ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護給付費分科会)> 第21回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会議事録(2020年11月13日)

 
 

2020年11月13日 第21回社会保障審議会介護給付費分科会
介護報酬改定検証・研究委員会議事録

老健局老人保健課

○日時

令和2年11月13日(金)10:00~11:00

 

○場所

Web会議

○出席者

粟田、石川、今村、小坂、川越、木下、近藤、田中、田宮、福井、藤井、藤野、松田 (五十音順 敬称略)

○議題

1.平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和2年度調査)の結果(速報値)について

2.その他

○議事

○北原介護保険データ分析室長 では、定刻となりましたので、第21回「社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会」を開催させていただきます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、ウェブ会議システムを活用しての実施とさせていただきます。また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
 本会の開催に当たり、新たに1名の方に委員にお入りいただきましたので、御紹介いたします。
 秦野市福祉部高齢介護課参事(兼)高齢者支援担当課長の石川貴美子委員でございます。
○石川委員 神奈川県の秦野市役所の高齢介護課の石川と申します。お世話になります。
 このたび、介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会の委員をさせていただいておりました御縁で、こちらの委員会の委員としてお世話になることになりました。いろいろとお世話になりますが、今後ともよろしくお願いいたします。
○北原介護保険データ分析室長 では、初めに、本日の委員の出欠状況でございますが、井上委員、堀田委員は御欠席との御連絡をいただいております。
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様にはここで御退室いただくこととなりますので、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○北原介護保険データ分析室長 早速でございますが、以降の進行につきましては、松田委員長にお願いいたします。
○松田委員長 松田でございます。
 それでは、議事に入りたいと思いますので、事務局より本日の資料、ウェブ会議の運営方法の確認をお願いします。
○北原介護保険データ分析室長 まず、お手元の資料の確認になります。
 本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページにも掲載しております。
 まず、議事次第と委員名簿がございます。
 次に資料「(1)介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業 結果概要(速報値)(案)」というものがございまして、参考資料が1から5までございます。
 資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
 次に、ウェブ会議における発言方法等について確認させていただきます。
 御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いいたします。画面で委員長に御確認をいただき、指名していただきますので、指名に基づき御発言をいただくようにお願いいたします。
 挙手しているにもかかわらず、発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、ウェブ会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては挙手にて意思表示をお願いいたします。なお、チャット機能等で記載いただいた内容については、ウェブの画面及び配信動画においても表示されますので、御承知おきください。
○松田委員長 ありがとうございます。
 それでは、議事次第に沿って進めていきたいと思います。
 議題「平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和2年度調査)の結果(速報値)について」、事務局から説明をお願いいたします。
○北原介護保険データ分析室長 本日は、10月9日に開催いたしました本委員会で、今後御報告すると申し上げておりました調査番号(1)質の評価につきまして、議論いただきたいと考えております。
 今般の調査結果、速報版の内容につきましては、主に今後の介護報酬改定の議論に必要な内容等を中心にまとめておりまして、今回の資料以外の内容につきましては、最終版において御報告することとしております。
 また、資料内容につきまして、調査の目的に対する内容等を中心にまとめておりますが、今回の資料以外の内容につきましても、最終報告までの間に今後の分科会の議論に応じて必要となる場合には、調査検討組織委員長と調整の上で、最終報告の前に活用することを御了承いただければと考えております。
 では、資料を御覧ください。
 まず、1ページ目、調査の目的がございます。調査の目的ですけれども、CHASE等により収集されたデータを分析し、介護施設・事業所に対してフィードバックを実施し、その効果が介護サービスの質の向上に資するかを検証すること。そして、既存の加算について、算定要件を精査し、加算の効果として利用者の状態の維持・改善等を客観的なアウトカム指標により評価が可能であるか等を検証すること。この2点を主な目的として調査を実施しております。調査方法でございますが、まず1つ目のこのデータベースを用いた分析では、CHASEにデータ登録があった250事業所、3,230人を対象にデータの解析を行っております。
