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2018年4月11日 中央社会保険医療協議会 総会 第391回議事録

○日時

平成30年4月11日(水)9:58~11:09

 

○場所

グランドアーク半蔵門 富士の間(4階)

○出席者

田辺国昭会長 野口晴子委員 松原由美委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員 中村洋委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 
安部好弘委員
菊池令子専門委員 横地常弘専門委員 丹沢秀樹専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医薬品の薬価収載について
○DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
○最適使用推進ガイドラインについて
○診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」からの報告について

○議事 

 

○田辺会長
 それでは、定刻より若干前でございますけれども、ただいまより、第391回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、丹沢専門委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
 次に、厚生労働省におきまして異動がございましたので、事務局より御紹介をお願いいたします。
 では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○迫井医療課長
 それでは、御紹介させていただきます。
 保険局医療課医療指導監査室長、山内和志でございます。
○山内医療課医療指導監査室長
 山内です。よろしくお願いします。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
 それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
 初めに「医薬品の薬価収載について」「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」を一括して議題といたします。
 まず「医薬品の薬価収載について」ですが、本日は、薬価算定組織の秋下委員長にお越しいただいております。秋下委員長より御説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○秋下委員長
 薬価算定組織の委員長の秋下です。おはようございます。
 私のほうから、今回検討いたしました新医薬品の算定結果について報告いたします。資料は中医協総-1-1をごらんください。
 今回の報告品目は、1ページ目の一覧表にありますとおり、15成分22品目となります。
 それでは、算定内容について御説明いたします。
 1番目は、2~3ページ目のレキサルティ錠です。
 本剤は、統合失調症を効能・効果とする内用薬であり、効能・効果、薬理作用が類似するエビリファイ錠を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、1mg1錠が268円90銭、2mg1錠が509円20銭となりました。
 2番目は、アトーゼット配合錠でございます。資料の4~5ページをごらんください。
 本剤は、高コレステロール血症等を効能・効果とするエゼチミブ及びアトルバスタチンカルシウムの配合剤であることから、新医療用配合剤の特例により算定しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、LD及びHD1錠がどちらも177円となりました。
 3番目は、ネキシウム懸濁用顆粒でございます。資料の6~7ページをごらんください。
 本剤は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍等を効能・効果とする内用薬で、同一組成のネキシウムカプセルを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定しました。
 本剤は、小児に係る用法・用量が含まれていること、比較薬は小児加算を受けていないこと等から、小児加算の5%加算を適用することが妥当と判断しました。その結果、本剤の算定薬価は、10mg1包が80円60銭、20mg1包が140円30銭となりました。
 4番目は、グーフィス錠でございます。資料の8~9ページをごらんください。
 本剤は、慢性便秘症を効能・効果とする内用薬であり、効能・効果、薬理作用が類似するアミティーザカプセルを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、1錠が105円80銭となりました。
 5番目は、リムパーザ錠です。資料の10~11ページをごらんください。
 本剤は、白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法を効能・効果とする内用薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定しました。
 本剤は、DNA修復にかかわるPARP(ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ)を阻害することでDNA損傷を蓄積させ、細胞死を誘導する新規作用機序医薬品であり、臨床試験において無増悪生存期間の統計学的に有意な延長が認められ、臨床的意義があると評価されていることなどを踏まえ、有用性加算(Ⅱ)の5%加算の評価が適当と判断しました。これに加算係数0.2を適用し、1%の補正加算を適用しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、100mg1カプセルが3,996円、150mg1カプセルが5,932円50銭となりました。
 6番目は、シダキュアスギ花粉舌下錠です。資料の12~13ページをごらんください。
 本剤は、スギ花粉症(減感作療法)を効能・効果とする内用薬であり、同一組成のシダトレンスギ花粉舌下液を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定しました。
 本剤は、シダトレンスギ花粉舌下液と比較して、有効性がより高い傾向が認められていることを踏まえ、有用性加算(Ⅱ)の5%加算の評価が適当と判断しました。
 また、本剤は小児を対象とした臨床試験を実施し、小児に係る用法・用量が含まれていること、比較薬は小児加算を受けていないこと等から、小児加算の5%加算を適用することが妥当と判断しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、2,000JAUが57円70銭、5,000JAUが144円10銭となりました。
