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2019年1月30日 中央社会保険医療協議会 総会 第406回議事録

○日時

平成31年1月30日(水)10:00~11:33

○場所

東京都港区(TKPガーデンシティPREMIUM田町4階)

○出席者

田辺国昭会長 野口晴子委員 松原由美委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 
安部好弘委員
吉川久美子専門委員 横地常弘専門委員 丹沢秀樹専門委員
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○平成31年度診療報酬改定に係る検討状況について(説明)
 ○意見発表者による意見発表、中医協委員からの質問
 

○議事 

 

○司会(樋口室長)
大変長らくお待たせいたしました。ただいまより「中央社会保険医療協議会 総会(公聴会)」を始めさせていただきます。
それでは、田辺会長、よろしくお願いいたします。
○田辺会長
それでは、ただいまより第406回「中央社会保険医療協議会 総会(公聴会)」を開会いたします。
開会に当たりまして、委員を代表いたしまして一言、御挨拶を申し上げます。
本日は、御参加いただきまして、まことにありがとうございます。
当協議会は、診療報酬や薬価など、公的医療保険から医療機関等に支払われる公定価格を決定する権限を有する厚生労働大臣の諮問機関として設置されております。診療報酬等に関する事項につきまして、厚生労働大臣の諮問に応じて審議、答申を行う役割を担っております。
本日は1月16日に大臣より諮問されました平成31年度診療報酬改定の審議を行うに当たり、私ども委員が国民の皆様方の声を聞く機会といたしまして、公聴会を開催することとしたものでございます。
後ほど意見発表をお願いしております方々から御意見をいただく場を用意しております。忌憚のない御意見をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、当協議会の委員を御紹介させていただきます。
当協議会は1の医療保険の保険者、被保険者、事業主等を代表する委員、いわゆる支払側委員。それから、2の医師、歯科医師、薬剤師を代表する委員、いわゆる診療側委員。それから、3の公益を代表する委員、この三者によって構成されており、必要に応じて専門委員を置くことができるとされております。
本日、出席の委員は、皆様方から向かって右側が支払側委員であり、前列の左から吉森委員、幸野委員、平川委員、後列の左から間宮委員、宮近委員、榊原委員でございます。
皆様方から向かって左側が診療側委員であり、前列の右から松本委員、今村委員、城守委員、猪口委員、後列の右側から島委員、遠藤委員、安部委員でございます。
次に、皆様方から向かって私の左に座っておりますのが公益委員であり、私の隣から野口委員、松原委員、荒井委員、関委員、中村委員でございます。
そして、私の奥に座っておりますのが総会に所属しております専門委員であり、左から吉川専門委員、横地専門委員、丹沢専門委員でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
また、厚生労働省からは、保険局長等が同席しております。
なお、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、よろしく御協力のほうお願いいたします。
それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
本日の議事の進め方でございますけれども、まず事務局から平成31年度診療報酬改定の検討状況について説明していただき、その後、意見発表を事前にお願いしております方々から御意見をお聞きしたいと思います。
それでは、平成31年度診療報酬改定の検討状況について、事務局より御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
平成31年度診療報酬改定の検討状況につきまして、御説明させていただきます。
公聴会の資料の1ページをめくっていただきますと、目次がついておるかと思います。
医療機関等における消費税負担に関する議論ということに関しましては、3つに分けて議論をさせていただいております。
まず、診療報酬本体に関しましては、「医療機関等における消費税負担に関する分科会」における議論の整理ということで、消費税分科会での議論をまとめたものになります。
薬価の消費税負担に関しては、消費税引き上げに伴う薬価改定の骨子ということで、薬価部会でまとめたものになります。
消費税引き上げに伴う保険医療材料価格改定に関しましては、消費税引き上げに伴う保険医療材料価格改定の骨子ということで、保険医療材料部会でまとめていただいたものでございまして、これを中医協の総会に報告いただき、取りまとめたものとなってございます。
続きまして、1ページを見ていただきますと、消費税分科会のほうでまとまりました議論の整理についてでございますけれども、「はじめに」の中ほどから書いてありますように、前回の消費税が5%から8%に引き上げられた際の検証について記載がございます。
これにつきましては、2つ目の○、なお以下のところでございますけれども、2015年11月に開催されました第13回分科会におきまして、2014年度補てん状況調査が公表されました。その際、補てん状況にばらつきが見られたものの、マクロではおおむね補てんされていることが確認された旨の報告がなされておりました。
その後、2018年まで調査は行われておりませんでした。
2018年7月に改めて、8%が10%に引き上げられたことについて検討する第16回の分科会において、2014年度補てん状況調査に誤りがあったことが報告され、あわせて2016年度補てん状況調査も公表され、全体の補てん不足及び医療機関種別ごとの補てん率のばらつきが見られることが報告されました。
補てん状況調査については、診療報酬改定による補てんが的確に機能しているかどうかを確認するために行われるものであって、厚生労働省はデータの誤りにより、補てん状況について誤った認識を生じさせていたことになる。この点について、分科会においても謝罪がありましたが、その分科会において、非常に遺憾であり、再発防止を求めるという取りまとめがなされました。
次のページをめくっていただきまして、2ページ目の上から3行目のところになりますけれども、これを受けまして、全体の補てん不足、医療機関種別ごとの補てん率のばらつきによる要因分析をこの分科会で行いまして、これを解消するための配点方法の見直しについて議論を行ったというものでございます。
なお、2019年度の改定に当たっては、消費税率が5%から8%に引き上がった部分も含めた消費税率5%から10%の部分について、補てん状況が是正される配点とするという方針でまとめられたものでございます。
以降、医科、歯科、調剤という3つの部分に関して取りまとめがなされております。
まず、医科でございますけれども、補てんに用います課税経費率についてでございますが、2つ目の○を見ていただきますと、実態に即したより適切な補てんを行う観点から、2019年度改定に当たりましては、一般病棟入院基本料・療養病棟入院基本料ついて、療養病症の割合で病院を分類して課税経費率を見る。精神病棟入院基本料については、精神科病院の課税経費率を見るように見直すこととする方向でまとまりした。
また、それ以外の課税経費率に関する取り扱いについては、基本的には2014年度改定時の整理を踏襲するということでまとまったものでございます。
2の入院料の配点についてでございますけれども、2014年の改定時におきましては、入院料で補てんするに当たりまして、病院種別や入院料別ごとに異なるシェアを考慮せずに補てん点数を決定することとされました。このため、入院料シェアが相対的に高い病院種別は、補てん超過の傾向に、入院料シェアが相対的に低い病院種別は、補てん不足の傾向になったものであると考えられました。これを受けて、2019年度改定に当たりましては、入院料に充てられる財源について、病院種別や入院料別ごとの入院料シェアも考慮して、消費税負担に見合う補てん点数を決定することとするとまとまったものでございます。
その下にありますように、医科、歯科、調剤間及び病院、診療所間の財源配分は、2014年度改定と同様の考え方に基づいて行うこととなったものでございます。
3の初・再診料と入院料の配分については、2014年度の改定においては、診療所に配分される財源をほぼ初・再診料で使い切る配点方法としていたところ、病院と診療所の初・再診の点数が同一であることから、結果として、病院に配分される財源のうち初・再診料と入院料に充てられるそれぞれの割合が自動的に決まっていたということがありました。
これを受けまして、2019年度の改定に当たりましては、診療所に配分される財源について、ほぼ全額を初・再診に充てるのではなく、まず無床診療所の補てんを考慮して、初・再診料に配分を行うこととし、病院における初・再診料と入院料の比率を変え、入院料の割合を高めることとするとまとまったものでございます。
