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2017年11月24日 中央社会保険医療協議会 総会 第373回議事録

○日時

平成29年11月24日(金)9:14~11:58

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

田辺国昭会長 野口晴子委員 松原由美委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員 中村洋委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 
安部好弘委員
菊池令子専門委員 丹沢秀樹専門委員 横地常弘専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○診療報酬基本問題小委員会からの報告について
○医療経済実態調査の結果に対する見解について
○入院医療(その7)について

○議事 

 

○田辺会長
それでは、おそろいのようでございますので、ただいまより、第373回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、榊原委員、丹沢専門委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうをよろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
初めに「診療報酬基本問題小委員会からの報告について」を議題といたします。
本件については、診療報酬基本問題小委員会において議論を行ったところでございますけれども、小委員会でいただいた御意見も含めまして、事務局より御説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
それでは、お手元の資料の番号としては診-1、診-1の参考が4までございますけれども、ただいま行われました診療報酬基本問題小委員会の審議の結果について簡単に御報告をさせていただきます。
福井分科会長から診-1の資料をもとに、参考資料を適宜御説明・補足をしていただきながら、医療技術評価分科会における検討について概略を御紹介いただいております。
「1.経緯」につきまして、今、詳細には御紹介は省略させていただきますけれども、参考1の資料で考え方、参考2のフローチャートで、特に先進医療会議との役割分担を御説明いただきながら、今後、中医協に御報告をし、検討していくという作業スケジュールについて御紹介いただいております。
あわせまして、診-1でありますけれども、2.の(1)のところで、特に今回、これまでの分科会で御議論いただきました先進医療との関係につきましては、参考2のフローチャートを念頭に置いていただきまして、先進医療と医療技術評価分科会との役割分担を踏まえて、最終的に医療技術評価分科会で横断的に一本にまとめていただきまして、中医協に御報告をいただくという検討作業の方針。
それから、診-1の裏面でありますが、(2)で、内視鏡手術用支援機器を用いた内視鏡手術につきまして、これまでの経緯、それから、今後こういった形で、特に分野横断的な視点が必要でございますので、先進医療におけるこれまでの検討も踏まえながら、新たな視点でということも含めて検討し、分科会などで検討いただきまして、中医協のほうに御報告いただくという方針の御紹介をいただきました。
3.がスケジュールでございます。
審議の中で、平川委員から、内視鏡手術用支援機器、いわゆるda Vinciと言われております機器でございますけれども、その手術の評価につきまして御質問がございまして、それにつきまして分科会長のほうから、この技術が置かれております背景でございますとか、それから、従来の視点と少し違った状況もありますので、そういった新たな視点も含めて、今後、評価をしていきたいというお話をいただきまして、今後、そういったことを踏まえて作業を進めていくということで御了解をいただいております。
事務局からは以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
次に「医療経済実態調査の結果に対する見解について」を議題といたします。
11月8日の総会で医療経済実態調査の結果が報告されたところでございますけれども、本日は、一号側委員、二号側委員、それぞれから「医療経済実態調査の結果に対する見解」が提出されております。
まず、一号側委員から、資料の説明をお願いいたします。
では、幸野委員、よろしくお願いいたします。
○幸野委員
それでは私から、健保連が行いました分析について報告させていただきます。中医協総-2-1をご覧いただければと思います。
初めに、文字が非常に小さい資料になっておりますことをお詫びいたします。
時間の制約もありますので、各グラフのポイントのみの説明とさせていただきます。
健保連では中長期的なトレンドを分析し、今回は平成23年度から28年度までの経年変化を見ました。私の説明や資料の表記で、今回調査と記載があるものは平成27年度と28年度の比較を指し、前回調査と記載があるものは25年度と26年度の比較を指しています。また前々回調査については23年度と24年度の比較を指しているということを先に説明させていただきます。
では早速ですが、分析結果を説明してまいります。
2コマ目は、本分析における主なデータの出典と用語の定義でございますので、御参照いただきたいと思います。
3コマ目は、損益差額率の経年変化でございます。一般病院の右から2列目の全体を見ていただきますと、平成27年度が-3.7、28年度が-4.2と、0.5ポイント悪化しておりますが、その左隣の国公立を除くを見ると、平成26年度が-0.3、平成28年度は0.1ということで、26年度と28年度で比較すると収支は0.4ポイント改善しているということが見てとれると思います。一般診療所と歯科診療所については、前回調査よりは悪化しているところもありますが、おおむね高い水準を維持しているということがわかります。右端の保険薬局については、改定年度ごとに悪下しておりますが、改定年度のみを比較すると右肩上がりに上昇しているということが見てとれると思います。
次に、4コマ目の表を見ていただきたいと思います。これは医療機関別の分析で、一般病院についてです。一般病院の機能別に損益差額率の経年変化を見ると、療養病床を有しない病院やDPC対象病院の赤字は拡大している一方で、特定機能病院とこども病院は赤字が続いているものの、前回調査と比べると改善しており、左端の療養病床60%以上の一般病院は、黒字を維持し続けているという現況でございます。
5コマ目はDPC病院についてです。全体的には悪化傾向ですが、公立病院の損益差額率は悪化しているものの、左端の医療法人は今回調査では多少の悪化は見受けられますが、前回調査と比べると黒字は微増しています。
6コマ目は一般病院の病床規模別に見た損益差額率の経年変化です。全体的に収支は悪化しておりますが、公立病院を除く一般病院の50~199床未満の中規模病院は黒字を維持しています。
7コマ目は一般診療所の開設者別・有床無床別に見た損益差額率の経年変化です。一般診療所では、個人・医療法人、有床・無床とも黒字を維持しています。左から3番目の個人(全体)を見ると、27年度よりも損益差額率が向上し、高収益となっていることが見てとれると思います。
8コマ目は一般診療所の診療科別に見た損益差額率の経年変化です。診療科ごとに損益差額率を見ると、個人・医療法人とも全ての診療科で黒字です。特に、個人では耳鼻咽喉科と精神科の損益差額率が4割を超え、他の診療科に比べて高いということが見てとれます。
9コマ目は一般診療所の収益規模別に損益差額率を見ています。全体を見ると、いずれの収益規模においても10%を超える黒字となっています。
10コマ目は保険薬局の開設者別・店舗数別の損益差額率の経年変化です。開設者別に見ると、個人、法人とも損益差額率が5%を超える水準を維持しています。法人の店舗数別に見ると、店舗数が多いほど損益差額率は大きく、20店舗以上の薬局では損益差額率が12%の高い水準にあります。
11コマ目は調剤基本料別・立地別の損益差額率の経年変化を見ています。調剤基本料別で見ると、調剤基本料2は処方箋の集中率が高い薬局ですが、これが最も高い収益を出しています。立地別に見ると、大病院前や病院敷地内、診療所敷地内、医療モール内等の損益差額率が高いという傾向が見てとれると思います。
12コマ目は立地別・処方箋集中率別に損益差額率を見ています。大病院前保険薬局の損益差額率は、処方箋集中率80%未満では25%超、80~95%でも15%超の高水準にあり、大病院の門前薬局は高い収益を上げています。
13コマ目では、費用構造、付加価値額・率、労働分配率の比較を見ていきたいと思います。まずは医療機関別の損益差額率です。このグラフのパーセンテージは収益に対する費用の割合を表しており、100%を超えると赤字になっているということです。国公立の費用は年々増加傾向にあり、これが収益悪化の要因となっているので、費用の構造改革が求められると思います。
14コマ目は一般病院の費用構造です。一般病院を開設者別に見ると、医療法人、公的病院において各費用の構成比率に大きな変化はなかった一方で、公立は、給与費比率が6割を超える高水準となっており、給与費率が平成25年度から3ポイント弱上昇しています。費用が年々増加する分、収益が悪化しているというところが見てとれると思います。
15コマ目は医療法人と公立病院の経営指標を比較しております。左の棒グラフは一般病院の開設者の中で医療法人と公立病院の差異を分析しており、医療従事者1人当たりの収益で見た生産性では公立のほうが医療法人より高いのですが、真ん中のグラフの職種別平均年収を見ると公立のほうがどの職種においても2割から7割強年収が高く、高コスト体質になっているということが見てとれます。右のグラフは医薬品費率、委託費率、減価償却費率ですが、これらも医療法人に比べて公立のほうが高く、高コスト構造になっているということが見てとれると思います。
16コマ目は開設者別の100床当たり職種別常勤職員数を見ています。一般病院の100床当たりの常勤職員数を公立病院と医療法人とで比較すると、医療法人の医師は9.0人であるのに対し、公立病院は14.8人と、1.6倍の配置となっています。一方で事務職員は、医療法人が18.2人に対して公立が9.8人ということで、医療法人では医師事務作業補助者を活用することによって生産性を高めていると推測されます。看護職員についても、医療法人が55.1人に対して公立が75.7人と多い一方で、看護補助職員は、公立病院よりも医療法人の方が多く配置していることから、医療法人では看護補助職員を活用することで生産性を高めているということが推測されます。
17コマ目は一般病院・開設者別に付加価値率や常勤医療従事者1人あたり付加価値額を見ています。付加価値額とは、全体収益から医薬品費などの必要経費を差し引いたもので、給与や収益の原資となります。付加価値率は、収益に占める付加価値額の割合を示しております。これを見ても、医療法人と個人は100床当たりの常勤医療従事者数が100人未満で高い付加価値率を維持していますが、やはり公立は低いという値が出ております。
18コマ目は一般診療所の主たる診療科別に付加価値率や常勤医療従事者1人あたり付加価値額を示しています。付加価値率は内科を除き前回調査に比べておおむね低下しておりますが、付加価値額は前回調査と比べておおむね増加しています。
19コマ目は労働分配率です。労働分配率とは、生み出した付加価値額のうちどの程度を給与費に充てているかを示したものでございます。病院は労働集約型事業なので、人件費の比率が高いという傾向はどれも同じですが、その中でも公立の労働分配率は年々上昇しており、収益の9割を人件費に充てていることが、損益を悪化させている原因になっていると思いますので、人件費の抑制が今後求められるということが見てとれます。
20コマ目は職員給与の比較を見ております。一般病院につきましては、前回、前々回調査に比べて、おおむね横ばいまたは増加しておりますが、有床一般診療所院長の平均年収は前回調査の高水準からは低下しましたが、平成23年度と平成28年度を比較すると400万近く増加しています。
最後に、21コマ目の表は各職種の平均年収の差を見ております。平均年収の差が最も大きいのは院長で、平均年収最高額と最低額の差は2,170万円程度あります。薬剤師と事務職員についても比較的職種内での差が大きく、薬剤師は600万円程度、事務職員は400万円程度の差があります。
各グラフの分析結果については申し上げたとおりですが、最後に総括を4点申し上げたいと思います。1点目は、平成27年度と28年度を比較すると、確かに一般病院では収支が悪化していますが、一般診療所と歯科診療所は高い水準を維持し、保険薬局は安定的に黒字を維持しています。2点目は、国公立を除く一般病院の損益差額率は、平成26年度と28年度を比べると0.4ポイント、収支は改善しています。3点目は、公立病院が赤字であり、今後、費用構造改革、特に人件費改革が求められるということが言えると思います。最後に4点目は保険薬局についてで、大病院前、病院敷地内、医療モール等で高い収益となっています。医薬分業が少しゆがんでいるのではないかと思いますので、次回改定において、薬局の立地に応じた評価の見直しが必要ではないかと思われます。
22コマ目以降は次回調査に向けた意見と参考資料等を掲載しておりますが、時間の関係もございますので、説明は省略させていただきます。
私からの説明は以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
続いて、二号側委員から、資料の説明をお願いいたします。
では、松本純一委員、よろしくお願いいたします。
○松本純一委員
時間もございませんので、医科、歯科、薬局と、全てにおきまして松本のほうから見解を述べさせていただきます。
なお、3ページ以降は見解の根拠になる資料でございますので、後で御参照願えればと思います。
平成29年11月8日に報告された第21回医療経済実態調査によりますと、病院の損益差額率は、一般病院では平成27年度の-3.7%から平成28年度には-4.2%と赤字がさらに拡大し、精神科病院では平成27年度の0.2%から平成28年度には-1.1%となり赤字に転落しました。
今、申し上げましたように、医療経済実態調査は前々年度と前年度は定点で行いますが、調査ごとに客体が異なりますので、経年変化を追うのはできないですし、することは無意味ではないかと思います。
その中で、一般病院、精神科病院の損益差額率は直近2事業年度回答方式を採用した第18回調査以降で最低でありました。
法人・その他の一般病院では、1施設当たり給与費総額の伸び率が2.1%増加し、給与費率が55.1%から56.0%に上昇して損益差額率が低下いたしました。しかしながら、一般病院の主な職種別1人当たり平均給与費の伸び率は、おおむねほぼ横ばいかマイナスであり、給与費の増加は医療の質確保、患者ニーズの多様化への対応のため、さまざまな職種の従事者が増加したことに起因しております。医療は地域の雇用を支え地域経済に貢献しておりますが、多職種の配置に対する評価が十分ではないと考えます。
