ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第385回議事録(2018年1月19日)
2018年1月19日 中央社会保険医療協議会 総会 第385回議事録
○日時
平成30年1月19日(金)13:00~14:32
○場所
千葉県千葉市(東京ベイ幕張ホール2階)
○出席者
田辺国昭会長 野口晴子委員 松原由美委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員 中村洋委員 |
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 |
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 |
安部好弘委員 |
菊池令子専門委員 横地常弘専門委員 |
<事務局> |
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官 |
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他 |
○議題
○平成30年度診療報酬改定に掛かる検討状況について(説明)
○意見発表者による意見発表、中医協委員からの質問
○議事
〇司会(矢田貝室長)
お待たせいたしました。定刻となりましたので、公聴会を始めさせていだきます。
それでは、田辺会長、よろしくお願いいたします。
〇田辺会長
それでは、ただいまより第385回「中央社会保険医療協議会 総会(公聴会)」を開催いたします。
開会に当たりまして、委員を代表いたしまして一言、御挨拶を申し上げます。
本日は、公聴会に御参加いただきまして、まことにありがとうございます。
当協議会は、診療報酬や薬価など、公的医療保険から医療機関等に支払われる公定価格を決定する権限を有する厚生労働大臣の諮問機関として設置されております。診療報酬等に関する事項につきまして、厚生労働大臣の諮問に応じて審議、答申を行うという役割を担っているところでございます。
本日は1月12日に大臣より諮問されました平成30年度診療報酬改定案の審議を行うに当たり、私ども委員が国民の皆様方の声を聞く機会といたしまして、公聴会を開催することとしたものでございます。
後ほど意見発表をお願いしております方々から御意見をいただく場を用意しております。忌憚のない御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、当協議会の委員の方々を御紹介させていただきます。
お手元の資料に委員名簿があると思いますけれども、当協議会は1の医療保険の保険者、被保険者、事業主等を代表する委員、いわゆる支払側委員。それから、第2に医師、歯科医師、薬剤師を代表する委員、いわゆる診療側委員。それから、3といたしまして公益を代表する委員、この三者によって構成されており、必要に応じ専門委員を置くことができるとされているところでございます。
本日、出席の委員は、皆様方から向かって右側が支払側委員であり、前列の左から吉森委員、幸野委員、平川委員、間宮委員、後列の左から宮近委員、松浦委員でございます。
皆様方から向かって左側が診療側委員であり、前列の右から松本純一委員、今村委員、松本吉郎委員、猪口委員、後列の右側から島委員、遠藤委員、安部委員でございます。
次に、皆様方から向かって私の左に座っておりますのが公益委員であり、私の隣から野口委員、松原委員、荒井委員、関委員、中村委員でございます。
そして、私の奥に座っておりますのが総会に所属しております専門委員であり、左から菊池専門委員、横地専門委員でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
また、厚生労働省からは、保険局長等が同席しております。
なお、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうお願いいたします。
それでは、早速でございますけれども、議事の入らせていただきます。
本日の議事の進め方でございますけれども、まず事務局から平成30年度診療報酬改定の検討状況について、簡単に説明していただき、その後、意見発表を事前にお願いしております方々から御意見をお聞きしたいと思います。
それでは、平成30年度診療報酬改定の検討状況につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
〇迫井医療課長
それでは、資料に沿いまして御説明をさせていただきます。
お手元に資料を1冊まとめてございます。
おめくりいただきまして目次がございますけれども、目次の隣からページ番号が振ってありますが、1ページ目以降、後ほど簡単に御説明いたしますけれども、これが現時点での骨子ということですが、平成30年度診療報酬改定に係るこれまで中医協で御議論をいただきましたものをまとめたものでございまして、本年1月12日の中医協において承認されているものでございます。
1ページ目から簡単に御説明させていただきます。一番上に留意事項を四角で囲ってございますけれども、これは30年度診療報酬改定に向けて御議論いただいたものをまとめているということでございますが、まとめ方といたしましては四角の中に書いてございます下3行でありますが、昨年12月11日、これは社会保障審議会医療保険部会と医療部会においてまとめられました基本方針という柱立てに沿ってまとめさせていただいております。基本方針自体は、この資料の後ろのほうにとじてございます。
1ページ目の目次、2ページ目にかけて2枚にまとめてございますが、ここだけ簡単に構成を御説明させていただきますと、4つのローマ数字の柱でまとめさせていただいております。
1つ目の柱が「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」でございます。その下に1-1から1-7、7つの小項目に分けてございますが、簡単に御紹介しますと「地域包括ケアシステム構築のための取組の強化」「かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価」「医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価」といった小項目に分けてまとめさせていただいております。
2つ目の柱がその下の2でありますけれども、「新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実」ということでございます。2-1、その下にさらに小項目がございますけれども、2につきましては次のページ、2ページにかけまして4つのサブセクションと、それぞれの中にさらに小項目がございます。
1ページ目に戻っていただきまして、2の分野の1つ目は重点的な対応が認められる医療分野の充実ということで、具体的には2-1のハイフンでさらに1から8までございますけれども、例えば1ページ目の2-1-1は「緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価」でございますとか、「臨床の者に対する適切な医療の評価」「地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価」といった小項目が、次のページの2-1-8にかけてございます。
2は残り3つのセクションがございますけれども、2-2「医薬品、医療機器、検査等におけるイノベーションやICT等の将来の医療を担う新たな技術を含む先進的な医療技術の適切な評価と着実な導入」ということがまとめてございまして、その下2-3「データの収集・利活用及びアウトカムに着目した評価の推進」、そして2-4は「明細書無料発行の推進」でございます。
その下、目次の2ページ目でありますけれども、3の4つの柱立ての3番目でありますが、医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進ということで5つのセクションがございます。3-1「チーム医療等の推進(業務の共同化、移管等)等の勤務環境の改善」あるいは「業務の効率化・合理化」「ICT等の将来の医療を担う新たな技術の着実な導入」「地域包括ケアシステム構築のための多職種連携による取組の強化」「外来医療の機能分化」であります。
最後4つ目のセクション、4でありますが「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化」ということで8つ掲げてございますが、「薬価制度の抜本改革の推進」「後発医薬品の使用促進」「医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価(再掲)」「外来医療の機能分化、重症化予防の取組の推進(再掲)」「費用対効果の評価」「医薬品の適正使用の推進」「備蓄の効率性や損益状況等に応じた薬局の評価の推進」「医薬品、医療機器、検査等の適正な評価」ということでまとめさせていただいております。
