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2018年4月12日 第1回 看護基礎教育検討会 議事録

医政局看護課

○日時

平成30年4月12日(木)15:00~17:00

 

○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎2号館

○出席者

安藝 佐香江 (医療法人社団永生会みなみ野病院人本部統括看護部長/看護部長)
井伊 久美子 (公益社団法人日本看護協会専務理事)
池西 静江 (一般社団法人日本看護学校協議会会長)
井村 真澄 (公益社団法人全国助産師教育協議会会長)
江崎 喜江(※崎はたつさき 以下略) (大阪府病院協会看護専門学校副学校長)
太田 秀樹 (一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長)
釜萢 敏 (公益社団法人日本医師会常任理事)
木澤 晃代 (日本大学病院看護部長)
木村 元 (一橋大学大学院社会学研究科教授)
酒井 郁子 (千葉大学大学院看護学研究科附属専門職連携教育研究センターセンター長)
中島 由美子 (医療法人恒貴会訪問看護ステーション愛美園所長)
中西 亜紀 (高槻市医師会看護専門学校教務部長)
額賀 修一 (全国看護高等学校長協会副理事長)
馬場 武彦 (一般社団法人日本医療法人協会副会長)
春山 早苗 (自治医科大学看護学部学部長/教授)
菱沼 典子 (一般社団法人日本看護系大学協議会理事)
藤田 京子 (蕨戸田市医師会看護専門学校副校長)
前田 彰久 (富山県厚生部長)
村嶋 幸代 (一般社団法人全国保健師教育機関協議会監事)
山口 育子 (認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)
山田 雅子 (聖路加国際大学大学院看護学研究科教授)

○議題

 (1)看護基礎教育を取り巻く現状と課題
 (2)今後の検討の進め方について
 (3)その他

○議事

 

○関根教育体制推進官 それでは、皆様、お時間になりましたので、ただいまより第1回「看護基礎教育検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様におかれましては、本日はお忙しい中、本検討会に御出席いただき、まことにありがとうございます。

 まず、初めに医政局長の武田より御挨拶申し上げます。

○武田医政局長 医政局長の武田でございます。

 本日は御多忙の中、皆様、多数御出席を賜りまして厚く御礼を申し上げたいと思います。

 構成員の皆様におかれましては平素より医療行政、とりわけ看護教育の推進に御理解、御協力をいただいております。この場をお借りして、厚く御礼を申し上げます。

 現在、我が国の医療をめぐる環境は、人口構造や疾病構造が急速に変化し、またICTIoTなどが大きく進展をしておりまして、患者・住民のニーズも多様性・複雑性を増しているところでございます。

 こうした環境やニーズに対応するため、厚生労働省では社会保障・税の一体改革の中で、病床機能の分化・連携強化、在宅医療の推進、地域包括ケアシステムの構築などに向けまして、さまざまな取り組みを展開しているところであります。

 今後、急性期医療のみならず、在宅医療のさらなる推進ですとか、介護サービスの充実などが進められる中、患者さんや地域で療養する方々のケアを中心的に担う存在である看護職員の方々には、さまざまな場での活躍が今後一層期待をされているところであります。

 そのため、医療提供体制を整備する観点からも、看護職員の確保とともに資質の向上がますます重要な課題であると認識をしております。

 このような状況を踏まえながら、将来を担う看護職員にはどのような能力が求められ、またそれを培うための看護基礎教育の内容や方法はどのようにあるべきか、こういった点についてぜひ議論を深めていただきたいと考えております。

 構成員の皆様方におかれましては、それぞれ御専門のお立場から忌憚のない御意見をぜひ賜りますようお願いを申し上げ、開会に当たっての私からの御挨拶とさせていただきます。

 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○関根教育体制推進官 医政局長は公務のため、途中で退席させていただきます。

 それでは、議題に入ります前に、構成員の皆様の御紹介をさせていただきます。

 資料1の3ページ目に別紙としまして構成員の名簿がございますので、こちらの名簿に沿って事務局のほうから御紹介させていただきます。

 初めに、本検討会の座長をお願いしております国立社会保障・人口問題研究所所長の遠藤久夫構成員です。

 医療法人社団永生会みなみ野病院看護部長/法人本部統括看護部長、安藝佐香江構成員です。

 公益社団法人日本看護協会専務理事、井伊久美子構成員です。

 一般社団法人日本看護学校協議会会長、池西静江構成員です。

 公益社団法人全国助産師教育協議会会長、井村真澄構成員です。

 大阪府病院協会看護専門学校副学校長、江崎喜江構成員です。

 一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長、太田秀樹構成員です。

 公益社団法人日本医師会常任理事、釜萢敏構成員です。

 日本大学病院看護部長、木澤晃代構成員です。

 一橋大学大学院社会学研究科教授、木村元構成員です。

 千葉大学大学院看護学研究科附属専門職連携教育研究センターセンター長、酒井郁子構成員です。

 医療法人恒貴会訪問看護ステーション愛美園所長、中島由美子構成員です。

 高槻市医師会看護専門学校教務部長、中西亜紀構成員です。

 全国看護高等学校長協会副理事長、額賀修一構成員です。

 一般社団法人日本医療法人協会副会長、馬場武彦構成員です。

 自治医科大学看護学部教授/学部長、春山早苗構成員です。

 一般社団法人日本看護系大学協議会理事、菱沼典子構成員です。

 蕨戸田市医師会看護専門学校副校長、藤田京子構成員です。

 富山県厚生部長、前田彰久構成員です。

 一般社団法人全国保健師教育機関協議会監事、村嶋幸代構成員です。

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長、山口育子構成員です。

 聖路加国際大学大学院看護学研究科教授、山田雅子構成員です。

 本日、御欠席の御連絡をいただいているのが、東邦大学の福島富士子構成員となっております。

 続きまして、オブザーバーといたしまして、文部科学省初等中等教育局滝波主任視学官、

 文部科学省高等教育局西田医学教育課長に御出席いただいております。

 最後に、事務局を紹介いたします。

 医政局長の武田でございます。

 看護課長の島田でございます。

 看護職員確保対策官の乗越でございます。

 そして、私、教育体制推進官の関根でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、遠藤座長に議事進行をお願いしたいと思います。遠藤座長、よろしくお願いいたします。

○遠藤座長 座長を仰せつかりました遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 構成員の皆様方の御協力をいただきまして、当検討会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず初めに事務局から資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○関根教育体制推進官 皆様、お手元に配付してございます資料を御確認ください。

 議事次第をごらんいただきまして、資料1としまして「看護基礎教育検討会開催要綱」。

 資料2、「看護基礎教育を取り巻く現状等について」。

 資料3、「ワーキンググループの設置について(案)」。

 資料4、「看護師養成所における教育内容と方法に係る調査結果」。

 資料5、「第1回検討会においてご議論いただきたい点」。

 それから、参考資料としてお手元に青いファイルをお配りしております。そちらには法律や局長通知等、関連するものと、今までの教育に関連する検討会の報告書をまとめてございます。

 資料の落丁、不足等がございましたら事務局にお申しつけください。

○遠藤座長 よろしゅうございますか。

 それでは、議題に入りたいと思います。

 まず、事務局から資料が出されておりますので、資料1~5まで通して事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○関根教育体制推進官 お手元に、資料1を御用意ください。

 資料1は、開催要綱となっております。

 1の「趣旨」には、本検討会を開催するに至りました社会的背景や直近の指摘事項を記載しております。

 これらの看護職員を取り巻く状況の変化及び現在の教育実態を踏まえまして、本検討会は将来を担う看護職員を養成するための看護基礎教育の内容と方法について、具体的な検討を行うことを目的に設置いたします。

 看護基礎教育とは、免許取得前の卒前教育を指し、本検討会で検討しますのは次のページをおめくりいただきまして「検討事項」に書いておりますように、範囲は保健師、助産師、看護師、准看護師の4資格となっております。

 そして、看護基礎教育を取り巻く現状と課題、将来の看護職員に求められる能力、免許取得前に習得すべき能力を養うために必要な教育内容と方法、教育の多様性への対応、今後の教員や実習指導者等のあり方、の5つの事項について検討いただくことになります。

 続きまして、資料2を御確認ください。

 看護基礎教育を取り巻く現状等というところで、1番目として「看護職員を取り巻く状況の変化」をお示ししております。最初の2枚に人口構造の変化として、これから少子高齢化がますます進んでいくことをお示ししております。

 続きまして、5枚目が「年齢階級別にみた推計患者数の年次推移」でございます。

 「我が国における疾病構造」を6枚目でお示ししております。

 そして、7枚目に「地域医療構想について」を紹介しております。こちらは、医療機能の現状と今後の方向性について医療機関からの報告を受け、都道府県が2025年の医療需要と病床の必要量を推計し、医療従事者の確保、養成等を含めた医療提供体制を実現するための施策を展開するものとなっております。

 続いて、8枚目に「地域包括ケアシステムの構築について」をお示ししております。こちらは、住み慣れた地域で最後まで生活できるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制の構築のことを指しております。前のページの「地域医療構想」と併せまして、このような状況の中で看護職員に求められる能力は何かといった点で御議論いただければと考えております。

 続きまして、9枚目に「看護職員就業者数の推移」をお示ししております。

10枚目は「看護職員の就業場所の推移」としまして10年前との比較をお示ししております。

 続きまして、11枚目は「訪問看護利用者数の推移」をお示ししております。サービス利用者数が近年、大きく増加をしております。

12枚目は「訪問看護ステーションの就業者数の推移」でございます。こちらも、年々ふえているというのがおわかりいただけるかと思います。

 そして、13枚目は「常勤保健師数の推移」でございます。こちらは、地方自治体で働く保健師数の推移をお示ししております。

 次の14枚目のスライドでは常勤保健師の活動項目の状況をお示ししておりまして、最も多く時間を割いているのが青色で表記されている保健福祉事業となっており、その次の15枚目のスライドでその事業の内訳をお示ししております。多く時間を割いているのが、家庭訪問、保健指導、健康相談、健康診査、健康教育のあたりとなっております。

 続きまして、16枚目は「出生場所別出生数の推移」をお示ししております。

 その次17枚目のスライドには、「助産師就業場所別就業者数の推移」をお示ししております。

18枚目は「出生時体重別出生数及び出生割合の推移」をお示ししておりまして、出生数は減少していますけれども、極低出生体重児、超低出生体重児の割合が増加していることをお示ししております。

