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2017年9月7日 第11回医療介護総合確保促進会議 議事録

保険局医療介護連携政策課

○日時

平成29年9月7日(木) 16:00~17:30


○場所

全国都市会館大ホール(2階)


○議題

 1.地域医療介護総合確保基金の事後評価、交付状況及び内示状況について(報告)
 2.平成27~28年度厚労科研(基金評価)について(報告)

○議事

 

○田中座長 定刻となりましたので、ただいまから第11回「医療介護総合確保促進会議」を開催いたします。

 本日は、大変お忙しい中御参集いただき、まことにありがとうございます。

 会議に先立ちまして、構成員の交代及び本日の出欠状況について、事務局から報告をお願いします。また、前回の会議以降、事務局にも人事異動がありましたので、あわせて紹介をお願いします。

○黒田課長 医療介護連携課長でございます。

 まず、構成員の交代がございましたので、御紹介をさせていただきます。相澤孝夫構成員が退任され、新たに日本病院会副会長、末永裕之構成員が就任されております。

○末永構成員 末永でございます。よろしくお願いいたします。

○黒田課長 また、阿部泰久構成員が退任され、新たに日本経済団体連合会常任理事、井上隆構成員が就任されております。

 鷲見よしみ構成員が退任されまして、新たに日本介護支援専門員協会副会長、濱田和則構成員が就任されております。

○濱田構成員 どうぞよろしくお願いいたします。

○黒田課長 千葉潜構成員が退任されまして、新たに日本精神科病院協会理事、長尾喜一郎構成員が就任されております。

○長尾構成員 よろしくお願いします。

○黒田課長 西澤寛俊構成員が退任されまして、新たに全日本病院協会副会長、美原盤構成員が就任されております。

○美原構成員 よろしくお願いいたします。

○黒田課長 続きまして、構成員の皆様の出欠状況を御報告させていただきます。本日は石川憲構成員、井上由起子構成員、永井良三構成員、樋口恵子構成員から御欠席の連絡をいただいております。

 また、石川憲構成員の代理として瀬戸雅嗣参考人、樋口恵子構成員の代理として新井倭久子参考人に御出席をいただいております。

 なお、森田朗座長代理よりおくれて参加との御連絡をいただいております。

 次に、事務局の人事異動について御紹介させていただきます。

 医政局長、武田でございます。

○武田医政局長 よろしくお願いします。

○黒田課長 老健局長の濱谷でございます。

○濱谷老健局長 よろしくお願いいたします。

○黒田課長 保険局長の鈴木でございます。

○鈴木保険局長 よろしくお願いいたします。

○黒田課長 大臣官房審議官、老健担当の谷内でございます。

○谷内審議官 よろしくお願いします。

○黒田課長 大臣官房審議官、医療保険担当の渡辺でございます。

○渡辺審議官 よろしくお願いいたします。

○黒田課長 大臣官房審議官、医療介護連携担当の伊原でございます。

○伊原審議官 よろしくお願いします。

○黒田課長 医政局総務課長、榎本でございます。

○榎本課長 よろしくお願いいたします。

○黒田課長 老健局総務課長、北波でございます。

○北波課長 よろしくお願いします。

○黒田課長 老健局介護保険計画課長、橋本でございます。

 老健局高齢者支援課長、武井でございます。

○武井課長 よろしくお願いいたします。

○黒田課長 老健局振興課長、込山でございます。

 保険局総務課長依田でございます。

 医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室長の松岡でございます。

○松岡室長 よろしくお願いします。

○黒田課長 医政局総務課医療政策企画官の長房でございます。

○長房企画官 よろしくお願いします。

○黒田課長 以上でございます。

 次に、議事入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に、議事次第、構成員名簿、座席表のほか、資料1、資料2、参考資料1~5をお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。

 以上、事務局からでございます。

○田中座長 ありがとうございました。

 早速議事に入ります。カメラはここで御退室願います。

 まず、議題1の地域医療介護総合確保基金関係の報告について、資料1の説明をお願いします。

○佐々木課長 地域医療計画課長でございます。

 資料1「地域医療介護総合確保基金の事後評価、交付状況及び内示状況について」の医療分につきまして、私から御説明を申し上げます。

 資料の2ページからが「1.医療」でございます。本日は3つの内容の御説明でございます。まず、27年度の事後評価、それから28年度の状況、29年度の内示状況についてでございます。

 なお、平成27年度、そもそも全体の交付額、執行状況につきまして、まず御説明を申し上げておきます。この事業の中には、1番として地域医療構想の実現に向けたものと、居宅に向けたもの、医療従事者の確保等の事業がございます。後で関連する事業のところで交付額、執行額について御説明しながら、全体のお話をさせていただきたいと思います。

 まず、3ページからの事後評価に関しましてでございます。4ページをお願いいたします。事後評価に関してでございますが、都道府県で実際に計画を立ててこの基金を活用していただいているわけでございますけれども、それがきちんと進んでいっているかどうかを確認していただくことをお願いしているところでございます。

 実際「都道府県における取り組み」に書いておりますが、「1.『事後評価の方法』の実行の有無」では、全都道府県が実施済みということでございます。

 しかし、いろいろなやり方でやっておりますが、例えば23府県においては審議会等で具体的な指摘等も出ておりまして、いろいろな会議体で基金の活用について議論がされているところでございます。

 5ページ目をお願いいたします。「2.目標の達成状況」でございます。これは各都道府県が策定しました計画に記載された目標がどの程度達成できたかということを確認するためにつくっていただいておりまして、その目標が未達成の場合には、原因、見解なども書いていただく形になっております。

 幾つか例示として具体的なものを挙げさせていただいております。5ページでは静岡県の例でございますけれども、目標の達成に対しては医療機能ごとの病床数を設定し、その状況を評価していくことになっております。

 6ページは岐阜県でございまして、こちらも具体的な転換数を目標に掲げたり、平均在院日数を掲げたりということをされております。

 7ページ目でございますが、今度は居宅でございます。栃木県の例では、在宅療養支援診療所の届出数や訪問薬剤管理指導料の届け出状況などが目標と指定されており、それに対してのコメントがございます。

 8ページが岡山県でございまして、これも在宅療養支援診療所もあるのですが、訪問看護事業所の数でありますとか、地域包括ケア支援コーディネーターを設置するということで目標を掲げていただいております。

 9ページでございます。医療従事者の養成・確保に関して、これは鳥取県の例ですけれども、病院勤務医師数や県内の看護師の就業者数などが目標に掲げられております。

10ページでございます。27年度の個別事業の実施ということで、さまざまな背景にある医療・介護ニーズなどの指標、いろいろなパターンがあるということでございます。

 さらには11ページ以降でございますけれども、これも個別事業に対する詳細な事後評価の例でございます。全部は御説明いたしませんが、青森県では地域医療構想の達成に向けた整備などにつきましては、具体的に回復期機能が年間100床増加などの記載がございますし、例えば12ページの山梨県であれば、不足する病床の具体的な目標値などが掲げられているところでございます。

 その他、1314ページ、これは居宅の目標の具体的なもの。それから1516が医療従事者のものでございます。

 今回の資料で記載はございませんが、口頭で恐縮でございますけれども、11ページにありますような「1.地域医療の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備に関する事業」に関してでございます。これに関しては、実際の27年度事業では交付額が全国ですけれども454億円でございまして、執行額が78億円という形でございます。

