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2019年2月20日 中央社会保険医療協議会 総会 第409回議事録

○日時

平成31年2月20日(水)10:32~11:51

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

田辺国昭会長 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 
安部好弘委員
吉川久美子専門委員 横地常弘専門委員 岩田利雄専門委員
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医薬品の薬価収載等について
○再生医療等製品の保険適用について
○DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
○最適使用推進ガイドラインについて
○先進医療会議からの報告について
○患者申出療養評価会議からの報告について
○診療報酬基本問題小委員会からの報告について
○合同部会からの報告について
○その他

○議事 

 

○田辺会長
ただいまより、第409回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、野口委員、榊原委員、丹沢専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうをお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
初めに、「医薬品の薬価収載等について」「再生医療等製品の保険適用について」「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」を一括して議題といたします。
本日は、薬価算定組織の坪井委員長にお越しいただいております。坪井委員長より御説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○坪井委員長
皆さん、おはようございます。新しく薬価組織の委員長になりました坪井です。ちょっと緊張しておりますが、どうぞよろしくお願いします。
私から今回検討いたしました新医薬品の算定結果等について御報告いたします。まず資料の中医協総-1-1をごらんください。皆様のお手元のiPadを見ていただければと思います。今回の報告品目は、1ページの一覧表にありますとおり、13成分、19品目です。
それでは、算定内容について御説明いたします。2ページをごらんください。ビムパットドライシロップ。本剤は、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)を効能・効果とする内服薬であり、同一成分の錠剤であるビムパット錠を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)により算定いたしました。その結果、本剤の算定薬価は10%1g、386.20円となりました。
2剤目、セリンクロ錠。3~4ページをごらんください。本剤は、アルコール依存症患者における飲酒量の低減を効能・効果とする内服薬であり、アルコール依存症の治療に対する医薬品で、中枢神経系に作用する点が類似するレグテクト錠を最類似薬として類似薬効比較方式(I)より算定しました。その結果、本剤の算定薬価は10mg1錠・296.40円となりました。
3剤目、タリージェ錠です。5~6ページをごらんください。本剤は末梢性神経障害性疼痛を効能・効果とする内服薬であり、効能・効果や薬理作用等が類似するリリカOD錠を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)により算定いたしました。その結果、本剤の算定薬価は2.5mg1錠・78.00円、5mg1錠・107.70円、10mg錠1錠・148.70円、15mg1錠・179.60円となりました。
4剤目、ミネブロ錠に行きます。7~8ページをごらんください。本剤は、高血圧症を効能・効果とする内服薬であり、効能・効果や薬理作用等が類似するセララ錠を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)により算定いたしました。本剤は、最類似薬のセララ錠では投与禁忌とされている中等度腎機能障害合併高血圧患者、アルブミン尿を有する糖尿病合併高血圧患者において治験を実施し、これらの患者にも投与可能となったことから、治療方法の改善が客観的に示されていると判断し、有用性加算(II)A=5%を適用することが妥当と判断いたしました。その結果、本剤の薬価算定は、1.25mg1錠・46.90円、2.5mg1錠・89.90円、5mg1錠・134.90円となりました。
5剤目、デムサーカプセルです。資料の9~10ページをごらんください。本剤は、褐色細胞腫のカテコールアミン分泌過剰状態の改善を効能・効果とする内服薬であり、算定ルール上は適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定いたしました。本剤は、副腎髄質などでカテコールアミンが生合成されるときに作用するチロシン水酸化酵素を阻害することによって、カテコールアミンの生合成を抑制する新規作用機序医薬品です。
診療ガイドラインでは、手術不能例の褐色細胞腫の治療は薬物療法が中心とされていますが、治療薬が限られている中で、治療の選択肢をふやすことは臨床上、意義があると評価し、有用性加算(II)の5%加算の評価を適当と判断いたしました。また、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることなどから、市場性加算(I)に該当し、10%の加算が適当と判断いたしました。これらに加算係数0.6を適用し、9%の補正加算を適用いたしました。その結果、本剤の算定薬価は250mg1カプセル5,853.50円となりました。
6剤目、レルミナ錠です。11~12ページをごらんください。本剤は、子宮筋腫に基づく過多月経、下腹痛、腰痛及び貧血の症状の改善を効能・効果とする内服薬であり、効能・効果等が類似するスプレキュアMP皮下注用を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)により算定いたしました。その結果、本剤の算定薬価は40mg1錠905.70円となりました。
7剤目、ビジンプロ錠です。13~14ページをごらんください。本剤は、EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺癌を効能・効果とする内服薬であり、薬理作用の類似薬が既に3以上あることから、類似薬効比較方式(II)により算定いたしました。その結果、本剤の算定薬価は15mg1錠・3,850.60円、45mg1錠・10,748.00円となりました。
8剤目です。ビラフトビカプセルです。15~16ページをごらんください。本剤は、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫を効能・効果とする内服薬であり、効能・効、薬理作用等が類似するタフィンラーカプセルを最類似薬とした類似薬効比較方式(I)により算定いたしました。その結果、本剤の算定薬価は50mg1カプセル3,180.70円となりました。
9剤目、メクトビ錠です。17~18ページをごらんください。本剤は、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫を効能・効果とする内服薬であり、効能・効果、薬理作用等が類似するメキニスト錠を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)により算定いたしました。その結果、本剤の算定薬価は15mg1錠4,836.80円となりました。