 続きまして、「2.看護基礎教育の現状」です。

20枚目が「看護教育制度図」をお示ししたものでございます。

 その次からは各職種の教育内容の変遷をお示ししております。

 まず21枚目、「保健師」ですが、平成23年の第5次改正が最終で、修業年限を6カ月から1年以上に延長、健康危機管理及び地域全体の健康状態の改善、向上を強化し、保健師の役割と専門性を明確化するため、地域看護学を公衆衛生看護学に改正するなどしております。

22枚目は「助産師」の教育内容の変遷です。こちらも同じく平成23年、第5次が最終でございまして、修業年限を6カ月以上から1年以上に延長いたしまして、妊娠経過の正常、異常の診断能力、分娩時の緊急事態に対応する能力、新生児期のアセスメント能力を養うために、助産診断学、技術学、臨地実習の単位を増加する等しております。

23枚目は「看護師」の教育内容の変遷でございます。平成20年の第4次改正が最終でございまして、基礎分野、専門基礎分野、専門分野I、専門分野IIで学習したことを実践により近い形で学習し、知識、技術を統合させることを目的として統合分野の創設等を行っております。

24枚目は「准看護師」の教育内容の変遷でございます。平成11年の改正が最終で、教育内容の充実のため、総時間数の増加、精神面の看護の重要性に鑑み、精神看護の新設等を行いました。

 おめくりいただきまして、「3.近年の検討会等における看護基礎教育に関する議論」を御紹介します。

26枚目ですが、「看護基礎教育に関する主な検討経過」を示しております。ここに掲載しております検討会等の報告書を参考資料として、お手元の青いファイルの中にファイリングしておりますので、適宜御参照いただければと思います。

 続きまして、27枚目に「近年の検討会等における議論」を紹介しております。左側に「論点」というふうに書かせていただいていますが、本検討会で論点となりそうな2点について看護基礎教育に関する検討会で指摘された事項を記載しております。

 1点目が「効果的な教育方法について」ということで、実際に「看護教育の内容と方法に関する検討会」において、右側にある領域横断的なカリキュラムやシミュレーション教育の実施、柔軟な実習の場の開発、そして総時間数を併記することの是非について検討を続ける必要性などを御指摘いただいております。

 続きまして、2点目の「看護教員の養成等のあり方について」は、あり方に関する検討会で右側の「内容」にあるeラーニング等の通信制の導入や、教員のキャリアパスやラダーを示してキャリアアップできるシステムを整備すべきといった御指摘をいただいております。

 最後に28枚目で「その他の検討会等」で指摘されている事項を御紹介しております。

 1点目、「看護基礎教育の検討の必要性」につきましては、ビジョン検討会のほうで右側にある養成課程の多様性の確保、看護師の教育カリキュラムの拡充、准看護師の教育カリキュラムの見直しが指摘されております。

 そして、2点目、「看護職員に求められる能力」につきましては、保健医療2035やビジョン検討会で地域包括ケアを総括的に進められる、あるいは多職種と連携できる能力等の必要性が示されております。

 3点目、「特定行為研修の推進」につきましては、医師の働き方改革に関する検討会のほうで特定行為研修を修了した看護師のさらなる育成によるタスク・シフティングの推進が提言されております。

 最後に4点目、「准看護師と介護福祉士相互の単位認定」につきましては、ニッポン一億総活躍プランとビジョン検討会の2つで提言をされているところでございます。

 以上が、資料2の御説明です。

 続きまして、資料3をごらんください。こちらは、ワーキンググループの設置について(案)です。1つずつ読み上げます。

○保健師、助産師、看護師、准看護師のそれぞれの基礎教育課程におけるより具体的かつ技術的な事項の検討を行うために、それぞれにワーキンググループを設置する。

○ワーキンググループは、参加者・参加関係機関等が保有する個別の事案や情報等をもとに検討を行うため、非公開とする。

○必要に応じて、各ワーキンググループにおける検討状況を他のワーキンググループと共有しながら議論を進める。

○各ワーキンググループにおける検討状況は検討会へ適宜報告する。

○看護師ワーキンググループは検討すべき事項が多いと予測されること、また、看護師の教育内容は保健師、助産師、准看護師の各教育内容と密接に関係することから、看護師ワーキンググループから議論を開始する。

 以上が、資料3でございます。

 続きまして、資料4をお開きください。こちらは、資料3でお示しをしましたように、看護師ワーキンググループから議論を開始させていただく場合の論点、御議論の材料としまして、看護師養成所の基礎教育に関する調査結果を抜粋して御紹介するものでございます。

 おめくりいただき、まず1つ目の「調査」について概要を書いてございます。こちらは、日本看護学校協議会が全国の看護師養成所に質問紙調査を行ったものです。

 3枚目をごらんいただきますと、実践能力の向上についてどれくらい各左側の改正項目が貢献しているかという質問をしておりまして、「とても貢献している」「貢献している」と回答した養成所が全体の6割を超えているということがお分かりいただけるかと思います。

 4枚目ではそのカリキュラム改正後の学生の「卒業時の看護実践能力」の変化をお聞きしており、「とても向上した」「向上した」と回答した養成所の割合は、約4割となっております。

 5枚目の「実習施設の確保に関する課題」については、「複数校で実習調整を行っている」「同時受入れ学生の人数制限が厳しい」「大学や養成所等の新規開設・定員増により、実習施設が不足している」といった項目が、半数以上の養成所で当てはまっておりました。

 6枚目の「実習指導体制」に関しましては、実習指導者が病院等の実務、業務と兼任しており実習指導に専念できない、教員数が不足している、実習施設の看護の質にばらつきがあるといった項目で、半数以上の養成所が当てはまると回答しておりました。

 7枚目の「実習全般に関する課題」ですが、こちらでは「実習目標に適した患者の選択が難しい」「領域別の考え方を再検討する必要性を感じる」が半数以上の養成所で当てはまる状況でございました。

 さらに8枚目の「成人看護学実習の状況について」をお尋ねしたところ、対象者が高齢者に偏ってしまう、患者の在院日数の短縮で学習目標が達成できないといった項目が半数以上の養成所で当てはまる状況でした。

 その次の9枚目では、「実習施設が不足している領域」をお聞きしたところ、四角で囲ってあります小児看護学と母性看護学で特に不足が目立っていたという状況でございます。

10枚目以降は、2つ目の「調査」としまして、教育の工夫としてシミュレーション教育についての厚労科研の御紹介でございます。こちらも、全国の看護師養成所に質問紙調査を行っております。この調査の中でのシミュレーション教育とは、四角で囲んである部分のような定義となっておりまして、実際に11枚目を見ていただきますと、シミュレーション教育の実施状況としましては約8割の養成所に実施していると回答いただいております。

12枚目では、実施している科目の分野をお尋ねしていますけれども、一番多いのが「統合」、その次に「基礎看護学」と回答いただいております。

 以上が、資料4の御紹介でございます。

 最後に、資料5につきましては、今回の第1回において御議論いただきたい点をお示ししております。後ほど、御議論いただく際に御活用いただければと思います。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 今、事務局からお話がありましたように、本日は主にこの資料の5に沿った論点で御議論いただくということになりますけれども、その前に今、資料について御説明がありましたが、何かその資料について質問等があれば承りたいと思いますが、よろしゅうございますか。

 また、議論の中であればさかのぼって言っていただいても結構でございますので、では、次に進ませていただきたいと思います。中身の議論になる前に、若干議論が前後しますけれども、お話の中にありましたように、資料の3でワーキンググループの設置というのが事務局案として出されております。

 ワーキンググループを設置するということであるとか、あるいは看護師ワーキンググループから議論を進めるといった内容が書かれているわけでありますけれども、この原案のとおり進めてよろしいかどうかということをまずはお諮りしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

 井伊構成員、どうぞ。

○井伊構成員 このワーキンググループの設置について全く異論はございませんが、ワーキンググループで何を検討するのかということについては、どのような進捗でこれを進めるのかということを確認させていただきたいと思います。

○遠藤座長 それは事務局、今の段階でコメントが可能ですか。お願いします。

○関根教育体制推進官 ありがとうございます。

 まず、本検討会のほうで教育の見直しの方向性について大きなところを議論いただければと思っております。

 今回の第1回と次の第2回で主に看護基礎教育を取り巻く現状と課題について御議論いただきまして、その後、今回の資料3が了承されて看護師ワーキンググループから立ち上げることになりました場合には、第2回の検討会の中で、具体的にワーキンググループで検討いただく事項について皆様に御議論いただきたいと考えております。議論次第ではございますけれども、我々として考えていますのは、本検討会で御議論いただいた方向性に基づいて、ワーキンググループにより細かい教育の内容や単位数などを検討し、作業していただくことを想定しております。

○遠藤座長 井伊構成員、よろしゅうございますか。

○井伊構成員 はい。

○遠藤座長 ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。

 それでは、ただいまの事務局からの補足説明も含めまして、事務局のこの原案、ワーキンググループの設置について、これをお認めいただいたという形にさせていただきますので、このように進めたいと思います。ありがとうございます。

 それから、このワーキンググループにつきましてメンバーはどなたを選ぶかということについては座長一任という形でよろしゅうございます。

(委員 異議なし)

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、具体的な中身の議論に入りたいと思います。資料5が、事務局のつくった論点ですね。本日議論いただきたい論点ということでございますので、これに沿って御意見を賜れればと思います。この順番どおりにいきたいと思います。

 まずは、1番の「看護基礎教育(保健師・助産師・看護師・准看護師)を取り巻く現状と課題は何か」、これについて御意見をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。

 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 私は患者の立場ということで今回入っておりますが、課題の中で実習の受け入れ体制に問題があるというお話がございましたけれども、ぜひ現場の方から看護師養成の段階の実習についてこういう問題が具体的にあるんだということをさらに聞かせていただけたらと思っておりますので、時間の問題であるとか、中身の問題であるとか、単に時間が長ければいいということではなくて、やはり実のある実習をしていただくということが大事ではないかと思っております。

 そういったことを踏まえたときに、現状の課題みたいなことを、特に教育の現場の方の中から教えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○遠藤座長 患者のお立場からのリクエストということで、臨地実習についてのさまざまな課題を現場の方からお聞きしたいというリクエストですが、いかがでございましょうか。

 では、池西構成員どうぞ。

○池西構成員 池西です。日本看護学校協議会が、先ほど関根さんのほうから御説明いただいた実態調査を実施いたしました。

 実習施設確保、実習場所が得難いということです。実習場所を得るためには、例えば現場に実習指導者講習会を終えた人が原則2人以上という条件があって、条件がそろった実習施設の確保がとても困難になっています。

