ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第377回議事録(2017年12月8日)
2017年12月8日 中央社会保険医療協議会 総会 第377回議事録
○日時
平成29年12月8日(金)9:00~13:01
○場所
厚生労働省講堂(低層棟2階)
○出席者
田辺国昭会長 野口晴子委員 松原由美委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員 中村洋委員 |
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 |
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 |
安部好弘委員 |
菊池令子専門委員 横地常弘専門委員 丹沢秀樹専門委員 |
<事務局> |
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官 |
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他 |
○議題
○横断的事項(その6)について
○横断的事項(その7)について
○入院医療(その9)について
○調剤報酬(その2)について
○個別事項(その7)について
○議事
○田辺会長
それでは、おそろいのようでございますので、ただいまより、第377回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、榊原委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうをお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
初めに「横断的事項(その6)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
医療課長、よろしくお願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
お手元の総-1-1「横断的事項(その6)」を御審議いただきたいと思っております。その6は医療と介護の連携の関係でございます。
2コマ目、紙で1枚目の下に表がございますけれども、医療と介護の連携、今回同時改定でございますので、さまざまな視点から御議論をいただいておりますが、連携に関します議論の整理といたしまして、大きくこの3つの列でまとめております。
今回御審議をいただきたいのは、関係者の連携、看取りの関係の下線が引いてあるところです。3列のうち左側、関係者の連携、真ん中の看取り、これは基本的にはサービスや診療の内容によらず、全般的ないわゆる横断的と言っていいと思いますけれども、そういう観点で幾つか既に御審議をいただいておりますが、今回はその残りであります。今回の御審議では扱っておりませんけれども、訪問介護・リハビリ、サービスごとの連携の関係も既に御審議をいただいております。
3コマ目、個別に入りたいと思います。まず最初に1点目は介護支援専門員、これはいわゆるケアマネさんであります。あるいは、老健施設との情報共有・連携でありまして、2つ中身が分かれております。入院中からのケアマネさんへの情報提供、それから、かかりつけ医と老健施設との連携であります。順次御説明させていただきます。
4コマ目、課題でございます。3つ○がございますけれども、まず1点目、介護支援専門員、ケアマネさんでありますが、利用者が入院中、すなわち介護保険の被保険者が入院中の場合、医療機関に赴いて、退院時、すなわち退院した後でそれぞれ日常の生活に戻っていただくことになるわけでありますが、その退院時のカンファレンスに参加する場合の評価が設けられております。退院時カンファレンスに参加するケアマネさんの割合は約半数ということであります。それから、55%の介護支援専門員が医療機関から急な退院の連絡があるということで、対応ができないという回答があったということでございます。すなわち、退院時にカンファレンスをやると突然連絡が来るので参加できないという趣旨だろうと思います。
2点目、介護支援専門員宛ての診療情報提供、これにつきましては、入院医療を担当している課において、かつ退院後2週間以内に行った場合に算定できるという評価の対象になっているのが現状でございます。
3点目、老健の関係でありますけれども、老健施設に入所する場合に、薬剤に関しまして中止・変更、すなわち入所した時点で一定の医薬品の処方の状況とか服薬の状況について整理される、あるいは改めて検討されることがあるということでございますけれども、その場合、28~35%の施設につきましては、恐らくもともと診療されていたかかりつけ医がおられると思いますが、そのかかりつけ医に対する説明については「あまりしない」あるいは「全くしない」、大体3分の1程度がそういう状況になっているということでございます。順次御説明いたします。
5コマ目、これはイメージ図であります。入退院、すなわちもともと居宅におられて、あるいは施設かもしれませんけれども、入院をされて、そして退院時に基本的には在宅に戻っていただくに当たって、ケアプランの策定等々がございます。したがいまして、その手前でカンファレンスを行う、その前にアセスメントがあるということでございます。
6コマ目、先ほど御紹介しました数字でありまして、カンファレンスに出席する割合が半数程度、そして、時間的には60~90分程度の時間であるということでございました。
7コマ目、その退院時の連携状況でありますけれども、カンファレンスに参加するためにどのようなことが課題かということでありますが、日程の調整が難しい、日程の調整が直前になるので、急な連絡があるのでということが課題になっているということでございます。
8コマ目、この連携に関する評価、こういった連携に係る評価がございますということでございます。
9コマ目、先ほどちょっと触れましたが、指定居宅介護支援事業者、これは正式な名称でありますけれども、ケアマネさんへの情報提供でありますが、入院医療を担当した医療機関から2週間以内というのが算定の要件になっているということでございます。
ここまでがケアマネさんとの連携であります。
10コマ目以降、老健との連携の関係であります。入所されたときの内服薬の分布、それから、一定程度の期間がたったときということでありまして、老健施設におきましては入所されたときに服薬の状況と一定の再検討されるケースが多いと承っておりますが、この表でお示しをしておりますのは、平均的に5.9種類の服薬をされておるわけでありますけれども、入所時と一定の期間後で減薬をされているというのが一般的な傾向であるということでございます。
そういう取り組みがある中で、11コマ目、12コマ目でありますけれども、11コマ目、では、そういった減薬の取り組みに係る内容をかかりつけ医から情報を得ているか、あるいはかかりつけ医にフィードバックしているかという点で行きますと、情報を受けているのかというのは、かなりの程度、79%は必ず受けているということでありまして、情報の内容は主病でありますとか服薬の状況などでございます。
12コマ目、一方で、かかりつけ医に入手した情報につきまして、確認をするしない、それから、かかりつけ医の説明に関しますフィードバックの状況でありまして、ここに記載のとおりでありますけれども、確認については半数程度、そして、かかりつけ医への説明については、基本的に余り御説明されていないということが状況として見てとれるということでございます。
13コマ目、まず、ケアマネさんとの連携でありますけれども、情報提供につきましては、先ほど見ていただきましたとおり、現行の報酬算定につきましては、一定程度に係るさまざまな内容につきまして、規定がございます。そこで、情報提供につきまして、円滑に介護サービスに移行するということを考えましたときには、介護支援連携指導料という算定が一定程度ありますけれども、それが算定できない場合については、一定の要件下で評価の対象として考えてはどうかというのが1つ目の御提案であります。
2つ目の御提案、老健施設との関係を見ていただきましたけれども、先ほど御紹介しましたとおり、多剤投薬でございますとか重複投薬、こういったものの減薬の取り組みを老健施設でやられるケースは結構ありますので、そういったせっかくの取り組みにつきましては、入所中の情報について、退所後の外来受診時に一定程度フォローを行っていただくなど、そういったことを評価として検討してはどうかということが御提案の2点目であります。
14コマ目以降、医療・介護の連携の2つ目のテーマ、介護施設での看取りでございます。
15コマ目、課題をまとめてございます。これはその下の16コマ目の表とあわせて見ていただきたいと思います。人生の最終段階の過ごし方につきまして、実際には多様な御希望がございます。それは16コマ目、さまざまな状況によって、例えば医療機関であったり、介護施設であったり、居宅であったり、状況によりまして、多様な御希望といいますか、お考えがあるということでありますが、その前提で見ていただきますが、介護施設で過ごしたいという方々につきましても一定程度おられるということでございます。その前提で、介護施設との看取りとの関係の連携を見ていきます。
17コマ目、介護老人福祉施設、これはいわゆる特養でありますが、医師の診察等であります。基本的には特養、介護老人福祉施設につきましては、配置医が必ずおられるわけでありますけれども、配置医以外の訪問診療でありますとか、往診を依頼できる施設は基本的には余り多くないということで、その下の帯グラフがありますけれども、依頼可能な医師の有無でありますとか、これは往診、訪問診療いずれも多くはないということでございます。
18コマ目、基本的には特養、介護老人福祉施設における看取りのケアに関するイメージであります。先ほど申し上げましたとおり、基本的に配置医はおられるわけでありますが、配置医の看取りに係る関与のされ方については、きょうはお示しをしておりませんけれども、以前資料でお示ししておりますが、さまざまなケースがあるということでございます。そういった場合に、施設外、特養の外からの医療機関との連携についてどのように考えるのかということになりますけれども、医療と介護の給付の関係について言うと、末期の悪性腫瘍等に限るという形で、訪問診療は可能になっておりますが、看取り期についての報酬について言いますと、一番下に書いてございますが、介護報酬の中で、例えば特養でありますと看取り介護加算というものも含めて一定の設定があるわけですが、これは外からの医療機関から、もしそういったことで対応した場合については、ここに記載しております18コマ目の右下のようなターミナルケア加算、あるいは看取り加算については、重複して算定できないというのが現在の運用の考え方であります。
19コマ目、その点を含めて表としてまとめてございます。今、お話をしましたのは訪問診療ですが、同様に訪問看護につきましても併算定できないという運用になっているということでございます。
20コマ目、そこで論点でありますが、介護施設の入居者・入所者に対しまして、看取り期のケアを充実していくということは基本的には求められているということであります。その場合、現行で一定程度の要件のもとで医療機関との連携は基本的には認められているわけでありますので、この○の2行目あたりからですが、医療機関や訪問看護ステーションが協働して看取り期のケアを行う場合に、施設内で看取りが行われた、その場合には、その看取りに係る体制に応じまして、協働した医療機関でありますとか訪問看護ステーション、これについては、算定を可能とするような対応をしてはどうかというのが御提案であります。
22コマ目から27コマ目、これは看取り期の関係のケア、高齢者向けの住まいの概要等々の参考資料であります。詳細は省略させていただきたいと思います。
28コマ目から、3点目、訪問指導料の単一建物に係る取り扱いでございます。
29コマ目、課題でありますが、まず訪問指導料の単一建物に係る取り扱いということで、3つまとめてございます。これは下にも表はありますけれども、まず診療報酬において訪問指導料の関係につきまして、それはその下の30コマ目の一覧で見ていただければと思いますが、現状では同一建物居住者とそれ以外という報酬設定になっているということでございます。
2つ目のポツ、一方で、これは御案内だと思いますが、前回改定で在宅時医学総合管理料等、これは在総管と俗に呼んでいますが、具体的に申し上げますと、32コマ目、これは28改定のまとめであります。28改定におきまして、単一建物の患者さんの人数に応じまして報酬設定を変えているわけでありますが、こういう設定をしたということでございます。29コマ目に戻っていただきますが、28ではそういう対応をしたということが2つ目のポツです。
3つ目のポツ、今回御検討いただきたいことに関連するわけですけれども、今回同時改定で介護報酬改定も並行してさまざまな検討をされているということであります。介護報酬の中に居宅療養管理指導につきましては、28改定、つまり、前回改定で診療報酬が対応した、先ほど見ていただきましたような対応の整合性を重視していただいて、単一建物の患者さんの人数につきまして対応することが検討されていることが背景にあるということであります。
33コマ目、34コマ目であります。33コマ目、今、お話をしました介護給付費分科会、今回改定の審議の資料を拝借しておりますが、居宅療養管理指導について整合性を確保するという観点で見直しを行う対応をされているということでございまして、論点としましては、34コマ目にまとめてございますが、冒頭に御紹介しましたとおり、単一建物の診療患者さんの人数に応じた体系に在宅時医学総合管理料等はもう見直しをされておりますので、介護報酬でのこういった対応を見据えた上で、このポツが3つ書いてございますけれども、ここに掲げております指導料につきましても同じような対応をして見直してはどうかというのが御提案でございます。
35コマ目以降、これはこれまでの御審議の中で、訪問看護について同時改定ということもございまして、どのような報酬体系になっているのかということを一回整理してほしいという御指摘がありましたので、これはきょう細かく御紹介はしませんけれども、36コマ目、これは医療保険と介護保険の訪問看護の対象者のイメージ図、37コマ目、38コマ目、それぞれの報酬体系がどのように違うかということを一覧表で比較しております。
事務局からは以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
質問を幾つかお願いいたします。この13コマ目のスライドの中の論点でありますが、診療情報提供料という新たなものをつくるのではなくて、この中で提供先をふやすという考え方はよろしいかと思うのですけれども、1点お聞きいたします。今はないわけですけれども、今後つくられるであろう介護医療院への情報提供というものも同じような考え方の中で認めていく方向と考えてよろしいのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
御指摘の点は確かに非常に重要な論点なのですが、介護医療院の報酬設定につきましては、介護給付費分科会で専ら御審議をいただくことになりますので、私のほうからのコメントは差し控えさせていただきたいと考えます。老健課長がおられるようであれば。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
診療情報提供料というのは、診療報酬上の設定だと思うのです。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
もしかしたら私が御質問の趣旨をたがえていたのかもしれませんが、今回入院中に行う介護支援専門員、すなわちケアマネさんへの情報提供ということですので、介護医療院でケアマネ事業所に情報提供をした場合の算定という御趣旨かと思いましたので、そのように答えさせていただいたということでございます。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
退院後、介護医療院へ移られる。そのときに情報提供をどうするかというお話なので、医療課長が言われることは私には理解できないのですが。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
大変失礼いたしました。私どもの先ほどのやりとりは介護支援専門員に対する情報提供であります。恐らく松本純一委員の御質問を私はたがえておりまして、医療機関入院中の患者さんが介護医療院に移られた場合の情報提供ということだろうと思います。これにつきましては、介護保険3施設、今度新しく介護医療院の設定ができるわけでありますが、基本的には以前も御審議いただいた、取り扱いについては現行の介護保険3施設の並びを重視するという整理をさせていただくつもりでおりますけれども、詳細については改めて検討させていただきたいと思います。原則的には現行の介護老人福祉施設、老健、現行の介護療養病床の並びで整理させていただくものと理解いたしております。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします
○松本純一委員
9コマ目のスライドに診療情報提供料(1)の提供先が整理されております。現行、介護医療院はないわけですけれども、療養病床を転換するという大きな目的の中でありますので、その辺の整理を今後よろしくお願いをしたいと思います。
13コマ目に戻りまして、2つ目の○ですけれども、評価というものに対しては、何を評価はいいですけれども、誰に評価をする、老健施設のほうなのか、かかりつけ医のほうなのか、この評価というのはどういうイメージでおられるのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
申しわけありません。2つ目の老健施設との関係での御質問という理解でお答えをしますと、13コマ目の2つ目の○の老健施設との連携について、これはかかりつけ医に係る評価でございます。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
それならば結構です。いわゆる退所後の評価ですので、かかりつけ医が評価を受けるということで、納得をいたしました。
次の20コマ目の論点のところで確認をしたいのですけれども、非常に読みづらい文章で、最後の行を見ますと「訪問看護ステーションでも看取り期のケアに係る診療報酬を算定可能としてはどうか」ということでありますが、これはあくまでも医療保険での訪問看護の範疇にあるものということで、介護報酬と診療報酬とダブルで算定ということでは決してないですね。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
御指摘のとおり、これは20コマ目、診療報酬と書いてございますけれども、訪問看護ステーションの場合には報酬という位置づけではないものもありますので、医療保険で扱うものという趣旨であります。その上で、ダブルという表現が当たるかどうかわかりませんけれども、基本的には評価の対象が違っておりますので、介護の施設サイドの、例えば看取り介護加算を算定していたとしても、ここで御提案をしていますのは、一定の要件で医療保険サイドがターミナルケアを行った場合には、現行では併算定できませんけれども、併算定していくことを認めてはどうかという御提案であります。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
整理します。介護保険で行っている訪問看護においても算定できるということなのでしょうか。そうではないですね。その辺をはっきり。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
18コマ目を見ていただきまして、まず、今回御提案をするのは医療保険サイドの対応でありますので、介護保険の訪問看護が並行して行われるケースはもちろんあり得るのだろうとは思いますが、そこについては今回検討の対象とはいたしておりません。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
ありがとうございました。
最後の単一建物の取り扱いに関する論点、34コマ目ですけれども、診療報酬上考え方を一にするという中では、当然こういう考え方でよろしいかと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
遠藤委員、お願いいたします。
○遠藤委員
今の34コマ目の単一に関する論点でございます。以前から歯科のほうで意見を述べてございますが、人数割りにすることは特に反対はないですけれども、同一か単一かということで、歯科の場合、訪問診療の中に往診も含まれておって臨時で呼ばれるケースも結構ある。これも多数を診ている医療機関ですとある程度そういった対応もできると思うのですけれども、かかりつけ歯科医が行うような訪問診療において月末締めで人数を確定するというのは非常に困難だということで、可能であれば同一というか、当日の人数割りであれば対応はできるということでございますけれども、単一でやるのであればそういった臨時のものについての対応をぜひ御考慮いただきたいというのが意見でございます。
○田辺会長
安部委員、お願いいたします。
○安部委員
34コマ目の単一建物に係る取り扱いにつきましては、共通の方法として、在宅患者訪問薬剤管理指導料についてもその方法でよろしいかと思っております。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
20コマ目の看取りに関する論点ですけれども、看取りに関して協働して医療機関や訪問看護ステーションで対応していった場合という話になっていますが、介護老人福祉施設はドクターがいるわけでありまして、そのドクターが対応できない場合、しない場合というのは相当あるのかどうなのかというのが、まず質問ですけれども、お聞きしたいと思います。
○田辺会長
この点はどちらかな。
老人保健課長、お願いいたします。
○鈴木老健局老人保健課長
老人保健課長でございます。
特別養護老人ホームにおけます看取りの関係でございますが、配置医が行うケースにつきましては、データは今持ち合わせておりませんが、かなりの頻度で行われているということになっております。ただ、一部のとき、緊急ですとか、そういった場合につきましては、外部の医師にお願いすることもあると聞いているところでございます。
○田辺会長
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
