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2018年10月9日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会
医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課
○日時
平成30年10月9日(金)14:00~16:00
○場所
中央合同庁舎第5号館3階共用第6会議室
○出席者
食品衛生分科会員(敬称略)
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事務局(10月9日時点)
宮嵜 雅則 (生活衛生・食品安全審議官) |
須田 孝俊 (生活衛生・食品安全企画課長) |
関野 秀人 (食品基準審査課長) |
道野 英司 (食品監視安全課長) |
黒羽 真吾 (食品基準審査課残留農薬等基準審査室長) |
森田 剛史 (食品基準審査課新開発食品保健対策室長、食品監視安全課食中毒被害情報管理室長) |
梅田 浩史 (食品監視安全課輸入食品安全対策室長) |
蟹江 誠 (食品監視安全課HACCP企画推進室長) |
永田 翔 (生活衛生・食品安全企画課長補佐) |
○議題
(1)審議事項
・食品添加物の指定等について
・食品中の農薬等の残留基準の設定について
(2)報告事項
・食品中の農薬等の残留基準の設定について
(3)文書による報告事項等
・食品中の農薬等の残留基準の設定について
・人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質の設定について
(4)その他の報告事項
○議事
○永田補佐 皆さん、こんにちは。それでは、定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催いたします。私は、本日の司会をさせていただきます生活衛生・食品安全企画課課長補佐の永田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、本日の分科会委員の出席状況ですが、栗山委員、高橋委員、西内委員、松本委員、脇田委員から欠席との御連絡を頂いております。また、横田委員は遅れて到着予定との御連絡を頂いております。現在の分科会委員総数22名のうち、現時点で15名の御出席をいただいており、出席委員が過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。
次に、本年7月31日付けで事務局に異動がありましたので、御紹介させていただきます。大臣官房生活衛生・食品安全審議官の宮嵜です。一言、お願いします。
○生活衛生・食品安全審議官 宮嵜でございます。今ありましたように、この夏の人事異動で生活衛生・食品安全審議官に着任いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。委員の先生方におかれましては、日頃から食品安全行政の推進に、御支援、御尽力を頂いておりますことをこの場をお借りして、改めて御礼申し上げる次第でございます。
御案内のとおり、食品の安全に対します国民の関心というのは非常に高いものがあります。厚生労働省としては、食品の安全確保に関する諸課題について、全力で取り組んでまいりたいと考えております。委員の先生方におかれましても、一層のお力添えを賜りますよう、改めてお願い申し上げさせていただきまして、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○永田補佐 続いて、生活衛生・食品安全企画課長の須田です。食品基準審査課長の吉田です。どうぞよろしくお願いいたします。
続いて、本日の議題は、お手元の議事次第にあるように、審議事項として、1.食品添加物の指定等、2.食品の農薬等の残留基準の設定について御審議いただいた後、何点か事務局から御報告を申し上げたいと考えております。
続いて、分科会委員の異動等について御報告いたします。本年8月27日付けで井澤委員が退任され、新たに高橋久尚株式会社明治執行役員が、本分科会委員に着任されました。本日、高橋委員は御欠席です。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、審議事項に関する利益相反の確認対象となる案件がありますが、退室が必要又は議決に参加できない委員はいらっしゃらないことを確認している旨、御報告いたします。
また、委員の皆様には事前にお伝えしておりますが、審議会等のペーパーレス化の取組として、本日の資料はタブレットを操作して御覧いただくこととなります。操作等で御不明点がありましたら、適宜、事務局までお申し付けください。タブレット以外の配布物を確認させていただきます。机上には、議事次第、座席表、委員名簿、タブレット操作説明書を配布させていただいております。配布物に不足等がありましたら、事務局までお申し付けください。
なお、頭撮りは、ここまでとさせていただきます。以降のカメラ撮影は御遠慮願います。
それでは、以後の進行を村田分科会長にお願いいたします。
○村田分科会長 村田でございます。胆振東部地震に続いて、立て続けの週末台風3連発の後ですが、委員の先生におかれましては、御多忙の中お集まりくださり、どうもありがとうございます。
それでは、(1)審議事項、1.食品添加物の指定等について、審議を行います。まず、事務局から説明をお願いします。
○吉田課長 審議事項のうち食品添加物関係について御説明申し上げます。タブレットの資料1のファイルをお開きください。最初に表紙がありまして、次に目次があり、さらに3枚目、下にページ数が振ってあります。1ページの所ですが、そこから御説明させていただきます。よろしいでしょうか。最初の添加物はアルゴンです。審議の対象は、アルゴンについての食品添加物としての指定の可否、それから、規格基準の設定ということです。経緯は、事業者からの要請により指定等を行うものです。用途は、製造用剤(充填ガス)です。概要ですが、アルゴンは極めて安定した元素ということで、他の元素と化合物を作りにくい希ガスの1つということです。
アルゴンについての諸外国での状況ですが、コーデックス委員会において、包装用ガスとして加工助剤リストに収載されています。アメリカにおいては、いわゆる一般に安全とみなされるGRASという物質で認められております。欧州においては、全ての食品への使用が認められているということで、欧州の科学委員会においては、一日摂取許容量(ADI)の設定も不要という形で評価されております。
我が国における食品安全委員会での評価結果です。食品安全基本法第11条第1項第2号の人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるときに該当すると。これは通知の内容をそのまま書いてあります。簡単に申し上げると、人の健康に悪影響を及ぼすおそれがない添加物に該当するということです。規格基準案、それから答申案については、2ページです。使用基準については、特に設定しない。成分規格については、ここにあるようなアルゴンガスについて、含量とか、あるいは性状、確認試験、純度試験等々の物理化学的な試験を設定するという形になります。
