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2018年11月21日 第19回診療報酬調査専門組織・医療機関等における消費税負担に関する分科会議事録

○日時

平成30年11月21日(水) 11:07~12:46

 

○場所

全国都市会館大ホール(2階)
 

○出席者

荒井耕分科会長 野口晴子委員 吉村政穂委員 川原丈貴委員 吉森俊和委員 幸野庄司委員
平川則男委員 間利子晃一委員 田中伸一委員 中川俊男委員 松本純一委員 猪口雄二委員 
伊藤伸一委員 三井博晶委員 森昌平委員 折本健次委員 五嶋淳夫委員
<事務局>
樽見保険局長 山本審議官 渡辺審議官 森光医療課長 樋口保険医療企画調査室長
古元企画官 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

1 配点方法見直しのシミュレーションについて

2 「医療機関等における消費税負担に関する分科会」における議論の整理(案)について

○議事

 

○荒井分科会長
ただいまより、第19回「診療報酬調査専門組織 医療機関等における消費税負担に関する分科会」を開催します。
まず、委員の出欠状況について御報告します。
本日は、榊原委員が欠席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○荒井分科会長
それでは、議事に入らせていただきます。
まず「配点方法見直しのシミュレーションについて」を議題とします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局から資料の説明をお願いします。
○樋口保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長です。私のほうから、資料に基づきまして御説明いたします。
最初にですけれども、本日、当初はペーパーレスの会議の予定でございましたが、ペーパーの配付とさせていただきましたので、その紙に基づきまして御説明させていただければと思います。
税-1「配点方法見直しのシミュレーションについて」という資料の2ページ目でございますが、前回、今までの分科会で御提案させていただいていた配点方法の見直しに関連しまして、実際にその配点方法の見直しをやった場合のシミュレーションを示すことができないかという御提案をいただいておりましたので、シミュレーションさせていただいたという資料でございます。
最初に、シミュレーションの前提でありますけれども、まず、見直しの内容につきましては、4点挙げさせていただいております。今までの分科会で挙げさせていただいていた点でございます。
「1 算定回数」につきまして、直近の通年実績のNDBデータを使用して、より適切な配点を行うこと。
「2 課税経費率」のとり方でございますが、一般病棟入院基本料・療養病棟入院基本料につきまして、病院全体の療養病床の割合で分類いたしまして、課税経費率を見る。
また、精神病棟入院基本料につきましては、精神科病院の課税経費率を見ることとするということ。
「3 入院料の配点」ということで、収入に占める入院料のシェアを考慮して、補てん点数を決定していくということ。
「4 初・再診料と入院料の配分」としておりますが、診療所に配分される財源につきまして、まず、無床診療所の補てんを考慮いたしまして、初・再診料に配分を行うこととし、病院における初・再診料と入院料の比率を変えまして、入院料の割合を高めるということでございました。これに基づきましたシミュレーションということであります。
3ページ目に、シミュレーションを行う上での仮定、前提、留意事項につきましてまとめさせていただいております。
最初の○でありますが、次の改定に当たりましては、直近のデータと来年度予算に基づいて補てん点数を計算することになりますけれども、これらのデータは現時点で把握できないということでございますので、今回のシミュレーションといたしましては、今回の見直しに基づく配点をしていた場合、消費税負担を前回5%から8%に引き上げた3%の分の補てんがどのようになっていたかを、2016年度の実績の数値に基づきまして、過去にさかのぼってシミュレーションをするということでございます。
2つ目は、このような配点のし直しをしていた場合でございますが、過去にしていたとすれば、本来は課税経費率や算定回数等に影響を与えていた可能性もございますが、その点の反映は難しいということでありまして、機械的に今回は算出したということで、そういう点での精度に限界があることを御留意いただければということでございます。
3つ目の○は、シミュレーションの対象でありますが、そのうちの一つの「医療機関種別(病院・診療所・歯科診療所・保険薬局)」ごとのシミュレーションをしてみたということ。
また、2つ目で、この中の病院のうち「入院基本料と特定入院料の構造の類型化が比較的容易な精神科病院と特定機能病院」を対象にして実施させていただいたということでございます。
○の4つ目は、従来、補てん状況調査の結果を公表してまいりましたけれども、その際にお示ししていた留意点等が今回も該当するということであります。
例えば、課税経費率につきましては、医療経済実態調査のサンプル調査に基づいてやっているということ。もしくは、セクターごとの平均的な医療機関におきまして、補てんできるように配点することなど、基本的に従来の留意点は今回のシミュレーションも同様であるということでございます。
○の5つ目は、使用したデータでございます。これは直近の補てん状況調査と同様でございまして、課税経費率は前回の医療経済実態調査に基づくもの、算定回数につきましては、2016年度のNDBのデータからとってきているということでございます。
シミュレーションの結果を4~5ページ目に記載しております。
4ページ目でありますけれども、左側の表が、病院・一般診療所・歯科診療所・保険薬局の前回の実績であります。これはもう御案内のとおりで、病院が85%、一般診療所が111%、歯科診療所が92%、保険薬局が88%ということでございました。
今回御提案している見直しを反映させたシミュレーションをしたところ、補てん率につきましては病院が100.6%、一般診療所が99.8%、歯科診療所が98.7%、保険薬局が97.7%ということであります。
補てん差額につきまして、一般診療所でいいますと、年間1施設当たりマイナス1千円、歯科診療所はマイナス6千円、保険薬局はマイナス7千円ということでございまして、こういった100%になっていない、端数が出ていることにつきましては、補てんの割合を補てんの点数に反映させる際に、小数点以下につきまして、四捨五入して反映させているといった意味での端数がどうしても出てしまっているということであると、基本的に御理解いただければと思います。
5ページでありますけれども、病院の中でございます。
挙げさせていただいたのは、まず左側が前回のものでありますが、精神科病院と特定機能病院はそれぞれ規模感は全く異なるものではございますけれども、前回の実績といたしましては、補てん率は精神科病院は129%、特定機能病院は61%ということでございました。
今回のシミュレーションの結果で申しますと、精神科病院でいいますと、補てん差額が年約7万円、補てん率は100.7%ということであります。一方で、特定機能病院は102.5%ということでございます。
今回の見直しによりまして、補てんの状況が相当程度是正されると申し上げておりましたけれども、シミュレーションした結果もそれを裏づける内容になっていると理解しております。
繰り返しになりますけれども、実際の今後の作業といたしましては、来年に2%消費税が上がる分も含めて、5%につきまして配点の見直しをしていくことになります。そういう意味で、2%分消費税率が上がる部分を乗せていく中で調整をしていくということでございますが、作業といたしましては、前回の3%分を一旦リセットいたしまして、今回の見直し内容を反映して、5%分について今回のやり方を反映してやっていくことを考えておりますが、シミュレーションとしては過去にさかのぼってということでありますので、3%の部分でシミュレートさせていただいたということでございます。
残りの資料は、前回の補てん状況調査の結果を参考で添付させていただいたものでございますので、説明は省略いたします。
以上です。
○荒井分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について、何か御質問等がございましたら、どうぞお願いします。
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
前回、シミュレーションをお願いしますということで、早速、御対応いただいたということで、前提があるとはいえ、こういう結果が出たことを拝見しました。ありがとうございました。
○荒井分科会長
ほかにはいかがでしょうか。中川委員、どうぞ。
○中川委員
上手に100%前後になっていて、上手なシミュレーションをしたとは思いますが、ばらつきはどんな感じでしたか。言える範囲で教えてください。
○荒井分科会長
では、室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
これはまさに各医療機関の支出の構造、収入の構造がもともと千差万別というのがございますので、その中でセクターごとに平均的な姿で補てんができるように配点するという考え方でやってまいりました。そういう意味で、当然、課税経費が高いところは補てん状況が悪くなるとか、消費税を上乗せした部分の項目の算定回数が少ないところは収入が悪くなるとか、その逆の場合であればよくなるとか、ばらつきは残るということでございます。
○中川委員
