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2017年11月1日 中央社会保険医療協議会 総会 第367回議事録

○日時

平成29年11月1日(水)9:00~12:23

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

田辺国昭会長 野口晴子委員 松原由美委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員 中村洋委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 
安部好弘委員
菊池令子専門委員 横地常広専門委員 丹沢秀樹専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○部会・小委員会に属する委員の指名について
○外来医療(その3)について
○その他

○議事

 

 

 

○田辺会長
 それでは、時間でございますので、ただいまより第367回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は猪口委員、榊原委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
 次に、委員の交代について御報告いたします。
 万代恭嗣委員、加茂谷佳明専門委員、吉村恭章専門委員、昌子久仁子専門委員におかれましては、10月29日付で退任され、後任として10月30日付で、島弘志委員、平野秀之専門委員、村井泰介専門委員、堀之内晴美専門委員が発令されております。
 なお、各委員からは「自らが公務員であり、高い倫理観を保って行動する」旨の宣誓をいただいております。
 まず、新しく委員となられました島委員より一言御挨拶をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。
○島委員
 皆様、おはようございます。福岡県久留米市にございます聖マリア病院の病院長及び日本病院会の副会長を務めさせていただいております島でございます。
 この中央社会保険医療協議会は、国民皆保険制度を堅守しつつ、限られた財源の中で、常に効率的な観点から、いかに良質の医療を国民に提供できるかを建設的に討議する場だと理解しております。
 控除対象外消費税、ふえ続ける人件費等で、今、日本の医療施設は経営が非常に厳しいところがふえておりますが、そんな中でも、地域、社会に求められ、選ばれる医療施設になるために、患者さんやその御家族と真摯に向き合って、昼夜を問わず良質の医療を提供しようと努力している医療施設に対しては、寄り添える中医協であってほしいと思っております。私もまたその一員に加えさせていただきます限りは、一生懸命尽力してまいります。どうぞ、皆様よろしく御指導のほどお願いいたします。
○田辺会長
 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
 早速、議事に入らせていただきます。
 初めに、委員の交代に伴いまして、部会及び小委員会に属する委員につきましても異動が生じます。
 部会、小委員会に属する委員につきましては、社会保険医療協議会令第1条第2項等の規定により、中医協の承認を経て会長が指名することとされております。委員のお手元に総-1といたしまして、新しい中医協の委員名簿とともに、異動のある部会及び小委員会の名簿の案をお配りしております。
 島委員には、前任の万代委員の所属しておりました診療報酬基本問題小委員会、保険医療材料専門部会、費用対効果評価専門部会に所属していただきたいと思います。また、平野専門委員には、前任の加茂谷専門委員の所属しておりました薬価専門部会、費用対効果評価専門部会に所属していただき、村井専門委員には、前任の吉村専門委員の所属しておりました薬価専門部会に所属していただき、さらに堀之内委員におかれましては、前任の昌子専門委員の所属しておりました保険医療材料専門部会、費用対効果評価専門部会に所属していただきたいと存じますが、そのように指名することとしてよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。
 早速、議事に入らせていただきます。
 初めに、次期診療報酬改定に向けた議論として、「外来医療(その3)について」を議題といたします。
 本日はまず「2.遠隔診療(情報通信機器を用いた診療)」について議論を行い、次に「1.生活習慣病の重症化予防」について議論を行いたいと思います。その後、休憩を挟みまして「3.後発医薬品の使用促進」と「4.多剤・重複投薬等の適正化」をまとめて議論させていただきます。
 では、事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
 医療課長、よろしくお願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、お手元の総-2をごらんいただきまして「外来医療(その3)」、その1は2月8日、その2は2月29日でございますけれども、今回3回目でございます。
 2コマ目に本日の議題、先ほど会長からお話がございましたが、最初に遠隔診療につきまして御説明をしていきたいと思っております。
 44コマ目をお開きいただきたいと思います。
 遠隔診療につきましては、括弧書きで書いてございますけれども、情報通信機器を用いた診療ということでございますので、その点を明確にさせていただいた上で、3部構成で、最初に「(1)総論」で全体を整理させていただきまして、その後「(2)情報機器を用いた診察」、「(3)情報通信機器を用いた遠隔モニタリング」ということでございます。
 その次の45コマ目と見ていただきたいと思います。今、申し上げました全体像であります。従来からこういう概念整理をしておりますが、情報通信機器を用いてどのようなコミュニケーションを行うか。大きく分けて、医師対医師、これはDoctor to Doctorという意味で「D to D」と呼んでおりますけれども、医師対医師です。診療形態は、そこにポンチ絵も含めて書いてございますけれども、画像等の送受信をドクター同士で行っていくということでございます。
 それに対しまして、その下半分でありますが、医師対患者、これはDoctor to Patient、俗に「D to P」と呼んでおりますけれども、患者さんあるいは患者さんにかかります機材とドクターとの間でのコミュニケーションでございます。
 さらに2つに分けておりますが、通信機器を用いた診察と遠隔モニタリングということでございまして、診療報酬上の評価、これは具体的にはこういう評価が現在行われているというものでございます。
 順次御説明していきますけれども、ちなみに46コマ目は遠隔モニタリングの具体例でございまして、心臓ペースメーカー等の遠隔モニタリングの評価でございます。
 47~48コマ目は総論的なところのまとめでございます。これは現行の診療報酬改定、28年改定を経てのことでございますけれども、大きく対応したことが47~48コマ目。
 まず、47コマ目でございますが、電子的な診療情報の提供等につきましては、その記載の明確化をいたしまして、電子的に送受信できるということを明確にしたということが1点目。
 48コマ目、下半分でございますけれども、画像診断の管理加算の夜間等における負担軽減という趣旨で、十分な環境で自宅等で読影するような場合につきまして、画像診断については基本的には院内の読影に準じて評価する。すなわち、高速の詳細な画像転送技術を踏まえましてこういった対応をするということを明確にしているということでございます。
 49~51コマ目、これは全体的な現時点での政府の関係する会議と計画の記載ぶりであります。
 49コマ目は未来投資会議、これは何度かお示ししておりますが、4月14日に厚生労働大臣が提出しております。介護ロボットの関係を含めて記載がございますが、上半分の真ん中あたりに、次の改定に向けまして診療報酬上の評価を行っていくという趣旨の記載がございます。
 50コマ目、これは規制改革実施計画の中の記載ぶりであります。
 51コマ目、「(1)総論」の最後でございますが、未来投資戦略の記載ぶりでございます。ここまでが総論でございます。
 引き続きまして、具体的な御審議の資料であります。52コマ目以降です。
 まず53コマ目でありますけれども、医師対患者、D to Pの情報通信機器を用いた診察の部分でございます。真ん中に赤線を引いてございますが、基本的な考え方は、医師が情報通信機器を用いて患者さんに離れた場所から診察を行うということでございます。
 現行の報酬上の評価は、この表にもございますその下、54コマ目でありますけれども、電話等による再診ということでございます。これは再診料72点という設定でございまして、ここに記載がございますが、こういった関係する留意事項通知が出ているということでございます。
 おめくりいただきまして、電話等再診の算定状況でありますけれども、基本的には減少傾向になってきてございます。ここまでが報酬上の取り扱い、それから算定の状況であります。
 こういった情報通信機器を用いた診療につきましては、現場のほうで相当程度進んでいる部分もございます。56コマ目以降、その具体的な事例の一つといたしまして、福岡市で行われております健康先進都市戦略、これは「かかりつけ医」機能強化事業ということでやっておられますけれども、これを例に御紹介していきたいと思っております。56コマ目でございますが、事業の概要であります。
 これは上のほうに3つ●で箇条書きがございますけれども、「福岡100」プロジェクトの一事業ということで、ICTを活用いたしました「かかりつけ医」機能の強化を図るということが目的でありまして、福岡市と福岡市医師会によるワーキンググループの発足、それから九州厚生局がオブザーバーということで、具体的な体制を組んで実施されているということでございます。
 以下、簡単に御紹介させていただきます。57~58コマ目であります。
 この場合のICTを活用した診察につきましては、オンライン診察という呼び方をしております。これは具体的に57コマ目に書いてございます。離れた場所でありながら、医師が患者さんの状態を把握して、診察を行うということであります。
 2行目でありますが、外来通院あるいは訪問診療など、対面による診療行為を補完するという位置づけということでございまして、外来診療、訪問診療それぞれこのような概念であります。
 57コマ目の下に緑で囲ってございますが、オンライン診療を対面診療の補完として位置づけ、質と効率性を高める、その有用性を検証するということで実施されています。
 58コマ目は流れであります。真ん中のほうに書いてございますが、前提といたしまして、既に継続受診を行っている患者さんの中から患者さんを選んで、オンライン診療をどのように適用するのかということを、患者さんへの説明とともに計画を作成して、以降、実施をするという形態をとっております。ですので、患者さんから同意を取得するということも前提に利用が開始されるという流れになってございます。
 59~61コマ目、事例を御紹介いただいておりますので、これを審議の参考に御紹介させていただきます。3つのケースであります。
 まず、59コマ目はどのようなケースかといいますと、訪問診療の場合で80歳代の、疾患名はここに書いてございますが、悪性リンパ腫であります。これは3つ同じようなフォートマットで御紹介しておりますけれども、患者さんの概略が上のほうに書いてございます。疾患名でありますとか、年齢、性別、こんな感じであります。
 背景事情を記載してございます。詳細は省略させていただきますけれども、例えばケース1でありますと、週1回の訪問診療に加えまして、経過観察としてオンライン診察を導入しているということであります。
 その計画につきましては真ん中辺に記載をさせていただいておりますが、●が対面で○がオンラインであります。基本的に時間の経過とともにBefore、Afterと書いてございますけれども、それ以前はこういう形でやっていたものを、その後、実績として○、●が組み合わせでということでございます。例えばケース1の8週目以降に記載がないのは、残念ながら7週目で一定の転帰、この場合はお亡くなりになったということでございます。
 同様にケース2、ケース3も簡単に御紹介をします。60コマ目、ケース2であります。小児の胎児期の脳出血の後遺症でございますけれども、「期待」ということで真ん中辺に記載がございますが、オンライン診察を活用することで在宅を実際にやっておられるドクターの負担の軽減とともに、小児科以外のかかりつけのドクターも小児在宅患者の受け入れが可能になることで、全体的な地域における対応とか患者さんにおける負担も軽減できるということでございます。一番下に書いていますが、将来的に専門医と連携して、受診時にオンラインでかかりつけ医と専門医が連携できるということが期待されているということでございます。
 真ん中辺にございます治療計画につきましては先ほどと同様で、※が書いてございますが、これはまだ実際に診療されていた中での御報告をいただいておりますので、その時点での経過でございます。
 61コマ目、ケース3つ目、これは外来の場合でございますが、90歳代の脳梗塞後遺症の方であります。来院できなくなったら、今後、当院でということで訪問診療へ移行を検討していて、外来での対面診療とオンライン診療の組み合わせを考えてということでございます。
 こういった3つのケース以外にも、いろいろな対応をされたということを含めて、62コマ目にまとめでございますが、「実証結果にみるオンライン診療の効用」として、4つの切り口で記載がございますが、まずは、訪問診療、外来診療の2つに分けてそれぞれ2つの切り口であります。
 訪問診療について1つ目は、患者さんあるいは介護者への安心につながる、それから医師の負担軽減につながるという記載でございまして、外来につきましても同様でございますが、介護者の負担軽減とか、早期の対応が期待可能になるという総括であります。
 今、いただいたような事例を踏まえて、これは私ども事務局のほうで記載しております63コマ目でありますが、想定される課題ということで4つのまとめでございます。
 1点目は、今、見ていただきましたような取り組みを踏まえますと、対面診療を補完するものとして位置づけられているということでございますので、その適用につきましては、患者さんの状態等を踏まえた個別判断が必要と考えられることから、赤線で書いてございますが、一定程度の受診期間等を求める必要があるのではないか。
 2点目でありますが、こういった診療における医療の質を確保するということからしますと、先ほどの事例にも現にございましたが、事前の治療計画を策定すること、それから患者さんの同意の取得を求めるということが必要ではなかろうか。
 3点目でありますけれども、診療報酬上で評価をするということになりますと、その場合には、今、2つポイントとして掲げました内容が要件としては必要なのではないか。
 4点目でありますけれども、現時点で冒頭御紹介しましたが、電話等による再診という診療報酬上の位置づけがございますけれども、患者または看護に当たっている方々から治療上の意見を求められ、指示をした場合にのみ算定可能という現行の記載がございますので、仮に遠隔診療を評価していくとなってまいりますと、こういった既存の報酬とのすみ分け、整理が必要になりますということが、事務局としての課題意識でございます。
 ここまでが、情報通信機器を用いた診察の関係であります。
 次にもう一つ、遠隔モニタリングの関係で64~65コマ目。
 先ほど見ていただきました65のチャートでいきますと、一番下に該当いたします。
 現行では、心臓ペースメーカー指導管理料が位置づけとしてございますけれども、今回御紹介したいのは66コマ目以降であります。睡眠時無呼吸症候群、俗にSASと呼んでいますけれども、この症候群に対します遠隔モニタリングの効用であります。
 まず、疾患概念が66コマ目であります。SAS、睡眠時無呼吸症候群につきましては、概要でございますけれども、睡眠中に無呼吸を繰り返すということで、いろいろな合併症が起きます。
 疫学的にはここに記載がございますが、男性40~50歳代が半数以上を占めます。
 原因、症状は、ここにポンチ絵もありますけれども、上気道が狭くなることが原因でありまして、肥満との関係もありますということでございます。症状としては、いびき、夜間の頻尿、日中の眠気等々でございます。
 引き続き、ではどういう治療をするのかというのが67コマ目。気道が狭くなるということで、睡眠時無呼吸が生じる。これは定量的な診断の基準となるようなものですけれども、無呼吸低呼吸指数というものがございます。この数値につきまして、これは20ということでございますが、一定の数字がある。それから実際に症状がある、日中の眠気などを認めるという場合につきましては、経鼻的持続陽圧呼吸療法、CPAPと俗に呼んでおりますが、CPAPは略語で、continuous positive airway pressureというものでございますが、下に概念図があります。自然の呼吸ですとゼロのラインで呼吸が止まってしまう時間があるものを、ポジティブの圧力にすることで一定の呼吸が保てる。イメージとしては、ポンチ絵にあるような形をとっているということでございます。
 68コマ目、現行の診療報酬上のCPAP療法の評価、これは実際に導入されていまして、管理料とか機材にかかる加算の設定がございます。
 69コマ目、これは前回の診療報酬改定で、遠隔ということではなく、CPAP療法につきましては、機器あるいは機材にかかります加算の算定が診察時に伴って算定ができるということで、まとめて算定をある程度可能にするという改定が行われているということでございます。
 70コマ目以降に、CPAP療法に関します実証研究ということで、遠隔モニタリングの効用について研究がなされております。それを御紹介させていただきます。
 70コマ目であります。目的は、このシステムを利用することで、外来対面診察の間隔を延長していき、治療アドヒアランスが維持できるかどうかを検討するというものです。その下に書いてございますが、3つの群に分けまして介入の方法を変えております。
 3つの群とは、ポンチ絵にありますが、1つのグループは遠隔モニタリングを使って、そのかわり3カ月に1回です。真ん中に書いております2つ目のグループは、3カ月に1回受診をしますが、遠隔モニタリングはしないというものであります。対照群は従来の受診方法を想定していますが、毎月受診をするというものであります。こういったものにつきまして、右側の真ん中、1日4時間以上CPAPを使っていけるという使用率を主要評価項目、副評価項目として満足度とか臨床症状等々を検証したものでございます。