 また13ページからの「2.居宅等における医療の提供に関する事業」に関しましては、交付額が65億円、執行額が34億円という形でございます。

15ページ「4.医療従事者の確保に関する事業」に関しては、交付額が385億円、執行額が307億円ということで、全体としましては御案内のとおりですが、交付額が904億円、執行額が419億円。これはそのうち、そのぐらい使っているということでございます。これに関しましては、複数年にわたる事業もあったり、実際にどのぐらい進捗しているといいますか、見込んでいくというのが難しいために、どれだけ実際に執行しているのかということにつきましては精査をした上で、また機会をいただきまして改めて詳細なものを御報告申し上げたいと思っているところでございます。

 続きまして、28年度の交付状況に関してでございます。18ページからでございます。これは交付決定日が1122日、内示が8月10日でございますが、こういう状況でございます。

 各都道府県が今年度実施するということでございまして、28年度の交付の内訳としましては、1番の地域医療構想達成のところが458億円、居宅における医療の提供に関するものが47億円、医療従事者の確保・養成に関する事業が399億円でございまして、先ほど口頭で御説明しましたが、27年度と大体似たような状況でございます。

 「公民の割合」でございますけれども、公的機関が26.0%、民間が65.5%、交付先未定が8.5%という状況になっているところでございます。実際の交付額一覧を19ページにつけさせていただいておりまして、各県の具体的な数値としてはこういう状況でございます。

 先ほどのどういう分配になっているかというところが20ページでございます。事業区分ごとに色分けをしております。各県もおのおのどういうところに使っているかがわかるようにまとめさせていただいております。

21ページが公民の交付額の整理でございまして、これも色分けをして公民の割合をお示ししているところでございます。

22ページはまたこれを事業区分ごとに公民を分けて記載したものでございますので、御参照いただければと思います。

23ページ以降でございますが、28年度の実際の交付状況に関してでございます。これもさまざまございますけれども、25ページに少し、項目だけになりますが、具体的なものを挙げております。病床転換の事業ということで不足すると見込まれる医療機能の病床へ転換するということで、岩手県のパターンでありますとか、いろいろな急性期からの患者受け入れということで、地域包括ケア病床の整備などに使う例がございます。

26ページが「2.居宅等における医療の提供に関する事業」の幾つかの例でございます。在宅医療連携拠点を整備していくでありますとか、在宅歯科の拠点の整備、それから訪問看護ステーションの整備、あとは薬剤師の在宅医療での活用という事業などを挙げさせていただいております。

27ページでございます。「4.医療従事者の確保に関する事業」ということで、これもいろいろございますが、医師不足等への対応もそうですが、産科それから小児ということで、いろいろな事業に対する相談を入れさせていただいております。

28ページからが29年度の内示状況でございます。29ページを見ていただきますと、29年度の各都道府県に対する内示の状況、この一覧表のとおりでございます。また、この内容につきましては、今後の会議で御説明をさせていただくということで、今は内示額ということでございます。

 以上、医療分の御説明でございます。

○武井課長 引き続きまして、老健局高齢者支援課長でございます。

 「2.介護」について御説明させていただきます。30ページが表紙となっておりますが、具体的に御説明させていただく前に、口頭で大変恐縮でございますけれども、27年度事業分の交付額執行実績について御説明させていただきます。

 介護施設などの整備に関する事業に関しましては、交付額634億円、執行額269億円となっております。また、介護従事者の確保に関する事業に関しましては、交付額90億円、執行額56億円となっております。合計いたしまして交付額724億円、執行額325億円となっております。基金の性質上、複数年度にわたる計画もございます。特に施設整備に関しましては複数年度で整備する計画が多いものですから、計画額に対してどれだけ執行しているかを精査した上で、改めて御報告させていただきたく存じます。

 資料の3132ページをごらんください。こちらは基金を活用した事業の事後評価についてでございます。32ページには「1.事後評価のプロセス」や「都道府県における取り組み」を掲載しておりまして、全都道府県が事後評価実施済みでございます。

33ページでございます。「2.目標の達成状況」でございますけれども、都道府県の計画全体の目標について、次の視点に基づいた事後評価を求めているところでございます。

 1つ目は都道府県計画に記載された目標がどの程度達成できたのか。

 2番目、目標が未達成の場合には、原因などに関する見解と改善の方向性を求めているところでございます。

 代表例で御説明させていただきますと、34ページ。こちらが「3.介護施設等の整備に関する事業」の北海道分でございます。こちらに関しましては、事業ごとに整備する床数、定員数などを目標として掲載しておりまして、(目標の達成状況)が下に記載されているところでございます。

 (見解)としましては「第6期計画における平成27年度のほぼ全てのサービスにおいて、計画値と大きな乖離のない実績となっており、おおむね計画どおりの進捗状況となっている」という評価がなされているところでございます。

 続きまして、37ページをごらんいただけますでしょうか。「3.27年度個別事業の実施状況」でございます。基金の事業評価に関しまして、各都道府県は次の事項を記載することとなっております。

 1つ目は背景にある医療・介護ニーズ、アウトカム指標。また、事業内容、アウトプット指標、事業の有効性・効率性でございます。こちらに関しましても代表例で御説明させていただきます。

39ページをお開きください。「5.介護従事者の確保に関する事業」のうち「基盤整備に関する事業」でございます。

 京都府の事例でございまして、介護人材プラットフォーム「きょうと介護・福祉ジョブネット」事業でございます。アウトカム指標としましては介護人材確保目標を2,350人とされております。

 2つ目の事業内容でございますが、各チームに分かれまして、中途人材・潜在資格者などの確保・定着に向けたハローワークとの連携または小中学生に関する介護職場理解促進の事業、人材育成認証制度などを軸にした介護の魅力を学生など若者に発信するなどの事業が展開されたところでございます。アウトプットの指標としまして、達成値が2,384人となっておりまして、目標を達成しているところでございます。

 また、事業の実施に関しましては、産官学の介護の関係者による協議体を構成し、人材育成を積極的に取り組む介護事業者の認証制度を展開しているところが特徴でございます。

 引き続きまして46ページでございます。こちら以降は28年度の交付状況でございます。

47ページをお願いいたします。実施する事業としましては、施設の整備が634億円、従事者の確保に関する事業が90億円でございました。

 「公民の割合」でございますけれども、公的機関が2.3%、民間機関が77.2%、交付先未定のものが20.4%となっているところでございます。

48ページが介護分全体の交付額の一覧となっております。また、49ページはそのうち施設整備に関するもの、50ページは介護従事者確保に関するものでございます。

51ページに関しましては、基金の都道府県ごとの施設分、従事者分の割合を掲載しているところでございます。

52ページは先ほど紹介いたしました公民の割合についての都道府県別資料となっております。

54ページからは、28年度の交付状況の主な取り組み例でございます。

56ページに関しましては、施設整備のメニューでございますので、説明は省略させていただきます。

57ページをごらんください。「5.介護従事者の確保に関する事業」で、事業別「基盤整備に関する事業」「参入促進に関する事業」「資質の向上に関する事業」「労働環境・処遇の改善に関する事業」のそれぞれ代表事例を掲載しているところでございます。

