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2020年10月28日 第12回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

令和2年10月28日(木) 10:00~12:00

 

○場所

AP新橋 A会議室(3階)
 東京都港区新橋1-12-9 A-PLACE新橋駅前 3F・4F・5F


○出席者

出席委員 

五十嵐委員、岩月委員、上村委員、宇佐美委員、小縣委員
笠貫委員、近藤委員、佐藤委員、宗林委員、高野委員
長島委員、萩原委員、部坂委員、矢口委員、湯浅委員

出席参考人 

日本OTC医薬品協会

○議題
 
1.産業界からのヒアリングについて
2.構成員からの意見聴取について
3.規制改革実施計画等を踏まえた評価検討会議の運営等について
4.中間とりまとめ(骨子)について
5.その他
 

○議事


 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長 
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第12回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を開催したいと思います。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。まず最初に、構成員の先生方の出欠状況ですが、本日は柿田委員から御欠席との御連絡を頂いております。それから、部坂委員、高野委員が遅れて御出席されると考えております。現在のところ、13名の先生方に御出席をいただいております。
 また、本日は中間とりまとめに向けたヒアリングを実施することになっており、それに際し、産業界から御出席をいただいております。御紹介いたします。日本OTC医薬品協会会長 佐藤誠一参考人、同副会長 上原明参考人、同理事長 黒川達夫参考人です。それでは、笠貫座長に以降の議事進行をよろしくお願いいたします。

○笠貫座長 
 よろしくお願いいたします。本日の配布資料の確認を事務局からお願いいたします。

○事務局
 資料の確認をいたします。資料については、ペーパーレス化を実施しており、各委員におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認いただければと思います。タブレット端末は、会議資料の議事次第を画面に表示した状態で配布しております。他の資料を画面に表示するには、画面左上の「マイプライベートファイル」をタップしていただければと思います。なお、タブレットの使用方法については、これまでと同様に「ペーパーレス審議会タブレット操作説明書」をお配りしておりますので、そちらを御参照いただければと思います。
 本日の資料として「マイプライベートファイル」に表示されている、上から順に、会議資料、前回会議資料のフォルダ、参考資料となっているかと思います。会議資料については、資料1~4全てを1つのファイルにまとめており、議事次第、配布資料一覧、産業界からのヒアリングに関する資料として、資料1 日本OTC医薬品協会発表資料、構成員からの意見聴取に関する資料として、資料2-1 佐藤構成員、資料2-2 宗林構成員、資料2-3 長島構成員、資料2-4 岩月構成員、それぞれからの発表資料があります。資料3は規制改革実施計画に対する対応案等について、資料4は中間とりまとめ(骨子)案について、以上を1つのファイルにしております。
参考資料については1~5まであり、開催要綱、構成員名簿、スイッチ成分の評価システムの検討について、要望受付開始について(プレスリリース)、日本におけるスイッチOTC成分の5つのファイルを1つのPDFファイルにまとめております。また、中間とりまとめに向けた関連資料として、笠貫座長から御提出いただいた資料を机上に紙で配布しておりますので、そちらも御確認いただければと思います。タブレットの中には、前回会議資料としてフォルダを御用意しておりますので、適宜、こちらを御覧いただければと思います。資料の説明は以上です。不明な点、不足などありましたら事務局まで随時お知らせいただければと思います。

○笠貫座長
  ありがとうございました。タブレットの不具合等がありましたらお知らせいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、議題1.産業界からのヒアリングに移りたいと思います。日本OTC医薬品協会の方からよろしくお願いいたします。

○日本OTC医薬品協会
 日本OTC医薬品協会会長の佐藤です。本日は、このような機会を与えていただき、誠にありがとうございます。当協会はセルフメディケーションを通じて、国民の健康の維持・増進に貢献することを目的に1985年に設立した団体です。現在は正会員77社で構成しております。本日の資料は、当協会の機関決定を経て提出をしております。最初に私が説明し、その後、当協会の上原明副会長から説明いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、座って説明させていただきます。資料の2ページを御覧ください。まず、国が進めてきたセルフメディケーションとスイッチOTC推進策を時系列的にまとめたものです。2014年の日本再興戦略でスイッチOTCの促進が国策として示されました。これを受け、2008年の(旧)評価システムを改良し、2016年より現在の評価システムが開始されております。
最近では、2019年末に公表されました「全世代型社会保障検討会議」の中間報告、そして、今年7月に閣議決定されました「骨太の方針2020年」においてもセルフメディケーションや一般用医薬品等の普及を推進することが打ち出されております。スイッチOTCはセルフメディケーションの選択肢を広げるために、大変、重要な取組です。当協会としても安全性を十分確保した上で、国民に役立つスイッチOTCを提供してまいりたいと思っております。
 3ページです。2002年の「一般用医薬品承認審査合理化等検討会」では、国民の健康ニーズの多様化に対応するため、有識者のほか、日本医師会、日本薬剤師会の先生方も参加され、OTC医薬品の新たな領域、範囲が具体的に示されております。その結果、御覧のように、これまでOTCになかった新しい成分のスイッチ化が進みました。その一方で、候補に挙がりながら積み残された成分もあります。
 4ページは、2005年以降のスイッチOTC承認状況です。2014年以降、承認品目が少なくなっております。ピンクの棒グラフですが、新スキームで承認された成分です。可になった11成分中、承認されたのは僅か2成分で、既に申請中の成分や申請相談が実施されている成分も多いと伺っております。非常に残念なのは、可とされた成分のほとんどは、既に承認されているOTCの範囲内で、2002年のように新たな領域・範囲の成分は、ほとんどが否定されております。見直しが行われる中で、これら否定された成分の安全性を確保するためにはどのようにすればよいかを、是非、専門家の観点から御議論いただければ、大変、有り難く思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 5ページです。規制改革実施計画の中で、私どもが特に期待しておりますのが部局横断的な体制の構築です。これまで、厚生労働省にセルフメディケーションについて総合的に相談できる部署がありませんでした。国民が主体となって自己健康管理に取り組むための環境整備をする上でも、早期の設置が必要だと思っております。また、実施計画には、部局横断的な組織の中で「スイッチ化すべき疾患領域を検討する」とあります。当協会でも検討を始めておりますので、本日はその途中経過を御報告いたします。
 6ページです。OTCの領域・範囲の考え方について、現在、検討中の内容です。具体的な成分は、今後、各企業が検討することとなります。1.は自覚症状で判断できるという、これまでのOTCの概念と同じものです。これを、①作用機序を含め、既存のOTCの範囲のもの、②作用機序又は③効能効果が新規のものに3分類しております。PPIは②、尿もれ改善薬は③に分類されます。
次に、2.は再発の多い疾患です。初発時は医師の診断が必要ですが、診断が確定すれば、薬剤師に相談することで管理できるものです。既に、膣カンジダ症の再発、口唇ヘルペスの再発に対応する製品が販売されております。スイッチ化されていないものでは、偏頭痛もこの分類に相当すると考えられます。
 3.は新たな概念のOTCです。これを実現するには医師と薬剤師が協力するシステムが必要になります。これが可能になれば忙しいビジネスマンのお役に立てると推測されます。4.は健康食品としてこのような製品が販売されておりますが、エビデンスがしっかりしたものを医薬品にするという提案です。5.は検査薬ですので説明は省略いたしますが、コロナ禍の状況を考えますと、自己検査の重要性が高くなることが考えられます。
 7ページは評価の進め方についてです。これについては、もちろん、当局で検討していただくものですが規制改革・実施計画に基づき、当協会においては、このような4つのステップの評価をイメージしております。御検討の際に参考にしていただければ、大変、有り難く存じます。まず、セルフメディケーション推進の観点から、必要性やベネフィットについて議論していただくことを希望します。次に、これまでどおり考えられるリスクを出していただき、そのリスクの回避策、最小化策を議論していただければ企業にとって、大変参考になります。
 最後に、リスクとベネフィットについて整理する形でまとめていただけると申請企業も助かると考えられます。これらのステップに合わせて御議論いただける委員の方が複数会議に参加していただくことを切に希望しております。以上、当協会としての見解を述べさせていただきましたが、国民のために公的医療保険制度を基盤とした医療体制を維持していくためにもセルフメディケーションは大変重要です。その選択肢としてスイッチOTCを適切に推進することが必要だと考えております。
 「ウィズコロナ」の時代の「新たな日常」において、健康リテラシーの向上を基軸としたセルフケア、セルフメディケーションの推進が国民の健康維持に、そして、持続可能な社会保障制度のために必要という認識は、国の方針とも一致するものではないかと考える次第です。是非、よろしくお願いいたします。
 それでは、バトンを上原副会長に、よろしくお願いいたします。