 概略でございます。71コマ目は今、お話をしました3つのグループにつきまして、介入の具体的な内容であります。これはお話をしたことでございます。
 結果でございますが、72コマ目であります。3つの群につきまして、それぞれn数が60前後でありますけれども、試験開始前と試験開始後でCPAP4時間以上の使用率の変化につきましては、試験開始前、試験開始後で大きく異なっているのが毎月受診と3カ月受診プラス遠隔でございます。3カ月受診のみについてはこのような結果になっているということでございます。
 このことから一番下に四角囲みがございますが、3カ月プラス遠隔の群、これは介入群1になりますけれども、使用率は対照群の毎月受診と効果としてはほぼ同等であると考えられるというのが1点目。
 73コマ目は、残りの副次評価項目であります。3カ月受診をした群で満足度の上昇、それから受診を希望する患者さんにつきまして、このような状況になっているということでございます。
 以上を踏まえまして、まとめの課題と論点でありますけれども、74コマ目であります。
課題につきましては今、御説明したところを書いてございますけれども、論点といたしまして2点掲げさせていただいております。
 まず、1点目であります。情報通信機器を用いた診察、これは遠隔診療でありますけれども、対面と適切に組み合わせて行われるものと位置づけられているということでございます。そういった趣旨から、患者あるいは医療提供者の負担軽減などにも有用と考えられる事例を先ほど御紹介をさせていただきました。こういったことを踏まえて、診療報酬上の評価の観点からより適切と考えられる対象の患者さんとか実施条件をどのように考えるのかということを御審議いただきたい。
 2点目でありますけれども、先ほど御紹介をしましたモニタリングの事例。持続陽圧呼吸療法、CPAP療法でありますけれども、遠隔モニタリングを併用することで、一定の治療効果が確認できたということを踏まえまして、評価の見直しを検討してはどうかということでございます。
 以上、よろしくお願いいたします。
○田辺会長
 どうもありがとうございました。
 ただいまの「2.遠隔診療(情報通信機器を用いた診療)」に関する説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 今までの議論を確認しつつ、我々の主張を再度、明確にしたいと思います。
 これまで何度も繰り返して申し上げておりますが、遠隔診療はあくまでも直接の対面診療の補完であります。最終的に医療の責任をとるのは我々医師でありますし、遠隔診療は医師の対面診療にとってかわるものではありません。
 中医協では、遠隔診療の診療報酬上の評価のためには、対面診療に比べて患者に対する医療サービスの質が上がるという科学的なデータが必要というスタンスで対応してきておりました。今回、幾つかの研究結果や事例が示されました。その好事例が59コマ目の福岡市のオンライン診療のケース1の対応と思われます。間隔のあき過ぎない一定期ごとの訪問診療の間で、病状の変化に対応したオンライン診療での確認であり、これで病状の悪化が認められれば定期的な訪問診療を前倒しして行うというような対応はまさに対面診療の補完と言えると思います。
 ICTを活用する医療が、患者さんにとって安全で有用であるというエビデンスの確認を省略したまま、安易に診療報酬で手当てすることは認められません。あくまでも、ICTの進歩と遠隔診療は明確に区別しなければならないと考えます。
 そういうことからしますと、63コマ目の課題に記載されていることはそのとおりであり、引き続き検討していきたいと思っております。
 遠隔診療により外来受診頻度を少なくすることや、患者さんの利便性ということで遠隔診療を積極的に活用することは認められません。画面を通して診察をしたとしても、本当に指示どおりの服薬をしているのか、自己測定の検査値が送られてきても、正しく測定できているのか確認できません。対面診療をしていれば、医療機関で測定もできますし、服薬の状況なども面談の際の言動、表情、しぐさなどから判断できると考えます。また、定期的な医師の対面診療があることで、服薬、運動、生活習慣などの取り組みへのいい意味でのプレッシャーとなると考えます。
 以上でございます。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 今村委員、お願いいたします。
○今村委員
 私からは、ちょっと恐縮なのですけれども、遠隔診療に関する意見の前に1点だけ事務局に確認をさせていただきたいことがあります。お時間をちょっと頂戴して、医療課長に伺いたいのです。
 10月25日に開催された財政制度等審議会で、診療報酬に関する極めて詳細かつ具体的な御意見が出ております。中医協における議論は、それぞれの立場があっても専門的かつ現場を熟知した関係者の真摯な議論に基づく結論を出していくという場ですので、財政審の意見に縛られた議論をするということではない。ある意味、当然のことでありますけれども、そのことを確認だけさせていただければと思います。
○田辺会長
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 今村委員御指摘の点は、私どもの認識そのとおりでありまして、他省庁関係審議会でいろいろな御指摘、御意見はあろうかとは思いますけれども、基本的に診療報酬の設定につきましては、中医協の審議を基本として、具体的な議論を有識者のもとでやっていただくという認識は全くそのとおりでございます。
○今村委員
 ありがとうございました。
 それを踏まえて、遠隔診療に関する御意見を申し上げたいと思います。先ほどの資料にも未来投資会議の資料が出てまいりました。私も医療・介護のワーキングのところで、未来投資会議に陪席をさせていただいて、遠隔診療の議論にも参加させていただきました。
 D to D、いわゆる医師同士ではなく、D to Pのお話で意見を申し上げたいのですが、その中で現在、効果のあると言われている一部疾病等の事例も挙げられているのですけれども、エビデンスとしてまだまだ十分ではない。もう少しきちんと実際の対面診療と同等の効果はどういう疾病にあるのかというエビデンスをきちんと積み上げたほうがいいという意見を申し上げて、そのことについては厚生労働省の審議官からも、診療報酬に対面診療と同等の位置づけをするということであれば、そういったエビデンスが必要であるという御回答をいただいているところであります。
 今は電話等再診の扱いになっているのですけれども、資料55ページに電話等再診の実績が出ているのですが、正直言って、この中に本当の画面を通したものがどれだけあるかというのは全く把握できない。一部の医療機関で遠隔診療、先ほどの実証実験もあるようですけれども、何となく画面を通した遠隔診療がすごく世の中に広がっているようなイメージだけありますが、実態は、私どももいろいろ伺ってみると、例えば数百人患者さんを診ている中で2~3人で遠隔診療で診ているというお話もよく伺います。したがって、きちんとどれだけこういった診療が行われているかという実態把握を行わなければいけない。そういう意味で、電話等再診というくくりだけにしていると、その実態がわからないということで、仮に今の電話等再診があれば、電話等再診の2という形の別の項目を立てるということはあり得るとは思っております。ただし、その評価につきましては、先ほど松本委員からもあったように、現状、まだまだエビデンスが不足していると思っております。
 また、海外で遠隔診療が非常に行われていると言われているような医療先進国でも、どういう機器を使うのか、どういう人がそれを使えるのかというようなかなり厳しいガイドラインがあるという実態も経済産業省の資料で見たこともございます。そういった情報通信機器の条件や、あるいは対象疾病、どのような状況に使用し得るのか。まさしく63コマ目にあるような課題があると思っておりますので、しっかりとしたガイドラインを設けるということが重要なのではないかと思っております。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
 今、診療側の先生から、非常に厳格な運用をという御意見をいただきました。当然、私もそうだと思いますけれども、情報通信機器を用いた遠隔診療については、治療の有効性と安全性が重要なポイントだと考えております。何でもかんでも利用すべきだとは考えておりませんけれども、少なくとも生活習慣病などの一定の特定された疾患で比較的症状も安定している場合においては、一定期間内に定期的なモニタリングとして行うものなどについては、対面診療の補完として、特に現役世代の場合、忙しくて病院に行けないことで重症化してしまうということを防ぐためにも、一定の評価を行っていくべきなのだろうと考えます。
 その際、63コマ目の課題に累々提示されておりますが、当然、患者の同意取得は大前提でございますし、事前の治療計画の作成や症状悪化の場合などに円滑に対面診療を受けられるような当該医療機関との連携など、そういうものを含めたガイドの作成、そういうものなどを算定要件に入れること。さらには、不適切な遠隔診療の受診の防止をするためにも、算定回数の制限を設けるなどの要件が必要だというのは当然のことだと考えております。
 また、63コマの課題の最後に書かれておりますけれども、もしこれを用いるならば、医療機関のコストも一定程度は低減されるとは考えられますので、評価を行うのであれば、当然、電話の再診料等の整理も必要でありますが、対面診療との報酬上の差も考えていくことは必要だろうと思っております。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 私も吉森委員の御意見に賛成でございます。
 さきほどから、2号側委員から慎重に検討すべきという御意見が出ており、非常に残念に思います。私は、ICTの進展は医療のあり方を変えると信じていますし、ICTを活用していくべきだと思います。
 ただし、原則として、ICTを活用した遠隔診療は対面診療の補完ということと、容態の安定した患者を対象にするということ、継続的な医学管理といった3点を大原則として導入すべきだと思います。また、患者の急な容態変化にも対応できるように、遠隔診療を行う医師の要件は主治医にすべきで、患者との合意形成の上で慎重に行うべきだと思います。
 福岡市で取り組まれている事例として、重症な患者の例が示されておりますが、私が想定しているのは、働き盛り世代の生活習慣病の重症化予防です。
 働き盛り世代は主に土日しか病院に行けず、貴重な休日に長時間待って、処方箋を出してもらって帰るという繰り返しが多いため、重症化するリスクを抱えているにもかかわらず途中で通院をやめるなど、脱落してしまいます。ICTを活用してリスクを抱えた人を医師のコントロール下に置き、容態が悪化した場合に対面診療を行えば、患者自身にとっても非常に負担軽減になるので、ぜひこれは推進していくべきだと考えております。
○田辺会長
 今村委員、お願いいたします。
○今村委員
 幸野委員の御意見を伺って、幾つか御意見を申し上げます。
 まず、ICTの進歩というのは目覚ましいものがあって、それは今後の医療に大きな影響を与えるというのは私もそのとおりだと思います。ただし、ICTを推進するためにあたかも医療を使うような御発言に聞こえたので、その点だけはそうではないということを申し上げた上で、福岡の例のように、非常に医療にアクセスが困難な方についてこういったものを使うというのはあり得るのだろうと思っています。状態が安定している生活習慣病の方に、働く方が今、すごく忙しくてというお話。働き方改革がありますから、これも医療現場もそうですけれども、今後の働き方が変わってくる中で、忙しい中とおっしゃっている方たちの生活のあり方も変わってくるのではないかと思っていますけれども、医療はやはり対面でなければわからないことがたくさんあります。
 例えば、幾らICTが進んでも、においだとかそういうものは残念ながらわからない。糖尿病の患者さんというのは、呼気で明らかに血糖値が上がっていると思われるようなものもあるわけです。そういう医師と患者の直接の対面における診療の重要性というのは変わるべきものではないと思っているのです。
 まずは、保険者ということでおっしゃったのですけれども、例えば今だと健診を受診する、そして保健指導を行うということが全ての保険者の努力義務になっていますが、そもそも忙しい方たちが職場を離れて保健指導を行うことができないので、ICTを活用して保健指導をしてもよいということになっているのに、保険者の中でそういったICTを活用した保健指導というのはほとんど行われていないというのが実態だと私は思います。まずは忙しい方たちが保健指導をICTの中で受けるということも進んでいかなければいけないと思っているのです。
 そういうことが行われない中で、いきなり医療の中で安定している生活習慣病を、忙しいからそれを使えばいいというのは、順番が違うのではないかと思っているのです。決してこれを全然使うなというネガティブなことを申し上げているわけではないのですけれども、冒頭申し上げたように、きちんとしたエビデンスを積み上げていきながら、本当にこれが効果があるということをちゃんと認めながら、少しずつ拡大していくということがあり得るのではないかということを申し上げたい。それだけです。
○田辺会長
 幸野委員。
○幸野委員
 私は冒頭申し上げたとおり、対面診療の補完とするということと、あくまで容態の安定した患者を対象にするということ、継続的な医学管理を行うことという3つの大原則を守った上で導入すべきと考えており、全てをICTで対応すべきだとは思っておりません。今村委員がおっしゃった生活習慣病等の容態の安定した患者に対して、例えばこれまで毎月対面診療を行っていたものを3カ月に1回、中間の2カ月目にはオンライン診察を行って患者の容態を確認し、また3カ月目には対面診療を行うということを繰り返すことで、医者・患者双方の負担軽減に繋がるのではないかと考えています。
 また、特定保健指導のことにも言及されましたが、メールで保健師や管理栄養士が特定保健指導を行う仕組みは十分機能しています。特定保健指導の実施率が低いという実態はありますが、ICTを活用した特定保健指導の仕組みが活用できていないということではなく、他の要因によるものです。
○田辺会長
 吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
 今の幸野委員の補完にもなるかもわかりませんが、我々保険者としてICTをどう活用していくかというのは、今村先生がおっしゃったように非常に大きなテーマでございまして、今の特定保健指導なんかに関しては、幸野委員の発言にもありましたが、さらに我々は今、はやりのiPadを使っておりますけれども、それで健診データをそれぞれ個々人のスコアリングをチャートに落として指導させていただいているという活用をしております。
 残念ながら、幸野委員からもありましたが、特定保健指導を受けていただく対象者、加入者の皆さんのいろいろな事情があって進まないというのが1つと、そもそもの健診がなかなか進まない。これもICTを活用してどうやったらいいか。また、医療機関の先生たちといろいろ相談をさせていただいて進めていこうということのツールとして、こういうものを使っていくということなのだろうと思います。
 今回のテーマになっておりますけれども、おっしゃるように全てこれでということではなく、対面診療のはざま、患者に寄り添う手法としてのツールとしての使い方があるのではないか。おっしゃるように、データを積み上げてどういうものが有効であるか、安全性が担保できるのかということも見ていかないといけないのはそのとおりだと思いますが、使っていくということをどこから始めるのかということで始めるべきだろうと我々は考えております。
○田辺会長
 今村委員、お願いいたします。
○今村委員
 繰り返しになりますけれども、診療報酬でいきなり何かを誘導してICTを活用するということではなく、今でも別にできるわけです。お二人ともおっしゃったように、保健指導でもそういう枠組みはきちんと用意されている。幸野委員からはかなり使われているというお話ですけれども、私の理解ではまだまだごく一部の保険者が使っておられるだけで、決して全体の保健指導に活用されているとは思えない。その中で枠組みはあって用意はされているけれども、現場としてはできないという実態があるわけです。
 それは医療でも同じであって、どういう場所でどのように使えるかというのはやはり少しずつ。今でもできないわけではない。点数が低いから結局広がらないのだというような話ではないと思っていて、本当に医療機関が利便性があり、患者さんにも有効であれば今でもできるわけですけれども、それをきちんとしたルールをまずはつくった上で、繰り返しになりますが、どういう疾病に使うのかということをきちんと詰めないと、悪用されるという言い方は余り我々は言いたくないのですけれども、本当にきちんとしたルールが守られる仕組みで使わないと大変なことになるという危惧を持っているので、慎重な物言いをさせていただいているということです。
○田辺会長
 松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 結局、3カ月ごとに治療が同じだから落ちついている。それは結果論であって、何カ月あけるかというのは、それは患者さんの仕事の都合もあるかもしれませんけれども、本来ならば少なくとも月に1回は対面診療をするというのが診療の基本だと私は考えています。それで同じ治療になるかどうかというのはその都度診察をして決めるということで、結果として同じ治療、同じ処方になった。3カ月ごとでも同じです。3カ月後も同じ処方だから3カ月あけてもよかったじゃないかという議論になるかと思うのですけれども、それはそうではなく、1カ月ごとに診ていって、結果として同じ治療を続けたということだと私は理解しております。そのことについては余り議論を深めるつもりはありません。
 質問を事務局にさせていただきたいのですが、55コマ目の電話による再診の算定回数の推移で、漸減していると医療課長は御説明されましたけれども、これはどう見ているわけですか。
○田辺会長
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 審議の中でも御指摘がありましたが、55コマ目の件数自体は、松本純一委員御指摘のとおり、漸減ということでございます。この内訳につきまして、さまざまあり得るわけでございますが、定量的にはお示しできておりません。我々の認識、受けとめとして、54コマ目の算定に係る留意事項を見ていただきながらということになろうかと思いますが、もともとこれは今日のようなネットとかICTの活用を前提としたものではない時代からの設定でありますので、過去、具体的に申し上げますと電話を活用した再診に相当するような診療形態があって、それを報酬上評価するという経緯で設定されているわけであります。