10剤目、エプクルーサ配合錠です。19~20ページをごらんください。本剤は、前治療歴を有するC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善と、C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果とする内用薬です。効能・効果、薬理作用等が類似するハーボニー配合錠を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)により算定いたしました。本剤は、これまで有効な治療法が存在しなかったC型非代償性肝硬変に対する初の薬剤であることや、海外の診療ガイドラインにおいて、C型非代償性肝硬変に対する標準的治療法として推奨されており、治療方法の改善が示されていること等から、有用性加算(II)の10%を適用することが妥当と判断いたしました。その結果、本剤の算定薬価は1錠60,154.50円となりました。
11剤目、ビムパット点滴静注です。21~22ページをごらんください。本剤は、てんかん患者の部分発作について、一時的に経口投与ができない場合におけるラコサミド経口製剤の代替療法を効能・効果とする注射薬であり、効能・効果等が類似するイーケプラ点滴静注を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)より算定いたしました。その結果、本剤の算定薬価は200mg20mL1瓶4,252円となりました。
12剤目、イベニティ皮下注です。23~24ページをごらんください。本剤は、骨折の危険性の高い骨粗鬆症を効能・効果とする注射薬であり、効能・効果、薬理作用等が類似するフォルテオ皮下注を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)により算定いたしました。本剤は、スクレロスチンに結合することによってWntシグナル伝達の抑制が阻害され、骨形成の促進と、骨吸収の抑制を起こす新規作用機序医薬品です。国内で使用される骨形成促進薬よりも半分程度の投与期間で骨折抑制効果が確認されており、臨床上の有用性が認められていることから、有用性加算(II)の5%を適用することが妥当と判断いたしました。その結果、本剤の算定薬価は105mg1.17mL1筒24,720円となりました。
13剤目です。ザバクサ配合点滴静注用です。25~26ページをごらんください。本剤は、25ページの効能・効果欄にある菌種や適応症を要する注射用抗菌剤であり、算定ルール上は適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定いたしました。その結果、本剤の算定薬価は(1.5g)1瓶6,335円となりました。
続きまして、資料が変わりまして中医協総-2をごらんください。医薬品の例によって対応することとされた再生医療等製品のステミラック注について、算定結果等を報告いたします。
本製剤は、脊髄損傷に伴う神経症候及び機能障害の改善を効能・効果とする注射薬です。現状では、本製品と類似する効能・効果を有する既収載品はなく、算定ルール上は適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定いたしました。本製品は、先駆け審査指定制度の対象品目として指定されていること等を踏まえ、先駆け審査指定制度加算の10%の加算を適用することが妥当と判断いたしました。その結果、本剤の算定薬価は1回分、14,957,755円となりました。
以上で、私からの説明は終わります。
○田辺会長
ありがとうございました。
引き続き、事務局から説明と補足をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
資料、総-3をごらんいただきたいと思います。DPCにおける高額な新規医薬品への対応ということで、今回、薬価収載されました医薬品、また、効能が追加されたものに関しての取り扱いについてお諮りするものでございます。
1ページの2に掲げております一覧がございます。2ページ目から7ページ目までの欄に載っているものに関しましては、次期診療報酬改定までの間、DPCのものから出来高算定するということでお諮りをしたいと思います。
それから、8ページ目をごらんいただきたいと思います。3に載っております欄につきましては、類似薬効比較方式により薬価が設定されているものでございまして、当該診断群分類に反映させる形としてはどうかということでお諮りをしたいものでございます。
次の9ページ目でございます。4に掲げておりますキイトルーダにつきましては、費用対効果評価の試行的実施の評価対象になった薬剤でございまして、これにつきましては出来高算定するということでお諮りをしたいと思っております。
以上でございます。
○田辺会長
引き続き、経済課長、よろしくお願いいたします。
○三浦経済課長
医政局経済課長でございます。
お手元の資料、総-1-2と書かれたものを御用意いただければと思います。表題といたしまして、「薬価算定(原価計算方式)申請時の上限単価の誤りについて」と記載されているものでございます。
まず、経緯及び事実関係について御説明申し上げます。新薬の収載に当たりましては、基本的には類似薬効比較方式を原則といたしておりますけれども、類似薬がない場合には原価計算方式を採用しているということは周知の情報かと思います。こちらは新薬の約2割強を占めておりますけれども、この原価計算方式で企業より申請をいただく際の労務費の上限単価というものを、私ども経済課のほうから医療課を通じまして中医協に毎年報告をさせていただいているところでございます。
この資料の3と振られているページをごらんいただければと思います。「新薬算定における係数について」という表題でございますが、こちらは昨年の5月16日に、5月の新薬の収載に合わせまして、30年度に使う係数といたしまして御報告を申し上げたものでございます。例年5月、8月、11月、2月というサイクルの中で、年度初めにこういった形で御報告させていただいておりまして、労務費に関しましては、一番上の欄でございます。労務費単価(時給、法定福利費込み)といたしまして、30年度については3,645円という形で、標準的係数としてお示しをしております。
下の箱をごらんいただければと思います。労務費単価の注といたしまして、毎月勤労統計調査及び就労条件総合調査の平成26~28年の平均として30年度の計算をしているという形で御報告をしていたものでございます。
資料の1ページにお戻りいただければと思います。こうして御報告を申し上げていた数字でございますけれども、毎月勤労統計調査が1月に再集計を行われました。これによりまして、平成24年度以降の毎月勤労統計調査のデータに変化があったということで、過去に中医協に御報告申し上げました値からの見直し、具体的には引き上げが必要となるということがわかり、その準備をしておりました。
2つ目の○でございますけれども、その再集計の精査をしております過程で、平成24年度以降の事務局での計算誤りが判明したということでございます。まことに申しわけございませんでした。
この24年度という数字でありますけれども、先ほど申し上げました3年平均の計算方式を導入しましたのが平成24年であります。こちらの下の表に実際の中医協の報告、1の欄が平成24年度以降の中医協の御報告といたしまして、この金額を上限単価とさせていただいていたものでございます。2が、毎月勤労統計の再集計と私どもの計算の誤りというものについていずれも反映をして、補正をした数値として再計算をした結果が記載されております。