 次に60ページでございます。29年度の基金の内示額一覧でございますので、ごらんいただければと存じます。

 私からの説明は以上でございます。

○田中座長 ありがとうございました。

 平成27年度、28年度の基金について、両局から報告をいただきました。それでは構成員の方々、御質問、御意見があれば、挙手の上、発言をお願いいたします。

 今村構成員、お願いします。

○今村構成員 まずは、執行額と交付されているお金に差があるという御説明をいただいて、それぞれいろいろな事情があるので、今後詳細にそこを検討したいということですが、ぜひお願いしたいと思いますけれども、それぞれの県の中でどうして執行額の率が低いのだということについて、都道府県ごとで分析、検証されているのでしょうか。

 それともう一点、これはある実例で、具体的な県名は申し上げませんけれども、ある県で平成29年度の申請をしたときに、その県の中に未執行額がこれだけあるので、それを減額して、交付額を決めるということがされました。しかし、先ほどお話があったように、複数年にわたる事業で未執行になっているものを引き算されると、新たにこういうことをやりたいという申請をされても、機械的な減額がもし行われるようであれば、やるべきことができなくなるという御意見もありました。これは本来の医療介護総合確保のための趣旨から外れているようにも思います。

 その辺、丁寧に、どうして執行ができていないのかということをきちんと、いろいろな事情があると思いますので、検証していただきたいというのがお願いということで一点申し上げます。

 それから、先ほど各県の例示がございました。これは印象かもしれないのですけれども、病床機能の分化のところで、回復期病床は非常に不足しているのでということで、そこをふやすという例示がたくさんあったと思うのです。

 ここはよほど慎重に考えていただきたいのは、これは別の検討会ですけれども、厚労省の第5回「地域医療構想に関するワーキンググループ」の中でも、もともと病床機能報告制度に基づいているわけですが、実態は病棟単位で各医療機能の中には違った病態の患者さんがそれぞれ入っているので、単純に回復期病床をどんどんふやせばいいのだというような方向性のメッセージとして都道府県に受け取られると、それは間違った方向に行く可能性もあるのです。例示を挙げられるときには、いろいろな例示をバランスよく取り上げていただかないと、厚労省はこういう方向でやれとおっしゃっているのだと県のほうで考えられるということも十分あり得ますので、その点もぜひ御配慮をお願いしたいと思っています。

 時間をいただいて恐縮です。あともう一点、どうしても現場からすると、在宅医療だとか、医療関係者の確保というのは非常に重要な施策だと思っています。在宅医療がしっかりと機能しないと、病床機能の再編もスムーズに行かないという思いを持っているのです。今の財源の配分というものは、どうしても2とか4のところが少なくなっていて、1のところだけがふえていますので、配分についてもぜひまた御検討いただければと思います。

 また、病床機能の予算の中にも、川上の部分ではなく川下の、今、申し上げたような在宅医療をしっかり手当てをすることが機能分化にもつながるという施策も当然あるわけで、そういう事例で予算を申請されている、そして交付が認められているところもあるように伺っておりますので、そういう例示もぜひお示しいただければありがたいと思っています。

 以上です。

○田中座長 質問は最初のところですか。

○今村構成員 そうです。

○田中座長 1点の質問です。お願いします。

○佐々木課長 地域医療計画課長でございます。

 御要望、御質問まとめての回答になりますけれども、まずは精査をしてきちんと御報告するというのは、次回以降ぜひやらせていただきたいと思います。

 あと、県ごとにさまざまな事情があるということにつきましては我々も認識しております。実際、平成29年度の配分の際にも、各都道府県に対して執行残がある場合の理由というのはできるだけ詳細にお聞きして、調整した上で配分をさせていただいているつもりではありますが、個別の地域でさまざまなこともあると思いますので、またそれは次年度以降、よりきめ細かに状況を確認しながら進めさせていただくこともやってまいりたいと思います。

 いずれにしましても、基金の活用については地域の医療をきちんと推進していくという視点でございますので、各都道府県の意見を聞きながら配分していきたいと思っております。

○田中座長 続けてですか。

○今村構成員 今の件に関しまして、ありがとうございます。ぜひ丁寧に行っていただきたい。

 現場が機械的に執行残があるからといって切られたという印象を持っているという事実は、間違いないことだと思います。そういうことがないように、丁寧にやっていただきたいということを改めてお願い申し上げたいと思います。

○田中座長 加納構成員、どうぞ。

○加納構成員 ありがとうございます。

 資料でいきますと2122のところです。「公的機関及び民間機関への交付額の割合」というところであります。公のほうが26.0%、民が65.5%という表示が出ております。たしか、これは前々回、前のときにも医師会へ入っている予算というのは民で考えていいということだったと思います。ただ、医師会の場合も、場合によっては公へ最終的にお金が行っているという可能性があるのですけれども、こういう仕分けは難しいという概念でよろしいのでしょうか。

○佐々木課長 地域医療計画課長でございます。

 公民のところは御指摘のとおり、民の中に医師会関係の病院というのは基本的に入っているということでございます。いろいろなパターンがあると思います。ケースで分けて、こういう場合はどちらかという形で御質問いただければお答えしたいと思いますし、整理の仕方について御疑問があればどちらに置くかというのは調整したいと思います。今のところ、基本的には医師会関係の病院は民ということで整理をしているところでございます。

○加納構成員 わかりました。

 もう一点ですが、これは全体に占める割合で、都道府県別でかなり差があるところがあるのです。例えば鳥取県ですが、8割近く公へ交付されているということです。先ほど例として出されたところには、医療従事者の確保・養成に関する事業で鳥取県の例が出ていたわけなのですけれども、これはもしかしたら、鳥取県の公的病院に対する医療従事者の確保の予算が大きかったという認識でよろしいのでしょうか。

 本来ですと、一般会計から繰入金といった形で公的病院には従事者に対するいろいろな面で出ているのではないかと私は思うのですが、さらに重ねてこれが出ているのかということを危惧したのですが、どうでしょうか。

○田中座長 おわかりになりますか。

○佐々木課長 鳥取県の場合、詳細は確認しなければわかりませんが、基本的には公が大きいという場合は、1番の施設整備、これは非常に金額が大きいものですから、そういうものが出てくると公の部分が大きくなるという傾向が多いと思います。

 もし、確認が必要であれば、少しお時間をいただければ、今、この会議中にわかる範囲でお答えはしますが、傾向としては施設整備が入ってくるとどうしてもシェアが大きくなるということでございます。

○加納構成員 わかりました。ありがとうございます。

○田中座長 東構成員それから山口構成員の順でお願いします。

○東構成員 ありがとうございます。

 参考資料1として資料を提示ておりますので、少し説明をさせていただきたいと思います。

 資料1の41ページに三重県の「高齢者『介護助手』就労マッチング事業」が少し御紹介されておりますので、参考にご覧ください。

 三重県では、三重県老人保健施設協会で元気高齢者を活用した「介護助手」モデル事業を平成27年度から基金を使っ実施しおります。平成 27年度には応募者が251名ございまして、そのうち参加者が178名で、雇用につながった、採用が57名でございました。

 平成28年度は226名の応募者がございまして、そのうち90名の元気高齢者の介護助手への雇用につながっていることを御報告申し上げます。

また現在申請しているところでございますが、平成29年度は三重県老人保健施設協会と三重県老施協と共同で特養と老健の複数で介護助手事業を実施するようにしてます。

この「介護助手」の基金事業は、3年目に入っております。参考資料1の2ページに日本地図でお示ししましたように、この2年間で全国20都道府県において、同じようなスキームでの元気高齢者を活用した介護助手事業が実施されております。これは基金を活用した事業とは限りません。県独自のお金を使っている場合もあります、同じようなスキームでこの事業が広がっているということを御報告したいと思います。