だから、大体の幅を教えてくださいと言っているのです。言えないのですか。
○樋口保険医療企画調査室長
作業上、こういうシミュレーションをし直した場合の分布を見るという作業はしておりませんので、御説明できる状況にはないということでございます。
○中川委員
そうですか。ここで言わないほうがいいというわけですね。
○樋口保険医療企画調査室長
実際に作業していないものですから、見れていないということでございます。
○中川委員
作業していないって、あれは自動的に出るのではないのですか。
○樋口保険医療企画調査室長
あくまで平均的な姿で補てん割合が出るように作業させていただいています。
○中川委員
いや、ここでは言えませんと言ってくれればそれで終わります。ばらつきは当然、一定程度ありますよね。ですけれども、ここではいろいろな意味で言えませんということですね。
○樋口保険医療企画調査室長
実際にデータを出させていただいていないので、御説明できないということでございます。
○荒井分科会長
ほかにはいかがでしょうか。幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
配点方法見直しのシミュレーション結果を見ると、非常にきれいな数字が出ているのですが、まず教えていただきたいのは、歯科診療所と保険薬局の92.3%と88.3%の補てん率が100%近くまで改善するのは、直近の通年実績のNDBデータを使用して算定回数を見込んだことによるのでしょうか。
○荒井分科会長
室長、お願いします。
○樋口保険医療企画調査室長
以前も算定回数の見込みと実績が違うというデータをお示しさせていただいておりました。実績を反映したものが大きいと認識しております。
○幸野委員
改善した理由は、直近の通年実績のNDBデータを使用して算定回数を見込んだことのみということですか。
○樋口保険医療企画調査室長
それが大きいということでありますけれども、それだけではありませんで、まさに補てんが必要な財源を振り分ける。今まで補てんを行う対象となる診療報酬の項目をお示しさせていただきましたけれども、その中で微調整をして、こういう姿になっているということでございます。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
わかりました。
次に、一般診療所の111.2%だった補てん率が99.8%へと、きれいな数字に置きかわっているのですが、この要因は初・再診料と入院料の配分の見直しや、NDBデータの使用による算定回数の見込みの違いによるものなのですか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
御指摘のとおりでございます。
○幸野委員
差し支えなかったら教えていただきたいのですが、一般診療所の初・再診料は、何点の点数を配点してシミュレーションされたのでしょうか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
今回、シミュレーションするに当たって、配点をし直しして、その配点に基づいてシミュレーションをしておりますので、点数設定はしております。ただ、御説明させていただきましたけれども、一旦、前提をおいてやらせていただいているということもありますし、今回、3%分し直した分は、実際には実現しないといいますか、次回は5%の分をどうするかを、今回の見直しの考え方に基づきましてやっていくということでありますので、過去の点数が今、変わるということでもないものです。そういったさまざまな前提の中で作業をしているということでありますので、それをお示しすることは無用の混乱を生じさせるおそれもあると考えておりまして、御説明するのは差し控えたいと思います。
実際は、今後、5%の場合にどういう点数になるか、今回、御提案させていただいている見直しを反映させた点数になるかというのは、これは中医協の総会になると思いますけれども、その点数の案をその場にお示しさせていただいて、御議論いただくような段取りにしたいと思っております。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
あくまで、シミュレーションなので、できれば配点した点数ぐらいは示していただいてもいいと思うのですが、それは残念です。
いずれにしろ、平成26年4月の消費税引上げ時に設定した一般診療所の初診料282点と再診料72点が高過ぎた点数だったという理解でよろしいですね。
○荒井分科会長
室長、お願いします。
○樋口保険医療企画調査室長
今回の見直しで、診療所の中での配分、初・再診料のつけ方の見直しも行っておりますし、課税経費率等の直近のデータを反映させる等の作業もやっておりますので、その結果が反映されたものだということでございます。
○幸野委員
ですから、一般診療所の初診料と再診料の設定点数が高過ぎたのかどうかをイエスかノーかでお答えいただきたいのですが。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
今回のシミュレーションについては、前回お示しした前提に基づいてやった場合にどうなのかをお示ししました。点数が高過ぎたか高過ぎでないかというのは、逆に言うと、そういう無用な混乱を避けるために、今回は点数についてはお示ししておりません。
そういう前提の上で点数を仮定してこのシミュレーションを出しておりますけれども、それをもとに高かったとか安かったなどという議論をしていただくのは不適切だろうと思っております。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
以前の資料で、NDBデータでは診療所と病院の区分が把握できないというふうな資料が出ていたのですけれども、算定回数を数えるに当たり、そこはどう対応されたのですか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
これも以前ございましたように、NDBデータは病院と診療所に分けられないというのがございますので、そこはまとめたものを前提として作業しているということであります。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
まとめたというのはどういうことですか。いわゆる診療所の初・再診料の算定回数をどのように把握したのかを知りたいのですが。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
お待たせいたしました。
4ページのシミュレーションの資料があると思います。これは従来からこういう表でお示しさせていただいておりまして、一番上の項目です。「報酬の上乗せ分」がAで、Bが「3%相当負担額」となっております。
3%相当負担額がどれぐらい報酬で補てんされているか、このBに対してAがどうかということで補てん率を出しているわけですけれども、「報酬の上乗せ分」のAのところで診療所の数字を出すときには、診療所分のNDBデータの算定回数が反映されているものにしているということです。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
ちょっと理解できないのですけれども、要は推計されたということですね。
○樋口保険医療企画調査室長
推計ではなくて、実績の算定回数から、報酬に上乗せされている分がどうかを出しているということです。
○荒井分科会長
よろしいですか。中川委員、どうぞ。
○中川委員
シミュレーションで、初・再診料に上乗せした分は、診療所と病院で違うのですか、同じですか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
同じです。
○中川委員
同じですか。前回上乗せした点数とはもちろん違うのですね。
○樋口保険医療企画調査室長
そうですね。
○中川委員
どのぐらい違うのですか。それも言えませんか。
○森光医療課長
先ほど説明させていただきました理由で、具体的な点数については申し上げることはできません。
○中川委員
わかりました。
○荒井分科会長
ほかにいかがでしょうか。猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
確かにシミュレーションでは、もう100%ちょいちょい上下の数字で非常にきれいに並んでいますので、本当にこれが10%のときにもこうなってくれるといいなと思います。
過去につけた点数を今回どう変えたかというのは、いろいろと憶測を呼ぶので申し上げられないという理由はわかるのですけれども、今回、この後、10%に向けて点数をつくるときには、詳細にどこの数字がどうで、入院基本料だったらどれを何点にして、結果としてこうなったというのを詳細に出していただかないと、これを出していただいて、御想像にお任せしますと言われても、それをやられてしまうと本当に検証のしようもないので、そこのところはぜひ細かく数字を出していただくということをお願いしたいと思います。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
御指摘を踏まえて対応したいと思いますが、これは通常の改定と同様、まさにどの項目に何点ということを案としてお示しして、御議論いただくようにしたいと思います。
○荒井分科会長
猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
それもそうなのですけれども、むしろそれが何点になったかの計算根拠を知りたいと思っているのです。そこがわからないと検証ができないのですよ。ですから、結果ではなくて、そこに至る経過も計算方法も教えていただきたいということです。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
