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2018年4月11日 平成30年度第1回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録
医薬・生活衛生局
○日時
平成30年4月11日(水)10:00~12:00
○場所
厚生労働省共用第8会議室(中央合同庁舎5号館20階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
○議題
(1)医薬行政をめぐる現状と課題について
(2)医薬品製造販売業者等が行う医薬品等の販売に関する情報提供の適正化について2
(3)その他
○議事
○屋敷総務課長 傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既に御案内をしております注意事項をお守りいただきますようお願いいたします。
それでは、定刻になりましたので、ただいまから平成30年度第1回「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。
委員の皆様には、御多忙の折お集まりいただきまして、御礼を申し上げます。
本日、19名中17名の御出席をいただいております。平井委員及び三村委員からは御欠席の連絡をいただいております。
議事に入ります前に、本日の配付資料の確認をいたします。机上に紙の資料と本日からタブレットの使用を試行的に始めるということでございますので、あわせて御説明をいたします。
まず、紙のほうの資料をご覧いただきますと、議事次第で本日の議題がその他を含めて3つあります。議題の1つ目が、資料1-1から1-5までになります。議題の2つ目が資料2の関係になります。参考資料としましては、委員名簿、参考資料2が「注射用抗がん剤の適正使用と残液の取扱いに関する手引きについて」、参考資料3が「欠格条項の見直しの内容(医薬品医療機器等法・薬剤師法等)」、参考資料4が「毒物及び劇物取締法の改正の概要」でございます。紙の資料の御不足等ありましたらお申し出ください。
次に、タブレットの関係でございます。今回より、行政分野でも試行的にペーパーレス化を進めていこうということで、審議会におきましても御協力いただいているというものでございます。お手元のタブレット端末でも資料を見ていただけますので、タブレット端末の操作方法について説明をいたします。
お机の上にカラー刷りの操作説明書というものの準備をしております。タブレットですが、指先で画面をタッチして操作をするということで、まず、電源ですけれども、左上の番号が書いてありますところの左側にスイッチがあります。それを入れますと電源が入る、待機状態が解除されます。電源が入りましたら、画面をスワイプ、こすり上げる動作をしますとサインインが出てきますので、サインインをタッチしますと中に入っていくということでございます。まず、ここまでよろしいでしょうか。
それでは、メニュー画面下にタブが並んでおりまして、ファイルマネジャー、フォルダの形をしておりますアイコンをタッチいたしますと、本日用意しております議事次第から参考資料4まで、11種類の資料がそれぞれPDFのファイルで格納されているということでございます。
ご覧いただく資料のファイル名をタッチしますとその画面が出てくるということで、試しに資料1-1をタッチいただきますと「『改正法の施行後5年を目途とした検討』について」が画面に出てくるということでございます。
これをなぞりますと、下のほうの画面にページが移っていくということですが、字が小さいということがあれば、画面上で指で広げる、狭めるで画面の操作ができますので、そのように御使用いただければと思います。
また、資料の切り替えでございますが、例えば資料1-1から資料1-2に移る場合には、先ほどのフォルダーマークのところを押しますと資料一覧が出てきますので、順次資料1-2等に進んでいただければと思います。
あと、この端末ですが、セキュリティーの関係上、30分操作しませんと画面がスリープになるように設定をしています。スリープになりましたら、最初と同じですが、左上の電源ボタンを押すとまた待機状態が解除されるということでございます。
職員が後ろのほうにおりますので、不明点がありましたらお声かけをいただければと思います。
最後になりますが、今回のペーパーレス化に関しまして、お手数ですがアンケート用紙を準備しております。議事が終了しましたら、事務局が回収いたしますので、お手数をおかけしますが御協力よろしくお願いいたします。
それでは、間もなく議事に入りますので、冒頭、カメラ等の撮影がありましたらこれまでとさせていただきます。
それでは、以後の進行は森田部会長、よろしくお願いいたします。
○森田部会長 皆様、おはようございます。
それでは、早速ですけれども、議題1から入りたいと思います。議題「1.医薬行政をめぐる現状と課題について」のテーマについて御議論いただきたいと思います。
早速ですが、事務局のほうから資料の御説明をお願いいたします。
○屋敷総務課長 総務課の屋敷でございます。
資料1-1から1-5まで、ひとまず御説明をさせていただきたいと思います。
資料1-1をご覧ください。紙でもタブレットでも結構でございます。
資料1-1ですが、「『改正法の施行後5年を目途とした検討』について」でありまして、本年度に入りまして、制度の見直しについての検討を開始していただければと考えております。
各ページの右下に、小さいですけれどもページ番号が入っております。2ページ目ですが、平成25年に2つの法律が改正法ですが制定をされまして、それぞれ附則の検討規定が置かれております。安全対策強化、医薬品の販売規制見直しに関する2本の法律でございまして、それぞれ附則におきまして、施行後5年を目途として検討を加えるということになっておるところでございます。
3ページ目をご覧いただきたいと思いますが、附則で施行後5年を目途とした見直しが規定されているということでございます。その後、人口構造の変化あるいは技術革新の影響等を含めて、今後どのようにしていくのかということを考えるべきであり、その見通しの視点に基づきまして、この法についての検討を行うということでございます。
事務局からの提案でございますが、幾つかのテーマを設定しまして、それぞれ各項目について御議論をいただければと思います。そのテーマは、問題領域をどのような形で検討するのが議論の一体性があってよいか、あるいは実際にこの制度部会の進行を円滑に進めるという観点からも、この3つのテーマを提案させていただいているものでございます。
1つ目が、革新的な医薬品・医療機器等への迅速なアクセス確保・安全対策。こちらは承認審査あるいは安全対策の点が中心でございます。
2つ目が、それらが行われる製造販売業あるいは薬局等の実際の流通の場面におきまして、取り扱う組織のガバナンスといった点から見て、改善を加える点がないかといった点。
3つ目が、薬局・薬剤師のあり方。実際に医薬品が患者さんの手元に渡る部分につきまして、どのような状況になっているのか。
こういった3つのテーマを設定しまして、検討を進めていただければという御提案でございます。
また、このほかでございますが、安全な血液製剤の安定供給の確保に関する法律の改正に関しましては、薬事食品衛生審議会の血液事業部会において検討をする予定でございます。この検討結果につきましては、こちらの制度部会のほうにまた報告をさせていただければと考えております。
4ページ目、5ページ目、6ページ目はそれぞれテーマの問題意識と検討の視点の例ということで、提案をさせていただいているものでございます。
4ページ目は、承認審査、安全対策の関連でございますが、その技術の進歩あるいは国際的な観点を踏まえて、患者に医療従事者が必要な製品を早く提供するといった規制面からのアプローチが重要であるといったこと、合わせて、承認審査の予見性の向上といった点、あるいは安全性を確保した観点からの企業負担の軽減、国際整合性の確保についての制度の見直し、明確化といった問題意識を提案させていただいております。
検討の視点としましては、安全性の確保を前提とした医薬品・医療機器を迅速に実用化する承認制度の明確化とか、患者レジストリーの構築あるいはMID-NET等の本格実施が始まっております。それらの電子的な医療情報を承認審査、安全対策に円滑に利用していくための制度の明確化といった点、あるいは規制の国際的な整合性、効率性に配慮した品質管理方法の導入といった点について、検討の視点として挙げられるのではないかと考えております。
5ページ目が、これは適切な製造・流通・販売を確保する仕組み、ガバナンスの点でございますが、問題事案が発生しているということで、国民の信頼が揺らいでいるのではないかということ。法令違反に対する再発防止あるいは法令遵守といった取組がしっかりとなされるような仕組みを検討する必要があるのではないかといったものでございます。
6ページ目でございますが、こちらは薬局・薬剤師のあり方でございます。医薬分業が進展している一方で、患者が医薬分業の利益を実感できていないという指摘がある。「患者のための薬局ビジョン」を策定しておりますが、地域包括ケアシステムの中で薬剤師・薬局が医療・介護の一翼を担うような取組、体制づくりが求められている。あるいはインターネットを利用した個人輸入等の流通がある状況で、医薬品の安全確保の取組を強化する必要があるといった問題意識をもとに提案をさせていただいております。
次に、それぞれのテーマに沿いまして、現在の施行状況等を御紹介いたします。
資料1-2がテーマ1の関係でございまして、3ページ目をご覧いただきますと、それぞれのテーマごとに薬機法の施行状況と現状あるいは技術革新・グローバル化の進展と関係のデータ、検討のテーマを準備しておりますが、検討のテーマは先ほど資料1-1で掲げたものと同じでございます。
4ページ目をご覧いただきますと、まず、医薬品の審査の関係でございます。新医薬品の承認ですが、例年、約100件を超える承認が行われておりまして、審査機関につきましては、通常審査品目12カ月、優先審査品目は9カ月を目標値とし、それぞれここに出ておりますような実績値で11カ月あるいは8カ月といった状況になっており、目標は達成しているということでございます。
国際的な状況から見ましても、5ページ目でございますが、FDA、EMAと並べましても、世界最速を達成している状況でございます。
6ページ目をご覧いただきますと、ドラッグ・ラグという観点から、審査ラグはなくなっておりますが、まだ開発ラグは1年ほどあるということでございます。この開発の段階から、いかにラグをなくしていくかという観点の取組が進められておりまして、7ページ目をご覧いただきたいと思います。
こちらはオーファンドラッグの関係でございまして、これは従前から国内において5万人に達しないこと等の要件を満たす医薬品を指定し、優先的な審査の実施とか助成金交付、税制措置上の優遇などが行われているというものでございます。
最近の取組を幾つか御紹介しますと、8ページ目でございますが、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議で順次、進めてきております。要望をいただきまして、それに対しまして開発要請を行うということでございます。
第I回目から第IV回目までの要望の件数の推移あるいは開発要請の件数の推移を見ますと、こちらのほうは順次、このスキームに乗った対応がなされていることが見てとれるかと思います。
9ページ目ですが、これは先駆け審査指定制度でありまして、平成26年の「日本再興戦略」に基づきまして、世界に先駆けて開発されることが見込まれる医薬品を指定する制度を設けているところでございます。
優先審査は通常12カ月でありますが、6カ月といったところで目標を設定する等の対策を講ずるということで、その施行の状況ですが、10ページ目から12ページ目までをご覧いただきますと、平成27年10月で6品目、平成29年4月で5品目、そして先般の3月27日で6品目、計17品目を指定しているということでございます。
13ページ目でございますが、非常に高額な医薬品が承認されるところで、最適な使用を進めていくことが求められており、昨年9月でございますが、最適使用推進ガイドラインの患者の選択基準あるいは医療機関等の要件を定めて、保険とも連動しながらということでございますが、整備が進められているということでございます。
また、医薬品の分野におきましても、医薬品の条件付き早期承認制度の仕組みが準備されております。15ページ目でございますが、昨年10月20日付で通知を発出しておりまして、検証的臨床試験の実施が困難なものにつきまして、承認条件を付与することにより、早期の実用化を目指すものでございます。