また、使用するデータでございますけれども、2014年度につきましては、社会医療診療行為別調査の単月の実績から推計を用いていたということでございますけれども、これが全体的に見込みと実績に差が生じた原因となるということでございまして、これを受けまして、3つ目の○でございますけれども、2019年度改定に当たりましては、課税経費率については直近の医療経済実態調査の結果を用いる。また、補てん点数項目に係る算定回数については、直近のNDBデータの通年の実績データを用いるということで、可能な限り実態を踏まえた形で補てん点数の計算を行うこととするとまとまりました。
個別項目につきましては、診療側、支払側それぞれに意見がございまして、4ページの下の部分にまとまっておりますとおり、診療側の委員からは、基本診療料に補てんするという方針は、前回の消費税率引き上げ時に中医協で合意している。消費税率0~5%の補てん点数がわからなくなってしまった経緯も含めると、個別項目につけるべきではない。まずは基本料の精緻化で対応すべき。実際の診療では、初・再診料のみが算定されるわけではなく、個別項目も合わせて算定されており、そこに補てん点数が乗っていないのだから、患者側の理解が得られないということはない。初・再診料というわかりやすい項目に補てんされているほうが理解が得られるではないかといった意見がございました。
一方で、支払側の委員からは、診療所が補てん超過となっていたが、初・再診料だけで補てんすることとしたのが問題ではないか。診療所の算定項目と課税経費率のデータを見て、個別項目を検討するべきではないか。本当にばらつきが出ないのか検証してみないと、個別項目でやれるかどうかも結論が出ない。不公平感がなくなるならば、個別項目も必要がない。初・再診料のみで補てんした結果、消費税率が3%引き上がったのに対して、初・再診料は4%以上補てんされており、患者側の視点から見ると理解が得られない。個別項目への補てんも組み合わせるべきではないかといった意見がございました。
5ページの半ば以降でございますが、病院にかかるデータを分析しましたところ、個別項目のうち、検査と手術の占める割合が高いこと。検査等の項目に係る報酬については、DPC対象病院においてはほとんどが報酬点数の中に含まれているため、これらの個別項目の補てんについて、細やかな補てんを行うことが難しいこと。手術について、診療報酬収入に占める手術の割合と課税経費率との相関関係があるかを見たところ、特段の相関関係は見られないことが確認されました。
また、診療所が算定する個別項目については、病院と同様に項目群で分析することも考えられますが、データの入手や分析に一定の期間を要する上、仮に病院と診療所で何らかの傾向の違いがあったとしても、病院が算定する場合と診療所が算定する場合で異なる点数とすることは適切ではないと考えるという結論になっております。
さらに、6ページの上からでございますが、シミュレーションによりまして、医療機関種別、病院種別ごとのばらつきは相当程度是正されると見込まれることが確認されました。
以上を踏まえまして、この報告書においては、2019年度改定に当たっては、2014年度改定と同様の整理で、「基本診療料・調剤基本料に点数を上乗せすることを中心に対応し、『個別項目』については。基本診療料・調剤基本料との関係上、上乗せしなければ不合理になると思われる項目等に補完的に上乗せする」と結論をまとめております。
7ページ目は歯科、調剤という部分でございますけれども、歯科については2014年度の考え方を踏襲し、歯科診療報酬における財源を原則として初・再診に配分する。また、調剤についても、2014年度の考え方を踏襲し、調剤報酬における財源を原則として調剤基本料に配分すると結論をつけております。
「おわりに」でございますけれども、厚生労働省が誤った補てん状況調査を公表していたことから、今後このようなことが起こらないよう、他のデータによる確認、複数の職員による重層的なチェックによる正確な調査を徹底すべきこと。消費税率10%引き上げの対応として、診療報酬改定を行った後も、適切な補てんがなされているかについて、必要なデータがそろい次第、速やかに、かつ継続的に調査をすることとまとめられております。
続きまして、8ページを見ていただきますと、薬価改定の骨子という形でまとまっております。これは基本的な考え方等、簡単に紹介をさせていただきます。
これは今回の2019年10月に予定されている消費税率の引き上げに伴いまして、適正な消費税の転嫁を行う観点から市場実勢価格を踏まえて薬価改定を行うものであり、通常の薬価改定とは異なる臨時的な改定である。
このため、市場実勢価格に基づき行うこととなる算定ルール及び実勢価の改定と連動し、その影響を補正するために算定ルールを適用することを基本に、この改定の趣旨に沿った改定内容とすべきであるという基本的な考え方をまとめております。
具体的な内容は下にありますように、市場実勢価格加重平均値調整幅方式ということで、8ページの下にありますように、2019年10月に予定されている消費税率変更に伴い、今回の改定では、消費税率を10%で計算するとともに、改定前薬価に108分の110を乗じた額を超えないこととするということがまとまっております。
基礎的医薬品については、実勢価改定と連動し、その影響を補正する基礎的医薬品のルールについて適用するとなっております。
最低価格についても実勢価改定と連動し、その影響を補正する最低薬価のルールについて適用するとまとまっております。
一方で、新薬創出・適応外薬解消等促進加算につきましては、実勢価改定の影響を補正するものであり、実施することとなる。
また、平成30年度改定以降に後発品が収載されるなどして対象から外れた品目については、同加算の対象としない。なお、累積加算額の控除は、市場実勢価格が追加的に薬価を引き下げる仕組みであり、2020年度の通常改定で実施することとなりました。
また、企業区分について、平成30年度改定のものを継続することとし、企業区分が定められていない場合は、企業指標点数を算出して、平成30年度改定の際の分類の絶対値と比較して、暫定的に企業区分を判断することとまとめております。
その他のルールとして、後発品等の価格帯のルールについては適用する。
それから、「薬価改定」を区切りとして品目を選定する際の規定の取り扱いについては、今回は臨時的な改定であるとの趣旨を踏まえて、「薬価改定」には含めないこととするということがまとまっております。
また、10ページの下の「第3 その他」でございますが、今回の改定が通常の薬価改定と異なる臨時的な改定であることや、年度途中の改定になることに鑑み、厚生労働省は医療現場の負担や円滑な流通の確保に十分留意した上で改定に取り組むこととするというまとめとなっております。
続きまして、11ページでございますけれども、保険医療材料価格改定の骨子ということで、これも薬価と同様に、通常の改定とは異なる臨時的な改定であり、市場実勢価格に基づく価格調整を基本に、改定の趣旨に沿った改定内容とすべきであるという基本的な考え方で、同様にまとまっております。
具体的な内容としては、市場実勢価格加重平均値一定幅方式ということで、10%で消費税を計算するとともに、改定前の価格の108分の110を乗じた額を超えないこととするということになっております。
また、再算定や機能区分の見直しについては行わない。
その他のルールとして、通常のルール、材料算定のルールにおける改定の取り扱いという中で、改定のカウントには含めないということがまとまっております。
12ページ目でございますけれども、小数点以下については、54円未満のものに限り、小数第1位を四捨五入するということがまとまっております。
また、「第3 その他」については、先ほどのように流通の確保等について、厚生労働省が取り組むという内容となってございます。
検討につきましてはこのような形で、3つの基本的な考え方がまとまって、中医協の総会で了承を得ているという状況でございます。
また、これを受けまして、13ページにありますように1月16日付で厚生労働大臣から中医協に対しまして、診療報酬改定について諮問書が出されております。
14ページでございますけれども、平成31年度の診療報酬改定の改定率でございますけれども、診療報酬過程としまして、プラス0.41%。内訳でございますが、医科がプラス0.48%、歯科がプラス0.57%、調剤がプラス0.12%ということで診療報酬改定を行う。
また、薬価につきましては、1の薬価はマイナス0.51%、うち消費税対応分でプラス0.42%、実勢価改定等でマイナス0.93%。材料価格につきましては、全体でプラス0.03%、うち消費税対応分としてプラス0.06%、実勢価改定としてマイナス0.02%ということで、診療報酬改定の率が定まっております。
これに基づきまして、現在、診療報酬について中医協のほうに諮問書が出されているという状態になってございます。