例えば平成24年度で申し上げれば、毎勤のデータは24年度以降のものでございました。24年度の計算は20、21、22の単純平均でございますので、毎勤の影響はございませんが、計算の誤りとして20年度の数値の誤りがあった結果、正しくは4,082円と計算すべきところを中医協には4,026円という形で御報告を申し上げていたというものでございます。
26年度以降で申し上げますと、例えば平成26年の計算誤りでありますが、平成26年は下の※の注をごらんいただければと思います。表の下でありますけれども、本来は平成22年、23年、24年の各単年のデータを単純平均で計算すべきところでありましたけれども、実際の計算はその下の行であります。平成24年度につきまして、なぜか22、23、24の3年平均をしたものを代入しまして、それをさらに3で割ったという計算をしておりました。
また、27年度はそれを持ち越した形で、23、24、25という形になりますけれども、24年度について間違った形のデータを使っていたと。
それから、28年度は、この24年度の誤りに加えて、26年度も同じ誤りをしていたといったような誤りを繰り返していたということでございます。
また、30年度につきましては、平成26、27、28という3カ年を使うべきところを、26、27、29という形の数字を使っていたところでございました。まことに恥ずかしい限りでございます。
この点につきまして、薬価への影響と今後の対応について整理をさせていただいておりますのが下の箱でございます。企業が申請する際の上限単価という形では修正が必要になろうかと思いますけれども、薬価自体は、薬価算定組織及び中医協の総会での御議論をいただいた上で決定をさせていただいているところでございます。企業の申請価格がそのまま薬価になるわけではないという関係性にあるということを踏まえたいと思います。
具体的には、薬価算定組織におきまして専門的な見地から、個々の工程ごとの費用という観点から精査をいただいて、費用の査定をいただいております。あわせまして、原価全体を見たときの妥当性の観点も検討いただきまして、最終的な査定を行っていただいております。こうしたプロセスを経ているということから、申請時の上限単価の修正は薬価の変更には結びつかないと考えております。
また、3つ目の○でございます。申請時期による混乱を避けるため、本年度内、具体的には本日の薬価、あるいは薬価に準じた再生医療等製品の算定というものが今年度最後になりますけれども、本年度内につきましてはこれまでどおりの上限単価を用いまして、来年度の収載分は本年5月にまた改めまして新しい数字を公表させていただいて用い始めることとしたいと考えております。
1ページお進みいただければと思います。誤りの原因と再発防止策についてでございます。まず、上限単価の計算を、先ほど申し上げましたとおり、さまざまな形で間違えておりました。
具体的には、毎月勤労統計調査自体、月給の金額がまず計上されておりまして、それからその月の平均的な時間が計上されております。具体的に、単価というのは時給の形でお示しすることになるわけでありますけれども、その月給から時間を割り戻す、割り算をするという工程がまずございまして、そこのエクセルのシートと、それをさらに3年平均をとるというエクセルのシート、2段階に分けた作業をしておりました。この過程の中で、第1段階で誤って3年分の平均を先にとってしまったものを転記するといった工程によって、誤りが再生産されてしまったという経過がございました。
いずれにせよ、1つ目の○にありますとおり、誤りを誘発しやすい作業方式がとられておりまして、また、作業自体、実質的に担当者1名のみに委ねられていたということでございました。
今後は、作業様式の見直しを行いますとともに、ダブルチェック、トリプルチェックというものをしっかりとさせていただいて、正しい報告になるように見直しをさせていただきたいと思っております。
また、2つ目の○でございます。先ほどごらんいただきましたとおり、中医協に対する御報告におきましても、一種結論と申しましょうか、引用したデータソースが書いてありましたけれども、計算のプロセスが見える形でお示しをしてこなかったという状況かと思います。そういう意味では、外部からの検証もできない状態で、結果のみ御報告をしていたかというふうに総括できようかと思います。今後は、私ども、中医協に対する報告におきましても、統計表の参照箇所とか、具体的な計算式というものを明らかにした形で、本年5月に御報告をさせていただければと思います。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
総-1-1の12番目、イベニティ皮下注について教えていただければと思うのですけれども、効能・効果のところで骨折の危険性が非常に高いということで、比較薬でフォルテオが挙げられていて、多分同じような効能・効果だと思うのですけれども、この骨折の危険性の高さというのは、骨密度等みたいな客観的なデータに基づいて挙げられているのでしょうか。それとも、もう既に圧迫骨折等を起こしているような方を対象にというような意味で書かれているのか。その辺だけ教えていただければと思います。
○田辺会長
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
ガイドライン上には特に記載はないのですけれども、添付文書において骨折の既往とか、骨密度の低下とか、そういった骨折の危険性の高い患者に関する記載がございまして、それをもとに投与の可否を判断いただくということになってございます。
○今村委員
その場合、骨密度がどの程度低下していたらというような基準があるのかどうかということを確認したいのです。
○田宮薬剤管理官
具体的な数字としての基準は特に定められていないところでございます。
○今村委員
フォルテオの市場規模をこのお薬がある程度とっていくというか、減っていくのでしょうけれども、金額自体が相対として物すごく大きいものなので、単に骨密度が少し減っているという程度で、骨折の危険性が高いということで市場でどんどん使用されることについては、少し御検討いただいたほうがいいのではないかと思います。
○田辺会長
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
今の御指摘を踏まえまして、保険適用上の留意事項通知の中で、その添付文書の記載なども引用しながらという形で注意喚起できるか、検討させていただければと思います。
○今村委員
ありがとうございます。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
では、平川委員、お願いいたします。
○平川委員
総-1-2の関係です。薬価算定で上限単価の誤りについての報告がありました。今回の毎勤統計の問題で、日本の統計の信頼性について、いろいろな課題について指摘がされているということがあるかと思いますけれども、当然、その信頼回復に向けて頑張っていくというのは重要ですが、特に中医協においてはエビデンスに基づいての議論というのは大変重要になっていると思います。そういう意味では、データの分析というのは極めて重要でありますので、その意味で統計業務に携わる職員の体制であるとか専門性の強化は進めていく必要があるのではないかと思っています。
厚労省全体の人員体制を含めて大変厳しいという状況は承知しておりますけれども、統計の重要性を改めて認識をしていって、それに基づいた体制づくりがこの再発防止につながるのではないかと思いますので、ぜひとも今後ともこの誤りがなるべく最小限になるようにお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺会長
では、コメントがあれば、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
御指摘いただきましたことを深く受けとめまして、診療報酬にかかわる統計、それから数値の取り扱いについては、チェック体制とか、組織的な対応ということをしっかり検討していきたいと思います。どうもありがとうございました。
