかというのがこのスライドになります。マル1が提供体制、どのような医療機関で行っていこうとしているのか。マル2はゲノム情報等、この「等」は臨床情報です。ゲノム情報と臨床情報です。それを集約・利活用する体制の整備、これを全国1カ所に集約しようということが盛り込まれています。
マル3がまさにきょうのテーマになりますが、薬事承認や保険適用の検討、マル4から先は、人材育成、研究の推進、さらには、マル6で、これだけの国家政策ですので、ゲノム医療の関係者が運営に参画する、患者さんを含めて参画する体制を築く。これを整備して、いわば全体のコントロールタワーにという構成になっております。
この中のマル1からマル3を中心に、スライド4をごらんください。がんゲノム医療の推進に向けた取り組みということで書いております。下のほうに2018年2月から始まっている年表がございます。先ほどマル1として医療提供体制の整備という話をしました。それに相当するのが、2018年の2月にがんゲノム医療中核拠点病院を全国11施設指定、その下の3月には連携病院を100施設公表、中核拠点病院の連携病院については、後ほど御説明いたします。
さらに飛びますけれども、10月には35病院を連携病院で追加、1つ飛びまして、ことしの4月にはさらに21施設追加、これが提供体制の話でございます。
先ほどマル2と申し上げました、全国1カ所のゲノム情報、臨床情報を集約するという点については、2018年の6月にがんゲノム情報管理センター、通称C-CATと申しております。C-CATを開設したということが書いてあります。
先ほど、マル3として薬事承認や保険適用の検討と御紹介いたしましたけれども、2018年の4月に遺伝子パネル検査が先進医療Bとして承認、そして、12月には2品目が薬機法に基づく製造販売承認取得と。これがこの1年余りの間に進んできた我が国のがんゲノム医療の現状ということになります。
スライド5をごらんください。先ほど来申し上げております提供体制と1カ所ゲノム情報等を集約するがんゲノム情報管理センター、さらにはそれの利活用、また、全体をコントロールするコンソーシアム運営会議、これの相対的な関係を書いているのがこのスライドになります。
読み砕いてまいりますと、下のほうには、がんゲノム医療の中核拠点病院、これも後ほど説明しますけれども、拠点病院、これは今年度の予算として夏以降に新設予定のものでございます。さらには連携病院、こういった医療機関が全国役200弱の47都道府県全てにありますが、これらの情報、また、診療のものを、がんゲノム情報管理センターに集約し、それを、例えば左にありますとおり、大学等の研究機関が開発、研究を進めていくという全体の図になっております。
この段階で、がんゲノム医療中核拠点病院、中核拠点病院と連携病院の違いを御説明いたします。まず、中核拠点病院、連携病院ともに、患者さんは受診をここですると。もちろん開業医の先生からの紹介ということも含めてですが、まず、ここで受診をいたします。
中核拠点病院も、連携病院も、いずれも遺伝カウンセリングまで含めて患者さんへの説明ですとか、また、場合によってはがんの検体の採取を行います。
では、この中核拠点病院と連携病院の臨床上の違いは何かと申しますと、中核拠点病院の下のポツにありますエキスパートパネル、これは専門家会議の英語訳でございます。エキスパートパネル、専門家会議の実施、これが中核拠点病院には求められております。
この専門家会議、エキスパートパネルは何をするかというと、パネル検査の結果をもとにして、また、臨床情報を含めて、個々の患者さんにどのような治療が当てはまるのか、そういった医学的、医療的解釈を行う。これがこのエキスパートパネル、専門家会議の役割となっております。
スライド6をごらんください。では、具体的にエキスパートパネル、専門家会議までを行う中核拠点病院の整備状況ですが、全国11カ所、絵で描いております、色づけしておりますとおり、北海道から九州までの各ブロックに少なくとも1つ以上中核拠点病院が整備されている状況です。
それに対して、患者さんが受診できる47都道府県の整備状況はその次のスライド7にございます。現在時点で全国156カ所、つまり、先ほどの11と合わせて、現在167の医療機関で患者さんが訪れてがんゲノム医療の説明を受けたり、また、遺伝カウンセリング的なサポートを受けられるという状況になっております。
スライド8をごらんください。これは中核拠点病院、連携病院、さらには検査を行う衛生検査所等の検査施設、また、情報を集約するC-CAT、それぞれの流れを整理した図になります。繰り返しになりますけれども、このがんゲノム医療の核になりますのが、配列情報等の元データ、ゲノムデータが集まるということと、緑に書いております臨床情報、この両方が集約されることによって、個々の患者さんにも最適な医療の提供が可能になるということが、このコアの部分になります。
以上が前半の部分、まずは概要として提供体制がどうかということでございます。
次に、スライド9、パネル検査が全体の中でどういう位置づけなのかの御説明、御紹介をいたします。
スライド10をごらんください。先ほどの総-2-1の中でも、複雑なプロセスを要する検査という表現の仕方がございました。そのプロセスも含めて御紹介いたします。
まず、このスライド10の中でキーワードとなるものが2つございます。真ん中のちょっと上のほうにありますけれども、ローマ字で書いておりますが「Raw data」、データのことでございます。「生データ」とか「元データ」とかと訳すこともありますが、ローデータ、つまり、データということが一つのキーワードになります。
もう一つのキーワードは「レポート」でございます。レポートは2つ使われております。このローデータが書かれておる右の解析の下のほうに書いてありますけれども、「結果をレポートとして出力」という書かれ方をしております。ここで言うレポートは、あくまでもゲノム情報をもとにして、通常の遺伝子の配列に比べて遺伝子変異、つまり、がん遺伝子がどういう部分にあるのか、その結果を返すというものであります。
その下にありますエキスパートパネル、つまり、専門家会議でございますが、ここで専門家によって担当医に返却するレポートを作成。ここで言うレポートは、先ほどのゲノム情報、ゲノム検査のレポートに加えて、臨床上の意義づけ、医学的、また、医療的な解釈を加えた上で、連携病院で治療をされる担当医にレポートを返すというものでございます。念のため申し上げますと、このエキスパートパネル、専門家会議には、連携病院であっても、主治医、または主治医に相当する先生が、テレビ会議も含めて、参画をするということを求めております。つまり、ここのエキスパートパネル、専門家会議では、実際の個々の患者さんが主治医の先生を含めてパネル検査に基づいての医療の方針の大まかなところを決めていく。その上で、個々の病院でのさまざまなサポートを含めて、患者さんにゲノム医療、さらにはゲノム検査の結果が活用されるという流れになっております。
スライド11をごらんください。先ほど簡単に説明いたしましたけれども、中核拠点病院と連携病院の違いを整理したものでございます。繰り返しになりますが、連携病院と中核拠点病院の最大の違いはエキスパートパネル。それに基づいて、医学的、医療的解釈を含めたレポートの作成をするのが中核拠点病院の役割ということになります。連携病院は患者説明、さらには遺伝カウンセリングも含めて対応できるということが、連携病院の役割、また、求められている要件ということになります。
スライド12をごらんください。先ほど、拠点病院は今年度の新規事業として、夏以降指定をするという御説明をいたしました。まず、数で申し上げますと、先ほどの中核拠点病院は現在11、連携病院は156ございます。それに対して、がんゲノム医療拠点病院は、現時点では約30の整備を予定しております。
この約30の拠点病院が担う主な役割は何かというと、右をごらんください。遺伝子パネル検査の医学的解釈、つまり、エキスパートパネル、専門家会議によって医学的解釈、また、医療的な解釈がこの拠点病院で完結するということになります。つまり、エキスパートパネルを開催できる医療機関が11から約40超にふえるということで、今回、がんゲノム医療、さらにはこのパネル検査に伴う患者さんの量的な対応を充実させようということになっております。
スライド13をごらんください。先ほどの総-2-1で2品目という説明がございました。その2品目については、下のほうにございます薬事承認の状況のこの2品目でございます。1品目は、開発企業、申請企業がシスメックス社、もう一つは、開発企業がFoundation Medicine社、申請企業は中外製薬のものでございます。
このパネル検査は、複数の遺伝検査ができるということが、いわば売りなわけですが、それぞれの対応する遺伝子数はここに書いてあるとおりでございます。
スライド14をごらんください。先ほど来、C-CAT、がんゲノム情報管理センターにはゲノム情報と臨床情報を集めることによって、個々の患者さんに返せるのだという御説明をしてきました。また、別のスライドでは「Raw Data」、このデータがキーワードだということも申し上げました。
全体の初めに検査、分析が始まってから、最終的に異常を見つけて、2つの意味の最初のほうのレポートを返す。その流れでデータというのはどこまでを指すのか、それを整理したのがこの図ということになります。
ローデータに相当するのは、このFASTQ(ファストキュー)という読み方とBAM(バム)という読み方をしますが、ここに相当するものだと。その上で遺伝子異常、つまり、がん遺伝子に相当するもののレポート、VCFに相当するものですが、この両方を集積したいというものでございます。
スライド15をごらんください。このあたりからまとめに入りますけれども、まずスライド15、パネル検査に伴うゲノム情報の提出について、ポイントを整理いたしました。まず、ゲノム情報等を集積する目的、○の1つ目でございます。これは1行目に書いてありますとおり、個々の患者さんに対して、遺伝子変異に適合した臨床試験・治験を通知することができる。また、3行目にありますけれども、仮にこの時点で直接的に結びつく治療がなくても、ゲノム情報等を蓄積しておくことでフォローアップが可能になる。これが患者さんに直接裨益するメリットということになります。また、蓄積することのメリットということになります。
○の2つ目です。これは1行目の後ろのほうに研究云々と書いてあります。つまり、この集積された情報によってさらなる開発が進み、4行目にあります、治療の質を向上することができる。これはもちろん今の患者さんが将来的に受けるかもしれませんし、将来の患者さんが受けることになるかもしれませんが、いずれにせよ、より個々の患者さんの状態に適した医療が可能になる。治療の効果、つまり、奏功率が上がる。その可能性があるということがメリットということになります。
次のがんゲノム情報管理センター、C-CATの性格について、3点ポイントを説明します。まず、○の1つ目にありますとおり、これは国策、国の政策として設置したものでございます。この役割は、国立がん研究センターにあるので混同しがちですけれども、あくまでもC-CAT、がんゲノム情報管理センターは、集約・管理し、利活用を支援することが目的です。
○の2つ目にあるとおり、C-CAT自身が研究を行うというよりは、その下の行にありますプラットフォームとしての役割を担う、つまり公益性・公平性というものを最重視しているということを申し上げたいと思います。
○の3つ目ですけれども、ただ情報を集積するということについては、企業等に不利益を生じさせない。この観点も必要になると思います。そのため、ここにありますようなリバースエンジニアリングの禁止など、また、二次利用のルールだとか、こういった細かい透明性・公平性の確保については検討中の状況ではありますが、いずれにせよ個人情報の保護も含めて、透明性・公平性を確保した審査の上での二次利用、さらにはデータ提供元の保護、これらを考えた上での政策としたいと考えております。
残りですけれども、スライド16、では、このパネル検査はどのタイミングで行うのが望ましいのかということで、2つの事例を紹介しております。上のほうは、がんの関連する3つの学会のガイダンス、このガイダンスを策定したときに想定しているプロファイリングの検査、事実上、かなりパネル検査に近いものですけれども、ここにありますとおり、標準治療の終了後、つまり、標準治療というのは、言葉で言うと標準ですけれども、現時点でのベストの選択肢ということになります。このベストの選択肢をさまざま行った上で、標準治療の一番最後のものの後に行うことを想定しております。
下のほうも例として出してはおりますが、ここに書いてあるような懸念点が挙げられております。こうしたことから、まず少なくともこのパネル検査として行う、プロファイリング検査を行うという意味では、標準治療後が望ましいと考えております。
では、この標準治療後に行った場合、どれぐらいの患者さんに効果があるのかということをスライド17で、ここは一番最後のスライドでございますが、これで紹介いたします。治療薬が選択された症例数の割合、これが実際に治療にたどり着いたということになります。このデータでは13.4%でした。ほかのデータとかを合わせますと、大体10%から20%が、パネル検査を行った結果、治療に結びついた検査ということになります。
もちろん、この10%から20%というのを多いと見るのか、少ないと見るのかは、さまざまな解釈が成り立つと思います。ほかのベストの選択肢である標準治療後という点では、まだ2割弱程度の選択肢があるという見方もできれば、全体の1割、2割しかいないのではないかという見方はあるかと思いますが、実データとしては、治療に結びついたのはこのケースということになります。
総-2-2の説明は以上でございます。
○田辺会長
では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