 以上でございます。

○田中座長 紹介ありがとうございました。

 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 基金に対して事後評価をするというのはとても大事なことではないかと思っております。例えばどういうふうに使ったかをチェックをして、あるいはPDCAを回していくために今後どうするかを話し合うなど、事後評価は大事な作業かと思っています。

 ところが、医療は4ページ、そして介護は32ページを見ますと「都道府県における取り組み」というのが全く同じ内容になっています。【主な意見】というところも同じものが羅列されています。

 実際に事後評価に当たって、具体的な指摘がされたのが23府県と書いてありまして、23ということは全体の約半分ということになると、残りのあと半分はたまたま記載がなかったということなのか、これは報告のところに記載することが何か必要として義務づけられているのに23しかなかったのか。あるいは、積極的に書いてきたところが23ということなのか。チェックが形骸化しないためにも、きちんとこういった報告を求めることが大事かと思いますので、結果23というのをどう評価すればいいのかを質問したいと思います。

○田中座長 お答えください。

○佐々木課長 地域医療計画課長でございます。

 全体的に基金の活用に関しての事後評価をしていただくというのは、医療も介護も両方同じ仕組みになっておりまして、その中で23府県と同じ記載になっておりますが、これは共通、両方を足してそういうことであると理解しております。

 また、基本的には意見や指摘については全ての都道府県、これであれば都と道が入っていないというのはわかってしまいますけれども、その他の県でも実際意見が出てきているということもあると思うのですが、記載が具体的にあったところが23府県でございます。こういった意味でしっかり意見交換をしていただいた、どのような意見があったかというのは我々も基金の制度を運用していくに当たり、非常に重要な点だと思いますので、できる限り審議会で出た意見については記載していただくような形で、きょうの御意見も踏まえて、機会を捉えて都道府県にも伝えてまいりたいと思います。

○山口構成員 具体的な県の例も出していただいているのですけれども、効果を何か上げたところというよりは、都道府県で報告に差があって、たくさん書いているところが具体例として紹介されて、あまりしっかり報告の記載をしていないところというのがあるような印象を受けましたので、ぜひそのあたり、きちんと報告のないところに重点的にもう少しきちんとやるようにといったことを御指導いただいたらいいかと思いました。

○田中座長 森構成員、どうぞ。

○森構成員 ありがとうございます。

 具体的な事例へのコメントはどうかと思ったのですけれども、7ページを見ていただきまして、栃木県は私の地元なのでコメントとお話をさせていただきたいと思います。

 ここにありますように、1年間、訪問薬剤管理指導の届け出薬局が268件ふやすことができました。県の薬剤師会でも、在宅医療の受け入れ体制の整備として、受け入れ薬局をふやすこと、無菌製剤に対応できる薬局を整備すること、医療用麻薬の供給体制、それからここは医師会の先生にも御協力を得て、在宅医療の研修会等に取り組んできました。そういうことを行いながらこの事業を活用したことによって、大きく受入薬局をふやせたと思っています。栃木県内の保険薬局が約760ですので、数としてはかなり整備ができたと思います。ただ、事後評価ということで重要になるのは、県内どこでもきちんと受け入れ体制が整備できているか評価し、必要なところ、不足しているところにどう整備していくかということを考えて、やっていかなければならないと思っております。

 以上です。

○田中座長 ありがとうございました。

 馬袋構成員、お願いします。

○馬袋構成員 ありがとうございます。

 全体的なところで、これは意見というか今後のところでお願いしたいのですけれども、先ほど、平成27年度、28年度の執行、29年度の交付とあるのですが、例えば基金を積み残して継続するというお話も出ているということですので、27年、28年、29年を横軸でも結構ですので、総額を都道府県別に各業務項目別にどれだけ実績をしているのか、何年に幾ら、何年に幾ら、何年に幾らということで、事業項目別に出していただけないでしょうか。そうしますと、ある県はこの項目については毎年何億もずっと積んでいる、また、ある県はこの項目については昨年度は積んでいるけれども、ことしは積んでいないというように、各都道府県の各事業項目別の執行、内容の状態について経時的に見られるようにしていただけないでしょうか。それが先ほどおっしゃった、基金を使えなかったけれども、それを効果的に3年後に出しているという効果にもトータル的にそれを使ったのだなということが見えるだろうし、そういった意味では年度的な推移的な内容を各事業項目別につくることは可能でしょうかというのが1点。

 それと、各事業項目別にはあるのですけれども、件数ですね。1件について何億というものなのか、10件に対して何億使っているかによっては違いますので、実績に対する各事業項目の件数の推移も同じように出していただけないでしょうか。そうすると、小さな取り組みだけれども、件数を多くしてより広くいろいろな事業に展開されているところと、施設整備で2カ所~3カ所で事業費を多く使われているところという、政策的なものが見えてくるのではないかと思います。当然、それに対する公民の割合を出していただければ、先ほど先生から御質問がありましたように、公の中に少ない件数だけれどもたくさんの整備事業費が出ているということで病院事業を整備しているのか、多くの費用で多くの民間の医療機関とか内容に支援をしているのかによっては、使われ方または成果の評価について、どのように評価するか。アウトカム評価は確かにできたという評価ですが、地域に与える評価という意味ではどのように評価するかの検証にもなるのではないかと思います。

 あと一点、長くなって済みません。20ページとか52ページに記載されている金額の割合ですけれども、これをもう一枚、金額別に積んでいただいて結構ですので、都道府県別に金額ベース別に項目別につくっていただくと、ある県が何億、ある県が何億というのが見えてくると思いますので、そういう面では、金額別にパーセンテージではなくて実績の金額ベースを縦軸にして、それを項目別に色分けでつくっていただいて、お示しいただけないでしょうか。

 以上です。

○田中座長 御要望ですね。

 お答えになりますか。どうぞ。

○佐々木課長 どこまで御要望に応えられるかどうかではありますが、次回以降の詳細な資料の中でできる範囲で努力してまいりたいと思います。

○田中座長 今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 先ほど山口構成員、森構成員もおっしゃった事後評価というのは、すごく大事だと思っています。これを拝見していると、結局、目標を立てましたと、目標がどれだけ達成されましたというところがまず出てくる。そのことでその目標に対して基金がどの程度効果的に機能したからこの目標が達成したのだとか、あるいは実は基金がうまく活用できなかったのでこの目標が達成できなかったかという、そこの部分がすごく大事だと思っているのです。

 ここを見ると、5ページの上の四角の中、「2.目標の達成状況」に、「目標が未達成の場合には、原因等に対する見解と改善の方向性」を県につくってくださいと、PDCAサイクルを回すためにやってくださいという話なのですけれども、例えば7ページに先ほど栃木県の事例を森先生に出していただいたのですが、達成状況の下に(見解)という項目があります。これが今、言った未達成の場合の原因等というお話なのだと思いますけれども、在宅医療を担う医療機関の整備は一定程度進んだが、在宅支援診療所は減っていて、今後、在宅医療提供体制の充実・強化を図るとされていますが、これは本当の評価になっているのかという話だと思うのです。基金がどううまく機能しなかったからある事業ができなかったのかという本来的な分析を都道府県はしているけれども、国にこういう形でまとめて上げてきているのか、県がそのまま書いてこういうふうに上げてこられているのか、もう少し踏み込んだ分析というのを地域でやっていただく必要があるのではないかと思うのです。その辺はいかがなのでしょう。

