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第7回障害者文化芸術活動推進有識者会議

障害保健福祉部企画課自立支援振興室

                  

○日時
令和4年12月19日(月) 10:00~12:00

○場所
オンライン開催

○議題
(1)「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画(第2期)」(素案)について
(2)その他

○議事
○大城(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室長補佐)
定刻になりましたので、ただ今から第7回障害者文化芸術活動推進有識者会議を開催いたします。本日の進行を務めます、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部の大城と申します。構成員の皆さま方におかれましては、大変ご多忙の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本会議はYouTubeライブによる公開にて開催しております。本日の出席状況でございますが、配布しております出席者名簿の通りとなります。
なお、本日の資料につきましては、事務局から事前にお送りしております通り、議事次第、出席者名簿、資料1、2、3-1、3-2、参考資料1、2となっております。
続きまして、事務局の出席者を紹介いたします。文化庁からは鈴木文化戦略官、地域文化創生本部の髙田事務局長、厚生労働省からは障害保健福祉部の辺見部長、障害保健福祉部の奥出自立支援振興室長が出席しております。また、オブザーバーとして、内閣府、外務省、文部科学省、経済産業省および国土交通省から担当者に出席いただいております。よろしくお願い申し上げます。
はじめに、文化庁において新たに着任された、鈴木文化戦略官よりごあいさつ申し上げます。鈴木文化戦略官、よろしくお願いいたします。
 
○鈴木(文化庁文化戦略官)
この度、文化庁にて審議官級の立場で新たに本件に関わらせていただくことになりました、文化戦略官の鈴木でございます。障害者文化芸術活動推進有識者会議の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
日比野座長をはじめとする構成員の皆さまにおかれましては、第2期の「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画」の策定に向けて、8月の第4回有識者会議より関係者のヒアリングも含めて、これまでに3回、精力的にご議論いただき感謝申し上げます。
本日は、前回の第6回会議においてお示しした骨格案を基に、構成員の皆さまからいただいたご意見を踏まえて、事務局において作成した第2期計画の素案について、ご議論いただくこととなります。
文化庁といたしましては、本有識者会議での取りまとめを踏まえ、厚生労働省をはじめとする関係省庁との連携のもと、年明けに関係省庁会議を開催するなど、年度末の第2期の計画策定に向けた手続きを進めていく予定としております。
本会議での第2期の計画策定に向けた議論も最終盤に入りました。構成員の皆さまにおかれましては、引き続き、さまざまな観点からご意見を賜りますようお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 
○大城(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室長補佐)
ありがとうございました。それでは、ここからは日比野座長に議事を進めていただきたいと思います。日比野座長、よろしくお願いいたします。
 
○日比野座長
皆さんおはようございます。よろしくお願いいたします。今年度最後の有識者会議となりますので、構成員の皆さん、いろいろご意見いただければと思います。
それでは、まずは議事次第の1番目、『「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画(第2期)」(素案)について』について、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
 
○奥出(厚生労働省社会・援護局保健福祉部企画課自立支援振興室長)
厚生労働省の奥出と申します。私のほうから素案について説明させていただきたいと思います。資料1として改定のポイント、資料2として、素案の本文を付けております。今回は事前に構成員の皆さまには送付をしておりますので、時間の関係もあり、資料1の改定ポイントにて説明したいと思います。資料1をご覧いただければと思います。
第2期基本計画の素案につきましては、障害者文化芸術推進法に定められた基本理念や基本施策を堅持しつつ、有識者会議における皆さまからのご意見を踏まえて取りまとめております。改定内容の大枠を示しておりますが、まず1の(1)にあります背景とこれまでの経緯、第1期基本計画期間における障害者による文化芸術活動に関する動向などを踏まえまして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響や、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催、ならびに各地域においてさまざまな取り組みが進んできたことについて、新たに記載しております。これは本文の「はじめに」の部分に記載しているものです。
次に、(2)基本計画の位置づけに、基本計画の取り組みを進めることは、令和3年の改正で、事業者に対する合理的配慮の提供を義務付けることとされた障害者差別解消法や、令和4年に制定された障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の趣旨に、かなうものであることを記載するとともに、(3)の意義と課題に、文化芸術の持つ多様な人々をつなぐ力は、ウェルビーイングの理念の実現にも資するものであること。障害者が文化芸術を創造し享受するためには、依然として課題があることを加筆しているというところでございます。
こうした第1期の計画期間の状況を踏まえまして、東京オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーを受け継ぎ、2025年大阪・関西万博や、その後のさらなる発展を見通して取り組みを推進するため、令和5年度から令和9年度における第2期の基本計画の期間におきましては、第3「第2期の基本計画期間において目指す姿」というタイトルで、新たに見出しを設けまして、そこに3つの目標と、それらの進捗を把握するための指標を設定しています。
その際、障害者の文化芸術活動がもたらす社会の変化にも着目しながら、数値的な目標のみならず、定性的な進捗状況も含め判断することに、留意する必要があるということを記載しています。
その3つの目標に関しましては、資料1、2番の各括弧に書いております。1つ目の目標についてですが、「障害者による幅広い文化芸術活動のさらなる促進や展開」としまして、例えば、文化芸術を鑑賞した障害者の割合や、活動しやすい環境づくりが進んでいると考える障害者の割合などを把握しながら、障害者が参加しやすい環境づくりを進めることを目標としています。
目標の2になります。「文化施設および福祉施設等をはじめとした関係団体、機関等の連携等による障害者が文化芸術に親しみ、参加する機会などの充実」としまして、障害者文化芸術推進法やこの基本計画の認知状況、さらに文化施設および福祉施設の文化芸術活動に関する取り組み状況、これらを把握しながらさまざまな主体が連携して、参加する機会等の充実を図ることを目標としているものです。
目標の3つ目でございます。「地域における障害者による文化芸術活動の推進体制の構築」としております。地方公共団体における計画等の策定状況や、障害者芸術文化活動支援センターの設置状況。これらを把握しながら地域の基盤づくりを進めていくこととしております。
さらに計画の第4「施策の方向性」でございますが、障害者文化芸術推進法に定められた鑑賞、創造、発表など11の施策を総合的、または複合的に推進していく観点から、個々の施策項目について再構成を行っております。1つずつのご説明は省きますが、例えば、施策の方向性の1番目の鑑賞の機会の拡大の中に、①として「障害者による幅広い文化芸術活動の推進」という項目を立てておりますが、11の施策の他の施策とも共通するものがございますので、それらを包括した文章を作成いたしまして、共通するそれぞれの施策の中に、それぞれ同様の文章を記載しているというような構成に変えています。それらの詳細につきましては、資料の3-1でまとめて書いておりますので、そちらもご参照いただければと思います。
また、これまで有識者会議の中でのご意見など踏まえまして、新たに各施策の柱書きの部分でございますが、文化施設や福祉施設、また中間支援団体など、さまざまな主体による連携、コーディネートするスタッフ等の人材育成、障害特性に応じた対応や情報発信等というものを記載いたしまして、内容を充実させたところでございます。
最後に、第5の「おわりに」に記載しているものでございます。資料1でいうと3番目のところに書いております。基本計画の目的や目指していく社会像といった、第1期の基本計画の記載内容を生かしながら、今後も有識者会議の意見を聞きながら、中長期的に施策の実行および検証等に取り組んで、進捗状況をフォローしていくことや、文化と福祉等の枠組みを越えて、障害者による文化芸術活動を推進していくことが、共生社会の実現に資するものであるということを明記しています。私からの説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
 
○日比野座長
ありがとうございます。事前に皆さまからご意見いただいた内容を、事務局のほうでまとめ、説明いただきました。今日はこの後、名簿順に皆さんからまたご意見をいただきたいと思います。皆さんからのご意見をいただいた後に、さらにまた各構成員からご意見がある場合は、挙手ボタンにて発言してください。事務局からの回答が必要なものに関しては、皆さんのご意見をいただいた後に、まとめて回答させていただければと思っております。
大体今日は皆さん出席していただいておりますので、1人3分ぐらいの目安でお願いしたいと思います。では、まずは今中構成員からよろしくお願いいたします。
 
○今中構成員
今中です。よろしくお願いいたします。取りまとめ、ありがとうございました。僕のほうから第2期基本計画素案の中で、3つほどお話をしたいと思います。
まず、2ページ目の33行目から3ページ目の3行目までの内容です。これは、ちょっと読ませていただくと、コロナ感染の感染拡大による影響を受けたものの、令和3年の夏、東京のオリパラの開催も追い風となりっていう文言があると思います。それを受けて各施策分野において、鑑賞、創造、発表活動等の取り組みが着実に進みつつあるという文言が書かれていますけども。これと、ちょっと飛びますが、8ページ目の27行目から30行目の一方でというところ。
一方で、第1期の基本計画期間の後半においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、文化芸術を鑑賞したことがある障害者の割合は減少している。また、低い状況である。うんぬんかんぬんということで、ちょっと何か文章的に齟齬(そご)があるような感じがいたしました。肌感覚で言うと、P.8のほうの状況把握が正しいように思います。それが1点です。
次に、8ページの6行目から9行目辺りのことなのですけれども、これはオリパラのレガシーを継承するっていうことが書かれています。継承するということが、どういう継承するかが具体的に書かれてないのですけれども、個人的には、僕はオリンピックの文化教育委員で、5年ほど委員をさせてもらったのですけれども、その中で障害のあるアーティスト個人にフォーカスした事業が非常に多かったのです。そういう意味では、「山高ければ裾広し」ではないのですけど、団体ってことも大事ですけれども、先日の議論なんかでも出ていましたけれども、アーティスト個人に光を当てるっていうのですかね、フォーカスを当てるという取り組みが必要であろうと。それが、オリパラでのレガシーを継承するということではないかなというふうに思います。
最後に、ずっと飛びまして、「おわりに」のところの、34ページです。これの29行目から32行目まで。地方公共団体の推進状況について整えよということが書いてあるのですけども、すいません、それを言うのであれば、予算措置が交付税算定基礎に入っているかとか、そもそも支援センターの補助金だけではなくて、地方公共団体に補助金のような形で交付する可能性があるのかということをぜひ教えていただきたいなと思います。それは何か、裾野を広げていくと。すいません。以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、皆さんのご意見を続けてお伺いしていきたいと思います。では、続きまして、大塚構成員よろしくお願いいたします。
 