続きまして、資料総-2-1にお戻りください。1ページ目の下半分、2.保険適用に係る主な論点のところでございます。論点1、パネル検査に伴うデータ提出についてでございます。1つ目、こちらは今、がん対策課長からお話がございましたとおり、本検査の実施に伴って得られる遺伝子情報及びパネル検査の前後における臨床情報がC-CATに収集、解析されることによって、新しい治療法や、予後予測等の情報が患者に提供されることが期待されます。また、将来的には新たな治療法の開発につながることが期待されます。
そのため、本検査を実施する医療機関は、原則といたしまして、直接または検査機関を通じてC-CATに対しデータを提出することを保険算定の要件としてはどうかと。こういった論点でございます。
この際、当該データのC-CATへの提出及びデータの二次利用について、それぞれ患者さんの同意を得ることとしてはどうか。また、個人情報の取り扱いにつきましては、関係法令等を遵守するとともに、患者の求めに応じて検査結果を返却できる、こうした体制もあわせて要件としてはどうか。これが1つ目の論点でございます。
2つ目、2ページ目をごらんください。コンパニオン検査を目的として実施する場合についてということでございます。一部のパネル検査機器につきましては、特定の医薬品の適応判定に用いる検査、これを「コンパニオン検査」と呼んでおりますが、それとしても薬事承認をされております。このコンパニオン検査につきましては、目標とする特定の抗がん剤の投与判断に用いられるものでございまして、いわゆるパネル検査には該当しないものでございます。
そのため、この新たに承認されたパネル検査機器を用いてコンパニオン検査を目的とした検査が行われた場合、すなわち、各学会がガイドラインで推奨しています、標準的治療を行う前に実施された場合につきましては、パネル検査としての算定はできないこととしてはどうか。こういった論点でございます。
また、当該検査で得られた目的以外の遺伝子検査の結果につきましては、目的とする医薬品の適応判定に用いられるものではないということ、さらには、その医学的解釈がエキスパートパネルによって適切に行われずに患者に伝達されるおそれがある。こうしたことも踏まえまして、患者には返却しないことを要件としてはどうかという論点でございます。
説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
総-2参考に資料が提出されておりますように、4月17日にがんゲノム情報等の集約に向けた取り組みについて、日本医師会としての考えを表明したところであります。
がんゲノム医療のあり方につきましては、現在、がんゲノム医療コンソーシアム運営会議等において検討が進められております。検査によって判明したがんゲノムの元データを、患者さん御本人の同意を得た上でC-CATに登録すること、そして、将来的にはゲノムデータを用いた医学研究の成果から、新しい医療技術を生み出して、患者さんにそれを還元していくことの重要性が議論されています。
日本医師会といたしましても、日本人に最適化されたゲノム医療を提供するためには、日本国民のゲノム情報が我が国にきちんと蓄積されて、患者さん御本人並びに国民のために利活用されることが大変重要だと考えています。
そのため、我が国における診療に用いられたゲノム検査の結果が、結果レポートだけではなくて、元データを含め、C-CATに適切に提出されるよう、国、専門医療機関、企業等の関係者が協力の上、医療保険上の取り扱いや必要な法整備について取り組みを強く要望しております。
そこで、論点1のパネル検査に伴うデータ提出についてにありますように、本検査を実施する医療機関は、直接または検査機関を通じて、C-CATに対してデータ提出を要件とする等の提案がなされておりますが、元データを含めて提出することが明確化される前提として、賛成いたします。先進医療Bのパネル検査において、患者さんへの同意や個人情報取り扱いの問題が起きており、保険医療でのパネル検査についても、不適切な事例があれば、しかるべき部署に報告されるようにしていただきたいと思いますが、これについてお考えもしっかりとお聞きしたいと思います。
もう一点、論点2ですけれども、コンパニオン検査を目的として実施する場合についてですが、パネル検査もコンパニオン検査も両方実施できる機器が、コンパニオン検査を目的として行った場合は、当然ですが、コンパニオン検査としての評価であるべきで、パネル検査としての患者の同意を得ないでコンパニオン検査を行い、目的外で得られた遺伝子情報を患者に返却してはいけない要件とするのは、当然と考えます。論点2については意見として述べさせていただきました。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
個人情報の関係でございますが、本検査の多数の遺伝子を同時に測定すると、そういった検査の性格から考えましても、その管理につきましては万全を期してまいりたいと思っております。C-CATにおいては、遺伝子情報及び臨床情報をあわせて収集して、きっちりそういったことも管理して対応していきたいと思ってございます。
○田辺会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
今後、不適切な取扱事例が起こらないように、しっかりと指導していただきたいと思います。よろしくお願いします。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
この遺伝子パネル検査の工程をお示ししていただいたというのは、がんゲノム医療を推進していく、日本人に最適化されたがんゲノム医療の推進について、国民のがんゲノム医療情報を蓄積して利活用していくということの重要性、これについて異論はございません。
しかし、極めて機微な情報を扱うものである一方で、膨大なデータを集めなければ患者にとって有益なデータベースを構築することはできませんので、そうしたことは十分に留意して議論する必要があるのだろうと考えております。このため、個人情報保護の観点、また、網羅的に情報を収集できるようにする観点、こういうことから、保険適用について議論するに当たっては、現場での運用のあり方を十分に議論して慎重に判断する必要があると考えております。
そういう意味で、今回は1回目のパネル検査の議論という認識でございますので、何点か質問させていただいて、後で意見を申し上げたいと思います。
まず、総-2-2の資料についてですが、8ページにがんゲノム情報管理センターの図式がございますが、これについてはC-CATからの調査結果を得るために、それまでに当該患者に行ってきた臨床情報を緑の矢印でC-CATと、このようになっているのですけれども、C-CATが赤で調査結果を返して、エキスパートパネルで治療方針を議論して、それで治療を行う、そういう情報も含めてこの臨床情報を返すのか、これは確認ですが、教えていただければと思います。
○田辺会長
では、お願いいたします。
○佐々木健康局がん・疾病対策課長
がん・疾病対策課長です。
今の吉森委員の御指摘についてですけれども、返っていく赤印、真ん中の下のほうですが、ここに「臨床的意義づけ及び国内の臨床試験・治験の情報」と書いております。もともとの臨床情報そのものは個々の連携病院、または中核拠点病院が持っておりますので、もともと持っている臨床情報と照らし合わせた上での個々の治療法の選択等の情報が返っていくという流れになります。
○吉森委員
今後のいろいろなデータ蓄積のためには、中核拠点病院から治療結果の情報としては当然返っていくほうがいいと思うのですけれども、それも含めて臨床情報という考え方なのでしょうかというのが質問の趣旨なのです。
○佐々木健康局がん・疾病対策課長
承知しました。治療の結果がC-CATに集まっていくかということでしたら、基本的にはその方向でございます。
○吉森委員
そうすべきだと思いますので、そこはしっかりと要件づけていただければと思います。
2点目の質問としては、総-2-1の論点2のほうなのですが、2つ目の○ですが、コンパニオン検査を目的として、いわゆる検査を行って同意をもらった。しかし、パネル検査をしてしまった。これは算定できないというのは当然のことだろうと思うのですが、その後、このコンパニオン検査をした結果、標準治療の後、やはり治癒せずにパネル検査を実施することになった場合、その場合は当然ながらパネル検査の報酬を算定するというふうに考えるのでしょうけれども、当該、この医療機関では同時に目的外遺伝子情報を持っていてデータ保有していますから、形上はパネル検査ですけれども、同時にやっているということで、実際はパネル検査を改めて実施する必要もないと思います。この辺はどう考えるのか、慎重に考える必要はあると思うのですけれども、教えていただければと思います。
○田辺会長
企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
御指摘のとおり、このパネル検査機器を用いてコンパニオン検査を行った。その後、例えば同じ機器を用いてパネル検査、こういったケースがあり得ると思っております。そういった具体的な算定のあり方につきまして、また本日御指摘もいただきましたので、そのルールについては、詳細はまた専門組織でも協議の上、中医協総会のほうでお諮りをさせていただきたいと思っております。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
確認は以上なのですけれども、ここからは意見なのですが、まず論点1のパネル検査に伴うデータの提出について意見を申し上げたいと思います。
このパネル検査におけるゲノム情報、パネル検査の前提における臨床情報のC-CATへの集約、これを保険収載時の要件として条件づけるような体制整備を行うというもの、これはもう間違いなく日本国民のゲノム情報を国内に蓄積していく、将来の利活用に向けて、きちんと検査・管理できる体制を構築する、これも重要なファクターだと思います。そのためには、検査の実施医療機関及び検査機関双方からパネル検査の結果のみならず、がんゲノムの元データも含めて提出を義務づけるような要件設定にすべきだと考えております。
次に、2つ目のセンテンスでございますけれども、同意についてでございます。提出の同意と二次利用の同意、これは当然ながらきちんと分けて同意をとるというのは必然的なことであると思いますが、ゲノム情報と検査結果提出の同意、それと、データの二次利用の同意のあり方、これをきちんと区別、整理して、患者に説明して、同意を求める。この行為が必要なのだろうと思いますので、この辺の要件設定のあり方もきちんとしていただければと思います。
そのためには個人情報保護関連法令遵守、これについては当然でございますけれども、先ほどの2-2の15ページに示されておりましたが、パネル検査に伴うゲノム情報の提出についてというシートですけれども、ここに記載されているようなC-CATの設立の趣旨であるとか役割、また、ゲノム情報集積の目的、ゲノム情報の二次利用の透明性・公平性を確保して、適切な対応で行うこと。こういうことについては、患者さん個人の納得性のみならず、保険適用の要件への理解、これを得る観点からもしっかりと説明責任を果たしていただく必要があると考えておりますので、この辺の説明責任の果たし方もきちんと整備していただければと思います。
2-1の論点2、コンパニオン検査とパネル検査のあり方についてですけれども、先ほども一部の使用機器が両方、コンパニオン検査も承認されておるということで、パネル検査に基づく資料ガイダンスで規定されている以外の目的で対応されるおそれがあることは、これを防止、抑制する観点から、使用目的はきちんと明確にした上での検査実施は当然のことだと思います。その評価もやはり異なる評価であると考えるのも、ここに指摘されているとおりでございます。
そういう意味では、2-2の16ページに戻っていただくと、3学会ガイダンスのあり方が示されておりました。この上の3学会ガイダンスのあり方が、パネル検査の基本的プロトコルであるとするのであれば、検査実施の医療機関は、その検査目的を明確にして遵守することを条件として、保険適用要件を整備するというふうにすべきだと思います。
先ほど確認させていただいたように、コンパニオン検査後、同じ医療機関、同じ機器でパネル検査を実施したときの遺伝子情報を共有化できる状態の場合、これについては、おのおの検査の評価については、先ほど企画官から回答いただきましたように、慎重に検討する必要があると考えております。
以上、意見です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
ありがとうございます。
細かい話になってしまいますけれども、このがんゲノムの情報、大変機微性が高いということで、ぜひともその辺のプライバシーの確保については万全を期していただくことが前提でありますが、もう一つ、資料を見て思ったのが、患者さんへの説明について、例えば本人に対してのメリット、もしくは社会全体や同じ病気を持つような患者さん全体のメリットになるのだという視点に基づいて同意をとることが重要なのかなと思いました。その辺の説明がないと、どうしても強制的な同意、本人の理解が得られない同意ということがあります。ぜひともこの辺については、データの利用ということが患者さん本人もそうですけれども、社会全体にとって極めて有効なのだという観点での理解を深めていくことが重要かと思いますので、その辺、強調しておきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
まず、がんゲノム医療を、国の国家施策として推進していくという方針について、全く異論はございません。しかし、我々にとっては初めてなので、現状を教えていただきたいのですが、資料総-2-2の17ページにあります、NCCオンコパネルを使用した臨床試験の結果で、治療薬が選択された症例数が25例、割合として13.4%ということですが、これを多いと見るか、少ないと見るかは別にしまして、この治療薬が選択された13.4%の患者さん全てに有効であったと捉えていいのかお教えていただけますか。