○田中座長 御質問です。お答えください。

○佐々木課長 ここに書いておりますのは、確かに少しダイジェストといいますか、抜粋のところもございます。御指摘どおり、大半のところで十分評価ができていないところもあるかもしれません。御指摘のとおり、この評価は大変重要なところでございますので、評価があって次年度の基金の活用という、まさにPDCAが大事だということは都道府県にもきちんと伝えて、記載の充実も依頼してまいりたいと思います。

○田中座長 末永構成員、どうぞ。

○末永構成員 ここの中で、私は医療従事者の確保、この辺が非常に重要だと思うのです。私の県では、ここで使われている部分の大半が地域枠の学生の奨学資金、あるいは大学における医師を養成するための部門に対して一番多く使われているわけです。

 例えば鳥取県を見てみますと、医師の勤務環境改善の取り組みや看護職員確保のための看護師養成の支援。看護師養成の支援はわかるのですが、例えば奨学金以外に勤務環境改善の取り組みは具体的にどういうことがあったかがお示しいただけると、ではそういうことを自分のところもやってみようかという気になると思うのです。ですから、内訳がもしおわかりでしたら、教えていただけませんでしょうか。

○田中座長 お願いします。

○佐々木課長 これは全体の資料をおつけするというと非常にボリュームが出てまいりますので、我々のほうで典型的な例を抜粋しております。

 確かに御指摘のとおり、基金の事業はさまざまなものがございまして、好事例と言われるものも含まれていますので、そういったものがきちんと横展開できるように整理したものを都道府県に提示できるように何かできないか考えてみたいと思います。いずれにしましても、大変重要な視点と理解しております。

○田中座長 よろしゅうございますか。

 本日は90分という時間の中でもう一つ重要な議題があるのです。

 では最後に馬袋構成員、お願いします。

○馬袋構成員 先ほどの好事例の件なのですけれども、ぜひとも見える化システムの中の好事例集に載せていただければ、皆さんで閲覧できるのではないでしょうか。ぜひ検討していただければと思います。

 以上です。

○田中座長 御要望ですね。

 さまざまな御意見、ありがとうございました。本日いただいた意見を踏まえ、引き続き基金事業が効果的に活用されるために、国が都道府県への指導、助言を続けてくださるよう、お願いします。

 座長として簡単なまとめを申し上げます。事前に資料を拝見した上でのまとめをお話しします。

 平成27年度地域医療介護総合確保基金の報告については、国においては複数年度の事業の進捗状況等を精査し、都道府県においては引き続き効果的な執行に努めていただくよう、お願いします。なお、国は執行がおくれている都道府県をしっかりサポートしてください。

 事後評価については、都道府県の医療審議会等において議論するなど、地域によってその取り組みはさまざまですが、一応のところかもしれませんが、幅広く意見を聞いている様子がうかがえました。ただし事後評価については依然として都道府県によって格差が大きいので、それぞれ設定した評価方法に基づき、丁寧な検証を行うよう、お願いします。

 平成30年度は第7次医療計画及び第7期介護保険事業計画が開始される節目の年でもあります。その時期に合わせて引き続き評価指標そのものの検討を続ける必要があります。これもよろしくお願いいたします。

 続きまして、もう一つの大切な議題ですが、資料2を国立社会保障・人口問題研究所の泉田部長より御発表いただきます。お願いします。

○泉田参考人 泉田です。よろしくお願いいたします。

 資料2を1枚めくっていただいて「厚生労働科学研究について」というページをお願いいたします。

 研究班の名称はこの長いタイトルになっておりますが、2年間、27年度~28年度で実施してまいりました。

 研究班の構成はごらんいただいているとおりになっておりまして、10回研究班会議を行いまして、各局の担当者の方にオブザーバーで入っていただき、ヒアリング調査も16都道府県に対して行ってきたところです。

 研究班の目的でございますが、1の(1)に書いてありますけれども、地域における医療及び介護の総合確保法第6条による基金の仕組みが効果的・効率的に活用されるために必要な持続的な評価の方法、それに使用される評価指標等を作成することとなっています。

 2で、指標例でございますが、研究班で検討してきた際の基本的な考え方といたしましては、都道府県が主体的に基金事業をマネジメントできるものに参考になるものとしようと。(2)が研究班では指標例を作成しているのですが、都道府県にもっとよい指標があるのであればそれを使っていただいても結構です。ただし、都道府県が独自の指標を設定する場合には、研究班が検討したものと同じような性質を持つものが必要だと考えております。

 3の指標の構成・性質なのですが、研究班としてはアウトプット指標、アウトカム指標、連携指標の3種類のものを作成いたしました。以下、これについて御説明させていただきます。

 次に「評価指標の構成」というページがあります。こちらはOECDが医療システムの評価に使う概念枠組みを援用しているのですが、一番下に人口とか経済状況とか医療費とか財源という社会を形づくる基本的なものがあった上で、一個上にケアの資源とか活動、保険医療労働力ですとか、保険医療活動等の活動をしているか。アウトプット指標というのはおおよそこのあたりのことをはかる指標だと考えて作成しています。ケアの資源や活動が決まってきますと、その結果としてシステムがどのようなパフォーマンスを発揮するか。例えば質ですとか、ケアへのアクセス、結果としての医療・介護費と財源みたいな問題もあります。こちらについては個別サービスのアウトカム指標ではかろうと考えています。

 ケアシステムのパフォーマンスが決まると、一番上に行って、健康状態や自立度、在宅生活の継続といった、全体を通じたアウトカム指標が決まるだろうということになっているのですが、特に左側を見ていただきますと「適切なケア/サービスの組み合わせ」ということで、医療・介護の連携というのは、ケアシステムのパフォーマンスから全体を通じたアウトカム指標につながる道筋をつくるものとして考えて、評価を行うことを考えています。

 「アウトプット指標例」です。これは第7回でも御説明させていただいたのですが、基金事業が算出する事業の結果そのものを測定する。ですので、事業ごとに適切な指標が考えられるので、都道府県が事業に応じて個別に適切な指標を選択していただくことが重要になるということです。

 「2.指標例」としては、医療分(事業区分1、2、4)については21種類事業をカテゴリー化しました。介護分(事業区分3、5)については25種類の事業がありますので、それについて指標を例示したということになります。

 具体的にどのようなものかというのが3のところに書いてあります。例えば、在宅療養支援診療所を整備する事業については、新たに整備する在宅療養支援診療所の数はアウトプット指標だろうと考えています。

 また、(3)の訪問看護職員研修事業であれば、研修に参加なさった方の数は指標例になります。これは素直に受けとめていただけるのではないかと思っています。

 「アウトカム指標例」です。アウトカム指標は事業の実施によりまして、患者や住民や地域にもたらされると期待される変化を測定・把握するという趣旨になっております。ですので、地域のニーズを踏まえたアウトカム、地域の医療介護供給体制とか健康状態などをどのような方向に持っていきたいかというアウトカムをまず設定して、それに最も好ましい事業を選ぶという考え方、これをロジックモデルと呼ぶのですけれども、これが重要だと考えております。