○田辺会長
ほかはいかがでしょうか。
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
総-2のステミラックについて、2ページ目の製品総原価の話ですが、不服意見に、企業提示の製品総原価を当初査定案は相当下回っていた。関連法規や規定に基づき、その整備・試験を行ったコストは、製造経費で薬価に含めるべきであるという不服意見があって、それに対する見解として、本製品は製造時に実施する試験の費用は計上されており、一部の試験において標準品を日本薬局方で規定されたものの金額にすることが妥当と判断したということなのですが、ここで質問です。
当初査定の試験費用というのは一応見ていたとあるのですが、どういう規定で見ていたのか、なぜ相当下回っていたのか、不服意見に基づいて一部変更したという判断したということがあるのですが、何を変更したのか。当初のルール、この薬価算定組織におけるルールによって変更したのか、それともそうではないのか。そもそも製品総原価査定時におけるこういう試験費用の査定の考え方について一定の明確なルールがあるのか、ないのか。守秘義務がおありになると思いますが、答えられる範囲で教えていただければと思います。
○田辺会長
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
不服意見にありますとおり、本製品の保険収載希望者が提示した製品総原価に比べますと、薬価算定組織で最初に提示した製品総原価がかなり下回っていたというのは事実でございます。そこのところは、さまざまな原因がございますけれども、例えば本製品につきましては品質管理のためにさまざまな試験・検査を行わなければいけないというところがあります。そこを例えば外注するといったような場合に、実際の査定の考え方としては、診療報酬において医療機関が検査をする場合に算定する額、といった一定の額で査定するということをしております。
また、本製品については、専用の製造設備投資なども行ったという話も聞いておりますけれども、その減価償却費なども含めて全てを認めるのかといった論点について、そこのところは一定の考え方で査定をしているといったこともありまして、実際の希望額に対して提示したものが下回っているというところがございます。
それで、不服意見に伴って反映をした部分でございますが、先ほど申したとおり、いろいろな試験につきまして診療報酬上の点数を基本に査定をしているところでございますけれども、一部の試験の試験法におきまして、標準品について日本薬局方で規定されたものを必ず用いるといった記載がある試験がございます。そこについては、その標準品自体がかなり高額なものであるということが確認できましたので、その点の主張につきましては、別途、通常の医療機関で行うときの試験とは別に、特別に費用として計上することが妥当と判断されたということでございます。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
最初の査定のときには高額な標準品というのは、いわゆる加算係数を見ると1.0ですから、ほぼ100%開示されているのだろうと思いますので、その辺で査定のときには分かっていたルール通りやったものの、やはり薬局方の標準品でやり直すのがよいということになったのか、その辺りについてルール通りではなかったのではないかと思っているので、質問しているのです。
○田辺会長
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
最初、査定をした際には、そういった詳細な情報というものが提示されておりませんでしたので、実際に第1回目の算定組織で価格を提示した後に、具体的にそういった主張があったというところでございます。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
そうすると、この加算係数1というのは、再査定をした結果として100%に近い開示がされたからという理解でいいわけですか。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
考え方としては、外注した試験などについて、その詳細が出てこない場合には情報が開示されているとは判断しないわけでございますけれども、例えばいろいろ委託している検査に関しまして、実際は診療報酬上の点数で査定するといったようなものでございますと、そこはもう明確になっているので、そういった部分は逆に開示されている扱いになるというところもございます。そうしたこともあって、全体としては開示度が80%以上になっているということでございます。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
何となく理解しましたが、製品総原価が算定薬価の1400万分のほぼ1000万を占めてしまうのですよね。だから、ここのところはしっかり薬価算定組織でルールどおりに査定していただかないと、今後、このような高額な薬剤が出てきたときにどう考えるかに当たり、一つの考え方の指標になってしまうのではないかと思い、ルールの有無も含めてお聞きした次第です。
以上です。
○田辺会長
ほかにいかがでございましょうか。
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
総-2の今のステミラック注ですけれども、これは世界に先駆けて日本で承認されたものであるという一方で、非常に対象症例が少ないということで、副作用についてはほとんど今のところわからないということなので、やはり副作用情報というのは本当に細心の注意を払って収集していただくということと、患者への公表、開示というのもきちっとやっていただきたいということ。
それから、副作用だけではなくて、有用性の評価についても、患者視点の、患者自身のQOLがどういうふうに変化したのかも含めて、そういうものを加味した評価をしていっていただきたいと思います。
それから、これは質問ですけれども、これは単一施設での実施ということで、今後も単一施設で行うようですけれども、これは特定の医療機関だけということになりますと、そこの病院に運ばれたというか、かかった患者さんだけが対象になるのか、もしくは近隣の医療機関とか、そういうところとの連携についてはどういうふうに計画をしているとか、どういう対応をするのかということはちょっとお聞きしたいと思います。
○田辺会長
では、事務局、お願いいたします。
○中井医療機器審査管理課長
医療機器審査管理課長でございます。
前回の1月の中医協において、間宮委員から御指摘いただきました。確かに、QOLについても市販後において見させていただきたいと思ってございます。
それから、先ほど、1施設かということにつきましては、供給量が限られているということから、当初予定されている施設はかなり限定されています。具体的に1施設になるわけでありますけれども、今後、供給を順次拡大していけば、複数の施設で評価をしていくということを考えておりまして、そういう意味でいくと、単一施設だけではないということで評価を厳格にやっていきたいと考えてございます。
○田辺会長
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
今後ということですけれども、実際、事故が起きて脊髄損傷という状態になった患者さんがほかの医療機関にいたときに、先ほども言いましたけれども、近隣の医療機関との連携によって実施している医療機関に移送して治療を受けられるとか、そういうことは考えられるのでしょうか。
○田辺会長
では、お願いいたします。
○中井医療機器審査管理課長