 54コマ目の(7)というのは、ほかに項目があるので(7)になっているだけなのですが、アというところに記載がございますけれども、初診を受けた患者さんにつきまして再診以後、患者さんあるいは看護に当たっている方から、この中に括弧書きで「電話、テレビ画像等による場合を含む。」ということでございますが、先ほどの審議の中でもございましたが、現行でも報酬上の評価はないわけではないですというのはそういう趣旨でありまして、こういったことが含まれていますということです。
 ここから先は想像といいますか、私どもの推察、受けとめでありますけれども、現実にこの規定は今、お話しましたとおり、電話を中心としたコミュニケーションを念頭に置いた報酬設定であります。一方で、現場では頻度がどの程度かというのは受けとめによって違うと思いますけれども、ある程度ICTを診療に活用するということ自体は少しずつ広がってきているということだろうと思います。結果といたしまして、旧来ある電話とか、イのところにもございますファクス、こういったものを使ったコミュニケーションが相対的に落ちてきているということと相まって、報酬の算定自体は回数としては落ちていると考えているところでございます。
 事務局からは、以上でございます。
○田辺会長
 松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 実際、回数は減っているというだけの表だと私は思っております。というのは、電話再診というのは、患家から医療機関への一方通行といいますか、もちろん、双方で話をするわけですけれども、患家からの連絡でなければいけない。それが63コマ目の最後の4つ目の●にあることで、医療機関から患家に連絡をしてもとれるような仕組みを考えたらどうかと私はとったのですけれども、そうではないのですか。今の電話再診の仕組みだと、医療機関のほうから患者さんの様子を聞くというのでは何の報酬上の手当てもない。だからこういう論点が出たのではないかと考えたのですけれども、それは違いますか。
○田辺会長
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 コミュニケーションの方向性というのは、確かに議論をしていただくときには、D to Pという書き方自体がドクターからペーシェントというように、文字上は一方的に見えるかもしれませんけれども、当然ですが、診療、診察でございますので、双方向性があるということを前提に理解しています。
 その上で、これは63コマ目にまとめさせていただいたことに絡むわけでありますが、ドクターからのアプローチということ、あるいは患者さんの同意が前提としてということでさまざまありますけれども、先ほどの説明の繰り返しになるかもしれませんが、もともと想定されていた電話等再診というのは、ある意味、極めて限定的な状況において報酬上算定できますということだろうと思います。それは電話あるいはファクスというものの性質上、どうしてもコミュニケーションにある種の限界があった。今日で言うICTを活用したコミュニケーションとは少し次元が違うという認識でおります。
 そういったこともあって、63コマ目にまとめさせていただいたとおり、前提条件は多分両側の御認識は一致していると思いますけれども、まず補完で、一定の受診間隔があって、対面が前提となっている。これは両側は一致されているという認識でおります。それから2つ目の●ですが、そもそもそういったことを前提として計画を策定して、同意があるということでございます。
 こういったことにつきましては、繰り返しになりますが、先ほど御紹介した電話等再診はこういったことを前提としてというよりは、あくまで極めて限定的な診療、診察の補助として電話でのアプローチがあった、あるいは電話でコミュニケーションをとった場合の報酬算定ですので、今、御議論していただこうとしている遠隔診療という名称を使っていますが、患者さん、ドクターとのコミュニケーションとは少し幅が違う。したがいまして、実態として期待されている、広がっていきつつあるものとは違う。したがって、算定件数は漸減しているということだろうと理解しています。
○田辺会長
 松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 電話「等」を限定的に考えられているような答弁です。ここにわざわざ電話「等」となっているわけですから、当然そういうコミュニケーションツールも入ると私は理解しております。
 ですから、言われるように、治療計画、同意というのは当然あってしかるべきですけれども、それをもとに電話「等」による再診というのが双方向性になる。だから、きっかけが患家からではなく、医療機関からでもいいとしたらどうかということではないのですか。私はないのですかと聞いているのですから、あるかないかだけで答えてください。
○田辺会長
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 イエス、ノーでお答えする性質かどうかはあるのですが、そういったことも含めて御審議をいただきたいというのが基本的な認識であります。
 54コマ目の電話等再診は、御説明したことを繰り返すことになるかもしれませんが、あくまで電話を活用したことが診療形態として一番想定されていた。ファクスもそうかもしれません。ただ「等」という中身にはもちろん、今日のICTを活用したものも算定することは可能です。ただ、当時、発展、解釈をしてきた報酬項目では、評価している範疇の次元が少しずつ違ってきているのでいう認識で提起をさせていただいた。そういうことでございます。
○田辺会長
 よろしゅうございますか。
○松本純一委員
 議論がかみ合わないのでよろしいですけれども、現時点で電話等再診72点というのは、医療機関からの連絡ではとれない。指導監査室長がおりますね。答えてください。
○田辺会長
 それでは、お願いいたします。
○平子医療指導監査室長
 医療指導監査室長でございます。
 今、医療課長のほうから御説明させていただいているとおりです。今回の議論とは別に、現在の指導においては通常、電話は患者さんのほうから来ているものと考えてございます。
○松本純一委員
 もういいです。
○田辺会長
 ほか、いかがでございましょう。
 松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
 大きな話から細かな話になって恐縮なのですけれども、遠隔モニタリングの話が72~74コマ目に、「CPAP療法に関する実証研究」ということで、これが非常に効果があるといいう形で事例が示されております。
 まず、72コマ目の同等の効果が確認できたという効果は、使用率だけの効果ですね。御確認させていただきたいです。治療の効果ではない。
○田辺会長
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 これは70コマ目に実証研究の概略がございます。これは御認識があった上であえての御確認だろうと思いますので、そういう趣旨でお答えさせていただくと、評価項目に何を設定するのかというのは、おっしゃるとおり、もう少しアウトカムといいますか、臨床上の効果に着目をするということは当然あり得ると思いますが、この研究につきましては、恐らくCPAP療法自体が装着率が非常に重要なファクターになっているもので、それについて主要評価項目は1日4時間以上の使用率という設定になっているということでございます。
○田辺会長
 どうぞ。
○松本吉郎委員
 使用率はAHIもとっているのでしょうけれども、それだけではなくて、毎月1回受診をして、我々臨床家は何を見ているかというと、マスクの不具合がないかどうかとか、漏れがないかとか、そういったこともしっかり見ているということが大事なことであって、ただ4時間以上使われているかどうかということだけでは、実際に本当に正しく使用できているかはわからない。それから一月に1回、このために受診することに対して患者さんからの不満というのはほとんど聞いたことがないというのが実際のことですので、これに関しては疑問を感じております。
 それに付随して、62コマ目の下段でございます。ここに訪問診療の場合の医師の負担軽減ということが書いてございますけれども、まず、下から5行目「往診依頼があり、訪問してみると行かなくても大丈夫だったということもある中で、本当に必要なときだけ訪問することで無駄をなくすことが可能」と書いてありますが、まずそもそも往診というのは依頼、要請があって行くべきものでございます。ここは訪問診療と往診を混同しているということが大きな問題だと思いますし、往診依頼があって行って何もなかったということはまず普通ないです。あり得ないです。患者さんや本人の思いと実際の症状が乖離しているということはあるとは思いますけれども、これはいかがなものかなと思います。
 先ほどのCPAP事例にもあったとおり、我々は訪問診療をしたときに、例えばデバイスが使われていれば、それが本当にちゃんとしっかり使われているかどうか、不具合がないかどうかもきちんとチェックいたします。そういったことを考えれば、例えば医療と介護の連携におけるICTの利用等は、利用価値がありますけれども、実際に我々の五感を使って訪問診療の場でしっかりと診療するという行為は何物にもかえられないものだと思いますので、62コマ目下段の医師の負担軽減にこれがつながるかというと、甚だ疑問に思う次第でございます。下段の解釈について御質問を申し上げます。
○田辺会長
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 これは実証結果を拝借してきているわけでありますが、御指摘の点につきましては、まず、往診というのはそもそも患家の依頼に応じてということですが、それは御指摘のとおりであります。今、委員から御説明いただきましたけれども、確かに無駄という表現が合っているかどうかというのは受けとめはいろいろあろうかと思いますが、患者さんあるいは御家族は当然医療の専門職ではございませんので、いろいろな症状の変化とか御不安とか、さまざまなことがあって往診を依頼されます。実際に受診をしてみたら、例えば経過を見ればいいのですということになった場合、恐らくドクター側の受けとめは、そう説明されるかどうかは別として、結果的に診察をする必要はなかったようなケースがあり得て、そういうことを含めてこういう表現をされているということだろうと思います。
○田辺会長
 松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
 訪問診療というのは、そもそも計画的に行う医療サービスであるということは、釈迦に説法だと思いますけれどもね。そういった書きぶりからすると、これは問題ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○田辺会長
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 かみ合っていないのかもしれません。訪問診療は、前提として計画的に一定の合意のもとで診察を、患家に足を運んで診察をする。往診の場合には、言ってみれば緊急性があって患家の求めに応じてということです。両者が同時に発生することは基本的にはあり得ますので、訪問診療と往診を誤解して誤った算定をするのは違いますということは当然はっきりさせなければいけないのですが、訪問診療を従来ずっと行っている中で、症状が変わったり、緊急性があって往診を求めるということは実際問題、あり得るということですので、ここで記載されている福岡市の事業がそこを誤解されているとは基本的には認識しておりません。訪問診療をする中であっても一定の緊急性がある場合があって、先ほどの御説明の理解と私どもとしては受けとめております。
○田辺会長
 よろしゅうございますか。
 ほか、いかがでございましょう。
 宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
 先ほどの資料72コマ目のCPAPの使用に関して、遠隔診療が役に立っているというデータについてですけれども、先ほど松本吉郎先生から、患者さんはできれば毎月診療してほしいという御意見でした。それはまさにそのとおりであると思うのですけれども、産業界の一例を御紹介して、診療を受けることが難しい実態があるということをお話しさせていただきたいと思うのです。
 実は、全日本トラック協会というところでは、居眠り運転を防止するために、SASの検査を全営業車のドライバーを対象に実施し、問題があるドライバーに対してはSASを治療するためにCPAPをつけるという指導をずっと続けております。各企業もそれを踏まえて懸命に取り組んで、居眠り運転の防止に努めているという実態があるわけです。
 ドライバーというのは、深夜に走るという人もかなりいますし、昼間に運転している方も忙しいということで、なかなか病院に行けない。結論から言うと、CPAPを装着することを諦めて、場合によっては装着できずに脱落していくという実態もあります。
 我々産業界に身を置く者としては、先ほど吉森委員のお話にもありましたけれども、思うように病院に行けない方もいます。また、患者としても、できれば対面診療を受けたい、あるいは企業としても受けさせたいという要望はございます。働き方改革というような取り組みも懸命にそれぞれの企業がしていますけれども、必ずしも成果が十分にあがっていないという現実もあります。そこのところを何とか補完して、居眠り運転を防止するためにCPAPをつけて治療をする先生方の指導を引き続きやっていただきたいがために、遠隔診療というものは必要だろうと思いますし、モニタリングがあると、企業に身を置く者としては非常に便利だということでございます。
 そういった面からも、我々としても対面診療というのは一番いいということは重々承知しておりますけれども、それを補完するために、まだ産業界の改善が追いついていないということを踏まえ、従業員の健康の維持、向上に役立てていきたいということでございます。そういった面からも、遠隔診療の補完的な機能に注目して、ぜひ進めていただきたいと思います。
 以上です。
○田辺会長
 今村委員、お願いいたします。
○今村委員
 CPAPに関しましては、今、宮近さんからもあったのですが、遠隔診療という言葉が非常に誤解を招きやすい。これは65ページを見ていただいても、事務局でもこういうきちんとした整理をされていて、今のお話、あくまでも遠隔で機器がきちんと使われているかどうかのモニタリングをしているというところが重点なのです。全てを遠隔診療という言葉でくくって議論をすると、非常に混乱するのではないかと思っております。そこは改めて、もともとペースメーカーもありますし、今回のCPAPも恐らくそういうことで、モニタリングをして介入をするという広い意味で言えば診療ということでお使いになっているのだと思うのですけれども、ここはきちんと整理をしたほうが私はわかりやすいのではないかと思っております。
○田辺会長
 ほか、いかがでございましょう。
 松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 最初に私が我々の考えを述べさせていただいて、余り積極的ではないという印象を持たれてしまいました。ただ、我々も別に推進しないでおこうという話ではありません。条件を整えて、ガイドライン等でちゃんと定義するとか、幸野委員が何でもかんでもするつもりではないと言われたように、我々もそのとおりです。これからも議論を深めていきたいと思います。
○田辺会長
 平川委員、お願いいたします。
○平川委員
 遠隔診療に関して、補完的なものであるということについては、63コマ目に書いてあるとおり、この趣旨が重要ではないかと思います。
 また、吉森委員がおっしゃいましたけれども、要件を考えるときは、回数制限であるとか、ある意味包括的な報酬体系にしていく必要があるのではないかと思っています。医療保険による診療だけではなく、例えば生活保護の医療扶助においても、当然これについては該当していくということも考えていけば、濫診濫療にならないような対策も一方では必要だと考えているところであります。
 あと、働き方改革の話も出ましたので、これについては、病気を持ちながらもしっかりと仕事と治療が両立できる職場づくり、社会づくりというのが極めて重要だと思いますので、そういうこともしっかりと、中医協の場ではありますけれども、社会として推進していくということが重要だと考えていますので、一言考え方を申し上げさせていただきたいと思います。
 以上です。
○田辺会長
 幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 最後に申し上げたいことがございます。ICTの活用は、診療の場面だけでなく、電子お薬手帳の活用など、薬局、薬剤師と患者との間にもICTを活用していくべきだと思います。D to Pだけに先んじて導入するのではなく、薬局、薬剤師と患者との間の遠隔服薬管理や服薬指導において電子お薬手帳を活用する仕組みも必要ですので、今後検討していただきたいと思います。
○田辺会長
 レスポンスをお願いいたします。
○屋敷総務課長
 医薬・生活衛生局総務課の屋敷と申します。
 ただいま、遠隔服薬指導についての御指摘をいただきました。現状を御説明いたしますと、服薬指導につきましても当然ながら薬機法の中で対面を前提に行うということとされております。
 その中の例外としまして、国家戦略特区の取り組みがございます。こちらは医師による遠隔診療を前提とした上でという中で、限定的に可能とはなっておりますが、現在、そのような取り組みはまだ始まっていない状況でございます。遠隔診療が行われる中で処方をされる場合に、この患者さんだったら遠隔服薬指導が可能であるという限定の中で行われるものでございますので、こちらは診療と同様でございますけれども、遠隔服薬指導についてもモデル的なケースが出てきましたら、その中で安全性、有効性を評価していく必要があると考えております。
 以上です。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