あわせて、この公聴会のほかに、国民の声を聞く機会として23日までパブリックコメントの募集を行っている状況でございます。
また、本日御出席の方で、平成31年度診療報酬改定に御意見がある方については、本日お配りしておりますアンケートに意見を記入した上で、職員に渡してお帰りいただくようにお願いしたいと思っております。
説明につきましては以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、支払側、診療側から補足の説明がありましたら、よろしくお願いいたします。
支払側はいかがでございましょうか。
○幸野委員
1号側としては、特に補足等はございません。
○田辺会長
診療側はいかがでございましょうか。
○松本委員
診療側も特に意見はございません。
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、ここからは本日の開催の趣旨でございます一般の皆様方からの御意見を伺ってまいりたいと存じます。
意見発表につきましては、今回の公聴会の開催案内にあわせて公募を行いました。応募いただいた方の中から意見の内容、発表者のバランス等を考慮いたしまして、私ども公益委員のほうで10名の方を選ばせていただきました。本日はその方々に意見発表をお願いしております。
意見発表に当たっては、まず、5名の方に意見を発表していただき、それらの意見に対しまして、当協議会の委員から質問させていただきます。その後、残りの5名の方から意見を発表していただき、それに対して委員から質問を行いたいと存じます。
なお、時間の関係上、大変恐縮ではございますけれども、意見発表はお一人につき5分以内でお願いいたします。また、意見発表の初めにお名前と御職業をおっしゃっていただくよう、お願いいたします。
それでは、最初の方、よろしくお願いいたします。
○意見表明者
新日鐵住金健康保険組合常務理事を務めております長尾でございます。
本日は、このような機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
平成31年度の診療報酬改定につきまして、地域の健保組合の立場から意見を述べさせていただきます。
まず、私ども健保組合をめぐる環境ですが、高齢化や医療の高度化等に伴いまして、経済成長を上回る医療費の伸び、あるいは高齢者医療制度に対する拠出金の増大などにより、健保組合財政状況は極めて深刻な事態となってございます。
各組合におきましても、安定的な事業運営に向け鋭意、努力をしておりますが、現状は、我々の自助努力をはるかに超える水準に至っております。
平成30年度の予算集計によりますと、健保組合全体で1350億円強の経常赤字という状態に陥っておりまして、赤字組合は全健保組合の6割を超える状況になっております。
私ども東京都内の588の健保組合におきましても、6割を超える353組合が経常赤字という状況でございまして、加えて規模の大きな2つの健保組合が相次いで解散を決めるという事態にも至っております。
さらに、団塊の世代が75歳以上となる2025年度に目を向けますと、国民の約2割が後期高齢者となることが見込まれておりますので、さまざまな医療費適正化策について大胆な見直しを進めていかない限り、将来にわたって国民皆保険制度を堅持していくことは難しいと言わざるを得ないと考えております。
このような状況の中、昨年12月の2019年度、政府予算編成過程におきまして、2019年10月の消費税率引き上げに伴う診療報酬及び薬価等の改定率が決定されました。今後は、公表された改定率を踏まえ、診療報酬本体における病院・診療所間での財源配分や具体的な点数設定等の議論が進められていくと伺っております。
これを踏まえ、我々健保組合、また患者の視点から特に重要と考える事柄に関し、数点意見を申し上げます。
まず、総論でございますが、そもそも診療報酬は法令上非課税とされていますけれども、診療報酬に消費税対応分が上乗せ補てんされ、最終的に国民、患者、保険者が負担をしていることについて、国民には余り知られていないのではないかと感じております。したがいまして、まずは制度をしっかり周知し、国民、患者に理解を得ていくことが必要ではないかと考えてございます。
2点目に、具体的議論に当たりまして、前回の平成26年4月消費税引き上げに伴う診療報酬による補てん状況を見ますと、一般診療所の補てん超過と病院の補てん不足のように、医療機関の間で補てん率に大きなばらつきがあること。さらに、精神科病院の補てん超過と特定機能病院の補てん不足のように、病院の診療科、入院料別でも補てん率に大きなばらつきが生じております。
医療機関や患者ごとに負担の不公平が生じないよう、消費税の補てんのばらつきを極力抑える適切な財源配分、配点を行うことが必要と考えます。
第3に、2019年10月の改定に当たりましては、前回同様、基本診療料に点数を上乗せすることを中心に対応し、個別項目については補完的に上乗せすることとされましたが、患者の視点から見ますと、本来は患者が受けた個別の診療行為に直接対応する消費税分を負担することが基本的な考え方ではないかと理解しております。
初診・再診料等の基本診療料を中心に配点した場合、受ける診療行為がそれぞれ異なる患者の納得と理解を得られるかどうかの疑問、懸念がございます。
特に患者にとりましては、初診・再診料は医療機関で算定される回数が最も多いだけに、わずかな点数の引き上げも患者の生活に大きな影響を与えることが想定されます。このため、初診・再診料を含めた点数設定に当たりましては、患者の視点に基づく丁寧かつ適切な設定を行うとともに、国民に対し、しっかり説明することを強く要望いたします。
あわせて、今後、定期的に補てん状況の調査・検証もよろしくお願いいたします。
第4に、薬価と医療材料価格の改定についてです。消費税引き上げに伴い、適正な補てんを行うため、市場実勢価格をもとに臨時的に薬価、医療材料価格の引き下げを行うことは適切であったと考えております。
ただし、国民、患者の負担軽減の観点から、今回の改定の半年後に控える2020年4月の改定時におきましても適切な引き下げがなされますように、精緻な対応をお願いしたいと思います。
第5として、今回の改定には直接関係しておりませんが、平成30年4月の診療報酬点数の新設から9カ月足らずで凍結されることになりました妊婦加算が昨年末に社会問題になりましたことは、私ども保険者としても大きな関心を持っております。先ほど、患者の視点と申しましたが、妊婦加算設定の本来の趣旨は理解できます。ただし、この問題には加算の算定要件等に患者の視点が欠けていたことが背景にあったと考えております。妊婦ではない患者と同様の診療を受け、特に必要な配慮もされないまま初診料や再診料に妊婦加算が上積みされることは、患者の視点からいたしますと到底納得することができません。早急に見直しをお願いしたいと考える次第でございます。
さらに、こうした状況を見ますと、そのほかにも同じような問題がないのかという疑問が出てまいります。中医協でしっかり検証と検討を行っていただき、その結果、わかりやすく国民に示していただくことが公的医療保険の運営に対する信頼につながると考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
以上でございます。ありがとうございました。
○田辺会長
ありがとうございました。
続いて、2番目の方、よろしくお願いいたします。
○意見表明者
公益社団法人東京都医師会理事の蓮沼剛と申します。東京都内で無床診療所を開設しております。
本日は、診療所の立場を中心に意見を表明させていただきます。
医療機関等の仕入れにかかわる消費税負担について、これまで医療機関種別ごとにばらつきはあるものの、マクロではおおむね補てんされているとの説明でした。ところが、昨年7月に平成26年度対応分は全体でも補てんが不足していたことが明らかになりました。非常に大きな衝撃であり、中医協で議論されているほかのデータに対する信頼性も揺らいでいます。
本日は、3点について要望と意見を述べさせていただきます。
第1に、今回、消費税率が8%に引き上げられた平成26年度の消費税対応分も含めて、一度リセットして是正されるとのことですが、この間に生じた補てん不足分の対応はされず、国としての検証が遅きに失した感じは否めません。
今後、これまでの通常のスケジュールにこだわらず、よりスピードアップして検証を行えるよう、手法、体制の見直しが必要と考えます。
第2に、診療所ではなかなか個別に補てん不足を計算できる状態にありません。補てん状況調査、その結果の補てん率を発表される際には、どのようなプロセスで調査、分析されたのか、納得しやすい形でお示しいただくよう要望したいと思います。
第3に、今回、基本診療料以外の個別項目への補てんは見送られましたが、改めて、個別項目に対する補てんに対し、反対を表明します。
我が国においては、安全性、有効性が確認された医療は公的保険に収載されます。これに対応して、診療報酬項目も改定のたびに進化し、創設されるものもあれば廃止されるものもあります。また、個別項目は多岐にわたるため、個別項目への補てんは複雑になり過ぎますし、必ずしもばらつきを解消することにはつながらないと考えております。初・再診料という基本的な診療に対して補てんを行い、精緻化を追求すべきです。