 実習施設確保の問題は早くから明らかになっており、私たちはそこに問題があると予測しつつ調査をしたのですが、もちろん母性、小児を中心として施設確保が難しいというのは9割を超えるところから声として出ていました。

 ただ、それ以上に数として多かったのが、先ほども申しましたが、実習指導者を含めた実習指導体制の問題ですね。実習施設確保の問題に加えて、そこで指導していただく方々を含めた実習環境の問題というところについては、さらに多くの学校が困っているという実情がありました。

 それで、実習で一番どの領域が困っていますかというふうにお問い合わせしたら、私どもは母性、小児だろう。施設がないということも含めてそう考えていたんですが、一番多かったのが成人だったんです。成人看護学実習は実習施設の問題ではないのですが、要するに対象がいない中で成人看護学をしなければいけない。ほとんどの方が老年という状況になっているんですね。

 そういう中で、成人看護学がとても組み立てをしにくいというようなことです。それについて私が考えるのは実習施設の問題ではなくて、看護教育側として現場を踏まえたときにどういう実習目標を設定しなければいけないかという教育側の問題が大きいと考えています。そのような問題が出てきましたので、施設確保プラス実習環境として望ましい、あるいは私たちがそういう環境の中で何を学ばせるのかという論議がとても重要になってくると考えているのですが、よろしいですか。

○遠藤座長 山口構成員。

○山口構成員 ありがとうございます。それに加えて、実習によってここまで到達してもらいたいという学生さんに対しての目標みたいなものが今、十分なのか、それもやはり実習によって得られているものがちょっと欠けているというような評価なのか。そのあたりは、いかがでしょうか。

○池西構成員 それについては明確な調査はしていないのですが、先ほどの調査で関根さんが説明した中にも、カリキュラムが変わって、統合分野ができて、実践能力がついたという答えは結構数あったんですが、実際にあなたの学校の卒業生の看護実践能力はつきましたかと聞くと、まだまだ4割に満たないぐらいの回答しか得られず、実際はいろいろなカリキュラムを組んでも、まだ実践能力には不足があるというふうに考えている現状があると思います。

 これは臨地実習の問題なのか、実習に至るまでの学内の問題なのか、いろいろな問題があるとは思うのですが、決して満足のいく、学校が望んでいる、あるいは厚生労働省が卒業時の到達目標を示していますが、そういうものに対して十分だと思えていないという現状があるというのは間違いないところかと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見ございますか。

 では、山田構成員、それから井伊構成員の順番でいきましょう。

○山田構成員 保健師の教育についてお伺いします。

 先ほど資料の中で、前回の改正時に地域看護学が公衆衛生看護学に変更になりましたという説明がありました。その心について、御説明いただきたいと思います。

 それはなぜかというと、資料を見る限り、これから看護師が地域でどんどん働いていくという姿にならざるを得ない。それは、誰もが疑いのない変革を遂げる必要があると思いますが、それに対応できる看護師教育を考える上で、地域看護をどのように考えていくのかということを検討するに当たり、その保健師が科目の名称を変えて対応したということについての経緯を知りたいと思いました。

○遠藤座長 これは事務局ですか、それとも保健師からですか。

 村嶋構成員、どうぞ。

○村嶋構成員 保健師教育の基幹となる科目は、長らく、公衆衛生看護学でした。しかし、それが、平成9年から21年までは、地域看護学という名称に変更され、内容も、保健師と看護師を一体的に教育する、在宅看護と公衆衛生看護の両方を行うようになった時期がございました。それが地域看護学です。

 その後、保健師教育の科目名称が、再度、公衆衛生看護学に戻ったのです。このときの公衆衛生看護学は、地域のいろいろな課題を分析して抽出し、それに対する解を出す。つまり、地域をどんなふうに育てていけばいいかということを、地域課題の分析と統合を含めて行い、施策化を含めて考えていく。また、地域に住む一人一人の問題を出し、その共通点を束ねて地域の課題を見出していくという方法が公衆衛生看護には求められていると思います。

 ただし、今の学士課程における実習形態では見学実習が多く、保健師としての実習が十分にできているかというと、必ずしもできていないです。そこで、保健師教育の実習の問題が大きくなっています。

 それから、一方で、看護師がこれから地域で多様に働くというのは当然のことだと思います。そのための看護師の基礎素養として、ぜひ地域看護学を入れていただきたい。つまりこれから訪問看護ステーションを開こうとするに当たっても、地域のマーケティングをして立地条件を見るだとかが看護師に必要になります。そういうことを含めて、看護師教育の中に地域アセスメントをする能力の育成が絶対に必要だと思います。

 そういう意味では、看護師教育の中に地域看護学を何らかの形で位置づけていただきたい。原稿の在宅看護論は、臨床看護の家庭への延長でございますので、もっと地域の人々やいろいろな組織と渡り合いながら、この人は、現状ではなかなか在宅で看ることができないけれども、何か手立てを講じて実現していくという能力が、看護師には必要です。例えば呼吸器をつけている子供さんが学校に行くようなときにいろいろな手伝いが必要ですが、それをいろいろな組織とかけ合って実現していく、そういう能力が看護師に必要だと思います。ぜひそういう能力を付けることを含めて看護師教育の中で地域看護学の必要性について御検討いただきたいと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 山田構成員、いかがでしょうか。

○山田構成員 ありがとうございました。

○遠藤座長 では、お待たせしました。井伊構成員、お願いいたします。

○井伊構成員 ありがとうございます。井伊でございます。

 ちょっと今のお話とも関連があるのですけれども、本日の議論する点ということで、看護基礎教育を取り巻く現状と課題について申し上げたいと思います。

 先ほど資料2に挙げていただきましたように、看護基礎教育を取り巻く現状で最も顕著なのは高齢化の進展であると考えております。7対1の病棟でも半分ぐらいが75歳以上の患者さんだという現状から、何が起こっているかというと、お一人の人が複数疾患を持っている。なので、脳梗塞の後遺症もありながら、糖尿病もある。そして、若干、嚥下障害もあって認知機能も心配だなというような方々が一般的な患者さんになっている。しかも、その人たちは早くおうちに帰らないといけないという流れもあって、それが地域包括ケアという流れの中でひとり暮らしをどう支えるかというようなことが起こっています。

 このことに対応するには、一部の専門性の高いナースがそれができればいいのではなくて、ほとんどの看護師にそういったことに対応することができる能力が今後求められるというのが看護師を取り巻く現状と課題の一番重要なポイントで、いわば患者像がどのようになっているのか。これに対して、看護師の基礎教育としてどのぐらい基礎的な部分を教えるのかということをしっかり捉えるべきではないかと思います。

 そういった点で、この基礎教育という部分は私どもは大幅な拡充が必要だと思っているところですけれども、患者の看護の対象者の変化と、それともう一つ、地域包括ケアという流れの中ではやはり場が広がるわけですので、今、医療安全とは言わず患者安全と言うのだそうですけれども、いわば療養者安全というようなことも含めて学ぶべきことは大変多くなっておりますので、教育の拡充ということは検討しなければいけないと思います。

 それで、先ほどの実習時間のことについてなのですけれども、これまでも基礎教育においては必要性に伴って必要な科目を増やしてくるということは本当に努力して、それに対して現場の先生方も本当に一生懸命やりくりして、多分、97単位よりも超えた教育をしている養成所が多いというふうに把握をしているところです。しかしこの結果、残念ながら1科目当たりの実習に充てることのできる時間が減少しているという現状もありまして、今後とも学生の臨場感というんでしょうか、そういうことをどうやって学べるかということが重要だと思いますので、そういった点で実習の強化というのは不可欠だと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。できるだけ多くの方から御意見いただきたいと思います。

 それでは、春山構成員、お願いいたします。

○春山構成員 先ほどの山田委員の御質問のところなんですけれども、前回の検討のときに私はワーキンググループとして参加しておりましたが、こちらのファイルのほうの赤の参考資料の赤ラベル1の6ページのところに少しその経緯というのが地域看護学から公衆衛生看護学へというふうに記載されております。

 地域看護というところが、いわゆる市町村の保健所等の地域と、学校保健と、産業保健と、在宅というような領域がある中で、それを合わせて地域看護学と呼んでいた時期、そして在宅の部分を除いて地域看護学と呼んでいた時期、そしてその在宅の部分を除いて公衆衛生看護学として呼ぶようになった時期というような変遷がここに書いてあるんですけれども、現在の看護師、地域で働いていくというか、地域包括ケアシステムを含めた地域で生活している対象に対する看護の視点というのは、もちろん重要なことであると思いますけれども、日本においてこの公衆衛生看護学と地域看護学というところがきちんと整理されていないかなと思いますことと、既に保健師のところに公衆衛生看護学というような枠組みがあって、そして看護師のほうに在宅看護学という枠組みがある中で、地域看護学というものはどういうふうに位置づけていくのかというところはやはりよく検討して、地域看護学は教育内容として、看護師の教育内容としてどういった中身が必要なのか。今、保健師で教育しているような公衆衛生看護学の最も基本的なところなのか、それともそうじゃないのかというようなところを議論していかないと、地域看護学が何なのかというような議論だと、また複雑になっていくといいますか、整理していけなくなるのかなと感じております。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 それでは、太田構成員お願いします。

○太田構成員 太田です。私は在宅医療を町医者でやっている者ですけれども、領域別の実習に関する課題の中に成人看護学実習、これは対象者が高齢者に偏るということが書かれています。これは当たり前のことだと思います。

 といいますのは、高齢者という枠組みをもう少し生理学的につくり直さないと、単に65歳を超えた人を高齢者だとして扱うと、既に身体運動といいますか、身体機能は10年若返っていると言われていまして、以前、老年学の対象になった65歳はもう75歳以上になっているということです。現場の感覚からいうと本当に高齢者として課題を持っている人たちというのは、男だと80歳以上で、女性だと85歳以上なんです。

 老年看護の対象となる年齢でしょうか、それをもっと幅を狭めて、成人看護の対象となる年齢の幅を広げないと、この問題は解決しないんじゃないかと考えています。

 高齢化すればするほど、標準化して考えられなくなります。何歳からどうだという発言に違和感を覚える方もいると思うんですけれども、現場で特に在宅医療をやっておりますと、やはり課題は85歳以上にあります。実際、85歳を超えるとアフラックの生命保険も申し込む資格がなくなるわけですから、統計学的にも85歳を超えると、いつ命がなくなるかわからない状況です。