 患者の立場からすると、対面診療というのはすごく重要だと思うのです。一回一回の診療のときに、医師ときちんとディスカッションするという時間というのは非常に大事だと思っています。ただ、現状の中で、病院に行っても1時間、2時間待たされて、結局3分間診療といって非常に短い時間で終わってしまう。自分の言いたいことも伝えられないというような状況というのはあるし、それ以外にも通院の負担ですとか、もちろん障害のある人は自分一人では行けないという場合に、家族とかヘルパーとか、そういう人たちに手伝ってもらう必要もある。そういう負担もあるわけです。
 そうすると、対面診療は非常に重要なのですけれども、本来であればそちらのほうを充実していただくということが大事なのですけれども、それが現状できない中では、遠隔診療を進めていっていただきたいと思うわけです。
 ただ、今も服薬指導もオンラインでみたいな話もありましたけれども、全部をオンラインとか遠隔でICTを利用してするということではなく、遠隔診療で処方箋をお医者さんから書いていただいたときに、きちんとかかりつけの薬剤師と対面で情報交換をして、薬を受け取るというような仕組みがきちんとしていないといけないと思います。
 さらに言うと、平川委員からもありましたけれども、対面診療を補完するという意味で言うと、回数の制限は当然必要と思っています。例えば、6週に1回受診するとしたら、年間で8~9回ぐらい受診することになるのですけれども、そのうちの3回を遠隔診療にするというぐらいの頻度にとどめていただきたいと思いますし、運用については厳格なルールをつくっていただいて、当然使用機器ですとか情報が漏れるですとか、そういうことがないようにしていただきたいですし、情報機器の使い方、例えば患者のプライバシーをほかの人が見られるような、お医者さんが患者さんと相対しているときにほかの人が後ろを通るとか、そのようなことがないように、ちゃんとしたブースですとか、ちゃんとした場所を確保してやっていただきたいと思います。
 以上です。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員
 ありがとうございます。
 先ほどから先生方がお話をされていたように、対面診療が間違いなくいいことはよくわかっているのですけれども、ちょっと話が違うかもわかりませんが、住む場所によって違ったり、離島であったり、私どもは船員の立場で考えると、先ほど今村先生もおっしゃっていましたけれども、受けたくても受けられない立場の人間もいるわけです。そういう部分で考えると、どうしても対面診療と対面診療の間で遠隔診療という形のものを生かしていただいて、その間の管理も先生方にしっかりしてもらった中で、安心して仕事をしたり、そこに住みたいという考え方がありますので、遠隔診療については、ちょっと違う方向かもわかりませんけれども、進めていっていただきたいと思います。
 意見です。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ほか、よろしゅうございますでしょうか。
 では、引き続きまして「1.生活習慣病の重症化予防」について事務局より説明をお願いいたします。
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 それでは2コマ目に戻っていただきまして、「1.生活習慣病の重症化予防」の説明をさせていただきます。
 3~8コマ目、全体像であります。
 3~4コマ目は附帯意見の抜粋、関連部分であります。
 それから、冒頭に申し上げましたが、今回はその3でありますけれども、5~6コマ目、3月29日のときに御審議いただいた内容の概略であります。特に6コマ目一番下にそのときの論点を掲げさせていただいておりますけれども、生活習慣病の増加が見込まれるということと、重症化予防の取り組みが重要だということでありまして、診療報酬についてそういったことをどのように評価につないでいくのかということでございました。
 関連する7~8コマ目。7コマ目はいわゆる骨太の記載ぶり、8コマ目は医療保険部会における審議の関係の発言内容でございます。
 9コマ目以降、順次具体的な中身として御説明をさせていただきます。既に御紹介したものがございますけれども、そのあたり少しめり張りをつけて御説明をしたいと思います。
 まず、10コマ目は以前にお示しした生活習慣病が段階的に進行していくということと、生活習慣を改善することが進行を抑えるという概念であります。
 おめくりいただきまして、実態論であります。これは既に御紹介済みであります。
 11コマ目のポイントは、まず、外来全体の患者さんを疾患別に見たときに多い順に循環器、筋骨格、結合組織、呼吸器系ということでございます。
 12コマ目、今、お話をしました循環器や呼吸器といった大くくりの中で代表的なものを挙げますと、高血圧、糖尿病が相当のシェアを占めるということでございます。こういったことから、この後高血圧、糖尿病を中心に御紹介をさせていただくことになります。
 13コマ目から具体的な4つの視点で御紹介をします。まず1点目は「(1)医学管理」であります。
 14コマ目は、高血圧のケースであります。高血圧の治療ガイドラインというものがございまして、高血圧の医学管理につきましては、危険因子であります合併症を評価して生活習慣の修正を指導するということで、まずリスクに応じて管理をする。これは14コマ目のガイドラインの概略でございますが、左側の下、矢印がございまして、3つに分かれていますが、低リスク、中等リスク、高リスクということで、リスクに応じた管理を行うというのが基本的な考え方であります。
 15コマ目、同様に糖尿病における医学管理につきましては、血糖コントロール目標値の設定につきまして、年齢とか罹患期間、サポート体制等を考慮いたしまして、個別的に設定するという考え方。これは15コマ目のチャートでいきますと、上から2行目あたり、これは検査の結果でありますけれども、HbA1cという血液中のこういったコントロール目標を設定して管理を行うということでございます。
 16コマ目、これは高血圧の例でありますけれども、経年的にどのような状況になってきているのかということを男女別に見ています。有病率、治療率、管理率でございます。記載は○2つで書いてございます。生活習慣病の性質上、有病率は年齢が重なるごとに高くなっていくということでありますけれども、このグラフでいきますと、男性の50歳以上で上昇傾向にあるというのが一つの特徴だと。これはグラフ上、読み取れます。それから、管理につきましては、経年的に見ますと基本的に管理できている割合が高まっているということであります。
 概略でございますけれども、17コマ目。高血圧の医学的な管理の具体的な内容であります。学術的な内容でございますが、2つ○を書いてございます。まず、薬物療法について整理をしておりますけれども、降圧剤につきましては平均的に内服をしておられる数が平均1.7ということでありまして、多剤を使うケースが当然あるわけですが、3剤以上内服をしている割合が16%でございます。3剤以上を服用していて、そのうちの13%、これは多い少ない、大きい小さいという評価があるのですが、血圧コントロールが十分できていないケースがあることをどのように捉えるのかということになってまいります。高血圧の医学的管理の概略は以上であります。
 次に2点目の視点で、「(2)重症化予防」をどのようにしていくのか。19コマ目以降であります。
 これは以前、同じく3月29日に御紹介済みでありますが、糖尿病の例であります。糖尿病の中で、重症化すると腎障害が大きな要素になってまいります。この問題意識は社会においても全体で共有されているわけでありますが、19~21コマ目は自治体関係者が協働して体制を整備するという視点で、「1.趣旨」のところに書いてございますけれども、日本医師会・日本糖尿病対策推進会議・厚生労働省の3者で、3つのコマでお示しをしております取り組みを行っております。
 20コマ目に概念図がありますが、一番下に丸が書いてございまして3者、それから真ん中に対象者ということで協働して行うということです。矢印を書いてございますけれども、黄色の枠、少々小さいのですが、かかりつけ医、専門医すなわち医療者、それから保険者、これは行政も含めてということでございますけれども、連携が非常に重要で、それをいかに形にしていくのかという取り組みでございます。
 22コマ目でありますが、そういった中で保険者、行政、こういった取り組みと診療サイドの取り組みの連携は非常に重要であります。これはもう既に一度お示しをしていますけれども、22~23コマ目とお示しをしておりますのは、糖尿病に関しまして管理料を一定程度設定しております。管理料を算定している方についてデータをとりますと、保険者が特定健診等を行っているわけでありますけれども、健診の実施と診療サイドの医学的な介入が重症化予防に非常に重要なわけでありますが、その連携についてデータを見ますと、四角囲みですけれども、保険者からの協力要請による診療情報の提供については、そもそも協力の求めがなかったというのが一番多い割合であります。それから、診療情報等を実際に行ったというのも極めて少ないというのが実態で、連携の余地がまだあるということでございます。
 23コマ目も同様でありますけれども、特定健診・特定保健指導について、今度は診療側が受けているかどうかということについて把握をしているかどうか。把握をしていないというのが一番大きな割合を占めておりまして、受けていないということを把握していた場合につきましても、勧奨するかしないかということについて言うと、勧奨を行っていないということですので、この点についてもまだ連携の余地がありますねという状況を示しているものと受けとめております。
 報酬上、どういう取り扱いになっているのかというのが24コマ目でありますけれども、算定要件のところにございます。生活習慣病の指導管理については生活習慣病管理料という設定がございますけれども、算定要件の中で2つ目の○でありますが、総合的な治療管理を行う旨、患者に対して療養計画書により丁寧な説明を行うということが前提になっているということです。
 これにつきまして、この後26コマ目以降にも書いてございますが、高血圧、糖尿病について整理をいたしますと、先に26コマ目を説明させていただきますが、例えば糖尿病につきましては血糖値、HbA1cでありますけれども、目標を記載するという案がありますというのが赤線で引いてございます。一方、血圧については目標の設定の欄がないということに現時点ではなっております。
 同様に、これは26~27コマ目をあわせて見ていただくことになるのですが、先ほどデータを見ていただきましたが、特定健診とか特定保健指導の受診勧奨、それに関します情報についてはそもそも欄がないということでございます。
 28コマ目でありますけれども、前回の診療報酬改定におきまして、糖尿病性腎症につきましては運動指導の評価が非常に重要だということで、これは報酬設定を新しくしております。概略でありますけれども、ここでお示しをしようとしていますのは、新設で28改定で導入いたしました腎不全期の患者さんの指導加算というものを設定いたしました。算定要件のところに赤字で書いていますけれども、腎不全期、これはeGFRという血液検査の数値の設定でもって、腎不全期の患者さんを対象とする算定要件を設定しています。
 これについては29コマ目、運動療法の効果、前回改定で報酬設定をしたそもそもの趣旨が、糖尿病腎症につきましては運動療法が非常に有効で、言ってみれば病期といいますか、ステージによって効果が違うので、効果的なものについて算定要件を設定しています。
 赤枠で記載しておりますけれども、先ほど触れましたが、eGFRという区分でもって対象を振り分けているわけでありますが、現在の算定対象というのは、G4、G5というステージの方々でありますけれども、実際にはそれよりもう少し、重症度につきまして隣のグループのG3b、eGFRについては30より下ということになりますが、こういった方も十分に効果があるわけでありますが、そこは算定対象になっていないということで、この点については改善の余地があるのではないかと、学術の方々から御指摘を受けているということでございます。
 以上が重症化予防の関係の視点であります。以降、さらに2つ御紹介します。
 「(3)薬物療法」でありますけれども、31コマ目以降でありますが、高血圧につきましては、治療といたしまして薬物療法がございます。この後何枚か見ていただきますが、降圧剤に幾つか種類がありまして、その選択にかかる課題の整理であります。
 31コマ目が概略。まず、考え方でありますけれども、これは日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2014」というものがありまして、この記載の概略でございます。●で冒頭に3つ書いてございます。
 まず、降圧剤につきましては、種類よりも降圧度によって規定されているということであります。その具体的な種類とは、2つ目の●に書いてございますが、Ca拮抗剤、ARBと呼んでいますけれども、アンギオテンシン2の受容体拮抗剤、それからACEと呼びますが、アンギオテンシンの変換酵素阻害剤、サイアザイド系の利尿剤、ベータブロッカーを主要降圧剤と位置づけておりまして、病態や合併症の有無で選ぶということであります。それの概略が、右側の表でありますが、こういった症状とか合併症によってこういった薬を選ぶのですとなってございます。
 これは文字が小さいのですが、以降の議論のポイントになるわけですが、この中でARB、ACEというのが一つのラインで、基本的には両者を考慮するということになりますが、左側の一番下に1行ありますけれども、ACE阻害剤というのは空咳の副作用が日本人、アジア系に多いので、こういったことが念頭にあって、日本ではARBの処方が多いのではないかとされているという背景がございます。
 そこで、使用実態を健保連のほうで実際に整理をされたものを拝借しております。32コマ目であります。降圧薬の使用実態、これはレセプトを分析されまして、最初のレセプトの総数、これは単位が万ということでございますので、1,866万、2,000万弱から始まりまして分析をしていったということでございます。高血圧のみ、1分類処方のみということで分けていきますと、ARB、ACE、Ca拮抗剤で、一番多いのはもちろんCa拮抗剤なのでありますが、この中で特にフォーカスを当てるARBとACEにつきましては、ARBがACEと比べて、両者は先ほどの31コマ目のガイドラインによりますと、基本的には同じカテゴリーに入るのですが、日本においては先ほど触れましたとおり、ARBが圧倒的に多いという事情になっているということでございます。
 これをもう少し具体的に分析をするのが33であります。これは降圧剤1分類のみ処方された患者さんにつきまして分析をしているのですが、施設ごとであります。施設の割合について、結論から言うと施設によって大きく違うといいますか、極端な対応になっているという趣旨であります。バーで3つ書いてございますけれども、ARBについて言いますと、24%の施設については1回も処方していないということでございます。逆に、10%の施設は対象となる全てのレセプトで処方しているということが、Ca拮抗剤についても今度は逆の似たような話でございます。それから、ACE阻害剤とかサイアザイド系というのはほとんどの施設で処方されていないというようなことが特徴としてあらわれているということでございます。
 34コマ目、これらの医薬品は、効果ももちろん適応もさまざま、今、ガイドライン等々で整理をされているわけでありますが、薬価についてはこういった状況でありまして、薬価が異なるというのが実態でございます。
 こういった背景から、医療機関においてどのような薬剤選択を行うのかという取り組みがございます。その一つの例として、35コマ目でありますけれども、薬剤の選択につきましては、今のようなさまざまな医学的な観点で選択をされるわけでありますが、海外を中心に医薬品の有効性とか安全性、費用対効果を踏まえて、実際には医師を中心に選択をしていくわけでありますが、判断の参考となる、すなわちさまざまな情報を加味する必要がありますので、標準的な薬剤選択の使用方針と医薬品の一覧を定める取り組み、これを俗にフォーミュラリーと呼んでおりますけれども、そういったものがございます。定義のところに書いてございますが、今、お話をしましたような一定の方針に基づく採用医薬品のリストとその関連情報を提供するということであります。
 円グラフが右側にありますが、こういった取り組みをしている医療機関というのは、基本的には大きな医療機関、具体的には400床以上というのが一定程度を占めるということであります。それから、左側の帯グラフでありますが、病院全体、これは特にDPC算定の対象あるいは準備病院かどうかで分けていますが、基本的に規模としては大き目の病院を念頭に置いている部分がありますけれども、その活用を定めている割合が違うということでございます。
 36コマ目は日本におけるフォーミュラリーの策定、採用の運用につきまして、聖マリアンナ医科大学病院の事例を拝借しているわけでありますが、このような手順を策定しているということでございます。
 関連して、37コマ目。これは医薬品の選択に関する事例としての御紹介でありますけれども、高血圧症の治療薬デュオバンの臨床研究について、こういった事例があります。降圧剤のバルサルタンに関する研究論文について、血圧値に関する疑義が指摘された。これは多くの方が御存じの事例かと思いますが、これをお示ししている理由は、先ほど見ていただきましたとおり、医学的な判断、臨床的な要素を含めて、医薬品を選択されるわけでありますが、その前提としては適切な情報が必要であり、その情報が適切であるという前提になっておりますので、こういった事例があったということが大きく社会でも問題になり、取り上げられましたけれども、結局新しい薬が上市されますと、医師を中心に適切な情報が必要になるということは今後も続いていくということになりますので、適切な情報をいかに得ていくのかということが非常に重要なのではないかと、我々としてはそういう受けとめをしておりまして、そういったことをいかに、先ほどのフォーミュラリーもそうですが、適切な診療に結びつけていくための取り組みは何なのかということを考えていく必要があるのではないか。そのために、次の4つ目の視点でありますが、適切な情報を提供する診療の支援の取り組みというのはどういったことがあるのかという御紹介であります。
 39コマ目でありますけれども、これは糖尿病にかかる適切な情報をという切り口でいきますと、診療録直結型の全国糖尿病データベース事業、J-DREAMSと呼ばれておりますが、学会、医療の関係する団体とか、医療機関、これの中心となりますのが、データベースを整備して事務局が運用しておりますけれども、さまざまな情報発信をして、政策提言とか研究費の提案といったことも含めて、幅広の情報提供、情報の構築をしようとしております。