そのほかとして、前回診療報酬改定のことについて言及したいと思います。
平成30年度改定の特筆すべき点は、基本診療料、初診料・再診料の引き上げは行われなかったが、複数の画期的な加算が基本診療料に追加されたことであると考えています。
一つは、かかりつけ機能を有する医療機関に対する機能強化加算で、次に、小児科外来診療料と小児かかりつけ診療料における小児抗菌薬適正使用支援加算、そして凍結されてしまった妊婦加算です。
妊婦加算の凍結は大変残念なことでありますが、今後の我が国の少子化対策、子育て支援策のための真に適切な妊婦及び母児に対する支援策の構築が望まれます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
続いて、3番目の方、よろしくお願いいたします。
○意見表明者
電機連合で中央執行委員を務めております山中と申します。本日は、このような機会をいただき、まことにありがとうございます。
消費税の引き上げに伴う診療報酬改定に対し、主に保険料を支払う被保険者、患者の立場から意見を申し述べさせていただきたいと思います。
初めに申し上げたいことは、医療は非課税とされておりますが、多くの患者にとってこの消費税引き上げに伴う診療報酬改定は、率直に言ってなじみの薄いものであると思われる点です。しかし、医療費は今後も増大し続けることが見込まれており、国民一人一人が自分事としてこの問題に関心を持つことが、まず何より重要だと考えています。
こうした観点からは、改定の前後を問わず、繰り返し国民に対してわかりやすく説明するなど、周知を徹底していただきたいと思っております。
十分な説明のないままに医療の単価が上がることによって、医療保険制度に対する国民の不信を生まぬよう、適切な対応をお願いしたいと思います。
次に、労働者の目線から申し上げたいと思います。
私たち働く者は、被保険者として保険料という形で医療保険財政を支えておりますので、誰もが負担能力に応じた負担で利用できる医療保険制度が将来にわたって維持されることが最も重要だと思います。
こうした観点から、医療の効率化や医療提供体制の整備が欠かせないのと同様に、今回の消費税引き上げに伴う診療報酬改定においても、高額な医療機器の購入などによって損税が発生する病院を中心に、必要十分な補てんがなされることを望みます。
平成28年度の補てん状況把握結果を見ますと、補てん率には明らかなばらつきが生じていることがわかります。各医療機関の補てん率が可能な限り100%に近づくよう、丁寧な作業と検証をお願いいたします。
また、問題が生じた場合は、随時、その方法の改善を求めたいと思います。
最後に、1つ目の意見とも関連して、繰り返しとなりますが、国民にとって診療報酬改定は身近であるにもかかわらず、十分な知識を得る機会が少ないと思っております。そんな中、診療明細書は患者が医療の単価を知り、関心を持つための重要なツールとなっております。
診療明細書を保存していれば、診療報酬改定前後の単価の変化に気づく機会もあるかもしれません。こうした観点からも、厚生労働省として保険者等とも連携しながら、診療明細書のさらなる活用を促す周知啓発に一層の力を注いでいただきたいと思いますし、例外なく全ての医療機関における診療明細書の無料発行に向けて、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
続いて、4番目の方、よろしくお願いいたします。
○意見表明者
青梅市立総合病院の病院事業管理者を務める原と申します。このような機会をお与えいただきまして、感謝いたします。
医療機関、とりわけ病院の消費税負担とその補てんに関して意見を述べさせていただきたいと思います。
医療サービスは非課税取引ですが、病院が薬剤や医療機器等を業者から仕入れる際には、消費税がかかっており、この消費税は控除対象外消費税、損税と言われ、病院の大きなコストとなっております。
消費税は、もともと消費者が負担すべきものであり、事業者に負担を求めるものではありません。したがって、この控除対象外消費税は、適切に過不足なく補てんされるべきと考えられます。
平成元年の消費税導入以来、この補てんは診療報酬に上乗せする方法で行われてまいりましたが、しかし、5%までの上乗せ分は診療報酬改定が繰り返されるうちに曖昧になってまいりました。
そこで、平成26年度に行われた5%から8%の引き上げの際に、基本診療料と基本調剤料に限定して上乗せする方法に変更され、その補てん状況は当時の調査結果ではマクロでほぼ100%であると報告されておりました。
ところが、平成7年、以前の補てん率調査結果に誤りがあり、病院の実際の補てん率は85%前後であったと報告されました。全国自治体病院協議会がこの補てん率を使って計算いたしますと、平成26、27、28年度の3年間の自治体病院での補てん不足額合計は400億円以上にのぼると推計されました。これでは、病院の経営が年々苦しくなるのは当然であります。このままでは、地域医療の提供にも支障が生じる可能性がございます。
以上より、今回の10%の引き上げに際しましては、的確に補てんできるよう、その方法の精緻化が強く期待され、検討されてまいりました。
その結果、昨年11月21日に公表されたシミュレーションによれば、平成28年度の補てん状況は、平成7年発表では病院が85%であったものが新しい方法で100.6%、診療所は111.2%が99.8%、特定機能病院は61.7%が102.5%になり、それぞれ100%に近づき、著明に改善を示しております。この新しい補てん方法は、一定の評価ができるものと考えております。
一方、この数値は全体の平均値であって、個々の病院が100%の補てん状況になっていることを示すものではありません。精緻な補てんの詳細とともに、早期に個々の病院のシミュレーションの状況がわかる資料の提出をお願いしたいと思います。
さらに、改定後はできるだけ早期に補てんの実態を評価し、不十分な点があれば可及的速やかに改善の方策を検討していただきたいと思います。
最後に、今後も消費税の引き上げは続くと推測されます。また、国が推進する医療機能の分化において、高度急性期病院では医療技術の進歩等に対応するため、高額医療機器の購入等の設備投資も増加すると考えられ、補てんされない消費税負担のばらつきは一層大きくなると想像されます。
今回は、平成31年度税制改正大綱での特別償却の上乗せや、平成31年度予算での医療ICT化促進基金の創設、地域医療介護総合確保基金の医療分の積み増しなどは加わりましたが、個々の病院にどの程度の恩恵があるかは定かではありません。
今後、病院機能の多様化はさらに進むと推測され、診療報酬改定での対応には限界があると考えられます。個々の病院に負担が生じることがないよう、診療報酬でのより精緻な補てんの仕組みとともに、その他の方策も引き続き真剣に検討を続けていただきたいと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、続いて5番目の方、報告をよろしくお願いいたします。
○意見表明者
大部と申します。ふだんは日本女子大学で助教の仕事をしている者です。このたびは意見発表の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私は、2つの病気を持つ患者です。一つは下垂体機能低下症という指定難病、もう一つは特発性過眠症という慢性疾患です。
前者は、ホルモンの分泌に関係して疲れやすさなどを引き起こす病気です。もう一つは、睡眠発作というあらがえない眠りに襲われる病気です。
本日は、一人の働く患者の立場から、3点意見を述べます。
1点目は、指定難病以外の疾患に対する医療費負担の軽減と説明についてです。私の場合、指定難病の薬は今、薬価が7.3円なのですけれども、こちらは1割負担。慢性疾患の薬については薬価が403.1円、これが3割負担になっています。どちらも、いわゆるジェネリック医薬品はございません。
費用負担の問題となっているのは後者のほうで、患者負担は1カ月で約1万円です。これは私にとって高額なのですけれども、睡眠発作に対するこの薬は私の生活の質の維持には不可欠なものです。けれども、今、例えばこの費用負担がずっと続くとすれば、私の今の仕事はいわゆる有期雇用なので、次の仕事がなければ薬を買い続けられないかもしれないという不安があります。
また、患者仲間の中には、違う病気なのですけれども、痛みなどから就労がそもそも難しく、支払いの問題から、自分に合った受療が難しいという人もいます。
低所得と病気との関連性を御考慮の上、指定難病とは別の基準から慢性疾患の患者の医療費負担軽減をぜひ御検討願います。
なお、今回の診療報酬改定は、消費税率アップに伴うものと伺っています。10月以降、これまでと同じお薬なのに金額が違うとなると、非課税なのになぜと驚く方もいらっしゃるかもしれません。診療明細書を患者が理解しやすい内容で記載し、発行するなど、医療を受けた全ての人に対して支払いをわかりやすく説明する仕組みを御検討いただけますと幸いです。