ドクターが配置されているのに他の医療機関との協働というのは納得できなくて、もしもそういうことが繰り返されているのであれば、そもそも特養におけるドクターの位置づけは何なのかと疑問に思います。この論点については疑問を感じています。
以上です。
○田辺会長
老人保健課長、お願いいたします。
○鈴木老健局老人保健課長
老人保健課長でございます。
特別養護老人ホームにおけます配置医の役割につきましては、基本的には入所者に対します健康管理ですとか療養上の指導といったものが中心になっておりまして、配置医につきましては基本的には非常勤ということになっていますので、24時間365日配置医がいらっしゃるわけではない状況になっているところでございます。
○田辺会長
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
それでこの論点を出すというのは理由にならないのではないかと思っています。非常勤だからしようがないというのは全くもってあり得ない話で、当然のように問題があれば非常勤であっても来ていただかないとだめだし、何のためのドクターなのかが私は今の回答では理解できませんでした。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
論点を提示したのは私どもでございますので、背景を御説明させていただきます。中身については老健局から御説明いただきたいと思いますが、26コマ目と27コマ目に、先ほど説明は省略させていただきましたけれども、介護老人福祉施設における医師の診察等ということで、これは以前お示ししたことがございますが、看取り期に係る特養での診療の実情についてデータを提出させていただいております。詳細は老健局から解説いただきたいと思いますが、介護老人福祉施設における配置医の役割の中にはかなりの幅があるということが実態であろうと理解いたしております。その中で実際に併給ができる形で、現行制度においても、がんの終末期等におきましては医療保険のほうから給付を行っておりますので、その前提で今回の御提案であります。そもそも現行制度においてそういった枠組みになっているということを前提としての御提案でありますので、その上で御審議いただきたいと考えております。
○田辺会長
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
そうなると、この場は中医協なので余り議論してもおかしいのですけれども、今後介護老人福祉施設の配置医の位置づけは変わっていくということなのですか。配置医はこれから必要ないという話につながっていくのではないですか。これは余り拡大して話をしていくと、そういう話になりかねないと思いますので、この辺については慎重に対応すべきだと思っています。
以上です。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
今の看取りに関しての関連なのですけれども、そもそも今回の事務局の御提案の介護保険施設の看取りの現場における配置医の要件、それと今回御提案の医療機関と訪問看護ステーションが看取りに行く、いわゆる協働、この必要性は私は理解できると思うのです。この提案は私も否定するものではないですが、協働すればそれぞれ加算はとれるのだという御提案でわからないではないですけれども、協働の内容、要件の整理が足りないから今みたいな話になるのだろうと思います。先ほど松本純一委員からもありましたが、両方満額とるのかという話にもなりますから、ぜひ協働することの要件設定であり、点数設定を再度きちんと整理をしていただく。当然現状で協働していただいて満点をとるということは、財政負担からも協働することによっての合理性なり効率性が出るということであるならば、満点プラス、プラスでとるというのはやや疑問があります。協働の内容を整理していただき、明確にしていただいて、新たなそれぞれの算定要件を整理していただいて、双方で協働すると点数が加算できますとしていただくのが妥当なのだろうと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
少し御提案の前提を確認させていただきたいと思っております。今の御審議を拝聴しておりますと、ある対応について重複して評価しているという前提でそこのすみ分けができていないという御指摘のように聞こえますけれども、繰り返しになりますが、18コマ目を見ていただきたいと思うのです。介護報酬が評価している範囲と医療保険が評価をしている範囲は明らかに区別がございます。介護保険は介護保険の3施設プラス関連の介護給付の中身であります。今回私どもが提案しておりますのは、介護給付では評価されていない医療保険が評価対象としております医療機関、それから、訪問看護ステーション、こういった医療保険サイドのサービスをあわせて実施したときに、現行では医療保険の評価がなされていないので、実際問題協働するわけですけれども、基本的な報酬は設定されているのですが、特に看取り期について対応が重点的に求められている加算についてはこれまでは実施をしておりませんでした。ただ、先ほど御紹介したようなデータを見ますと、一定程度介護老人福祉施設においては、看取り期の対応について現に併給を認めておりますので、末期の悪性腫瘍等に限られておりますけれども、そういったケースについて、今後高齢化社会を迎えるに当たって、看取りの対応を重視していくことが、反射的には医療機関への搬送等を減らすことになりますので、そういった対応をお願いできないかという御提案でございます。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
よくわかりました。協働という日本語の解釈の問題で、それぞれの役割分担は違い、それが明確になっていることが前提だということで理解すればいいわけですね。協働した場合には算定可能という書き方の御提示なので誤解をしたということです。よくわかりました。
○田辺会長
松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
今の医療課長のお話にあったとおりだと私も理解しております。施設で人生の最終場面を迎えることを希望されていても、なかなか現状としては少し進みにくいところがあるので、施設でのみとりを進めていくという意味で、この方向性は非常にいいものだと思って、支持したいと思います。
○田辺会長
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
一応頭の中は整理できましたけれども、ただ、協働した場合という、本当にそれが必要な協働なのかどうなのかということも懸念されますし、本来的な意味での介護老人福祉施設におけるドクターの位置づけはどういう意味なのか。私は少しその辺は議論の詰めが足りないのではないかと思いますので、その辺はまだ課題があるということで、意見として言わせていただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
実際に特別養護老人ホームですね。そこの配置医は別に常勤でも何でもなくて、ふだんの健康管理を行ったりすること、もしくは投薬を行うことが主な仕事でして、そこで施設でみとりということになると、どうしても例えば自分の診療所で外来をやっている間にそういうことが起こるなどということは現実的に結構あります。それが問題になるので、そこは外部の医療機関もしくは訪問看護ステーションからも一緒に少し助けていただくというイメージで考えれば、今後はこういうことは絶対に必要になるものだと考えます。
○田辺会長
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
そういうことであれば、要件化をその辺も明確にして、ここの協働は例外的なものだということで位置づけていただければいいのではないかと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
申しわけないけれども、例外ではなくて、あくまで現状からすると、全てを24時間対応しろというのは無理な現状なので、それに対しての御理解をいただきたいと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
確認ですが、13コマ目の老健施設とかかりつけ医の連携について、入所中の処方薬に係る情報提供を行った場合の評価を検討してはどうかとあります。老健施設に入所されている方はほとんど服薬しているかと思いますが、情報提供を行った場合は出来高算定とするのか、それとも管理料を設けるのか、どのような評価とするのかのイメージが湧かないので教えていただけますでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
ここは具体的な報酬算定の少し報酬上の技術の問題になるかもしれませんけれども、イメージといたしましては、老健施設を退所されて、見ていただいたとおり、老健施設の中で減薬の努力をかなりされている実態があります。それを引き続き外来を中心としたかかりつけ医に引き継いでいくことが非常に重要で、例えば退所された最初に受診をされたかかりつけ医がそういったことを踏まえてちゃんとフォローアップしていただくというようなことをやっていただいた場合に加算のような考え方が評価の対象になり得るのかなと事務局ではイメージいたしております。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
ということは、入所中に情報提供した場合は評価の対象とはならないという理解でよろしいでしょうか。老健施設を退所後に、外来で初めて受診された患者に関する服薬情報を提供した場合に出来高で算定するイメージでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
そのとおりでございます。
○幸野委員
それであれば理解いたします。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
細かい話で恐縮なのですけれども、38コマ目、いろいろ前回御質問させていただいて、整理をいただいたので、この訪問看護ステーションの報酬比較表についてよくわかるのですけれども、細かくて、私の理解不足もあるのかわからないのですが、ここでセルの色つきの箇所ということで真ん中あたりに24時間対応体制加算が医療側にあって、横に緊急時訪問看護加算が介護保険にある。これは540単位と5,400円と、このようにそろっておりますが、その1段上の医療の緊急訪問看護加算、これは色はついていないのですが、これについて、介護のところはこの色のついている緊急時訪問看護加算なのかどうなのかということ。この医療に相当する介護が見当たらないのですけれども、これは前回医療保険と介護保険については、その性質や生い立ちも違うしということでの御説明をいただいたので、理解をしているつもりですが、今回の医療のほうの緊急時訪問看護加算は、医療保険の性質上、これは介護保険にはないという対応なのかというのがよくわからない。
いずれにしても、申し上げたいのは、医療保険と介護保険の同時改定のタイミングでございますので、医療保険側には区分支給限度額という支給制限等もございませんし、このタイミングで簡素化、合理化、適正化ということを含めれば、私の知識不足かもしれませんが、緊急訪問看護加算と24時間対応加算などの整理と介護の緊急時訪問看護加算との対比を整理していくことは必要ではないかと思っています。質問とあわせて教えていただければと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
非常に重要な御指摘であり、かつ考え方を少し御披露する上でもちょうどいいかなと思いますので、若干の解説をさせていただきます。
まず、大きく申し上げますと、医療保険と介護保険、医療保険は基本的には療養の給付、疾病に対する対応ですので、長期間に継続するというよりも、どちらかというと、めり張りという言葉が合うかどうかわかりませんけれども、一定程度の期間に限定をして対応をするという考え方になっております。したがいまして、そういう緊急性があったり、あるいは特別に必要な場合について想定して、出来高的な設定をするのが恐らく基本的な考え方としては中心になっていると思います。
その一方で、介護保険は、どちらかといいますと期間的には長い、長期的な対応を念頭に置いておりますので、この2つの違いが如実にあらわれるのは、そういう体制をしいていることを包括的に評価するという考え方と、そういうことを実際に行った場合に出来高的に評価するという考え方の組み合わせになります。
先ほど御質問のあった緊急時を想定したような場合の評価については、例えば介護保険の場合はどちらかというと体制を包括的に評価して、出来高的な対応についてはやらない。逆に、医療保険の場合については、実際にそういうことを行うことが緊急的な対応、臨時的な対応、機動的な対応と申し上げるべきかもしれませんけれども、そちらを重視するような評価の体系になっているので、おのずとそこは算定の考え方が違うというのが、一番如実にあらわれているケースだと思います。
その上で、例えば先ほどお話のありました医療保険で言えば24時間対応体制、24時間連絡体制、これは以前御審議いただいたとおり生い立ちも違いますし、経緯もあるのですが、今回はここを整理していこうという話になっておりますので、そういう目で見ていただくと、ここの部分については少し両者が近づき得るということだと思います。
このように、大きな考え方は少し違いますけれども、個別に見ると同じような考え方のものはなるべく合わせていこうということは、自然にそうなっていくのだろうと理解いたしておりますし、引き続き御指摘をいただきまして、可能な限りの対応をさせていただきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺会長
老人保健課長、補足はございますか。
お願いいたします。
○鈴木老健局老人保健課長
老人保健課長でございます。
今、医療課長から言っていただいたこと、そのとおりでございまして、緊急時訪問看護加算につきましては、我々としましては、この24時間の体制を中心に評価しているところでございます。また、介護におきましては、いわゆるケアプランというものできちんと計画に基づいて行っているということになります。本当に緊急時ということであれば医師の特別指示書等で医療保険にチェンジするということもあると思いますので、そういった中で医療保険とは整合性をとりながら、介護保険のサービスを提供していきたいと思っております。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
○吉森委員
ありがとうございます。よくわかりました。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に「横断的事項(その7)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
総-1-2をごらんいただきたいと思います。「横断的事項(その7)」であります。これはサブタイトルがついておりますが「診療報酬に係る事務の効率化・合理化及び診療報酬の情報の利活用等を見据えた対応について」、これは以前から御審議いただいておりますが、3回目になります。
簡単にまとめておりますけれども、1ページ目「1.課題」と書いてございます。今、触れましたとおり、これまで2度にわたりまして御審議いただいております。その中で2点、3行目、4行目でありますけれども、患者氏名の片仮名記載、2点目はレセプトの患者の住所地の郵便番号、この2つについて御審議をいただいております。
主立った意見をここにまとめてございます。4つポツですが、具体的に何に使うのかというようなことでございますとか、被保険者証に郵便番号を記載するということで足りるのではないか。あるいは、3点目、片仮名ということでありますが、これは最近のシステムに既に格納されているということですけれども、古いシステムを実際に使っておられる方もありますので、そういった場合について負担になるのではないか。御審議の中で御紹介したことですけれども、介護のレセプトの取り扱いで片仮名になっているということでありますが、漢字しかない医療のレセプトとどちらに合わせるのかということもちゃんと整理すべきであるということでございます。
こういったことを念頭に「2.対応方針(案)」、2つに分けてございます。1ページ目、まず片仮名の話でありますけれども、必要性についてまとめております。これは既に一度御紹介していますけれども、基本的に医療と介護のデータを連動させる形で解析することが非常に重要で、そのためにはレセプトベースのデータをある程度合わせることが必要になる。そういったことを行えば解析が可能になる。
2つ目のポツ、これは同じような話を言っていますが、介護保険の事業計画等の策定や評価につきましても、同じような視点で分析・解析が必要で、連結をさせることが必要だと。
3つ目のポツが基本的な要点でありますけれども、その連結をさせるに当たってお名前を活用することになるわけですが、漢字の場合には御案内のとおり非常に複雑な字体がございますし、数種類の字体があって、これは日常生活でも生じる話ですけれども、同じようなお名前であっても何種類もあるということでございます。その点、表音文字にしていけばそこは一意になるので、そういったことが避けられる。そうすると片仮名、平仮名2種類あるわけでありますけれども、現時点で介護保険台帳は片仮名でございますので、片仮名を念頭に置いてはどうかということになります。
具体的な御提案でありますが、2点ありまして、最近のシステムでは片仮名情報を持っているということですので、電子レセプトに対応されている医療機関につきましては、これは実際のシステムの工夫である程度御協力いただく余地がありますので、片仮名記載の御協力をいただきたいということをお願いしたいということであります。
2点目、今、お話しいたしましたとおり、これは本来請求と直接関係のある事務ではないということもありますので、あくまでこれは任意のお願い、御協力というベースでありますと。したがいまして、片仮名がないから返戻だとか、そういうことにはなりませんということを確認させていただくというのが、1つ目の片仮名表記の話であります。
(2)郵便番号でありますけれども、これも必要性については同様の話でありますが、特に地域医療構想でございますとか、医療を広域的に評価する場合には、患者さんの受診動態を把握することが不可欠でありまして、患者さんの流出入をどのように把握するかとう点で、郵便番号の情報は非常に有力な情報になるということであります。
2つ目のポツ、それをレセプトに記載するとしていただくと、さらに活用の範囲が広がっていきますということでございます。
2点目、具体的な結論的な御提案ですけれども、まず、保険医療機関においてそういったことを可能にするためには、被保険者証への記載が必要になるということであります。それから、その手前のところで言えば、保険者による住所情報の把握が必要になるということでございます。
2つ目のポツ、これは具体的にスケジュールとして現在平成32年度に向けて、この被保険者番号の個人単位化といったことも含めて検討するスケジュールが組まれておりますので、その作業の中であわせて整理することが合理的ではないかということでございます。そのため、この点につきましては、32改定に向けて検討を引き続き行うということにさせていただいてはどうか。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
2ページ目の郵便番号の○2の2つ目のポツで、被保険者番号の個人単位化等との関係もあわせて整理することが適当とあります。保険証を刷新する必要のある大きな見直しなので、マイナンバーとの連携等も踏まえて検討することが必要だと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
ありがとうございました。
では、ほかに御質問もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に、次期診療報酬改定に向けた議論といたしまして「入院医療(その9)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
続きまして、今回は総-2「入院医療(その9)」でございます。療養病棟入院基本料を中心に御審議をいただきたいと思っております。
2コマ目、サブタイトルを3つ掲げてございますが、評価の体系、医療区分、在宅復帰機能強化加算、この3つであります。順次御説明します。
3コマ目、まず評価体系でございます。これは先日の中医協総会、12月6日の前回、11月17日、これは以前療養病棟について既に御審議をいただいておりまして、こういったことを踏まえて全体の整理をさせていただきたいということ。
その中で、3点目、医療区分2・3割合というものが実績評価の中で実際に現在も運用されておりますので、そのことをあわせて整理させていただきたいということでございます。
4点目、これは医療療養の病床に関します人員配置、これは医療法上の規定にのっとって医療保険は対応するというのが基本的な考え方ですが、先般のこの医療法の見直しに係る社会保障審議会医療部会における審議の中で、経過措置については最大6年間ということを御審議されていると承知しておりますので、それに係る対応を整理させていただきたい。この4つのポツに対応する御審議であります。
4コマ目、まず論点でありますけれども、これは既に一度お示ししております。療養病棟入院基本料につきまして要件整理をしてはどうかという御提案を受けて、具体的な御提案でありますが、5コマ目、6コマ目であります。
5コマ目、これは前回の中医協でお示ししました入院医療全般の体系化に係るイメージ図、これは長期療養から急性期まで大きく3つの分類といいますか、機能的な基本部分、プラス段階的な評価の組み合わせという全体的な整理の中で、それぞれの入院医療について考えていくことが適切ではないか、再編・統合してはどうかという御提案をさせていただきました。
6コマ目、これが今回の具体的な御提案の全体像であります。長期療養に係る入院医療、これは今、お話をしました、前回御紹介をしました、新しい評価体系にのっとって整理するとこのようなことになるのかという御提案であります。○2つでまず全体的な考え方をお示ししていますが、療養病棟入院基本料、これは現行では療養1と療養2がありますけれども、これについて一本化をして、基本的な評価部分と診療実績に応じた段階的評価部分の組み合わせという形にのっとって整理をさせていただきたい。そうしますと、診療実績の部分については、医療区分2・3割合というのが現行評価の体系になっておりますので、それをあわせて活用してはどうかということが1つ目の○でございます。