 そもそも、そういう対象にどういう看護が必要なのかというのが老年看護だというふうに私は思っていますし、医学的に捉えれば、老年症候群に対峙するような医療を、看護の領域からとらえるとこれが老年看護というふうに考えていただき、要するに成人看護の幅が広がり、老年看護の幅をもっと狭める。根本的に考えていかないと、これからの超高齢社会の中における医療、あるいは看護の在り方を考える検討会なんですから、それぐらい根本的なところから見直さないと、この結論を導きづらいと考えます。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 それでは、木澤構成員、お願いいたします。

○木澤構成員 木澤でございます。臨床の場からちょっと述べさせていただきたいと思います。

 実習のことにつきましては、やはり実習時間もそうなのですけれども、在院日数が短縮していますので、なかなか患者さんの選定に難渋するケースがあります。受け持ってもすぐ退院してしまったりですとか、あとはそういった記録とか医療安全の問題がありまして、実際には記録を実習場で書いて持ち帰らないとか、個人情報の部分でそれだけ実習に患者さんにかかわる時間が少なくなっているということもあるかと思います。

 また、先ほど井伊委員のほうから発言がありましたけれども、一人の患者さんが複数の疾患を持つということで、大抵、看護師が就職する場合は一般病院がほとんどですが、診断のついた患者さんを診るので、それ以外のことに何か患者さんに症候が出たときになかなか対応ができないということがあると思います。

 ですから、基礎教育で学ぶのは診断がついた患者さんの病気ですね。診断がついた人を診るんですけれども、症状とか兆候から見るような見方というのは、基礎教育のうちから少し学んでおくべきではないかと思っています。以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 では、中島構成員、お願いいたします。

○中島構成員 ありがとうございます。在宅の現場の看護師のほうから考えた現状と課題についてお話します。

 在宅から見ると、現在の看護、基礎教育はやはり急性期の患者の看護が中心なのかなという印象を持っています。実習もそのような状況ではないかと考えるんですけれども、長く実習をやって最後のころに来る学生さんは、なかなか今、木澤先生がおっしゃったように疾患にこだわってしまって、患者のニーズ、目の前にいる患者さんに何が必要かというところが捉えにくくなっているのかなという印象を持っています。

 あとは、同時にどうしても老衰の方とか、複数疾患を持っても在宅で療養している方等の人生の終末期の援助についての学びが少なくて、それと同時に在宅や介護施設におけるケアを学ぶ機会も少ないか、もしくは表面的であるので、なかなか在宅、もしくは地域で暮らせる患者の像がすごく狭いかなと思っています。

 また、そのことが、卒業後に看護師として働く場のイメージの拡大につながっていないのかなとも思います。急性期でとても対応できないような新卒の方でも、施設や在宅でじっくりと患者主体の看護を、もちろん病院がそうしていないとは思わないんですけれども、長期療養している方にじっくりと患者主体のケアができることで、そこだったら働けるという新卒の方も今後は出てくる必要があるのかなと普段から思っています。

 対策は考えられないのですが、現場で考えている課題です。ありがとうございました。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。

 では、井村構成員、お願いいたします。

○井村構成員 井村でございます。今、ずっと老年系、成人系、そして地域、在宅ということで話が進んでいると思います。私は専門が母性、助産ですので、その点からもぜひ申し上げたいと思います。

 本日御用意いただいた資料は、地域包括ケアシステムの構築ということでございますが、母性、助産、次世代育成のほうからも地域包括の次世代育成というスキームができ上がっております。次回、もしできましたらそのような資料も御用意いただけるとありがたいです。今ずっと老年、成人系ですが、母性、小児、そして子供に関してもやはり地域でまず暮らしている、地域の生活があって、生活者としてのその方たちがいて、そこから理解するということがやはり母性、小児、助産系でも非常に必要だとされております。

 そもそも、妊娠であるとか出産・育児は、生物学的に備わった機能を発現させていくという生理的プロセスの一環でございますので、いわゆる普通のというところからの理解が非常に必要だと思います。

 ですから、基礎教育において地域包括といった場合には老若男女全ての、生まれてから召されるまでの人生のプロセスであるとか、ライフステージというものがそこに組み込まれるということがぜひ必要で、そこが看護の基礎である、人をケアするものの基礎であるということで、ぜひ次のカリキュラム改正のところでは練り込まれていくといいなと思っております。

 あとは、実習に関しましては、先ほどの最初の御発言ですけれども、ほかの領域の方が指摘してくださったように、母性、小児、助産はそもそも出産が少なくなっておりますので、なかなか実習場所も得難いですし、分娩を見る学生さんも少ないといった現状もございます。

 しかし、もちろん分娩も見られることにこしたことはないんですけれども、人が生まれて育っていく、そこがやはり母性とか小児の重要な真骨頂だと思いますので、さまざまな局面の実習展開というのは教員も工夫しなければいけないですし、地域のさまざまな施設であるとかコミュニティーが看護に門戸を開いてくださったらありがたいと考えています。

 そしてもう一つ、今、地域高齢化、高齢社会に対応するということで看護は大きく軸足をもちろん以前から動かしておりますが、そこでやや忘れられがちなのが、もう一つの日本の課題である少子の部分でございます。

 実際に看護を学ぶ学生さんたち自身もリプロダクティブヘルス、生殖世代でありますし、その方々がきちんといわゆる人が生まれて育つということを理解するということがまず重要でありますし、教育は100年の計と言われておりますので、喫緊の課題である高齢者ということと同時並行、そしてその先にはやはり次の世代を生み出していく、その人たちが健全に育つということを看護が支えていけるということも非常に重要だと思います。何となく影が薄くなりがちな母性であるとか、小児であるとか、そういうことが今の時期であるからこそ忘れられずにしっかりと基礎として教育を行っていくということは重要であると考えます。よろしくお願いいたします。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 では、安藝構成員お願いします。

○安藝構成員 私は現場のほうで看護部長をしておりますので、結構たくさんの学校を受け入れております。

 その中で、当院は法人として地域包括ケアシステムを構築しておりまして、やはり急性期から慢性期、それから在宅までという流れの中でやはり患者様を見られるということが非常に大事かと思っております。

 急性期でも、在宅に帰るときに大体、訪問看護が必要になる、訪問診療が必要になるという方も多いですし、またはやはり帰れない方もおりまして、当院の中の例えば療養型、それから地域の療養型のほうに転院をするような患者さんもいらっしゃいますので、やはり急性期の看護というところで急性期だけを見るとか、訪問看護のほうで訪問だけを見る、もちろん流れの中で見ているとは思いますけれども、どうしても実習の場所が変わりますとその患者さんをずっと見るというわけではありませんので、やはり継続看護として見るような教育というのが必要じゃないかと考えております。

 それで、現場のほうから申しますと、診療報酬のこともいろいろあると思うんですけれども、非常にナースが多忙になっている中で、実習指導をしていきたいのに専念できないとか、もっといろいろ教えてあげたいんだけれども教えてあげられないというような負担感というのもちょっとあるのかなと考えております。以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 前田構成員、お願いします。

○前田構成員 私だけ看護の専門家ではないので、少しずれた発言をするかもしれませんけれども、私ども県で地域包括ケアでありますとか、あるいは地域医療構想を議論してまいりますと、看護師さんにこれから求められるところというのは、やはりそういう在宅医療、訪問看護に対応できる、あるいは県というのは国保の保険者にもこの4月からなりましたので、その中で保健師さんに特定指導ということを非常に求められるところもありまして、地域に根差して頑張っていただけるという方々は今後も非常に期待をされるんじゃないかと思いますので、ぜひその点の充実強化というところは議論していただきたいと思っております。

 他方ですけれども、今、看護職員の数は着実にふえているんですけれども、現場の先生方に伺うとまだまだ人数が欲しいと言われておりますし、在宅というところを考えていきますと、よりそういう看護師さんの絶対人数は必要というところもあると思いますので、なるべく今の体制でより教育を充実させるためにも、例えば今チーム医療で看護師以外の多職種の方もふえているということもありますし、卒後教育もそれなりに充実しているというところもありますので、ぜひ一度、例えばワーキンググループでリストラしてもこれは卒後教育なりに依存してもいいというふうに、教育課程の中でリストラするものの候補もぜひ挙げていただいて、その中でこれはさすがにリストラしたらまずいだろうというような形で活発に議論していただいて、なるべくゆとりを持っている中でもその必要な専門性を高めていただけるような議論をしていただければありがたいと思っております。

○遠藤座長 ありがとうございます。今後の議論の方向についての御提案ということでありました。

 ほかにございますか。

 それでは、菱沼構成員、お願いいたします。

○菱沼構成員 菱沼でございます。今、皆様方のいろいろな御意見を伺っていまして、実習に関しては先ほどの御意見とかぶりますが、今のカリキュラムですと領域別の実習という組み方になっています。領域別で2単位での実習が組まれておりますけれども、その領域を外してフリーに実習を組めるというような柔軟性を持った提案の仕方がないかということが1つございます。

 それで、先ほどおっしゃったように、病院の中でも地域包括ケア病床や在宅ケアなど、いろいろなものが組み込まれてきているので、そこを学生が患者さんと一緒に動いていけるという実習も考えていただけるといいと思います。

本当は在宅訪問に学生を出したいのですが、そこは御承知のようにまだ数が少ない。在宅訪問に全部の看護の学生を十分に出そうとすると、恐らく現場がとても無理とおっしゃられると思いますので、その点につきましても、ねばならないというのではなく、ある程度幅がある実習の考え方を入れていただければいいかと思っております。

 今後、どこまでワーキングのほうで踏み込んでいただけるかはわかりませんけれども、今、看護の教育を世代別といいますか、ある程度、成長発達レベル別にしておりますが、恐らく私たち看護職が考える、生活をしているということを考えますと、もう少し家族単位で物を考えるということで包括していけるというのも必要ではないか。卒業していった看護師が将来訪問にいったときに、私は子供だけを見ます、私はお年寄りだけを見ますというようなことにならない、その基礎をつくるということが基礎教育では必要なのかなと思っております。

 先ほど御発言いただきましたように、中身を足していくだけではパンクします。いかにカットするかというものも、ぜひ御検討いただけたらと思っております。ありがとうございました。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 それでは、そろそろ最初の課題は予定した時間になりましたので、もしあればと思いますが。