 2ページ目、調査方法の続きでございますが、もう一つのフィードバック・アンケート調査におきましては、フィードバック票を発出した173事業所のうち90事業所より回答いただきまして、その結果を解析しております。
 3ページ目以降、結果の概要となります。まずデータベースを用いた分析ですけれども、本調査の解析に用いた事業所及び利用者のデータに関して、サービス別の人数、要介護度、年齢分布等をお示ししております。ここではCHASEに参加登録を行った介護施設・事業所を対象に解析をしておりますため、必ずしも介護施設・事業所全体の傾向を反映しているとは言えない点に留意いただければと思います。
 4ページ目、「ADL」に関するデータとして、サービス別のBarthel Index合計点の分布を図表4に、BMI別のBarthel Index合計点の分布を図表5に、要介護度別のBarthel Index合計点の分布を図表6にお示ししております。図表5を御覧いただきますと、BMIの値が小さいほどBarthel Index20以下の割合が高いという結果でございました。図表6を御覧いただきますと、ここでは要介護度が高いほどBarthel Index20以下の分布が多いという状況でございました。
 続きまして、5ページ目でございます。ここでは「認知機能」に関するデータとして、DBD13、Vitality Indexを見た結果をお示ししております。図表8を御覧いただきますと、要介護度別にBPSDの指標であるDBD13の合計点の分布を見ておりますけれども、このDBD13の合計点の値、要介護度2から要介護度4で高くなっておりまして、要介護度5になると値が下がるといった傾向がございました。図表10を御覧いただきますと、ここでは要介護度別に意欲の指標であるVitality Index合計点の分布を見ておりますが、要介護度が上がりますと、このVitality Indexの値が下がるという傾向がございました。
 続きまして、6ページ目でございます。ここでは「口腔機能」に関するデータとして、図表11では要介護度別の食事形態の分布、図表12では誤嚥性肺炎の発生割合を時系列でお示ししております。図表11の食事形態の分布につきまして、御参考として7ページ目に嚥下調整食分類をお示ししております。図表11を御覧いただきますと、要介護度が上がるほど嚥下訓練食品の割合が増えていたという結果でございました。図表12につきましては、誤嚥性肺炎の発生割合を示しておりますけれども、2020年4月から同年8月のデータを時系列でお示しをしておりまして、CHASEではこのような経時データも解析可能となっております。
 続きまして、8ページ目でございます。ここでは「栄養状態」に関するデータのうち、低栄養リスクレベル、BMI、食事摂取量の変化を見ております。図表13におきましては、同一利用者の6か月間での低栄養リスクレベルの変化を見ておりまして、ゼロか月目でリスクレベルが低い方が42.6%、中の方が48.9%、高の方が8.6%おりまして、その方々が3か月目以降に悪化した、維持した、改善したという割合、そして、6か月目以降も同様の結果を示しておりますが、こちらを御覧いただきますと、3か月目、6か月目において、7割以上の方は維持という結果でございました。同様に、図表14では食事摂取量の同一利用者における6か月間での変化、図表15では同様にしてBMIの6か月間での変化を見ております。
 9ページ目でございます。「日中の活動等」に関するデータとして、1週間における趣味・役割活動を行う頻度(回数)の分布を図表16、食事の場所の分布を図表17、排せつの場所の分布を図表18でお示しをしてございます。図表17を御覧いただきますと、食事の場所の分布として、一番下にこの場所が示してございますが、1か所、一番左側の「居室外(普通の椅子)」という部分が潰れてしまっておりますが、これは白の棒グラフの内容を示したものになります。すみません。こちらを御覧いただきますと「居室外(普通の椅子)」が27.3%、「居室外(車椅子)」が61.6%となっておりまして、合わせて約9割の方は居室外で食事を摂取されているという結果でございました。図表18では排せつの場所の分布を示しておりますが、上のグラフが日中、下のグラフが夜間の分布を示しております。こちらを御覧いただきますと、排せつ場所は日中と夜間で差があるという結果でございました。
 続きまして、10ページ目でございます。ここでは「服薬状況」に関するデータとして、図表19では服用薬剤数の分布、図表20では薬剤分類別の服用率を示しております。図表19を御覧いただきますと、介護老人保健施設においては6剤以上薬剤を服用している方が37.8%という結果でございました。図表20を御覧いただきますと、薬剤分類としては「血圧降下剤」が26.9%と最も多い状況でございました。右の青で囲った枠については、参考としてお示しをしているデータでございます。ここでは数が少ないために必ずしも介護事業所全体の傾向を反映しているとは言えないのですが、参考としてお示しをした結果でございます。ここでは服用薬剤数の6か月間での変化を見ておりまして、ゼロか月目の時点では6剤以上薬剤を服用している方が84.9%であったものが、6か月目では37.2%と減少しておりました。
 11ページ目以降は、フィードバック票の活用に関するアンケート調査の結果をお示ししたものでございます。具体的にどのようなフィードバック票を用いたかということで、11ページ目には事業所フィードバック票、12ページ目には利用者フィードバック票の中身を抜粋してお示しをしております。
 13ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらではアンケート調査の結果をお示ししておりますが、図表21でCHASEシステムへ入力することへの負担感をお尋ねいたしました。ここでは負担が「大きい」もしくは「どちらかといえば大きい」と回答したところが合わせて9割となっておりました。図表22では、データ入力への負担を感じる場面についてお尋ねをしておりまして「CHASEシステムへのデータ入力作業」、そして「CHASEシステムの操作方法についての理解」といった回答が多くを占めておりました。具体的な内容についてヒアリングをした結果を図表23にお示ししております。