 39コマ目のチャートの中には、左側の上のほうに黄色で囲っております「日本医師会データベースJ-DOME」という取り組みと連携をしております。これにつきましては41コマ目に改めて記載しておりますけれども、「日本医師会 かかりつけ医糖尿病データベース研究事業(J-DOME)」ということで、J-DOMEのデータベースをデータセンターに集約いたしまして、診療所からのデータ40項目につきまして収集し、提供し、先ほどのJ-DREAMSと連携をしていくということで、エビデンスの構築を推進していくという取り組みがあります。
 海外で同様な診療支援につきましては、比較的有名なのがイギリスの例であります。42コマ目であります。御案内のとおり、イギリスの場合、NHSでGeneral Practitioner(GP)の方に向けて診療情報の提供、それから患者相談の支援でございますとか、専門医との連携等々、さまざまなサポートを提供するということでございますけれども、ICT関連サービスとして、ここに記載しておりますような幅広いデータの提供等で診療の支援をしているということでございます。
 まとめでございますけれども、43コマ目であります。生活習慣病の重症化予防については、見ていただきましたとおり、さまざまな切り口ではございますが、非常に重要であるという前提で論点を2つ掲げておりますが、重症化予防推進のため、効果的・効率的な指導管理が非常に重要だろうということでございますので、こういったことを促すため、先ほど見ていただきましたような診療計画の内容でございますとか、ガイドライン、データに基づく診療支援を踏まえた上で、生活習慣病管理料の見直しを考えていったらどうかというのが1点目であります。
 2点目は、かなり具体的なお話でありますけれども、28改定で設定をいたしましたが、糖尿病の透析予防指導管理料、これは腎不全期の指導加算、先ほども見ていただきましたけれども、より効果的な患者さんの対象となるような見直しも検討していただいたらどうか。この2点につきまして御審議いただきたいと思っております。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 43コマ目の論点について少し。
 1つ目の○につきましては、1の療養計画の内容とか、2のガイドラインやデータに基づく診療支援、こういうものを見直すということで、生活習慣病管理料そのものをもう一度考えるというのは支持できることであります。
 ただ、2つ目の○の腎不全期の指導加算につきましては、恐らく29コマ目の資料を根拠としているのだと思います。これしかないのかもしれませんが、1病院、しかも247名というのはちょっと根拠として弱いのではないかと思います。しかも、28年改定で取り入れられた加算でありますので、もう少し経過を見てはどうかと思います。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 今村委員、お願いいたします。
○今村委員
 幾つか御意見を申し上げたいと思います。
 論点の1つ目の○の療養計画の内容の中に、特定健診・特定保健指導の受診勧奨を含めるということは非常に大事だと思うので、ぜひ進めていただければと思います。
 それから、検査値の目標に、今、ヘモグロビンA1cは入っているのだけれども、血圧値が入っていないということで、事務局としては血圧をここに書くということを考えられていて、別に反対はしませんが、ヘモグロビンA1cというのは1日ごとに日内に変動するとか次の日に変動するということは基本的にない数字ですけれども、血圧というのは御存じのとおりいろいろな条件で変動しますので、例えば高血圧がなくても診療所に来るといきなり高い血圧になってしまうような人もいたり、あるいは同じ方でも早朝に高くて日中は安定しているという方もいるので、単に数字だけを書くという目標値ではないほうがよいのかなというのは臨床現場の感覚であります。
 それから今、診療支援ということでNHSが例に挙げられておりましたけれども、これはお願いというか、NHSは私もイギリスのGP等も視察に伺ったときに、全てのGPのクリニックにコンピューターが設置されて、診療データを当日に送信するという形で、非常にICTの利用が進んでいるという印象を受けましたが、機器の設置であるとか回線使用料等、全てNHSが準備をしているという実態があります。
 日本の医療現場でICTの導入、これは一生懸命取り入れられている方もいらっしゃるのですが、全ての医療機関というわけではないという御意見もありますけれども、医療機関側からのメリットというのは、きちんとした診療支援をしていただくということになるのかもしれませんが、一方的に機器の購入から回線の維持費まで全て医療機関の負担で行うというのはハードルが高くて、進まないことの原因もありますので、こういうこともきちんと考えていただきたいと思っています。
 それから、腎不全の指導加算の話ですけれども、今、松本委員から少しデータが少ないので慎重にと。私もこんなデータしかないのかというのが正直思うところではあります。しかしながら、特定健診が日本に導入されたときから、専門家からどうして糖尿病による腎症の予防のチェックができる腎機能の項目が入らないのかということはずっと言われ続けていて、ようやく今般、平成30年度からクレアチニン、クレアチニンに基づいて計算されるeGFRというものが数値に入った。そのことを好手として、今、日本は国を挙げて糖尿病の腎症の重症化予防というものに進もうとしているわけです。
 そういった中で、末期の腎不全にほとんどなりかけている方の予防というよりも、もう少し前の段階から介入することは非常に大事な論点だと思いますので、ぜひとももう少し学会等、精緻なデータをお示しいただいて、議論をさせていただければありがたいと思っています。
 もう一点、今後、今の重症化予防等も含めて、保険者や自治体、そして医師会や医療機関との連携が非常に重要になってきて、保険者からさまざまなお願いというか情報提供ということも今後進むのではないかと思っておりますけれども、医療機関側からの情報提供については何ら制度的な担保はされていない。そういったことの評価についても、改めて御検討いただければと思います。
 以上です。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
 ありがとうございます。
 生活習慣病の重症化予防については、今村先生からのお話は我々保険者としても、特に協会けんぽとしては特定健診・特定保健指導の推進、糖尿病の重症化予防など、データヘルス計画の課題として活用し、さまざまな取り組みを展開しているところでございます。
 我々、特に協会けんぽでは、中小企業を中心に200万事業所、かつ従業員10人以下が8割強を占めているという事情がございますので、保険者と事業所が全く別の主体ということもあって、健診等の受診勧奨並びに特定保健指導の実施についてもおのずと一定の限界があり、なかなか受診率が上がらないという課題を抱えております。
 そういうことで、今般の総-1の43コマ目の論点の提案にございます生活習慣病管理料の算定要件に1、2、ガイドラインやデータの活用の診療支援、それに療養計画の中に特定健診や特定保健指導の受診勧奨を盛り込むことについては大いに賛成したいと思っております。
 これは、これまで我々が取り組んでまいりました重症化予防、特に糖尿病の予防事業などの経験を振り返りましても、保険者からの勧奨よりも、ドクターからの勧奨のほうがはるかに患者さんに響くという事実があるのは間違いないところでございますので、ぜひこれは進めていただきたいと思います。
 先ほど今村先生からもありましたが、こういう取り組みを踏まえて、我々保険者から加入の皆さんへの受診勧奨と並んで医療機関が行う受診勧奨の相乗効果がより高まるように、両者の連携並びに自治体との連携等々を深めていく必要がありますので、これに向かっては努力をしてまいりたいと思っております。
○田辺会長
 どうもありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 他の委員の御意見と重複するかもしれませんが、生活習慣病の重症化予防について考え方を述べさせていただきます。
 生活習慣病は、国民医療費の約3割を占めていて、国家的な重要課題だと認識しておりますし、奇しくも、来年度からはデータヘルス計画の第2期が開始されるが、その骨格となるのが生活習慣病の重症化予防となっておりますので、次期診療報酬改定でもきちんと対応していかなければいけないと思います。
 私は以前、健保組合で責任者をやっておりましたので、その経験を踏まえると、生活習慣病の重症化予防には、患者に目標を持たせて行動変容を起こさせるということが最も重要であり、患者が行動変容を起こすまでの支援を医師に担っていただきたいと保険者は希望しています。目標設定にあたっては、血圧等の検査値だけではなく、運動、食事、飲酒などの生活習慣の全てに対して目標を立て、行動変容に向けて医師と保険者が連携して患者を支援することが重要だと思います。
 また、脱落者を出さないということも重要です。保険者から患者に対して受診勧奨等を行ってはいますが、重症化のリスクを抱えたまま通院をやめてしまう患者も多いです。現状では、医師からの受診勧奨はされていないというのも問題だと思いますので、これからは保険者と医師、地域、行政が連携して、脱落者を減らして重症化を防ぐ取り組みを推進していくことが重要だと思います。
 現在診療報酬では、生活習慣病管理料などの重症化予防に対する管理料がありますが、これを算定している以上、ある程度の成果もこれからは求めていくべきではないかと思います。例えば重症化予防に対して一定程度の成果を上げた場合に報酬を支払うこととするアウトカム評価を生活習慣病管理料にも入れていく必要があるのではないかと思います。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 今村委員、お願いいたします。
○今村委員
 幸野委員の御発言の中で、医療機関の責任みたいなお話がありました。中途の脱落者に関してお話をしたいと思うのですけれども、私もリスクを負ったまま治療を中断するというのはすごく問題だと。特に、糖尿病についてはもともと自覚症状がないので、薬を途中で御自分でやめられたりと、いろいろな問題があると思います。
 その際に、もともと保険者のほうは健診の情報とレセプトの情報を持っておられるので、特定健診が入った際に突合できるということで、中途の脱落者に対して保険者からの介入をぜひお願いしたいと制度ができたときから思っておりました。引き続き、これはお願いしたいと思っているところです。
 医療機関側からすると、今まで御自分の通院されてきた方が来なくなって、あれ、どうしたのだろうなと思ってお電話をすることもあります。ただ、個人的なことを言うのも何なのですが、こんなお仕事をしていると、いつ行ってもいないから、今村のところはもう行かないというケースも結構あります。だから、患者さんとしたら言いたくないような、実は別の医療機関に変わられているなんていうケースも結構あって、医療機関がそういうフォローをするということは、現実的には嫌な感じになって難しい部分もあるということも御理解いただきたいと思っております。
 患者さんが医療機関側を選ぶということがあるので、本当に脱落しているのか、他の医院で継続しているのかというのはわからないのです。ですから、保険者にはぜひ、それが確認できる仕組みをお持ちになっているので、そこのところは引き続きよろしくお願い申し上げます。
○田辺会長
 ほか、いかがでございましょう。
 間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
 2型の糖尿病患者として、今の今村先生のコメントは結構胸に刺さるものがあります。
 生活習慣病の一番の管理者というのは患者自身なのだと思うのです。自分の生活の全てを知っているのは自分しかいないということで、そういう意味では患者自身が自分の管理をできるようにするのが一番大切なことだと思うのです。そのために必要なことは患者教育だと思っていて、いかに患者が自分のためにきちんと行動していけるかということを支援していく仕組みができると一番いいと思っています。
 いろいろな計画書もありますけれども、アウトカム評価が大事なので、そういう意味では少し長期の、1年間にここまで頑張ってやっていきましょうという計画が目に見えていて、それが記録として残っていくと、よりモチベーションが保てると思ったり、自分自身が管理するためのツールですとか、そういうものを医療機関から提供していただけるというのが一番近道かと思いますので、そのあたりも検討していいただけるとありがたいと思います。
 以上です。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 時間がない中恐縮ですが、論点になっておりませんが、降圧薬の選択に関する資料が示されていますので、これを機に健保連の政策提言を紹介したいと思います。
 結論から申し上げますと、国が主導して、高血圧治療ガイドラインに費用対効果を踏まえた薬剤使用の優先順位を記載することを進めていただきたいという内容です。世界では、WHOを初め、イギリスのNICEなどでは、費用対効果を考慮して、同じ効果や安全性が確認されれば最も安価な降圧剤を使うということがガイドラインに明記されていますが、日本では、高血圧学会が2014年に策定したガイドラインはあるものの、費用対効果を踏まえた優先順位までは明記されていないのが現状です。
 32コマ目に健保連の調査を御紹介いただきましたが、1分類処方の降圧剤が処方されたレセプトを見ると、処方額ベースでは6割でARBが処方されているということがわかりました。2分類の処方についてもARBが含まれているレセプトは約8割を占め、処方額ベースでは9割を占めるということで、医療費を高騰させている要因にもなっています。また、ARBのみを処方されている患者群と、Ca拮抗薬のみを処方されている患者群を1年間経過観察して、差を比較してみたところ、入院の発生率に有意な相関関係は見られませんでした。
 そこで、ARBの処方を全て最も安価なCa拮抗薬に置きかえた場合、医療費はどれだけ削減されるのかを見たところ、健保連の限定されたレセプトから医療費全体に割り戻した結果、推計で最大約830億円が削減されることがわかりました。
 生活習慣病は特に高血圧疾患が多いと言われていますので、今後は国が主導して、ガイドラインには、費用対効果を踏まえた上で薬剤選択の優先順位を明記するということを進めていただきたいということと、各病院が定めるフォーミュラリーにおいても、費用対効果の観点から医薬品の選択順位を定めるということを推進していく必要があると思います。
○田辺会長
 松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 お願いということみたいですけれども、なぜディオバンがここまで使われるか。使用割合を見てもらえば、Ca拮抗薬が57%、ARBプラス阻害剤が39.6%と、32コマ目の健保連の資料にもありますね。
 ただ、幸野委員が言われているのは、費用面の割合のこともあるのだと思いますが、なぜ、ARBあるいはACE阻害薬が使われるか。ここにもありますように、ACE阻害薬は副作用がある。それとCa拮抗薬とARBとを比較した場合、Ca拮抗薬は非常に効果の発現が早い。急激に血圧を下げる作用がある。それに比べてARBは緩徐に持続的に効くということがありますし、心不全の場合に有効性が高いというのもあるわけです。しかも、緩徐に持続的に効くということで、高齢者に優しい。いろいろな意味で使われるということで、ガイドラインで縛るという方法ももちろん考える必要があるのかもしれませんけれども、現時点で医療費が高いのはARBを使うからだと、そのとおりではあるのでしょうが、それはなぜかということも一度考えていただきたい。それを高血圧学会がガイドラインで第一選択としてARBは使ってはいけないというようなことはできないことではないかと私は思います。
 保険者として、あるいは我々もそうですが、医療費の高騰というのは非常に心を痛めるもので、それは共有するものだと思います。患者さんのために考えて処方している現実というのを、もちろんわかっておられて言われているのだとは思いますけれども、その辺の考慮もよろしくお願いしたいと思います。
○田辺会長
 今村委員、お願いいたします。
○今村委員
 まずは31コマ目にありますように、降圧薬の積極的適応ということで、さまざまに薬剤に特徴がありますので、現場の医師の裁量で降圧薬を選択しているということについては御理解をいただきたいということと、もう一点は、おっしゃるように日本のガイドラインは費用の面について全く触れられていないというのはそのとおりなので、一定程度のガイドラインの中にそういうものがつくられていくということは望ましいことだと思っております。ただ、それを国が学会に対して強制的にそういうことを行えというのではなく、学会みずからがそういう取り組みをしていただくように、日本医師会としてもお願いをしようとしているところであります。
 その上で、ARBにつきましては、37コマ目の資料にもありますように、誤った情報において現場で使用選択が行われたという事実があります。健保連の幸野さんのほうから32コマ目の資料をお示しいただいているのですけれども、これは経年的に数字がどのように変わっているかというデータはお持ちなのでしょうか。一時、物すごくARBに対してポジティブな情報提供がなされて、医療現場では、例えば高血圧と、糖尿病とまでは行かなくても血糖値が高い方がいるような場合に、血糖値にもいい影響があるとか、あるいは脳梗塞や心筋梗塞に対して非常にいい影響があるのだというデータで、複数の薬剤をARBに変えれば一つで済むということで、処方を変えているケースがかなりあったのです。そういう意味で、時期的にARBの使用率が変化しているというデータはあるのでしょうか。これだけ社会的な問題になった後も、引き続き非常に高率に使われているのかどうかということも知りたいと思って、幸野さんにお伺いをしたいと思います。
○幸野委員
 経年的な分析はしておりません。26年10月~28年9月診療分の2年間のレセプトで分析した結果です。
○今村委員
 もし、見ていただけると、現場はこういうこともあったのに変わらないという話なのか、現場はそれなりに状況を見ながら変わっているのかということも、一度調べていただくといいのかなと思っております。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 では、1の生活習慣病の医学管理についての議論はここまでにしたいと存じます。
 10分弱ですけれども休憩を入れまして、11時10分から再開したいと存じます。
 