医療法人の一般病院では、損益差額率が1.8%であるのに対し、税引後利益率は1.4%に縮小いたします。また、減価償却費率が低いことから、設備投資が抑制されていることがうかがえます。地域医療を守るための再生産が行えない状況にあります。
一般病棟入院基本料7対1、10対1は、民間・公的病院(国公立を除く)でも、損益差額が前回調査、今回調査ともに連続して赤字であり、病院経営は危機的状況にあります。
また、民間・公的病院の中小病院は医業収益が減少いたしました。特に小規模な病院の医業収益の減少が大きく、損益差額が赤字に転落いたしました。地域で身近な小規模病院の存続が危ぶまれます。
療養病棟入院基本料を算定する病院でも、損益差額率が低下いたしました。特に療養病棟入院基本料2は、前回改定において、医療区分2または3の患者割合が5割以上のみを満たさない病棟、看護職員の配置基準(25対1)のみを満たさない病棟、または両方の要件を満たさない病棟は5%減算になり、赤字幅が拡大いたしました。
一般診療所では、個人・入院収益ありを除いて、損益差額率は低下またはほぼ横ばいでありました。個人・入院収益ありでは医業収益が伸びましたが、その内訳を見るとほぼその他の収益の伸びによるものであり、保険診療収益の伸び率はマイナスでありました。
医療法人の一般診療所も病院と同様、給与費率が上昇して利益を圧迫しております。しかし、院長給与の伸び率は過去3回の調査連続でマイナスでありました。また、病院では1施設当たり従事者数が増加しておりますが、診療所のうち無床診療所ではっきりとした従事者数の増加傾向は見られておりません。ただし、准看護師などよりも給与水準の高い看護師が増加しております。一般診療所の診療報酬はこうした雇用の変化に対応できておりません。
在宅療養支援診療所は、一般診療所全体に比べて、給与費率が高く、労働集約的であることがうかがえますが、損益差額率が低かった。在宅医療の適切な推進を後押しするためのさらなる支援が不可欠であると考えます。
歯科医療機関の約8割を占める個人立歯科診療所における直近2事業年の結果では、医業・介護収益の伸びはわずか0.4%で、医療・介護費用は0.3%の減少でありました。医業・介護費用の内訳として「医薬品費」「歯科材料費」「委託費」「減価償却費」が減少しておりました。医療技術や医療機器の進歩や安全対策、感染対策のニーズに伴い、小規模な歯科医療機関に求められる設備投資や研修の対応等の負担もふえてきている現状があります。このような状況の中で、個人立歯科診療所における経営状況は、これまで繰り返し指摘しているとおり、既に経営努力や経費削減努力が明らかに限界に達しております。安全安心を前提とした歯科医療提供体制の根幹を揺るがしかねない状況にあります。加えて求められている歯科医療、口腔健康管理の充実を図るために、速やかで大胆な対応が求められております。
保険薬局の損益状況については、個人立では給与費の圧縮により若干プラスとなったものの、全開設主体の9割以上を占める法人立では保険調剤に係る収益が減少し、かつ給与費の上昇により損益が圧迫されたことで前年比マイナスでありました。
医薬品の投与日数の長期化傾向や高額薬剤の上市の影響がある中、薬剤師によるジェネリック医薬品の普及促進に向けた積極的な取り組みの効果や薬価改定に伴う影響により、薬局の医薬品等費に係る費用は一定程度抑制されている傾向がうかがえます。しかし、ジェネリック医薬品を含む備蓄品目数の増加やその管理コストに当たる給与費等が上昇し、費用の7~8割を医薬品等費が占める薬局にとって、損益状況に大きな影響を与えている。
同一法人における店舗数別で見ると「20店舗以上」の薬局の損益状況は12%以上となり全体平均を大きく上回ったが、いずれの店舗数の薬局も前年比マイナスとなり損益を圧迫している。特に地域包括ケアシステムの中で「かかりつけ薬剤師」機能の中心的な役割を担う、地域に根差した「1店舗」及び「2~5店舗」の薬局の損益状況は4%前後と非常に小さく、その経営基盤は極めて脆弱であることが容易に見てとれる。
今回の医療経済実態調査結果からは、過去2回の改定で薬価改定財源を診療報酬本体の改定財源に充当せずネットでマイナス改定であったこと、自然増が過度に抑制されていることなどにより、医療機関等は総じて経営悪化となったことが示されました。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
続きまして、一号側委員、二号側委員で、御説明になられた委員以外の方で、補足的な御説明がありましたら、お願いいたします。
では、一号側委員、何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
二号側委員、何か補足はございますでしょうか。よろしゅうございますか。
では、幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
二号側で分析された結果に対して、幾つか指摘させていただきたいと思います。
まず、松本委員から、経年変化を見ることは不要との御意見がありましたが、n数もかなり増えておりますので、単年度比較だけではなくて、中長期的に経年変化を見ていく必要があると思います。
また、二号側提出資料の1ページ目の第1パラグラフに「一般病院で平成27年度の▲3.7%から28年度は▲4.2%と赤字がさらに拡大し」という指摘がありますが、先ほど私が説明いたしましたように、国公立を除く一般病院は、平成26年度から28年度は-0.3%から0.1%と0.4ポイント、収支は改善しております。
第2パラグラフでは、「一般病院の主な職種別1人あたり平均給与費の伸び率はおおむね横ばいかマイナス」ということですが、27年度と28年度を比較すると確かにそのとおりですが、私どもの分析では25年度から28年度まで中長期的に見ると、院長の給与は増加しております。
第4パラグラフの7対1と10対1については「前回調査、今回調査ともに連続して赤字」ということですが、これも私どもの分析では、国公立を除く一般病院の損益差額率を平成26年度と28年度で比べると、収支は改善しているという結果が出ております。
また、2ページ目の第2パラグラフの歯科診療所について、個人立歯科診療所における経営状況が厳しいという記載がありますが、需要が大きく増えていない中で、歯科診療所数が増えているというMEDIASの結果もありましたので、経営が厳しい原因はこういったところにあるのではないかと思います。
その次のパラグラフの保険薬局について、最後から2行目の「1店舗」及び「2~5店舗」の薬局の損益状況は経営基盤が脆弱と記載がありますが、私どもの分析では、平成26年度と28年度を比較すると収支は改善していました。
以上述べたように、経年変化で見ると収支が改善している点もあるということを意見として追加させていただきます。
○田辺会長
では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
あくまでも見解の相違でありますので、でも、もう一度あえて言っておきますが、前々年度と前年度は定点調査です。しかしながら、幾らn数が多くなったといっても、やはり客体が違う以上、経年変化を単純に追うのは無理があると思います。そういった意味で、国公立を除く全体を比較する、26年度と28年度と比較するというのはナンセンスでありますし、一般診療所の前々回との比較はもっと無理があるとあえて言わせていただきます。
そして、この16コマ目の一般病院の開設者別指標比較でございますが、100床当たりの職種別職員数を比較されておるようですけれども、実調報告書本体の目次に見当たりません。何ページに載っている資料から分析されたのでしょうか。
○幸野委員
これは私どもが事務局に依頼して、御提供いただいた補足的な資料に基づいて分析を行ったものです。
○松本純一委員
そういうことはあり得るのですか。
○田辺会長
では、事務局、お願いいたします。
○矢田貝保険医療企画調査室長
11月8日の中医協の際に、幸野委員のほうからも資料の提供をお願いしますということの御発言がございまして、私のほうからも必要な資料がありましたら提供するというふうに回答させていただいたものでございまして、それに基づきまして必要な資料については、出せるものについては出しているという、その中で多分集計されたということではないかと思います。
○松本純一委員
これは公開されたということですか。健保連だけにお渡しになられたと。
○田辺会長
お願いいたします。
○矢田貝保険医療企画調査室長
このようなデータについて集計できないかというふうに言われたので、そのデータを提供したということでございます。公開ではなくて、今、この場で初めてそれに基づいて出てくるものでございます。
○松本純一委員
ですから、一般に公開された実調以外に資料をお渡しになられたということなわけですね。はっきりおっしゃってください。
○矢田貝保険医療企画調査室長
はい。求めに応じて、このようなデータを出してほしいということなので、提供したということでございます。
○松本純一委員
それは、ほかには何も言わないで提供したと。二号側のほうには何の提供もなくお渡しになられたということなわけですね。
はいか、いいえで答えてください。
○矢田貝保険医療企画調査室長
それはそのとおりでございます。
○松本純一委員
わかりました。そういうことをされるわけですね。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議論も踏まえまして、12月上旬ごろに、一号側委員、二号側委員から、次期改定に対する意見を御提出いただきたいと考えておりますので、各号の委員におかれましては、御準備のほうをよろしくお願いいたします。
次に、次期診療報酬改定に向けた議論といたしまして「入院医療(その7)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
それでは、お手元の総-3によりまして、今回は入院医療(その7)、7回目でございますけれども、御審議をお願いしたいと思っております。
2コマ目に、きょうお願いしたい議題が4つございます。時間もございませんので、順次御説明させていただきます。
3コマ目でありますが、1点目、一般病棟入院基本料の中で、まず重症度、医療・看護必要度の項目関係の御紹介であります。
サブセクションとして、認知症・せん妄の関係、それから、救急搬送、手術後の患者さん。こういった取り扱いでございます。
4コマ目は、現行の重症度、医療・看護必要度、5コマ目は、28年度改定でこのように対応しましたということでございます。
対応箇所は3カ所ございまして、項目の関連でいきますと、この5コマ目の右側、青字になっておりますけれども、A項目に関して追加をした項目、B項目が削除と追加、それから、C項目自体は28年度改定で追加になっているということで、順次御説明いたします。
6コマ目ですが、まず認知症及びせん妄の関係であります。
この後、数字をお示ししますが、特に7対1病棟に認知症の方、せん妄の症状を有する方のデータがございます。それから、これはB項目に関連する話になるわけですが、28年度改定でまさに対応いたしました「診療・療養上の指示が通じる」もしくは「危険行動」、こういったことが、この2つに関連するわけでありますけれども、これもA項目の評価項目に関連しまして、医師の指示や看護師さんの直接看護、こういったことに影響するということでございます。
おめくりいただきまして、データを示しますと、7コマ目からでありますが、まず認知症・せん妄の患者さんの関係であります。
7コマ目で、これは大体の頻度といいますか、数字を見ていただいているわけですが、これは7対1一般病棟のデータであります。
それで、認知症を有する患者さん、認知症の方は13%あります。うち、BPSD。これは行動・心理症状と言われる、より重篤なケアが必要であるということになるわけでありますが、40%程度の頻度ということでございます。
そういったことを反映する格好になりますけれども「診療・療養上の指示が通じる」、それから「危険行動」という人のデータにつきまして、こういった頻度になっているということでございます。
若干前後しましたが、せん妄患者さんの割合につきましては、ここに書いてございますけれども、2.7%。こういった頻度になってございます。
それから、認知症・せん妄関係の2つ目は8コマ目であります。
7コマ目にデータを示しましたが、今回、B項目見直しで「診療・療養上の指示が通じる」もしくは「危険行動」という項目を設定いたしておりますけれども、そういった該当患者さんにつきまして、身体拘束がある患者さんというのは、この円グラフに書いていますが、2割程度ということになってございます。そういった方につきまして、さらに集計をいたしますと、A項目の関連で言うと、全項目でAがゼロというふうに該当する方、それから、逆に全項目、全評価日で1項目以上に該当という方、こういうふうに分けていきますと、全評価日でAが1以上という方がかなりの程度を占めるということになっております。
3点目のデータが9コマ目でありまして、B項目とA項目との関連になるわけであります。
B項目で追加をいたしました「診療・療養上の指示が通じる」もしくは「危険行動」というふうに該当する患者さんは「医師の診察の頻度」でございますとか「看護師の直接の看護提供の頻度」を見ますと、A項目との該当の関連でその頻度が高くなっているということがデータ上、9コマ目で見てとれるということでございます。
以上が、認知症及びせん妄の患者さん関係であります。
次に2件目が、10コマ目でありますが「イ)緊急搬送後の入院」でございます。
今回、A項目の見直しをやっておりますけれども、A項目の関係で入院経路別の入棟中の患者さんの医療的な状態を見てみるということでありまして、緊急入院、それから、その頻度、一定の割合ということを見ていただきます。
11コマ目でありますが、まず「救急搬送後の入院」という定義であります。
これは救急用の自家用車、いわゆる救急車であります。それから、救急医療用のヘリコプター、いわゆるドクターヘリでありますけれども、こういった形で搬送され、入院した場合ということでございまして、入院当日と翌日が評価の対象になるということでございます。
こういった方々の関連で、経路別で入棟中の医療的な状態というのが12コマ目であります。
これは見ていただければわかりますが、救急車、それから、ドクターヘリが緊急入院の一番上に書いてございます。こういった方々につきましては、状態が不安定な方が多いわけでありますが、しかし、その下の帯グラフを見ていただきますとわかるのですが、それ以外の方につきましても、緊急入院であれば状態が不安定な方というのはもう一定程度おられるということでございます。
13コマ目でありますが、入院経路別で、今度は医師の診察の頻度について見ております。
先ほどのデータと比較的似ておりまして、13コマ目、緊急入院の入院経路、内訳が書いてございますけれども、医師の診察につきましては、常時、1日数回、あるいは毎日みたいな頻度の高いものにつきましては、それほど大きく変わらないということでございます。
14コマ目で(参考)でありますが、他の報酬の設定の関係で似たようなものがありますが、入院経路は問うていないということでございます。
次に3点目、15コマ目で、手術後の患者さん。これはいわゆるC項目の関連であります。