 上から2つ目のポツでございますが、介護記録システムに評価・記録しているデータがCHASEに連携されるのであれば、入力の負担は大きく軽減すると思われる。そして、その下のポツ、初回ログイン時の設定やID設定の方法等が理解できなかったため操作に時間を要したが、事務局に問合せをすることで操作方法の理解が進んだといった回答がございました。この2ポツ目のデータ連携に関しては、今年度中に改修を行っていく予定でございまして、3ポツ目に関しても次年度研修を行う予定としております。このような形で、次年度までに改善できると思われる課題についても、このヒアリングの時点では含まれていたということに御留意いただければと思います。
 14ページ目でございます。ここでは、利用者に関するデータ分析の実施状況についてお尋ねをした結果でございますが、図表24におきましては、今回、CHASEへデータ提出を行ってフィードバックに関するアンケートに協力をいただいた事業所においても、過去2年以内にデータ分析を実施していないと回答したところが73%を占めておりました。
 15ページ目でございます。ここでは事業所フィードバック票の活用についてお尋ねをしておりまして、事業所フィードバック票を用いることで、ケアの質の向上に活用できると思われる場面の結果を示したものが図表26でございます。黄色で囲ってございますところが「活用できる」または「現時点である程度活用できるが、改善されれば更に活用できる」と回答したところを示しております。赤で囲っておりますのは「経時データがあれば活用できる」または「現時点では活用できないが、改善すれば活用できる」と回答したところを示しております。この黄色の囲みと赤の囲みを両方合わせまして8割以上ということで、現時点で「活用できる」または「改善すれば活用できる」と回答していたところが大半となっておりました。
 16ページ目でございます。こちらは事業所フィードバック票に関して、今度は各指標についての活用意向をお尋ねしたものでございます。「活用したい」と回答したところを黄色、「改善されれば活用したい」と回答したところを赤で囲っておりますが、両方合わせておおむね8割以上となっておりました。
 17ページ目につきましては、同様に利用者フィードバック票についてお尋ねをした結果となっておりまして、図表28ではケアの質の向上に利用できると思われる場面、先ほどと同様にお尋ねをしておりますが、ここでも黄色の囲みと赤の囲みを合わせておおむね8割以上となってございました。
 18ページ目も同様に、利用者フィードバック票について各指標についての活用意向をお尋ねした結果となっております。こちらでも黄色で囲った「活用したい」、赤で囲った「改善されれば活用したい」を合わせておおむね8割以上といった結果でございました。
 事務局からの説明は以上となります。
○松田委員長 ありがとうございました。
 ただいま説明のありました調査番号(1)質の評価について、御質問があればお願いします。
 小坂委員、お願いいたします。
○小坂委員 別に大した話ではないのですが、6ページの誤嚥性肺炎の発生割合が時系列的に見られるということで見ているのですが、8月に増えているというのは何か意味があるのでしょうか。もし分かったら教えてください。
○北原介護保険データ分析室長 事務局から回答いたします。こちらは少しサンプル数も少ないので参考値という位置づけになるかもしれませんが、まだ解析の段階にございます。
 藤野先生から何かコメントをいただけますでしょうか。
○藤野委員 エビデンスを十分承知した解釈ではないのですが、8月と1月、お盆とお正月は上がるのではないかということはよく耳にすることはございます。エビデンスが十分あるお話かどうか分かりませんが、そういうことをよく現場の先生から耳にします。
○松田委員長 田宮委員、お願いします。
○田宮委員 今の誤嚥性肺炎のことについて一つ、私たちのほうで死亡統計を全国でやって、窒息で死亡した方の統計を取ったときに、明らかに1月が多いのです。次がお盆の8月だったというデータは出ていて、それは論文にもなっているので、おっしゃるとおり8月は多いのではないかと思っています。
 誤嚥性肺炎に関してはこれで、もう一つ全体のことなのですけれども、よろしいですか。上がった結果の中では今のことなど興味深い結果が出ていると思うのですが、一つ確認で、1ページ目にございます、もともとどういう分母の中のどういうサンプルかを確認してから数字を読まなければいけないと思います。2ページ目の回収率だけを見ますと52%、90事業者から回収があったと書いてありますけれども、そもそもアンケートに協力して入力をすると登録をした施設の数が分母になっているようなのですが、1ページ目の250事業所に至るまでのお声がけの仕方はどんな感じで、その250をどう考えていいのかを教えていただけますか。
○松田委員長 事務局、お願いします。
○北原介護保険データ分析室長 1ページ目の一番下に※がございますので、そちらを御覧いただけますでしょうか。CHASEにデータ登録のあった事業所数は642事業所、利用者数は3万584人ございましたけれども、本報告の解析においてデータを用いた事業所数及び利用者数が250事業所、3,230人であったという状況でございます。
○田宮委員 では、642というのはどのように登録されたというか、広く呼びかけて手を挙げたところですか。
○北原介護保険データ分析室長 上の2つ目の※にございますが、CHASEのIDを発行申請されたところで2020年10月末日時点で2,999事業所ございまして、その中でデータ登録のあったところが642事業所といった結果でございました。
○田宮委員 そうすると、CHASEのID登録申請もまず手挙げなのですか。
○北原介護保険データ分析室長 そうです。
○田宮委員 そこの段階でまず絞られて手を挙げたところがいて、それが2,999で、その中で今回642が登録で参加したのですね。それでそのうち250は実際に登録があったということですか。
 分母のほうから、今は最初だからセレクトされた方だけでモデル的にやるのはしようがないと思うのですけれども、負担も強いようですので、全体で言うとどのぐらいなのか把握は必要と思います。分母の2,999も既に手挙げをされた事業所ということですね。