 7番目は、サチュロ錠です。資料の14~15ページをごらんください。
 本剤は、多剤耐性肺結核を効能・効果とする内用薬であり、効能・効果、剤形等が類似するデルティバ錠を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、1錠が2万1,872円50銭となりました。
 8番目は、イブリーフ静注です。資料の16~17ページをごらんください。
 本剤は、未熟児動脈管開存症を効能・効果とする注射薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、1瓶が1万3,012円となりました。
 9番目は、ファセンラ皮下注です。資料の18~19ページをごらんください。
 本剤は、気管支喘息を効能・効果とする注射薬であり、効能・効果、剤形等が類似するヌーカラ皮下注用を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、35万1,535円となりました。
 10番目は、ベスポンサ点滴静注用です。資料の20~21ページをごらんください。
 本剤は、再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病を効能・効果とする注射薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定しました。
 本剤は、CD22抗原を介して細胞内に取り込まれ、DNA二本鎖を切断する新規作用機序医薬品であり、臨床試験において、血液学的完全寛解率について、既存化学療法に対する本剤の優越性が検証されていることなどを踏まえ、有用性加算(Ⅱ)の10%加算の評価が適当と判断しました。
 また、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることなどから、市場性加算(Ⅰ)に該当し、10%の加算を適用することが適当と判断しました。これらに加算係数0.2を適用し、4%の補正加算を適用しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、1瓶が130万7,092円となりました。
 11番目は、イストダックス点滴静注用です。資料の22~23ページをごらんください。
 本剤は、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫を効能・効果とする注射薬であり、効能・効果、剤形等が類似するジフォルタ注射液を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、1瓶が10万9,753円となりました。
 12番目は、テセントリク点滴静注でございます。資料の24~25ページをごらんください。
 本剤は、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを効能・効果とする注射薬であり、効能・効果、薬理作用等が類似するオプジーボ点滴静注を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、1瓶が62万5,567円となりました。
 13番目は、デュピクセント皮下注です。資料の26~27ページをごらんください。
 本剤は、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎を効能・効果とする注射薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定しました。
 本剤は、アトピー性皮膚炎の病態において重要な役割を担う、IL-4及びIL-13のシグナル伝達を阻害する新規作用機序医薬品であり、臨床試験において、既存の外用薬で効果不十分な中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者の皮膚病変の有意な改善が示されていることなどを踏まえ、有用性加算(Ⅰ)の45%加算の評価が適当と判断しました。これに加算係数0.2を適用し、9%の補正加算を適用しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、1筒が81,640円となりました。
 14番目は、ナルベイン注です。資料の28~29ページをごらんください。
 本剤は、中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛を効能・効果とする注射薬であり、効能・効果、薬理作用等が類似するオキファスト注を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、2mg1mL1管が725円、20mg2mL1管が6,340円となりました。
 最後の15番目は、アレサガテープです。資料の30~31ページをごらんください。
 本剤は、アレルギー性鼻炎を効能・効果とする外用薬であり、効能・効果、用法等が類似するルパフィン錠を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、4mg1枚が67円50銭、8mg1枚が93円10銭となりました。
 以上です。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 引き続き、事務局のほうから補足と「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」の説明をお願いいたします。
 では、薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
 それでは、総-1-2をごらんください。「14日ルールの例外的な取扱いをすることについて(案)」でございます。
 対象品目としては、「アトーゼット配合錠」でございます。この配合錠につきましては、それぞれ単剤におきまして、既に臨床の使用経験があるということですけれども、併用の状態でも1年以上の臨床使用経験があると認められるということで、平成22年の中医協了承に基づきまして、新医薬品に係る処方日数制限を設けないこととしてはどうかという御提案をさせていただくものでございます。
 総-1-2は以上です。
○田辺会長
 では、医療課長、引き続きお願いいたします。
○迫井医療課長
 引き続きまして、総-2「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」でございます。これは従来から行っている話でございますけれども、2点ございます。
 1枚目から2枚目にかけての表は、一定の基準に該当いたします高額な医薬品については、別に出来高で算定するという取り扱いにさせていただく。