○大塚構成員
大塚です。よろしくお願いいたします。基本的な計画の改定ということで、ありがとうございました。新たに目指す姿と目標等設定ということで、目標1から目標2、目標3と。基本的にはこれに賛成ということで、この枠組みの中でやっていただきたいというふうに思っております。
その中において、これを実効性のあるものにするということで言えば、それぞれ目標1などについて、進捗状況というものが書かれていますけど、これを具体化する必要があるというふうに考えております。特に、具体化という考えの中では11の施策がありますので、重なりながら、ということも先ほど言ったように項目が重なるのですけども、この11の施策それぞれについては、この目標の3つがきちんと入るような形で設定していくことが必要かと思います。
そしてこれを実行に移す時は、都道府県や市町村においても、このような計画を作ってやっていただくということになりますけど、それをどのようにサポートしていくか。障害者総合支援法における国が基本的な指針を作って、都道府県、市町村に障害福祉計画を作る、そういうかなり細かいところまでの設定というのは、まだできていないので、都道府県レベル、あるいは市町村レベルにおいて、どのような目標を設定していくかということを、少し考えていく必要があるのではないかと考えております。
その際には、目標というものを先ほど量的、あるいは質的両方の観点から作るということだけではなくて、例えば、それをサポートするための調査研究事業も必要かと。具体的な進捗状況、あるいは全国で行われている、あるいは全国の都道府県、市町村の自治体の良い例などについて紹介して、それを広く公開して普及していくと。そのためには、モデル事業のようなことも、これから有効なのではないかというふうに思っています。
この計画というものが全国津々浦々で広がるように、いろいろな仕掛けを作っていただくということが必要かと考えています。以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、続きまして岡部構成員よろしくお願いいたします。
 
○岡部構成員
よろしくお願いします。基本計画第2期の素案について、作成いただきありがとうございました。
事前にご説明も受けておりまして、私たち構成員の意見が各所に反映されているものになっているというふうに感じてはおります。
私自身が実際に活動を実践する市民団体の立場で、この素案というものを改めて読み直した時に、一つ一つ読んでいくと、確かにそのとおり幾つかの疑問点もあるのですけども、今ここで細かいことあんまり申しませんが、この基本計画というのをいかに現場の人たちに届けるかというのが、やはり一番大事なところだと思いました。
そういった意味では、もちろん基本計画を直接届けるというのはなかなか難しく、読むのに三十何ページですかね、35ページある。かつ、施策の方向性などで丁寧に、重なる重複する部分を記載していただいていますが、それによってかえって読みにくくなってしまっている。この辺りを、これは私がというよりは、いかに現場の人たちに基本計画のポイント、大事なところが届くかというのが、次にこの計画を出した時に必要なことなのかなと思っております。
位置付けや意義に関しては議論をしていく中で出ていた文言が入っていますので、今の時点でトータルで見ると非常に良いものになっていると思いますけれども、いかに伝えていくかという部分が大事かなと思いました。
もう一つが、施策の方向性ではなくて、8ページから始まる第2期の基本計画期間において目指す姿というところで、それぞれの進捗を把握するための指標というのを、具体的に示していただいているのですけども、この指標というのがどういった手法で誰によってまとめられて、どういったタイミングでこれが共有されていくのかというのが、これを読む限り少し分かりにくいかなと思いましたので、もしその辺りがあるようでしたら、またお知らせいただきたなというふうに思っています。
最後に一つ、ここはちょっと細かいのですけども29ページの9番、人材の育成等というところで、障害者の芸術文化活動の推進においては、やはり人材の育成というのは非常に大事になってきます。人材を育成した後、どのような行き先というか、育成された人たちがどのような現場で活躍するか。それは福祉施設の場合もあれば、文化施設等もあると思うんですけども、そういったことももしかしたら指標の中に位置付けていけるのではないかなというふうに思いました。
私たち自身が人を育てる、あるいは私自身も育てていただいた経験があるんですけども、一つの福祉といったジャンルではなく、多様なところにそういった人材が浸透していくことで、全体のボトムアップにつながるのではないかなというふうに思いました。以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、続きまして小川構成員よろしくお願いいたします。
 
○小川構成員
幾つか意見を申し上げます。1つ目は資料2、素案の6ページの末尾、「第2 基本的な方針」、脚注の取り扱いです。私たちの作っている計画とは別の話からします。本日午後に、文化審議会の総会が開催されます。そこで承認される見込みなのが、新しい文化芸術推進基本計画第2期の中間報告案です。この案では、第1期、現行の計画で示されていた文化芸術の多様な価値、すなわち、本質的および社会的経済的価値の記述が、抜け落ちる方向で調整されています。文化庁の文化芸術推進基本計画で脱落することがあったとしても、私たちの計画案では、芸術の多様な価値の定義の確認をないがしろにすることはできません。とりわけ社会的価値の可能性を追求することは、私たちの計画の重要な視点だからです。現時点で、「第2 基本的な方針」の末尾に、引用として脚注に入っている、文化芸術の本質的および社会的・経済的価値を、本文に移行していただきたいと考えます。
次に、全体を通じた用語の問題です。私たちの案では、社会包摂という言葉が使われています。一般的な辞書でも示されているとおり、社会的包摂と「的」を入れたほうがいいのではないでしょうか。これは単純な用語の使用法の問題ではありません。社会的包摂の対概念として、社会的排除があります。社会的排除を想定することで、社会的包摂の意味が明瞭になるからです。
3つ目は、13ページに出てくる「第4 施策の方向性」の中の文化芸術による子供の育成等です。小中学校や特別支援学校等を対象とした記述ですが、学校教育にとどまらない展開も併せて記述するのがよいと考えます。
子供の育ちの場として、放課後等デイサービスや放課後児童クラブ、いわゆる学童の他、中学校の部活動の地域移行を控え、部活動の地域連携や地域文化クラブの展開も開けてきています。この中でも特に、放課後等デイサービスに関しては、厚生労働省の障害児通所支援に関する検討会で、ピアノや絵画を指導するのみで、必ずしも障害特性に応じた専門性の高い有効な発達支援になっていないとの声も出ています。現場に近い私の立場からも連携が必要だと考えます。
4つ目です。「第4 施策の方向性」、32ページの最後から出てくる、学校卒業後における障害者の学びの支援の推進についてです。障害者の学びが、学校卒業後で重要なのは言うまでもありませんが、これを社会教育・生涯学習の範囲まで広げ、「生涯を通じた学びの支援の推進」としてはいかがでしょうか。
文部科学省中央教育審議会の教育振興基本計画部会では、障害者の生涯学習の推進、生涯を通じた文化芸術活動の推進を次期教育振興基本計画に示そうという動きが続いています。私たちの案では、生涯学習が検証の実施のところでしか出ていませんが、拡充することが必要だと考えます。以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、続きまして、尾上構成員よろしくお願いいたします。
 
○尾上構成員
DPI尾上です。ありがとうございます。
まず基本原則、コンセプトに関わるものの意見を申し上げたいと思います。オリパラのレガシーという中で、やっぱアクセシビリティ、インクルージョンの原則というのが非常に重要だったと思いますが、それに関わって5ページの一番上。現状では障壁や制限、それによる負担も生じているため、これらを解消するための具体的な対応が必要となっているとあるわけですが、解消してどういうふうな方向に持っていくのかということを、もう少し明記すべきではないか。これらを解消し、障害のある者とない者が共に参加し、楽しめるようにするための具体的な対応、障害のある者とない者が共に参加し、楽しめるというような記述があればいいなと思いました。
2つ目が、当事者の参画ということですが、計画や大きな場面での参画だけでなく、より具体的な場面での当事者参画。プログラムを作ったり実施をする。その際のそういう個々の場面での当事者参画、ならびに当事者評価ということがすごく重要だと思います。こういった記述を入れていただけないかなと思います。
そして2つ目が、改正障害者差別解消法で義務付けされた「合理的配慮」に関連してなんですが、全体を通じてどうも「環境整備」という言葉の中に、合理的配慮が全部溶け込んでしまっているのではないか。「合理的配慮を提供するため、そのための環境整備」ということで、ちゃんと整理をすべきではないかなと思います。例えば、6ページの12行目ですけれども、「幅広い障害者のニーズや多様な特性に応じた環境整備が必要」とありますが、「合理的配慮の提供とそのための環境整備」というふうに記述をすべきですし、他にも11ページの12行目とか、結構、本来は「合理的配慮とそのための環境整備」とすべきところが、環境整備に全部溶けこんでしまっているので、ぜひ修正をお願いしたいと思います。その上で具体的な部分でいいますと、12ページの最初のところ、「文化施設における障害者に配慮した利用しやすい環境整備」のところで、その中で例えば選択できる複数の車いす席や、あるいは同伴者と共に楽しめる同伴者席の設置ということなどが、全く書かれてないように思います。そういったこともぜひ記述をお願いしたいと思います。
あともう1点、合理的配慮のための職員研修です。環境整備がいくら整っても、やっぱり職員さんがうまく対応できなければ、合理的配慮が提供されないということになるので、合理的配慮のための職員研修ということも、この中に環境整備の一環として入れていただけないかな。それとの関係で、ちょっと前に戻りますけれども9ページ。9ページの進捗を把握するための指標のところに、ぜひ文化施設等でバリアフリーやアクセシビリティの取り組みをしているかどうか。そして合理的配慮に関する職員研修しているかどうかっていうのも、加えていただければと思います。
最後、万博関係ですけれども、14ページの20行目のところに、2025年万博に関する取り組みの発信ということを入れていただきましてありがとうございます。ただ、今現在は施設整備と日本博のことは書かれていますけれども、万博そのもののプログラムに関して記載をしていただきたいな。例えば日本館などで障害者文化芸術のプログラムを実施し、世界に発信するというふうな感じで、より万博を世界に発信する。そういうプログラムをやっていくんだということが分かるような記述をお願いしたいなと思います。
そして最後、「おわりに」のところなのですが、オリパラのレガシーということが書かれているのですが、やっぱり第2期計画では、万博に向けてというのが一つ大きなテーマだと思いますので、「おわりに」のところで、万博に向けた取り組みという記述の追加をお願いしたいと思います。以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、続きまして久保構成員はお見えでしょうか。久保構成員が今、中座されているか、お見えにならないようなので、また後で声かけしたいと思いますので、熊谷構成員、すいません、よろしいでしょうか。
 