○日本OTC医薬品協会
 上原です。座ったままで失礼いたします。私からは、今、佐藤会長がスイッチOTC、セルフメディケーションの必要性について意見を述べられましたが、もう少し大きく、高齢・長寿化社会の中における世界に誇る「国民皆保険制度」を護るためにセルフメディケーションがお役立ちたいという私どもの根底にある考えを述べたいと思います。
 お手元の資料の最初にあります制度発足以降の環境の変化は、皆様方はよく御存じですので省略いたします。今のまま放置することは財政的にも大きな問題ですので、対応しなければいけないと思っています。しかも、医療の研究と技術の高度化、高薬価の薬が発売になる等の近年の時代の変化を考えると医療費の効率的・効果的使用が、これから更なる大きな命題になるのではないかと思っております。そのためには、自助・共助・公助の内の自助の役割を促進しなければいけないと思いますが、これは私共の業界やここにおられる医療関係の皆様方だけではなくして、やはり生活者自身の意識も変えてもらわなくてはいけないと思っております。
セルフメディケーション推進のためにスイッチOTCの促進に向けていろいろと御討議いただいておりますが、業界としては税制の更なる拡大等により、生活者自身の行動変容を起こすような役割を果たさなければいけないと考えております。
 また、これは、聖路加国際大学の中山和弘先生の研究発表ですが、日本の生活者の健康リテラシーが非常に低く、欧米はもちろんのこと、東南アジアのベトナム、ミャンマー、インドネシア等の諸国に比べても低いということで、生活者の健康リテラシー教育をどのようにしていくかということが大きなテーマであり、それ無くしては自助の促進ができないと言っておられます。
 私どもは、こうした社会ニーズに対応して生活者と共に、業界がどう動いていくかということに関して、先ほど、佐藤会長が述べましたように、セルフメディケーション推進担当部署を厚生労働省内に、是非、設置していただきたい。そして、部局横断したセルフメディケーション推進計画の立案と進捗を把握していただき、進捗がはかばかしくなければ解決策を立案していただきたいと願っております。ジェネリック後発医薬品が長年かけて、今のように、非常に大きなシェアを占めて大きな貢献をしているのと同じような役目をセルフメディケーションを推進し、生活者の間に浸透させることによってお役立ちたいと願っております。
 セルフメディケーション推進部署の仕事の内容としては、従来から問題になっております店頭での販売の在り方や、スイッチOTCの申請承認プロセスの合理化と簡素化、更には健康リテラシー教育の推進等が挙げられます。私どもは、別途に文科省へもお願いし、中学・高校等の保健の教育内容を変えていただきたいということも提案しております。以上のような一連の推進策の結果として、行動変容による医療費の効率的・効果的使用が促進されているのか、そのトレースとそれに対する修正案等を、これらの部局でいろいろと御検討、御指導いただきたいと思っております。結論としては、本評価検討会議の皆様方には真剣に高齢長寿社会における対応策を考えていただいておりますが、何としてでも、世界に誇る「国民皆保険制度」を護り抜くことを求めて、私どもも業界として皆様と御一緒に対応したいと考えております。以上で私の話を終わりたいと思います。

○笠貫座長
 ありがとうございます。ただいまの御発表について御質問がありましたらお願いしたいと思います。御質問はありますか。では、私からお伺いいたします。
この評価会議が2016年にできて、企業から提出された成分については8成分中7成分が可となっており、先ほどの佐藤参考人の発言には少し誤解があるかと思います。上原参考人の御発言のように、国民皆保険制度維持という観点からの重要性については、この評価会議でも十分な共通認識として持っています。国民皆保険制度に、自助という視点から国民生活者を巻き込んだ大きな健康維持増進というパラダイムシフトが起ころうとしている過程で、たくさんの課題があるということは十分に認識していると思います。
 その中でOTC医薬品企業として何を成すべきかについて、お話いただいたと思いますが、企業から見て、今、具体的に何が一番ボトルネックになっていると、お考えになっているかを教えていただけたらと思いますがいかがでしょうか。

○日本OTC医薬品協会
 それでは、上原からお話いたします。具体的にと申しますと、スイッチOTCに限らず、セルフメディケーションに携わる私どもメーカーとしては、絶えず新製品とそれに関連したいろいろな情報を提供しなければいけない、絶えず新しいことへの挑戦をしていかなけ ればいけないと考えております。そのような観点から、新しい成分が新分野開拓の一つの重要なタネになるわけです。
 それから、私自身も非常に反省しておりますが、今の世の中は全部、物中心になっています。例えば、ビタミンB1が何に効くのか、そのような情報発信をメーカーも小売もやっているわけです。ところが、一番生活者が欲しているのは、そのような物に対することだけではなく、ライフステージによって必要なものは、少年・青年・壮年・老年とでは身体の生理状態が違うので、同じ成分でも年代別の生理の違いを考慮した情報の発信と、それに適合した製品が必要になりつつあるのではないか。しかも、今は情報化時代ですから、昔はラジオドクターみたいなものがありましたが、そのような相談する機能をもっとさせることが求められているおり、生活者が真に必要なものに対しての薬の御提供がなされておらず大きなネックのひとつになっているのではないかと思っております。
 過去からずっと見ていますと、小売業態も時代とともに変遷しています。薬局・薬店は単店舗でいろいろとやっておりましたが、最近はチェーンドラッグやスーパーがどんどん発展してきています。しかし、共稼ぎの時代になってくると、イベントをやって人を集める時代から生活圏に近づき、生活者にいろいろな情報を発信していくコンビニエンスストアやネット販売が進化・発展してきています。生活者の変化と同時に小売業態も変えつつある中で、私どもも薬だけのモノだけではなく、情報提供の仕方も含めて、従来の延長上の発想によるサービス提供のあり方を変えていかなければいけないと考えております。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。どうぞ。

○宗林委員
 宗林です。お問合せというか、要望ということでお話をしたいと思います。今、上原参考人からのお話にもありましたが、例えば、私はドラッグストアなどで同じ風邪薬などを実際に消費者が選ぶときに、相当、迷うぐらいの品数がある、あるいは、同じブランドでも色は違って、違う薬効を謳っていることが多いと思います。そのようなものに対して、薬剤師を介してかもしれませんが情報発信を、CMという形だけでなく、店内でも商品として積極的にやっていただきたいと思います。
もう1つは、OTCでも重大な副作用が起こる可能性があり、それをどのような状態でいち早く気付くには、このようなことが出たらと添付文書には書いてありますが、例えば、スティーブンス・ジョンソン症候群を発症するときに、最初どのような症状がでたら気を付けましょうということが、一般消費者には全く浸透していないので、そういった辺りにも消費者のリテラシーの向上、全体の中では何らかの形で伝えることを試みていただきたいと思っております。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。よろしいですか。

○日本OTC医薬品協会
 よろしいでしょうか。今、宗林委員が言われたのは、本当に尤もだと思っております。副作用などの観点においては、多くの会社がお客様相談室のような直接の電話窓口を持っており、そこへ直接、いろいろとお話を承っております。しかし、それを御存知の方もいらっしゃるかどうか分かりませんし、今はネットの時代ですから、そういったことに対しての対応も考えていかなければいけないと思っております。今、おっしゃっていただいたことに対して、やはり業界としても各社それぞれ、いろいろと参考に対応を更に深めたいと思っております。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。ほかにはありますか。

○湯浅委員
 いろいろとためになるお話を頂きまして、ありがとうございました。佐藤参考人にお聞きしたいのですが、セルフメディケーションの定義とスイッチOTC化を推進することによって、セルフメディケーションにどういう形で貢献できるのかというところを簡単にお聞かせいただきたいと思います。

○日本OTC医薬品協会
 やはりスイッチOTC薬を通じて、効果がはっきりしたものを提供することによって、新しいニーズのセルフメディケーションが発掘できると考えています。国民皆保険を維持するため、今後の莫大な保険財政を考えると、大変なことになってきますので、セルフメディケーションが少しでも軽医療の分野で広い範囲で医療に貢献できるのではないかという意味で、スイッチOTCを推進しています。

○湯浅委員
 スイッチOTC化によって、医療費の削減を国は考えているのだと思いますが、スイッチOTC化が、医療費の削減にどの程度寄与できるのか具体的数字を挙げてお答えいただけないでしょうか。例えば、ジェネリック医薬品でいえば、その普及により、医療費が1億数千万ほど削減できたと聞いております。しかし、オプジーボという免疫チェックポイント阻害薬が発売された当初、オプジーボ1剤にかかる医療費が1億円を超えていたと記憶しています。皆保険維持のためには、目先の改革では限界があり、抜本的な改革が必要になると考えています。医薬品のOTC化が医療費削減にどの程度寄与するのか、大変重要な問題だと思います。試算はなされているのでしょうか。もしお分かりになれば教えてください。

○日本OTC医薬品協会
 笠貫座長、恐れ入りますが、今、湯浅委員から御質問がありました点について、本日、私ども担当部会から最も分かる者を同行していますので、お許しいただければ短く説明をさせていただきますが、いかがでしょうか。

○笠貫座長
 経済効果を検討する会議ではないので、できるだけ短くお答えを頂けたらと思います。

○日本OTC医薬品協会
 事務局の植田です。現在、先生がおっしゃったような調査を実施中です。医療経済学の先生と協力して行っています。ほぼ結果は出ています。調査方法は、OTCで対応できそうな疾患、症状に対して、レセプトデータを使ってどの程度、医療費の削減が可能なのかを、かなり厳しい条件で推計しています。まだ、全ての症状を網羅しているわけではありませんが、現時点では、約3,200億円という数字が出ています。もっと症状の範囲を広げれば金額は増えてくると思います。これについては、11月5日14時より、Webでシンポジウムを開催する予定です。短い時間ですので全てをそこで説明できないかもしれません。最終的には論文化して投稿していただこうと思っています。御参考にしていただければと思います。

○湯浅委員
 この会の主旨ではないと思いますが、データをだしていただき、それに基づき議論することはとても重要なことと考えます。さらに、OTC化したあとの、医療費削減に関わる、結果の評価についても検討されていくことを望んでいます。ありがとうございました。

○笠貫座長
 国民皆保険制度の維持ということから、経済の問題に入ってしまいましたが、この会議ではリスクをどう評価するか、国民に有効かつ安全に薬を提供できるかということが検討課題です。先ほど宗林委員からも御指摘がありましたが、どのようにして生活者の薬剤によるリスクを低減し、最小化するかについて、例えば企業として医療用医薬品についてはMRという情報提供と情報収集の方がリスクマネージドプランにも大きな役割を果たしています。OTC医薬品は医療用医薬品よりも安全性が高いと判断され、OTC化されたとしても、医薬品には常に副作用が存在しうるものです。それについてOTC医薬品企業として、どのような人たちが副作用の報告等についての役割を果たしておられるのかについて、教えていただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。

○日本OTC医薬品協会
 上原がお答えさせていただきます。スイッチOTCの成分に対する店頭でのいろいろな調査の結果から、必ずしも情報の提供が確実に行われていないという問題が出ているということは、私どもも認識しています。私どもの会社の中で、エパデールという薬がありますが、これを数年前にスイッチしましたが、その御懸念のことをよく理解していますので、私どもはチェーンドラッグさんの数社にお願いをしました。御了解いただいた企業に関しては、各店舗における薬剤師さんの皆様方に講習をさせていただき、そこのお店だけに情報の御提供と共にお薬を販売していただくことを行いました。
 これは未だ業界で真剣に討議されていませんが、医療用医薬品販売においてはMR研修制度があります。スイッチOTC成分の販売に際しては、MR研修制度と類似の講習制度や情報提供を行い、御納得のいただけるお得意様の薬剤師の皆様に御説明する機会を頂戴し、そこのお店だけで販売いただくことも一つの案ではないかと考えています。これは薬剤師会の皆様、厚生労働省内の部局の方や、この評価会議のメンバーの皆様、医師会の皆様等とも御相談させていただきまして、御意見を得てから最終的に検討したいと思っています。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。まだ御質問があるかもしれませんが、時間が迫っていますので、OTC協会様からのヒアリングを終らせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして議題2.の構成員からの意見聴取を行いたいと思います。今回は4名の構成員から発表をお願いしたいと思っています。なお、質疑応答については時間の都合上、全員の方に発表いただいた後にさせていただきたいと思います。それでは佐藤委員から最初にお願いいたします。