○田辺会長
企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
25例につきまして、少し御紹介を申し上げたいと思います。この25名の方々のうち15名につきましては、治験薬を投与されたという方でありまして、その治験の規定上、その効果について現状では未公表となっておりますので、25名のうち15名を除いた残りの10名の方の治療成績について御紹介をしたいと思いますが、10名中、治療前と比べまして腫瘍サイズが30%以上縮小した方が6名、病状が安定していた患者さんが3名ということで、合わせて9名の方については、進行をとめるなど、一定の効果が得られております。ただ、これは1名の方については、腫瘍サイズの増加が見られておりまして、結論から言いまして、10名中9名の方には一定の効果が得られている。こういった状況でございます。
○幸野委員
ありがとうございます。
ローデータが蓄積されてくるほど、この割合も確率も上がってくるということで、このがんゲノム医療の推進力の鍵になるのが、ゲノム情報を集約・利活用する体制をいかに整備し、C-CATにどれだけ有用なデータを集積できるかだと思います。
C-CATは営利組織でもなくて、自身が研究開発も行わない、公正中立な立場にあるという位置づけを明確に法律などで担保して、これは日本医師会も提言されていますが、患者の個人情報としてのデータを安全に保管し、適切に利活用できるよう何らかの法整備あるいはルールづくりが必要ではないかと思います。
それまでの間は、近々、2品について保険適用される予定ですが、患者の同意を得た上で、データ提出を行うということを要件に保険収載すべきという、論点1のとおりだと思います。
もう一つ、これは吉森委員もおっしゃったとおり、パネル検査は相当な費用がかかる検査だと思いますので、医療保険財政上のことも考えて、当該検査を使用する患者さんは真にこの検査を必要とする患者さんに限定すべきということを、保険収載上の条件にしていただきたいと思います。
以上です。
 
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
2-2のほうの3ページのマル6のところに、患者・国民を含めたゲノム医療の関係者が運営に参画するということで、がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議というものを設置して、実際にこれも行われたのかどうかわかりませんけれども、この患者という言葉が入っているので、患者の視点を取り入れようということで、具体的にどういう取り組みなのかを教えてもらえませんでしょうか。
○田辺会長
では、よろしくお願いいたします。
○佐々木健康局がん・疾病対策課長
がん・疾病対策課長です。
まず、今、2つの要素が入っていたと思います。まず一つは、患者さんがどういうお立場の方か、また、そこでどのような意見が表明され、それが今回の提案のもとになった形での反映のされ方になっているかということを2点お答えしたいと思います。
まず1点目ですけれども、患者さんの運営会議で入っていただく方は、全国がん患者団体連合会の会長さんに入っていただいております。その上で、例えば直近で申し上げますと、3月8日、先月開催されましたこのコンソーシアム運営会議では、まさにこのパネル検査が広く行われるに当たりということの論点で行われました。
その際には、きょうの提案のもとにもなっているのですけれども、情報を集積するに当たり、ゲノム情報については、元データを含めて集積すべき。また、真に必要な適応となる患者さん、この方にちゃんと行き着く形での適応の仕方にしてほしいと。
その意味では、先ほど幸野委員に御指摘いただいたのと同じ指摘をいただいて、それも踏まえてのきょうの提案になっている状況でございます。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
次に「年代別・世代別の課題(その2)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局のほうより説明をお願いいたします。
医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
総-3「年代別・世代別の課題(その2)」をもとに、御説明をさせていただきたいと思います。
本日は、前回に続きまして、青年期・中年期、そして、高齢期と人生の最終段階というこの3つのグループに分けての説明になります。
まず最初に、青年期・中年期の概括を見ていただくために、前回出しております資料を3つ、スライド2、スライド3、スライド4とつけております。基本的には世代別の疾病の構成と患者数の減少、そして、外来受療率、入院受療率の減少といった傾向があるということをその3つのスライドで出しているところでございます。
続きまして、青年期・中年期でございますが、前回、少しテーマを絞って出したほうがいいのではないかという御指摘をいただきましたので、今回、青年期・中年期につきましては、3つのグループに分けて資料を整理して提示させていただいております。
1つ目は、生活習慣病に対する継続的な管理、もう一つが、治療と仕事の両立のための産業保健との連携、まさに働く世代に関してということで、産業保健との連携という視点です。それから、歯科疾患の管理、この3つの点につきまして、データを整理しておるところでございます。
まず、生活習慣病に対する継続的な管理ということで、そこに7項目をまとめています。それを一つ一つスライドで整理しておりますので、説明をしていきたいと思います。
スライド7をごらんいただきたいと思います。生活習慣病の継続的な管理ということで、代表的な高血圧、糖尿病、脂質異常症の指摘及び疑いがある方の割合というのは、当然ながら年齢とともに増加傾向にございます。
下段でございますが、そのうち、治療・服薬ありの割合でございます。これも年齢とともに増加しておりますけれども、40代のところを見ていただければと思いますが、40代は治療なしの割合も結構あるということがございます。
次に、スライド8を見ていただければと思います。これは糖尿病初診時の自覚症状の有無と受診までの期間を整理したスライドでございます。上の図ですが、糖尿病や高血圧性疾患は初診時に自覚症状がない患者も多いということ。それから、下の段の図でございますが、自覚症状のない患者は、受診までの期間がより長い傾向にある。また、その自覚症状のない患者の受診理由は、健診で指摘されたという理由が多いという説明のスライドでございます。
次に、スライド9でございますが、これは日本の健診制度の概要ということで、40歳から70歳の年代というのは、高確法に基づきまして、特定健診の対象となっております。
スライド10を見ていただきますと、この特定健診・特定保健指導、これはメタボリックシンドロームに着目した特定健診及び特定保健指導を行って生活習慣病を予防することが目的となっておりますが、そこにありますような選定基準を設けて、対象となる方に積極的支援ですとか動機づけ支援の指導をしていくという仕組みになっておるものでございます。
スライド11をごらんいただきたいと思います。メタボリックシンドローム該当者及び予備群の割合、これはおおむね年齢とともに増加傾向にあります。また、下のほうを見ていただきますと、うち、各疾患の治療薬を内服されている方の割合、これも年齢とともに増加傾向ということでございます。ただ、男性と女性のところを見ていただきますと、女性のほうはオーダーが少し違うというところは見ていただければと思います。
次に、生活習慣病と合併症ということについて、今さらですが、御説明をさせていただきます。生活習慣病自身は遺伝性の素因等もありまして、人によって生活習慣だけの影響というわけではありませんけれども、ただ、どういう方であっても、まず不健康な生活習慣が継続することによって、そこにありますように境界領域、生活習慣病の発症、重症化・合併症、そして、生活機能の低下と段階的に進行していく状況でございます。どの段階においても、この習慣を改善することで進行を抑えることができると言われております。
特にそこにありますように、合併症の増加因子として挙げられている喫煙について、次のスライド13で整理をさせていただいております。喫煙率、これは男女ともに低下傾向にございます。ニコチン依存症の管理料というのが、平成18年の診療報酬改定で新設されております。この算定回数でございますが、そこにありますように、平成26年、2014年まで増加傾向にありますが、近年は喫煙率の低下も一因だと思いますが、非常に低下傾向にある状況でございます。
スライド14をごらんいただきたいと思います。生活習慣病は介護要因の約3割、死因別死亡割合の約6割となっております。また、一般診療医療費の約3割を占める状況になってございます。
次に、それぞれのメジャーな生活習慣病の管理について簡単に御説明をさせていただいております。高血圧の医学管理ということなのですが、これは数日前に新しくガイドラインが発表されましたので、それをまとめたものになっております。ただ、このガイドラインにしても、その前のガイドラインにおいても、初診時の高血圧管理計画というものは、いずれの血圧のレベルであっても、まず生活習慣について指導を行うということが管理のスタートとなっておるものでございます。
次に、糖尿病の医学管理についてということでございますが、糖尿病の診療ガイドラインにおいても、血糖のコントロールの目標値の設定というのは、年齢や罹患期間、サポート体制を考慮して個別に個々の患者さんに合った形で設定するということがまず基本となっているということでございます。
次に、糖尿病の中で特に非常にリスクの高い糖尿病性網膜症についてなのですが、ガイドラインにおいては、診断確定時に眼科を受診させ、糖尿病性網膜症の有無を評価すべきである。以降、少なくとも年1回の定期受診が望ましいということが推奨されているということでございますが、そこにありますように、糖尿病の非認定教育施設では約4割しか定期的な受診がなされていないと。また、認定施設においても、約6割しか眼科を受診していないという状況にあるということでございます。
こういう状況を受けて、平成30年の診療報酬改定では、生活習慣病重症化予防の推進にかかる要件の見直しということで、そこにありますような3点の見直しを入れております。
まず、療養計画の記載事項に目標値、それから、特定健診審査、特定保健指導を実施する保険者からの依頼に応じて情報提供を行うことの同意をとるということに、同意が得られている場合には必要な協力を行いますという欄が追加されたようなこと。それから、(2)のところにありますように、管理方針を変更した理由を記載し、当該患者数を定期的に記録するということ。そして、診療ガイドラインや診療データベースの診療支援情報を必要に応じて参考にするといったことが要件として入れられたということでございます。
スライド19については、その算定件数等になってございます。
次に、治療と仕事の両立のための産業保健との連携という視点に基づきまして、資料を整理させていただきましたので、御紹介をさせていただきます。スライド21から一つ一つ説明をさせていただきます。
まず、そこにありますように、働いている世代においては、日本の労働人口の約3人に1人が、何らかの疾病を抱えながら働いている状況にあるというのが、スライド21になります。
スライド22でございますが、前回にも前々回にも提示させていただきましたけれども、日常生活における悩みやストレスを感じる割合を見ていただきますと、男女ともに青年期から中年期が最も高くなっているということでございます。
こういう背景を受けて、職場におけるメンタルヘルスの対策の推進ということで、平成27年にはストレスチェック制度の導入ということ、また、右側にありますように、職場の取り組みを支援する施策ということで、そのようなさまざまな支援策が講じられている状況にございます。
続いて、働く女性の視点でございますけれども、働く女性の妊娠・出産ということでございますが、労働力全体に占める女性の割合が年々増加傾向にございますけれども、妊娠、それから、出産に伴う体調不良により、仕事との両立が困難になった女性というのが、そこにありますように、2割に上るという報告がなされております。
また、働く女性の健康問題ということでございますが、月経関連の症状、月経痛、それから、子宮内膜症等により、働く女性のQOLが損なわれているということが課題になっていると言われております。
スライド26でございますけれども、これは中高年縦断調査ということで、2001年から同じ方を対象に調査をしているものでございますが、中高年の方に対して、離職経験がある方に最後にやめた仕事の離職理由を尋ねております。それを男女別に見ますと「定年のため」や「契約期間が満了したから」という理由のほかに、次に「健康がすぐれなかったから」という理由で離職した方が、そこにありますように、理由としては3位になっているということでございます。
また、スライド27でございますけれども、仕事を持ちながら悪性新生物で通院されている方ということでございますが、これは全体で32.5万人、男性では60歳から69歳で6.1万人、女性では50歳から59歳で7万人の方ががんの治療をしながら通院されている状況が報告をされております。
この背景でございますが、主ながん種の平均在院日数というのは、そこの左の図にありますとおり、非常に短くなります。また、一方で、右の図にありますように、外来患者がふえておりまして、通院しながら治療を受けている患者もふえている状況にあります。それとともに、治療の副作用や症状をコントロールしつつ、通院で治療を受けながら仕事を続けている方がふえてきているということでございます。
こういうことを受けまして、第3期の次のスライド29ですが、がん対策推進基本計画においては、がんとの共生というテーマの中に、がん患者の就労を含めた社会的な問題、この課題に対応していくということが決められております。