○熊谷構成員
岐阜県障害福祉課の熊谷です。よろしくお願いいたします。
計画の素案につきましては、これまで私どものほうから発言させていただきました、より多くの障害のある方に文化芸術活動に、ご参加いただくための裾野拡大でありますとか、周知啓発の取り組みの促進。また、障害者差別解消法や障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法に対する対応の促進。また、令和6年に当県で開催いたします、全国障害者芸術文化祭の全国的な連携の推進、あるいはデジタル技術の活用の促進といった点につきまして、各計画の中に意見を反映していただいたものと考えております。本日、計画の内容ではございませんけれども、新しい計画に基づいた今後の取り組みにつきまして、2点お話させていただきます。
1点目は、今回11の施策に対しまして、35の施策項目が共通の文言で分かりやすく整理されております。この施策項目に基づきまして、実際には今後具体的な事業が展開されていくものかと考えておりますけれども、この計画の実効性を高めていくためには、各施策にぶら下がる事業を、毎年度できるだけ国の方で明確にしていただく必要があるんではないかと考えております。そうしたことによりまして、地方公共団体のほうにおきましても、財政当局などに説明しやすくなりまして、必要な予算を確保しやすくなるものと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
2点目といたしましては、新たな計画において、文化庁と厚生労働省を中心に、ネットワーク作りを進めること。また、地方公共団体においても文化担当部署と福祉担当部署とが連携して取り組むこと。また、地域における文化福祉等の分野を越えたネットワーク作りが、それぞれ明記されているところでございます。文化と福祉の連携の強化のためには、今後新しい事業を展開するといったことだけではなく、既にある事業について、国のほうでもそれぞれの分野で実施される、既存の会議や研修等あるかと思いますけれども、そういったものについて、可能なものは両担当部署が合同で出席できるような働きかけをぜひしていただければ、連携強化の後押しになるのではないかと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。私からは以上です。
 
○日比野座長
熊谷構成員、ありがとうございました。久保構成員、お戻りになられましたか。今お姿が見えましたが、今、名簿順に各構成員からご意見いただいているところで、今ちょうど久保構成員の順番なのですけれども、ご意見いただければと思っております。では、最後に回させていただきます。続きまして、柴田構成員よろしくお願いいたします。
 
○柴田構成員
柴田でございます。全体としましては、委員の意見を事務局が大いに尊重してくださっていまして、素案にしてくださったことに、まずは御礼を申し上げたいと思います。
総論的な感想では、省庁間の垂直的な推進から、水平的な推進に積極的に移行していくことが重要であると思いましたが、それが11ページの6行目から7行目に記載されておりまして、全くの同感を覚えました。これから7つほどの意見があるんですが、時間切れの場合は、後半で申し述べたいと思っております。
まず、4ページ22行目、ウェルビーイングの記載の加筆なのですけれども。3点ばかりございまして、1点目は、障害者が持つ特性や個性、価値というものを引き出して、良い状態を生み出すことということが、ウェルビーイングに求められていると思います。また、障害者自らが自分の持つ潜在的な力を信じて、主体的に活動することということも必要だと思っています。
2番目、障害者の方々が魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能とするものであるということが、ウェルビーイングだと思っています。また、当事者である障害を持つ方々が、社会に対して文化芸術活動を通じて、何をしたいのかということに傾聴することが、われわれが必要、重要なことだと思っています。次に、6ページです、視点の1、加筆をお願いいたします。多くの障害者が多様な主体との連携協力、ネットワークによって、社会参加の機会を得られるようになることというものを、盛り込んでいただければと思っています。また、多様な人々との交流が促進されて、地域における障害者アーティスト、個人ですけれども、活動者の活躍の場が拡大することが必要だと思いますので、これを視点1に盛り込んでいただきますようお願いいたします。
それから7ページです。5行目以降、視点の3でございます。これは8ページの22行目、目標1にも関わることでございますけれども、さまざまな主体の中に企業を入れることはできないでしょうか。大手企業をはじめ、地場産業を推進する地域の企業など、企業の社会的責任を果たすことの重要性に鑑みる必要があるからです。これは将来的にはソーシャルビジネスにつながっていくという、そういう可能性も秘めているからです。ご検討をお願いしたいと思います。
それから、地域の中核的な支援団体、支援センターをつなぐ横断的な人材の確保など、関係者のネットワークを築いて、障害者の文化芸術活動に無関心な人々に対して普及していくこと、これが重要かと思います。これは広報戦略にも関わってくるかと思っております。
次に、8ページから10ページ、3つの目標に掲げた指標についてでありますが、これは少し熟考が必要と思います。この基本計画の最も重要なことは何かということが、今策定中でありまして、これが定まらないと指標は考えにくいからです。例えば、評価とウェルビーイングを結び付けて考えますと、評価は価値を引き出すという考えの下、指標を設定する必要があります。指標は、数値的な実績と価値判断であるという認識が必要だからです。ご検討をお願いしたいと思います。
次に、34ページ、12行目から21行目までの記述についてです。これはコレクティブ・インパクトの考え方を取り上げてくださっていまして、大変ありがたく思いました。コレクティブ・インパクトのコレクティブというのは、単なる集合体ではなくて、個々が自立した集合体ということです。特に、14行目から17行目までの記述の中で加えてほしい内容は、社会関係資本に当たる「つながり」という言葉、つながりの連鎖という信頼関係を強調してほしい。多様な主体が、障害者の文化環境について共通課題を導き出すこと。
また、相互に補完し合って継続的なコミュニケーション、これは交流でもよいと思うんですけれども、そこから信頼関係を構築すること。また、評価を取り入れて、絶えず現場を磨き上げていくことを、うまく作文することができないでしょうか。文末の、「新しい価値を生み出し続ける」ということは、とても重要でございまして、「新しい価値を生み出し続けることが可能となる」としてほしいです。座長、続けてよろしいですか。時間、大丈夫ですか。
 
○日比野座長
いったん切っても大丈夫ですか。7つあるうちの今、幾つ目でしたか。
 
○柴田構成員
5つ終わりまして、あと2つ残っております。後半で。申し訳ございません。
 
○日比野座長
では、すいません、残り2つはまた後ほどお願いいたします。
 
○柴田構成員
ありがとうございます。
 
○日比野座長
ありがとうございます。では、続きまして、島構成員よろしくお願いいたします。
 
○島構成員
おはようございます。大阪の国立国際美術館で仕事をしております、島と申します。よろしくお願いいたします。最近、いろんな展覧会、それから国際的な芸術祭において、アール・ブリュットといいますか、障害を持った方の作品が、ごく普通にグループ展の中に含まれるようになってきております。
保坂構成員のいらっしゃる滋賀の県立美術館もそうですし、それから日比野座長が館長を務めておられる熊本市の現代美術館なども、かなり早い時期からそういった試みを行っておりまして、そういった作品が通常の展覧会に、ごく普通に他の作家たちと同時に展示される機会が増えてきています。その中で、いろんな美術館に、実はいろんな運営委員会などに時々出ているのですけれども、やはり全国の美術館がそういう認識を持っているかといいますと、必ずしもそうではなくて、やはり温度差があるというふうに感じております。
国立美術館においても、こういった取り組みを今回の計画に載っているものを、実現しようとはしているところなのですが、まだまだこれから、例えば手話によって各美術館を紹介するビデオを作るとか、そういったことも本当にまだ着手され始めたばかりという状況でして、さまざまな課題が今回盛り込まれておりますけれども、美術館の現場ではまだまだ予算的なこともあり、あるいは人的な資源の問題もありますので、そういった意味で認識を新たにしなくちゃいけないのかなと思っています。
各構成員の方がおっしゃっておられるように、美術館あるいは劇場など、設置をしている運営者の認識を、やはり改めていかなきゃいけないかと思います。
研修なども行われている場面がありますけれども、どうしてもやはり形骸化しがちだと思いますので、それが実効性というと簡単な言葉ですけれども、身に染みる研修といいますか、あるいは本当に心に届く、そういった研さんの機会といいますか、そういったものが必要になってくるのではないかなというふうに思います。
美術館の場合は、館長をはじめ学芸員、それから総務課の職員、それから警備員とか、監視の方、清掃の方なども含めて、そういった認識を新たにする機会が設けられるといいのかなというふうに思っております。簡単ですけれども、以上です。
 
○日比野座長
島構成員、ありがとうございました。では、続きまして、鈴木構成員よろしくお願いいたします。
 
○鈴木構成員
鈴木です。よろしくお願いします。
全体的にここで協議されて、意見したことが反映されていて、またうまくまとめられておられますので、いろいろご苦労あったかと思います。ありがとうございました。その中で幾つか意見というか、ちょっと投げかけも含めて、何点かお話ししたいと思います。
まず、全体的にやっぱり情報の発信のところに、障害の特性に配慮したとか、留意したっていう言葉が入ってきているのは、とても今回うれしいなと思いました。
いろんな情報の情報発信が、この基本計画なりが、障害者自身にも届くっていうことがとても大事だと思いましたので、そこが今回入ってきたのがいいなと思っていますが。文中いろんなところに情報発信という言葉が出てくるので、全部に入れると多分くどいというか、分かりづらくなるところもあるかと思いますが、大事なところの情報発信には、「障害の特性に応じた」っていう言葉を、やっぱり入れていただけたらなっていうふうに思いました。
それと、これは今後進捗状況とかを掲示をされるところの中で、人材育成のことに関して、劇場なんかに相談体制をつくるっていうところが一つありましたけれども、じゃあ、どんな人材がそこに要るか、こういった障害者の鑑賞支援であったり、創造活動のことを受け得る人材が、育ったかどうかっていうところも進捗状況の中で分かるといいなっていうふうに思いました。
最後に、他の委員からの意見と重なっているところは排除しまして、1つ、私自身の多分言葉の受け取りの感覚のところかもしれませんが、6ページ「基本的な方針」の中に、「障害者の個性を」というところがあるのですが、これは「障害者の個性」というよりも、「その人自身の個性が発揮できる」とか、そういった言葉のほうがいいのではないかっていうふうに感じています。
この辺に関しては、当事者の方も含めていろんな意見があるかと思うので、私の個人的なこれまでの活動の中で感じていた感覚でいくと、ちょっと障害者の個性って1つに絞っちゃうよりも、もっと広く人として捉えたほうがいいのではないかっていうふうに感じました。これで終わります。ありがとうございます。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、続きまして津田構成員、よろしくお願いいたします。
 