具体的には3ページ以降、34ページまでが具体的な取りまとめられた項目でございます。
最後に、その後ろの資料について簡単に御紹介いたしますと、1月12日、この議論のまとめと同じ日でありますけれども、諮問書、これは厚生労働大臣、加藤大臣から中医協の会長、田辺会長宛ての諮問書でございます。
36ページは、診療報酬改定のいわゆる改定率、37ページから、これは先ほど御紹介いたしました議論のまとめの構成になっておりますけれども、社会保障審議会の医療部会、医療保険部会でまとめられました基本方針そのものでございまして、こちらが44ページまで続きます。
その後、45ページから中医協で2度にわたりまして1号、2号、支払側、診療側で基本的な考え方等の意見をいただいておりまして、それらについてあわせてまとめて御提示をさせていただいております。
事務局からは以上でございます。
〇田辺会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、さらに支払側、診療側からの補足での御説明がございましたらよろしくお願いいたします。
では1号側、支払側、よろしくお願いします。特にございませんか。よろしゅうございますでしょうか。
では2号側は。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
それでは、ここから本日の会の開催の趣旨であります一般の皆様からの御意見を伺ってまいりたいと存じます。
意見発表者につきましては、今回の公聴会の開催案内にあわせまして公募を行ったところでございます。応募いただいた方の中から意見の内容や発表者のバランス等を考慮いたしまして、私ども公益委員のほうで10名の方を選ばせていただきました。本日は、
その方々に意見発表をお願いしているところでございます。
意見発表に当たりましては、まず5名の方に意見を発表していただき、それらの意見に対して当協議会の委員から質問をさせていただきたいと存じます。その後、残りの5名の方から意見を発表していただき、それに対して委員から質問を行いたいと思っているところでございます。
なお、時間の関係上、まことに恐縮ではございますけれども、意見発表はお一人につき5分以内でお願いいたします。また、意見発表の初めにお名前と御職業をおっしゃっていただくようお願い申し上げます。
それでは、まず最初に上野様、よろしくお願いいたします。
〇上野氏
今、御紹介いただきました、千葉銀行健康保険組合の上野と申します。よろしくお願いいたします。
意見発表の機会を与えていただいたことに感謝申し上げます。地域の健康保険組合の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。多少早口になるかもしれませんが、御容赦ください。
健康保険組合は、非常に厳しい事業運営を余儀なくされております。高齢化、医療の高度化等の要因に伴う医療費の伸びや高齢者医療制度に対する拠出金の増大などによって、財政状況は極めて深刻であります。各健康保険組合において保険者機能を発揮し、安定的な事業運営に向けて鋭意努力はしておりますが、我々保険者の不断の努力の範疇を超える事態となっております。これはぜひとも皆様方には御理解、御認識いただきたいところであります。
直近の平成29年度健康保険組合予算集計によりますと、健保組合全体で3,024億円もの経常赤字となっており、赤字組合は全健保組合の7割を超えております。私ども千葉県内の35の健康保険組合におきましても、約8割、27組合が赤字となっております。非常に厳しい状況下に置かれております。
現役世代に重い負担がのしかかる中、これまで我々健保組合は、事業主や被保険者に対して保険料率の引き上げを何とか御了解いただくこと等によってひっ迫した状態をしのいでまいりました。しかし、今後の見通しにおいて高齢化がピークを迎える2025年を見据える中では、財政健全化に向けた展望は全く描ける状況にありません。高齢者医療費の負担構造改革や、さまざまな医療費適正化政策について大きな見直しを大胆に進めていかない限り、将来にわたって国民皆保険制度を堅持していくことは難しいと言わざるを得ません。
健保組合の全体の立場で申し上げるとすると、このような状況から診療報酬は当然引き下げてしかるべきと感じるところでございますが、昨年末に決定された平成30年度の診療報酬本体の改定率がプラスとなったことは非常に残念で、遺憾であります。
今後、議論に当たっては、限りある財源を効率的かつ効果的に配分することを主眼に改定作業が進められるべきと考えております。
その上で、改定に際して我々健保組合、また、国民の目線から特に重要と感じることに関して、幾つか意見を述べさせていただきます。
1点目ですが、地域医療構想を踏まえた病床機能の分化・連携についてです。時代の変化に伴い、国民が認める医療のあり方も大きく変化していく中で、地域医療構想に沿っていわゆる病床機能の分化・連携を確実に進め、都心部、地方、へき地など、各地域において求められる医療が過不足なく効率的に国民へと提供される体制がより一層求められております。これを踏まえ、次期診療報酬改定は、国民が真に必要とする医療提供体制の構築に向けて、我々の保険料などの貴重な財源、また、医師、看護師といった限られた人材を最大限に有効活用することが図られるよう、しっかりと後押しする形での診療報酬体系を実現していただければと思います。
2点目でございますが、在宅医療についてです。今後は医療・介護、地域支援等が切れ目なく提供されることが一層重要とされてきております。これを踏まえ、特に今後需要の大幅な拡大が見込まれる在宅医療や介護について、国民の多様なニーズのもとで円滑な提供が図れるよう体制整備をお願いしたいと思います。あわせて多死社会を迎えるに当たり、これまで医療機関が中心に行われてきた看取りのあり方についても、国全体として改めて考えていく必要があると思います。今後の施策として患者本人に対して、本人が望む人生の最終段階における治療や看取りの場所について、事前の意思確認の実施が促進されるような仕組みづくりが進められていかなければと思います。
最後に、生活習慣病の重症化予防です。生活習慣病を抱える働き盛り世代の重症化予防を防ぐ取り組みが一層求められると考えます。この中で、医師と我々保険者と行政などがしっかりと連携し、患者が継続的な治療から脱落しないような体制整備を図っていかなければいけないと考えます。
これに関しては、今般、遠隔診療の推進に向けた検討についても中医協で行われてきたと伺っておりますので、ICT化時代に合ったツールの活用も図りつつ、より効率的な医療の提供が促進されるよう進めていただければと思います。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
〇田辺会長
上野様、どうもありがとうございました。
続いて2番目に佐藤様、御発表をよろしくお願い申し上げます。
○佐藤氏
千葉県浦安市で内科、透析診療所を開業しております佐藤と申します。千葉県医師会では保険診療担当の理事を、千葉県透析医会では感染症委員会委員長を拝命しております。よろしくお願いいたします。
まず、かかりつけ医機能についてです。かかりつけ医機能を有する医療機関の初診を評価することが検討されております。しかし、かかりつけ医機能を評価した現在の地域包括診療加算や地域包括診療料ですら、医療機関、医師の負担が大きく算定範囲が広がっておりません。また、医療従事者の働き方を改革するに対応した診療報酬の改定が検討されておりますが、診療所のかかりつけ医機能の負担軽減に着目した項目が見受けられません。地域包括ケアシステムの構築に当たっては、患者さんの身近に寄り添うかかりつけ医が重要な役割を果たします。ぜひとも診療報酬でかかりつけ医機能を後押ししていただきたいと思います。
2点目として、遠隔診療について述べたいと思います。遠隔診療はあくまでも対面診療の補完であると思われます。ICTの進歩は目覚ましいものがありますが、利便性だけが取り上げられ、安全性や有効性を無視すればかえって患者さんの不利益となります。安全性、有効性のエビデンスを積み上げていくべきです。安易に診療報酬で手当することは問題と考えます。
3点目ですが、医療機関と薬局の連携による医薬品の適正使用を推進するために、長期処方や残薬に関する疑義照会について、その取り扱いを見直すことになっております。前回改定で30日を超える処方の取り扱いが明確化されましたが、患者さんからの要望もあり、長期処方に歯どめがかかっておりません。長期処方によって症状が悪化するケースもありますし、管理できなければ残薬にもつながります。長期処方を是正すべく、さらなる対応をしていきたいと思います。
