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2018年2月1日 第53回 厚生科学審議会 疾病対策部会 難病対策委員会(第27回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会【合同開催】) 議事録

○日時

平成30年2月1日(木)13:30~15:00


○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンターホール14A


○議事

 

○田中難病対策課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから、第53回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会・第27回社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会の合同委員会を開会いたします。委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。また、直前になり開催時間の変更がありました点を、この場を借りてお詫び申し上げます。

 本日は、難病対策委員会と小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会の両委員長の御了解の下、難病対策委員会と小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会を合同開催し、データベースの利活用の在り方について御議論いただきたいと思っております。開催に際して、福田健康局長より御挨拶申し上げます。

○福田健康局長 健康局長の福田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。委員の先生方におかれましては、本日は大変お忙しいところ、また、足元もお悪い中御参集いただき誠にありがとうございます。日頃より難病対策及び小児慢性特定疾病対策を始めとして、健康行政全般にわたり御支援、御指導を賜っていることを、この場を借りまして、まず厚く御礼申し上げたいと思います。

 先ほどお話がありましたが、難病対策委員会と小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会においては、各委員会の領域を超えた横断的な検討が必要なテーマについて、両委員会を合同開催して御議論いただいているところです。本日は、指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの利活用の在り方について、両委員会を合同開催し、各専門の見地から御議論いただきたいと思っております。

 御承知のとおり、難病医療費助成制度と小児慢性特定疾病医療費助成制度は、難病に関する調査研究の推進に資することを目的としたものです。そのような調査研究に有効活用できるデータベースを構築するということは、疾病の克服を目指す難病対策において極めて重要であると考えております。委員の皆様方におかれましては、限られた時間ではございますが、これまで同様に精力的な御議論を頂きますようお願い申し上げまして、冒頭に当たっての挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○田中難病対策課長補佐 本日の委員の出欠状況です。大澤委員、小幡委員、本田麻由美委員、村田委員、岡委員、笹井委員から欠席の御連絡を頂いております。また、本日は参考人として、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の秋丸裕司先生、国立研究開発法人国立成育医療研究センターの掛江直子先生、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の古澤嘉彦先生に御出席いただいております。

 カメラの撮影は、ここまでとさせていただきます。以降の進行は難病対策委員会の千葉委員長にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○田中難病対策課長補佐 それでは、千葉委員長、よろしくお願いいたします。

○千葉委員長 まず最初に、資料の確認をお願いします。

○田中難病対策課長補佐 お手元の資料ですが、まず、議事次第、続いて難病対策委員会の委員名簿、小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会の委員名簿、参考人名簿、座席表となっております。本資料として、資料1-1「指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの利活用の在り方について」、資料1-2「指定難病患者データベースの現状と利活用の提言」、資料1-3「小児慢性特定疾病データベースの現状と利活用に関する検討」、資料1-4「難病研究の情報基盤について(難病プラットフォーム)」、参考資料1「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」、参考資料2「小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針」、参考資料3「特定医療費(指定難病)支給認定申請書」、参考資料4「小児慢性特定疾病に係る医療費助成申請における医療意見書の研究利用についての同意書」です。資料の不足がある場合は、事務局までお申し出ください。以上です。

○千葉委員長 よろしいでしょうか。足りない場合はお申し出ください。今日は前回に引き続いて、難病対策委員会と小児慢性特定疾患の専門委員会の合同開催です。今日はデータベースの利活用の在り方について、参考人の先生方から御報告いただき、両委員会の委員に御議論を頂きたいと思っております。まず、指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの利活用の在り方についてということで、事務局から説明をお願いします。

○遠藤難病対策課長補佐 資料1-1「指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの利活用の在り方について」を御覧下さい。データベースの利活用について、難病の基本方針、小児慢性特定疾病の基本方針におけるデータベースに関する記述の部分を抜粋いたしました。全体の資料は、参考資料1と参考資料2になります。資料1-1の抜粋の部分を少し読み上げます。難病の基本方針の第2 難病の患者に対する医療費助成制度に関する事項、(2)今後の取組の方向性についての「イ」ですが、法に基づく医療費助成制度の目的が、難病の患者に対する経済的支援を行うとともに、難病に関する調査及び研究の推進に資することであることに鑑み、国は、指定難病患者データの収集を行うため、医療費助成の対象とならない指定難病の患者を含む指定難病患者データに係るデータベースを構築する。指定難病患者データベースの構築及び運用に当たっては、国及び都道府県は、個人情報の保護等に万全を期す‥(以下略)としております。

 次に、第5 難病に関する調査及び研究に関する事項、(2)今後の取組の方向性についての「ウ」ですが、国は、指定難病患者データベースを構築し、医薬品、括弧の部分は飛ばしますが、医療機器及び再生医療等製品の開発を含めた難病の研究に有効活用できる体制に整備する。指定難病患者データベースの構築に当たっては、小児慢性特定疾病のデータベースや欧米等の希少疾病データベース等、他のデータベースとの連携について検討するとしています。

 次に、第6 難病の患者に対する医療のための医薬品、医療機器及び再生医療等製品に関する研究開発の推進に関する事項の「ウ」ですが、研究者及び製薬企業等は、指定難病患者データベースに集められた指定難病患者データ等を活用しつつ、医薬品、医療機器及び再生医療等製品に関する研究開発、副作用等の安全性情報収集に積極的に取り組むとしています。

2ページを御覧下さい。小児慢性特定疾病の基本方針における記述部分です。第二、小児慢性特定疾病医療費の支給に関する事項の二では、小児慢性特定疾病医療費の支給の目的が、小児慢性特定疾病児童等の健全な育成の観点から、患児の家庭に対する経済的支援を行うとともに、小児慢性特定疾病に関する調査及び研究の推進に資することであることに鑑み、国は、小児慢性特定疾病医療費の支給の申請に係る小児慢性特定疾病児童等についての臨床データを収集し、管理及び活用を行うため、小児慢性特定疾病児童等に係る医学的データベースを構築する。小児慢性特定疾病児童等データベースの構築及び運用に当たっては、国及び都道府県等は、個人情報保護等に万全を期す‥(以下略)としております。

 次に、第六、疾病児童等健全な育成に資する調査及び研究に関する事項の二では、国は、小児慢性特定疾病に関する研究の推進に資するよう、指定難病患者データベースの構築と連携しながら、小児慢性特定疾病児童等データベースを構築する。三、国は、小児慢性特定疾病児童等データベースを構築し、小児慢性特定疾病に関する調査及び研究に有効活用できる体制に整備する。四、国及び都道府県等は、小児慢性特定疾病に関する研究への活用のため、小児慢性特定疾病児童等のデータを研究機関に提供するに当たっては、個人情報の保護に十分配慮するよう努めるとあります。指定難病患者データベース、小児慢性特定疾病児童等データベースでお互いに連携しながら構築するということも記載されております。

3ページです。以上の記載を踏まえ、事務局において皆様に御意見を頂きたい論点を3つ整理しております。

 論点1、指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースが研究に有効活用できるようにするためには、提供する情報の範囲、提供先、目的等についてどのように考えればよいか。論点2、希少性から個人が特定されやすいという難病特有の性質等を踏まえ、個人情報の保護等に万全を期して情報提供を行うためには、どのような体制を整備する必要があるか。論点3、他のデータベースとの連携に向けて、どのような対応が必要か。

 以上の論点について、まず参考人の先生方から御発表いただき、その後、委員の皆様からも御議論いただければと思っております。以上です。

○千葉委員長 今、厚労省から、両制度のデータベースについての基本的な考え方を御紹介いただいたと思います。今、特に何かございますか。よろしいでしょうか。

 それでは引き続き、参考人の先生方にお話をお伺いしたいと思います。今日は3名の方にお越しいただいておりますので、順番に御発表願います。まず、資料1-2について、医薬基盤・健康・栄養研究所の秋丸先生から御説明をお願いいたします。

○秋丸参考人 千葉委員長、ありがとうございます。医薬基盤研の秋丸と申します。よろしくお願いいたします。我々は、昨年4月に指定難病患者データベースの構築及び患者のデータを入力するという委託事業を公募ですることになりました。現在、患者データベースの構築と入力等を行っており、本日は、その現状とそれらの利活用に対する活用提言を、簡単ではありますが紹介いたします。