 2ページ目の真ん中から下は「3」と書いてございますが、これの医薬品につきましては、類似薬効比較方式に基づいて薬価が設定しておりますので、診断群分類に反映させるといった取り扱いでございます。
 以上でございます。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 総-1-1の10ページのリムパーザ錠なのですけれども、効能・効果は「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」となっております。これは多分、初発のときに白金系の抗悪性腫瘍剤を使って、感受性があったということだと思うのですけれども、再発したときに、この白金系の抗悪性腫瘍剤は使わずに、リムパーザを最初から使うということなのですか。それとも、白金系の抗悪性腫瘍剤を使って、ある程度効果があったときの維持療法として使うのか。使い方としてはどのように使うのでしょうか。
○田辺会長
 では、薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
 お答えします。
 これについては、白金系抗悪性腫瘍剤を1回使って効いたが、また再発してもう一度使って、2回使って効いたという状態での維持療法という形で使うということでございます。
○田辺会長
 よろしゅうございますか。
○ほかはいかがでございましょうか。では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 薬価制度改革後、初の収載ということで確認したい点があるのですが、15品目のうち、原価計算方式で加算がついているものが3つあり、全て開示度が50%以下ということで、加算係数0.2が掛けられているのですが、改革前の営業利益率に掛ける加算と、改革後の全体に掛ける加算とを比較した場合、どのようなかんじになったのでしょうか。
○田辺会長
 薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
 一般的に申し上げさせていただきますが、今回、全体的に加算した加算係数0.2の場合と、従来の営業利益率の補正という形での加算はほぼ同じになります。ただ、加算のポイント制度がございますけれども、原価計算方式の場合と類似薬効比較方式の場合で若干評価の仕方が違った部分がありまして、今回、従来の類似薬効比較方式のポイント制で一律にやることになったので、若干そこで上下するということで、個別には若干異なるのですけれども、一般的に申し上げますと、0.2掛けと従来の営業利益率補正はほぼ同じ額になると言えます。
○田辺会長
 では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
 素人ながら試算してみたところ、改革後のほうが15円ぐらい加算が高くなっているのですが、これは間違っていますか。
○田辺会長
 では、薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
 今、従来の計算をした場合の加算額は手元にございませんが、15円というのは何の品目ですか。
○幸野委員
 例えば、リムパーザ錠なのですが、改革前の営業利益率の499.2円に5%を掛けた場合の加算額は24.96円になりますが、改革後の加算額は39.6円ということで、15円ほど高くなっているのですが、この計算方式は違いますか。
○中山薬剤管理官
 旧ルールで算定した場合の値は、リムパーザの場合は手元にございまして、100mg1錠が4,028.6円、150mg1錠が5,980.4円ということで、今回のほうが下がっていることになります。恐らく、旧ルールのポイント制の評価の仕方の部分で若干食い違っているのではないかと思われますが、従来でいきますと、営業利益率の補正が10%で、営業利益率としては16.2%という値を使うことにした場合は、そういう計算になるということです。
○幸野委員
 薬価制度の抜本改革の趣旨は、算定方式の透明性を上げる観点から、開示度に応じて加算率に差を設けることだったと思うのですが、その1発目で出てきたのが全部最低ランクの加算で、しかも、薬価は改革前とそんなに変わらないということであれば、何のために開示度に応じた仕組みをつくったのかということになります。この点については次回に向けての検討課題になると思いますので、問題提起させていただきます。
○田辺会長
 では、薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
 30年度の改定が始まったばかりで、今回が初めてだったということでありますので、状況についてはどうなっていくのかをしっかり見ていく必要はあると思いますが、必要な検討は随時していくということで、検討は引き続き行っていくことになろうかと思います。
○田辺会長
 よろしゅうございますか。
 ほかはいかがでございましょう。では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
 3つ目のネキシウム懸濁用顆粒分包で教えていただきたいのですけれども、これは小児に使えるということで、1歳以上の幼児については1回10mgということで、これは量的に何となく成人でもこの量で使っているものが、小児でこの量は多いということはないのかを教えていただければというのと、もう一点は、本剤の投与患者の予測がピークで8万6,000人の中で、小児は大体どのぐらいを想定されているのかを教えていただければと思います。
○田辺会長
 では、薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
 基本的には、今回、用法・用量を追加するに当たりまして臨床試験を実施しております。そうした臨床試験の内容では、1歳以上の方々に対して、10mgの懸濁用顆粒剤あるいはカプセル剤を使って臨床試験を行った上で、有効性、安全性を確認したというデータがあるということでありまして、それに基づいてこの用法・用量は設定されていることになろうかと思います。
 さらに、どういった対象の方になるかということかと思いますけれども、これは確認いたしましたところ、胃食道逆流症については、乳幼児は噴門機能が未熟である等の理由により比較的頻繁に生じやすいとか、重度心身障害を有する小児などの一部の例では、胃食道逆流症により食道炎などを起こす場合があるということで、そういった方に対してはニーズがあるということかと思っております。
 実際の人数といたしましては、1~6歳の乳児患者におきましてはピーク時で1,632人、身体障害等のハンディキャップを伴う7~14歳の小児ではピーク時で34人という推測がなされている状況です。
○今村委員
 ありがとうございました。
 感覚的にこんなにたくさんの量は要らないのではないかと思ったので、質問をさせていただきました。当然のことながら、10mgを出せば効くには効く、有効性はあるのだと思うのですけれども、安全性があるから量は10mgだというのも、何となく大人の量なのにという感じがありましたので質問しました。