○津田構成員
はい。よろしくお願いいたします。津田です。
全体的にすごく工夫して書かれているなというふうな印象を持ちました。今日3点お話をしようと思うのですが、いずれも些末なことです。
1つ目が、地域における、大体10ページから15ページぐらいまでのところを読みながら感じたことなのですけども、もう一歩、十分に書かれているとは思うんですけど、もう一歩、障害のある人と障害のない人たち、両方が文化芸術活動を介して学ぶという側面が、強調していただけたらありがたいかなというふうに思います。例えば、地域住民というような言葉を使うのがいいと思うのですけども、障害者の表現活動に接する機会になることを意図して、文化芸術活動を介した、共に学ぶ場面を創出することを喚起するとか、そんなような言葉が入ると、なお輪郭がはっきりするというふうに思いました。
それから、同様のことなのですけど、同じような観点なのですけども、2点目は、人材の観点です。人材については大体32ページの辺りに、地域における人材の育成という観点が書かれていまして、第1期計画等を引き継いでということなのですけれども、その中で、地域で活躍する人というのは、そこそこいるとは思うのですけども、それをつないだり、まとめたり、アドバイスをしたり、相談に乗ったりとか、そういうどちらかというとコーディネート的な機能を果たす人が、地域にもう少しいるといいのではないかなというふうに思うことは、生涯学習という文脈でも感じることなのですけども。そういう人をつなぐコーディネート的な役割を持つ人が、地域に置かれるというような方向が必要ではないかというふうに思います。これは、人の連携というところででも、さまざまな行政や、あるいは機関で活躍している方たちを有効に活用しながら、体制を整えていただけるといいかなというふうな方向です。
3点目ですが、学校の話です。28ページの辺りを見ながら感じたことですけども、基本的に学校では文化芸術活動が十分になされていないというようなトーンで書かれているんですけども、実際には文化芸術活動をかなり盛んにやってる学校もあって、そういう学校がむしろ地域に開かれていくという視点、文化芸術活動を学校内でやられてる文化芸術活動を、地域に開いていくという、こういう視点も含めてあるといいのかなというふうなことを感じました。いずれもさまつなことで恐縮です。以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、続きまして長津構成員よろしくお願いいたします。
 
○長津構成員
長津です。今回の取りまとめに関しまして、事前にご説明もいただきましてありがとうございました。私からは3点、申し上げたいと思います。
まずは、他の構成員の方からもご指摘がある、8ページ以降に書かれている目標と指標に関してです。目標ごとに具体的な進捗状況を把握するための指標については、定性的なものも具体的に示し、指標はあくまで案としてはどうでしょうか。中に、障害者の文化芸術活動がもたらす社会の変化にも着目しながら、個々の指標の内容を達成すること自体が目的でないことや、定量的のみならず、定性的な進捗状況も含めて、状況全体から判断することが重要であるという文言がありますが、実際に書かれている指標が定量的なものにとどまっているため、誤解を生む可能性があると思います。もう少し踏み込んで、質的な変化について把握するための研究開発も必要かも知れませんが、そういった道筋を付けていただけるとよいのではないかと感じました。
次に、29ページに書かれている人材の育成等に関してです。各施設や団体等において人材育成を進めるに当たっては、文化施設の全国組織である統括団体における研修等の取り組みや、普及支援事業の取り組みと連携して進めていくことも考えられるという文言がありますが、これは現実に合っていないように思います。まず、現状を障害のある人の文化芸術活動に対して、積極的な文化施設も福祉施設も多数派ではないことを意識すべきだと思います。各施設や団体等が人材育成を進めていくことができるのは、既に意識が高い団体のみです。むしろ、統括団体や普及支援事業の取り組みが、各施設や団体等の人材育成を促進するような取り組みを、積極的に講じていただければと思います。
最後に、「おわりに」に示していく、この計画の今後のビジョンについてです。以前の計画では以下の文言がありました。文化芸術活動においては障害の有無は関わりないと捉えつつも、現状では障害があることにより、文化芸術活動に困難が生じているため、基本計画ではこれらに係る課題を解消するための第一歩となる当面の目標を示した。今回の計画案では、この文言は削除されています。ですが、この文言にあった「障害」という言葉が持つ意味を考えていく必要が、いま一度があると感じました。つまり、障害の有無は関わりないと捉えつつ、という時の障害という言葉は、障害の個人モデル、もしくは医学モデルを用いた考え方だと思います。一方、現状では障害があることにより文化芸術活動に困難が生じているため、という時の障害は、障害の個人モデルとして捉えることも可能ですが、社会モデルとして捉えることも可能だと思います。社会モデル的な言い方をもう少し補足すると、文化芸術活動を行うことの困難の障壁は、社会制度によって生み出されていると考えることもできます。だとすれば、もちろん社会モデルの理念の出自が障害者運動にあることを前提に置いた上でも、あえて文化政策の立場で申し上げようとすれば、文化芸術に接するための障壁の問題は、決して障害者と呼ばれる人たちだけの問題ではありません。国の文化政策が、文化経済戦略が代表例ですが、「稼ぐ文化」にかじを切っている今、高齢者や子供、外国人などを取り巻く障壁の問題もまた、本基本計画以上に置き去りにできません。また、今回議論している基本計画を行っていることが、国による文化の社会的価値への目配せ、悪く言えばアリバイのように扱われることも避けなければなりません。具体的に、例えば文化芸術活動においては障害の有無だけではなく、社会的障壁等により文化芸術活動に困難が生じている局面が、なおも残っていることも鑑みつつ、基本計画ではこれらに係る課題を解消するための第一歩として、「主に障害者による文化芸術活動についての当面の目標を示した」というような文言を「おわりに」入れていただくことは難しいでしょうか。私からの意見は以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、続きまして、野澤構成員よろしくお願いいたします。
 
○野澤構成員
野澤です。いろんなところを見ていると、随分裾野も広がってきたし、深まってきたなっていう感じもするのですけども、でもやっぱりまだまだ全体からすると、障害のある方たちでこういうものに取り組んだり、あるいは関心のある方ってごく一部だと思うのです。なので、まだ第2期も裾野を広げていく、そういうことは最重視して取り組むのがいいなと思って、2期計画の素案を見ていました。地方公共団体による計画の策定とか取り組みの推進って、これとても重要だと思うのです。ただ、いろんな公的な費用が付いて、あるいは市民に伝えていくと、だんだんルールとか規制とかが厚くなってくるという、そういう可能性があるように思うのです。それをやってしまうと、この文化芸術ってやっぱり自殺行為になると思うので、ぜひこの辺りは、まだ実験とか発掘の段階であって、いろんな新しい取り組み、あるいは小さな取り組みも含めてバックアップしていくことを、強調していただけるとありがたいなというふうに思っております。
それともう一つは、冒頭にお話がありましたように、障害者差別解消法の改正とか、情報アクセシビリティ・コミュニケーション推進法ができて、これとてもいいのですけども、やっぱり私の立場から言わせていただくと、知的とか発達、精神の方に対する目配りっていうのは弱いなっていうのを感じるのです。なんかやっぱり判断能力やコミュニケーション能力の高い方々を念頭に置いていろんなことが、これは仕方ない面があって、それはそれで重要なんですけども、やっぱりものを自ら言わないというか、そういう方たちこそが光を当てて、もっと重視して取り組むべきだろうというふうに思ったりしております。
文化芸術においては、知的や精神の方っていうのは、むしろ作り手として、主な担い手になっていることを考えた時に、もう一段とこの辺り、情報アクセシビリティ、コミュニケーションにおいても、中心的に考えていただきたいなというふうに思っています。
特に、作り手としては、だんだんプレゼンスが高まってきていいと思っているのですが、鑑賞者として、映画館にしろ、劇場にしろ、音楽ホールにしろ、やっぱり排除されている。排除されてきた歴史があるものですから、自粛しているというか、遠慮しているというか、なかなかやっぱりこういうものに触れる機会が乏しいというふうに思わざるを得ません。なので、こういう一般の観客のことも考えると、非常に難しい面があるのは分かりますけども、こういう方々への理解や啓発というものを、もっと重視していただきたいなというふうに思っています。
もう一つ、9月に山梨であったバリアフリー演劇祭。これは尾上構成員が主に関わっていただいて、私も見にいって大変衝撃を受けたんですけども、これは手話通訳の方がもう演者として、1人のただ通訳じゃなくて、演者として出ているんです。さらに、これまでこういう劇場から排除されてきたって思われる自閉症の方とか、特に強度行動障害のような、大きな声出したり飛び跳ねたりするような方たちも観客としているんです。彼らはもちろん声も出しますし、中にはステージに上がっていくと。でも、それも演劇のひとつとして取り込んで、全く何か違うものがライブ感覚でできている、みたいなことを考えた時に、やっぱり文化芸術の可能性というのを私は目の当たりにして、もっともっといろんなわれわれの知らないところで、大きな可能性を秘めているなというふうに思います。これは、これまでもそういう方たちを社会から排除してきた近代のシステムに対する、メタファーとしてのいろんなメッセージが込められているなとかも、勝手に思ったりしているのです。この辺りの可能性をもっともっとやっぱり第2期も、できるだけ緩やかな規制の下、いろんな挑戦、実験を後押ししていくようなものにしていただけるといいなと思っております。すいません。具体的な素案を、「ここを」っていうことを言えないんですけども、総論的にそんなことを思いました。ありがとうございます。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、続きまして、服部構成員よろしくお願いいたします。
 