4点目、透析医療機関における医療廃棄物処理費用について述べたいと思います。透析医療機関が排出する感染性廃棄物の量は膨大であります。廃棄物処理法が改正されてからは、ほぼ全てが処理委託業者への委託となっております。処理委託費用が上昇しており、診療報酬に反映することが必要と考えます。
最後に、診療所の再診料は平成22年度改正の際、病院との統一を理由に71点から69点に2点引き下げられ、平成26年度改定では消費税率8%への引き上げに伴う対応として3点の補填がなされました。しかし、平成22年度の2点は依然として引き下げられたままであり、地域包括ケアシステムのかなめである診療所の再診料は、平成22年度改定の水準に戻すことが必要と考えます。
以上です。よろしくお願いします。
〇田辺会長
ありがとうございました。
続きまして、3番目に林田様、意見の発表をよろしくお願い申し上げます。
〇林田氏
連合千葉で事務局長を務めております林田と申します。
本日はこのような機会をいただき、まことにありがとうございます。
今回の診療報酬改定に関し、保険料を支払う被保険者、患者の立場から4つの視点から意見を述べたいと思います。
1つ目は、公的医療保険の持続可能性の確保という視点です。私たち働く者が加入する被用者保険は、国民医療費の財源の約4割を占める最大の拠出者であり、医療制度の支え手であります。毎年医療費が増加し続ける中で保険料の負担感は決して無視できません。そのため医療機関の機能の分化と連携の強化、急性期後の受け皿となる病床との役割分担と連携あるいは在宅医療の充実、多剤・重複投薬の是正等を通じて医療をさらに効率化・適正化することが何より大切であり、患者、被保険者が納得できる医療の提供を実現する医療報酬改定としていただきますよう要望いたします。
2つ目は、公平な医療アクセスの確保という視点です。千葉県は人口10万人当たりの医療機関や病床数、医師、看護師の人数は全国でも特に少ない上、病院や医師の偏在が大きい地域です。県内の比較でも例えば脳血管疾患の標準化死亡比で言えば、県東部や南部の多くの地域で100を上回っているのが実態であります。同じ保険料を支払っている患者が等しく医療にアクセスできるよう、限られた医療資源を効率的に活用、運用することが重要だと思いますし、こうした視点に配慮した診療報酬としていただきたいと思っております。
3つ目が医療のさらなる透明化という視点です。医療や医療費の内容を患者自身が知ることは、患者の納得と安心につながり、患者と医師のように強固な信頼関係を構築することにつながると思います。連合が実施し、昨年12月6日に公表したモニター調査でも、65歳から74歳では約4人のうち3人が診療明細書を活用していると回答し、診療明細書を活用していると答えた人のうち、約5割は常勤医師が高齢の場合でも例外なく無料発行すべきと厳しい目を向けていることがわかりました。
逆に、実際のところ明細書を見ても内容がよくわからないとか、処分に困るといった声もあることは承知しております。しかし、医療費は被保険者や企業という拠出者の大事なお金で賄われており、これをみんなで使っているんだということからすれば、興味がないで済ませるべきものではありません。患者啓発ということとあわせ、診療明細書の発行は患者の求めによらずとも無償で確実に受け取るものとなるまで、対象を拡大すべきと考えます。
4つ目は、診療を受けながら働き続けられる環境整備という視点でございます。家計、生計を維持していくために、治療と仕事を両立できる環境整備が非常に重要です。医師を初めとする医療提供者の皆様には、これまで以上に患者の生活へも目を向けていただきたいと思っております。その上で患者が主体となり、産業医や主治医が連携することで患者が治療と仕事を両立できるように支える仕組みを、診療報酬でも後押ししていただきたいと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
〇田辺会長
林田様、どうもありがとうございました。
続いて4番目に川越様、御発表のほうよろしくお願い申し上げます。
〇川越氏
千葉県医師会で副会長をやっております、また、五井病院で理事長をやっております川越と申します。
本日は病院の立場で意見を発表させていただきます。このような機会を与えていただき、ありがとうございます。
多くの病院が公私を問わず、経営危機にあります。基本的に病院が経営できる診療報酬の設定が必要です。一般病棟7対1入院基本料について、現在、重症度、医療・看護必要度を満たす患者要件は25%以上となっておりますが、残りの75%の患者さんについて、あたかも退院可能な患者さんであるとの間違った認識があることを非常に残念に思っております。現在、将来の入院医療ニーズの変化に対応するため、入院医療の基本部分と診療実績に応じた段階的な実績部分との組み合わせによる評価体系への見直しが検討されております。急性期の患者にあっては病状が大きく変化し、重症度、医療・看護必要度の患者割合の25%以上は、平均して極めて高度な医学的管理が必要な水準であります。実績部分の評価でこの要件を引き上げることのないよう、強く要望させていただきます。
また、中医協の医療経済実態調査によると、民間、公的病院では7対1病院の赤字が最も大きいという結果が出ています。7対1削減ありきで議論が進んでいるようにも見受けられますが、地域の急性期医療が崩壊しないよう十分な手当をすべきと考えます。
地域包括ケア病棟入院料については、地域包括ケアシステムの構築に向け在宅医療、介護サービスの提供が評価されることにまさに望ましい方向だと考えます。一方、地域包括ケア病棟は、当初は病棟数が少ない中小病院の届け出を想定していましたが、実際には大規模急性期病院の参入が相次いでおり、前回改定で500床以上または集中治療室等を持つ病院では、地域包括ケア病棟入院料は1病棟しか届け出ができないことになりましたが、当初の理念に立ち返り地域医療を支える中小病院の評価にすべきと考えます。
最後に医療安全について述べます。多くの病院で行われている医療安全に対する算定点数が余りにも低過ぎます。医療安全対策加算1が85点、2が35点です。マニュアルの作成や日ごろから院内で実施されている各種医療安全対策について、医師、看護師などの医療従事者の労力や費用の多くがつぎ込まれていることに対しての対価が感じられません。院内で医療安全に対する基準が厳しくなるにつれ、さまざまな対応が今後も求められるのであれば、算定基準や評価水準の見直しを考えていただきたいと思います。
私は現在、県立病院の医療安全監査委員という外部委員を担当しております。県立病院は7病院ありますが、その病院を1年半で今、4病院ぐらい医療安全のことに関してチェックをして回っております。先週、こども病院というところに行ってきたのですが、医療安全はとても大切です。一番優先しなければいけないものですが、そのために医師、看護師がマニュアルをつくり、そのマニュアルがちゃんと実行されているかどうかのチェックシートをつくり、オペ室への入室基準というものまでつくり、それぞれを厳しくチェックして医療安全を守っています。莫大な費用と労力がかかっています。先ほど保険者の方や受診者の方から自分の診療内容だったり医療費がないというお話を聞いたりしましたが、あなたの医療安全対策には850円しか使われていませんということを本当に大きな声を出して言っていいのかどうか。その辺の議論をよくしていただきたいと思っています。
今、人は紙に振り回されているような気がします。先ほどの目次にもありましたが、AIやICTを導入するにはコストがかかります。このコストをどうやって生み出していくかということを考えていただかないと、受診者の皆さんの医療安全を守ることに医師、看護師、スタッフは本当に疲弊をしてしまいます。この辺も十分考慮していただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
〇田辺会長
川越様、どうもありがとうございました。
続いて5番目に市原様から御発表をよろしくお願い申し上げます。
〇市原氏
私は隣の船橋市で国民健康保険課長をしております市原と申します。
このたびはこのような機会をいただき、まことにありがとうございます。
市町村国保は、国民皆保険制度を支える最後の砦として、保険制度改革の最前線に位置しております。その中で地域住民の健康づくりの基盤となる保健事業は、保険制度の安定性、持続可能性を確保するために今後より一層の事業拡大、推進が必要不可欠なものであると痛感しております。平成30年度診療報酬改定の基本方針の中でも重点課題として、地域包括ケアの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進、その具体的方向性の例、また、将来を見据えた課題の中で、医療機関、保険者、地域公共団体等、関係主体が連携し、生活習慣病の発症または重症化の予防に向けた取り組みを推進することが求められております。
本日は医療保険者の立場として、船橋市の保健事業について現状報告なども含め発表させていただきたいと思います。