この適応については、最初、2週間後に採血して判定をしていく、培養に行って順次やっていく過程がございまして、その過程において最初にどこか救急搬入された後、その後、連携する医療機関に運んでいって、治療を受けるということは十分考えられると思っております。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
先ほどの吉森委員と事務局とのやりとりに関連するのですが、製品総原価については、企業側との乖離があったということで、かなり査定されたということですが、これは加算係数1.0ということで、100%近い開示率だったから精査することができたと思います。類似薬がないから原価計算方式で算定するということは仕方ないと思うのですが、再生医療等製品というのは従来の医薬品と異なって、患者個々の末梢血や骨髄液を採取し、それを培養して、また体内に戻すというような特殊なやり方をされているわけです。iPSを使った再生医療等製品というのも今後たくさん出てくることが予想されますが、それを今までの医薬品に適用していた、費用を積み上げて値決めをするという従来の方式が、果たして再生医療等製品に適しているのかというところに疑問を持っています。
同じような費用の積み上げでやっていくと、製薬会社と厚労省のやりとりが非常に激しくなるのではないかと思っていまして、今後再生医療等製品については、今までの原価計算方式と違ったやり方、類似した技術との比較というやり方なども考えていく必要があるのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
御指摘、ありがとうございます。
確かに、薬機法が改正されて再生医療等製品というカテゴリーができてから、本製品で3品目目ということでございまして、まだまださまざまな再生医療等製品がある中で、実際の算定の経験が少ないというのが実情でございます。そうしたこともあって、現時点におきましては、薬事承認がされた時点で、現行の薬価算定のルールで行うのか、あるいは材料価格のルールで行うのかということをまず御判断いただいた上で、どちらかの算定ルールに基づいてやっているというのが実情でございます。
したがいまして、今後、幾つかの再生医療等製品が出てきて、その事例を積み上げる中で、再生医療等製品に特化したルールはどういうのが適切かということについて今後検討していく必要はあるのだろうと思っているところでございます。
一方、幸野委員の御指摘のとおり、実際の製品の製造コストのところは、特に自己の細胞を加工して戻すというような場合ですと、どうしてもコストがかかるというのが実態としてありますので、そうすると安定供給という観点もしっかりと見ていかなければいけないと思っておりますので、現時点でこういうルールがいいというのが明確にあるわけではございませんけれども、引き続き、先生方を含めて御議論をさせていただければと思います。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
坪井委員長、御説明のほう、どうもありがとうございました。
次に、「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
○中井医療機器審査管理課長
医療機器審査管理課長でございます。
中医協総-4-1をお願いいたします。ヒト(自己)骨髄由来間葉系細胞についての最適使用推進ガイドラインでございます。
2ページ目に、「1.はじめに」と書いてございます。その真ん中のところに、ガイドラインについては5学会とPMDAで作成してございます。その下に囲まれているものは、本製品の承認された効能・効果、用法・用量について説明させていただいてございます。
4ページに移っていただきまして、臨床成績についての項がございます。表1がありまして、本品の評価のAISが1段階以上改善した症例の割合ということで、ここにまとめてございます。13分の12例が1段階以上改善ということになってございます。
5ページ目に、表2にありますけれども、同じように有効性ということで、AISが2段階以上改善した症例の割合ということで、ここにまとめてございます。13分の3例において改善しているという結果にございます。
以上が有効性の重立ったところでございます。
安全性については、7ページに書いてございます。表5に認められた有害事象ということでありまして、全て因果関係は否定されてございますが、そのうち原料である末梢血、骨髄液の採取において因果関係があるものについて、貧血、疼痛というものがそれぞれ2例、1例あったということでございます。
9ページ以降が施設の基準、主治医の基準でございます。ポイントを示しますと、施設についてということで、1の(3)に、骨髄損傷患者の全身管理が可能なICU等を有していること。それから、(4)に標準的なリハビリテーションが実施可能な体制として、a~cの全てを満たすということでありまして、aにおいては早期離床・リハビリテーション加算、または一般病棟入院基本料に係るADL維持向上等体制加算の施設基準、bは脳血管疾患等のリハビリテーション料(I)の施設基準、cは運動器リハビリテーション料(I)の施設基準に係る届け出を行っているということが条件になってございます。
(5)については、回復期リハビリテーションが実施可能な体制として、回復期リハビリテーション病棟入院料(I)の届け出を行っている施設と適切に連携できるという条件も課してございます。
(6)につきましては、本品は期限・条件つき早期承認でございますので、市販後に有効性・安全性も評価するということで、患者登録システム(レジストリ)に登録を行うとともに、使用成績比較調査を適切に実施することが可能であるという条件を付してございます。以上が施設であります。
次の1-2が主治医のほうの条件でございまして、表7-1に書いてある2つのものいずれかに該当する医師が配置されているということを求めてございます。
上のほうで、整形外科に関する10年以上の修練を行って、脊髄損傷に関する十分な臨床経験(計30件以上)を有し、AIS評価が適切に行えることという条件。それから、脳神経外科に関する10年以上の修練と、同じように30件以上の臨床経験を有するということが求められてございます。
10ページ目に、転移した場合の治療の責任者ということでありまして、回復期リハの医師の要件でありますけれども、リハビリテーションに関する8年以上の修練を行った上で、脊髄損傷(非外傷性を含む)患者に対するリハビリテーションに関する十分な診療経験(計50件以上)を有して、AIS評価が適切に行えるという条件を課してございます。以上が施設の重立ったところであります。
12ページ目に、投与となる患者につきましての条件でございますが、患者選択に書いてございますが、本品は、供給当初は製造数が限られているということ、また、治験においてリハビリテーションの効果を考慮しても、明確な効果が得られているのはAISがAの患者であるということから、添付文書においては「AISがA、B又はCの患者」となってございますが、供給当初におきましてはAISがAの患者を中心として投与することが適切であるとしてございます。
それから、治験においても、先ほど申し上げましたように、投与直前の神経機能評価でAISがA、BまたはCの患者に投与していることから、投与直前時点での神経機能評価の結果をもとに保険適用を判断するというふうに書いてございます。
以上、概要でございますが、先ほど来説明申し上げましたように、本品は供給当初は製造数が非常に限られているということでありますので、かなり厳格な条件にしてございますが、今後、有効性・安全性評価も踏まえながら、適宜、修正についてはまた相談させていただければと考えてございます。
説明は以上になります。
○田辺会長
引き続き、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