以降見ていただきますけれども、C項目の関連は評価対象の日数、それから、手術の術式に応じて、実態に応じて設定しているということでございまして、16コマ目が全体の概略図であります。
17コマ目は、手術の術式によって、どのように退院率が変化していくのかという実態図であります。
こういうところ等も踏まえて、18コマ目でありますけれども、数字で見ていきますと、C項目の中で、これは16番から22番まで列挙しておりますが、それぞれ設定しております評価日数と手術の術式ごとに数字を並べております。
見ていただきたいのは、この割合でありまして、この設定日の日にちよりも早く退院される方がおられるということでありまして、特に件数として多いのが開腹手術ということになります。
19コマ目以降は御参考でありますけれども、入院医療分科会の中で特にA項目、B項目のスコアについて、28年度改定で見直しをしておりますので、その関連で、内訳について提出をしております。その中で、特にA=0、B=0の患者さんの数字、それから、推移につきまして、20~22コマ目で見ていただいております。
それから、同様に23コマ目以降につきましても、A=0、B=0につきまして、23~26コマ目と続きますが、入院予定の割合の、予定入院の方、それから、緊急入院の方のそういった入院の契機、入院の理由についての内訳が23~24コマ目。それから、入院継続の理由が25コマ目、請求点数の関係が26コマ目でございます。
ここまでが重症度、医療・看護必要度の関係のデータでございます。
次に27コマ目からでありますが、サブセクションといいますか、2つ目の内容でありますが、DPCデータの活用でございます。
このDPCデータの活用というのは、DPCのデータそのものの名称の中に、重症度、医療・看護必要度、これは27コマ目を見ていただいておりますけれども、27コマ目の1つ目のポツですが、重症度、医療・看護必要度の判定自体をDPCデータで、これはHファイルと呼んで、実際に提出をいただいております。一方で、DPCデータというものは、その後ろに書いてございますが、EFファイルという出来高相当の算定項目についての情報も得ているということでございます。
それらについて分析をするということが可能で、これは入院医療分科会でやっていただきました。詳細は省略いたしますけれども、ここに列挙してあるような理由で、それらについては一定の開きがあるということでございます。
DPCデータを活用した分析について、ここをまとめておりますけれども、この後、概略を簡単に御説明いたします。
28コマ目は、分析の関係の考え方、29コマ目でありますが、今、ちょっと触れましたけれども、重症度、医療・看護必要度、A、B、Cとありますが、特にA項目、C項目との関連について着目をして今回分析しておりますが、DPCデータの中で特に出来高算定の情報でありますEF統合ファイルというものがありますが、この2つの比較でございます。
30コマ目で、こういったものを活用するに当たって、これは概念図としてちょっとポンチ絵を示しております。
特に御留意いただきたい点といたしましては、もともと、これは急性期の入院医療の中で、急性期の入院医療が必要であろうと思われる患者さんを想定したイメージといいますか、範囲、これが球体のイメージでありますけれども、この実態そのものを正確に評価することは、基本的にはそのものを一義的に評価することが難しいといいますか、原理的には不可能と言ってもいいかもしれませんので、それをいろいろな手法でどのように推定評価するのかというイメージでありまして、今回、この分析をするに当たりまして、重症度、医療・看護必要度の判定自体と、それから、DPCデータを活用してどう評価するのかというのは、そもそも考え方の手法が違いますので、それが全て一致するということではないのです、ということをお示ししたいという概念図であります。
おめくりいただきまして、詳細は省略いたしますが、入院医療分科会におきまして、詳細な検討・分析をやっていただいております。31~32コマ目はその際の手法の数字の捉え方、それから、分析の概略、そして先日、これは修正をさせていただきましたけれども、分析の結果の概略が33~34コマ目でございます。
それから、35~36コマ目も分析の結果であります。
そして37コマ目からが、分科会での御指摘を踏まえて、本日の総会までの間に事務局のほうで追加の分析をしております。37コマ目にその概略を書いてございますけれども、37コマ目で簡単に御説明しますと、先ほどイメージ図のところで見ていただきましたように、そもそも両者が確実に一致をするということではございませんけれども、その中で分析をするに当たって、DPCの評価項目といいますか、出来高算定項目で捉える規定なり表現と、必要度のほうで捉えている規定なり表現が明らかに違うというものは、基本的には乖離が生じますので、そういったものを除いて分析をしたらどうかという問題提起を分科会の最終結論でいただいておりましたので、それを追加で分析をいたしましたというのが38コマ目以降でございます。
その結果概略は38~41コマ目であります。特に39~41コマ目はそれぞれA項目、C項目で、A項目については2つに分けておりますけれども、それぞれ2つにつきまして手法によって、このように違うということでございます。
39~41コマ目の赤枠で囲っているところが、先ほど申し上げましたように、両者の定義がそもそも一致しづらいものにつきましては除外をしてみて、さらに分析をしてみてはどうかということでございます。
その再分析の結果が42コマ目で、42コマ目の分布と数字について申し上げますと、必要度について言うと、現行の該当患者割合が28.8%、それがDPCのデータ活用による該当割合が23.3%ということになってございます。
43コマ目がそれの総括表で、対応関係でございます。
ここまでが追加分析の大体、御紹介でございます。
次に46コマ目以降でありますが、一般病棟入院基本料関係で3点目でありますが、一般病棟入院基本料(7対1、10対1)の評価手法の見直しについての審議御提案であります。
【課題】のところで簡単に書いてございますが、これは後ほど資料に沿ってもう一度御説明いたしますけれども、概略を御説明いたしますと、まず入院医療ニーズにつきましては、基本的により高い医療資源の投入が必要な医療ニーズ、それから、中程度というふうに医療資源の投入量が病棟なり機能によって当然違うわけでありますが、そのニーズごとに減少したり増加したりするということが今後見込まれるということでございます。それがまず1点目です。
次に、この後、御紹介いたしますけれども、病棟の実際の入院医療の提供の仕方につきましては、どのように捉えるかという考え方が病室単位、病棟単位、それから、病院単位というふうに3つに提供実態としては概念が区別をされます。これは46コマ目の2つ目のポツを御説明しているのですが、その一方で、診療報酬の捉え方というのは、基本的には一定の範囲を、全体を評価する、管理する単位、仮に「管理単位」と呼んでおりますけれども、そういう管理単位の中で平均的に評価をしているということでございます。逆に言いますと、管理単位の中では、現場では一定の傾斜配置が可能だということを御理解いただく必要があるということでございます。
3点目でありますが、先ほど申し上げましたとおり、医療のニーズに応じて適切に資源投入していくというのが基本的には望まれていて、その後もポツが幾つか書いてございますが、現行の7対1の評価と、評価の管理単位という評価と、それから、病室、病棟の実態、同様に10対1についても、その関係はどのようになっているのかということをお示しするわけです。
大きく申し上げますと、この46コマ目の上から4つ目のポツでありますが、報酬上の評価は7対1と10対1で大きく違いまして、7対1について言うと施設基準ということで、一定の基準値を求めている。一方で10対1については加算になっていて、段階的な評価になっている。こういう評価方法が違うということが大きな前提となってございます。
そういったことから、より弾力的な評価を行っていくことが提供実態に応じた対応体制がとりやすいのではないか。そういったことを、この後、御説明したいと考えております。順次、簡単に御説明いたします。
まず、47コマ目からでありますが、医療のニーズにつきまして、将来的に大きく変わっていきますと、これはこれまでも何度もお示ししております。
大きく2つ、まず48コマ目でありますが、人口構成が今後、2025年あるいはそれ以降大きく変化をしていきますという、これは今回、同時改定でございますので、その改定に係る前提となる人口構成の状況であります。
49コマ目で、特に入院医療につきましては、これはこれまでお示ししたものを、時点を少し、さらに近く伸ばして、2015年を起点として再集計をしておりますけれども、特に入院医療の中で肺炎、心疾患、脳血管疾患、それから、骨折といった一定のニーズがあるものと悪性新生物。これらにつきまして、実は大きく将来需要が異なる。特に悪性新生物については比較的フラットな需要状況になっているという予測でございます。
こういったことを踏まえて、50コマ目は手書きのイメージでありますが、基本的に入院医療の資源投入がより重点的に求められる部分から比較的資源投入が薄くなっていく部分にかけまして、どのような分布になっているのかというものが、この実線の部分から破線のように将来需要が変化していく。これに対して、医療提供体制をどう組み立てていくのかというのが基本的な問題意識ですという、これは総論でございます。
51コマ目以降、冒頭で簡単に御説明しましたが、入院医療の提供単位と管理単位の考え方、この両者を御説明したいと思います。
ややくどくなるかもしれませんが、これは大事な概念ですので、もう一度御説明をさせていただきますと、まず提供実態、提供する立場からしますと、病室、病棟、病院という区分けで基本的な管理・運営をされるということでございます。一方で、報酬自体は一定の管理の単位というふうに仮に呼びますけれども、その単位の中で平均的に数値を評価して報酬を支払っているということでございます。
それが、概念的には52コマ目であります。これはあくまで例示ではありますけれども、例えば3つの病棟を持っている病院を想定いたします。それぞれの病棟には、さらに病室があります。病室ごとに患者さんの特性、それぞれ患者さんごとに当然違うということでございます。
53コマ目の凡例で、52コマ目に書いてございませんけれども、オレンジっぽいところの患者さんのイメージが急性期の状態で、グリーンっぽいところが急性期後の患者さん。仮にそういうイメージを持っていただくとしますと、52コマ目で言いたいのは、病室、病棟、病院というのが複数組み合わさって実際に提供されるという単位でありますが、診療報酬は、例えばこの例でいきますと、療養病棟が1病棟と、一般病棟入院基本料が仮に2病棟あるケースの3病棟構成の場合には、それぞれ提供実態は違いますけれども、報酬上は同一の基本料、すなわち、ここでいきますと、一番上と真ん中の病棟については管理が同じなので、管理単位としては同じで、入院基本料の療養病棟の場合には下の1病棟、ここが管理の単位になりますということでございます。
さらに、これを実際に53コマ目で見ていただきますと、例えばこのようなイメージですということでありますけれども、少し図が見づらいかもしれませんが、それぞれの病室に看護師さんが例えばどのように配置をされるのか。これは実際には7対1より手厚い、薄いというのは、実際にカウントは違いますけれども、あくまでイメージでありますけれども、この7対1の管理単位について言いますと、2病棟であります。
2病棟で、右側の病棟、これは病棟Bとなっています。左が病棟Aでありますが、仮に病棟Aのほうがより手厚い配置が必要な患者さん、すなわち急性期の患者さんが多い。B病棟のほうは比較的少ない、それで、急性期後の患者さんが多いというふうに、実際、病棟ごとで運用体制が異なっています。ですから、病室単位、それから、病棟単位で見るとこのような違いがありますが、診療報酬について言うと、この算定される一般病棟は管理単位として同じですので、このケースの場合、全体で7対1ですが、全体を平均して報酬を支払っていますというのが取り扱いの違いです。
これをさらに帯グラフで見ていただいているのが54コマ目でありまして、今のおさらいでありますが、A病棟、B病棟で患者さんの分布・状況は違います。A病棟、B病棟ごとに違うのですが、診療報酬はA、Bを、全体を合わせて平均的に評価をしています。こういう関係になっているということが現在の仕組みであります。
このことを前提に見ていただきまして、それでは、7対1と10対1、先ほどの前半の将来予測とあわせて、もう少し具体的に見ていただきます。
順次御説明いたしますと、56コマ目はあくまでイメージでありますが、先ほど申し上げましたとおり、医療資源の投入量と医療のニーズというものは基本的にはマッチすることが望ましいと考えられております。この横軸が医療資源の投入量で、比較的高いところ、それから、比較的、相対的に高くないところがそれぞれ療養病床、一般病床という関係になります。医療のニーズが高いほど、これは縦軸でありますが、上のほうになります。
そうしますと、ちょうどこの縦軸、横軸の交差点のような格好になりますが、真ん中のほうにあるのが、例えば急性期、集中的なリハビリテーションの提供や在宅等の機能、それから、長期療養。それぞれが一定のバランスを持って設定されることが望ましい。例えば医療ニーズが高いのに報酬設定がされないと粗診粗療になりますし、逆に医療ニーズがそんなに高くないのに医療資源を投入し過ぎると非効率、こういったことから、より真ん中に寄せていくことが重要だという問題意識であります。
その上で、57~58コマ目。これは先ほど既に御説明していますけれども、7対1、10対1、他の病棟と比べると、やはり7対1は特に特徴的な運用がなされておりまして、57コマ目で、比較的若年の方が多い。
それから、58コマ目で、7対1は悪性新生物の治療に比較的、重点的に対応している。一方で10対1は骨折・外傷と肺炎、そういった格好になっているということでございます。
59~60コマ目で、これは既に一度お示ししておりますが、実態としてはこういうニーズがあるということでございます。
その上ででありますが、62コマ目で、この一般病棟入院基本料(7対1、10対1)につきましては、評価の手法を見直してみてはどうかという診療報酬上の評価の関係でございます。まず、62コマ目でありますけれども、これは現行の7対1、10対1の評価のまとめであります。
この中でオレンジの枠、肌色の網かけをしておりますけれども、10対1につきましては、重症度、医療・看護必要度は測定しておりますが、それ自体の基準値というものはございません。そのかわり、一定以上の重症度、医療・看護必要度を満たす場合には加算といたしまして、そこの上に書いてございますが、加算1、加算2、加算3という設定がございます。
一方で7対1は、7対1そのものの基準をとるための重症度、医療・看護必要度の基準値がございます。25%以上でありますと、これは俗にカットオフ値のような運用をされておりますので、この7対1では全て満たす必要がありますということでございます。