○佐藤委員
 産経新聞の佐藤好美です。本日はありがとうございます。5分だと聞いていますので、早速、本論に入らせていただきます。
プリントを2枚だけにしました。「町の健康に目配りを」という、本日はちょっと大きい話をさせていただこうと思います。お医者さん方は、自分の目の前にいらっしゃる患者さんの健康には極めて熱心です。ときとして健康を守るのに熱中するあまり、まるで保護者のように怒ってしまうということもあります。最近、パターナリズムなどと言われて、あまりはやらないのですが、私はそういった先生方の専門性に関する誠実さや、患者さんの健康に対する責任というものは尊いものだと思っています。その気持ちを少し、目の前にいない方にも振り向けていただけないかという話をします。
 1.に書いたのは、「健康状態の悪い人ほど来院しますか?」いうことです。よく診療所にいらっしゃるのは、実は健康マインドの高い患者として優秀な人であったりして、今すぐ医療機関に行ったほうがいいのでは、という方は行かなかったりするのです。状態の悪い人ほど来るかというと、そうではなく、状態の悪い人で来ていない人は、結構たくさんいるという気がしています。2.です。「来なくなる患者さんはいらっしゃいませんか?」です。で、来なくなった患者さんに電話を掛けたりされますかと問うと、大体されないのです。先生方は「しまったな、来なくなってしまったな、あの人ちょっと状態が悪いのだが、この前、酒を飲むなと怒ってしまったし、あんなに厳しいこと言わなければよかった」などと思いつつ、「でも、きっともっと優しいお医者さんの所に行って健康管理してもらっているのだろうな」という期待を抱いて、来なくなった患者を追わないのですが、他で健康管理をしているなどということはなく、患者はただ単に医者に行かなくなっただけ、ということだったりします。ただ来ていないだけだと気が付いて、地域の専門職と連携してちょっと見に行ってもらう、というようなことを始めた医療機関もあります。お医者さんが直接、自宅に来たりすると、患者もやはり怖いので、訪問看護さんなどが見に行ってくれると、ただ単に酒の量が増えて医者に行っていないだけだと分かります。そういう人を、コミュニケーションの上手な訪問看護さんが栄養ドリンクで釣ったりして、通いの場に誘ったりできると、地域の健康度はすごく上がると思うのです。
 3.ですが、ここからはお医者さんだけではなく薬剤師の先生方にも申し上げたいのですが、「郵便番号の近い薬局、診療所、地域包括支援センター、訪問看護ステーションと懇意ですか?」と、今申し上げたように、電話1本掛けて、ちょっと見てきてほしいという話ができるようになっているのでしょうか。なぜ「郵便番号が近いところ」と申し上げるかというと、多分そのうち郵便番号によって地域の健康度が見えるようになると思うのです。地域によって健康度の違いがあるに決まっているので、すごく健康な地域と、どうもそうではない地域があって、そうではない地域に集中的に医療資源を投下していくような時代が、きっと10年ぐらいのうちに来るのではないかなと思っています。そのときにワークするのは、こういう連携の体制だと思うのです。
 4.です。在宅医療介護連携拠点です。最近は市に1つ、在宅医療介護連携拠点があるはずなのですが、例えばこういうところと連携して、ちょっと雰囲気を見にいく、それから栄養ケアステーションなどで、フレイル対策をしてもらうというようなことができるといいなと思っています。お互いにうちの隣の薬局の薬剤師さんは、何かそういう感じではない、あのお医者さんは近いけれども、どうも敷居が高くてということはあるかと思うのですが、そこはお互い私が教えてあげる、指導してあげるぐらいの気持ちでもいいので、お互いに仲よく高みを目指してやっていただくと住民は幸せかなと思います。
 血糖測定器の写真1枚とOTC薬のイラスト1枚を付けましたが、こういったものを置く薬局が、OTCのほうはもちろん持っていらっしゃると思いますが、この検討会を御覧になっていらっしゃる方で、うちの薬局には医療用医薬品しかありませんという所は、よもやないと思いますが、こういうものはツールだと思うのです。薬局が医療機関に行かない人とコミュニケーションをしたり、行ったほうがいいですよと言ったりするためのツールだと思うので、患者と薬剤師の間でコミュニケーションを取る関係性が機能する前提で、こういうものが使える、連携がある、つなげるという環境を作ってほしいなと思います。
 薬局には、これからは訪問薬剤指導をしていただくのが必須だと私は思います。訪問診療をされるお医者さんは一般に内科や整形のお医者さんが比較的多いですが、皮膚に疾患がある、目やにが出るなどすると、患者のQOL低下に直結します。そういうときに薬剤師が、「先生、いいOTCが出たのですよ」と言えて、ちょっと使ってみたら治らないので、では「私、あそこの皮膚科の先生を知っていますから、ちょっと声を掛かけてみますよ。ひょっとしたら来てくれるかもしれないし」と、薬剤師が橋渡しできる関係ができるといいなと思います。
 これから高齢の単身者が増えることは確実ですので、どうかその方たちが何となく医者に行かなくなって、何となく健康状態が悪くなって、誰も知らずに亡くなるということがないようにしていただきたいと思います。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、御質問、御意見等は最後にさせていただき、続いて宗林委員からお願いいたします。