これを受けまして、スライド30でございますが、「治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」というものが作成されておりまして、そこにありますように、がんに続きまして、脳卒中、肝疾患、難病、平成30年3月時点で「疾患別留意事項」というものが発表されているということでございます。
こういう背景を受けまして、平成30年度の診療報酬改定では、がん患者の治療と仕事の両立に向けた支援の充実ということで、療養・就労両立支援指導料を新設させていただいておるということでございます。この両立支援ガイドラインにつきましては、これは産業保健のほうでございますけれども、作成スケジュールということで、現在、先ほど言いましたようにがん、脳血管疾患、肝疾患については、難病についての連携マニュアルが作成されておりますし、続いて、糖尿病、心疾患の作成予定であると聞いております。
続きまして、スライド33でございます。これは実は平成30年度の両立支援の施策としては、産業医との連携ということでございますが、その産業医がいらっしゃる職場の状況ということでございますが、産業医の選任義務がない事業所における労働者の割合は、実は54.8%でございます。産業医の選任義務がない事業所のうち、産業医を選任している事業所の割合は3割から4割、衛生管理者を選任している事業所の割合は約1割から2割という状況になっているということでございます。
仕事との両立の関係につきましては、以上でございます。
続きまして、歯科疾患の管理について整理しておりますので、御紹介をさせていただきます。
スライド35をごらんいただきたいと思います。抜歯の原因の調査でございます。歯を抜くことになった原因につきまして、歯科医療機関に対して調査を実施しております。原因として多い順から歯周病、う蝕、破折という状況になっております。
スライド36をごらんいただきたいと思います。これを抜いた方を100%として、各年代別に整理をしますと、20歳未満では矯正治療による抜歯、20歳前後では埋伏歯、いわゆる親知らずに対する抜歯が多く見られています。ただ、30代からはう蝕による抜歯が、50代からは歯周病による抜歯が多くなっている。また、特徴的に、40代ごろから破折、歯が折れたということですね。それによる抜歯が増加する状況にございます。
スライド37は、主な原因として紹介をさせていただいております。
次に、スライド38でございますけれども、抜歯された歯の6割は無髄歯、歯髄がないということでございます。約4割は有髄歯、歯髄のある歯となっております。う蝕によって神経や血管の豊富な組織である歯髄を取る処置をしますと歯が弱くなることがありまして、歯を残すことが難しくなるということで、年齢が上がるほど無髄歯がふえている状況かと思います。
歯周病疾患の推移でございます。これは歯科疾患実態調査からの情報でございまして、成人の約7割が歯周病に罹患しているということでございます。左の図ですが、歯肉からの出血、歯石、歯周炎など、何らかの症状がある方の割合については、歯肉に所見のある方は減少傾向にございます。
ところが、右側を見ていただきますと、4ミリ以上の歯周ポケットがある者、結構進んだ歯周病ということですが、この割合については平成28年のほうが増加しているということで、特に赤い点線が囲んだ部分、成人を中心に歯周病の方は増加という状況でございます。
スライド40でございますが、歯周病安定期の治療として、スケーリングやルートプレーニング等の一連の歯周基本治療が終了して症状が安定した患者に対して、重症化予防を目的に定期的に行う包括的な歯周病治療の評価というのも現在まで行ってきているということでございます。
また、口腔と全身の関係につきまして、歯周病は糖尿病の血糖コントロールを困難にするなどの指摘もされておりますし、介護施設において歯科医師や歯科衛生士による口腔管理が行われると肺炎の発症が抑えられることが示されるなど、さまざまな治験が現在集積をされていると言われているところでございます。
続きまして、青年期・中年期における論点をそこに整理させていただきました。4つにまとめております。1つ目は、これまで示したデータのとおり、生活習慣病に対する早期かつ継続的な管理のためにどのような取り組みを進めるべきなのか。それから、生活習慣のみならず、精神疾患、女性特有の疾患、がん等を含めて、治療と仕事の両立のための産業保健との連携として、どのような取り組みが考えられるのか。
3つ目ですが、成人に対するう蝕、歯周病、破折による抜歯等を減少させるために、どのような取り組みが考えられるのか。
4つ目ですが、成人の歯周病の重症化を予防するために、どのような取り組みが考えられるかという、この4つとして論点を事務局から提示させていただいております。
続きまして、スライド43でございますが、高齢期についてデータを整理しておりますので、御紹介をさせていただきます。まず、高齢期につきましては5点について整理をさせていただきました。1つ目は、高齢化の状況や高齢者の生活環境という点、それから、高齢者の特性に応じた取り組みという視点、高齢期の治療・療養の希望と医療提供体制という視点、また、歯科疾患の管理、薬剤使用の状況という、この5つの視点で整理させていただいております。
最初に高齢化の状況や高齢者の生活環境ということでございます。スライド44でございますが、続いて、データから説明をさせていただきます。
スライド45でございます。基本的には、人口の推計というのがそこに出ておりますが、減少傾向にあるということで、高齢化率は2065年には38%にまでなるという推計になっております。
高齢者数の増加ということでございますが、これも地域差があるということで、今後、首都圏を初めとする都市部を中心に高齢者数が増加することが予定されているということでございます。
スライド47でございますが、これも平成27年を100とした場合の高齢者の75歳以上の人口推計となっておりまして、埼玉県が全国で最も高い。ただ、山形県や島根県においては、平成27年から数としてはそれほどふえていないというような状況でございまして、地域間で大きな差がある状況になっております。
また、高齢者の世帯の構造というのは、スライド48でございます。今後、単身や夫婦のみの世帯が増加していくということが予想されている状況でございます。
また、高齢者の生活機能について、スライド49をごらんいただきたいと思います。年齢とともに、介護サービスの受給割合が高くなっておりまして、要介護者を見ていただきますと、右のほうでございますが、介助なしに外出できないという割合が最も高い状況になっておるということでございます。
続きまして、高齢期の特性に応じた取り組みということで整理をさせていただいています。これについては、フレイルと認知症について、特にまとめているところでございます。
まず、スライド51を見ていただきますと、高齢者の健康状態の特性を見ますと、加齢とともに予備能力が低下して、虚弱、いわゆるフレイルという状態を経て、身体機能障害に至る説明されております。
スライド52でございますが、地域在住高齢者の約5%から10%がフレイルの状態にあるという調査結果がございます。
次のスライド53を見ていただきますと、高齢者の栄養状態、特にフレイルと関係します栄養状態を見ますと、85歳以上では肥満よりも低栄養の割合が高くなるという報告がなされておるということでございます。
続きまして、スライド54をごらんいただきたいと思います。予防、健康づくりのために、かかりつけ医療機関等と連携をして、フレイル対策を含めまして、介護予防と生活習慣病の疾病予防、重症化予防を一体的に実施するという取り組みを行っている状況にございます。
続きまして、認知症についてでございます。65歳以上の認知症有病率ということでございまして、当然ですが、65歳以上では、高齢になるほど認知症の有病率が増加している状況にございます。
そこにありますように、認知症の人の方の将来推計でございます。これは久山町のデータから新たに推計をしていきまして、また、それを人口推計に当てはめていきますと、2025年の認知症の有病者数は約700万人と推計されておるところでございます。
スライド57ですが、これを受けまして、政府としても認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランをつくって、国全体で省庁横断的に進めるということが決まっておるということでございます。
スライド58でございますけれども、この一環として、かかりつけ医・認知症サポート医による体制整備が重要とされておりまして、これらの取り組みにつきましても、次のスライド59でございますが、平成30年度診療報酬改定ではかかりつけ医と認知症サポート医との連携に関する評価ということで、新設したところでもございます。
次にスライド60でございますが、かかりつけ医・認知症サポート医と同様に、歯科医師や薬剤師の認知症対応能力向上研修も実施をされております。末尾にありますように、2020年度末には歯科医師で約2.2万人の研修養成をしていこうと。薬剤師さんにおいては4万人の方にこの研修を受けていただこうということで、今、事業を実施していると伺っておるところでございます。
スライド61でございますが、認知症対応力向上研修の薬剤師向けのテキストにおいては、認知症の兆候のある人に対する「気づき」、それから、かかりつけ医への「つなぎ」、在宅医療を含む薬物療法がポイントとして挙げられているということでございます。
スライド62でございます。これは診療報酬において、入院において認知症の方に対してどのように評価しているかということでございますけれども、入院中の認知症患者に対する病棟でのケアや多職種チームの介入と評価として、認知症ケア加算、この1と2というのが設定されております。要件はそこに書いてあります表のとおりでございますが、加算1と2とともに、届け出医療機関数、算定件数は増加しておるのですが、特に加算2については、近年非常に算定回数が伸びている状況にございます。
続きまして、スライド63、これも同じように入院の患者に対する評価ということでございますが、これは総合評価加算ということで、患者の基本的な日常生活能力、認知能力、意欲等について総合的な評価を行って、入院中の診療や適切な入退院支援に活用するという取り組みを評価したものでございまして、このような加算を設けている状況でございます。
続きまして、高齢期の治療・療養の希望と医療提供体制について御説明をさせていただきたいと思います。
まず、スライド65でございますが、入院患者の今後の治療・療養の希望、それから、自宅療養の見通しということでございますが、65歳以上の入院患者について、今後の治療・療養の希望を見ますと「自宅で医師や看護師などの定期的な訪問を受けて治療・療養したい」というのは1割未満、「自宅から病院や診療所に通院しながら治療・療養したい」は約2割から3割。
ただ、退院の許可が出た場合の自宅療養の見通しを見ますと、右のほうでございますが、自宅療養ができない割合が65歳から74歳の14.7%、75歳以上になりますと、31.3%になります。このうち自宅療養を可能にする条件を見ますと、一番は「入浴や食事などの介護が受けられるサービス」ということでございますが、「通院手段の確保」や「医師、看護師などの定期的な訪問」というのは約2割に上っている状況でございます。
スライド66、年齢階級別の入院の状況ということでございますが、入院の状況で最も多いのは「生命の危険は少ないが入院治療を要する」で75.2%になります。ただ、「受け入れ条件が整えば退院可能」というのは、年齢階級が上がるに従いまして、割合が高くなっているということが見てとれるかと思います。
スライド67、退院後の行き先についてでございます。もちろん退院後の行き先につきましては「家庭」が最も多い状況でございますが、そこにありますように「介護老人福祉施設」等が少しずつふえている状況が見えるかと思います。
スライド68、在宅を支える在宅医療の状況ということでございますが、在宅療養支援診療所というのは増加傾向でございましたけれども、近年はおおむね横ばいとなっております。また、在宅療養支援病院というのは若干増加傾向にあるということが見てとれるかと思います。
また、次にスライド69を見ていただければと思うのですが、在宅患者訪問診療料、それから、在宅時医学総合管理料の算定回数というのは、増加傾向にあります。ただ、医学総合管理料につきましては、施設入居者に対する医学総合管理料のほうが5割を超えてきているという状況にございます。
続いて、訪問看護ステーションの状況でございますが、これは徐々にふえておりまして、特に平成24年以降、伸びが大きくなっております。
利用者数がスライド71でございますけれども、利用者数は高齢者が半数以上になりますが、利用者数の推移というのは、どの年齢層でも増加している状況にございます。
次に、利用者の状態ということで「精神および行動の障害」というのが最も多いという状況でございます。末期の悪性腫瘍や難病を含む別表7の該当者というのは、70歳代から80歳代で割合が高い状況にございます。
スライド73については、薬局における在宅患者訪問管理指導料の概要でございます。
スライド74、この在宅患者に対する訪問薬剤管理を行う薬局の数の推移でございますが、実は介護保険にも同様のものを評価した居宅療養管理指導料というものがございまして、これをあわせて見ていただければと思うのですが、右側の介護保険の伸びが顕著となってございます。
スライド75を見ていただきますと、医療保険のほうが濃い緑、薄いほうが介護保険の在宅に関する点数の算定件数でございまして、大部分が介護保険での算定ということで、医療保険分は横ばいですけれども、あわせて見ますと、全体として薬剤師さんにおける在宅薬剤管理は進んでいる状況にあるかと思います。