このような診療報酬上の取り扱いの違いがあるということを念頭に置いていただいて、63コマ目でありますが、現行の運用について、このように私どもとしては問題意識を持っております。すなわち、左側が現行の10対1の運用、右側が7対1の運用のイメージでありますけれども、今、御説明しましたとおり、10対1につきましては、重症度、医療・看護必要度の割合に応じて加算はございます。それで、段階的な設定になっているということでございますが、この7対1と10対1につきましては、実はここに大きな行き来のできないガラスの壁のようなものがございまして、2点の問題意識を持っております。
まず1点目は、この7対1の診療報酬水準が、これは1日当たりでありますけれども、1,591点でございます。10対1の一番、重症度、医療・看護必要度の高い加算を算定しているケースでありましても、1日当たりが1,387点であります。この差額につきましては、重症度、医療・看護必要度ですと、1%の差でございますけれども、しかしながら、実際はこれほどの報酬算定上の差がありますと、これは推計でありますが、200床規模でありますと、年間で1.2億程度でございますので、非常に大きな差があります。したがいまして、ここは容易に行き来ができませんので、この差は相当程度の大きさになっていて、このままギャップが経営上の大きな、言ってみればプレッシャーになっているということでございます。
2点目は、先ほど申し上げましたとおり、管理単位が違う区分になりますと、現在は病棟群単位ということで10対1と7対1を両方あわせ持つ病棟運用は、言ってみれば経過措置的に一定程度の配慮を、これは28年改定でやっております。しかし、この病棟群単位、10対1と7対1の混成については、実際に算定している病院は14病院しかございません。その理由はここに書いてあるわけでありますが、管理単位が10対1と7対1で違いますので、それぞれを完全に分けて運用を求めておりますので、実績でございますとか、配置について、分けて運用するということになりますと、弾力的な運用が事実上できません。したがって、実際にこれを活用されているケースは非常に少ないということになります。
それから、そもそも加算をとっている10対1につきまして、わずかな重症度、医療・看護必要度でありますけれども、そこの行き来が必ずしも、今、お話ししましたように、容易ではないということでございますので、弾力的な対応が困難になっているのではないか。すなわち、7対1を算定している医療機関からしますと、容易に10対1への移行が検討しづらいのではないか。そういうふうに我々としては問題意識を持っております。
そのようなことを踏まえまして、64コマ目でありますけれども、こういった評価の考え方を少し見直してはどうかというのが基本的な考え方で、これが64コマ目であります。
すなわちイメージでありますけれども、将来、医療ニーズが大きく変わってまいります。特に入院医療については先ほど見ていただいたとおりでございますので、そういった地域によってさらに異なる医療のニーズに対応していく適切な医療提供体制を弾力的に柔軟で円滑に選択できるというふうにするのであれば、63コマ目で見ていただきましたような、行き来の非常にしづらい現在の運用を改めまして、この急性期入院医療、一般病棟入院医療につきましては、まず基本的な部分につきましては、共通の考え方で整理し、実績に応じた評価については弾力的に対応できるような評価手法を組み合わせるほうが望ましいのではないかということでございます。
具体的には65コマ目でありますけれども、これは御提案でありますが、弾力的で円滑な選択・変更を可能にするということで、これは左側が現行の7対1、10対1の報酬の組み合わせでありますけれども、これを統合整理いたしまして、基本的な部分の評価と、それから、例えば重症度、医療・看護必要度に代表されるような、実績に応じて段階的に評価するという部分を組み合わせて、そういった基本的な部分と弾力的に対応する部分との組み合わせによる評価体系に改めていってはどうかということでございます。
なお書きのところに書いてございますが、一方で一番、水準の高い報酬水準を設定しております現行の7対1につきましては、10対1プラスアルファの人員配置をしておられることは間違いございませんので、この点につきましては現行の7対1との整合性、移行のしやすさを鑑みまして、7対1については、その配置基準はそのまま適用する。ですから、この図でいきますと、実績に応じた段階的な評価の部分について、少なくとも65コマ目の一番右側につきましては、人員配置7対1をそのまま求めるという形で移行させていってはどうか。その一番右から2番目、真ん中にありますけれども、中間的な水準を設定いたしまして、弾力的な対応を容易にしてはどうかというのが御提案でございます。
66コマ目以降は参考資料であります。これまで分科会等でお示ししております。詳細は御紹介しませんが、67コマ目はシェアでございます。68コマ目は7対1の分布、同じく10対1の分布は69コマ目、両者を合わせたものが70コマ目でございます。それから、71コマ目は事実関係で、これまでお示しした稼働率、それから、基本料の変遷等々でございます。
以上をまとめまして、76~77コマ目に一般病棟入院基本料(7対1、10対1)に関します論点を2つ、大体御説明しましたが、改めましてまとめますと、76コマ目でありますが、まず、重症度、医療・看護必要度の関係については、項目の3点について見直してはどうか。認知症及びせん妄について、これはA項目1点以上を併存する場合、該当患者に追加する。2点目ですが、救急医療に関しましては、経路ではなく、救急医療管理加算の算定に見直してはどうか。3点目、開腹手術について、日数を見直してはどうか。
それから、こういったことを見直すわけでありますので、当然、判断基準、判定基準については一定の配慮が必要だと思いますが、その基準値について、どのように考えるのか。
以上が必要度の関係です。
DPCデータの関係につきましては、76コマ目、下半分でありますが、EF統合ファイルを活用して追加分析、先ほど見ていただきましたけれども、こういった追加分析を踏まえまして、これまで一定の実績で一定の基準を満たすことがわかっている医療機関が仮にこういったものを活用すると希望された場合については、そういったものを活用する道も開いてもよいのではないかということであります。それから、そういったことをもし活用する場合には当然、定義とか数値が違いますので、基準値についても適切に設定することが必要だということでございます。
それから、DPCデータの下半分、最後でありますが、200床以上の10対1病棟につきましては、DPCデータの提出が要件となっております。これは先ほども御説明しましたとおり、Hファイルという必要度に関係するデータも含まれておりますので、このHファイルにつきましては判定・確認等に活用することとしてはどうかということであります。それから、年に1回の定例報告でさまざまな該当患者割合の提出を求めておりますが、合理化の観点から、こういったものは省略可能としてはどうかでございます。
先ほど御説明しました評価手法の関係が77コマ目でありますけれども、再度になりますが、ニーズの変化に対応できるような弾力的で円滑な選択・変更を推進するために、評価体系について、基本部分と実績に応じた段階的評価部分というふうに合わせて評価体系を見直してはどうか。その際には、現行の7対1に関しましては、看護職員の配置基準をそのままとしてはどうか。
それから、中間的な報酬水準の設定をしてはどうかというのが一般病棟入院基本料の関係でございます。
長くなって恐縮ですが、残りも説明させていただきたいと思いますが、2点目、特定集中治療室管理料等であります。
おめくりいただきまして、概略であります。ここで御説明しておきたいのは、それぞれの治療室の入室時の状態、医師の指示、それから、看護職員による直接看護の提供頻度等々でございます。
80コマ目が、ここで御審議をいただきたい施設基準の一覧であります。基本的には、管理料関係、室単位の評価であります。「救急救命入院料」となっていますが、これは一番早く設定された名称で入院料となっていますが、実質的には同じでありまして、病室単位の話であります。
この後、お示ししますデータに関しましては、82コマ目の調査で本年の1月に行ったものでございまして、83コマ目からは4枚、データでございます。
ごく簡単に御紹介しますと、83コマ目、特定集中治療室等の患者さんの状態でありますが、状態につきましては、特定集中治療室から始めまして、幾つかカテゴリーがございますけれども、特定集中治療室、ハイケアでは「大手術後」、それから、救命救急入院料、脳卒中ケアでは「意識障害又は昏睡」が多いという特性がございます。
84コマ目で、これはいずれの病棟も、これはある意味、当然かもしれませんが、一定の割合の方が「常時、不安定である」ということでございます。
85コマ目で、これは救命救急入院料1・3につきましては、ハイケアユニット、救命救急入院料2・4、それぞれよりは、この必要度の基準、それぞれあるわけでありますが、該当する割合は低いのですが、これもある意味当然かもしれませんが、7対1の一般病棟と比べますと、いずれも、どの基準によっても数値としては高いということが示されているということでございます。
86コマ目で、この救命救急入院料1・3、それから、脳卒中ケアユニットで、これは現時点では必要度の測定は求められておりませんけれども、実際には7割近くが測定をしている。
この背景には、基本的にはほかの同様な必要度の測定が求められる病棟をあわせて運用されているケースが恐らく多いと思われますので、7割近くが実質的にはかっておられるということでございまして、その評価の種類につきましては、このような頻度になっておりまして、それぞれ活用されているということでございます。
それから、2点目でありますが、87コマ目以降でありますけれども、特定集中治療室管理料における重症度をどう測定するのかという、これは技術論であります。
技術的にすると詳細な話ですので、大きくは省略をさせていただきますが、88~90コマ目はAPACHE2と言われております。これは略語でありまして、Acute Physiology and Chronic Health Evaluation 2というものでありますけれども、こういった重症度のスコアが現場では活用されているということでございます。
同様に91コマ目、92コマ目で、もう一つの指標といたしまして、SOFAという、Sequential Organ Failure Assessmentというスコアがありまして、この2つについて、現場で活用されているということでございます。
93コマ目以降でありますけれども、早期離床の取り組みといたしまして、どのような取り組み、それから、どのようなことが適切かということをお示ししております。
概略でありますが、93コマ目。この後、見ていただきますけれども、このICUを初めといたしまして、この集中治療におきましては、早い段階からリハビリテーションすることが重要でありますが、一方で患者さんの状態が非常に重篤である可能性が高いので、より安全性を重視して開始する基準でありますとか、中止する基準が非常に重要である。そういったことをどのように行っていくべきかということでございます。
94コマ目は実際の取り組みでありまして、左半分に書いてありますのが日本集中治療医学会においてエキスパートがおおむね、これでやっていってはどうかというガイダンスであります。また、早期離床プログラムを実施したところ、歩行までの期間の短縮といった効果がありますというのが94コマ目の右半分でございます。
95コマ目で、プロトコルに沿った離床に向けた取り組みを行っていくことで、有意に離床までの日数でありますとか在院日数が変化していくというエビデンスであります。
96コマ目は、実態として今、どのような術直後からリハビリが行われているのかということでございまして、特定集中治療室で一定の割合、それから、救命救急もそうですけれども、行われているということでございます。
97コマ目以降でありますが、特定集中治療室管理料において、一定のスキルを持った看護師さんの配置が非常に重要で、そのことによって一定の成果が出ているということが幾つかの資料であります。
まず98コマ目で、これは同じく日本集中治療医学会のICU機能評価委員会ほかで捉えておりますデータでありますけれども、一定のスキルを持った看護師さんを配置することで相対的な標準化死亡比が有意に低下をしているということがデータ上、明らかになっております。
それから、99コマ目でありますけれども、集中治療領域でこういった能力が求められていますという整理がなされておりますが、実際にそういったスキルを持っている看護師さんの配置は9割以上の施設であるというのが実態だということでございます。
特定集中治療室管理料の関係で最後でありますが、100コマ目以降でありますけれども、器材の配置でございます。この後、見ていただきますが、こういった管理料の算定要件の中に一定の器材を求めております。その中には、ユニット自体で配置を求めているものと、共有してもよいという物都に分けてございます。
その概略は101コマ目でありまして、特定集中治療室管理料、それから、救命救急入院料の施設基準については、常時こういったものを備えておく必要があるという規定になっています。一方でハイケアユニット/脳卒中ケアユニットにつきましては、一定の要件で共有することが可能だというふうになっているということでございます。
102コマ目で、これは実態でありまして、いろんな器材ごとにどうなっているのかということでございます。ある意味、これはそれぞれの器材の特性に応じて、どういうふうに配置されているのかというのが全く違っておりまして、例えば呼吸循環監視装置は、ほとんどのところで専用のものを配置していますということです。
これは102コマ目でいきますと、右側の一番下の帯グラフでありますが、ほとんどの施設、ほとんどの算定するユニットにつきましては専用を持っている。一方で、左側の下のペースメーカーについては、共用となっているところが一定程度ありますということでございます。こういったさまざまな実態があるということでございます。
こういったことを踏まえながら、103コマ目で、実際には特定集中治療室というものは複数を持って運用されているのが多いということでございます。
これは少しわかりにくい分布でありますので、少し補足をさせていただきますと、このハイケアユニット入院医療管理料の関係がHCUであります。それから、特定集中治療室管理料の関係がICUでございますけれども、この分布図で言いたいのは、nが10以上の医療機関数についてカウントいたしますと、ほとんどのところがHCUまたはICUを持っているということでございます。そうではないところは本当にさまざまな組み合わせがありますということでありますが、この赤い下線が引いてあるところについて言うと、この赤い下線を引いてあるところについては重症度、医療・看護必要度の基準がない。そういったことを求めていないというのが、この赤い線の組み合わせであります。
こういったことを見ていただきまして、これは104コマ目で、論点(案)で、○が5つございます。
先ほど御紹介したことを並べておりますけれども、まず1点目は、救命救急入院料1・3、それから、脳卒中ハイケアユニットの管理料につきましては、測定対象及び要件となっていませんが、測定を要件としてはどうかということでございます。