16ページ目、17ページ目は、医薬品の審査ですけれども、産業強化総合戦略の関係でございます。27年に策定されておりますが、17ページ目ですけれども、昨年末、医薬品産業強化総合戦略の改訂が行われまして、7つほど項目がございますけれども、特に薬事規制に関連するものとしては2番目でありまして、規制改革を通じたコスト低減、効率性の向上、審査プロセスの予測正の高い形での制度化あるいはリアルワールドデータ利活用促進、PMDAの体制整備等が位置づけられているということでございます。
次に、18ページ目以降は医療機器の分野になります。
医療機器におきましても、審査期間は短縮をされている。米国との比較でも、審査ラグゼロを達成されているということでございますし、先般の法改正では、医療機器に関する章が設けられ、その特性を踏まえた規制体制の構築あるいは省内の体制整備等が進んでいるということでございます。
19ページ目をご覧いただきますと、医薬品と同様、審査ラグはゼロでありますが、開発ラグがまだ残っているということでございます。
21ページ目をご覧いただきたいと思います。再生医療等製品実用化に対応した承認制度でございますが、こちらは個人差を反映して品質が不均一となるような特性があることから、条件、期限を付して再生医療等製品を承認する。安全対策のもとで、市販後に有効性、更なる安全性を確認する制度の導入が行われているということでございます。
その承認の状況でございますが、22ページ目、現在、テムセルHS注とハートシートの2品目が承認をされているということでございます。
23ページ目は、早期承認に向けた取組でありますが、先駆け審査指定制度、革新的医療機器の条件付き早期承認制度あるいは治験症例数のガイダンス等が定められているということでございまして、25ページ目以降をご覧いただきますと、これは医療機器等の先駆け審査指定でございますが、第1弾として28年2月で医療機器2品目、再生医療等製品3品目、26ページ目は29年2月で医療機器3品目、27ページ目は体診1品目、再生医療等製品3品目、そして28ページ目は先般の3月ですが、医療機器が2品目、再生医療等製品3品目の指定が行われているというところでございます。
29ページ目は、革新的医療機器の条件付き早期承認制度も、製造、販売後のリスク管理の検討と合わせて計画をつくり、その後、安全措置をとることによって、医療機器のライフサイクルマネジメントに対応しているということでございます。
30ページ目は治験ガイダンスでございまして、新たな治験を実施することなく承認申請することができるかどうかといった観点からの道筋の明確化、PMDAでの相談の対応が行われているということであります。
31ページ目は、医療機器の分野におきます国際薬事規制調和戦略でございますが、順次、リファレンスカントリー化を推進し、実績としても日本の薬事規制の情報が利用されるようになってきているという状況でございます。
32ページ目でございますが、再製造SUDにつきましての基準の新設とかPMDAによる定期確認等の仕組みが昨年、整備されている状況でございます。
33ページ目以降は安全対策の関係でございますが、こちらは国際報告制度等の整備が進んでいるということでございます。
制度的な整備としましては、36ページ目をご覧いただきたいと思いますが、安全対策につきまして、先般の法改正では添付文書の位置づけの見直しが行われ、37ページ目では、添付文書が順次PMDAホームページに掲載されてきているということでございます。
また、最近の取組としましては、38ページ目で医療情報データベース推進事業、MID-NETでありますが、平成30年度より本格運用が開始されて、今後、発展を目指していくということでございます。
安全対策としましては、個別の使用の場面でどのようなことができるかという取組もございまして、39ページ目で、高齢者のポリファーマシーについて、昨年度は指針(総論編)の作成を行い、2段階進めるということで、本年度は疾患領域別又は療養環境別の指針の策定を予定している状況でございます。
4番目ですが、製造管理・品質管理につきまして、医薬品にかかるGMP適合性調査、医療機器に係るQMS適合性調査が制度化され、運用をしているという状況でございます。
このような制度の状況でございますが、これを取り巻く環境としましては、42ページ目で、ゲノム情報の活用によりがん治療の成績が向上をしている。あるいはAI等で、カプセル内視鏡で、短時間で数千枚の画像の抽出等が行われるような状況が既に来ているということ。あとは、44ページ目はバイオ医薬品の効果とか、45ページ目以降は国際的な観点からバイオ医薬品あるいは諸外国のメーカーとの比較とか、47ページ目は米国、中国とか日本の市場規模とか、48ページ目は世界大手製薬企業の医薬品売上高で、日本でありますと武田薬品、アステラスが19位、20位といった状況である。
50ページ目は、主要5カ国で品目はどのような形で上市をされているかということで、やはり米国が1番目となるところが多い。日本は2番目、4番目ないしは5番目に上市をされているような状況であるということでございます。
これらを踏まえまして、最後、52ページ目でございますが、検討のテーマとして、迅速に実用化するための承認制度の明確化あるいは電子的な情報の円滑利用、規制の国際的な整合性と品質管理方法の導入、計画的な制度方法の変更を認めるための予見性の高い変更手続の導入等を検討の視点として提案させていただいております。
次に、テーマ2の関係でございますが、こちらは資料1-3をご覧いただきたいと思います。
資料1-3の4ページ目をご覧いただきますと、製造販売業におけるガバナンスでございますが、こちらは平成14年の制度改正におきまして、いわゆる三役制度、総括製造販売責任者は法律に定められておりまして、相互に連携するものとして、省令で品質保証責任者、安全管理責任者が設けられているという状況でございます。
5ページ目でありますけれども、それらの機能が果たされていないような状況が明らかになった。例えば、副作用報告等の遅延があったりとか、承認書との齟齬がある製造方法で行われているということで、昨年6月に三役制度に関します留意事項通知を発出しているということでございます。
6ページ目で、それぞれ通知の内容が示されておりますが、今後も引き続き、三役機能を強化するための対策の検討が必要ではないかと考えております。
7ページ目以降は薬事監視の状況でございますが、製造販売業者・製造業者あるいは販売業者、薬局等に対しまして、自治体ないし厚生労働省からの指導・監督が行われているということでございます。
8ページ目、9ページ目は、それぞれ薬事監視の推移とか無許可医薬品の発見数が出ておるところでございます。
10ページ目は、薬事監視のうち広告規制でございます。虚偽・誇大広告等の禁止、66条、67条、68条といった規定が定められているということであります。
薬事監視の新たな取組としましては、11ページ目でございますけれども、立入検査で不正が見抜けなかったといったことを考慮し、昨年6月以降、原薬製造業者等の製造業者に対しましては、無通告での立入検査を開始しているということでございます。
これらの背景としまして、13ページ目以降でございますが、どのような違反事実があったかということで幾つか紹介をさせていただきます。
13ページ目は、広告に関します違反事案でございまして、臨床研究におきますデータの改ざんとか承認事項を逸脱する効能・効果の暗示、あるいは有意差があるような印象を与える強調表現などが行われていたということでございます。
14ページ目は、化学及血清療法研究所における違反事例でございますが、承認書と異なる製造方法での製剤の製造あるいは組織的欺罔による隠蔽行為が行われていたということでございます。
個人輸入に関しましては15ページ目でありまして、虚偽の申請により受給した薬監証明に基づきまして、未承認の医療機器の輸入、国内での販売が行われていた。過去に取得しました医師免許証の写しを無断でコピーして使用といったこと。これは刑事告発なども行っているということでございます。
16ページ目は副作用報告の遅延でありまして、薬事関係法令に関する理解不足により、期限内での報告がなかった。業務改善命令を行っているということでございます。
薬局につきましては17ページ目でございまして、昨年4月以降、いわゆる処方箋の付け替え事案が判明したということで、同一法人における薬局で処方された処方箋を、保険調剤の観点から他の薬局で調剤したものとして保険請求している。立入検査の実施をして、複数の法令違反を確認した。各団体におきましても、実施点検を行った結果、ないということだったのですが、その後、また更に判明をするような事態となっておりまして、11月でございますが、厚労省から法令遵守の周知徹底についての通知を自治体宛てに発出するような事態となっているということでございます。
18ページ目はハーボニー、これはもう1年以上前になりますが、C型肝炎治療薬の偽造品の流通事案があったということでございます。
所管自治体による行政処分が行われているということでございますが、これは別途、検討会を立ち上げまして、当面、対処すべき点に基づきます省令改正とか、さらなる課題がありますので、それは引き続き検討を進めているところでございます。
これらの状況を踏まえまして、21ページ目が検討のテーマでございまして、各種事案の発生により、国民の信頼が揺らいでいるということで、再発防止策あるいは各事業者が法令遵守に取り組める体制をしっかり検討していきたいということで、検討の視点としまして、いわゆる三役につきましての役割の責務の明確化あるいは製造、流通、販売にかかわりますそれぞれの企業経営者、役員の責任の明確化、法令遵守違反に対する改善命令等以外の行政措置の導入につきまして、検討の視点として提示をさせていただいております。
テーマの3つ目の最後ですが、こちらは薬局、薬剤師に関連するものでございます。販売制度につきましては、4ページ目でございます平成25年改正で医療用医薬品、一般用医薬品と要指導医薬品、それぞれ対面販売あるいはネット販売可といった医薬品の分類と、それに伴います対応する専門家あるいは購入者への情報提供といった制度的措置が講じられているところでございます。
7ページ目をご覧いただきますと、インターネットについてでございますが、店舗数、サイト数の推移を見ますと、サイト数につきまして26、27、28年と増加をしておりましたが、29年、28年度末でございますけれども、今後の推移を注視する必要があるかと思いますが、サイト数自体は伸びがとまってきているという状況になっているのではないかと考えております。
8ページ目から11ページ目までは、医薬品販売制度実態把握調査を行っておりまして、それぞれルールがどのような遵守状況にあるかといった情報でございます。
7割程度の遵守状況になっているものもございますので、こういう点につきましては、引き続き指導が必要かと考えております。
12ページ目以降は、薬局・薬剤師についてでございます。12ページ目は平成27年の薬局ビジョン、かかりつけ薬剤師、服薬情報の一元的・継続的把握、24時間対応・在宅対応、医療機関等との連携を基礎として、健康サポート機能あるいは高度な薬学的管理機能といったところを伸ばしていくという方向性を示しているものでございます。
13ページ目はそれを推進するための事業で、30年度でありますと、例えば多職種連携とかICTの活用、あるいは健康サポートの推進、薬薬連携の取組の推進を図っているということでございます。
14ページ目は健康サポート薬局についてでございまして、今年2月末の段階で全国788件の届け出が行われているということでございます。これは薬局機能情報提供制度に基づき公表が行われているということでございます。
今後のイメージとしましては、15ページ目でございますけれども、地域包括ケアシステムの中において薬局・薬剤師が機能を発揮していく。地域包括ケアの参画ということでございますが、これが一つ重要な視点になるのではないかということでございます。
一つまた別の観点ということで、販売に関連するものでございますが、16ページ目、17ページ目で、対面での服薬指導義務の特例、いわゆる遠隔服薬指導というものが議論をされております。これも制度改正後の動きということでございますが、27年の日本再興戦略で国家戦略特区内に実証的に、離島、僻地居住で遠隔診療が行われた場合に、対面の服薬指導ができない場合に限って、テレビ電話による遠隔服薬指導を可能とするという措置が講じられたところでございます。
これは現在、幾つかの自治体で、この実施に向けた準備が進められているということでございますし、17ページ目をご覧いただきますと、昨年末の新しい経済政策パッケージの中で、遠隔の服薬指導につきましては、遠隔診療推進と合わせて進めるニーズへの対応、これはオンライン診療が始まったということでもございますし、一方で、当然ながら安全性確保の観点から、国家戦略特区の実証等を踏まえて、検討をするという状況でございます。