それでは、お手元の資料の総-4-2をごらんいただければと思います。先ほど、医療機器審査管理課長から御説明がありましたとおり、ステミラック注につきまして最適使用推進ガイドラインが策定されるということでございますので、それを踏まえまして、保険適用上の留意事項に関して通知を発出したいと考えているところでございます。
具体的な内容でございますけれども、「3 留意事項の内容」をごらんいただければと思います。まず、基本的考え方として、対象品目について最適使用推進ガイドラインに従って使用する旨を明記したいと考えております。
(2)のところでございますけれども、最適使用推進ガイドラインにおきまして、下に枠囲みで書いてございますが、標準的なリハビリテーションが実施可能な施設において使用することが定められておりますので、こうした要件を満たす施設で適切なリハビリテーションを実施する旨を明記したいと考えております。
次のページに行っていただきまして、(3)の診療報酬明細書の摘要欄に記載を求める事項でございます。まず、治療の責任者の要件に関しまして、枠囲みに表7-1と書いてございますとおり、要件が2つございますので、その治療の責任者の要件のいずれに該当するかということについて記載を求めたいと考えております。
それから、○2のところでございますけれども、下に枠囲みがございますとおり、「対象患者は「AISがA、B又はCの患者」とされているが、供給当初においてはAISがAの患者を中心として投与することが適切である」とされていることを踏まえまして、本製品の製造原料として最初に末梢血の採血を行う時点、及び本製品を投与する直前の時点におけるASIA機能障害尺度を記載させることを考えております。あわせまして、その供給可能量も踏まえ、Aの患者を優先して対応すること、といったことも示したいと考えております。
お認めいただければ、留意事項通知を2月25日に発出いたしまして、保険収載予定の2月26日から適用させていただきたいと考えております。
説明は以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
総-4-1のガイドラインについて確認をさせていただきたいのですが、12ページの患者選択のところの(※)、2つ目のパラグラフの「治験においては」というところです。仮定の話で申しわけないのですが、「A、BまたはCの患者に対して投与することから、投与直前時点の神経機能評価の結果をもとに保険適応を判断する」となっているのですが、当初、A、B、Cに該当していたのですけれども、投与直前の時点で該当しなくなったときにはどういう取り扱いになるのかというのを教えていただけたらと思います。
○田辺会長
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
ここに記載がございますとおり、保険適応については、本製品の投与直前の神経機能評価の結果をもとに判断するとしておりますので、投与直前のAISがDの患者に関しては基本的には保険償還はされないという取り扱いになると考えているところでございます。
○幸野委員
それは患者の自己負担ということになるのですか。
○田辺会長
では、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
費用負担のところにつきましては、患者、医療機関、製造販売業者がありますので、そういった中でどういう取り扱いになるかというのはケース・バイ・ケースかと思っているところでございます。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
仮定の話で大変恐縮ですけれども、少しよくなったのでやめるということはできないのですか。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
やめるというのは、具体的にどういうことでしょうか。例えば製造の途中でということでございますか。そうすると、患者さんには投与されないということになりますので、当然、保険償還の対象にはならないと理解しております。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
もう一点、同じ12ページの「また」以降の、小児患者に対するところで、投与経験がないということで治験が小児患者にはされていないのですが、3行目に、「成人に比べて有害事象の発現リスクが高いと考えられる」と。結びとして、「慎重に検討すること」となっているのですが、一般的に治験がなされていなくて有害事象が高いという判断がされている中で、これが使用不可とされていないというのが矛盾しているような感じがしますが、その点についてはどう考えればよろしいのでしょうか。
○田辺会長
お願いいたします。
○中井医療機器審査管理課長
医療機器審査管理課長でございます。御質問、どうもありがとうございます。
御指摘の点については、添付文書におきましても、小児に対しては血液量が成人に比べて少なく、採血による貧血リスクが高いということを踏まえて、年齢、体重、全身状態を考慮した上で慎重に判断するというふうになってございます。その上で投与するということも十分あり得るかと思ってございます。
その一方で、報告書の中にも本件について言及されてございまして、文献調査において投与において小児特有の懸念すべき事項、先ほど、採血における貧血についての懸念は十分リスクは想定されておりますけれども、投与そのものに関して懸念すべき事項は文献調査で認められていないということから、適応は可能と考えてございますので、そういう意味では小児に対してそういったリスクを十分考慮した上で、総合的に判断をした上で適応していただくということは十分あり得ると考えてございます。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
経験豊富な医師の方が慎重に判断されるということで書かれたと理解いたします。ありがとうございました。
○中井医療機器審査管理課長
御指摘のとおりだと思ってございます。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
教えていただきたいのは、今の同じ12ページの安全性のところですけれども、禁忌ということで、「本品の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」という記載があるのですけれども、これは一回投与なので、この製品自体の既往はないとすると、本品の成分と言っているのは添加されている薬剤ということを言っていて、それはこの製品の外にこういうものが入っていますということが明示されているという理解でよろしいのでしょうか。
○中井医療機器審査管理課長
御指摘のとおりでございます。確かに、今回、単回投与でございますので、それに関連する成分というのが添付文書に書かれてございまして、それを踏まえて判断していただくということになってございます。
○今村委員
ありがとうございます。
○田辺会長
ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に、報告事項でございますけれども、「先進医療会議からの報告について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
では、企画官、よろしくお願いいたします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
それでは、中医協資料、総-5-1から5-3に基づきまして御報告申し上げます。
今回御報告する内容でございますが、3件ございます。先進医療会議で承認されました先進医療Aの案件1件と、先進医療Bの案件2件の御報告でございます。
まず、総5-1の1ページ目をごらんください。今回、御承認されました先進医療Aの技術は、整理番号333番、「Birt-Hogg-Dube症候群の遺伝子診断」でございまして、本技術に係る費用は表に記載のとおりでございます。