ページ数ですと、3ページの所の下辺りから、4ページにかけて、今回、アルゴンガスの規格を追加するに当たって、関連する試薬・試液、あるいは計量器等についても改正する必要があるということで、試薬・試液、計量器等の追加を行っている形になっています。以上が、アルゴンについての御説明です。
5ページ、イソブチルアミン以下、合計7つの香料成分について御説明いたします。これら審議の対象としては、食品添加物としての指定の可否及び規格基準の設定ということで、これについても事業者からの要請により指定等を行うものという形になります。化学式はこのページから6ページにかけて7つの化学式、構造式、分子式等を記載させていただいております。用途は香料です。概要にあるとおり、今回指定要請がありました香料7品目については、いずれも構造的には芳香族第1級アミンという形で、キノコとか、紅茶、コーヒーなどの食品中に存在する成分になります。
諸外国の状況です。JECFAあるいは欧州の食品安全機関EFSAなどにおいて、グループとして評価を行い、現状の摂取レベルにおいて安全性に懸念はないという評価結果になっています。EU、それからアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドにおいては、これはいずれも使用が認められておりまして、濃度等の使用基準というか、使用制限は特にないということです。食品安全委員会における評価結果は、食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸念がないというような評価結果をいただいています。
次ページ、摂取量の推計です。それぞれ7成分、摂取量を推計するとこういったような形になります。これは通常の食品に含有する、食品から摂取する量の1,000分の1以下というような推計結果になっています。規格基準と答申案については、次のページ数8と振ってある所から記載されております。
使用基準(案)ですが、いずれも7成分について、これはほかの香料も全く同様の使用基準を設定していますが、着香の目的以外に使用してはならないということで、香料について定型的な使用基準を設定させていただいております。それに続いて、成分規格ということで、イソブチルアミンから7つの成分について、含量、性状、確認試験、計量法等々、必要な物理学的な試験等を設定させていただいている形です。こういった形で、7つのものについて設定がなされています。それが15ページまで続いています。食品添加物、アルゴン、それから香料成分7品目についての御説明は以上でございます。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○村田分科会長 議論に入る前に、部会での審議の状況について、若林部会長より御報告はありますでしょうか。
○若林委員 添加物部会でのアルゴンについての議論ですが、アルゴンは説明がありましたように、大気中に窒素、酸素に続いて3番目に多いもので、毎日我々が吸っているものである。それから、JECFA、米国、EUにおいてそれぞれアルゴンの安全性・有効性などがしっかり確かめられているということを勘案すると、こちらのほうに提出された使用基準案、成分規格案で特に問題ないだろうという委員の意見でした。
それから、7つのアミノ化合物の香料としての使用基準案及び成分規格案については、7つのアミノ化合物に関しては、成分規格案の中で7つの化合物の確認試験が全てIRでやることになっていますけれども、7つの化合物はそれぞれ類似性があるので、このIRで明らかに区別ができるのかという委員からの質問がありましたが、分析を担当した委員からは、IRで十分区別ができる分析法であるという説明がありまして、それ以外は特段問題になるようなことはありませんでした。以上です。
○村田分科会長 それでは、本件について何か御意見、御質問はありますでしょうか。
○穐山委員 アルゴンですが、用途のところで、製造用剤と書かれていますが、私の理解では、酸化防止の目的に多分充填されるのではないかと思いますけれども、これは酸化防止剤ということではなく、製造用剤としての用途ということなのでしょうか。
○吉田課長 御説明いたします。諸外国においても加工助剤といったような扱いになっています。実際の効果としては御指摘のとおり、抗酸化剤。抗酸化効果があるという形になりますけれども、諸外国の取扱い、あるいは製造の途中で一旦充填し、使用する際にはそれは最終的には抜ける形になろうかと思いますので、用途としては製造用剤充填ガスという形で整理させていただいております。
○穐山委員 ありがとうございます。
○村田分科会長 ほかはいかがでしょうか。
○阿部委員 細かいところですが、6ページ目の概要のところで、これらいずれも「芳香族第1級アミンであり」と書いてありますが、「芳香族」ではなく「脂肪族アミン」ではないかと思います。この所は訂正したほうがいいかと思います。
○吉田課長 大変失礼しました。確認して訂正させていただきます。
○阿部委員 お願いします。
○村田分科会長 いかがですか、ほかはありませんか。それでは、本件について御意見がないようですので、分科会としてはこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。どうもありがとうございます。
それでは、事務局は答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告ください。
続いて、2.食品中の農薬等の残留基準の設定について、審議を行います。事務局から説明をお願いします。
○黒羽室長 引き続きまして、資料1の16ページから御覧ください。農薬・動物用医薬品を合わせて、今回3品目について御審議いただくことになっております。1品目目、アシノナピルです。本品については、農薬取締法に基づく農薬登録申請に伴う基準設定の要請及び魚介類への基準設定があったことから、残留基準を設定するものです。構造式は御覧のとおりです。用途は殺ダニ剤です。作用機構は、環状アミン骨格を持つ殺ダニ剤で、抑制性グルタミン酸受容体に作用して殺ダニ活性を示すものと考えられております。適用作物、適用防害虫ですが、かんきつのミカンハダニ等に使用される予定です。
我が国及び諸外国の状況ですが、我が国ではまだ登録されておりません。諸外国においても国際的な評価は行われておりません。また、各国においても、基準値は設定されていないものです。
食品安全委員会の評価です。イヌの1年間慢性毒性試験の結果を基にADIが0.04mg/kg体重/day、ARfDについては、単回経口投与により生じる可能性のある毒性は認められないということで、設定の必要なしと評価されています。基準値案ですが、後ほど説明いたします。