 まず、1ページです。これは、委託事業の名前が疾病登録センター委託事業となっており、我々は難病データベースそのものを「疾病登録センター」と呼んでおります。ここにおける難病患者のデータが自治体からどのようにデータベースに登録されるのかというフローを、1枚もののポンチ絵にまとめております。

 左側の➀~➄は、今までどおり患者が難病指定医に受診され、その臨床調査個人票、これを臨個票と呼びますが、これを都道府県に申請して認定、不認定の審査がされる。今、自治体に紙ベースで臨個票がたまっているという状況で、我々が登録センターということで臨床調査個人票を頂くということにしております。対象の臨個票は、真ん中に書いてありますが、昨年の4月からOCR様式の新しい臨床調査個人票に変更になりました。改正後の4月以降の臨個票と改正前の平成271月からの臨個票という、2つの臨個票があります。そこに書いてありますが、改正前は約230万件以上の臨個票のデータ、改正後は約120万件以上のデータが下にあり、今、それぞれを紙媒体にコピーしていただき、基盤研に順次送っていただいているというところです。

2ページです。疾病登録センターの構築の現状です。ここは大きく2つの拠点になっております。1つは所内拠点です。ここは、OCR様式の新臨個票と196の第2次疾病分のデータ入力を行う拠点です。もう1つは所外拠点です。これはかなり件数が多いので、ある程度人数を確保した状況で、約200万件近くの旧臨個票の110疾病に特化した形で入力するという拠点を構築しております。そこに黄色で書いてありますが、所内拠点は平成303月上旬から入力開始予定で、所外拠点は平成3026日から入力を実施するということになっております。

 頂いたデータは、所内拠点とクラウド上という仮想のデータベースを構築して、非常に閉鎖的なネットワークの下でデータを管理するという状況です。一方、データ利用については、まだ固まっておりませんが、案としては、左側にある様々なデータを利用されたい希望者、政策研究班や研究者の方々が、一旦、厚生労働省にデータ利用の申請を行い、審査の下、合格したものについて、我々のほうにデータ抽出、分析の依頼を頂き、我々でそれを実施して匿名化した状態で、そのデータを提供して厚生労働省を経て利用者に御提供するという状況になっております。

3ページです。これは指定難病データベースとは異なりますが、旧制度の56疾病の登録の状況です。もともと特定疾患調査解析システム(WISH)があり、それぞれ自治体でこれを利用してデータ入力をするということになっていましたが、平成23年度のデータで入力率を見てみると、全国で約60%弱の入力率しかないという状況です。この原因は、自治体自体が審査の作業に非常に手を取られてデータの入力まではできないということや、もう1つ、WISHには、入れたデータに対して一次診断を行う自動診断機能があるのですが、これがうまく機能しないということで、自治体でWISHの利用、入力率が非常に低下しているという状況です。我々、指定難病に関しては、自治体にあるデータを全て送っていただければ、認定、不認定にかかわらず全て入力するということになっておりますので、入力率は事実上100%ということになっております。

4ページです。難病データベースに登録されるデータは、どういう項目なのかということを一覧にまとめております。大きく分けて6項目あります。1番目は基本情報です。2番目の医療費支給審査項目、これは大きく2つあり、1つは審査に関わる診断基準のデータで、そこに書いてある様々な項目を最終的に診断のカテゴリーという形で、認定、不認定の1つの大きな基準が分かるようなデータ項目を記載するということ、もう1つは、重症度分類を記載するということです。指定難病データベースに関しては、診断のカテゴリーと重症度をもって、きちんと自動診断、各疾病が動くという立て付けになっております。それ以外に、自由記載欄ということで自由記載項目が設定されております。

 一方、3番目の研究班の調査項目は、審査項目と同じ項目がありますが、それ以外に、発症と経過とか、どのような治療薬を処方したのかという、治療履歴を記載することになっております。それ以外に、4番や5番の項目、最後に行政記入欄をデータベースに登録することになっております。

5ページです。データ利用に関して、実際にどのように同意が取られているのかということで、先ほど参考資料1にもありましたが、同じ同意文の内容をこちらに掲示しております。ここに挙げられている同意文の中で、キーワードが3つあります。➀として、利用対象は厚生労働省の研究事業等となっております。➁として、使途は基礎資料として使います。➂として、目的ですが、この臨個票のデータを疾病研究として使うという記述になっています。

 一方、難病法(平成26年法律第50)第二十七条第三項には、「厚生労働大臣は、第一項に規定する調査及び研究の成果を適切な方法により難病の発病の機構、診断及び治療方法に関する調査及び研究を行う者、医師、難病の患者及びその家族その他の関係者に対して積極的に提供するものとする。」ということで、同意文に書かれている利用対象や目的が、この同意文とは乖離があるということがお分かりいただけるかと思います。

6ページです。この同意文の下、難病データベースの利用がどこまで可能なのかということをまとめています。➀厚生労働省の研究事業等とありますが、この「研究事業等」の利用対象範囲の検討が必要なのではないかということです。➁基礎資料に関しては、一般的に基礎資料というと、国の衛生行政報告のような一次資料を指すと考えられるので、この資料の在り方について議論が必要かと思われます。➂疾病研究に関しても、適切に審査を行う判断をする一定のルールが必要ではないかと思われます。特に臨床研究に関しては、先ほど……の同意を取ると書かれておりますが、例えば、介入研究などが疾病研究の中に入るのかどうかということが、いろいろな課題になるのかと思われます。そこのテーブルの15に、現在のデータを基礎資料として使うのであれば、こういうことに利用できるということをまとめております。

7ページです。これは、先ほどの論点123に関わる課題と、それに対する対応策、検討策を我々から掲示しております。1、難病法の方針に沿った利活用の検討に関してです。現時点の課題としては、利用目的、それに応じた同意取得、審査方法をどのようにするのかという課題があります。それに対しては、利用目的に応じた明示的な同意取得、adにあるような今後の検討、利用申請の様式や審査の方法の在り方、データ情報をどのように利用者に提供するのかという提供の在り方、難病データベースを持っている利活用の可能性を、9ページ以降に幾つかの提案をさせていただきますので、別途詳細に説明いたします。

2、「医療機関」などの個人情報の取組についてです。非常に希少疾患であるために、医療機関等の情報が分かることで個人が特定されやすいということがあります。こういうことを解決するための倫理・法的な側面、技術的な面から検討が必要なのではないかと考えております。

8ページです。他のレジストリ、データベースとの連携です。現状の同意では連携は不可能です。左上に書いてありますが、連携・利用の同意の取得が現時点ではないということで連携が非常に難しいですが、右側にあるように、個別のレジストリで再同意を取って難病データベースとの連携をするということを考えれば、この連携は可能ではないか。その際には連携の課題として、再同意の在り方をどのようにするのか、倫理の審査をどのようにするのかという様々な問題があります。

9ページです。ここからはデータベースの利活用の提案ということで、少し可能性を秘めた形で、現時点では非常に難しいですが、難病データベースは利活用において、こういう活用ができるという可能性を列記しました。

1つは、政策研究班が診断基準・重症度分類を検証・改訂するためのデータベースとして使うということや、原因遺伝子、様々な患者のレジストリがありますので、そういう関連するデータベースと連携することによって、より幅広い研究解析ができるということです。

 もう1つは、難病データベースと小慢のデータベースの連携です。現状では、そこに書いてあるように、それぞれのデータベースの形式が異なります。これは非常に残念なことなのですが、統合する場合には、どちらかの形式に統合することが必要でして、これにはコストと時間が非常に掛かるという現状があります。それを解決するための1つの方策として、小慢側でデータ移行期以降に難病データベースからデータ検索あるいは紐付け利用ができるような同意取得を再度取っていただければ、難病データベースから小慢データベースを閲覧することによって患者を紐付けして、結果的に移行期前後のデータを1人の患者で見ていくことができるのではないかと考えております。