(休  憩)
 
○田辺会長
 議事を再開したいと存じます。
 事務局より、「3.後発医薬品の使用促進」と「4.多剤・重複投薬等の適正化」について、2つまとめて御説明をお願いいたします。
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、お手元75コマ目から、まず「3.後発医薬品の使用促進」についてでございます。
 最初に概略が幾つかですけれども、76コマ目は2020年9月までに使用割合を80%という目標の設定になっているという現状でございます。これは骨太の方針2017。
 それから、前回改定での対応を幾つか御紹介しますが、まず、77コマ目でありますけれども、前回改定で後発医薬品の割合につきましては、数値につきまして、調剤数量割合を引き上げておりまして、このような報酬設定にしているということでございます。
 78コマ目から幾つか御紹介いたしますと、まず、先発医薬品から後発医薬品に変更ということにつきまして、患者調査でありますけれども、きっかけはどのようなものかということであります。薬剤師からの説明が7割で最も多いというのがグラフで明らかでございます。
 報酬算定の状況から見てとれる現場の状況でありますが、79コマ目。後発医薬品調剤体制加算を設定いたしておりますけれども、これは前回改定で設定の変更をしておりますが、前回改定前後でどのようになったかということでございます。加算2、加算1の割合自体は変化しておりますけれども、79コマ目のチャートでありますが、両者を合わせますとおおむね同程度の割合が確保できているということでございます。
 見直しの影響をもう少しビジュアルに見ているのが80コマ目であります。薬局における後発医薬品の調剤割合につきましては、相対度数はそれぞれ28年改定の前後という趣旨でありますけれども、審査分1年後と比較いたしております。折れ線グラフと棒グラフを重ねておりますけれども、赤いほうが28年改定の前にかかる診療の審査で、ブルーが28年改定後であります。折れ線を見ていただきますと、単純に後発医薬品の使用割合の新指標でありますけれども、これが右側にシフトしておりますので、調剤の割合につきまして、後発医薬品の占める割合が増加していると理解していただいてよろしいかと思います。
 同じく患者調査が81~82コマ目と続きますが、患者さんの使用の意向でありますけれども、これは経年の変化を見ています。少しでも安くなるのであれば使用したいという選択肢が基本的には増加傾向であります。青とオレンジ、若干選択肢が違いますけれども、支払った金額よりも一定額安くなるのであれば使用したいということでございます。一方で、幾ら安くなっても使用したくないという方も一定程度おられて、こちらもむしろ一定の割合にふえて、それ以降ある割合を占めているということでございます。
 そこについて深掘りをしておりまして、82コマ目であります。使用したくない理由を具体的に掲げておりますけれども、まず、左側の棒グラフでありますが、幾ら安くなっても使用したくない理由で「ジェネリック医薬品の効き目(効果)や副作用に不安があるから」というのが6割を超えて一番多いということでございます。それから、それに係る具体的なきっかけがあるのかどうかということでございますけれども、これが右側の棒グラフでありますが、具体的なきっかけがないという方も一定程度おられます。それから、副作用とか効き目が悪いとか、そういう実体験がそれぞれ10%程度あるということでございます。
 今度は、おめくりいただきまして薬局調査で後発医薬品に切りかえる、調剤しにくいという側面がどのような要素かということを整理いたしております。種類と剤形に分けて見ております。棒グラフですが、左側、まず調剤しにくい種類でありますが、精神神経用剤、抗悪性腫瘍剤が大きいものの代表でございます。
 その下に、後発医薬品が調剤しにくい種類であるために、先発医薬品を調剤したケースの割合ということであります。平均値が6.9%ということですが、捉え方としては後発医薬品が数量ベースで70%を超える状況の中で、6.9%が実際には後発医薬品が調剤しにくいから先発医薬品を調剤したのですという割合でございますので、6.9%という値につきましては決して小さくはないと見ていただく必要があると理解しております。同様に、右側の棒グラフは剤形であります。外用薬が調剤しにくいという剤形で、これも同様に平均値7.5%ですので、それなりのウエートを占めているということでございます。
 引き続き、薬局調査が84コマ目でありますが、後発医薬品の備蓄に係る状況でありますけれども、品目数、金額は増加傾向にありまして、これは同様な調査で過去行ったものの別の時期との比較で見ても、増加傾向が両者とも明らかであります。
 85コマ目、集中率から見た薬局における後発医薬品等の備蓄状況でありますけれども、集中率が90%を超える薬局につきましては、言ってみれば調剤の形態ということになりましょうが、備蓄品目数は少ないというのが実態として見てとれるということでございます。
 次に医療機関における対応をまとめてございます。順次御説明します。
 まず、87~88コマ目、これは前回改定でどのような対応をしているかということでありまして、これは指標を変えております。このことも含めて報酬改定でどのように対応しているかということでありますけれども、新指標に変えた上で報酬設定を3段階にしているということでございます。
 特に診療所につきましては、後発医薬品の使用体制に係る評価を新設しておりまして、こういった報酬設定をしているということ。それから、後ほど出てまいりますけれども、一般名処方が重要だということで、特に後発医薬品が存在する全ての医薬品を一般名でという場合に報酬項目を新設しているということでございます。
 同様の対応といたしまして、以下につきましては後発医薬品の銘柄を指定して変更不可という場合には、その理由の記載を求めるという対応も28改定で行っているということでございます。
 算定状況につきましては89コマ目、これは新設でございますので数字だけ掲げさせていただいております。それから、後発医薬品の体制加算の時間的な推移は棒グラフでございます。
 医療機関調査、後発医薬品の採用状況実態は90コマ目であります。病院、診療所ともこれは増加傾向でございまして、積極的に後発医薬品を採用しているという現状が見てとれるということであります。
 次に92コマ目以降でありますが、先ほども少し触れましたが、一般名処方の推進が重要であり、それを行ってきている取り組み、あるいは状況でございます。
 92コマ目、まず、医師の調査につきましては、一般処方名の処方箋を発行したことがありますかということでございます。その経験の有無は増加傾向でございまして、これは同内容のものを別の時期のものと比較しましても、病院、診療所ともにふえているということであります。
 実態でございますが93コマ目、一般名で処方された医薬品の品目数の割合は34.9%、約3分の1でございます。
 算定状況は94コマ目でありますが、これは増加傾向でありまして、算定項目は少し修正しておりますので、28年改定後の棒グラフが若干色が違いますが、数としてはふえてきているということであります。
 95コマ目、薬局調査が続きますが、処方箋の記載に関する患者さんの意向であります。後発医薬品への変更や選択で、患者さんの理解が最も得られやすいのが、約半数が一般名処方という答えであります。これはグラフ上、明らかであります。
 同様に薬局調査でありますが、96コマ目。一般名処方された医薬品で後発医薬品を調剤しましたというのは9割に達しているということで、増加傾向でありますので、同様な傾向が見てとれます。
 97コマ目、同じく薬局調査ですが、先発医薬品名で処方された医薬品、これは一般名処方と比べまして裏返しになるわけでありますが、後発医薬品の調剤割合は低いということでございます。
 その理由に係る話が98コマ目でありますけれども、先発名処方の際に後発医薬品を調剤しなかった理由でありますが、もちろん患者さんが希望しなかったため変更できなかったというのが2~3割を占めているということでございますけれども、左側の棒グラフ、後発医薬品が収載されていないのでというのは当然できないわけでありますので、実質的な理由としては、真ん中辺にありますが、患者さんが希望しなかったということであります。その理由が右側にございまして、医師が処方した医薬品がいいからと考えておられる患者さんが一番多いということになります。
 以上を踏まえまして、論点でありますが、99コマ目、2つ○を書いてございますけれども、今回、シェアの目標値につきましては90%達成時期が明らかになったということも踏まえまして、より一層の推進が必要になるわけでありますが、薬局における後発医薬品の調剤体制加算、医療機関における使用体制加算の算定要件について見直すこととしてはどうかということが1点目。
 2点目でありますが、見ていただきましたとおり、一般名処方は重要でありますので、一般名処方を推進するという方策について、どのように考えていくのかというのが2点目の論点でございます。
 その後、まとめて御説明をさせていただきますが、「4.多剤・重複投薬の適正化」であります。
 大きく3つの切り口、まず1点目は適正化の話でありますけれども、まず実態を見ていただきますが、101~102コマ目と続きます。
 まず1点目は101コマ目であります。10種類以上の服薬をされている患者さんの割合が一定程度おられるというのは、種類別に頻度を見ておりまして、左側の円グラフでありますが、平均6.6種類、0~4等々で分けておりますけれども、10~14というのが15%を占めている。それから、70歳以上の方につきまして、これはある意味、当然でありましょうけれども、現在内服している医薬品の数を減らしたいかということについては、6割の方がそう思うというお話であります。
 実態として年齢、階層別、102コマ目であります。一番見ていただきたいのは7種類以上の内服という方の割合でありますが、高齢になればなるほどふえていっているのが明確になっております。
 このような状況を踏まえて、103コマ目以降、取り組みでありますけれども、多剤投薬の対策、必要な取り組みということであります。
 これは日本老年医学会が「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」を設定しておりますけれども、概略の記載がございますが、こういった多剤投薬の適正化、これは一番上の四角囲いでありますが、単に重複投薬や相互作用を防止するだけではなく、もっと積極的にアプローチすることが必要なのだということが記載されておりまして、そういったことを回避する処方態度を心がけるということが大切であるとか、優先順位を設定するということが基本的に必要な要素であるという記載であります。
 あるいは、薬剤師の役割について言いますと、総合的な投与計画が必要であるということがまとめられております。
 もう一点、104コマ目であります。日本医師会の「超高齢化社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引」でありますけれども、ここで記載がありますのは、特に多剤の中でも慎重投与が求められるような医薬品につきまして、減量・中止等の検討をいかにやっていくのかというフローチャートをまとめてございます。具体的な薬剤の種類は一番下にまとめてありますけれども、こういった医薬品について特にこういった手順で取り組んではどうかということでございます。
 算定回数を105~106コマ目と見ていただいております。105が院内の処方、106が院外処方であります。これは処方料1、2、3と区別しております。凡例のところに書いてございますが、処方料1、2、3で、処方料1は向精神薬3種類以上、処方料2が7種類以上、これは俗に多剤ということになるわけでありますが、それ以外が処方3です。圧倒的に多いのが処方3であります。グラフは絶対値で見ていただいておりますので、絶対値について言うと減少傾向だということなのですが、本来、これは全体に占める割合についてお示ししたほうがよかったと後で反省をしておりますが、ちなみに数字で割って計算していただければ全体に占める割合もわかります。ここも同じく減少傾向にあります。
 同様に106コマ目は院外処方でありますけれども、数字的なものは今、お話したことと同じでありますが、処方箋料2、すなわち7種類以上のものに着目しますと、算定回数自体は絶対値として減っておりますが、先ほども申し上げましたとおり、本来相対値で見たほうがよかったかもしれません。ただ、相対値につきましても、全体に占める割合についても減少傾向にあるということを一応お伝えしておきます。
 前回改定でどのようなことを行ったのか、1枚でまとめたのが107のコマでありまして、医療機関、薬局におけるそれぞれの取り組み、これが全体像であります。まず、医療機関については入院患者さん、外来患者さんについて、それぞれこのような取り組みを行っております。右側でありますが、薬局について3つ○がございまして、外来患者さんそれから在宅、残薬等の管理の評価、こういったものを具体的に言いますと108~110コマ目に具体的に行った内容をまとめております。詳細については省略させていただきます。
 取り組み実態が111~112であります。多剤・重複投薬に関する取り組み実態で、改定以降どのようになったか。算定件数については増加しているということであります。
 112コマ目は取り組みの実態であります。薬局から処方提案の取り組みというのは、まだ現実問題としてそれほど多いというわけではございませんで、限定的という表現を使わせていただいておりますけれども、そういった中でも減薬につながっている事例もありまして、実数として1薬局当たりの処方提案の数でありますが、下側左の円グラフでありますけれども、提案の件数がここに書いてございますけれども、処方変更に至った事例とか、あるいは薬剤数が減少したか否かにつきまして、そういった事例につきましては、提案されたものにつきましては一定程度の実績があるということでございます。
 残薬の関係でありますが、114コマ目以降であります。残薬の適正化と分割調剤ということで、処方日数との関係が基本的にはございますので、まず処方日数を見ていただいております。近年、これは増加傾向にあるということでございます。
 特に30日を超える処方がどのような状況かというのが115~116コマ目と見ておりますけれども、まず、30日を超える処方箋を発行したという経験があるドクターは一定程度かなりといいますか、7割前後でございまして、内服薬の処方日数につきましても30日を超える処方というのが、処方箋枚数から見ても一定程度、この場合は19.5%ございます。
 処方の状況でありますけれども、経時的な集計でありますが116コマ目。31日以上の算定回数はふえてきておりますし、割合的にも占める割合がそのようになっているということでございます。
 117コマ目、長期処方に関します調査であります。これは日医総研のワーキングペーパーから拝借をしておりますが、○2つでまとめておりますけれども、長期処方(30日超)の患者さんがふえたという診療所が3分の1あって、かなり減った、やや減った診療所というのは1割未満ということであります。基本的には前回調査と大きな変化は見られませんでしたということでございます。これは28改定以降の状況との比較でございます。
 次に残薬の関係、118コマ目であります。4割程度の患者さんが過去1年間に残薬の発生を経験しているということでございます。1年間の通院頻度が高い、複数医療機関を受診されているという想定ですが、3つの医療機関から処方された医薬品が「飲まずに手元に残ったことがありますか」と、はいという数字がこのようなことでございます。
 改定での対応、医薬品の適正使用の推進ということで、前回改定では119コマ目でありますが、長期投薬につきましては、残薬との関係から課題意識を持って対応したということでありますけれども、30日を超える長期の投薬は、予見できる必要な期間に従った投薬量が適切処方されるということが当然求められるわけですので、取り扱いは明確化するということで、30日を超えるような投薬を行うような場合にはこのような対応を行う。それが満たせない場合には、原則としてア、イ、ウとありますけれども、いずれかの対応を行うということで、30日以内に再診を行う、あるいは200床以上の医療機関におきましてはかかりつけ医的な医療機関、中小病院それから診療所について文書による紹介を行う旨の申し出を行うか、あるいは分割指示に係る処方箋を交付するか、こういったことを求めるという対応になってございます。
 それから、薬局につきまして分割調剤、これは医師が処方時に指示をした場合ということを前提としておりますけれども、薬局で分割調剤を実施するという対応をしているということでございます。
 それに係る実態といたしまして120コマ目でありますが、長期投薬の処方箋で分割指示を行った処方箋発行の状況、これはあるという答えをされた診療所、病院は5.8、7.7ですけれども、必ずしも多くないということでございます。
 分割調剤に係る実務といいますか、現場的な視点で121~122コマ目とお示ししております。