2点目で、アウトカムに関する指標。これはAPACHE2、それから、SOFAと見ていただきましたが、そういった生理学的なスコアの記載についても求めることとしてはどうかということでございます。
3点目で、早期離床の取り組み。これは先ほどエビデンスを一定程度見ていただきましたけれども、こういった取り組みが促進されるような評価について、どう考えていただくのかというのが3点目。
4点目で、一定のスキルを持った、研修を受けた看護師の配置については、さまざまなエビデンスから、状態改善に寄与しているということが見てとれるわけでありますけれども、実態が9割以上配置されているということでございますので、配置を要件としてはどうか。
最後の5点目は、器材について見ていただきましたけれども、医療機関の構造とか管理体制に合わせて、もちろん、器材の特性に応じてということでありますけれども、柔軟に保有できるように要件を見直してはどうかということでございます。
3点目でありますが、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料についてでございます。
課題につきまして、幾つかのセクションで分けております。ごく簡単でありますが、107コマ目以降で見ていただこうと思います。
107コマ目で、これは地域包括ケア病棟入院料等の算定要件、それから、施設基準でありますが、赤で示しております、今回、この議論で関連するものが在宅関係の対応、それから、二次救急・救急関係の対応が実態としてどうなっているのか。それから、一番下の加算の算定要件の関連であります。
まず実態を見ていただきますと、108コマ目で、これは入院医療分科会等で既にお示ししているものですけれども、地域包括ケア病棟につきましては、病棟に入られる前にどこにおられたのかということをカウントして分布を見ますと、自宅等、この自宅等というのは、厳密に言う自宅だけではなくて、居住系の施設も含めておるわけでありますが、そういう居住系も含めた、自宅から来られる患者さんの割合を見ますと10%未満、すなわち逆に言いますと、ほとんどの方が他の病院、あるいは他棟から来ているというケースがほとんどですというのが全体の35%を占めているというのが運用実態であります。
患者さんの状態についてカウントしてみますと、これが109コマ目でありますが、自院か他院かを問わず、7対1、10対1の病床から来られた方が基本的にはより状態としては安定していて、自宅等からの患者さんよりもより安定している。逆に言いますと、自宅等の患者さんのほうが安定していないということでございます。
そういったことを反映してだと思いますけれども、検査等の実施状況を幾つか見ていただきますが、110コマ目で、これは生体検査、それから、検体検査、いずれも自宅から来られている場合のほうがより実施率が高いということであります。
おめくりいただきまして、画像診断、X線単純撮影、CT・MRI、特にCT・MRIにつきましては、自宅から来られたケースのほうがより算定頻度が高いということでございます。
3点目、これは112コマ目で、実態でありますけれども、救急・在宅等支援病床初期加算というものが14日を限度として算定可能でありますが、算定回数ベースでいきますと3分の1程度。それから、算定件数。これは、在院日数が長い場合には14日を限度としていますので、それ以上算定できないということが反映されているので、両者は違うわけでありますけれども、大体このような実態になっているということでございます。
そして、在宅医療の関係について、少し見ていただこうと思いますのが、地域包括ケア病棟。これは位置づけとして、算定するに当たって施設に一定の要件を求めておりますけれども、在宅療養支援病院であるというのが3割程度を占めておりまして、そうしますと、在宅診療の関係をどのように実施されているのか、あるいは介護サービスの関係について、どのような関係になっているのかというのを簡単にデータでお示ししております。
115コマ目でありますけれども、まず地域包括ケア病棟あるいは病室を有する病院。これは在宅療養支援病院という位置づけが約3割になっているということでございます。あわせて、訪問看護部門を設置している病院につきましては、24時間対応及び休日・祝日対応を行っているのが半数弱というのが実態でございます。
同じく、地域包括ケア病棟(病室)を有する病院が在宅医療をどの程度やっておられるのかということでありますけれども、一定件数やっておられるのが半数程度でございます。
それから、介護保険サービスの事業所について、併設状況が117コマ目でありまして、一番多いのが通所リハビリテーションで、大体3分の1程度ということになってございます。
118コマ目で、これは前回、猪口委員が発言された関連でありますけれども、ここで資料として提出いたしておりますのは、平成27年10月の中医協総会において、その当時、鈴木委員がおられましたが、提出された資料の一部抜粋でありますけれども、地域包括ケア病棟のあり方ということで御提言が日本医師会・四病院団体協議会から出ております。
中ほどからちょっと下でありますが、先ほどデータで見ていただきましたとおり、相当程度、他の病院あるいは院内の他病棟との連携、入院の受け入れをしているわけでありますけれども、そういった入院の部分の機能ばかりではなくて、退院後についても一定程度、療養支援するような、在宅でございますとか、介護、そういった機能を重視していくことが必要ではないかということを問題意識として御提示されておりまして、そういった観点から地域の医療・介護連携を支援する病院を、地域ごとで整備することが必要で、こういったことを検討すべきではないかということを前回、猪口委員が発言をされております。
このことを踏まえて論点を掲げておりますが、119コマ目であります。
3つありまして、1点目で、まず自宅等からの受け入れの患者さんとそれ以外で明らかに診療内容と運用実態が違いますので、そういったことから、現在運用しております「救急・在宅等支援病床初期加算」につきましては、急性期後の入院患者さんと、在宅からの入院患者さんとで、評価を分けて考えてはどうかということが1点目であります。
2点目は、届け出の要件の中で、在宅医療や救急医療の提供等が求められているわけでありますけれども、地域包括ケアシステムという全体を考えますと、訪問系サービスについても、要件の選択肢の一つとして考えることができるのではないか。
3点目で、先ほど触れましたが、在宅医療、介護サービス等の地域で求められる多様な役割・機能を推進していくというのが、そもそも地域包括ケアシステムの考え方でございますので、そういった名称を冠する病棟でもありますし、地域包括ケアシステムの構築により貢献するということから、そういった介護とか在宅のサービスについての実績等も加味してはどうかというのが3点目であります。
最後でございますが、医療機関間の連携に関する評価で、これは端的に在宅復帰率の取り扱いをどうするかということでございます。
122コマ目で、これは既に何度か見ていただいております現行の流れ図であります。
データとして、123~125コマ目でありますが、それぞれの病棟で在宅復帰率の状況がこのようになっておりまして、かなり数字的には要件をクリアしておりますし、相当程度高い割合を示している病院がかなりあるということでございます。
一方で、算出の方法につきまして126コマ目でありますけれども、それぞれの病棟の求められる特性を反映してということだと思いますが、分母と分子の取り扱いが違うということでございまして、7対1、地域包括ケア病棟、それから、回復リハ病棟、それぞれ、特に自宅以外の取り扱いについて、このような差があるということでございまして、この差の中には介護保険の施設についても整理がなされているということでございます。
128コマ目に最終的な論点をまとめております。
1点目でありますが、先ほど見ていただきましたけれども、現在、在宅復帰率を評価しているそもそもの理由は、自宅等への退院支援機能を評価するということでございましたが、3つの観点で見直してはどうか。まず1点目で、御自身の病院の他の病棟に転棟するというのは、そもそも評価の対象に含めるべきではないのではないか。2点目でありますけれども、一部、評価対象の中に在宅復帰機能の加算の有無に着目をして評価を変えているわけでありますが、これは実際の退院調整で加算があるなしというのは現実の問題として区別をすることは余りやりませんので、こういった加算のありなしについては考慮しないといいますか、加算なしについても含めるという取り扱いをしてはどうか。それから、自宅に帰られる場合と他の医療機関に帰られる場合は当然、本質的には違うわけでありますので、そういったことを区別できるように、現行は区別しておりませんので、分けてはどうかというのが大きくは1点目であります。
それから、先ほど御説明を省略いたしましたが、127コマ目になりますけれども、現在、介護医療院の創設が検討されております。介護医療院について、どのように取り扱うのかということも整理が必要でございますので、既存の介護保険施設の関係も含めて整理をすることになりますが、どのように考えるのかというのが2点目であります。
3点目でありますが、先ほど見ていただきましたが、基準値を大きく上回る施設が多いということでございますので、基準値については引き上げてはどうか。
最後でありますけれども、先ほど申し上げましたが、これはそもそも、評価する考え方自体が在宅復帰という名称だけにとどまるものではない関係で「地域医療連携率」でありますとか、あるいは「自宅等退院率」などといった名称に見直してはどうかということでございます。
長くなって恐縮でございますが、以上でございます。
○田辺会長
御説明ありがとうございました。
休息を一回入れる必要はございますか。続けてやってしまって構いませんか。
○猪口委員
これは余りに論点が多いので、どこかで一回切ったほうがよろしいのではないでしょうか。
○田辺会長
では、恐らくそうだと思いますので、今、入れたいと思います。
10時50分に再開したいと思いますので、短い休息を入れたいと思います。
 
(休 憩)
 
○田辺会長
それでは、再開いたします。
ただいまの説明に関しまして、御質問等がございましたら、お願いいたします。
論点が多岐にわたっておりますので、まず、こちらの資料の1.~4.と分かれてございますけれども「1.一般病棟入院基本料」に関して初めに議論いたしまして、その後、2.~4.をまとめて議論していきたいと存じます。
では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
中医協のある日は朝刊が非常に楽しみでありまして、論点整理を朝からできるわけです。ただ、例えばきょうの『朝日新聞』の場合は、重症度、医療・看護必要度、看護師配置において報酬を見直すというのを、方針を固めたと書いてあるのです。こういう提案をするというならともかく、方針を固めたと。固まったことを我々は議論をするわけで『読売新聞』はきょうの社保審の医療保険部会の話でしたが、それがまた中医協で議論されると。遠隔診療の報酬拡充と、これは政府が固めたということですけれども、なかなか政府が固めたことをこの中医協で議論してどうなるのだろうかという懸念があります。
情報管理も大切ですし、厳重に管理はしていただかなければいけないというのは当然なのですけれども、漏れ方にもやはり決まったかのような報道をされますと、マスコミ辞令ではないですが、何かそれで固まったような感じになりますので、その辺をぜひ御注意を願いたいと思います。
けさの朝刊だけではなかったですね。おとといからネット配信で随分騒がしかったですけれども。
まず、一般病棟入院基本料の論点のところで、77コマ目の論点のほうからいきます。大変大胆な、大幅な変更の提案であります。現行7対1の病院が、でも、なぜ持続・維持にこだわるのかといえば、先ほどの実調に対する見解でも述べましたが、現在赤字であるがゆえに、これ以上の減収を避けたいからであります。
先ほどいみじくも医療課長が、200床の病院規模で7対1から10対1に変更すると、年間1億2,000万の収入減になると。まさにきょうの『朝日新聞』の記事と全く同じ金額でありましたが、まさかそれほど減収になるということはなかなか踏み切れない現状があります。したがって、64~65コマ目のような仕組みは一考の余地はあると考えます。
しかし、だからこそ76コマ目の論点にあります、重症度、医療・看護必要度の見直しには反対です。28年度改定で変更したばかりでありますし、C項目に至ってはデータから算出し、つくったばかりでありますので、やはりいろんな意味で、このままの評価体系で見直しを図るべきではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
一般病棟のことで何点か質問と意見をさせていただきます。
まず38コマ目ですが、DPCデータを新たに追加分析されているわけです。そこで、この○の2つ目ですけれども、救急搬送後の入院を削除とあります。これは新たなDPCデータを用いたシミュレーションの中ではそうされたということでしょうが、救急搬送による入院というのは、今、急性期病院では非常に重要な項目だと考えますので、これを簡単に削除ということには反対いたします。
それから、64~65コマ目ですが、非常に大胆なお話なので、ちょっと判断に迷っているところでありますが、幾つか質問させていただきたいと思います。
64コマ目の考え方は、基本部分と実績に応じた評価。これを認めて弾力的な運用をしようということですので、将来的に見て、基本的な考え方については賛同したいなと思います。
ただ、64コマ目のほうは10対1が基本なのかなというふうにも見えるわけで、先ほどから出ております管理単位というものが、この場合に病棟ということを考えるのか、もしくは特定入院料を除く一般病棟の急性期部分。その全体として捉えるのか。それがどちらなのかなということは非常に重要かと思っております。
それから、この実績に応じた評価というのが積み上げていくようなイメージですが、これが従来の7対1、10対1のような看護師評価の9対1、8対1、7対1というイメージなのか。むしろ今後のあり方を考えますと、多職種による病棟の運営ということから、多職種の評価ということを考えたほうがいいのではないかと思っております。
この部分、もう一つ、65コマ目は、現行の7対1はそのまま残すというものが出ているのですが、余り一遍に大きなものを動かしていくといろいろ現場とのそごが生じますので、この7対1の部分については現行の25%を動かさないということを基本にお願いできたらと思います。
それから、一般病棟入院基本料の最後の76コマ目ですが、今、松本委員も言われておりましたけれども、ここの最初の重症度、医療・看護必要度の見直しの3点ですが、私はこの2)についてちょっと気になります。救急搬送後の救急医療管理加算の算定患者へ見直すということですが、この救急医療管理加算そのものが現在、入院医療分科会等でまた議論されているところでもありますし、また、仮に救急医療管理加算を算定しないとしても、やはり救急の医療入院、夜の入院等々は非常に手間がかかることでありますので、ここのところは現行どおりの救急搬送後の入院2日間を維持していくということが必要なのではないかと思っております。
以上です。
○田辺会長