○服部構成員
服部です。よろしくお願いいたします。
第2期の基本計画期間によって目指す姿、目標1は裾野を広げるという趣旨かと思いますが、美術活動の場合、中心はやはり福祉施設です。障害者の美術活動に関わっているアーティストにお話をお聞きすると、多くの方が施設で創作の機会が提供されることの重要性を指摘されます。
長い歴史を持つあるアトリエの講師の方は、ここのアトリエにいる人は何十年といたので多くの作品を残してこられたが、もし別の施設に入っていたら、一度も絵を描くことはなく一生を終えてしまったかもしれない。多くの施設でアトリエ活動があり、自分は絵を書くことが好きかもしれないということに、気付けるチャンスがあるということが大切だというふうなことです。
福祉施設での取り組みは、目標2で先進的な施設との連携という面から目標設定されていますが、やはり個別の施設に対する支援の仕組みも重要ではないかと思います。
目標2では、文化施設での取り組みの拡充について、役割の多くを中間支援センターに期待するような書き方になっています。確かに、文化施設には温度差もありますし、予算的、人的制約もあります。しかし、自分たちの施設で何が可能かを内部の人間がしっかり考えることが必要で、そのためには文化施設にこの問題の担当者、責任者を置くことが求められます。それは目標3の指標として実現されることかもしれません。
一方、福祉施設においては、外部からの刺激が必要です。外部のアーティストや研究者との協働による文化芸術活動の推進には、目標3で示されている支援センターの役割が重要です。指標には設置状況だけでなく、支援センターの活動の質も評価できればよいのではないかと思います。
現代芸術のアーティストの中には、誠実に障害者の創作活動に関わっている方も多く、創作、発表、研究、保存など、さまざまなフェーズで多大な貢献をしておられます。このようなアーティストの資質を福祉施設の現場で生かせるようにするには、中間支援センターの役割が大切です。そしてアーティストが積極的に関わるということは、文化施設の意識改革にもつながると思います。
「第4 施策の方向性」について、(2)で学芸員に創作活動の現場のコーディネートの役割が期待されていますが、学芸員には創作されたものの研究、評価、アウトプットの部分で、専門性を生かしていただくほうがよいのではないかと思います。また、11の関係者の連携協力の中に、博物館を置くことも必要だと思います。
最後に、(9)の人材の育成における大学の役割について。これまでも、大学の役割については多くの意見が出されてきました。高等教育の独立性の確保、博物館法の縛りなど、配慮すべき点も多いですが、文化施設や福祉施設で専門職を担う人材の教育は、大学で行われています。別紙の施策項目の中には、何度か芸術系大学という言葉が出てきますが、学芸員養成課程を有する大学、アートマネジメントのカリキュラムを有する大学、そして福祉人材を育成する大学でも啓発と教育を行っていくべきだと思います。私からは以上です。
 
○日比野座長
服部構成員、ありがとうございました。では、続きまして、廣川構成員、よろしくお願いいたします。
 
○廣川構成員
おはようございます。廣川です。
いろいろ皆さまからのご意見をいただきまして、本当にありがとうございました。また、今まで他の委員の方々からのコメントやご意見というのも、私も同様に感じております。その上で、私から意見をお伝えさせていただきます。
まず、1点目が、全体的に拝見させていただいた時に、用語について少し問題があるかなと思いました。他の方々からもご意見あったかと思いますけれども、ちょっと難しいなと思う面が幾つかありました。まず、アウトリーチですとか、アクセシビリティ、バリアフリー、片仮名用語がありますよね。皆さんは十分にご承知だと思いますけれども、今後基本計画を国民に示していくとなった場合に、用語の意味が分からないなっていう方は、自分には関係ないことなのかなって思ってしまうということが、ちょっと危惧されています。ろう者だけではなくて、他の方々も、他の障害の方も同じだと思いますけれども、やはりきちんと読んで納得して、自分事として考えていくためには、用語として出すのはいいのですけれども、もうちょっと説明というのがあって注釈のようなもので説明をするとか、3の最後のところ、注釈のところに入れるとか、補足の説明っていうのが必要ではないかと思っています。
それともう1点、バリアフリー、アクセシビリティっていう言葉についても、この違いが何なのかっていうことが、分からない方もたくさんいらっしゃると思うのですね。新しい言葉としてアクセシビリティという言葉が、用語が出てきたと思うのですけれども、その辺りがちょっと抽象的、曖昧になっているかなと思います。特に、8ページの8行目と9行目の辺りになりますけれども、「文化事業の活動へのバリアフリーに対するさまざまなアクセシビリティの向上」というふうに書かれていますが、2つの用語が併記されているので、あれ?その意味は同じなのか、別のことなのかなってちょっと混乱してしまうのではないかなと思います。その辺りの説明というものも、考慮していかなきゃいけないのかなっていうところをお願いしたいと思います。
そして、前も意見をお伝えしたと思うんですけれども、2025年大阪万博が開かれます。そのお話は明記されていますけど、同じく2025年の11月には東京でデフリンピックが開催が決まりました。一応予定をされています。国として大きなイベントになっているとは思いますけれども、その辺りも併記していただけたらなと思います。
あと最後に、今後についてですけれども、パブリックコメントに向けて、その際にぜひ手話で、説明も動画で、まず手話での動画説明を作って、それに対してろう者がその動画を見て、手話で意見を出せるような方法を取ってほしいなと思っています。実際に別に厚生労働省のほうで、難聴児の早期教育についての意見を集約した時にも、手話動画で意見を集めたという経緯もありますので。それで20ぐらいの回答が集まったというふうに聞いています。なので、そちらも、文化に関しても手話でコメントを集められるようにしていただけたらなと思います。以上となります。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、続きまして、広瀬構成員よろしくお願いいたします。
 
○広瀬構成員
広瀬です。まず、僕に点字の資料を頂きまして、今見えているかどうか分かりませんけど、分厚い100ページ以上のものですけど、これを頂いて、事務局の会議に注ぐ熱意といいますか、本気度というのを感じまして、大変感謝と敬意を表したいと思います。
それで、僕からは簡単な質問が1つ、小さな要望が2つ、大きな要望が1つ述べたいと思います。
まず、簡単な質問ですけど、既に他の構成員からも意見が出ていますけど、第2期の基本計画期間において目指す姿のところの進捗を把握するための指標ということです。特に、僕が気になるのは、1番のところの障害者の割合ということで、これはおそらく当事者アンケートみたいなことを想定されているんでしょうけど、文化施設とか、社会教育施設に対するアンケートっていうのは分かるんですけど、障害当事者に対するアンケート、割合の把握っていうのは、具体的にどの範囲でどの程度のことを考えておられるのか。障害種別も多様ですし、難しいと思うんですけど、その辺のお考えがあればお聞きしたいというのがまず1つです。
それから要望、小さな要望の1つ目。これは、「第4 施策の方向性」のところの12番で、文化財での対応ということが入っています。これはぱっと見た時にちょっとびっくりといいますか、これを入れてくれているのかと思いまして、非常にうれしかったんです。やっぱり博物館的にも、文化財ということが入っているのは画期的だと思うのですが、ただ、所管も違うってこともあるでしょうけど、非常に記述が短くて、具体的にどういうことなのかなというのが分からない。
僕の周りで言うと、例えば3Dプリンターの活用でレプリカを作ったりして、これは視覚障害者のみならず、本当にユニバーサル、インクルーシブなものとして多様な人に楽しんでいただくという意味で、かなり活用の幅が広がっている部分なので、もう少し、せっかくこの文化財というのを入れていただいたのであれば、何か具体的な施策とかの提案があると、よりいいのではないかと思いました。
それから、小さな要望の2つ目ですけども、この間、僕はいろんな要望を出してきて、今回芸大の入試における合理的配慮といいますか、そういう点を加えていただいたのは大変ありがたいですけども、1つ僕が出していた要望の中で、学芸員資格の認定の部分で、これは2つございますけども、障害当事者に対する門戸の拡充といいますか、実習の受け入れ先を含めて、障害当事者がもっと学芸員資格に積極的にアクセスできるようになるっていうことと、プログラムのほうで障害者アート等を盛り込んでいくというようなことをお願いしていましたけど、これも所管の違いがあるのだと思いますし、今回盛り込むのは難しいのだろうと思いますけども、一応継続課題として改めて要望を出しておきます。
そして最後、大きな要望になりますけど、実は、素案を通読して改めて非常に疑問に思うことなのですけど、特別支援学校、特別支援教育のことです。確かに素案の各所に特別支援学校等において芸術に関する教育の充実を図る、なんていう記述が散見されますけれども、残念ながら率直に言っておざなりな記述といいますか、他の部分に比べて随分特別支援教育に関する部分が手薄といいますか、少ないなと思いました。これはやはり背景として、皆さんご存知の国連障害者権利条約の勧告がつい最近出まして、インクルーシブ教育に対する日本の取り組みが遅れているということもあって、インクルーシブ教育推進という方針が背景にあるのだと思います。とはいうものの、やはり障害当事者にとって鑑賞や創造の基礎を築くという意味で、特別支援教育が果たす役割は大きいし、インクルーシブになったとしても特別支援教育の学校が、例えばサマーキャンプのようなものを企画したりとか、そういう役割というのはあると思います。
そして、ちょっとこの検討会の趣旨からは外れますけども、そもそも日本の特別支援教育というのを考えた時に、視覚障害の場合でいうと、元々琵琶法師とか、瞽女(ごぜ)と言われる民間宗教者の活動が、10世紀、平安時代からあって、そういう意味では日本は障害者による文化芸術活動推進の先進国だったわけです。前近代といわれていた時代から、そういう視覚障害の当事者による文化、芸能というのが脈々と受け継がれてきたという歴史があります。そういうものを受け継いで江戸時代に、〔鍼・灸・按摩〕なんかも入ってきて、日本の視覚障害の特別支援教育が始まっていくと。単純にインクルーシブがいいんだということではなくて、やはり職業教育と結び付いた特別支援教育の歴史があるということ。そして当事者による文化芸術推進というのが、前近代からあったということは、やはり日本の特徴ですし、決して欧米的なソーシャルインクルージョンだけでは論じ切れない部分があると。ですから、直接的な要望としては、琵琶法師や瞽女の活動というのはできれば、難しいかもしれないけど、「はじめに」とか「おわりに」で、「日本にそういう障害者による文化芸術活動というのが前近代からあった」ということを一言なり入れていただく。それはやはりわれわれを勇気付けることにもなると思います。そして大きな要望としては、先ほどから申し上げているように特別支援教育というのが、決してインクルーシブ一辺倒ではいかない部分というものもあって、そこの大切さということをもう少し素案に盛り込んでいただければと思います。以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、続きまして、保坂構成員よろしくお願いいたします。
 