御指摘を踏まえて、できるだけ対応したいと思います。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
シミュレーションにおいては、一般診療所の初・再診料の点数設定がファーストステップになると考えますが、それが何点かということを教えていただかないと、このデータが本当に正しいかどうかはわからないので、それが言えないということが理解できないのです。
○荒井分科会長
室長、いかがですか。
○樋口保険医療企画調査室長
直近の2016年度の実績の結果を公表しておりましたけれども、御案内のとおり、補てんの超過と不足があったということであります。この3%の部分を今回の見直しで再調整するとなると、当然、点数は上がるところと下がるところがあるということであります。
ただ、実際は、今後の作業といたしましては、来年、5%になる中で今回の見直しを反映させた形にしていくということなのですけれども、点数の話だけ単純に申し上げると、今の点数がすぐ上がるとか、すぐ下がるというふうに誤解を与えないかということを我々も心配しております。
そういう意味で、透明性を確保しながら御議論いただく形で、できる限りの努力をしたいと思ってやってきておりますし、5%に向けては、今、複数御意見もいただいておりますので、具体的な点数とその考え方といいますか、その出していく過程につきましてできる限り説明して、御議論いただける形にしたいと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、このシミュレーションのところは差し控えさせていただきたいと考えております。
○幸野委員
では、今後に期待します。
○荒井分科会長
この件ではほかにございませんでしょうか。よろしいですね。
続いて、「『医療機関等における消費税負担に関する分科会』における議論の整理(案)について」を議題とします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いします。
室長、お願いします。
○樋口保険医療企画調査室長
税-2の資料に基づきまして御説明します。今まで当分科会で御議論いただいてまいりました内容を整理させていただいたものでございます。
1ページ目に「はじめに」とさせていただいておりますけれども、1つ目の○から順を追って説明いたします。
1つ目は、まさに来年、消費税率が10%に上がることに向けて、診療報酬での対応に関する検討を行ってきていただいたことを挙げております。
2つ目の○からでありますけれども、この議論の過程の中で、2014年度の補てん状況調査の結果につきましての誤りの経緯に触れさせていただいております。
2つ目の○でありますけれども、マクロでは当時、おおむね補てんされていることが確認された旨が報告されたということでありましたが、その後、2018年まで調査は行われなかったとしております。
その次の○でありますけれども、補てん状況調査に誤りがあったことを報告いたしまして、あわせて直近の2016年度の補てん状況調査の結果も公表いたしまして、全体の補てん不足及び医療機関種別ごとの補てん率のばらつきが見られることが報告されたとしております。
補てん状況調査につきましては、補てん状況について誤った認識を生じさせていたことになるということで、この点につきまして、我々から当分科会におきまして謝罪をさせていただきましたけれども「当分科会として、誠に遺憾であり、再発防止の徹底を求める」と記載させていただいております。
項目の2番目からが、実際の見直しの内容であります。
1でありますけれども、まず、10%への引き上げ時の具体的な対応は、改定項目の詳細、具体的な引き上げ幅は、今後、内閣により決定される改定率を踏まえまして、中医協総会で検討すべき事項であるということで、当分科会におきましては、今までの補てん不足、補てん率のばらつきに係る要因分析を行っていただきまして、これを解消するための配点方法の見直しについて御議論いただいていたということであります。
なお書きで書いておりますけれども、次の改定に当たりましては、消費税率が5%から8%に引き上がった部分も含めまして、消費税率5%から10%の部分について、将来に向けて補てん状況が是正される配点とする方針であるとしております。
具体的な見直しは(1)以降で、まず「1 課税経費率について」のところであります。
先ほどのシミュレーションのところでも挙げておりましたけれども、病棟の区分につきまして、一般病棟と療養病棟の入院基本料について、療養病床の割合が6割未満と6割以上で区分する。精神病棟入院基本料につきましては、精神科病院における課税経費率を算出したところ、変化が見られたということでありまして、実態に即した適切な補てんを行う観点から、こういった区分に見直すこととしております。
3つ目の○は、その他の課税経費率に係る取り扱いでありますが、これは基本的に前回の改定時の整理を踏襲するということでありまして、ポツを3つ振っているのですけれども、1つ目が、看護配置基準ごとに課税経費率を見てみてはどうかというのも議論としてはございましたが、やってみたところ、特定の傾向は確認できなかったということで、それぞれの入院基本料の課税経費率の平均を見ることとしております。
2つ目のポツでありますけれども、1つの入院基本料のみ届け出ている病院の課税経費率を見てみようとしたということでありますが、こうするとサンプル数が大きく減少するということで、これは病院におきまして複数の入院基本料を届け出ることが多いという実態を示していると考えられるため、3ページ目に続いておりますが、当該入院基本料以外の入院料を届けている病院も含んだ課税経費率の平均を見ることとしております。
3つ目のポツが、サンプル数が少ないものにつきましては、一般病院全体の課税経費率を適用するなど、従前の取り扱いとするとしております。
2が入院料の配点でございますが、収入に対する入院料の収入額の割合を入院料のシェアと言っておりましたが、これを考慮せずに前回は補てん点数を決定していたということでありました。このため、入院料シェアが相対的に高い病院種別は補てん超過の傾向に、入院料シェアが相対的に低い病院種別は補てん不足の傾向になったものと考えられるということで、今回につきましては、病院種別や入院料別ごとの入院料シェアも考慮して、消費税負担に見合う補てん点数を決定することとしております。
3が初・再診料と入院料の配分のところで、前回の改定は、診療所に配分される財源をほぼ初・再診料で使い切る配点方法としていたところ、病院と診療所の初・再診料の点数が同一でありますので、結果として、病院に配分される財源の中で、初・再診料と入院料のそれぞれの割合が自動的に決まっていたということでありまして、2つ目の○で、今回の見直しに当たりましては、まず無床診療所の補てんを考慮いたしまして、初・再診料に配分を行うことといたしまして、病院における初・再診料と入院料の比率を変え、入院料の割合を高めることとするとしております。
4つ目が使用するデータで、1つ目の○が、算定回数の見込みと実績の違いがあったということでありまして、これが全体の補てん不足にも影響を及ぼしていたということでございます。
2つ目の○でありますけれども、病院と診療所間の医療費シェアの差がその後、拡大いたしまして、医療費のシェアの差の拡大と病院の課税経費率の上昇が、病院、診療所間の補てん状況に影響を及ぼしていたと考えられるとしております。
これらを踏まえまして、次の改定に当たりましては、課税経費率は直近の医療経済実態調査の結果を用いる。また、算定回数につきましては、直近のNDBデータの通年の実績データを用いることで、可能な限り実態を踏まえた形でやっていきたいということでございます。
5番目が「個別項目について」で、これにつきましては、診療側の委員からは、消費税率が0~5%の際に個別項目につけたけれども、改定が繰り返されて補てん点数がわからなくなってしまったことも踏まえると、個別項目につけるべきではないということ。また、個別項目を対象にしても、どこまで精緻化されるかもわからないことを御指摘いただいておりました。
一方で、支払側の委員からは、診療所が補てん超過となっていましたけれども、初・再診料だけで補てんすることとしたのが問題ではないかと、診療所の算定項目と課税経費率のデータを見て、個別項目を検討するべきではないかといった点。
また、まず本当にばらつきが出ないのかを検証してみないと結論が出ないといった意見をいただいておりました。
この点は、まず病院に係るデータの分析をさせていただきましたが、個別項目のうち、「検査」と「手術」の占める割合が高かった。
各個別項目の変動係数は、個々の病院のばらつき度合いでございますが、検査については入院基本料、特定入院料に続いてばらつきが小さかった一方で、「手術」の占める割合は病院ごとでばらつきが見られるということがございました。
ただ、「検査」「画像診断」「投薬」等の項目につきましては、DPC対象病院においてはそのほとんどが包括点数の中に含まれているため、補てん項目としては適切ではないということ。
また「手術」につきましては、課税経費率との相関関係があるかを見たところ、特段の相関関係は見られないことが確認されたということであります。
次の○は、診療所が算定する個別項目について、病院と同様の分析ができないかということでございますが、病院の場合はDPCデータというものがございましたけれども、診療所につきましては、データの入手や分析に一定期間の期間を要するということ。
また、仮に病院と診療所で何らかの傾向の違いがあったとしても、例えば、検査や処置、手術等の個別の診療行為につきまして、病院が算定する場合と診療所が算定する場合で異なる点数とすることは適切ではないと考えられる。