医薬品の安全な入手の2つ目でございますが、個人輸入をテーマとして提案をさせていただいております。18ページ目は、いわゆる薬監証明の仕組みでございまして、数量によりまして、個人で使用することが明らかな数量のものは税関を通る。それ以外のものは、薬監証明を経た上で、国内に入ってくるという仕組みがとられているということです。
19ページ目、20ページ目をご覧いただきますと、特に品目数が増えてきているという状況が見てとれますし、20ページ目をご覧いただきますと、約12万6,000件のうち、医薬品でありますと9万弱、医療機器が3万6,000強の件数が入り、医薬品は美容効果目的、がん治療目的、眼科治療目的等の品目が多いという状況でございます。
21ページ目をご覧いただきますと、29年3月以降、個人輸入制度の強化を行っている。革新的医薬品の輸入におきまして、最適使用推進ガイドラインの理解の徹底、同意書の取得等を行ってきているということでございます。
22ページ目は、医薬品の安全な入手の監視の関係でございますが、ハーボニー事件も受けまして、査察技術の向上を目的とした合同模擬査察等を30年度に予定しておりまして、それに先立ちまして、2月に麻薬取締官の参加のもと、東京都と合同模擬査察を実施しているということでございます。東京都下に所在の現金問屋、これは神田だと思いますけれども、そこで模擬査察の実施等を行っているということでございます。
23ページ目あるいは24ページ目は、インターネット監視とか無承認無許可医薬品の取組として、買上調査等を進めているということでございます。
25ページ目以降はこれらを取り巻く状況ということで、26ページ目は少子高齢化の状況とか、主要国におけます65歳以上人口の推移とか、例えば今後を考える上で、35ページ目をご覧いただきますと、人口構造の変化がある。30年推計も出ましたけれども、2045年の段階を見たときの総人口がどのように推移するか。これは青が濃いほうが総人口が減るということで、50%を超えるような減になるという自治体も出てきているということでございます。
36ページ目は、そのうち65歳以上人口がどのようになるのかということでございます。これは2045年で、65歳以上人口で実は減るところもありますけれども、都市部を中心に1.5倍以上になるような自治体も数多く存在している。すなわち、総人口は全般的に減となる中で、これから75歳以上人口が増えてくるところ、あるいは既に減り出しているところもあるということでございますし、37ページ目でございますが、医療需要といった点から見ますと、ピークがいつ訪れるかということ。既に訪れているところは黒でありますけれども、これからピークが訪れるような都市部を中心に予測がされているということでございます。
医療提供体制という点からいいますと、42ページ目は医薬分業の推進の状況で、現在、処方箋受取率が70%を超えるような状況に来ている。これは診療報酬改定等による影響が大きいのではないかと考えておりますし、薬局数は43ページ目、6万薬局弱まで来ているということと、薬剤師の数につきましては44ページ目、28年度算出調査で30万を超えるような状況になっているということでございます。
一方で、46ページ目をご覧いただきますと、こちらは都道府県単位で見たときの人口10万人対の薬剤師の数でありまして、全国平均は181.3人であります。都市部が多くなっておりますが、その他の部分は低いような状況になっている。
また、その推計でございますが、47ページ目でございますけれども、平成24年段階の推計でございまして、その後、6年制の定着もございますので、改めて需給推計の見直しが必要だと思いますが、当時の推計では今後、薬剤師が過剰になるとの予測について否定できるものではないといった推計が行われたところでございます。
最後、49ページ目は検討テーマの提案でございまして、問題意識として、処方箋受取率が70%を超えている中で、利益を実感できるためにはどのようにすればよいか。地域包括ケアシステムの中で薬剤師・薬局が医療・介護の一役を担うといった取組を求められているということ。また、遠隔服薬指導等のICT技術の活用を含めた方策の検討あるいは個人輸入に関する仕組みの法令上の位置づけの明確化などが検討の視点としてあるのではないかと考えております。
少し長くなりましたが、事務局から、検討テーマの御提案と検討の視点の御紹介をさせていただきました。御審議いただければと思います。よろしくお願いします。
すみません、あともう一つ、資料1-5でございまして、検討テーマを3つ提案させていただきました。本日4月11日でございますが、5月以降、テーマ1、テーマ2、テーマ3に沿いまして御議論いただきまして、7月目途、その御議論を踏まえました論点の整理を行った上で、秋以降、更に検討を進め、年内を目途に意見の取りまとめを行っていただいてはどうかと考えております。
また、その中で、必要に応じまして、各委員に加えまして参考人の方から御意見をいただくような機会もできないかと事務局では検討しておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○森田部会長 詳細な御説明、どうもありがとうございました。
ただいま事務局から平成25年の改正法の施行後5年を目途とした検討につきまして、テーマ1が革新的な医薬品・医療機器等への迅速なアクセス確保・安全対策の充実、テーマ2が医薬品・医療機器等の適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実、テーマ3が薬局・薬剤師のあり方・医薬品の安全な入手、これら3つのテーマを中心に検討を進めてはどうかという御提案があったと思います。
また、今後のスケジュールについても提案がありました。
たくさんの情報量ですけれども、これらを順次、御審議いただきたいと思います。
まずは、提案がございました3つのテーマそれぞれについて、順に御議論をいただければと思います。また、それぞれのテーマについて一通り御議論いただいた後に、今後のスケジュールについても御議論いただければと思います。
そこで、まず1つ目のテーマですが、テーマ1、革新的な医薬品・医療機器等への迅速なアクセス確保・安全対策の充実について、御意見、御質問等がございましたら、御発言をお願いいたします。
また、全体の進行につきましても、御質問等があれば合わせてお願いいたします。
時間が限られておりますので、できるだけ簡潔に御発言をお願いしたいと思います。
どなたからでも、どうぞ。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 もう一回確認しますが、議論の進め方としてテーマ1、テーマ2、テーマ3を今日はどうするのですか。全般的な議論をするのですか。
○森田部会長 事務局、お願いします。
○屋敷総務課長 今回、施行後5年後の見直しの時期に来ているということで、医薬行政につきまして様々な検討の課題があろうかと考えております。
その中で、本日提案をさせていただきましたのは、例えば、1番目は医薬品の承認審査、安全対策を中心とすることだと考えておりますし、2番目は製造販売業あるいは薬局といったところのガバナンスに関する事項だと考えておりますし、3番目は薬局・薬剤師の関係でございます。その3つにつきまして、テーマとして提案をさせていただきました。その中に、また色々具体的な項目が入ってくるかと思います。
○中川委員 今日は何を議論するのですかと聞いているのです。
○屋敷総務課長 本日は、テーマの設定とか検討の視点で提案をさせていただいていることもございますが、これらの事項につきまして御質問とか御意見をいただいた上で、今後の制度部会におきます検討に生かしていきたいという意味で御意見をいただければというお願いでございます。
○中川委員 資料1-1は全般的なもの、目次みたいなものですね。では、各論にまで入っていいのですか。
○屋敷総務課長 本日、最初ということでございますが、各論につきましては本日、御議論いただいても構わないと思いますし、またそれを受けまして、次回以降、検討をできるようにしていきたいと考えております。
○中川委員 今日はこういうスケジュールで議論していいかどうか、意見を求めるということですか。
○屋敷総務課長 進め方も含めまして、御意見をいただければと考えております。
○中川委員 それなら、5月以降のテーマと同じではないですか。それでいいのですか。
○屋敷総務課長 5月以降は、本日御提案をしました3つのテーマにつきまして、順次、進めていきたいと考えておりますが、本日はそのスタートということで、先立ちまして、全般的な御意見も頂戴できればと考えております。
○中川委員 全般的にと。部会長は進め方はこれでいいのですか。
○森田部会長 私自身の理解は、今日は薬機法の5年後の見直しをということで、こういう論点があるのではないか、こういう形で議論を進めていっていいのか。それについての御意見を伺うと理解しております。
それについて御意見が出て、さらに論ずべき論点とか、それぞれの項目についてこういう議論があるということであれば、それを整理していただいて、次回以降、それぞれのテーマについて深掘りの議論をしていくという理解をしております。
○中川委員 わかりました。
では、いいですか。
○森田部会長 もう一度、どうぞ。
○中川委員 資料1-1の6ページの問題意識のところですが、処方箋受取率が70%を超えて医薬分業が進展する一方で、患者が医薬分業の利益を実感できていないとの指摘がある。このように書いてありますけれども、医薬分業の利益を実感できていないと。医薬分業をして、院内処方と院外処方と、それぞれのメリット、デメリットが当初言われたものと実態はかけ離れているのではないですか。まず、こういう議論をする前に、院内処方と院外処方の医薬分業を進めたことが本当によかったのかどうか。まず、各論に入らないで、そういう大局的な議論をするべきだと思います。
何を言いたいかというと、私ども日本医師会は繰り返しも言ってきましたが、営利企業である大手調剤チェーン薬局が莫大な利益を得て、内部留保を毎年積み重ねている状況で、こういう表面的なきれいごとだけを言っていてはだめだと思うのです。
もっと具体的に言うと、院内処方に回帰する動きがもっとあってもいいのではないか。そういう論点を加えるべきだと思います。
総務課長、医薬分業について院内処方と院外処方のメリット、デメリットは当初どのように考えていたのか、言ってみてください。
○森田部会長 総務課長、どうぞ。
○屋敷総務課長 医薬分業がこれまで進められてきたということでございまして、医薬分業あるいは医薬の協業なのかもしれませんが、医師あるいは薬剤師がそれぞれの専門性を生かして、薬局でありますと薬剤の管理から始まりまして、調剤そして服薬指導につながって、安全な薬剤治療を目指していこうというのがもともとの医薬分業の趣旨であると理解をしております。
一方で、このテーマで掲げておりますように、そのような利益が患者のほうから見たら実感できていない。あるいは費用的な面でいいましても、院内調剤と院外調剤のコスト差があるといった議論が行われているということは我々も承知をしております。
それらの中で、今後求められていることは、そのような薬局・薬剤師の機能がどのように発揮されれば、患者さんの利益実感につながるのかといった観点から検討を進めることが我々としては必要ではないかと考えておりますし、また、本日は準備ができておりませんでしたが、委員御指摘の院内処方と院外処方の比較につきましても議論をいただいた上で、今後、地域包括ケアシステムの中でのかかりつけ薬剤師等の推進といった方向性をどのようにつくっていくことができるかといった御議論もいただければと考えております。
○森田部会長 どうぞ。
○中川委員 そういう結論めいたことを言う前に、私が聞いているのは、現状の院内処方と院外処方は一体どうなっているのかというような正確な、客観的な分析をしてくださいということを言っているのです。最初からそういう方向性を決めないでくださいよ。制度部会なのですから。
今の時点では、すでに医薬分業はそろそろ限界に来ているのではないかと思います。弊害のほうが目立ってきているのではないか。そういう論点も、ぜひ明確に加えてください。
○森田部会長 どうぞ。
○屋敷総務課長 もちろん委員からの御指摘がございますので、御意見も踏まえて議論ができるように準備はさせていただきたいと考えております。
○森田部会長 どうぞ。
○中川委員 それと関連してですが、中井課長がいるので、過去の薬歴記載の問題、それから付け替えの問題、中医協で色々な問題になっていますけれども、その後、どのようになったのか。全くうやむやというか、霧の中ですね。そういうこともはっきりしないと、この議論はできないと思うのです。
御説明を。総務課長ですか。どうぞ。
○屋敷総務課長 薬局についてでございますので、私のほうから御紹介をさせていただきたいと思います。