平成20年度より特定健診・特定保健指導が開始され、本市では当初より誕生月に応じて受診券を個別送付することにより特定健診の習慣化を促し、平成25年度からは有効期限1カ月前になっても未受診の方に受診勧奨通知を送付するなど、受診率向上に努力してきております。その結果、平成27年度の受診率は48.9%と中核市では第1位の受診率となっており、平成28年度も国への報告数値でありますが、48.5%と現状では中核市1位を維持しております。
現在、各自治体においてはデータヘルス計画に基づく保健事業を実施しており、本市でも平成28年度に計画を策定し、平成30年度から第2期計画が始まるところでございます。本市では毎年90人程度の方が新規人工透析導入者に移行している現状を踏まえ、発症または重症化を予防するための取り組みを続けているところでございます。具体的には平成25年度より健診項目にクレアチニンを追加し、腎機能低下のリスクの高い者に対し保健師、管理栄養士が訪問や電話により保健指導を実施し、QOL低下の大きな原因となる新規人工透析予防のための取り組みを実施しております。また、血糖値が高めにもかかわらず、未治療の方については看護師が電話等で受診勧奨を実施し、早期受療につなげるとともに、内服者で血糖のコントロールが悪い方につきましても、保健指導を実施することで糖尿病の重症化を予防し、糖尿病性腎症の発症または悪化を防ぎ、医療費負担の大きい新規人工透析導入者を減少させようと取り組んでおります。
訪問や電話により食生活をお聞きし、保健指導を実施しておりますが、保健指導の担当者からは対象者は問題意識が薄く、危機感のない方もあり、行動変容を促すには行政側の取り組みだけでは厳しいと聞いております。市民の方が安心して生活を送るためにも医療機関との連携が不可欠であり、健診を受けた市民の方が身近な医療機関での指導を受けることの体制整備に努めているところでございます。幸い、船橋市医師会は市の保健行政につきましても協力的であり、船橋医師会において腎臓専門医を委員長として糖尿病専門医、内科医、眼科医からなる慢性腎臓病、いわゆるCKD対策委員会を立ち上げ、オブザーバーとして歯科医、薬剤師などとともに船橋市も参加していただいているところでございます。
共同で連携体制の構築を進めているところでございますが、国でも糖尿病性腎症重症化予防に取り組んでいるという方針が掲げられ、また、千葉県でも糖尿病性腎症重症化プログラムが策定されました。船橋においても今年度も糖尿病連携手帳をかかりつけ医と対象者、行政等の連絡ツールとして活用する取り組みを開始しております。保健行政の取り組みや医療機関と連携強化により、さらに数倍の効果となっていくことを期待しております。
以上、御清聴ありがとうございます。
〇田辺会長
市原様、どうもありがとうございました。
それでは、ただいま5名の方からいただきました御意見に対しまして、委員から御質問等をお願いしたいと思います。
なお、本日の公聴会は、一般の方々から御意見をお聞きして、今後の中医協での審議の参考とすることを趣旨としております。委員におかれましては、本日はいただいた御意見に対する確認や質問のみとしていただき、委員からの意見表明や反論につきましては控えていただければと思っているところでございます。
それでは、ただいまの5名の方の意見に対しまして御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、間宮委員、お願いします。
〇間宮委員
市原さんにお聞きしたいのですけれども、糖尿病の患者ですとかほかの患者もそうでしょうが、未治療の患者に受診を促すということと、患者の意識改革というものが必要だと思うのですけれども、患者の意識改革で何か取り組むべきことというか、取り組んで実際に何か効果が出ていることはあるのでしょうか。
〇市原氏
船橋市の市原です。
改革と言っても、行政が送る勧奨通知というのは、まず受診してもらわないとどうにもならないということがございます。どうしても行政が送る勧奨通知はなかなか皆さんに見てもらえないということもあり、見てもらうような努力はさせていただこうと思ってございます。特に危機感をあおるわけではありませんが、まず通知を開いてもらって受診しなければいけないんだなということと、場合によっては健診などについては費用がかからないということを周知して、気軽に臨んでいただけるようなことは、検討はしております。
以上でございます。
〇間宮委員
ありがとうございます。
〇田辺会長
ほかいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございました。それでは、後半の5名の意見発表に移ってまいりたいと思います。
では6番目の方でございますけれども、毛取様、意見をよろしくお願い申し上げます。
〇毛取氏
千葉県の房総半島の真ん中にある長生郡長南町で歯科医院を開業しております、歯科医師の毛取と申します。
本日、意見を述べる機会を与えていただき、感謝申し上げます。
地域包括ケアシステムの構築が、今回の改定においても重点項目ということを考えております。歯科が地域におけるこのシステムに参加することにより、病院だけではなく介護施設や地域包括支援センター、行政等との連携がスムーズに図れることになり、患者さんにより安心安全な歯科医療の提供ができるようになります。また、口腔ケアや食べること、話すこと等の口腔機能の維持向上が健康寿命の延伸につながり、国民全体の医療費の削減にも貢献できるということも周知されつつあると思っています。
そこで平成28年度診療報酬改定において、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所という施設基準が新設されました。診療所完結医療から地域完結型医療への転換という観点で診療所から外へ出た地域医療への貢献、例えば1歳半、3歳児、学校、成人等の健診または母親学級、学校施設、行政等での保健指導などの評価をこの施設基準に入れて、かかりつけ歯科医機能を地域住民にわかりやすいものにしていただきたいと思います。
また、この施設基準に歯科衛生士の条件があるのですが、千葉県では歯科衛生士の需給問題が深刻でございます。歯科衛生士学校の不足もあり雇用が大変厳しい状況にあります。診療所に勤務していない行政等の歯科衛生士と連携をとることも条件に加えることにより、歯科衛生士不足による地域の医療格差の是正になるのではないかと思います。
地域包括ケアシステムで、例えば病院に入院している患者さんが退院して自宅もしくは施設に戻られ、歯科の訪問診療が必要な場合、退院時共同指導、介護支援連携指導がありますが、私の地域ではがん拠点病院がございません。車で1時間かけて退院前に病院に行きカンファレンスに参加する必要がございます。例えば地域医療連携パスのように書類等を使った現実的に可能な連携等を希望したいと思います。
従来あるう蝕、根管の治療、口腔外科の技術料は低いと感じております。例えば奥歯の抜歯というのは麻酔を含んでも2,600円なのですが、技術としては従来と変わらないものなのですが、有病者の増加、訪問診療での処置とリスクが非常に高くなっていることも考慮していただきたいと思います。ビスフォスフォネート系製剤や抗凝固薬を服用している患者さんでは医科との連携をとるのですけれども、今の情報提供料では評価項目がございません。また、前回の改定でリスクの高い患者さんに対してバイタルサインのモニタリングが評価されましたけれども、施設基準で常勤の歯科衛生が条件となっているため、歯科衛生士がいない診療所では評価されません。こういう点の見直しをお願いしたいと思います。
重症化予防のため、継続的な管理が求められておりますけれども、歯科ではまだ1初診につき1回しか算定できないという項目が幾つかあります。医学的に必要があって実施をしても算定できない、今、診療明細書に項目がそういうものは載りませんので、かえって患者さんに不信感を与えるようなこともございます。
最後に、歯科特有の問題でございますけれども、冠やブリッジ等に使用する金属価格の問題でございます。半年ごとに価格の見直しをするのですが、投機性があり価格変動が激しいものを保険材料とすることはいかがなものでしょうか。また、金属アレルギーの患者さんもふえ、がんの放射線治療においても口腔内の金属が問題となることがございます。CAD/CAM冠という新しい技術、材料が保険適用になった現状もございますので、今後はメタルフリーの方向で進んでいってもらいたいと思います。
以上、御検討のほどよろしくお願いいたします。
〇田辺会長
毛取様、どうもありがとうございました。
引き続きまして、2番目に高原様、よろしくお願い申し上げます。
〇高原氏
あと200日足らずで現在の後期高齢者制度の仲間入りをする高原と申しまして、現在、サンケイちば企画という会社を経営しております。協会けんぽの千葉支部評議員もやらせていただいております。