2つ目の○、これは先般の7対1、10対1と同じような話になりますが、それぞれ基準値がございますので、基準値につきましては、これまでの運用を踏まえた形で、基準値の設定について一定の考え方で整理してはどうかということでございます。
この図の見方でございますが、左側に現状が記載されております。これは現行の運用でありまして、療養1、療養2、それぞれ看護配置、医療区分2・3割合がこうなっていて、経過措置的に療養2の100分の95を算定する要件が設定されている。仮にそれぞれ算定要件が満たされない場合には、現行はこの算定の届け出について特段の制約はないということでございます。
こういう運用を、今回の改定で、右側でありますけれども、改定後ということでこのように整理をさせていただいたらどうかということでございます。まず一本化ということで、現行の療養1、20対1以上という運用に基本的には一本化をして、医療区分の2・3割合の設定をすることが必要だということになります。ただ、この場合、当然経過措置が必要になりますので、経過措置は2種類ございます。それはそもそも現行の経過措置、それが経過措置の右側の図で言うと2に該当しますけれども、経過措置として引き続き設定していくことが適切ではないか。療養1に一本化したことで、現行の療養2についてどのような対応をされるかということが当然あるわけでありますけれども、それぞれの医療機関におかれまして、それぞれお考えになることになろうかと思いますが、少なくとも4月1日以降突然その療養2に相当するところが算定できなくなるということは避けなければいけませんので、経過措置1というものを念頭に、具体的な数字については●とか▲などで書いてございますけれども、一定の要件を設定した上で経過措置を設定するということでございます。
※のところに書いてございますけれども、これは療養1、療養2という形での運用になっておりましたので、これは経過措置的な話でありますけれども、これは「○○入院料」と書いています。名称については今後検討になりますけれども、一本化した長期療養の入院料、それプラス、1つ目の経過措置につきましては、場合によっては組み合わせがあり得ることになりますので、病棟群単位を認めるということを経過的にも実施するということでございます。
御留意いただきたいのが2点ありまして、1点目は、この経過措置の1と2の関係でありますけれども、現行の療養1、療養2、経過措置の100分の95と同様の考え方で、ある程度そこの算定の行き来ができるというのは、あくまで現行の経過措置ではなく、新しく設定する経過措置1と新しく設定をする入院料の間で基本的には施設の要件の行き来は可能になるということであります。ただし、現在の経過措置を算定しております医療機関の届け出につきましては、経過的にそれを認めるということだけでございますので、改めて行き来するということは基本的には想定されないということを明確にさせていただくということでございます。
2点目、冒頭御説明しましたが、基準値につきましては、今後引き続き適切なものを設定するということでございます。
7コマ目、これは先ほど御紹介しました最大6年間延長するという記載ぶりでございますので、このことを踏まえての対応になりますということです。
8コマ目、2点目、医療区分の取り扱いであります。これも一度既に御審議いただいておりますけれども、ある意味おさらいも含めてではありますが、3つポツがございます。医療区分2と3につきまして、入院医療分科会での分析等も含めて整理いたしておりまして、1項目のみが該当するという患者さんにつきまして、その内訳を見ますとこの3つ「中心静脈栄養」「医師及び看護師による常時監視・管理」「喀痰吸引(1日8回以上)」、この割合が多かったということでございます。
その実態に即して、2つ目のポツですが、「医師及び看護師による常時監視・管理」のみに該当するという患者さんについて、さらに分析しますと、それ以外に該当する項目がないということになっております。
3つ目のポツ、同じくこの「医師及び看護師による常時監視・管理」のみに該当する患者さんにつきまして、医学的な状態でございますとか提供頻度を見ますと、医療区分3該当者平均値よりも安定しているという評価になっているということでございます。
9コマ目、これは既に一度見ていただいておりますが、先ほど触れました1項目だけでというものを医療区分3と2で見ていただいております。この中で、医療区分3の常時監視、それから、管理、これは医療区分3の円グラフの2つ目の24%の該当するものです。
10コマ目、これについてさらに分析をすると、右側、医療区分2の該当項目数を見ますと「0項目」という患者さんが3分の1程度おられるということでございます。
11コマ目、常時監視、それから、管理の状態のみという方について全般的な分析をしますと、いずれも医療区分3全体の、例えば医療的な状態でありますとか、判断・処置等の頻度、あるいは看護の提供の頻度、いずれも全体よりも安定した割合のほうが高いということが実態だということでございます。
12コマ目、3点目、在宅復帰機能強化加算の算定に係る状況であります。4つポツを掲げておりますけれども、まず療養1については、全体の4分の1加算が算定されているということでございます。それから、加算の算定によって、これはある種当然なのかもしれませんが、在宅復帰の割合が高い、平均在院日数が短い。基準値について、現在10%運用していますということと、実際の割合について、かなり多様性はあるわけでありますけれども、ある程度の水準を示しているということでございます。
13コマ目、14コマ目と簡単にお示しをしておりますが、13コマ目、これは既にお示しをさせていただいております。加算ありの実態の数字、それから、28改定後、全体的な数字を29年度で改めて精査をしますと、14コマ目、おおむね平均値でこの0.417という数字になっているということでございます。
15コマ目、これらを踏まえまして、全部まとめて療養病棟入院基本料に関する論点、今の3つに即して整理しております。
1点目、評価体系であります。3つの○、最初の○は全体的な入院医療の評価体系について、基本部分と医療区分2・3割合で段階的な評価として組み合わせをしてはどうか。
2つ目の○で、具体的な幾つかの中身について整理をさせていただきまして、まず医療法の施行規則に係る経過措置が最大6年とされておりますので、今回改定につきましては、次の改定が仮に32年だといたしますと、その2年間をフルに経過措置としてはどうか。まずそのことについて今回改定で対応してはどうか。
同様に、現行の経過措置的な対応であります100分の95算定の部分につきましては、介護医療院も創設されるという全体的な対応から、この区分については2年間延長とさせていただいたらどうか。
先ほど御紹介をしました3つ目の○でありますけれども、現行の基準値を参考に設定してはどうかということでございます。
2点目、医療区分であります。先ほど見ていただきました特に常時監視・管理のみに該当するという者については、当該項目のみという場合につきまして、医療区分3全体から見ますと明らかに安定しているということもございまして、当該項目だけの場合については医療区分2にしてはどうか。そして、当該項目と医療区分2の何か別の項目が該当するのであれば、それは医療区分3と運用を見直してはどうかということが医療区分の関係です。
3点目、在宅復帰機能強化加算については、実態として見ていただきましたとおり、一定の数値を示しておりますで、基準値を引き上げてはどうか。
以上が療養病棟入院基本料に関する論点でございます。
この後16コマ目から22コマ目、これは既にお示ししているものを中心に、参考の情報ですので、説明は省略をさせていただきます。
23コマ目、2つ目の御審議をお願いしたい事項は、これは2回目になりますけれども、入退院支援でございます。
24コマ目、課題を見ていただきまして、まず従来「退院支援」と呼んでおりました。その内容につきましては、基本的には居宅・外来との入院とのシームレスな支援ということでございますので、本来入院も含めた名称でありますので、入院時・退院時、「入退院支援」と概念的には整理しております。それが1つ目のポツであります。
具体的な入院前の支援の例として、幾つかございます。そういった退院支援の連携については近年増加傾向になっています。
体制の話といたしまして、下2つのポツでありますけれども、外来通院中の方が入院をする場合についてどう対応するのかというのが、決められた部署や体制、窓口をしいているというのが約6割、そして、そういったものがない場合は、主には看護職員が調整しているというのが実態です。
それから、最後のポツですが、小規模の病院、特に100床未満の病院につきましては、そういった部門の設置が約半数でありますけれども、規模が大きくなると、職員配置の人数も多くなるという実態があるということでございます。
25コマ目、簡単に実態を見ていただきますと、これはイメージでありまして、先ほど申し上げましたとおり、今後地域包括ケアシステム構築を医療・介護両方の制度あるいは報酬で推進していくわけでありますが、本来退院支援という視点だけではなく、むしろ入院に至る前からのサポートあるいは連携が必要だという概念図であります。
具体的な内容のイメージ図が26コマ目、その入院前の外来時点でのサポート・連携についてはこの下に書いてございますが、外来においてオリエンテーションでありますとか、持参薬、患者さんの情報の確認でありますとか、さまざまなリスクアセスメントを含めて事前に行うことで、矢印のところに書いてございますが、患者さんにとっては入院生活がどのような経過になるのかがイメージできるということでございます。
27コマ目、これは現状の退院に向けた評価でありますので、詳細は省略させていただきます。
28コマ目、この該当するような算定項目を含めて、近年こういった退院に向けた支援・連携については算定がふえている、対応が強化されつつあるということでございます。
体制の状況は29コマ目、30コマ目であります。
29コマ目、実際に外来通院中の患者さんが自院に入院する場合の、そういったことを行う部署や窓口がどうなっているのか。左半分はそういった部署が決められている、存在するというもの、右側が定まっていない、3分の2程度が定まっている、3分の1程度が定まっていないということでありますけれども、それぞれについて実態はどうなっているのか。定まっている場合については、地域医療連携室もしくはそれに相当するというものが6割程度であります。定まっていない場合については、看護職員がやっている。
30コマ目、病床規模によってそういった部門があるかないかが大きく違ってくるということでございます。
31コマ目、配置人員の関係、大規模になればなるほどということでございます。
32コマ目、まとめまして、論点であります。2つ○がございます。1つ目の○はもう既に何度も御紹介しましたが、加算の名称、これは「入退院支援加算」に見直してはどうか。
2つ目の○でありますけれども、こういった地域における医療機関の間の連携等を推進するということは非常に重要だと認識しておりますので、外来における相談や連携の担当者、入院が決まっている患者さんについて入院の前からさまざまな支援を行う取り組み、これについて評価を検討してみてはどうかということでございます。
あわせて、これは病床規模別で先ほど見ていただきました体制が随分違いますので、中小病院を主な対象として、評価を検討してはどうか。この御提案でございます。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
15コマ目、療養病棟のことですが、まず、これを2年間延長と出ているのですが、基本的にはここにも書かれておりますように、最大6年、法的に延長されることが決まっております。ですから、6年間経過措置を設けることが前提で、その内容については、経過措置の利用の仕方を見ながら2年ごとに見直すことは必要だと思いますけれども、最大は介護保険の変更と同様に6年にすべきであろうと思います。
論点の下から2つ目、医療区分の変更なのですが、たしかデータでは現行の医療区分については、その医療的な手のかかりぐあい等のデータから見て、おおむね妥当だという結果が先日示されたと思います。したがいまして、その結果が妥当ならば、何もこれを変更する意味合いはないのではないか。むしろ医療区分1の中に医療区分2相当の人たちが結構いるということのほうが問題であって、この変更については少し意味がないのではないかというように思います。
療養病床の在宅復帰加算の件ですが、これはなかなか難しいもので、例えば22コマ目の在宅復帰強化加算の1と2があるうちの2のことを指しているのだと思います。だとすると、この14コマ目の結果を見る限り、10~30%に非常に集中しておりますので、この基準を上げると10~30%のところはまた困ってしまうことになるので、これを強化すべきではないと思います。また、このようにばらついている結果を見ると、果たしてこの在宅復帰機能強化加算の2そのものが有効なものなのかどうかという疑問がありますので、ここはもう一回整理が必要かなと思います。
32コマ目の入退院支援ですけれども、これは「退院支援」を「入退院支援」にすることについては大賛成であります。それで、できれば26コマ目に示されている一番下の図ですが、ここの外来について、入院前の状況をよく調べるということ、これは非常に重要なことだと思いますし、また、入退院支援として、退院後に在宅になったり介護のほうにお願いしたりとか、そのような状況があるならば、退院後、それがちゃんと動いているかどうかということもデータでとることが非常に役に立つのではないかと考えております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
6コマ目についてです。改定後は「○○入院料」ということで、一般病棟と同じように段階的な評価体系を導入し、経過措置1と2が設定されます。看護職員配置20対1以上の医療区分2・3の患者割合には50%と置かれていますが、なぜここだけ数値が示されているのでしょうか。現行では、医療区分2・3が50%を満たさない療養2は、介護医療院に移行する方向となっていくことを踏まえると、20対1の基準が50%というのは低いのではないかと思います。まずは、50%と数字を示した根拠をお聞かせいただけないでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
この50をあえて明示したというのは、これまで例えば上にある全体的な整理の中では基本的には数字は仮置き、あるいは今後基準値は議論するということでございます。その意味では50は仮置きで我々の提案ですので、もちろん御審議いただく対象であろうと思います。ただ、ここの部分はある意味重要な数字といいますか、一定の前提が必要かなと思って御提案しておりますのは、結局この算定要件を満たさない場合は、あえてといいますか、こういうことですということをお示しするために矢印、要するに特別入院基本料の算定になりますので、実質的に医療機関としてはかなり厳しい運用を強いられることになります。そういたしますと、特に療養2、療養1、これは介護医療院への移行も含めて、今回言ってみれば医療保険だけで完結する話ではなくて、さまざまな療養病床見直しの中で動いていく話ですので、ここの部分は余り不確定にしますと議論が進まないのかなということを事務局としては危惧しまして、ここの部分はもちろん仮置きでありますけれども、現行の50というラインをお示しした上で全体の構図を御審議いただいたほうがいいかなという趣旨でございます。
○幸野委員
では、この数字はこれからの議論と理解させていただきます。
また、先ほど猪口委員がおっしゃった経過措置2についてですが、経過措置2の対象となる医療機関の行き先はほとんど決まっているのではないかと思っているので、経過措置を長くとる必要があるのかなと思います。
医療区分の見直しについては、医療区分3のうち、「医師及び看護師による常時監視・管理」のみの患者のうち、医療区分2に全く該当していない患者が3割いるという10コマ目のデータを踏まえると、やはりこれは妥当ではないと思いますので、この見直しについては賛成でございます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
今の幸野委員とかぶさるところもありますけれども、今回の見直しの15コマ目の○の1つ目でございますけれども、急性期から長期療養までのあらゆる入院医療を患者ニーズと医療提供実績に応じた段階的な評価、これを可能にして、基本と診療実績に応じた段階的評価、これを組み合わせる。これを急性期から長期療養まで一気通貫で評価の体系をつくりたいというのは大いに賛成したいと思います。
2つ目の○の激変緩和の経過措置の必要性についてです。これも現場のあり方とか、6年、人員配置基準の転換が完了するまでということの延長があったということを踏まえれば理解はできるところでありますけれども、今回の提案にまずは2年間のという、次回の改定までという意味なのかもしれませんが、まずはということは、当然6年間の間で再延長もあると推察しております。今、幸野委員もおっしゃいましたが、2の取り扱いについては、この2年で確実に転換を終了する、廃止するということで、対応すべきだと思います。経過措置1についても、この6年延長を見据えてまずは2年ということではなくて、これはどちらがどうかということではなく、方針として、この2年の間にはそれぞれ転換が大きく推進できるような算定基準値、これを設定すべきだと思っております。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
今、幸野委員、吉森委員がおっしゃったとおりでございまして、さらに補強しますと、この看護職員配置25対1というのは、療養環境としてはかなり厳しいと思います。前回の中医協の褥瘡に対するデータを見ても、20対1では入院してから褥瘡が減っているのに対して、25対1は褥瘡がふえている。これは一側面ではありますけれども、そういうことからすると、25対1はあくまで例外的なものであるという位置づけで対応して、20対1を原則として検討していくべきだと考えているところであります。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
原則は2年で完了するようにというお話とか、25対1では看護師さんが少ないという話はありますけれども、現場は今本当に看護師さんが不足してなかなか入らない、重い方がどんどんふえている中でどうするのだということで、非常に苦労しているわけです。ですから、この6年間ということが介護保険法の中で決まっているのならば、医療のほうもぜひそれに合わせて準備期間がないと、非常によくない結果を招いてしまうことがありますので、ここは十分な時間を現実も見た上でいただきたいと考えております。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
32コマ目の入退院支援の論点ですが、○の2つ目ですけれども、非常に大事なことだと思いますので、賛成したいと思います。その上でちょっとお願いというか、26コマ目の絵を見ますと、外来でどういうことをということで描かれて、具体例が触れられているのですけれども、もともとこの病院の外来にかかっておられて入院が予定される方と、外からの紹介で病院に入院される方がいると思います。外からかかりつけ医がいて、そして、こういった病院で入院される場合、往々にしてかかりつけ医との連携が少し不十分になるケースがあって、退院後にいろいろなケースがあると思うのですけれども、在宅医療が必要であるとか、あるいは訪問看護が必要であるとか、早目に介護保険を申請しておいたほうがいいぞというような、いわゆるかかりつけ医との連携も、この中に「等」という形で書かれていますけれども、改めてしっかりとそういうかかりつけ医との連携を早目に病院側とできるような明示をしていただければありがたいと思っています。お願いでございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。本日の議論を踏まえまして、引き続き次回以降、さらに議論を進めてまいりたいと存じます。
次に、次期診療報酬改定に向けた議論といたしまして「調剤報酬(その2)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料総-3をごらんいただきたいと思います。「調剤報酬(その2)」でございます。
2コマ目、調剤報酬に係る検討事項といたしましては、患者本位の医薬分業を実現するということで、累次にわたる抜本的見直しを進めるということとしているところであります。
平成28年度の診療報酬改定以降、重複投薬・相互作用等防止加算の件数などが増加している状況ですとか、あるいは処方箋30枚に1回程度で疑義照会をしていて、用法・用量の確認による副作用の回避や服薬アドヒアランスの向上のための剤形の変更等について、医師と連携して対応しているといったこと、さらには、後発医薬品の使用促進などを通じた薬剤適正化にも取り組んでいるというような状況がございます。このあたりは一つ一つお示ししませんけれども、参考資料にデータを含め載せているというところでございます。こうした取り組みについては、引き続き積極的に取り組んでいく必要があると考えています。
平成30年度改定に向けまして、さらにメリハリのある仕組みとするために、次の視点で見直しを検討してはどうかと考えています。
大きな1つ目としましては、患者が薬局に求める機能の推進を踏まえた、対物業務から対人業務へのシフトということでございます。その中身としましては、かかりつけ薬剤師の推進というようなことですとか、服薬指導による服薬アドヒアランス向上や副作用の把握等の継続的な薬学的管理という点、さらには、かかりつけ医を初めとする多職種との連携といった点が挙げられると考えています。
大きな2つ目としましては、薬局の収益状況や医薬品の備蓄等の効率性を踏まえた調剤基本料の見直しといった点など、薬局の機能に応じた評価の見直しという点が挙げられると考えています。
3コマ目、患者が薬局に求める機能といたしましては、これは患者さんに対する調査ですけれども、複数の医療機関を受診した場合でも、薬を一元的に管理し、飲み合わせや重複等をチェックすることということが、薬局に求める機能としても多く求められているというデータなどがございます。
5コマ目、大きな1つ目といたしまして、かかりつけ薬剤師の推進といった点がございます。