2点目は、かかりつけ薬局、薬剤師のさらなる推進についてです。
さきの診療報酬改定において、かかりつけ薬局の服薬指導の評価や要件の見直し等が行われたと伺いました。かかりつけ薬剤師は患者の安心・安全な日常生活を支えるとても重要な存在だと考えています。しかし、例えば私の周りの患者の中には、そもそもかかりつけ薬剤師・薬局自体を知らないという人も複数います。
まず最初に、患者を含め国民全体にかかりつけ薬剤師・薬局の周知がもっと必要であると感じています。
また、経験談にはなりますが、以前、私自身がかかりつけ薬局について近所の薬局で相談をした際に、薬剤師の方から、あなたは本当にこの薬局にずっと通い続けますよねと何度も尋ねられました。私の薬は、その地域で私以外に使う人がいないと言うのです。そうしますと、私が来なくなるとその薬は薬局にとって在庫となるから困ると言われました。私はその話を聞いて、かかりつけを諦めています。自分の職業柄、引っ越す可能性が十分にあったからです。
私の職業以外にも、引っ越しや異動の多い仕事は世の中に複数あるはずですので、同じような問題を経験した患者はほかにもいるかもしれません。
この問題を解決することを考えたときに、薬剤師や薬局に過度の負担にならないように理想を実現していくといった仕組みもあわせて御検討いただくと、結果的には、患者はもっとかかりつけ薬剤師・薬局を持ちやすくなると考えています。
3点目は、今回の改定に直接関係するかはわからないのですけれども、オンライン調剤を含む医療のICT化の推進についてです。昨年の夏、オンライン服薬指導が始まったということをニュースで知りました。医療のICT化が進めば、移動の難しい高齢者だけではなくて、私みたいに疲れやすく、また睡眠発作の危険があるような患者や働きながら治療している患者、さきにお話しした強い痛みを持つ患者など、みずからの身体状況、生活に合わせて途切れることなく治療を続けられるのではないかと大きな期待を持っています。
オンライン服薬指導の利用条件は厳しいと伺っておりますが、地理的な条件だけではなく、患者がみずからの生活に合わせて医療にアクセスすることができるように、ぜひ御検討いただければと思います。
私の意見は以上です。御清聴ありがとうございました。
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの5名の方からの御意見に対しまして、委員の方から御質問等をお願いしたいと思います。
なお、本日の公聴会は一般の方々から御意見をお聞きして、今後の中医協での審議の参考とすることを趣旨としております。委員におかれましては、本日はいただいた御意見に対する確認や質問のみとしていただき、委員からの意見表明、それから反論等につきましてはお控えいただくようお願いいたします。
それでは、ただいまの5名の方の御意見に対しまして、御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
間宮委員、よろしくお願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
最初の健康保険組合の方の質問なのですけれども、妊婦加算の問題も含めて、患者の視点とずれているという御指摘があったと思います。それがほかにもないかどうかの検証が必要ということですが、健康保険組合として、被保険者に医療の内容について理解してもらう方法は何か検討されたことはありますでしょうか。
○田辺会長
それでは、よろしくお願いいたします。
○意見表明者
御質問の趣旨に沿っているかどうかわかりませんが、まず、私自身、健保の立場ということでお答えさせていただきます。
保険事業も含めてということかと思いますけれども、私どもの被保険者あるいは加入者に対して、現在の制度がどうなっているかを我々自身のためにもしっかりとPRしていくこと自体は極めて重要なことであると考えております。
その中で、今の医療制度がどうなっているのか、あるいは消費税率の反映がどういう仕組みになっているのかは、先ほども意見としては述べさせていただきましたけれども、我々自身の取り組みとしても進めていかなければならないということだと感じておりますので、私個人の疑問もございますが、妊婦加算の話がほかにもあるかどうかは、こういう中医協の場で議論していただきたいのですけれども、その内容も含めて、例えば私が聞いたこと、学んだことにつきまして、健保組合内の被保険者と加入者に対して、一方の立場として責任を持って周知していくということは今後とも継続していきたいと考えております。現在もできる範囲で継続中でございます。
以上でございますが、よろしいでしょうか。
○間宮委員
ありがとうございます。
○田辺会長
それでは、幸野委員、よろしくお願いいたします。
○幸野委員
今の質問にも関連するのですが、2番目に発表がありました蓮沼様、診療所を経営されているということですが、我々患者の立場から見ますと妊婦加算と同様のとして、平成30年度診療報酬改定において、「機能強化加算」という加算が新設されました。これについて、妊婦ではない患者と同様の診療にかかっているにもかかわらず、平成30年4月から、初診料に800円上乗せさるわけですが、これについて患者から、これはなぜ4月から上乗せされるようになったのですかというような問い合わせ等はありましたでしょうか。
また、あった場合、どのようなご説明をされたのか、お聞きしたいと思います。
○田辺会長
それでは、よろしくお願いいたします。
○意見表明者
私自身も、この加算を算定しております。かかりつけ機能を有するということで、もし患者さんから質問があった場合は説明をさせていただくつもりですが、現時点で私の知る限り、苦情等はございません。
よろしいでしょうか。
○幸野委員
一件もないのですか。
○意見表明者
私の知る限りでは一件もないです。
それよりも、別の話になりますけれども、多剤を処方している人で2剤以上減らした場合に点数が高くなりますが、それは御理解いただけない場合がかなり多いです。懇切丁寧に説明しております。
以上です。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
5番目の大部さんに質問なのですが、かかりつけ薬剤師をまず知らない。その周知が必要だということですけれども、大部さんが感じるかかりつけ薬剤師の機能というか、こういうところが充実していればもっといいのではないかということ。
それから、オンライン調剤やオンライン服薬指導というお話がありましたが、オンライン診療については、患者が出かけていくということで言えば同じようなことだと思うのですけれども、どのように感じていらっしゃるか、そのあたりをお聞きしたいのです。
○田辺会長
それでは、よろしくお願いいたします。
○意見表明者
御質問ありがとうございます。
1点目が、私が思うかかりつけ薬剤師の機能ということでいいでしょうか。
私に関しては、2つの病気を持っているというところで、例えば薬の飲み合わせがどうなのかとか、私自身で気になる点が幾つかありまして、その点についてなかなか大学病院の先生にすぐに聞くわけにはまいりませんので、かかりつけ薬剤師という、人間としての関係性がある程度できた薬剤師に聞くことができるとなれば、安心はより高まると考えています。
ほかにも、何か症状が起こるというのは、日常生活の中で何か気になる症状が起こるということなので、いつ起こるかはわからないのですけれども、そういったときにも、ある程度、こういう症状が薬の副作用かどうかということを尋ねれば、かかりつけ薬剤師でなくても答えてくれる薬剤師もいらっしゃるので、それがより身近な存在であればいいなと私は思っています。
2点目なのですけれども、オンライン調剤を含む医療のICT化と言ってしまったので、オンライン診療というところを余り強調はしなかったのですが、患者は医療を受けたりお薬をもらうまでに、移動する負担や待合室でずっと待つ負担という、1日の中でのほかの予定を押しのけてまで、通院で行って戻ってくるまでの時間をかなり要しています。
その中で、少しでも患者の時間的な負担や身体的、場合によっては心理的な負担を減らせるのではないかということで、オンライン診療についても同じように大きな期待を寄せています。
回答はこれでよろしかったでしょうか。
○間宮委員
ありがとうございます。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、引き続き、後半の5名の意見表明者から御発言をお願いしたいと存じます。
最初の方、よろしくお願いいたします。
○意見表明者
私は、東京都大田区蒲田で昭和62年から歯科医院を開業している稲葉と申します。
零細な医療機関が数多くを占める歯科診療所では、収入の減少、患者数の減少、経費の増加、スタッフの確保の困難、衛生士を含む人件費の高騰といったことに歯科医院経営は大変影響を受けて、苦労しております。
これに対して、歯科医院のほうでは、例えば診療時間を延長したり、休日診療を行ったりということを都内で行ってきましたが、すごく珍しいという話ではなく、標準的なことになってきたような気がします。