○保坂構成員
滋賀県立美術館ディレクターの保坂健二朗です。よろしくお願いします。一応今から申し上げること、チャットのほうにも入れておきました。芸術学の研究者および美術館の運営に携わる者として、意見、希望を合わせて3点述べさせていただきたいと思います。
1つは価値を巡る定義についてです。すごく細かいことになりますが、6ページの28行目以降や、24ページ、27行目以降などで、文化芸術の価値として本質的価値、あと社会的価値、経済的価値の3つが挙げられています。しかし、いずれも文化芸術の機能面での価値のみが語られていて、作品に内在する価値、すなわち美的価値、感性的価値ついては語られていません。基本計画という文言の性格上、そういった主観性の強い概念は含みにくいのかもしれませんけれども、この基本計画が文化芸術の価値の複雑さを見落としていない。そういうことをきちんと伝えるためには、あえてそうした文言を盛り込むことも必要ではないかというふうに考えます。また、社会的価値と経済的価値が中黒で結び付けられていて、ワンワードとして見えてしまうということにも、芸術学を研究する者としては違和感があった、ということを申し上げておきます。
2つ目は、交流が目指すものは何かです。25ページに27行目以降に、「文化芸術活動を通じた交流の促進は…他の施策との複合的な取り組みへ展開していくことが期待される」とあります。しかし、現場にいる人は皆知っているように、文化芸術活動における交流というのは、単にその複合的な取り組みを実現させるだけではなくって、部分と部分の総和を超える、もっとダイナミックな価値や意味を生み出していく可能性があるものです。いわゆるエマージェンス、創発です。そうであればこそ、多くの国が相当な予算をかけて、文化芸術創造を支えているわけです。今回のこの基本計画もそうだと思います。そのエマージェンスの可能性を信じていることの姿勢を打ち出すこと、先ほどビジョンという言葉が出ましたけれども、もう少し夢のあるような、大きな打ち出し方が基本計画というものでは重要ではないかというふうに考えます。
最後の3つ目は連携の主体についてです。34ページ34行目に、官民が連携として課題解決に必要な知見をつなぎ合わせとありますが、ここは少なくとも「官民学」、できれば「産学官民」としていただきたいと。産業を入れるのは、障害者の文化芸術活動に対する企業の関心の深さを常日頃から感じているためです。実際に彼らと話していると、社会的包摂を実現していくためのプラットフォームとして、時としては文化施設以上に機能するのではないかというふうに感じるところがありますので、産も入れていっていただきたいなというふうに思います。以上になります。
 
○日比野座長
ありがとうございます。では、続きまして、森田構成員よろしくお願いいたします。
 
○森田構成員
おはようございます。素案について取りまとめをいただきありがとうございました。これまでの議論がとても反映されていてよかったと思います。レガシーについても追記していただきありがとうございました。本当にこれからに少し希望が持てる素案であると思います。
私は細かいことではなく、大まかなことだけを申し上げたいと思います。現場意識としても、最近障害のあるなしという区別がなく、障害に対しての配慮を追記せずとも、障害のある人が参加できている現場も多くなったというと思うのです。ただ、それはとてもいいことだと思う反面、この会議の中でもずっと議論されているように、そこには温度差があります。例を挙げると、地域差もその一つかもしれません。この場にいると、つまり同じような意識を持つ方、共通認識が取れている方と話をしていると感覚がマヒし、世界は大きく変わってきたと錯覚してしまうのですが、一歩外に出ると、「やはりまだまだ認識はすごく浅いな」と感じます。特に、まだ関心の薄い層にどう届けていくのか、とても難しいなと日々感じています。
最後に、全体的に思うことは、劇場であったり、芸術家を育てる学校であったり、創作現場で、障害のある人を排除することは差別であるっていう認識を持ってほしいなと思います。法律や計画では、芸術活動の推進とか拡大とかっていう言葉を用いてはいますが、それは当事者から見るととてもソフトに聞こえます。障害者の文化芸術活動は、今ある事業にプラスアルファやればいいというわけではなく、これはもう一緒の現場で、障害のある人を含まないことは差別であるという認識を持ってもらいたい。
障害当事者としても、「差別」という言葉を用いること、差別を伝えることはとても難しいと感じます。
言葉の扱いにはすごく注意を払わないといけないと思います。ですが、これは先ほど野澤構成員とかもおっしゃられたように、私たちを排除しないことは、他の立場の人を排除しないことにもつながります。ぜひ、この基本計画にも、この視点を追記していただければと思います。以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、続きまして、吉野構成員よろしくお願いいたします。
 
○吉野構成員
愛知大学の吉野です。よろしくお願いします。まず、事務局の皆さん、ここまでの取りまとめありがとうございます。さまざまな角度からの意見をここまで整理して、素案を作られるのはとても大変だったと思います。また今回は事前に丁寧に説明もいただけたことに感謝いたします。
今回、資料2の6ページから7ページにある基本的な方針の視点1から3に、前回までの会議で挙げられていたさまざまな重要な意見が反映されていたことは、とてもよかったのではないかと思います。また資料2の11ページに書かれている施策間の連携に基づき、共通する部分が整理されていたことで、改めてさまざまな課題への取り組みが、相互に関連していることも明確になったかと思います。一方で、私がこれまで繰り返し述べてきた就労のための具体的な支援については、いろいろと難しい部分はあると思いますが、あと一歩踏み込めないかとも思います。
資料2の25ページ、3行目から4行目の辺りですが、ここは選択肢の1つとして用意されることが望ましいではなく、選択肢の1つとなるよう支援体制の整備を図る、または推進する必要があるとできないでしょうか。同時に、他の施策項目、創造の機会の拡大と作品等の発表の機会の②の、各分野の将来を担う芸術家等に対する支援の部分で言われていることが、就労としての創造活動へのアクセシビリティにもつながるものとも解釈できるようには思いますので、まずはそうした機会の中で、モデルケースが生まれるような取り組みが今後実現されるといいとも思います。
加えて、この②の部分に2度使われている「配慮」という言葉ですが、まず行う主体が誰なのか、どこなのか、もう少し具体的に書けないでしょうか。またどういう配慮なのかちょっと分かりにくいとも思います。特に、「活動の障壁となるものを取り除くための配慮」は、配慮というよりも必要不可欠なこととして「取り除き」としてもよいのではないでしょうか。
あとは、幾つか細かい文言についてですが、資料2の8ページ、目標1の1行目の障害者を中心としたというところが、その後のどこにかかるのか分からなかったので、少し調整が必要かと思います。11ページ、22行目の最後は、「期待される」よりも「求められる」のほうがいいように思います。22ページの23行目、美術、実演芸術等の作品のところを、「作品やプロジェクトの」としてはどうでしょうか。アートプロジェクトなど、プロジェクト型の取り組みも増えている中、そうした取り組みなんかも重要だと思います。それから23ページ1行目、アートフェア(見本市)の後ろに、舞台芸術祭も加えてはどうでしょうか。
それから27ページ②の教育機関との連携については、芸術系大学等だと、「等」とあっても限定的な印象を与えるのと、これまでの施策の部分にもあるさまざまな連携ともつながるように福祉、医療、地域政策、社会学、技術系などとの領域横断的な専門人材の育成や研究を促進するように書いたほうがいいのではないでしょうか。
最後に、この方針が絵に描いた餅にならないようにするために、どうしていくかが今後大事なことと思います。私からの意見は以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、続きまして、四元構成員よろしくお願いします。
 
○四元構成員
京都市文化芸術企画課の四元です。どうぞよろしくお願いします。
素案の取りまとめ誠にありがとうございました。私のほうからは、これまで福祉施設での実践報告を超えた批評や調査研究の積み上げ発展、また中間支援団体などで、地域での相談体制の充実や人材育成の強化などの点について、意見を述べさせていただいておりまして、こうした当方の課題意識のある部分で追記をいただいておりますこと、ありがたく思っております。これ以外で4点ほど述べさせていただければと思います。
先ほど申し上げた点以外で課題意識を抱いておりました、美術館での障害のある方の文化芸術活動の推進に向けた学芸員さんや教育普及の担当職員さん、そういった専門人材の情報共有の促進、ネットワーキングに関してです。これは施策の方向性(1)(2)(3)鑑賞、創造、発表の機会の確保や、(4)評価などに不可欠なものではと考えております。これらの各項目に共通で掲げられております施策、障害者による幅広い文化芸術活動の推進について。11ページで言えば①に当たる部分ですが、31行目に、普及展開を図るための人材の育成等という文言がございます。こちらに、例えば、「普及」の前に「実践」を入れたり、これらの「育成等」の部分を「育成、ネットワーク化等」などとしてはいかがでしょうか。併せて29ページ(9)人材の育成の33行目、②文化施設において専門的な対応ができる人材の育成、確保の項目においても、P30ページの3行目、「人材の育成とネットワーク化」などとしてはいかがでしょうか。
続いて2点目です。9ページの目標、(2)、23行目に、「文化芸術活動を行う福祉施設においても鑑賞、創造、発表等にかかる取り組みが進みつつある一方で、人材の育成やノウハウの共有等の課題を抱えており」とあります。この間、障害のある方の福祉施設や支援施設において、芸術系大学を卒業された方が、芸術活動を続けられながら働いておられるということを認識することがございました。そうした施設等では、特徴的な文化芸術活動につながっているケースもあり、また、芸術家等の本人の意識改革やその活動にも、何らかの生成変化がもたらされているということもあります。こういう就労モデルを推進する施策というのもあり得るのではと考えました。29ページ以降の(9)人材育成の項目にその要素が入れられないかと感じております。
3点目です。6ページの視点1、9行目に美術、音楽、演劇、舞踊など、多様な文化芸術活動とあり、それぞれに重要なものでございます。この中で、「など」におそらく含まれているものではないかと思うものに、文学があるのではないかと考えます。この間、障害のある方の文化芸術に触れる機会を通じて、障害のある方にとって、自己の表現方法としての詩歌をはじめとする文学は、非常に大きな役割を果たすのではと感じることも多くございました。記載をできないものかと感じました。
最後に4点目です。22ページの25行目、(4)芸術上価値が高い作品等の評価等についてのうち、③保存等の取り組みについてです。作品のアーカイビングは、ここにも記載のありますとおり、新たな文化や価値を創造していくための社会的基盤となるものであり、次の展示の実現につながったり、また31行目にあるように、人材育成情報の共有化、教育研究分野はもとより、先ほど、企業の社会的責任の観点のお話もあったかと思いますが、企業等との連携また商品化など、さまざまな展開を生み出す可能性があるものではないでしょうか。P.23にある(5)権利保護に配慮しながら、24ページ以降の販売等に係る支援にもつなげる施策として、書けないものかというふうに考えました。以上でございます。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、久保構成員よろしくお願いいたします。
 