 では、アウトカムをどのように設定するかということなのですが、こちらは基金事業のみならず、医療計画とか介護保険事業計画等で別に設定されているものもあるので、一体化して共通のスケールに沿って管理できるようにしたほうがいいだろうと考えております。

 アウトカム指標例についても、研究班としては個別の指標例を設定したということになります。特に、毎年実施される医療圏ごとに結果が公表される公的統計から指標例を作成するのを原則にしております。

 具体的には、事業ごとに指標例を作成しているのですが、在宅療養支援診療所整備事業については、在宅療養支援診療所数。整備された数ではなくて現に地域にある数を尺度とすればよいのではないか。これは地方厚生局がデータを出しているので、測定できるだろうと考えています。また、(3)の訪問看護職員研修事業を例にとれば、訪問看護の利用者数はNDBとか介護給付費実態調査で公表されていますので、こちらの数を集計していけば、指標として把握できるだろうと考えております。

 最後「医療・介護連携指標の構成」なのですが、先ほど申し上げたとおり、適切なケア/サービスの組み合わせの達成として捉えています。その際に、大きく分けると2パターンあるのですが、連携の基盤と連携の場面や傷病ごとの連携について評価したほうがよろしいのではないかと考えています。

 特に連携の場面・傷病別の指標について御説明申し上げますと、例えば退院支援という場合について、入院時情報連携加算算定件数が介護給付費実態調査で把握可能かと思いますので、こういうものを使ったらよろしいのではないかと考えています。

 例えば、さらにがんとか傷病別になってきますと、例ですけれども、がん患者の在宅死亡割合は人口動態統計で把握できますし、心筋梗塞等の心血管疾患については心臓リハビリテーションが可能な医療機関数ということで地方厚生局の資料で把握できるのではないかと考えています。こちらの具体的な例については、参考資料2の26ページにございますので、そちらをごらんいただければと思います。

 最後のページです。「指標の活用・改善に向けて」ということなのですが、評価が実効的に行われるためには、都道府県の担当者、かかわられる方々の負担、労力が減る必要があると考えております。毎年実施・公表される公的統計など、利用しやすい統計からアウトカム指標をつくるのが重要だということになります。

 今、御議論があったかと思いますけれども、複数年にわたる事業の適切なアウトカム評価も必要だということになります。

 2ですが「基金事業が効率的・効果的に実施されるために」は、患者・住民の立場からアウトカムが重要ですので、そのために基金事業があるということで、アウトカムが決まった上で、ではどのような事業を実施するのかというロジックモデルが明示されて事業が実施されることが重要であると考えています。

 3にまいりますが「医療・介護連携のより適切な評価に向けて」ということですが、指標は事業が変われば変わっていくものですので、評価枠組みとか指標例を使いながら改善していく必要があります。その際に、地方の現状を把握して、地域ごとの特徴のある評価指標が当然あってもいいと思うのですが、それが国全体の評価とどうバランスをさせていくかという論点はあると考えています。「4.基金事業のさらなる発展に向けて」というところですが、公的統計については二次医療圏単位、可能であれば市区町村単位を地理的範囲として、二次集計ではなく一次集計として公表されることが望ましいのではないか。さらに、アウトカムを達成するために効果的な事業は何かというロジックモデルについて学術的な検証を、これは研究者の側で行う必要があると考えております。

 以上です。

○田中座長 泉田部長、ありがとうございました。

 資料2について報告いただきました。構成員の皆様、意見があれば挙手の上、御発言をお願いします。

 今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 大変大事な指標だと思って伺っておりました。

 私の理解が正しいかどうか確認をさせていただきたいのですけれども、例えば基金というインプットを入れたら、在宅療養支援診療所の数がふえるというアウトプットがあって、そのことに伴って、在宅医療を受ける患者さんがこれだけふえたというのが多分アウトカムだという理解でいます。

今、泉田先生の御説明の中に、6ページのアウトカム指標として在宅療養支援診療所の数とか、訪問看護のステーションが挙げられている。これら従事者の数というのはどちらかというと提供者側のアウトプットであり、いわゆる患者や介護を受ける人の目線のアウトカムということではないと思いますが、そうでないものがアウトカム指標に入っているように見えるのです。参考資料2を見せていただいて、11ページを拝見して【事業区分2】の在宅療養支援診療所の項を見ると、アウトプットは新たに整備する数、アウトカムのほうは、往診を受ける患者数も入っているのですけれども、◎が在宅療養支援診療所数になっているのです。これは多分、どれだけふえたかということが大事なのだろうと思うのですけれども、大事なアウトカムがただの絶対的な数字ということになっている。

 先ほど、資料1のほうで全体の都道府県の実例を出していただいて、それを見たときにわかりにくいと思っていたのが、アウトプット、アウトカムの整理が県のほうでまだ十分にはできていなくて、普通、冒頭、私が申し上げた定義に基づくような感じではなく、アウトカムが数のことだけを言っているように見えている。県もこの辺は相当丁寧にアウトプットとアウトカムの違いだとかそういうことを御説明しないときちんと理解しないまま結果を書いてこられているのではないかという印象を受けたのです。その辺はいかがなのでしょうか。

○田中座長 お答えください。

○泉田参考人 指標の理解の部分については、今村先生がおっしゃるとおりです。ただ、11ページのアウトカム指標のところ、◎、○の使い方がわかりづらいかもしれないのですが、公表されている資料がそのまま使える場合は◎がついていて、簡便な計算が必要なものが○という形になっています。その場合、適切かどうかという問題がありますけれども、在宅療養支援診療所が整備されることによって、往診料が算定された、往診に行かれた数とか、もしくは看取りがされたかどうかというところも測っているので、診療所数、数だけでということではないようにつくっていることになります。

○今村構成員 その場合、最終的には、訪問診療を受けた患者さん、住民にとってどれだけの効果があったかというところを見るということがアウトカムということが、おっしゃっている意味だと思うのです。勘違いして、在宅療養支援診療所の数がアウトカムだと思われている節があるのではないかというのが先ほどの県の実例で感じたので、そこはわかりやすく御説明を国がするなりしていただいたほうがいいのかなと思います。混乱しやすい概念と思ったので申し上げています。

○田中座長 ◎は重要さの指標ではないことが今の会話でよくわかりました。とりやすいという意味なのですね。ありがとうございました。

 平川構成員、どうぞ。

○平川構成員 大変貴貴重な研究をされたと思います。

 その中で質問がございます。地域の環境による差をどうやって評価に入れていくのかというのがあるかと思います。要するに、地域によっては一定程度指標例を策定したとしても、結果がなかなか出づらい。例えば地域によっては、看護師の配置の数について言うと、実際准看護師しかいないという地域もありますし、それではしっかりとした看護師の確保というハードルが高いというところでありますので、地域差を考えずに一律に指標をつくり評価をしていくと問題が生じるのではないかと思います。

 また、地域性だけではなく、時間差ですね。中には成果に時間がかかるものもありますので、それをどうやって指標の中に入れていこうとしているのかということが課題としてあるかと思いますので、その辺を教えていただきたいと思っています。

 あと意見でありますけれども、こういう指標例を出されていきますと、多分、県の担当者は指標を硬直化した考え方でもって運用するということが懸念されます。指標はあくまで指標であって、書いてありましたけれども、県が主体的に自ら指標をつくっていくということについて積極的に情報を提供していくことが重要ではないかと考えています。

