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2018年9月19日 第17回診療報酬調査専門組織・医療機関等における消費税負担に関する分科会議事録

○日時

平成30年9月19日(水) 9:59~11:45

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)
 

○出席者

荒井耕分科会長 野口晴子委員 吉村政穂委員 川原丈貴委員 吉森俊和委員 幸野庄司委員
間利子晃一委員 田中伸一委員 中川俊男委員 松本純一委員 猪口雄二委員 伊藤伸一委員 
三井博晶委員 森昌平委員 折本健次委員 五嶋淳夫委員
<事務局>
樽見保険局長 山本審議官 渡辺審議官 森光医療課長
樋口保険医療企画調査室長 古元企画官 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

1 消費税率8%への引上げに伴う補てん状況の把握結果の要因分析と消費税率10%への引上げに向けた論点整理について

○議事

 

○荒井分科会長
ほぼ定刻になりましたので、ただいまより第17回「診療報酬調査専門組織 医療機関等における消費税負担に関する分科会」を開催いたします。
まず、委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は、平川委員、榊原委員が欠席です。
次に、厚生労働省におきまして異動がございましたので、事務局より紹介をお願いします。
○樋口保険医療企画調査室長
事務局から、異動があった者につきまして御紹介させていただきます。
まず、保険局長の樽見でございます。
大臣官房審議官(医療介護連携担当)の山本でございます。
医療課長の森光でございます。
医療課薬剤管理官の田宮でございます。
医政局総務課長の北波でございます。
私、保険医療企画調査室長の樋口でございます。よろしくお願いいたします。
○荒井分科会長
ありがとうございました。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
それでは、議事に入らせていただきます。
まず「消費税率8%への引上げに伴う補てん状況の把握結果の要因分析と消費税率10%への引上げに伴う論点整理について」を議題といたします。
まず、冒頭に、本件について、局長より御発言があると聞いておりますので、よろしくお願いします。
○樽見保険局長
局長になりました樽見でございます。
委員各位におかれましては、御多用中にもかかわらず、この消費税分科会における諸般の審議に御参画いただきまして、厚く御礼を申し上げます。
審議をお願いするに当たりまして、最初に、本年7月25日の前回消費税分科会において御報告申し上げました平成26年度補てん状況調査の誤りにつきまして、私から改めておわびを申し上げたいと考えております。この調査は、消費税が5%から8%に上がることに伴いまして実施をしました平成26年の診療報酬改定によって、消費税負担分がどの程度補てんされているかについて調査をし、平成27年11月30日の第13回消費税分科会において御報告を申し上げたものでございます。
その際には、医療機関等全体で見た補てん率が102.07%でございまして、補てん状況にばらつきが見られたものの、マクロではおおむね補てんされていることが確認されたという御報告をしたところでございますが、しかしながら、直近の補てん状況を確認するため、平成28年度補てん状況調査の作業を進めていく中で、平成26年度調査において、DPC病院について入院日数の重複がある不正確なデータが抽出されており、それを使いました結果、誤った補てん率を算定し、公表してしまっていたということがわかったものでございます。
この誤りにつきましては、前回の分科会にて御報告申し上げ、正しく計算し直した結果をお示しさせていただきましたけれども、その際にも委員各位から多くの御指摘や御意見を賜ったところでございます。また、先日、日本医師会からも控除対象外消費税補てん状況の集計ミスに対して厳重に抗議するとして抗議文を頂戴いたしました。この補てん状況調査は、26年改定による補てんが的確に機能しているかどうかを確認するために行ったものでございましたので、このデータ誤りによりまして、補てん状況について誤った認識を世の中に生じさせてしまったということになるわけでございます。この点につきまして、まことに申しわけなく、深くおわび申し上げます。
今後はこのようなことが起こらないよう、データの正確性について、他のデータからも確認するなど、丁寧な作業を徹底してまいりたいと考えております。
さて、来年10月に予定されている消費税10%への引き上げに向けては、きちんと補てんがなされるような報酬のつけ方を検討していかなければならないわけでございます。全体の補てん率が推計で92.5%であったということ、医療機関種別ごとの補てんのばらつきを生じているということについて要因分析を行いまして、これについて後ほど御説明させていただきますけれども、それを踏まえまして、より適切な補てんに向けた配点の方法の具体策について、この消費税分科会において御議論いただきたいと考えております。
それとともに、この分科会で御議論いただく内容ではございませんけれども、平成31年度税制改正に際しまして、医療関係団体の御意見も踏まえつつ、厚生労働省として個別の医療機関等の補てんの過不足についての新たな措置というものを税制改正要望したところでございます。これにつきましても、医政局と連携の上で全力で取り組んでいきたいと考えております。
年末に予算や税制の内容が固まってまいります。その年末に向けまして、しっかりと議論を進めていきたいと考えております。委員の先生方におかれましては、引き続きまして御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○荒井分科会長
それでは、事務局より資料が提出されておりますので、事務局から。
○中川委員
その前に、いいですか。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
冒頭に局長からしっかりとしたおわびのお言葉をいただいてありがたく思います。特に最後の、8月29日に日本医師会を初めとする三師会と四病院団体協議会の連名で、消費税10%への引き上げに向けての新たな提言を公表しました。それに向けて厚生労働省としても、特に保険局、医政局を中心にしっかりと全面的に支援していただくという意味だと解釈しました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○荒井分科会長
それでは、事務局より資料が提出されておりますので、事務局から資料の説明をお願いします。室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
それでは、事務局から、資料1から3に基づきまして、御説明させていただきます。
まず、資料1でございますけれども、27年度に実施いたしました補てん状況調査の誤りにつきましての経緯の資料でございます。
1枚おめくりいただきまして、2ページ目以降でございます。先ほど冒頭、局長からもお話がありましたが、経緯を簡単にまとめているものであります。28年度の状況調査の作業を今年の4月に進めていく中で、補てん状況の把握に不正確な点があったことが判明したということで、26年度の調査結果を再調査すると、また28年度の調査も行いまして、本年7月の分科会で結果を公表させていただいたということでございます。
別添に詳細をつけていますので、簡単に御紹介させていただければと思いますが、この資料の最後、4ページでございます。御案内のとおりでありますけれども、26年度の結果につきましては、27年11月に第13回消費税分科会で公表させていただいておりました。その中では、先ほどもありましたけれども、マクロではおおむね補てんされていることが確認された旨を御報告していたものでございます。この後、29年4月に向けて、当時の予定といたしましては消費税10%になるということでありましたので、そのための検討をいただくということでありましたが、引き上げが延期になったことに伴いまして、その後、分科会は開いていなかったということでございます。
今回の経緯を後半で書いておりますけれども、議論を再開いただきましたのは本年3月30日でありまして、来年10月に向けた議論をスタートいただいたということです。この中で過去の調査の誤りが判明したということで、その後の経緯は御案内のとおりということでございます。
最初の資料に戻っていただきまして、2ページ、誤りの内容でございます。これは前回も報告させていただいておりましたDPC病院の入院日数につきまして、各月の重複があったということでございます。一番下の○に補足の説明を書かせていただいておりますけれども、DPCレセプトでは、月またぎの入院につきまして、該当月以前の入院日数も記録されるため、NDBデータには重複した入院日数も含まれていたわけでありますが、当該仕様が特段意識されず、重複していないデータを抽出する依頼、及びそのことの確認は行われなかったということでございます。また、受領したデータ上、病院ごとの算定回数の合計値となっておりましたので、直ちに日数の重複を認識できなかったということでございます。
3ページに再発防止について記載させていただいております。1つは調査方法の見直しということでございまして、用いるデータにつきまして、DPC病院の包括部分の補てんにつきましては、DPC病院から厚生労働省に提出されているデータを用いまして直接算出することとした次第でございます。またこういうことが今後起こらないようにしていくことが重要であると考えております。ほかのデータからもデータの正確性を確認するといったこと、当然のことでありますけれども、複数の職員で入念的に確認すること、業者へのデータ抽出依頼に当たりまして、依頼フォーマットの記載ぶり等について精査するなど、一つ一つの作業に当たりまして、丁寧に対応していきたいと考えております。