 では、井村構成員、お願いいたします。

○井村構成員 済みません。もしかしたら、実習とか各論的なところでのお話が適切かもしれませんけれども、少々お時間いただきます。

 取り巻く現状ということで、今、何人かの方からも出ましたけれども、患者の安全ということをWHOもペイシェントセーフティということで言われたあたりとか、医療訴訟のこととかございまして、実習は実に習うというはずの看護実習がどんどん見学であるとかシャドーイングという形で、ほとんど何も手も出さない、口も出さない、ただそこに存在するというような実習形態になり、じくじたる思いでいらっしゃる教員の方もおられると思います。卒業時の習熟度が非常に増しているとまでは言いがたいにしても、ある程度、現場に即したことがそこそこできるような技術力ですとか実践力は上げないといけないと思っております。私は教育が発展していると思いたいんですけれども、教育は後退していると本当は思っております。実際に実務家を育てるというところでは非常に脆弱化しているということがありますので、ぜひそこのところを御検討いただけるとありがたいと思います。

 あとは、実際にさまざまな医療処置は危険が伴う、侵襲的であるとは言われますけれども、学内での演習でも実際に練習をしたり、現場に出たときに、実習生がある程度患者さんにさまざまなことをするということを許容していただけるような医療施設側の受け入れですとか、もしくは厚労省様のほうで実践力のある看護師を育てたいので、全国の施設の皆様ぜひよろしく頼むというようなことを全国的に発出していただいて、病院も守りながら、患者様も守りながら、看護師を教育していくという大きな動きを起こしていただきたいと思っております。本日はカリキュラム検討の会ではありますけれども、厚労省とされても大きな動きを起こしていただき、どんどん後退している看護実習をバックアップすることを改めて検討していただきたいと考えます。よろしくお願いします。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 この論点案は3つに分かれておりますけれども、2番の求められる能力と、3番目の教育内容、方法について、既にそこら辺に踏み込んだ御議論もありますので、少し話を先に進ませていただきたいと思います。

 では、2番目でございます。「将来を担う看護職員に求められる能力とは何か」、これについて山口構成員、次に井伊構成員どうぞ。

○山口構成員 私たちのところでこれまで28年間、6万件近い電話相談をお聞きしてきましたし、医学教育に関係して26年模擬患者をやっております。そういった経験の中からしますと、若い世代に圧倒的に生活体験が低下しているというようなことを感じていまして、やはりコミュニケーショントラブルが非常に多いと思っています。

 そういうことからしますと、患者の社会的背景とか生活ということに対して、想像したり理解する能力ということが全般的に落ちてきているんじゃないかと感じています。だから、さっきの実習の話もしたんですけれども、医学部では今、実習ということを非常に見直していて充実させようという動きの中で、先ほどおっしゃっているように、本当に見学して手を出さないような実習に看護がなっているとしたら、生活体験が少ないにもかかわらず、さらにそこを加速しているような気がしますので、やはり学生の間に患者を理解する能力をつけるようなことが必要だと思います。

 それには、どういう教育をすればいいのかということは私が具体的に発案できるわけじゃないんですけれども、そのあたりを補っていただかないと、臨床に出て患者が全然理解できない、怖くて話もできない、手も出せないということだと、やはり看護師として、あるいは看護師だけではないですけれども、仕事をしていくということが難しいんじゃないかというのが1つです。

 もう一点として、患者にとって一番身近な存在である看護師ということからしますと、コミュニケーション教育ということが一番欠かせない領域だと思っています。今、医学部、歯学部、薬学部ではOSCEの中に医療面接が義務化されて久しくなっている。それが、なかなか看護の中では定着してこない。一生懸命やろうとしているところが、例えば看護学校とか大学から私たちのところに模擬患者の派遣要請がございます。それで、今、特定行為の看護師の研修でも模擬患者を派遣していますが、特に看護学生さんのところに模擬患者を派遣しますと、帰ってきて模擬患者が申しますのが、全然会話が成り立たない。話し始めた言葉と、最後に一貫性がない。こちらが聞いたことが理解できなくて、返事が返ってこない。そういう基本的なコミュニケーション能力の欠如といいますか、そういったことを痛感した模擬患者もいるようです。

 そうだとすれば、そろそろ本腰を入れて、このコミュニケーションスキルを考える必要があると思います。私は本当はマニュアルでやるのは余り好きじゃないんですけれども、医学部を見ていると全体的なボトムアップはやはりできてきているんですね。そこから応用能力ということはもっともっとやっていかないといけないと思うんですけれども、基本的なボトムアップのコミュニケーション能力ということをそろそろ考えていただきたいと思っていますので、そういったことは将来を担う看護職員に求められる能力として具体的に必要になってきているんじゃないかと思っております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 お待たせいたしました。井伊構成員、どうぞ。

○井伊構成員 ありがとうございます。この求められる能力ということにおいては、先ほど看護課の方の御紹介の資料2の最後にも、「その他の検討会等」ということで28ページですけれども、「看護職員に求められる能力」ということで、地域包括ケアを統括的に進めるということですとか、多職種連携を前提とした人材育成ですとか、かなり幅広い能力が看護職に求められているということは紛れもない事実だと思いますし、そういったことで平成171819年ごろからいろいろな検討会が積み上げられてきていると思っております。

 それで、先ほどリストラというお話がありましたけれども、現在の3年間でこのぐらいできるだろうということでのリストラというのではちょっと不合理だと思うんです。実際には、ここに述べられているように相当包括的な能力、総合的な能力が求められていて、土台のところは大変小さくて、卒業してから日本看護協会は今、認定看護師とか専門看護師の認定もしましたり、特定行為研修もやるということで、卒業してからも幅広くいっぱい乗せていかないといけないというのが今の看護師の教育の実情だと思います。

 ですので、リストラを考えるにしても、どこまでが求められる看護師の能力かという中でもっと基礎にきちんと、基礎というぐらいですから土台をきちんとして、そして卒後の必要な実践力につなげるようなことをぜひとも考えないといけないのではないかと思います。

 そういう観点で、私どもとしては、在宅領域に関する教育の増加というのは特に不可欠だというふうに思っております。それは、これまでのそれぞれの委員の皆さんの御発言も同様のことです。それで、病院と違って、そこに行けば一定の患者さんがいるのではなくて、そもそも出掛けていくことに時間と労力と能力が必要だというのが在宅領域の学習の特徴ですので、そういったことをどう保障するのか。かつ、行ったら一人で判断しなければいけないという現実にどう向き合うのか。そのときに、アセスメント能力とか、それから将来的につけるべき臨床推論能力のもとを基礎教育の中でどのように充実させるか、拡充させるか、付加するかということが非常に重要だと思っています。以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 それでは、藤田構成員。

○藤田構成員 現場の教育課程から申しますと、3年課程で現在の教育課程内容ですと本当に目いっぱいで、学生は卒業時に看護基礎技術は自信を持ってやれるぐらいで、本当に実力としては初歩の初歩みたいな状況で卒業をしていくという現状があります。

 ですから、看護界のほうに必ずしも優秀な方だけが行っているわけではなくて、基礎学力が非常に幅広いのが看護の世界なのかなと私は捉えております。そこら辺を考えますと、現在の3年課程で一人の人がたくさんの疾患を持っているような状況で、アセスメントもろくにちゃんとできないような学生が卒業していってしまうという現状もあるわけですから、先ほどから言われていたような教育の拡充というのは不可欠なのかなと思っております。

 そしてまた、実習に出てみますと現場のほうは、当校もそうですけれども、どうしてもシャドーイングをせざるを得ない現実というのがあります。そこで、果たしてシャドーイングでどのぐらい学べるのかということも含めて、今後の教育はどの部分を継続し、どこを入れてどこを切り捨てるのかというところをもう少しきちんと基礎から考えていかないと、看護教育は大変なことになるなというふうに今、実感しています。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、酒井構成員お願いします。

○酒井構成員 専門職連携実践能力について、少しお話をしたいと思います。

 いろいろな報告書等に、看護職はチームのかなめであり、看護職は調整役をしなければいけないというような文言がよく出るんですけれども、半分間違っていて半分合っているといいますか、専門職連携実践能力は看護職だけではなくて、全ての健康関連専門職が必ず持たなければいけない能力とされています。

 ですので、これは同じ内容で、本来であれば健康関連専門職が学び、お互いにお互いを理解する能力、患者さんの療養目標を共有して役割分担をしていく能力、それから先ほどから言われている患者さんとのコミュニケーション能力、これらは全て専門職連携実践能力とされているものです。

 それで、現行、単一職種の基礎教育ではこの専門職連携実践能力が身につかないということは世界的にも言われていて、基礎教育課程からサイロ化された教育を取り払って、さまざまな領域の学生さんとともに学んでいく機会が提供されるということが本来であれば重要なことかと思います。

 ですので、チーム運営力とか、専門職連携実践能力とか、そういうことを考えたときに、看護学校であればそのカウンターパートとなる学校ですね。相手校、そこをきちんと見出していくというようなことも非常に重要になってきますので、看護学校や看護系大学の教員の専門職連携実践能力ということがむしろ問われるといいますか、そういうふうなことになっているのかなと思います。

 看護職だけで専門職連携実践はちょっとできないというようなことを少し抑えておきたいと思って発言しました。

○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 前田構成員、どうぞ。

○前田構成員 たびたび発言させていただいて恐縮です。

 今、私は看護教育、富山県でも看護学校、大学の看護学部もありますし、准看護師の養成学校もあるんですけれども、その中で特に今、中学生、高校生の数がどんどん減っているというところもあって、まさに看護を選んでいただけるのも奪い合いだというところにあるかなという形で思っております。

 その中で今、看護教育は他職種と比べますと、定員数に対する応募者数もそれなりの数を保っておられますし、看護教育の中で学校は余りきつ過ぎるとやめちゃう人が結構多いのですけれども、やめる方も他職に比べると限られているということもありますし、卒業した後、資格を持っているのにその仕事につかないという潜在問題も相対的に低いんじゃないかという形で、今の中身でなく枠組みとして看護教育の若い子を引き寄せる力、卒業後の維持というところは非常にいいなという思いがございます。

 その中で、より充実すべき教育内容というのが我々行政側も期待するところが多いので、余りきついと思わさない、かつ患者さんに接する時間もなるべくとっていただきたいという形で思いますと、やはりコアなところを集約して、これぞ看護基礎教育みたいな形で意見出しをまとめていただければこの体制が維持できるかなと思っておりますので、なるべく負担感が見えないような形で議論していただければありがたいと思います。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。いかがでございましょうか。

