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2020年9月24日 第11回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

令和2年9月24日(水) 13:00~15:00


○場所

オンライン会議
フクラシア東京ステーション(オンライン会議場)
6C 会議室(6階)
東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル


○出席者

出席委員 

五十嵐委員、岩月委員、上村委員、小縣委員
柿田委員、笠貫委員、近藤委員、佐藤委員
高野委員、長島委員、萩原委員、矢口委員、湯浅委員

出席参考人

印南参考人、堀参考人、松野参考人

○議題

1.中間とりまとめに向けたヒアリング等について
2.その他

○議事

 
○事務局
 定刻になりましたので、ただいまより、「第11回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催いたします。新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Web会議形式での開催とさせていただいております。また、本会議は公開会議であることから、Web会議の様子をYou Tubeにてオンライン配信しておりますので御了承をお願いいたします。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。Web会議を開始するに当たりまして、注意事項を御説明させていただきます。発言される際は、画面の左下にございますマイクのボタンを押していただいて、ミュートを解除した上で、お名前をおっしゃっていただき、座長に指名された後に御発言いただきますようお願いいたします。また、発言されないときはマイクをミュートにしておいていただければと思います。会議中に接続トラブル等がございましたら、事前にお送りしたWeb会議の参加方法に記載されております連絡先のほうに御連絡いただければと思います。
 本日は、宇佐見先生、宗林先生、部坂先生より御欠席との連絡を頂いております。現在のところ、13名の先生に御出席いただいている状況です。
 また本日は、中間とりまとめに向けたヒアリングを実施するに当たりまして、3名の外部有識者の方に御出席いただいております。御紹介させていただきます。認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの堀恵参考人でございます。

○堀参考人
 よろしくお願いいたします。

○事務局
 一般社団法人日本保険薬局協会常務理事の松野英子参考人でございます。

○松野参考人
 よろしくお願いいたします。

○事務局
 慶應義塾大学総合政策学部教授、一般財団法人医療経済研究・社会福祉保健協会医療経済研究機構副所長兼研究部長の印南一路参考人でございます。

○印南参考人
 印南です、よろしくお願いいたします。

○事務局
 それでは、笠貫座長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○笠貫座長
 それでは、座長を務めさせていただきます。今日はWeb会議で進めさせていただきます。まず、本日の配布資料の確認を事務局からお願いいたします。

○事務局
 Web会議で参加いただいている委員の方々は事前に送付した資料、オンライン会場にお越しいただいている委員の皆様は、お手元のタブレット端末で資料を御確認いただければと思います。タブレット端末は会議資料の議事次第を画面に表示した状態で配布されております。他の資料を画面に表示いただくには、画面左上のマイプライベートファイルをタップしていただければと思います。なお、タブレットの使用方法につきましては、ペーパーレス審議会タブレット操作説明書をお配りしていますので、御参考にしていただければと思います。
 本日の資料として、マイプライベートファイルに表示されている上から順に、会議資料、参考資料、当日資料となっております。そのほか、全体会議資料としてフォルダーを御用意しております。会議資料につきましては、資料1から3をひとまとめにしてお配りしております。中間とりまとめに向けた外部有識者のヒアリングに関する資料として、資料1-1として堀参考人からの提出資料、資料1-2として松野参考人からの提出資料、資料1-3として印南参考人からの提出資料です。中間とりまとめに関する資料として、資料2-1「中間とりまとめ構成案」、資料2-2「中間とりまとめの検討スケジュール案」。その他の資料として、資料3「規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)抜粋」です。参考資料につきましては、参考資料の1~4をひとまとめにしております。参考資料1は、開催要綱、参考資料2は、スイッチ成分の評価システムの検討について、参考資料3は、要望受付開始について(プレスリリース)、参考資料4は、日本におけるスイッチOTC成分です。以上の4点をお配りしております。
 また、当日資料としまして、OTC医薬品の販売状況といったものを御用意しております。タブレットの中には前回会議で使用した資料を「第10回資料」としてフォルダーに入れておりますので、必要に応じて御参照いただければと思います。本日の資料の説明は以上となります。不足などございましたら事務局までお申し付けください。

○笠貫座長
 ありがとうございます。タブレットの具合等に問題がございましたらお知らせください。よろしいでしょうか。それでは議題1の「中間とりまとめに向けた外部有識者からのヒアリングについて」に入りたいと思います。まずは事務局より、当日資料の説明をお願いいたします。

○事務局
 資料の説明に入ります前に、本日のヒアリングについて説明させていただきます。現在進めております中間とりまとめにつきましては、これまで各成分に関する議論におきまして、論点や課題として挙げられた事項を整理し、今後のスイッチOTC化に関する議論を効果的・効率的に行うことを目的として行っているものです。これまで論点や課題として挙げられた事項につきましては、個別の成分のみならず成分横断的に共通のものや、成分そのものではなく環境的な要因によるものなどが挙げられてきたかと思いますけれども、その課題等の解決に向けて各ステークホルダーが果たすべき役割があり、それを整理していく必要があると思われます。また、外部からのヒアリングを実施することでこれまで指摘されなかった事項が出てきたり、その解決策が提案されたりすることもあるかと思っております。
 以上を踏まえまして、各ステークホルダーを代表する方々からヒアリングを実施させていただくこととしております。本日は既に御紹介いたしましたお三方からヒアリングを実施いたしますが、当初の予定では、産業界代表といたしまして日本OTC医薬品協会からも御意見を伺う予定でしたが、本日の参加が難しくなってしまったため、OTCに関する概況の資料を提供いただいておりますので、事務局より説明させていただきたいと思います。
 それでは当日資料を御用意ください。1ページ目は医療用とOTCの市場規模の比較です。2019年では、医療用が10兆円超の91.5%、OTCが1兆円弱の8.5%となっています。なお、医療用は薬価ベースで、OTCは店頭販売価格で比較をしており、OTCについてはPOSレジのデータを集計しているということですので、実際の販売価格に基づくものです。
続きまして、2ページ目を御覧ください。医療用とOTCの比較の2011年以降の推移です。全医薬品に占めるOTCの比率は、このところ8~9%程度で推移している状況です。
 3ページは、セルフメディケーション税制対象品と非対象品の販売推移です。税制対象品であるスイッチOTCについては、1年で2~5%超の伸びで、OTC市場を牽引している状況が見て取れるかと思います。一方、スイッチOTC以外の売上が伸びていない状況です。スイッチOTCについては、年5%程度の伸びでしたが、2019年は伸率が2.9%に低下している状況で、非対象品も-0.4%と、マイナスに転じている状況です。
 4ページを御覧ください。こちらは薬効別の国内出荷金額です。薬事工業生産動態統計から作成したもので、15.3%が外用鎮痛消炎薬などです。10.0%が総合感冒薬、9.8%がビタミン剤、8.9%が眼科用剤と続いております。
 5ページ目を御覧ください。こちらはOTCと健康食品の販売推移です。OTCに比べて健康食品が伸びている状況ですが、この健康食品には、特定保健用食品であるとか、機能性表示食品が含まれています。特定保健用食品、機能性表示食品等としては、6千億円超の規模になるかと思います。健康食品の中でも機能性表示食品が特に伸びている状況です。なお、健康食品につきましてはメーカー出荷価格で集計しているため、OTCも出荷価格で集計している薬事工業生産動態統計調査のデータと比較しております。
 6ページ目を御覧ください。こちらは海外のOTCとの比較です。全医薬品に占めるOTCの比率を示しているものです。2017年の数字ですが、一部は2015年又は2016年の数字で、国名の後に15あるいは16と括弧書きで示しております。国により分類が異なりますので、非処方箋薬とセルフメディケーションマーケットで集計がされており、点線はデータがないことを示しているものです。日本では、非処方箋薬を集計したデータがありませんので、OTCをセルフメディケーションマーケットとしております。全医薬品に占めるOTCの割合としては、日本は米国、フランスなどと同程度ですが、他の諸外国と比べると比較的低い数字となっております。資料の説明は以上です。

○笠貫座長
 ただいま事務局から、本日のヒアリングの趣旨とOTC医薬品の販売状況について説明を頂きました。続いて、外部有識者の方々からのヒアリングに移ります。堀参考人、よろしくお願いいたします。