○眞鍋老人保健課長 事務局から御説明させていただきます。先ほど事務局から御説明したとおりでございまして、今、IDを発行している事業所は2,999でございます。そのうち、何らかのデータ登録をいただけた事業所が642でございました。しかし、その中には、例えば御利用者様1名分のみとか、あるいは登録したのみとか、そういった今回の解析の対象となり得るようなデータではないところも含めまして642でございます。あとは調査、集計を進める中で解析するに足るであろうと私ども事務局として判断いたしまして、その中で250の事業所からいただいた3,230人が、これは解析に足るであろうと選びまして、それを今回の分析に用いたところでございます。
○田宮委員 分かりました。
 そうすると、CHASEのID発行申請のプロセスというのは、どのようになさったのでしょうか。その2,999の前の段階です。
○北原介護保険データ分析室長 1ページ目の先ほど説明させていただきました2つ目の※のところでございますけれども、介護施設・事業所から利用申請をいただきましたところ、あとは関係団体を通じて申請がございましたところ、そちらに対してIDを発行した状況でございます。
○田宮委員 これは全事業所のどのくらいの割合になるのでしょうか。2,999という数字がかなりカバーできているのか、それとも事業所だと介護施設・事業所全てのどういうところなのでしょうか。その辺の感覚的なきちんと数が分からなくて、2,999は施設やいろいろな全ての事業所を足してですね。
○北原介護保険データ分析室長 3ページ目に図表1がございまして、今回の分析対象となりました事業所と利用者の概要についてお示しをしてございます。今回は「介護老人福祉施設」が事業所数としては66、「介護老人保健施設」が113、「通所系サービス」が51、「その他サービス」が20、合わせて250といった結果でございました。
○田宮委員 内訳ですね。そうすると、2,999事業所も大体それらをカバーされた事業所なのでしょうけれども、声をかけられたのは、まずは幅広く全事業所にこういうことがあるので申請してくださいという投げかけはされたというプロセスでよろしいですか。サンプリングの考え方として、どのように考えたらいいのかなと思います。
○北原介護保険データ分析室長 こちらから通知で呼びかけを行っておりまして、その中で申請をいただいたところが合わせて2,999であったという状況でございます。
○田宮委員 通知は全数ではなくて、その段階で既にサンプリングされていたということですか。
○北原介護保険データ分析室長 基本的には団体に幅広く呼びかけをさせていただきまして、その中で手挙げしていただいたところが合わせて2,999であったという状況でございます。
○田宮委員 全体の事業所のどのぐらいになるかというのは分かりますか。大体でもいいのですけれども、半分とか、10分の1とかイメージだけでも、大変なこととは思うのですが。
○北原介護保険データ分析室長 即答ができませんので、また確認後に改めて回答させていただきたく存じます。
○田宮委員 ありがとうございます。お願いします。
○松田委員長 今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。
 今の田宮先生の内容ともかぶるのですけれども、恐らく事業所は何万もあるのです。その何万もあるうちのCHASEにもともと登録してくれた人が3,000事業所という状況で、その段階で最低限10分の1以下、恐らく5%ぐらいになります。その3,000のうちの今回入力してくれたところは250、そこでもう1割に落ちます。その上でまともに入ったところが170ぐらいということなので、これは全体の1%は入っていないと思います。ですから、この数字そのものは私は信じてはいけないと思います。ただ、こういう分析ができることはすごくよく分かったので、だから、CHASEが使われていないことが分かったということと、CHASEがちゃんと入ったらすごくいろいろなことができることが分かったということだと思います。ですから、そこは私からの意見としてです。
 今の内容に関連して、意見を言わせていただいてよろしいでしょうか。まず、CHASEがこんなに使われていないとは思っていなかったというのが一番です。何万もあるうち現在3,000ぐらいというのは、徐々に普及すると思っていたのですけれども、今回の調査で実際にデータ入力をしてくれているのが250ぐらいしかないということは、物すごく入れにくいのだと思います。ですから、個別の意見を聞いていると、どこにログインしていいか分からなかったということは、IDをもらっても入れなかった人が大半だったという状況が明らかになったと思うので、これは調査の成果ではあるのですけれども、ゆゆしきことだと思います。それをちゃんと入力してもらえるようになれば、この数字が信じられるものになるのではないかと思うので、これをどう普及するかが今回大きなテーマだということが分かったのだと思います。
 その上で、今回の1%に満たない多分客体でしょうけれども、分析してみるといろいろなことが分かりそうだということは分かったというところだと思うので、これが信じられないから駄目だということではなくて、未来があることは分かったけれども、どうやって入力してもらおうかということをちゃんと厚労省で考えてもらわなければいけなくなったと。すごく入力するのに苦労することが分かったので、手続的なことを改善してもらうことは必要ですけれども、何らかのインセンティブをつけない限りなかなか入れてくれそうになさそうだということも分かったと思うので、ここで言うのがいいか分かりませんけれども、例えばCHASE入力加算のようなものを考えてもらわないと、なかなか入力してくれないのではないかと思いましたというのが私の意見です。
 厚労から今の認識で違っていることがあったらコメントをお願いします。
○松田委員長 ありがとうございます。
 事務局、何かコメントはございますか。
○眞鍋老人保健課長 御指摘ありがとうございます。