 山田構成員、お願いします。

○山田構成員 議題の2番目に関して発言します。

 先ほど井伊構成員がおっしゃった、在宅看護は出掛けていくというのが大きな特徴とおっしゃいましたが、私は在宅看護学を教えている身としては、それもそうなんですが、むしろ外来で患者さんを診る、あるいは病棟で退院されていく方を診る、救急外来で受診する患者さんを診る。全てにおいて、この人は在宅に戻っていく、家で生活することを維持していくために今、一瞬医療があるというような中で、どう生活を見据えて看護するのかというのが在宅看護だと思っているので、あらゆる医療現場で、今、仮に在宅看護と言っていますけれども、そういう生活を軸足に置いた看護ができる力というのは必要なんだろうと考えています。

 もう一つは、看護倫理について強化が必要なのではないか。スリム化が必要だと言いながら強化事項を申し上げて恐縮ですけれども、倫理的に考える力というのが大事だと思っています。今、急性期の医療機関で身体抑制が普通に行われています。身体抑制はよくないことだと全ての看護師が知っていますが、現在横行している。

 それはなぜかと問えば、特に若いナースたちは、先輩がやっているからやるんだ。そこに問題意識も感じていないという発言を私は最近聞いたことがたびたびございまして、それはとても心が痛むところであります。

 患者の自由な生き方を尊重するというのが看護の基本的な姿勢だとするならば、身体抑制をたとえ術直後であろうとも縛るという行為はよろしくない。そこを、よろしくないという感性を持って卒業していくということが必要で、よろしくないと思いますということを発言する力が必要だということを基礎教育に求めたいと考えています。以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 池西構成員、どうぞ。

○池西構成員 今、大分出していただいたのですが、加えて言うと、先ほどから公衆衛生看護学、地域看護学のところで、平成元年のカリキュラムまでは、例えば○○保健、小児保健とか、母性保健とかがあったのですが、3次改正のカリキュラムでなくなりました。そのころから、看護基礎教育に保健的な要素が薄くなってきているのです。

 これからの医療は恐らく病気にならない、なっても悪くならないように考えていかないといけない世の中に、看護基礎教育は少し保健の面が薄くなっている気がして、保健指導をする能力というあたりですね。村嶋先生が先ほどのお話の中で地域看護学を看護師基礎教育に任せるという話が出てきていたのですが、あの段階では看護師にそれをという話は具体的ではなかったとは思っているのですが、ただ、そういう意味でもう少し看護職に保健指導を行う、あるいは健康の保持増進にかかわる能力をつけていかなければいけないと思います。

 もう一点は、准看護師の話が出ていないのですが、実は今、保健師、助産師、看護師には卒業時の到達目標が示されていて、こういう能力は身につけて卒業させようということが明確になっているのですが、准看護師にはそれがないのですね。それで、准看護師教育の現場、私も今、日本看護学校協議会で准看護師養成所の先生方とも出会うのですが、みなさん戸惑いがあるのです。このないという状況については私たちがこれから考えていかなければいけないと思います。なかなか微妙な問題がそこにはありますので、やはり准看護師のカリキュラムを考える前には、何をどこまでできればいいのかというところからつくり上げていかなければいけないのが准看護師の課題だと思っています。以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。

 それでは、中島構成員、お願いいたします。

○中島構成員 ありがとうございます。先ほどの山田先生の倫理の続きで、患者の権利についても学生のうちにもう少し勉強していただけるといいかなと思います。

 病院にいる間は、患者の目標と医療側の目標は一緒で治療を治すということなんですけれども、在宅等、施設等に戻ってくると、患者さんが例えば薬を飲まない権利とか、自分の終末期はどうしていきたいかということを選択する権利とか、たくさんあるので、そこら辺を、ああ、そうなのね、わかったと一旦受けとめることができるような看護の学びがあったらいいかと思います。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 それでは、春山構成員、お願いいたします。

○春山構成員 近年、医療やケアにICTが活用されるようになってきていて、やはりICTリテラシーを高めるようなことというのがこれから看護職には求められるのではないかと思います。若い人だからというふうに思いがちですけれども、実際に学生を見ているとそこら辺はすごく差がありますし、またこのことは医療やケアの提供ということだけではなく、看護職自身の生涯学習、ICTを活用した生涯学習などにもつながっていくところで、私たちの大学で特定行為研修をしていてもeラーニングを活用していますが、そのICTリテラシーが生涯教育にも影響している部分はありますので、そういった意味でそんな力も求められてくるのではないかと思います。以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 こちらで手を挙げられた方はいらっしゃいますか。

 では、村嶋構成員どうぞ。

○村嶋構成員 先ほどの普通の生活を見るとか、普通に人としてコミュニケーションをとるということの重要性が随分言われてまいりました。また、子供さんの育ち方といいますか、それを見るということも言われてきました。

 今、看護の実習は医療施設に行くということがかなりあります。そこが大部分ですが、でも、普通の生活の場に行って、その人の状態を見て、一緒にその人の予防活動を考えるというのが看護師の教育の中に必要なのではないか、考えられていいのではないかと思います。普通の生活を見ることの重要性ですね。そして、よりよく過ごせるように指導していく重要性というのをひとつ押さえていただきたいと思います。

 それから、保健師のことを言ってもよろしいですか。実習に関してですが、自分の看護職としての技量を上げるというのが実習の目的ですので、見学実習だけだとそれは実習とは言わないと思います。何らかの形で対象に働きかけてその成果を見る。それが実習だということをぜひ共通認識にして、看護の技量を上げることに留意していただければと思います。以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 では、井村構成員、その次に太田構成員という順番でいきましょう。

 では、井村構成員からどうぞ。

○井村構成員 ありがとうございます。先ほどの倫理のところにも絡んでくることと、今の普通の生活のことに絡ませていろいろ思っていました。

 それで、まず普通の生活をしている人を見るということについて考える場合、近代の看護が医療施設中心であったこともございまして、つまりいつも弱者を相手にしているので、弱者対強者のような構図があったり、医療施設は医療者にとってはホームで、そこにほかから連れられてきた患者さんがいる、つまり自分のエリアでないところに置かれているという強弱関係というか主従関係が、医療者と患者さんの間にはかなりはっきりしていた。そのような関係性を看護師はたくさん学んでしまったということがあったのだろうと思います。そのために、非常に指導的であったり、支配的であったり、抑制なども恐らくその延長線上だろうと思います。

 それで、今度のカリキュラムでは、ぜひ人というのはもともと力があって、私たち医療者の助けを借りなくても普通に生きていける力があるし、回復力もあるし、そこのところをやはり掛け違えずに学んでもらうということが一番のスタートであろうと思います。その中で、家庭の生活であるとか、さまざまな人の生活というのがある。つまり、最初から主従関係、強弱関係ではないニュートラルな関係性とかパートナーシップ、よく助産領域ではパートナーシップという言葉を使いますけれども、信頼し合ってお互いに相手には力があるという、そこのところの学習が、恐らく倫理であるとか、人間の尊厳とか、そういうところにつながるのだろうと思っています。そこをスタートの時点ではっきりと認識できるような教育のつくり込みということが大切なんだろうと思いました。

 それともう一つ、先ほどの身体抑制がよろしくないことをおかしいと思うという、それは何だろうと考えていたのですけれども、やはり基本的にしっかりした知識を持っていることが重要だと思います。

 あとは、物事を、批判的吟味とかクリティカルシンキングとか言いますけれども、これは本当にいいのかと疑える力というんでしょうか。それがやはり育たないと、ある人がいいと言えば、先輩がいいと言えば、付和雷同して一方に走り、あるトレンドがあるとそちらに走り、右に左に走る。我が身も恥じながら申しませば、恐らくそれが看護の業界の動きかなと思います。それはおかしいのではないかというふうに感じられる力、倫理的感応力などという言葉もございますけれども、そういう倫理的にも実際行っている医学、看護的知識にもおかしいのではないかとクリティークできるような力は、どの教育課程でも必要であると思います。

 それと、やはりそのもととなるのは知識に精通できる力といいましょうか、ただ、3年間、4年間の中で習ったことを未来永劫使い続けるというのではなくて、やはり知識はアップデートされる、知見はアップデートされるので、新しいよいものにアクセスできるエビデンスをしっかりと使えるだけの力が必要です。そこは、やはり基礎のほうでしっかりと培わなければいけない能力の一つだろうと考えます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 では、太田構成員お待たせしました。

○太田構成員 在宅看護というんでしょうか、訪問看護の重要性を皆さん認識されていて非常に心強いと思うわけですけれども、村嶋構成員の言われたことにかなり本質的なことが含まれていると思います。この要綱の中には書かれていますけれども、病院、老人の施設、そして在宅、療養の場が多様化していっているというふうに書かれているように、在宅医療というのは自宅の医療、自宅だけで行う医療ではないんです。

 ですから、訪問看護は自宅に行くものだというイメージをお持ちなのかもしれないんですけれども、その本質的なことというのは老人施設であっても同じで、私の整理というのは治療の場における看護と、暮らしの場における看護というふうに2つ大きく分けています。インテンシブケアの病院の医療とロングタームケアの自宅であったり、老人施設であったりということになります。

 ですから、生活の場での看護というのが訪問看護の本質的な姿だろうと思いますので、どこで提供するから訪問看護だと、自宅で提供するから訪問看護だとか、そういうふうに整理するとちょっと本質がぼけるかなというふうに私は思っています。出かけていくことだけでもないんですね。

 暮らしの場の看護、そして治療の場の看護というふうに大きくざっくり分けて、今は暮らしの場での看護の議論の中に老人施設があったり、グループホームがあったり、自宅があったり、サ高住があったりということです。

 それで、今後人口構造が変化しますから、将来独居の認知症などというのはどんどん増えてくるわけでして、自宅にいれば幸せかというとそういう問題でもないんですね。その人にとって一番適切な療養の場がどこかと考えたときに、老人施設であるかもしれない、グループホームであるかもしれない。場合によっては、地域力があれば自宅かもしれない。そこで提供する看護、これが訪問看護の本質的な姿だろうと思っています。

○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにございますか。

 それでは、木澤構成員、お願いいたします。

○木澤構成員 今、臨床の場から述べさせていただきますと、倫理はものすごく重要だと思います。どうしても看護師は、生活者として看るよりも患者にしてしまうような感覚があるのかと思うんです。急性期というのは生活から一番遠いところにあるんですけれども、そういったところではイメージがしにくかったり、そういった生活の部分は抜け落ちているというのは大きくあるかと思います。