○堀参考人
 皆様、初めまして、私は堀恵と申します。本日は消費者の視点から、スイッチOTC化に対する意見及び提案をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、この発表の内容ですが、あくまでも私の個人的な考えを示したものです。ですから、皆様には、1人の消費者が日々の生活の中でOTCに対して感じている意見及び提案としてヒアリングを頂けましたら幸いです。
 それでは、簡単に私の自己紹介をさせていただきます。私は認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLに所属しており、現在は委員バンク登録会員をしております。平素より、幾つかの医療関係会議に参加し、一般市民の立場から意見を述べさせていただいております。本日は消費者の立場から発表いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、早速プレゼンテーションを始めます。まず、発表の流れです。初めに、スイッチOTC化の現状に対する私の意見をお伝えします。次に、どうしてそのように思ったのか、2つの理由をお伝えします。そして、それぞれの理由に対し、原因となる現状の問題、そして、それを解決するための提案をさせていただきます。そして最後に結論という流れになります。
 まず、スイッチOTC化に対する私の意見です。スイッチOTC化は現状のままでは拡大しないと思っています。そのように思った理由は2つあります。1つ目は、消費者のOTCに対する基礎知識の乏しさ、そして2つ目は、薬局におけるスイッチOTCの購入のしづらさです。
 では、これから1つ目の理由として挙げた消費者サイドのOTCに対する基礎知識の乏しさについて、3つの問題となる現状を御説明します。まず1つ目の現状です。そもそも消費者はOTC、スイッチOTCという言葉の意味を知らない方がたくさんいらっしゃいます。ですから、OTCには分類があることや、その必要性を理解している人も、残念ながら多くはいないのが現状です。スイッチOTC評価検討会議では、医療用医薬品のOTC化の議論をなさっています。でも、消費者はそもそも薬の基礎知識が乏しいので、その議論にも興味を持つことができません。ましてや、薬の承認の可否に関しては、無関心の方が多いと思います。つまり、いくらスイッチOTCの数が増えたとしても、消費者は積極的にスイッチOTCを買うことはしないというのが現状です。
 多くの消費者はOTCという言葉をはじめとする専門用語の意味を正確には把握していません。OTC医薬品は一般用医薬品ですが、消費者にとっては一般用医薬品という言葉自体も、専門用語なので分かりづらいと感じている方もたくさんおられます。OTCを説明するのなら、いわゆる市販薬、大衆薬、又は処方箋がなくてもドラッグストアや薬局で買える薬と、消費者に言い換えてあげなければ分かりません。つまり、基礎知識の乏しさは、このような専門用語が分からない消費者を生み出しています。これがスイッチOTCの購入を妨げている現状の1つになっていると私は考えます。
 また、消費者のOTCに対する基礎知識の乏しさは、もっと悪いことに幾つかの誤解も生み出します。例えば、全てのOTCは薬局でどのような種類でもすぐに簡単に買えるという誤解です。また、全てのOTCは処方薬に比べて副作用が少ないという誤解などが挙げられると思います。OTCに対する基礎知識の乏しさから起こる消費者の誤解は、スイッチOTCの購入を妨げている2つ目の現状になっています。
 そして、これらの誤解は3つ目の問題となる現状を生み出しています。それは、消費者はスイッチOTCの買い方を知らないという現状です。スイッチOTCの多くは、要指導医薬品又は第一類医薬品が該当します。ですから、購入には対面での指導や文書での情報提供が必要になります。そのため、それらのスイッチOTCは消費者が簡単に手に取れるような陳列棚にはありません。陳列棚にはないので、その存在すら知らない消費者もいます。薬の存在にも気付くことができず、見つけることができなければ購入にはつながりません。また、これらのスイッチOTCを購入するには、服薬サポートを受ける必要があります。そのため、消費者からの積極的なアプローチが求められます。でも、そのことを知らないので、自分からスタッフに尋ねることができず、結局購入にはつながりません。つまり、OTCに対する基礎知識の乏しさは、これらの問題となる3つの現状を生み出し、スイッチOTCの購入を阻んでいると私は思います。
 それでは、そもそもなぜ消費者はOTCに対して基礎知識が乏しいのでしょうか。その理由は2つあると私は考えます。1つ目は、日本の医療保険制度です。日本には国民皆保険制度や高額医療費制度などがあり、米国などと比べると医療制度が大変整備されています。しかし、一般市民はだんだんその制度に甘んじてしまい、現在は医療に対して受け身の面が強いように思います。
 また、2つ目は、セルフメディケーションという考え方に対する消費者の理解のずれが影響していると考えます。日本OTC医薬品協会及び日本一般用医薬品連合会が昨年実施した調査によると、セルフメディケーション税制の認知度が昨年は71.3%にも向上したと聞いています。この税制には、セルフメディケーションとは、自分自身の健康のため、軽度な体の不調には身近な一般用医薬品を利用するというように書いてありました。しかし現状は、スイッチOTCの購入は伸び悩み、サプリメントや健康食品の購入が増加していると聞いています。この消費者のセルフメディケーションに対する理解のずれ、このずれもOTCに対する基礎知識が乏しくなった理由と思います。
 それでは、これらの現状を解決するには、現状をどう変えていかなくてはならないのでしょうか。消費者は、セルフメディケーション、OTC、スイッチOTCに関しても、もっと知識を得る必要があると私は考えます。スイッチOTCの効用を知ることで、消費者はスイッチOTCのメリットに気付き、関心が増します。また、誤用や多剤服用によって起こる副作用を知ることで、購入の際には薬剤師からの情報提供を積極的に望むようになると考えます。
 しかし、実際に私たち一般市民がOTCに関する知識を得ようとしても、簡単で分かりやすく、かつ入手しやすい情報のツールがなかなか見つかりません。特に、スイッチOTCの添付文書の内容は、とても難しくて専門用語ばかりです。そのため、OTCの知識を得るための簡単で分かりやすく、かつ入手をしやすい情報ツールの作成及び発信を提案します。このツールは産官学民が共同して行うと、より幅広いニーズが集約できるのではないかと思いました。特に、中高生がOTCの知識を得ることはとても大切だと思っています。是非、OTCに関する学校教材の作成も望んでいます。
 それでは、次にスイッチOTC化が拡大しない2つ目の理由をお伝えします。2つ目の理由は、薬局でのスイッチOTCの購入のしづらさです。スイッチOTCの中でも、特に要指導医薬品及び第一類医薬品を販売する薬局の現状に問題があると思いました。これらの薬品は、薬剤師が不在の時間帯は購入ができません。一部の大型店のドラッグストアでは、24時間薬剤師が常駐して対応してくれる所もあるようですが、大半の薬局は、薬剤師は平日から土曜日の朝から夕方までしかいらっしゃらない所が多いようです。しかし、その時間帯は診療機関も開いていますので、スイッチOTCを購入するよりも、消費者は受診をして処方薬をもらうことを選択します。そのため、本当にそれらのスイッチOTCを消費者が必要とする時間帯、それは薬剤師が不在になる深夜、早朝、休日と考えます。ですから、この時間帯でも要指導医薬品や第一類医薬品を購入しやすい薬局の環境整備が必要と考えました。
 それでは、薬局の環境整備を考えるに当たって、スイッチOTCの性質から、購入を特に必要とする対象者を絞ってみました。スイッチOTCは保険適用がありません。ですので、単価が高いです。ですから、長期的な服用ではなく、短期の服用剤としてイメージをする消費者が大半だと思っています。とすると、高齢者は長期服用の薬を必要とする割合が高いので、対象は高齢者以外の年齢層が多いと考えます。また、処方薬と同じスイッチOTCが販売されている場合は、それを服用している患者も該当すると思います。仕事などの理由で受診ができず、処方薬が手元になくなってしまったときに、応急措置として購入する可能性があるからです。
 これらの消費者は、医療機関を受診できない時間帯に発症する急病の対処や応急措置のためにスイッチOTCを必要とします。そのときに必要となるスイッチOTCは、要指導医薬品や第一類医薬品であることが多いように思います。しかし、パパママ薬局のような小規模な薬局は、消費者が本当に必要とする時間帯は、残念ながらお店は開いていません。また、ドラッグストアにおいても、販売を担う薬剤師が不在のため、結局スイッチOTCを購入できないという薬局側の環境が原因になっています。これがスイッチOTC化の拡大しないもう一つの大きな理由と思いました。
 それでは、その薬局の環境をどのように整理したらいいのでしょうか。私はスイッチOTCを購入する年齢層は高齢者以外の方が多いので、全薬局を対象に、スマートフォンを使った情報提供システムの整備を進めることが必要と考えました。例えば、要指導医薬品や第一類医薬品を購入する際、薬剤師から服薬サポートを受けるための予約システム専用アプリ、それから薬局と購入者をつなぐSNSの整備の統一化です。SNSを使って、遠隔であっても消費者が薬剤師から購入後の服薬に関する情報提供や相談を受けることができれば、スイッチOTCを安心して購入しやすくなると思いました。
 今回の発表の結論です。スイッチOTC化をより推進していくには、2つの理由に対しての解決が必要です。1点目は、消費者はOTCに関する知識を得ること、そして、スイッチOTCのメリットを理解することが早急に必要だと感じました。そして2点目は、消費者がスイッチOTCを購入しやすい薬局の環境整備が必要と思いました。
 つまり、消費者と薬局やドラッグストアは、2つの車輪としてスイッチOTC化を推進していかなければならないと思います。そして、行政は、その車輪の潤滑油となって推進をより安全に行う手助けをする必要があると思いました。消費者、薬局、そして行政の協力体制があってこそ、スイッチOTC化の推進が行われると思います。
 そして最後に、消費者が今なすべきことをお伝えし、発表を終わりたいと思います。私たち消費者は、自分たちの医療制度を守るためにも、自分で自分の健康を維持していく必要があることを能動的に意識していかなければならないと思いました。以上で発表を終わります。御清聴ありがとうございました。

○笠貫座長
 ありがとうございました。大変分かりやすく、国民目線での問題点と現状をお話いただきました。御質問がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

○長島委員
 日本医師会の長島です。国民の視点からして、安全性の担保というのが私どもは最優先、まずその前提の上での利便性ではないかと思っているのですが、その辺りはいかがでしょうか。

○堀参考人
 御質問ありがとうございます。長島先生がおっしゃるように、もちろん私どもも薬を買うに当たって、安全性を無視しては買いません。でも、先ほども申し上げたように、そのOTCの薬の中には、要指導医薬品や一般用医薬品があり、そして、それが医療の処方箋の薬から移動してスイッチしたというようなことも、知っている消費者はかなり少ないと思うのです。そのときに、広告とかで、いろいろな薬がスイッチOTC化がなされたとか、スイッチOTC化ができた薬をテレビなどで見た場合、その副作用とか、その他のそれぞれの薬の分類というものを、私たちは医薬品に対する基礎知識がありませんので、簡単に買えると思ってしまったり、又は買ったものを知り合いに簡単にあげてしまったり、そういうようなことが起こると思っているのです。
 ですから、やはりまずは、私たち消費者がOTC、スイッチOTCはどのようなものがあるか、そしてどのような経路で販売されているのか、そして副作用はどのようなものなのか、そういうことをまず知るべきだと、そして、それを早急にやらなければならないと思いました。

○長島委員
 もう一点質問いたします。OTCが主に用いられるべきシーンとしては、例えば、夜間や休日などの、通常の医療機関を受診しにくいという場面において、応急処置的、短期間用いられるというのが、主な利用法というようにお考えでしょうか。

○堀参考人
 そうだと思います。私たち消費者は、どうしても薬の単価、値段というものを気にします。初めて、1回目に買う場合に関しては、何となく興味がある、テレビで放映されている、誰かが「いいよ」と言ったから買うというようなことはあると思うのですが、長期的な投与になりますとお金もかかるので、やはり短期投与。でも、効果はあるということは、何となく私たちも処方薬のときにもらったイメージというものがありますので、その場合、深夜や休日などのときには、それを買ってみようかなと思うと思います。