 これは厚労省の事務局に質問でありますけれども、この研究成果について今後の活用方法についてどういう方向で検討していくのかについて、お聞きしたいと思います。

 以上です。

○田中座長 では、泉田部長、厚労省に1問ずつ質問がありました。お答えください。

○泉田参考人 指標の使い方については、ヒアリングでいろいろ関係の方と、すごく議論されているという都道府県がありました。そういう形で議論を通じて自分たちの地域にマッチした指標を選んでいただいて、それについて記載して評価していただくというのが先生御指摘の課題を解決する方法と思っていますので、そのような使い方をしていただければと思います。

○田中座長 黒田課長。

○黒田課長 続きまして事務局へのお尋ねがございましたので。

 先ほどの泉田部長のお話と重なりますが、これはあくまでも設定をする主体は都道府県だと考えておりますので、都道府県が主体となって指標設定をしていただく。その際に参考になる情報は当方が提供するイメージです。なので、その主体はあくまでも都道府県だということをベースにした上での情報提供の仕方については考えたいと思います。

○平川構成員 ありがとうございます。まさにそのとおりかと思います。

 あと一点言い忘れたものがありました。参考資料2のところで、各市町村や都道府県担当者に対してのヒアリングが行われております。評価をする際には都道府県や地方自治体における実施体制、職員の意識、能力について、かなり問題意識が記載されておりまして、まさに私もそのとおりだと思っております。ぜひとも市町村、自治体の実施体制についても厚労省としても問題意識を持って引き続き取り組みについて検証をお願いしたいと思います。これは意見として言わせていただきます。ありがとうございます。

○田中座長 東構成員、どうぞ。

○東構成員 ありがとうございます。

 まず、資料2の7ページ「医療・介護連携指標の構成」でございますが、3つ目のポツに「医療・介護連携の場面・傷病別指標」とありますこれを見ますと、退院支援、在宅療養支援、在宅での看取りという形で、いずれも医療側から見たものになっています。例えば退院支援であれば、入院時情報連携加算算定件数を指標としたらどうかと書いてありますが、介護側から見た視点も、是非この研究班の方には見ていただきたいと思います。

 例えば、介護側から見た視点であれば、老健施設でも特養でも、看取りの数がどんどんえております。看取りをした際に介護施設が医療機関とどのような連携をとっていたのかとか、そういうものこそが医療・介護連携の指標になり得るのではないかと思います。どうしても医療・介護連携というと医療のばかり視点が行くので、介護のの視点も是非お持ちいただくよう、御要望申し上げます。

 それから、介護人材に関しましては、基金で介護人材確保が消費税財源でありますので、大変期待をしているのでございますが、現場ではとても苦労しております。正直申し上げて、基金のおかげで介護人材が随分増えてきたとか潤ったという実感は全くございません。もう少し有効な使い道を考えていただきたいと思うわけでございます。

参考資料2の 17ページ【事業区分5】、1番「介護人材確保対策連携強化事業」に「(協議会設置等)」と書いてあり、アウトプット指標は協議会の有無ということになっております。この「(協議会設置等)」というのは、協議会以外にも何かあるのでしょうか。これを一つ、質問したいと思います。

 それから参考資料2の 18ページ最後の11「潜在介護福祉士の再就業促進事業」とあります。潜在介護福祉士は 40万人と言われており、大変な数だと認識しております。潜在介護福祉士には、何とか現場に戻っていただきたいと思っているわけでございます。この事業のアウトカム指標が「介護サービス従業者(介護福祉士)数」となっておりますが、ここは潜在介護福祉士の再就業促進事業であれば、アウトカム指標は潜在介護福祉士が介護従事者になった数ということではないのでしょうか。これもお聞きしたいと思います。

○田中座長 質問が2つありました。お願いします。

○泉田参考人 ありがとうございます。

 連携指標のほうで介護側の視点をもっとという点についてはご指摘を受け止めさせていただいてさらに指標を改善していければと考えております。

17ページの【事業区分5】の1のお話ですが、アウトプット指標については事業ごとに都道府県のほうで適当な指標を選んでいただければと考えておりますので、都道府県で御議論いただければと思います。

11番の潜在介護福祉士のところでございますが、利用可能な統計があるかというところに直面しておりまして、研究班としては客観的な指標、特に公的統計で使えるものがあればという制約の中で考えておりますので、御指摘の点はすごくもっともだと考えているのですが、現状ではこれがベストと考えております。

 以上です。

○東構成員 ありがとうございます。

 結局、潜在介護福祉士の再就業をした実態の数をつかむのが難しいということでございますね。

○泉田参考人 現状の統計ではそういうものがないのではないかと考えているということです。

○東構成員 そういうデータも、もしわかれば厚労省の方からも出していただくようお願いしたいと思います。

○田中座長 たくさん手が挙がりました。順番でいいですか。

 関連して濱田構成員、それからこちらからお願いします。

○濱田構成員 どうもありがとうございます。

 同じくさっきの7ページの退院支援でございます。ここにつきましては、入院時の情報連携加算の算定件数ということで、これはあくまでも例示かと思っているのですが、実はまさにこの基金事業を活用して、例えば二次医療圏域あるいは市町村圏域で医療・介護連携を進められている自治体等で非常に退院支援が進んでいるということもあったりいたします。ぜひ、可能であれば多角的な指標でお願いしたいということと、あとこれは御質問なのですけれども、要は、入院時に情報連携をしている場合は退院支援までつながっているということがエビデンスとして出ているということでございますでしょうか。

○泉田参考人 エビデンスとしてつながっているかどうかということよりは、指標として把握できるのではないかという考え方で進めております。

○濱田構成員 ありがとうございます。

○田中座長 荒井構成員、どうぞ。それから大西構成員、加納構成員の順で。

○荒井構成員 地方からの総括的な印象、意見を述べさせていただきたいと思います。

 地域医療構想あるいは地域包括ケアの構築に向けた基本概念というのは、都道府県、役割を与えられておりますので、目標は正しく共有されていると思います。実際に構築に向けて動き出しているという感じがいたします。

 その際に、きょう、御報告がありました総合確保基金が役に立つものであるという実感がございます。それをどのようなやり方でやるのか、まだ知恵が必要なところはあるように思いますが、進行を見える化しようということでございますが、これも大事でございます。地方で見える化あるいは中央で見える化、双方で視点、行動も違いますので、それぞれ大事かと思います。

 エビデンスがこれから進行に応じて集まってくるのが実感でありますので、それに応じてエビデンスをどのように分析するかという技能が試されている印象がいたします。そのエビデンスの分析の中で、大事かと思っておりますのは地域差分析でございます。県におきましては市町村の差というのがいろいろな指標での分析の基本になりますが、国で集められる都道府県差分析、医療圏分析は県でもできるのですが、都道府県を超えた医療圏分析というのは、役に立つ分析手法として重用しているものが普通の県で行われております。

 地域差分析の中で、その原因となるのが地域の構造によって反映されているものもございます。人口の高齢化率とか人口の密度とか、都市化の率とかがありますし、地域の実情によって時差がある。改善が進んでいる、おくれている、力を入れている分野が違っているという時差があるように思います。