続きまして、資料2、補てん状況の結果に対する要因分析をまとめた資料でございます。
めくっていただきまして。
○荒井分科会長
すみません。室長、よろしいでしょうか。
中川委員、どうぞ。
○中川委員
全部説明してから議論というお話でしたが、この内容を見ると、やはり一つ一つ議論をしたほうがいいと思いますが、いかがですか。
○荒井分科会長
それでは、ここで一回切って、議論してから、その後という形でやりたいと思います。
まず、資料の税-1についての説明をありがとうございました。
それでは、資料の税-1にございました、平成27年に実施した補てん状況調査の誤りに関して何か御質問等がございましたら、どうぞ。
中川委員、どうぞ。
○中川委員
税-1の4ページ、平成28年3月30日の第14回分科会から、平成30年3月30日の第15回分科会まで2年間もこの消費税分科会が開催されていませんでした。当会からは再三にわたって開催するようにという申し入れをしていたのですが、なぜ2年間もこの消費税分科会を開催しなかったのですか。お答えを。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
この資料の4ページに基づきまして御説明させていただければと思います。前回の分科会でも経緯につきましてお話しさせていただいておりましたけれども、もともと27年11月の作業、これは29年4月に当時の予定といたしまして消費税が10%に上がるということでありましたので、それに向けて26年度の補てん状況の結果を検証し、29年4月に向けた議論をしていただくということで、29年4月の約1年半前にデータをお示しするということで作業をしていたということでございます。
その後、消費税の引き上げが2年半延期されたということで、31年10月、来年の10月に引き上げになるということで延期されたことを踏まえまして、その時点での直近のデータもまた新しくなっていくということがあったと思いますが、31年10月に向けた議論に間に合うように、約1年半前には直近、今で言いますと28年度の実績をお示しさせていただくつもりで作業をしていたということでございます。今となっては言いわけにしか聞こえないところもあるかもしれませんけれども、作業スケジュールはそういう段取りで進めてきていたということでありますが、もともと28年度の結果を検証する中で、26年度は重複が判明したということで、今回のような事態に至ったということでございます。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
それでは、消費税引き上げが2年半延期されたから、少し休憩していたということですか。そういうふうに聞こえますけれども。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
31年10月に向けて改めて御議論いただく必要があったということでありまして、その時点の直近、足元の補てん状況ですね。これは28年度の結果になるわけでありますけれども、その補てん状況を確認するためには、NDBデータもその時点のものということになりますし、課税経費率につきましては医療経済実態調査の新しい調査に基づく数値をお示しして御議論いただく必要があったということで、そのデータを取得いたしまして、31年10月の約1年半前には間に合うように作業を進めていたということでございます。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
26年の調査結果が27年11月の消費税分科会で公表されて、28年の調査結果が29年11月になぜ出せないのですか。ちょっとおかしくありませんか。一体何があったのでしょうか。
○樋口保険医療企画調査室長
もともと作業のスケジュールとして、27年11月に出したときと同じようなスケジュールで作業を進めていれば、そういうタイミングでお示しすることもあり得たと思うのですけれども、作業のスケジュールで考えておりましたのは、31年10月の次の引き上げに向けて消費税との関係の対応をどうしていくかという御議論をいただくために、その約1年半、前回と同じぐらい前にやっていこうということで、今年の春ごろには結果が出るように作業スケジュールを組みまして、進めていたということであります。
そういう意味で、もともと予定していた結果を出す必要があると思っていた時期が、この春には出さなければいけないと思って作業していたところでありましたので、そのタイミングになったということでございます。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
28年度の補てんの把握、特に病院が85%だということが29年11月に公表されていれば、それは診療報酬改定前ですから、何らかの対処ができたのではないかと思うのです。その辺のことは前回も申し上げましたが、極めて重大なことだと思います。そういうふうに認識していますか。
○樋口保険医療企画調査室長
今となっては、そのスケジュールがよかったのかというのは御指摘のあるところだと思います。そういう意味で、これはその後の御議論でありますけれども、次の対応に向けては速やかに結果につきまして検証していきたいと思っておりますし、御指摘いただいたような議論、そういうスケジュールで進んでいれば、また違った議論もあり得たということは御指摘のとおりだと思っております。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
最後に確認ですが、税-1の4ページの最後のところ、第16回消費税分科会開催の括弧内の平成26年度状況調査に誤りがあったことを報告しとありますが、このときに、27年11月30日の第13回分科会で補てん状況にばらつきは見られたものの、マクロではおおむね補てんされていることが確認されたというのは取り消したはずですけれども、それでいいですね。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
前回の分科会でも前任の室長から御説明させていただいておりましたけれども、26年度の結果につきましては、誤ったデータに基づく報告、マクロではおおむね補てんされていることが確認されたということでありましたので、それにつきましては誤ったデータに基づく認識だったということであります。
○中川委員
わかりました。
○荒井分科会長
局長、どうぞ。
○樽見保険局長
いろいろ御指摘いただきましてありがとうございます。最初に私が申し上げたとおり、26年の調査についてはこういう誤りがありましたので、率直に申し上げて、27年のときにこういう報告をして、そういう状況になっているというのが基本的な認識で、それが誤っていたことでこのようになったということだろうと思います。
1点補足で申し上げますと、まさに消費税分科会は28年から30年まで開かれなかった。スケジュールとして、前のように4月ではなくて31年10月ということで、消費税の上がるタイミングが半年ずれていたものですから、そういう意味で、秋ではなくて半年ずれた30年の春にというスケジュールで考えてしまったということでございます。
一方、その間、28年、30年の通常改定というところに向けての医療経済実態調査に基づく改定に向けての議論ということはやっていたわけでございまして、そういう中で、今、御指摘のようなことも含めて、これからこういう消費税対応みたいなことがあるときに、どのタイミングでどういうふうにするかということについて、前広によく御相談させていただきながら、今後はスケジュールも考えていくというふうにしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○荒井分科会長
ほかにはいかがでしょうか。
そうしましたら、税-1の資料に関してはよろしいでしょうか。
次に、資料の税-2と税-3にございました要因分析と今後の論点整理に関して、一応説明していただいてからでないといけませんので、室長、よろしくお願いします。
○樋口保険医療企画調査室長
資料2と3につきまして、御説明させていただきます。
資料2のほうでございますけれども、まず補てん率があのような形になっている要因の分析ということであります。2ページで、もともとの26年度に行った改定につきまして、どのような考え方でやっていたかというのを1枚にまとめさせていただいております。最初に財源配分の考え方でございますが、これは25年9月に中医協の総会で整理いただいている内容でございますけれども、消費税に還元する財源を、マル1番、マル2番、マル3番とございますが、マル1番としましては医科、歯科、調剤間でそれぞれの医療費シェアと課税経費率に応じて配分する。このような考え方でやっております。また、医科の中につきましても、マル2番にありますように、病院、診療所間でも同じような形で財源を配分する。病院の中でも、マル3番のように、各入院料間におきまして財源配分をする。このような考え方で行っております。
そのように配分する財源につきまして、この後半、診療報酬の設定でございますが、当時の議論といたしまして、基本診療料に消費税分を乗せていくという考え方で行われておりました。その点数の項目の1年間の算定回数を見込みまして、それに必要な点数を乗せることによりまして、補てんが必要な額と見合うように設定をしてきたということでございます。