○長島委員
 ありがとうございました。

〇堀参考人
 ありがとうございました。

〇岩月委員
 薬剤師会の岩月でございます。幾つか、私どもが店頭で医薬品を扱っている状況と少し違う点を感じましたので、そのことについてお尋ねしたいと思います。
 まず、今日の御発表の前提として、スイッチOTC薬を指名してお買い求めになる利用者というのがそれほどいるのか。というのは、水虫ですとか、アレルギー性鼻炎という症状をおっしゃって、その症状をお聞きした上で、第二類、第一類、スイッチOTCも含めて、そういった医薬品の中から選択していただくというのが通常のOTC医薬品の販売の仕方です。最初からスイッチOTCを、患者や利用者から指名してお買い求めになることは余りないと思っていますので、今日の御発表の中で、「分かりにくい」とか「知識が足りない」とおっしゃいましたが、そもそも消費者はスイッチOTCを目指して購入されているという現実は余りないのではないかということを、現場としては思っています。
 あと、発表の中に「薬剤師が不在の時間帯は購入できない」というのがありましたが、薬局の場合は薬剤師がいないと開局できませんので、開いている時間に薬剤師がいないということは法律上も、実態もあり得ないです。もし、こういったことがあるとすれば、例えばドラッグストアで夜遅い時間にいないとかで、これは業態が違いますので、そこは分けて御発表いただけるとよかったのかなと思います。
 もう一つは単価の話です。例えばロキソプロフェンという鎮痛剤がありますが、その薬を、医師に受診して、初診とか再診とかでいろいろ金額は違いますけれども、それで処方箋が発行されて薬局で調剤を受けると、いろいろな計算方法がありますが、大体4,000円を超える金額になることがあります。それの3割負担ですと、1,200円です。一方、実勢価格は、例えばロキソニンSという市販薬がありますが、これが大体700円前後で販売しておりますので、オーバーオールのトータルコストを考えると、必ずしも医薬品本体の価格は高いということはあったとしても、トータルコストで言うと必ずしもOTC薬は高いのだということには当てはまらないケースが多いと思います。したがいまして、高いから保険を使うのだとか、そういう議論は現場では余りないだろうと思います。
 もう1つが、購入のしづらさですが、これは薬機法という法律で、手の届かない所に陳列するということがありますので、正に御指摘いただいたように分かりにくいということであるならば、薬局の中で、どういうお薬がどのように置いてあるのかという普及啓発が足りないという意味では御指摘のとおりだと思いますが、そもそも手に取りにくいとか、消費者が勝手に選べないという状況になっていますので、そこは何らかの工夫はあるにしても、今のままでは法にのっとって販売するとなると、なかなか分かりにくいという現状は変えにくいです。この4つの点を申し上げたいと思います。

○堀参考人
 ありがとうございます。整理をさせていただきたいと思います。1点目ですが、まず現場ということで、現場の販売の仕方ということでは、薬局とドラッグストアでは販売の仕方が異なるということですか。

○岩月委員
 いえ、販売の仕方は同じです。まず大前提として、スイッチOTCだという認識をもって、患者がその医薬品を指名してお買い求めになるということは、恐らくほぼないだろうと思います。もちろん、テレビのCM等で触発されて、これがいいなと思ってお買い求めになる方はいらっしゃると思います。絶対にゼロだとは申し上げませんが、一般的には患者というのはモチベーションがあって薬局にお見えになりますので、そうすると、例えば足がかゆいとか、口の中に何かができたとか、症状をおっしゃってからお薬をお買い求めになることがありますので、恐らくほとんどの方は、これがスイッチOTCだから効くのではないかと思って指名されてお買い求めになるというケースは非常に少ないと思います。ですから、あえてスイッチOTCを前面に打ち出して、いわゆる購入を呼び掛けるという販売方法は取っていないはずです。なので、そこは分かりにくいとおっしゃられれば、それはそのとおりだとは思います。

○堀参考人
 分かりました。ありがとうございます。スイッチOTCを指名して購入には行かないということなのですが、今おっしゃっていただいたように、その際に自分自身がどの薬を選んでいいのか分からないといったとき、薬剤師ないし、そこのスタッフに声を掛けるということをおっしゃったのだと思います。
 でも、消費者は、もしそれを薬剤師に聞くのであるのならば、ある意味では医師の所に行って症状を聞くのではないかと私は考えるのです。
 薬局というのは、簡単に、時間がない、すぐに治したいという方々が行って購入する所だと私は思っていますので、なかなか薬剤師に今の自分の状況などを質問して、購入する、又は自分がどのような薬を飲んでいるのか、おくすり手帳を見せて相談するというようなことは、余り進んでいないのではないかと思い、今回の発表をさせていただきました。

○岩月委員
 おっしゃるとおりなのですが、ただ、そこには少し事実と違うところがありまして、今回話題になっているスイッチOTCとか要指導医薬品というのは、薬剤師が関与して販売しなければいけないのです。

○笠貫座長
 岩月委員、よろしいでしょうか。

○岩月委員
 はい。

○笠貫座長
 ここでは各ステークホルダーの御意見をヒアリングし、それに対する質問であって、反論することではなく、時間の制限のある中で、お話いただいた国民の目線、消費者の目線で、どうお考えになっているかについてお聞きしたいと思います。

○岩月委員
 申し訳ございませんでした。

○笠貫座長
 ということで、この議論は止めさせていただきます。

○岩月委員
 一言だけよろしいでしょうか。

○笠貫座長
 はい。

○岩月委員
 事実と違うことであるならば、そこは質しておかないと、間違った情報が流布しますので、そこについては冒頭に申し上げたことで終了します。

○笠貫座長
 各ステークホルダーのヒアリングでは、それぞれの立場で、どのようにセルフメディケーション、スイッチOTCを捉えていて、どういう課題を感じているかということをお聞きするのが、目的だと思います。 スイッチOTCの一番の主体となる消費者、国民がどのように課題、問題意識を持たれているのかということをお聞きできたと、思います。
 堀さんから貴重な御発表を頂きました。どうもありがとうございました。

○堀参考人
 ありがとうございました。最後によろしいでしょうか。

○笠貫座長
 どうぞ。

○堀参考人
 岩月委員、御指摘いただきありがとうございます。でも、こうやって知識のずれ、現実とのずれということが、消費者は、私も含めて、あるという現実を分かっていただければと思います。ですから、正しい知識を知らなくてはいけないと思いますし、知るべきだと思います。ありがとうございました。

○笠貫座長
 ありがとうございました。時間が限られておりますので、質問を短くしながら、発表者のお話を十分お聞きしていきたいと思っております。それでは続いて、松野参考人からお願いします。

○松野参考人
 御紹介いただきました日本保険薬局協会常任理事、たんぽぽ薬局株式会社社長の松野と申します。本日はこのような機会を頂きましてありがとうございます。また、今日の説明内容に関しては、たんぽぽ薬局としての説明や意見となりますことを御承知置きくださいますよう、よろしくお願いします。
 まず弊社の概要についてです。たんぽぽ薬局は岐阜市を本社として、東海地区を中心に北陸、関西、四国の地域の基幹病院の近隣で138店舗を展開しております。なお、全体の売上に対するOTC医薬品、健康食品や医療材料等の占める割合は0.36%と大変低い数字です。調剤専門性の高い薬局として営業を行っている現状があります。ただし、ここ数年は、セルフメディケーションを意識してOTC医薬品やサプリメントも含めた健康食品の販売を強化してきているところです。
 まず、日本におけるOTC医薬品の販売に対する現状分析を行っております。薬に対しては、軽い症状や不具合で気軽に手に入る、服用する風土があると感じております。風邪薬や貼り薬、目薬やうがい薬など、同じ効能で100に近い種類があるものも販売されております。そういう箱にはまた効能を含めた分かりやすい記載があり、それを見て御自分で選択して薬を買うという感覚が根強いように感じております。また、その適正使用について、販売数量が制限されていない総合感冒薬の依存症が問題視されまして、適切な販売のための施策の検討の必要性も問われた現状もあります。また、置き薬の文化も古くからありまして、薬剤師や薬局を経由せずに症状が改善したり、更に受診へと導かれる場合もあるかと思います。さらに今回の改正薬機法で、要指導医薬品の販売時にはお薬手帳の勧奨が示されておりますし、一般用医薬品でもそれを記載するなども推奨されておりますので、安全性や相互作用、重複等への配慮がなされたと認識しております。
 国の目指す方向性については、2015年には患者のための薬局ビジョンが出されております。健康サポート薬局の役割として、要指導医薬品等が適切に選択でき供給できる体制を整え、適切な受診勧奨を行うことが示されており、さらに、かかりつけ薬局の役割としても、一般用医薬品を含めた薬の一元管理が重要であることなどが示されております。また、右の図では、自助・互助・共助・公助から見た地域包括ケアシステムにおいても、自助としてセルフケアの推進が示されているところです。弊社の取組として、それを踏まえて、薬局長の会議や全社員への研修時にも繰り返しその役割の周知を行っているところです。また、地域住民に対しても、店舗で健康相談会をしたり、社協等で外部での薬のお話の勉強会などの協力をしまして、薬の飲み方を説明したり疑問にお答えしたりしている現状もあります。また、非薬剤師には健康予防管理専門士の資格支援を行っておりまして、地域の方の健康相談に応えやすい環境を整えているところです。
 こちらが弊社のOTC医薬品売場の風景です。ドラッグストアさんのような広い敷地面積がありませんので、限られたスペースを使いまして、スイッチOTC薬から健康食品、衛生材料までを配置しております。基本的な販売品目は全店共通で90品目ほど決めているのですが、地域性がありますので、その状況に合わせて店舗の判断で品目が追加されております。左上の図が比較的広い店舗です。右奥に投薬カウンターが見えます。待合室の1角に、これぐらいのスペースでOTC医薬品を置いております。右上の図は、狭い店になるのですが、狭いながらも受付周りには必要最低限の配置はしている状況です。下の2つは同一店舗ですが、健康サポート薬局としての品目数を備えていることになっているお店なのですが、待合室の一角にこうやってお客様の対応を行っているところです。
 次は、弊社の1年間におけるOTC医薬品の取扱い及び販売状況です。全店舗のうち、要指導医薬品の販売実績がある店舗が8.7%、スイッチOTC薬の販売の実績がある店舗が86.2%でした。次に、健康サポート薬局でのOTC医薬品の取扱品目が約40品目、その他の薬局が29品目となり、健康サポート薬局での取扱いは約1.4倍という数値となっております。スイッチOTC薬では、御覧のように健康サポート薬局では7.7品目、その他の薬局では5.5品目、結果、1年間の販売実績として販売個数/1店舗の平均は、健康サポート薬局では43.1個、その他の薬局では28.2個という結果となっております。低い数値ではありますが、健康サポート薬局としての役割が見えてきておりまして、今後もその役割発揮が重要であると認識しております。
 こちらは、年間を通して実施している患者様アンケートからOTC医薬品等に関する御意見を抜粋しております。特に7月、8月はアンケート強化期間として多数の御意見を頂いている現状があります。こちらは岐阜県の3店舗、滋賀県、兵庫県からなりますが、ご覧のように、市販品やお勧めの商品が、もっと多種類あって相談しながら使ってみようか等の流れがあるとどうでしょうか。ラインナップを期間ごとに変えるとか、病気の内容でいろいろ教えてくれるとうれしいですとか、第一類医薬品をもっと並べてほしいですとか、日常生活をより健康的に過ごせるような予防に役立つ薬局の商品の展示販売を充実してほしいとか、医薬品メーカーからの商品が豊富で、近辺のドラッグストアにはないものが購入できる点が良いとか、身体によい飲み物、季節に合った医薬品などを置いていただくとうれしいですとか、薬局内に並べてあるドリンク類・栄養食品などは、責任を持って薦められるものだけを置いていただけると有り難いですとか、マスコミのコマーシャルに惑わされないようにしてほしいというような意見を頂いているところです。
 次は、更に店舗の薬剤師に対してアンケートを実施しました。有効回答の店舗数は113店舗で、主に薬局長や管理薬剤師が回答しております。スイッチOTC薬を販売する際の薬剤師の対応についてです。はじめから症状の想談を受けて薬剤師が薬を選択したという対応が、全体の56.6%でした。また、はじめから何らかの薬品名を指定、これはスイッチOTCに限らずですが、薬の指名を求めて来られて、その際に薬剤師が症状を確認して対応を行ったというのが43.4%という結果となっております。購入者自身が自らの判断で薬を選択する場合も少なからずありまして、やはり薬の専門家として最後の砦となって、その選択でよいのか、症状の聞き取りも含めて対応することが重要であると再認識しております。
 次に、自由記述で店舗の薬剤師にアンケートを取った結果です。上から回答が多かった順番となっております。1つ目の質問は、スイッチOTC薬推奨時に特に留意している事項についてです。一番多かったのは、症状・服用薬・現疾患・アレルギー歴など、そういう情報を聞いた上で薬を提案しているところです。次が、医療用医薬品と同成分であることを説明していることです。その次は、数日で改善しないようであれば受診するよう指導していることです。2つ目の質問です。スイッチOTC薬の利用を広めるために何が必要かについてです。一番多かったのは、医療用医薬品と同じものが市販されていることを知らない人が多いため、「スイッチOTC薬」の認知度の向上が必要であるというところです。その次は、店舗において、顧客の目に留まるような案内や説明が必要であるというところです。その次は、薬剤師のコミュニケーション能力の向上が重要であるというところです。その次は、保険医療の方は安い事象の改善をする必要があるというところです。その次は、スイッチOTC薬の品目数を増加する必要があるというところです。次に、医師の治療に関する考えなど情報の連携などが必要であるというところでした。
 最後に、今後の課題としてお示しします。やはり利便性と安全性のバランスが重要であることは基本ですが、健康サポート薬局や、かかりつけ薬剤師の役割を発揮していくために重要と見ているポイントです。販売に際して、購入者自身の選択の有無にかかわらず、その服用の可否や受診勧奨の必要性まで判断ができるよう、薬剤師が丁寧な聞き取りを行うことが大切であるというところです。また、薬剤師が適切な受診勧奨を促したり、症状を聞き出したりできるように、購入者が理解できるコミュニケーション力や、そのためのセルフメディケーションの知識に関する教育の強化が必要であるというところです。また、スイッチOTC薬の品目数については、購入者の選択肢を増やすという意味では有用であると判断しております。ただし、生活習慣病などの症状の発現の予防とか、生活の質の改善、睡眠とか肥満とかになるのかと思うのですが、そういう観点から見れば、スイッチOTC薬だけではなくて、健康食品も含めたトータル的な体制の強化も重要ではないかと感じております。
 そして、今回の改正薬機法にも盛り込まれましたが、スイッチOTC薬の併用薬を一元的、継続的に把握するためにも、要指導医薬品に限らず、お薬手帳の活用推進は大変重要であるのではないかなとみております。また、スイッチOTC薬が高額であるという認識について、購入者ではなく薬剤師にもそのイメージがあるので、その事実の是非、つまり先ほどもありましたが、診察料や調剤料などに関わる費用との比較も含めて、精査して改善していく必要があるのではないかなと感じております。また、セルフメディケーション税制の申告方法が複雑で面倒だという声も聞こえてきておりますので、その簡素化も望まれるところです。以上が弊社からの報告となります。御清聴ありがとうございました。