6コマ目、その中の課題でございます。平成28年度改定におきまして、かかりつけ薬剤師指導料ということでの評価を加えたということでございますけれども、かかりつけ薬剤師指導料の算定実績は全体の約1%ということで限られているのですが、「自分飲んでいる薬をすべて把握してくれる」などの点で患者がメリットを感じているという結果も得られております。また、重複投薬や相互作用防止に係る取り組みの割合も高い傾向にあるということも後ほどデータでお示しさせていただきたいと思います。
かかりつけ薬剤師指導料の算定患者につきましては、年齢などによって極端に偏る傾向は見られていない状況です。患者が必要性を十分に理解した上での同意取得というものをさらに徹底していくことが求められるのではないか、一つの課題として挙げられるのではないかと考えます。
さらに、常勤換算した薬剤師1人当たりのかかりつけ薬剤師指導料の算定件数につきましては、0~10回未満が一番多い状況です。一方、100回以上算定する薬局の一定数がありまして、その一定数が調剤基本料の特例対象薬局のうち、かかりつけ薬剤師としての業務を一定以上行っているために、特例の対象から除外されている薬局であったという状況があるということで、ここについてどう考えるかという部分でございます。
7コマ目、28年度改定のかかりつけ薬剤師指導料の算定要件、施設基準です。
8コマ目、ごらんいただきますと、薬局の利用状況といたしまして、真ん中から下ぐらいですけれども、60代以上の方につきましては、5割以上がいつも同じ薬局に処方箋を持っていくという回答をしていただいている状況があるということでございます。
9コマ目、かかりつけ薬剤師の有無とかかりつけ薬剤師について重視することという点で、患者調査の結果でございます。かかりつけ薬剤師の有無ということで、55%程度の方がかかりつけ薬剤師がありと答えていただいているということと、かかりつけ薬剤師について重視することということで「自分の飲んでいる薬をすべて把握してくれること」が71%ということで非常に高い割合になっていることがデータとして出ております。
10コマ目、かかりつけ薬剤師指導料の算定状況ということで、これは平成29年3月におきまして、徐々に伸びているものの、1.28%という状況であるということであります。
11コマ目、かかりつけ薬剤師指導料の算定回数、平成29年6月のデータですけれども、1~9回が一番多いということで、この後、算定回数が増えるに従っておおむねその割合は減るわけですけれども、100回を超えたところ、100~199回というところが5.2%ということで少し多い状況があるということであります。
12コマ目、かかりつけ薬剤師がいてよいと実感した経験ということで、これも患者調査ですけれども、「自分の飲んでいる薬をすべて把握してくれること」、これは先ほどと同様の結果が得られているということです。
13コマ目、これは保険薬局に対する調査ですけれども、かかりつけ薬剤師に対しての評価という意味で、どう感じているかということですが、「丁寧な服薬指導ができるようになった」というのが「あてはまる」「どちらかというとあてはまる」で合わせると70.3%という状況だということです。
14コマ目、かかりつけ薬剤師とそれ以外の場合の疑義照会の取り組みということで、かかりつけ薬剤師指導料、包括の場合も含みますけれども、それと、薬剤服用歴管理指導料をとっている薬局ということでの比較をしたということです。疑義照会の件数については、明らかにかかりつけ薬剤師指導料のほうが高いということと、その中での薬学的な観点からの必要と認められる疑義照会について中身を見ても「重複投薬」とか「残薬の処方日数調整」というところで明らかにかかりつけ薬剤師指導料を算定しているところのほうが高いデータが出ているという結果が得られています。
15コマ目、かかりつけ薬剤師の同意を取得している患者像でございます。これについては「複数の医療機関を受診している患者に対して」、同意を得るようにしているということが多い、もう一つは「以前から自局に通っている患者に対して」というところも高かったということだと思います。
16コマ目、かかりつけ薬剤師指導料を算定した患者の年齢構成割合ということですが、確かに65歳以上の方で多い状況は見てとれますが、年齢区分ごとにそれぞれ存在している実態もあるという状況があります。
17コマ目、かかりつけ薬剤師の指導料の算定要件でありますが、基本的には患者が選択した保険薬剤師が患者の同意を得た上で、同意を得た後の次の来局時以降に算定できるということなどが算定要件になっているということでございます。
18コマ目、調剤基本料の特例対象、これは調剤基本料2とか3とか、そういった場合のことを指しますけれども、そこからの除外要件、つまり、調剤基本料1に戻れるという形の要件があるわけなのですが、その中に、右の赤い囲みのところにありますとおり、勤務している薬剤師ということですけれども、薬剤師1人当たり月100件以上算定、自己負担のない患者を除くというところを満たしていることを一つの要件として、特例対象からの除外要件になっているという事実がございますということです。
19コマ目、かかりつけ薬剤師指導料の算定回数と基本料の特例除外ということで、先ほど100回超のところのデータもお示ししましたけれども、そこをまた見てみますと、100回超の薬局のうち、調剤基本料の特例対象の除外になっているというのは全体の42%ということで、実際のところ、平成29年6月のデータでは、基本料2及び3の割合は7%であるということからすると、全体の中の割合からすると、100回超の割合が基本料2及び3のところからの割合が高いということがデータとしても見られるということです。
20コマ目、論点でありますが、患者の同意に基づくかかりつけ薬剤師指導料の算定の適切な推進の観点から、同意の必要性を患者及び薬剤師の双方で確認することとし、かかりつけ薬剤師指導料等に関する同意書の基本的様式を明らかにするといった措置を検討してはどうかといった点。
もう一つの点として、かかりつけ薬剤師としての業務を一定以上行っている場合に、調剤基本料の特例対象からは除外することとしておりますが、この規定について廃止を含めて要件の見直しを検討してはどうかという点を挙げさせていただいております。
21コマ目以降、対人業務の推進であります。課題といたしましては、患者のための薬局ビジョンに基づきまして、対物業務というものから在宅訪問や残薬解消などの対人業務を重視した評価を進めることが課題となっております。
薬剤服用歴管理指導料につきましては、6カ月未満の来局の患者に対しまして、手帳を持参した患者よりも手帳を持参していない患者に高い点数になっている状況があって、手帳の持参が少ない薬局も一定程度存在している状況もあるということです。
薬剤服用歴の記録については、患者の継続的な薬学的管理を行う上で必要な事項、例えば次回の服薬指導に当たり留意すべき点などがあるのですが、それを記載することが明示されていないということになっています。
さらに、医療機関の求めに応じて、服薬期間中の服薬状況等をフォローアップして、医療機関にその情報をフィードバックすることについて、服薬アドヒアランスの向上などにつながっており、患者や医師にとって有用であるという結果も得られている状況があるということであります。
23コマ目、28年度診療報酬改定における薬剤服用歴管理指導料の評価の見直しでございます。38点というものをとれるのは、6カ月以内にお薬手帳を持参した患者で、かつ、そこが調剤基本料1または4の場合に限るということになるということかと思います。
24コマ目、お薬手帳を保険薬局に持っていくと支払い額が安くなることの認知状況ということで、「知っていた」というのが67.5%ということであります。
25コマ目、手帳の活用状況ですけれども、患者の9割以上がお薬手帳を利用しているという結果がございます。そのうち1冊のみを保有している患者が9割を超えるデータがありますということです。
26コマ目、薬剤服用歴管理指導料の算定状況としまして、38点を算定できる対象の調剤基本料1、4の薬局に限って、その6カ月以内の来局患者で見た場合に、38点のパーセントを並べてみたデータでございますけれども、本来38点がとれる状況でありながら、手帳の持参が少ない薬局も一定程度存在している状況があるということでございます。
27コマ目、薬剤服用歴の記録への記載事項ということであります。この四角に囲んだ内容が薬剤服用歴に記録する記載事項ということで挙げられているということであります。
28コマ目以降、30コマ目につきましては、調剤料に関しての現行の規定ということでございますけれども、28コマ目にありますとおり、28年度改定におきましては、内服薬の調剤料の見直しということで、15日以上のところについての点数を一部引き下げるという形の改定を行った経緯がございますということです。
31コマ目以降、服薬期間中の継続的な薬学的管理と多職種連携という点について挙げさせていただいております。
32コマ目、服薬情報等提供料については、調剤後の薬学的管理として統合したというのが28年度改定でございます。
33コマ目、服薬情報提供料の算定状況として、1カ月当たり数万件で推移している状況だということです。
34コマ目、薬剤の適正使用を進める上で医療機関が求める薬局薬剤師ということで、医療機関の方にとってということですけれども、どういった薬局薬剤師であれば連携を図りたいと考えるかという点については「自分の処方意図や患者の疾患背景をある程度理解している薬剤師」あるいは「日常的に連携がとれている薬剤師」というところが高いということが挙げられると思います。
35コマ目、来局日以外の継続的な服薬指導ということで、これは薬局に対する調査ですけれども、患者の来局日以外の服薬期間中における継続的な服薬指導の実施状況ということで、実施の有無については「ある」が40%ということで、必要性については「患者によっては必要だと思う」を含めるとかなりの割合を占めている状況です。
36コマ目、薬局と医療機関の連携として有効と考えられる情報ということで、患者の服薬状況ですとか服用期間中の体調変化について、薬局から医療機関にフィードバックすることが有効と考えられている状況です。
37コマ目、ごらんいただきますと、保険薬局におきまして、患者の服薬情報等を医療機関などに提供する取り組みは一定程度で実施されておりますが、アドヒアランスの向上や重複・相互作用の防止といった点で効果があったとお答えいただいた患者や家族、医療機関の方がそれなりに多い割合で存在していたというデータがございます。
38コマ目、保険薬局と医療機関の副作用管理における連携ということで、医療機関からの指示に基づきまして、薬局薬剤師が服用期間中の服薬状況等をフォローして、その結果を医療機関に共有することで、副作用等への対応をより適切に行うことができるというデータがありますということです。左にありますとおり、病院とかかりつけ薬局薬剤師の間で事前に共同でプロトコルをつくるということで、右肩にありますようにチェックシートをつくりまして、アドヒアランスとか下痢、嘔吐などといった状況について、継続的に服薬状況等をフォローする、それを医療機関に報告するというような取り組みでございまして、これはがんの治療薬でございますので、そういったことを有効に活用する取り組みがあったということです。
下の枠囲みにありますとおり、「薬局薬剤師からの副作用に対する対応やアドバイスは有用であったか」という患者調査も54.7%ということで「そう思う」ということでございますし、医師に調査した結果についても「電話フォローで患者の副作用への対処方法への実施がより適切に行えたか」で、「かなり思う」と思っていただいた方が67%、さらに「保険薬局と病院薬剤師と医師が情報を共有し連携することは必要か」ということは「かなり思う」と答えていただいた方が86%というデータがあるということでございます。
こういったことを踏まえまして、39コマ目、対人業務の推進に係る課題と論点ということで、1つ目は、対物業務から対人業務へのシフトを促す観点から、調剤料の評価の見直しなどについて前回改定に引き続き進めることとしてはどうかという点です。
さらに、薬剤服用歴管理指導料について、手帳の活用を十分に推進できていない薬局の評価の引き下げを検討してはどうかという点。
薬剤服用歴の記録について、次回の服薬指導の計画を加えるなどの見直しを行ってはどうかという点。
さらに、医療機関の求めに応じて、服薬期間中の患者の服薬状況等をフォローアップし、医師などと共有することで、服薬アドヒアランスの向上や患者の薬物療法の安全性に資する業務を推進してはどうかという点を挙げさせていただいております。
40コマ目、大きな点の3つ目、薬局の機能に応じた評価の見直しでございます。
41コマ目、課題といたしましては、平成28年度の診療報酬改定におきまして、大型門前薬局の評価の適正化のため、薬局グループ全体の処方箋受付回数が月4万回を超えるグループに属する保険薬局の評価の見直しなどを行いました。
今年度の医療経済実態調査におきましては、同一法人の保険薬局の店舗数が多くなるにしたがって、1店舗当たりの利益率が高い傾向が見られています。また、処方箋集中率が高い薬局では、医薬品の備蓄品目数が少ないというデータもございます。
それに加えまして、医療機関と同一敷地内の薬局についても、収益状況がよい傾向が見られていることですとか、あるいは医療機関と不動産の賃貸借関係があると、医薬品の備蓄品目数がより少ない傾向も見られています。
医療資源の乏しい地域においては、周囲の医療機関が限られる中で開局している薬局も存在している状況でございます。
かかりつけ機能を有する薬局の評価ということで、基準調剤加算のことですけれども、そうした内容についても、何か要件を加えるなどの見直しをしてもいいのではないかという課題を挙げたいと思っています。
42コマ目、28年度改定のときの、いわゆる門前薬局の評価の見直しという内容でございます。
43コマ目、保険薬局の構造規制の見直しということを行いまして、一体的な構造ではないということのために、公道等を介することを求めた結果、フェンス等を設置する運用が見られたということを改めたということであります。
44コマ目、調剤基本料の算定回数と分布ですが、平成29年6月時点におきまして、調剤基本料3の部分につきましては、薬局数として見ますと4.5%ということです。一方、調剤基本料の算定回数という観点で見ますと、一番下の四角囲みのところですけれども、調剤基本料3が8.2%ということで、調剤基本料2につきましても8.3%ということで、薬局数に比べると、算定回数は多く出てくる傾向が見てとれます。
45コマ目、薬局における医薬品等の備蓄業況ということで、集中率が高いほど医薬品の備蓄品目数は少ない傾向にあるというデータです。
46コマ目、薬局における医薬品等の備蓄状況で集中率別に見たときに、濃い青が不動産賃貸借関係があるということですけれども、薄い青のほうがなしということで、それぞれ並べてみますと、同じ集中率であっても不動産の賃貸借関係がある薬局においては、医薬品の備蓄品目数が少ないという傾向が見られるということが言えます。
47コマ目、同一法人の保険薬局の店舗は、多店舗にするにつれ収益率が高くなる傾向があるということであります。
48コマ目、これは3月にも既にお示ししましたけれども、調剤報酬の比較ということで、解熱鎮痛剤・抗生剤7日分の処方の例という一つの例を取り上げた場合に、いわゆるかかりつけ薬剤師・薬局、門前、同一敷地内、さらに院内という形で並べた場合の点数の比較ということを参考に挙げさせていただいております。
49コマ目、薬局薬剤師数が少ない市町村における医療機関数ということで、医療資源の乏しい地域では、市町村単位で見た場合に、当該地域に存在する医療機関数が限定されるケースが存在するということで、これは横軸がその市町村において働く薬局薬剤師の数ということです。例えば当該市町村で働く薬局薬剤師数が1人というところを見ると、4つの棒グラフが立っています。1つの市町村の中で1人の薬剤師しかいないところで1医療機関しかないのが11あるという見方をします。そういうことで、集中率という点では、こういったところも集中率が高くなってしまうこともあるのですということを一方で示したいということでございます。
50コマ目以降は、かかりつけ機能を有する薬局の評価という点でございます。基準調剤加算の要件ということの議論をお願いしたいと思っております。
51コマ目、28年度改定におきまして、基準調剤加算につきましては、赤で示したような多項目についての見直しが行われたという結果、52コマ目にありますとおり、平成29年度の調査におきましても基準調剤加算の算定が30%を切る程度の状況であるということで、非常に厳しい見直しがされたということになろうかと思います。
53コマ目、従来の基準調剤加算1、2からどの程度移行しているかといった点のデータもつけさせていただいています。
話題は変わりまして、基準調剤加算に関しての要件という視点で、次のような点を挙げさせていただいているということであります。
その一つは、医療安全に資する事例の共有の推進ということで、患者の薬物療法の安全性の向上に資する事例の共有の推進という点が図られているということで、患者の不利益につながるような副作用とか相互作用とか、治療効果不十分などを回避あるいは軽減した事例というものをプレアボイドと称して報告を収集して、皆で共有する取り組みが進んでいるということで、こういったところで登録があるというようなところについて、要件の一つとして見てもいいのではないかという点を挙げさせていただいているということです。
55コマ目、薬局におけるヒヤリ・ハット事例収集・分析事業、これも54コマ目の事業の件と関連して、こういった取り組みについても取り組み事項として加えることができる状況があるということで、おつけさせていただいております。
56コマ目、医薬関係者による副作用報告ということで、製薬企業経由が多い状況ですけれども、製薬企業経由のみならず、医薬関係者から国やPMDAへの直接報告を推進することが重要ということで、「医薬関係者の副作用報告ガイダンス骨子」というものが、今年の7月10日付でまとめられている状況で、医療従事関係者が報告体制を整えるための手引を整備することとしているということでありまして、こうした取り組みについてもどう考えていくかということであります。
最後に57コマ目、論点でありますが、薬局の収益状況や医薬品の備蓄等の効率性も踏まえて、店舗数の多い薬局、特定の医療機関から処方箋を多く受け付けている薬局、不動産の賃貸借関係がある薬局等の評価を見直すこととしてはどうか、また、医療資源の乏しい地域における評価についてどう考えるかということを挙げさせていただいています。
さらに、患者の薬物療法の安全性向上に資する事例の共有について、基準調剤加算の要件に加えることを検討してはどうか、また、副作用報告について、今後の薬局における手引の整備状況を踏まえ、要件とすることを検討してはどうかということを挙げさせていただいております。
以上です。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
安部委員、お願いいたします。
○安部委員
説明ありがとうございました。論点を3つに分けて御説明いただきました。おおむねこの論点については理解ができるところでありますが、各論点案についてコメントを述べさせていただきたいと思っております。
まず、最初の論点の20コマ目の1つ目の○であります。かかりつけ薬剤師指導料に関する同意書の様式に関しましては、28改定の折に日本薬剤師会のほうでいわゆる同意書のひな形をつくり、各薬局で適正にそれが運用できるような形で提供したということもございますが、既に2年間の運用実績と経験がございますので、患者さん及び薬剤師にとって、このかかりつけという制度をよりわかりやすく、かつ適切に活用されるという観点から、基本様式を通知等でより明確にするということに関して、よろしいのではないかと考えています。
次の論点、39コマ目、1つ目の○であります。御説明のように累次の改定において対物業務から対人業務へのシフトが求められておりますので、一定の調剤料の見直しはあり得るべしと考えておりますが、調剤料に関しましては、調剤報酬の中の大きな影響を占めるものでありますので、見直しに当たっては、これまでの結果などを踏まえて慎重に対応していただきたいと考えております。
2つ目の○の手帳を十分に推進できていないという点でございますけれども、26コマ目にその概要が示されておりますが、仮に適正な理由もなく手帳の活用をしていない、そういった実績がないという薬局については、評価を引き下げることについてはいたし方ないことかと思っております。この手帳を活用していないというところの詳細や理由は私ではつかんでおりませんので、そういった点も踏まえながら対応していただければと考えてございます。
4つ目の○でありますけれども、医療機関の求めに応じて服薬状況などの情報を共有することに関しましては、現在在宅医療の中で診療情報を提供いただいて薬剤師は報告書を上げるなど、経験と実績を積んでございますので、一定理解はできると思うのですが、38コマ目に示されたような事例については必ずしも一般化していないわけであります。そういった意味では、外来医療においても連携がより深まるような仕組みを構築する観点から、効率的な連携・推進につながる仕組みとなる提案だと考えております。
最後の57コマ目であります。まず1つ目の○でありますが、1つ目の○につきましては、先般、中医協にも出されました医療経済実態調査の結果、それから、前回改定から基本方針となっている患者のための薬局ビジョンに示されている絵姿などから、規模や集中率、賃貸借関係に着目した評価の見直しというものは、いたし方ない措置であると考えています。
一方で、医療資源が乏しい地域に関しましては、厳しい措置をしてしまうと、地域医療を支えている薬局が存在できないということにもなりかねませんので、適切な御配慮が必要かと思っております。
2つ目の○であります。インシデント情報の共有でありますとか副作用報告というものはともに、薬剤師が薬の専門家としてより積極的に取り組んでいかなければいけない役割でありますので、その範となる基準調剤加算を算定するような薬局の要件とすることについては賛成いたします。
私からは以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
私から、多少この論点から外れる部分もございますけれども、調剤報酬全般について4点御意見を申し上げたいと思っています。
第1に、地域に根づいたかかりつけ薬剤師のしっかりとした評価を求めたいと思います。医療経済実態調査によると、門前薬局や同一法人店舗数20店舗以上のチェーン薬局は損益差額率が若干低下したものの、依然として損益差額率が10%を超えるという高い収益性を維持しております。