3ページに説明が続きますが、従いまして、補てんの状況について主な要因といたしましては、医療費シェアの変化、課税経費率の変化、そして補てん点数項目の1年分の算定回数の見込みが実際と異なったということが挙げられるところであります。これを踏まえまして、今回、26年度の改定当時とその後の課税経費率、医療費シェア及び算定回数につきまして検証させていただいたということでありまして、どのようなデータを用いまして、どう見込んでいて、それが結果、どうだったかというのを検証させていただいているということであります。
その下に算定回数につきまして少し補足を書かせていただいております。26年度の改定時の見込みの算定回数でございますが、当時使用できた24年度の社会医療診療行為別調査により把握されます算定回数をもとに年度推計を行っていたというものでございます。
その下の○は、実績のほうの算定回数の確認につきましては、今ではNDBのデータが用いられますし、調剤につきましては調剤メディアスで確認をしたということでございます。
一番下に補足でありますけれども、算定回数の実績の時点で、26年度と28年度が考えられるところでありますが、26年度のほうはNDBのデータでは公表されていない項目もございましたので、入院料等の実績を網羅的に把握できないということで、今回は28年度のデータを用いて比較することとしております。具体的な数字は後ほど出てきます。
続きまして、資料の4ページでございますけれども、先ほどの財源配分をイメージ図にしたものでありますので、これは飛ばしていただければと思います。
5ページも御案内のとおりと思います。課税経費率、緑色のところの上のほう、イ′の部分につきまして、診療報酬本体で上乗せをしてきているということであります。
6ページ目が財源の配分、先ほどありましたけれども、これを図示したものでありまして、医科・歯科・調剤で言いますと、それぞれの四角が医療費のシェアをあらわしておりまして、濃い色の部分がそれぞれの課税経費率を掛けた部分になっております。濃い色の面積に応じて配分をしていたということでありますので、このように課税経費率と医療費シェアの推移を見ることで、措置すべき消費税負担の規模がどのように変化したかを把握することができるということでございます。
実際の数字は、7ページに挙げさせていただいております上半分が課税経費率の動き、左下が医療費シェアの動きであります。これを掛け合わせたものが右下のオレンジ色の部分になっておりますが、24年度、26年度、28年度と3つ並んでおりますけれども、26年度の改定時に用いることができた実績データであります24年度がどのように変化したかをまとめております。24年度は、医科・歯科・保険薬局で、百分率にいたしますと85.1%、9.8%、5.1%ということでございました。これが28年度で85.3%、9.4%、5.3%ということでございます。分析を下に表現しておりますが、こういう数字でございますので、各科ごとに若干変動はございますが、振れ幅は大きくないものと考えられるのではないかということであります。ただし、各科ごとの財源規模の大きさが異なりますので、財源規模が大きくない歯科、調剤につきましては、医療費シェアや課税経費率の変動がわずかであっても、医科と比べまして影響は大きくなるという点には留意が必要と考えております。
続きまして、8ページ、9ページでございますが、医科の詳細はまた後ほど挙げさせていただきますので、歯科の算定回数と調剤の算定回数の見込みと実績を比較検証したものであります。まず、8ページ目が歯科でありますが、初診料、再診料、歯科訪問診療料に消費税対応に関連して必要な点数を乗せていったということでありますので、これが見込みと実績でどう変わったかというのを整理しております。初診料が見込みと比べまして実績が90.1%の回数であったということであります。再診料は84.4%、歯科訪問診療料は逆に122.9%ということで、その下に説明を書かせていただいておりますけれども、算定回数の多い初診料、再診料の乖離が100%を下回っておりまして、これが補てん状況に影響を及ぼしていると考えている次第でございます。
続きまして、9ページ目、調剤でございますけれども、これは調剤基本料と調剤料に乗せるということで行っておりました。それぞれ算定回数は、調剤基本料が94.1%、調剤料が108.7%ということでありました。説明は下に記載させていただいております。調剤基本料は消費税分の補てん点数1点を上乗せしていたわけでありますけれども、これでは94.1%、一方で調剤料補てん点数は2点から20点とさまざまございますが、これが108.7%ということでありまして、それぞれの変動の傾向は異なっているということでございます。一方で、先ほど御紹介させていただきました医療費シェアと課税経費率の上昇につきましては、補てんの状況に影響を及ぼしていると考えているところであります。
続きまして、10ページ目以降、医科の中の分析でございます。病院・診療所の財源配分の絵につきましては10ページ、先ほどのものと同様でございます。
11ページにデータを記載しております。上半分が課税経費率ということでありまして、病院につきましては、24年度、課税経費率25.8%というのが医療経済実態調査で把握されていたものでございますが、これが28年度、2%上昇いたしまして27.8%ということでございます。一方で、診療所は22.2%がそのままということになっております。
医療費のシェアにつきましては、左下でありますけれども、病院は50.4が28年度に51.8、診療所は21.8が20.7ということで、それぞれの差が開いているということでございます。
その結果、右下の掛け合わせたものでありますが、病院が73%、一般診療所が27%ということでありましたけれども、28年度に75.8%、24.2%となっておりまして。説明は下に入れさせていただいておりますが、24年度以降、病診間の医療費シェアの差が拡大している。課税経費率も割合が上昇しているということで、消費税負担に係る病診間の比重が相対的に病院では重く、診療所では軽くなっていると考えられるということでございます。
続きまして、入院のほうでありますが、課税経費率を入院基本料ごとに挙げさせていただいておりますのが、13ページに飛んでいただければと思います。これも24年と28年で比較させていただいておりますけれども、一般病棟入院基本料であれば25.7%だったのが、上昇しまして、28年度では27.9%、療養病棟では21.7%が25.7%に上昇しているということです。
一方で、このページの一番下にありますが、特定機能病院入院基本料で言いますと、33.5%が31.5%と下がっているということでございます。
次のページに続いておりますけれども、専門病院入院基本料等、24年度の欄に※印を記載しているところは医療経済実態調査で得られるサンプルが少ない、ゼロということでありましたので、これにつきましては一般病院の平均値を用いてやっていたということでございます。それぞれの説明につきましては14ページの後半に文章で記載しておりますが、入院料ごとの課税経費率につきましては、おおむね上昇傾向でありますけれども、変動幅もそれぞれ異なっているということでございます。一方で、特定機能病院のように課税経費率が低下しているものの、補てん率は100%を下回っているというケースもございました。
あと、先ほど御紹介いたしましたけれども、N数が少ないということで、特定機能病院入院基本料等につきまして、看護配置による区別はせずに入院基本料種別ごとの課税経費率の平均値を適用していたということでございます。それとの均衡で、一般病棟でありますとか療養病棟入院基本料につきましても、看護配置による区別はせずに平均値を適用することとしていった次第でございます。
続きまして、算定回数の見込みと実績の比較でございます。15ページが、まず医科の初再診料でございます。これは初診料で言いますと86%、再診料が87.7%となっております。これにつきましては、病院と診療所がNDBデータでは分けられないという点に御留意いただければと思っております。
16ページ以降が入院のほうでございますが、まず一般病棟入院基本料は78%、療養病棟入院基本料1が97.2%、次のページに続きますけれども、療養病棟入院基本料2が47.4%と、この療養病棟入院基本料の1と2につきましては、2から1への移行というのも発生していると考えておりまして、その影響がこの数字に含まれてしまっているという意味で、単純比較はできないデータだと思っております。
続きまして、結核病棟入院基本料が63.9%、精神病棟入院基本料が73.9%、特定機能病院が88.7%等々となっているということであります。
また、19ページに有床診療所のデータも挙げさせていただいております。有床診療所入院基本料は83.6%、有床診療所の療養病床入院基本料は52.2%ということでございます。この療養病床入院基本料の数字でありますけれども、後ほど27ページに具体的なデータもつけさせていただいておりますが、有床診療所の療養病床の減少の影響も含まれているということでございます。
この辺の数字につきまして、20ページに考察を書かせていただいております。初再診料はいずれも100%を下回っていたということでありますが、NDBデータでは病院と診療所に分けられないということでありました。22ページと23ページに具体のデータを挙げておりますけれども、別データでは、初診料につきまして、診療所では増加傾向、病院では減少傾向にあることや、初再診料、外来診療料について総じて病院の占める割合が減少傾向にあることが判明しているところであります。
その次の○でありますけれども、入院料ごとの算定回数につきましては、見込みと実績に差が生じておりまして、入院料全体としては総じて見込みに比べて実績の算定回数が少なかったということでございます。