さらにその次の○でありますが、今回お示しさせていただきましたシミュレーションを行ったところ、医療機関種別、病院種別ごとのばらつきが相当程度是正されると見込まれることが確認されたということであります。
6ページ目に続いておりますが、「以上より」ということで、個別項目についての結論を書かせていただいております。
ポツを4つ振っておりますのは、今までの記載の繰り返しでありますが、こういったことを踏まえますと、2019年度の改定に当たりましては、2014年度改定と同様の整理で、「基本診療料・調剤基本料に点数を上乗せすることを中心に対応し『個別項目』については、基本診療料・調剤基本料との関係上、上乗せしなければ不合理になると思われる項目等に補完的に上乗せする」こととするとさせていただいております。
(2)が「歯科」で、2014年度の改定時には、歯科の各医療機関に共通した報酬であることや、消費税対応分を簡潔かつ明確にする観点から、歯科診療報酬における財源は、原則として初・再診料に配分するとされました。次回の2019年度の改正に当たりましては、基本的にこの考え方を踏襲することといたしております。
なお書きでありますけれども、算定回数の見込みと実績の差の問題というものがございましたので、補てん点数の設定に当たりましては、直近の通年実績のNDBデータを使用して、より適切な配点を行うこととさせていただいております。
7ページが「(3)調剤」で、これも同様でございますが、前回の改定でいいますと、保険薬局に共通した報酬であることや、消費税対応分を簡潔、明確にする観点で、調剤報酬における財源も、原則として調剤基本料に配分することとされておりました。基本的には、次の改定に当たりましても、この考え方を踏襲することとしております。
なお書きでもありますが、算定回数の件については、直近の通年実績のNDBデータを使用して、より適切な配点を行うこととさせていただいております。
「3.おわりに」でございますが、1つ目の○は、計算ミスのことにつきまして触れさせていただいております。
厚生労働省は、誤った補てん状況調査を公表していたことを真摯に受けとめ、まずは当然のことながら、今後、このようなことが起こらないよう、他のデータによる確認、複数の職員による重層的なチェックなどによる正確な調査を徹底するべきであるとしております。
○の2つ目ですけれども、その上で、医療機関等の課税経費率や医療費シェアなどにつきましては、経年で変化するものであり、消費税率10%への引き上げ時の対応として、診療報酬改定を行った後も、適切な補てんがなされているかについて調査することが重要である。よって、消費税率10%への引き上げ後の補てん状況については、必要なデータがそろい次第、速やかにかつ継続的に調査することとさせていただいております。
以上でございます。
○荒井分科会長
ただいまの説明について、何か御質問がありましたらどうぞ。
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
2ページの消費税率10%への引き上げ時の対応についての、最後のなお書きのところなのですけれども、これをどのように理解すればいいかということなのですが、今回の2%消費税が上がる分については、前回の5%から8%に上がった3%分も含めて、5%で補てん状況のばらつきが是正されるような配点にするという意味でしょうか。
○荒井分科会長
室長、お願いします。
○樋口保険医療企画調査室長
ここの記述につきましては、来年、消費税率が上がるのに向けて改定を行うことでございますが、改定を行った以降の補てんにつきまして、前回、5%から8%に引き上がった3%部分で補てん不足やばらつきがあったことを、今回、御提案させていただいている内容を踏まえて見直し、2%上がる部分についても見直す。これを来年、消費税率が上がったことに関連して、それ以降の分について是正をさせていただくという意味で書いております。
○荒井分科会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
そうしますと、今回というか、現在乗っている3%の対応部分はやりかえて、5%で対応しましょうというふうに理解すればいいわけですね。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
御指摘のとおりであります。
○吉森委員
では、最後のところの「将来に向けて」というのはどのように理解すればいいのでしょうか。今回、2019年度に対応するのを踏まえて、この「将来」というのが理解できないのですが。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
まさに今回の改定をやって以降のことを言っているということでございまして、改定をやって以降、補てんする必要がある額に対して、今回の改定を適用させていって、補てんが適切に行われるようにしていくという意味で、「将来に向けて」と書かせていただいております。
○吉森委員
ということは、2019年度の改定のほかに、さらに10%から上がるところを想定してという意味ですか。中医協でそんなことを想定しておく必要があるのでしょうか。
○樋口保険医療企画調査室長
そこまでの想定はしておりませんで、あくまで前の3%と来年の2%の部分のことについて記載しているということであります。
○吉森委員
それは理解しましたけれども、この「将来に向けて」という意味がよく理解できないので、御質問しているのですが。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
これについては、要するに、10%に上がった以降、ちゃんと補てんが是正される配点としたいということで、この文章自身は、2%つけたところを見直す話ではなくて、根っこの5%から10%、根っこからの3%の部分も含めて見直しをしていきますということを書いている文章でございます。
○荒井分科会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
そこはわかるのですけれども、「将来」という理解がよくわからない。何を意味されているのか。今回、その見直しにつけては3%に含めて2%と同時に、19年度に見直しますよというのは理解したのですけれども、「将来に向けて」という「将来に向ける」という意味が、今回やった結果を検証しましょうという意味なのか。その辺は先ほど、猪口委員からもおっしゃったように、しっかりどういうものを剥がして、どうして5%をどうつけたかというのは私は必要あると思いますけれども、その辺のことをおっしゃっているのかがちょっとよくわからないのです。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
正直、余りこれ自体には深い意味を考えておりませんで、まさに前回、5%から8%に上げた分の3%について不足とばらつきがあった。その是正と来年2%上がる分を合わせて5%分について、今回の見直しを反映するということでありますが、特に過去3%部分について、次の改定以降、是正を反映させますという、単純にそれだけのことを考えて書いているつもりであります。
○荒井分科会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
でしたら、文章としては「5%から10%の部分について、補てん状況が是正される配点とする」ですっきりしてよろしいのではないですか。何で「将来に向けて」と入っているのかがひっかかっているところなので、これはいかがなのでしょう。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
「将来に向けて」の部分は削除させていただきます。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
今のところですが、今回のように、4年間以上も放置してということがないように、19年に改定したら、定期的に検証して、診療報酬改定ごとに是正するという意味も含まれますね。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
そこの点については、7ページの最後の文章にありますように、今回の反省を踏まえて、「よって、消費税率10%へ引上げ後の補てん状況については、必要なデータが揃い次第速やかに、かつ継続的に調査する」ということでやっていきたいと思っております。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
「データが揃い次第」ではなくて、「速やかにデータを収集して」ではないですか。そして、出たデータは速やかに公表することを怠ったために、長い間、医療機関が大変な苦労をしたということですよね。
その上で確認ですが、どんなに精緻に診療報酬で補てんしても、医療機関ごとのばらつきは解消しないと思いますが、事務局も明確にそのように思いますね。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
個別の医療機関ごとのばらつきについては、先ほど説明したように、そもそも収入と支出のそれぞれについて、運営の状況がそれぞれ違っていますので、私どもは平均値について、先ほどもシミュレーションしましたけれども、個別の医療機関のばらつきについては解消できないと思っております。
○中川委員
最後の一言で十分でありました。
ということで、診療報酬の補てんだけではなかなか難しい。まさに将来に向けて、消費税率が10%にとどまるとは誰も思っていないのではないでしょうか。将来に向けて引き続き、医療機関の控除対象外消費税解消の議論はずっと続くという認識をお持ちですか。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