 もう一点のピーク時の話なのですけれども、これは小児加算が5%ついていて、8万6,000人が本剤の予測の患者だとすると、大部分が小児でない方たちを対象にしていても、一部でも小児に使えることになったので加算するのだという考え方でよろしいのでしょうか。ごく一部のその方たちにとってみると、とても有用な薬になるのはよく理解できるのですけれども、つまりは割合です。小児加算をつけられたら、例えば、半分の方が小児で、半分が高齢者だというのだったらわかるのですけれども、これは全体の中のごく一部ですよね。
○田辺会長
 では、薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
 小児の適応というのは、小児で臨床試験を行う形で用法・用量を追加するのはなかなか難しいといいますか、事例としては少ないところもあります。したがって、そういったことをして承認を得た場合には、これまでも小児加算という形で全体に加算するということで行ってきているということであります。
○田辺会長
 では、松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
 そのルールは承知した上での今の質問だと思うので、先ほど、幸野委員が問題提起をすると言われたのと同様に、この問題も今後、考えていかなければいけないのではないかと思うので、問題提起とさせていただきます。
○田辺会長
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御質問もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○田辺会長
 ありがとうございました。
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
 次に、報告事項でございますけれども、「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
 では、医薬品審査管理課長、よろしくお願いいたします。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 医薬品審査管理課長でございます。
 資料の総-3-1、3-2に基づきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 最適使用推進ガイドラインを2本発出させていただきたいと考えております。
 1つ目は総-3-1で、アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、販売名はテセントリクでございます。
 先ほど御議論いただきましたリストの中にもございます、非小細胞肺がんの承認を1月に行いましたので、関連で最適使用推進ガイドラインを発出したいと考えております。
 本剤はPD-L1抗体で、PD-1抗体あるいはPD-L1抗体としては4品目めでございます。そのうち、肺がんの承認を取得するのはこの品目が3つ目となります。
 ガイドラインの全体の構成につきましては、これまでに非小細胞肺がんで最適使用推進ガイドラインを作成いたしましたオプジーボ、キイトルーダと内容についてはおおむね同様でございます。
 2ページの囲みの上のところをごらんいただければと思いますが、今回のガイドライン策定に当たりましては、オプジーボ、キイトルーダと同様に、日本臨床腫瘍学会、日本臨床内科医会、日本肺癌学会、日本呼吸器学会の御協力のもとに作成いたしました。
 3ページをごらんいただければと思いますが、繰り返しになりますけれども、本剤の特徴や作用機序を記載しておりまして、冒頭の説明と重なりますが、PD-L1抗体という特徴を持っております。
 4ページから、臨床成績などの概要をお示しさせていただいております。
 有効性につきましては4ページでございますが、プラチナ製剤を含む化学療法歴のある患者、いわゆるセカンドラインで実施した治験において、本剤分がドセタキセル群を上回る成績が得られたという結果をもとに承認をしております。
 5ページに参考情報といたしまして、本品目につきましてPD-L1の発現状況別の臨床試験成績の解析を行っております。
 具体的には、わかりやすいのは7ページをごらんいただければと思いますが、扁平上皮がん患者全体の成績は、上の大きな図2のとおりでございまして、先ほども申し上げましたように、ドセタキセル群を上回る成績が得られております。一方で、PD-L1発現状況別に解析を行った結果、扁平上皮がんのうち、図3の右下の図がPD-L1発現率が低い患者さんの群を示しているのですが、扁平上皮がんの患者のPD-L1発現率が低い場合には、本剤群とドセタキセル群が近い成績であったことが示されております。
 このことに関連いたしまして、後ほど御説明させていただきますが、本剤の使用に当たりましては、PD-L1の発現状況により、ほかの薬剤の使用を考慮することなどもこのガイドラインにお示ししているところでございます。後ほど、まだ御説明させていただきたいと思います。
 8ページをごらんいただきますと、安全性のプロファイルをお示ししております。
 安全性のほうは、これまでのオプジーボ、キイトルーダと同様なプロファイルとなっております。
 9ページは、本剤をお使いいただく施設の要件につきまして、これまでのオプジーボ、キイトルーダと同様の設定をしております。1で施設、2で院内の医薬品情報管理の体制、3におきましては副作用への対応ということで、いずれもこれまでの類薬であるオプジーボ、キイトルーダと同様の内容でございます。
 11ページで、患者さんの要件として、安全性に関する事項としてはオプジーボ、キイトルーダと同様の内容をお示ししております。有効性についても、1、2のとおり、セカンドライン以降の患者さんに御使用していただくこととしております。
 12ページの3におきまして、先ほど、臨床試験成績のところで少し御紹介させていただきましたように、扁平上皮がんの患者さんのうち、PD-L1発現率が低いことが確認された患者さん、具体的には6行目ぐらいに書いておりますが、TC0かつIC0は、すなわち発現率が1%未満というカテゴリーに入る患者さんについては、本剤以外の治療選択肢も考慮することということをお示ししております。
 最後の13ページ目から、投与に際して御留意いただきたい事項として、これまでのオプジーボ、キイトルーダの非小細胞肺がんと同様の記載をしております。
 また、14ページの最後の5でございますが、本剤は定期的に有効性の評価を行い、投与を継続することが妥当かどうかを御判断いただくことをお願いしております。
 以上が、総-3-1のアテゾリズマブの御説明でございます。
 続きまして、総-3-2を御説明させていただきます。
 こちらはデュピルマブ(遺伝子組換え)、販売名としてデュピクセント皮下注300mgシリンジというものでございまして、アトピー性皮膚炎に対する薬でございます。