17ページの上のほうに代謝物Cが書いてあります。アシノナピルと代謝物Cを合わせた形の基準値設定を行っております。基準値設定案は後ほど説明しますが、基に暴露評価を行ったところ、長期暴露評価で一番高い幼小児で、TMDI試算でADIの28.1%と推計しております。
基準値案は、18ページを御覧ください。今回、一番上の「なす」から、下から2つ目の「その他のスパイス」までの適応作物について基準値を設定します。これについては一番右側の作物残留試験成績等のデータに基づいて、例えば、なすであれば0.5ppmという基準値を設定する予定です。一番下の魚介類については、水系を通じまして魚介類に対しても残留するおそれがあるということで、一番右の推定残留濃度を基に魚介類の基準0.7ppmを設定する予定です。19ページ目は答申(案)です。
2品目目は、ランコトリオンナトリウム塩です。こちらについても新規の農薬登録申請に伴う基準設定です。構造式は御覧のとおりです。用途は除草剤です。作用機構ですが、トリケトン系除草剤です。適用作物は、移植水稲の一年生雑草について駆除する除草剤です。我が国の登録状況、諸外国の状況ですが、我が国ではまだ登録されておりませんし、国際的な評価も行われておりません。また、諸外国においても基準値は設定されておりません。
食品安全委員会の評価です。ウサギの発生毒性試験を基にADIが0.001mg/kg体重/day、ARfDについても、ラットの発生毒性試験を基に0.1mg/kg体重と評価されております。基準値については後ほど説明いたします。暴露評価の結果ですが、一番高い幼小児でTMDI試算で、ADI比5.2%と推計しております。21ページ、短期暴露評価は、稲に対して短期暴露評価を行ったところ、ARfDを超えていないことも確認しております。
基準値案は、22ページ目です。稲に使用されることから米に対して、0.01ppmという基準値を設定する予定です。23ページ目が答申案です。
24ページ、3品目目、チモールです。こちらは動物用医薬品の承認申請に伴う基準設定の要請を受けたことから、残留基準を設定するものです。構造式は御覧のとおりです。用途は動物用医薬品ですが、蜜蜂に寄生するダニの駆除を行う動物用医薬品ということで申請されています。作用機構は、フェノール誘導体で、ダニの神経系に作用することで殺ダニ効果を示すと考えられております。
我が国では、まだ承認申請中で承認されておりません。諸外国の状況ですが、チモールというのは天然に含まれる物質です。JECFAにおいて、香料としての毒性評価が行われておりまして、ADIについては香料として使用する場合、ヒトの健康に対する懸念はないと評価されています。また、動物用医薬品、蜜蜂のダニの駆除として各国で使用されていますが、基準値の設定は必要ないとされているものです。
食品安全委員会の評価です。ラットの試験を基にNOAELが40mg/kg体重/dayとされていますが、JECFA及び欧米において、ADIやMRLの設定を不要としていること、また食品添加物、こちらの天然の抽出物ですが、医療用の添加物としても長期にわたる使用経験があること、現在知られている知見を総合的に検討した結果、動物用医薬品として適切に使用される限りにおいて、ADIを設定する必要はないと評価されています。
基準値については、25ページ目です。作物残留試験の結果は、非常にばらつきが大きくなっております。それを対数計算しまして、基準値を30ppmと評価しております。
暴露評価ですが、通常であれば、ADIとの比率を暴露評価した摂取量で計算するのですが、今回、チモールについては、食品安全委員会でADIを設定する必要がないとされていることから計算はしておりません。ただ、先ほど説明したとおりNOAELが40mg/kg体重/dayとなっておりますので、この100分の1を仮にADIとして計算すると、この30ppmでの占有率は0.1%程度になります。ごく微量ということです。
26ページ目は答申(案)です。答申(案)について、チモールはタイム等の食品に自然に含まれること。また、食品添加物としても使用されるということから、食品衛生法違反の判断の際には、チモールが通常含まれる量及び食品添加物の使用履歴について十分確認することという注意書きを付けております。農薬等の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 議論に入る前に、部会での審議の状況について、穐山部会長より御報告いただきたいと思います。
○穐山委員 報告させていただきます。今回の審議事項、16~26ページの審議事項の3品目ですが、新規に登録申請が行われた農薬又は新規に承認申請が行われた動物用医薬品について、食品中の残留基準を設定するものであります。まず、1品目目、16ページのアシノナピルは殺ダニ剤で、ハダニ等の防御のために農薬登録申請が行われたことから、本年7月12日に開催した農薬・動物用医薬品部会において、なす、あるいはかんきつ等に対する基準値案の審議を行いました。
20ページ、2品目目、ランコトリオンナトリウム塩です。これは除草剤で、水稲、稲の除草剤のため、農薬登録申請が行われたことから、本年6月7日に開催した部会において、米に対する基準値案の審議を行いました。
24ページ、3品目目、チモールです。蜜蜂に寄生するダニの駆除のための動物用医薬品の承認申請が行われたことから、本年8月23日に開催された農薬・動物用医薬品部会において、はちみつの基準値案の審議を行いました。農薬・動物用医薬品部会では、これらの品目について幾つかの報告書の記載、整備に関する指摘はあったものの、食品安全委員会の評価結果として、生体にとって問題となる遺伝毒性とは認められておらず、閾値が設定できると評価されたこと。また、規制対象物質、分析法、残留基準値及びADIの設定されていないチモールを除き、暴露評価などについては適切であり、特段の問題はないという結論に至りました。私からのコメントは以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、本件について何か御意見、御質問はありますでしょうか。
○大澤委員 ランコトリオンナトリウム塩ですが、20ページの下から3つ目の枠の中で、妊娠毒性として、その胎児で過剰肋骨などが生ずるということが書いてあるのですが、何か奇形を起こすような状態があるのかということと、発がん性試験で、角膜の扁平上皮乳頭腫及び扁平上皮癌が認められたけれども、持続的な炎症によるものと考えられるということで、なぜ持続的な炎症が起こるのかという、その辺はいかがでしょうか。
○黒羽室長 お答えいたします。確かにウサギを用いた発生毒性試験においては0.1mg/kg体重/dayの上の用量で過剰肋骨等が認められております。ただ、0.1mg/kg体重/dayでは、特にそういう影響は認められていないと。さらに安全係数100をとっております。もちろん食品以外の原体を食べるとかそういうことであれば、そういう数値にもなりますが、食品を経由したものでは、特に問題ないと思っております。