2016年度改定では、いわゆる大手門前薬局の調剤技術料が引き下げられたわけですけれども、しかし、かかりつけ薬剤師指導料、これを月100回以上算定すれば復活という特例、最も高い調剤基本料1に復活している薬局も少なくないものと認識をしております。
翻って、かかりつけ薬剤師の指導料の要件を見ると、勤務時間は32時間以上であれば常勤でなくてもよくて、当該薬局への在籍期間は6カ月でいいということで、いわゆる顔なじみの期間としては短過ぎると考えております。2015年10月にまとめられた患者のための薬局ビジョンでは、かかりつけ薬剤師が地域包括ケアシステムの一翼を担うことが期待されているわけですけれども、かかりつけ薬剤師指導料の要件は地域にかかわる地域活動の取り組みに参画していることという極めて抽象的な条件になっております。地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域に根づいて、まさにかかりつけ機能を担っている薬剤師をしっかりと補完をしていただきたいと思います。
第2に、調剤料の不合理の是正を求めたいと思います。院外処方は院内処方に比較して、同じ技術でありながら患者負担に大きな差がございます。これは2倍から3倍とよく言われております。特に調剤料につきましては、仮に3剤を28日処方する場合に、薬局では1剤800円で3剤で2,400円、院内調剤は何剤処方しても同じで90円ということです。この90円と2,400円の差がどのような大きさになるのか。この最大の要因は薬局の調剤料が高いことにあると思います。2016年度改定では限定的に1~2点程度引き下げられましたけれども、これは不十分と言わざるを得ず、早急にかつ大体に是正すべきと考えております。
第3に、これまでの診療報酬本体、この改定率の配分についての問題意識です。2016年度改定では、薬剤服用歴管理指導料はお薬手帳ありなしで点数が逆転して、また、各種加算が軒並み増点になって、処方箋1万円当たりの薬学管理料が過去最高水準となりました。しかし、その効果がどうであったのか、その金額に見合うサービスになったのか、十分に検証されているとは言えません。
これまで診療報酬本体、医科、歯科、調剤の技術料の伸びが同じになるように、医科、歯科、調剤を1対1.1対0.3で配分してきました。医科では医療の高度化によって、新たに評価すべき、または評価を引き上げるべき手術等の医療技術として、2014年度改定では524件、2016年度改定では737件にも上っています。これに対して、調剤は、機械化によって効率化が進む部分もありますけれども、調剤を医科と同じ技術料の伸びを保証してきたために、さまざまな増点によって調剤の確保財源を使ってきたという面は否めません。改定率の配分を固定する必要はないと考えております。
最後に薬剤業務の横断的評価について提言をしたいと思います。病院に従事する薬剤師は増加をしておりますが、いまだ十分とは言えません。医師の業務を薬剤師が担うタスク・シフト、タスク・シェアにより医師の業務軽減が図れるというデータもこの中医協に提出をされているところです。しかし、病院の薬剤業務を直接的に評価する診療報酬はわずかです。医科、薬局という縦割りではなく、薬剤業務を各科横断的に評価する診療報酬体系の検討を進めることを提言させていただきたいと思います。
今回の改定で、さきの改定比率の調剤0.3で、医科、歯科の薬剤業務に対応することの検討を求めます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
レスポンスはございますか。
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
御質問、御意見をいただきました。まず最初のほうから順番にお答えさせていただきたいと思います。地域に根差した薬局ということで求めたいということは、我々もまさにそういった方向性で施策を進めていきたいと考えているところであります。20店舗を超えるところで10%を超える収益性という点も御指摘いただきましたし、100回以上で戻るというところもいかがなものかという御指摘もいただいております。
こういった点、先ほども御説明いたしましたけれども、収益性、医薬品備蓄の効率性といった点などもいろいろ踏まえながら見直しを考えたいと思っておりますし、かかりつけ薬剤師の同意をとるに当たって、本来あるべき姿というところで、その算定はどうあるべきかということとともに、その100回以上のところについても考えていきたいと思っています。
32時間のところ、御指摘をいただきましたが、基本的にこれにつきましては、医師でも常勤とみなす32時間というところの仕切りがあるということで、32時間というものを常勤あるいは常勤相当という形の解釈を行って設定したということであります。
6カ月という点につきましても、確かに長く勤務しているほうが地域に根づいた薬剤師と言えるであろうという点はごもっともかと思いますが、とりあえず6カ月程度で短くて、かかりつけ薬剤師としての機能を果たせていない薬剤師がいる状況も今のところまだ承知していないところでありまして、実際にまだ2年未満ということもありますので、もう少し実績を積み重ねながらいろいろ検証を行った上で考えていきたいと思っているところであります。まさに地域に根差した薬局・薬剤師になっていくためにも、在宅などといった点でもさらにこれを進められるような施策を進めていきたいと思っております。
調剤料につきましては、院内の外来と薬局との間での格差というものを御指摘いただいたと思っております。これは実態として、院内の場合につきましては、外来や入院の場合でそれぞれ点数が設定されておりまして、院内の場合は全体として調剤にかかわる点数を評価すべきではないかと思います。外来の部分だけ切り出して、単純に比較することが適切かどうかという点については少し問題があるのではないかというところはあるものの、実際に差の部分に対して、どれだけ薬局が貢献できているのかといった点につきましては、先日行政事業レビューでも資料をお示しさせていただきましたが、一定程度後発品への置きかえなどの医療費適正化効果というものも院外の場合はあります。それに加えて、薬物療法の有効性、安全性といった点で、薬剤師がダブルチェックすることによって、そういった点で貢献できている。これは金額ではなかなか表し難いですけれども、そういった点もあるということを踏まえれば、それなりの差に対する説明もでき得るのではないかと考えているところであります。
お薬手帳のありなしについてということで、お薬手帳についての効果というものが、それに見合うサービスになっているのかということでございます。これについては、先ほどお示ししましたように、かなりお薬手帳を保有している方が多く、かつ1つだけ持っている場合も多いということで、実際に自分がどのようなお薬を投与されてきたのかとか、あるいは、それを医師の方と共有するとか、そういった点で効果があると思われます。そういった相互作用や重複投薬の防止といった点でも効果があるのではないかと考えていますが、引き続きその辺については、効果をしっかり見えるような形で出せるように取り組んでいきたいと考えております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
遠藤委員、お願いいたします。
○遠藤委員
今ほど今村委員から医療全般に関する御意見を伺ったわけですけれども、その中の最後のところの病院内の薬剤師さんの働き方といったことも出ておりました。病院内で薬剤師さんを初めとする専門職が連携するのは大変重要なことだと考えております。少し話はずれるのですけれども、歯科を標榜しない病院において歯科医師が勤務する実態も見られるようになってきておりまして、そういった方が、病院内の口腔管理を実施していることもあります。こういう病院内での薬剤師さんを初めとする専門職の連携は大変重要なことだと思いますので、少し幅広く考えていただきたいということを、今後に向けての要望としたいと思います。
○田辺会長
安部委員、お願いいたします。
○安部委員
1点、先ほどの薬剤管理官の発言に追加させていただきますと、地域活動については少し曖昧だという御指摘をいただきました。確かに地域活動という言葉だけを聞くと曖昧でございますけれども、実際に薬剤師がこのような地域活動をしているという申請を厚生局にしています。申請内容は行政のほうでそれが地域活動に資するかどうかは判断されるのです。一例としては、地区の中で休日当番制度に応じた休日開局薬局で、薬剤師がそういったものに参加して休日に調剤業務をしている実績、「薬と健康の週間」という事業があるわけですが、その中で例えばお薬相談コーナー、区役所とか、お年寄りセンター等の場所で相談窓口をつくりまして、その中に参加しているでありますとか、地域の中のケア会議とか、多職種の連携の研修会で薬剤師として講師を務める。その他、その薬剤師の得意分野とか特性に応じて、地域の中で貢献しているというようなところを要件としているということであります。全体としては、いろいろな活動を評価しておりますので、言葉としてはぼやっとしておりますが、かなり具体的なところを評価していると考えております。
院内、院外の調剤につきましては、薬剤管理官から御説明もありましたし、行政レビューの中でもさまざまな議論が行われ、その前にも医薬分業のさまざまな議論が行われましたけれども、私どもの調剤報酬に関しましては、保険医療機関から構造的、機能的、経済的に独立した薬局で、薬剤師が今求められているような役割を担う業務をしっかり行うというところの評価でございますので、御理解をいただければと思います。調剤報酬の枠組みは、財源として改定率が決まって、適正に配分されていると認識しておりますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。薬剤師として、今求められている絵姿にしっかり貢献することで、医療全体に対する貢献をしていきたいと考えてございます。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
かかりつけ薬剤師の要件に週32時間という、薬剤管理官が常勤の条件ということを言われました。常勤の薬剤師が週32時間以上在籍するというのはそれで結構だと思うのですけれども、ここはかかりつけ薬剤師なのです。普通、皆さんかかりつけ医と聞いたときに、どのようなイメージを持つか。週4日しか働いていない開業医をかかりつけ医に誰も持ちたくはないわけで、その辺をよく考えていただきたい。この話は前回にしております。それで、6カ月では短いから1年以上という話をしましたけれども、それに対して薬剤管理官も含め、何も反応がなかった。だから、そういう方向で考えていただいているのだなと思っていたのですけれども、がっかりいたしました。
それぞれの論点に入ります。20コマ目のかかりつけ薬剤師の推進に関して、1点目、2点目とありますが、1点目も2点目も賛同します。1点目も賛同しますが、国でしっかり指導していただきたいと思います。かかりつけ薬剤師を持てば特別に何かサービスを提供するという趣旨、安全性情報を提供するとかポイントを付与する、そのような趣旨で、営業をするという実態はないのでしょうか。薬局は営利企業であるから営業は自由ということでは決してないと思います。万が一そのようなことがあれば、あわせて強く指導をお願いしたいと思います。
2点目においても、賛成であります。加えてお願いしたい点がございます。18コマ目のかかりつけ機能に関する施設要件にありますように、かかりつけ薬剤師個人の要件にぜひ在宅の実績を入れていただきたいと思います。強く要望したいと思います。
39コマ目の対人業務の推進に関して、全体に総論としては提案のとおり検討を進めてもらいたいと思いますが、ただ、対人業務の評価は薬局に限る話ではありません。例えば3コマ目、患者が薬局に求めることに挙げられている内容は、医療機関の薬剤師も行っていることであります。また、薬局に求めているという表現は間違いで、患者が薬剤師に求めていることであり、そして、医療機関の薬剤師も同様の業務を行っているということ。薬局での評価を改めて行う必要があるのであれば、医療機関の薬剤師に対する評価を踏まえて議論をお願いしたいと思います。
3点目、服薬指導の計画とはどのような内容になるのか。これは薬剤管理官からお答えを求めます。4点目とも関連しますが、処方医との情報共有すべき内容について、医師と相談したり、フィードバックしたりしているのでしょうか。その実態は把握されているのでしょうか。この2点について、お願いします。
最後の57コマ目、薬局の機能に応じた評価であります。1つ目の○ですが、医療資源の乏しい地域における評価については、これも薬局だけの話ではありません。医療機関についても同様に配慮するという前提であれば、検討することは否定いたしません。
2つ目の○について、基準調剤加算について、51コマ目の施設基準では、プライバシーに配慮した構造が要件となっております。52コマ目では、3割近くが届け出をしている結果になっておりますが、プライバシーに配慮した構造となっているかどうかは届け出の際に確認しているのでしょうか。これは指導監査室の方にお聞きしたいと思います。構造施設基準はあるのか、施設基準があるのか、これもあわせて指導監査室のほうでお願いします。診察室のような個室のある薬局を寡聞にして私は見たことも聞いたこともございません。銀行窓口のようにカウンターと待合の席に一定の距離を設けている薬局も余りないような印象を持っております。
副作用報告についてですが、56コマ目のガイダンス骨子は、医薬・生活衛生局のほうで薬局と医療機関の役割についてまとめていたと認識しております。副作用かどうかの臨床判断は医師が行うものとしてまとめていたはずでありますが、この資料ではそこが非常にわかりづらい。具体化する際は、その点には注意するようお願いしたいと思います。
その他でありますが、薬局とは「薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所」と薬機法にございます。一般的医薬品の販売業をあわせて行う場合は、その場所も含みます。しかし、診療報酬においては、医療の提供に必要な事項を検討しているのであり、従来からの調査で患者が薬局に求める機能として薬局全体を指すことには違和感があります。混乱のもとになるため、薬機法のもとで、薬局と販売業の切り分けが必要ではないかと考えます。
4コマ目です。細かい話になりますが、同じ薬局を利用する理由、別々の薬局を利用する理由、この2つの質問に対して、回答の選択肢を変えて調査するということは、非常に恣意的な調査であると言えます。同じ薬局を利用する患者においても「自宅や職場・学校に近く便利だから」よりも「医療機関から近く便利だから」という回答が多かった可能性もあるのではないでしょうか。
18コマ目も細かいのですが、「かかりつけ薬局」ではなく「かかりつけ薬剤師のいる薬局」という表現に徹底していただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
何点か御質問がございましたので、御回答をお願いしたいと思います。
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
2点御質問をいただいたと思っております。
まず、服薬指導の計画はどういうことかということであったと思いますけれども、基本的に27コマ目を見ていただくとわかりますが、薬剤服用歴というものを記録することになっておりますけれども、実際にこの項目を見ていただきますとおり、その時点の状況についての記載というものは多項目にわたって挙げられているわけですが、こうした記録を生かして次に何か服薬指導をするときに留意しておかなければいけない事項とか、そういった点についての記載が求められていない点が不十分ではないかという点でありまして、現状の記録だけにとどめず、今後服薬指導を行うに当たって、そうした今までの経過を含めてどういったことに留意しなければいけないかといった点についての記載を求めたいという趣旨で挙げさせていただいたということでございます。
フィードバックに関しての実態ということですが、これについては、実際のところ今お示しできるデータとしては、37コマ目のところで、関係主体への服薬状況等の提供の有無ということで、これはn数が902ですけれども、医療機関への服薬情報等の提供で「あり」が41.7%というような状況があるということで、そういったようなデータが今のところお示しできるかなということ。そして、さらに個別の事例でありますけれども、そうした38コマ目にあるような有効であったケースもまとめられているということで、そういったことについてもお示しできるかなという状況だということであります。
○田辺会長
プライバシーの確保のところで、監査室長、お願いいたします。
○平子医療指導監査室長
医療指導監査室長でございます。
プライバシーに配慮した構造というものを確認するということについては、現地で確認する場合もございます。そういった場合には、パーティションが設置されているとか、あるいは会話が漏れ聞こえない構造施設があるかといった点について、確認をしている状況でございます。
以上です。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
かかりつけ薬剤師の算定要件のところなのですが、質問と言いませんでしたが、32時間、6カ月ということについては先ほどもお答えになっておりましたので、それ以上のお答えはないと思います。1つだけお聞きいたします。要件に在宅の実績を入れてはどうかという点については、いかがでしょう。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
その点、確かにお答えしておりませんでした。失礼いたしました。基本的にはかかりつけ薬剤師として機能する上で、在宅の実績は必須とまでは言えないのではないかと考えます。ただ、そういったかかりつけ機能を推進するという点で基準調剤加算が位置づけられているわけでありまして、そこにおきまして、基準調剤加算を算定するためには在宅の実績が年1回以上なければいけないという要件があるということで、直接的ではないわけですけれども、かかりつけ薬剤師を推進するための基準調剤加算の中には、そういった実績も位置づけているということで、そこで対応させていただきたいと考えているということであります。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
そうではなくて、在宅の実績を要件に入れるような方向で議論していきたい、ぜひしていただきたいとも思います。
18コマ目の件について、あれほど徹底したと思っておりましたが、「かかりつけ薬局・薬剤師」という表現はやめて、「かかりつけ薬剤師のいる薬局」という表現にぜひ今後は改めていただきたいと思います。その点についてはいかがでしょうか。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
それぞれその言葉を使うに当たって、適切な場合とそうではない場合もあり得るのではないかということが若干気になるところがありますので、それについては、いろいろと相談をさせていただきながら、これからもやっていきたいと思います。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
この18コマ目の下のほうの枠囲みにある、これは「かかりつけ薬局」ですか。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
これは平成28年度改定のときにこういった見直しを行いましたということで、既に固まっている資料ということになります。今後こうしたところの記載についてどう書くべきなのかということは、その都度、いろいろと相談させていただきながら進めていきたいと思います。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
あくまでもこれはミスプリントではなくて、このとおりであると言われるわけですね。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
これはミスプリントではなくて、現状の規定にそのような単語が使われているということで、それをそのまま当時使ったということのようです。
○松本純一委員
この資料はきょうの資料ではないのですか。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
きょうの資料ですけれども、一応これは28年度改定のときにそう記載されていたものということなので、今後ここについて見直しをどうするかも含めて相談させていただきたいと思います。
○田辺会長
宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
調剤料のテーブルがこのままでといいのかという疑問がありまして、意見を述べさせていただきたいと思います。28コマ目でございますけれども、先ほど今村委員から院外と院内の調剤料の矛盾について具体的な数字でお示しいただいたのですが、私もこの28コマ目の表を見ておりまして、現実、そうなのだろうかということを考えまして、意見を述べさせていただきたいのです。
28コマ目の平成28年度4月改定の右上の表で申し上げますと、例えば3日の内服薬の調剤料は1日分につき5点ということですから15点、7日の調剤料は1日分につき5点で35点ということで、約2倍になるわけですけれども、3日の薬を出すことと1週間のお薬を出すことについて、いわゆる対物的な評価として2倍の評価をする必要があるのだろうかという疑問があります。現在では薬はほとんどタブレットになっておりますし、包装技術の進歩、パッケージの改善もなされております。そういったことによって、場合によっては3日分の調剤よりも1週間あるいは1カ月分の調剤のほうが、対物業務上のストレスがない、もしく簡易にできるケースもあろうかと思います。そういった素人的な発想ですけれども、こういった評価のテーブルにつきましては、もう少し抜本的な見直しをする必要があるのではないかと考えます。
以上、意見です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