本年10月から消費税引き上げということになりますけれども、さらにこのことは、歯科医院の経営基盤に影響をもたらすと考えております。
平成25年から、政府と日銀は2%のインフレ対策を目標にしてきました。一億総活躍プランでは、最低賃金を毎年3%ずつ上げて、1,000円にすることを目標に施策が進んでおります。このような流れは、歯科医院の収入増加があって初めて可能なことでございますけれども、現状では、経営体力を消耗させるだけのように感じております。
消費税増税の歯科医院の影響は2点あるかと思います。一点は控除対象外消費税で、もう一点は受診抑制に対する問題だと思います。
以前から、全国消費実態調査などでは、歯科は景気動向に非常に左右されやすいとされてきました。要するに、景気の浮き沈みによって国民の方々の歯科消費額が変化するということです。
また、ここ数年の景気動向から、患者さんの経済的理由による受診中断がふえているように感じております。消費税増により景気後退が起こらないように、国は数々の施策を行う予定であるとは思いますけれども、国民の消費は少なからず落ち込んでいくだろうと予想されています。虫歯の治療や入れ歯の治療といったいわゆる従来型の歯科治療から、私たち歯科医師はこういった病気を慢性疾患と捉えて、口腔機能管理という形で重点を置いた歯科治療にシフトしてきているわけですけれども、このことについては、少しずつ国民の皆様の理解も得てきました。
ところが、いわゆる慢性疾患として、歯科は投薬治療を選択肢としていないものですから、景気後退時には受診意欲が非常に影響を起こしやすいのではないかと心配をしております。
そして、控除対象外消費税については、直接に歯科医院の経営が影響を受けます。特に都心部での開業形態は7割強が賃貸テナント開業であると歯科医師会の報告にもあります。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えまして、家賃の上昇に加え、これにかかわる消費税の負担というのは医院経営に大変影響を与えるところでございます。
また、30年度の診療報酬改定において、院内感染予防対策の充実としての施設基準が求められました。これに対して、滅菌器や歯科の切削器具を補充しておるところでございますが、こういったことは今後も経費としてかかってきてござます。
安心で安全な歯科医療を充実するということで、施設基準が設けられておりますけれども、これに対しては、明細書発行のレセコンの整備、AEDや歯科用吸引装置など、その他もろもろの機材購入が施設基準のために設定されております。
さらに、在宅医療推進という中では、歯科の場合、手ぶらでは行けませんので、歯科用のポータブルユニット、歯科用のポータブルバキューム、歯科用のポータブルエックス線装置といった高額な医療機器を準備しなければならない状況にあります。これらは、私たち開業している者だけではなく、これから新規に開業してくる若い歯科医師に対しても大きな負担になってくるであろうと思います。
歯科機器以外にも、歯科の材料やゴム手袋、患者のエプロン、枕カバーなどを全て毎回取りかえるわけですけれども、控除対象外消費税の負担がこういったことに影響を与えていくのだろうと推察できます。
28年度の歯科診療所の調査では、92.3%というのが補てん状況で、100%にはなっておりません。引き上げ分がマイナスのまま、今でも残っているということです。
平成31年度の診療報酬改定に当たっては、控除対象外消費税について適切に検証の上、診療報酬に反映していただきたいと思います。
また、経時的な検証を行って、診療報酬の補てん分と控除対象外消費税との間に差異が生じる場合、適切に対応していただくことと、その財源を別に用意していただければ、歯科診療所の経営は安定に向かうのではないかと思います。
なお、改定に当たりましては、歯科の場合、個々の算定項目への財源の振り分けはなかなか困難であると思います。基本診療料、基本診療料が含まれる歯科訪問診療料の2点を同時に引き上げていただきたいと思います。
歯科の特性を踏まえた診療報酬改定の検討を期待したいと思います。よろしくお願いします。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、続いて2番目の方、よろしくお願いいたします。
○意見表明者
東京都商工会連合会で専務理事をしております傳田と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私どもは、多摩地域に21商工会、島嶼地域に6つの商工会、合わせて27の商工会、会員約3万人を支援しております経済団体でございます。
本題に入ります前に、中小企業を支援している立場から、昨今の中小企業を取り巻く情勢につきまして、一言申し上げます。
大企業を中心に、景気回復が続いておりますが、昨日の今月の月例経済報告で景気回復が6年2カ月ということで、戦後最長となり、来年の東京オリンピック・パラリンピックまでは景気回復が持続するのではないかといわれております。
しかしながら、特に私ども中小・小規模企業の現場では、この景気回復の実感が伴っていないというのが実情でございます。本年10月には消費税率10%への引き上げ、軽減税率の導入が予定されております。さらに、最低賃金も東京では1,000円を超えていくのではないかと思われます。人手不足、働き方改革など、中小・小規模企業の経営者にとっては非常に厳しい状況がこれからも続いていくと思っております。
そのような中で、協会けんぽの平均保険料率は10%と高い水準にございます。保険料を負担する事業主や加入者の負担は限界に達しているものと思っております。
さらに、2022年には団塊の世代が後期高齢者となり始めるなど、今後、医療需要はますます増大していくことから、医療費の増加が少しでも抑えられるよう、効率的かつ効果的な医療サービスの仕組みを構築していただくことが急務であると思っております。
2018年の診療報酬改定では、残念ながら診療報酬本体の改定率がプラスとなりました。次回の2020年度診療報酬改定におきましては、医療費の抑制につながる大胆な見直しを行っていただくことを期待しております。
また、医薬品等にかかる費用対効果評価制度について、2019年度からの制度化を目指して、この中医協で議論が行われていると聞いております。今後、保険が適用される高額薬剤がふえていくことは十分に考えられます。こうした中で、この制度は非常に重要な制度であると認識しておりますので、予定どおりスタートさせていただくよう、強くお願い申し上げます。
前置きが大変長くなりまして、申しわけございません。本日のテーマでございます本年10月の消費税率引き上げに伴う診療報酬改定について意見を申し上げます。
医療機関等における消費税負担については、医療が非課税であるために発生する医療機関等における損税への対応として、診療報酬に消費税相当分を上乗せして補てんする仕組みであるということを承知しております。これも医療機関等への対応としては理解できます。
しかしながら、患者サイドからすると、医療は政策的な配慮から非課税であり、消費税の負担はないと思っております。それにもかかわらず、実は気づかないうちに、診療報酬で消費税相当分を負担している。このことを、一体どれだけの国民がしっかりと理解できているのかは、甚だ疑問でございます。
今回の改定では、初診料や再診料など、いわゆる基本診療料への点数上乗せを主とした対応を行うとした上で、補てん不足や医療機関種別ごとの補てん率のばらつきができる限り生じないよう、従来の配点方法をより精緻に見直す方向であると承知してございます。
こうした方向性については、配点方法の見直しに係るシミュレーションまで行った上で決められたものであり、方向性自体に異論はございませんが、結果として、基本診療料に消費税率の引き上げ率2%を超えて引き上げられることなども、もう少し私ども保険者や患者視点での議論がなされてもよかったのではないかと思ってございます。
先ほどからずっと出ておりますけれども、妊婦加算についてもそうでございますが、医療にかかる消費税について、先ほど申し上げたように、国民の理解が不十分であると感じております。良質な医療サービスが保証されて、私どもが健康な生活を維持するためにも、医療費について国民の理解の醸成を図るとともに、国民の納得が得られるような透明で公平なわかりやすい仕組みをつくっていただきますよう、引き続き検討を行っていただければと思ってございます。
私の意見は以上でございます。ありがとうございました。
○田辺会長
ありがとうございました。
続いて、3番目の方、よろしくお願い申し上げます。
○意見表明者
薬剤師の山田と申します。本日は、このような機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。
私は八王子で小さな薬局を経営しております。25年ほど前に開業いたしました。以来、地域に根差すためにどうしたらいいのか、そんなことを日々、スタッフともいろいろと議論しながら、現在に至っております。