○宗林委員
 宗林です。本日、私からはセルフメディケーションにおけるOTCの位置づけということと、スイッチ化における利点と課題ということでお話をしたいと思います。
セルフメディケーションの推進ということで、WHOではセルフメディケーションを「自分自身の健康に責任を持ち軽度な身体不調は自分で手当てする」と定義されています。これは自分の食生活、あるいは運動などもありますし、それから機能性をうたった食品をどう取り入れていくかということもあります。自分で選ぶということの中では、OTCが私たちの強力な武器になってくるということです。最近の状況を見ますと、消費者から見ると食品の機能性表示は大変広範囲に及んでいます。後で御紹介しますが、OTCにはそのほとんどがないというような状態です。処方箋薬との間ではありますが、OTCが非常にある意味範囲としてはへこんでいるかなという感じがしています。
 健康食品に頼り期待した症状の緩和ができなかったり、疾病の治療開始が遅れる、あるいは治療の中断をするというようなこともあります。それは好ましいことではないということと、もう1点、薬機法の中の食薬区分があります。食品と医薬品を分けることですが、医薬品的効能効果を標ぼうしなければ医薬品として判断しない成分本質が非常にたくさんあります。例えば、センナや高麗人参、アロエなど、そういったものは全てそういったところに入ってくるわけですが、医薬品食品どちらでも扱えるものは、原料・成分管理がされているOTCということで、しっかり消費者に提供がされることがベターではないかと思っています。
 次のページです。これは食品の話を少し御説明したいと思います。食品の中で今、機能性をうたえるものは、保健機能食品という形で束ねられています。実際には3種類ありますが、本日は2種類を紹介したいと思います。生活習慣病プラス、今、認知機能等までということです。左側の箱ですが、皆さんよく御存じのトクホ、特定保健用食品です。1990年から制度が始まりまして、累積で1,070アイテムぐらいがトクホを取っていますが、実際には商品の入れ替りなどがあり、市場には400未満のアイテムしかありません。これは第三者による安全性、有効性の評価が行われているということです。後に出すものとは大きく違う審査の体制を取っています。
 こちらの中にも、血糖値に関しても食後の血糖値が気になる方に適しています、血圧が高めの方に適しています、コレステロールや血中中性脂肪というようなことで生活習慣病の気になる方に、本来は健常者が使うものという定義がされていますが、この食後の血糖値の「食後」がなく、血糖値が気になる方に適していますというような表示があって、今、問題になっているところではありますが、そういったものがあります。
 そして、右側の箱を見ていただきますと、機能性表示食品というものが2015年から制度が開始しています。これは内閣府の規制改革会議から、このようにするようにという指示を受けまして、事業者の責任において、こういう表示をしたいなら安全性、有効性のデータを付けて届出を出すということです。左右どちらとも表示に関するものですので、所管は消費者庁ということになります。そして、機能性表示食品は今現在3,000ぐらいのアイテムの届出がされて、データベースに載っているという状態です。機能性表示食品も血糖値、血圧、HDLコレステロールを増やす働きが報告されているなど、そのようなものが書いてあるというようなこととともに、下の段ですが、目のピント調節機能や認知機能の一部である記憶などの精度を高めることが報告されていますというようなことで、これはイチョウ葉エキスに対してこういうものが付けられている場合が多いのですが、イチョウ葉エキスはヨーロッパ、ドイツなどでは医薬品として流通しているものですが、日本ではこういう形で食品として流通しています。あとは睡眠です。睡眠の質、熟眠感、熟睡できたかどうかの改善などというものがあります。つい最近になってから、自己免疫の維持というような表示もできるようになりました。この内容の機能性成分は、プラズマ乳酸菌です。1日当たり1,000億個を取るというものですが、ある社からたくさんのアイテムが出ています。こういった状態で機能性表示食品が、今現在動いています。
これ以外にいわゆる健康食品というような管理されていないものの中には、先ほどの副作用の中では薬物性肝障害がぽちぽち出てきているような状態です。
 次のページを御覧ください。これはEPAについて、お話をしたいと思います。オメガ3のEPAですが、かつて医薬品のエパデールをスイッチ化したときに大変な議論になったものだと記憶しています。こんなに危ないものを消費者の自己判断によって、選択できるようになるのはとんでもないことだ、危ないというようなお話が随分ありましたが、そのとき既に健康食品の中では、10年も20年も前からこのEPA、DHAというような形で量も管理されないまま多量に入っているものが流通していたという実態があったのですが、それでもスイッチ化するときにはそういう議論がありました。
 今、機能性表示食品の中で見てみますと、エパデールは1日600を3回で1,800mgを飲むということですが、機能性表示食品は一番多いもので赤のアンダーラインを付けていますが、これ1本のソーセージでというものが、780mgのEPAが取れるものがあります。ただ、これを2本食べてしまうと1,500ぐらい取れるというということで、極めてエパデールに近い量が取れるというものも機能性表示食品としては出ているということです。そういうような実態ですので、エパデールをスイッチ化したときの議論もありましたが、食品との関係もこのような状態であるということをお示ししています。
 なお、追加でお話しますと食品の場合は、どの量が入っていても血中の中性脂肪を低下する機能が報告されていますというような、EPAに対して同様の機能性がうたわれて、パッケージに表示がありますので非常に紛らわしいと思います。本当にこれはどのぐらい飲めばいいのかという辺りが、まだ定まっていないというところで健常者にとってのこれからの課題だと思っています。
 次のページです。スイッチ化が可能なものについての試案ということで、「試」という字を使いましたが、「私」という私案でも結構です。1つ目は、ある程度の長期間ある程度定期的に通院してきた疾病で、同じ症状が出た場合に処方される薬はOTCで対応してみてもよいのではないか。これはOTC協会のほうでもありましたが、やはり再発性や自分の持病という感じで通院していらっしゃるものを対象にしています。ですから、再発の口唇ヘルペスの薬はもう市場にありますし、それからこの検討会でもマルにしたIBSの薬などもこれに該当してくると思いますが、これから先もそのようなものは1つOTC化を検討するものになるのではないかなと思っています。
 2番目、安全性に大きな問題がないものは、薬剤師との関与を強化しOTC化してもよいのではないかということです。これは私が念頭に置いているのは、PPIです。PPIの議論をしたときに、ヒアリングで消化器内科の先生をお呼びしたときには、それほどリスクが大きいものではないというようなお話を受けたと思いますが、その後の議論の中ではOTC化したときにガスターがあるのにPPIまで必要なのか、ガスターがあればいいのではないかという議論や、あるいは薬剤師さんはガスターとPPIのどちらを選択して、患者様に勧めるのかが分からないのではないかという議論などもあり、PPIはバツになりました。でも、こういったところは薬剤師さんがそれなりの研修を受けたところや、拠点化をしてやっていけるのではないかと思っています。
 それから3番目です。これがちょっと新しいのですが、医師が診断し、薬の選択したものを一定期間OTCでまかなうというものです。例えば、血圧の薬などを念頭に置いています。血圧の薬は1回診断をして、薬の選択をします。例えばあなたは、ARBの10mgを飲んでみましょう。1か月後、2か月後の経過をみます、落ち着きましたね、これをずっと飲んでいきましょうねとなったら、毎月や2か月おきに通院をしなくても、半年間ぐらいの期間はその医師から半年間はOTCでもいいのではという、新しい仕組みですが、そういう証明を頂いて、落ち着いたものを定期的にもらうような薬については、OTC化が考えられるのではないかと思っています。ただし、ここは今オンライン診療というようなことも議論になっていますので、こことの整理が必要かと思われます。この3つが私がOTC化できるのではないかと思うものです。
 そして、最後のページですが、スイッチ化の利点と課題です。利点に関しては、やはり医薬品を入手する時間の範囲が広がり、短時間ですむということです。これは逆に言いますと、先ほどの飲まなくてはいけない血圧の薬などは、ずっと血圧を低く維持していることがとても大事だと思いますが、薬がないがゆえに、病院に行く時間がないがゆえに、治療が中断されるということがないほうがいいという観点もあります。それから3番目に医薬品の費用が100%消費者の負担で、国の医療費軽減につながるということです。先ほど御質問もありましたが、これは今のOTCなのか、ある程度幅を広げたときにこの影響がどこまで広げられるのかというようなことで、考えたらいいのではないかと思います。
 それから課題ですが、スイッチ化しますと要指導薬から一定期間後に自動的にネット販売ができるように、1類、2類、3類となっていくわけですが、やはり切れ味のよい薬が濫用される恐れがあるかと思います。対面販売維持の仕組みを構築できないかと、これは中間取りまとめの中にも入っていますが、そういったことを課題とさせていただきます。
 最後ですが、薬剤師さんの位置づけということで、やはり薬剤師の関与、OTCを選択するに当たっての相談応需が非常に不足していると私は思っています。お洋服を買うときにサイズ大丈夫ですかと必ず聞かれますが、それさえも薬の販売のときにはないという状態であるかと思います。それからもう1つ、消費者から薬剤師さんに相談して、こういうものを見て切れ味のいいものを使って、有り難かった、症状を抑えられたなという実感、それから医師との連携強化、信頼の強化ということが受診勧奨のときの連携の仕方や、長期間のものであったら医師からスイッチ化をしたものでしばらく賄えばというようなやり取りも、これから深まっていくというようなことを期待をして、こういったものがあればいいかなと思いました。以上です。

○笠貫座長
 どうもありがとうございました。お願いいたします。

○長島委員
 長島です。では、資料2-3を御覧ください。1枚めくって、1ページ目「一般用医薬品の課題事例」です。上の3つは、これから詳しく説明します。一番下、表示、広告です。利用者が、その医薬品の有効性、安全性を正しく判断するのが大前提ですが、そのためには正しくて分かりやすい情報提供が必要です。それに反して企業なり販売店で行き過ぎた表示や広告がされている例も見られると。実際それに対して、事務連絡も出たことがあるということで、正しい情報提供、間違った判断を誘導するような表示、広告に対してはしっかり指導が重要だと考えました。
  2ページです。リスクとして一番重要なものが、副作用ですが、これは平成27年4月8日の消費者庁News Releaseから引きました。副作用のリスクがあるということで一般用薬品でも死亡に至る又は後遺症が残る副作用が起こる場合もあるというので、副作用の発見が遅くなるといけないから初期症状を十分に知って、すぐに医師、薬剤師に相談しましょうというようなことが書いてあります。
 3ページは、これもそこの中で引かれていたものです。これは平成21年から25年度の間に製造販売業者からPMDAに報告された副作用報告で、全部で1225例。そのうち死亡が15例、後遺症15例ということで、総合感冒薬や解熱鎮痛消炎剤で多いというのが、実際これだけ出ているということです。
 4ページは、事故情報データバンクに寄せられた副作用発生の情報です。やはり、これだけ報告があるということで、この市販薬といえども副作用のリスクが十分にあるということを、まず国民の方にも十分にリスクを認識していただく必要があると思います。だからこそ、しっかり安全性を検討する必要があるということです。
 5ページは、一度OTCを認められたロキソプロフェンナトリウムが、2010年に承認されましたが、その6年後に注意の改訂がされました。そこで小腸・大腸の狭窄・閉塞の重篤な症状が現われる場合があるということで、一度OTC化されても、やはりその後もしっかり安全性のチェックを行って、必要な対応を続ける、これも重要でこれも国民の安心につながることかと思います。一度やったら終わりでは、絶対いけないということです。
 6ページは、2019年度の厚労科研の特別研究事業で行われた「一般用薬品の適正使用の一層の推進に向けた依存性の実態把握と適切な販売のための研究」においては、この依存患者の一般用医薬品症例の対応として若年の男性、精神科的な問題を有するというような特徴がありました。その下の所で、これが大量・頻回購入に対する販売制限や、濫用が疑われるものに対する「声かけ」をしっかりしている薬局・ドラッグストアもありますが、その一方で濫用依存を後押しするような大量販売・不適切販売を続けている薬局・ドラッグストアが存在するという調査結果が出ております。
 7ページは、更に販売の取扱いに対する実態としては、頻回購入・複数購入が発生しているのは薬局・ドラッグストアが多かったという調査結果も出ております。また一方、厚労省の医薬・生活衛生局総務課による「医薬品販売制度実態把握調査」(令和元年度)によりますと、前回に比べて全体的に改善されたものの、第一類医薬品における「情報提供があった」や、「情報提供があった店舗のうち、文書を用いた情報があった」等の一部の項目の遵守率が低下している。あるいはインターネットの販売に関する調査でも前回に比べて全体的に改善はされたものの、やはり「相談に対応した者の資格が薬剤師であった」等の一部の項目では、店舗販売の方が遵守されている割合が高く、インターネット販売における販売ルールの徹底に課題があるということで、やはりまだまだ販売体制に関しても課題が多い結果が実際に出ています。
 最後8ページですが、このようなリスクがあることに加えて、日本においては国民皆保険とフリーアクセスということで、医療に対するアクセスが世界で最も優れている状況を考えますと、一般用医薬品のあるべき姿というのは、従来から申しておりますが比較的短期間。それから御自分で自覚症状によって使用・使用中止の判断をして安全に使用できるということです。
 先ほどセルフメディケーションというお言葉が出ましたが、人生100年時代に向けて、本来推進すべきはセルフケアというもので、これはもう厚労省の統一標語で言っているとおり、「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後に薬」ということで、全部を具体的にやる必要があってセルフメディケーションだけではないと。むしろ運動、食事、禁煙というほうが、もっと重要であろうと考えております。そして、適正使用も含めた安全確保ということで申しますと、先ほども御指摘がありましたが要指導、リスク区分の所で、一度なってしまった後のしっかりしたチェック体制がないということ。更に安全性で大きな問題がある場合は、OTCからもう一度戻す、いわゆるスイッチバックというようなものも当然国民の健康のためには考えるべきだと思います。それからリスクというのは、副作用だけではありません。早期発見、早期治療の遅れ。あるいは継続した診療を妨げることによって重症化予防、再発予防が遅れるというようなこと。こういうリスクも十分あるので、ここも、そういうリスクが起こり得るような病態や疾病に関しては、当然ここのリスクもむしろ大きな問題と考えるべきかと思いました。そういう、広い観点から考えていただきたいと思います。以上でございます。