提言というか、考え方と要望なのですけれども、20コマ目のかかりつけ薬剤師の推進に係る論点のところなのですが、これはその推進手順ということで、こういう場でマーケティングというような発想をしていいのかどうかわかりませんけれども、例えば本来的に服薬情報の一元管理、また継続的な把握、そういう必要性の高い患者というと、データを見ますと、複数の医療機関に行っているとか、1つのいつも行く薬局に行っている高齢者、そういう高齢者に絞ってまずは対応する。真に服薬管理等の必要性が高い患者、こういう人を、まず一つの層として考え、あとは一般的な対応の患者というものと段階的な区分をした算定、そのようにして、かかりつけのその本来的な効果を啓発する、広めていく。そして、順次その患者全般にかかりつけ薬剤師の機能の本来的な役割、その意義、それの浸透を図っていくというような考え方があるのではないかと思うのです。一律に推進して、その指導料がどうなのだというよりは、的を絞った推進はこういうものを広めていくには必要ではないかと思いますし、効果も上がるのではないかと考えます。
もう一つは、1つ目の○の同意書の件でございます。基本的様式を明確にすることは賛成でございますが、具体的に患者にとって、かかりつけ機能を持った薬剤師を指定することはどういう効果があるのか、どういうメリットがあるのか。そういう明示、表示と、今ですと費用面で患者負担がどれぐらい安くなるのかですとか、金額的に指定すると高くなるのかとか、そういうようなことを明示していただければありがたいと思います。それによって患者サイドがかかりつけ薬剤師を持つ意義をきちんと理解し、負担をこれぐらいしてもそれ以上のメリットがあるというような考え方ができるということで同意するようになるのではないかと考えます。この辺はぜひ御検討いただければと思います。
最後の57コマ目、これについての意見ですけれども、先般来、実績調査でいろいろ出ていますが、店舗数の多い調剤薬局、相変わらず高い収支差が出ております。同時に特定の医療機関から処方箋を多く受けているいわゆる門前薬局であるとか、同一敷地内であるとか、はたまた資料にありますけれども、医療機関との不動産賃貸契約がある薬局など、これらは収益率のみならず医薬品の備蓄率など、いろいろ課題が出ている。薬局の効率的な経営の推進ということでは必要なのでしょうけれども、看過できない課題が種々浮き彫りになってきていることを勘案すれば、この提案にあるように、きちんと評価を適正化してやっていくことは賛成でございます。医療資源の乏しい地域、それに対してその薬局が頑張っているということであるならば、きちんと配慮した評価をしていくべきだとも考えますので、この考え方には賛成したいと思います。
これは診療評価上の問題とは関係ないのかもわかりませんけれども、最近調剤薬局チェーンで処方箋の集中率を下げるがためにつけかえを行ったなどという事案が結構見られております。これは我々費用負担者の保険者としては看過できない問題だと考えておりますし、ぜひ指導監督を強化していただいて、診療報酬返還とか、悪質な場合には保険薬局の指定取り消しというような厳正な対処をしていただきたいと思いますし、国としてもそのような実態がないかどうか、定期的なモニタリングも含めてきちんと実態調査していくべきだと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
56コマ目と57コマ目の副作用の報告についてでございます。先ほど松本純一委員からお話があったところにつけ加えさせていただきますが、あくまで副作用かどうかの臨床判断は医師が行うものということをもう一度強調させていただきたいと思います。この後検査データの情報についても出てまいりますけれども、それに関することなのでお話ししたいと思います。56コマ目にありますけれども、このガイダンスの骨子の中に薬局の対応について、副作用報告を行おうとした場合に、提出に際し、処方した医療機関は連名として記入するとか、あるいは、ガイダンスのほかの記載の中には、医療機関側で副作用報告をPMDAに行おうとした場合、薬剤師は調剤し、交付した薬剤名や患者の服薬状況について、知り得た情報を医療機関側に提供すると書き込まれております。これはまさに医療機関が、医師が副作用かどうかの臨床判断をすることを反映したものとして書き込まれておりますので、強調しておきたいと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
今の副作用報告についてなのですけれども、これは56コマ目にある参考の副作用報告数の推移を見ると、医療機関からの報告は本当にこんな数字なのかなと思うのです。企業報告と10倍差があるようなので、これはどうなのかなと思うのです。というのが、この原因が、この数字が普通なのだということであればそれは別なのですけれども、医療機関で副作用報告を上げる手間などがあるから、なかなか上げられない実態がもしあるようなことがあるのであれば、それは薬剤師ですとか薬局との連携によって、共有した情報をまとめるのを薬剤師がやって、きちんと医師の見解、当然その判断も盛り込んだ状態で連名で出すのは、いいことなのではないかと思うのです。
患者にとっては、薬で起きたことが副作用かどうかの判断というよりも、自分自身に起きていることなので、それをきちんとデータとして記録していただきたいですし、報告をしていただくという、そういう仕組みをきちんとつくっていただくのが大事だと思いますので、そのあたりは、私としては57コマ目の2つ目の○については進めていっていただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
安部委員、お願いいたします。
○安部委員
今、副作用報告につきましては、松本吉郎委員と間宮委員から御指摘がございました。我々としても、基準調剤加算の中にこれを要件とすることについては、しっかりとした手順と連携をもとにして、しっかり実績が上がるように取り組みたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それから、先ほど吉森委員からは、一部の中でつけかえというものがあったというご指摘で、過去に中医協で自主点検をやっているということを発言しましたが、自主点検後にまた新たな事例が出てきたということでありますので、日本薬剤師会としても再度自主点検をし、かつ未報告がないような形で自主点検を実施しています。
私どもにとってはとても恥ずかしい事案でございますが、おおむねその方法というのでしょうか、一般の患者さんですと後で医療費通知が来れば私はこのようなところに行っていないというところですぐわかってしまうわけでありますので、その企業に勤めている従業員や家族で調整をした、これまでの事例を見ると大宗がそういう事例であります。その集中率に関するカウントの方法など、そういったことが二度とできないような方法論についても考える余地があると考えておりますので、そのようにしっかりやっていきたいと考えております。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
時間も押しておりますので、次回改定でぜひ見直していただきたいところを2点ほど私から提案させていただきます。
1点目は、薬剤服用歴管理指導料の制度設計のあり方です。これはぜひ見直す必要があると思います。メディアスによりますと、大体改定年は1件当たりの調剤医療費は下がるのですが、処方箋1枚当たりの調剤医療費は27年に比べて28年は5.6%減少しているのですが、なぜか薬学管理料だけ対前年で15%程度増えています。これはなぜかというと、私は薬剤服用歴管理指導料の点数設計が間違った方向に動いてしまったからではないかと思っています。この管理料は、6ヶ月以内に再度お薬手帳を持参した場合は38点、持参しなかった場合は50点が算定されますが、23コマ目のただし書きにあるように、お薬手帳を持参しても、調剤基本料1あるいは4以外の保険薬局であれば、50点が算定されます。28年度改定の趣旨は、かかりつけ薬局への来局が進むように、受療行動を変えることであったと理解しているのですが、その趣旨に反して国民は利便性を重視し、門前薬局や、大手チェーン薬局に向かってしまい、そこでお薬手帳を持参しても薬局側としては38点ではなくて50点が取れるという制度設計自体を改めていかなければいけないのではないかと思います。
また、薬剤服用歴管理指導料の点数は2つだけでなくても良いのではないかと思います。例えば、1、2種類と少なく、同じ薬を1カ月ごとに取りに来るような患者であって、自分でお薬を管理できている患者については、詳細な服薬指導は必要ないのではないかと思いますので、こういったケースに対応する点数設定を検討しても良いのではないかと思います。
2点目は、大手門前薬局の調剤基本料です。42コマ目にありますように、処方箋の受付回数と集中率で減算されますが、グループ全体の処方箋受付回数が月4万回超のところでも、処方箋集中率が95%以上でなければ調剤基本料1となるというのは、余りにもハードルが低いのではないと思っています。先般、財務省が公表した資料によりますと、日本の薬局の処方箋集中率の平均は73%であることも踏まえると、集中率95%以上という基準は余りにも低いハードルかと思います。
また、敷地内薬局であっても調剤基本料1を算定しているところがあると聞いているのですが、敷地内薬局については、集中率ではなく、敷地内であるということだけで調剤基本料を設定すべきと思います。
今述べたように、薬剤服用歴管理指導料と大型門前薬局の調剤基本料のあり方については、ぜひ次回改定での見直しをお願いしたいと思います。
また、一点確認ですが、39コマ目の論点にあります2つ目の○で、薬剤服用歴管理指導料については、手帳の活用を十分に推進できていない薬局の評価の引き下げを検討してはどうかとありますが、具体的にどういった手法で管理料を設定していこうとされているのかをお聞きしたいと思います。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
何点か御質問、御指摘をいただきました。まず薬剤服用歴管理指導料ですが、基本的にはこの28年改定におきまして、調剤基本料1、2、3に分ける前提ではなくて、基本的には50点ということで位置づけたものと考えています。ただ、そこで今度同じ薬局、かかりつけ薬局にまた来ていただくインセンティブ、患者さんにとってのインセンティブになるとか、あるいは薬局側にしても効率的に指導ができるということで、お薬手帳を持ってきていただければ少ない点数にするという整理にしたということだと思います。そういった趣旨はまず踏まえた上で、見直すべきところは見直すということでの検討を進めていきたい。
最後に言っていただきましたけれども、本来38点でとられるべきはずなのに50点というものが多いというようなところに対しては、別途38点と50点の今の区分とは別の区分を設けて評価を引き下げていく形もあり得るのではないかと考えております。
また、薬剤服用歴管理指導料も2つではなくてもいいのではないか、さらに低いものがあってもいいのではないかと御指摘をいただきました。ただ、この薬剤服用歴管理指導料には、薬歴の確認とか、残薬の確認も含めて、後発品の説明とか手帳への記載とか、さまざまなベースとなる業務がある性格を持っております。そこのベースを評価するということであれば、1剤、2剤で来る人であっても、それなりの負担というか、手間がかかるという位置づけになるのではないかと考えます。
大手チェーンということで、多くが基本料1になっているということで、ここについては資料の中でも述べさせていただきましたが、収益性とか医薬品備蓄の効率性といった点を踏まえて、集中率がどうあるべきかという点は考えたいと思います。
敷地内につきましては、あまり想定しにくいのですけれども、敷地内に仮にあったとしても、ある程度その地域に住んでおられる方の薬局として機能する場合もあり得るとは思います。当然敷地内であれば集中率は高くなるであろうということから、一定程度の集中率以上というものを置くことも検討すべきではないか、本来あるべきところでどうすべきかということは、しっかり検討していきたいと思っています。
最後のところは冒頭で申し上げたものと一緒であります。
以上です。
○田辺会長
安部委員、お願いいたします。
○安部委員
先ほど宮近委員から、調剤料の日数については一般の方から見て不合理なところがあるのではないかという御意見がありました。調剤料の日数による方式は、調剤報酬のさまざまな議論で長年の課題であったと認識しておりますし、これまでこの方式の中で包括化をしたり、点数を下げたりとか、さまざまな対応をしてまいりました。ただ、今回の段階でそれを全て見直すことは非常に難しゅうございます。引き続き調剤料のあり方については、検討課題として取り組んでいきたいと考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
少しだけつけ加えさせてください。今、申し上げたとおり、調剤料については引き続きいろいろとあるべき姿は研究させていただき、検討させていただきたいと思っています。
吉森委員からかかりつけ薬剤師の要件、患者の要件ということだと思いますけれども、御指摘をいただきました。どう的を絞るかということもまた難しいところでありまして、これも一定程度また検討を要しなければいけないと思います。まずは患者さんが来て、その薬局がなぜこの患者さんのかかりつけ薬剤師となることが必要なのかということと、それを受けて同意をしっかりとることを徹底することが大事なのかなということで考えております。
○田辺会長
宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
今、安部委員から将来に向けて見直さないといけないというお話をいただきましたので、そのとおりだと思っています。ただし、これまでたくさん議論がなされているとおり、薬剤師さんは専門的な知識を持っているわけです。したがって、調剤した量が多いから、ボリュームが膨らんでいるからということで評価するのは、今、我々が取り組んでいる減薬あるいは重複薬剤の是正という流れに逆行するのではないかというのが素直な疑問点であります。全体的なバランスの中で、薬剤師の皆さんの専門的な知識を生かして、我々の医療の前進につながるような、かつコストが下がるような工夫、そういった調剤の評価の仕方を考えないといけないのではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
やはり矛盾したといいますか、おかしいなと思うことは直ちに変えるべきで、変更がしにくいとかという話ではないと思うのです。問題なのは、確かに手間がかかるかもしれないけれども、ここまで上げる必要があるのかということと、院内と院外で同じことをして90円と2,400円というこの差は何なのだということであります。こういうことで医薬分業を進めるということでは、決してないと思うのです。だから、先ほどから言われているように、かかりつけ薬剤師を持つことによって、医薬分業の中でかかりつけ薬剤師を持って患者さんにメリットがあるということで医薬分業を進めていくというのならばわかるのですが、90円と2,400円で患者さんにとっては医薬分業などとんでもないという話になるわけですから、直ちに見直すべきだと思います。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
今、90円と2,400円という形で御指摘をいただきました。院内の場合でその外来の部分だけを切り出して比較するのが本来どうかという点があるということは冒頭申し上げたとおりです。ただ、本来、その差額の部分にどれだけの効果があると言えるのかを示すのは、非常に大事だと思っています。そこに対して、以前の行政事業レビューでも一定程度の差額分に相当する効果と、お金には換算できない効果もあり得るのではないかということをお示ししているところです。今後ますますそういったところについては効果として見えるようにということでしっかり出していくことは非常に重要だと思います。
調剤料のところは、基本的に実際に薬剤を調整する手間だけではなくて、この調剤料の中には、処方監査を行ったり、疑義照会をしたり、服薬指導をしたりなどなど、いろいろな業務として含まれているものを評価しているところでございます。そこについて、まずは日数で点数を上げていくというような考え方。薬局の場合、非常に薬剤数が少ない方から多い方までさまざまな方々を対象にしなければいけないということから、一定のこうした考え方を導入しているということかと思います。薬剤数なりがふえればふえるほど、そういった処方監査を行う上での手間や専門性も必要になるというところがあると思いますので、そういった位置づけになっていると思っています。では、本来調剤料の設定の仕方がどうあるべきかという点については、御指摘いただいたような点も踏まえてしっかり検討していきたいと思うところであります。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
もう時間がないですからお答えは結構ですけれども、今言われたことで、病院薬剤師と調剤薬局の薬剤師の能力がどう違うのか、やることが違うのかということを一度整理してみてください。答えは結構です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。本日の議論を踏まえまして、引き続き次回以降、さらに議論を深めてまいりたいと思います。
休憩を7分とりたいと思います。
(休 憩)
○田辺会長
それでは、再開したいと思います。次に「個別事項(その7)について」を議題といたします。テーマが非常に多岐にわたっておりますので、1つずつに区切って資料説明と議論を行ってまいりたいと存じます。また、会場の都合かどうかわかりませんけれども、1時ぐらいがめどだと思いますので、1時の段階で説明に入っていない部分に関しましては、次回以降、先送りにさせていただければと思います。
それでは、まず1に関しまして、事務局より資料の説明をお願いいたします。
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
それでは、1つ目の議題であります。3コマ目、腎代替療法でございます。課題のところを御説明させていただきます。まず現状でありますが、最初にポツ4つです。まず、全体的に透析、これは今回は透析はさまざま出てまいりますので、少し言葉遣いといいますか、概念の定義が必要ですが、ここで言う透析患者というのは血液透析及び腹膜透析でありますけれども、透析患者は年々増加している。そして腎代替療法に至らないような重症化予防とか生活改善の取り組みが重要である。これは2つ目です。
3つ目、諸外国と比べておりますが、これはデータを後で見ていただきますけれども、腎代替療法に占める幾つかのアプローチがありますが、日本は諸外国と比べまして、血液透析の割合が高いという特徴がある一方で腹膜透析や腎移植の割合が少ないということでございます。それから、それらの療法、特に腹膜透析は血液透析と比較をしまして、これも後で見ていただきますが、生活の制約、あるいは食事・飲水の制限が少ない特徴があります。これが現状です。
そこから下半分が報酬上の評価でございます。1点目、まずこれまで改定のたびごとに、この透析医療に係る報酬については見直しをして対応してきております。
2点目、透析、特に血液透析に使いますダイアライザー(透析膜)、これは市場実勢価格に基づきまして、これは特定保険医療材料でございますので、価格の見直しを行っております。それから、透析に使いますさまざまな医薬品、その中に特にエリスロポエチンといったものの包括化など、適正化については順次実施いたしております。
3点目、透析にかかわる診療報酬、これはさまざまな設定がございますけれども、一方で、施設の規模等によらず一定の評価であるとなっております。そして、その施設の規模もさまざまあるのが実態でございます。
4点目、処置に係る診療報酬、これにつきまして、入院料との関係について言いますと、入院料において、血液透析は包括の外になっております。しかしながら、その一方で、腹膜灌流(腹膜透析)、これは包括となっております場合がありまして、報酬上の取り扱いが違うのが現状でございます。
最後、血行動態が不安定な患者さん、そういったことも含めて、長時間の血液透析を要する場合があります。現在の設定は5時間以上の血液透析については一律評価になっているというのが、これが現状であります。
順次データで御紹介をいたしますと、まず4コマ目、これは透析の患者さんは年々ふえていますというのがまず全体像でありま。
5コマ目、右半分、左半分ありますが、左半分血液透析の中で特に透析導入患者さんについては、糖尿病の腎症が原因としてふえているということであります。それから、右半分は年次推移のデータでありますけれども、既往症について言うと、糖尿病性の腎症が男性、女性ともふえているということです。
治療法の特性についてまとめたものが6コマ目であります。これは血液透析、腹膜透析、腎移植、それぞれ表にしてまとめてございます。細かくは紹介は割愛させていただきますけれども、2つの○でまとめておりますが、治療手段として医学的条件だけではなくて、ライフスタイルや年齢、性格なども考慮して、治療法を選択することが基本原則であります。特に腹膜透析は日本では必ずしも相対的に多くはないわけでありますが、血液透析と比較をすると一定の特徴がありまして、生活の制約でありますとか食事・飲水の制約は比較的少なく、自由度は相対的に高いということがこの表から見てとれるということであります。
7コマ目、諸外国との比較であります。これは末期腎不全に対する腎代替療法をどういうアプローチでやっているのか、各国比較であります。もちろん人口規模等も違いますけれども、総体割合で行きますと、日本は圧倒的に施設による血液透析が多いという特徴がこれで見ていただけると思います。
8コマ目、これは現行の診療報酬上の評価の体系です。詳細は省略させていただきます。
報酬上の評価、現行の報酬に至るまでにどのような対応を行ってきたのかというのを9コマ目、10コマ目でまとめております。これは平成20年以降であります。これも詳細な説明は省略させていただきますけれども、例えば平成20年ですとそれまで時間によらず一律だったものを時間に応じての体系に入れたり、それから、水質の管理についての加算を入れたり、同様に、現場の技術に対応した新しい治療法、これはオンライン血液透析と言われておりますけれども、そういったことに対応しているというのが、9コマ目の下半分であります。
10コマ目、26、28をまとめておりまして、基本的には市場実勢価格等を踏まえた適正化を行っているということでございます。
11コマ目、ここでお示しをしておりますのは、慢性維持透析患者の外来医学管理料算定回数ということで、その棒グラフをお示ししておりますけれども、これは計画的な治療管理、月1回ですが、検査、画像診断の一部は包括されているということでございます。