在宅医療に関しましても、早期の段階から取り組んでおりまして、現在、在宅で見ている患者さんの親御さんも見ていた。親子2代にわたっておつき合いをさせていただいているようなところもございます。
また、国の国策であります後発医薬品の使用促進に関しましても、積極的に取り組んでおります。国で掲げております80%という数字は、去年の早い段階で私どもが達成しておりまして、今、それ以上の数字を目指してスタッフ一同で積極的に取り組んでいる。
あとは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目の前にしまして、アンチ・ドーピングの防止活動や対象選手のサポートなども積極的に行っている。町の中の小さな薬局でございますが、その薬局の立場として、本日、御意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、消費税の補てん状況の検証調査についてですが、前回の消費税8%引き上げに伴う対応では、保険薬局においては補てん不足を懸念しておりましたが、保険薬局での補てん率は88.3%でありました。
次回、10%への引き上げの際には、NDBデータを活用し、補てん不足とならないよう対応する予定と聞いておりますが、昨年11月に公表されました配点方法見直しのシミュレーションでは、保険薬局の補てん率が97.7%となっておりますが、施設種別の中では最も低く、非常に不安が残ります。
補てん状況の検証、調査などの実施時期については、今後、検討されることになるかと思いますが、速やかな調査、検討を行っていただき、補てん不足が確認されるようでありましたらば、速やかな是正を行うよう、要望をしたいと考えております。
そして、この補てんの状況ですが、やはり薬局間で補てん状況のばらつきがあるかと思います。今回の消費税対応では、基本的に調剤のほうでは、調剤基本料において対応が行われると聞いております。
一方で、調剤基本料以外にも加算で対応される部分があるかと思いますが、加算の算定状況は薬局ごとにさまざまで、全ての薬局で公平な補てんをするというのは非常に難しい問題かと思います。マクロ的な補てん不足とともに、個々の薬局で補てん不足にどう対応するかは今後の課題でありますが、消費税の引き上げにより、こうした影響は大きくなると考えております。
加算で対応を図るといたしましても、薬局間で補てんの格差が生まれないような方策を検討していただきたい。
次に、薬価の改定についてです。今回、消費税対応に係る薬価改定は、市場実勢価格による引き下げと消費税対応が同時に行われると聞いております。市場実勢価格による引き下げの影響で、消費税分の引き上げを含めても薬価が下がる薬剤が多くあると予想され、我々の仲間であります小さな薬局からは、在庫価値が大きく下がる、また逆ざやが発生するのではといった懸念や不安の声がございます。
そして、本年10月の消費税改定後、半年で2020年改定を迎えることになりまして、これは薬局の経営、薬剤購入の価格交渉にも大きな負担になるということがございますので、ぜひ負担が少なくなるような方策を検討していただきたい。そして、今回は消費税対応の薬価改定ということでございますので、これに伴って、1次取引などで便乗値上げ等が起こらないよう、こういうことが起こりますと、どうしてもまた価格交渉が長引いて、それが薬局の経営の負担になることもあるかと思います。適正な流通の確保をお願いしたいということでございます。
私のほうからは、以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
引き続きまして、4番目の方、よろしくお願いいたします。
○意見表明者
私は、東京都多摩市で保険年金課長をしております松下と申します。このたびは、このような機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
本日は医療保険者の立場といたしまして、多摩市国民健康保険の状況なども含めて発表させていただきたいと思います。
国民健康保険は国民皆保険の基礎として重要な役割を果たしておりますが、構造的な課題を抱えております。決算補てん等を目的とする多額の法定外一般会計繰り入れが行われる状況にあり、多摩市におきましても、毎年10億円を超える法定外一般会計繰り入れを行っている状況が続いております。
多摩市では、財政の健全化を図るとともに、保険者機能を強化し、国民健康保険の安定的な運営を目指すため、平成30年度から平成35年度までを期間とする第2期多摩市国民健康保険の運営に関する指針を昨年11月に策定しました。
今後、この指針に示す被保険者の健康の保持・増進、医療費の適正給付、財源の確保の3項目を推進し、保険者機能の強化を図っていくとしております。
被保険者の健康の保持・増進では、糖尿病など生活習慣に関する疾病にかかる医療費が高額となることから、糖尿病重症化予防としてかかりつけ医・薬剤師・管理栄養士などの多職種連携による新たな仕組みによる取り組み。医療費の適正給付では、レセプト点検の強化、ジェネリック医薬品の利用促進などの取り組み。財源の確保では、納税環境の整備、収納率向上対策。保険税率につきましては、対前年度比4%増を基本といたしまして、法定外一般会計につきましても、今後、15年間で削減していくなどの取り組みを進めている状況でございます。
今回の診療報酬改定は、消費税引き上げに伴い、医療機関の消費税負担分を上乗せするものと理解しており、それ自体は適切になされるべきだと考えております。しかし、前回の消費税引き上げの際、余り精緻な配点がされなかったとも聞いております。今回の改定におきましては、ぜひ過剰に点数をつけてしまうことや、逆に不足することのないよう、しっかりとした計算の上で適切に設定していただき、患者や保険者に過剰な負担とならないようお願いいたします。
また、診療報酬に消費税分が含まれているということを知らない方がほとんどかと思われます。本年10月からどのように価格が変わるのか、患者にわかりやすく説明していただきますよう、厚生労働省にはお願いしたいと思います。
保険者の財政状況や患者負担も考慮した改定としていただくことを要望して、私の発表とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、最後の方、よろしくお願いいたします。
○意見表明者
東京都看護協会立の訪問介護ステーションで所長をしております竹内と申します。このたびは、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、訪問看護ステーションの管理者としての立場から、次の3つの内容について意見を述べます。
1つ目は、訪問看護を取り巻く最近の状況について。2つ目は、訪問看護ステーションの運営における経費の実際。3つ目は、消費税率の引き上げに関し、私たち現場からの意見です。
まず、1つ目の訪問看護ステーションを取り巻く最近の状況です。現在、在宅医療の推進が重要な課題であることは言うまでもありません。全国的に訪問看護ステーションの数はふえ続けておりますが、それ以上の訪問看護のニーズがありますので、協会全体としてはまだまだ人材不足であり、人材の確保が課題となっております。
在宅医療のニーズは高まっておりますが、特に今回、医療保険での訪問看護においてどのような利用者がふえているかと申しますと、がん末期の方の在宅みとり、医療ケアの必要な小児、精神科の入院期間短縮に伴いまして、精神科訪問看護の利用者がふえているのが現状です。
訪問看護の場も、自宅はもちろんですが、高齢者向けの施設や精神障害をお持ちの方のグループホームなど、多岐にわたってきております。
2つ目に、ステーションの経営の実際についてです。ステーションの経費で最も多くを占めるのは人件費で、スタッフの給与は非課税ではありますが、それ以外にもさまざまなことに経費がかかり、消費税増税により支出がふえる見込みです。具体的なところですと、まず、事務所を構える必要がありますので、家賃がかかります。また、地域の特性に応じてですが、移動手段として自転車、電動自転車、原付バイク、自動車などを使って訪問しますので、これらの車両の購入や駐車場の確保のための費用もかかります。
訪問看護実施の際には、細かいところではあるのですが、制服や体温計、血圧計、パルスオキシメーター、ケアに必要なエプロンやグローブなどもろもろかかり、そして一部の衛生材料も予備として購入し、持ち歩いています。小児の訪問をする際には、小児用のパルスオキシメーターや聴診器、在宅でおみとりの後には死後の処置をしますので、その際に使う物品も購入しております。
また、近年は業務の効率化やスムーズな多職種連携のためにICT化を積極的に導入しております。看護記録ソフト、レセプトのソフト、携帯電話、スタッフの人数分程度のパソコン、タブレット端末などの購入やシステムの更新費、月々の通信費用もかかり、これらもふえる見込みです。
そして、訪問看護は質の高さを求められる分野です。利用者のお宅に入ってケアをしますので、技術や知識だけではなく、誠実さなどの人間性が求められることから、人材育成を大切にしていますので、研修費等も多くかかります。