算定回数の見込みでありますが、次の○で記載しておりますけれども、26年度の改定時は、これらの算定回数を24年度の社会医療診療行為別調査によって把握される算定回数をもとに年度推計を行っていたということであります。この推計の際には、24年度の調査の単月の算定回数に一定の係数を乗じまして年間の算定回数へ引き延ばしをしているところでありますが、単月と年間の乖離を当時は精緻に処理ができていなかったということだと考えております。
また、項目ごとに算定回数に影響を与える要因といたしまして、これも資料を別途つけておりますけれども、患者数でありますとか病床稼働率の低下も反映することは難しかったということが言えると思います。
このページの一番下でありますけれども、療養病棟入院基本料の算定回数、先ほど御紹介いたしましたけれども、実績が見込みを下回っておりました。また、課税経費率は上昇しているということでありましたので、この2つの要因でいいますと、療養病棟入院基本料については補てん率は100%を下回るはずでありますが、結果は補てん率が100%を上回っておりましたので、これら以外、算定回数でありますとか課税経費率以外に補てんに影響を及ぼしている要因があることが考えられるということでございます。
21ページが、今までの要因分析につきましてまとめさせていただいております。医科・歯科・調剤の財源配分は、各科ごとの振れ幅は大きくなかったということ。病院・診療所の財源配分につきましては、病診間の医療費シェアの差の拡大と課税経費率の上昇が影響を及ぼしているといったこと。また、算定回数のことを後半に書いておりますけれども、この項目、初再診料、入院料、算定回数についてとありますが、算定回数についてのところを見ていただければと思います。先ほども御紹介いたしましたけれども、補てん点数項目の算定回数は全体的に見込みと実績に差が生じているということがわかります。これが全体の補てん不足、前回御報告させていただきました推計は92.5%ということでありましたが、これにも影響を及ぼしていると考えている次第であります。
資料2につきましては、以上でございます。
続きまして、資料3のほう、現時点でわかる要因分析を踏まえまして、次に消費税10%引き上げに向けた論点を提示させていただいたものでございます。
資料の2ページからでありますが、まず、補てん項目の配点の考え方でありますけれども、マル1番、初再診料と入院料の配分方法でございます。これは御案内のとおりでありますが、26年度の改定につきましては、病院と診療所で財源配分を行った上で、診療所に配分される財源につきまして、ほぼ全額を初再診料に配分する。そして、これで初再診料が決まるものですから、病院に配分される財源につきまして、診療所に乗せた点数と同じ点数を初再診料に乗せまして、余った財源を入院料に上乗せすることといたしましたが、病院ごとに補てんのばらつきが生じている要因の一つになっていることも考えられますので、この点につきまして何らか工夫をすることが考えられないかというのが最初の論点でございます。
2つ目に、入院料の配点でございます。これも先ほど御紹介いたしましたけれども、看護配置による区分というのは当時しないで、入院基本料種別ごとの課税経費率の平均値を適用することとしておりました。一方で、医療機関との消費税相当負担額を的確に把握するという観点から、より細かく見ていくといったことが考えられないかということでございます。
3つ目が、課税経費率や算定回数の変動だけでは説明が難しかったものもございました。療養病棟入院基本料算定病院等、先ほど申し上げたところでありますが、これら以外の要素を考慮することは考えられないかということで、これは括弧書きで書かせていただいております、まだ十分分析できておりませんけれども、病院の中の収入全体に占める当該入院基本料のシェアを当時考慮しておりませんでしたので、その点を考慮して改善することが考えられないかということでございます。
続きまして、3ページ、マル3番、個別項目への配点についてということであります。26年度の改定に当たりましては、可能な限りわかりやすい形で上乗せしていくことを重視すべきということで、当時は個別項目につきましては基本診療料、調剤基本料との関係上、上乗せしなければ不合理になると思われる項目などに補完的に上乗せするというふうに整理されていたところであります。この点、例えば個別項目の算定回数や、当該項目を算定する病院等の課税経費率などを分析いたしまして、その結果を踏まえて個別項目に配点することが考えられないかということであります。
続きまして、財源配分の考え方でございますが、医科・歯科・調剤の財源配分につきまして、振れ幅は大きくないということを書かせていただいておりました。一方で、病診間の補てん状況には影響を及ぼしていると考えられますが、これらの変動をどう考えるかということも論点として挙げさせていただいております。
最後でありますけれども、4ページです。使用するデータ等でございます。これは論点というより、こうしていいかなければいけないということかと思いますが、マル1番、課税経費率につきましては、当然でありますけれども、次回は直近の調査であります29年度の医療経済実態調査の結果を用いることとしてはどうかということ。
また、マル2番でありますが、算定回数の見込みと実績の乖離が生じましたので、これをできるだけなくす観点から、今はNDBデータの通年の実績データを使うことができますので、これを使うことによって、実態をより踏まえた方法で見込むように見直すこととしてはどうかということであります。
また、マル3番でありますけれども、今後の補てん状況の検証につきましては、次回、31年10月に消費税率の引き上げが予定されておりますが、この補てん状況につきましては、必要なデータがそろい次第、速やかに検証してはどうかと挙げさせていただいております。
少々長くなりましたけれども、以上でございます。
○荒井分科会長
ありがとうございました。
ただいま説明いただいた要因分析と今後の論点整理に関して、何か御質問等がございましたら、どうぞお願いします。
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
意見でございますけれども、前回のこの分科会でも申し上げましたが、医療に係る消費税については、やはり診療報酬改定で対応するという、この前提で考えることであるならば、その補てんの方法は公平かつ公正であって、極力過不足が生じない形で行う。これが大原則だというのは、皆さん御承知のとおりだと思います。そして、それを担保するために、今回御提示いただいております。資料1の調査方法の見直しを初めとして、資料3では論点案を整理して御提示いただいておりますが、やはりデータを細分化し、より精緻な分析をしていくということはあるべき方向性だと考えておりますし、窓口負担をする患者さんの理解を得る。そういう観点からも非常に重要な取り組みであると考えております。
しかし、一方で、使用データには制限がある。分析、検証の限界がある。これも理解しておりますので、事務局におかれては、そうした点も何ができないのかを明確にしていただいて、可能な範囲でしっかりと分析、検証していただき、次回以降の分科会において論点に沿った形での議論が深められるよう十分なデータを御提示いただくということをお願いしたいと思います。
そこで、ちょっと細かいことで恐縮なのでが、何点か意見要望でございます。資料3の2ページのマル1の初再診料の配分方法、マル2の入院料の配点において、何らかの工夫をするとか、より細かく見る。また、課税経費率と算定回数以外の他の要素を考慮する。このような論点整理がされておりますけれども、これらの論点の考察の前提としては、やはり26年、28年のデータ分析、検証をしっかり行うこと、また、論点の議論に資するようなデータエビデンスを御提示いただき、病診間、入院料間などの補てん状況のばらつきをより小さくするためには、どのような方策があるのかということを議論していくべきだと考えております。
また、マル3の個別項目への配点及び財源配分の考え方についても、考察に必要なデータは何があるのか、その現状がどうなのか、やはりデータエビデンスを御提示いただいて、この考え方の方向性も含めて考察をしていくべきだと考えております。
また、最後の4ページの使用データ等の論点につきましては、税-2の要因分析の結果においても使用データの制約における限界点が明らかになっているわけでございますので、直近の医療経済実態調査のデータやNDBデータ、これらのデータが今後の論点考察においてより実態に近い内容を担保できる十分なデータということであるならば、使用することについては論をまたないことだと考えております。
なお、政府予算との関係を踏まえますと、年内には一定の結論を得る必要があると承知しておりますが、今後の分科会における資料を御準備いただく際には、議論の時間、先ほど中川委員からも御指摘がありましたけれども、やはり時間軸をしっかり押さえ、議論を尽くすためのスケジュール感を念頭に論点考察に資するエビデンス、資料を御準備いただくようにお願いしたいと思います。
以上です。
○荒井分科会長
ありがとうございました。
ほかに御意見は。
中川委員、どうぞ。
○中川委員
税-2の3ページですけれども、補てんにばらつきが生じるというのは、点数設定が甘かったからですね。その点数設定が甘いというか、狂いが生じる要因として医療費シェアだとか課税経費率の変化、算定回数の見込みとの違いとか、そういうのがあるというふうに認識するという意味ですね、ここは。直接的に医療費シェアとか課税経費率の変化があったからばらつきが生じたのではなくて、点数設定が甘くなる要因としては、マル1、マル2、マル3ということでいいですか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