もう一点は、持続的な角膜炎症については資料を調べておりますので、少々お待ちいただければと思います。
○大澤委員 ありがとうございます。
○村田分科会長 ほかにありませんでしょうか。
○吉田課長 今の胎児での過剰肋骨の関係について、少しだけ補足させていただきます。今、御説明したとおり、この所見が実際おきているのは、これよりも1つ高い用量のところで、今回、ADIを設定するためのNOAELの濃度ではそういうことは起こっていないということではありますが、過剰肋骨というのは、実は、割とよく出る毒性所見でありまして、かつ、それも自然的に治っていくといった所見でもあるということで、それほど奇形というか、そういうことに関して、毒性学的にはそれほど心配する所見ではないものと承知しているところです。
○大澤委員 ありがとうございます。ヒトでは肋骨が左右の本数が違うような奇形症候群の方もいらっしゃるので、その辺が気になりました。
○村田分科会長 まだ上皮がんについては調べられている途中ですが、何かほかに。
○穐山委員 今、事務局のほうで調べられていると思いますが、ランコトリオンナトリウム塩の角膜の扁平上皮乳頭腫等が認められていること、これは眼への影響についての議論ですけれども、これは部会でちょっと議論があったところとしては、御指摘のとおり、これは眼の影響がLOAEL、最小毒性量で見られておりますが、慢性炎症を背景とした同色性腫瘍性病変ということで、高用量のみ認められているものでありまして、無毒性量(NOAEL)では認められていない毒性の所見であります。
○大澤委員 どうもありがとうございます。
○村田分科会長 吉田課長、どうぞ。
○吉田課長 食品安全委員会の報告書を少し確認しておりますけれども、確かに安全性の評価については部会のほうでも十分御審議いただいております。その際の炎症が起こるということですが、これは実は眼への強度の刺激性が、眼粘膜に刺激性があるという試験結果があります。割と濃度の濃いところになるとそういうのがあるということで、その炎症が続くことによって、ここにあるような、それを繰り返すと、がん化するといったことが問題になっているということかと思います。繰り返しになりますが、こういう発がん性についても、そういったものが原因でありますから、遺伝毒性ではないので、したがって、閾値が取れるので、それ以下の用量であれば問題ないということで、ADIが設定できているといった評価になっています。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。毛利委員、どうぞ。
○毛利委員 経口投与にもかかわらず、角膜への持続的な毒性というのは少し分かりにくいのですけれども。
○吉田課長 今、申し上げたのは、角膜への皮膚刺激性、眼刺激性の試験も実際やっているということであり、そうすると、いわゆる粘膜への刺激があるということです。発がん性試験は確かに経口投与でやっておりますが、濃度的に眼への集積性等々、そこまでちょっと分析できておりませんが、発がん性試験でも、そういう刺激性のある物質が粘膜に影響を与えて、炎症性を起こすのではないかということかと理解いたします。
○毛利委員 この薬物が、この物質が角膜にどういうルートでいくのか分かりませんが、角膜に持続的な刺激があるというのはラットの経口投与でも認められています。例えば経口投与の場合、自然に与えた場合には、粉を餌の中に混ぜたのが散って眼にくるとかということはあり得ると思いますが、経口で入った後、どういうメカニズムで角膜に持続的な刺激があるのかということについてわかっていれば教えてください。
○黒羽室長 食品安全委員会においてラットで認められた角膜の影響について見ているのですが、300ppmという、かなり高い用量で与えた場合ですが、チロシン血症に起因して角膜の慢性炎症が起こるのではないかといった考察をしております。
○毛利委員 分かりました。ありがとうございます。
○村田分科会長 ほかにありますでしょうか。それでは、ほかに御意見がないようですので、分科会として、これで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。異議なしですね。どうもありがとうございます。
それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告ください。
次に、報告事項について、事務局から報告してください。
○黒羽室長 それでは資料2、報告事項に関する資料になります。1ページの一覧表を御覧ください。今回の報告事項は6品目ございます。いずれも農薬と動物用医薬品等の暫定基準の見直しに関係するものです。一番上、1品目目はアクリナトリンです。こちらの暫定基準の見直しに適用拡大申請に伴う基準設定を行うものです。殺虫剤で、りんご等に使用されているものです。食品安全委員会の健康影響評価結果は御覧のとおりです。こちらについて暴露評価を行ったところ、長期暴露評価は、一番高い幼小児のTMDI試算で65.5%、短期暴露評価については、ARfDを超えているものはございません。また今回、報告する農薬4品目についてはARfDが設定されておりますが、いずれも短期暴露評価において、ARfDを超えるものはございませんでした。
続いて下の2品目目、テブフェンピラドも農薬の殺虫剤として、あずき、りんご等に使用されているものです。ADIとARfDは御覧のとおりです。暴露評価結果については、一番高い幼小児のEDI試算で24.2%となっております。
3品目目です。プロベナゾールは農薬の殺菌剤として稲等に使用されているものです。ADI、ARfDは御覧のとおりです。暴露評価については、一番高い幼小児のTMDI試算で5.5%となっております。
4品目目はジフルベンズロンで、農薬の殺虫剤として、りんご、なし等に使用されておりまして、また動物用医薬品として殺虫剤・外部寄生虫の駆除剤としてハエ、カ等に対して使用されているものでございます。ADIとARfDは御覧のとおりです。暴露評価については、一番高い幼小児のEDI試算で19.3%となっております。なお、ジフルベンズロンの代謝物や原体混合物として、パラクロロアニリンという物質が知られており、こちらは遺伝毒性があって、げっ歯類において発がん性があることが知られております。この代謝物のパラクロロアニリンについては、作物残留試験や植物体内運命試験の結果では、検出されておりません。また畜産物の体内運命試験でもほとんど認められていないものです。また原体の混合物の規格とか、定量下限値を用いて、過大に見積ったこのパラクロロアニリンの暴露量においても、ヒトへの健康影響は無視できる程度と試算されているものです。