10ページです。ここには、臨床研究医、製薬企業、基礎研究者というステークホルダーが利用できる場合の様々な可能性を書いております。臨床研究医に関しては、特に疫学研究に関して非常に大きなメリットがあるのではないかと考えております。通常行われる一次/二次検査、医療機関等の選定が不要になることによって、疫学研究が非常に迅速的に行われ、同時にコストも非常に軽減して疫学調査を行うことができます。

 製薬企業に関しては、様々な治験等を行う際に調査研究シートを作って、そこに対する答えを、例えば、臨床調査個人票の中にある特記事項、自由記載欄に回答して、それを自治体経由でデータベースに登録し、そのデータを再度解析して製薬企業等の利用者に提供するということが可能です。

 基礎研究者に関しては、そこに1例として、疾患iPSの構築に関して匿名化して患者のサンプルを御提供いただき、iPSを樹立して、それを提供することも可能です。

 患者にデータベースのデータを利活用していただく方策として、認定された患者、不認定の患者がそれぞれお持ちの行政の番号を登録していただくことにより、難病データベースのデータを非常に分かりやすく加工した形で、それを経年的に患者にお返しする。例えば、そのデータを主治医の医療支援等に使っていただくということが、このデータベースの活用の1つではないかと考えております。最後ですが、自治体に関しては、先ほどWISHのときに非常に問題であった一次診断機能が速やかに使えるということで、これを活用することによって、自治体の速やかな一次診断が利用できて審査の負担の軽減につながるのではないかと考えております。以上です。

○千葉委員長 ありがとうございました。指定難病制度におけるデータベースの現状と、その活用方法と言いますか、将来のことも見越してお話を頂きました。まず、3人の方々のお話を先にお伺いしてから、後で全てディスカッションというようにさせていただきたいと思います。今、特に何かありますか。

 よろしいですね。それでは次に資料1-3について、国立成育医療研究センターの掛江先生から御説明をお願いします。

○掛江参考人 当方は、小児慢性特定疾病対策の推進に供する実践的基盤提供に向けた研究班ということで、構成員の賀藤が代表研究者を務めております。本日は小児慢性特定疾病データベースの現状と利活用に関する検討ということで、少し現状を御説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

1ページを御覧ください。小児慢性特定疾病対策の今までの経緯を書かせていただいております。1974年からの古い事業ではありますが、データベースとしては1998(平成10)から、データベースを構築するために、医療意見書を電子化するための登録用ソフトウェアを研究班で開発して全国にお配りし、そちらを用いてデータを収集するという形で、データベースの構築を始めてきました。したがって、遡りで平成7年のデータから電子化したデータを、現在当方で管理をさせていただいているという状況です。その後、当該事業は平成16年に児童福祉法の一部を改正する形で法制化事業となりました。御承知のとおり、平成2711日から義務的経費としていただき、新しい対策として全面施行させていただいているという状況です。

2ページです。そういったことで、小児慢性特定疾病対策に関しては、平成7年から平成26年までのデータと、平成27年以降の新体制のデータとの2種類があります。旧体制のデータに関してはこの表にまとめたように、申請書(医療意見書)は医師であればどなたでも記載できます。平成27年以降は指定医に限るという形で、より精度を上げるような対策をしていただいております。

3ページに旧制度の申請方法を絵で描いております。左上の医療機関においては、患者様に受診をしていただき医療意見書を作成していただきます。それを患者様の手で都道府県・指定都市・中核市の窓口に提出し、審査会にて認定審査をしていただきます。それで承認されたものについては、登録用の専用のソフトウェアを用いて電子化し、厚生労働省提出用に出力していただきます。出力の際、個人情報は全て削除されるようなソフトウェアの設計になっておりますので、個人情報抜きで提出していただいて、そちらを小児慢性特定疾病の前身の厚労科研の研究班でお預かりし、匿名化したデータベースを構築してきました。

 現状については、4ページを御覧いただきたいと思います。こちらが流れとなっております。左上にありますように、患者様が指定医を受診して医療意見書を作成いただいて、それを都道府県・指定都市・中核市に提出し、認定審査を受けていただきます。現状はQRコードの付いていない申請書ですが、それを国立成育医療研究センターで業務委託を受けている小児慢性特定疾病登録センターにコピーを送っていただきます。QRコードは今後付く予定ですが、現状ではそちらを目で確認して手入力する、電子化するという形で、データベース化の作業をしております。

5ページは、まだ母子保健課に小児慢性特定疾患治療研究事業があるときに、将来のデータベースの開発イメージとして提示されたものです。こちらで御覧いただきたいのは、真ん中の赤い矢印です。当初は指定医がオンラインで患者様の医療意見書データを登録し、それを中央事務局が共通のサーバー上で拝見するということでした。自治体も同じデータを閲覧し、認定の結果をオンラインで登録し、そのデータが中央事務局に集まるオンライン登録システムを想定しておりました。しかし年金の問題など、いろいろ状況が変わって今の状況になっているということです。

 次が6ページです。小児慢性特定疾患治療研究事業、すなわち旧体制の事業においては、こちらにお示ししたような形で、医療意見書提出時に同意・非同意の確認をさせていただいております。これは当時、母子保健課のほうから出していただいていた雛型です。非常にシンプルではありますが、四角の囲みの中段にありますように、「当該疾患の研究のための基礎資料として使用されますので、このことに同意された上で、小児慢性特定疾患治療研究事業の申請を行ってください」という形で同意を取っていただいていました。

7ページが、平成2612月に出していただいた通知です。新しい平成27年からの小児慢性特定疾病対策における同意は、一番上に書かせていただきましたが、「小児慢性特定疾病の治療研究等、慢性疾病にかかっている児童等の健全育成に資する調査及び研究を推進するための基礎資料として、研究に利用されることに同意します」という同意文に変更しております。先ほどの難病のほうの御説明と比べますと、こちらは利用者の限定は特にしていないという状況です。また、少し補足になりますが、丸い吹出し、同意書の下段で少し詳しい説明を書いております。「研究利用についてご説明」の4行目、「データベース化して本事業の利用者数の把握等を行い」という所で、非同意の方についてはカウンティング・データとして、個人を特定しない形で集計するということについて御説明をしている次第です。

8ページでは、非同意の取扱いについて少し書かせていただきました。当然ながら任意なので、非同意の方がおられます。現状では約1%未満ですが、やはり一部に非同意という形で御提出くださっている方がおられるという現状です。非同意を選択された場合は、事業統計として集計を出すために、カウンティング・データとして個人情報を取り除いた病名、性別等、一部の情報のみを登録して集計として出しております。同意を頂けた場合には、解析用データとして、医療意見書に記載されているデータ(数値等)を電子化して、データベース化しております。下にその項目を書かせていただきましたが、先ほど秋丸先生から4ページで御説明のあった臨床調査個人表の項目とほぼ同様の内容が、小児慢性特定疾病のほうでも収集されております。

 次に、9ページを御覧ください。今、研究班では登録データがどのような利用状況にあるかを書いております。利用の方法は、大きく分けて2通りあります。1つ目が集計用データの利用、もう1つが研究用データセットの利用です。集計用データに関しては、様々な論文や書籍への転載利用等も御依頼があり、使っていただいておりますし、基本的に公表させていただいております。研究用データセットは厚労科研の研究班、特に難病研究班からの利用の申込みがあった場合に、こちらで必要なデータセットを作らせていただきます。特に個人情報自体は付いていないのですが、当方では受給者番号等から、患者様を年度で経年的に結び付けるようなデータセットを作成することは可能ですので、そういったことをした上で、受給者番号等を削除したデータセットを作成して提供するということもしております。また、今は製薬等の民間からのデータ提供の依頼もありますが、そちらはこちらの委員会等で御議論いただくまで、少し保留にさせていただいているという状況です。

10ページです。当方でお預かりしている小児慢性特定疾病のデータの特性としては、疾病患者の長期予後を捉えることが可能であるというのが、非常に大きな特徴になるかと思います。横断調査等では捉えることができない点が、こういったデータから分かってくるというのは、かなりアピールできるのではないかと思っております。また、長期にわたって医療的介入を必要とする疾患や重症例の登録率に関しては、比較的高くございますし、実施主体間の登録格差も非常に少なくなっております。現在も、ほぼ100%全ての自治体からデータを提出していただいているという状況です。そういった意味では、使い方によっては有用ではないかと考えております。