中医協のほうでも御議論がされていることでもございますが、テーマ2の関連になりますけれども、薬局に関します事案としまして、17ページで入れております処方箋の付け替え不正請求の問題で、このようなことが薬局で行われている、あるいはこのように現場で行われていることが、企業体として見つけられなかったということは大変残念でありますし、遺憾であると考えております。この点につきまして、厚労省の対応ということで申し上げますと、個別事案につきましてはお答えは差し控えておりますが、薬局関連団体が昨年8月に自主点検を実施したということで、その時点におきまして報道されていた2社、クオール、アイセイでございます。それ以外に不適切な事案はないという報告がありましたが、その後、新たに1社が不適切な事案の存在を自主公表しているということでございまして、厚生労働省から11月に再点検の要請をした。これは先ほどの17ページの内容でございます。薬局関連団体にも再点検した結果、その3社以外に新たな事案については認められなかったということは団体のほうから公表されているということでございます。
保険上の取り扱いにつきましてでございますが、一般的な話としましては、本件に限らず必要な指導につきましては、手続に基づいて、可能な限り迅速に実施するということでございますし、不正請求が今後、確認されまして、例えば保険薬局の指定取消といったことが行われた場合には、地方厚生局で指定をしておりますそちらのほうから公表はされるということで、今、対応をしているとお聞きしております。
○中川委員 一般的な仕組みを聞いているのではないのです。今回のことはどうなったのですかと聞いているのです。
○屋敷総務課長 必要な指導を行いまして、今後、不正請求が確認されたときには、保険指定上の指定に対する取消等の処分が行われることが考えられますし、その場合は、また公表されるということです。
個別の事案につきまして、どのような形でということはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。申し訳ございません。
○中川委員 それが限界ですか。精一杯のお答えですか。
わかりました。
○森田部会長 この件、他にいかがでしょうか。御発言がございましたらお願いします。
乾委員、どうぞ。
○乾委員 今、中川先生から医薬分業はもう限界というようなお言葉があったので、日本薬剤師会として少しお話しさせていただきたいと思います。
確かに処方箋受取率が7割を超えてきて、院外処方箋が当たり前という時代になってきているわけで、その分、メリットを感じていないということがあるのかもわかりませんけれども、きれいごとと言われるかもしれませんが医薬分業の最大のメリットというのは、薬物療法における安全確保と医療の質の向上を実現する。それが先ほども総務課長からありましたように、医師と薬剤師がそれぞれの専門性、職能を発揮するということで、医療の質の向上が実現するのではないか。
ですから、利便性や経済性だけで判断されるものではないというのが、薬剤師会としては安全性の確保が重要だということだと考えておりますし、また、院外処方であれば、医師は自分のところの病院、診療所の医薬品の備蓄の有無にとらわれずに、患者さんに適した処方が可能で、今、そういうことで薬漬け医療という言葉も死語になっているのではないか。必要な薬を必要な患者さんに必要な量だけ処方され、また、それに基づいて薬剤師がしっかりと処方監査も含めて、疑義照会をさせていただきながら服薬指導を行っておるというところがあります。
処方された医薬品同士の相互作用確認だけではなく、一番のメリットは複数の医療機関もしくは複数の診療科を受診した場合でも、各医療機関で処方された医薬品の重複や相互作用を確認するということを実際にかかりつけ薬剤師・薬局がやっておるわけでございまして、処方内容を一元的・継続的に把握することで、患者さんは安心して薬物療法が受けられるということで、患者さんにとっては非常に大きなメリットになっているのではないかと思います。
また、薬剤情報提供が進みまして、情報開示ということで、国民患者の薬に対する知識、関心も高まっているのではないか。今や病院で自分で飲んでいる薬がわかる本とか、そういうものはもうないわけでございまして、患者さんはしっかりと自分の服用している医薬品について、薬局・薬剤師を通じて十分、情報提供が進んでいるのではないか。
また、今、問題になっているポリファーマシーとか残薬という医療費の無駄に対する意識も高まってきたのではないかと考えます。
薬局の薬剤師が積極的に取り組んだことで、ジェネリック医薬品の普及も今、着実に進んでおるわけでございます。ですから、医療費適正のためにも薬剤師の積極的な関与は不可欠だと考えておりますし、かかりつけ薬剤師・薬局が地域包括ケアシステムの構築の中で、今後、高齢化に向けてますます進んでいく医薬品の複数使用等についても、医薬分業というのは非常に大事なことではないか。
決して限界というよりも、今後、もっと質を強化していきたいというところであります。
よろしくお願いしたいと思います。
○中川委員 関連です。
○山口委員 私も関連です。
○森田部会長 山口委員、どうぞ。
○山口委員 今、乾委員がおっしゃったことは、かかりつけ薬剤師・薬局の機能がうまくいった場合には効果があるのではないかと思っていますが、その一方で、利益が実感できていないということが今回ポイントに上がってきているように、そういう機能を果たせていない薬局がいまだ多いことが私は問題であり、医薬分業がもう意味がないとまでは言いませんけれども、かなり瀬戸際に来ているのではないかと私も感じています。
実際に、かかりつけ薬剤師指導料が出てきたことによって、私たちの電話相談にも、かかりつけ薬剤師の同意をして欲しいと薬局に行くたびに言われて、非常にストレスだとか、例えばA薬剤師にいつも相談していたのに、B薬剤師から、私をかかりつけ薬剤師として同意してくださいと言われて、私はA薬剤師にと言ったら、A薬剤師は資格がないのでと言われて、困ってしまった。そういう声を聞きます。
そういうことからしますと、まだまだ意義も浸透していませんし、薬の一元管理自体が理解されていないことによって、複数の門前薬局で薬を受け取っているということで、医薬分業の意義がしっかりと達成できていない現状があるのではないか。そこを何とかしないといけないと私は思っています。
そういったことを考えたときに、今、薬局の薬剤師が何の情報をもとに患者に情報提供や役割を果たしているかというと、処方箋と患者からの情報にすぎないわけです。そうすると、患者からの情報も患者によって様々ですので、私は薬学的知見に基づく指導をきちんと果たすとすれば、例えば最低限、処方箋にもそろそろ病名を入れるといったことも、きちんと医薬分業を進めていくのであれば議論の中に入れていく必要があるのではないかと思っています。もう一つは、薬局が医療機関に位置づけられていないということがあって、どちらかというとオーナーの方針が優先されて、薬剤師としての役割を果たすというよりも、違うところ、利益とかそういうことを追従することで、付け替えの問題とかが起こっているのではないかということも感じます。
ですので、安全ということに対しての意識、医療者としての意識も、医療機関の職員よりは薬局の薬剤師のほうがどうしても落ちてしまっているのではないかと思っています。店舗の数も医療計画などの規制には全く入ってこない。そういったところにも色々問題があるのではないかと思っていますので、そのあたり、今の中川委員の御発言をお聞きしていて、私も一部、きちんとやっている薬局は乾委員がおっしゃるとおりだと思いますけれども、そうではないところが、調剤だけで今、やっていけている状況にあることが、そもそも問題ではないかと思っています。ですので、調剤しかやっていないようなところとか、利益しか追求していないようなところ、この辺りを整理していくような方向で議論する必要があるのではないかと思います。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○中川委員 山口委員の今の御意見というか情報は、極めて重要だと思います。我々が心配していたのは、まさにその事ですよ。いつも行っているかかりつけ薬剤師が本当にいるのかという心配があるのです。だから私は、あの例はどうなったということも含めてこういうことを聞いているのです。そういう実態があるのです。
乾委員の御意見ですが、そういう問題点が今、噴出している背景の中で、医薬分業の理想論だけを語ってもだめなのです。例えば、安全性の確保とか医療の質の向上、患者が自分の飲んでいる薬が何だかわかる。それは院内処方であったらできないのですかということになるのですよ。
そういうことは、少し言葉を選んでおっしゃっていただきたいなと。全国の医療機関で院内処方をやっている医療機関はまだ山ほどあります。そこの医療が院外処方の医療よりも質が落ちるみたいな印象を受けるみたいな御発言に聞こえましたが、そうではないのだと思いますよ。
患者からみて、例えば医療機関から1回外に出て薬局にわざわざ行って、かつ自己負担はさらに高い。シンプルに考えて、そもそもそれが良いことですかということから議論を始めなければいけない。
先ほど山口委員がおっしゃった一つの例は、薬剤師が本部会社からの指令によって動いているのです。調剤報酬の新たな項目を少しでも多く算定しなければならないからといって、個人の自分の意思ではないという可能性が高いのです。そういうことも含めて、医薬分業をどんどんこれ以上に推進しようというのは、もう限界に来ているのではないかと。そういう議論をしましょうと申し上げているのです。
○森田部会長 ありがとうございました。
私が申し上げたかったのは、テーマ1から順番に議論ということですけれども、テーマ3のほうがかなり重点的に議論されているかなという気がいたします。
本日は、例えば医薬分業についてどうすべきかということを議論するのではなくて、むしろこれを論点として取り上げることについて、ここで御確認いただければ、ほかにもテーマがありますので、他のほうに少し議論を移していきたいと思います。
1点だけ、簡潔にお願いします。
○乾委員 できていない薬局・薬剤師については、日本薬剤師会としても今般、薬剤師行動規範というものをつくりまして、現状に合うものに薬剤師をしっかりと進めていくということでやっておりますし、また、院内調剤で事足りるというほうが、院外よりもメリットがあるのではないか。劣っているというようなことは、確かに複数の医療機関等にかかっておられる場合に、そういうところのチェックは医師が幾らしっかりやっていただいても、院外処方でかかりつけ薬局・薬剤師を使う院外処方箋のほうが、医薬分業というメリットはあるのではないかと考えておりますので、その辺についてはぜひ、検討するというのは私もやぶさかではございませんけれども、現実、やっていないところについての議論というよりも、今後、国民のために薬剤師・薬局がしっかりとできる制度に持っていくことが大事だと考えますので、よろしくお願いします。
○中川委員 先ほど私が議論の仕方を確認したのは、そういうことではないのです。いいのですねと確認してから、テーマ3に踏み込んで議論をさせてもらっているのです。
今、乾委員から意見がありましたから、それについて一言、言わせてください。
日本薬剤師会がしっかり指導するという趣旨のことをおっしゃいましたが、保険薬局協会の大手チェーンに対して、日本薬剤師会はそういうガバナンスといいますか影響力はしっかりと発揮できるのですか。
○乾委員 よろしいでしょうか。
保険薬局協会の薬剤師も、日本薬剤師会の会員になっている薬剤師も多うございます。それだけではなく、日本薬剤師会は保険薬局協会等と連携はしっかりとって進めていくということで考えておりますので、それはできるということであります。
○森田部会長 この件はよろしいですね。
○中川委員 いいです。
○森田部会長 まだありますか。
○花井委員 いえ、このテーマではなくて、他の件です。
○森田部会長 ほかのテーマに移りたいと思います。
もう一度戻りますが、最初にテーマ1の「革新的な医薬品・医療機器等への迅速なアクセスの確保・安全対策の充実について」につきまして、今、御議論がございましたけれども、事務局が掲げている方向というか議論の仕方について御議論いただければと思っておりますので、よろしくお願いします。
花井さん、お願いします。
○花井委員 ありがとうございます。
テーマ1なのですけれども、テーマの設定自体は良いと思うのですが、つらつら読んでいくと、結局のところこれで具体的な話は全部、規制緩和の話をしているのです。
合理的な規制緩和を否定するわけではありませんが、前回の薬機法改正のときに、様々な建て付けを整理し、現状の例えば安全対策や審査の形が動いていて、それの構想とか構造自体は非常によくできているとは思っているのですが、想定される機能どおりパフォーマンスを発揮しているかという点を検証せずに、次の緩和に向かうというのはちょっとまずいのではないか。