5品目目はベタメタゾンです。動物用医薬品、合成副腎皮質ホルモン剤として使用されているものです。ADIは0.01μg/kg体重/dayで非常に低い数値のADIが設定されております。ベタメタゾンは我が国では使用されておらず、暫定基準の設定の際にEUの基準値を基に暫定基準が設定されております。今回、見直しの際に調査したところ、EUにおいても畜産物には使用されていないことを確認しております。通常、暫定基準の見直しにおいて各国で使用されていない場合は、基準値を削除して一律基準で管理することとしておりますが、ベタメタゾンはADIが非常に低いことから、畜産物に対してはこのルールにのっとりまして、不検出の基準を設定するとしております。
6品目目はモランテルです。動物用医薬品及び飼料添加物の駆虫剤として豚に使用されているものです。ADIは御覧のとおりです。暴露評価結果については一番高い幼小児のTMDI試算で19.8%となっております。説明は以上でございます。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告について、委員の方から何か御意見、御質問ございますでしょうか。
○大澤委員 2ページにあるアクリナトリンですけれども、適用作物は、りんご/シンクイムシ類となっているのですが、そこの暴露評価のところで幼小児が65.5%となっていて、この中で一番高いのですが、りんごはどちらかというと、乳幼児ですり下ろしのような形で割と調子の悪いときに投与するようなことが結構多いのですが、この65.5%という暴露評価の値になっていても、現段階では問題ないと考えてよろしいのでしょうか。
○村田分科会長 いかがでしょうか。
○黒羽室長 今回、アクリナトリンの暴露評価については、TMDI試算で行っております。2ページの上の暴露評価の表です。このTMDI試算というのは理論最大一日摂取量でして、基準値ぎりぎりまで農薬が含まれていると仮定して数値を計算しております。従って基準値をオーバーしていなければ特に問題はないと考えております。また実際に販売されている食品については、この基準値ぎりぎりまで含まれていることはほとんどなく、実際の摂取量についてはもっと少ないことが分かっております。毎年厚生労働省で一日摂取量調査も行っており、実際にスーパーマーケットで売っている食品の農薬から、平均的に日本人が摂取する食品をピックアップして農薬を測っているのですが、その数値においては大体ADIの0.何%とか、そういう数値になっております。アクリナトリンの実際の摂取量の調査の結果は手元にはないのですが、多くの農薬で実際の暴露量は非常に低いことが分かっておりますので、80%を超えていなければ特に問題はないのかなと思っております。
○村田分科会長 大澤委員、よろしいですか。
○大澤委員 大体、りんご何個分ぐらいになるのでしょうか。
○黒羽室長 今、りんごのアクリナトリンの基準値が0.7ppmとなっております。ppmというのは1kg当たり1mgが1ppmということです。従って、例えばりんごを1キロ食べて、基準値ぎりぎりまで含まれていれば0.7mg摂取するということになります。アクリナトリンのADIが0.016mg/kg/体重/dayとなっておりまして、例えば10kgの体重の幼児で、0.16mgまで1日に摂取しても、毎日毎日摂取しても問題がないとなっておりますので、0.7ppmだと1kgで0.7mgですから・・・
○大澤委員 分かりました。そんなにたくさんあるのですね。
○大前委員 ジフルベンズロンですが、18ページを見ると構造式が書いてありまして、パラクロロアニリンができると、代謝物であるということですから、右上の構造が剥れるのでしょうけれども、それも食品安全委員会の評価で設定根拠を見ると、慢性毒性試験ですね。最初は毒性量によって毒性所見はメトヘモグロビンの生成ということなので、結構パラクロロアニリンができているのではないかと思うのです。それに対して参考の所に「また、畜産物体内運命試験の結果においても、10%TRR/TARを超えて認められなかった」というのがあります。TRR/TAR、これは何でしたでしょうか。これを教えていただきたいのですが。
○黒羽室長 放射性の標識を付けた上で、どのように代謝するかという代謝の試験を行います。その放射線量がTRRになります。
○大前委員 ということは放射線の試験を行ってみて10%も蓄積していないという、そういう解釈でこの部分はよろしいのですか。
○黒羽室長 はい、実際には10%、もっとずっと低い量ということですが、10%以上認められると代謝物をよく見るというルールになっておりまして、そういう記載としております。
○大前委員 ここに書いてありますように、なお引き続き関連情報の収集に努めるということですので、是非、努めていただきたい。どうもメトヘモグロビンができていますので、結構パラクロロアニリンになっているのではないかと思いましたので。
○黒羽室長 補足で説明いたしますと、食品安全委員会でもパラクロロアニリンをどれぐらい最大見積もるかという、そういう評価を行っています。それが非常に低い量であり、実際には作物残留試験等からは検出されていないので、定量下限値とか、また農薬については使用する際には農薬登録を農林水産省にしなければいけませんので、そのときに農薬の規格というのが設定されていまして、その中に原体混合物という、そういう規格がありまして、上限が定められているということで、問題がないだろうという結論になっております。
○村田分科会長 よろしいですか。大前委員。
○大前委員 はい。
○村田分科会長 そのほかはございませんでしょうか。よろしいですか。では、ありがとうございました。次は(3)、文書配布による報告事項等に移ります。文書配布による報告事項等ですが、この資料に関しては、事前に委員の皆さまに配布されていると思いますので、この場での特段の御意見がなければ、次に移らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。委員の方から何か御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
続いて、食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について、事務局から報告してください。
○残留農薬等基準審査室長 それでは資料4-1です。前回、6月15日及び前々回3月19日に開催された食品分科会において審議または報告いたしました農薬及び動物用医薬品、また食品添加物の処理状況について御報告いたします。
全部で37品目ございます。表の右端の備考において頂いたパブリックコメントやWTO通報の御意見により、基準値(案)の変更が必要になったか否かについて記載しております。空欄の部分については、意見の締切りが近い理由などにより現在検討中の品目でございます。No.19~21、また25番~26番等のパブリックコメントの欄に実施予定と書いてある所については、今後パブリックコメントを実施する予定です。その実施内容によって、今後基準値(案)の変更が必要か否かについて検討する予定としております。パブリックコメントを実施済みの品目については、多くの品目で御意見を頂いておりますが、その内容から基準値(案)の変更が必要になった品目はございませんでした。