私の意見は、医療費は国が全て負担する。これが基本であります。当然国民もそれに応じた負担をしなければいけないわけですけれども、現状は夢のまた夢ということであります。そんな中で今回の政府の来年度予算は、この中身は、薬価頼みなところがあってどうかなという部分は否めませんが、おおむね診療報酬改定を含めて私は是としております。
それから、先ほど来、遠隔診療につきまして診療報酬の増による普及、促進についていろいろな形で報道され始めておりますが、これも中医協の委員の皆様に頑張っていただき、ぜひ推進していただきたいと思います。
高齢化社会対策、高齢化社会の到来、医療、介護、これらについていろいろな施策や目標がございましたが、これも私は大いに評価し、是としております。ただ、これらは5年ごとの見直しということであったように記憶しておりますが、現在の社会のスピードから言いますと、5年は時間をかけ過ぎと思われます。いろいろな諸事情ございますでしょうけれども、3年で縮めてでもというふうに思っております。
私の会社は小規模企業です。経済ニュースの中で大企業、そのうちの3分の1あるいは4分の1といろいろな報道がありますが、その企業は大変潤っているようでございますが、潤ったお金は我々のところには全然回ってきておりません。ただいま政府は賃上げをということで、総理を筆頭に経済諸団体にお話されていますが、私たち小規模企業にはその原資がありません。よしんば無理をして賃金アップをしても、今度は従業員、経営者ともに社会保険料アップといいますか、保険料の負担が両方にのしかかってきます。こういう大変厳しい経営の中で、医療費のアップはなかなかで、これは先ほどのいろいろな政策を是とするいう話とまた別の身近な部分です。
結びにですが、一言、言わせてください。一番心配しておりますのは2025年、国民総医療費が61兆を超えるというような報道もあります。これに我々小企業がどう対応してよろしいのかとか、いずれにしましても私は国民皆保険をどうやって維持していく、これは世界に誇るものですからとても大事にしたいのですが、ちょっと心配しております。
○田辺会長
高原様、どうもありがとうございました。
続いて、3番目に高橋様、意見発表をよろしくお願い申し上げます。
○高橋氏
私は薬剤師の高橋眞生と申します。
私の薬局は、船橋で70年以上続いている地域に密着した薬局です。開局薬剤師の立場から4点ほど御意見を申し述べさせていただきます。
まず1点目は、かかりつけ薬剤師についてです。かかりつけ薬剤師の制度は、薬剤師としては今まで当たり前に患者さんのためにやってきたことを評価していただいたと思っています。薬剤師が地域に密着し、健康をサポートしていくことが本来の薬局のあるべき姿です。かかりつけ医と連携して、残っている薬の調整も、その対応も可能となります。地域の方を、薬を通して生まれてから亡くなるまで、予防から治療、療養までを診ていくことが薬剤師の役目だと思っています。この制度の正しい理解と十分な浸透が必要で、そこをお願いしたい点です。
2点目は、訪問薬剤師についてです。私どもの薬局は20年前から在宅訪問をしています。患者様のお宅へ伺うことでさまざまな環境や薬の管理が一目で見えます。管理指導を行える環境にあります。ポリファーマシー、残薬も見え、その状況を訪問医と一緒に解決してきました。また、無菌室を備え、輸液の混注やモルヒネの充填も行っていますが、その需要がふえています。退院時カンファレンスが十分に開催されていない現状の中で、さまざまな病院から多岐にわたる薬品やデバイスが指定されます。在庫の問題もありますが、在宅と入院との違いを理解していただくための連携も必要なのではないでしょうか。入院が機能分化されていく中で、病棟薬剤師の病棟業務が進んでいる。その連携によって患者さんの情報共有することが、より非常に重要な問題だと思っています。
その一方で、外来の多様化に伴い医療機関と保険薬局が連携して患者様の入退院における服薬情報を共有することで、副作用の早期発見、重篤化防止を行っていくことも重要な課題ではないでしょうか。入院から在宅へ、在宅から入院へ薬を通して切れ目のない連携を構築していく必要があります。在宅の適切な評価とさまざまな病棟薬剤師の業務の評価もしていただければ幸いです。
在宅においてのもう一つの課題です。私の薬局では訪問依頼がありましたら、それを断ることはしない方針でやってきました。この年末年始は緊急訪問の依頼が頻繁にあり、その対応に明け暮れました。ただ、薬剤師が頑張り過ぎて疲弊しないか心配です。そのためにも地域の医師、歯科医師、薬剤師が連携して訪問診療ができることが大切で、その整備ができればと思います。
3点目は、後発医薬品についてです。目標の80%に私どもも近づこうと努力していますが、もう少しなのですがなかなか届きません。また、そのために1つの店舗では在庫数が2,500を超えています。これは一般的な病院の在庫数よりもはるかに多い種類です。それによる調剤過誤等のリスク管理のために負担がふえています。ただ、目標を達成するためには薬局だけではなく、行政や保険者の皆様の協力が必要で、啓蒙運動ともに連携してやっていければと思います。
4番目は、地域包括ケアにおける薬剤師の役割についてです。高齢化が進み、私どもの地域では老老介護、認認知介護、独居老人がふえ、そのサポートしてきましたが、安心して地域で暮らしていくためには行政を含め、多職種の連携、地域包括ケアが大事です。薬剤師に関しては名前が入っていますが、まだまだ活躍の場がないのが現状です。薬剤師が地域包括ケアを担う一員としての役割を発揮するために、教育や業務の理解が必要です。薬剤師も薬学が6年制になって優秀な若い薬剤師が業務を牽引しています。その能力を十分に発揮できるような制度にしていただければと思います。
高齢者の大半が薬剤を服用して元気に暮らしています。その薬剤情報を検証し、適切な供給をするためにも、薬剤師の地域包括ケアへの参加は必須であると思います。また、医師、歯科医師、薬剤師などが患者様お一人にチームとして療養に当たる。そしてそこに成果があったならば、そのチームを評価することも地域包括を進めていく上で重要なことではないでしょうか。人生100年の時代を迎え、医療・介護にかかわる皆様が互いを尊重し、協力して保険診療に当たることが今、一番重要だろうと思います。
以上で意見を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○田辺会長
高橋様、どうもありがとうございました。
続きまして、香川様、よろしくお願い申し上げます。
○香川氏
患者スピーカーバンクという患者や障害者の立場にある方が、自身の体験を教育機関や企業で講演活動することを支援するNPO法人で代表をしております香川と申します。
本日はこのような機会をいただき、まことにありがとうございます。
私は1型糖尿病の患者です。9歳で発症し、これまで医療の恩恵を受け、支えられてきました。NPO活動ではがんや慢性疾患、難病などさまざまな疾患や障害のある方から、病気と暮らしにまつわる話を聞かせていただいています。自分を含め、さまざまな患者の声を踏まえ、3点述べさせていただきたいと思います。
1つ目は、保険適用後の患者への影響の実態把握をお願いしたいということです。保険適用後に患者が振り回されるということが起きています。例えば昨年、保険適用された血糖測定器のリブレですが、それまで自費で使ってきた患者にとってはやっと保険適用され喜びましたが、病院では逆ざやになるとの理由で取り扱ってもらえず、仕方なく別のところで自費購入したり、経済的な理由から使用を諦めざるを得なくなったりした多くの患者仲間が困惑しています。私もその一人です。患者にとって必要な医療が適切に届くよう、保険適用後の状況について多面的、かつ、継続的な実態把握をお願いしたいと思います。
2つ目は、患者の治療と仕事の両立を多職種の医療チームで支えるということです。主治医と産業医の連携だけでなく、看護師や医療ソーシャルワーカーなど多職種による支援体制によって患者の生活を支えていただきたいと考えます。なぜなら治療と仕事を継続していく上で生じる課題は、治療と仕事そのものだけではなく、生活上のさまざまな変化が複合的に困難を生み出すからです。私たちのNPOに参加するある20代の男性は、がんの診断から退院後の通院までを振り返り、主治医とは治療に関する話をするのに精いっぱいで、限られた診察時間の中で生活や、その後の仕事のことまで相談することは難しかったと言われます。医師だけでなく多職種が活躍しやすい診療報酬体系にすることが、患者への手厚い支援につながると考えます。
また、両立支援に当たっては疾患を限定しないということも大切と考えます。がん患者だけでなく慢性疾患や難病の患者も、適切な病状管理と職場環境によって長く就労を継続することが可能になります。疾患名で限定しない公平な対応を望みます。
長く元気に働ける患者がふえるということは、社会参加の喜びを味わい、納税する国民がふえるということです。私たちの社会を限られた人の働きに頼って支えるものにするのではなく、みんなが力を持ち寄って支え合えるよう、診療報酬でも後押ししていただきたいと願っています。