 本剤につきましては、アトピー性皮膚炎に対します初めての抗体医薬品でございまして、新規性あるいは画期性が高いところでございます。一方で、アトピー性皮膚炎の患者さんの数は多く、こういった新しいお薬につきましては、適正使用を図っていただく必要があることから、最適使用推進ガイドラインを作成した次第でございます。
 2ページをごらんいただければと思いますが、ガイドラインの構成は、これまで御報告させていただきました抗がん剤等々の構成と同様のものにしております。囲みの上でございますが、本ガイドラインを作成するに当たりましては、日本皮膚科学会、日本アレルギー学会、日本臨床皮膚科医会に御協力をいただきながら作成をしております。
 3ページに本剤の特徴を記載しておりますが、IL-4あるいはIL-13に作用して、アトピー性皮膚炎を抑えるといった特徴を持っております。
 4ページ目から、本剤の臨床成績の概要を記載しております。
 2つの主要な試験のうち、ステロイド外用薬を併用した場合の国際共同第3相試験の結果につきまして、その概要を4~6ページにお示しをし、もう一つの単独の投与試験の結果についても、7~9ページにかけまして御紹介させていただいております。
 10ページでございますが、本剤を適切に使用していただくために必要な施設の要件を記載しております。具体的には、1~3の要件を満たす施設において使用していただきたいと考えております。
 1としましては、アトピー性皮膚炎の病態等をよく熟知して、本剤の十分な知識を有し、アトピー性皮膚炎の診断治療に精通する医師が責任者として配置されていること。
 2つ目のポツでございますが、製販後調査等が課せられておりますので、こういったことをきちんと実施できる施設であること。
 2におきまして、院内の医薬品情報管理の体制がきちんとしており、3において、副作用等への対応がきちんとしていることを記載しております。
 3につきましては、ぜんそく等の合併症について一つ、気をつけていただきたいこととして挙げております。それから、副作用についても気をつけていただきたい。ぜんそく等の合併症の場合にはその主治医の方に、アナフィラキシー等の副作用につきましては、当該施設あるいはその近隣の専門性を有する医師と連携ができる等々をお願いしております。
 ここの文章が、ぜんそく等の合併症の主治医の方と、副作用に関して専門性を有する医師ということで、それぞれ違うことが1つの文章に入っていてわかりづらいという御指摘をいただきましたので、ここについては、ぜんそく等の合併症についての文章と、副作用についての文章を分けて記載させていただきたいと思っております。この点を訂正して発出したいと思っておりますので、改めさせていただきたいと思います。
 11ページは、投与対象となる患者さんでございますが、要件として1、2を記載しております。
 1は、診療ガイドラインを参考に、アトピー性皮膚炎の確定診断がなされている患者さんであること。
 2で、a、bという内容で具体的な要件を記載しておりますが、このa、bの内容などは、臨床試験の組み入れ基準を参考に設定しております。
 11ページの下に、本剤の投与継続の取り扱いについて記載しております。
 本剤は臨床試験における有効性評価時期があったわけですが、投与開始から16週後までに治療反応が得られない場合には本剤の投与を中止すること、あるいは寛解が得られている場合には抗炎症外用薬等が適切に使用されていることを確認した上で、一旦本剤の使用の中止などを検討いただきたいということを記載しております。
 最後の12ページにつきましては、投与に際して留意すべき事項としまして、添付文書などからの重要な注意を入念に記載させていただいております。
 少々長くなりましたが、2本のガイドラインの説明は以上でございます。
○田辺会長
 引き続き、薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
 続きまして、総-3-3でございます。
 最適使用推進ガイドラインが策定された医薬品につきましては、その内容を踏まえて、保険適用上の留意事項を通知することといたしております。
 真ん中より下のあたりがその留意事項の内容で、従来どおり、基本的考え方として、対象品目について最適使用推進ガイドラインに従って使用する旨を明記すること。
 そして、診療報酬明細書の摘要欄に記載を求める事項としましては、テセントリクについては、医療施設の要件のどれに該当するのか、2ページ目に行っていただき、さらに、治療の責任者の要件のいずれに該当するのかを記載いただくということでございます。
 デュピクセントのほうは、治療の責任者の要件のいずれに該当するか、さらに、投与対象となる患者の要件のいずれに該当するかを記載いただくこととしたいと考えております。
 お認めいただければ、発出日は本年の4月17日、適用日は4月18日とさせていただきたいと考えております。
 以上です。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問がございましたら、よろしくお願いいたします。では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 幾つかお願いいたします。
 改定がありまして、新年度初めての中医協ですので、まずはそもそも論からお伺いしたいのですけれども、この最適使用推進ガイドラインを発出する薬剤は、先ほど課長からの説明で若干触れられたこともあったと思うのですけれども、もう一度確認をしたいと思います。どのような薬剤に対して、この最適使用推進ガイドラインを出されるのか。
○田辺会長
 それでは、お願いいたします。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品につきましては、昨年9月に考え方とともに通知を示させていただいておりますが、少し説明させていただきます。
 薬理作用が既存の医薬品と比較して大きく異なる点。
 安全性のプロファイルが既存の医薬品と比較して大きく異なり、使用の上で特別な注意が必要なもの。
 3つ目としまして、既存の医薬品と比較した有効性が著しく高い。
 4点目として、既存の医薬品と比較した臨床的位置づけが異なり、より広い患者に使用され得る可能性が高いもの。
 5つ目としまして、他の疾患を対象とした開発あるいは効能・効果の追加など、使用患者のさらなる拡大の可能性があるもの。
 今、御紹介させていただきました5つの点を総合的に判断いたしまして、最適使用推進ガイドラインをつくる対象にするかどうかを判断させていただいております。
 その背景といいますか、趣旨といたしましては、画期的で革新的な医薬品がいろいろ登場し、その治療効果について非常に期待がかかる一方で、薬剤が非常に高額になるところも現実でございまして、そういった保険財政に与える影響を懸念されている点。そして、革新的なお薬については、十分な知見が蓄積されるまでは慎重に使っていただく。この2点が必要だろうということで、この最適使用推進ガイドラインを発出して、最適な使用を現場にお願いしていきたいという趣旨でございます。