○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、岩月委員からお願いいたします。

○岩月委員
 日本薬剤師会の岩月です。資料2-4を御覧ください。最初の2枚目は表紙と目次ですので飛ばします。3ページ目からです。先ほど宗林委員やOTC薬協さんの話からもありましたように、私どもとしては原則国民が必要とする医薬品については複数の医薬品アクセスを用意すべきではないかというのが私どもの主張です。具体的に申し上げますと、ここにも書きましたが、セルフメディケーションは国民が自身の健康寿命の延伸のために、主体的に自己の健康管理を行うものと認識しております。そのための環境整備は必要だと認識しております。
 医薬品へのアクセスというのは、当然医師の診断によるものと、利用者御自身の選択で購入できるものが現状でもあります。それぞれに意義があり、共存することが重要だと考えております。国民が主体的に自己の健康管理を行う際に、医薬品アクセスに選択肢がないものにつきましては、それは改善する必要があると考えております。例えて申し上げますと、今抗菌剤配合の点眼薬というのは、サルファ剤を配合したものしかOTC医薬品では認められておりません。そうすると、その抗菌目薬をものもらいなどで入手したい利用者さんがいらっしゃったときには、事実上選択肢がないことになります。それから非麻薬性の鎮咳剤につきましても、現状、先ほどからいろいろなところで出ております濫用の問題を含めますと、非麻薬性の鎮咳剤を現状ではOTC医薬品で選択するのは非常に選択肢が限られている。こういった場合に、医薬品のアクセスを阻害することのないように、相談を受けた場合には適切な指導の下で販売ができるということは、是非検討すべきだろうと考えております。
 現状、スイッチOTC化されている医薬品であっても、例えば消炎鎮痛外用貼付剤のように使用者の年齢やあるいは生活環境の違いによって使用する場面が異なる。具体的に申し上げますと、医療用医薬品の貼付剤の場合は主に高齢者が多く、いわゆる腰痛や慢性疾患の治療に使っているケースが多いというふうに調査でも分かっております。OTC医薬品の場合はテレビのCM等を見ていただいても分かりますように、若年者のスポーツによる使用が多いこともデータで伺っております。今言ったように、同じ成分でアクセスが1つしかないということではなく、使用者や使用目的が異なることにも注目をして、そういうものに関しましては総合的な視点で判断をして、スイッチ化を検討する必要があるだろうと考えております。
 当然、転用に当たりましては、今申し上げたような要点を踏まえた上で、長年、医療用医薬品としての使用実績があり、私ども薬剤師もその経験や知識があるものを基本とすべきだろうと考えております。いろいろ御指摘を頂いておるのは事実ですし、それを否定するつもりは全然ありませんが、少なくとも医療用医薬品の取扱いがあるものにつきましては、私どもも経験があるものでありますので、そういったものを基本に考えるべきだろうと考えております。
 続きまして、販売体制です。医薬品販売制度に則った対応で、安全を担保する。これはどういうことかと申しますと、一番最初に書きましたが現行の販売制度体制と言いますのは、医薬品の適正使用のために長い時間をかけて議論をしてきて、例えばチェックシートであるとか、患者さん向け情報提供文書、あるいは販売者向けの情報文書と、いろいろな議論を経て構成され、あるいはルール化されてきたものであります。リスクに応じた区分や専門家の関与した販売方法の仕組みは、これはこれで適切だと私どもは認識しております。その上で、医薬品販売制度実態把握調査では不十分なものがある。濫用を助長する医薬品のケースや、文書による同意など、一部そういった対応が不十分との指摘もあり、このことは私どもも真摯に受け止めなければならないと考えております。そういった指摘に対して、薬剤師が今の販売制度に則って、よりきめ細やかな対応をすることが重要であると考えており、私どもとしましては調査の結果を受けて、毎年の自己点検の実施を行っておりますし、そのための周知をすることもやっております。そうやって、販売体制をよりよくしていく努力は、御指摘を踏まえた上で実施していかなければならないと考えております。
 最後に、「今後の取り組みについて」ということでまとめさせていただきました。OTC医薬品の薬学的管理の充実・医師との連携ということで、このことも各委員の先生方からも御指摘を頂いております。私どもの自己点検によりますと、きちんと説明して販売しているという回答が多いですが、いわゆる実態調査によりますと、そうではないという結果が出ていることで、そこに大きな乖離が存在すると考えております。調査がいい加減だということは全く申し上げるつもりはありませんが、私どもとしましては具体的にどこが悪いのか御指摘いただき、そうしないと改善の糸口が見当たらない。日本薬剤師会から、全国にある60,000の薬局に調査をしても、なかなか調査結果との乖離が解決しにくいと考えておりますので、ここにも書きましたように今後は、この範囲を都道府県薬剤師会の範囲に落して、それぞれの薬務担当課と相談の上、具体的な改善策を図ることを今、検討しております。今後、そのことをすぐにでも実施しようと考えております。
 それから、医薬品の適正使用に資する、よりよい提供体制を構築する上で、私は申し上げておりますが、医療用医薬品での取扱いがあるものについては、もちろん研修を否定するものではありませんが、既に経験のあるものということで同じような取扱い、患者さんから情報収集をして、患者さんに情報提供をお返しする。この仕組みは、販売制度が変わっただけであり、医薬品としてのものはスイッチ化した場合は同じですので。ですから、同じようなことをさせていただくことは、ここでお約束をさせていただければと思います。
 先ほどから、情報提供でいろいろな齟齬があるというお話もありましたが、例えば若い方は最初に専門家に相談する前に、インターネットで意見を求める傾向が多分現状強いと思うんですね。そうすると、専門家の所へ出かけて行って相談するより前に、ネットの意見で自己判断をしてしまう。このことについて、どうやって我々は対処すべきか。あるいは先ほど御指摘があったように、独居の高齢者については、どのような対応ができるのか。具体的に考えていきますと、恐らく販売管理の徹底だろうと。どの人が、いつ何を買われたのかという記録を残していく。なかなか一般の医薬品を販売したときに、いちいち購入者の記録を取るのはかなりハードルが高いように思いますが、例えば現状ドラッグストアなどでは、ポイントカードの発行によって誰がいつ何を買ったかが記録として全部残るようにしております。
 私どもとしては、そういう施設がない薬局に関しましては、やはり患者さんとのかかりつけで信頼関係を構築した上で、そういった購入者の履歴を把握することも考えていきたいと思っております。OTC医薬品につきましても、薬剤師によるかかりつけ機能を発揮して、お薬手帳や、あるいは薬剤服用歴管理記録を活用して医療用医薬品とOTC医薬品の情報を一元的管理した上で、前回も御指摘がありましたように医師との連携を図ることが重要だと考えております。使用者がスイッチOTC医薬品を安全に使用できる環境は、今申し上げましたネット対策や独居の高齢者対策も含めて、そういった対応を取るように心掛けていくということで、スイッチOTC医薬品の促進を図っていただきたいと思います。以上でございます。ありがとうございました。

○笠貫座長
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの4人の委員の方々からの御発表に対して御質問、あるいは御意見がありましたらお伺いしたいと思います。

○長島委員
 佐藤委員の御発表で、実はこれは正に地域包括ケアシステムで、今も対応していることかと思い、そこで当然薬局薬剤師の方は極めて重要な役割を果たしております。それから、患者さんに何か問題があればそれは、もうヘルパーさんも含めた各職種が行ったときにこういう問題があるというのをみんなで情報を共有して、相談してどういう対応をしようかということを正にやっておりますし、今大分ICTも普及したので、ICTを使ったツールで写真等も簡単に共有できるので、正にこれをやっていると。それから、そういうところには当然有資格者だけではなく、地域の民生委員の方や町内会という方も是非加わっていただいているということで、そういう形で対応していくもので、OTCというところは余り大きな要素ではないのではないかと考えました。
次に宗林委員のところですが、高血圧のことで言うと、受診したときに血圧を測るというのは、診療のごくごく一部の話で、それではなくて全身状態を診たり、想定される様々な合併症なり、そこのところをよく診て、必要なら血液検査をしたりするような指導をすることが最も重要なことで、血圧を測るのはほんのごく一部に過ぎないということですので、そういうことで御理解いただければと思います。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。どうぞ。

○宗林委員
 今の長島委員の御指摘ですが、私は最初に血圧だけは測ってもらえばいいと言っているわけではなく、最初にきちんとその人の全身症状や診断、高血圧だけなのか、ほかのものから由来をしているのかも含めて診ていただければいいと思っています。
 ただ、そのときに最終的には血圧の薬で、どの薬、例えばカルシウム拮抗剤なのかARBなのか、薬の選択までして、症状が落ち着かれてある程度経過観察ができたものについては、それは後ずっと2か月に1遍とかという形で通院を繰り返すのではなく、一定期間空けられるようにするやり方もあるのではないかという御提案です。少しだけ補足しました。

○笠貫座長
 佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員
 ありがとうございます。地域包括ケア、正に地域包括ケアの話で皆さん一所懸命やっていらっしゃるけれども、やはりまだまだ足りない感じがしています。医者が嫌いな患者さんは、やはりいるんですよね。医者には行きたくない。絶対に行かない方は一定数いらっしゃって、こういう方たちに何ができるかを、優しい気持ちで考えていただけるとうれしいのが私の願いです。

○笠貫座長
 ありますか。

○長島委員
 今のお話で、そういう形で薬局薬剤師さんが最初の窓口になっていただけると、非常にすばらしいことかと思います。そこで、やはり医師の受診が重要だ、必要だと思えばそちらにつないでいただくというのは、やはり日頃からの関係がしっかりできていることが重要かと思います。
 それから、最初の血圧の件ですが、正に継続して診ていくときにこそ、様々な状況を把握してやらなければいけないことだと思っています。

○笠貫座長
 ほかには。どうぞ。

○湯浅委員
 OTC医薬品を積極的に利用されるのは、働き盛りの世代の方々になると思います。こういう世代の方には、医薬品のOTC化は非常に利便性が高いと思います。一方で、一定期間内服しても効果が得られない場合は、医療機関を受診するよう薬剤師の先生からの指導が必要になります。現段階で国民に対し、セルフメディケーションすなわち自助を推し進めるには、時期尚早と思います。セルフメディケーションを実現するためには、段階を踏むことが必要です。具体的には、国民に対する啓発・啓蒙と同時に、医師・薬剤師の相互理解と連携が必須条件であると思います。OTC化された後も、医師と薬剤師がしっかり関与し、佐藤委員が御発表されたように、病院にかかりたがらない方々の健康を守るために、それぞれの立場から、何ができるかをこの委員会のなかで考えていければと思います。