スライド76を見ていただきますと、これは在宅薬剤管理のケース別の実施状況でございます。在宅の薬剤管理のケースについて、左の図のケース別の実績を見ますと、認知症の患者さんへの対応というのが非常に多い。また、小児、末期がんの患者さんへの対応も一定数あります。無菌製剤を実施している薬局というのは少ないのですけれども、右のほうを見ていただきますと、無菌調剤を実施している薬局が実は回数としては一番多い状況になっております。そういう実態にあるということでございます。
次に、歯科疾患の管理というところを見ていただければと思います。スライド78から説明をしていきたいと思います。
スライド78、年齢階級別の現在の歯が20歯以上の方の割合を見ていただきますと、「8020(ハチマルニイマル)」の達成者は51.2%になってきておりまして、着実に進んでいるということでございます。
ただ、スライド79、これは年齢を重ねるごとに未処置歯、それから、処置歯保有率は増加して、成人で100%になると。年次推移で見ていただきますと、若年者での未処置歯・処置歯保有率は減少しているのですけれども、高齢者では、この赤い枠で囲ったところを見ますと、非常に増加している状況にございます。
これは平成25年のときの中医協の資料ですけれども、どうも高齢者における根面う蝕の有病率が非常に伸びてきていると。いわゆる歯が残るのですけれども、残った歯が虫歯になっている状況と聞いております。
次のスライド81ですが、高齢者の口腔機能の状況ということでございます。70歳以上の高齢者の口腔の困り事というものを見ますと、高齢者は「かめない食べ物が多い」ですとか「一部かめない食べ物がある」「お茶や汁物等でむせることがある」といったような口腔機能低下が見られる状況でございます。
スライド82を見ていただきますと、平成30年の診療報酬においては、これらを受けまして、歯がなくなるとか、加齢等により筋肉が衰える等で口腔機能の低下を認める患者のうち、特に継続的な管理が必要な方に対して評価を新設したところでございます。
また、スライド83を見ていただきますと、摂食機能療法というのも、その算定回数を見ていただきますと、徐々に伸びてきている状況でございます。
スライド84、これは歯科疾患に関する有訴者率と通院者率の図でございます。有訴者率については、青の棒グラフになります。通院者率は赤の折れ線グラフになりますが、見ていただきますと、70歳以上では「かみにくい」などの歯の問題というのはふえ続けているにもかかわらず、通院率は非常に減少しているという状況が見られるかと思います。
スライド87を見ていただきたいと思います。こういう状況であるのですが、スライド87でございますが、歯科訪問診療を提供しております歯科医療機関の割合について見ますと、青の折れ線グラフが居宅です。居宅は微増傾向、施設は赤の折れ線グラフですが、これは増加傾向ということで、平成29年には施設が居宅を上回っている状況にあるかと思います。
スライド88、在宅療養支援歯科診療所というのは増加傾向にございます。平成30年改定における居宅における歯科診療を熱心に行っている診療所を歯科支援診療所1として評価したという状況でございます。
続きまして、高齢者の薬剤使用の状況ということにつきまして、整理をしております。スライド90を見ていただきますと、ポリファーマシーの現状ということで整理しております。下線を引いておりますように、ポリファーマシーというのは、単に服用する薬剤数が多いということではなくて、多剤服用の中でも害をなすもの、これを示しておるということで、これを「ポリファーマシー」と呼んでおります。ポリファーマシーの原因としては、新たな医療機関の受診による服用薬の積み重ねですとか、そこの例2にありますように、副作用に薬剤で対処する形で処方薬がふえていくというような「処方カスケード」というものがございます。
高齢者では、6剤以上で副作用が増加するというデータがございます。75歳以上の高齢者では、1つの医療機関から処方される医薬品数も多くなりまして、約25%で7種類以上、40%以上で5種類以上というデータもあるということでございます。
これらを受けまして、スライド91でございます。高齢者の医薬品適正使用の指針というのを医薬・生活衛生局において作成し、その中で処方見直しのプロセスとして、高齢者総合機能評価、CGAの紹介ですとか、処方の見直しのタイミングの考え方が示されております。
そこに赤で示されておりますが、あらゆる機会を捉えて処方の見直しが期待されているけれども、退院ですとか転院、介護施設への入所、入居、在宅医療の導入ですとか、また、かかりつけ医による診療開始等の療養環境の移行時には、特に処方の見直しが好機だということが紹介されているということでございます。
スライド92を見ていただきますと、薬局で処方された医薬費と調剤費の割合を見ますと、20歳から39歳は精神神経用剤の中枢神経系用薬、40歳から64歳は高脂血症用剤等の循環器官用薬、65歳以上は血管拡張剤等の循環器用薬が最も多いという状況でございます。
スライド93から94、これは平成28年改定におきまして、医療機関における減薬の取り組みの評価として、6種類以上の内服薬を服用している患者に対して2種類以上減薬した場合の加算を設けているということでございまして、あわせて平成30年度改定において、次のスライド94でございますが、薬局における処方医への減薬の提案についても評価しているというところでございます。
高齢期におきましては、論点としてスライド95に整理させていただいております。まず、高齢化の状況や高齢者の生活環境の変化を踏まえて、高齢者の特性に応じた取り組みについてどのように考えるのか。
2つ目が、高齢者の治療・療養の希望や現状の医療提供体制を踏まえ、今後の体制の構築について、どのように考えるのか。
3つ目が、全年齢を通じたう蝕治療等は重要ですが、特に高齢者に特徴的な根面う蝕対策について、どのような取り組みが考えられるか。
4つ目に、高齢者に対する口腔機能の管理についてどのような取り組みが考えられるか。
5つ目ですが、口腔の健康に問題を抱えていても歯科医療機関への通院が困難な高齢者に対してどのような取り組みが考えられるか。
6つ目ですが、薬局の訪問薬剤管理指導について、さまざまな患者のニーズに対応するためにどのような取り組みが考えられるか。
7つ目ですが、高齢者のポリファーマシー対策のために、どのような取り組みが考えられるかということで、論点として事務局で整理させていただいているところでございます。
次に、人生の最終段階につきましての資料を説明させていただきたいと思います。
アドバンス・ケア・プランニング等の意思決定支援の普及・定着に向けた取り組みという点と、人生の最終段階における多職種による医療・ケアの取り組み、この2点について整理をさせていただいております。
まず、スライド98を見ていただければと思います。死亡の場所を見ますと、近年、医療機関以外における死亡が増加傾向でございます。また、年間死亡者数の将来推計を見ますと、2040年にピークを迎え、その後は減少していくという状況と推計されております。
次に、スライド99でございます。これは平成30年に若干改定されておりますが、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の図でございます。
また、これらを定めておりまして、医療体制整備のための研修等も実施をしておるところでございます。スライド100でございますが、この取り組みの推進のために、医療体制整備事業ということで、医療従事者、また、それから介護の従事者等の多職種チームに対する研修ということで実施をされている状況でございます。
ACPの認知度というものを見たのが、次のスライド101になります。一般国民は「知らない」が75.5%、医療介護従事者では「よく知っている」が医師が22.4%、看護師が19.7%、介護職員では7.6%という状況でございます。
また、担当する患者・入所者との話し合いの実態を見ると「十分行っている」「一応行っている」という回答は、医師が65.1%、看護師が61.3%、介護職員が55.7%と、全医療従事者で5割を超えている状況にございます。
続きまして、人生の最終段階における多職種による医療・ケアの取り組みという視点での整理でございます。
スライド103、ターミナルケアに関連します、診療報酬上の主な評価ということで、そこに一覧で整理しております。訪問診療、訪問看護、それぞれにターミナルケア加算等の評価がなされております。
スライド104、在宅ターミナルケア加算、それから、みとり加算の算定回数というのは増加傾向にございます。
スライド105、訪問看護ステーションにおける訪問看護ターミナルケア療養費の算定利用者数は増加しておりまして、在宅で死亡した利用者のうち、訪問看護ターミナルケア療養費を算定した利用者は8割以上に上る状況でございます。
スライド106、これは平成30年度診療報酬改定では、この訪問診療、訪問看護において、ACPに関する要件を含めて、ターミナルケアに関する報酬の見直しを行ったということでございます。
人生の最終段階の点につきましては、論点としてそこに2つ挙げております。患者の意思を尊重した人生の最終段階における医療体制について、患者の決定支援の取り組みの普及状況等を踏まえて、どのように考えるのか。多職種による医療・ケアの取り組みについて、平成30年度診療報酬改定において一定の評価を行ったことを踏まえて、どのように考えるのか。この2つの点について、事務局で論点として整理をさせていただきました。
資料につきまして、説明は以上でございます。
○田辺会長
どうも御説明ありがとうございました。
以下では2つに区切って御議論を賜れればと存じます。まず、ただいまの説明のうち、前半の青年期から中年期について、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
6コマ目の論点の1番目と2番目でございますけれども、生活習慣病に関しては、早期に介入して、予防や治療を継続して行っていくことが大切だということは、もちろんそのとおりだと思いますが、糖尿病や高血圧は自覚症状がない場合が多いことから、健診結果を踏まえて、医療機関への受診につなげることは非常に重要であると考えています。
日本健康会議として、日本医師会は日本商工会議所を初めとする経済界、医療関係団体、健保連を初めとする保険者、自治体などと健康寿命の延伸の取り組みを進めております。現在、宮城、静岡、大分、高知、福岡、福井の6県では、既に地域版の日本健康会議が立ち上げられておりますけれども、他の都道府県医師会でも、経済界、医療関係団体、保険者、自治体などと連携して進めるようにお願いしているところであります。こうした取り組みによって、2017年度の医療費は既に2011年の予測よりも5兆円以上も下回っております。特に糖尿病予防の医療費削減効果は明らかでございます。
その上で、まず一つ、9コマ目でございますけれども、ここのところの小児期、幼児からの健診制度の概要が出ておりますが、このデータがばらばらに管理されておりますので、これを一元化してしっかりと管理していくことが非常に大事なことであって、日本医師会は日医健診標準フォーマットを運用して、これに努めております。
19コマ目でございますが、生活習慣病管理料は、余り算定していない点数かと思われます。ガイドラインについて、必要に応じて参考にする要件は前回改定で設けておりますけれども、さらに厳しい要件としますと、算定がさらに減るのでは本末転倒であり、スマートな対応が求められていると考えております。
もう一つ、31コマ目でございます。前回改定で療養・就労の両立支援指導料が創設されましたけれども、ほとんどこれが算定されていない状況です。県によっては1年でゼロ件と聞いております。対象ががん患者に限定されているので、難病とか、あるいはメンタル疾患にも対象疾患をふやすべきであると思いますし、もう少し使いやすい仕組みに改めるべきと考えております。
とりあえず以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがですか。
遠藤委員、お願いいたします。
○遠藤委員
歯科のほうから御意見を申し上げたいと思います。
スライドで言うと35、36のあたりから入ってきますけれども、8020の達成者というのは増加しておりまして、高齢になっても自分の歯で食べられる方がふえていることは結構なのですけれども、さらなる向上が望まれるところで、これらを妨げる要因としては、自分の歯を失う。この原因がグラフに示されておりますが、40歳以降では歯周病と歯の破折が増加しております。
この中で破折について見てみますと、説明にもありましたように、歯の神経脈管系である歯髄を除去した歯、これは無髄歯とか失活歯とかと言われておりますが、これらの歯が長い治療経過の中で破折しているケースが多いようであります。これらを防ぐためには、う蝕の予防や早期の治療とともに、歯髄を保護し、保存する治療やその管理の重要性が示唆されているものと思っております。
また、歯周病については、生活習慣にもかかわる感染性の慢性疾患でありますが、これまでも長期の維持管理を評価してきたところですが、さまざまな病態に応じた維持管理を充実させる必要があるものと思われます。
また、スライド41のところで医療連携について出ておりますけれども、初めのところにありますように、心の病というものが青年期に多いようでございますが、精神疾患を発症された方では、口腔内の環境が急速に悪化するケースがあります。こういった場合に、う蝕、歯周病の重症化や、口腔機能の低下が見られることもあるようでございます。今後は、この精神科領域との連携の検討も必要だと考えております。
以上、意見でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがですか。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