1点、病床のところの考え方でございますけれども、御質問と受け取りましたが、では、医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
これは、資料でいきますと52~53コマ目のあたりであります。
結論から申し上げますと、管理単位というものは病棟ごとという意味ではなく、あくまで報酬算定で、1病棟だけの場合ももちろんありますけれども、この場合でいきますと、一般病棟入院基本料を適用する病棟が複数あった場合には、その複数病棟全体を指してということでございます。その全体についての一つの平均といいますか、全体としての評価として、どの報酬が算定されるかという考え方であります。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
では、松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
76コマ目でございますけれども、松本純一委員がおっしゃったとおり、重症度、医療・看護必要度の項目の見直しについてですが、2番目は先ほど猪口先生がおっしゃったとおり、やはり反対。3番目も、一定の影響が3日とか4日にするとございますので、これについても反対ということで、見直しについては全体として反対いたします。ただ、2つ目の○ですけれども、該当患者割合の基準値がこれ以上厳しくならないようにすべきだろうと思います。
77コマ目で、確かに大胆な提案でございますが、いずれにしても、病院の機能分化を促進させて、全体として実調で示されたような、さらなる病院の経営の悪化が示されましたけれども、経営を改善させるという配慮がどのようにあるのかということを見せていただく必要があると思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、菊池専門委員、お願いいたします。
○菊池専門委員
77コマ目の論点について、看護の立場から意見を申し上げます。
65コマ目に急性期の入院医療の評価体系の案が提案されておりまして、今後、基本部分と、実績に応じた段階的な評価分との組み合わせによる評価体系を導入するという提案でございます。
これにつきましては、長期的な展望のもとに、将来の入院医療ニーズの変化に対応する準備として、一つの整理の仕方としてはあり得るかと思います。導入に当たっては、基本部分と段階的な評価区分の具体的な内容を根拠に基づいて明確にする必要があり、それらはこれまで中医協総会や入院医療等の調査・評価分科会では、まだ議論されていないと認識しております。新たな仕組みの重要な要素となる、急性期の入院患者を適切に把握する方法については、先日の入院医療評価分科会の報告書で、「将来に向けて急性期の入院患者をより適切に把握できる評価方法を開発・検討する必要がある」ということが記載されたばかりです。急性期の入院医療の評価体系の変更は現場に与える影響が非常に大きいことから、さまざまな観点からの慎重な検討が必要であり、今回の改定に導入することは難しいと考えます。
看護の立場としましては、56コマ目で示されていますように、医療ニーズに対応した医療資源の投入という原則には賛成であり、その医療資源の不可欠な要素の一部として看護職員配置があると考えています。そのため、65コマ目の評価体系(案)で、看護職員配置が評価体系の要素として組み込まれていることは評価いたします。
看護職員配置は、患者の状態や医療内容等の医療ニーズに応じて投入されることが必要です。そもそも、平成18年度に7対1が導入されたのは、急性期医療を担うためにそれだけの人員が必要であり、既に急性期医療の現場でそれだけの配置がされていたからです。将来の入院医療ニーズが変化していくとしても、急性期の重症者は一定残ることは確かであり、これらの患者に対応できるための手厚いストラクチャーは必要です。現行でも多くの急性期病院で急性期の患者に対応するために7対1か、それ以上に加配している現状がある中で、当然、7対1の看護配置は急性期の基本部分に残すべきと考えます。10対1を基本部分にする入院基本料と並列した上で、将来的には病床数のボリュームが変わっていくというイメージで考えてはいかがかと考えます。
また、今回の評価体系(案)で、65コマ目ですけれども、該当患者の割合の数字が今、明記されておりません。現行の7対1では該当患者割合が25%以上となっておりますが、仮にこの基準を変えるのであれば、配置についても連動して変える必要があります。現行の看護職員配置のまま、該当患者割合が引き上げられますと、今でさえぎりぎりの状態でケアしている看護職員の業務密度はさらに増し、患者の医療安全の担保、ケアの質の担保の観点から、非常に危険な事態になると危惧しております。委員の皆様にもよく理解して、御議論いただきたいと思います。
それから、77コマ目の論点の2つ目の○ですけれども、中間的な水準の評価を設けてはどうかということにつきましては、機能分化推進の観点から賛同いたします。その際に、新たに設定される中間的な水準の病棟については、重症度、医療・看護必要度が高い患者が一定程度多くなることが想定されることから、その医療ニーズに応じた看護職員配置等の医療資源が投入されるような担保が必要だと考えます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。
76コマ目の、松本先生とか猪口先生とかぶるところですが、最初の○の1つ目のところで、これは賛成したいと思います。
ただ、2つ目の、ここのA項目の救急搬送後入院というところは、現状、これを外してしまうとかなり厳しい状態が想定されますので、できれば、ここはこのままがいいのではないでしょうか。
それから、3)のところのC項目の開腹手術ですが、これは導入するに当たっては5日が妥当な数字だろうということで導入したけれども、実際、計測すると、もっと早目に退院されている方もおられるということで示されておられますが、回復と一言で言ってもいろんな疾病がありますので、これを一くくりにして5日を3日にするのは少し乱暴すぎるのではなかろうかという気がします。ここは、もしやるとすれば疾患別に、手術内容別に、これは3日が至適だとか、これは5日でないとだめだとか、そういう丁寧な論議をやったほうがいいのではなかろうかと思います。
2つ目の○に関しては、これは十分、こういう形で当然評価するべきでしょうけれども、先ほどの10対1病棟、10対1をベースとした病棟づくりの中でも、現行の7対1のところのカットオフの25%は崩さないでいただきたいなと思っております。
それから、3番目の○のところは、実は全日本病院協会と日本病院会で調査をいろいろやって、こういうふうにDPCのデータを活用することについては、1つは看護師の仕事としても、今、定義されているような状態になっていますが、少しでも軽減させたいという観点からは、こういうものをうまく利活用したいという施設もありましたし、それから、内容がわからないので、ちょっと答えようがないといった施設も結構ありましたが、結局、トータルすると、内容がはっきりわかれば9割ぐらいの医療施設がこういうものを利用したいと考えているのだろうと思います。ただ、このところが実測している数字との整合性。そこがきちんと内容が示されれば、安心してこっち側のほうに動けるのではなかろうかと思っております。
以上です。
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
76コマ目の論点に関して質問がございます。重症度、医療・看護必要度のA項目の「救急搬送後の入院」について、救急医療管理加算の算定患者に見直すと記載されております。救急医療管理加算は1と2がありますが、加算1に見直すということでしょうか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
これは1と2、両方でございます。
○田辺会長
では、引き続きどうぞ。
○幸野委員
この見直しによって、該当患者割合がどのように変動するかといったシミュレーションを可能であれば次回の議論に御提出いただけないでしょうか。
○田辺会長
医療課長、どうぞお願いします。
○迫井医療課長
可能な限り、そのようにさせていただきたいと思います。
○田辺会長
どうぞ。
○幸野委員
それでは、重症度、医療・看護必要度の項目の見直しについては、シミュレーションのデータをもってまた判断させていただきたいと思います。
次に、77コマ目の論点について意見を述べたいと思います。
47コマ目以降の資料の流れを見ると、今後さらなる高齢化に伴って疾病構造が変わり、75歳未満が半数を占める7対1病棟のニーズが減少するのは明らかです。71コマ目にあるように、病床稼働率が落ちてきているというのは、その兆候であると考えております。
また、70コマ目の分布図を見ると、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合が25~30%の範囲では、7対1と10対1が比較的混在しています。
私は、この重なり合っている部分について、めり張りをつけるような仕組みにしていく必要があると思っています。今回示された65コマ目では、7対1と10対1の間の中間的な評価を設けてはどうかという御提案がありますが、中間的な評価を設けることによって、現在は7対1病棟であっても、真に急性期の患者を多く受け入れていない医療機関はおそらく、中間的な評価に移行するのではないかと思います。右端の7対1相当の高い評価に残る医療機関は、真に急性期の患者を多く受け入れているところとなるべきだと思います。
また70コマ目の分布図に移りますが、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合が30%未満のところを見ると、7対1と10対1が混在しているところも見受けられますが、30%以上を見ると7対1と10対1が区分されているように見えます。この分布図を踏まえると、現行の7対1相当の最も高い評価については、10対1と明らかに区分する上で該当患者割合を30%に引き上げてはどうかと考えます。
最後に76コマ目の論点のDPCデータの活用については、より公平で客観性を担保するという観点からは推進していくべきだと思いますが、現行の評価結果とは一定の乖離があるということを踏まえると十分な検証を重ねていく必要があると思います。次回改定で活用する場合は、医療機関が選択するような方式や、DPCデータを活用した場合の補正を検討する必要があるのではないかと思います。補正については、43コマ目の追加分析結果で示された5%の相違があるということが参考になるのではないかと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
今、幸野委員が言われた70コマ目の分布図なのですけれども、重症度、医療・看護必要度が25%以上の患者割合が算定できるということになる。だから、25%の数字の上を真っすぐ、ここへ線を引いていただきますときれいになるわけです。だからこそ、25%という数字が妥当であると我々は見るわけです。この表の見方が見解の相違になろうかと思います。
○田辺会長
では、松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
私のほうからも同様の趣旨でございますが、ある程度、重なるのは当たり前であって、そんなにきれいに分かれるわけがないので、まず68コマ目を見ていただきますけれども、7対1で30%で切れば3割しか該当しないということに着目すべきだろうと思います。こんなことをすれば現場は大混乱に陥りますので、30%などという数字はあり得ない数字だと思います。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
今のパーセンテージにも関連して、幸野委員とちょっと意見が重なりますけれども、意見を言わせていただきたいと思います。
まずは、今の77コマ目の一般病棟入院基本料の評価方法の見直し。これについては、今、議論がありました65~66コマ目以降、いろいろ資料を見まして、当然、この考え方については看護職員の配置などの医療提供などの医療資源の投入量。こういうものに応じた評価から、実際入院されている患者さんの状態や医療の内容に応じた、より入院医療のニーズに即した評価方法へ見直していこうという方向性は大賛成ですし、その具体的な手法として64~65コマ目にあるような基本部分と実績に応じて段階的に評価を組み合わせて体制をつくっていこうということも大いに支持するところだと思います。
その際、65コマ目の図式の右端、現状の7対1の○%というところでございますけれども、そもそも、この段階的にということを勘案すれば70コマ目の、今、お二人の松本委員からもお話がありましたが、25%でぱっと切ったときに両サイドに分かれるというのは当然、現行の方式を対応しているからそうなるのであって、段階的に見れば、例えば一つの目安として30%を一番端にすれば、ずっと段階的にそこから組み合わせていくのは妥当な考えではないかなと考えます。30%にするかどうかは別にしましても、いずれにしても段階的に考えるという方法を具体的にとっていくならば、どこかに数字を置かないといけない。それはやはり、この分布図を見ると、右端は30%なのかなと、表から見る限り、考えるのが妥当かなと思っております。
もう一つ、前回の改定で病棟群単位でということで、激変緩和の考え方を入れたと理解をしているのですけれども、今回、具体的にこのような段階的な、スムーズにソフトランディングするような方式を、評価方法を採用するということであるならば、この見直しに合わせて病棟群単位の考え方。これもたしか期限があったと思うのですが、合わせて考えていくべきではないかなと思います。
もう一つは76コマ目のデータ活用のことなのですけれども、重症度、医療・看護必要度のカウント。これについて、DPCデータの評価結果が適切かつ合理的であるというふうに判断できるならば、各医療機関さんが、これがマストではなくて選択するという方式というところから始めて、このDPCの、先ほど御意見もありましたけれども、活用が具体化できるならば医療事務負担なども勘案すれば、看護職員さんなどの医療関係者さんの働き方の見直しにも資するというふうにも考えますので、一定基準の医療機関にはEFであり、Hでありというファイルの活用推進を促していくのはいい方向ではないかなと考えます。
その際、この論点にもございますけれども、定義の違いは当然考慮し、基準値をきちんと設定するということ並びにDPCを使ったほうが有利になるとか、こっちを使ったほうが有利になるという、その辺にきちんと留意をして対応していくべきだと思います。
以上です。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
今回の御提案については、64~65コマ目は大変大きな変革の提案だと思います。方向性については一定程度理解できますけれども、先ほどからお話のあった医療・看護必要度のパーセントをどうするかという、そのこと一つをもっても、過去の議論を見ると相当大きな議論がされている。
これは同時に、いろんな大きな影響の出る改革をするということは現場に対して物すごく大きな影響を与えるということをよく理解していただきたいと思います。25から5というと何となく、数字で言うとたった5%かと思いますけれども、これは物すごく現場に対する負荷というか、いろんな影響が出るわけですので、今回、この64~65コマ目という方向性を議論していくのであれば、今のさまざまな条件をとりあえず変えないということが一つのやり方だと思います。