3つ目は、患者を中心としたチーム医療による医療安全の実現ということです。診療明細書については、私が通院する病院でも無償で発行されるようになりました。しかし、私は当初よく意味がわかっておらず、自動精算機で診療明細書を発行するか選択する際、発行しない方のボタンを押していました。あるとき患者仲間から、診療明細書というのは自分の受けた医療の全てが記載されているものであり、蓄積することで将来に役立つ大切なものだと教えてもらい、その意義を理解しました。これまで病気とつき合ってきた経験から、患者自身が自分の受ける医療を知り、治療に参加し、医療者とパートナーシップを築くことの大切さを実感しています。患者が診療明細書を能動的に活用することが情報共有を実現し、真の医療安全につながるのでないでしょうか。そのためにもまずはその意義を理解することが第一歩となります。
中医協委員の皆様には、広く国民が理解するための機会を確保していただくとともに、全ての患者が無条件で診療明細書を受け取ることができる環境をつくっていただきたいと願っています。
以上です。ありがとうございました。
○田辺会長
香川様、どうもありがとうございました。
それでは、最後に福田様、よろしくお願いいたします。
○福田氏
まちのナースステーション八千代の統括所長の福田と申します。
本日はこのような機会を与えていただき、ありがとうございます。
私は訪問看護ステーションの管理者の立場から発言させていだきます。
当ステーションは、平成23年に千葉県八千代市に開設した機能強化型訪問看護ステーションです。平成27年からは看護小規模多機能型居宅介護、いわゆる看多機を開設いたしました。利用者は年々ふえ、さまざまな疾患や年齢の利用者をケアしていますけれども、機能強化型訪問看護ステーションとして特にがん末期、難病、人工呼吸器が必要な小児など、医療ニーズの高い利用者にもかかわっております。地域の住民からは訪問看護の内容とは関係なく、医療や健康について気軽に相談できる場として活用していただいており、特に地域密着型サービスになる看多機を開設してからは、民生委員等を通じて地域住民との交流の機会がふえました。利用者の療養の基盤には、こうした暮らしの安定を保障することがまず大事だと実感しております。
それでは、今回特に重要だと思うことを3点述べさせていただきます。
まずは訪問看護の質と量の充実です。当ステーションではスタッフの教育に力を入れており、個々の看護職のキャリアアップに向け、内部、外部問わず研修を受講できるよう支援しています。在宅医療も日々変わっていますので、最新かつ高度な医療に対応できるよう、認定看護師や専門看護師と最新の知識や技術についていつも情報交換し、利用者への質の高いケアの提供や訪問看護のスキルアップにつなげております。既存の褥瘡、緩和ケアの認定看護師の在宅支援に加え、その他の認定看護師の拡大も期待しています。例えば摂食嚥下ですが、食べることは生きることに直結しております。がん末期の方など、最期まで食べたい、食べさせたいと望む利用者、家族が多く、できる限り本人の希望を維持しながら職員もケアしていますが、専門的なかかわりがあることでより質の高いケアが提供できるのではないかと感じることがあります。このような状況を踏まえ、ぜひ今後の検討をお願いいたします。
また、地域包括ケアシステムを推進する視点では、自事業所ではなく病院を含めて地域全体の在宅医療の質の向上が求められていると思います。当ステーションでは年間10人以上、各機関と連携し病院に勤務する看護師の研修を受け入れ、利用者へ同行するなどの取り組みを行っております。自宅で暮らしている穏やかな利用者を見て、本人が自宅での生活を希望しても医療者が絶対に自宅は無理と決めつけていた。病院に戻って本人の希望をよく聞くようになったという病院の看護師からのフィードバックもありました。このような取り組みは、病院に戻った後の入院中のケアの向上、退院調整の円滑化につながると考えております。また、利用者にとってメリットの大きいことですので、ステーションとしては病院との協力体制や連携を重視して積極的に取り組んでいます。
さらに看護師同士の連携についてですが、入院時に在宅での生活状況や本人の希望を含んだ看護サマリーを訪問看護ステーションから病院に送り、利用者に対して継続的なケアが行えるよう、看護師同士連携を強化しております。入退院時の際の看護師間の情報共同指導、また、先ほど述べた研修に対する取り組みについても、さらに推進する方向で評価していただきたいと思っております。
今回の改定での病院型、併設型のステーションに関する提案については、病院も訪問看護に一緒に取り組んでいただけることは心強く、教育のノウハウを持った病院と地域の訪問看護ステーションが共同することで、訪問看護のスキルアップにつながると思います。また、そのつながりから地域で働く訪問看護師がふえていくことを期待いたします。
地域によって医療資源の充実状況はさまざまですが、異業種の状況に合わせて訪問看護ステーション同士で役割分担や機能分化をする方法を考える視点も必要だと思っています。
2点目に、地域で生活する医療的ケアが必要なお子さんへの対応について述べます。今回の改定で、学校との連携や小児を得意とするステーションの評価が充実されたことはとてもよかったと思っています。医療が必要なお子さんやその家族の支援が充実できるよう、今後も後押ししていただければと思います。
最後に、看取りの充実について意見を述べたいと思います。在宅では訪問看護師が利用者、家族と丁寧に相談しながら伴走し、利用者の状況や希望に応じた看取りにつなげています。亡くなる方へのケアは看取りの瞬間だけでなく数週間、数カ月前から時間をかけて準備し、身体的、精神的な苦痛への対応も含めて対応していくものです。既に現場で行っている丁寧な看取りのプロセスが今回、人生の最終段階における医療決定プロセスに関するガイドラインを含めた対応で明確になり、推進の方向で後押しになることは、看取りの充実が図られると考えております。
以上で終わります。ありがとうございました。
○田辺会長
福田様、どうもありがとうございました。
それでは、今、発表いただきました5名の方の御意見に対しまして、委員から御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
それでは、松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
9番目に御発表いただいた香川様にお尋ねしますけれども、治療と職業生活の両立支援につきまして疾病の範囲の拡大ということを少し述べられましたが、それ以外に実際に療養支援に当たって必要な診療報酬上の今後の手当とか、そういったことで必要な点がありましたら御意見を頂戴したいと思います。
○香川氏
先ほど申し上げましたとおり、病気の治療そのものですとか、仕事そのものだけではない困難がさまざま発生しますので、心理的、身体的、社会とのかかわりの変化など、さまざまな変化が玉突き状態となって患者や周りの家族、また、同僚の生活を変化させていきます。まず患者としては、自分が困っていることが一体何なのか、それを誰に話したらいいのか、そこがわからず主治医に適切な相談ができていないということが起こっているのではないかと思います。
私自身の経験から、診察の前にまず認定看護師の方に話を聞いていただいて、私の困りごとを振り分けて主治医に相談、報告すべきこと、看護師と相談すること、栄養士などその他の他職種に相談することなどを振り分けていただいたことで、自分の置かれている状況がわかって行動を起こせたという経験があります。また、それをもとに職場に相談することができたということもありますので、まずは患者の生活全体を見る視点で相談に乗っていただけるというところからのスタートを切れるように支援していただければありがたく思います。
○松本吉郎委員
ありがとうございます。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。では安部委員、お願いいたします。
○安部委員
高橋さんにお聞きしたいのですけれども、1つは御説明の中で後発医薬品の使用率80%という数値目標は一生懸命取り組んでもなかなか難しいというお話がございました。その中で薬剤師以外の協力が必要だというお話だったのですが、具体的に高橋さんが現場でどのような取り組みがあれば実効性があるかというか、薬剤師の努力が結びつくような取り組みなのかというところについて、少し御説明をいただければと思います。
○高橋氏
御質問ありがとうございます。
これに関してですが、一昨年、実際に保険者、印西市の保険者とNPOと薬剤師会で組みまして、重複の調査をしました。ダブっているお薬に関して保険薬局から指導して薬剤を減らしていく。特に後発品が今、名称が先発と後発で患者様がわからなくて飲んでしまっているという医療事故にもつながりますので、そういうものは行政の方、また、保険者の方とタッグを組んでやったらきっと減らせるだろうなと思いますし、今回のその件は一応、学会の方の発表にもなっていると思います。