○笠貫座長
 御意見はございますか。

○小縣委員
 薬剤師が在宅訪問をする時代になってきて、医師や地域包括のケアマネさんだったり、保健師さんと連携をする機会は非常に増えています。よく連携の取れているいい制度や、いい見本をいろいろな所で取り入れ、自分たちなりに連携を取る努力をする必要があると思います。そして、高齢者のお宅に行くと、高齢者は余りOTCを使っていないかと言うととんでもない話で、配置薬いわゆる置き薬が無駄に山のように置いてあったり、勧められたらみんな買ってしまった例も全くないわけではありません。ですので、それぞれで条件は全く違いますので、私たちは一人一人の患者さんを見て、一人一人に合った対応をしていかなければいけないと思っています。
 OTC薬の販売の件ですが、個人的な話をして申し訳ありません。私のところは、個店です。新しいOTC薬が発売される情報は、何かの折に目に触れることもありますが、下手をすると一般消費者と同じようにテレビの広告で知ったりすることがあります。チェーンドラッグのようなところには大きな情報が流れていくかもしれませんが、小さな個店でも、そういう情報をきちんと流していただきたいです。以前は、MRさんのような一般薬の営業マンがいた会社も、人材の関係から、「すみません。もう今後は行くことができません。」となった会社が幾つかあります。やはり、薬剤師にその辺りの情報は頂きたいと思うので、各メーカーさん、製薬会社さんはできるだけの情報は個店の私たちにも流していただきたいと思っています。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。4人の先生方からの貴重な御意見を頂きました。その前に、OTC医薬品協会の方々からのお話も伺いました。前回は消費者の代表をされる方、あるいは薬局の代表の方、そして、有識者の方からのお話を聞きました。この評価会議としての3年余りの経験を踏まえて、各ステークホルダーの方々からの御意見がお聞きできたと思います。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。議題3.規制改革実施計画等を踏まえた評価検討会議の運営等について移りたいと思います。では、事務局からよろしくお願いいたします。

○事務局
 時間も押しておりますので簡単に御説明させていただきたいと思います。資料3を御覧ください。前回会議でも御報告させていただきました規制改革実施計画につきまして、そのうち評価検討会議の運営等に関する事項について対応案を示させていただきたいと思います。その1.規制改革実施計画への対応案として、3つの対応案を御用意しております。まず1つ目の枠ですが、評価検討会議では、課題、論点等を整理し、意見を提示するものであり、可否の決定を行わない。合意形成の在り方を見直し、意見集約が図れない場合には、意見を列挙して提示するという内容です。対応案としましては、その内容に沿った形でこの内容を開催要領に明記するということにしたいと考えております。
 2つ目の枠は、多様な主体からの意見が反映されるよう、消費者代表を追加するなどメンバー構成を見直すという内容です。対応案として、より多様な主体からの参加を求めることとして、消費者代表のほか、産業界や流通・販売の関係者等から、複数名の追加を行いたいと考えております。
 3つ目の枠が、製薬企業はこの評価検討会議に要望を出すことなく、承認申請を行うことも可能とするという内容です。対応案としては、選択肢の1つとして、直接承認申請を行うことを可能とするということですが、直接承認申請された場合でも、原則、この評価検討会議で議論を行うことを考えております。ただし、効能・効果などが既に承認されているものと類似のものであって、スイッチ化における論点・課題を改めて議論・整理する必要はないと考えられるようなものにつきましては除くこととしてはどうかと考えております。その取扱いの詳細については別途検討が必要と考えております。
 次に、その他の改善・変更事項についてです。まず1つ目は、ニーズ(必要性)の正確な把握のための方策ということで、1点目として、個別の成分の検討をする際に作成しています各成分情報の資料について、例えば、健康食品等の国内外での情報を追加するなど、資料の充実を図りたいと考えております。
 2点目、3点目は、希望に応じて要望者から意見を提出する。あるいは会議の場で説明をする機会を設けるといったような内容です。
 2つ目に進捗状況の管理です。過去に否と結論されたようなものについて、挙げられた課題の解決に向けた対応が進められている場合に、その状況について、定期的にこの評価検討会議に報告をするというものです。これらの改善・変更点のうち、適当なものについては、後ほど御議論いただく中間とりまとめの中の今後の検討会議の進め方に盛り込んではどうかと考えております。説明は以上です。

○笠貫座長 
 ただいまの御説明に、御質問、御意見はございますか。

○長島委員
 2番目の所で、多様な主体からということで、消費者代表とありますが、やはり消費者も多様性を持っていただく必要があるかと思いますので、一般の市民の方に加えて、例えば患者団体等からも出席いただくような多様性、消費者にも多様性があったほうがいいのではないかと思います。
 もう1点、この流通業者という所は、医療用医薬品の卸業者と一般用医薬品を扱う卸業者がおりますが、これは異なるという認識でしょうか。
 もう1点、3つ目の所で、対応案の2つ目の所が、「類似のものであり」という表現が、この「類似」というのが極めて重要で、この所はしっかり議論する必要があるかと思います。例えば薬事承認される場合には、効能・効果以外に、臨床試験に基づいて副作用の問題とか使用する上での注意、留意点というのをきちんと考えておりまして、そういうこともきちんと反映させないと、やはり安全性が担保できないだろうと思いますし、剤形というのも実際に利用する上では重要ですので、そういう点をここはしっかりと議論が必要ではないかと思います。以上です。
 
○笠貫座長 
 ほかには。

○事務局
 1点目の、メンバーの構成について消費者等も複数の委員のの追加を考えておりますので、頂いた御意見も踏まえて選考させていただきたいと思っております。
流通の関係につきましては、基本的には一般用のスイッチOTCが基本ですので、流通・販売に関してはそちらの一般用を主眼とした選考になるかとは考えておりますが、こちらも御意見を踏まえ、検討させていただきたいと思います。
 直接申請の類似の効能・効果の所につきまして、どういった形の範囲をこちらで議論いただくかは、改めて明確化する必要があるとは考えておりますけれども、おっしゃっていただいたような内容について、医薬品の承認審査の所でも最終的に御議論いただく内容ですので、改めてこちらのスイッチ検討会で可否と言いますか、スイッチOTC化に当たっての議論をいただく必要があるものかどうか、といったところで基準を考えていければと思っております。

○笠貫座長
 よろしいでしょうか。会議が2016年に設置されたときに、多様な主体からの意見を反映する仕組みを構築するということが、この会議の目的でした。そのため、ここでは各委員がスイッチ化の推進という目的に向かって、共通言語と共通認識を持って、情報を共有して、議論を重ね、合意形成の過程の中で課題を抽出してきました。それぞれのステークホルダーが多様な価値が存在するということを認め合いながら、信頼関係を醸成して進めてきたと認識しています。合意形成は、本来全員一致の同意を追求する過程であるとも思っています。その議論の結果として、全員の同意が得られれば、合意が達成されたことになると思います。そういう意味で、とりまとめの中で見ていただくと、企業から申請された8成分については、1つの成分だけが否が出ていますが、合意形成として一定の目的達成は得られたと思います。さらに、一般消費者、個人からの申請、要望された成分のうち2つの成分が可となっていることからも、ここでは各構成員間の多様な価値感を越えて、合意形成ができたと思っています。
 また、もっと多くの市民の多様な意見を反映するという意味では、パブリックコメントを行った後に再度会議で議論することによって成果をまとめてきており、私は当初の設置目的は、結果的にも、十分得られてきたと思っています。しかし、今後、ここでは可否を求めず決定は行わないとすると、この評価会議の意義は何になるのかということを次に考えなくてはいけないと思います。ここに書いてありますように、抽出された課題を論点整理し、更に解決策について検討するという課題抽出から課題解決の検討を深めることは、セルフメディケーション、あるいはセルフケアの推進のために、大きな役割を果たすことになるだろうという認識を持っています。そういう意味で、私は御説明になった対応については、この会議としてもよく理解できました。特に御意見がなければ、皆さんの気持ちを汲み取った形になったということだと思います。
 それでは続いて、中間とりまとめ、議題4.に入りたいと思います。よろしくお願いします。