WTO通報の欄については、基準値が厳しくなる場合には実施することになっておりまして、「WTO通報の対象外」と記載されておりますのは、現行よりも基準値が緩和される品目です。この品目の19番目に2,4-Dがありますが、こちらはWTO通報で御意見を頂いておりまして、その意見を頂いた国の基準値を設定した根拠となるデータを送付するので、基準値(案)を変更して頂きたいという要望が来ております。今後データの内容を確認して農薬動物医薬品部会でもう一度御審議の上、本分科会でまた御報告をさせていただく予定にしております。この項目の説明は以上でございます。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対して、御意見、御質問等ございますでしょうか。
○大澤委員 大変不勉強で申し訳ありません。37番の添加物の亜セレン酸ナトリウムとビオチンの件ですが、乳幼児の立場からすると、その不足が最近どちらかというと、栄養の点から問題にはなっているものなのですが、実際にはこれは必要なものというような形での意見がありましたでしょうか。場合によっては私自身が見逃していたなという感じなのですが。
○村田分科会長 事務局から何かございましたらどうぞ。
○吉田課長 今回のこの添加物の関係は、亜セレン酸ナトリウムあるいはビオチンはもともと乳幼児に必要な成分、そういう形で添加物で既に指定されていたものでございます。今回の内容は以前いわゆる液体ミルクの規格基準あるいは乳等省令の改正等を行いましたが、その際に、亜セレン酸ナトリウムとビオチンが粉ミルクから液体ミルクにも使えるような形での使用基準の改正をしたということでございますので、そういった意味ではこれまで使えたものを液体ミルクでも使えるようにするという形での改正でしたので、これについてのパブリックコメントに対して特段の御意見はなかったと聞いています
○大澤委員 ありがとうございます。感謝申し上げます。
○村田分科会長 そのほかはございませんでしょうか。それではどうもありがとうございました。最後に、「食品衛生法等の一部を改正する法律の経過について」に移ります。事務局から説明をお願いします。
○道野課長 食品監視安全課長です。それでは資料4-2を御覧ください。食品衛生法等の改正につきましては、検討段階から節目、節目で御報告をしてきたところです。今回は、6月13日に改正法が公布されまして、その後、段階的に施行していく、実施をしていく段階に入っております。本日は、その施行のスケジュールと、それから、最初に施行日がやってきます広域食中毒対策に関する省令の検討状況等について御報告します。
まず最初に、「改正食品衛生法施行スケジュール」を御覧ください。大きく分けて3段階に分かれております。一番目の広域連携というのが広域食中毒対策です。施行については来年の4月、これは国と地方の食中毒発生時の連携規定ですので、危機管理ということもありますし、来年度の初めからスタートすることにしております。それからHACCP、営業許可、リコール、輸出入関係、この輸出入関係はHACCPに引っ張られることがあるわけなのです。この3つについては、政省令の公布を来年の6月までにしたいと考えております。HACCP、営業許可、リコールについては、自治体の条例改正が必要であること、それから、一部、手続を電子システム化するという作業があります。施行は3年後なのですが、それまでに、できるだけ早い段階で国側で政省令を定めて自治体の準備に資することにしたいということです。
それから、指定成分、容器包装につきましては、指定成分は特定の注意を必要とする成分を含む食品による健康被害の報告規定です。それから容器包装のポジティブリスト化、この2つについては2年後の施行となっておりますが、自治体による条例改正等は伴いませんので、これらについては、来年の終わりまでに省令、それから告示を公布するスケジュールになっております。
続いて、「広域的な食中毒事案への対策強化」という資料があります。ここからが、来年の4月に施行する国と地方自治体の食中毒発生時等の連携の仕組みとなります。この仕組みの内容については、御案内のとおりと思いますが、近年、食品の製造加工のインフラであるとか、それから流通システムの発達等々によりまして食品の流通範囲が広がっている。一方で、中核市が増えてきていることもありまして、自治体の数は増えている。そういったことで、食中毒発生時、特に広域の食中毒が発生した場合に行政側の連携をしっかりやっていく必要があるということで、今回の法律改正において、国と地方自治体が協議会を設置して対応するという内容です。
次の「広域的な食中毒事案の発生状況」、ここは参考情報です。今、申し上げたとおり、複数の自治体が関係する食中毒事件が増えているという資料です。
続いて、「広域連携協議会の設置」です。関係の改正部分というのが、この法律における規定という所に順々に並んでおります。広域連携協議会を設けるということ。運営については協議会が定めるということ。それから、国、都道府県が行う監視指導の実施に関する指針。これは、国が地方自治体の監視等について基本的な考え方を示すというのが平成15年改正のときに入っております。これに基づいて、地方自治体は毎年度、監視指導計画を作成することになります。その中に、国、都道府県等その他関係機関相互の連携協力に関する事項を書きなさいということが、法律改正の結果、定められております。さらに、最後に、一番下の欄、第60条の2については、食中毒の患者が広域にわたり発生した場合については、発生や拡大防止の対策について協議を行うという枠組みですよということが規定されております。
6ページ目、「広域連携協議会設置」です。こういった法律の規定に基づいて、省令では、厚生労働省令に定めるところにより設置をする、設けることができるとされております。省令の規定としては、広域連携協議会は地方厚生局の管轄区域ごとにとなります。全国7ブロックあります。そういったことで、7ブロックでそれぞれの管轄する地方自治体を構成員とする協議会を設けるという規定になります。実際の広域連携協議会の内容は次のスライドになります。
7ページです。平時は、協力体制の確認等々です。また、緊急時については、食中毒調査の内容、方針、そういったことについて共有しながら情報発信も併せてやっていくという体制を組んでいくことです。以降の資料は、関係の指針の改正の内容です。今回、先ほど申し上げたとおり、地方自治体が監視指導計画を作る際に国の指針に基づき、その連携を行っていくことを規定をしていただくことになります。そういうことで、第二十二条にありますような規定が設けられて、9ページにありますが、実際の指針はこのような構成になっています。第一から第七まで、監視指導の方針から具体的な内容、手法について記載があるわけです。
10ページです。例えば、監視指導の実施体制等に関する事項の所には、指針としては、広域に発生する食中毒事案への対応等々について明記するということ。それから、11ページは、実施体制等に関する事項ということで、ここに新たに事項を設けまして、広域的な食中毒事案発生時の関係機関相互の連携体制の確保ということで、広域連携協議会に関する記載を加えるということです。