○田辺会長
 では、松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
 もう少しわかりやすくお願いしたいと思います。
 それを踏まえてなのですけれども、総-3-1の2ページ目を見ていただきますと、上から10行目ぐらいに「当該医薬品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用する」とありまして、6ページの2行目に「TC0かつIC0群(腫瘍組織におけるPD-L1を発現した腫瘍細胞及び腫瘍浸潤免疫細胞が占める割合がいずれも1%未満)において、ドセタキセル群と比較した際の効果の大きさが小さい傾向が認められた」とあるにもかかわらず、12ページでは、コンパニオン診断薬があるのに、PD-L1発現を確認することは必須にはなっていません。
 また、上から7行目の「本剤以外の治療選択肢も考慮する」ということでは、ガイドラインの2ページ目に記載した趣旨とどこまで整合性がとれているのかが非常に疑問なのですけれども、その辺はいかがなのでしょうか。わらにもすがって、何でもかんでも使いたいということであれば、それはそれで結構なのですけれども、わざわざ「恩恵を強く受けることが期待される患者」という記載がございますので。
○田辺会長
 それでは、医薬品審査管理課長、よろしくお願いいたします。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 PD-L1抗体の発現率の低い、高いの患者さん別に分けた効果のほどは、7ページにお示しさせていただいているとおりでございます。
 図3の右下のグラフが発現率の低い患者さん、左下が高い患者さんでございまして、右側の患者さんでも効果が得られてはございます。ただし、ドセタキセルと本剤では、ほかのグループよりは効果の差が小さいということでございまして、決してドセタキセルに比べて差がないというものではございません。
 ただし、ほかの患者さんのほうがより効果が高いだろうということで、こういったガイドラインの内容にさせていただいております。すなわち、PD-L1の発現率が低い患者さんに対しては、本剤あるいはほかの治療選択肢のどちらを選ぶかの判断をきちんといただきたいと考えております。
○松本純一委員
 それでよろしいのだと思うのですけれども、12ページ目の7行目の後のほうに「本剤以外の治療選択肢も考慮する」と書いてございますので、その辺も含めてということなのでしょうか。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 そのとおりでございます。
○松本純一委員
 では、それはそういうことといたしまして、もう一つのアトピー性皮膚炎のところで、10ページの副作用について、書き直すと御説明されたように聞こえたのですけれども、これは不備のある資料を御提出なされたという認識でよろしいのでしょうか。
○田辺会長
 それでは、お願いいたします。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 大変申しわけございません。わかりにくい文章を書き直す。
○松本純一委員
 では、どのように直されるのかをおっしゃってください。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 まず、1つ目のポツとしまして、ぜんそく等の合併症に対して、その主治医と連携し、直ちに適切な処置ができる体制が整っていること。
 2つ目のポツといたしまして、アナフィラキシー等の使用上の注意に記載された副作用に対し、当該施設または近隣医療機関の専門性を有する医師と連携し、副作用等の診断や対応に関して指導及び支援を受け、直ちに適切な処置ができる体制が整っていることの2項目とさせていただきたいと思います。
○田辺会長
 では、松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
 ぜんそく等の合併症のある患者さんは、その合併症の主治医と連携し、「直ちに適切な処置」とはどういうことですか。
○田辺会長
 それでは、お願いします。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 ぜんそく等の場合、このお薬を続けていると、ぜんそくの症状などもよくなる傾向があり、それでもってぜんそくが治った、あるいは症状が改善したという理解をしてしまい、このお薬をやめることで、ぜんそくの症状も急に悪化することが懸念されます。そういう意味で、ぜんそくのほうの主治医の先生と連携をして、「直ちに適切な処置」の前に「診断や対応に関して指導及び支援を受け」という言葉も入れさせていただくという訂正をさらにさせていただいた上で、ぜんそく等の合併症についてきちんと対応でき、かつ何かあったときには直ちに適切な処置ができるようにということで、内容を整えたいと思います。さらなる訂正をさせていただきたいと思います。
○田辺会長
 では、松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
 口頭でもちゃんと言えないような訂正を、この不備な資料でもって認めろと言われるわけですか。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 その点につきましては大変申しわけございません。おわびを申し上げます。
 もしよろしければ、もう一度、読み上げさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
○田辺会長
 松本純一委員、どうぞ。
○松本純一委員
 結構です。そういうことではなくて、準備も何も備えないで、不備な資料で認めろということなのですかと私は尋ねているのです。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 わかりにくい資料であった点については、おわびを申し上げます。
○松本純一委員
 だから、わかりにくい資料で中医協総会に臨んでいると私は理解をしましたが、そうなのですか。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 御指摘のところはそのとおり受けとめます。
○松本純一委員
 では、この不備な資料では議論できないという理解でよろしいですか。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 できますれば、今、申し上げましたような2つの文に分けることをもって、この最適使用推進ガイドラインについて御確認をいただければと思います。薬価収載と同時に、この最適使用推進ガイドラインを発出することで、こういった新しいお薬のきちんとした使い方を臨床現場にお願いできると感じておりまして、そういう意味で大事なものと考えております。
○田辺会長
 では、松本純一委員、どうぞ。