以上です。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。では、平川委員、お願いいたします。
○平川委員
6番目に発表された西歯科医院長の毛取先生に質問をさせていただきたいと思います。
地域包括ケアにおける口腔ケアの重要性というのは高まっておりまして、それをより実践していくためには歯科医師の方々との協力というのは大変重要かと思います。地域ケア会議の参加とか、サービス担当者会議への参加がそれぞれ求められております。そういった意味で今回、診療報酬上でかかりつけ歯科医の要件が明確になってきましたけれども、その辺の影響や今後の課題等、御示唆がございましたら教えていただければと思います。
○毛取氏
実際に現場としては、地域包括ケアというのがなかなか動いていない状況がございまして、それにまた今回の28年の改定でそういう施設基準が新たにできていくことがきっかけに、歯科医がどんどん積極的に参加できるような条件が出てくればよろしいかなと思っております。
そうした中で先ほどの施設基準のそういう地域包括ケアシステムに特化したような、もっとわかりやすいものに変えたらどうなのかなということで、また、地域の住民の方もかかりつけというのは我々医師会はほとんどの患者さんがかかりつけなので、この先生はそういうところに積極的に参加しているんだという安心ができるようなものに変えていただきたい。具体的には先ほどお話させてもらいましたけれども、地域医療に貢献するような、 実際に現場としては、地域包括ケアというのがなかなか動いていない状況がございまして、それにまた今回の平成28年の診療報酬改定でそういう施設基準が新たにできていくことがきっかけに、歯科医がどんどん積極的に参加できるような条件が出てくればよろしいかなと思っております。
そうした中で先ほどの施設基準のそういう地域包括ケアシステムに特化したような、もっとわかりやすいものに変えたらどうなのかなということで、また、地域の住民の方もかかりつけ歯科医師というのは、我々歯科医師会はほとんどの患者さんがかかりつけなので、この先生はそういうところに積極的に参加しているんだという安心ができるようなものに変えていただきたい。具体的には、先ほどお話させてもらいましたけれども、地域医療に貢献するような、また、予防とかそういう啓発をしている先生の評価もしていただきたいと思っています。
○田辺会長
ほかいかがでございますか。では間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
福田さんにお伺いしたいのですけれども、医療ケアが必要な子供への対応ということなのですが、教育機関との連携みたいなものはどのようにしたらいいかなというのはありますでしょうか。
○福田氏
御質問ありがとうございます。
医療ケアの必要な子供さんがかなり増えてきていまして、学校との連携は個別的に地域の中で行っている状況で、もちろん訪問看護ステーションから学校に訪問して、特に何も報酬はないのですけれども、お伺いして、こういうことが必要だとか、リハビリも一緒に行って子供の連携について学校の先生と協働しているのですけれども、それは全部個別の訪問看護ステーションと学校との連携というところでまだ今、任されているところがありますが、基本的に学校との連携はかなり密に行っております。
○間宮委員
学校現場での医療の知識というか、そういう意味では余り足りていないなと思っているのか、足りていない場合は足りていない部分をどのようにフォローしていったらいいのかなというので何か方策というか手立てはありますか。
○福田氏
これも地域によって違うのですけれども、八千代市の場合は特に八千代市の特別支援学校に看護師が3人いて、学校の中では特に看護師が足りていないということは聞かれないのですけれども、お母さんが必ず学校の中で見極めをしなくてはいけなくて、お母さんが学校の先生にこういうやり方で大丈夫だよというところまで、何回も何回もお母さんが学校に付き添って学校の先生の見極めをしているので、かなりお母さん方が何回も学校に行かないといけません。それも毎学期行かないといけないという形で、かなり疲弊感を持たれていて、それで学校に行けなくなったというお子さんもいらっしゃいます。そういったところが訪問看護師とか日ごろ診ている看護師が学校の先生の見極めができるようになれば、もっと柔軟に医療ケアの必要なお子さんが学校に行けるのではないかと実感しております。
○間宮委員
ありがとうございました。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。では松原委員、お願いします。
○松原委員
NPO法人代表の香川さんに教えていただきたいのですけれども、先ほどの保険適用になっても逆ざやの問題で結局使えなくなったり、自費購入になったりというお話があったのですけれども、名前が聞き取れなかったので具体的なお名前を教えていただきたいのと、その病院だけの話ではなくて、幾つかの病院を回ってもそういう結果だったのかということ。あと、ほかにもこういう同じような事例があれば、ぜひ具体例で教えていただければと思います。
○香川氏
1点目はデバイスの名前でしょうか。デバイスの名前はグルコースを測定するFreeStyleリブレというものです。血糖値そのものを測るわけではないのですけれども、トレンドを推定し、かざすだけでグラフで見ることができ、患者が常に自分の血糖の推移、傾向を見ることができるというもので、これまで真っ暗な道に所々電灯がついていて進んでいる道に、ぱっと明かりがついて、自分の進む道が見えるような、それくらい自分の血糖の推移が見えるということがこんなに精神的にも身体的にも自由度をもたらしてくれるものだというものを実感しました。
2点目の私が通っている病院だけかというものについては、調べていないのでわからないのですけれども、SNS等で患者仲間と全国でつながっているのですが、使えるようになった患者の投稿に「いいわね、うちはまだ使えないわ」とか、使えないとつぶやいたら「うちも、うちも」と言って、力を入れているクリニックだったら使えるのだから移ろうかなとか、そういう相談もしたりしているのが続いている状況です。
また新しいものがきっと出てくるからという声もかけられるのですけれども、この仕組み自体が改善されない限りは、幾ら革新的な医療機器が出てきても同じことが繰り返されるのかなと思うと、もっと希望が持てる状況の改善を求めたいなと思っています。
済みません、3点目は何だったでしょうか。
○松原委員
同じようなことがほかのものでも起きているのか、事例があれば教えていただければと思います。
○香川氏
承知しました。具体的に何があるというのは済みません、勉強不足で出せないのですけれども、いろいろな患者団体とネットワークというか、おつき合いをさせていただく中で、今回の自分の直面した状況を難病のNPOをされている方に相談してみたところ、あるあるですねと笑われたので、こういうことはよくあることで、一喜一憂しているのもよくあることと思ったほうがいいのかなと諦めたようなところもありましたので、別の疾患の方でも同じような状況は経験されているのかなと推察しているところです。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。では幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
8番目の高橋様に質問です。現在、高齢者の残薬や多剤服用が大きな社会問題になっており、薬局の現場においてもそういった状況を多々散見されていると思いますが、実際に現場では医療機関に対する疑義照会は円滑にできているのか、また、疑義照会が行いにくい環境なのであれば、どのような仕組みがあれば円滑にできるとお考えなのか、支障のない範囲で構わないので、教えていただければと思います。
○高橋氏
私が在宅をやったきっかけというのは残薬です。非常にひどい残薬がたくさんありました。ただ、大分解消されてきているなとは思います。今、お薬手帳があって、それを見ると大体いつごろ出たのか、また、いつごろ処方されたというのが見えますので、そういう意味ではお薬をこの時点だったら回収もどうだろうというところで先生とお話をすることはできます。ただ、これは2年、3年前のお薬というと廃棄せざるを得ないと思っていますので、そのあたりに関しては医療機関に問い合わせしても捨ててくださいということになっています。