今、吉森委員からもお話があった、いわゆるDPCのEFファイルを使うという話も、あれは今の医療・看護必要度とは当然数字がずれる。だから、それをどう修正するかという話が当然出てきますから、その大もとになる数字をいじれば、また要素が大きくなって、いろんなことを検討しなければいけない。やはり一つ一つ丁寧に議論していく必要があるのではないかと私は思っていますので、とりあえず、この64~65コマ目という方向性で議論を進めるのであれば、現行のものをいじらないのがまずは大前提だと思います。
○田辺会長
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
私も全く同じような方向でお話ししたいと思います。
今度の提案というのはなかなか大胆な提案で、実は10対1と7対1の間につくるという表現もあるのですが、多分、その根底にあるのは64コマ目の今後のあり方をどうしていくかということが非常に重要なのだと思います。だとすると、新たなものはすぐにはできないと思いますので、来年、手挙げ方式とか、あと、時間をかけていろんなデータを精緻化する必要が当然あろうかと思います。
したがいまして、それを構築していく間は、従来のものは従来のものとして、やはりいじらないでおいておかないと本当に現場はごちゃごちゃになります。そういうふうに、余り現場を惑わせないように、従来型を選ぶのであれば従来の基準でやっていける。ただ、従来型といいましても、実は7対1と25%というのは、現場の病院としてみると非常に苦労しています。これ以上、これを上げることによって、その苦労をこれ以上かけると、今度は新たな方式のいろんなシミュレーションもうまくいかなくなりますので、そこは十分に配慮していただいて、現行のままという形でお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
私は診療側委員とは全く違う意見です。今回、このような段階的な評価を取り入れた入院医療の評価体系の再編は、現行の7対1病棟の基準である重症度、医療・看護必要度の該当患者割合25%以上を見直してこそ意味があると思っています。見直さずに25%のままとするのであれば、中間的な評価を設ける必要はないのではないかと思います。
先ほど医療課長から説明がありましたように、現在の評価では、7対1から10対1に移行すると崖から転落するような状況になると思うので、崖から落ちないようにカットオフ値の25%をなんとか達成しようとして、7対1を守ろうと考えている医療機関もあると思います。そこで、段階的に10対1に移行できるように中間的な評価を設けるのであれば、7対1相当の高い評価部分は、真に急性期の患者を多く受け入れている医療機関を適切に評価するものとし、該当患者割合25%を引き上げるべきです。そうしなければ、段階的な評価体系を導入することに意味がないのではないかと思います。
○田辺会長
では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
これぐらいにしますけれども、実調に対する見解というのもきょうはお互いに述べたわけです。そこで我々の見解としては、ほかも含めてですけれども、7対1の病院は危機的状況にある。前回調査でも赤字、今回でも赤字ということで、そういう調査結果であります。
これをまたさらに厳しくするという御提案だと思いますけれども、それは我々にとっては考えられないことで、はっきり言って、どういうお考えの中でそういうふうに思われるのかというのをお話の中で承りましたが、到底容認できないお話であります。
これは、きょうのところは平行線だと思いますけれども、もう少し実調の結果分析をしながら、またそこで議論をさせていただきたいと思います。
○田辺会長
平川委員、どうぞ。
○平川委員
最初に質問をさせていただきたいと思います。
必要度の関係で、認知症及びせん妄患者の評価について記載がございます。確かに急性期であっても本当に認知症の方が多く急増していると言ってもいいかと思いますけれども、この認知症の方々に対しての必要度の評価を行うことによって、この必要度はどのくらいの幅で変わっていくのかというのがわかれば教えていただきたいと思います。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
先ほど幸野委員御指摘のこととあわせて、平川委員の御指摘は恐らくデータがどのように変わっていくのか、評価の分布がどうなるのかということを見ていただかないとお答えが難しいかなと思います。定性的には、問題意識は既に7~9コマ目あたりのデータでお示しはしているところでありますけれども、結論的には、次回以降お示ししたいと思います。
○田辺会長
では、平川委員、どうぞ。
○平川委員
そういった意味で、それも含めて検討すべきだろうと思いますが、基本的な方向としては、皆さん言われたとおり、今後の7対1病棟、看護配置基準だけではなくて実態に応じた施設基準というものが方向としてはいいのではないかなと思いますし、多分、地域によっては急速に少子化が進んで、本当に早急に病床のあり方を見直していかなければ病院の基本料と実態が乖離してしまうということもありますので、この方向はいいのではないかなと思っているところであります。
一方で、ある意味、診療科別でなく、重症度別に病棟が変わっていくということも、これはもしかしたら可能性としてあるのかもしれませんので、そういった影響もあるのかなと思います。それについても、その影響というものも考えていく必要があるのかなと思っているところであります。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
残りの2.~4.のほうに入ってまいりたいと存じます。御意見等がありましたら。
では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
まず、104コマ目であります。特定集中治療室管理料等の論点のところでありますけれども、4つ目の○でありますが、看護師配置における研修を受けた看護師の配置を要件化する。それは確かに、それも結構なことかもしれませんけれども、いわゆる人件費の高騰につながらないような配慮をぜひお願いしたいと思います。
119コマ目です。2つ目の○であります。要件化が必要かどうかという議論をしていく必要があろうかと思いますけれども、流れとしては病院が訪問系サービスを提供するのも、退院後の経過を見るということでは一つの流れかと思います。ただ、病院規模には言及すべきで、もし、これを要件化するならば、例えば200床未満の病院に限るという配慮が必要かと思います。
最後、128コマ目の論点でありますが、4つ目の○ですけれども、入院の必要がなくなって退院の運びになった際に、退院先をどこにするかを決めるのは患者本人あるいは家族であります。医療機関ではありません。この論点の中で、退院先によって評価を変えるということではないと信じておりますが、誤解を与えるような名称にすべきではありませんし、むしろ、それなら別々にする必要もない。ここにあります「地域医療連携率」でしたか。そういう名称一つでもよろしいのではないでしょうか。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
ありがとうございます。
104コマ目のICUの問題ですが、4番目の○の配置の問題ですが、そういう看護師がいるところが9割あるからという表現ですが、9割あるということは、1割のところは算定できなくなるということを意味しますので、それはそこにとってみれば本当に重要な問題になります。ですから、これは早急にこういうことをやるのではなくて、十分に準備期間をかけてやるべきであろうと思います。
それから、5つ目の○ですが、器具・装備について、柔軟な保有形態をということについては賛成いたします。
120コマ目ですが、このときに私、この間、意見を言わせていただきましたが、118コマ目のものを取り上げていただきまして、大変感謝しております。
つきましては、119コマ目ですが、まず、この地域包括ケア病棟の急性期後の入院患者と在宅からの入院患者というふうに1つ目の○に記載されています。これは在宅等からのではないか。また、むしろここは急性増悪とか急性期のほうに大体重きを置いたほうがよいのではないかと思っております。それで、そのような在宅等からの急性期、急性増悪への対応については十分評価していただけるようにお願いしたいと思います。
また、急性期後の入院患者ということで一くくりになっておりますが、これは自院の病棟が移る場合と他院から急性期後を受ける場合ではかなり手のかかりぐあいが違いますので、他院からの場合は少し評価が必要ではないかと思っております。
それで、この2つ目、3つ目をあわせてですが、やはり地域においては地域に密着した、特に中小病院。ここにおける地域包括ケア病棟をどのように位置づけるかということが今後、地域包括ケアシステムの構築には非常に重要な論点だと思っております。ぜひ、医療・介護の連携、現在はこういう評価はないのですが、医療・介護の連携を担う部署、単にMSW、入退院支援だけではなくて、さらにそれを広げたような部署が必要であろうと思います。
これが介護保険のほうの話ですが、医療・介護連携拠点、その窓口という話が今、言われておりますので、そういうものに相当するのではないかと考えておりますので、そこら辺のことをお考えいただけるならばうれしく思います。
最後に、128コマ目の連携に関する問題です。今、1つ目の○で、4年前に在宅へという流れの中で、在宅の加算を持っているところについて、そこに対して退院のカウントができるという仕組みが入って、これができてから現場ではここを目指して在宅復帰加算を取るために、療養にしても老健にしても非常に努力しています。この4年間の努力が、ここを加算なしについても同じように取り扱ってしまうと、せっかくできてきた在宅への流れをちょっと崩すことにもなりかねないなという気がしておりますので、ここについては慎重な議論をお願いしたいと思っております。できれば、この在宅重視という流れの中でそういう流れを大切に残していきたいと思います。
2つ目の介護医療院との関係ですが、これにつきましては、介護医療院ができたときに果たして、あれですと医療機関と介護医療院が同じビルの中という発想がありますので、同じビルの中で他院に結びつけるのか、もしくは違う施設に結びつけるのかで、これも考え方が変わってくると思います。ぜひ、その辺のところから考えていっていただきたいなと思います。
それから、今、カウントの方法について、いろいろと見直しを行うということがここでも論点として挙げられております。カウントの見直しをすると当然、その基準値とか平均値は変わってきますので、やはり見直しありきであって、その後に基準値をどうするかというふうに考えないと、カウントの仕方を変えようとしているときに基準値をいじることは非常に危険だと思いますので、まずカウントの方法についての議論が先ではないかと考えております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
まず1点、質問を事務局にさせていただきたいと思うのですが、104コマ目の集中治療のところでの2つ目の○のアウトカム評価に資する項目として、入室時の生理学的スコアの記載を求める。これはとても私も大事なことだとは思います。それで、御紹介のあったAPACHE2とSOFAスコアということなのですけれども、今、全ICUの中でどのぐらい、これを利用されているのか。あるいは患者数です。実際の入室患者数に対して、何人、何件、こういうデータをとられているのかというものがございますでしょうか。
つまり、学会は当然、これは学会報告で出してこられるのですけれども、それが余り普及していない中で要件にすると大変な負担になる部分もございますので、ぜひデータを教えてください。
○田辺会長
この点、では医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
この点は入院医療分科会でもいろいろ議論、それから、御意見もいただいたところであります。入院医療分科会の資料の中で、お手元の資料ですと88コマ目であります。これはかなり専門的なお話も関連するのと、スコアをどういうふうに、例えば評価する実務的な面も含めて、さまざま御意見はあったと承知をしておりますけれども、このAPACHE2だけに限ってのデータというのは実は把握が十分できているわけではありませんが、88コマ目で御紹介しておりますのは、APACHE2も含めて、例えば登録を開始している施設、これは88コマ目の一番下に書いてございますけれども、この9月現在での数字で53施設、それから、症例数は4万2,000程度ということでございます。
全体でどの程度算定する、あるいはこういったことを把握すべき施設がどれくらいで、かつ実績としてどの程度あるのかというのが詳細に把握はできておりませんけれども、私どもの理解はこういったICUの業務、それから、治療に関しまして、一定程度のガイダンスを設定されております学会関係者のお話をお聞きした上で、基本的には現場に無理のない形で導入させていただくというのが前提であろうと思います。
一方で、一定程度負荷がかかるのは間違いないと思いますが、やはり救急の質、それから、より高度な救急への対応を促すという意味でも、こういった評価は重要だと考えておりますので、バランスをとりながら、しかし一定程度、こういったことに踏み出していくことも必要かなという問題意識で提案させていただいております。
○今村委員
趣旨は大変よく理解できますので、反対しているわけではないので、そのバランスの問題だとまさしく思います。まだまだ、どうしても学会というのはこういう項目を入れたら、こんな結果になって、有効に使えますということをそれぞれのアカデミアの世界で主張されていることで、実はSOFAスコアとAPACHE2でも中身が大分、挙がっている項目が違っているわけで、まだ科学的に完全に決定したものではない。それから、53施設というのがどのぐらいのボリュームになるかというと、一部なのだろうなと思いますので、いきなりこれを全部要件にするということはしないほうがいいのかなと。だから、これから少しずつ、こういうところをふやしていって、どういう項目が最もアウトカムにつながるのかということをもう少しきちんと検証されたほうがいいのかなというのは個人的な意見です。
それから、長くなって恐縮ですけれども、119コマ目のところで、いわゆる地域包括ケア病棟がどういうものかということの中で、先ほど松本純一委員から、あるいは猪口委員からもお話がありましたが、やはり本当に地域包括ケアというものに資するような業務が大事だと思っておりまして、地域で開業して在宅等をやっている、診療をしていますと、やはり大病院というものは働いておられる先生たちが地域の生活までなかなか、密着感が非常にない中で、その施設しかその地域にないから、大病院であってもそういう医療を提供するのは全否定するつもりはありませんけれども、やはり大部分のところではかかりつけ医、診療所や中小病院のかかりつけ医がそういう地域の地域包括ケアの中心的な役割を担うということであるとすれば、やはりこういう地域包括ケア病棟のいわゆる役割の一つに、かかりつけ医とのしっかりとした連携を何らかの形で担保していただかないと、本当にある意味、その病院だけで完結するような医療になってはいけないと思っていますので、ぜひその点は御検討いただければと思っています。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