11ページに例えばということで、小児慢性特定疾病のデータ解析例をお示ししています。1つ目が先天性ミオパチー・筋ジストロフィーの患者様の年齢推移を、年齢ごとに出したものです。こちらを御覧いただいて分かることは、近年になるほうが、長期に生存される傾向が示唆されているということが、小慢のデータから示すことができます。

12ページが、同じ疾患の人工呼吸器装着者の割合です。年齢が高くなるに連れて増えています。こういった疾患の方たちの療養の状態としては、年齢が上がるに連れて呼吸器の装着者が増える状況にあることが、データから推察されるということもお示しできるかと思います。

13ページでは、若年性特発性関節炎の患者様の生物製剤の利用割合をお示ししました。こちらについては、ちょうど小児の生物製剤の適応が取れた頃からのデータをお示ししているのですが、年々生物製剤の使用が増えているというような投薬の状況がお分かりいただけるかと思います。

14ページが、JIAの患者様の申請件数です。御覧のとおり、微増で増えております。つまり、非常によく効く生物製剤が導入されて同剤の利用者が増えているにもかかわらず、患者数の減少が起きていないということから、無治療寛解に至る疾患ではないという疾病の特性がお示しできるかと思います。

15ページは、JIA19歳の患者様の生物製剤の利用状況です。こちらを御覧いただいてわかることは、生物製剤を利用する必要がある重症例の方が多くいらっしゃるということです。翻すと、生物製剤で症状を管理することによって、成人を迎えられる方が増えているということが示せるかと思います。こういった形で、小児慢性特定疾病のデータは経年的に蓄積しているデータですので、いろいろな分析に使えるかと考えております。

16ページを御覧ください。今後の難病データベースの連携について、当方で考えていることをお示しました。小慢のほうから関心を持っていることとしては、➀どのような小慢の対象患者様が、実際に指定難病の患者様として承認される状況にあるか、➁20歳以降の超長期における病状や合併症の状態、また予後がどうなっているかということを是非つなげて知りたい、➂小児期に行われた支援が有効であったのかという検証のため、成人期以降の生活実態等の把握、病態の把握に利用できないかということです。こういったことを把握するためには、やはり横断的な解析ではなく、縦断的な解析が重要になります。

 この矢印には例えばということで、未来の希望を書かせていただきました。例えば、小児慢性特定疾病のデータベースと難病データベースについて、それぞれ難病対策課において保有の個人識別情報を用いて名寄せをしていただいて、小児期のデータを持っている小慢のデータベースと、成人期以降のデータを持っておられる難病のデータベースを経年的につなげて解析用のデータセットを作成していただき、研究用に更に匿名化をして御提供いただくことが叶ったら、非常に有用ではないかということを夢として描いております。

 あと、小慢の特性としては希少疾患なので、今後は匿名化データベースという形で検討していただくより顕名データベース、つまり個人が特定できるデータベースとして、個々の患者様に御理解を得て、きちんと同意を得てフォローアップをしていくようなデータベースとして開発していく。さらに患者様もデータベースを利用できるような開発の方法もあるのではないかということも、少し考えております。

17ページです。ほかのデータベースとの連携については、更に様々な有効活用の方法があるのではないかと考えております。長くなってしまったので割愛いたしますが、例えば人口動態調査の死亡票との連携で、死亡の転帰を把握することができたら非常に有用になります。あと、小慢自体は広く浅いデータベースと御理解いただければいいと思うのですけれども、疾患の深く詳細なデータベースと連携することによって、非常に有益な解析ができるのではないかといったことも考えているところです。

18ページです。こういった利活用のための体制について我々が考えているのは、まずデータの提供体制として、秋丸先生の報告とも重なりますが、利用の可否についての審査体制の整備や個人情報取扱いのルールの作成、適切な同意の取得について、改めて検討が必要ではないかと考えております。現状の利用の手順としては、データの利用希望者が申請書を提出していただきます。研究班が主ですので、利用の可否について申請書、研究計画等を見せていただいた上で、当方で同意の範囲であることを確認の上、データセットを作成し、匿名化の研究用IDに書き替えてお渡ししているという状況です。

19ページが、データベースの研究への有効活用についてです。現状を我々のほうで検討した結果、政策研究・疫学研究には当然非常に有益に使っていただけるのではないかと。また、臨床研究・治験については、患者数の把握や患者のリクルートのカタログデータとして、臨床研究としてはこのデータベースのみであっても、治療法等の評価や観察研究、そういった疾病レジストリへの応用も可能かと考えております。診療支援や患者支援については、こちらのデータを医療者への情報提供によって使っていただきます。また、患者様へは、セカンドオピニオン先の医療機関の情報などを求められることが多くありますので、そういった形で支援に利用できるのではないかと考えております。

 最後に、課題として3つ挙げております。提供するデータの範囲、データの利活用の範囲については、現状は 小慢児童の健全育成に資する研究への利用に限って認められる状況かと思いますが、今後、特に難病のデータベース等の密な連携を進めていただくのであれば、それが可能となるような利用範囲の設定や利用方法、同意取得のための説明等を、難病のデータベースと協力して検討させていただければと思っているところです。また、個人情報保護を行いつつ、情報提供を行うための体制ですが、そもそも希少性の高い疾患の情報を収集しておりますので、万全を期すとともに、情報の提供の仕方についての検討を、是非進めていただきたいと思っております。他のデータベースとの連携についてはレコードリンケージの整理をしていただくことによって、より有効につないで使っていただけるのではないかと考えております。少し長くなりましたが、以上でございます。

○千葉委員長 ありがとうございました。私自身、小児のデータベースのことを詳しくお聞きするのが初めてだったので、個人的にも非常に参考になりました。続いて3つ目に移りたいと思います。資料1-4、日本医療研究開発機構の古澤先生よりお願いいたします。

○古澤参考人 私は、日本医療開発機構(AMED)の難病研究課におります古澤と申します。本日はありがとうございます。よろしくお願いいたします。ちょっと毛色の違った話になります。私のほうはAMEDという難病研究のファンドをしている所なので、難病研究という観点から難病情報やデータベースについて、今どういう取組をしてどういうことが行われているのかという概要を、簡単に皆様方に御紹介できればと思います。

1ページは、俗に「難病班」と言われているものが、こちらに書いてあります。もともとAMEDがなかった時代は、全て厚労省の一括管理で行われていたのですが、現在は厚労省に難治性疾患の政策研究事業が100弱あり、我々AMEDのほうには難治性疾患実用化研究事業というのが約200課題あります。世の中には300の難病班があって、それぞれの目的で先生方が研究を進めていただいています。厚労省とAMEDはお互いに連携を取りながら、同じような目的で研究がなされないように、お互いの立ち位置を理解しながら、研究を進めています。

2ページです。いわゆるデータベースというのは、各研究班も様々なデータベースを構築しているわけでして、AMEDで約200、厚労省で約100の研究班が、それぞれの目的で様々な情報を構築しています。例えば患者様の情報、「臨床情報」と言われるもの、レジストリ情報、それからゲノム解析やオミックス解析など、皆さんいろいろなことをやりますので、そういった所から生じてくる情報等々があります。それぞれの研究班の先生方がその解析をし、研究成果を世の中に出していくということなのですが、これをやはり受皿としてきちんと情報基盤を作っていこうということがあり、それで始まったのが、今日私が申し上げる難病プラットホームというものです。

3ページです。ちょっと総論的な話になって申し訳ないのですが、まずレジストリやデータベースというものを、少し整理させていただきたいと思います。絵が描いてありますが、難病班では様々なレジストリを作っているということを、まず御理解いただきたいと思います。前の先生方もおっしゃったように、レジストリには、広くて比較的浅いけれども、できるだけ多くの患者様を登録する悉皆性を求めるレジストリから、例えばこの疾患のこの薬を開発するために、たった50人の患者様でも非常に深い情報を押えているレジストリまであります。それぞれの目的に応じて品質を重視するのか、悉皆性を重視するのかで、様々に変わってきます。