○笠貫座長
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御発表について、御質問がありましたらお願いします。いかがでしょうか。では、私からお伺いします。薬剤師と薬局の役割は、薬局ビジョン、そして改正薬機法では、薬のプロフェッショナルとして期待し、責任は大きくなっていると思います。この評価会議でも、実際にどの程度役割を果たしているか、この変革期の中で、実情がどうかという環境整備について議論してきました。 厚生労働省でなされている販売制度の実態調査の結果を見させていただきました。行政、あるいは医師が、期待していることがどの程度実行されているのかどうかについては十分お聞き及びだと思います。それについてどう改善されていっているのか、どのように捉えているかについてお聞きしたいと思います。

○松野参考人
 御質問ありがとうございます。そうですね、医療提供体制という観点で言いますと、スイッチOTCに限らずというところがあるのかなとは認識しております。先ほどの堀参考人のお話にもありましたが、薬局側は今、正に、薬局ではこういうことができるのですよと、健康相談や薬の相談をはじめ、予防も含めて、いろいろ知識の部分でも勉強会も含めて発進していっている状況があるにもかかわらず、消費者側ではまだまだ、「一体、スイッチOTCは何なのですか」というところがあるという現状を認識はしております。まだまだ発展途上だなと認識しているのですが、調剤薬局という弊社の立場からしますと、やはり薬剤師がいないとお店は開けられないという現状と、電話での対応では、365日24時間全店行っている所もありますので、何とか御理解いただけるように、更にそういう機会を増やしてやっていきたいと感じているところです。

○笠貫座長
 私の言葉が足りなかったのかもしれませんが、この会議で議論されている販売制度の実態調査の結果について、実際、現場にどうフィードバックされているのか、改善されているのかということについては、いかがでしょうか。

○松野参考人
 ありがとうございます。2015年に、「患者のための薬局ビジョン」の中にもOTCの販売の部分も含めたセルフメディケーションの所も開示されて、その後から、調剤で専門性の高かった弊社においても、必ずそういうスイッチOTCも含めた部分の認知を高めていかないといけないということで、弊社の共通した目標ということには入れております。そういう意味で、品目数も増やし、売場も大きくして患者さんへの発信も含めてやってきている点では、ゼロではないのかなと、若干は上がってきているのかなとは感じております。