12ページについても、同様の関係の改正とともに、ここでは、前回の監視指導指針の見直しが、表示が厚生労働省から消費者庁に移管されたときに行いましたので、それ以降生じた話としてジビエ対策です。野生鳥獣の食肉の安全対策等について方針が明確にされた部分がありましたので、それを時点修正ということで改正している内容になっています。
13ページは、ここにありますように、先ほど申し上げましたが、監視指導計画に広域的な食中毒発生、発生時の関係機関等の連携について、計画に明記することを指針に記載するとしたものです。
最後のページの参考は、従前から御説明している内容と同様です。改正法律の概要についての資料です。こちらからの説明は以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。ただいまの事務局からの説明につきまして、質疑のある方はございませんでしょうか。
○中村委員 御説明ありがとうございました。1点確認なのです。広域連携の中で、来年4月以降の第1回の協議会開催の後に要領の決定とかということですが、要領ではどのようなことを記載する予定なのでしょうか。6ページの頭ですかね。
○道野課長 お答えします。資料で言うと5ページ目の所に、協議会の運営に関して必要な事項は協議会が定めるとなっていまして、その内容というか、それのタイトルが要領ということだと思います。それにつきましては、1回目の協議会の開催前に、内容については、一応、全国7ブロックで違うということは普通考えにくいので、共通的なものをお示しすることにしています。なお、その案については、既に都道府県を対象とした法律の説明会の際にもお示ししているところですが、今後、十分に整理した上でお示しすることにしたいと思います。
○中村委員 ありがとうございます。監視指導計画を、大体1月ぐらいに案を公表してパブコメを取るというのが各自治体のスケジュールだと思いますので、そのぐらいまでに固まったものをお示しいただければと思います。よろしくお願いします。
○村田分科会長 何かほかにございませんでしょうか。
○安藤委員 よろしいですか。広域連携協議会についてなのです。基本的には地方厚生局の単位で作られるということで、この単位に合わない形の食中毒が発生した場合等はどのような形で運用していく予定ですか。
○道野課長 法律の規定に戻ってしまうのですが、法律の規定で、必要に応じて関係自治体を追加することはできるようになっています。実際には、御指摘のとおり、ブロック内だけで収まるという保障は何もありませんので、またいだ場合には、もちろん主となる協議会がありますが、そちらに、他のブロックの都道府県については追加をして出席ができるような仕組みにしております。
○安藤委員 ありがとうございます。
○村田分科会長 どうですか、横田委員、何かありませんか。
○横田委員 単純にコメントなのですが、昨今、やはり広域化と、あと情報連携の観点から、こういう組織を作らないとなかなかお互いに情報を出す仕組みが作れないことが問題になるときがあります。今回の広域連携協議会が、ブロックごとの単位で、平時と緊急時に分けて活動を規定して運用することが一般化すれば、自治体広域連携の1つのモデルとなるのかと思いながら話を聞いておりました。単純にコメントです。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。二村委員、どうですか。
○二村委員 私も、緊急時の対応の基礎になるのは、やはり平時からの連携をする中でお互いにコミュニケーションが良くなることはあると思いますので、この運用には非常に期待をしたいと思います。
それから、特段書き込む必要はないことなのですが、対策の強化の所で、国民報道機関等に周知をすることが書いてありますが、是非、消費者庁等も忘れずに周知の機関として入れていただければと思っております。省庁間の連携ということです。よろしくお願いします。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。浦郷委員、どうですか。
○浦郷委員 私も、先ほど安藤委員が言われた点がちょっと気になっていたのです。広域連携協議会が厚生局ごとというので、また縦割りになってしまうのかというのをちょっと感じました。でも今、その協議会に入らない場合もほかの影響のある県は追加してというお話があったのですが、連携協議会の、協議会と協議会どうしでも連携ができるような、そういうところも考えていただきたいと思いました。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。まだ時間がたっぷりありますので、是非、御意見がありましたら、コメントでも何でもよろしいですが。
○横田委員 ちょっとその点で少し確認と言うか、意識を伺っておきたいことがあります。平時と緊急時への、多分、切替えの問題だと思うのです。これは、災害分野等でも緊急時だけ権限があっても、平時からの信頼関係等がなければ、結局、情報連携も、また適切な規制期に発動の連携もできないことが防災部局でも言われています。そうしますと、平時の差し当たりの単位としては、ブロック単位、地域が近い単位で状況等を確認しておくという考え方であり、緊急時の事案発生のタイミングや広がりによっては、それにブロックを連携するのか、それとも、問題になっていた、分かった所からどんどん追加していくという発想なのか、その辺の、緊急時の追加のやり方についても、多少はアウトラインを、少なくても厚生労働省の中では少し考えておいたほうが、今みたいな疑問には答えやすいのかというのを少し思いました。
○村田分科会長 どうですか。はい、どうぞ。
○若林委員 今の説明の最初のページの1番から7番の所と、一番最後のページの1番から7番は、相互に関係があるのですか。何かこれがちょっと……で、1番の所を説明をもう一度していただければ大変有り難いと思います。多分、6番の指定成分ですとかいうものは、これは健康食品か何かのやつですか。
○道野課長 すみません、御指摘のとおりでして、2ページ目と最後のページは順番が若干違っております。それはどうしてかと言うと、ちょっと施行のタイミングだとか、括りによって順番を表のほうは入れ替えてしまっているということがありました。
一応、2つ見比べると、2ページを御覧になっていると思いますので、1の広域連携というのは、広域的な食中毒事案への対策強化、今、御説明した所です。2番目のHACCPというのは、HACCPに沿った衛生管理の制度化ということになります。3番目の営業許可というのは、営業許可制度の見直し、これ実は政令事項なのですが、法律事項でも、地方自治体が設ける許可基準について国が参酌基準を設けることが、今回、新たに制度として入りましたので、そういった許可制度の見直し。それから後、HACCPの制度化に伴って、食品等事業者の営業の状況を把握することが必要になりましたので、許可業種以外についても届出を求めるという仕組みになります。それが3の営業許可の4文字に全部含まれているものです。