 我々AMEDも厚労省もそうですが、難病班ではそれぞれの目的に応じて、広いデータベースを作っている先生方もいらっしゃいますし、本当にスペシフィックな、非常にディープなレジストリを作っていらっしゃる方もいます。恐らく御発表にあった難病データベースや小慢のデータベースというのは、比較的広く、きちんと患者様を捉えていこうというところで、悉皆性のほうに重視されているレジストリだというように、御理解いただければと思います。

4ページに行くと、また難病プラットホームに話が戻ります。そういったところで、それぞれの難病班が様々なデータベースやレジストリを作っているのですけれども、その情報をきちんと最大有効活用していくために、受皿を作らなければいけません。そういうところで昨年、20172月に難病プラットホーム研究事業というのが、予算を付けてスタートしました。今年1年間はいろいろな準備をして、来年度から本格稼働をする予定です。

 難病プラットホームの全体デザインは5ページにあります。分かりにくい絵で大変申し訳ございません。結局は受皿なので、対象になる研究班があるというのが大前提です。それが一番上に書いてある、左側に難治性疾患実用化研究事業、こちらはAMED、我々のほうでファンドをしている研究班があります。あと、厚労省のほうにある政策研究事業の研究班も対象にしています。その先生方が構築している情報を難病プラットホームのほうに共有していただく、若しくは提供していただいて、そこで我々のほうで、難病プラットホームのほうできちんと管理をして第三者、次の研究者につなげていく。ここがポイントだと思います。

 やはりデータベースというのは、ずっと倉庫のように取っておいても、何も意味がないのです。それをいかに世に出していくか、いかに次の人が使いやすい形で出していけるかというところがポイントだと思います。第三者機関に提供して、次の研究につなげていくと。これは研究だけでなく、当然企業開発も視野に入れております。やはり創薬というのは、患者様のためになるのは間違いない事実なので、創薬につなげていただくために我々の研究班で作った情報を、最大限活用していただくという形になります。

 これらは概念の話ですが、では今年度、具体的にどのようなことをやったかということについて少しお話させていただきます。6ページです。今はもうホームページで公開したのですが、先ほど申し上げた300の研究班に対して、レジストリの調査を行いました。最終的には約200の研究班が、何かしらの患者様情報を集めたデータベース、レジストリを作っていらっしゃいます。そのうち同意が取られた約90の研究班の先生方のレジストリが、このようにもう既に公開されています。当然、これは研究者の先生方にとっても有益な情報ですし、企業の方や患者様からしても、この先生がこういうレジストリを作っているということが、全て公開情報として出せるようになりました。こういった形でまず情報を整理していくというのが、難病プラットホームの1つのミッションでした。

7ページに行くと、「レジストリ構築支援」という所の赤枠、真ん中の上のほうにありますが、ちょっと分かりにくい話で申し訳ございません。難病班の先生方が実際にレジストリを作るときに、どうやって患者様から情報を集めて、それをどのように管理し、どのように解析していけばいいかというのは、実は結構なノウハウが必要だと言われています。最初から全部1人で研究班の先生方がやるのは、なかなか難しいものでして、それを難病プラットホームのほうできちんと支援をしていこうというところで、今、レジストリ構築支援が計画されています。

 様々な研究計画書とか、そういったドキュメントの支援もしておりますし、いわゆるコンピューターのシステム自体も、きちんと支援をしていくと。なぜ、これが重要かというと、データベースというのは全てそうだと思うのですが、いかに入ってくるデータの品質を保っていくかが、非常に重要だからだと思います。結局、1万データ集まりました、10万データ集まりましたと言っても、誰がいつどのように入れたのか誰も分からなくて、間違っているか合っているかも分からないデータペースを、次の研究者が使うかといったら、結局出てきた結果が本当に信じていいかというのは難しいですよね。誤解を招くような解析結果になってしまっては患者様のためにもならないので、ターゲットとしている研究班の先生方が作られるデータベースの品質をいかに上げていくかを、AMEDとしてはきちんと支援をしていきます。そこから出てきたいろいろな解析結果の質が、ちゃんと担保されて、世の中に使っていただけるものをきちんと出していただく。そういった基盤をきちんと支援していきます。

9ページが、難病プラットホームの本体です。今申し上げたレジストリの支援とか、カタログの公開とか、いろいろやっていましたけれども、最終的にはきちんとこちらの水色の所に、いろいろな難病患者様のデータが集まってくるというのが味噌になります。ここできちんとエンジンを回せるかどうかがポイントになります。ここのデータベース本体できちんと情報を整理し、場合によっては名寄せが必要になることもあります。いろいろなことをやって、次の研究者にバトンタッチしていくというデザインを今描いています。全体的には来年度、4月から本格稼働を目指して準備をしています。

 最後の10ページが、私からの提言というか、まとめです。今年度に調査をして、難病班では様々な目的のデータベース、レジストリを構築しています。難病プラットホームはそれぞれの情報を集約し、二次活用可能な基盤構築を目指しています。先ほどお二人の先生方がおっしゃった指定難病データベースや小慢のデータベース、行政データベースと我々が今回調査した、研究班で作っているデータベースの違いは何かと考えたときに、まず我々、特にAMEDは公募で課題を採択しますので、必ずしも全ての疾患を把握できるわけではないというところです。

 当然研究者がたくさんいる所は、研究課題が多い領域です。また、まだ研究者が少ない疾患領域というのは、そんなに応募数がないのです。そうすると小慢や指定難病データベースというのは幅広く、330、小慢の700800の疾患をカバーできますが、我々の研究班というのは、その時その時で疾患が変わってきてしまうので、そこはお互いに良し悪しがきちんと出るだろうと。やはり行政データベースというのは、我々がカバーしていない所でのデータベースがある、悉皆性があるというのが非常に強みなので、我々からしてみると非常に羨ましいところではあると思います。

 そういった行政データベースと我々の難病班のデータベースが、相互補完的に機能することで、より研究的意義が向上するのではないかという話は、先のお二方の先生からもあったと思います。これは秋丸先生からもあったのですが、例えば臨床調査個人票と我々AMEDの難病班のデータベースを突合させるときに、絶対にクリアしなければいけないことがあります。それは、個人情報を突合させる必要なのですが、今は個人情報が出ないので突合できない。最終的には医療等IDなどまで管理できれば一番いいのですが、まだまだ先が長いので、これはやはり再同意です。各難病班の先生が研究に参加していただく患者様に対して、臨床調査個人票や小慢のデータを使うことを再同意していただき、厚労省からその患者様の情報を研究班のほうに渡していただくといったフォローがあれば、当面個人情報の問題は何とかしのげるのではないかと、私は考えております。以上です。

○千葉委員長 お三人の参考人の先生からお話をお伺いしたのですが、現況と様々な問題点が浮かび上がってきたと思います。これから総合のディスカッションをしていきたいと思います。最初にお話がありましたように、論点を整理しますと、資料1-1の一番後ろの論点1にあるように、データベースが研究に有効活用できるようにするために、まずは提供する情報の範囲、提供先ですが、例えば企業についても提供できるようにするのかどうかといったところが議論になると思います。目的については、AMEDなどは主として研究、医療開発、薬剤開発を目指しているわけですが、そういう目的等について、まずどのように考えたらいいかということです。

 論点2として、データを出すときに個人情報の保護は非常に問題になりますし、小児と成人ということで、連結していこうということになりますと、なおさらその辺のことが問題になると思います。この辺をどうしていくのかということです。

 それから最後に話がありましたように、難病小児慢性のデータベースとその他のデータベース、AMEDのプラットホームなどとの連携が必要になってくるわけですが、どのような対応が必要かという、この3つが大きく論点になるかと思います。御自由に御意見を頂きたいと思います。このことについては、合計3回ぐらいディスカッションして方向性を出していくことになっておりますが、できるだけ多くの方々から広く御意見を頂くのが今日の目的であると認識しておりますので、御自由に御意見を頂けたらと思います。