○笠貫座長
 どうもありがとうございました。それでは他にないようでしたら、時間の関係がありますので、松野参考人、ありがとうございました。
それでは続きまして、印南参考人から御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○印南参考人
 慶應義塾大学の印南です。私も最初のページに書いてあるとおり、これから述べますのは個人の見解です。いかなる組織、会議体の意見を代表するものではありません。座長からステークホルダーとしての参考人意見という言葉がありました。で、私は何のステークホルダーかと事前に考えたのですが、恐らく2つの立場があるのだろうと思います。1つは規制改革推進会議のメンバーとしての立場です。もう1つは、学識経験者としての立場で、本日は両方について、意見を述べさせていただくつもりです。
 まず、規制改革推進会議における議論ですが、あくまでも一委員としての私の認識です。規制改革推進会議については、委員名の実名で詳細な議事録が公開されていますので、誰が何を言っているかは容易に分かります。ですから、私が何を言ったかも分かるのですが、本日お話するのは全体としてどういう認識だったかという話をしたいと思います。それから規制改革実施計画の文言だけでは、ちょっと伝わりにくい部分もあるかなとも想像しますので、その部分も含めてお話するということになります。
 本日の会議資料にも付いていますが、規制改革実施計画が7月17日に閣議決定されています。閣議決定は御承知のとおり、厚生労働省だけではなく、内閣府、それから与党、官邸等の間の合意形成ということになります。実は私は経済財政諮問会議もメンバーなのですが、新型コロナの感染拡大によって、諮問会議以外でも医療政策に関係する、例えば財政審や社保審や中医協などの会議体では、すべて議論が一時停止していたと思いますが、この規制改革推進会議だけはZOOMを用いまして粛々と去年の12月から月3回ペースぐらいで議論をしていました。たくさんのテーマがあるのですが、そのうち、このスイッチOTCに関しては業界へのヒアリングを2月13日、それから厚生労働省からのヒアリングを4月15日に行って、4月22日に早くも規制改革実施計画の素案について議論をしました。その中にスイッチOTCが、当然、含まれていたということになります。
 1個、1個を説明していくと時間が掛かってしまうので飛ばしていきますが、恐らく私が想像するにこの評価検討会議で、おやっと思われるものが多々あると思います。まず、医薬・生活衛生局にこの検討会議が設置されています。規制改革推進会議が言っているのは、もう少し視野が広いと言いますか、セルフメディケーションだけでなく医薬品産業の活性化という言葉も入っています。
 次に、規制改革推進会議だけでなく、経済財政諮問会議の改革行程表もそうですが、全てPDCAサイクルを回すという基本的な考え方があります。そのために、必ずKPIを設定するという慣わしがあります。この部分については、資料のような記述になっていますが、規制改革推進会議の内部では、多様な案が出ました。例えば、年間のスイッチOTC化承認件数の目標を何件と設定して、その議論をこの会議で検討していただく、それを進捗管理する。こういう議論も、一部から出ましたが、さすがにこれはということで厚生労働省の尽力によりと言ってはいけないかもしれませんが、ここの部分は具体的な目標設定はしない形で落ち着いています。
 後でも述べますが、一番大きな論点は、与党・政府の合意である閣議決定に従っているかということです。そもそも新しいスキームを作ったのは、2014年の日本再興戦略で、閣議決定です。それから経済財政諮問会議も2014年ですが、これも閣議決定です。二つの閣議決定を受けて新スキームを作った。ですから、当然、スイッチOTCは促進されるだろうという期待があったのですが、実際の承認数を見ると、思ったほど伸びていない。これを問題視しました。原因として本当はいろいろあると思うのですが、その1つが会議体にあるのではないかということが、この規制改革推進会議の認識の1つです。一言で言うと、本当は促進すべきなのに何か事実上この評価検討会議でスイッチOTCの承認をブロックしているのではないかという疑念です。
 4ページです。この先ちょっと不愉快に思われるかもしれませんが、規制改革推進会議の認識では、この会議体のメンバー構成が医師に偏っており、人数的に消費者代表が少ない。入っていないとは言っていません。少ないのではないかということです。当初、規制改革推進会議内のラディカルな議論では、中医協の、これは中医協が念頭にあると思いますが、中医協のように三者構成にして、医師は全体の3分の1以下にすべきではないかとか、座長は公益代表を据えるべきではないかというような議論までありましたが、改革実施計画ではそのような表現にはなっていません。構成を見直すということに落ち着いています。
 それから、議決方法は全会一致が原則とされています。これは業界からヒアリングした際に、全会一致が採用されたときの議事録が詳細に出されました。これがかなりインパクトを与えたというのが現実です。全会一致だとすると、1人の医師が拒否権を持つことになるのではないかということです。もちろん、全会一致のほうが、より精密に議論するという御議論もあると思いますし、単に多数決にすればいいという話ではないと思います。が、どこの法文を見ても、全会一致が必要とは書いていないのです。我々が全会一致と思うのは、閣僚会議だけで、なかなかそのようなことは少ないのに、この評価検討会議は全会一致だというので、これはある種の驚きをもって迎えられたということがあります。
 項目には挙がっていませんが、処方箋なしで購入できる医療用医薬品、これは零売と言われているそうですが、これが7,000品目ぐらいあると。金額は詳細には把握していませんが、これとスイッチOTCとの関係はどうなっているのかという質問もある委員からありました。
 5ページです。全体として見ると、2014年の閣議決定を受けて評価検討会議が新設されたのですが、会議体がむしろスイッチOTC促進を阻害しているのではないかという見方です。これは、もちろん違うと言っていただいても結構です。それから、特に何人かの委員がおっしゃっていたのは、多様な主体からの意見がスイッチ化の意思決定に反映される仕組みが必要なのに、一応、消費者の代表の方も入っておられますが人数が少ないということです。もう少し消費者の代表を人数的にも入れるべきではないかという議論です。それから、2014年の閣議決定から6年経った現在、現局の会議運営の方法が原因で実現していないのなら、それは問題ではないかということが背景にあると思います。
 最後に、スイッチOTC促進を阻害している原因は以下ではないかとまとめて書いています。これはあくまでも会議の認識だと思いますが、正確に言うと会議の認識だと思っている私の認識です。まず、評価検討会議は推進に向けて論点整理をする場なのに、決定する場になっている。次に、候補薬の安全性・有効性に関する議論に偏り、経済性・医薬品市場の活性化を考慮していない。さらに、評価検討会議の在り方が問題だです。これは特に業界からの主張を受け入れているのですが、OTC化の標準的なルールが割と不明確で手続に非常に時間が掛かる。それから、申請プロセスの在り方ですが、薬機法上認められている直接申請の道が事実上閉ざされている。これらが、規制改革推進会議の認識だと私は思います。
 続きまして、私個人の私見です。この内容は、まだ規制改革推進会議においても全部フルではプレゼンしていませんので、ここで初めて出す部分でもあります。
 まず、最も重要な問題なのですが、そもそもスイッチOTC推進の目的は何でしょうかということです。閣議決定を見ますと、セルフメディケーションの推進と、直近では医療産業の振興という言葉が入っています。セルフメディケーションとは何でしょうかというと、セルフケアの一つで、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体不調は自分で手当する」という概念です。自助、共助、公助、これは互助も間に入るかもしれませんが、自助→共助→公助論の具現化の一つであり、比較的自己責任を強調する立場ではないかなと考えます。それ自体は正しいとみなされていますし、私も正しいと思います。自分の健康に、まず自分で責任を持って留意する。そのための運動をしたり、生活習慣に気を付けたり、そういうことは大きな意味では正しい。自明のことです。ただし、閣議決定に私は逆らうわけではないのですが、疾病の自己診断を含む部分が危険なのではないかと私は思っています。セルフメディケーション自体は正しいと思うのですが、それが絶対的に正しいのではなく、医療安全との間のバランスの問題が必ずあるはずだと考えます。特にスイッチOTCの候補となる医薬品は、そもそも承認の時からの安全性・有効性の確認から始まって、比較的長期間にわたって、しっかりモニタリングされているものだと思います。副作用はあるかもしれませんが、確率的には低いものだと考えています。でも、それ自体の安全性・有効性に問題はなくとも、その薬を、OTCを使うという自己判断の部分が実は危ないのではないかというのが私の意見です。
 そうやって見てみますと、現行制度は自己責任と言いながら、実はかかりつけ薬剤師のアドバイスを一部前提にしています。医療安全の観点からは、そもそも疾病の有無や程度の判断ができる「かかりつけ医の関与」を強めるべきではないかと思います。コモンディジーズという言葉もありますが、それは診断した結果、コモンディジーズになるだけであって、症状の段階ではコモンディジーズなのか、あるいは非常に重篤な疾病の前兆なのかは、非医師が判断するべきではなくて、医師の判断、100%正確とは言いませんが、医師の判断を仰ぐべきだということが基本的な考え方です。
 それからスイッチOTCの議論の背景には、一部の方だと思いますが、給付範囲からの除外を念頭に置いている方もいらっしゃるのではないか。それを企業の申請に任せていいのかという議論もあります。これは公的医療保険の給付範囲に関わる重要な問題ですから、それを企業の申請で決めるのではなく、これはきちんとした会議体で、保険給付の面から検討するべきだと私は思います。
その延長にあるのですが、真の問題は公的医療保険財政の持続可能性ではないでしょうか。スイッチOTCの促進は、その手段、手段だけにとどまるとは言いませんが、もちろんセルフメディケーションは重要ですが、公的医療保険財政の持続可能性を維持する手段としての意味を持っているのではないか。つまり、国民皆保険の維持の話だと思います。
 8ページです。公的医療保険の持続可能性の問題というと、医療費の適正化の話になるのですが、別に薬剤費だけが医療費ではなく、医療費の4分の1ぐらいを占めるに過ぎませんが、それでも薬剤費は重要なパーツです。そこの数字をよく見ますと、御存知のとおりオプジーボ等の高額薬剤がどんどん公的医療保険に導入されているわけです。厳密な財政計算は別として、今後もこういった高額薬剤がどんどん公的医療保険に入ってくるということは見えているわけです。薬価制度改革等の効果もあって、長期収載品のシェアは低下しています。後発医薬品の使用促進を、政府の与党が一丸となって進めているとは思いますが、数量ベースでの目標の達成を目指しても、販売、あるいは市場規模ベースでの効果は限界が見えてきていると思います。結果的に薬剤費全体に占める特許医薬品、特にバイオ医薬品のシェアが上昇していまして、これらはみんな高額です。一部、何年か前の予想では、日本の医薬品市場をシュリンクするということもあったのですが、IQUVA社のデータを見てみますと、実は安定して増えています。もう11兆円近くになってきているわけです。公的医療保険の持続可能性の観点から、スイッチOTC問題を捉えなおす余地があるのではないかというのが、私の個人的な意見です。
 そうしますと、実はこの会議体でやっている検討は非常に重要で、そういう目で見ると、成分や効能、用法・用量別にどれぐらいのリスクがあるのかということを、専門家の方がきちんと検討されています。そういった会議体として、この評価検討会議を捉えなおすことも可能ではないかと。ややラディカルな案かもしれません。それから保険給付の、特に現物給付の必要性の低い医薬品、これは成分ではなくて効能と用法用量で考えますが、それを特定して、保険外併用療養費の対象にするか、スイッチOTC化候補リストに挙げるべきではないかと思います。ただ、この場合も、かかりつけ医の関与を維持するべきだと考えます。
 次のページです。この問題とは別に、去年ぐらいから、ここにいらっしゃる佐藤委員と私もメンバーだったのですが、医療経済研究機構で、保険給付の給付範囲の見直しの議論をしています。必ずしも縮小ではありません。広げるものも含んでいますが、その一部として、実はOTC類似薬等も検討しています。その中に「新選定療養(仮称)」というものを提案しています。これは保険外併用療養費の評価療養ではなく、選定療養の中の新カテゴリーとしてこういうものを作ったらどうかという提案です。
 10ページです。具体的な提案のイメージなのですが、点線で囲ってある部分が現在の現物給付の範囲です。その中にどんどん高額薬剤が入ってきています。一方で、この保険給付から出す話は、これは利害関係もあって非常に現実的には難しく、実際には進んでいないわけです。現物給付の必要性の低い効能・用法用量の検討を、本当は理想的には中医協でやるべきなのです。ます、中医協がそういうものを特定する。次に、それをいきなり保険から外して全部基礎的な部分も含めて患者さんの自己負担ということではなく、保険外併用療養費の対象にして、初診、再診、その他の基礎的な部分は保険で給付しながら、給付の必要性の低い薬剤の部分だけを患者さんに全額負担していただく。あるいは、それをスイッチOTCの候補として、公募して、業界の方に手を挙げていただく。この間、スイッチOTCの部分も含めて、治療の選択肢を制限するのではなく、むしろ一般医薬品まで広げていただいて、拡大するという方向で考える。実は、これは同時に患者の選択肢の拡大でもあります。現状、行うとすれば診療報酬で、一般薬指導管理料のようなものを設定すればよいのではないか。現場のお医者さんは医療用医薬品だけではなく、一般医薬品も含めた全ての医薬品について、かかりつけ医の立場として患者さんにベストなものを勧めることができるのではないかと考えています。これは規制改革推進会議の意見ではなく、私個人の意見です。この議論からすると、実は規制改革実施計画では、黄色を背景にしていた所ですが、部局横断的な組織体制にすべきだという部分は、私から見ると中医協との関係を付けるという意味なのです。それは薬食審でも、今、新薬を承認した後、中医協に送っているわけなので、逆のことをやっていただければといいと思います。
 患者の選択肢の拡大の観点からは、この評価検討会議が給付除外候補を提案し、事業者申請などを待つのではなく、一般に公募したらどうかということです。事業者申請などを待つのではなく、一応、事業性の問題があるので、全てのこういう候補も、企業から見て魅力的だとは限らないわけです。事業者の判断に任せるのではなく、少なくともスイッチOTCの候補は国の会議体できちんと出すべきではないかということが、私の意見になります。以上です。どうもありがとうございました。

○笠貫座長
 どうもありがとうございました。今回の規制改革会議の考え方と印南先生のお考えと提案についてお話いただきました。大変ありがとうございます。御質問はありませんか。