それから4番目が、食品リコール情報の報告制度の創設ということで、自主回収を企業が行う場合に、自治体を通じて国に情報を頂くのが4番目のリコールです。5番目の輸出入というのは、例えば、HACCPについても、食肉食鳥肉については、輸入のものについてもHACCPに基づく衛生管理を求めるという輸入食品対策について、それから、地方自治体が輸出食品の安全性に関する証明書を発行することができますという規定、こういったものが5です。それから6の指定成分が、特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集ということでして、いわゆる健康食品対策です。最後の7番目が、国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生管理規制の整備ということです。特に、プラスチック製品を念頭にポジティブリスト制度化を行うという内容です。以上です。
○村田分科会長 よろしいですか。
○若林委員 はい。
○村田分科会長 何か発言されていない先生方で、五十君委員、どうですか。
○五十君委員 私は、広域的な食中毒事案の対応強化という中で、おそらく地方自治体は、地方の衛生研究所、保健所等々がかなり専門的な知識の要求に対してサポートしていくと思うのですが、国の部分は厚生労働省と表現されております。専門性が高い事案であることから厚生労働省の管轄の研究機関の役割も、もう少し具体的に出てきてもいいのではないか思いますが、この辺についてはいかがでしょうか。
○道野課長 厚生労働省の機関ですので、具体的に書いていないのですが、実際の事案では、協議会ができる前にも、現在も含めて、感染症研究所、それから医薬品食品衛生研究所にいろいろ協力していただいているということがあります。もちろん、こういった協議会には、お願いをして出席をしていただくことになります。御指摘の点は、今後の資料については明確にするように検討させていただきたいと思います。
○村田分科会長 寺本先生、どうですか。
○寺本委員 いいです。
○村田分科会長 よろしいですか。あと奥田先生。
○奥田委員 五十君委員からの御発言と同じようなことを私も思いました。やはり、最後は実動部隊になる保健所、衛生研究所、あとそれと国との関係、国の機関、そこも含めて組織がうまく情報が共有されるような形にしていただきたいと思います。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。
○苅田委員 時間がたっぷりあるということですので、先ほどの横田委員の緊急時の対応というところとちょっと関連するのです。私が気になったのは、7ページのスライドの緊急時の開催要件として、原因は推定を含むというのが小さく※で書いてあるのですが、推定というのは食中毒か否かということなのか、それから、原因汚染源が分からない、それを推定してということなのか。緊急時に推定で開催して動くというのもいろいろ問題が起こる可能性があると思って、事前に協議会の緊急時の開催要件等を想定して考えていただきたいと思いました。コメントです。
○村田分科会長 コメントはないですか。
○道野課長 ありがとうございます。開催自体をオープンにして、その結果も対外発表するというケースも当然あるとは思いますが、現在協議会という形ではないですが、やはりこういったものが発生した場合、関係自治体を集めて、言ってみれば、行政側が知り得る情報について十分に情報共有して今後の調査方針を決めたりとか、そういうこともやっております。多分、広域連携協議会においても同じように、まず初期段階の、これはやはりできるだけ早くやったほうがいいわけですので、そういう意味で、対外的なアナウンスはしない状態での早期での協議会の開催ということも念頭に私どもとしてはやっていきたい。そうしないと、なかなか早い段階からやらないと、そもそもこういった協議会の効果もないと考えておりますので、そのように対応したいと考えております。
○村田分科会長 毛利委員、どうですか。
○毛利委員 ジビエの所でちょっと教えてください。これは、監視をもっと具体的に強めていくというか、取り組んでいくということなのでしょうか。
○道野課長 この野生鳥獣肉の安全対策につきましては、農業被害の関係で、基本的には駆除することなのですが、地域振興の観点から、そういったものの利活用という話も、これは政府全体としても取り組んでいるところなのです。一方で、安全対策が非常に心配されるところですので、そういった野生鳥獣肉の安全対策に対するガイドラインを厚生労働省で策定して、地方自治体を通じて取り扱う方々に対して衛生指導をやっています。これのきっかけとしては、もちろん野生鳥獣肉を処理するにしても、これは食品衛生法の食肉処理業の許可が必要ですので、まずその許可を受けること。それから、中の取扱いに関してはそのガイドラインに従ってやっていただくということです。ここはもう、全国の自治体も含めて把握しつつ安全対策をしっかりやっていくということで進めておりますので、そのことについて、今回、前回の改正からの動きの1つとして記載をしたというものです。
○毛利委員 ありがとうございます。
○村田分科会長 大体、皆さん言われたでしょうか。何かほかにございますでしょうか。特にございませんか。それでは、どうもありがとうございました。以上で審議事項と報告事項の議事は終わりました。最後に、事務局から何か連絡事項はありますでしょうか。
○吉田課長 すみません、連絡事項と言いますか、議題の1番のときに、資料1の一部香料の御審議を頂いた際に、資料の一部が、本来「脂肪族第1アミン」でなければならない所を「芳香族第1アミン」となっていた所については御指摘を頂きました。この点につきまして確認したところ、既に今回、ペーパーレス会議になっておりますので、その内容は事前に会議資料としてホームページに登録しているのですが、そちらは既に修正されたものがどうやら掲載されています。大変申し訳ございません、先生方に御覧いただいているこのタブレットの中の資料だけがちょっと古いものが残っていたということですので、おわびして訂正を申し上げます。大変失礼いたしました。私からは以上です。
○永田補佐 また事務局です。次回の分科会につきましては12月頃を予定しており、既に皆さんと日程調整に入らせていただいているところですが、本日時点ではまだ日程が決まっておりませんので、早急に、日程が決まり次第、また御連絡を差し上げたいと考えているところです。以上です。
○村田分科会長 どうも。今月中ぐらいには予定が決まるということで。ではよろしくお願いします。それではどうも、長い時間の御審議、誠にありがとうございました。これをもちまして閉会とさせていただきます。
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