先生方との連携に関しては、なかなか先生方もお忙しくてお電話に出ていただけないということも多いので、FAXなり何なりでこういう状況です。これに関してどのようにしましょうかという御指示を、また、一本化したり、使える分に関しては使って、それ以外は回収して廃棄したりということで動いています。そんなに難しく困っていることはないと思っています。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ここで質問のほうは打ち切らせていただきたいと思います。10名の方々から非常に貴重な御意見を頂戴いたしました。我々委員としても非常に参考になる情報でございまして、これをもとにまた議論し、考えていきたいと思います。
本日いただきました意見を私のほうで簡単にまとめさせていただきますと、診療側、支払側両方のお立場から、ある一定の共通した方向性というのが共有されているなという感じは受けました。
まず第1には、この日本の医療保険制度というものの維持ということが非常に大切である。そのために何かをしなければいけないという点では両側、それに対してある意味、懸念とそこに対する誇りというものを感じた次第でございます。
2番目に、機能分化の問題がございます。特にここ数年、かかりつけ医、かかりつけ薬剤師、かかりつけ歯科という形で、このかかりつけの制度というのが非常に重要になってきており、それと急性期の大病院の治療との間でどういうすみ分け、分業をするのか。すみ分けした後にそれをどのように連携をたどっていくのかという点に関するある種の方向性が共有されているのではないかと感じた次第でございます。
3番目に、皆様方のキーワードとして必ず地域というものが入っておりました。その中で恐らく地域包括ケアの体制をいかに構築していくのか。そのためには例えば在宅であるとか訪問というもののウエートが恐らくは拡大していくだろう。それに伴いまして各医療機関のみならず、地域の方々、薬剤師、歯科医等を含めて訪問介護センター等を含めまして、さまざまな連携というものを組み立てる仕掛けをつくっていかなければいけないのだろうという方向性は感じたところでございます。
4番目といたしまして、仕事と医療の両立という課題、それに対して医療ないしはこの保険の中でどのように対応していけるのかという重要性が指摘されたところでございます。
最後に、両側ともに医療安全の問題に関して、これも非常に大切であるという視点が提示されました。
この5つに関しましては恐らく今後我々が診療報酬を考えていく際に、共通の方向性として肝に銘じておかなければいけないことかと感じた次第でございます。
他方、共通する部分だけではございませんで、ある種、支払側と診療側の立場の違いというものも出てきたところでございます。
まず支払側の立場の御意見といたしましては、何よりも保険者側の財政が非常に悪化しており、非常に危機的な状況にある。これを何とかしてほしい。そのためには医療の効率化、効果的な提供システムを考えていただきたいという御意見が表明されたところでございます。
2番目に、ICTに関しましては、できるだけこれを進めていただいて、効率的な提供体制をつくっていただきたい。できれば促進してほしいという意見が提示されたところでございます。
3番目に、医療安全に関しましては、何よりも患者に対する医療明細書の発行を義務化していただいて、それが確実に反映されるようにしてほしいという御意見をいただいたところでございます。
4番目といたしまして、この連携に関しましては医療関係提供団体だけではなく、市町村を含めてどのような形で進めなければいけないのかということに関する非常に高い関心が示されたところでございます。
他方、診療側のお立場からは同じようにまた別の意見が出てきたところでございます。
まず第1には、病院側の経営状態、診療所の経営状態というものが非常に困難になっており、そこを何とかしてほしいという訴えがあったと記憶しております。
2番目に、地域包括ケアに関しても、それが進めていく方向であることは否定されているとは思いませんけれども、これに関する加算というものをもう少し要件等を考えていただきたいという意見が出されたと感じているところでございます。
3番目に、ICTの利用に関しては対面診療というものが基本にあり、これを拙速に拡大することに関しては、若干の懸念が出されたと感じるところでございます。
最後の4番目といたしまして、医療安全に関しましては特に医療廃棄物のコストに関して何も診療報酬において対応できていないではないか。ここを確立できるような評価が必要ではないかという御意見が出されたと感じたところでございます。
以上、さまざまな御意見があり、また、私のまとめの中では漏れているものも多々あろうかと思いますけれども、10名の方々の非常に大切な御意見をこのような形で受けとめさせていただいたということを述べさせていただきました。
本日いただいた御意見等を踏まえまして、これから中医協でさらに審議を重ねてまいりたいと思っておりますけれども、支払側委員、診療側委員の方々からそれぞれ一言、御感想をいただければと思います。
では支払側の感想をよろしくお願いいたします。幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
1号側、支払側委員の幸野でございます。
支払側委員を代表いたしまして一言、申し上げます。
本日はお忙しい中、公聴会に御参加いただきまして、また、貴重な意見を賜り、本当にありがとうございました。
中医協は来月、2月7日の答申に向け、まさに来週から方向性、結論を得る場となってまいりますが、この時点において国民、患者の意見を代弁すべき支払側委員として、本日こうして皆様の生の声をお聞かせいただいたことについては、非常に有意義な時間であったと思っています。
平成30年度改定は、6年に一度の医療と介護の同時改定であるほか、薬価制度の抜本改革も加わり、多岐にわたる長時間の論議を展開してまいりました。1号側、2号側それぞれ立場がございますので、一致する意見もありますが、激しく対立する場面もありました。
しかしながら、双方共通した理念を持っております。それはいかに質の高い医療を追求し、限られた財源の中で将来にわたり国民皆保険制度を維持していくかということが最大の共通理念です。この共通した理念がある限り、必ずや正しい方向性、結論が出るものと思っております。来週からまた本格的な議論になりますが、本日の皆さまの声を参考にさせていただきたいと思います。
本日は大変ありがとうございました。
○田辺会長
幸野委員、どうもありがとうございました。
それでは、診療側の委員からよろしくお願いいたします。松本純一委員、よろしくお願いいたします。
○松本純一委員
2号側委員を代表いたしまして、感想を述べさせていただきます。
本日はお忙しい中、千葉県の皆様方には公聴会にお集まりをいただきまして、大変ありがとうございました。また、10名の意見発表していただいた方々には本当に貴重な御意見を頂戴いたしまして、大変ありがとうございました。
今、田辺会長がまとめられたように、方向性が共有できたというものがあったというのは非常にありがたかったと思います。また、国民皆保険を守っていこうという共通認識が持てたということも大きな収穫でございました。
ただ、会長も述べられましたように、一部それぞれの立場での意見が違うところがございました。それはそれぞれの立場での意見表明であったと受けとめさせていただきました。その部分においては、それぞれが満足していただけるような答えがなかなか見つけ出せないように、今、幸野委員も言われましたように方向性は同じ方向を向いているのですけれども、中で激しくやり合うようなところもあったように、中医協での議論も同様にそれぞれが全て満足というわけにはまいりません。ともすれば三方一両損になりがちでありますが、何とかその辺は努力して三方一両得となるようにいたしまして、日本の医療全般が今後ともよりよい方向に向かっていければと思っておりますので、千葉県の皆様におかれましては、今後とも御指導よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
本日の意見を踏まえまして、さらに今後の審議を行ってまいりたいと思います。
10名の報告者の皆様方には、私からも深く御礼申し上げる次第でございます。
それでは、以上をもちまして「中央社会保険医療協議会 総会(公聴会)」を閉会させていただきます。
なお、平成30年度診療報酬改定につきましては、現在、厚生労働省のホームページにおいてパブリックコメントの募集をしており、本日が募集期限となっております。傍聴された方の中で御意見等がございましたら、本日のアンケートに御記入いただくか、またはパブリックコメントのほうに御意見を提出していただければと存じます。
本日はお忙しい中、御参加いただきありがとうございました。これで閉会したいと思います。
<照会先>
保険局医療課企画法令第1係
代表: | 03-5253-1111(内線)3288 |
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第385回議事録(2018年1月19日)