○松本純一委員
 みずからの不備を委員である私のせいにするような論理のすりかえに聞こえてしようがない。待っている患者がいるから、早くこれは認めなければいけない。だから、なおさら資料づくりには注意をしなさい。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 決してそういう趣旨ではございません。資料づくりには今後、さらに注意をしたいと思います。
○田辺会長
 では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
 そもそも、この最適使用推進ガイドラインというのは、設備が整った医療機関さんでお使いになるのに、お使いになる先生がわからないと言っているのですから使えないではないですか。中医協で認めたから、それは訂正して提出なさるのでしょうけれども、本当に最適な使用に資するガイドラインになるのか甚だ疑問でございます。松本先生のおっしゃるとおりだと私は思います。
○田辺会長
 では、松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
 資料総-3-2のところで、確かにいろいろな問題点はありましたが、それとは別の点を質問させていただきたいと思います。
 11ページ目の、アトピー性皮膚炎の抗体薬の【投与の継続にあたって】というところで、「寛解の維持が得られた場合には、抗炎症外用薬や外用保湿薬が適切に使用されていることを確認した上で、本剤投与の一時中止等を検討すること」と書いてございます。寛解の維持が得られた場合に、再燃する可能性もかなりあると思いますけれども、再燃した場合の再開の判断のルールなどは検討されているのでしょうか。
○田辺会長
 では、お願いいたします。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 6カ月を目安として、一旦中止していただいた後、ほかのステロイド等の薬剤を使いながら症状を診ていただきつつ、再燃することがあればお使いいただくことは構わないと思っております。
 ただ、どうやったら再度使用するといった、使用再開の基準を設定しているものではございません。恐らくそこは最初の治療開始と同様の医師の判断になると思います。
○松本吉郎委員
 ということは、投与対象となる場合に、その上にbのいろいろなスコアとか、アトピー性皮膚炎病変の割合が10%以上とかありますけれども、これをまた満たす必要があるということなのでしょうか。その辺のことがはっきり書かれていないのはどうなのかと私は思います。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 患者さんの選択に当たって、先生が今、御指摘いただいた要件というのは、最初の投与開始をする際の基準として掲げております。そういった患者さんが一旦、6カ月程度お使いになって、使用を中止して、また再燃して使用を再開する際には、必ずしも5のところの要件を満たしてなければいけないとは考えておりません。
○松本吉郎委員
 ということは、あくまでも医師の臨床的な判断でよろしいということなのでしょうか。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 はい。再開に当たっては、患者さんの症状を診ていただきながら、症状がひどくなってきて、改めてこのお薬を使ったほうがいいと御判断いただく場合には、それで使用を再開していただくことがよいと思います。
○田辺会長
 では、松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
 このインターロイキンシグナル伝達阻害薬は、他にも既に2つの治験が進行していると聞いております。そういったことも含めると、その辺の使用を想定して、今後、ガイドラインをまた考えなければいけないのではないかと私は思いますし、非常に高い薬価で、しかも18歳以上ですから、若い成人に長期にわたって、完全に治すのはなかなか難しい薬だとも聞いております。長期に使用することを考えれば、このアトピー性皮膚炎の抗体薬の薬価算定あるいは使用方法も含めて、今後、しっかりと注視していく必要があるのではないかと思いますので、先ほどのいろいろな委員の先生方の指摘も踏まえて、このガイドラインをもうちょっとしっかりと構築していただきたいと思います。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 ガイドラインを発出した後も、いろいろ御意見をいただくと思いますし、先生が御指摘になった、次なる開発が登場したときにも考えなければいけないと思っております。手直しなどは順次してまいりたいと思います。
○田辺会長
 ほかはいかがでございましょう。では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 今の課長の発言ですと、ガイドラインというのは改定版がどんどん出ていくという理解のように聞こえたのだけれども、そういう理解でよろしいのでしょうか。
○田辺会長
 では、お願いします。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 ガイドライン自体は、いろいろな理由があると思いますが、発出後も改定していくことは視野には入れております。医療現場からの御意見あるいは新たな治験なども出てくると思いますし、新たな開発なども影響すると思いますので、そのあたりを踏まえながら改定することも考えております。
○田辺会長
 では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 今の松本吉郎委員の御指摘のところも、課長のお答えは、再発した患者に関しては初発の投与対象となる患者の条件を満たさなくてもいいと思っているというお話でしたけれども、そのように思っているのあればなぜ明記していないのか。この話をし始めてから随分たつので、きょうどうしてもこれをというのであれば、書き直す時間は幾らでもあったと思います。文書にして、皆さんにお配りする時間は十分あったと思うのですけれども、それすらしないで、ひたすら不備な資料で通してほしいと言うのはいかがなものなのでしょうか。
○田辺会長
 それでは、お願いいたします。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 投与継続あるいは再開に当たってのところにつきましては、開発時に得られた情報からいくと、現段階では、どういうものが適切かという部分については、まだ書き込むほどの情報はございません。ただし、先ほども申し上げましたように、初発の基準要件を必ずしも適用する必要はないと考えておりますので、そういった点については記載をさせていただいても構わないと思っております。もし可能であれば、そういったことも記載して、発出をしたいと思います。
○田辺会長