○事務局
 資料4を御覧ください。前回の会議で中間とりまとめ構成案について、事務局から提案させていただき御議論いただきました。
中間とりまとめにつきましては、前回の構成案に基づき、今回骨子という形で作成をさせていただいております。まず、目次を御覧いただければと思います。大きく5項目に分けて記載しております。前回の構成案からは経緯・趣旨を項目として追加しております。1.の経緯・趣旨の項では検討会議の経緯及び設立趣旨等をまとめておりまして、2.の項ではこれまで議論いただいた内容を小項目ごとに整理して記載しております。3.~5.は構成案で中間とりまとめに含めることを御提案させていただいた内容になりまして、4.については、新たにスイッチOTC化が可能と考えられる医薬品の考え方について、記載することを提案させていただいております。これらの項目について本日議論していただければと考えております。
 項目ごとの内容を説明いたします。1ページは骨子として、各項目について濃淡がございますが、各項目は簡潔に記載しており、本日までの議論を踏まえ、今後記載を膨らませていく予定としているところです。まず、1ページ目の1.経緯・趣旨について、1つ目、2つ目の○で、会議の設立の経緯及び趣旨、3つ目の○で、これまでの会議での実績を記載しております。また4つ目の○以降で、中間とりまとめを行うに至った経緯及び趣旨を記載しております。
 次の2ページを御覧ください。2.これまでの検討実績及びスイッチOTC化に向けた課題・論点の整理の項目において、これまでの検討会議での検討実績を整理して記載しております。これまでの検討結果については、表1にまとめておりますが、有効成分ベースの数値に加え、これまでの議論ベースでの可否の集計を行っております。また、要望主体ごとに可否の状況も整理しております。
 続きまして、3ページを御覧ください。3つ目の○では、これまでの議論を踏まえ、挙げられた指摘事項等についての3点の整理方針、①薬剤の特性、②疾患の特性及び適正使用、③販売体制及び社会環境を示しております。これらの整理方針は以下、(1)(2)(3)で説明させていただきます。3ページの下、薬剤の特性については、薬剤の副作用や薬理作用の強さ等を踏まえ、一般用医薬品として適しているかについて議論されたものをとりまとめております。
 4ページの枠内に、具体的に会議で指摘をされました事例を挙げて課題点・論点を整理しております。頂いた指摘については、4ページ目に要指導・一般用医薬品の定議への該当性の判断基準の1つであるという形でまとめております。
 続きまして、(2)です。1)の所では要望の対象となる疾患についての指摘をとりまとめたものになります。頂いた指摘につきましては5ページの最後の○の所で、①消費者自身が症状を適切に判断することが困難であること。②原因疾患以外の疾患の症状をマスクする危険性があり、受診機会が遅れることの2点に集約しております。また6ページの冒頭で、場合によっては消費者自身による疾患の判断が困難であっても、再発例に限定することで、スイッチOTC化が可能となった事例もあることを記載しております。
 2)は、適正使用を担保するための効能・効果、用法・用量の適切な設定についての指摘を整理しております。加えて、7ページの3つ目の○は、長期間漫然と使用されないようにするための指摘について記載しています。
 3)は、適正使用を担保するためのセルフチェックシート、情報提供資材等に関する指摘を整理しております。それらの指摘を受けまして、8ページに、セルフチェックシートに求められる要件を整理しております。
 (3)は、薬局等における販売体制及びOTCをとりまく社会環境に関する議論をまとめております。1)に、薬局等における販売体制の課題点について整理しました。9ページに、薬剤師等の専門的知識、医薬品販売制度実態把握調査結果を踏まえた薬局における適正販売への懸念について課題として挙げております。2)は、薬事規制に関する指摘をとりまとめております。10ページの3)は、社会環境の整備の必要性に関する指摘について整理しております。
 11ページは(4)その他として、健康食品等との関係性に関する指摘をとりまとめております。ここまでがこれまでの議論を整理したものになります。
 続いて、3のスイッチOTC化により必要となる販売体制・社会環境等の整備及び各ステークホルダーの本来の役割、具体的な対応につきましては、前々回に、各ステークホルダーごとに整理するという方針を御提案いただき、前回会議の構成案にて、項目として含めることを提案させていただいたものです。各ステークホルダーの関係性・責任につきましては、スイッチOTC化されることにより、どのように変化するかを理解した上で整理することが重要と考えております。この点に関しては笠貫座長より資料も御用意いただいておりますので、後ほど御説明を頂ければと思います。
 12ページに中間とりまとめで整理した各課題について、各ステークホルダーの対応例をお示しいたしました。こちらに記載したものは、事務局で考えられる対応を、事前に頂いた御意見も踏まえ、例として記載したものですので、この内容が適切か、あるいは他にどのような対応が考えられるか等、御議論いただければと思っております。
規制当局における対応につきましては、13ページ冒頭ですが、各ステークホルダーの課題への対応に対して、それぞれについて役割があると考えておりますので、別途整理して記載をしております。こちらに記載している対応例は、これまでの会議で御指摘頂いた点を記載しておりますけれども、こちらも追加・修正等の御意見を頂ければと思います。
 4.として、スイッチOTC化が可能と考える医薬品の考え方をとりまとめられないかということで、その項目を設定しております。(1)はこれまでの議論を踏まえ、スイッチOTCの満たすべき要件として●で3点挙げております。(2)では、それらの要件を踏まえ、スイッチOTC化が可能と考えられるものについて、幅広に御意見を頂ければと思っております。ここではスイッチOTC化が可能と考える医薬品にとどまらず、セルフチェックシートの必要性や要件、適用可能な薬効群などが示せるかも含めまして、今先ほどOTC薬協、あるいは宗林先生から御意見を頂きましたOTCの具体的な領域、範囲の考え方について示していければと考えております。
 5.はこれまでの議論を踏まえ、今後の本会議での進め方について記載することを考えております。先ほどの議題3.において御説明しました内容のうち、適当なものをこちらに盛り込むこととしたいと考えておりますが、それらも踏まえ今後の会議の在り方について、中間とりまとめに記載するべきことがあれば御意見を頂ければと思っております。より幅広いステークホルダーから意見を反映でき、これまでの議論を踏まえて課題抽出型から課題解決型と、先ほど座長からも頂きましたけれども、そういった会議として運営できたらと考えております。説明は以上です

○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、中間取りまとめについて議論する前に、お手元にあります図を基にして、各ステークホルダーの役割と関係性について説明させていただき、中間取りまとめの整理に役立てていただけたらと思います。医療用医薬品は、医師の処方責任を基盤として、医薬品にかかわる役割と関係性が明確化されると思います。OTC医薬品における各ステークホルダーの役割は医療用医薬品とどこか違ってくるか。医薬品に関する流れはオレンジ色、情報に関する流れが緑色、副作用の報告については赤色、連携については青色で示しています。これについて医師と薬剤師、そして消費者と企業というステークホルダーの間で、どういう役割と責任を持つかということです。中間取りまとめでも、それぞれの役割について議論されてくるだろうと思います。
 疾患の特性、薬剤の特性については、診断・治療を行う医師の専門的知識を基にして議論が展開されてきたと思います。今、薬局ビジョンあるいは改正薬機法等で薬剤師の役割が非常に大きくなってきていますが、適正販売責任と服薬指導責任とはどういうものなのか具体化しなければなりません。例えば薬剤師の服薬指導による生活者のインフォームドチョイスと書きましたが、医療用医薬品のときには医師の処方責任と患者のインフォームドコンセントの話になります。この薬剤師の服薬指導の内容は非常に大きな意味を持ちますし、医師への受診勧奨の問題などたくさんの問題が議論されてきました。特にここで深堀りしたのはセルフチェックシートの話でした。また、販売の実態調査の話も含めて、薬剤師がどういう役割を実際に果たしているのかについて議論されました。薬剤師と医師との連携と信頼関係はどう構築できているのか、薬剤師と消費者の間の信頼関係がどう構築されているのか、消費者は自己責任として薬剤に対するリテラシーをどのように持つべきなのかについても議論されてきたと思っています。
 また、OTC医薬品協会としての役割をどのように捉えていくのか、先ほど情報提供や教育啓発等の話も出たと思います。ステークホルダーが、それぞれOTC化推進において、どんな役割を持つべきか、あるいは、ほかのステークホルダー側から見たら、どんな要求がされているかについても整理されてくるだろうと思っています。
 医薬品の副作用による健康被害は重大な問題です。医療用医薬品をOTC化するためには、いかにリスクを低減化するかについて、すべてのステークホルダーがそれぞれの役割を果たしていくことが求められます。
 特に、先ほど岩月委員からもお話が出ましたが、その実態調査とアンケート調査との乖離をどのように解決するかという具体的な策を、これから薬剤師の方、薬局の方だけではなくて、みんなで考えていくということが必要だろうと思っています。今、薬剤師は医師と同じぐらいの人数になろうとしていますし、6年制教育の薬剤師にどう期待するかも、この評価会議で議論されるかもしれません。この役割と関係性についても御異論があるかもしれませんが、今日の会議の議論をする上で参考にしていただければと思います。
 事務局で中間取りまとめとして整理していただきました。これからどのように進めるかということについて、御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

○長島委員
 時間もないので、大きな点だけここでは述べて、細かい点は後で事務局にお伝えします。まず、1.の経緯、趣旨の所ですが、参考資料5の所で、1983年以降、87成分が全部書いてあるので、この2013年以前にもスイッチOTC化という取組はされていますから、そこは少しまとめて、最初に説明されたほうがいいのではないかと思います。それから、12ページの販売体制の改善、薬剤師・登録販売者というところでは、開設者と管理薬剤師の役割の関係についても整理が必要ではないかと思います。それから、同じく適正使用の確保の国民という所で、国民の役割として、薬機法で適正に使用するとともに、有効性・安全性に関する知識の理解を深めるよう努めるということで、やはり知識、情報を国民も自らきちんと努めるようにする。濫用等、不適切な目的には使わないということも国民の責務かと思います。
 13ページの4のスイッチOTC化が可能と考えられる医薬品の考え方は大前提として、やはり薬機法の精神である医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保、さらに保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止に必要な規制を行うという精神に基づいて、要指導・一般用医薬品となっても、国民の安全が各人に確保されるという大前提というのを、まず書かれるべきではないかと思います。
 それから、2つ目の●の所で、「消費者自身の判断で適正に」の後、短期間ということが重要だと思います。それから、症状の原疾患以外での症状をマスクする危険性もありますから、これはごく一部なので、それを含めて医療機関への受診が遅れることによって、生じるリスクというように、全体が含まれるような書き方をすべきだと思います。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。ほかにありますか。

○佐藤委員
 2つだけ申し上げます。9ページの2)の1つ目の○で、「要指導医薬品として3年間対面販売されるが、その後は対面販売を維持できる制度となっていない」の所ですが、対面販売を維持できるかどうかというのは非常にここでも重要な点であって、その仕組みさえあればOTCにしてもいい、というような薬が、一般用医薬品にならなかったというのがあります。対面販売を維持できる制度というのはどのようなものかというときに、要指導医薬品に据え置くことができるのかどうか、だけではなくて、例えば、緊急避妊薬のオンラインは薬局が絞られる形で可能になっていますが、薬局を絞ることが可能なのか、それから、インターネットのほうに、対面販売の機能を持たせることができるのかどうか、という観点からも考えていただけると有り難いと思います。
 もう1つは、12ページの販売体制の改善で、薬局開設者・店舗販売業者の所ですが、販売履歴の管理とありますけれども、ここに一般用医薬品と医療用医薬品の両方だということを明示していただけるとうれしいです。そこを右へずっといくと、医師の所に、IT等を介した検査情報の共有というのがあって、これはすばらしいと思います。医療用医薬品と一般用医薬品のいずれも、何を飲んでいるかということがアプリとかで確認できて、検査情報とともに、医療機関と共有できるようになるといいと思っています。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。皆さんから御意見をお聞きしたいと思います。