○岩月委員
 時間の関係もありますので、1点だけ、印南先生、いろいろな御意見ありがとうございました。1点、気になったのは、かかりつけ医の関与の強化がありましたが、これを関与すると、むしろセルフメディケーションの範囲は狭くなるのではないかと私は理解したのですが、その点はいかがでしょうか。

○印南参考人
 そういうケースが生じるかもしれないことは否定しません。でも、かかりつけ医は本来、医療用医薬品だけではなく、スイッチOTC、場合によっては一般医薬品の知識も持つべきです。ちなみに、医師は現に栄養指導や運動指導もやっているわけです。ですので、狭い意味での診断、治療だけではなく、患者さんの生活も見ることも意味していますから、むしろ、かかりつけ医の方にそういう知識をもっと蓄えていただくということが、私の主張の主旨になります。

○岩月委員
 ありがとうございます。

○笠貫座長
 ほかにはありませんか。

○長島委員
 日本医師会の長島です。疾病の自己診断を含む部分は危険ということは、正にそのとおりかと思っています。この検討会の中では、この使用の前提となる診断を非医師が行うと重大な疾患を見逃す、早期発見、早期治療が遅れるなど、重症化を招くリスクがあるという観点から、安全性を検討しているという場合が非常に多いと私は認識していますが、多分、それがきちんと伝わっていないというところが問題なのかなと。あるいは、一般消費者の方にそういうことが、どうしてそれに反対したとか、駄目だという理由がはっきり伝わっていないということが問題かなと思っていますが、その辺はいかがでしょうか。

○印南参考人
 同じであります。ただ、私がちょっと強調したいのは、成分ベースではなく、効能・用法用量ベースでやるべきだと思っています。成分ベースの話をすると、かなりの成分が、それだけで危険ではないかとなります。一般の医薬品の中にも成分的に見れば、濫用すれば危ないものもあるわけです。ですから、成分でやり始めると、確率の問題ですが、どんどん厳しい方向にいってしまうのが現実だと思います。そうではなくて、同一成分であっても、こういう場合、あるいはこういう用法用量であれば、かかりつけ医の指導の下に、スイッチOTCとして購入できるようにしてもいいのではないかと。もっと極端な話をしますと、病院の中にはコンビニがあるわけです。そこでいろいろなものが売っているわけです。ですから、診療所の中で、これは医薬分業と絡みますから、ちょっと複雑だと思いますが、こういうスイッチOTC等を販売することも考えてもいいのではないかと思っているぐらいです。大事なのは、やはり自己診断に全部任せないということです。それは本当にちょっとした症状であっても、重篤な病気だったということが私の身の回りにもたくさんあります。私自身も経験がありますので、その部分はちょっと強調しておきたいという主旨です。

○長島委員
 ありがとうございました。

○笠貫座長
 ありがとうございます。他にはありませんか。この会議の目的はもともと各ステークホルダーの多様な意見を、いかに汲み上げる仕組みを構築するかということで、合意形成のプロセスで全ての方々の意見から課題を抽出し、論点整理することです。その環境整備等について、論点が整理できると思います。しかし、KPIとPDCAという話が出ましたが、先ほど薬局ビジョンや皆保険制度維持の話も出ましたように、そういう大きな社会の変革の中で、スイッチ化を推進できないボトルネックはどこにあるのかということです。それを抽出することが、まず第一であるということで、共通言語と共通認識を醸成しながら3年間進めてきたと思います。リスクは、非常に大事な問題で、リスク低減を含めて安全とは何か、社会が許容できるリスクとはどこにあるのか、社会とは消費者、国民が第一ですが、医師も企業も、また行政も、その許容できるリスクをどうとらえるかについて、評価会議では経済は除いていますが、議論されてきました。そのボトルネックについて、透明性をもっと可視化することで、はじめて次に経済性を含めて、KPIが出てPDCAがはじめて回るはずです。物事の考え方が、この問題に関しては違うのではないですかと思うのですが、いかがでしょうか。

○印南参考人
 座長の議論は正しいと思います。規制改革推進会議に私がメンバーになったのは実は昨年からなのですが、恐らくこの規制改革推進会議は、今は常設化されましたが、その前は大体3年ぐらいで改組されています。規制改革推進会議の前は規制改革会議です。ある意味では特殊な会議体なのです。一方で、フォローアップと称して、前の会議体のものであっても引き続き検討するという、ある意味では面白い会議体です。恐らく2014年に、この再興戦略で新スイッチOTC化のことを提案して、それから2年後ではなく、3年後でもなく、もう6年経っている。その間に実績ベースで見て、承認数が少ないのではないかということが認識の出発点になっていると思います。ですので、おっしゃることはそのとおりだと思いますが、やや向こうの会議体の立場に身を置くと、若干しびれを切らしているというのが正直なところではないかと思います。こう言ったら怒られてしまうかもしれませんが。

○笠貫座長
 今日のヒアリングも含めて、今年度中にはこの評価会議の成果がまとめられると思いますので、是非、それを基にして社会が許容できるリスクとは何か、セルフメディケーションにおける自己責任とは何か明らかにできれば、企業にとっての予測可能性が何かという論点整理もできてくるのではないかと思います。そういうフレームワークが出てくるのではないかと期待しています。規制改革会議の指摘は、ある意味でこれからの前向きな作業を加速するきっかけになると思います。それでは、時間が大分押していまして、申し訳ありませんが、印南先生の御発表について終わらせていただきます。ありがとうございました。
 続きまして、議題2の「中間とりまとめについて」に入りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○事務局
 それでは、資料2-1を御覧ください。中間とりまとめに向けまして、前回の検討会議では、事務局より、これまでの議論で挙げられた課題や指摘、論点などを類型化して、議論の流れとして、まずは副作用や対象疾患などの成分そのものの特性としてスイッチ化できるか、次に、販売体制や社会的要因などの環境的要因を踏まえてスイッチ化できるかという流れで検討され、スイッチ化が可能であれば、効能効果や用法用量に限定をかける必要はないか、セルフチェックシートが必要か否か、どういう項目が必要かなどといった事項が検討されてきたということで整理しておりました。それを基に、前回の検討会議での御議論を踏まえまして、資料2-1として、中間とりまとめの構成案を用意しております。
 まず1では、これまでの検討会議での議論における論点・課題を議論の流れに基づいて階層的に整理してはどうかと考えております。薬剤の特性、疾病の特性と薬剤適正、スイッチ化に際しての必要事項と階層的に整理して、更に、販売体制や社会環境等の整備については、特出しして記載するという形にしてはどうかと考えております。※で挙げている内容については、そこに含まれる内容を例示しているものであり、それに限らず、これまでの議論に基づき記載をしていきたいと考えております。
 2では、本日と次回で各ステークホルダーの代表の方々からヒアリング及び意見陳述を行っていただく予定ですが、そこで頂いた情報や議論を踏まえまして、1でまとめた論点・課題の解決に向けた各ステークホルダーの役割等を整理してはどうかと考えております。3においては、1及び2の記載内容を踏まえまして、どういったものがスイッチ化にふさわしいか、スイッチ化を行う際にはどのような項目を検討すべきか、薬剤の特性、疾病の特性と薬剤適正、販売体制・社会環境等に関して、スイッチ化に向けた考え方を整理していくこととしてはどうかと考えております。4.は、それまでの記載内容を踏まえまして、論点・課題・解決策に関する議論や検討を行いやすくするための、今後の検討会議の運用方法や議論の進め方などについても記載してはどうかと考えております。
 本日は、限られた時間ではございますが、中間とりまとめの構成案について御議論いただければと思います。本日の御議論を踏まえまして、次回以降、中間とりまとめの構成案に基づいて、事務局で記載を追記し、膨らませた中間とりまとめ案を提示していきたいと考えております。
 次に、スケジュールに関してですが、資料2-2を御覧ください。前回、第10回におきまして、これまでの議論をまとめ、ポイントとなる事項の整理をしました。今回、第11回では関係者からのヒアリングを行わせていただきまして、資料2-1のとおり、中間とりまとめのまとめ方の方向性の提示として、中間とりまとめの構成案を示させていただきました。
 次回、第12回におきましては、今回実施できなかった日本OTC医薬品協会からのヒアリングの実施と、この検討会議の構成員の中から何名かの方々に意見陳述を行っていただいた上で、先ほど御説明したように、事務局より中間とりまとめ案を提示させていただき、御議論を進めていただければと思います。更に第13回では、それまでの議論・ヒアリング等を踏まえて、検討を重ねていただき、中間とりまとめの最終化を行えればと思います。説明は以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの、事務局からの中間とりまとめについて、構成案が提示されましたが、この構成案について、委員の先生方から御意見、御質問があればお願いいたします。

○佐藤委員
 ありがとうございます。産経新聞の佐藤好美です。前回の会議で、薬そのものの安全性であるとか、それから、実際に、診断を受けた人であるのかどうか、あるいは、短期使用を担保できるのかどうか、といった環境要因、社会的要因を分けていただきたいという話をしました。今日、薬剤の特性とそれ以外のものについて分けていただいたことをまず感謝申し上げます。
 ただ、薬剤の特性が一番上に挙げられていて、まずはそもそもの副作用や薬効の強さで認められるか認められないかということが決まりますよね、というのは理解するのですが、その後、○が3つ付いていて、そこに段々が付いているのは一体何なのか、というのが一つ質問です。ここにはどういう差異があって段々が付いているのか。そして、3つの分け方がよく分からないのです。と言いますのは、3つのうちの1つ目の「疾病の特性と薬剤適正」の下の※の所には、「販売者として適切な使用対象者への販売が可能か」と書いてあって、2つ目の○の「スイッチに際しての必要事項(販売体制・社会環境等の整備も含む)」の項目では、2つ目の※の所にセルフチェックシートが入っていて、このセルフチェックシートは、適切な使用対象者への販売が可能かどうかをチェックするものだと思います。そうすると、1つ目の○と2つ目の○が混然としていることがありますし、2つ目の○の「スイッチに際しての必要事項(販売体制・社会環境等の整備も含む)」とあって、3つ目の○の所にまた、「販売体制・社会環境等の整備」とあるのですが、2つ目の○と3つ目の○は何が違うのか、よく分かりません。1つ目と2つ目と3つ目が、優先順位とか順番を表わすものなのか、そして、この3つがどういう違いになっているのかを説明していただきたいし、ここは、もう少し分かりやすくしていただかないと困るという感じがします。以上です。