私の問題意識からすると、まず前回でテーマになった添付文書ですが、これが最新の科学的知見に基づくとなっているものの、私どもはこれを公文書とすべきだと言っていたのですが、メーカーの体力によって、添付文書のクオリティーに差ができているのではないか。実例もあるのですが、全体的にそういう可能性があるのではないかと。だから、私たちは国がちゃんと保証した文書にすべきだと主張したのですが、それはもう蒸し返しになるのでとりあえず論じませんが、もし、そういう薬機法上の要請があるにもかかわらず、そのクオリティーがメーカーによって格差があるということになると、せっかくの薬機法条文が生かされていないということになるので、それは検証が必要だろう。
それから、査察も化血研の問題があって、抜き打ちもするようになったとなっていますが、もちろん国内も重要なのですが、今、グローバルで様々な原薬メーカーが色々な国に分散して、一つの薬品のために色々な工場のクオリティーが確保されなければいけない状況になっている中で、現在のPMDAの査察のGCPもGMPも含めてですが、ちゃんとできているのでしょうかという評価。それから、様々な審査報告書の公開とか、RMPの公表というものがされて、これもすばらしいことなのですが、しかしながら、これが実際に活用されているかという問題です。これは具体的に何に一番影響があるかというと、安全対策は副作用報告が上がってこないとできないのです。ところが、副作用報告は、御存じのように病院は多忙な業務を抱えているのでなかなか上がってこない。多いのはメーカーからの副作用報告で、さらに多いのは海外からの報告というのが実情です。
私どもは、メーカーはそれなりのお金を持っているし体制もあるので、ちゃんと上げてくれると思っていたのですが、近年、MRは営業活動が忙し過ぎる。メーカーのほうもそれはわかっていて、MRの評価を要するに営業の評価だけですべきではないということは、業界としても努力していることは承知していますが、やはり営業成績を無視した評価は難しいということも言っておられ、実際、MR個人個人のお話を聞くと、競争が激しくて、副作用情報どころではないということをおっしゃっているとなれば、肝心の安全対策の核となる副作用報告件数を上げることができなければ、規制緩和すると危ないという話になりますし、それの決め手がMID-NETという、こちらがとりに行くという話ではございますが、これはまだ10施設程度に限定されているわけだから、その辺のことも評価して規制を緩和しないと、基本的な認識としては、今、リアルワールドデータという言葉がありますけれども、早く出して、市販後でちゃんと見ようという流れは2000年代に入ってからずっと続いているのですけれども、ここでゆっくり立ちどまって、市販後の対策は十分か。制度的には十分と言ってもいいのかもしれないですが、制度の期待どおりのパフォーマンスを発揮していないのではないかというところがあるので、先ほどテーマ3についても現実を見てからという話がありましたが、規制緩和ということを今回、検討していく前提として、今の制度がパフォーマンスが十分かということをぜひ検討していただきたい。
それからもう一つだけ。何個も済みません。PMDAのパフォーマンスの評価です。PMDAという組織は、世界的にも珍しく独立行政法人がやっている。通常、FDAとかは当局ですから、いわゆる警察官そのものです。PMDAは警察の手帳は持たずに、警察官から委託された民間という形がよいのか。
私どもは、これはそろそろ医薬食品庁とし、規制権限を持った人間が乗り込んでいくという形、国際的な形にすべきだと主張していますが、今の形になった理由は公務員の総定員法で、充実しようと思うと人が要る。人を雇うと公務員は無理という苦しい事情がゆえにできた建て付けなので、それがうまく動くのであれば、それを否定するものではないのですが、しかし、国際的に割と特殊な形のPMDAという組織が、期待されるパフォーマンスを発揮しているのかということについては、確かに審査ラグが減っているということは、データ上はすばらしいと言っていますが、ということは早く審査しているということですし、そういう中で速さとじっくりというのはコンフリクトする問題でもありますので、今回、割と規制緩和的なテーマが多い中で、今のいわゆる安全対策、審査体制というものが正しく機能しているかというところの資料を出していただいて、それを議題に乗せてほしいと思います。
以上です。
○森田部会長 荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 ありがとうございます。
制度部会で今後、この点を中心に検討していきましょうということで、今の花井委員の御意見と同じというか、一つの着眼点をおさらいさせていただきます。
要するに、条件付き早期承認制度自体は私も大変すばらしいなという認識を持っておりますが、一方で、この4月から臨床研究法が動き出して、承認がないものに関してのエビデンスをつくるという過程は、手続を全部踏めばできないわけではないけれども、極めて厳しくなってきているのです。
ハードルを下げるという表現は適切ではないと思いますけれども、企業側にすれば承認をとるというところが、昔に比べるとプロセスが少しやりやすくなったということが、学会と相談した場合には出てくると思うのですけれども、この場合に、逆にウインドーを狭める、要するに承認の適用を狭めるということが現実には起こってきやすい状況があって、そうすると、それが実際にほかの領域でも使えるということを証明して出す。さらには、その企業が最初の承認を通った領域で十分稼ぎが得られているとすると、わざわざそういうレアな領域に、学会から要望があったから突っ込むかということを考えていくと、早期に導入されるのは本当にメジャーのところが中心になって、ちょっと脇にそれたところは漏れてしまう可能性があるということで、個別のことは申しませんが、私はそういう傾向は医薬品よりも医療機器のほうがどうしても強いと。
これは特性の問題ですけれども、医療機器というのは、例えば心臓に使うものが、心臓の専門の学会とやって、承認制度に乗っかってきたと。後のフォローアップもしましょうということをやった場合に、機器の場合はその機器を見て、全く別の整形外科とか泌尿器科という領域の先生が、これは使えるということに気がつくことがあるわけです。そういった情報が収集されないまま、ナローウインドーで通ってしまって、あとは知りません。エビデンスを出しなさいということは、臨床研究法のもとではなかなか実際は難しいという環境があります。
私は決して臨床研究法を否定するものでも何でもないのですけれども、実際に臨床研究法という法律が動き出した段階で、早期に導入を持って行きましょうという制度をどうやってうまく活用していくと、コンビネーションをつくっていくと実際に色々な領域でのデバイス、ドラッグがちゃんと適切に教育できるかというところは、まさに5年前にはこのディスカッションはあり得なかったわけなのですけれども、これから臨床研究法ができたところで、真剣に考えないといけない問題だと思いますので、提案させていただきます。
○森田部会長 貴重な御指摘ありがとうございます。
これにつきまして、事務局のほう、何かコメント等ございますか。
○中井医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長でございます。
御指摘の点については、従来、荒井先生がおっしゃっていることだと思いますので、それについては検討課題と認識させていただいております。
○森田部会長 ほかにいかがでしょうか。
村島委員、どうぞ。
○村島委員 先ほどの花井委員のお話の延長になりますけれども、安全対策としてMID-NETとかすばらしい仕組みができておりますが、ここから漏れてしまうのが妊婦、小児ということになるかと思います。FDAは十数年前から市販後調査の中で妊婦の登録調査を指導、誘導しておりますので、ぜひこの制度見直しの際に、その観点で御議論いただきたい。ニーズとしては、高齢化していく中で非常に少ないとは思うのですが、小児、妊婦にも注目していただきたいと思います。
○森田部会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○川西委員 ちょっと違った視点の質問なのですけれども、テーマ1に関して、検討の視点の4つ目に計画的な製造方法等の変更を認めるための予見性の高い変更手続の導入等という、想定している中身なのですけれども、これはいわゆるICHのQ12でやっている内容の国内実装と考えていいのですか。それとも、それ以上もっと広く考えて。
ここにどんと挙げているので、これはその後に実装した後、テーマ2と非常に関係する部分もあると思うのですけれども、その辺はどのようなイメージなのか教えていただければと思います。
○森田部会長 お願いいたします。
○荒木医薬品審査管理課長補佐 医薬品審査管理課でございます。
計画的な製造方法の変更を認めるための予見性の高い変更手続とは、まさに川西先生から御指摘がありましたとおり、現在ICHで議論を行っているものを踏まえて、どういったことが考えられるかということを検討の視点として挙げさせていただいております。
実際に平成30年3月には、それに先駆けるような形で、PACMPを用いた承認事項の変更制度の試行を開始するとの通知も出させていただいておりますので、それをさらに議論として広げることは可能であろうかという考え方で挙げさせていただいております。
○川西委員 イメージはわかりましたので、もっと詳細な議論は5月以降ということで、ありがとうございます。
○森田部会長 本田さん。
○本田委員 質問なのですけれども、先ほど花井委員もおっしゃっていましたが、テーマ1は割と規制を改革して、早く承認できるように迅速にしていこうという方向性なのだと思うのですけれども、そういう方向性に伴って、安全対策というのは副作用報告的なものがメーンに読めなくもなかったのですけれども、このような制度を進めていくに当たっての患者さんや国民への情報提供のあり方とか、添付文書の問題もそれに関わるのだとは思うのですけれども、そういうものはこの中の議論には入っていないのでしょうか。
○森田部会長 総務課長、どうぞ。
○屋敷総務課長 まさに承認審査とか安全対策に関わって、様々な課題があると考えております。
本日提案をしておりますのは4点でございますけれども、別にそれに限られるということではなく、今後、議論を進める中でも色々な視点からの御意見をいただけるものだと考えております。
本日の御意見をいただきまして、また次回以降、検討は進めさせていただきたいと考えております。
○森田部会長 どうぞ。
○森審議官 本田委員がおっしゃった患者さんをちゃんと視野に入れて、安全対策も新薬の開発も考えるというのは、国際的な動向としても、明らかにそういうステークホルダーに、ど真ん中に患者さんを据えてということが共通の認識になってきていますので、私どもがこの検討をやっている内部の議論では、そうした動きをどうやってこの中に取り込もうかということは既に検討しております。正しく先生がおっしゃったそういう視点を、このようなそれぞれのツールを検討していく中で、その背景にきちんと入れ込んでいくことが大事だと思っております。
患者さんというステークホルダーを前面に押し立てて掲げるというのは、今の段階ではなかなか難しかったというのが実際はあるのですが、先生がおっしゃったような視点は、明らかに我々の議論の中には随所に盛り込まれてくると考えておりますので、一言申し上げさせていただきました。
○森田部会長 ありがとうございます。2番目の議題にも関わることかと思います。
それでは、ここの部分で特になければ、テーマ2の「医薬品・医療機器等の適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実」というテーマにつきまして、いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 1つ質問をしたいと思います。
資料1-3の4ページのところで、統括製造販売責任者という図が書いてありまして、その2ページ後の6ページに総括製造販売責任者に関するところで、職位等の適切な職務上の位置づけということが書いてあるわけですけれども、たしかガバナンスということで言いますと、この責任者は薬剤師の資格がないとだめということもあって、資格があるから責任者にしているというようなことが問題になっていると聞いたことがあります。ここの資料だけではそのあたりの現状が読み取れないので、現状の問題点をもう少し詳しく、どういう現状があって、どういったことが今、行われているのか、改善のための努力が行われているのかということを、今後の議論のために少し具体的に教えていただきたいと思います。
○森田部会長 お答えください。
○佐藤医薬安全対策課長 医薬安全対策課でございます。
今、先生に御指摘いただきました資料1-3の6ページのところに、製販におけるガバナンスの留意事項通知の概要ということで、責任者に関する様々な留意事項を書かせていただいていますが、これの背景になっている、要するに業界の中での実態を調べた形でのアンケートは、今回の資料の中には入っておりませんので、また本編を議論させていただく際にその資料も提出させていただいて、その実態を見ながら御議論いただければと思っております。