補てんの状況でございますけれども、バラツキが生じたということにつきましては、マル1、マル2、マル3が影響しておりますけれども、全体として補てんが不足していた主な内容といたしましては資料の21ページに書かせていただいております。下から2つ目の○に算定回数について記載しておりますが、算定回数の見込みと実績につきましては、先ほど御説明したようなことでございますが、全体的に見込みと実績に差が生じていることがわかったということでございまして、これが全体の補てん不足にも影響を及ぼしていると考えている次第でございます。
また、個別の医療機関種別ごとのばらつきの要因もいろいろ挙げさせていただいたところであります。課税経費率の変化がそれぞれ入院基本料ごとに違いが出ているといったようなこともございますし、挙げさせていただいておりました看護配置基準ごとに精緻には行えなかったということも要因の一つになっているのではないか。より改善していく方法の一つになってくるのではないかと、こういうことも影響していると思っております。
あとは、まだ分析し切れていなかったということでありますが、各入院基本料ごとの収入に占める入院基本料の割合を当時は考慮しておりませんでしたので、そういったことも見直していくと、より個別の医療機関ごとのばらつきについて改善につながっていくのではないかと、今のところはそのように考えております。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
税-3の3ページの個別項目への配点についてというところですが、基本的に個別項目に乗せるのはもうやめましょう。これは過去の5%までのところの個別項目の診療報酬による上乗せで、これは学習しているのだと思うのですよ。個別項目に乗せた診療報酬が一体どこに行ってしまったのかわからなくなるようなことがありました。こういうことは二度と繰り返すべきではない。さらに、このことについては、平成26年の中医協総会の資料にもございますが、25年9月25日の消費税分科会の中間整理に公益側の意見としてもあります。今日の資料にはないですけれども、ぜひ個別項目にも配点するということはやめたほうがいいと明確に申し上げたいと思います。
○荒井分科会長
猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
今日もいろいろと分析を見させていただいて、まだまだこれから細かいところが出てくるのだろうという気がします。私が今、病院として率直に思っているのは、今度の誤差を生じた結果が、特定機能病院に代表されるように、急性期、大型のほうが補てんが悪くて、そうでないところがよいという傾向は間違いなくある。では、それが何で生じたかということを、例えば単純に言うと、簡単に課税経費率という言葉を使っていますけれども、当然、入院基本料とその他の売り上げというのは大きいところは完全に切り離れてくるので、そこをどのように処理されていたのかという点。
それから、これは病院でずっと数が出ない、かつての入院コストの分科会などでも問題になっていたのですが、支出における入院と外来の切り分けというのは現時点では多分ちゃんと計算できないはずですね、荒井先生。そうすると、課税経費率を出しても、果たして入院のほうにどれだけ使っているかというのは、現時点では簡単に出る方法がないのです。そうすると、それをどういうふうに入院基本料のほうにはね返らせるのかというのは多分正確にできないのではないかと直感的に思っているのです。ですから、そこら辺のところの分析もぜひ次回までにしっかりとやって教えていただきたいなと。もしくは、実際にどのようにやってきたということも含めて教えていただければと思っております。よろしくお願いします。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
先ほど算定回数についての御説明がありましたけれども、26年度改定のときには、24年度の社会医療診療行為別調査、単月調査を1年間に引き延ばして使ったと。27年度からは社会医療診療行為別調査が全数調査になりましたね。となれば、精度はかなり上がるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
御指摘のとおりでございまして、精度は今後上がっていくと考えておりますので、使用するデータにつきましては、論点でも挙げさせていただきましたけれども、そういった形で改善する部分があると考えております。
すみません。先ほど御説明がちょっと漏れておりましたけれども、データが全数になるのは、社会医療診療行為別調査が、NDBデータが使えるようになることで全数調査になるということであります。
また、猪口委員から御質問いただいておりました課税経費の処理のことでありますけれども、現時点で簡単に御説明できることだけと思いますが、課税経費率そのものは全体でかかっている病院ごとの課税経費率を使っているということでありまして、それに応じまして必要な補てん財源が幾らかという配分を計算した後に、まずは初再診料を設定するということでありましたので、そこで幾らになるかというのを計算しまして、残った分を入院基本料に入れていたということであります。
さらには、そこの配分のところにつきまして、より分析をしなければいけないと思っておりますので、また次回、そういったことにつきましても御議論いただけるように準備したいと思います。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
税-2の21ページの2段落目の病院・一般診療所の財源配分というところです。そこのところで、平成24年度以降、病診間の医療費シェアの差が若干拡大している。これはいいでしょう。その次ですが、課税経費率の変動についても、病院の課税経費率の割合が若干上昇している。このため、実際の消費税負担に係る病診間の比重が、相対的に、病院では重く、診療所では軽くなっていると考えられる。つまり、病診間の医療費シェアの差の拡大と、病院の課税経費率の上昇が、病診間の補てん状況に影響を及ぼしていると考えられるとあります。
確かに病院の負担は重くなっているというのはわかりますけれども、診療所では軽くなっているというのは、ちょっとこれは問題があるなと思います。なぜかというと、消費税5%から8%に上がるときの3%分に対する補てん状況の把握に関してはそうです。でも、最初の5%までのことは全く考慮していないわけです。ですから、これは表現をもう少し慎重に変えていただかなければならないなと思いますが、いかがでしょうか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
ここで申しておりますのは、御理解いただいていると思いますけれども、消費税負担に係る財源の配分を医科で行っている中で、病院・診療所にそれぞれ配分するときに医療費シェアと課税経費率ということで消費税負担の程度を見て配分していったということでありまして、それが相対的に病院のほうが負担が重くなっている、診療所のほうが軽くなっているということで記載させていただいたものであります。これは御指摘のとおり24年度以降ということで、基本的には消費税率が5%から8%になっていく中でのことを記載させていただいているものであります。
ゼロ%から5%に消費税が当初設定されていった中でのことにつきましては、検証が難しくなっている面がございまして、単純にこうなっているというのはコメントが難しいと思っておりますが、ここの表現のことにつきましては、御指摘を踏まえて、今後使うときは注意したいと思います。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
病院・診療所間の状況を相対的にといった表現で比較すること自体が間違っていると私は思います。これは病診間の比重とかそういうことではないのですよ。財源配分からいうとそうかもしれませんけれども、それぞれの医療機関ごとの立場からすると、病院と診療所を比べて、診療所が楽だ、病院が重いという、そういう単純なものではないということを申し上げたいと思います。医療課長、それでいいですか。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
中川委員の御指摘について、基本的に比重というところでの表現ぶりのことだと思います。それが実際の医療機関の重さというところに関して直接通じるような表現にしているということについては、改めてここは正確に記載をさせていただきたいと思っています。
○荒井分科会長
ほかに。
では、幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
税-3の論点について少しコメントをしたいのですが、今回の議論の中で一番重要というか、分析を行なう必要があるのは、平成28年度の補てん状況で病院の85%に対し診療所が111.2%の補てん率という大きな差が生じている点です。算定回数の見込みに比べ実績がかなり低かったにもかかわらず、診療所については100%を超える補てん率になっているということがなぜ生じたのかというところを分析する必要があります。診療所に配分される財源のほぼ全額を初・再診料に配点し、診療所に乗せた点数と同じ点数を病院の初・再診料に乗せ、余った財源を入院料に上乗せするというやり方が果たして正しかったのかどうかというところを分析しなければいけないと思っていまして、このようなやり方をもう一度繰り返すと、同じような結果が出るのではないかと私は想定します。
ですから、初・再診料への配点だけではなく、個別項目への配点についても検討していかなければ、平成28年度と同じように診療所が益税になって、病院が損税になるというようなことが繰り返されるのではないかと想定しており、そういったところはこれからも考えていかなければいけないと思います。