○事務局
 まず、大きく1番につきましては、これまでの議論がどういう形で行われてきたかをまとめたいと考えております。1番目の○の「薬剤の特性」の所に、全部で4段階のような形で書いておりますが、1番目から3番目までは、基本的に、これまで議論が進められてきた流れなのかと思います。まずは、薬剤そのものがどうなのか。2つ目の〇に、スイッチOTC化が可能かどうかということで、疾病の特性や薬剤適正と。3つ目の〇には、スイッチ化を可とするならば、具体的にはどういう取組が必要なのか。こういう3段階で議論が進められてきたというところを、前回も、事務局のほうから、そういう形で整理してはどうかと御提案しました。それで、議論の流れの順番として、この3段階という形になっています。
 4つ目の○に、販売体制・社会環境等の整備ということを特出ししているのは、佐藤委員の御指摘も踏まえてということもあるのですが、これが4番目に議論されるという意味ではないのです。その辺が誤解を生むのかと思いますが、記載の流れとしては1、2、3番目で議論されてきて、特に4つ目として特出ししているという形で整理させていただいています。

○笠貫座長
 よろしいですか。

○事務局
 2つ目の○と3つ目の○で重複のような所もあるという御指摘かと思いますが、それはおっしゃるとおりだと思います。なかなかきれいに切り分けられない部分もありますので、そういった形になっている部分はあるかとは思いますので、もうちょっと記載を膨らませていく中で、なるべくきれいに整理ができればと思います。

○笠貫座長
 具体的な事例を整理していくと、これがもう少しきれいに分かれていくという感じですか。基本的にこの流れで整理しているというお考えですね。

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 今、御説明したとおり、物事の整理に当たっての考え方という形にしていますけれども、まずは、スイッチ化をする際の議論をする際に、これまでを見ておりますと、薬剤そのものの副作用とか効果の強さがどうなのかというのが大前提にあって、その上で、先ほどの議論にもありますが、その中で疾病の特性、スイッチ化する効能をどうするのかとか、あるいは、その効能、適応とする際には、薬剤そのものがそういうのに適しているか、薬剤と効能効果そのものの在り方がどうなのかというのがその次の議論になるのだろうと。そもそもそういうふうに、成分あるいは疾病、そういったものが適正であったとして、それを実現するための必要事項、ツールとしてどういう必要事項があるのか。その中には販売体制とか社会環境の整備も当然入ってくるだろうと。さらに、特に販売体制・社会環境の整備についてはこれまで何度も議論になっておりますので、そこについては詳述してまとめていく。そういうような議論を整理する際の流れといいますか、そういうふうに道筋を付けて整理したらまとめやすいのではないかという一つの提案です。そういった意味では、整理の仕方がおかしいということであれば、それはまた変更することもあり得ますが、一つの流れとして、そういう流れで整理したらまとめやすいのではないかということで、こういうことを提案させていただいております。

○笠貫座長
 それでは、事例が出たところで、次回には少し変わるかもしれませんが、作業を進めていただきたいと思います。それでは長島委員、お願いします。

○長島委員
 長島でございます。最初に、そもそもスイッチOTC化のあるべき姿、どのような薬剤がスイッチOTC化にふさわしいかという議論も重要ではないかと思います。そこで、大きなポイントとなるのが、先ほど印南先生の話にもありましたが、使用の前提となる判断を非医師が行うことのリスクも重要なポイントですので。例えば、以前から日本医師会が言っているのが、自覚症状がある疾患を対象として、比較的短期間の服用・使用で改善が期待できて、自ら服用・使用の中止を判断できる医薬品、そのことによる安全性がきちんと担保されているというような考えを今までも申しております。どのようなものがスイッチOTCとしてふさわしいかというのがないと、次のところの判断基準がなかなか難しいので、薬剤の特性等を含めた議論を備えた上で、もう一度そこのところを議論すべきかと思いますし、議論としてはどういうものがふさわしいかをきちんと議論すべきかと思います。
 次に、薬剤の特性以降のところは、実際の事例を踏まえて検証しながら、項目だけが適切かどうかは、いろいろ柔軟に変更していけばいいと思います。例えば、リスクということでは、先ほど申しましたが、早期受診を妨げることによって、早期治療あるいは重症化予防を防げないというリスク、つまり、OTCを服用することで受診が遅れること自体がリスクになることも含まれるべきかと思います。それから、社会環境においては、これまでも検討会で何回も言われておりますが、一度スイッチOTC化をしてしまうと、その後、ほぼ自動的にインターネット販売まで行ってしまう。そこの間に、きちんとしたチェックをかけられないということであるならば反対であるという御意見も今までありましたので、そこにきちんとチェックをかけることにすることで、むしろ認めやすくなることもあるのではないかと思うので、そこのところも重要かと思います。それから、全体的な考えとしては、1つは、こういう視点からきちんと判断して、こういうところに問題があることが指摘された。単に問題の指摘だけではなくて、そういうところをきちんと改善することで、次の段階に進めるという建設的な議論にしていくということと、それが消費者の方にも分かりやすい内容にする、そのための項目立てということで建設的にしていただければと思います。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○小縣委員
 日本女性薬剤師会の小縣です。最初の3名の先生方のところから、話をさせていただきます。まずは、消費者の方からのお話を伺った後、長島先生が安全性の担保をどこに求めますかという質問をされました。そのとき、薬剤師が出てきませんでした。薬剤師という名称が消費者の発表の中で出てきたのは、薬剤師がいるかいないか、いないから買えなかった、というところでした。薬剤師の本来の資質について何も言っていただけなかった。これが事実なのかという点、それが事実なのだとしたら、そこから薬剤師は考えないといけないと思いました。
 2人目のたんぽぽ薬局の松野先生のお話ですが、松野先生の所では、薬局薬剤師として、いろいろな努力をされ、様々なことをなさって薬剤師の仕事を消費者の方、患者さんに知っていただいた上でOTC医薬品についても販売をしようということの御紹介でした。これは地域的なものもありますし、薬局の個性もあるとは思いますが、これからはそこが必要で、それを行っていくことで、先程の消費者の方が分からなかった部分を理解していただけると有り難いと思いました。
 3番目の印南先生のところで、かかりつけ医の関与を強めるべきという、この一言が出てきたので、「ああ、やっぱり、この会議はまた進まない所にいってしまうのか」と落胆しました。薬剤師に信頼が置けるか置けないか、今までも何回か御意見がありまして、その都度、そこに足りない部分はしっかりやっていかなければいけないと思いましたが、例えば売り方の問題で、どこが悪かったということの報告はあっても、薬剤師にそれがしっかりフィードバックされてきていない現状もあります。一部の薬剤師はそこを探しに行って、仲間と確認しあっていますが、今後この会議を進めていくに当たって、このかかりつけ医の関与をどうするかが大きな問題になってくるのかと思いました。

○笠貫座長
 どうぞ。

○高野委員
 日本中毒情報センターの高野です。今の議論の中で、よく言われている市販販売調査というか覆面調査の結果という形で、あれを延々と最近読むのですけれども、どうしてできないのかというところとか、実は検討されていなくて、そこに問題があって、何を投入すれば解決できるツールがあるのか。先ほど堀先生のお話でも、いろいろなツールを使って利便性を高めるというところのお話があったりして、利便性を高めるだけではなくて、もしかしたらそういった、できない根本の原因を解決できるとか、そういったことにもつながってくるのではないのかなと思うのです。
 ですので、何でできないのかというところで、できない理由を尋ねると、例えば消費者が要らない薬を勧められるような気がするからとか、何か相談しづらいだとか、そういった販売者側が整理するという要因だけではなくて、いわゆる人員の問題であったり、いろいろな問題があると思うのです。そういったものを、ある程度明確にして、どういった形で解決していくのか。要するに、国のほうではインターネット販売で、いわゆる通信による対面販売の制度などを整備しているという理論立てだと思うのですけれども、実はこういった利用をするにはハードルがあって、なかなかそういったことで利用しづらいのですよと。SNSといったものみたいな形では、なかなかできないのですよとか、そういったものがもう少し明らかになれば、すごく解決の一助になってくると思います。
 この会議でいつも私が聞いて思っているのが、薬剤師の方の専門性を否定しているわけではないと思います。薬剤師の方が相談することによって市販薬を購入するだけではなくて、購入しないという選択もありますし、受診を慣行していただいているということもあります。ですので、利用者、具合の悪い方が受診するしないというのは、本当に自己判断、症状の程度とか緊急性を、利用者自らが判断しているだけの話であって、そこで相談することによるメリットは非常に大きいと思うのです。
 市販薬を購入するにしろ、しないにしろ、療養して具合が改善しないという場合にはどうすればいいのかとか、また生活改善という形ですよね。そういったもの、療養が終わった後に生活改善をどうすればいいのかとか、そういったことを含めて、非常に薬剤師が担う役割は大きいのかなと思うのです。ですので、そういった機能を発揮するために、どうしていけばいいのかというところを、原因といったものをしっかり見つめ直すことが必要ではないかなと、個人的には思います。ありがとうございました。

○笠貫座長
 今日、まだ御意見を頂いていない方はどうぞ。

○湯浅委員
 今日は3人の先生方、どうもありがとうございました。いろいろな視点からお話を伺えて、とても勉強になりました。私は、神奈川県保険医協会で県内の医師500名と薬剤師1,000名の方に協力いただいて、ポリファーマシーについてアンケート調査を行いました。その結果、薬剤師の先生方のポリファーマシーに対する認識が高く、非常に感服いたしました。自由記載欄の中で、薬剤師の先生方からわれわれ医師に対する手厳しいご意見も頂戴いたしました。ポリファーマシー形成の要因のひとつである患者さんに出現した副作用に対し、薬を追加投与し薬を増やしていく、すなわち薬剤カスケードを解消するためには、どうしても薬剤師の先生方との連携が必要になります。
 神奈川県内科医学会で計画中の臨床研究で、単に薬剤師が治療に介入するだけでなく、薬剤師の先生方から患者さんの状態をフィードバックしていただき、医師が、次の診療に役立てる双方向のスパイラルな連携を行い、残薬を減らし、治療効果があがるか検討しています。
 本委員会は、医師や薬剤師、消費者などいろいろな立場の方々から構成されており、様々な意見がでていますが、やはり医薬連携が重要なポイントになると感じています。
 皆保険を堅持することは、皆さんの共通の認識であると思いますが、印南先生もお話されたように、OTC化に対して、なんらかの形で医師が積極的に関わり、薬剤師との連携を構築することを念頭に、議論を進めていければと思います。