 全体の数の中でどのぐらいかということに関しましては、申し上げさせていただきますけれども、今、特養が例えば8,000あるいは老健施設は4,300ほどございます。その中で3ページにお示しするような数のデータを入れていただいて、今回お示しをさせていただいたということでございます。デイサービス事業者は2万幾つありますので、その中でこの数でございますが、今回はモデル事業ということで、私どもとしては、当初、団体の協力を得てそれなりにデータを入れていただけそうなところにお声がけをしたということが実情でございます。その中で、CHASEのスタート自体もコロナで遅れたということもございます。そういった中でサンプルが限られたということは、私もそのとおりだと思ってございます。その上で、今村委員から御指摘いただきましたように、今後これをどのように改善していくかということは、私どもはさらに検討を進めていかなければいけないと思っております。
○松田委員長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 粟田委員、お願いします。
○粟田委員 16ページに項目ごとの今後の活用の意向について書かれているのですけれども、ここで「認知機能」のところが「活用したいと思わない」が25%で「改善されれば活用したい」が半分ということで、一番使いにくいのだなということがよく分かったのですけれども、幾つか主な意見はあるのですが、認知機能に関連して改善されれば活用したいという具体的な意見がもし今分かれば教えていただきたいです。
○松田委員長 いかがでしょうか。
○北原介護保険データ分析室長 ありがとうございます。
 今、御覧いただきました16ページ目につきましては事業者票のフィードバックではあるのですけれども、利用者票のフィードバックに関してお尋ねをした結果が18ページ目にございまして、御参考でございますが、そちらでは認知機能に関して右側に主な意見、2ポツ目のところで「認識機能のフィードバックについて、点数のみでは実像が見えにくい」といった意見があったという結果でございました。
○粟田委員 分かりました。
 一応、私の立場として言っておかなければいかぬかと思うので、根本的なことをお話しして申し訳ないのですけれども、このDBDというのは1990年につくられたものなのですが、当時、行動・心理症状という概念もなくて、ここに掲げられている項目は、いかに介護者が困るかという内容が書かれているのです。ということで、実はいろいろ問題があって、まず本人のQOLはあまり考慮されていないということで、これがよくなったからといってケアの質が改善したとは言いにくい。それから、翻訳の問題でもともとよくないと思うのですが、文言はあまり配慮がない言葉なのです。例えば「やたらに歩き回る」とか「理由もなく言いがかりをつける」とか、そういう言葉が使われていて、これは認知症ケアをやっている人は使いたくないだろうと思います。
 それから、私は実際にこれの因子分析もやっているのですが、3因子抽出されるのですけれども、第1因子がほとんどを網羅するのですが、これはいわゆる迷惑行動になっているのです。それから、第2因子、第3因子のどちらかですけれども、記憶関連行動ということで「同じことを何度も言う」というのも得点化されるのですが、同じことを何度も言うのを減らすことがケアの質を改善することとは全く関係がないので、こういったことが並んでいるので、私はこれを使うのはリコメンドいたしません。その後、行動・心理症状という概念が1998年にできるのですが、それ以降、ちゃんとQOLを考慮した国際的な指標もつくられているので、そういうものを考えてはいかがかと私は思います。
 以上でございます。
○松田委員長 ありがとうございます。
 非常に貴重な御意見だと思います。恐らくほかの項目も含めて、現場からこの結果を踏まえてどういうケアの改善をするのかに関する疑問のある項目が幾つか出てきているのは、私のところにもそういう意見がありますので、そういう意味でCHASEの項目そのものの見直しももしかするとこの後にやらなければいけないという貴重な御意見だったと思います。
 続きまして、藤井委員、お願いします。
○藤井委員 先ほど、田宮委員、今村先生がおっしゃったことに関することなのですが、事務局のほうでnが少ないあるいは代表性がないといった補足が2回ほどあったせいで、逆にこのデータに代表性を求めるのではないかという聞き方を私もしていたのですけれども、そもそもほかのこれまでの改定検証の調査と違いまして、CHASEというものを今後導入していくと。そこに参加されている方がどれぐらい入力してくれていて、そこのデータはこうだよという話だと思うのです。つまり、分かりやすく比喩で言うと、例えばDPCが入ったときに、DPC対象病院の結果の集計が出たときに、その数字を見たときに、誰もが病院の医療機関に代表性のある数字だとは思わないで見たと。DPCというのはインクリメンタルに進むものだという頭があったので疑問が起きなかったのですが、厚労省にお聞きしたいのですけれども、今回の結果を見ても、CHASEというものが一気に2~3年のうちに全数入れてくれるとか相当数入れてくれるというよりは、先ほど今村先生がおっしゃったような加算等をつけながらインクリメンタルに進むものであるという理解をするのであれば、この見方が大分変わってくると思うのです。また、御説明の仕方もそういうニュアンスで説明していただければデータの読み方が変わってくると思いますので、その点をお聞きしたいというのが1点目です。
 2点目、13ページに今回のデータ提供に関わる負担感という話が出ているのですが、特に図表23の今ある介護記録システムに評価・記録しているデータがCHASEに連携されるのであれば入力負担は大きく軽減するというところなのですけれども、この部分は私の理解では今回も試みられていたのではないかということと、最終的にCHASEが出来上がったときにはこれは前提になっているという理解でおりました。これが可能になるかならないかでCHASEというものがスムーズに移行するかどうかという結構大きな話ですので、この点、ヒアリング結果でこういう意見が出たということは、連携はしていなかったのだなということは分かるのですけれども、これは補足説明なりなんなりがあるべきかと。
 ついでに、14ページの図表24で、利用者に関するデータ分析の実施状況で73%、4分の3がこれまで行ったことがない。この数字をどのように見るかですけれども、やはり相当多い。こういった自らの施設のデータを振り返ることなくサービスを提供されている実態があるからこそ、このCHASEをつくり上げていく重要性が見えてきたのではないかと思います。