最後に、消費税率の引き上げについての意見です。これまで述べましたように、訪問看護ステーションの経営におきましては、10月からの消費税増税に伴い、さまざまな経費がふえる見込みです。事業所によっては相当に負担が大きいところもあると思われます。中医協の中で現在御検討いただいているかと思いますが、現場としては訪問看護ステーションに対しても必要な補てんが十分になされますようお願いしたいと思います。
また、2020年の改定に向けての議論もこれから本格化するかと思いますが、今後に向けての意見も1点、述べさせていただきます。
在宅医療を推進する上では、緊急時の対応を手厚くすることが不可欠ですが、規模が小さいステーションでスタッフの働き方に配慮しながら、かつ手厚い体制を確保するというのは容易なことではございません。全国のより多くの事業所が24時間対応の体制を整え、在宅療養されている方を支えられるよう、ぜひ評価を充実していただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
以上です。ありがとうございました。
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの5名の方の御意見に対しまして、委員から御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
それでは、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
4番目の方に御質問いたします。
先ほど、間宮委員が保険者側の方にお話しされたことと非常に似ていますけれども、例えば今回の消費税率引き上げに伴う改定とか、消費税そのものの仕組み、これが診療報酬に上乗せされているということです。あるいは、もともと保険上の仕組みとして、一部負担を患者さんにお願いするということで、保険者の立場としてどのような形で国民の方々に理解していただけるか。それに応じて御苦労あるいは取り組みなどがあったら教えていただきたいと思います。
○田辺会長
それでは、よろしくお願いいたします。
○意見表明者
保険者といたしまして、診療報酬部分に消費税相当分が上乗せされているということについて、特に被保険者の方に対してこれまで説明をしてきたかというと、してきていないということが現状かと思っております。
今後、その部分について、どのように被保険者あるいは市民の方に説明していくか。これはまた内部で検討させていただければと考えております。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、御質問等もないようでございますので、質疑応答はここで終了とさせていただきたいと存じます。
皆様方の貴重な御意見をお聞かせいただき、本当にどうもありがとうございました。
10名の方々から、大変貴重な御意見を頂戴いたしました。私なりに全体を簡単にまとめさせていただきたいと存じます。
まず、第1には、今回の消費税対応ということで、基本的には基本診療料、その他、基本的な部分のところに上乗せするという形で、個別項目に関しては、できるだけ控えるという対応でございます。こちらに関しましては、おおむね了解をいただけたのではないかと考えているところでございます。
ただ、この対応におきまして、より精緻化して、補てんが100%に近づくようにという御意見をいただいたところでございます。こちらに関しては、丁寧に対応させていただければと思っている次第でございます。
第2番目に、しかしながらマクロとしての補てんは今、シミュレーションで示しましたように、100に近いところはございますけれども、機関ごとのばらつきという問題はどうしても残るところでございます。
このばらつきに関して、できるだけ現状をきちんと把握するということと、このばらつきが公平なものになるようにという御要望をいただいたところでございます。
こちらに関しても、審議において続けてまいりたいと思っている次第でございます。
3番目といたしまして、消費税と診療報酬の間の関係の広報、PRが余りうまくいっていないのではないかという御意見をいただいたところでございます。なかなか考えさせられるところがございますけれども、今後、恐らく中医協、厚生労働省といたしましても、適切な周知を図りまして、国民の御理解をいただけるように積極的なPR等に努めてまいりたいと存じます。
特に、1号側の方からは、診療報酬明細書というところで、消費税というものの数字が患者に対しまして非常に重要な情報であるという御意見をいただいたところでございまして、こちらに関しても今後、議論を続けてまいりたいと思っているところでございます。
4番目に、しかしながら、今回は一応、シミュレーションで100ということをやってはおりますけれども、この補てん状況に対する検証、調査を絶えず行って、それがきちんと早期に皆様方に報告できるようにということと、その乖離が非常に大きい場合には、適切に、できるだけ素早く是正策を考えていってほしいという御意見をいただいたところでございます。こちらに関しましても、今後、その方向で対応してまいりたいと存じます。
その他、さまざまな御意見をいただいたところでございますけれども、私のまとめとしては、以上の4点に集約させていただきたいと思います。
今後、皆様方からいただいた御意見を参考にいたしまして、審議を続けてまいりたいと思います。消費税の精緻化を図り、過不足なく対応ができるようにということを心がけてまいりたいと存じます。
本日は、貴重な御意見を賜り、発表者の皆様方には本当にありがとうございました。深く御礼申し上げるところでございます。
本日いただきました御意見を踏まえて、これから中医協で審議をしていくわけでございますけれども、支払側委員と診療側委員の方からそれぞれ一言御感想をお願いできればと存じます。
支払側からよろしくお願いいたします。
○幸野委員
1号側、支払側委員の幸野でございます。
支払側委員を代表いたしまして、一言申し上げます。
本日は、御多忙の中、当公聴会に御参加いただき、それぞれのお立場から貴重な意見を賜り、誠にありがとうございました。
今回の改定は、今年10月に行われます消費増税に伴うものでありますが、多くの発表者の方の意見にありましたように、非課税とされている診療報酬の中で、各医療機関の控除対象外消費税を診療報酬の中でどう反映させていくかということについては、非常に難しい議論がありましたし、これを国民に説明し、全ての国民の方に納得いただくのは非常に難しいと改めて感じた次第でございます。
しかしながら、中医協の責務といたしましては、各医療機関のばらつきを解消し、国民、患者の皆様に最低限、理解が得られる方法で対応し、しっかりと国民に周知していくことが必要ではないかと思います。
本日いただいた貴重な意見を参考に、答申に向け残された時間をかけて、広く国民の皆様に納得いただけるよう、議論を尽くしていきたいと考えております。
また、本日は消費税以外におきましても、次期診療報酬改定に向けてさまざまな御指摘をいただいたと考えております。ぜひ、今後の議論の参考にさせていただきたいと思います。
本日は本当にありがとうございました。
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、診療側の委員からよろしくお願いいたします。
○松本委員
診療側の委員の松本と申します。
診療側を代表いたしまして、一言述べさせていただきます。
まず、本日の公聴会にこれだけ多くの方々に御参加を賜りまして、本当にありがとうございます。特に10名の方々の御意見は、ありがたく拝聴させていただきました。
今後も、技術料の適切な評価は、診療報酬改定で行っていくほかはありません。
また、医療機関等の仕入れにかかる消費税の負担については、補てんが適切に過不足なく行われているかどうか、厚労省におきましては、今後、しっかりと速やかに調査を行った後に、報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
今回の皆様方の貴重な御意見を参考にいたしまして、今後も中医協委員として、中医協総会等におきまして、しっかりと議論してまいりたいと存じます。
本日は、どうもありがとうございました。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
本日の御意見を踏まえながら、今後の審議を行ってまいりたいと思っているところでございます。
それでは、以上をもちまして、「中央社会保険医療協議会 総会(公聴会)」を閉会させていただきます。
なお、平成31年度診療報酬改定について、御意見等がございましたら、本日のアンケートに御記入いただき、御意見をお出しいただければと存じます。
本日は、お忙しい中、御参加を賜りまして、本当にありがとうございました。どうぞお気をつけてお帰りください。
 

 

(了)
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