そのような認識でございます。
○中川委員
わかりました。ありがとうございます。
○荒井分科会長
田中委員、どうぞ。
○田中委員
同じ部分なのですけれども、2ページの「将来に向けて」というところは、私は削除しなくてもいいと思うのです。
意味は理解しますので、別に削除でもいいと思うのですが、ここのなお書きの文章はまさに7ページの「3.おわりに」の一番下で、今、話題に出ています検証の部分ですけれども、要するに、消費税の診療報酬への補てんが検証可能な配点というのは5%時からですから、それであればなおわかりやすいのは、「おわりに」の最後から2行目の「10%への引上げ後の補てん状況」というのは、「5%から10%への引上げ」と書けば非常に明快でありまして、検証すべき部分については、そのデータを見ながら継続的に調査していくことが、最後に非常に明快になるのだろうと思います。
もう一度、改めて確認ですけれども、補てん状況の検証は、データを集めて常にやるということですが、通常の2年ごとの診療報酬改定時にそれを配点として反映させるという理解なのか、それとも何かばらつきがあったら途中でやるのか。その点の確認ですけれども、2年ごとの診療報酬改定時に、ばらつきが出てしまえばそれを反映させるという理解でよろしいでしょうか。
○荒井分科会長
室長、お願いします。
○樋口保険医療企画調査室長
2点、御指摘いただきました。
1つ目は、補てん状況調査の対象の範囲でございまして、これは縷々今まで説明してまいりましたけれども、「5%から」の部分につきまして補てん状況調査をして、検証してきたということであります。皆さんの御理解がそうだということであれば、これはこのままとさせていただければと思いますということが1つです。
もう一つは、実際の検証の結果でありますけれども、1つは課税経費率を医療経済実態調査で把握して見ていくということもありますし、改定のタイミングをいたずらにふやすことも難しいと思いますので、医療経済実態調査の結果を見て、改定のタイミングの際に想定していたものと違いが大きければ、さらなる修正を考えることを想定しているということであります。
○田中委員
よくわかりました。ありがとうございます。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
最初に、今回のシミュレーションは非常に上手にできたと褒めたのですが、ばらつきは前回と今回を比べて、どちらがどうでしたか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
個々の医療機関のばらつきを見る作業をしていないものですから、責任を持ってこうですということの御説明は難しいと思っております。
○中川委員
作業はするのですか。今回のシミュレーションのときのばらつきのほうが前回よりも大きかったら、それはそれで新たな問題が発生するのですよ。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
今回のシミュレーションというのは、それぞれの医療機関種別ごとに平均を100%に合わせるということをしました。これまで、全体として見ていただければ、病院の種別ごとに、いわゆるピークとなるところが、例えば、特定機能病院だと61.5%あたりを中心に、普通の一般病院であれば85%あたりを中心にばらついていたと思われます。それが種別ごとに中心が100%に近づくということですので、ばらつきを実際に見てはおりませんが、考え方によっては、以前と比べて基本的にはばらつきは縮小していると思っております。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
ばらつきの中心が100だからといって、この形があるではないですか。それがどうなったかと言っているのです。形は常に一緒ではないでしょう。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
申しわけございませんけれども、そこについては、私どもは今、その分布については出しておりませんので、はっきりわかりません。ただ、基本は通常の統計のデータとしての山のイメージをお話しさせているということでございます。
○中川委員
ですから、ばらつきを見るその作業は進めるのですね。
○森光医療課長
基本的に、その作業については、ここの議論でどうしても必要かということと、実は私どもはこれから、速やかに次の5%に向けた作業をしたいと思っております。
○中川委員
将来に向けて必要だと思うのです。
○森光医療課長
次の5%に向けた議論の際に必要であるということであれば、それはここでお出しする等のことは検討させていただきたいと思っております。
○中川委員
だから、最初に戻りますけれども、言い方を変えます。シミュレーション前とシミュレーション後で、どちらか幅が広いのでしょうか。それもわからないですか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
申しわけありませんけれども、まさにそのデータを出していないものですから、責任を持ってこちらだというのは申し上げられないということでございます。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
4ページの「4 使用するデータについて」の2つ目の○のところで、2行目から「病院、診療所間の医療費シェアの差の拡大と、病院の課税経費率の上昇が、病院、診療所間の補てん状況に影響を及ぼしていると考えられる」というふうに、まさに医療費シェアと課税経費率に格差があるところが大きな影響を及ぼしているというところですが、課税経費率については、直近の実調の結果を用いるということですが、この言い方を踏まえて、医療費シェアについてはどのデータを用いるお考えなのですか。
○荒井分科会長
室長、お願いします。
○樋口保険医療企画調査室長
医療費シェアにつきましても、直近の実績を用いていくというふうに考えております。
○幸野委員
それは議論されていないと思います。前々回の9月19日の消費税分科会で、この医療費シェアと課税経費率の変動をどう考えるかというのが論点として出されましたが、その時に私は、財源の配分額に影響する医療費シェアと課税経費率の変動を加味した上で、病院と診療所間の財源を配分することが必要という発言をしました。特に反対意見もなかったと思うのですが、なぜ直近の実績を用いることに決まったのでしょうか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
医科、歯科、調剤や、病院、診療所間の医療費シェアの根拠になりますのは直近の実績だと考えておりまして、これまでもそういう形でやってきたということであります。これはまさに、把握することができる直近の実績を計算に用いていくものということでありまして、データはさまざまな変化をし得ることは、今回の資料の2にも書かせていただいておりますけれども、そういった変動を正確に推計することは難しいと思っているものですから、直近の実績をその都度見ていくことが大事だと思っております。
前回の2014年度の消費税の改定後、2018年まで調査がされていなかったことも御指摘いただいておりましたので、今後は改定後、速やかに調査を行いまして、継続的に検証していく。こういった対応をしていきたいということであります。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
でも、消費税が実際に引き上がるのは平成31年10月ということで、28年から2年半先の話ですよね。この間に医療費シェアのトレンドは変わる状況のなかにおいて、31年がどういうトレンドになるかは、ある程度把握できると思うのです。病院、診療所間の医療費シェアの差の拡大が補てん率に影響を及ぼしているにもかかわらず、なぜこのトレンドを使わないのかが疑問です。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
医療費のシェアは、さまざまな要因で変動し得るものだと考えておりまして、その意味で、過去の実績の動きをそのまま将来に反映すればいいということでも、なかなか正確なデータとは我々としては言いがたいというのがありまして、根拠のあるものとしては、直近の実績を反映させていくことかと考えております。
○荒井分科会長
ほかにはいかがでしょうか。吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
5ページの個別項目の話なのですけれども、前回、シミュレーションしていただいて、ばらつきが出ないか検証してほしいということで、今回の報告は、表面的には検証したらばらつきが出ていませんねという数値になっているのですが、先ほど来、中川委員からいろいろばらつきの分布はどうだ、前回と比べてどうだというお話を聞いていると、にわかにこれはばらつきがない、だからいいよと思って、個別はいいのではないかという意見にしようと思ったのですが、そこが今、分布を見てみないとわからないというなら、これはこのとおり結論を出すにはいささか早いのかなと思うので、事務局としては、このばらつきがないという結論でいいのかどうか、もう一度確認させていただきたいと思います。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
5ページの一番下のところだと思うのですけれども、「シミュレーション(※)を行ったところ、医療機関種別、病院種別ごとのばらつきが相当程度是正されると見込まれることが確認された」ということで、もともとこの議論については、個別の病院のばらつきについての是正は難しいという前提で、ただ、医療機関種別ごとのばらつきが非常に大きい。ここが非常に問題であるということで、私どもはその見直し方法というものを前回、提示させていただきました。