 121コマ目でお示ししておりますのは、医師の指示が前提となっておりますし、それから分割調剤という形態でありますので、薬剤師と医師とのコミュニケーションが重要でありますけれども、現時点での、特に処方箋様式につきましては、ここに記載させていただいておりますが、一般的な調剤と比べまして当然複雑になるわけであります。それから薬剤師からの医師への報告を求めているのですが、医師の指示が可能なのだということが、必ずしも様式あるいはやりとりの中で明確になっていないのではないかという課題意識、問題意識を持っております。それは、処方箋を患者さんに返却いたしまして、これは表のところに書いてあるわけですが、分割調剤は複数回処方箋を使うわけでありますので、患者さんに返却をするということになりますし、調剤録に必要事項を書くわけであります。それから2回目以降、複数回でありますので、調剤時にはさまざまな状況を確認して情報提供をするわけでありますが、複雑なやりとりについて、実務的にはまだもう少し明確化といいますか、工夫の余地があるのではないかということであります。
 具体的にさらに下の122コマ目でありますけれども、処方箋の記載様式については、そもそも記載できる部分がかなり限られているわけでありますけれども、分割調剤では当然のことながら記載する事項が多くなります。これは実例でありますけれども、調剤日とか調剤量の確認ということを一枚の処方箋に記載するわけでありますので、実務的にはまだ改善の余地があるのではないかという趣旨であります。
 連携に関する内容が124コマ目にございまして、疑義照会の負担感、特に処方日数の変更調整等につきましては、一定程度の負担感があるという内容でございますとか、処方箋の様式につきまして28改定で見直しているということでございます。
 駆け足で恐縮です。最後でございますが、「(3)薬剤給付の適正化」でありますけれども、これまでの対応が127コマ目にまとめてあります。近年のものでございますが、24改定、26改定、28改定でございます。湿布薬につきまして直近の改定で行った概略でありますが、都道府県別の数値はこのような状況で変化をしていったということでございます。
 今回、特にお示しをしておりますのは129コマ目でありますが、「医療用保湿剤の適正使用について」というタイトルをつけておりますけれども、医療用の血行促進・皮膚保湿剤につきましては、小児のアトピー治療用として処方ということなのですけれども、美容目的で使用されている実態があるという指摘がありまして、これは関係学会や当該製薬企業から注意喚起が出ているということでございます。
 処方量の分布を見ていただきますと、基本的には少数の処方でありながら、相当量の処方をされているものも、全体に占めるウエートは決して多くはないですが、しかしながら数としては拡大しておりますけれども、そういう実態があります。
 最後、131コマ目は実際の種類と特徴でありまして、まとめて132コマ目でありますが、課題を4点掲げさせていただいております。
 医師、薬剤師の連携が非常に重要でありまして、多剤投薬の適正化をさらに推進するということであります。薬剤師の積極的な処方提案で医師が処方を変更する。結果として減少するというような場合について、評価を検討してみてはどうかというのが1点目の問題提起であります。
 2点目、医師の指示に基づいて分割調剤、先ほど見ていただきましたけれども、医師と薬剤師の連携を推進するという趣旨から、指示の事項の明確化でございますとか、記載方法について具体的に考えてみてはどうか。
 3点目でありますが、残薬に関しまして、その調整はかなり負担がある。見ていただきましたけれども、医師への報告を基本的には前提としまして、薬剤師による残薬調整、それから医師の判断がより明確になるような処方箋の様式見直しを検討してみてはどうか。
 最後、御紹介しました4点目ですが、血行促進・皮膚保湿剤につきましては、適正使用についてどう考えるか。
 この4点につきまして、御審議をお願いしたいと思います。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 質問が幾つかと意見があります。
 85コマ目のスライドですけれども、後発医薬品の品目数の割合は、処方箋集中率にかかわらずいずれも3割ぐらいだと思います。その中で、赤枠を囲った意図はどういうところにあるのでしょうか。
○田辺会長
 薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
 これにつきましては、集中率が一定程度高いところにおいては、ここに書いてあるとおりですけれども、医薬品の備蓄品目数が少ないということで、そういった面での負担という意味では、比較的少ないという状況にあるということをお示しさせていただいているという状況であります。
○田辺会長
 松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 今、おっしゃったとおりだと思います。赤枠で強調されたということはそういうこと。ただ、備蓄品目数が多い薬局と比べると、結果的には価格交渉などの関係事務手続や薬剤管理の負担が軽減されるということにつながるわけで、そうすると、きょうの議論とは違いますけれども、今後の議論で、調剤基本料で処方箋集中率を考え直す、90%以上と70ないし90未満というのを区別していくというのも一つの考え方ではないかと思います。
 あと、ちょっと戻ってもらって77コマ目のスライドなのですけれども、院内処方と薬局の後発医薬品使用体制加算の基準引き上げについては、基準の上限を80%に引き上げるということは理解をするのですけれども、数量シェアの伸びが鈍化しているというのがこの図から見えると思いますので、余り基準を引き上げ過ぎると、かえって後発品使用の意欲が低下するという可能性もあります。点数の工夫と、後発医薬品が使用されない背景をいま一度正確に把握することが必要なのではないかと思います。
 98コマ目にまた進んでいただきまして、質問になるかと思います。医療機関は一般名処方に協力しているつもりです。後発医薬品に変更できない理由として、半数以上が後発医薬品が収載されていないという回答も得られています。特許期間が過ぎても、後発医薬品が上市されない医薬品はどの程度あるのでしょうか。
○田辺会長
 すぐ答えられますか。
 薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
 今、その数値は持ち合わせておりません。申しわけありません。
○松本純一委員
 結構ありますか。
○中山薬剤管理官
 感覚的なお答えで本当に申しわけないのですけれども、患者が一定数いる領域の医薬品であれば、基本的には後発品は出てくると思っていただいていいのではないかと思います。
○松本純一委員
 では、半数以上が収載されていないという答えをどう見ますか。
○田辺会長
 管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
 これは、後発品自体が収載されない、先発品が独占している期間のものということで、後発品がそもそもないので変更できないという回答を含んでいるということかと思います。
○松本純一委員
 わかりました。では、また調べてお教えください。
 論点になるのですけれども、一般名処方は順調に浸透してきていると思います。ただ、一般名処方加算は平成28年度に変更したばかりなので、このまま様子を見るべきではないかと思います。
 続いていってよろしいですか。
 では、132コマ目、最後の論点のところです。まず1つ目の○ですけれども、多剤・重複投薬の適正化なのですが、薬剤師から処方提案が実施できる状況にありますので、実際にそれを行えばよいのであって、調剤報酬の評価を充実させる必要はないと考えます。
 2番目の○の分割調剤ですけれども、そもそも長期処方の是正が課題でありますので、例えば30日未満の処方のみ認めるとか、そういうふうにするべきではないかと考えます。
 3番目の○の残薬調整ですけれども、残薬調整の負担感、これは病院とか診療所、医療機関につきましては、病院における負担感が4割、診療所の2倍以上となっております。これは長期処方が多いことの結果ではないでしょうか。長期処方を繰り返すことで残薬が生じ、そのため薬局から疑義照会が来るのであって、残薬を生じさせないためにも適切な期間の処方をすべきではないか。分割調剤の議論も残薬調整の議論も、その改善策として処方箋の記載方法や処方箋様式の見直しが挙げられておりますが、いずれも医療機関だけにシステム改修等の負担をさせるもので、これにより医療機関の評価の見直しが行われるというものではないと思います。厳しい経営状況において、改定のたびに様式変更などの負担を医療機関のみに求めるのはいかがなものかと考えます。
 4つ目の○につきましては、後で専門委員の立場で松本吉郎委員に述べてもらいますが、そもそも内服薬には一部を除いて処方日数の制限がありません。外用薬、例えば前期の改定で湿布薬が1処方70枚に制限されましたが、例えば両肩、両腰、両膝に1枚ずつ1日6枚張って、1カ月処方をしますと180枚になります。だから、1カ月ではだめだという形になって、それこそ分割調剤になるという感じになります。
 あと、ヒルドイド軟膏にしましても、乾皮症、アトピー皮膚等、全身のものであったら、例えば1本25gとして、1本では足りない場合もある。1日1本で1カ月処方すれば30本、750gとなります。その辺をちょっと考えていただきたい。
 以上です。
○田辺会長
 松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
 皮膚科専門医の立場から少し補足させていただきたいと思います。
 最後のヘパリン類似物質のところでございますけれども、確かに効能効果に従って適正使用するということはそのとおりだと思います。美容目的で使用されている事例があるというご指摘ですけれども、ことしになってからメーカーや学会からの注意喚起がなされておりますので、しばらく様子を見るべきかと思います。
 また、皮脂欠乏症でございますけれども、皮脂が欠乏することによって皮膚の水分を失って乾燥するだけではなく、皮膚を保護しているバリア機能がありますので、これが障害されて起こる純然たる皮膚の疾患でございます。結果として、放置しますと皮脂欠乏性湿疹というより増悪した状態に変わっていきますし、患者のQOLを低下させるのみならず、結局、医療費のさらなる増加にもつながっていくように思います。皮脂欠乏性湿疹といった場合でも、保湿剤を併用することによって、例えばステロイドの外用剤とか、他の薬を減らすこともできますので、この保湿剤を適切に使用することは大切なことであると思います。また、全身性のアトピー性皮膚炎とか魚鱗癬などで苦しむ方々の中には、多量の保湿剤が必要となる患者さんも存在します。そのような方に不利益が生じないような対応をお願いしたいと思います。
 以上です。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 安部委員、お願いいたします。
○安部委員
 最初に、論点ではないのですが、先ほど松本純一委員から85ページの話が出ました。確かに90%超のところが後発医薬品もその他の薬剤も在庫が少ないということで、一定効率的だということについては異論ございませんが、その中で、例えば薬局の立地として人口が非常に少ない、医療資源が少ない、そういった中で小規模な薬局を必死で維持しているようなところでも、必然的に集中率が高くなってしまうということはあり得ます。そういった薬局が、単なる集中率だけで効率的だという評価を受けないよう、丁寧な分析が必要だと思います。
 それから、99ページの論点でありますけれども、後発医薬品は現在70%程度、おおむね目標に近いところまでいっていて、きょう御説明にありました資料の中で、後発医薬品を推進できない要因も明確になってきたわけであります。私もこのデータを見て、患者さんの御意向や、薬効群や剤形などの変えにくいものがある中、より積極的にこれらのジャンルにも取り組んで、後発医薬品を推進しなければいけないと考えております。一方、これらの課題というか、後発医薬品が使いにくいという要因に対する環境整備が必要と思っております。
 それから、78ページに後発医薬品に変更したきっかけということで、薬剤師からの説明が多いという御説明をいただきましたけれども、私は現場にいまして、患者さんが保険者の方から後発医薬品に変更可ですということとか、価格差がどのぐらいありますといった通知をお持ちになって、こういうものが来たのだけれどもどうすればいいのという相談があり、薬剤師がそこから適切な説明をさせていただいて後発医薬品に切りかわるということもありますので、薬局の現場だけではなく、保険者の方とか、後発医薬品にかかわる全てのプレーヤーがしっかりと連携してやっていかないと、80%というのは、先ほど後発医薬品に切りかえにくい状況を足し合わせますと、かなりの数になりますので、そういった工夫が必要と考えています。
 一般名の推進については、資料にありましたとおり効果が明確でありますので、より後発医薬品の使用が適切に進むよう、有効な対策を講じる対応が必要と考えております。
 それから132コマ目の論点であります。薬剤師の処方提案については、112コマ目に載っています。その前の111コマ目には前回改定で少し要件を変えて重複投薬・相互作用等防止加算の算定件数がふえているということをお示しいただいておりますが、111コマ目の防止加算にかかわる部分は、あくまで疑義照会によるものということです。疑義照会は、薬剤師が薬剤師法に基づいて疑わしい点は全て解決しなければ調剤してはならないという義務規定に基づく行為となります。処方提案につきましては、疑義照会ではなない範囲において、さらに適切な患者さんに応じた薬物療法を提供する観点から、医師との連携に基づいて薬剤師が意見を申し上げて、医師と協議の上で処方の最適化を図るということでございますので、若干111コマ目と112コマ目の仕組みが違っているということを念頭に置いて御検討いただければと思っております。
 それから、処方箋の様式ですけれども、薬剤師から相当な数、医療機関のほうに疑義照会なり連絡をさせていただいています。事務的な疑義照会については、診療の手をとめたり、調剤の手をとめたりということは必要最小限にすべきと思いますので、そのための工夫は知恵を出して、より効率的で確実な確認ができるような仕組みが必要と考えています。
 それから、ヘパリン類似でありますけれども、きょうも午前中、ワイドショーで相当ニュースが流れておりましたけれども、その中では集中して美容目的で使っている方にインタビューしたりしているところもございました。
 とはいえ、大変有用な薬ですので、当該薬剤が必要な患者さんに薬の入手が妨げられるような仕組みにしてしまっては本末転倒であります。美容目的での使用を避け、適正使用に資するような仕組みを検討することが必要と思います。
 以上です。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員
 事務局に確認したいのですが、99コマ目の論点の最初の○のところです。「80%達成時期が明らかになったことを踏まえ」ということで、ページの上の2020年9月までにということで想定したということです。
 88コマ目にあります28年改定のところの使用体制加算の50、60、70と10ずつふえるようなイメージで変わるのかなという、そういうイメージでよろしいのですか。
 それと、もう一つ気になるのは、DPCの係数IIのところから後発医薬品のところが消えていってということで、この分の評価を1につけるのか、体制加算の形で残していくのか、その辺はどうなのですか。
○田辺会長
 医療課長、よろしくお願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 1点目、まさにそのことを含めて御議論いただくということだろうと思いますので、今後の御議論だと思います。
 2点目でありますが、これはいずれDPC評価分科会の審議を総会あるいは基本小委で御紹介して、御議論いただくべきことだろうと思いますが、御質問がありましたので、事実関係といいますか、考え方だけ解説をさせていただきます。
 現行のDPCの機能評価係数において後発医薬品の評価を行っている係数が、機能評価係数2でございます。
 事務局で整理をさせていただいているのは、機能評価係数IIの後発医薬品の係数は相当程度の病院で算定されているということと、もともと係数評価をする前後で、出来高のほうで加算の設定がなされているということから、改めて整理が必要であるということが1点。
 もう一つ、評価の対象となっている診療内容が、DPCの評価はあくまでもDPC算定対象の患者さん、あるいは算定対象の入院料に関するものでございますので、本来、後発医薬品の使用促進という観点からしますと、病院について言えば入院と外来の両方を見ていかなければいけませんけれども、現行の機能評価係数IIは入院部分について評価しておりますので、さらに外来を含めた後発品使用を推進していくということからしますと、現行の体制加算の考え方自体はDPC病院についても本来は適用可能でありますので、そういった2つの面での整理が必要ではないか、事務局としてそういう問題意識を持っておりますが、いずれにしても分科会での御審議をまとめて、改めて御相談したいと考えております。
 以上でございます。
○田辺会長
 よろしゅうございますか。
 ほか、いかがでございましょう。
 吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
 順番に。
 まず、後発医薬品の調剤体制加算等については、御提案のとおり、今も議論がありましたが、数量シェア80%ということでございますので、これはどうしてもやっていかないといけない。
 一方で70%超えたところで伸びがかなり落ちてきているということでもありますので、算定要件の使用割合等について考えていくという方向性は妥当と考えております。