技術の説明に移りたいと思います。技術の概要は5ページ目をごらんください。こちらに本技術のフローが示されております。資料の一番上のところ、本技術の対象疾患であるBHD症候群は常染色体優性遺伝の遺伝性疾患でございまして、気胸や皮膚腫瘍、腎腫瘍を合併いたします。
本技術によって、BHD症候群が疑われる患者に対して、遺伝子診断で確定診断をすることによりまして、高率に発生する腎臓がんなどの早期発見、早期治療が可能となり、BHD症候群が疑われる御家族の診断、治療にもつながることが期待される技術でございます。
ロードマップについては6ページ目をごらんください。本先進医療の結果をもとに、保険収載を目指す予定とのことでございます。
次の資料、総-5-2をごらんください。1ページ目、今回承認されました先進医療Bの技術は、整理番号123番、「腎摘出術による病気腎(小径腎腫瘍)を用いた修復腎移植術」でございまして、本技術に係る費用は表に記載のとおりでございます。
技術の説明に移ります。技術の概要については、資料の6ページ目をごらんください。こちらに本技術のフローが示されております。上段がドナー、下段がレシピエントの流れになります。
まず、ドナーといたしましては、左上の枠にお示しいたしました、医学的に腎部分切除が困難で、腎摘が必要な7センチ以下の小径腎腫瘍を対象としておりまして、一方、レシピエントといたしましては、左下の枠でありますが、透析維持困難な末期の慢性腎不全患者を対象としております。
ドナーとレシピエントのマッチングなどがなされた後、真ん中に示されております修復腎移植検討委員会と呼ばれる第三者委員会におきまして、腎摘の妥当性とかレシピエントの優先順位などが公平・公正に審査されることとなっております。
また、この委員会には関係学会が推薦した外部の委員も参加することとなっております。その後、ドナーに対して腎摘出手術が行われ、腫瘍部分を摘除し、修復された腎臓がレシピエントに移植される。こうした流れとなります。
ロードマップについては、次の7ページをごらんください。本先進医療は登録期間4年、観察期間5年、計9年の試験期間でございます。予定症例数は42例となっており、本試験結果をもとに保険収載を検討するという内容となっております。
最後に、3つ目の技術でございます。資料、総-5-3でございます。1ページ目、整理番号125番、「微小肺病変に対する切除支援マイクロコイル併用気管支鏡下肺マッピング法」でございます。費用等につきましては、表に記載のとおりでございます。
技術の概要は資料の8ページをごらんください。本技術は手術中に腫瘍の同定が困難と予想される微小肺病変の患者を対象としております。こうした患者に対しまして、術前に気管支鏡下にまず色素による肺表面のマーキングを行いまして、さらに今回の評価技術であります血管塞栓用マイクロコイルを用いた肺の深い部分へのマーキングを実施いたしまして、適切な切除マージンを確保して、肺の部分切除術を行うという技術でございます。
ロードマップについては、次の9ページをごらんください。本先進医療では、被験者数65例を予定しておりまして、本試験結果をもとにマイクロコイルの薬事適応拡大を目指すとのことでございます。
説明は以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。よろしゅうございますか。
では、御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に、これも報告事項でございますけれども、「患者申出療養評価会議からの報告について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
では、企画官、よろしくお願いいたします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
それでは、資料、総-6に基づきまして御報告をさせていただきます。
まず、1ページ目の表でございます。昨年6月30日現在の患者申出療養技術数は4種類となっておりまして、実施医療機関数は23施設でございます。総金額が2.3億円、保険診療分がうち1.6億円。5番、患者さんの自己負担の部分が0.7億円となってございます。
2ページ目、1年間の患者申出療養の技術数の推移をお示ししておりますが、今回の御報告の1年間で技術数の増減はございません。
3ページ目は過去の実績を示しております。本制度は平成28年4月に始まった制度でございまして、実績の報告がなされたこの2年間につきましては、大きな変化がなく推移をしているところでございます。
4ページ以降、参考資料につきましては、こちらは各技術の費用等の詳細について記載したものでございます。
以上、御報告とさせていただきます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。よろしゅうございますか。
では、御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に、「診療報酬基本問題小委員会からの報告について」を議題といたします。本件については、診療報酬基本問題小委員会において議論を行ったところですけれども、小委員会でいただいた御意見も含めまして、事務局より御説明をお願いいたします。
引き続き、企画官、よろしくお願いいたします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
それでは、中医協総-7の資料に基づきまして御説明を申し上げます。
今、会長からお話しいただきましたとおり、けさほど行われました基本問題小委員会におきまして、福井分科会長より検討内容が御報告をされ、協議がなされました。その内容について御報告申し上げます。資料の総-7でございます。
まず、1ページ目からがこの検討の背景にとなります。このうち、2ページ目の一番上のところ、平成30年度診療報酬改定における中医協答申書附帯意見の内容に基づき、この指摘に対応すべく検討を行ったものでございます。
今後の進め方、具体的な内容について御説明を申し上げます。3ページの2番のところからでございます。まず、評価の対象となる技術の範囲につきましては、ア)に記載のとおりでございます。また、提案書の様式の見直しにつきましては、その下、イ)提案書様式と記載しておりますが、その内容について様式の見直しを行う、こういった内容でございます。
さらに、4ページ目、ウ)医療技術の評価の進め方のところでございますが、事務局において各技術の評価の案を作成するに当たりまして、新たに各分野の専門家から成るワーキンググループ設置するといった内容となってございます。
さらには、その下、医療技術の体系的な分類について、内視鏡手術用支援機器を用いた内視鏡手術等に対する評価について、先進医療会議との連携及び役割分担等については、記載の内容のとおりでございます。
こうした見直しを行った上で、今後のスケジュールが5ページに記載のとおりでございます。本年2月の中旬より提案書を受け付けまして、その後、そちらに記載の段取りで進めていくといった内容でございます。
なお、基本問題小委員会におきましては、診療側の松本委員より、この資料の3ページのところ、薬事承認が確実に取得可能といった表現につきまして御意見をいただいたところでございます。協議の結果、「確実に」という表現を削除するという形で御了承をいただきましたので、あわせて御報告いたします。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。よろしゅうございますか。
では、御質問等もないようでございますので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