104コマ目の論点でございますけれども、これは全体的に関連して発言させていただきますと、やはり急性期の大病院というのは高度急性期と重症の急性期のみに特化した病院とそれ以外の病院とでは分けて考えるべきではないかなと強く思います。これは機能分化を促進させる必要があるからだと考えております。
4つ目の○ですが、先ほど猪口委員がおっしゃりましたけれども、もし仮に要件化するのであれば、十分な経過措置が必要であろうと思います。
続いて、119コマ目の3番目の地域包括ケア病棟の論点でございますが、1つ目の○に関しましては受け入れ後の医療資源投入量がやはり違ってまいりますので、それを考慮してということだろうと思います。
それから、2つ目の○でございますが、3つ目の○もほぼ同様ですが、診療側の各委員がおっしゃいましたけれども、ここはやはりいろいろな病床機能分化との整合性をとって、2つ目の○も3つ目の○も許可病床数が200床未満の病院とすべきだろうと思います。また、訪問系サービスにつきましては、今回の同時改定で診療報酬と介護報酬において整合性がとれるようにする必要があると思います。
最後に、128コマ目でございますけれども、まず1つ目の○の1)で、評価対象に自院の他病棟への転換患者は含まない取り扱いとするという、この理由をお聞きしたいと思います。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
これは、この議論の前提として、まず退院、在宅復帰率という名称が在宅、御自身の御自宅ということだけではなく、居住系も含めてというふうな広がりがある中で、逆に申し上げますと、医療機関との連携をどの程度まで考えるのかという話に広がっていて、実際の算定式は126コマ目に幾つかの分類がありますということであります。
ただ、こういった評価をする前提は、恐らく御自身の施設の中での移動ということは基本的には想定されていないのではないのかという、一般的な理解といいますか、考え方の基本となる、出発点となる部分をもう一度立ち返ったときにそうあるべきではないかという問題意識でございます。
○田辺会長
では、どうぞ。
○松本吉郎委員
ただ、自院とか他院に移れない患者さんも実際にはいらっしゃいますので、やはり他院と同等に扱うべきだろうと思います。
それから、3)のところですが、あるいは最後の4つ目の○に関してでございますが、基本的に区別をすることはよろしいかと思いますけれども、差をつけることについては反対いたしたいと思います。それは最後の4つ目の○ですが、やはり帰したくても自宅に帰せない患者さんもいるということは大きな理由になると思います。
もう一つ、介護医療院について、2番目の○でございますけれども、やはり転院を促進させるためには介護医療院も対象にする必要があると思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、平川委員、どうぞ。
○平川委員
最初に104コマ目の特定集中治療室管理料に関する課題で、4つ目の○で、研修を受けた看護師の配置であります。これは質問ですけれども、多分、集中ケア認定看護師の配置を明確にイメージしているのか、それとも、別の研修ということをイメージしているのか。ちょっと教えていただきたいと思います。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
これは99コマ目の資料の中に、少し字が小さくて恐縮でございますけれども、※1と付記しております。99コマ目の左側の下のほう、専門看護師等というものは、具体的に申し上げますと、急性・重症患者看護専門看護師、集中ケア認定看護師、その他600時間以上の研修修了者、こういったことを念頭に置いているということでございます。
○平川委員
ありがとうございました。
この方向は賛成ではあるのですけれども、やはり先ほど言った、例えば集中ケア認定看護師で言いますと、今、全国に1,169名いるようですが、やや地域偏在があるのかなと思いますので、当然、この方向はいいのですけれども、そういう認定看護師の養成ということも一つポイントであるのかなと思いました。これは感想です。
あと、119コマ目の地域包括ケア病棟の関係です。これのうち、やはり今後の高齢化に伴って地域の在宅の方が慢性疾患の病気が悪化することによって入院が増加するのが想定されるというのはあるかと思いますので、病院の役割として、こういう地域包括ケアシステムの構築により貢献できるのは当然賛成でありますし、その設置の趣旨からも当然のことだと思いますので、これが実績も加味した評価となっていますが、基本的に本来的な要件ではないのかなと思っているところであります。それはなぜかというと、やはり先ほど言った在宅における慢性疾患の悪化を地域全体の力で予防していくのだという観点から、それは重要なのかなと思っています。
ただ一方で、この119コマ目の上の、自宅等から受け入れた患者さんと、自院もしくは他院からの受け入れた患者さんの、提供する医療内容が異なっていることによって、評価を区別してはどうかとなっていますけれども、そういう考え方もあるかもしれませんが、111コマ目とか110コマ目を見てみますと、自院、他院からのCT・MRIを受けた患者の割合とか、X線の撮影とか、記載がありますが、それほど決定的な差があるのかなというのが、これを見ただけではよくわかりませんでしたので、この辺はどうなのかなと。考え方の一つとしてはあるのでしょうけれども、その差がそんなにあるのかどうなのかというのがちょっとわからないという、これも感想であります。
最後に、128コマ目の医療機関間の連携に関する評価の1つ目の○の1)のところです。自院の他病棟への転棟患者に関してということで言うと、これは地域における病院の機能分化を進めるということについてはそういう方向になるのかと思いますが、数少ないかもしれませんけれども、地域によっては医療資源が乏しい地域、もしくは本当に病院しか医療資源もしくはさまざまな資源がない地域もありますので、その辺、何らかの、そんなに大きなことは必要ないと思いますが、やはりその辺の配慮と慎重な検討ということも含めて必要ではないかなと思っているところです。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、菊池専門委員、お願いいたします。
○菊池専門委員
論点の104コマ目の4つ目の特定集中治療室における専門の研修を受けた看護師の配置についてですけれども、98コマ目にありますように、専門の研修を受けた看護師により高レベルな看護実践が行われ、また、ほかの看護師への教育により特定集中治療室全体のケアの向上にもつながっております。結果的に標準化死亡比が低くなるという、患者の転帰の改善に影響を与えているという結果が出ております。
既にこうした看護師を配置している病院が92%に達しており、毎年、一定数のこれらの看護師が養成されて、年々増加しておりますので、ぜひ特定集中治療室における医療、ケアの質の向上という観点から、診療報酬の取り扱いを検討して、進めていただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
時間もあれなので、1つだけ質問を含めてお伺いしたいのですけれども、119コマ目の最初の○ですが、これは「救急・在宅等支援病床初期加算」について、患者さんの入棟前の居場所について、自宅からの患者の受け入れと、それ以外で提供する医療の内容等が異なっているからということで区分したらどうかということだと理解はしますし、その方向なのだろうと思いますけれども、急性期後の入院患者さんと在宅からの急性増悪等の入院患者さんの診療実績を踏まえて、それに応じて評価を区分するという考え方であれば、ここは私の理解が足らないのかわかりませんけれども、そもそも本体の部分の入院料からそういう評価の区分はしないのかということなのですが、これについて、事務局はどうお考えでしょうか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
御指摘のとおり、ここは先ほどのセクションで言う病院単位、病棟単位、それから、病室単位、もっと言うと患者さん単位でどう報酬を設定するのかという考え方をどう整理するかということと関連すると思います。
考え方として、あり得るのは、病棟単位でそういう設定をする、もしかしたら、病室単位もあり得るのですが、我々が今回提案しているのは、基本的には患者さん単位の加算のほうがよろしいのではないか。
その理由は、まさに先ほど二号の委員から出ていますけれども、地域によりまして、ボリューム感もそうですし、機能が大きく違いますので、一定の範囲でそれを評価しますとかなり運用として硬直化といいますか、評価が難しいのではないか。あるいは評価としては適正かという話になりますので、もともとの問題意識は、個々の患者さんごとにかなり対応は違うけれども、病棟自体の運用は一定程度の機能が期待されておりますので、結論としては患者さん単位で加算でというほうがよろしいのではないかという御提案であります。
○田辺会長
では、吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
理解しましたけれども、将来的にはそういう方向性というのはあり得ないということで、あくまで患者さん単位でやるとこういうところは、いろいろ諸事情を勘案すれば、なかなか難しいということでよろしいのでしょうか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
2点ございまして、この地域包括ケア病棟の設定自体、これはきょう、資料をお示ししておりませんけれども、もともとが大きく分けますと2つの、俗に言うサブアキュート、ポストアキュートの議論ですが、急性期以降の患者さんを診る病棟、かつ地域も含めて急性期の、どちらかというと緩徐な急性期、両方を診るという機能を期待しているということで、もともとの考え方がそうなっているということが1点。
仮に、その2つを分けたときには相当程度、規模が一定程度、単純化された機能が実現されなければいけませんので、そうなってまいりますと、例えば大規模な都市とか大きな病床で一定の規模を持って、その病棟がそういう専用的な運用ができる場合は別ですけれども、そういう運用ができる地域は恐らく限られるでしょうし、そういったことをすることが、先ほどの繰り返しになりますが、運用として本当にそれが望ましいのかというと、現時点では必ずしも適当でないのではないか。そのように考えております。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
地域包括ケア病棟について、118コマ目には地域包括ケア病棟のあり方について、日本医師会・四病院団体協議会からの提言が示されております。私は提言されているとおり、地域包括ケア病棟の機能は、急性期病院からの受け入れや在宅等からの受け入れ、在宅・生活復帰支援だと思っています。提言には、「入院受け入ればかりではなく、退院後に安心して療養できるための支援を行うなどの地域の医療・介護連携を支援する病院を、地域ごとに整備することが不可欠」と示されてはおりますが、残念ながら実態は、ポストアキュート機能が主になっております。ポストアキュートとサブアキュートでは、提供する医療の中身が異なるということも踏まえ、ポストアキュートとサブアキュートの評価のあり方を変えるという方向については賛成ですが、加算で対応する点については、財政中立の範囲で行っていただきたいと思います。
119コマ目の論点の2つ目にある、訪問系サービスの提供を要件化することについては賛成です。
3つ目の論点の在宅医療・介護サービスに係る実績等も加味した評価については、新たな評価を設けるという趣旨だと思いますが、先ほど述べた118コマ目にあるように、在宅医療の提供や介護サービスとの連携が地域包括ケア病棟に求められている本来の役割の一つであって、これを新たに評価するというのは違うのではないかと思います。
最後に在宅復帰率についてですが、これまで何度も述べてきましたように、7対1病棟の在宅復帰率の算出方法はどう見直しても高い数値が出るようになっており、これは急性期を評価する指標としては妥当ではないのではないかと思うので、次回改定では7対1病棟を評価する指標から在宅復帰率を除外して、患者の転棟先のデータを取るようにし、そのデータの名称や算出方法をどうするのかという議論をした方が良いのではないかと思います。7対1病棟以外の病棟の在宅復帰率については、基準を引き上げることに賛成です。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
ただいまの在宅復帰率の件ですが、いろいろと論点がありますので、この際、ここを見直すならば少し集中的に、さまざまな観点からこれを見直したほうがよろしいのではないかと思います。
それで1点、気になりますのは、128コマ目の1番目の○の1)なのですが、自院の他病棟への転棟患者は、指標の目的を踏まえ、評価対象に含まないというふうに書かれているのですが、実際はこれがどれぐらいの量があるのか。それから、介護医療院のことも出ていましたけれども、この場合もこれがかなり大きく関与しますので、これについても正確なデータを出していただいて、今後の議論を進めていただきたいと思っております。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
可能な限り、こういった内訳がどのようになっているのかということはお示ししたいと思いますが、一方で、これは現時点で区別されていないこと自体が問題ではないかという課題意識を持っておりますので、先ほど松本吉郎委員の御質問に対してお答えしたのと重なるのですが、もともとの趣旨、それから、何を捉えるべきなのか、そういったことを考えて、どういうデータをとるのかという話と、幸野委員がおっしゃったように、それをどう評価するのかという話、このあたりはしっかり整理をさせていただく必要があると思いますが、そういったことを踏まえて、こういう御提案をさせていただいている、そういう趣旨でございます。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、長い間、議論いたしましたけれども、御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議論を踏まえまして、引き続き次回以降、さらに議論を深めてまいりたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。
どうも、御議論ありがとうございました。
 

 

 

 

 

(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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