○笠貫座長
 ありがとうございます。この会は基本的には全員の先生方から、必ず御意見を頂くことにしています。これは全会一致の話とは別で、ボトルネックを少しでも多く抽出するためです。御発言いただいていない方で、今日Web会議に御参加されている方はいらっしゃいますか。

○上村委員
 上村です。

○笠貫座長
 上村先生、お願いします。

○上村委員
 2点ぐらい、最後に言わせていただきます。私は前回の会議で最後にお話したと思うのですが、この会議はOTCを希望する方が出してきた薬剤に関してディスカッションする会議であるから、正しく結論としてはOTCを承認するということを前提に考えて、それにおいての問題点を、もしもできないのであればその理由などを詰めていくという、今後はそういう方向性がいいのではないかなと今日も思いました。
 それから湯浅先生の最後の話で、これは私も話していたと思うのですけれども、医者もそうですが、やはり薬剤師と医者と、その購買者、患者さんですか、みんなで共有しなければいけないのですよね。それは医療に関しては当然のことなので、したがってマイナンバーカードといったものが利用されて、薬が誰でも、お薬手帳というのは、これはもう前時代的なものになるのではないかと思います。それを今のITですか、今回の内閣などはそれを目玉にしているわけであって、それが導入できるかどうかというのは印南先生などには特に考えていただいて、今後提示していただければいいなと考えました。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。

○長島委員
 発言よろしいでしょうか。中間とりまとめ構成案の4番の「その他」の所で、「今後の検討会議の運用、議論の進め方についても記載してはどうか」とありますが、これは極めて重大な問題です。ただ、それを具体的にどのように検討するのかというお話が全くないので、ここのところはしっかり議論しなくてはいけないので、その議論の進め方についてはどうなっていますでしょうか。

○笠貫座長
 私の認識でも構いませんでしょうか。この解決策を具体的に詰めようとすれば、また1年以上掛かるだろうと思います。今求められているのは、これまで抽出された課題について、論点を整理し、たくさんの意見があったということを整理するのが大事だと思います。その解決策については、これまでの議論が出た範囲のものを整理するということで、新たな課題解決についての議論は、今回のとりまとめには入らないのではないかという認識を持っています。事務局、ここまでの時点のところで整理するということでよろしいですか。皆さんのこれまでの熱い議論の中で、こうした解決があるだろうということは指摘されていますので、それはきちんと整理しておきたいと思います。

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 審査管理課ですけれども、基本的には今の座長がおっしゃられた線でまとめていく形になるだろうと思います。その際、今回は一応、ヒアリングもやらせていただいておりますし、後ほど御説明しますが、これまでも議論がありましたけれども、規制改革会議の中で一定の対応を求められているところもございますので、そういった流れの中で運用の改善、あるいは議論の進め方についての改善策というのも当然出てくるものはあるのだろうと思いますので、そういったことも含めて反映させてはどうかなと考えております。

○笠貫座長
 ありがとうございます。

○長島委員
 よろしいですか。したがって、今の規制改革等の話は、今回は全く議論もされていませんので、もし書くのであれば、そこをきちんと議論した上でということ、それが議論されなければ記載しないということでよろしいですか。

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 先ほどのペーパーにはなかったかもしれませんが、本日規制改革会議の内容は御説明するつもりでおります。その内容を今後どうするかということも、次回以降に、また議論させていただいた上で、それを今後のまとめへの反映の議論に進めていきたいと思っておりますので、御指摘のとおり全くの議論もなく反映するということはないという理解でよろしいかと思います。

○長島委員
 分かりました。

○笠貫座長
 私はこの時点でまとめるのは論点整理の話で、合意形成のプロセスで出た複数の意見をきちんと載せておくことです。ここで議論することは規制改革会議に対して、それを踏まえてどうまとめるかということではなくて、我々が、皆さんと3年間スイッチ化の推進のために共通言語と共通認識をもって議論を重ねてきたものを、整理することになるかと思っています。
 それでは、時間が大分過ぎて申し訳ないのですが、参加されて御意見を述べていない方はいらっしゃらないでしょうか。よろしいでしょうか。

○近藤委員
 近藤ですが、よろしいでしょうか。

○笠貫座長
 近藤委員、お願いいたします。

○近藤委員
 では手短に。今日は3人の参考人の先生方、どうもありがとうございました。私も途中から参加している委員ですので、会の発足のきっかけとかも余り事情を存じあげなかったものですから、非常に勉強になりました。1つの会の在り方を、これだけいろいろな見方ができるのだということはよく分かりましたので、お話にも出ていましたけれども、余り人数が多くなってしまうと、議論がまとまらなくなるということもあるのかもしれませんが、できるだけ多様な意見を持った方が委員として登用されるということは、やはり重要ではないかなということを実感いたしました。ありがとうございました。

○柿田委員
 どうしようか迷ったのですが、印南先生の御講演でちょっと気になったのですが、7ページ目、問題点として「スイッチ化の判断を企業の申請に任せてよいのか」と書かれていますが、スイッチOTCの概念は、申請は誰が出してもいいということでしたよね、一般の個人の方が出してもいいし、ある団体が要望を出してもいいというスタンスだったと思いますが、それでよろしいですか。

○事務局
 事務局からお答えいたします。このスイッチOTC化の要望につきましては、個人・企業・団体を問わず、誰でも出すことができるということでございます。印南先生がおっしゃっていたのは、製品化するのは企業がするかどうか、そこは企業の判断が入ると、恐らくそういう御趣旨だったかなと理解しております。

○柿田委員
 でしたら、スイッチOTCの会議で認められたら、企業はしなくてはいけないというものに変えたほうがいいという印南先生の御意見でしょうか。

○印南参考人
 すみません、違います。そういう意味ではありません。今は要望のお話ですが、非現実的だと思いますが、この会議体がスイッチOTC化の候補を出して、そこに企業が手を挙げる。あるいは、これは非常にまれだと思いますけれども、製薬企業以外の方が手を挙げるのもいいのではないかと思いますし、誰も手を挙げない場合には、医療用の医薬品として残したまま、しかし保険外併用療養費の対象とするということであります。やや複雑な議論をしています。すみません、誤解を招きました。

○柿田委員
 ありがとうございました。

○笠貫座長
 では、先ほど岩月先生の御発言が途中になっていたかもしれませんが、短くお願いします。

○岩月委員
 座長の先生、ありがとうございます。先ほど湯浅委員のほうからも話がありましたように、スイッチOTCと医療用医薬品が敵対するものではないというのは、多分ここにいらっしゃる皆さんの共通認識だと思いますので、消費者といいますか購買者が、より良い選択肢を持てるようなことで、今後この会議で私も発言させていただきますし、そういったことで、この検討会が有意義なものになるといいなと思いまして、正に湯浅委員のおっしゃったように、協力とか情報の共有ということが本当に大事になってくることを改めて感じました。ありがとうございました。

○笠貫座長
 これで本日の議題は終わらせていただきます。事務局のほうから何かございましたらお願いいたします。

○事務局
 その他の議題の資料3、内閣府の規制改革推進会議の関係について簡単に御説明させていただきたいと思います。こちらにつきましては、既に印南先生から解説いただきましたので、改めて御説明は不要かもしれませんけれども、簡単に説明いたします。先ほどお話がありましたように7月17日に閣議決定されておりまして、大きく2つの項目がスイッチOTC化の関係で実施計画としてまとめられております。
 1つ目 No.9のほうですけれども、こちらの内容としては、スイッチOTCの取組を始めとしたセルフメディケーションの促進策を検討するため、部局横断的な体制構築を検討するとの内容です。これは本検討会議とは別の体制ということで、経済性の観点も含め推進策を検討し、スイッチ化の進んでいない領域を明確にする、官民連携して目標を設定する、促進されない場合は原因の調査・対策を行うなどの内容となっております。
 次のページですが、2つ目はNo.10についてです。こちらが検討会議の運営に関する内容です。a、b、cとあり、aにはポツが4つあります。aの1つ目のポツは、これまで評価検討会議ではスイッチの可否を検討結果として示してきておりますが、可否を決定するものではなく、薬事・食品衛生審議会に対し、意見として提示することが役割ではないかという内容です。2つ目のポツは、消費者等の多様な主体の意見が反映されるように会議メンバーの追加を検討することといった内容です。3つ目のポツは、スイッチOTC化するに当たって、満たすべき条件、スイッチ化が可能と考える疾患の領域、患者の状態や薬局・薬剤師の役割について議論・検討するといった内容です。4つ目のポツは、これまで本検討会議の運用として全会一致との共通理解で運用されてきたというところですが、合意形成のあり方を見直し、賛成、反対等の意見の集約が図れない場合は、意見を列挙して、審議会に意見を提出する仕組みとするという内容です。
 bについては、これまで製薬企業がスイッチ化を希望する場合には、まずはこの評価検討会議に対してスイッチ化の要望を出してもらうという運用をしていたところですが、直接承認申請を行うことも可能であるということを明確化するという内容でございます。
 cについては、セルフチェックシートや製造販売後の調査など、販売を行う際に課す条件の明確化を行うという内容です。
以上の内容、特にNo.10ですが、この評価検討会議の運営に関する内容につきましては、中間とりまとめと併行しまして、事務局のほうでも年内を目途に対応を整理・検討しまして、御報告をさせていただきたいと思っております。また一部は、対応や考え方について中間とりまとめにも盛り込むような形になるのかなと考えているところです。資料3に関する説明は以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、第11回の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を終了とさせていただきます。今日は3人の参考人の先生方からの貴重な御意見をお聞きできました。ありがとうございました。印南先生にも、この会議についてよく御理解いただければと思います。この議事録は、ある大学の薬学部の講義に使われていると聞いていますが、私はこれまでの透明性と情報公開がセルフメディケーションについて皆で考えるという意味で非常に心強く大切なものだと思っております。今日は時間が大分オーバーしてしまいましたことを深くおわびいたします。ご協力ありがとうございます。

○事務局
 次回は、10月28日水曜日10時から予定しております。議題につきましては、本検討会議の構成員からの意見聴取や、中間とりまとめの議論を進めさせていただく予定です。開催形式等につきましては決まり次第、また御連絡させていただきます。以上でございます。

○笠貫座長
 では、会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
03-5253-1111(内線 2737、4225)
 

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