○岩月委員
 医療用医薬品か、OTC医薬品かという二律背反ではなくて、恐らく消費者というのはお医者さんに掛かっていたとしても、自分で納得いかないとOTC医薬品を購入したりするというケースもあると思います。したがって、先ほどから話題になっている、どうやって我々はその医師との連携を取るか、お医者さんは、やはり御自身の治療に全責任を持ちたいと思っておられて、自分の知らない所でOTC医薬品を購入されて、それでどうするのだということは、多分、お考えになっている方もいらっしゃると思います。先ほどインターネットの話もありましたけれども、お医者さん側の顔が見えている、あるいは薬剤師の顔が見えているという環境でないと、恐らくこの連携というのは取りにくいのではないかと思いますので、そういったことを十分に踏まえた上で、今後の議論をしていただけると大変助かると思います。以上です。

○笠貫座長
 御意見を頂きたいのですが、どうでしょうか。

○宇佐美委員
 歯科医師会の宇佐美です。笠貫座長、お疲れさまでございました。主体を持った多様性という中で、これをまとめていくというのは、今後も論議が大変難しいのだと思いますが、やはり最終的に湯浅委員がおっしゃったように、医師並びに薬剤師の連携というところに最終的にはいくのかなという気はいたします。ただ、いろいろな主体を持った多様性の意見を取り入れてやるということは大事なことだと思いますので、立場、立場での御要望があるでしょうが、それをいろいろな意見を条件として捉えながら合意していくという方向にいくのかなという気がいたします。よろしくお願いいたします。

○笠貫座長
 ありがとうございます。

○五十嵐委員
 一言申し上げます。12ページの販売体制の所での情報の共有ですが、特に検査とかも書いてありますけれども、ただ、ここでこの裏を見ると、やはりプライバシー、個人情報をいかに扱うか、ここもものすごく難しくて、こちらがよかれと思って提供したことが、後で何か患者さんにとって不利益と本人は思われて、いろいろ訴えられるではないですけれども、そういうことが起きる可能性も、このところのプライバシーというか、個人情報の管理をきちんとして、国とか、そちらのお墨付きの下で情報ができるような仕組みをちゃんと確立していただければと思います。

○笠貫座長
 どうぞ、上村委員。

○上村委員
 私は以前からお話しているように、先ほど座長がおっしゃったように、この会議はOTC化を推進するための会議だと思って私は参加したのですが、どうも、ちょっと違うのではないかと。だから、やはりOTC化を推進するためには、ほとんどいろいろな方からの要望で上がってきている薬剤ですから、まずはそれで承認できる方向、承認できないのであれば、その条件、クリアできるような規制を立てていくといった方向をどこかに盛り込んだらいいのではないかと思いました。入っていますかね。
 もう1つは、これは別件で要望ですけれども、2016年からこの会議は発足というか、それまでの承認されているのとすごく違うのですね。それまでに、先ほど長島先生がおっしゃったような、NSAIDの問題というのは、PPIなどよりもNSAIDのほうがずっとリスクが高いわけですよ、それが以前は承認されているということで、以前に承認されているものの有害事象が、どれだけ出ているのかということがどういうルートで調べられるのか。そういったOTC協会も、これは責任があると思います。どのような企業とOTC協会若しくは厚労省、こういったものでどのように出していけるかというのを教えていただいて、数字が出なければ困るので、よろしくお願いいたします。

○笠貫座長
 この会議がスイッチ化の推進には向かっていないというお話でしたが、ここではスイッチ化を推進するためにボトルネックを抽出して、合意形成を目指してきましたが、企業申請の8成分のうち7成分で可とされたという結果でした。更に次のステップでは可否ではなくて、課題抽出型から課題解決型へ転換し、前向きに進んでいけるのではないかと思っています。皆さんから御意見をお聞きしたいので、お願いします。

○小縣委員
 それぞれに役割があるのですが、そのそれぞれの役割が連携を取れていかないと何もならないですし、確かにこの成分で話をしていくところではありますが、結局のところ、真ん中にいる、中央にいるのは患者さんであり、国民ですので、それぞれの状況というのを全部網羅するのは難しいですが、できる限り、そのための我々は別々の職種があるのだと思いますので、しっかり自分たちの職種を出した上で、連携して良い方向にもっていけたらと思っています。ありがとうございます。

○笠貫座長 
 お願いします。

○近藤委員
 近藤です。資料3が、多分、中間取りまとめに入るだろうという前提だと思いますが、先ほど長島先生も言われましたけれども、この3つ目の四角と、その対応案の2という所が、多分、この中で最も重要な項目かなと思っておりまして、恐らくこれを文字どおり解釈すると、これまでここで議論してきたようなお薬のかなりが、もう、俎上に上らないということになるのではないかと思います。例えば、鼻炎のお薬というのは、ほぼ効能がみんな同じですので、ですから、どういうお薬が今後この会議の俎上に載って、どういうお薬が載らないのかというところが、明確になっていたほうがいいのではないかなと思いました。

○笠貫座長
 宗林委員はどうですか。

○宗林委員 
 最後の4番目のスイッチOTCが可能と考えられる医薬品の考え方の中の(1)の所ですが、基本的な要件ということで整理されているものは、これまでの要件から一歩も出ていないかなという感じがいたします。ですから、多少の課題を、例えば医師と薬剤師の連携をすることによってとか、この中に「自己判断、消費者の症状を自分で判断することは可能であり」という、患者さん自身のことしか書いてありませんが、薬剤師の力を借りながら、少し課題を解決できるものであるとか、一歩ずつ前へ進めるような項目を、やはり取り入れていくべきではないかと思っております。以上です。

○笠貫座長
 お願いします。

○高野委員
 各ステークホルダーの各課題の対応ということで解決策が書かれていて、非常に興味深く拝見したのですけれども、ここの議論の主体となっている医師と薬剤師の連携という部分で、もしかしたら課題という解決策の部分で、薬剤師にしろ、医師にしろ、もう少し解決策が踏み込んでもいいのかなというところが気になりました。というのは、医師の解決策のところに、IT(アプリ)を介した検査の情報の共有と、OTC医薬品の服薬を含めた、生活全般の助言、これは確かに分かりやすいのですが、実は今まで連携ができていなかったというところはどこなのかというところを、もしかしたら踏み込んでもいいのかなと思いました。
 もう一点は、OTCは似たような製品名がたくさんありまして、医療側からしても、正確な製品の聞き取りだとかそういったものは非常に難しいのです。ですので、これは製薬メーカーのほうに期待したいところですが、例えばバーコードを読み込んだりすると、その薬のしおりのようなものが出てきたりとか、医薬品を特定するときに分かりやすいような工夫、これは努力されていると思いますけれども、そういったことがあったほうが、より市販薬が流通したときに、いろいろな面で便利になってくるのかなと思いますので、私個人的にはそう思っております。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。まだ御意見を言っておられなかった方はどうぞ。

○矢口委員
 今日の会議は大変勉強になりました。ありがとうございます。これからもこの会議は座長を中心に、今までと同様に出た要望を全てに関して我々が目を通すという、そういうやり方を、私はこれからもやっていきたいと思います。
 それと、薬局と医師との連絡ということですが、以前、何度か出てきましたけれども、今日もチラッと出ましたが、お薬手帳にOTC医薬品を買った場合もそれに貼り付けておくとか、今のお薬手帳のイメージは、私も先ほど見てみたのですが、いろいろと副作用は何かということを書く欄もあるのですね、実を言うと。ですから、今のものをもう少し公にというか、どんどんPRをして、例えば事故を起こして倒れたときに、お薬手帳があると非常に、もしかするといいのではないかなとか、そこまで考えます。ですから、常に携帯するというか、それにはスマホとか、iPadとかといったものが関係するのかもしれませんが、そのために連絡帳として、病院と薬局の連絡帳として使えたらいいのかなというのが、今日の一番の考えたことです。以上です。

○笠貫座長
 ありがとうございます。

○部坂委員  
 私は耳鼻科ですけれども、前回欠席してしまったので、今回の流れを見ていて、非常に一気に進んできたなという感触を感じておりました。1つだけ基本的なことでお教えいただきたいのは、私は耳鼻咽喉科で、アレグラというのが2000年ぐらいにOTCになっているのですが、私は耳鼻咽喉科学会のほうにいまして、何でアレグラが一気にOTCになったのか知らなかったので、事務のほうから後でよろしいので、お教えいただければと思います。以上です。

○萩原委員
 全て述べていただきましたので、追加はありません。

○笠貫座長
 ありがとうございます。次回、次々回の取りまとめを充実させるために、皆様の御意見をお聞かせいただきました。それでは、これで今日の議題は以上ですので、事務局から何かありましたら、よろしくお願いします。

○事務局
 本日も長時間にわたりまして、御議論いただきまして誠にありがとうございました。本日の御議論では、議論しきれなかったことも多分にあろうかと思いますので、追って事務局まで御意見をメール等で頂ければ、次回の資料に反映させていただきたいと考えております。
 次回の検討会議は12月2日、開催時間は13時半からを予定しております。開催形式については、決定次第また御連絡をさせていただきたいと思います。なお、これまでの中間取りまとめに関するスケジュールの御説明、前回会議での御説明におきましては、次回13回会議で中間取りまとめの最終化を行いたい旨を御説明させていただいていたところですが、年内に取りまとめを行うという予定は今のところ変わりませんが、開催をもう1回追加させていただくということで、年内にあと2回開催させていただきたいと考えております。年末のお忙しいところ、大変恐縮ではございますが、御協力をお願いいたします。次回は、本日の議論を踏まえた中間取りまとめの内容に関する議論を予定しております。御多用のところ、恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

○笠貫座長
 今日の議論で十分できなかったところは、事務局のほうに御意見を是非お寄せいただきたいと思います。特に各ステークホルダーの各課題への対応については、事務局として、たたき台として作っていただいていますので、いろいろな御意見を挙げていただけたらと思います。また医師と薬剤師の連携におけるボトルネックも含めて、御意見を頂けたらと思います。最後に、座長の不手際で時間が超過しましたこと心からお詫びいたします。
 これで、第12回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を終了させていただきます。御協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
03-5253-1111(内線 2737、4225)
 

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