○山口委員 では、資料を出していただいたときに、資料だけではなくて具体的な御説明をぜひお願いしたいと思います。
○森田部会長 それもよろしいですね。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
今日は非常に盛りだくさんの論点が入っておりますので、全てここで出すということは難しいかと思いますけれども、これからテーマごとに議論を深めていくということでございますので、今日のところは、冒頭に申し上げましたけれども、こうした枠組みで議論を深めていくということでよろしいですか。さらにこの論点を加えるべきであるとか、これとこれとは同じことではないかとか、そういう議論がございましたら、この場でお願いしたいと思います。
やっていく最中で、色々とまた議論が出てくるかと思います。
川西さん、どうぞ。
○川西委員 これもイメージに関する質問なのですけれども、テーマ2の検討の視点の1番目のところなどは、もともとGQP省令とかその辺ができたときに、こういう意味合いは含まれていたけれども、実態としてまだ浸透していないというか、それが弱いから今回は明確化するように、例えば通知レベルとかそういうことで、さらに追加しておこうという意図なのですか。
今のところ、ここの赤字で書いてあるようなことは、もともと精神としてあったようなふうに私は思っているのですけれども、その辺りはまた改めて何か通知レベルとかそういうもので出していくようなことにしようということなのですか。その辺りのイメージをお願いします。
○森田部会長 どうぞ。
○佐藤医薬安全対策課長 医薬安全対策課です。
今、川西先生から御指摘をいただいた点ですが、6ページの留意事項通知の概要というのは既に昨年6月に通知されているものでございます。
先生が御指摘のように平成14年改正で総括製造販売責任者等々の法律を規定されたときに、こういった精神みたいな、みたいなという言い方はよくないですけれども、こういった精神もあったのではないかというのは全くおっしゃるとおりで、もともとガバナンスを果たす上で、製造販売三役の方に適切に機能していただくことが前提となって、さきの法改正が行われているという状況でございます。
ただ、運用してから10年以上が経過をする中で、こういったガバナンスの精神も含めて、管理者、責任者のガバナンス上の位置づけを含めて、きちんと現場で回っていっているかどうかというところにおいて、改めて、10年以上たったというところで、リマインド的な意味も含めて、実態を踏まえてこういう形で昨年通知をさせていただいているということです。
その状況を見ながら、また薬事制度自体を考えていく際に御検討の材料にしていただければということで、この資料を今回、出させていただいているということでございます。
○川西委員 必要なことだと思いますので、また5月以降、議論させていただければと思います。
○森田部会長 よろしいでしょうか。
それでは、議題1、今回の医薬行政をめぐる現状と課題についてということで、これからの議論の枠組みといいましょうか論点については、今まで出ました御意見を踏まえた上で、今後、進めていきたいと思います。
それについて、本日の資料に関しましては、共通して見られますのは、制度としては運用されているけれども、実態が必ずしもそれに伴っていないところがあるのではないか。それについて、きちんと検証をして、それからもう一度、制度のあり方について議論すべきであるという御意見が共通項として見られたのではないかと思います。
特に今後の制度のあり方を考えるに際しましては、花井委員の例を言いますと規制緩和をすべきなのか、それで大丈夫なのかということも含めまして、改革の方向性についてももう一度、確認する必要があるのではないかという気がいたします。
それにつきましては、時間もございませんので、事務局と私のほうで相談させていただきまして、また論点を整理させていただきたいと思います。
それでよろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、次回以降、これらのテーマに沿いまして、順次、平成25年の改正法の施行後5年をめどとした検討を進めてまいりたいと思います。
続いて、スケジュールに関しまして、参考人の参加を含めた今後の進め方についてですけれども、これについて何か御意見はございますでしょうか。当初伺っていたよりかなりタイトなスケジュールのような気もいたしますけれども、参考人の方の参加をいただくということにつきましても、特に御反対がなければ、そうした形で進めさせていただくということでよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、スケジュールにつきましても、この形で進めていくことにしたいと思います。
また、次回の会合も含めまして、参考人の方をお呼びする必要があるような場合は、事務局から各委員に事前に御相談させていただくことにしたいと思いますけれども、それを含めまして、参考人をどうするかということにつきましては、僭越ですけれども私に一任いただければと思います。
それでは、少し予定よりおくれておりますけれども、議題2「医療品製造販売業者等が行う医薬品等の販売に関する情報提供の適正化について2」でございますけれども、これについて御議論いただきたいと思いますので、事務局から御説明をお願いいたします。
磯部課長、よろしくお願いいたします。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課でございます。
資料2をお出しいただければと思います。タブレットのほうもございますので、ご覧いただければと思います。
時間もありませんので、簡潔に御説明をさせていただきたいと思います。
まず、4ページでございますが、現在の広告規制ということで、今の医薬品医療機器法の66条から68条に関係の規定がございますということをご覧いただければと思います。
5ページでございますが、その上で、特に広告ということが大きな論点だと思ってございますが、広告の該当性についての3要件、また実際の運用に当たっての適正広告基準をお示ししてございます。
6ページをご覧いただきまして、最近の広告に関する違反事例ということで、先ほどの資料にもございましたけれども、ディオバンの事例、プロプレスの事例ということで、ディオバンにつきましては、まだ東京高裁でも係争中でございますけれども、こういった事例がございます。
特に7ページには、ブロプレスの事例に関しまして、どのようなことがあったのかを記載させていただいております。
こういった問題を受けまして、8ページでございますが、国の動きといたしまして、特に臨床研究をめぐっての議論、論文の改ざんということがございました。臨床研究の適正化ということで、結果的には臨床研究法の制定が行われています。それから、広告のあり方につきましても、ここに書いてございますような医療従事者による広告監視モニター制度を新たに構築してはといった御意見もいただいているところでございます。
その上で、業界団体である日本製薬工業協会のほうでも、広告の自主基準についての色々な見直しが行われたところでございます。
続きまして、10ページでございますが、医療用医薬品の広告活動監視モニター事業でございます。28年度から始めた事業でございますが、28年度分につきましては、前回の制度部会で御説明をさせていただきました。今回は29年度分で、まだ全体はまとまっておりませんので、中間報告ということで説明させていただきたいと思います。
11ページをご覧いただきまして、一応、この中の2カ月分ということの御報告でございますが、延べ23の医薬品等について疑義報告があり、違反が疑われる項目が述べ30件あったということでございます。
ただ、重大性、悪質性等の観点から、直ちに取り締まりを実施するまでのものではないと認識をしてございます。
その中では、事実誤認のおそれのある表現を用いたものとか、信頼性の欠けるデータを用いたものとか、そういったものがありまして、また、その場としては、企業の製品説明会などで行われているということでございます。
12ページからがその主な疑義報告の事例ということで、ご覧いただければと思いますが、未承認の効能効果や用法用量を示した事例です。
13ページで、データ加工の事例。
14ページで、同じくデータ加工、また事実誤認のおそれのある表現を用いた事例などを記載させていただいてございます。
また、15ページには、信頼性の欠けるデータを用いた事例や、他社の製品の誹謗をする表現を用いた事例、また、安全性を軽視した事例などがございます。
詳細は適宜ご覧いただければと思います。
続きまして、17ページをご覧いただきたいと思います。
前回の議論のときに、医薬品医療機器法の広告の規制も、大分昔からの規制が残っているということもございまして、このままでいいのかということで見直しを考えたらということで御意見もいただいたところでございますが、まず、私どもでできることといたしまして、色々な法律で広告の規制は規定されておりますが、関係する法律を中心に主なものを私どもなりにピックアップさせていただいたもので比較表をつくらせていただいてございます。
ご覧いただきますと、目的、違反主体、規制対象、対象となる表示事項、違反要件、不実証広告規制、表示すべき事項、措置とあります。不実証広告規制は難しい言葉でございますが、それが広告規制に合致しているかどうかを、事業者の方が実証する責務があるかどうかを言ってございます。
こういった全体を通しましたレビューを18ページから記載させていただいてございます。違反主体についての話、規制対象についての薬機法とほかの法律との状況の話、違反要件に関しましては「虚偽」「誇大」というのがベースになってございますが、他法ですと一部「著しく」という言葉も使ってございまして、薬機法の考えとしては、幅広い対応が可能と解せるのではないかということも記載をさせていただいてございます。また、ほかにも表示すべき事項も記載させていただいてございます。
19ページでございますが、先ほど、立証責任ということで申し上げました。景品表示法や特定商取引法におきましては、色々な幅広い規制対象がございますので、広告内容の真実性の立証責任を事業者側に負わせるということの規定が入ってございます。医薬品医療機器法の場合については、もともと承認制度がございますので、その承認書をもとに虚偽誇大かどうか判断をできるということで、行政側のほうで判断をして、違反かどうかをとるということでございます。
措置事項に関しましては、他法の景品表示法や金融商品取引法におきましては、課徴金納付命令なども規定があるところでございます。
続いて、色々な課題について、20ページからでございます。
私どもとして、前回の制度部会でもございましたけれども、現在の広告監視指導における課題として幾つか挙げさせていただいております。
一つが、証拠が残りにくい事例ということでございます。先ほどのモニター報告でもございましたけれども、口頭の説明であったり、パソコンの映像のみで、後々その状況を追おうとしても追いにくいようなことが色々出ているということについてどうするのかということがございます。
また、明確に虚偽誇大とまではなかなか言えないのだけれども、不適正使用を助長すると考えられるような事例も見られてきているところでございます。こういったものについても、取り組みが求められるだろうと考えております。
21ページでございますが、広告該当性の判断が難しい事例ということで、アフィリエイト広告です。色々な方のブログなどに、その製品の色々な情報を載せて、この推奨などが第三者を装って行うようなことが出ているのではないかということをどうしていくのか。なかなか難しい課題ではありますけれども、こういったものについても取り組みを考えていかなければいけないだろうということでございます。
22ページはちょっと違う視点でございます。先ほど、本田委員からもお話がございました患者さんへの広告や情報提供という視点でございますが、アメリカではオフラベルや適応外薬に関して、企業が情報提供をする場合のルールがございます。
ここに書いてございますように、情報提供の場合には適切な文献を適切な方法で配布しなければいけないとか、基本的には、情報提供の要求に応じて対応していく。これも販売促進目的にならないようにしなければいけない。資材についても、所定の条件を満たすものでなければいけない等々、非常に厳格なルールが定められてございます。
私どもの広告の関係につきましては、特に未承認薬・適応外薬につきましては、法律68条での広告の禁止ということがございますけれども、それでは一体、医療者や患者の皆様が求めるそういった情報に関しまして、本当に広告に該当するものなのかどうかとか、また、広告に該当しないとしても、どのようなやり方が一番適切なのかということについては、一定の考え方の整理をいたしまして、後に申し上げるような情報提供のガイドラインも考えますけれども、オフラベルのガイドラインの整備に向けた検討をしていく必要があるのではないかということで、私どもとして認識しているところでございます。