12コマ目、先ほど説明の中でも申し上げましたが、透析患者さんはさまざまおられます。その中で、著しく透析が困難な方に対しては加算を設定しております。その要件、ここにお示ししているということでございます。どういった方々がその割合かというのが13コマ目であります。インスリン注射を行っている糖尿病の患者さん、これは単に糖尿病の患者さんだけということではなくて、インスリン注射を行っているという前提での糖尿病の患者さんを初め、こういった方々に対しての加算が設定されているということです。
14コマ目、長時間の血液透析について、これは通常の血液透析では管理が困難という事例につきまして、長時間血液透析について一定の条件に当てはまる症例については考慮すべきであるというように、これは学会のガイドラインでそういう設定がされているということでございます。
15コマ目、入院料との関係です。これは処置のところを見ていただきますと「人工腎臓を除く」、すなわち血液透析は除いて包括になりますので、腹膜透析は包括されているということでございます。
16コマ目、水質加算の現状で、大部分の施設については届け出がなされているということでございます。
17コマ目、これは人工腎臓、血液透析の現行の設定です。
18コマ目、血液透析実施施設の現状、特に規模の分布について見ていただいております。これは棒グラフを2つお示ししております。それぞれ施設当たり同時血液透析を行う患者さんの数の分布、それから、100人以上の分を拡大したものであります。これを見ていただくとわかっていただけると思いますが、一定の分布の傾向はある一方で、ばらつきもあるということでございます。
19コマ目、透析用の監視装置1台当たり、これは装置1台当たりの患者さんの数の分布を見ていただいております。上の左側が施設数当たりの機器保有台数の分布であります。右側が施設当たりの実施患者さんの分布、この2つを組み合わせる格好で、下の棒グラフでありますけれども、透析用の監視装置1台当たりの患者数の分布がこのようになっているということでございまして、イメージ図として、こういう運用をされているということでございます。
20コマ目、これらをまとめまして、論点であります。合計7つありますが、まず1点目、幾つかのアプローチが腎代替療法についてあるわけでありますが、腹膜透析あるいは腎移植、これは日本ではすごく少ないということでありますけれども、血液透析に比べてQOLが高いということであります。そうしますと、透析医療に係る診療報酬においても、こういったことを推進していく取り組み、あるいは実績を評価してはどうかというのが1点目の御提案であります。
2点目、合併症のある患者さん、特に先ほど見ていただきました障害者等加算でありますが、これは治療の質を確保する観点から評価を充実してはどうか。
3点目、長時間血液透析、現在は長時間の設定は必ずしも長くなっているわけではありませんが、6時間以上について評価をしてはどうか。
4点目、地域包括ケア病棟入院料を初めといたしまして、包括範囲に含まれている場合があります。これについて、血液透析と腹膜透析の取り扱いは違うわけでありますが、この包括範囲について見直してはどうか。
5点目、透析液の水質確保加算、これは大部分が算定されているという現状を踏まえまして、適正化をしてはどうか。
6点目、血液透析に係る診療報酬、見ていただきましたけれども、施設の規模あるいは血液透析を実施した患者さんの数によっては当然のことながら実態としては効率性が異なるということであります。そういったことを踏まえまして、効率性を踏まえた評価となるような適正化を行ってはどうか。
最後でありますが、慢性維持透析のろ過、これは複雑なものということでありますけれども、これは現行の報酬の設定は実施時間によらず一律の評価となっております。これは先ほど省略しましたけれども、現行の報酬設定でそうなっているわけでありますが、これについては時間により区分を分けて、評価の適正化をしてはどうかということであります。
以上であります。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、お願いいたします。
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
論点を7つ出していただいております。おおむね納得のできるものでありますが、1点、効率性の件についてだけ少しコメントをさせていただきます。効率性の高い施設、この19コマ目に表も出ているわけですけれども、ただ、決してそういう施設であっても不適切な透析を行っているわけではありません。限られたベッドを活用して、地域の多数の透析治療の需要に応えているにすぎません。
また、そうした施設は利益率が高いというデータも示されておりません。むしろ過度に引き下げが行われますと、そうした施設での透析継続が困難になり、そうすれば、地域に大きな影響が出ることが懸念されることになります。したがって、もし効率性の高い施設の透析診療報酬の適正化、あるいは引き下げを行うとしても、その引き下げ幅は極力小幅にとどめていただきたいと考えます。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
20コマ目の論点については概ね賛同いたします。特に3つ目の○の、6時間以上の血液透析を評価して、6時間未満を適正化するという論点は賛同いたします。
先ほど、松本純一委員がおっしゃった効率性についてですが、透析医療も医療機関によって様々な規模や保有している機器、患者数となっていると思いますので、効率性が異なる実態を踏まえて、透析機器1台当たりの患者数に応じて診療報酬上の評価を適正化すべきとの論点に賛成いたします。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、このテーマに関しては御質問もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次の2の遠隔病理診断に入ってまいりたいと思います。
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
26コマ目、2点目、遠隔病理診断でございます。課題を3つに分けてございますが、まずデジタル病理画像を用いた病理診断、少し聞きなれない言葉遣いだと思いますが、2つポツでございます。病理の診断、これは診療報酬上は標本、これはいわゆるガラスのスライドを顕微鏡で観察をする、これは鏡検と呼びますけれども、これを実施することが現状の定義、運用になっております。デジタル病理画像のみによって実施するということは、現在の診療報酬上は設定されていませんということです。
2点目、関係学会によるガイドライン、これにおきましては、一部の種類の病理検体については、このデジタル病理画像による病理診断の精度について、これは後ほど見ていただきますけれども、鏡検と同等だという評価がなされている。機器についても、いろいろな留意事項がまとめられているということでございます。
2つ目、保険医療機関の病理医が保険医療機関以外で業務を行うということにつきましての取り扱いであります。2つポツがありますけれども、この検討するに当たって比較として例を出しておるわけでありますが、1つ目のポツ、画像診断、これはすなわち放射線の画像診断のことを指すわけでありますが、画像診断の取り扱いはどうなっているのかといいますと、送受信を行うについて十分な環境がある場合には、保険医療機関の医師が例えば自宅等で夜間あるいは休日に撮影された画像を読影するということについても、一定の準じた取り扱いをされているということであります。その一方で、御紹介しました病理についてはそういう評価はないということであります。
2つ目のポツで、今回御検討いただく背景事情としまして、病理診断科の医師には女性の割合が比較的高いということでありまして、働き方の点で、例えば育児中の女性医師に対するさまざまな配慮については、そういったことを考えていく余地があるのではないかということが2点目であります。
3点目、医療機関同士の連携による病理診断であります。2つポツがありますけれども、医療機関の間で連携して病理診断を行う場合があります。連携先の保険医療機関に標本を送付することとされているのが現在の運用であります。送付側の保険医療機関は自施設で標本を作製するか、衛生検査所に標本作製を依頼する格好になっております。
2つ目のポツ、病理診断料、それから、病理診断管理加算等について、これは連携先の体制に応じて算定できるのはこの保険医療機関間の連携によって実施した場合に限っている。すなわち、保険医療機関に所属していない個人の病理医については、そういった場合、現在これは算定の対象になっておりませんけれども、病理診断料を算定可能にすべきだという指摘があるというのが課題の一覧でございます。
順次御紹介していきたいと思います。まず27コマ目、これは全体の整理ですけれども、広い意味で俗に申し上げます遠隔診療の範疇に入ります。その中で、今回御紹介をしているのは、患者さんとのコミュニケーションではなく、医師同士の連携に関する内容という御紹介であります。
その上で、28コマ目、これはデジタル病理画像を用いた病理診断の取り扱い、現行こうなっていますという話であります。連携によって受け取り側の保険医療機関の体制に応じて病理診断料、病理診断管理加算が算定できるということであります。この前提は、事後に検鏡を行うということでありまして、手術中の迅速病理検査というような場合だけがその算定対象になっている。これは現状の運用でございます。
29コマ目、これは先ほど触れましたが、学会を初めとしましたさまざまな学術的な評価によりますと、生検材料など、一部の種類の検体については、実際に顕微鏡をのぞくのと同等の精度がデジタル病理画像を用いた判定によって得られているということ、これは学術的に示されているという御紹介であります。
30コマ目、デジタル病理画像で病理画像を行う場合の留意点、これが30コマ目でありまして、幾つか掲げておりますけれども、まず検体の種類、これは全ての病理検体が適しているということではなく、30コマ目の上のほうに書いてありますが、一部特定の検体の種類については、こういった精度が保たれているという話が前半であります。
下半分、そういったデジタル病理画像を用いる場合の機器に係るさまざまな要件、こういったことが必要だという指摘を受けているということでございます。
31コマ目、画像診断に係る報酬上の取り扱いはこのようになっているということでございます。
32コマ目、女性のドクターが病理には多いというのは、このデータを見ていただきますと、全体の平均よりも病理診断科のドクターは女性の割合が高い。
33コマ目、これは以前も御紹介しましたが、育児中の女性の医師の働き方として、どのような勤務体制をとるのかといいますと、時間の短縮でありますとか日数を減らす、こういった対応をされていることが実態としてあります。したがいまして、こういったことも考慮していく余地があるのではないかという問題意識であります。
34コマ目、医療機関の間の連携による標本の送付、これ少しわかりにくいかもしれませんが、ポンチ絵を見ていただきまして、この左側の医療機関が病理診断を実施しようとする医療機関でありますが、御自身の病院で全て完結すればこういうことは生じないわけでありますが、御自身の医療機関で、例えば病理のドクターがおられないような場合について、標本を策定し、連携先のこの図で行きますと右側の病院で、実際にそういった病理診断を行っていただく場合に、標本の作製を御自身の左側の医療機関でできる場合はそのまま作製して送付する。できない場合、真ん中にあります衛生検査所に依頼して作製して、いずれにしても、標本を送ることが求められているということでございます。
35コマ目、ほかの医療機関への病理標本作製の委託については、これは衛生法規上、こういう取り扱いになっていて、認められているということをお示ししているわけであります。
36コマ目、こういった連携先の体制について、現行の病理を初めとする評価は現状このようになっているということでありまして、これも先ほど触れましたが、上に○が2つ書いてございます。個人の医師とか学術機関、保険医療機関以外については算定できないのが現行の運用であります。
そのことについては、37コマ目、関係学会あるいは関係機関等から算定可能にするべきだという御要望、御指摘があるということでございます。
38コマ目、論点であります。3つに分けて論点をまとめております。まず1点目はデジタル病理画像を用いた病理診断、これにつきまして、現行では認められているのは一部でありますけれども、現行の診療報酬、病理の診断、これは顕微鏡を用いた標本の観察(鏡検)が基本でありまして、先ほど見ていただきましたが、デジタル病理画像を用いた診断の精度が、顕微鏡の鏡検と同等というものつきましては、算定可能としてはどうかというのが御提案の1点目です。
2点目は、保険医療機関の外で業務を行う場合につきまして、画像の送受信に一定の環境がある場合につきましては、画像診断と同様の考え方に基づきまして、自宅等においてデジタル病理画像を用いて病理診断を行うことについても評価を見直してはどうかというのが2点目。
3点目、医療機関同士の連携による病理診断でございます。連携先の医療機関に検体を送付して、受け取り側が標本を作製した場合についても算定可能としてはどうか。これはちょっとわかりにくかったかもしれません。34コマ目でもう一度確認のために御説明しておきますと、現行の運用は標本を作製するということを、これは標本と検体と分けて説明しておりますけれども、医療機関が検体をプレパラートにする、あるいは標本にするという作業が必要になるわけでありますが、現行は衛生検査所に委託するかしないか、いずれにしましても、標本を送ることを基本的には委託、お願いする側に求めているわけであります。その手続につきましては、38コマ目の論点に戻っていただきますけれども、(3)の1つ目の○、検体を送付して、受け取り側で標本をつくる、そういった場合についても算定できるようにしてはどうかということであります。
2つ目の○、保険医療機関の間の連携に現在限っているわけでありますけれども、これはいろいろな御指摘を受けておりますが、このことについてどう考えるか。
以上が論点でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
38コマ目の論点ですけれども、今、御説明の34コマ目を使っての説明でこれはどちらで算定するという意味なのでしょうか。算定医療機関は標本をつくったほうですか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
これは前提といたしましては、34コマ目のポンチ絵で行きますと、標本を送る側、すなわち患者さんがこちらを受診されておりますので、その前提で、この左側の医療機関になります。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
ということは、検体を送っただけで標本をつくり、鏡検して診断をしたところが算定するのではなくて、検体を取り出したところ、送った側が算定できるくくりですか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
基本的にはそのような前提で取り扱いについて御議論をお願いしたいということでございます。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
それも踏まえまして、論点の整理をしたいと思います。38コマ目の論点で(1)でありますけれども、29コマ目のスライドにありますように、一致率が高いものについては算定可能としてよいのではないかと考えます。
(2)のところではありますが、前回改定で議論が出ておりましたけれども、画像診断管理加算で同様の対応をいたしましたので、病理診断でも同様の対応でよいと思います。ただ、今回働き方改革との関係がありまして、自宅での問題が非常に複雑になっております。医療課長に教えていただきたいのですけれども、このような場合、自宅等で診断を行う場合に、勤務時間との関係はどのように考えると考えられますか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
その点につきましては、今後改めて整理した上で御相談することになると思います。これは今回の診療報酬全般に言える話ですが、いかに働き方改革をさらに推進していくのとかという意味では、現行の取り扱いは必ずしも前提とする必要がないといいますか、前提としないで、さらに改革を前に進めるという側面もありますので、両者をよく踏まえて御相談させていただくべきと思っております。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
(3)の上の○ですけれども、本来ですと標本を作製し、病理診断をした医療機関が算定可能だというようには思いますが、この辺は委託契約等があって、何らかの金銭授受になるのかどうかはともかくとして、そういうあらかじめ決められたルールがあれば御提案のことも考慮していいのではないかと思います。
2つ目の○におきましては、この辺は、まず保険医療機関に所属しない個人の病理医とございますので、そのような医師がもし保険医であればよろしいと思いますけれども、保険医と言えるのかどうか。ですから、保険医でないならば、診療報酬の外の話ではないかと思います。この辺は御質問になろうかと思いますけれども、この場合は保険医と考えていいのか、そうではないのか、これはどちらになるのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
御指摘の点は、場合分けとしておっしゃるとおり、保険医である場合と保険医でない場合があり得ると思います。この場合のいろいろな御指摘の中には、保険医ということに必ずしもとらわれず、そういったことを認めるべきではないかということについて中医協としてどうお考えかということを私どもとしては御審議いただきたいという趣旨でございます。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
そうしますと、診療報酬の外の話になってしまって、診療報酬でくくると保険医でないと、それで何か整理ができている何かがあるのであれば結構かと思うのですけれども、私の理解の中では難しいのではないかと考えます。
○田辺会長
ありがとうございます。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
2点御質問です。38コマ目の(3)の1つ目の○ですけれども、検体を送付するというのは、その検体にもよるのだと思うのですが、法律的に問題がないのかどうかというのは、どうやって送付するのかにもよると思うのですけれども、これは感染性のものも多分あって、そういうものについて整理がされているのかどうかということが1点です。
2つ目の今の○の松本純一委員の御指摘になったことにも関連するのですけれども、片方は、つまり、依頼をするほうは保険医療機関だと、そこに診療報酬が支払われて、それを保険医療機関でない個人ならば個人、あるいは会社ならば会社をつくって、そこに属している病理医に対して、何らかの形でその対価を払うことを想定されているのかどうか確認をさせてください。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
まず1点目は、この34コマ目の図を見ていただきますと、現状でも衛生検査所にそういった輸送を前提とした対応を可としておりますので、この34コマ目の左側の医療機関から右側の医療機関に検体を送るというのは、さまざまなもちろん物理的な問題や実務的な問題はもちろんあり得るとは思うのですが、現状で、制度上はそこを前提とした制度になっておりますので、現状での私どもの理解では可だと思います。
2点目、保険医療機関の報酬算定を前提として、その保険医療機関と医師との関係をどう考えるのかという問題でございます。そこは現行では少なくとも保険医療機関、保険医という取り扱いを制度上では体系化しておりますので、その点についてどうお考えになるかということでございます。
○今村委員
ありがとうございます。
恐らく検体検査所は、そういうそのものを移送するという資格というか、認可を受けているので検体を預かって、それを運べるのだと思うのです。そうではない郵送みたいなもので、感染性の検体を遠くの医療機関に送ることが可能かどうか、そこが気になるところです。反対しているわけではないのですけれども、そこをちゃんと確認されているかどうかということを申し上げておきます。
2点目については、そういう形でも、病理医を活用したほうがいいというような、何か困っておられる、つまり、保険医療機関対保険医療機関でないと困るというような現状が今あるのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
まず1点目は、これはきょう医政局の担当課がおりませんけれども、医療法の中で、当然一定の規定があります。その規定はもちろんクリアする前提でありますが、現在物理的に全く送付できないということではございませんで、一定の要件なり、これは必要があれば改めて確認をさせていただきますけれども、一定の枠組みがあって、それをクリアするということで輸送することは可能だという前提での御提案であります。
2点目、これは現行の取り扱いがこうなっているということを前提として、この算定をさらに広げていくべきなのかどうかという、そういう御提案の仕方でありますので、もともとの御提案の中に保険医を前提とするしないというのを明記してもよかったのですけれども、まずはフラットといいますか、少し広い意味で御提案させていただいております。ですから、必要がありましたら、そこは整理をしてもう一度事務的に詰めさせていただくことも可能だろうと思います。
○田辺会長
松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
38コマ目の議論になっている検体なのですけれども、現実的に多いのは生の検体を送るよりも一回包埋したものを送って、受け取り側で精密的な検査をすることがよくあると思うのですけれども、これは生の検体と包埋した検体と、両方を指していると解釈してよろしいでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
生のという意味にもよりますけれども、一定の処理をする、あるいはさまざま先ほど申し上げましたとおり、衛生法規上の規定はもちろん一定程度ありますので、そこをクリアするということであれば、生なのかどうなのかという表現にもよりますが、そこは大きく制約をしないで今回御提案をしているということでございます。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