これに沿ってやった場合についてはどうなるのかということで、今回、示させていただきました。そういう意味では、ここに示しているとおり、医療機関種別、病院種別ごとのばらつきは相当程度是正されると私どもは考えております。
○荒井分科会長
どうぞ。
○吉森委員
それで不公平感というか、不合理な発生はないということでよろしいのですか。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
その個別の病院ごとのばらつきの話については、前提という話はさせていただきましたが、それはやはり診療報酬の点数、要するに、一律の単価という意味での限界だと私どもは考えております。ですので、できる限りそれでも減らすための今回の見直しの方法を提示させていただいていると認識しております。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
確認ですが、「医療機関種別、病院種別ごとのばらつきが」というのは、みんな100%前後に近づいたからばらつきが是正されたということを言っているわけですか。
○森光医療課長
ここに書いてありますのは、病院種別ごとのばらつきです。
○中川委員
そういうことですね。
何度も言いますが、一番大事なのは、個別医療機関ごとのばらつきなのです。それをわかった上でおっしゃっているのですね。
○森光医療課長
そのとおりでございます。
○中川委員
そうであれば、それを1行どこかに書きましょう。大事なのは、公平感を医療機関に持たせるためには、個別医療機関ごとのばらつきを是正するにはどんな方法があるのかを模索しなければならないという決意を1~2行書いていただければと思いますよ。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
私どもも、当然ながら、診療報酬で補てんをするということで議論させていただいています。診療報酬の限界というのも、以前から先生方にも、一定の限界があることは認識していただいていたかと思います。
ですから、そのような認識のもと、このばらつきをできるだけ是正したというところについては、座長と相談して、記載をさせていただきたいと思います。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
この議論をしていていつも思うのですが、医療機関の補てん不足とばらつきばかりに議論が集中して、患者の視点というものが全く出てこないという問題があることです。診療所に配分される財源のほぼ全額を初診料と再診料に充てるところから始まるというのは、私は今でも非常におかしいと思っています。これは患者の視点に基づくやり方ではなく、全然理屈にもかなっていません。
例えば、平成26年4月の5%から8%への消費増税時に、初診料が270点から282点へと4%上がりましたが、3%の消費増税分がなぜ4%も上乗せされるのか。これは患者にとっては全く理解できないわけで、どう説明するのか。このように、患者の視点というものが全く議論されず、とにかく病院と診療所間等のばらつきや補てん状況だけを議論しているからこういうことになるわけであり、これについては議論するにも限界があると思うのです。
ですから、議論の整理の「おわりに」の部分に、「今までの診療報酬上の対応は正しいやり方ではない」、「適切な補てん方法について継続的に検討を行っていく」、「診療報酬上の対応は限界である」等の1文を加えるべきだと思いますが、いかがですか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
患者の視点ということで御指摘いただいておりましたけれども、課税経費、医療機関が仕入れにかかる消費税の負担をどうやって賄うかということだと思います。
いろいろな要因で消費税の負担が発生しますが、例えば、病院の建物を更新した場合、もしくは掃除の業務も委託した場合、こういったそれぞれのものにつきまして消費税がかかるということであります。
初・再診料、入院基本料に上乗せされているというのは、ある意味、幅広く負担されている形になっているのではないかと思うのですけれども、患者の視点でこの問題の詳細を詰めてみたというのは、私自身そんなにないものですから、今、御指摘されて、こういう答えが正しいかというのを自信を持って言っているわけではありませんけれども、薄く広く御負担いただいているということでありまして、それ自体が患者の視点と反しているというのは、御指摘とは違うのかなと思って聞いておりました。
○幸野委員
いや、個別項目を適切に調べて、初・再診料だけではなく、設備投資を行っている医療機関等の課税経費率と相関関係のある個別項目に消費増税分が上乗せされているのであれば、適切な対応であると思うのですが、その作業もせずに、それができないから初・再診料に消費増税分を上回る点数を乗せているということについて、患者さんにどう説明するのですかということです。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
「4%」というのは、まさに初・再診料のところの部分だけ見ておっしゃっているのだと思うのですけれども、当然、医療に係る費用のうち、これは仕入れに係る部分のみの消費税をどう賄うかという議論でありますので、そういう意味で、医療サービス全体の部分の消費税を賄っているということではないという点がまずございます。
その上で、医療機関にかかるときは、患者さんは初・再診料の部分だけ医療サービスを受けて、御負担いただいているということではありませんで、全体の診療行為に対して費用も御負担ということでありますので、初・再診料のところだけ見たら、3%以上だという見方はあるのかもしれませんけれども、全体の受けている医療行為との関係では、負担が多過ぎて何かおかしくなっているということではないということだと思います。
○幸野委員
いや、その理屈はこうやって深く議論しているから理解できるのであって、患者さんは「絶対おかしい」と思いますよね。そういう理屈が通らないような仕組み・やり方はもう限界があるということだと思うのです。ですから、それをこの議論の整理に1文追加していただきたいという要望です。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
基本診療料だけで診療しているわけではないというのは、幸野委員、御理解いただけますよね。
○幸野委員
はい。
○中川委員
では、個別の項目に乗せると、患者の視点から見て理解が深まるというふうにおっしゃっているのですか。
例えば、今おっしゃった、消費税は3%しか引き上がっていないのに、基本診療料では4%引き上がっている。それが理解を得られないというふうにおっしゃるのですね。でも、基本診療料だけで診療していないというのも理解しているのですね。
○幸野委員
はい。
○中川委員
何度も言いますが、基本診療料に上乗せしたのは、今後とも検証であるとか是正にわかりやすいからそうしたのだというふうに前回、結論したことも御理解しているのですね。
○幸野委員
はい。
○中川委員
「こういうやり方は限界がある」と1行書きなさいというのは、「こういうやり方」というのは、基本診療料で上乗せしているやり方という意味ですか。
○幸野委員
はい。
○中川委員
そうですか。そういう意味だったら、明確に反対します。
○荒井分科会長
松本委員、どうぞ。
○松本委員
先ほどの幸野委員のお話ですけれども、まさに基本診療料のみをとってみれば4%になりますが、そうすると、それ以外のところについては乗っていないわけですから、それは御理解していただいているのでしょうか。それは理解されているわけですよね。
○幸野委員
はい。
○松本委員
そうすると、別に患者さんがそれを理解できないというのはちょっとどうかなと思います。全体として、基本診療料だけになったことについて理解できないというのは、本当にそうなのでしょうか。ほかのところはゼロなのですから、それを含めてもう一度、御理解いただきたいと思います。
○荒井分科会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
この医療にかかわる消費税は、非課税だということでやっているわけですけれども、それを診療所、病院、薬局含めて、仕入れに対する消費税の負担をどうするか、この診療報酬対応のやり方をしましょう。では、診療報酬に上乗せ対応でやるには、シンプルにどうしたらいいか。そういう議論を重ねてきて、基本診療料に上乗せするのがわかりやすい。そうしてここまでやってきた。
それをいろいろ議論する中でも、診療所、病院等においてもばらつきが出る。それぞれ設備投資の負担額に全部賄い切れない。先ほどから議論がありますけれども、個別の病院については、ばらつくのは仕方がないのを前提にして、全体でどこまでそれなりのパーセンテージにおさめられるかというところでやってきた。
一方、患者サイドから言えば、先ほど、幸野委員も言っていましたけれども、我々はここに参加しているから理解できるわけであって、おっしゃるように、基本診療料に乗っているだけではないことをきちっと説明すればわかるのでしょうけれども、シンプルにという意味合いからいけばなかなかわかりにくいですよね。
だから、そこをわからせる作業は別途、要るのでしょうけれども、さらに10%以上に上がっていく中では、このやり方はそろそろ限界に来ているのではないでしょうかというところを、どのように提言していくかということを申し上げていると理解していただければいいと思います。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