細かい論点で、事務局へのお願いなのですけれども、13ページの喫煙なのですが、喫煙、受動喫煙が多くの健康障害の一番大きな原因になっているということは周知の事実だと思います。先ほどの御説明のように、喫煙率は男性、女性とも経年的に低下してきているということです。確かにこのデータを見るとそうなのですけれども、これは国民健康・栄養調査、5,000人ぐらいだったと思いますが、そのデータなのだと思いますが、健診のお話、特定健診についても記載がありましたが、特定健診・保健指導の、いわゆる受診者が問診票を書くと。その中に喫煙の項目がありまして、これは2年連続で研修を受診されている方、日本で1500万から1600万人いらっしゃる。その喫煙のデータを見ると、ここはマクロで男性ならば30とくくっていますが、年代別に物すごく大きな差がある。日本だと40から60の働き盛りの喫煙率は相当にこの数字よりも高い。
さらに、保険者ごとに全く喫煙率が違う。つまり、共済であるとか健保連の方たちの喫煙率は低いけれども、協会けんぽだとか国保の方の喫煙率は非常に高いという、そういうデータが出ているので、もう少しここは細かいデータを次回ぜひお示しをいただければと思っております。喫煙率が減っているので、ニコチン依存管理料の算定件数が減っているというような御説明もありましたが、本当にそうなのかどうなのか、もう少し緻密な議論が必要かと。
もう一点は、女性の喫煙率の減少率は、男性に比べて非常に少なくて、女性の喫煙というのは、低体重出生などにもつながりますので、大変国として大きな課題だと思っていまして、女性の方の喫煙を減らしていくための取り組みは非常に重要なのではないかと思っておりますので、次回、ぜひデータをお示しいただければと思います。
以上です。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
私から、治療と仕事の両立という面で御意見を申し上げたいと思いますけれども、青年期から中年期のデータを見ますと、40歳代前半ぐらいまではメンタル面の疾病、40歳代の後半ぐらいからは生活習慣病、これが上位に来ているわけでございますけれども、いずれにしましても、疾病を抱えながら働き続けられるようにするための環境整備、これが非常に重要な課題であると予防も含めて思っております。
今、喫煙率もありましたけれども、我々協会けんぽというのは、約200万事業所が加入されているわけですが、そのうちの約8割の事業所は、何と従業員が9人以下の小規模な事業所なのですね。そうした事業所や加入者の皆さんの立場に立ちますと、なかなか休みがとれない、必要な医療が継続的に受けられない、そういうことで悪化してしまうというケースが起きているのだろうと思っていますし、想像にかたくありません。
26ページを見ますと、退職の理由等についても健康がすぐれないからというのは、このような事業所の方々が相当多いのではないかと想像しております。そういう意味では、そうした方々の治療と職業生活の両立支援、そういう観点からは、例えばオンライン診療のあり方、そういうものなどについて、治療を継続しながら働き続けられるような論点、そういうものについて議論を深めるべきだと思っております。
また、資料にもございますけれども、医療と産業保健との連携、これも重要な論点で、資料の33ページを見ますと、労働者の約55%を占める50人未満の規模の事業所では、産業医・衛生管理者を選任していないとなっております。この資料もいわゆる9人以下のデータは出ておりませんが、多分もっと少ないパーセンテージだろうと想像しております。そういう意味では、この産業医・衛生管理者を含めて、その連携を図る上では重要な課題ではないかと思っていますので、このような小規模な事業所に対してどのように対応していくのかということは、診療報酬のみならず、労安法も含めて、幅広い観点から議論をしていく必要があるのだろうと考えております。
個別では、39ページの歯周病罹患の推移というので、右の表でございますけれども、20歳から54歳まで、これは28年度が9人歯周病の罹患率、ポケットのある割合がふえているのですが、その前の年を見ますと前年に比べて減っているわけですね。これは一過性の原因があったのか、継続的な対応策、いわゆる治療と職業生活を両立する観点からも、継続性のあるような対応の必要のある事象が起きているのか、課題検討の方向性のためには、もう少しこれに対する細かいエビデンスというか、何か理由をお示しいただく必要があるのではないかと考えております。これは要望でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
先ほど、吉森委員からも御意見がありましたけれども、現役世代における早期治療を促すためのオンライン診療の活用について、意見を申し上げたいと思います。
総-3の資料の2ページにもありますように、世代別ごとの傷病を見ても、50歳以降の最も気になる病気というのは、生活習慣病がトップスリーを占めているわけです。この原因というのは、恐らくほとんどの人がそう思っているのでしょうけれども、この世代に入る以前の働き盛りの生活習慣や、あるいは治療そのものを受けていないことに大きな原因があるわけでしょうから、働き盛りの現役世代がもっと病気の治療や相談を受けやすい環境、そういったものをつくっていく必要があると思います。
ただ、いざ病院に行くとなりますと、行くまでの時間とか、診療までの待ち時間とか、あるいは診療が終わっての会計時間とか、薬局での調剤の時間とか、ほぼ半日仕事になってしまいます。こういったことから病院から足が遠のく人、あるいは受診そのものをちゅうちょする人が少なからずいるという実態もあろうと思います。
こういった状況を踏まえると、特に自覚症状が余りないような生活習慣病患者などにつきましては、重症化を予防するといった観点からも、対面診療ということは大前提ですけれども、働きながらでも医療機関に受診しやすい環境づくりのために、オンライン診療や服薬指導といった仕組みづくりをさらに整備していく必要があるのではないかと思います。
以上、意見です。
○田辺会長
ありがとうございました。
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
今回、青年期から中年期にかけての疾患として生活習慣病が中心となって、さらにその治療と仕事の両立という切り口で御提示をいただいているわけですけれども、そのほかにも疾患としては、この年代期にも多々ございます。先ほども少しお話に出ていましたが、26ページの離職をした理由として「健康がすぐれなかったから」という項目がございますが、ここで健康がすぐれなかった理由といいますか、疾患までアンケートか何かで回答を得ているのかどうかをお聞きしたいと思います。
というのは、それによって、今回、この視点から提示をされていない疾患も明確になることもあろうと思いますし、また、離職をされた一番の理由が何なのかということによって、その疾患に対しての医療的なアプローチを、治療と仕事の両立の視点という切り口からアプローチができるかなと思ったからということでございます。
もう一点、42ページの論点の最初のところですが、基本的には生活習慣病の管理というのは極めて難しいというのは、皆様共有の意見であると思いますけれども、その中において、中規模以上の企業であれば、事業主健診がございます。それによって、先ほどもスライドに出ていましたが、例えば症状のない人でも初めて知った理由というのは健診であったということで、その健診をきっかけとして、そういう企業には産業医の先生がいらっしゃいますから、その産業医の先生と医療機関との連携をいかに強化させるかという観点に持っていければ、一定程度の継続が可能かと思います。
問題は、先ほども吉森委員がおっしゃったように、小さな企業、ないしは無職の方、いわゆる医療にアクセスをしない方に関して、この人たちをどのようにピックアップしていけるのかという視点、これは医療保険とは違う保健事業の観点になろうかと思いますが、その視点での検討も必要かと思いますので、そのあたりもよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
生活習慣病は国民医療費の3割を占めるということで、非常に重要な課題だと思います。
1つ目の論点である生活習慣病の初期段階の管理は、一元的には保険者の責任であると思っております。早期発見のための特定健診と特定保健指導、これをしっかりと行って行動変容を促すというのが、保険者の責務であり、残念ながら受診率、保健指導率が低いというのは、我々保険者の反省すべき点であると思っています。しかし、それらを行っても医療機関での受診が必要な方がいらっしゃいます。
医療機関でこの生活習慣病を継続管理するためには、医療機関に通い続けなければいけません。受診勧奨をして医療機関に行ってもらうのですが、生活習慣病患者さんの多くは働き盛りの方たちなのです。資料にも書いてあるとおり、働き盛りの方は治療・服薬なしの割合が多く、勤務で忙しいので、病院や診療所に定期的に行くのが非常に困難です。途中で医療機関へ行かなくなった人は、呼び出してアドバイスするのですが、貴重な休日に医療機関に行き、1時間、2時間待って、お医者さんにバイタルチェックと多少の健康指導をしてもらって、処方箋を受け取って帰る。この繰り返しでもう嫌になって脱落してしまう。これが実態なのですね。そして、病院に行かなくなり、重症化に向かっていくというのが生活習慣病のパターンです。
働きながら管理を継続するためには、先ほど宮近委員も吉森委員もおっしゃいましたが、例えば前回改定で新設されたオンライン診療を有効に活用することができないかというのが、我々保険者にとっても一つの選択肢であり、オンライン診療、初めて設定されたということで、現在はかなり厳格な要件が設定されて、これを少し緩和して働き盛りの方でもオンライン診療が受けながら病気を管理することができるようになれば、患者の負担も軽減されますし、非常に有効なのではないかと思います。それをぜひ実現していただきたいと思います。
もう一つは、生活習慣病管理料が余り算定されていないということについて、やはり生活習慣病管理料を算定している、継続的に治療を行っている医療機関は、松本吉郎先生の意見と異なりますが、一定の成果を求めるべきと考えており、アウトカム評価もぜひ入れていただきたいと思います。それも要望でございます。
それと、少し論点とは異なるのですが、議論のテーマにも入っていますので、生活習慣病治療薬の費用対効果を踏まえた医薬品の適正な選択に資する「フォーミュラリーの普及」についてもぜひ議論していくべきと思います。
それと、今村先生も御指摘されましたので言わせていただきますが、このスライド13ページにありますニコチン依存症管理料の算定件数が減ったのは、喫煙率が低下したためという分析をされていますが、私もこれは当たっていないのではないかと思っています。というのは、前回検証部会にも出ていましたように、28年度で対象患者を若年層まで拡大したにもかかわらず、7割を超える患者が禁煙に成功していないというデータが出ており、むしろ悪化しています。この算定件数が減ったのは、例えば脱落してしまった可能性も考えられますので、喫煙率が低下したから算定件数も減ったというのは、少々浅い分析なのではないかと思います。
前回改定では、ニコチン依存症管理料については全く議論されませんでしたので、この検証部会の結果も踏まえて、次期改定については、ニコチン依存症管理料のあり方についてもぜひ検討していただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いします。
○松本委員
保険者側の委員の方から、3名ほどからオンライン診療の言及がございましたけれども、診療側としては考え方が違っております。働き方改革とも関連しますけれども、患者さんが気兼ねなくしっかりと対面診療ができるような環境づくりをしていくということが、保険者の方々の務めではないかと私は思っております。通院治療の利便性のみに着目してオンライン診療を語っていくのは、私は少し慎重に考えていくべきだと思っています。
今後の検証を待って、このオンライン診療についてはしっかりと議論していくべきだとは思っておりますので、またよろしくお願いしたいと思います。
○田辺会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
私もオンライン診療については、意見を言わせていただきたいと思います。
やはり医療になかなかアクセスできない、要するに、十分にニーズに応えられない場合に、オンライン診療というものは活用されるべきだと思っていて、便利だからというような、いわゆるデマンドだけでオンライン診療を活用するかどうかは、なかなか難しいところだと思っています。
ですから、先ほどの3名の方がおっしゃったような、もうちょっとオンライン診療を活用するということは、デマンドなのかニーズなのか、なかなか微妙なところだとは思いますけれども、まだまだ本当に医療にアクセスできない地方の方たち、特に医師不足地域等での活用ということがまずは前提なのかなと思っています。
もう一点、このオンライン診療を活用するに当たっては、本当に対面診療と同等のいわゆるエビデンスが出されているかどうかが非常に重要で、そのきちんとした効果検証のもとに、こういう疾病であればこれが活用できるのではないかという議論になるべきだと思っていて、きちんとそういうことはほかのところでも触れられ、やはりエビデンスの集積ということが言われています。
現状のエビデンスというのは、極めて少数の、現在、いわゆるオンライン診療に取り組まれているような医療機関のデータだけしかなくて、もう少し学会ベースでそれぞれの診療科の専門家がこのオンライン診療を活用することによってどの程度の効果があるのかというエビデンスを出していただくことが非常に重要なのではないかと思っておりますので、ここはそういったものを見ながら議論を進めていくことが大事なのではないかと思っています。
○田辺会長
ありがとうございました。
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