 4番目、事業所の分類としてなのですけれども、3ページの図表1で特養と老健を分けているというのは分かります。通所サービスも分かるのですけれども、※4の「その他サービス」に訪問介護、訪問リハビリまでは分かるのですが、療養施設等も含むとなっております。nの関係上こうなるのは分かるのですけれども、ほかのデータを読むときに、施設型のサービスというのは多職種がいて医療系の職種もいるということでアセスメント等はかなり適切に行えると思うのですけれども、訪問系ではこれが極めて難しい。甚だ怪しい情報になりがちであるということもあるので、これは分類されるのであれば、訪問型と介護療養を一緒くたにされるのはやめられたほうがいいのかと。分析されるときに、施設系と通所系、訪問系あるいは施設系とその他という分け方で分析されたほうがいいのだろうと思います。ここでは回収の対象者数を示しているというぐらいの意味であればこれでもやむを得ないかと思うのですけれども、後々のデータの中では施設でもない限り取りにくいデータもあると思いますので、その点、コメントをさせていただきます。
 以上です。
 1点目について、事務局の御意見というか、お話をいただければと思います。
○松田委員長 事務局、お願いします。
○眞鍋老人保健課長 事務局でございます。
 御質問をありがとうございました。このCHASEに関しまして、インクリメンタル、要は徐々にこれに御理解いただける、御協力していただける事業所・施設を増やしていって、そこの内容をきちんと分析できるように、そしてまたフィードバックできるように、そしてまたそれが広がっていって全体のケアの質が上がるように、また、それをCHASEを利用しない事業所も参考にできたりということを考えているところでございます。私ども、別途分科会も走ってございまして、これに関する評価をどのようにしているかということも別途御議論いただいているところでございます。私どもとしては、藤井委員にDPCの例をお出しいただきましたけれども、同じような形で、まずこれに御協力いただけるところ、そしてまたそれを増やしていくということで考えているところでございます。
○松田委員長 ありがとうございました。
 DPCのことを少しお話しすると、DPCの場合には項目が徐々に変わっていくという事情がありましたので、落ち着くまではこちらで入力システムを別に提供しました。このCHASEの項目についても、先ほど来いろいろな御意見があるように、見直しが必要なものが出てきてしまう可能性があるだろうと思います。そうすると、既存システムを提供しているベンダーさんはそれを組み込む作業をやりにくいですね。使用する側はその更新がかかるたびにシステムを買い換えなくてはいけないという経済的負担がかかります。こうした事態を避けるためにも内容の検証などを少し併せてやっていくことが必要だろうと思いますし、本体システムにつなぐことができるサブシステムの開発をやったほうがいいのかと思います。これは私の意見です。
 木下委員、お願いします。
○木下委員 ありがとうございます。
 まず、根本的な基本的な質問で申し訳ないのですけれども、これは1回目の調査で今後経時的にやっていくという理解でよろしいのでしょうか。といいますのも、加算による利用者の状態の維持・改善等を評価可能であるかということなのですが、1回の横断的な調査だと改善したのかどうかはなかなか分かりにくいと思うので、経時的にやっていくものなのか、それとも、今回の調査だけで分かることをまず評価するのかということをお尋ねさせていただきます。事務局、いかがでしょうか。
○松田委員長 どうぞ。
○眞鍋老人保健課長 事務局でございます。
 来年度以降、改定が終わった後に調査をこのように立てるかどうかはもちろん分科会の議論によりますけれども、私どもとしてCHASEに入力をしていただいたデータ自体はたまっていきます。それを経年で分析できるように、そういうシステムとして我々は考えております。ですから、何らか私どもとして別途調査を立てるかどうかは御議論ですけれども、この頂いたデータを経年で年次的に把握し、そしてまた分析しということはさせていただきますし、それからまた御提示をさせていただきたいと思っております。
○木下委員 ありがとうございます。
 そうしないと改善したのかどうか変化するのかどうかはなかなか分かりにくいと思いますので、ぜひ経時的に追っていただきたいと思います。ただ、その問題点として、項目を変えたりした場合、あるいは対象の事業所が大きく変わって数が増えたという場合は単純に比較はできないということも考えられます。その点も御留意いただいて経時的にフォローしていただきたいと思います。
 細かい点なのですけれども、表16の1週間における趣味・役割活動を行う頻度というもので、ほとんどゼロ回が38.8%もあってびっくりいたしました。単純な質問なのですが、コレラの施設では全く趣味や役割活動をやっていないということなのでしょうか。
○眞鍋老人保健課長 これに関しましては、そのようにお聞きしてこのように書いています。ただ、施設における、あるいは事業所における趣味・役割活動が本当にどこまで、つまり、本当に皆さんに集まっていただいてイベント的なものを捉えていらっしゃるのか、あるいは日常生活の中で一緒にやるものも入れているのか入れていないのか、そこは施設によって少し定義が異なろうかと思っております。実は私どももこのゼロ回というのはちょっとびっくりしたのですけれども、そのように施設がどのように捉えるかというところもありますので、ここはもう少し実態を表すにはより踏み込んだ分析が必要かと思っております。
○木下委員 ありがとうございます。
 レクリエーション等は恐らく老健等であれば結構頻回にやっているかと思いましたので、質問の先方の捉え方が曖昧だった可能性もありますので、もう少しクリアな質問にしていただければいいかと思います。