23ページには、承認品の関係でございますが、PMDAのホームページなど、承認品については必要な情報がこのような形でも入手できる。それから、先般私どもは事務連絡を打ちましたけれども、医療関係の学会におきまして、個別企業の展示ブースがございますけれども、現在は特に抗がん剤など、法律で医薬関係者以外への広告を禁止しているということもございまして、こういった場でも、患者の皆様が訪れたときに立ち入りも断られるような事例があるということから、そういったことに対しての対応も示したところでございます。
その上で25ページをご覧いただきたいと思います。販売情報提供活動に関する課題ということで、医薬品産業強化総合戦略にも記載がございますが、今まで申し上げたような課題、また、諸外国の状況も、アメリカとフランスの事例を書かせていただいてございますが、特にヨーロッパではEU指令もございまして、政府による一定の規制をされております。
ただし、日本におきましては、現在、業界団体である日本製薬工業協会ほか、こういったもののガイドラインを策定してございますけれども、厚労省が策定したものはないという現状でございます。
そういったことから、色々な事例、諸外国の状況も踏まえまして、医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインを厚労省において策定をして、改善を図っていくこととしてはどうかと思ってございます。
私どもも色々諸外国のガイドラインを調べてございますけれども、そういった項目も考慮しながら、適切なものを作成していきたいと思っているところでございます。
実際、アメリカやフランスの事例を参考でつけてございますけれども、ご覧いただければと思います。
私の説明は以上でございます。
○森田部会長 ありがとうございました。
時間は限られておりますけれども、ただいまの御説明につきまして、御意見とか御質問がございましたらどうぞ。
野村委員、どうぞ。
○野村委員 今、御紹介がありましたけれども、前回のモニター調査の後、さらに疑義のある事例が出てきたというのは、業界としても大変遺憾に思います。
そういう観点からすると、こういったガイドラインをつくられるというのは、それはそれで必要なことではないかとは思っております。
御質問したいと思うのですが、前回も口頭であったり、タブレットだけで示すような疑義のあるプロモーションという事例が結構あったのですが、当局としては、そういう会社に個別に御指導されたと思います。その結果として、その会社がこういう措置をしますということをお答えになっていると思うのですが、そういう措置が今回、効果があったのかどうかということについて、当局がどのように評価されているのかお教えいただけたらと思います。
○森田部会長 お願いいたします。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 まず、大事なこととして、口頭の説明であったり映像、つまり媒体そのものをお渡ししないようなケースでも、医薬品医療機器法上の広告には該当するということがございます。
そのために、今の法律の規制は及ぶと私どもは理解をしているところでございますが、その上でこういった説明をさせていただきました。個別の企業、それから業界団体のほうにも同じ話をさせていただいたところ、特に業界団体のほうが言っているのは、求めがあれば渡すようにしようということで、業界としても各社に連絡をしている。また、誰の責任でその資料をつくっているのかも明記するということで、業界団体として、そういう対応が各社できるようにということで今、話をしていまして、基本的にはそういった指導が、特に製薬協加盟会社におきましては伝達されています。
その後、こういった問題がどのくらい生じているか、まだ29年度分も集めきれておりません。それが指導されてからまだ半年もたたないぐらいだと思いますので、そういった状況を今後またよくフォローをして、指導をしたことが改善につながっているのかということについては、野村委員の指摘はごもっともだと思ってございますので、また収集をしていきたいと思ってございます。
○森田部会長 よろしゅうございますか。
ほかにいかがでしょうか。
北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 北澤です。
この資料の23ページに「患者向医薬品ガイド」が出ていますが、随分前からつくられているにもかかわらず、PMDAのホームページの奥のほうにあって、なかなか見にくいし、なかなか使われていない現状があるのではないかと思います。
もう少し使いやすく、見やすく、検索しやすくしていただくように、ぜひお願いしたいと思います。
もう一つ、これは意見なのですけれども、今日御説明のあったことは、主としてどんないい情報を提供するかという提供者側への施策になっていたかと思うのですが、今この時代、色々な人が色々な情報を見られる世の中なので、実際に情報を読む側の人たちに向けて、どのように読んだらいいのか、解釈したらいいのかというアプローチもできないかなと考えております。
例えば健康食品については、何年か前に食品安全委員会が健康食品の情報についてのメッセージを出したりもしていますけれども、そういった形で、患者や一般市民に向けてお薬の情報ということについて、国からなのかどこからなのかわからないのですけれどもアプローチするような、そういった方法を考えていただきたいと思っております。
○森田部会長 ありがとうございます。
これはよろしいですね。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 一言だけ。
北澤先生のおっしゃるとおりだと思ってございまして、いわゆるメーカー側の問題だけで、受け取る側のほうのリテラシーといいましょうかそういったことをどう向上させていくのかということがございます。
実は広告監視モニターの中でも、モニターの先生方はこういう活動を通じて、企業の資料をうのみにしないと。それについて基資料も当たるとか、色々な工夫がされていることは大分わかってきまして、専門家集団でございますので、そういう冷徹な目で、専門家集団としてそういったことをきちんと見抜く、評価をするということを大分進めてきてございます。
実は今年の医薬品情報学会でも、そういったことの必要性をもっと訴えていこうということで、実は関係の先生方と、そういったセッションを設けまして、色々な方々に、そのようなことをちゃんと見ていくのが医薬品情報の評価であるということもやっていきたいと思ってございます。そういったことを通じて、双方の側についてのお話を進めていきたいと思いますし、今の北澤先生の御意見についてもよく受けとめて、今後またしっかりやっていきたいと思ってございます。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
山口委員、その次に本田委員。
○山口委員 山口でございます。
先ほどの野村委員のところにちょっと戻らせていただきますけれども、資料の中の10ページ、11ページでモニター事業ということが行われていて、前回、違反が疑われる事例が実は製薬協の加入企業だということを聞いて、ちょっと驚いた記憶がございます。
日本製薬協は色々と自主的な規制をやっていらっしゃるということですけれども、モニターということですから一部の医療機関の調査だと思うのですが、それでもまた30件出てきたというのが、同じようにまた製薬協の加盟企業だとしたら、この自主規制が全然働いていないではないかということに、非常に危惧を抱きます。そのあたりはどうだったのかということを教えていただきたい。
これはガイドラインをつくったとしても、きちんとした医薬品の広告ということがなされないと、最終的に誰が被害を受けるかというと患者だと思うのです。そこで適正な情報提供をしていただかないといけない中で、証拠が残りにくいとかウエブ上で画面だけ見せられたときの情報の受け取り手は薬剤師や医療者が中心だと思うのです。そうしたときに、ガイドラインをつくったとしても、ガイドラインの中身を医療者がきちんと把握して、言ってみれば監視役になるのは情報を受ける人だと思いますので、そういった方にきちんと届くようなガイドラインの工夫の仕方をぜひ考えていただきたいというのが意見です。
今回もまたそうなのでしょうかということをお尋ねしたいと思います。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 私から言うのか、野村委員から言うのか、色々あると思いますが、母数がどのくらいなのかということです。つまり、医薬情報提供活動の活動そのものが、一体何件ぐらい行われて、そのうちの30件とかそういうことなのかということだと思います。
それについては、言ってみればこういう情報提供活動は、何万、何十万という世界ではないか。野村委員のほうがお詳しいかもしれませんが、全製薬メーカーのMRを中心として情報提供活動を行われているわけでございますが、現状でも6万人ぐらいおられますので、日々そういう活動を行われているということでいけば、膨大な数が実際にはあるのだろうと思います。そういう意味で、モニターの数も限られてございますが、30件をどのように見るか、難しいところではございますけれども、数的には、私どもの見立てでは、ほとんどの部分がそういう問題だということまでは思っているわけではございません。そういう意味で、非常に限られたものが問題ではないのか。
特に新薬として発売した直後に、そういった面が見受けられるということで、そこを中心に見ていく必要があるだろう。特に販売競争が熾烈な部分だとか、そういうところが特にこういう問題が起こっていると思ってございますので、必ずしも全ての医療用医薬品メーカーで多くの方がこのようなことをされているとは思ってございませんが、一部こぼれている部分については、そういう面があるのではないか。
つまり、もともと製薬協でやられておられる非常に厳格なやり方だと私どもは思ってございますけれども、それでもこぼれるところがあるということは事実かと思ってございますので、それについては、私どもも踏み出して、やっていく必要があると思っているところでございます。
○山口委員 今、数字が出てきたので、誤解を招いてはいけないと思って。
6万のうちの30件ではもちろんないわけで、今回のモニター数の母数が幾らで30件なのかというところを明確にしていただかないと、物すごく数が少ないような印象を今、お聞きになった方に与えてしまったのではないかと思いますので、モニターをしているということは母数が出ていると思いますので、そこの何件のうちの30件だったのかを明確にしていただけますか。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 わかりました。
ある意味で覆面調査なので、具体的な数字、モニターの数とかは申し上げていないのでございますが、100も行かないオーダーでございます。ただ、かなりの大病院を入れており、色々な情報が入ってくるエリアをモニターに入れておりますので、入ってくる情報量としてはかなり多いのではないかなと思ってございますが、実際のモニターの数なども含めますと、今後も増員が必要ではないかと思っているところでございます。
○森田部会長 それでは、手を挙げていらっしゃる本田さんと、次は中川さんでお願いします。
○本田委員 まず、22ページと23ページのところで、これは、やっと対応していただいたということのお礼もあるのですけれども、最近は特にがんや難病の分野で、医学会に患者経験者を、学術団体側が招いて勉強する機会をつくっていただいているということで、それはそれで大変ありがたいことで、そういう際に、医療者向けの様々な製品情報、使用ガイドライン、患者さんに配付したらいいということで提示されているような資料などを、ブースにあるものに対して、患者さんが勉強に来たのにそれももらえないなど、色々な声がありました。それが今回、23ページにあるように、そういうものは広告に当たらないと整理していただいたので、これは大変ありがたいと思っています。提供できるという理解でよろしいのですね。
そういうことを進めていただく上で2点お願いというか、一つは22ページにあるように、オフラベルの情報などもいっぱい出てくると思いますので、このガイドラインの整備に向けた検討を行う必要があると書いてあるのですけれども、これは今後、どこでどのようにされていくのかという見通しみたいなものを教えていただきたいということです。
もう一つは、こういう形であるべき情報、ちゃんとした情報を提供していただくというのはとてもありがたいことだし、勉強する機会にもなりますし、一歩前進だと思っているのですけれども、その上で、先ほど北澤委員からもありましたけれども、その読み方を学ぶ方法は、ぜひ一緒にやっていっていただきたい。厚労省だけがやるべきことではないかもしれませんけれども、それを支援する、エンカレッジするような形をとっていっていただきたいと思います。