今村先生がおっしゃったとおりなのだろうと思うのですけれども、利便性というよりは継続性というところが、働いている人たちの医療アクセスについて大きな課題ではないかと思っていますので、それは疾病にもよりますけれども、その継続性をどのように担保していくか。その辺についてオンラインというツールで保管していくことができないかということで議論すべきだとは思っております。その辺、おっしゃったようにエビデンスというものをどのようにとって、いわゆるオンラインを使っていなくて継続治療が必要な人がどこで中断されているか。先ほどの喫煙もそうだと思いますけれども、その辺のデータをどのように集めて、どのように議論していくかということも重要であろうと思っていますので、ぜひその辺もよろしくお願いしたいと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
松浦委員、お願いします。
○松浦委員
ありがとうございます。
今、吉森委員がおっしゃったように、オンラインの話は先生方がおっしゃるように、対面診療が前提ですから、まず対面診療があって、どうやって働き盛りの人たちが働いていく中で治療を受けるのに、継続的に治療が受けられるというのが大前提であって、なかなか働き盛りの人たちが仕事を休んでそこに行けるかという問題を考えると、実質的には難しいところがあるだろうと。
そうすると、対面診療プラスアルファとして、オンライン診療というのも考えていかなければいけないのではないかというところに立って、オンライン診療というのも考えていくべきであろうと思います。意見です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
一言、看護の立場からも意見を言わせていただきたいと思います。
生活習慣病に関しては、6枚目のスライドにもありますとおり、早期の発見と生活習慣を早期から改善することが重要であるということは、もうこちらに記載されているとおりでありまして、特に特定健診とか特定保健指導において、保健師とか看護師が指導の中で積極的に受診干渉しているのですけれども、やはり重症化してから外来に来る人が多いというのが事実というところだと思います。
生活習慣病に対して切れ目のない支援、連携していくという視点から行きますと、まだまだ分断されている部分があるのではないかと考えておりますので、今回、特定健診とか特定保健指導、また、仕事と治療との両立という形で、広く論点に挙げていただけておりますので、ぜひ診療報酬とほかの仕組みとの連携についても御検討を進めていただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
間宮委員、お願いします。
○間宮委員
ありがとうございます。
治療と仕事の両立支援ということは非常に大事だと思います。26コマ目にある離職経験がある人の離職理由ということで、健康がすぐれないからということですけれども、定年退職とか契約期間が満了したからとか、年金を受け取るようになったからというのを抜いたら、これはかなりの割合になるわけですね。最近内閣府から発表された、中年のひきこもりの人が61万3000人にもいること。その延長上がそういうところにつながっているのかなと思っていて、それは全てがメンタルヘルス、精神障害とかそういうことではないのかなと思うのですけれども、そういう意味でも健康がすぐれなくなったからやめたというところのもっと詳細を調べて、それに対して離職しないで済むようなケアというか、対策を進めていくべきかなと思いますので、そのあたり、進めていっていただけたらいいかなと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、よろしゅうございますでしょうか。
では、後半の高齢期、それから、人生の最終段階についてのほうに進みたいと思います。この点に関しまして、何か御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
95コマ目の論点1と2と7つ目に関してでございますけれども、超高齢社会となって、多くの疾患を抱える高齢者が非常に増加しております。それに伴って、処方薬の種類が増加するのは極めて自然なことであると考えています。現場で治療に当たる主治医は多剤処方を余儀なくされていますが、それにもかかわらず、7種類以上の処方が減算されるというのは、時代に逆行するものだと思います。
かかりつけ医が他の専門家から紹介された患者さんは、前の医療機関が出していた薬を引き継ぐことがあって、もちろんきちんと必要な薬のみに調整はしてまいりますけれども、その結果として、処方数が増加してしまうこともあります。そうした場合も考えると、減算となるのは、かかりつけ医機能の強化と相入れないと考えております。
ただし、一方で、ポリファーマシーの解消につきましては、医薬・生活衛生局が、高齢者の医薬品適正使用の指針として患者や家族へ丁寧に説明をし、時間をかけて内容を十分に理解していただくとともに、治療の選択と同意を得ることが必要であると取りまとめています。
この案では、多剤服用の中でも害をなす、特にポリファーマシーと呼んでいますけれども、このポリファーマシーは、単に服用薬剤数が多いだけではなく、それに関連した薬剤、有害事象のリスク増加、服薬の過誤、服薬アドヒアランス低下の問題につながる状態であると考えております。
これを踏まえて、さまざまな調査で、配合剤を1剤として数えていますけれども、アドヒアランス向上が期待できるということで、例えば3成分が配合された降圧剤が処方されても、実際に患者さんが服用する有効成分の数には変わりがないので、やはり相互作用や副作用、発現リスクが低減されるわけではないということを明記すべきであろうと思います。
したがって、7剤制限や2剤減らしたら保険で評価すること自体、ポリファーマシーの根本的な解決策として意味をなしていないと考えています。病態に明らかな変化があったときだけではなくて、多職種連携による定期的な確認作業と患者家族との話し合いが重要であって、それを含めた服薬管理として評価するべきと考えております。
もう一点、認知症のところでございます。継続的に指導管理をしていくことは必要なことであって、30年改定でもこのような評価がなされましたけれども、これについてももう少し検証の上でしっかりと進めていくべきと考えております。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
遠藤委員、お願いいたします。
○遠藤委員
スライドで言うと78から81のあたり、高齢期のう蝕についてですけれども、う蝕については若年層では減少しておりますが、高齢者の現在歯数が増加していることもあり、65歳以上では増加傾向にあります。この中でも特に歯の根面のう蝕の問題が増加しているように思われます。
歯周病等で、本来は露出していない歯根面が露出してくることが多くて、ここはかたいエナメル質とは異なり、う蝕になりやすくて、多数歯のう蝕となり、若年層のエナメル質う蝕とは異なる処置、管理が求められているものと思っております。
また、多剤服用などの影響もあり、唾液分泌能が落ちてきたり、また、特に要介護となった場合には、この傾向が顕著となります。口腔機能の低下に大きく影響してまいりますので、対応が必要だろうと思っております。
スライド84では、70歳以上で歯科的有訴者率が増加しているにもかかわらず、通院者率は急減しております。病院に歯科が少ないこともあり、通院の困難性がうかがわれますが、前回の30年の改定のときは、医療・介護の同時改定ということもあったので、この部分についてもこれまでも要望してまいったところです。確かにルール上困難な点はあると思いますが、歯科の訪問診療の充実とともに、通院の介助やデイサービス等の活用など、医療と介護の連携の充実も今後さらに必要だろうと思っております。
以上、意見でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
安部委員、お願いします。
○安部委員
まず、ポリファーマシーの問題でありますが、ポリファーマシーの改善に向けて、薬剤師の立場で一義的な役割は何かと言えば、薬学的な観点から禁忌症でありますとか、重複投薬・相互作用等などに関する疑義がある場合には処方医の先生に照会をして、確実な確認を行った上で薬物療法の安全性と有効性を確保することと考えております。
28年改定後の中医協の検証調査を行っているわけでありますが、その中では、疑義照会率はおおむね3%と平均的な数字でありましたが、かかりつけ薬剤師指導料を算定している群の疑義照会率は9%と非常に高いものでありました。こういったことからも、このポリファーマシーの改善を推進する上でも、かかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局が一元的に薬学的な管理をした上で連携をする体制をとることが必要かと思っております。
一方、疑義照会の対象となる事例だけではなくて、例えば入院中には処方が退院時に処方として整理されたもので処方されるわけでありますが、その後、資料で言うと90ページの例2にありますようなカスケードということが発生すれば、服用薬剤数がふえて、時には漫然とした投薬につながって、それがポリファーマシーとなってしまうことにも対応することが必要かと考えております。
一方、過去の資料では、この服用している処方、薬剤を全て把握することについては大きな負担感があるという資料も出ておりますので、そういった意味では、薬剤師がしっかりと一元管理した情報を提供させていただくということが重要かと思っております。
現在、調剤報酬上に服薬情報提供という仕組みがありますが、これは専らアドヒアランスの問題でありますとか、そういった服薬に関する問題が起きているときに、主治医の先生に報告をするような仕組みでありまして、ポリファーマシーの対策を志向したものではないということでありますので、例えば今回の御提案の中で一つの考え方ではありますけれども、複数の医療機関や複数の診療科から、一定数以上の薬剤が継続的に処方されているような場合には、薬局が一元管理している情報を医療機関、もしくはそこの薬剤部にその処方状況について取りまとめた情報などを報告、提供させていただく。そういった仕組みで検討のきっかけになるということも必要なのではないかと考えています。
薬剤訪問管理指導でありますけれども、資料の74、75を見ていただきますと、過去には薬局の体制が十分ではないのではないかということを指摘された時代もありましたが、このグラフを見ていただきますと、一定対応できる体制ができているのではないかと考えております。
ただ、最近は専ら在宅訪問をするような形で開局する薬局もふえてございますので、そうなっていきますと、例えば地域の中で一旦入院をしてお戻りになって、これまでのかかりつけ薬局、薬剤師が訪問指導をしようというときに、そういった専門的なものの中で受け入れが決まってしまうということもございます。その点については、在宅に移行するときにしっかりとした患者さんの意向が反映されるような、また、その際に、その薬局がきちんと対応できるようなことを考えていく必要があろうかと思っています。
私からは以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがですか。
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
今、先生方がおっしゃっている薬、ポリファーマシーに関して、94ページの前回30年改定で服用薬剤調整支援料ということで新設されたページがあるのですが、ここは薬剤師が処方医に減薬の提案を行うということで、こういうことが新設されているわけですが、これの結果というのは、今後出てくると考えてよろしいのでしょうか。このデータについて、ほかの今回提示の30年新設の資料にも言えることですけれども、エビデンスデータの提示が間に合わないのか、現状少なくて、今後の議論の洗い出し及び論点整理について、なかなか何がどうなってどうかということがわからないので、この辺について事務局がどうお考えなのかお聞かせ願いたい。
また、これは今回高齢期における論点として薬剤使用の状況を取り上げていらっしゃいますけれども、多剤服用、残薬、自己判断による服用の中止、薬剤の使用に関する課題は別に高齢期だけの問題ではないと考えておりますし、これらの論点は3月27日に今後の検討課題、進め方で、第2ラウンドで主な課題として挙げていらっしゃる医薬品、医療機器等の適切な利用のあり方、これについて改めて議論するという理解でよろしいのか。その辺を含めて教えていただければ。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
30年度の診療報酬改定後の数字ということでございますが、残念ながら、まだデータの整理というものが間に合っておりません。間に合い次第、この中医協総会にも提出をさせていただきたいと思っております。
それから、ポリファーマシーの関係等について、次に予定しておりますフォーミュラリー等のときにあわせて、再度議論させていただきたいと思っております。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
2点ございますが、1点は51ページの高齢者の健康状態の特性というところで、左側の上に初めて骨粗鬆症という言葉が入ってまいります。必ずしも高齢期とは限らないと思いますけれども、女性の健康問題で、この骨粗鬆症はとても大きな問題で、例えば腰痛であるとか大腿骨の頸部骨折、脊椎の圧迫骨折等、御本人のQOLも低下しますし、ADLも低下すると。医療だけではなくて介護に対しても大変大きな影響を及ぼす問題だと思っております。
日本の女性の方は、どちらかというと痩せの問題のほうが大きくて、将来的にこういった骨粗鬆症を起こしやすいという状況の中で、健康増進法の中で、自治体が骨粗鬆症検診を行っておられますけれども、この骨粗鬆症検診で骨密度の低下が疑われた方と専門の医療機関の間のしっかりとした連携、そして、この治療が必要な方についての、先ほどからあったような治療の継続というようなことが非常に重要になってくると思います。この辺をどのように評価をしていくのかということがあろうかと思います。