ほか、いかがでございましょう。
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
38コマ目の(3)の病理診断のところの2つ目の○です。保険医療機関間の連携というものがありますけれども、この連携の意味するところは何なのか。委託なのか、そういうことについて、意味がわからなかったので念のために教えていただきたいと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
これはまた34コマ目の絵を見ていただいてということなのですが、連携とはすなわちこのケースが典型ですけれども、もともと患者さんがおられる施設、この34コマ目で言いますと、左側の医療機関で基本的には完結することが一義的には望まれるといいますか、その場合にはこういう問題は生じませんけれども、それができない場合について、他の医療機関と一体的に作業することで病理診断を行う。そういう意味の、この作業の分担の仕方を連携と呼んでおります。ですから、この34コマ目の左側の標本送付側の医療機関では病理診断が完結しない場合について、ほかの医療機関との作業分担において、病理診断を行える。これを連携の形態として想定していますということでございます。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
ほか、いかがでございましょう。
島委員、お願いいたします。
○島委員
確認でございますが、ある程度こういう病理というのは、治療の方向性を決める非常に重要な部門でありまして、ですから、自施設できちんと病理診断ができない場合は、よりそういうことがきちんとできるところに依頼するのは当たり前の話であろうと思いますが、これは受け取る側の、当然医師が判断するわけですが、どういう資格を大体想定されておられるのですか。専門医であればいいとか、あるいはフリーランス、放射線、画像の読影のところにも関連してくるのですが、そういった医療保険施設にきちんと所属していない方でフリーランスみたいな方たちがやるのも、それはきちんとした能力があればそれでもいいのかもしれないですけれども、一体どういう資格を持ってこのような診断に当たることを想定されているのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
こういった34コマ目にあるような連携の前提となっていますのは、幾つかの背景があると思われますけれども、今も島委員が御指摘のとおり、病理を診断していただく専門医の数自体が必ずしも現場で十分確保できていないという実態が恐らくありまして、そういった診断を的確に行っていただけるドクター、医師、病理医が別の医療機関にいる、その場合の病理医の専門性なり資格について、現時点でこの御提案については、何らか細かく想定しているわけではありませんけれども、もう少し現在の患者さんが受診した医療機関には病理医がおられないで、連携先の医療機関には病理医がおられる。その病理医についての資質なり専門性について、今、特段の想定はないという前提で御審議をいただいているということでございます。
○田辺会長
よろしゅうございますでしょうか。
ほか、いかがでございましょう。
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
余り理解ができていないのですけれども、今、病理診断の連携先を病院間ではなくて、個人の医師でもオーケーにしようという話だと思うのですが、その場合、病院と個人の医師の間の関係性は契約になるのかどうなのか。その場合、請負みたいな形になると思うのですけれども、その辺の契約関係はどういうことを想定しているのかわからないので教えていただきたいと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
37コマ目の御説明が足りなかったので、少し審議が混乱をしてしまって、申しわけございませんでした。37コマ目の下半分の点線でありますが、現行でこの34コマ目のポンチ絵で実際に運用されております病理の診断を連携によって行う場合の施設基準が設定されておりまして、これは先ほどの島委員の御指摘にもつながる話でありますが、まず病理診断科を標榜している保険医療機関であること、専門性で言いますと、専ら病理診断を担当した経験を7年以上有する者に限るということでございますので、私が先ほど申し上げたことは若干事実誤認がございましたので訂正させていただきますが、こういう相当程度の専門性があるという保険医療機関に対して委託するということでございます。
平川委員の御質問に戻りますと、こういう保険医療機関の運用を前提としておりますので、保険医療機関との雇用関係のある常勤の医師1名以上が配置されているということでございますので、雇用関係のある病理医であるということを前提としているということでございます。ですから、私の御説明が一部間違っておりましたので、訂正させていただきます。
○田辺会長
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
個人の医師との契約関係ですけれども、それは請負になるのかどうかなのか。何を言っているのかというと、療養の給付は医療機関との間に対して行います。それがこの場合は医療機関に所属しない個人の医師の判断も含めてやっていくという話になります。そうなると、今までは病院の機関間との連携でやっているのですけれども、それが個人になってしまうと、療養の給付という性格上問題ないのかどうなのかをお聞きしたかったということです。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
これは結論といたしまして、今の点も含めて整理をさせていただく必要があると考えております。
○田辺会長
よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に、3点目の小児への対応に関して、御説明をお願いいたします。
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
続きまして、小児への対応、39コマ目、40コマ目であります。
40コマ目、幾つかサブセクションがありますけれども、1点目、小児かかりつけ診療料でございます。5つポツがございます。小児かかりつけ診療料、現在全体で、これは小児外来診療料も含めて全体の算定回数から見ますと4%程度と必ずしも高くないということでございます。
施設基準の中に、これは後で表でまとめておりますけれども、地域の保健活動等への参加に係る要件が設定されております。参加条件につきましては、実際のところばらつきがあるということと、初期救急への参加については6割程度であるということでございます。
電話問い合わせへの対応も求めておるわけでありますけれども、多くの医療機関が「自院の医師が対応」ということになっております。
算定患者、慢性疾患を有する患者さんの割合は4割程度ということでございますし、継続的な管理が行われていない疾患、すなわち、そういったことがうまく対応されていない疾患の一つに運動器疾患があるという実態がある。こういったことについてどう考えていくのかという御審議であります。
41コマ目、これは現行の小児かかりつけ診療料の算定要件、下のほうに書いてございます幾つかの要件をお示ししております。それから、真ん中にあります3と書いてありますけれども、「電話等による問い合わせに対して、原則として」という設定がございます。
42コマ目、これは先ほどのデータでございます。
届け出医療機関の状況をまとめておりますのが、まず43コマ目、44コマ目の状況であります。
43コマ目、先ほど申し上げましたが、地域の保健活動等への参加ということであります。その内訳を見ていただいておりますが、初期小児救急医療への参加は、必ずしもほかの要因と比べて高くない、6割程度でありますということです。
この算定に当たって、すなわち小児かかりつけ診療料の算定をすることで地域の保健活動への参加機会がふえたかという影響について見ていますのが、この右側の円グラフでありますが、「あてはまる」あるいは「どちらかといえばあてはまる」を含めても20%を切っているのが現状であります。
44コマ目、これは先ほども御紹介しましたが、診療時間外の最初の連絡先、これを「自院」としている医療機関がまず7割程度あるというのが左側の棒グラフ、それから、円グラフでありますが、具体的にどなたが対応されるのかというと、「主に医師」が8割ということでございます。
45コマ目、算定する患者さんの疾患の内訳であります。ぜんそく、ぜんそく以外の呼吸器が圧倒的に多いわけであります。一方で、先ほども触れましたが、運動器についてはゼロということでございます。
46コマ目、小児の患者さんの診察の状況、これは診療所における6歳未満ということですので、これまではかかりつけ診療料を算定するという前提での集計でありますが、今度は診療所全般について、診療所における小児患者の診察の状況を見ていきますと、診療科ごとに分けておりますけれども、整形外科について言いますと、極めて少ない、低いということになってございます。
47コマ目、これは小児の運動器疾患について、どのような状況になっているのかということでありますが、これは一定の疾患について定期的なフォローが必要な疾患というのは一定程度あることを御紹介しているということでございます。
以上が小児のかかりつけ診療料の話であります。
48コマ目、2点目、小児科療養指導料でございます。4つございまして、小児科を担当するドクターが外来において慢性疾患を有する小児または家族に対しての療養上の指導、これが算定要件でありまして、頻度につきましては、近年横ばいでありましたけれども、これは後ほど見ていただきますが、制度改正がございまして、28年で大きく増加しているということでございます。
外来での指導に関する評価につきましては、実施者に関する規定、これは「小児医を担当する医師」あるいは「標榜診療科の専任の医師」「規定なし」、さまざまあるということでございます。
近年の状況としましては、いわゆる医療的ケア児の数が増加傾向にあるということでございます。
49コマ目、先ほど触れましたが、27年1月1日でありますけれども、児童福祉法の一部改正が行われておりまして、対象疾患が大きくふえております。その関係で算定件数が大きく伸びているのが実態であります。
一方、50コマ目、小児や家族に対する指導が算定の前提になるわけであります。その医師に対します、実施者に対します規定につきましては「小児科を担当する医師」という規定の場合もあれば、「標榜診療科の専任の医師」という場合もあれば、「規定なし」という、さまざまな状況になっているということでございます。
51コマ目、医療的ケア児の動向でありますが、見ていただいたとおり、近年増加傾向にあるということでございます。
小児の最後、3点目、抗菌薬の適正使用であります。
52コマ目、6つ課題を掲げておりますけれども、まず、外来に占める割合、1割程度で推移しております。
2点目、抗菌薬の関係でありますけれども、使用量について見ますと、年齢別の抗菌薬の使用量について約4分の1、これは15歳未満の患者さんへの使用となっておりまして、年齢別の割合と比較しますと多いということと、使われている抗菌薬がどういう内容かといいますと、8割弱が広域の抗菌薬になっているということでございます。
3点目、これは先般も御紹介いたしましたけれども、抗菌薬の適正使用については、手引を公表して、推進しているということでございます。
4点目、これも先般御紹介いたしました抗菌薬に関する正しい知識を得る場合、医師、薬剤師の方々が情報源として有力であると。
5点目、急性気道感染症で抗菌薬を処方されている患者さんの割合、これは必ずしも必要ない前提なのですが、6割程度の報告があるということ。
現在報酬の取り扱いについて言いますと、6点目、最後の○ですが、外来において小児患者の医学管理に対する報酬、これは小児科外来診療料と小児かかりつけ診療料がありますけれども、これらはいずれにしても投薬、検査が包括されておりますということでございます。
53コマ目、これは御参考までに外来患者さんの推移で、54コマ目、抗菌薬の関係です。これは既に一度ごらんになっていると思いますが、年齢階級別で見て、年次推移で見ていますけれども、2016年、一番直近、これが15歳未満で赤枠です。一番多いのが判例のところの1ですが、広域抗菌薬でありまして、これが全体の74%ということでございます。
55コマ目、小児かかりつけ診療料を算定する患者さんの投薬状況です。薬剤数はゼロの割合が最も多いということでございます。
56コマ目、小児科外来診療料の概要です。これは包括されているというのが、この議論での前提になります。
57コマ目、これは同様に小児かかりつけ診療料の概要、58コマ目、12月1日の中医協において、抗微生物薬、抗生物質の適正使用に向けた取り組みの御紹介のときにお示しをしたものであります。
59コマ目、患者さんの抗菌薬に関する意識調査、これも既に御紹介をいたしましたけれども、四角囲みにありますが、抗菌薬がインフルエンザや風邪に効くと思っておられる方は必ずしも少なくないということと、医師、薬剤師から情報を得る。
60コマ目、抗菌薬の投与の実情、これはお示ししたいのは何かといいますと、医療機関で急性気道感染症、これは必ずしも最初の段階で抗菌薬を処方する必要はないと言われているものでありますが、相当程度の割合で処方された医療機関の数が現状ではあるということでありまして、ばらつきも伴って分布しているということでございます。
まとめまして、61コマ目、62コマ目、論点であります。3つに分けてございます。まず1点目、小児かかりつけ診療料であります。これは施設基準において、先ほど御紹介しましたが、地域の保健活動等に参加することになっておりますが、そのうち、医師の負担が大きいと考えられる業務に従事している場合、これは状態が安定した患者さんについて、診療時間外の問い合わせの対応に係る算定要件については、一部緩和してはどうかということでございます。
それから、整形外科の疾患については、先ほどデータを見ていただきましたけれども、かかりつけ医からの紹介を受けて整形外科における小児の運動器疾患の一定程度の継続的な管理が行われる場合、それについては評価してはどうかというのが、かかりつけ診療料の関係であります。
小児科療養指導料の関係でありますが、1点目は、小児科の療養指導料の実施、これは小児科の医師という規定になっております。ですが、実態としてそういった連携といいますか、指導を行う場合に関係する職種には幅がありますので、そういった診療実態を踏まえまして、医師の治療計画に基づいて複数の職種が行えるように規定を見直してはどうかというのが御提案の1点目であります。
2点目は、この現行の対象患者さんに該当はしておりませんけれども、医師等の療養上の指導が必要ないわゆる医療的ケアが必要な児についても追加してはどうか。それから、学校等の情報共有や連携について、算定要件に明確化してはどうかというのが、小児科療養指導料であります。
最後、抗菌薬の関係であります。これは小児科の外来診療料、あるいは小児かかりつけ診療料を算定する患者さん、いわゆるかかりつけ的な対応をされている小児科の診療科の対象となる患者さんにつきまして、急性気道感染症、急性下痢症といった受診の場合、これは簡易検査等の活用でありますとか、十分に理解できる説明を行うといった対応をされている場合について、広域の抗菌薬を使用しない取り組み、これについては評価を検討してはどうか。
評価に当たっては、この文書の提供でございますとか、抗菌薬の処方状況、これについては一定の情報提供を求めるとしてはどうか。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
最初に御質問をお願いします。62コマ目の最後にあります報告、これは誰に対する報告と考えたらよろしいのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
具体的な手順や事務的な対応については今後改めて整理させていただきたいと思いますが、基本的には国に対しての御報告を得たいと考えております。
○松本純一委員
国とおっしゃったのですか。
○迫井医療課長
厚生労働省でございます。
○松本純一委員
そういう意味ですか。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
それでは、それも踏まえまして、61コマ目、62コマ目の論点のところで若干コメントさせていただきます。小児かかりつけ診療料なのですけれども、41コマ目の施設基準の一番下に小さく赤で書いてあるところ。5つの要件のうち3つ以上に該当することが施設基準になっておりますが、緩和するということで、その件に関して反対するものではないのですけれども、一つ一つの要件に重みづけをして、点数化することも考慮していただきたいと思います。
次いで、小児科療養指導料なのですけれども、これに関しましては、おおむね妥当ではないかと考えます。
最後の62コマ目の抗菌薬の適正使用なのですけれども、既に実施されている小児科の先生も多数いると思われます。報酬をつける条件として、文書提供はある程度妥当かなと思いますけれども、その報告というのは、例えば厚生労働省に対してということなのですけれども、そこまで必要ではないのではないかと思います。例えば、処方箋のコピーなどでもいいのではないかと。それを報告とするというのであれば、そのような考え方でいいのではないかと考えます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
62コマ目の抗菌薬の使用なのですけれども、これは12月1日に全般的に抗菌薬の適正使用について、加算評価で推進したいという話があったので反対をさせていただいたのですが、今回小児に絞ってかつ急性期の感染症と急性下痢症、これに絞った使用についての薬剤選択のための微生物検査等々の条件をつけた上で、さらには、患者・家族、小児ですから多分家族が主なのだろうと思うのですが、そこの文書説明、同意等によって包括の上に加算したいという方向性については理解したいと思います。
一般的にこのような抗菌薬の適正使用推進、これについては前回歯科で院内感染症について、これは当然の責務だということで減算という考え方も入れたということもありますし、今回は今後のあり方としても、本来的に医療機関の当然の責務ということでのこの抗菌薬の適正使用を推進するということについて、患者に十分な説明をするということの要件化をきちんとして、それが取り組めないということであるのならば減算するというような方向での取り組みも考えることが妥当だと考えております。ぜひそのような方向を、今後進めるに当たって検討いただきたいと思います。少しうがった見方ではありますけれども、患者が抗菌薬を求めない、医師も抗菌薬の処方の必要性を感じていないという様な場合に、単に説明文書交付だけで使用して加算するということのないように、実績報告、今、報告とはどういうものだという議論がありましたけれども、十分に精査して全体的には適正使用がきちんと推進されるように、なおかつ財政的にも効果が出るのだろうと思いますので、ぜひそういう進め方をしていただきたいし、進めていくべきだと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
61コマ目の1つ目の○の2つ目のところに整形外科のことが書かれているのですが、ここの「かかりつけ医からの紹介を受けて」というのは、この小児のかかりつけ診療料をとっている方からの紹介のことを指しているのかどうかということが1点と、実際は、これは今、小中学校の学校の健診で運動器の検診が始まって、そこの学校でチェックされたものがそのまま整形外科に回ってくることが非常に多いのですけれども、そういう場合はどのように理解したらいいか、教えていただけますでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
1点目はおっしゃるとおり、かかりつけ医からの紹介で整形外科ということでございます。
2点目、学校医からの御紹介については、今回の想定では必ずしもなくて、あくまで学校健診ではないかかりつけ医からの御紹介ということでございます。
○田辺会長
よろしゅうございますでしょうか。
ほか、いかがでございましょう。
丹沢専門委員、お願いいたします。
○丹沢専門委員
抗菌薬の適正使用について、皆さんに御理解をいただきたいことがあるのです。考え方はいいのですけれども、例えば風邪症状で患者さんが来たときに、風邪であれば問題はないのです。普通の健康だった小児の方が風邪を引いた。ウイルス性のものだから、自然に治る。それはいいのですけれども、体力が極端に落ちていて、感染に非常に弱い、2次感染がしやすい、それから、ほかの疾患ですね。ブドウ球菌とか百日ぜきの菌だとか、予防注射はありますけれども、溶連菌の問題などがあって、診断をするということが非常に小児の場合、難しい場合もあるわけです。それを一律に、例えば抗生剤をそういう症状で投薬しないというような方向に強く締めると、問題があったときに医者が責任をとらなければならなくなる話になるのです。
ですから、抗菌薬を投薬しないのであれば経過をしっかり追うとか、いろいろなことをするのですけれども、余り一律的にきつい締めにするといろいろな問題が起こるのではないかと危惧しています。本当にその診断が正しいのか、それで、その診断が初期に来られたときにつけられるのか、そういう問題などがあって、これは結構大きな問題だと思っているのです。考え方は正しいと思っています。耐性菌のこともありますから。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
先ほども申し上げましたように、1時の段階で説明に入っているものはということですけれども、もう1時を過ぎましたので、大分残してしまった気もしますが、残りの4、5、6、7、8、9、10に関しては、次回以降議論してまいりたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。
どうも長時間にわたり、ありがとうございました。
<照会先>
保険局医療課企画法令第1係
代表: | 03-5253-1111(内線)3288 |
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第377回議事録(2017年12月8日)