それから、財源配分の考え方については、医療費シェアと課税経費率が病院は増加傾向、診療所は減少傾向にあるというトレンドを加味する必要があるのではないかと考えます。平成31年10月に予定される消費税引上げに際しては、平成29年度の医療経済実態調査を使って財源を決めていくと思うのですが、そこはやはり2年の差がありますので、その間の医療費シェア等は多分変動があると思います。医療費シェアは、今のままのトレンドでいくと病院は上がり、診療所は下がる。そういったトレンドがあるので、平成29年度の医療経済実態調査をそのまま使うのではなく、それに今後のトレンドを少し加味して病診の財源を決めていくという細かい調整を行った方がいいのではないかと思います。
それから、入院料の配点については、ばらつきが多いので、少し個別に見ていく等のきめ細かい対応も必要なのではないかと思います。
それから、個別項目への配点については、個別項目の算定回数と課税経費率に何らかの相関関係があり、例えば、この算定項目が非常に多い医療機関は課税経費率が高いというトレンドが出るのであれば、そういった個別項目について点数を上乗せするというような分析を行なってみてもいいのではないかと思います。
以上でございます。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
御意見いただきましたので、データの件については、次回に向けて何ができるか検討したいと思いますけれども、1点補足だけ。冒頭に御指摘いただきました財源配分のところでありますが、もし誤解があったらと思いまして補足をさせていただければと思うのですけれども、医科の中での財源の配分、病院と診療所に配分してそれを報酬として設定していくということをやったわけでありますが、配分そのものはそれぞれの医療費シェアと課税経費率、当時得られた直近のデータで配分をして、その後、配点をしていっているということでありますので、初再診料にまずはつけてという処理を当時やっているわけでありますけれども、それは配分に直接そのこと自体が影響を及ぼしているということではないということでございます。
○荒井分科会長
医療課長、どうぞ。
○森光医療課長
今の説明は、診療所は診療所の財源としてあった分を全て初再診料に割り振ったということなのですが、そのときにつけた点数、再診料3点という形でつけたものと同じものを病院のほうの再診料にも3点とつけたということで、財源が移ったとか移っていないということではなくて、同じ点数を病院のほうの初再診料に乗せましたよということでございます。それはちょっと説明が不十分だったかと思いますが、そのような形で受け取っていただければと思います。
○幸野委員
その理屈は理解しているつもりです。では、ちょっと質問を変えるのですけれども、診療所の財源について、ほとんどを初・再診料に配点したという根拠は何かあったのでしょうか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
まさに可能な限りわかりやすい形で上乗せすることを重視するということで基本診療料に乗せていくという議論の延長で、まずは初再診料につけるということが行われたと認識しております。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
幸野委員、質問していいですか。診療所が100%超の補てん率だからといって、なぜ個別項目につけるべきだという論理になるのでしょうか。意味がわからない。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
事実関係として、28年度調査で算定回数がかなり想定よりも低かったにもかかわらず、診療所の補てん率が111.2%を超えた実績が出ているということは、はっきり言えば、初診料、再診料に配点し過ぎているということを意味している。初診料、再診料に配点し過ぎだから、診療所の財源は一定程度区別して、個別項目にも配点した方がいいのではないかという意見です。
○中川委員
同じ財源を個別項目に充てるとどうなるのですか。診療所の補てん率が減ると思っているのですか。
○荒井分科会長
では、幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
診療所は、初診料、再診料の算定割合が非常に高いので、初・再診料の配点を高くするよりも、個別項目に配点したほうが診療所の補てん率は下がるというふうに思いますが、違いますか。
○中川委員
下げるために配点を変えるのですか。
○幸野委員
下げるためではなくて、病院との均衡をとるためです。
○中川委員
何と均衡をとるのですか。
○幸野委員
85%と111.2%の均衡です。
○中川委員
10%への引き上げに向けて、今後2%分に対してはこれまでと同じように診療報酬上で補てんするという方式は継続すべきだと思います。今回、5%から8%に上げたときの3%分については、確かに診療所は病院に比べて100%超だという事実はあると思います。それは認めます。2%分の診療報酬の補てんに対して、そのことは考慮してある程度の是正は必要だということは否定しません。
しかし、我々が議論すべきは、診療所が100%超だということではなくて、病院が85%にとどまっているということのほうが重大なのですよ。もっと言えば、診療所にしても最初のゼロから5%分の補てん率0.43%は明らかに不足なのです。そこを考慮すれば、ゼロ%から8%までの分の補てん率を考えると、診療所も明らかにマイナスです。100%以下です。そういう蒸し返した議論をしたくないので、このような議論をしているわけですよ。そういうことを、3%分だけのことで診療所が100%超だから問題だ、個別項目につけるのだというのだったら、それはまた別の議論になりますよ。基本診療料に消費税の補てんをつけるのだということは、中医協で激しい議論の末合意したはずです。幸野委員がよく知らないからといって、自分のときでないからというのは、それは違いますよ。中医協で合意して決めたことです。ぜひ御理解をください。
○荒井分科会長
田中委員、どうぞ。
○田中委員
医療費に対する消費税のアップについては、診療報酬で消費税の増税分を措置するということは決定されておるわけですから、前回、5%から8%に上がったときにはそういう対応をしたと理解しています。少なくとも5%から8%になる時点については、3%の消費税アップについての措置をしたということであります。ですから、その時点を今回の議論を行う前提にしていくべきであると考えます。そもそもの議論をしていくならば、恐らくゼロから5%になったまでの話をしないと解決はつかないと理解しておりますので、前回までの分科会での私の理解では、今回は8%から10%に上がるわけですけれども、少なくとも検証可能な5%から8%に上げた時点で損税、益税の状況があるわけですから、5%の時点以降は全て検証可能ですから、その範囲で10%に対して、税の過不足のないように措置をするというふうに理解をしています。
その上で意見なのですけれども、確かに個別の項目に乗せていくということは前回も議論をしたのですが非常に難しいと思います。共通する項目は、初再診、病院であれば入院基本料ということで、最終的には5%から8%に課税したときはそちらのほうで対応したわけですけれども、消費税が上がれば上がるほど、それは当然矛盾が出てくるわけです。ですから、もし個別項目への補てんはなかなか難しいということで、やはり初再診、入院基本料で対応するということであれば、それはおのずと結果としては、恐らく病院別、診療所別、診療科別に初再診料、入院基本料、これを変えていかないと税の過不足はどうしても出てくると理解しています。
ですから、個別項目で具体的に消費税が上がっていくことでどういう困り事があるのだということも当然検証は必要ですから、個別項目に対する補てんの検討は必要だと思いますが、仮にそれが非常に難しいということであれば、初再診料あるいは入院基本料が、どこまで細分化するかは別にしても、病院の規模別、診療科別に損をしたり益が出たりということのないような措置が必要だろうと認識をしております。
それから、資料で1つ質問があります。税-3の4ページです。こちらは10%引き上げに向けた論点整理ということで3番目に書かれていますけれども、この3点目は、補てんをした後の検証ですから、引き上げに向けた論点というよりは、引き上げ後の対応だと承知しております。今回のようなこともあるわけですから、引き上げっ放しではなくて、検証が必要なのは当然のことだと思います。
質問としては、仮に検証した結果、いわゆる損税、益税という状況が確認をされた場合、それが通常の診療報酬改定時に修正をするようなことがあるのか、ないのか、その点を質問したいと思います。
以上です。
○荒井分科会長
医療課長、お願いします。
○森光医療課長
検証調査については速やかにやらせていただきますし、そのときに大きく想定と異なるような状態になっていることがあれば、当然中医協の中での御議論を経てですけれども、診療報酬の改定時に見直していくということは必要だろうと思っています。
○荒井分科会長
三井委員、どうぞ。
○三井委員
今、いろいろな議論が出ているのですけれども、まず、個別項目への配点という部分ですが、歯科医師会としましても、過去からずっと続けているように、いわゆる個別項目への配点という部分には非常に反対したいと思います。なぜかといいますと、やはり評価ができない。今、課長のほうからも話がありましたけれども、きちんとした評価をすることによって、改定時にさらなる評価ができるという部分かなと考えております。26年以前の部分に関しまして、個別項目に配点をされたがゆえに、皆様よく御存じだと思いますが、点数が消えたり、こっちへ行ったり、あっちへ行ったりわからなかったら、全く評価ができないのです。だから、この議論はもう済んでいるはずだと歯科医師会は認識しております。