あと、このモニター活動のほうで報告されている事例を見ますと、例えば13ページにあるような、うそではないのだけれども、データの加工の仕方で効能・効果がすごくよいように見えるというのは、患者側がこういうものに触れると、まずだまされやすいと思うので、こういうものは絶対だめなのだということも、こういうものが出ないという前提での情報にアクセスすると考えて、アクセスしたいと思っているわけですので、こういうものも今後きっちり見ていっていただきたいというお願いです。
○森田部会長 それでは、中川委員の御発言から。それからまとめて答えてください。
○中川委員 山口委員の意見に戻りますが、前回も議論しましたね。製薬協の加盟会社のMRがというのは、そういう薬は製薬協の加盟会社が販売しているわけですから、私は全然驚かないのです。
磯部課長が先ほど言いましたけれども、製薬協の自主的な取り組みに期待するというのは限界があるのではないか。30件というのは、先ほどの報告のモニター数を考えると、実態としては2桁ぐらい違うのではないですか。たまたまモニターの中の30件で、2桁、いや3桁ぐらい違うのではないかと思います。
そこを業界の自主的な取り組みに期待するというのは、もう結論が出ているのではないでしょうか。販売促進の使命を持ったMRが必死になりだしたら、これは規制を本当に明確にしないと無理です。前回も言いましたけれども、自分でパワーポイントをいじるなとか、そういうことまでやらないと無理です。売らないと首になるのですから。そういうことも含めて、きちんと一歩踏み込んだことを考えてほしいと思います。
それと、一般用医薬品の広告規制はどうしたのですか。これは全然ない。例の漢方薬のことを含めて、もっとひどいです。医療用医薬品どころではないのです。これは何か守備範囲を狭めたのですか。
お答えを。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 よろしいですか。
今の中川委員からのお話について、一歩踏み込んだ形でやらなければいけない。そのつもりで記載させていただいておりますし、そういう対応をしなければいけないだろうと思ってございます。それは中川委員の御意見と、私は全く同感でございます。
それから、一般用医薬品をどうするのかということに関して申し上げると、まずは医療用医薬品、先ほどディオバン、ブロプレスの話などもございました。色々な大きな問題が、医療用医薬品を中心に起こっているのは事実だと思ってございます。
そういう意味で、優先度合いは医療用医薬品の問題が大きいだろう。特にこの部分については、医療者に色々なプロモーション活動がかなり活発に行われているということもございますので、それについては一定のルールを、まずそちらのほうからつくっていくことが必要だろうと思います。
一般用医薬品に関しましては、医療者が介在しませんので、実際の薬局、薬店にどういったことをやるのか、医療用医薬品とは大分性質が違いますので、そういった場合にどうしたらいいのかということは、よくよく考えていかなければいけませんし、また今、適正広告基準もございまして、そうだからこそ、先生がおっしゃったオンジの問題も、メーカーのほうにも指導させていただいて、やらせていただいております。
そういったことが通じて、今後まずは医療用医薬品のほうを先行させていただいて、一般用医薬品の問題をどうするかということは、また引き続き検討していきたいと思います。
○中川委員 一般用医薬品は医療者が介在していないから、そんなに大したことではないと聞こえましたけれども、大変な問題ですよ。可能性としては、効きもしない薬に国民が莫大なお金を払っているのです。それは医療用医薬品と同じか、ある意味ではそれ以上だと思います。課長、それは違いますよ。訂正いただきたいです。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 私の説明が至りませんで、申しわけございません。
私が申し上げたかったことは、医療用医薬品は生命に関わる疾病についての問題が大きい。そういう意味で優先度があるということを申し上げました。
確かに委員御指摘のように、広告ということだけをしてみたら、医療用のほうの話も、一般用も、同じレベルの議論ではないかというのはおっしゃるとおりだと思います。
ただ、今回、我々のリソースの関係とか、また、優先度合いを私どもなりに考えさせていただきまして、医療用医薬品から始めさせていただいておるところだけは御容赦いただければと思ってございます。申しわけございません。
それから、本田委員からのお話でございますが、一つ事実関係として、23ページの学会での展示ブースの事務連絡でございますが、実は私どもの解釈として、これは広告には該当するという整理でございます。
なぜかというと、医療者向けには広告資材なので、患者向けには広告資材ではないという言い方は、同じ資材をめぐってそういう解釈はなかなかとれないだろうと。
ただ、一番私どもが気にしておるのが、多くは抗がん剤と聞いておりましたので、法律67条です。法律67条がどこにあるかというと、資料の4ページに特定疾病用医薬品広告の制限というのがございます。がん等の特定疾病用の医薬品に関して、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を制限する。
なかなか難しい解釈ではございますが、学会の場合には、基本的には一般人を対象にしたものではなく、医療関係者を主としたもので、そこに患者さんたちが入られた場合に、そこまで厳密にやる必要があるのかということ。
それから、実際的には、正しく本田委員がおっしゃったように、そういう学会まで行って勉強して、よく知っておられる方が多いということも考えていきますと、法の趣旨から考えて、一般人を対象とする広告の制限に当たるのかという解釈をいたしまして、広告には該当するのだけれども、法のここには抵触しないのではないかということで事務連絡を出させていただいたというのが事実でございます。
ほかのところも、北澤委員からもお話があったような、医療者の方々にまたちゃんと読んでいただくような努力も大事なものでございます。
きつい言い方をすれば、製薬企業の方々は色々情報をお持ちになるわけでございますけれども、そういう中できちんと情報を評価していくということは、特に薬剤師に求められる機能ではないかと思ってございます、そういったことは非常に重要でございますので、関係の団体とか関係の学会を通じて、そういったことについて啓発させていただきたいと思ってございます。
あとは、目処ということでございます。オフラベルの関係は、アメリカでもかなり長く運用されてございます。運用のほうの状況も情報収集させていただいて、なるべく早く出したい。私的には、できれば夏ぐらいまでに出せないかぐらいに思ってございますが、色々調べるものが多ければ、年内には出していきたいと思って、そのぐらいのスピード感で考えているところでございます。
○森田部会長 ありがとうございました。
終了時刻になりましたが、もう一つ議題があるので、このあたりにさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
今の件につきましては貴重な御意見をいただきましたので、これを踏まえて、事務局のほうでさらに議論を深めていただきたいと思います。そして、また御議論をいただきたいと思います。
議題3「その他」、報告事項についてということで、3つございますので、これも事務局からできるだけ簡潔にお願いいたします。
どうぞ。
○佐藤医薬安全対策課長 報告事項の1番目でございます。「注射用抗がん剤の適正使用と残液の取扱いに関する指針案について」ということでございまして、参考資料2でございます。
こちらの資料を1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございますが、抗がん剤等の残液について、通常は添付文書等で、使用した際に廃棄するということが書かれているわけでございますけれども、こういった残液について、有効かつ安全に活用できる方策があるのではないかといった御指摘をいただきまして、厚生労働科学特別研究事業において、この下のほうの図にございますけれども、安全な複数回使用に関する研究ということで、医療現場での環境・無菌調製の検討とか、複数回使用に関する基準等々を検討してまいりました。今回研究班の報告をいただきましたので、この部会にも報告させていただくものでございます。
特にこの中で、資料の4ページでございますけれども、保管期間の部分で、一度開封いたしました液体の残液等につきまして、通常の調剤環境においては、当日内に使用していただくことをお勧めする。ただ、色々な取り違え等のリスクがございますので、そういったリスク低減策が実施される場合については、BSCと一般調剤室内での保管では2日間、BSCと無菌調剤室での保管では7日程度であれば、科学的には活用できるということで、まとめさせていただいてございます。
以上、研究班からの報告ということでございます。
○森田部会長 続いて、2番目をお願いいたします。
○屋敷総務課長 参考資料3であります。欠格条項の見直しについて、法改正が行われる予定でございますので御報告させていただくものでございます。
これは何かといいますと、成年被後見人の利用促進に関する法律が平成28年にありまして、様々な障害を負っておられる方がいる中で、成年被後見人制度の利用の促進が図られていないということから、これは各章が180本を超える法律でございますが、それぞれ資格要件とか、業の許可要件とか、その中に成年被後見人、補佐人が入っているものが多うございます。
それらを削除した上で、実際に各法では個別審査を行うといった体系に転換するということで、これは一括法でまとめてございますが、行われております。
医薬・生活衛生局関係では、薬機法とか薬剤師法等々ございます。具体的な改正法イメージでありますが、下の欄にあります、現行では次の各法のいずれかに該当するときは許可を与えないことができるという中に「成年被後見人又は麻薬、大麻、あへん若しくは覚醒剤の中毒者」ということがあるのですが、ここの「成年被後見人又は」というところを削除するという改正でございます。
こちらのほうは今、通常国会に提出されておりまして、審議はまだでございますが、成立の上で、また施行準備を進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○森田部会長 続いて3番目をお願いいたします。
○渕岡化学物質安全対策室長 参考資料4でございます。毒物及び劇物取締法の改正についてであります。
こちらは平成29年度の地方分権改革におきまして、地方自治体からの提案を踏まえまして改正するというものです。
毒物劇物の原体の登録等に係る事務権限について、厚生労働大臣から都道府県知事に委譲するという内容になっています。
具体的な内容については、この下の表に書いてございますが、業態、製造業、輸入業のうち原体、原体といいますのは、工業的につくることができる最も純度の高いようなもの、100%の濃度に違いようなものでございますが、それの製造輸入について、現在登録権者、監督事務の実施者については厚生労働大臣になってございますけれども、これを都道府県知事に委譲するという内容になります。
委譲に伴いまして、国の関与、大臣の並行権限というところで、これが全てなくなるわけではございませんで、緊急時、大規模な事故などが起きたような場合については、国の立入検査あるいは登録の取消等の指示ができるという内容を残していくということにしたいと考えてございます。
改正法が成立した場合には、施行日としては平成32年4月1日を予定してございます。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
これは報告事項ですので、特に御発言はないかと思いますけれども、どうしてもという方はいらっしゃいますか。いらっしゃいませんね。
ありがとうございました。それでは、本日の議論は一応ここまでとさせていただきたいと思います。
最後に事務局から連絡事項がございましたら、お願いいたします。
○屋敷総務課長 次回、平成30年度の第2回の医薬品医療機器制度部会は、5月9日水曜日、13時からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
○森田部会長 ありがとうございました。
本日は非常に密な議論をしていただいたと思っておりますが、これで閉会といたします。5分ほどオーバーしましたけれども、お許しいただければと思います。
どうもありがとうございました。
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