 では、松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
 それはあなたの考えなのですか。それとも、最初に書いてあるように、皮膚科学会、アレルギー学会、臨床皮膚科医会もそのようにお考えなのを確認されておっしゃっているのですか。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 その点につきましては、ガイドラインを直すのであれば、関係の学会の先生方にも御確認をいただこうと思っております。
○田辺会長
 では、医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。活発な御議論をいただいております。
 私のほうからまとめて、おわびも兼ねてお話をさせていただきますと、中医協の進行につきましては、医療課長を初め、医療課のほうが事務局として行っておりますので、不備な資料を提出させていただいたことにつきましては、改めましておわびを申し上げたいと思っております。
 御指摘のとおり、このガイドライン策定につきましては、かねてから保険局と医薬局でしっかり連携をして、内容を詰めて行うべしということはかねがね御指摘をいただいておりましたところでありまして、そのようにさせていただいたつもりではございますけれども、今のような御指摘につきましては、事前にある程度、御指摘いただいたにもかかわらず、十分な形で対応できておりませんでした。この点につきましては、重ねておわびを申し上げたいと思っております。
 その上ででありますけれども、今回、こうやって新薬の承認をいただきつつある中で、実際に臨床の場で使っていただくということになりますと、これは決して私どもの言ってみれば責任転嫁という意味でお話をしているのではなく、実際に新薬を使っていただくに当たっては、可能な限り適切に使っていただきたいという趣旨でこのガイドラインを発出させていただいておりますので、そういった形で、可能な限り適切な内容にさせていただきたいと思っております。
 時間的な制約が確かにある中で、半ばそういったことをお願いする格好になりますけれども、今回、この御指摘につきましては、可及的速やかに文言については修正させていただきたいと担当課長が申しております。あわせまして、この内容につきましても、基本的には手探りでつくりながらやっているところ等もありますので、いろいろな御指摘を中医協の場でもそうですし、臨床現場の方々からもいただくでしょうし、あるいはさまざまな医薬品の開発も今後進んでいくと思いますので、どの程度の頻度であるとか、どの程度の内容においてということをあらかじめ予見することは難しいと思いますけれども、まさにそういった最適な対応になるように適時適切な見直しをさせていただくという前提で、この場で御審議をいただいたものを早く発出させていただくように、改めましてお願いを申し上げたいと思っております。何とぞよろしくお願いいたします。
○田辺会長
 松本純一委員、どうぞ。
○松本純一委員
 結局、医療課長は今、おわびだけしたわけですか。それとも、提案はあったのですか。
○田辺会長
 では、医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 失礼いたしました。
 おわびだけのつもりではございませんで、具体的にテキストの修正はさせていただきたいと思っております。ただ、この場でこれ以上お時間をいただいて、休憩して文言をセットするところまでさせていただくのもどうかとも思いますが、できますれば、事務局のほうで一旦引き取らせていただきつつ、可及的速やかに委員のほうには相談させていただいて、文言を確定した上で発出させていただくということで、今回につきましては承認いただけないでしょうかという御提案でございます。
○田辺会長
 松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 医療課長が責任をとるということであれば結構です。
○田辺会長
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 これは報告事項でございますので、ほかに御質問等もないようでしたら、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
 次に「診療報酬調査専門組織『医療機関等における消費税負担に関する分科会』からの報告について」を議題といたします。
 まず、消費税分科会会長の荒井委員より御説明をお願いいたします。
 では、荒井委員、よろしくお願いいたします。
○荒井委員
 分科会長の荒井です。
 平成31年10月に予定されている消費税引き上げに向けて、診療報酬での対応のあり方等について議論を行うため、3月30日に「医療機関等における消費税負担に関する分科会」を再開いたしました。その際、私が分科会長に選出されましたので、私のほうから、3月30日に議論を行いました今後の進め方と、各種調査の実施・検討について御報告いたします。
 まず、総-4-1の2ページ目をごらんください。
 「今後の進め方について」のとおり、平成31年10月に予定されている消費税引き上げに向けて、本年12月までに診療報酬での対応の基本的な考え方について議論を行い、来年1月以降、具体的な財源配分や配点方法等の議論を行う方向で議論を進めていくこととしています。
 また、総-4-2の23ページをごらんください。
 ここで各種調査の実施・検討についてですけれども、平成31年10月の消費税引き上げに向けた薬価調査・特定保険医療材料価格調査については、平成31年度予算編成の観点等も踏まえて、平成29年と同様のスケジュールで平成30年に実施すること。
 医療経済実態調査については、直近の調査結果を用いること。
 設備投資調査については、現時点で再度調査を実施する必要性は少ないことという方向で進めることついて提案があり、分科会において了承されました。
 資料について、もし事務局から補足があればお願いします。
○田辺会長
 では、保険医療企画調査室長、よろしくお願いいたします。
○矢田貝保険医療企画調査室長
 分科会での御議論については、ただいま分科会長から御報告があったとおりでございます。これを受けまして、薬価調査の実施案などにつきましては、今後、事務局において資料作成の上、改めて専門部会、総会のほうにお諮りする予定で作業を進める予定でございます。
 以上でございます。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
 本日の議題は以上でございます。
 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。御参集、どうもありがとうございました。
 

 

 

 

 

(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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