○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。難病班のほうです。論点3のデータベースにはいろいろなものがあると分かりましたが、これを将来の方向性として難病と小慢のそれぞれを統一化して、悉皆性の担保をしながら、将来、医療等IDあるいはマイナンバーの活用によって、前回まで議論していた移行期の小慢患者さんのデータもありますので、揃えていけないものでしょうか?がんの場合は、がん登録部会があってがん患者さんの99%は登録できると思いますが、難病の場合でも、軽いうちに見つけて治療につなげることも必要だと思いますので、軽い患者さんをできるだけ重症化させないためにも、登録してもらう事が大事である。

2点目として、先ほどのOCRのことで、これは年金問題があって仕方なかったかもしれませんが、webでできるような仕組みを考えているのかということです。

3点目として、WISH、一時解析の所ですが、これほど都道府県の登録率に差が出てしまったのはなぜなのか。それは、今回の改定、改正で、先ほど有効に使えるかもしれないというお話や、一時精査のときも使えるというお話もあったと思いますが、その辺は十分活用できるのか、事務作業が楽になるのかという辺りも含めて、分かる範囲で結構ですので、論点123を無視したような質問の仕方で申し訳ありません。

○千葉委員長 まずは論点3についてのお話だったと思います。そういう連携については、国としてはどういうふうに思っておられるのかという御意見だったと思います。ただ、今日は、国としてどう思っているのかというより、こうすべきだということを是非提言いただきたいのです。ですから、先生のお話を言い換えますと、そのようにすべきであるという御意見であったと伺うわけですが、それも含めて、厚労省のほうで今のお話についてありますか。

○遠藤難病対策課長補佐 千葉委員長に説明いただきましたが、頂いた御意見のデータベースの統一化、Web登録については今後国としても検討させていただきたいと思います。

WISHとの違いですが、入力が都道府県ではなくなって、センターのほうで入力したところは、少し負担は減らせているのかと思います。

○千葉委員長 OCRについてはどうですか。これは私自身も、OCRでは非常に問題があって、読み込むときも大変ですし、手書きの場合は特に読み込めないという問題があるので、ここは当然データベースとしてしっかりしたものにしていくためには、自動入力化といった方向性を、是非考えるべきであると思っております。ほか何かありますか。

 先ほどの連携に向けてということですが、これも小児慢性の御発表を伺うと、本当に基礎的なデータだけでも非常に有力と言いますか、大事なデータが出てくるのを実感しました。今お話がありましたように、成人のほうは、報告が都道府県によって違うというのは、新しい制度が始まってからではなく、もう10年以上前からずっと続いている問題です。そこを解決しないと、特に成人の場合には、データベース、データベースと言っても話にならないというところがあります。正に御指摘のとおりです。小児慢性は100%送っていただいているというのと、成人のほうはえらい違いがあるとびっくりしたのですが、その辺も非常に論点になると言いますか、是非、指定難病のほうも小児のほうに近付けていくべきであるとは思いましたが。ほかはいかがですか。

○森委員 患者団体JPAの森です。それぞれの疾病のデータベースの全体像が必要だと思います。そこで、今は申請した場合は軽症の方でもデータを入力していただけるということですが、医療費助成を受けられずに軽症となって、その後いかにこの申請を続けていくかというのは非常に難しいことだと思いますので、ここは再度検討が必要だと思います。

 それと、発症したときのデータが、治療を受けた後のデータしかなかなか集まりにくいと思いますので、やはり原因を探るためにも、発症したときのデータを集める方法が必要かと思います。

 それともう1つは同意書です。今、医療費助成を受けるには申請が必要ですが、そのときの同意書は、行政が示すものなので安心して同意するという方もあれば、しっかりと内容を読んで理解する方もあって、何となく不安だから同意書にはサインしていないという方もあると聞いております。そこで、今回の検討課題にもありますが、どのように活用されるのか示していただいて、理解をもって分かりやすく説明をした同意書が必要ではないかと思いますので、お願いしたいと思います。

○千葉委員長 ほかにいかがですか。

○春名委員 少しずれるかもしれませんが、「難病の研究」の範囲の所で、例えば、難病法でも社会参加の支援が重要になる中で、就労状況の疫学的なデータなども入ってくるのかについて確認したいと思います。先ほど掛江先生からもありましたが、例えば、小児期の自立支援のことが成人した後の社会参加の状況にどう良い影響があったかとか、そういう調査研究なども重要であると思います。以前の臨床個人調査票については、研究班のほうで疾病別、年齢、性別の就労率、自立の状況などというデータをまとめていただき、それで就労支援の重要性が明らかになりました。このデータは社会参加の支援のために重要と思っていたのですが、今回のデータベースの内容を見ますと、ADLのデータはあるのですが、就労状況や生活状況のデータがなくなっています。これはどういう状況なのでしょうか。例えば代替策があるとか、例えば医療費の申請のときの登録のデータで、そういうことを絡めて集計できるようになっているのかとか、その辺の状況はどうなっているのか確認したいと思います。

○千葉委員長 これは何かありますか。

○本間委員 患者団体のあせび会の本間と申します。支援センターの秋丸先生に伺います。今日お示しいただいた資料の1ページ、臨個票の改正前の230万件、改正後の120万件、それぞれの数字が、今年の2月から旧臨個票120万件余の入力を開始する。3月から新の230万件余の入力を開始すると解釈していいのですか。それが1つです。

 もう1つは、改正前と改正後で同じ病気がありますが、同じ病気の縦の継続性はこのデータベースから確認できるのかどうか。それを確認したいと思います。

3つ目、これは分かればいいのですが、この数字によっていわゆるカバー率、WISHによれば……もいっていなくて、前から問題だったのですが、これは例えば7割、8割、9割ぐらいまで上がるのか、上がらないのか、その辺がもし分かったら教えていただきたいのです。この3点をお願いします。

○秋丸参考人 入力の状況に関しては、御理解いただけているとおり、改正前230万件、改正後110万件をそれぞれ所内拠点と所外拠点で入れるとなっております。それでよろしいですか。

○本間委員 はい。

○秋丸参考人 縦のデータの連続性ですが、これもデータが入れば必ず登録するときには前年度のデータの患者様と紐付けの作業を行います。必ずそれを行って、前年度の患者様の登録があれば、同一患者ということでデータベースに登録させていただきます。ですから、必ず1つの患者さんの連続データがずっと保っていくということになります。

 カバー率については、昨年度、それぞれ自治体が持っている臨個票をどういうふうに送付されるかという実態調査を厚生労働省にしていただきました。その結果、ここに挙げている件数は、今年度全部郵送、それぞれ自治体のいろいろな事情があって、全部送られてくることはなく、今年度約110万件が自治体から送られてきて、残り約120万件以上は次年度以降に全てを送ってくるという計画になっておりますので、来年の3月までには入力対象の臨個票は全部手元に届いて、それを入力するという予定になっております。ですので、送られてくれば、入力率は100%ということになります。

○本間委員 ありがとうございました。

○千葉委員長 先ほどの話の就労ということについては、臨個票では、必ずしも全ての難病で調査、書く所が現状はあるわけではないのですね。

○遠藤難病対策課長補佐 はい、そうです。社会保障と生活状況については聞いておりますが、就労までは聞いていない疾病もあるかと思います。小児のほうでは、就学、就労と聞いている項目欄があります。

○千葉委員長 ですから、先ほどの御意見は、やはり就労の所も非常に重要なのでという御指摘だったかと思います。これは皆さんの意見と当然一致すると思いますが、今までの指定難病制度が始まるまでは、経時的な連結もできていませんし、各都道府県の提出率も違うということで、そういう意味では連結以前の問題だったわけですよね。そこは何が何でも突き進んでいかないと、データベースの構築にはならないというところで、これは恐らく今日出席の全員の方が、そこはちゃんとやってくださいということは同意されると思います。それはそれでよろしいですよね。

○井田委員 重要なことはデータは現場の医師が入力するということです。入力の項目が多いと現場の負担が重くなり、少ないと十分な情報が得られないという悩ましい問題が存在するわけです。