 ただし、やはり専門の患者さんですとか認知症の患者さんが非常に多くなっておりますので、例えばナースステーションで御飯を食べたりですとか、あとは院内にデイケアがあったら患者さんをもう少し手厚くケアできるというのは急性期にも必要な部分はこれから出てくるんじゃないかと感じています。

 あとは教育の部分ですけれども、患者さんが生きる力をどういうふうにつけていくかといった視点というのは、非常に臨床の場で抜け落ちている部分が大きいかと思っています。先ほど、御自身で治る力、生きたいと思う力、それから帰って何かをしたいと思うようなイメージをつけていくようなサポートをこれからの看護師はつくらなければいけないかと思います。

 もう一点、看護師の特定行為に私は携わっておりましたけれども、「看護基礎教育を取り巻く現状等の参考資料」のほうをちょっとごらんいただきたいと思うんですが、28ページをごらんください。こちらに、「看護師の特定行為研修の概要」というのがございます。こちらは共通科目というものが315時間設けられているということで、まだまだ修了者が全くふえないという現状があるかと思います。

 ただし、この共通科目の内容を見てみますと、看護基礎教育で学んだような病態学ですとか、そういったものが含まれております。臨床推論というのが新しいものになるかと思うんですが、そのほか、フィジカルアセスメントですとか、臨床薬理学というものはもう一回学び直しをしなければならないという現状があるかと思います。

 こういったものは、もう少し基礎のときから臨床推論ですとか、どういうふうに患者さんを統合して見ていくか。ここでは、診断プロセスのようなものが入っているかと思うんですけれども、これからは看護師だけではなくていろいろな理学療法士ですとか、そういった医療職にかかわる方々が基礎的には同じような、こういった医師が考えているようなプロセスを共通して学ぶというように少し広くなりましたけれども、一人の患者さんをいろいろな多職種が見るときに、教育がばらばらというのも患者さんを見る視点が少し異なってくるということにもつながってくるかと思いますので、こういったものが基礎教育に少しずつ含まれるというのが理想かと思っています。以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。大体、よろしゅうございますか。

 それでは、木村構成員、お願いいたします。

○木村構成員 私は、看護の現状について詳しくは存じません。専門的に教育学という立場から議論をお聞きして、ちょっと離れた観点から少し発言をさせていただきます。

 きょうの議論だけでも、随分看護現場というものの持っている問題の深さと難しさというものがよくわかりました。その看護現場の中で、では実際にどうやって議論していくのかということを考えたときに、保健師助産師看護師学校養成所指定規則にカリキュラム規則というものがありますけれども、これは皆さんにとっては当たり前のことだと思うのですがそれに即してどう議論していくか、つまり、基礎分野、専門基礎分野、専門分野I、II、統合分野というところから看護教育というもののカリキュラムが構成されている枠組みをどう考えるか。

 その中で、きょう出ている議論としては、基礎分野というところは根本的にしっかりやらなければいけないという意見がたくさん出ていたように思います。コミュニケーションスキルの問題にせよ、あるいは私たちの研究領域のことばで言うならば当事者主義というふうにいいますが、例えばこの薬を飲めば絶対に病気が治る、よくなるんだというふうに言っても、私はこの薬だけは飲みたくない。これを飲むぐらいならば死んでもいいというふうになった場合に、それではどうするかについて恐らく現場の看護師さんたちは切実な問題として、それほど極端な話ではないにせよ、そういう選択が常に求められるという現実があると思います。ですから、そういうところの基礎的認識をどう養うのかということをしっかりやる必要があるということを想定されておっしゃられていたように思いました。

 一方で、統合分野というものについては、これは本当に繰り返し言われているように地域包括ケアというもので、保健とか、医療とか、福祉とか、これをどうやって一体として位置づけていくのか、今から少子高齢化社会の中でしっかりやっていかなくちゃいけない、看護師の基礎教育としては絶対必要だというふうに言われていたと思います。

 この2つのご指摘は大切ですし、さらに専門分野のIIというところの問題、つまり成人とか、老年とか、小児という看護教育のこれまでの準備されてきた箱が本当にそれでいいのか。もっとライフコースや生活というものに即するような形で対応し直す必要があるのではないかという発言もあったように思います。

 これらの問題はどれも現状を踏まえられた大切なご発言に聞こえましたがそれをどのような枠のなかで考えていくのか、つまりカリキュラム原理というものに踏み込んでそれらに対応するのか。それとも、喫緊の問題がたくさんあるので、まずは既存の枠内で考える。さっきリストラという話があったと思いますけれども、リストラをする際に、重要なものを選んで、ことばの問題はあるにしても、対症療法型でいくのか、議論をするための前提が必要菜ように思いました。

 どちらの方向でいくのかということについて、もし最後に議長のほうで大きなイメージを出していただくと、私としては全体をどういう議論していくのかということが見えやすいかと思いましたので、最後にちょっとそのことに触れていただければと思いました。以上です。

○遠藤座長 できるだけ御意見を伺いたいので、先ほど手を挙げられていた馬場構成員、井伊構成員、それから釜萢構成員でお願いします。

○馬場構成員 将来を担う看護職員に求められる能力というのと、それから免許取得前に習得すべき能力というのはやはり少し違うものだと思いますし、私どもの病院に入ってくる新人ナースも最初はどうなるのかなと思っても、数年たてばやはりチーム医療のリーダーになり、あるいは地域のリーダーになりと、皆さん大きく育っていただいているので、卒前で絶対なければいけないものと、卒後でもいいもの、あるいは卒後のほうがいいもの、そういったものをきちんと分けて、やはりある程度スリムで負担感のないものであって、学校ごとにできれば特色があってとか、そういった部分の余裕があればいいんじゃないかと思っております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 では、井伊構成員お願いします。

○井伊構成員 手短に言います。先ほど太田先生が訪問看護の話をしてくださって、全くそのとおりだと思います。訪問看護の本質をどう捉えるかということについて、あるいは訪問看護とは何かという説明についてはそうだと思うのですが、では全く入門者である学生、そういうことを何も知らない人がどのようにそれを学んでいくのかということになると、それは例えばグループホームでも同じだと言っても、その一場面で学べることにおいては限りがあります。いろいろなことから、何を見ても学べるのは熟練者でありますが、入門者というのはどういう学習過程をとらなければいけないかというと、訪問看護の本質を捉えるということと、もう一つは方法論に関してきちんと議論が必要ではないかと思います。

 それから、先ほど池西先生から准看護師の到達目標のお話をしていただきまして、到達目標はないわけですので、これについて何らかの議論が必要なのであろうという御意見だと思います。そうだとすると、これは内容ではなくて今後の検討会の進め方にかかわることですけれども、どういうふうに進めるのか。今、准看護師が担う役割がどうなのか。それから、准看護師は保助看法において医師、歯科医師または看護師の指示を受けて業務を行うというふうに規定をされております。

 しかしながら、一方で、指示があれば何でもできるという矛盾した制度だというふうに日本看護協会としては捉えているところです。それですので、業務範囲とか指示のあり方などについて整理があって、そしてその上で到達目標の議論をするならばするという進め方になるのだろうと思いますので、そこはちょっと意見として申し上げたいと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 こちらでお手を挙げられていた方で、釜萢構成員からお先にどうぞ。

○釜萢構成員 ありがとうございます。今、これまでに皆さんが御議論された内容については確かにそのとおりだなと思って聞いておりましたが、これは医師の場合もそうなんですけれども、コミュニケーション能力というのは、本来は医療職を目指す前にしっかり身につけて医療職を選んでもらわないと本当は困るだろうと思うんですね。それで、医療職を選んだ後で、なかなか果たしてコミュニケーション能力というのはそう簡単につくということもないように思うのですが、一方で、若年人口がどんどん減ってきて、医療職にばかり日本の大事な人材をいただくということはできないわけですから、限られた人材の中で育てていって、国民に役立つ看護職を確保しなければいけないというのが我々の非常に大きな責務だろうと思います。

 それで、先ほど藤田構成員が言われたように、その看護職を目指す人たちもいろいろな層があるので、それらの人たちがしっかり現場で先々役に立つように考えていかなければいけない。それは、前田構成員が言われたリストラというのも私は非常に大事な視点だろうというふうに感じました。

 その中で、基礎教育というのは試験がありますから、一定の能力が必要でそこで試されるわけですけれども、卒後、実践の中でしっかり伸ばしていくことができればいいわけで、先々こういう方向を目指せばいいんだというところをしっかりと教えていって、国家試験ならば国家試験合格時点で全てできているわけでなくてもいいと思うんです。

 ですから、この方向で先々学んでいけば必ず国民に役立つ看護職になれるというような形の指導を心掛けて、そして当然、卒業時点でここまではやらなければいけないということがあっていいんですけれども、先々伸びる形での指導をしないといけない。そうでないと、きょうお話を伺っていることを、例えば3年間や4年間で全部やろうと思っても、これはとても無理だと思います。ですから、先々必ず伸びていけるという方向のカリキュラムを、今後それぞれの領域で検討していくことが必要だろうと思います。

 それから、准看護師について一言申しますと、やはり制度ができた時期と今とでは大分時代が違います。ですから、昔のままで、このままずっと進めばいいということではないと私どもは思っています。

 一方で、社会人として医療職に入ってくる一つのステップとしては非常に大事なものなので、これがなくなってしまえばいいと私どもは考えていない。その中で、准看護師として担うべき役割ということを、しっかり皆さんの合意を形成し、そしてさらにその上を目指すことができる道筋がきちんとできれば、それが今後国民に求められる看護の大きな一翼を担えるんだろうと思っておりますので、そのこともちょっと触れておきます。以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 では、太田構成員、簡潔にお願いいたします。もう一つまだアジェンダが残っておりますので。

○太田構成員 わかりました。

 医者に在宅医療を伝えるときに、しばしば病院のベッドが地域に広がったというふうに話すわけです。それはある面で正しいんですけれども、そこで提供されている医療の質は全く病院医療と違います。医療が提供されたその妥当性の物差しをQOLに求めるのが在宅医療であって、病院医療とはやはり疾病の治癒率であったり、延命であったりということなんですね。