何かいい感じになってきましたけれども、では、吉森委員はどういうやり方がいいと思いますか。
○吉森委員
どういうやり方がいいかは、個人的には、このやり方をどうするかを抜本的にそれぞれ考え直さないといけない時期に来ているのではないかとは思いますけれども、中医協の場でそれを申し上げるわけにはいかないので、中医協としてどうするかというのは、今のところ、個別をするかどうかというのも含めて、今のところはノーアイデアです。
○中川委員
それだったら今までどおりだと思いますが。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
くどいようですけれども、作業は大変かもしれませんが、やはり個別項目と課税経費率の相関を調べて基本診療料の上乗せと個別項目の上乗せを組み合わせるのが一番いいやり方だと考えています。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
そういうやり方をしたら患者から納得感が今以上に得られるのですか。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
少なくとも初・再診料だけに配点するよりは納得感が得られると思います。
○中川委員
そうですか。私は全然そうは思わないのですが。
○荒井分科会長
松本委員、どうぞ。
○松本委員
個別項目のような、なかなか中身がわからないものを患者さんに対して説明し切るというのは非常に難しいと思います。基本診療料のようなところでしっかりと乗せて、全体としてそれがカバーされていたほうがはるかにわかりやすいと思います。
○荒井分科会長
三井委員、どうぞ。
○三井委員
また個別項目の話が出ていますけれども、個別項目に張りつけるとしますと、いろいろな処置の点数に張りつけていくところですけれども、例えば、建物の建築費であるとか清掃費のようなものをどこへどう配分していくのですか。それで患者さんは理解が深まるのでしょうか。
逆に、我々は今、医療費明細書というものを提出しています。その中に、初・再診料もあれば個別の点数もあります。その中で明確に、初診料のところに消費税の点数が張りついた部分を、患者さんはもらって帰られているわけです。今のほうがはるかに患者さんにとってはわかりやすいシステムではないかと思うのですが、いかがですか。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
私は初・再診料だけではなく、個別項目を組み合わせて適切に配点するべきだと言っているのです。
ですから、建物の建築費等については、基本診療料に配点してもいいと思いますが、医療機器を使って行う画像診断などの点数に配点してもいいと考えます。個別項目への配点を組み合わせれば、初・再診料の点数も一定程度下げることができると思うのです。でも、今は初・再診料を中心に配点しているから、消費増税分を上回る点数の引上げとなっているという現象が生じていることについては納得できないと言っているわけです。
○荒井分科会長
三井委員、どうぞ。
○三井委員
今の「上回っている」というところの発言が出ていますけれども、歯科・調剤に関しては全く上回っているという考え方はございません。今回のシミュレーションでも実はマイナスです。我々は、そこをあえてのんで、いかにしたシステムを構築するかということを考えています。その辺はいかがですか。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
いや、私は医科の初診料について言っているのですよ。
○荒井分科会長
松本委員、どうぞ。
○松本委員
先ほど「上回っている」とおっしゃりましたけれども、では、全て個別項目につけていけば、どの部分でも全て消費税引き上げ分にぴたりとなるのですか。どんなことをしても必ずプラスマイナスは起きるのではないですか。
幸野さんの理論でいうと、全てをきちんとどこでも説明できるような、プラスマイナスがない形にできるのでしょうか。そんなことはできるわけないではないですか。だから、それはちょっとおかしな理論ですよ。
○荒井分科会長
三井委員、どうぞ。
○三井委員
今の幸野委員の「医科にのみ述べています」という発言は、訂正をしていただきたいと思います。ここは医科・歯科・病院・調剤全てを含めての協議をしているところです。
○荒井分科会長
猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
きょうは多分、もうまとめの議論だと思いますので、病院という立場で少しまとめをさせていただきたいと思います。
2014年の8%に上がったときから、実は病院としては補てん不足があるのだということをずっと言ってまいりました。そして、実はこのような補てん不足が、急性期を中心に本当に存在したのだということをちゃんと出していただいたことについては、ある意味、感謝はしております。
そして、何よりもおかしいのは、その翌年にやった調査で、その補てん不足をマスクするようなミスを犯している。これは偶然とはいえ、まさに102%になるというのは不思議だなということですが、それがおおむね補てんされているからということで、急性期を中心とした病院は、4年間にわたって補てん不足になったわけです。
今、急性期の病院は非常に経営の危機を言われております。この経営の危機の一因になっていることは間違いないのです。
ですから、このように実態をちゃんと出していただいて、先ほどから言っている、どれにつければ十分だなどということは、消費税を診療報酬で見る以上、100%なんてことはあり得ないのです。ただ、それを少しでも精緻に近づけるという努力についてやっていただけると私は認識しておりますので、少なくとも次回からは今よりもいい形で補てんされるだろうと思っています。
ただ、先ほどから中川委員が言われているように、個々の医療機関の話はまた別で、それはもう診療報酬でやる以上は無理なので、そこはまた別の場での議論が必要だと思っておりますが、そういうことで、急性期を中心にした病院は非常に経営的にも今、苦しくなっておりますので、ぜひ厚労省全体として、そこら辺のことをしっかりと考えていただきたいと思っております。
○荒井分科会長
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
7ページの「調剤」なのですけれども、この方向性で異論はありません。財源は原則として調剤基本料に配分していただきたいと思います。
それから、補てん点数の設定ですけれども、前回、単月のデータを使用したことによって見込みが大きく違いました。NDBが使えるようになりましたので、直近の通年実績のNDBデータを使っていただきたいと思います。
その上で、今回、シミュレーションに大分苦労されたと思うのですけれども、課税経費率は年によって変動し、補てん項目の算定回数は受診動向等によって変化するため、幾ら精緻に見込んでも100にならないというのは理解しています。ただ、そうはいっても、可能な限り、実態を踏まえて補てん点数、項目を検討していただいて、できるだけ100に近づけるようにお願いしたいと思います。
それから、個別点数のところなのですけれども、消費税が導入されたときに、調剤は個別項目の計量混合加算のみに補てん点数が設定されました。消費税が導入されるということは、全ての薬局の経営に影響があり、1つの項目に補てんをしてしまったことによって、そもそも補てん不足になる薬局が出てきてしまうことと、その項目を算定した患者さんだけに消費税負担をさせてしまったという問題点があったと思っております。
ですから、基本的には薬局では調剤基本料にお願いしたいと思います。その上で、端数が出たときには、消費税の影響が大きいところにつけていただきたいと思っております。
以上です。
○荒井分科会長
ほかにはどうでしょうか。伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
猪口委員が申し上げたことを補てんする形になりますが、7ページにあるように、今回、誤った補てん状況の調査を行ったということで、今後、これをなくすために、「他のデータによる確認」だとか「複数の職員による重層的なチェック」という提案が出ているわけですが、本来すべきは第三者によるチェックなのだろうと考えます。そのためには、消費税の補てんの点数の算定根拠になるデータの公表は必須ではないかと思うわけです。
ぜひ、ここのところを公開していただけるようにお願いを申し上げたいということと、先ほどから議論になっておりますけれども、この診療報酬で消費税の補てんの部分をいかに精緻にしても無理があることは皆さんの共通した認識ですが、先ほど、患者さんの負担ということでも御発言がございましたけれども、診療報酬で消費税を補てんしている限りは、患者さんも必ず不公平が生じるのです。それは今のこの制度でやっている限りは逃れることのできないシステムであることは、共通の認識として一言表現しておくべきではないかと思います。
以上です。
○荒井分科会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
まとめということなのであれですけれども、個別項目についても、ここの提案にあるように、今回、シミュレーションしていただいて、中身はいろいろ議論がありましたけれども、こういう形で全体的には不公平感がかなりなくなったと理解すれば、このやり方で理解はしないといけないのだろうと思っています。
今、伊藤委員からも三井委員からも発言がありましたけれども、診療報酬に乗せてこの消費税対応をしていくのは、診療側もそうですけれども、患者サイドも不公平感があるのは事実であります。でも、それを言っても始まらないのだとすれば、ここは将来的にどうなるかはわかりませんが、消費税が上がっていく対応としてはそろそろ限界に来ているというところは、中医協としても提言をしてもいいのではないかとは思っております。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