 一方でまた、一般名処方については調査の結果、後発品の使用促進に効果があるということでございますので、例えば生活習慣病対象薬などはむしろ一般名処方が原則となるような重点化とか適正化という方向性で考えていくのもあり得るのではないかと考えます。
 次に132ページの論点の最初の○でございます。多剤投与の適正化について薬剤師の方の果たす役割は本当に大きいのだろうと思っています。本来的にはかかりつけ薬剤師の通常業務としてこういうことは行っていただきたいというのが本音でございますが、方向性については理解はしますが、まずは1の御提案のように、実際に薬剤師から積極的な処方提案をなさるのであるならば、こういうことが先ほど安部委員のほうからもありましたけれども、医師へどのようなアプローチを求めて、それによって医師の処方が変更されて、その結果として減薬になったということをどう確認していくのかというようなことも含めて、具体的に明確にして検討していくべきではないかと思います。
 最後に、保湿剤に関してございますけれども、これについては、申しわけないのですけれども、美容目的で処方を受けている方がいるのではないかということで報道並びにテレビも取り上げていらっしゃいますが、率直に考えて、なぜこのような処方がなされているのかというのが全く私は理解ができず疑問であります。
 本来、先ほどから松本吉郎先生もおっしゃっていましたけれども、適正処方として疾患症状に応じて処方される必要量というのは当然設定されているのだろうと思いますし、また、副作用への配慮も当然なされているのだろう。またそういうことで処方されており、製薬メーカーからの留意事項も示されているのだろうと思いますが、こういう事が守られていないからこの様な事案が起きていると考えていいのでしょうか、というのが非常に疑問であります。もう少し言いたいのは、この事案の背景を明確にして、これについての対応策をじっくり検討する必要があるのではないか。安直に使用制限云々ということではないのではないかと思っている次第であります。
 もし、使用制限することが適正使用に資するのであるならば、医師の方々の疾患症状に合わせて必要性を認めた場合以外、どう一定本数を制限するのかは別にして、制限を行っていくというのもあるとは思っています。まずはこういうことが起きている背景、原因をきちんと明確にして、対策を練るべきではないかと思います。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
 まず、処方提案の部分につきましていろいろ御指摘いただいております。通常業務との違いという点もしっかり明確にしていかなければならないと思います。
 現在のかかりつけ薬剤師指導料の中にも、処方提案という意味ではかかわる部分もございますが、それは一元的・継続的な管理をしていく中で、実際に処方量によっては患者さんによってはいろいろ副作用が出て、もう少し減量したほうがいいのではないかという、継続的な管理の中での処方提案をするという位置づけがあるわけですけれども、一方で、こうした多剤・重複投薬という観点で処方提案してみるということについては非常に大事なことだと思いますし、そこに対して評価を行うことでそれを推進させるということも一つあり得るのではないかと考えますので、その辺はしっかり整理した上で、検討させていただきたいと思います。
 あと、冒頭、松本純一先生から30日未満という御指摘もいただいておりますけれども、基本的には119コマ目の28年診療報酬改定における長期投薬の取り扱いの明確化にのっとった上で、ア、イという原則がある中で、ウとして選択肢の一つとして分割指示に係る処方箋の交付という場合があり得るということで、そこを円滑に進めたいという趣旨でございますので、そういった点も含めてということで検討させていただきたいと思っております。
 以上です。
○田辺会長
 ほか、いかがでございましょう。
 幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 まず、後発医薬品の使用促進については、骨太の方針で平成32年9月までに使用割合を8割とする目標が示されたことを踏まえて、後発医薬品使用体制加算等の要件を何割以上とするのかについては、当然見直すべきだと思います。現行の後発医薬品使用体制加算3では、5割以上で28点の加算が設けられておりますが、8割を目標とする時代において使用割合が5割程度の医療機関にまで加算を設ける意味があるのかということについても、あわせて検討する余地があると思いますし、処方箋にある変更不可欄についても、見直していくべきだと思います。
 また、生活習慣病の治療薬に対しては積極的に後発医薬品の使用を進めていくべきだと思います。先ほど申し上げたARBについても、本会の調査によると、処方日数上位5銘柄中4銘柄は先発品を使っているという状況にありますので、ARBの後発品を積極的に使用するということも進めるべきだと思います。
 次に、132コマ目の多剤・重複投薬等の適正化についてです。 まず1つ目は、分割調剤が浸透していないということや、分割調剤を行った場合にも処方箋の取り扱いが負担になっていることを踏まえ、分割調剤をより効率的にできるように、処方箋の一部を見直すことも必要なのではないかと思います。
 また前回改定で、残薬を確認した場合に日数調整ができるように、処方箋に対応を記載する欄が設けられましたが、実際に残薬を調整する場合には医療機関への疑義照会が必要となっているので、医師と薬剤師の両方の負担になっているのではないかと思います。一部大阪ではプロトコルを結び、残薬を確認した場合は薬剤師の判断で調整して、医師には事後報告するということを行っています。このような仕組みを導入することも検討すべきだと思いますし、処方箋にも事後報告とすることのチェック欄を設けるなどの見直しを行うべきではないかと思います。
 最後に、メディア等で話題になっております保湿剤について、健保連で調査を実施して提言しましたので、それを御紹介させていただきたいと思います。
 健保組合の平成26年10月~28年9月診療分の2年間分のレセプトを用いて、保湿剤の処方のあり方について分析したのですが、日本で保険収載されている保湿剤はヒルドイド等のヘパリン類似物質ですが、フランスやアメリカのメディケア、メディケイドでは保険収載されておりません。また、ヘパリン類似物質は第2類医薬品なので、類似品が薬局でも入手可能です。それから、外皮用薬や抗ヒスタミン薬の処方がなく、傷病名が皮膚乾燥症のみの、処方薬による保湿の必要性が低いと考えられる患者についても、ヘパリン類似物質等が単剤処方されていることが非常に多いという実態がわかりました。
 男女別に25~54歳の年齢階級で分析すると、男性の場合は約1.1億円だったのですが、女性が約5.6億円ということで、5倍以上も処方されていました。増加した時期を見てみますと、平成26~27年と平成27~28年でレセプト件数を比較したところ、平成27~28年には女性のほうが男性の5倍近く増加しており、これは女性雑誌やSNSでヒルドイドなどの保湿剤の美容効果が高いということが広まったことが要因だと考えられます。こういった分析結果から、保湿剤が美容目的で使用されているのではないかということが推定されるということです。薬剤費については、レセプト分析で用いた2年間で約5億円の処方がされていたので、日本全体の医療費に与える影響は93億円と推計されます。そこで我々は、外来診療で外皮用薬や抗ヒスタミン薬と同時処方されていない、皮膚乾燥症のみの単剤処方の場合は、保険から外すべきだと提言させていただきました。
 今回紹介した本会の提言内容に関して、皮膚科医である、松本吉郎委員からコメントをいただければと思います。
○田辺会長
 松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
 今、幸野委員のほうから皮膚乾燥症というお話がありましたが、ほとんどが皮脂欠乏症という言い方を我々はいたしますけれども、それについては先ほど申し述べたとおりで、これは純然たる疾患でございますので、その疾患を放置しておいて病状がさらに悪化するケースは多々ございますので、物によってはステロイドの外用剤を使う前段階として保湿剤のみの処方というのはあり得ます。
 特に顔面などにいきなりステロイドを使うと、例えば子供には非常に難しいケースもございますので、まずは保湿剤を使ってしっかりと皮膚の保護をして病気が進まないようにするということは大いにあり得ます。したがって、今、抗ヒスタミン剤の外用はじんましん以外には余りしませんので、炎症を抑えるステロイドとかを使う前段階としては非常にあり得ます。逆に、疾患の治療をした後、ある程度よくなってから今度は保湿剤に切りかえていって、保湿剤しか出ないというケースはたくさんございます。実際に私の医院に来ていただいても結構だと思いますけれども、たくさんございますので、そういった状況が実際の現場であるということは御理解いただきたいと思います。
○田辺会長
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 単剤処方であっても、一定の必要性があるということはわかりました。平成27~28年に使用量が急激に増加していることについてもコメントをいただければと思います。
○松本吉郎委員
 男性と女性でそれだけ違うという要因は、今すぐにはお答えできませんけれども、やはり保湿の効果をある程度十分にわきまえている女性のほうがその辺については敏感な対応をされていらっしゃるとは思いますし、男性というのは結構その辺、割と大まかに対応しているという面もあるので、その辺の背景につきましてはさらに調査をしていただきたいと思います。
○田辺会長
 ほか、いかがでございましょう。
 松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 処方箋の見直しはしていかなければいけないから、それはそれでよろしいのですけれども、もともとは何もしなければ変更不可。変更不可に○をしなければ変更していい。どんどんいろいろ変化をしてきました。こちらもそれはよくわかっている中で対応してきたつもりです。ただ、変更してはいけない患者さんもいるのです。ですので、項目からなくす必要があるのか。あるいは、そんな人は処方箋のところに手で書けばいいではないかということなのかもしれないですけれども、変更不可があり得ないということはありません。だから、変更不可は必要です。変更してはいけない人もいるということを御理解願いたい。
 それと残薬の件です。薬剤師が勝手に後で調整しておけばいいではないかということですけれども、いつの薬が残っているかという問題ももちろん含めておっしゃっているのだと思いますが、確かに診療中に連絡をもらっても対応しにくい部分はあるのですけれども、勝手にやって後で調整しておけばいいでは済まない問題だと思います。処方した医師に責任がありますから、それは難しい問題だと思います。
○田辺会長
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 後発医薬品への変更不可について、変更不可があってはいけないということではなく、8割の目標達成に向けて、処方箋に変更不可欄があること自体が不自然ではないかと思っています。変更不可欄はなくして、患者の状態などでどうしても変更できない場合には、その理由を処方箋に記入いただくという方法に見直すべきだと思います。
 残薬についても、薬剤師が勝手に変更するということではなく、残薬を確認した場合は薬剤師の判断で処方量を変更しても良いというチェック欄を処方箋に設けて、医師がそれにチェックいただいている場合に、薬剤師は自身の判断で調整した後に医師に報告するという仕組みを設けても良いのではないかという主旨で申し上げました。
○松本純一委員
 仕組みはよろしいかと思います。
 ただ、先ほども言いましたように、例えば同じ薬を症状が安定しているということでずっと続けている。それが1年前の薬なのか、前回処方した薬が残っているのかというのは、その判断がつけばよろしいです。つかないのに、あるからというだけではそれは難しいだろう。それを薬剤師に判断させるというのも酷な話ではないかと思ったから言っただけのことです。確認できればよろしいです。
○田辺会長
 平川委員、どうぞ。
○平川委員
 スライドの112枚目です。処方提案に関する取り組みの実態がかなり実績として少ないという状況があると思います。
 ただ、病院内での薬剤師からの処方提案というのはもっと多いと思いますけれども、処方提案をどうやってふやしていくかというのはさまざまな取り組みが必要だと思いますが、一方で先ほど安部委員がおっしゃったように、薬剤師法では処方箋による調剤、これは疑義があった場合は調剤してはならないということが明確になっているわけであります。このことから、処方提案に対してのインセンティブを診療報酬でやるというよりも、何らかの制度的な位置づけを明確にしていくことのほうがより進むのではないかと思います。例えば努力義務の中で薬剤師が処方提案について努めていくとか、そういうことなどについても検討していくべきではないかと思っております。もしも安部委員のほうで御意見がありましたら、お願いしたいと思います。
○田辺会長
 安部委員、どうぞ。
○安部委員
 この資料の中にもありましたけれども、入院中の病棟業務等で薬剤使用を適正化していく、多剤投薬等を減らしていくという仕組みを前回改定でつくったわけであります。外来の調剤業務においても、在宅業務やかかりつけ薬剤師の推進、そういったことで地域の医師と連携をして、処方提案の取り組みに資するような業務を推進していくということは必要なことかと思いますし、これから取り組んでいかなければいけないことかと思います。
 ただ、そういう連携には、その医師と薬剤師の関係性というのも非常に重要でございます。通常、薬局の場合には処方箋を発行した医師とは面識がない状況において連携を構築しなければいけないということなりますので、例えば在宅医療でありますとか、かかりつけ薬剤師が近隣のドクターの方々と連携してそういう取り組みをするということも、きっかけとしては重要なのではないかと思います。
 それから、先ほどの残薬に関してでありますけれども、残薬の調整は、当然薬剤師は今まで疑義照会をして対応しています。それでもっと効率的な方法論として仮に残薬の調整に関する新たなチェック欄ができたからといって必要な疑義照会しないということはありません。つまり、薬剤師が残薬が発生した状況によって医師に疑義照会しなければいけないという薬学的な判断、薬剤師の判断をすれば、当然処方医に疑義照会をするということになりますし、それが事務的な日数の調整程度であれば、そういった仕組みがあればより効率的に使えるのではないかと考えます。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょう。
 よろしゅうございますか。
 それでは、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
 本日の議題は以上でございますけれども、事務局から「その他」として資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 時間もございませんので簡単に御紹介します。総-3でございますが、これは前回の御審議のときに御了解いただきました選定療養に係る対応につきまして、改めましてその結果と追加の御説明をさせていただきました。
 以上でございます。
○田辺会長
 この点、よろしゅうございますでしょうか。
 間宮委員、どうぞ。
○間宮委員
 選定療養の画像とか動画の提供のことでお金がかかるようになるという話がこの間ありましたけれども、これってカルテ開示とかそういうものとのかかわりというか、そういう意味ではどう考えていらっしゃるのかお聞きしたいのです。
○田辺会長
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 医療課長でございます。
 基本的には同じ考え方でありまして、情報自体は患者さんのもの、それを開示するに当たって一定の費用がかかりますということです。ですから、患者さんの御要請でそういったことに対応する場合には一定の費用がかかる。それについては同様に患者さんの御負担をお願いするということ。前提としては適切な費用水準ということでございます。
○田辺会長
 どうぞ。
○間宮委員
 では、金額的にはそれも同じような感じで考えていらっしゃるということですか。
○田辺会長
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 これは先般の資料にも記載させていただいたと思いますけれども、あくまで患者さんと医療機関との合意のもとでということでございます。それは言ってみれば公的な規制がかかる範疇ではございませんので、合意された金額、ただしそれは妥当な水準ということが基本的なルールでございます。
○田辺会長
 どうぞ。
○間宮委員
 あくまでも妥当な金額というのを強制はできないのでしょうけれども、指導というか推奨していただきたいと思います。
○田辺会長
 ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 では、本日の議題は以上でございます。なお、次回の日程につきましては追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日の総会はこれにて閉会といたします。
 御参集、どうもありがとうございました。
 

 

 

 

 

(了)
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