 論点1番と3番に関係することですが、研究用と一般登録用では入力すべきデータが異なります。これらを一緒にするので日本の場合は同じことを何回も書かなければいけないようなシステムになります。記入するデータが多すぎて現場で診療どころではなくなるような臨個票もあります。目的と提供先をよく考えてデータを集めることが大切です。

 基礎データは医師が入力する必要をなくし、臨床データを医師がプラスして記入するような方式を考えるとよいと思います。データ収集の重要性について私たちは分かりますが、現場の先生には理解できません。あと、入力に当たって、何か現場の医師のモチベーションを上げるような厚労省の方策がないと、なかなか現実的にやりなさいと言っても、前に進みません。目的と提供先を考えたデータ収集方法とモチベーションを上げるような方策を考えていかないと具現化しにくいと思います。

○千葉委員長 今のは論点1についてのお話だったと思います。入力する医師のモチベーションもそうですし、先ほど患者会の方もおっしゃいましたが、軽症患者さんの入力というものは従来から問題になっていて、そのモチベーションと言いますか、インセンティブと言いますか、そういったようなところは考えていく必要があるかと個人的にも思っております。

○渥美委員 難病委員の渥美と申します。私は全身性エリテマトーデスを担当させていただいておりますが、非常に患者さんが多い難病で、今、6万人ほど登録患者さんがおります。正しく今、先生がおっしゃったとおりで、日々の個票を記入するのは、それぞれの主治医です。それぞれの主治医は決して行政のためにとか、研究班のために働いているわけではなく、やはり目の前の患者さんのためにというのが最優先されるので、そこにでたらめを書くことはないと思いますが、例えば重症度で、今、自分の患者さんが認定されるかどうか、どちらかなというときには、どうしても重いほうとして状況を解釈してしまうことが起こり得ます。したがいまして、6万人のデータを実際に研究として使うときには、どうしても限界があるだろうと。むしろデータがあるから活用するというよりも、先ほど悉皆性と品質という話がありましたが、データベースを作る目的がはっきりあって、そのためにやりましょうと、6万人のデータは必要なく、1,000人のしっかりしたデータがあれば、ずっと重要であるというケースのほうがむしろ多いので、そこは連結するよりはむしろ切り離して考えたほうがうまくいくのではないかと思います。主治医がそれを埋めるモチベーションは、こういう目的があって、こういう研究があって、こういうことを知りたいから、今、自分は少し時間をかけても埋めるのだという、そこのところが大きな問題だと思います。ですから、私は無理矢理大きなデータベースを使って、そこにいろいろな情報を積め込むのではなく、データベースありきではなくて、どういうデータベースを作るかというところで切り分けて考えたほうがうまくいくだろうと思います。

○賀藤委員 小慢の賀藤です。もう1つ、基礎として知っておいていただきたい情報としては、小慢のデータベースは悉皆性はないということです。これはなぜかと言うと、地方自治体の医療費、子供医療費無料化のことです。どうしても小慢は所得制限とかいろいろありまして、例えば、都庁のホームページを見ますと、大変面倒な申請手続を取ります。ところが、地方自治体では無料化ですので申請も簡単です。ある自治体のソーシャルワーカーは、もうただだから全部マル乳、マル障を取れと誘導するほうが多いです。ですので、少なくとも15歳未満はとにかく悉皆性はなかなか難しい。これは医療費の助成の問題です。

 ただし、地方自治体によっては、財政が厳しい所は小慢を取ってくださいという所もありますので、多分、地方で大分違ってくるだろうと思います。小慢は幅広いですが、悉皆性に関しては大きな問題があるということです。ただ、傾向としては分かれるかもしれませんが、悉皆性としては大変な大きな問題をはらんでいるということは、きちんと認識しておかなければいけないと思います。

○千葉委員長 これは、比較的最近制度が変わったのですか。

○石川委員 それは疾患に関しては悉皆性はないですが、小慢制度の中の申請書は全部100%だから、小慢制度の中での悉皆性はあるわけですか。

○賀藤委員 そうです。

○石川委員 それは大事なことです。それは大きな違いです。

○賀藤委員 ただ病気としては調べることはありますが、大変小さなパーセンテージになります。

○石川委員 もちろん、それは分かります。それは先生の言うとおりです。

○掛江参考人 御指摘いただいたとおり、他の制度を利用している方が抜けているという問題点は、我々はずっと抱えております。ただし、それについてもいろいろな形で調査をしておりまして、特定の疾患に関しては、例えば濃厚な治療が長期的に必要な疾患に関しては、かなり登録率が良いことが確認できています。

 一方で、小児慢性特定疾病を申請してもしなくても、どちらでもそれほどメリットは変わらないかなというような、中程度もしくは軽症の疾病が多いような疾患では、確かに御指摘いただいているとおり、登録率としては他の制度を利用される方が比較的多いものもあります。ということで、かなり疾患の特性によって補足率が異なるような状況はあります。以上です。

○石川委員 少し細かなことに入り過ぎているのではないかと思います。今回入れて3回と言うと、あと2回しかないのです。これはすごく大事なことで、私はNDB(ナショナルデータベース)をずっと8年間関わっていますが、今、ようやく利活用の道ができたのです。それだけでもすごく大変だということと、難病と小慢というのは最も機微姓が高い医療情報だということなのです。この医療情報であって、去年の530日に個人情報が改正されてから、実際上は、例えば同意と非同意の所で1%と書いてありますが、これでどうやって丁寧な同意説明をしたのかということを検証しながらやっていかないと無理だと思います。個人情報の問題が一番大事ですので、あと2回でそこをうまく乗り越えていくかどうかという、データベースを作るのは賛成ですが、そこはすごく大変なことだと思います。ですから、もっと大きなところで的を絞って、個人情報をどうするのかというところでまず話をしていったほうがいいと思います。せっかく患者さん代表の方たちもいるので、そのように思います。

○千葉委員長 時間が限られておりまして、論点は非常にたくさんあると思うのですが、おっしゃっているように、2の部分は非常に重要だと思います。論点1の所で、1つだけ御意見があればお伺いしたいのですが、提供先というのを、先ほど小児の御説明でもありましたように、企業については当面控えているという御意見でした。医療開発になりますと、その辺にも関係するかと思いますが、何か御意見はありますか。

○石川委員 これはNDBが当初から公的な研究とかいったことで利活用、枠組みを付けたりしているのです。しかし、利益関係がそこでもまたいろいろと入ってくるのです。そうすると、第三者委員会で利活用の門番をさせないと駄目だということがあります。その門番を作ることによって、患者さんが本当に安心して同意できるということになるので、まずはそこのところです。もちろん提供については、一般企業とか何とかというよりも、公的なものとか国で、まず限定して利活用していくスキームから始めて、そこもきちんと第三者委員会を作るとしたほうがいいと思います。

○千葉委員長 その辺はほかはどうですか。先生がおっしゃる第三者委員会というのは、それぞれ個別という意味ではなく、全体という意味ですか。

○石川委員 例えば、このデータベースを利活用しようとしたこの会議の中で何人か出て、それで、本当にデータベースをどういうふうな目的に照らして利活用できるかという11つ審査する人たちが必要だということです。それをやれば、国としてもデータベースは本当に有意義に活用できると考えております。

○千葉委員長 この点について、ほかにいかがですか。

○小国副委員長 石川先生の御意見に大賛成ですが、患者さん側として同意するということに関しては、恐らく信頼性がないと同意できないと思います。今3つ少なくともあるわけですから、例えばこれがどういうふうに使われているのか11つ見ていかないといけないという、非常に複雑な状況になっており、患者さんとしては同意していいものかどうか分からないという状況になると思います。ですから、1つ大きなデータベースを集約し、そこが監査するというものであれば、患者さんも同意しやすくなると思います。従って、データベースを安全かつ個人情報の面においてもクリアできるように、総括的なものを国で作るほうが良いのではないかと思います。なかなか難しいとは思いますが、それを目指すことが大事ではないかと思います。