もう一点が、63ページに総合評価のお話があります。これは入院している方の、一つは日常の生活能力、そして、認知機能、さらには意欲等と書かれているわけですけれども、当然のことながら、入院した状態というのは非常に変化が起こっていて、安定している状態で退院時の前にこれを評価するということで、これはこれで非常に重要な要素だと思いますけれども、やはり高齢の方たちは、日ごろの状態というのも非常に重要で、日ごろの状態から入院したときにどのように変化して、また、退院時にどの程度の状態でもとに戻れるか。そういった連携したつながった評価が大事になってきて、かかりつけ医におけるこのような日ごろの評価も必要なのではないかと思っております。その辺の御検討もいただければと思います。
以上です。
○田辺会長
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
ありがとうございます。
何点かあるのですが、まず、59ページのかかりつけ医と認知症サポート医の連携ということで、このような点数がついたということなのですが、実際に現場でこれが行われているというイメージを、私は余り受けておりません。それで、実際にどのような形でこれは今動いているかですね。できれば次の機会に実数等をお示しいただけたらと思っております。
次が69ページですけれども、在宅医療にかかわる点数ということで、右側のグラフで、平成28年から特定施設から施設入居時と変わったことによって、平成29年が実は施設の管理料が半数を超えているのですね。つまり、今、在宅医療と言われているものの中で、本当に自宅にお住まいの在宅医療と施設系の在宅医療というのが多分あって、施設系のほうが実は50%を超えているということなのです。これは診療報酬のこともそうなのですけれども、むしろこれからの在宅医療の非常に中心的な考え方になってきていますから、そうすると、この実態をこれからどのようにちゃんときれいに見ていくかということが非常に重要だと思っております。在宅医療のあり方として実態がこうだというのがこの数字だろうと思っております。
71ページ、訪問看護ステーションが非常にふえているということはわかりましたけれども、前の資料で、たしか訪問看護よりも訪問看護におけるリハビリテーションが急増しているというデータが出ているはずです。ですから、これは介護保険のほうが大きく絡むことだと思いますけれども、そこのところを訪問、特に介護保険における訪問のリハビリテーションと医療保険とでやり方が違うようにも聞いておりますので、今回は同時改定ではないですけれども、少しあり方として、もしもこの訪問看護ステーション、特に訪問リハビリテーションのことに触れるならば、少しそこの整理が必要かなと思っております。
先ほどから出ているポリファーマシーの話ですけれども、90ページの右側の下の図で多剤投与、先ほども御意見で、かかりつけ医になれば当然多剤投与はあり得るというお話がありましたけれども、実際に問題は、これはレセプト1枚の薬剤数であって、それが複数のところにかかっていて、複数のレセプトでさらにその数倍の薬剤が出ているということが多いというのが実態だと思います。ですから、これを本当に早く何とかする必要があると私は感じております。それが地域包括診療料のような、かかりつけ医が一元管理できるという整理が一番望ましいのだとは思うのですが、実際にその制度ができていて、ここ辺の薬剤数等が本当にきちんと整理されてきているのかどうか、そういうことももしデータとしてお示しいただけるのであれば、ぜひお願いしたいなと思っております。
最後に106ページのACPの話なのですが、現在、このターミナルケア加算でACPをちゃんと説明するということと、もう一つは、地域包括ケア病棟とか療養病棟で、在宅から入院する場合に、これをちゃんとやりなさいというようなことが診療報酬で示されていると思います。ただ、ACP自体は非常に概念が大きくて、それぞれの御家庭、御本人も含めて、今後の自分たちが受ける医療のあり方をどうするかを考えるという非常に大きい概念の話だと私は理解しておりまして、ここで言うターミナルケア加算は、どちらかというと終末期の医療をどこまでやりますか、我々はよく話すのはDNRといって、無理な延命処置はもうやらないようにしましょうかという話に近いので、ACPはもう少し大きい概念だと思います。
ですから、これを広げていくためには、例えば診療報酬上にはどのようなあり方がふさわしいか。ACPを広げることについては私としては大賛成でございますので、そうした上で、診療報酬にはどういう形であり得るかということが、もう少し具体的な話し合いが持たれるといいかなと思っておりますので、ぜひそれをお願いしたいと思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
106ページ目の人生の最終段階の論点でございますけれども、確かにこのところは、本人及び家族としっかりと話し合っていかなければならないということが必要でございます。30年度改定における評価については、現場の影響などを検証の上で、見直しが必要であれば対応すべきだと思います。
ターミナルケア、それから、みとりの問題につきましては、これは高齢者だけではなくて、小児についても検討が必要であると考えております。現在、小児専門病院においても、みとりは激減しております。余命が限られている病気の子供さんが、最期のときを親や家族と一緒に家庭で暮らす意義は大きいです。
ただ、現状では、小児の在宅医療の体制は十分ではなくて、さらに緩和ケア、みとりまでとなると大変心もとない状況であります。在宅で小児のみとりを行っている先生のお話では、小児の疼痛等に対する症状コントロールが非常に難しく、さまざまな方法で手をかけて緩和に取り組んでいると聞いています。また、我が子をみとる親の悲嘆は極めて深く、親だけではなくきょうだいなどのケアも非常に重要です。ケアにかかわる医療従事者にとりましても、精神的な負担は大きく、エネルギーを要しますけれども、時間をかけて家族に寄り添い、ケアしていっております。こうした医療従事者へのその技術、労力を評価する必要があるのではないかと考えておりますが、事務局に、この人生の最終段階を考える中に小児の視点が入っているのかどうかをお聞きしたいと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いします。
○森光医療課長
御指摘の点については、今後さらに入れていきたいと思っております。
○松本委員
ありがとうございます。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
最初に66枚目のスライドでございます。入院、退院の状況でありますけれども、「受け入れ条件が整えば退院可能」という方が年々ふえているということであります。これは地域において、単身の方がふえる中でなかなか自宅に戻れない方が多くなっている状況をあらわしておりますし、今後もまたさらにふえる可能性があるのかなと思っております。そういった意味で、この入退院への支援というのは前回の診療報酬改定で強化をされておりますけれども、さらにこれについてどう考えているかも大きな課題かと考えているところであります。
そういった中で、在宅に戻ったときに重要になるのが、在宅医療の関係でありますけれども、68枚目のスライドを見てみますと、在宅療養支援診療所については横ばいという状況になっているということであります。これはこれから先ほど言ったような地域の状況、単身高齢者がふえていくという、地域が大きく変わっていく状況の中で地域で暮らしていくためにどうしていくかということについて、医療の提供体制に大きな課題があるのではないかと思っているところであります。
そういった中で、実は保険局マターではありませんけれども、医師需給分科会というものがありまして、第4次中間取りまとめがされております。その中で、外来医療の偏在への対応ということが明記をされております。内容的には、地域の外来医療の偏在について、やや努力義務的な要素があるのでありますけれども、この外来医療の偏在、もしくは必要とされる在宅医療の充実ということも含めて、診療報酬でどのようなことができるかということも含めて、少し検討課題としてはどうかと思っているところであります。実現可能性も含めていろいろ課題があるかと思いますけれども、課題としてあるのではないかと思っております。
また、ACPの関係であります。先ほど概念は大変広いということでありまして、例えば入退院支援のときに、このACPの考え方に基づいてさまざまなカンファレンスが行われている状況があると聞いておりますけれども、その入退院支援においてこのACPの様子というのをどうやって入れていくのかも課題かと思いますので、意見として言わせていただきます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
高齢期の論点の、1つ目と2つ目について、総論的な意見になりますが、述べさせていただきたいと思います。
1つ目の論点であります高齢者への取り組み、特に介護予防やフレイル対策は、54ページに出ている構図がまさに目指すべきイメージではないかと思っています。高齢者に対する介護予防、フレイル対策、医療については、市町村による事業と保険者による保健事業、医療従事者の役割をきっちりと明確にすみ分けを行う必要があると思います。
一義的には、介護予防やフレイル対策は、市町村や保険者の事業として行うべきと思います。また、この事業に医療従事者が助言等で参加する場合には、診療報酬ではなく、例えば地方交付金等を利用して、高齢者を総合的に見ていくという対応が、これからは必要になってくるのではないかと思います。
2つ目の論点ですが、これからは、病院完結型の医療から、地域完結型の医療に移行していくということで、退院後も安心して医療を受けながら地域で生活できる、まさに地域包括ケアシステムを目指していくのですが、そのためには、高齢者については、医科の在宅医療だけではなく、在宅患者に対する訪問歯科や訪問薬剤管理についても、より充実させていくことが必要になってきます。
退院できない理由が、退院後の日常生活が不安であるという割合が多いというところからも、医療における対応と退院後の介護サービスを充実させた上での両者の連携が退院を促していくためにこれから必要になってくるのではないかと思います。
最後は、人生の最終段階についての意見ですが、APCの認知度が低いというのが一番の問題で、国民はもとより、医療従事者においても余り認知度が高くない。これをまず何とかしなければいけないということで、その対応を国がやるのか、それとも医療機関、もしくは関係団体の方がそれぞれ行うのかは、これから議論していく余地があると思いますが、何らかの形で医療従事者に対する研修等を実行していく必要があると思います。
続く国民への対応について、別のところでも発言しましたが、平成25年に実施された人生の最終段階における医療に関する意識調査においては、回答された方の70%が、意思表示の書面作成に賛成されているという答えが出ているにもかかわらず、実際に作成している方は3%しかいないという現実があるということで、国民に対しても周知していかなければいけないと思います。
一つの方法として、例えば2022年から団塊の世代が後期高齢者入りしていきますが、後期高齢者になるときには必ず保険証を更新しますので、75歳になった方お一人ずつに保険証を渡していくという行為が発生します。こういった機会を利用して、最終段階における医療のあり方についての周知を行って、賛同できる方については書面を作成する等の対応も考えられます。
2022年から後期高齢者がどんどん増えていきますので、これは中医協の場で検討することではないかもしれませんが、実行できるところはどんどん実行していかないと、現状がずっと放置されるのは避けるべきであると思いますので、そういったことも選択肢の一つとして検討の余地があるのではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
1点だけ。今、幸野委員から54ページの図について、保健事業について、保険者や自治体の取り組みが非常に重要であると。これは医療は医療、こういったいわゆる予防事業は予防事業としてという、どちらかというとしっかりと区分けをするというニュアンスに受けとめたのです。間違っていたら訂正してください。
その中で、医療と介護というのは非常に大事だと。つまり、医療で受けている人が在宅に戻るときに、介護が充実しなければ医療にも反映するということで、医療と介護の密接な連携ということだったと思います。全くこの保健事業も同じで、例えば糖尿病の重症化予防をしている人は、今、既に医療を受けている人、その医療を受けている人の重症化予防を保健事業でやろうという話ですから、医療といわゆる保健事業は密接にかかわっていて、切れるものではなくて、協力しながらやっていく。どちらかどちらでというような余り明確に分けるものではなくて、そこをうまく両方が連携することが大事なのではないかと思ったので、一言言わせていただきました。分けろというニュアンスが捉えられたので、そのことだけ申し上げます。
○田辺会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
私もそのとおりだと思います。重症化されている方は医療機関が主に診なければいけないのですが、保険事業を行っている保険者によるサポートも非常に大事ですので、そこは切り分けず保険者と医療機関との連携を進めていくべきだと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日の総会はこれにて閉会といたします。どうも御参集ありがとうございました。

 

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