ですから、きちんとした部分でわかるように基本診療料に配点をして、評価をして、改定時にさらなる評価をしていくという手だてをとっていただきたい。これまでも改定時に評価ができたはずなのに、前回、30年の改定でも、実は中川委員が言われたように、本来ならデータが早く出ていれば30年度の改定で評価が出たわけです。そのデータが出なかったがために、改定をきちんとして、評価することがおろそかにされたということがありますので、その部分に関してきちんとやっていただきたいと思っています。
それから、歯科のほうですけれども、資料の2、8ページですが、考察を非常に簡単に3行でまとめていただいています。論点整理のところでも非常に簡単に2行という形でまとめていただいています。その部分ですが、考察を見ていますと、いわゆる初再診療料の算定回数の見込み違いであると。この見込み違いといいますのは、データの違いがあったと。ですから、27年度以降はNDBのオープンデータをとっていけるというところで、見込み違いの乖離が非常に少なくなる。
では、少なくなれば歯科におきましても、28年度でもマイナス10%という補てん率が出ていますが、この補てん率はほぼプラス・マイナス・ゼロに近づくというデータがあるということでしょうか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
現時点で、今の直近のデータでやるとどうなるかというところの検証まではやっておりませんけれども、当時やっていた単月からの引き延ばしとの関係で言うとかなり正確になると思っているものですから、そこで改善する部分があると思っております。
○荒井分科会長
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
税-2の21ページをごらんいただければと思います。医科・歯科・調剤の財源配分の○の1つ目の2行目の後半なのですけれども、財源規模が大きくない歯科、調剤は、医療費シェアや課税経費率の変動がわずかでも、医科に比べて補てん状況への影響が大きくなる。これはそのとおりだと思います。その上で、かつ薬局での仕入れ構成の特徴というのでしょうか、費用のうちの約7割を医薬品費が占めていますので、それ以外の経費の中から課税経費を出すということになり、補てん状況は薬局経営へ非常に大きな影響を及ぼします。
もう一点、その下の○の後半ですけれども、調剤については課税経費率と医療費シェアの上昇が、それぞれ補てん状況に影響を及ぼしていると考えられると書いてありますが、9ページをごらんいただければと思います。調剤の場合は、5から8%への引き上げのときに基本的には調剤基本料へ上乗せしました。この中の表現で言えば、余った部分、いわゆる端数の部分を調剤料に上乗せしたのですけれども、調剤基本料の見込み回数と実績を見ていただければと思いますが、見込み回数は8億7500万回でしたが、実績は8億2400万回ということで5000万回の開きがあり、調剤に関しても補てん項目の算定回数の見込みと実績の乖離があったと思います。
それから、これは意見とお願いになるのでしょうか。税-3の最後の4ページ目の補てん点数項目に係る算定回数の見込みのところで、確かに見込みに使うデータと評価に使うデータを同じにするということは賛成です。ただ、今回、平成26年の調剤基本料の見込み、どういうデータを使ったか、細かく見込んだかわからないのですけれども、以前は医薬分業も進展して処方箋の枚数も伸びていたのですが、平成27年、28年、29年を見ますと、対前年比で処方箋の枚数自身が、27年が101.6%の増、28年が101.4%、29年は100.6%ということで、ほぼ伸びておりません。29年に関しては17県で処方箋の枚数が前年に比べて減少していますので、そのようなさまざまな要因を考慮しながら、次回はきちんと見込みを出していただきたいと思っております。
以上です。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
この分科会の議論ですが、委員の皆さんはもちろん御承知なのだろうと思いますが、消費税引き上げに対して診療報酬で補てんするという方式がどんなに精緻化してもばらつきは生じます。それをまず前提としてやるのですから、できるだけ100%に近づけようと思っていろいろな工夫をするということなのですよ。ですから、そのことを全員が御理解していただいた上で議論を進めてほしいなと。どんなに精緻化してもばらつきが出るので、局長が冒頭言っていただいた、三師会と病院団体の連名で出した新提言をしているわけです。ぜひその御理解をいただきたいなと思います。
以上です。
○荒井分科会長
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
今、既に委員の先生方、過去の経緯については十分お話しいただいたわけですが、過去の問題に関しまして、やはりここは押さえておきたいと思って再度お話させてもらいます。いわゆる消費税の補てんに関しては、シンプルにこれを配点したいということでございました。したがいまして、基本診療料の加算ということになったわけですけれども、財源規模の600億と1600億に関しては、過去のデータでこれを割り出したのです。これにおいては大きな間違いはないだろうと思っていますが、問題は、税-2の21ページの算定回数についてというところで書かれていますが、見込みの実績に差が生じている。つまり、ここの見込み値が明らかにその後の実態とずれがあったということが今回の大きな問題だろうと理解しております。
見込み推計の算定の方法がブラックボックスになっていることで、この問題をいかに早く見つけることができなかったことと、その後の修正ができなかったことの原因はそこにあるのではないかと思っています。
算定回数の問題に関しては、その見込み数値、回数が違ったことによって、その数値を用いて検証すれば当然100%になることは明らかでございまして、そこのところに問題の抽出が遅れた理由があるのだろうと理解しています。
今回、お願いしたいのは、特に見込み推計数値をどのような算定方法で出したかということと、それがずれて見込みと違った場合にどういう形で補填を修正するかということを、今後きちんと考えていかないと、この問題は解決しないと思うのです。当然のことながら診療報酬は改定があり、場合によっては消費税の税率も変化するわけですから、その一つ一つを常に毎年毎年検証しながら追証していく仕組みが必要だと思っております。このような仕組みづくりをぜひ全力を挙げてお願い申し上げたいと思うことが1点でございます。
それから、個別項目への振りかえのこと。これも過去に議論したことでございますが、改めて申し上げますけれども、中川委員が御発言いただいたように、100%に近づけるのは理想でございます。明らかにその方向でもって診療報酬で対応していくべきだと思っておりますけれども、これは精緻化すればするほど複雑になるという面がございまして、この複雑なところを、その後の診療報酬の改定だとか、あるいは消費税率改定によってさらに複雑になることは明らかです。元年と9年の診療報酬の上乗せ分がその後の改定でどういう形で変化したか見えにくくなって、それが問題になったということから考えると、やはり複雑にすべきではないというのが当時の委員の皆様方の御意見だったと理解しております。
したがいまして、それをどういう形で補てんするかということはまた次の議論になってまいりますけれども、100%にすることは基本的には不可能だという前提のもとにそれをきちんと詰めていくことが必要ではないかと思います。
以上です。
○荒井分科会長
御意見ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
中川委員、どうぞ。
○中川委員
単純な質問なのですが、28年度の補てん状況把握結果、これは7月25日の資料ですが、非DPC病院の7対1の補てん率が56.6%なのです。どうしてこんなことが起こるのでしょうか。単純な質問です。びっくりしたのですけれども、見込み違いも甚だしいのではないかと思います。これはどうしてかということを理解しておくことが非常に大事だと思います。どうぞ。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
本日お示しさせていただきました資料2のほうでもいろいろなところで触れられておりますけれども、1つは算定回数の見込みと実績の乖離。また、初再診料につきましても、病院につきましてはその後減ってきているというところがございますので、こういったことも影響しているということだと思います。あと、冒頭申し上げましたけれども、まだ十分分析し切れておりませんが、病院の収入に占める入院基本料のシェアです。この部分を考慮すると変わってくるのではないかと、現時点でそうではないかと思っているのはこの辺のところであります。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
DPC病院で入院日数を重複して計算していたというのだったらわかりますよ。だけれども、非DPC病院でどうしてこの56.6%ということが起こり得るのかと。なかなか御理解は進んでいないのかな。分析はまだしていませんか。
○荒井分科会長
室長、どうぞ。
○樋口保険医療企画調査室長
先ほど御紹介しましたものの一つに、病院の収入に占める入院基本料の割合の話をさせていただきました。これは要するところ、病院収入の中には基本診療料、入院基本料のほかにもさまざまな特掲診療料があると思います。それを医療として提供する際に発生する消費税というのもあるということですが、もともとの26年度の診療報酬の乗せ方の中では、病院によって入院基本料の占める割合とそれ以外の特掲診療料等の占める割合に差異があると思いますが、そういったことを反映していなかったということがありますので、そういった面が影響していると思います。