○久保構成員
ありがとうございます。順番をご配慮いただきまして、申し訳ございませんでした。取りまとめを、いろんな団体からの意見を取りまとめていただいて、ありがとうございました。
私どもの育成会は、知的障害の団体でございますけれども、育成会を中心として、障害者の文化芸術を推進する全国ネットワークを、幾つかの団体が集まって活動しているわけですけれども、その活動は、障害者の文化、芸術のまずは裾野を広げたいということがひとつございます。発表の場がない、そして発表する機会がない、お金がないというところです。
そういう常日頃から活動として、特に知的障害とか発達障害の方の芸術作品っていうのは、誰かに見てもらおうとか、評価をしてもらおうと思って作られたり、描いておられるわけではなくて、本当に描きたくて描きたくて、やりたくてやりたくてっていう、その気持ちをぶつけておられるという、そういう作品ですので、評価を望んでご本人は作っておられないわけですけれども。そうした素晴らしい能力、それを社会に広げたい。そしてそういうことができる、障害のある人たちが、活動ができる場をもっと広めたい。裾野を広げ、そして発信もしていきたいというふうにも思っておりますし、素晴らしい能力を発見し、そして発信もしていきたいという思いで集って活動させていただいております。
その観点から見ますと、社会の中の障害者の文化芸術の推進は、まだまだだなっていうことを実感しているところです。なんかあんまりまだ、地域の中で皆さんが身近じゃないっていうか、普通に文化芸術に触れるよりも、まだまだ皆さんの目に付いていないというか、そんな感じを受けています。そういう社会の中で障害のある方が、当たり前に文化芸術を鑑賞したり、それから活動するっていうことには、一定のやはり配慮というか、意識的にできる環境をつくるっていう、そういう合理的配慮みたいなものをちゃんとつくっていかないと、今の状態はなかなか進まないなっていう感じを持っております。
その意味では、高齢者の方もそうですし、障害のある人たちのことを進めていただくことに、合理的配慮をぜひ進めていただきたいというふうに思っています。
あと知的障害、時間オーバーして申し訳ないですが、知的障害の方は、美術館は怖いって言います。ですから、その雰囲気が、もう少しみんなが美術を楽しめるっていう感覚になるようにしていただきたいと思っています。時間をオーバーしまして申し訳ございません。以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございました。各構成員から一巡お話をいただきました。各構成員から細かい言葉のお話、とても重要だと思います。ひとつの言葉が、各構成員から言われて、なるほどそうだなと気付く部分もたくさんありましたので、きちんと反映して一つ一つの言葉、きちんとより広まるように、意図が広まるように校正していきたいと思います。
そして、裾野を広げるということ、まだまだ足りないところもある。そして裾野を広げるという言葉を本当に実践していくには、現場に届く工夫、そして実践する者たち、人たちの相互理解というのも必要になってくると思います。ここで上げていく計画が、本当に実践していけられるようなことも、策定が決まった後も、より各現場でできるような工夫をしていかなくちゃいけないと思いますし、そして障害者の計画に限らず、そもそも文化芸術というものがしっかり届くような仕組み、そして接するような仕組みが生涯当事者に限らず、日本の中であるのかというお話もありました。そこに関しても、われわれが今やっている、障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画をしっかり届けることによって、日本の文化芸術がより高みに、そして本当に全ての人々に届くような、大きな起点になっていくんだと思っております。
細かい部分、そしてすごく俯瞰(ふかん)した部分、双方向からより今日の皆さんのご意見をいただいて、磨き上げた計画にしていき、そしてそれにとどまらず実践していく工夫も、またみんなで考えていければと思っております。
では、ここまで皆さんからいただいたご質問について、事務局から、もしくはオブザーバーの皆さまからご回答がある部分がありましたら、よろしくお願いいたします。
 
○山村(文化庁地域文化創生本部事務局総括・政策研究グループリーダー)
文化庁でございます。幾つかご質問をいただきましたので、時間の関係もあり簡潔にお答えしたいと思います。
今中構成員、大塚構成員かご質問がありました、地方自治体に対する予算措置につきましては、文化庁でもこれまでも先導的な取り組みや、地方自治体の計画に基づく幾つかの取り組みなどに支援をしているところですが、第2期においては、やはり計画を策定していただくことをどう支援していくのかが1つの課題になっているところでございます。今日もご意見がありましたとおり、良い事例を集めたり、計画の内容をどのように伝えていくかといったりしたことは、厚生労働省さんともご相談しながら、やり方を考えていきたいと思っております。
次に、調査手法についてでございます。計画に書かせていただいている指標につきましては、過去にも、8月の第4回有識者会議で、幾つかデータをお示しさせていただきました。このような過去の調査手法なども参考にし、こうしたことはできるのではないかという実績も踏まえながら、今回指標幾つか挙げているところでございます。例えば、広瀬構成員からご指摘がありましたけれども、障害者の方にどうやって聞くのかということですが、文化庁では文化に関する世論調査など、幾つかインターネットなどを通じた調査をやっております。そうしたものを参考にしながら、どこまでできるのかという問題がありますが、工夫してまいりたいと考えております。また、指標につきまして、これも先ほど、8月の会議で皆さまにご説明させていただいた内容には、データだけではなく、いろいろな団体のご意見であるヒアリングの内容ですとか、まさに定性的な課題、このように進んだのではないかといった進捗についても盛り込ませていただきました。こうした内容も参考にしながら、今後この会議にも材料を出させていただいて、ご議論いただくことも考えられるのではないかと思っております。
また、学芸員や養成員課程、特別支援教育といった大きい内容もございます。文化審議会や中教審などの議論との接続などもありますので、そうした大きな課題につきましては、引き続き関係課とも共有させていただいて、取り組んでいくということだろうと思います。
なお、万博のプログラムなどにつきましても、今後いろいろ決まっていくこともありますので、この段階で素案にできるのか分かりませんけれども、引き続き課題として受け止めさせていただきたいと考えております。
また、廣川構成員から用語についてコメントがございました。まず、この会議でいただいた構成員の皆さまからのご意見を最大限反映できるような形で、素案に盛り込ませていただいております。その上で、用語については、障害者基本計画などをはじめとした関係の計画の中で、どのように使われているのかなども見ながら、今のところこの程度であれば書けるのではないかというラインで書かせていただいております。引き続き、そうした他の計画や政府全体での議論も見ながら、定義の仕方やいろいろな表現ぶりについては、考えていきたいと思っております。以上でございます。よろしくお願いいたします。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、先ほど柴田構成員からまだちょっと途中だったので、まだ発言予定の項目をこのタイミングでよろしくお願いいたします。
 
○柴田構成員
柴田でございます。ありがとうございます。2点ほどございまして、「おわりに」の部分です。34ページ、22行目から26行目までにかけて、支援センターのことが記述されていますけれども、報告書などを拝見いたしますと慢性的な資金難、それからマンパワーの不足ということがかなり強調して出てきます。これ、確実な手当てが必要なのかなと思っておりますけれども、支援センターとか中間支援組織について横の連携を強化できるような、いわゆる財源措置が必要なのではないか。それによってダイナミックな展開を進めるとともに、運営に地域間格差というか、地域格差も生じているようです。地域の特性を踏まえつつ、地方自治体と国が補完性の原則を重視して、確実にサポートするということを盛り込むべきではないかというふうに思いました。地方自治体、国はあくまでもバックボーン組織として、サポートしていくということが重要であるということを、強調して書き込むことが必要なのかなと思いました。また、同じく報告書を読むと支援センターの方々が「評価」に相当てこずっているように感じました。どこかに評価プロセスの明確化と評価をする人材の配置というか確保とか、発掘でもいいと思いますけども、それらのことを入れておかなくてはよいのかなというふうに思いました。
それから、35ページ目の未来への投資に対しての意見です。34ページから続いていきますけれど、35行目からのパラグラフから続いて、「未来への投資」という言及ですけれども、これはとても重要な私は視点であると認識しております。ただ、多少ちょっと唐突感があって、違和感を持ちました。「投資」という言葉に対する抵抗を示す方もまだおられると思いますので、まずここでいう「投資」とは何かという考え方を、簡単にさらっと明記していただいて、第3次基本方針では、「文化芸術を戦略的投資の対象とした」という基本方針が既にありますので、ここでもう一度おさらいが必要なのかなと思いました。もう一つ、「未来への投資」ということであれば、社会のさらなる成熟を期待する、それから子供たちの成長のことについても、触れてもいいのかなと思いました。例えば、構成員の方々からも出てきました「インクルーシブ教育」ですけれど、共生社会を育むためのインクルーシブ教育、それから多くの障害者が社会の中で、よりよい暮らしが営むことができるようになる社会参加がさらに加速などといったような内容。18行目あたりと重複する内容かも分かりませんけれども、文章を整理していただきまして、35行目から35ページ目ぐらいまで、もう少し「未来への投資」という重要性を強調して、内容の盛り込みを加筆していただければと思っております。以上でございます。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、皆さんのご意見をいただきました。先ほど事務局からも一部回答いただきましたので、これらを踏まえて構成員の中から残りの時間、ちょっと少ないですけども、ご意見ありましたら挙手ボタンのほうで、よろしくお願いいたします。私のほうから、指名させていただきますので、発言がある方、挙手ボタンでいただければと思いますが、いかがでしょうか。長津構成員、お願いいたします。
 