○千葉委員長 そのまま論点2に入っているわけですが、先ほど御指摘があったように、ここは非常に重要なポイントだと思います。そういう状況の中で、どのような同意書、あるいは個人情報保護について、どのような対策が必要かという辺りに関して、何か御意見を頂ければと思いますが、いかがですか。

○石川委員 同意書も小慢の同意書は最初は親がやるのです。ところが、大きくなっていって、18歳間際になってどうするのかという問題が出てきたり、これはすごく難しいです。私は「移行期」という言葉は余り好きではないのですが、移行期のところが大事なことです。そういう同意をどうするのかというのは考えなければいけないです。

○千葉委員長 それはおっしゃるとおりで、小児慢性から成人期の指定難病等々に移行してきた際に、先ほども少しお話がありましたが、再同意を取るのかどうかといった問題も一緒に論点になると思います。ほかはいかがですか。

○井田委員 この問題は非常にナイーブな問題を含んでいます。今までのお話を聞いてみると、きちんとしたデータベースを作るためには、個人を匿名化したままではなかなか難しいと私は感じました。個人情報の取扱いについて患者さんの御意見をお伺いしたいと思います。

○森委員 なかなか患者団体1つの意見というわけにはいかないと思いますが、やはり、これがどのように使われるかということがはっきりしないと、難病を克服したいというのは誰もが願っていることですので、そのために自分自身のデータが役に立つのであればというところは、非常に皆さんも思っていると思います。その点で個人的な部分を、ある程度のところまで出してまで難病の開発、克服に向けてやっていくことができるのか。それとも、匿名化されたものでないと困るのかというところは、それぞれの方にとっても違いますし、それぞれの内容によって、どこまでの深みを持った研究であるのかということによっても同意するかどうかも違うと思いますので、その辺りの説明が大事で、患者や保護者の方に分かる説明をしていただき、納得した上での同意になるかと思います。

○本間委員 今の森さんのお話に付け加えたいのですが、私がやっているあせび会という希少難病の患者団体では、例えば、神経線維腫症I型というレックリングハウゼン病ですが、この医療講義会を毎年1回、3月にやっているのです。そのときに、その年度までに各大学病院で、私どものデータを使って研究した結果はどうなったかというのを、必ず報告を頂いているのです。ここまで進んだ、これは分からないというのを、我々患者家族向けに、分かりやすく説明していただいているのですが、そうすると、なるほどこうなっているのかと安心できますね。ただ、不特定多数のデータベースの大きいのまで、きめ細かくデータ提供した患者家族にまでそれを還元していただけるのかどうか、そこは少し不安なのです。出しっ放しでは、その結果は何だったのだろうかという、その辺の不安があって中には嫌だという人もいるのだと思います。その辺の患者家族への還元方法を是非ひとつ、むしろ医療側に期待したいのです。ただ、難しい研究成果を我々のほうまでどうやって還元していただけるのか、その辺は患者側でも勉強しなければいけないのですが、その辺の接点が難しいというのが、今、実感です。以上です。

○小林委員 今の森さんと本間さんの意見は全くそうだろうと思います。特に小慢の場合には、先ほどもお話が出ましたが、病気自体の全体像がつかみにくい。小児医療費とか乳児医療費という制度との問題から起きていることです。全体像がつかみにくい中で、治療などをどういうふうに重ねるかという部分については、非常に不透明な所が感じられると思います。その辺をどうするのかというのも1つお考えいただきたいと思います。

 先ほどもお話がありましたが、年齢の問題ですが、幼いときには親御さんがサインして、成長すると本人がとなるのですが、確かに再同意ということは必要ではないかと。というのは、大きくなった患者さんと親御さんの間で、子供さんは治療法の相談に自分は関与できなかったというようなトラブルをよく耳にするわけで、成人に達した子供さんは、そのときはもう大人になっているわけですから、そういった努力もしていただかなければいけないのではないかと感じています。

 小児の場合にはそんなふうに幾つかの課題が残っています。もう1つは、最近ハッカーというのがあって、コンピューターの管理というのは、最近のニュースで取り上げられているようにあんな簡単に580億円もなくなってしまうわけですから、今の世の中のそういう方面の信用はかなり崩れているような感じがしています。その辺の対策も十分お願いしたいと思います。

○千葉委員長 今の患者団体の皆様等からの御意見をまとめると、やはり、患者情報の流出については非常にナーバスになっておられますので、そこの基本的なシステムの構築は極めて重要だとおっしゃっておられるのだと思います。そういう意味では、匿名化というのは当たり前の話です。

 ただ一方で、論点3の話と併せて考えますと、小児期から成人へという流れと、更にAMEDのプラットホーム等々との連結を考えると、やはりデータの連結、したがって連結匿名という点はクリアしていかないと、データの有効利用にはならないと思うわけです。恐らくそういったような御意見も含まれていたと思います。ほかはいかがですか。

○西澤委員 今日まだ出ていない議論ということでよろしいですか。AMEDでデータベースの議論をしているときは必ず出てくるのですが、まずそのバックアップをどうしておられるかということです。秋丸先生と掛江先生に是非教えていただきたいです。それと併せてBCP(ビジネスコンティニュイティープラン)がどうなっているかということを御紹介いただければと思います。

○秋丸参考人 指定難病のデータベースに関しては、そのバックアップはクラウド上で、きちんと構築をしております。先ほどの疾病登録センターの構成図を調査員にはお示ししておりませんが、実はクラウド上、これはマイクロソフトアジュールというのを使っております。本体、データベースが格納される部分は西日本リージョン、一方でバックアップを取るリージョンは東日本リージョンとしております。これを定期的に運用保守の中でバックアップリージョンに、きちんとデータをバックアップしてBCPを担保するというふうに、構築、設計して運用することにしております。

○掛江参考人 小慢のほうですが、小慢も一応基本設計を同じ形で東西にバックアップを取る形になっております。ただ、現在はQRコード入力も始まっておりませんで、成育内の登録センターで、全国の医療意見書の中央入力を稼動し始めたところです。ですので、今のところは独自のサーバーにバックアップを定期的に取らせていただく、暫定的な対応をさせていただいております。未来設計としては、難病様と同じような形で、クラウド上でマイクロソフトアジュールを用いて東西にバックアップをとる予定でございます。

○千葉委員長 何かありますか。時間が少し過ぎましたので、そろそろということを考えたいと思います。先ほどお話があったように、これは非常に大きな問題で、このぐらいの時間で何回かというところで、なかなか完成品を作っていくのは非常に難しいのは分かっております。今日のところは、フリーディスカッションということで、皆様にいろいろな御意見を出していただけたらということでした。したがって、まだまだ御意見はあると思いますが、これは個人的にでも結構ですので、伝えてくださればと思います。いろいろ問題が出てきましたが、やはりこれはきちんとしたシステムを作らないといけませんが、論点があまりにも多過ぎて、個別の問題はかなりあるので、先ほども少し出ていましたが、第三者委員会のようなものを設けて、その都度相談するというか、審議するという方策もこの中には入れていかないといけないのかと1つ感じたところです。まだまだ御意見はおありかと思いますが、取りあえず今日のところはこのくらいにさせていただきたいと思います。事務局からお願いします。

○田中難病対策課長補佐 活発な御議論を頂き、ありがとうございました。議論の時間が短いという御指摘もあるかと思います。何か付け加えて御意見がありましたら、事務局にメールなどでお送りいただければと思います。おおよそ3回ぐらいでという目安として事務局では考えておりますが、石川委員からもなかなか難しいのではないかという御意見もありましたので、今後の御議論については委員長とも御相談させていただいて、回数等も見直してまいりたいと思います。頂いた御意見は非常に大きな未来のデータベースの在り方から、実際にすぐに比較的近いところで対応できるのではないかというようなものまで、様々なものを頂きました。事務局で少し整理をさせていただいて、次回、今後どのような形で議論を進めていただくのかということをお示しさせていただければと考えております。次回の日程については、決定次第御案内させていただきます。本日はどうもありがとうございました。事務局からは以上です。

○千葉委員長 それでは、どうもありがとうございました。確かに大きな問題ですので、少し個別に少しずつディスカッションする必要があるかもしれません。ありがとうございました。


(了)

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