 ですから、ビジティングサービスであるということを否定するものでもありませんが、やはり医療の質、あるいは、看護の質も全く違うんだろうというのが私の意見です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、もう一つ論点案に出ているものがあります。要するに、教育の内容と方法についてでございますので、時間が限られておりますけれども、御意見を賜れればと思いますが、いかがでございましょうか。もう既に踏み込んで議論はされているわけですけれども、改めて御意見があれば承りたいと思います。

 額賀構成員、お願いいたします。

○額賀構成員 この議題ではないのですが、今までお話を聞いていて、いろいろ勉強させていただいて、ちょっと思ったことをお話させていただきます。2点あります。

 1点目ですが、私は高等学校の長であります。看護高校でありますので看護師を養成していますが、普通科もございます。ですので、看護師養成所に生徒を送り出す立場でもあります。そこで思うのは、やはり学校では今、特別に支援を要する生徒の教育についていろいろ努力しているところであります。看護科においても、そういう子が入ってきております。また、大学、専門学校でも当然いらっしゃると思います。

 そういう子たちが教育を受けられるような教員であってほしいし、またそういう子たちが勤められる職場があってほしいし、理解していただきたいし、また、そういう子たちと協力して仕事ができる職員の方であってほしいということが1つでございます。

 もう一点は、うちも複数の校種を持っていますのでいろいろな学生、生徒を見ていますけれども、確かに生活体験が不足している学生、生徒がふえてきているとは思います。その中で在宅の話を聞いていますと、何か学生が学ぶものではなくて、卒後に現任教育の中で仕上げるようなものなのかなと、在宅でも自宅で複数の家族がいるところに踏み込んでいくお仕事だと思いますので、それなりの社会経験がないと難しいかという気はしております。その辺も、ぜひ御検討いただければと思います。よろしくお願いします。

○遠藤座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。

 山田構成員、どうぞ。

○山田構成員 訪問看護の人材不足というのは甚だしいわけで、それで長年、私も訪問看護の仕事に携わってきておりますけれども、看護学校を卒業する時点で訪問看護の仕事についてもいいよと思う人は大体2割いるんですね。その中で、実際につく人は極めて少数なんですけれども、少数の中でも今その数がふえてきています。新卒を受け入れたいというステーションも4割以上あります。

 それで、病院の急性期を扱う看護に慣れた看護師を訪問看護で雇用するよりも、ピュアな生活者としての感覚をしっかり持っている卒業生がステーションに就職した場合、いいナースに育つという例もたくさんあって、それは中島構成員がよく御存じだと思います。もちろん、やはり向いていないと言ってやめる人もいますけれども、育つ人はちゃんと育ちますので、その辺も意識下に入れた基礎教育は必要だと思います。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 関連でも結構でございますし、新たな視点でも結構でございます。

 それでは、中西構成員、お願いいたします。

○中西構成員 皆様の御意見を聞かせていただきながら、准看護師養成にかかわる者として意見を述べさせていただきたいと思います。

 先ほど池西先生や井伊先生から触れていただきましたけれども、准看護師教育の到達目標はございません。准看護師養成所各々が設定した到達レベルで卒業した准看護師が、医師、歯科医師、看護師の指示のもと業務ができるといったところで、現場ではほとんど看護師と変わらない仕事をせざるを得ない現状があります。

 また、平成11年に准看護師養成カリキュラムは変更されたきりそのままでございます。資料にも示されているように、皆様の御意見の中でも在宅における看護職の役割や地域包括ケアシステム等に関する教育の必要性を述べておられたかと思うのですけれども、准看護師養成カリキュラムの中にはそのようなカリキュラムは一切入っていないにもかかわらず訪問看護に携わっている准看護師もいます。

 それにプラスしまして、准看護師養成所の入学要件が中学校卒業であることにもいろいろな意見がある中で、看護職を目指すルートの拡大ですとか門戸を広げるといった方針や施策が福祉とつながって、経済的に厳しい学生やシングルマザーの学生が増加しているといったような問題もあり、資格取得の目的が経済的自立に重点が置かれてしまって、なかなか進学に結びつかないといったようなことも起こっております。こういった実態を考えながら、准看護師養成において何を目指すのかを検討していかなければならないと考えております。以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。

 ほかに何か御意見ございますか。

 では、池西構成員どうぞ。

○池西構成員 3番の問題に戻りたいのですが、教育内容については先ほど能力のところで出てきた中身が内容に反映されるべきものなのかなと思って整理いたしました。

 あとは教育方法に関することなのですが、先ほどから出ていますように、学生が様変わりしてきていて、以前のようにいわゆる講義をしていたのでは学生たちが全くついてこない。そういう現状は、現場の先生方は皆さん実施されていて、いろいろな工夫をされていると思います。

 ただ、その工夫ができている学校、あるいはできている方とできていない方の教員の差、あるいは学校の差もあるかもしれません。

 ですから、今、看護教員の継続教育を都道府県単位でもやってくださっているのですが、もう少し充実して、より多くの教員が今の学生たちに対応できる教育方法、例えばアクティブラーニングとか、確かに効果があるものですが、そういったものについても実際はなかなか難しいという声もよく聞きますので、そのような教育を教員側にしていかなければいけないと思っているところです。

 演習については、シミュレーション教育がこれからは要ると思います。臨地実習で体験できないことは間違いなくあるわけで、患者さんの権利擁護の問題も含めてできないこともあるので、シミュレーション教育をもっともっと取り入れたいと思うのですが、佐々木先生の研究報告の中でおおむね8割はしているということなのですが、効果が上がっているかとかというとやはりまだまだ教員の研修も含めて不足な部分がありましたので、教員側の研修がとても重要な課題と思っています。以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。ほかによろしゅうございますか。

 それでは、春山構成員、お願いいたします。

○春山構成員 私も、やはり実習を一定程度やったとしても、そこで経験できることは限りがありますし、今の保健医療の現場の状況もあると思うので、やはりシミュレーション教育というのがすごく重要だと思います。

 だから、逆に現場の実習にこだわって、そういうところをきちんと位置づけないがゆえに教育機関の差も出てくると思われますし、保健師教育をとってみても、例えば健康危機管理といっても実習中に平時以外のことは経験できないわけですから、やはりそのシミュレーション教育というものをきちんと教育方法に位置づけて、実習では経験できないことの基礎的な能力をきちんとつけられるようにすることが大事かと思います。

 もう一点は、今の看護師教育のほうですけれども、発達段階別というのは少し限界があるのかなと思いまして、求められているのが包括性、継続性、そして多職種連携ということですと、やはりそこら辺は複合的に、もしくは別な切り口で教育をしていくことによって効果的になる部分もあると思うので、それを統合科目でやっていくのか、根本の枠組みを変えるのかというところはあると思いますけれども、少し見直してもいいんじゃないかと思いました。以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 では、村嶋構成員どうぞ。

○村嶋構成員 シミュレーション教育は、できることとできないことがあります。かなりわかっていることに対してはシミュレーション教育ができるかもしれませんが、未知のことにどう対処していくか、その能力をどう鍛えていくかということがとても保健師の場合には大事だと思います。

 保健師の7割弱は行政に勤めていて、そこは日々、市町村や県の第一線の問題が持ち込まれるところです。保健師は、それに、関わっていきます。日本は少子高齢化、課題先進国でございますので、そういうところで未知の課題に取り組めるような能力をきっちりつけないといけない。かつ、行政の中にいる看護職でございますので、住民さんが健康相談に来られたときに、実際にそれに対応しながら、同時に、行政の問題や地域の問題をきっちり見て、それを施策に上げていく能力が非常に大事だと思います。

 また、せめて単独で何軒も家庭訪問するような経験が保健師の場合には必要でございまして、やはり実際におこなって、改善を図る取り組みが実習だということを共通認識にしていただきたいと思います。以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 では、井村構成員お願いします。

○井村構成員 私も今の文脈で皆様が話されていたことで、今まで我々の頭の中や学生さんの中に講義、演習、実習という3つのカテゴリーが固くあるような場合もございますけれども、この枠自体をフレキシブルに統合しながら行っていくということは、これからの教育の中では方法論的にも重要だと考えています。

 それから、学んでほしいことのコンテンツをはっきりさせて、その方法論として、いわゆる一方向型の講義はもう古いというのは既に誰もが承知しているところですので、さまざまなシミュレーションを使ったり、ある部分はeラーニングでセルフラーニングする等ブレンド型の学習を取り入れるような教育方法論的な展開が必要だと思います。アクティブラーニングというみずからが主体的に学ぶというつくり込みの教育方法論もどんどん活用されなければいけないと考えます。

 その上で今、村嶋先生がおっしゃられたように、本当に現場でないと学べない、リアリティーの中で感じとったり、時間軸の流れの中で判断していったりする学習を確実に実習を通して行っていく。どの場で何が学べるかということを、教育を提供する側がもっと峻別して、それをうまく教育の中に配置するということが必要だろうと考えますので、皆様のおっしゃる方向性は大変賛成です。

 それともう一つ、先ほど春山先生がおっしゃられた今の領域別のお話です。発達別の領域構成というのは、確かにある部分ぶち抜いてよろしいのだろう、もしくは連携統合されながら展開するということは一つの大切なことだと思います。

 誤解のないようにもう一度申し上げたいのは、領域別の教育の箱というのはさまざまに解体されてもよろしいと思うのですけれども、看護を学ぶ人は、人が生まれてから召されるまでのライフステージ、人の人生としての流れというのはしっかりと学ばなければいけないということは改めて皆様と確認できるとうれしいと思って発言させていただきました。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 まだまだ御意見あるかと思いますけれども、用意された時間にほぼなったものですので、本日はこれぐらいにさせていただこうかと思います。

 キックオフにもかかわらず、これだけ活発な御意見をいただきましてどうもありがとうございました。

 第2回の検討会でございますけれども、本日、多様な御意見が出ましたので、事務局にこの論点をまとめていただきまして、引き続き看護師のワーキンググループを発足することになりましたので、そこで検討すべき事項を次回は御議論いただきたいと思いますので、御協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、事務局から何か連絡事項はございますか。

○関根教育体制推進官 第2回の検討会ですけれども、5月の開催を予定しております。構成員の皆様方には、改めて御案内させていただきます。

 また、本日の資料につきましては、次回の検討会でも御活用いただけるよう事務局で保管しておきますので、机上に置いたままお帰りください。もしお持ち帰りになる場合には、事務局へ一言お声がけいただければと思います。

 ○遠藤座長 それでは、本日は本当にどうもありがとうございました。

 次回も、どうぞよろしくお願いします。

 

(了)

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