 もう一つ、医学的な観点からですが、図表20の服薬に関して、中枢神経系のその他というものが何なのかということと、その隣の参考資料の中にあるデータで、6か月の間でこれほど大きく服薬が変わった原因について何か調査されていましたでしょうか。通常ですと、6か月の間に服薬についてはそれほど大きな変化がないとは思うのですが、6剤以上の方85%が37%になったというのは非常に大きな変化だと思います。これは医学的な理由なのか、それとも社会的な理由なのか、その辺りの理由がもし何か分かればと思いましたので、薬剤について質問させていただきました。
○松田委員長 事務局、いかがでしょうか。
○北原介護保険データ分析室長 まず、図表20の「その他の中枢神経系用薬」というところでございますけれども、その下に「向精神薬」、さらに「抗パーキンソン剤」というものがございまして、それ以外のものを「その他の中枢神経系用薬」とここでは分類してございます。その数が多かったのでその他というものが上から2番目に来ている状況でございます。
 また、参考の四角で囲ったデータにつきましては、この介護老人保健施設の中ではまるめの形で薬剤を処方していただいているということもございますし、処方を減らすようなところに関して報酬の中でもインセンティブがついているということがございますので、もしかするとそのような背景もあるかもしれないと推察しております。
○木下委員 ありがとうございました。
 「その他の中枢神経系用薬」の中に、恐らく私の想像するに抗認知症薬とか、あるいは睡眠薬などが入っているのではないかと思いました。わざわざパーキンソンの薬をここに分離、独立させているのですけれども、「その他の中枢神経作用薬」の中に、例えば抗認知症薬や睡眠薬などはどの程度なのかと疑問に思いましたので、質問させていただきました。○松田委員長 藤野委員、どうぞ。
○藤野委員 この「その他の中枢神経系用薬」、これは薬効分類をそのまま持ってきているのではないですか。
○松田委員長 恐らくそのとおりだと思います。
 事務局から説明がありましたように、今は高齢者施設では飲まなくてもあまり大きな影響がないような薬に関しては減薬していこうと努力しています。減薬することによって転倒などのいわゆる神経的に不穏な症状などの副作用を減少していくという努力が行われています。減薬したほうが良いというエビデンスも出ていますので、そういう意味では医学的な観点からも適切に減薬が進んでいるのだろうと思います。
 趣味活動については、これを明らかにするためには要介護度別にどのぐらいやっているかを見ていただけたらと思います。今回のデータを見ると、要介護4・5が半分ぐらいになっているので、そうすると、要介護4・5の方で比較的ベッド上での生活が中心になっている方が趣味・生きがい活動ができるかというとなかなかできないと思いますので、その辺は要介護度別にまた集計していただければ今の木下委員の質問に対する回答は出てくるのかなと思いま。少し深掘りしていただけたらと思います。
 近藤委員、お願いします。
○近藤委員 今、松田先生がおっしゃったことに関して、老健に入れるときに医療機関側としては結構かなりの圧力を、要するに高い薬を削れという形で受けているのです。これが本当に松田先生のおっしゃるように眠剤を減らしたりして転倒を減らすといういいほうに動いていればいいのですけれども、逆に老健側としては高い薬をどんどん削っていってしまおうという方向で動いているとすると、それはそれでまた問題だと思うのです。ですから、難しいかもしれないのですけれども、できれば薬価とクロスするともう少し真実の部分が見えてくるのではないかと思いますので、コメントを追加させていただきました。ありがとうございます。
○松田委員長 ありがとうございました。
 これは分析できるといいのですけれども、結局老健で使われている薬というのはレセプトで出てこないのですね。だから、医療側で使っていた薬が老健に入ってどうなるかはすごく見えにくくなっているので、近藤先生が言われたように高い薬は削られてしまうということは生じています。実際、アリセプトがまだブランド薬しかなかったときなどはすごく出しにくいという意見が老健協会からかなり出ていたと思います。その辺は、高いけれどもエッセンシャルな薬は続けられるような仕組みを考えないといけないのだろうと思います。
 近藤委員、どうぞ。
○近藤委員 医療機関側としてすごく危機感を覚えているのは、心不全系の薬が削られてしまうと、割と薬価が高いものがあるので、そこは心配といえば心配しております。
○松田委員長 ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。
 田宮委員、お願いします。
○田宮委員 先ほど回収率のコメントをさせていただいて、今村委員からフォローいただいて、本当にそのとおりだと思っています。今後に向けては、13ページ、先ほどお話が出たヒアリングの調査の結果をもう少し深掘りされたらよいかと思います。一部の項目は連携していて、そこだったら大丈夫だった、負担の軽減はなかったみたいな話もありますので、もう少しここは、どれだったらやれそうか、どういうところが難しいかなどです。結果の中身の検討は一部そういう特殊な例だということは分かった上で検討することとして、今後に向けてのプロセスも、もう少し概要ではなくて深掘りしていただいて議論する必要があるかと思いました。コメントです。ありがとうございます。
○松田委員長 今村委員、お願いします。
○今村委員 私も追加のコメントで、資料の14ページ、先ほど藤井委員が指摘されたことと同じなのですけれども、利用者に関するデータ分析の実施が23%というのはなかなか衝撃的な数字でした。何万のうちに積極的なところが3,000登録していて、その上であらゆる困難を乗り越えて入力してくれた200の施設が2割しか分析していないというのは、もともとデータ分析する習慣そのものがないのではないかと思います。自分が入力したデータは絶対に過去の記録と比較しようと思うと思うのですけれども、入力したものを見ていないというのは、なかなかすごい結果だと思います。そういう意味でも、CHASEを入れてもらって分析する習慣をつけてもらうことが介護界全体にとって重要なのではないかと思います。医療界、病院でこういうものをしたら必ず誰か自分なりに分析してやると思うのですけれども、これは見ていないということだと思うので、これはゆゆしき結果だと思います。ですから、ぜひCHASEを普及してもらいたいと思いました。
 以上です。
○松田委員長 ありがとうございました。