次に、「合同部会からの報告について」を議題といたします。合同部会の荒井部会長から御報告をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長
部会長の荒井です。報告させていただきます。
中央社会保険医療協議会においては、2012年5月に費用対効果評価専門部会を設置し、2016年度からの試行的導入の経験も踏まえ、我が国における費用対効果評価のあり方について検討を進めてきました。
今回の骨子の取りまとめに当たっては、これまでの中医協における検討、試行的導入の経験、有識者の検討結果、並びに関係業界からの意見等を踏まえ、今年度の中医協費用対効果評価専門部会及び合同部会において、論点整理及び対応案の検討を行ってきており、本日、合同部会において骨子(案)の取りまとめが行われました。
その内容について、資料の総-8-1に基づき御報告いたします。
まず、(1)費用対効果評価の活用方法については、費用対効果評価の結果は保険償還の可否の判断に用いるのではなく、一旦、保険収載した上で、価格の調整に用いること。また、今後の実施状況を踏まえ、費用対効果評価に係る組織体制の強化や、課題を整理した上で、活用方法についての検討を継続していくこととされました。
(2)の対象品目の選定基準については、医療保険財政への影響度を重視する観点及び薬価・材料価格制度を補完する観点から、革新性が高く、財政影響が大きい医薬品・医療機器を費用対効果評価の主な対象とし、費用対効果評価の対象となる品目については速やかに選定を行うこととしました。また、開発阻害や患者のアクセス制限を防ぐため、稀少疾患に対する品目は対象外とするなどの基準も設けています。
次に、5ページに移ってください。(3)の分析のプロセスについては、分析前協議(事前協議)の方法、分析実施中の協議、費用対効果評価専門組織の役割、体制等、公的分析の方法や体制、分析にかかる標準的な期間の設定、分析ガイドラインのあり方、データが不足している場合等の対応について検討を行い、その具体的内容については記載のとおりです。
次に10ページに移りまして、(4)の総合的評価についてですが、科学的な観点からの検証方法、配慮を行う品目、評価結果の取りまとめ方、報告、公表の仕方について検討を行い、その具体的内容については記載のとおりです。
特に、配慮を行う品目については、制度の透明性を確保する等の観点から、配慮する品目や要素についての判断基準が必要との議論があり、そのような観点から総合的評価並びに価格調整において配慮を行う品目の要件の設定を行いました。
次に、12ページの(5)価格調整については、薬価・材料価格制度を補完する観点からは、価格調整の対象範囲、ICERに応じた価格調整方法、価格調整にかかる基準値の設定、総合的評価において配慮が必要とされた品目の価格調整方法、価格調整率、比較対照技術に対して費用が削減される品目(ICERが算出不能な品目)等への対応、価格調整のタイミング、手続について検討を行いました。その具体的内容については記載のとおりです。
価格調整に当たっては、患者に必要な医薬品等の安定供給を確保するという観点から、下げどめのルールを設けました。
次に、21ページに移りまして、(6)体制の強化については、今後、人材の育成を初めとした費用対効果評価に係る体制の強化に取り組むとされました。
最後に、(7)費用対効果評価に係る今後の検討ですが、費用対効果評価については、本年4月より本骨子の内容に基づき運用を進めるとともに、費用対効果評価に係る事例を集積し、体制の充実を図ることとしました。その上で、適正な価格設定を行うという費用対効果評価の趣旨や、医療保険財政への影響度、価格設定の透明性確保等の観点を踏まえ、より効率的かつ透明性の高い仕組みとするため、諸外国における取り組みも参考にしながら、引き続きその中身について検討をすることとしております。
引き続きまして、資料の総-8-3をごらんください。費用対効果評価を進めるに当たり、中央社会保険医療協議会における費用対効果評価の分析ガイドライン(以下、分析ガイドライン)を策定した上で、試行的導入においても本分析ガイドラインに基づいて分析が行われておりますが、試行的導入を通じて分析の方法についての技術的課題が明らかとなり、分析ガイドラインへの反映も必要と考えられました。
今回、試行的導入への経験、中医協での議論、試行的導入の対象となった企業及び関係業界からの御意見を参考として、厚生労働科学研究班において分析ガイドラインの改定に向けた検討を行い、分析ガイドラインについて必要な見直しを行いましたので御報告いたします。
今回の改定では、主には試行的導入で課題となった比較対照技術の選定の考え方、システマティックレビューの実施方法、特に分析に用いるデータの範囲等について、それから医療機器に係る分析に関する事項、費用推計の方法等を中心に検討を行い、改定案が作成されております。こちらにつきましても合同部会に報告を行い、了承が得られております。
以上で、費用対効果評価専門部会及び合同部会からの報告を終わります。
○田辺会長
ありがとうございました。
事務局から補足があればお願いいたします。
○古元医療課企画官
特に補足はございません。
○田辺会長
それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
本日の議題は以上でございますけれども、事務局からその他として資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
報告事項でございますけれども、昨年の12月に妊婦加算につきまして中医協より答申いただきまして、1月1日より凍結をさせていただきました。
この妊婦加算の関係につきまして、その際に、今後妊産婦が安心できる医療提供体制の充実や健康管理の推進を含めた、妊産婦に対する保健・医療体制のあり方について検討会設置するというお話をさせていただいたかと思います。
先週、2月15日金曜日に第1回の「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」が開催されましたので、これにつきまして御報告をさせていただきます。資料は総-9-1でございます。
その資料の下のほうを見ていただきますと、検討事項として、妊産婦の保健・医療に関する現状とニーズの把握、それから妊産婦が安心できる医療提供体制の充実について、妊産婦の健康管理の推進について、妊産婦に対する保健・医療体制に関連する事項についてといったことを議題としてこの検討会を進めたいということで御了承を得たところでございます。
また、15日の検討会におきましては、妊産婦の医療を担当される医師、また市町村等で保健活動をされ、妊産婦を支援されているような方々等から御意見をいただきまして、有意義なディスカッションがなされたという状況でございます。
また、妊産婦の方本人へのアンケート調査ということについても議論をいただいて、速やかに調査を実施するということも御了承いただいた状況でございます。
資料の総-9-2を見ていただきますと、そのスケジュールでございますけれども、第1回はフリーディスカッションをさせていただきました。今後、月に1回程度開催をさせていただきまして、5月か6月に取りまとめを行いたいと思っております。この取りまとめを受けまして、妊産婦に対する診療報酬上の評価のあり方について、この取りまとめを中医協のほうに提出させていただき,必要な議論、検討を行っていただきたいと考えているところでございます。
以上、報告をさせていただきました。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。御参集、どうもありがとうございました。

 

(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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