○長津構成員
ありがとうございます。先ほど事務局のほうからご説明いただいた内容で質問があります。指標として、定量的なものだけではなく定性的なものも、というところであるとか、現段階で指標を定めるような書きぶりはどうなのか、というような意見が複数の委員からあった中で、先ほどのご回答は、今後も有識者会議の中で議論していきますというような回答に聞こえて、具体的な計画に当たって、今後パブリックコメントに向けて、どういうような表記の修正の方向性がありそうなのかというようなところに言及いただけなかったのですけども、そのあたりどのようにお考えか、もう少し教えていただけないでしょうか。計画の文言はこのままでないほうがいいのじゃないかというのが、何人かの有識者からの意見なのかなというふうに思ったのですが、その点いかがでしょうか。
 
○日比野座長
では、事務局のほうからお願いします。
 
○山村(文化庁地域文化創生本部総括・政策研究グループグループリーダー)
指標の案については、書き方については、座長ともご相談させていただきますが、基本はこのラインでということではありますけれども、実際に議論していただくにあたっては、ここにも書かれていますとおり、指標だけで議論するということは、おそらくないのだろうと思っております。また、定性的なというのも、そこも決め打ちするのかということですが、他の計画の書き方なども参考にしながら、どういったものを会議などで議論に乗せていくか、引き続き考えていくのかと思います。よって、ここでは代表的な定量的な指標というものを、まずは最小限になるのかもしれませんけれども、計画に書き込んでいくのかと思います。
細かい表現など、今日出された構成員のご意見などを踏まえまして、最後の書き方については、繰り返しになりますが、座長ともご相談させていただくということかと思っております。以上でございます。
 
○日比野構成員
では、他の構成員からも手が挙がっていますので、皆さんからご意見いただきたいと思います。では、尾上構成員、鈴木構成員、岡部構成員の順でよろしくお願いいたします。まず、尾上構成員からお願いします。
 
○尾上構成員
先ほどちょっと時間の関係で省いた部分、申し上げさせていただきます。
13ページの29行目からにあります、「文化芸術による子供の育成等」の部分なのですけれども、そのところの1行目です。子供たちが文化芸術に親しむことができる環境づくりが重要という部分に関して、意見を述べさせていただきます。先ほど野澤構成員が紹介をいただきましたけれども、私、実はバリアフリー演劇に関わらせていただいていて、その劇団がいろんな小学校や中学校や特別支援学校で、バリアフリー演劇を行うユニバーサル公演というのに同行して、その後のアフタートークっていうことで子供たちの質問に答えたりするのです。本当にバリアフリー演劇を見た後の子供たちの笑顔というか、本当に子供たちが持っている力が、解放されるような感じが伝わってくるのです。
特に、バリアフリー化された、こんな演劇を今まで見たものと全然違うというか、初めて見たっていう驚きであったり、あるいは例えば字幕が表示された、ちょっと聞き逃したのを自分ももう一回それを見て分かったというふうなこととか。時には子供が舞台に上がってというふうなことで、本当に既成の枠組みを外した文化芸術の価値があるんだなというふうに思います。そういう意味で、ちょっとここの1行目、「子供たちが文化芸術に親しむことができる」というのは、一般論過ぎるかな。そういう意味で、バリアフリー化されたそういう演劇や映画、あるいは障害者文化芸術、そういったものの固有の価値、そういった固有の価値を持つ文化芸術に親しむことができるということを強調していただければなと思いました。以上です。
 
○日比野構成員
ありがとうございます。では、鈴木構成員よろしくお願いいたします。
 
○鈴木構成員
私もちょっとさっき言えなかったんで、今お話させていただくと、今中構成員からも少しお話ありましたけども、15ページの「障害者による幅広い文化芸術活動の推進」とか、2番の「創造活動および発表の機会」のところなのですけど、美術に関しては事業所とかそういった活動団体の中で活動されている方が多いのですが、中にはやっぱり個人でアート活動される方もいらっしゃいますし、特に舞台芸術は、もうほぼ団体に属さず個別の活動になってきますので、こういった個人の活動の支援なり、育成っていうところも、1番、2番のところにあるといいのではないかというふうに思いました。
あと、調査のことに関しましては、障害のある方にどこまで、どのように調査するかっていうところに、先ほどもお話出ていましたけれども、逆にやっぱりせっかく基本計画の第2期の改定も、事業所とかの団体だけではなくて、個人の障害のある方への周知、まだまだなかなか基本計画、今の基本計画すら知らない方も多いので、特に個別で個人で活動されている障害のある方、またはこれから活動をしたいと思うような、幅広い個人への広報の発信のところにも留意して、計画を広めていっていただきたいなというふうに思います。以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございます。では、岡部構成員、お願いいたします。
 
○岡部構成員
何人かからの構成員から、企業との連携あるいは産業との連携の文言を、もう少し強調したほうがいいのではないかというお話を聞きました。私自身、活動の中で企業の方との連携というのも非常に多いのですけども、もしこの基本計画にしっかりそういった文言を入れるのであれば、やはり今、企業の方々、構成員に、おそらく入ってないのではないかなと思うのですが、構成員でなくてもいいと思うのですが、何らかの形でヒアリングをしたほうがよいのかなというふうに思っています。
私の個人的な感覚では、日本における障害者の芸術文化活動は、90年代から2000年台半ばぐらいまでは、国や地方公共団体があまり関心を示さなかった時期には、企業の方々に大変お世話になっているのです。それぞれメセナ活動とかCSR、あるいは今ではSDGsということで、企業もそれぞれの時代によってテーマを変えながら障害のある人の芸術文化活動との付き合いっていうのを変えてきていると思います。
今でしたら、吉野構成員おっしゃったように、ビジネスとして一緒に協業できるのではないか。あるいは保坂構成員おっしゃっていたように、社会包摂の可能性を感じているという方も実際いらっしゃると思います。特に、障害者雇用などで企業でも非常に障害のある方、多様性というものを意識しはじめていく中で、それがそれぞれの企業にとって、芸術文化活動っていうのがどのように関わるべきだというのは、非常に関心を持っておられる部分だと思います。
そういう状況なのですが、こちらが一方的というか、国のほうが一方的に企業も含めてやるんだというよりは、企業の方々が今何を考えているかといった、丁寧にヒアリングをしないと、逆に国にやれと言わされているというような、変な構図が生まれてしまわないように、連携というのがどういったところのものなのか、強制されるものなのか、そういったところも含めて、丁寧に取り組んでいく部分ではないかなというふうに思っています。以上です。
 
○日比野座長
ありがとうございます。他にご意見、大丈夫でしょうか。
最後、岡部構成員のご意見、そして長津構成員のご意見、本当世の中が、民間も企業も含めて行っていた時代。そして今またCSR、SDGsって言葉を変えながらというお話ありましたけども、まさにそうだと思います。
そして定量的、定性的という話が長津構成員からもありましたけども、世の中が定量になりがちなところで、あらためていわゆる感性とか、数値化しにくいものに対する価値っていうのは、ますます逆に大きくなっております。企業がそういうところを求めている時代でもありますし。なので、ここで今この計画が、先ほど投資っていう言葉も途中で出てきました。これら世の中、これから未来の日本をつくる上で、本当に必要なものになっていく、未来をつくっていくものになるという、それは障害者に限らず、日本を築いていくものになるということ、そんな計画だと思っておりますので、皆さんのご意見もしっかり反映をさせていただければと思います。
では、ご意見をいただく時間は以上とさせていただきます。ほぼ予定どおりに進んでおります。ありがとうございます。では、最後の議事、その他について事務局からご説明よろしくお願いいたします。
 
○大城(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室長補佐)
本日はお忙しい中ご出席、そして貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。本日いただいたご意見につきまして、文化庁と厚生労働省で整理し、関係省庁などとも調整しながら、取りまとめに向けて必要な修正などを行って進めていきたいと考えております。
今後の取りまとめに当たりましては、日比野座長にご一任いただけるようでしたら、事務局である文化庁と厚労省で日比野座長にご相談しながら進めたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
 
○日比野座長
今事務局からお話いただきましたように座長である私のほうと事務局で進めていきたいと思います。皆さんのご意見をしっかりと反映させていきたいと思いますので、お認めいただけるというか、お任せいただければと思いますけどよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
 
○大城(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室長補佐)
それではその方向で進めさせていただきます。今後の流れですが、来年2月に関係省庁で構成する障害者文化芸術活動推進会議を開催予定としており、そこで第2期基本計画案を諮った後、パブリックコメント、関係省庁との協議を経て、来年3月末に公表してまいりたいと考えております。
 
○日比野座長
ありがとうございました。では、本日の有識者会議、ここまでといたしたいと思います。皆さんご協力ありがとうございました。では、事務局のほうに進行をお戻しいたします。よろしくお願いいたします。
 
○大城(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室長補佐)
日比野座長、本日は円滑な進行をいただき、また、構成員の皆さまには、貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。予定しておりました4回の有識者会議を無事開催することができました。構成員の皆さまにおかれましては、ご多用の中ご出席いただき、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
今後とも、関係する方々と協力を図り、障害のある方々の文化芸術活動が、より一層推進されるよう取り組んでまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。本日はこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
 

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