ですから、7ページの最後にそういった趣旨の文章をつけ加えていただきたいと言っているのです。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
どういった趣旨ですか。
○幸野委員
消費税引上げに診療報酬で対応するのはもう限界に来ているという趣旨です。
○中川委員
吉森委員と同じですか。お二方の間に齟齬はございませんか。
○荒井分科会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
各論ではなく総論では齟齬がないと思っています。
○中川委員
診療報酬で控除対象外消費税を補てんするには限界がある、そろそろ限界に来ているという1行を書き加えるべきだということですね。幸野さん、それでいいのですね。
○幸野委員
はい。
○中川委員
基本診療料とか何とか、そういうことは言わないのですね。
○幸野委員
言いたいところですけれどもね。
○中川委員
我慢していただけますか。
○幸野委員
はい。
○中川委員
診療報酬で補てんするのは限界があるということに関しては同意します。
○荒井分科会長
平川委員、どうぞ。
○平川委員
限界があるのはわかるのですが、ほかにそれをやる方法が本当にあるかどうかについては、もう少し慎重に対応したほうがいいのではないかと思います。
○荒井分科会長
田中委員、どうぞ。
○田中委員
その医療が非課税でありながら、消費税増税分を診療報酬で措置をすることには限界があると私も思います。
ただ、ずっとこの分科会で、前回の分科会でもそうですけれども、それは閣議決定事項なのでここの議論の対象ではないということでしたので余り申し上げませんでしたが、はっきりしていることは、診療報酬で措置をするのですけれども、消費税率が上がれば上がるほど、その矛盾の幅はどんどん大きくなってくるわけですから、「限界」と書くのか、それとも不公平感がさらに拡大しているとか、是正することは診療報酬の対応だけでは難しいというような記載がもしできるのであれば、非常に明快だと思います。
以上です。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
今、いただいたのは、確かに診療報酬で限界があるところについてはそのようにあれだと思うのですが、それだけでは足りないという記載については、ここの議論を超えるような話になるかと思いますので、できましたら、診療報酬の対応については限界があるという形になります。
○荒井分科会長
局長、どうぞ。
○樽見局長
私が言うのもちょっと僣越で恐縮なのですが、まさに消費税の対応について、最終的に消費税に転嫁されるという考え方のもとで、医療の分野では診療報酬という形で最終的に転嫁が行くという考え方だっただろうと思います。
そういう中で、この消費税の負担について、診療報酬で対応することでこれまでやってきたということだと理解しておるのですけれども、おっしゃるとおり、診療報酬でやりますと、個々の消費税がかかっているものとの関連というのはどうしても切れますので、そういう意味では、確かにぴったり返すことについては限界はあるのです。
ただ、まさにその消費税の対応について、診療報酬で対応すること自体を変えることについては、なかなか制度的な対応として、では、ほかに何があるのかということも含めて、また、消費税というものの負担をどのように持っていくのかということを含めて、これは大変大きな議論があると思いますので、これは私の意見ですけれども、きょうの議論もまさに議事録という形で残りますので、そういうことにさせていただいて、この分科会における議論の整理ということで言いますと、今、御提示させていただいているような案でおまとめいただけるとありがたいなと思います。
○荒井分科会長
いかがでしょうか。中川委員、どうぞ。
○中川委員
局長のお言葉ですが、「限界がある」というのは、診療報酬の補てんをやめるということではないですよ。診療報酬の補てんだけでは限界があるという意味ですよ。それでも御迷惑がかかりますか。
だったら、珍しく両側一致して「限界がある」でいきましょうといったときに、局長のお言葉でそれがだめだというと、ちょっと違和感があるのですが。診療報酬の補てんをやめて、限界があるからほかのものでやりましょうということではないのです。幅広い意味で言っているのですが。
○樽見局長
まさにそういう「幅広い意味で」ということであれば、それは私は反対するものではありません。
今、ちょっとここで相談させていただいたのですが、この議論の整理の文章の直しとして、まず1点は先ほどの話で、2ページ目の「将来に向けて」という6文字を取るということと、5ページ目の一番下の「○ さらに、上記1~4」の「シミュレーションを行ったところ」の後ですけれども、「医療機関種別、病院種別ごとのばらつきが」を「は」に直して、「ばらつきは相当程度是正されると見込まれることが確認された。ただし、診療報酬で対応することの限界として、個別医療機関ごとのばらつきは残る」という記述を加えるのはいかがでしょうか。
○荒井分科会長
いかがでしょうか。幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
「患者の不公平感も残る」という文言も入れていただきたいのですが。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
そういうことを言い出すと、ほかにもいっぱいありますよ。「ばらつきは残る」というのがあって、「診療報酬の補てんでは限界がある」と意味合いはほぼ同じでしょうというのも、ちょっと無理があると思います。余り目立たないところに書きたいという局長の御意向ですか。
○樽見局長
いや、特に目立たないどうこうということではないです。別に、この文章はどこでも十分目立つと思います。
○中川委員
まさに将来に向けて、診療報酬による補てんでは限界があるということが非常に大事なキーワードなのです。それをぜひ、最後でなくてもいいですから、「限界がある」というのをどこかに書いてください。いかがですか。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
限界のお話なのですけれども、基本的に私どもも、中川先生がおっしゃるとおり、診療報酬では限界があることを前提に議論してきております。ですので、それについては先ほどの修正に加えて、最初の「はじめに」のところに、診療報酬での限界ということを踏まえた上で議論を始めていることを記載させていただきたいということと、「おわりに」のところに、いわゆる継続的に調査することだけを私どもは記載を入れておりましたけれども、今後の検証などの際に、患者の視点についても配慮するところについて入れるということでいかがでしょうか。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
「患者の視点」という意味が理解できていませんので、了解できません。
それで、限界があることを前提に議論しているというふうにおっしゃりますが、財政当局は、診療報酬で完璧に補てんしていると言っているのですよ。それに対して、限界があるという前提で議論しているというのは、これはなかなかかみ合いません。中医協の消費税分科会として、診療報酬で補てんするのはもはや限界だという意味がわかるような表現がぜひ必要だということを申し上げているのです。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
その限界の部分をどこに入れるかについては、座長と相談させていただくということでよろしいでしょうか。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
私は、先ほど医療課長がおっしゃった表現でいいと思います。
○荒井分科会長
なかなかまとまらない状況なのですけれども、いろいろな意見を踏まえて、最終的には分科会長一任という形でまとめて、後日開催される総会に報告して、了承を得たいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○中川委員
最後のところをもう一回言ってください。
○荒井分科会長
一応、今の内容を後日開催される総会に報告して、了承を得たいと思います。
○中川委員
修正後の内容ですか。
○荒井分科会長
そうですね。一任いただいてまとめたものを総会に報告してということになるかと思います。
○中川委員
これから修正するのですね。
○荒井分科会長
そういうことになります。
○中川委員
幸野委員が「医療課長が言ったとおりでいい」と言ったとおりになるのですか。
○荒井分科会長
いえ、全てのことを勘案してということです。
○中川委員
そうですね。わかりました、了解します。
○荒井分科会長
ほかに特に意見はないということでよろしいでしょうか。
そうしましたら、本日の議論を踏まえた修正を加えた形で、先ほど申し上げましたように、分科会長一任にて取りまとめまして、後日開催される総会に報告して、了承を得たいと思います。よろしくお願いします。
では、ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局から御連絡いたしますので、よろしくお願いします。
それでは、本日の分科会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

(了)
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