あと、先ほどちょっと御紹介し忘れましたけれども、もちろん課税経費率の動きです。これに伴って消費税の負担が上がっている面、こういったことも影響していると思っております。
○中川委員
よくわかりませんが、こういう状態で4年以上経過しているのです。56%の補てん率のままで4年以上経過しているのです。こういうことを招いてしまったのですね。皆さんはとは言いませんが、皆さんは、ぜひその重みを本当に感じてください。局長、よろしくお願いいたします。
○荒井分科会長
では、局長。
○樽見保険局長
今、室長から申し上げたように、いろいろな要因、例えば算定回数の話とか課税経費率の話、それからもう一つ、最初の説明では余り言っていませんでしたけれども、入院の消費税対応ということでつけたところの、その病院の収入に占めるシェアの問題ということが重なった結果だと思いますけれども、そこをわかりやすいような形でさらに分析して、御説明したいと思います。御指摘については、しっかり肝に銘じたいと思います。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
私の個人的な意見で、少しまだ納得できていないところがあるのですけれども、これから病院と診療所の機能分化ということで、まずは診療所を受診することとし、大病院への受診は今後どんどん抑制されていく中で、大病院への初診、再診というのはこれから激減していくと思われます。しかし、消費税の引上げ分は基本診療料に配点するのだというような御意見なのですけれども、病院団体の先生方はこれに対しても同意されているということでよろしいのでしょうか。
○荒井分科会長
猪口委員。
○猪口委員
流れとしては、大病院の外来は抑制するというような話になっていますけれども、実際の数を言うと、外来診療はかなり減っていることは減っています。ですからこういう結果になるのであって、ただ、実際の診療報酬もそうですけれども、決めるときには現状で考えて決めていますね。将来こういう流れになるから、この点数はこう変えるというやり方は多分していなくて、これも同じで、現状でいかに精緻化するかということで、これはまた2年たってみて世の中でどう変わってくるか。ほかの診療報酬の影響とか医療制度の影響は出てくるわけですから、そこを定期的に、今回みたいに4年も置くのではなくて、改定のたびにこういう検証が必要であって、そこで問題があればまた見直していくということが必要なのではないかと思います。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
でも、28年度調査でこれだけの差が出ているわけですね。それが次のときにまた大きく変わるというふうに思われますか。
○荒井分科会長
猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
この場合にはこういう結果が出てしまったということで、26年につけたものが28年でまた数字も変わってきているということになりますから、今回はいろいろな調査の上でできるだけ精緻化するということが大事なのであって、また2年後にきちんとそれを見るということで、そうしていかないと先を見て物をつけるというのは診療報酬の世界では多分できないのではないかと思います。
○荒井分科会長
中川委員、どうぞ。
○中川委員
幸野さん、今の猪口先生のお答えに余り納得されませんか。診療報酬改定を2年ごとにしていますね。それは直近の医療経済実態調査を見て、2年ごとに決められた改定率のもとで改定をしているわけです。その意味は、2年ごとに直近の状況を見て清算しているのです。だから2年ごとに意味があると私は思っているのです。この消費税の診療報酬による補てんも同じ意味だと理解したいと思っているのです。ただし、4年間もこの状態で続いてきたのが本当に悔しいなという思いは、ある意味、幸野委員と同じような納得感のなさは持っていますが、いかがでしょうか。
○荒井分科会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
全部納得できるわけではないですけれども、2年ごとのきめ細かなところで清算していくということであればしようがないと思うのですが、まだ納得していないところはあります。私が病院関係者だったら、最初に診療所の初診料に配点するというのはどうしても納得できないところですね。
○荒井分科会長
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
そこのところが今、議論になっていますけれども、当時のことをお話し申し上げれば、要するに基本診療料でやるという大まかな合意がまず最初にできました。その後に、基本診療料の中の600億と1600億、これも決まった数字ですから、それをどう分けていくかというところで、当時は1年半しか続かないことと考えていたので、シンプルに、シンプルにそれを切り分けていって、基本診療料の一番シンプルなところの再診料と初診料でやりましょうという形になりました。そうしますと、病院の1600億の部分がかなり余りますから、そこを入院基本料、要するに主体となる入院の基本料につけましょうといって、ある意味、1年半だけの非常に便宜的な手法をとったということです。
問題は、先ほどから中川委員が言っておいでのように、問題が起こったところを検証しないで放っておいたことが最大の問題であって、今後はそういうところを十分に検証しながら、新たに基本診療料であれば基本診療料のどういうつけ方をしていくかということや、その他のいろいろなアイデアがありますから、そんなやり方をこの分科会で議論すればいいのではないでしょうか。
○荒井分科会長
幸野委員。
○幸野委員
ということは、まず診療所に初診料、再診料を配点して、それに病院側が合わせても、それ以外の残りの財源で十分に対応できる見込みであるというふうに聞こえるのですが、そういうことでしょうか。
○荒井分科会長
伊藤委員。
○伊藤委員
ここは簡単にお話し申し上げますが、600億と1600億というのは、それぞれの実情に伴う消費税引き上げ分にどれくらいの控除対象外消費税が出るのかというデータに基づいた推計値です。その推計値に合わせて診療所は主な収入を一つ一つ細かく点数をつけるのはとても無理なので、基本診療料といえば、まずは再診料と初診料。それを600億のところできちんと数字を出して、それを割り付けていきましょうということが決まっただけであって、病院はそれに対して、初診料と再診料を一緒に、同じような形で乗せて余った分を他の項目、つまり前回は入院基本料に乗せたということで今回も必ず同様な方法でやらなければいけないという前提ではなくて、当時はそれを1年半だからという形でシンプルにやったという、それだけのことです。
○荒井分科会長
課長、お願いします。
○森光医療課長
先ほど言いましたように、初再診料の点数を先には決めましたけれども、決して財源を病院のほうから診療所に渡したとかそういうことではありません。同じ点数をただ乗せたと。病院も同じ再診料を取る病院がありますので、それは今の点数の仕組み上では、200床以下の病院も診療所も同じ再診料を取りますので、その分は病院の1600億の財源から使ったよというか、分けたよという形で、その残りを入院基本料に回したということになります。
○荒井分科会長
田中委員、どうぞ。
○田中委員
病院と診療所の財源配分はそれでいいと思うのですが、例えば病院に限って言えば、実際にそのデータを見たら、診療科別で見ればかなり補てんの状況として損税となったり、逆に益税になったりしているわけですけれども、当然そういった点も含めてこれからどういう補てんの仕方をするのかということを検討することになると思っています。
そこで、それを基本診療料で措置するという流れでもしいくとするならば、初再診料とか入院基本料というのは診療科別でこれから変わっていかざるを得ないのだろうなと理解をするのですけれども、これからそういう可能性も含めて議論をするのだろうと理解をします。ですから、前回は初再診に関しては全く同じ点数なので、そういう問題になっていないのでしょうけれども、前回の結果も踏まえて、そういうことをやれば、これから具体的な数字が出されて、その数字に基づいて、前回と同じことをやれば差がさらに拡大してしまいますから、むしろ前回の措置を是正するような加点、配分をせざるを得ないと思うのです。議論はこの場でやるのですけれども、そこら辺をよく事務局も検討していただいて、実際にどういう配点をすれば過不足がない形になるのかということを提示していただかないと、ちょっと議論は混乱していくのではないかなと思います。
以上です。
○荒井分科会長
ありがとうございました。
そのほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
ほかに御意見、御質問等もないようでしたら、本日の質疑はこれまでとさせていただきたいと思います。
事務局におかれましては、次回以降の資料につきまして、本日の御意見も踏まえまして整理して、また今後の議論に資するような形の資料を準備いただければと思います。
また、前回及び本日御議論いただいた内容については、中央社会保険医療協議会総会に報告させていただきます。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局から御連絡いたしますので、よろしくお願いします。
それでは、本日の分科会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

(了)
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