 近藤委員、お願いします。
○近藤委員 今のことも関連しているのですけれども、介護ロボットを専門にしている人間として発言させていただきたいのですが、CHASEは確かにつけづらくて、項目数も多くてというのがあるのですけれども、最終的にDPCに類似させていく、本当にエッセンシャルで役に立つ項目だけ残していく必要があると思うのです。そういう観点から見ると、9ページ目の図表18ですね。排せつの場所の分布というのはすごくケアの質に関係するのと、実際に介護ロボットを入れるとここの部分がかなり変わってくるものですから、マストの項目として、ぜひ残しておいてもらいたい項目として私はすごく強く推したいと思います。
 以上です。
○松田委員長 ありがとうございました。
 田中委員、お願いいたします。
○田中委員 今議論に出ている入力の手間とかデータ分析が少ない点について発言します。先日、事務局に確認したのですが、データ入力の方法やデータの分析についての事前研修等はまだ行われていません。介護界はそういう力はないと言って決めつけてしまってはいけません。今までそういう訓練課程が少ないわけですね。だとしたら、都道府県、医師会等を通じて事前研修や、そのための費用負担を公的に行うなどした上で、今の入力が難しい、データ分析をしていないところを改善する、それが必要です。単なる金銭的インセンティブではなくて、当然ながら分からない人たちには研修とセミナーの機会などを提供した上で、初めてやはり難しいのか、あるいは研修を受けたら結構できるようになったとか、研修を受けたらデータ分析ができるようになったとの成果を入れていかないと、今の時点で単にデータが低いからけしからぬとかこんな難しいものは駄目だという結論に行かないように私は期待しております。
 以上です。
○松田委員長 小坂委員、お願いします。
○小坂委員 今と同じことで、そもそもこのCHASEで各機関が解析できるツールみたいなものが内蔵されているのか。つまり、報告して自分のところのものを時系列的に見ていくというのは当然なのですが、同じような施設と横と比べていく、あるいはベンチマークとして全体と比べるということは、かなり興味を持ってやっていただけると思うのです。ほかの我々がJAGESでいろいろ30都道府県を並べたときも、隣の市町村など同じような市町村に比べてどうだったかということはすごく気にされていました。それは介護報酬も入っていればなおいいと思うのですが、そのような形で比較できるような使いやすいツールが内蔵されるということがないと、解析は普通はできないですね。
○松田委員長 ありがとうございました。
 DPCのことを少しお話しさせていただくと、DPCはCHASE以上に入力項目を集めるのが難しい調査だったと思うのですけれども、それで私たちは何をやったかというと、かなり早い時期からDPCのデータを個々の施設がどのように使うのかをアクセスとエクセルだけでやれるというセミナーをほぼ月に1回ぐらいやって、いろいろ関連の文献なども出していきました。そうすると、現場の方は自分の施設を分析すると面白いのですね。そういう分析の面白さに気づいていただくことが大事だと思います。
 今村委員が先ほど言われていましたけれども、実はDPCが入るまでは大学病院もあまりやっていませんでした。DPCが入っていろいろなことが使えるようになって比較できるようになって、それは盛り上がったのだと思うのです。そういう意味で、田中先生のおっしゃったようにCHASEもそういう形で育てていく姿勢が必要なのだろうと思います。
ということですので、いい仕組みになるように皆さんで支えていくということで、今日はもう大分時間が押し迫っておりますので、まとめさせていただけたらと思っております。大変いろいろな御質問をいただいたのですが、引き続き今回の意見等を踏まえまして、さらなる分析と検証をお願いしたいと思います。
 スケジュール的には各調査の最終報告が今年3月以降ということになりますので、それにつきましてもよろしくお願いいたします。
 藤野先生、どうぞ。
○藤野委員 先生方、たくさんの御議論をありがとうございました。この調査を担当した委員として発言させていただきます。
 今回いただいた御意見は、基本的には全てCHASEの今後への期待とか、少なくともこのように変わっていくと有用であるという認識の下での御議論だったかと思います。このように例えば国レベルであったり、上位レベルでの御議論というのが、いわゆるマネジメントシステム的に考えると変更の管理という考え方になろうかと思います。例えばこういう分析の軸を入れたほうがいいのではないかとか、こういう調査項目を入れたほうがいいのではないかということをこのような大きな上位レベルの意思決定の中でやっていく。それから、現場の中ではこれを使って、今回の参加で言えば7割ぐらいの施設が事実上何もしていないという中で始めると、これが6割になって、5割に減って、だんだん増えていく。そういったことが期待できるということが今回の先生方の御認識としてあったのではないかと思いますので、CHASEの可能性に関しては非常に期待ができるのではないかと改めて受け止めさせていただきました。
 以上になります。ありがとうございます。
○松田委員長 藤野先生、ありがとうございました。
 では、事務局、お願いいたします。
○北原介護保険データ分析室長 本日はお忙しい中、活発な御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。
 本日、皆様に御議論いただきました御意見とともに、速報値の内容につきましては、11月16日に開催をされる介護給付費分科会に報告し、今後の議論に活用していきたいと考えております。
 それでは、ほかに御質問等がなければ、本日の議題はこれで終了としましたので、閉会させていただきます。
 お忙しいところを誠にありがとうございました。
                                                                                                                   (了)

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