 それとここで話題になっている分析力に差があるのかということでございますけれども、分析力はまだ完璧な分析をする主体は国も含めてないという印象がございます。地方間あるいは国と地方が切磋琢磨しているというのが実情でございます。しかし、分析は極めて大事なことでございます。地域医療構想を実現するにも、エビデンスを武器にして進めよう、エビデンスが武器だというのが実態でございますので、指標をわかりやすくする。国でもデータ、宝の山があるのに宝の持ち腐れというのが実情、地方でもそうなのですけれども、業界でもそのようなことでございます。宝をどのように現実化していくかというのが今、課題で、知恵を出す時期だと思います。

 どのように勉強を進めるかという観点では、知事会では厚労省の方も来ていただいて研究会をしております。地域のいろいろな実情をじかに聞けますので、大変有益でございます。エビデンスをもとにどのように見える化をして分析するかというのは緒に就いたばかりのようでございますが、大変期待している分野だということを申し上げたいと思います。

 2つ目のポイントは、この分野のプレーヤーでございます。県の立ち位置としては地域のコーディネーターとイノベーターが大事な役目だと思います。その際、県は公的な医療機関のステークホルダーという面もありますので、よく公民の配分を気にされるわけですけれども、公的医療機関のステークホルダーと配分をしたりというコーディネーターという全く違う役目がありますので、それを見える化によって公正に行うというのが必要でございますが、それを検証するいう役目がエビデンスにはあるように、きょうの議論を聞いて思いました。

 それから、地域にとりましては、高齢者が幸せに暮らせる地域をつくるというのがさらに高次な役割でございますが、高齢者が幸せに暮らすという点では、医療介護というのは大変主要な分野でございますが、それだけではないわけです。病気予防などがありますので、これはまちづくりから含めていろいろなことをやっております。

 医療・介護のコーディネーター役を仰せつかったというのは、県と市がまちづくりを進めるようにしておりますが、地域包括ケアのまちづくりをしようという市町村が極めて顕著にふえておりますので、これからというよう感じ。幸せに暮らせる日本の各地域というのは大事な目標でございますので、基金を活用してエビデンスをよく見ながら進めることができたら確実に推進できるという実感を持っておりますことを御報告させていただきたく存じます。

○田中座長 大事な御指摘、ありがとうございました。

 大西構成員、お願いします。

大西構成員 ありがとうございます。

 この地域医療介護総合確保基金につきましては、都道府県が主体となりまして国とやりとりをし、基金の対象事業などを行いながら、医療と介護の連携について、総合的に確保を図っていくというのが最も重要な趣旨かと思うのです。

 一方で医療のほうは、地域医療構想をもとにいたしまして、かなり都道府県が主体的にやるのですけれども、ただ、保険ということで言えば、国民健康保険は30年度から都道府県が財政主体とされますけれども、基本的な保険料の決定とかいうのは、少なくとも10年間は市町村でやられるわけですし、あと、介護保険につきましては、基本は市町村単位ということでございます。地域包括ケアにしても、市町村の中でのそれぞれの地域でのまとまりで、そういう事業をやっていくということになろうかと思っております。

 そういう意味で、基金事業についてよくわからないのは、基本的に市町村のいろいろやる事業の積み上げ、必要性みたいなものが、各都道府県全体としての基金の、いろいろな規模の差とかにあらわれてきているかと思っているのです。その辺が先ほど状況を見させていただいたけれども、まだよくわからないというところと、その辺の必要度の調整というのは、それぞれの都道府県の中で、県と市町村との間でのいろいろなやりとりの中で決まってくるのでしょうけれども、そのためにも全国的な意味で、ある程度事業の成果水準を高めていくためにも、先ほどからお話がございましたような成果が必要だし、それをきちんとはかるための成果指標が、非常に大事になってくると思っています。

 その場合に、ちょうど最後のページのところに書いておりますけれども、今後の基金事業のさらなる発展に向けて「公的統計については二次医療圏単位、可能であれば市区町村単位を地理的範囲として一次集計として公表されることが望ましい」とあるのですが、ぜひとも、市町村単位でもはかれるようなアウトカム指標といいますか、そういうものを何らかの形できちんとつくっていただいて、我々基礎自治体がある程度、成果目標をきちんと見据えていろいろな努力ができる、あるいは、そのために必要な事業をもう少しきちんと的確に判断できる、そういったような成果指標を設定していただいて、活用を図っていただくように、御努力を国にお願いしたいと思っております。

 一つ、質問なのですが、専門的なものがよくわからないのですけれども、いろいろと今回、上げられている成果指標の中でも、市町村単位でとれるものというのは、そんなに多くないような気がするのです。そういう場合に、例えばこういう工夫をすれば、もう少し地域単位、市町村単位の数字がとれるというものがあれば、御示唆いただければありがたいと思っております。

 以上でございます。

○田中座長 最後は御質問ですね。お答えいただけますか。

○泉田参考人 最後の点については、統計調査で市町村単位だと公表するには小さ過ぎる場合でも、周りの環境も含めた情報で推定するという方法があるのですが実態というよりは推定、推計の形になるので、若干限界がある。そういうことも含めまして、資料では可能な範囲、可能であれば市区町村単位でと表現しているところでございます。

○田中座長 加納構成員。

○加納構成員 ありがとうございます。

 先ほど、平川構成員がおっしゃったことの確認なのですけれども、例えば資料2の3ページ真ん中の2のところですが、「都道府県による主体的なマネジメントに資するものとする」ということと、「都道府県が主体的に指標を設定するものを妨げるものではない。ただし、都道府県が独自の指標を設定する場合、本指標例と同様の性質である必要がある」という形で書かれているわけなのです。

 これは先ほど平川構成員が聞いていただいたように、この指標をがちがちのものにしているような表現になっているような感じがするのですが、先ほどのお答えのとおりで、ある程度自由度があるという形で考えていいということの確認をお願いしたいと思います。成果指標が達成目標みたいな指標に使われるのは、私は非常に危険だと思っておりますし、参考資料210ページ「病床機能分化・連携事業」に関して、それぞれのアウトプット指標、アウトカム指標に関して、うっかり間違うと重みのある、縛られるような指標になってしまう可能性があると思うのです。そういうことはないという、先ほどのお返事でよかったのでしょうか。

○田中座長 確認をお願いします。

○泉田参考人 研究班としてはそのとおりですということです。

○加納構成員 ありがとうございます。

○田中座長 白川構成員、どうぞ。

○白川構成員 私ども保険者は今、第2期データヘルス計画をつくっている最中でございます。やはり、その中でもアウトカムという概念が非常に難しいと言われていますが、今回、例示を出していただいたので、我々にとっても非常に有益な研究だったと感謝申し上げたいと思います。

 その上で2つ質問があります。1つは、アウトカム評価をやるためには、相当なデータが必要です。全てやるかどうかは別ですが、例えば県や市町村が集めなければいけない様々なデータがある中で、ナショナルデータベースは、地域医療構想を検討する際の二次医療圏ごとの資料に活用されましたが、今後、都道府県側が選択するにしろ、何らかの形で基金のアウトカム評価指標を入れていただくということであれば、NDBの都道府県別等の分析結果を定期的に提供していくことが必要ではないかと考えます。その辺について厚労省はどうお考えかというのが質問の1つ目でございます。

 2つ目は、アウトカム評価の中で、患者、住民の立場からのアウトカムが重要と書かれておりますが、事業をやるわけですから、費用対効果の視点も必要と思っています。その辺は参考人としてどうお考えになっているのかというのが2つ目の質問でございます。

○田中座長 黒田課長、お願いします。

○黒田課長 まず1点目、厚労省に対する御質問ですので、お答えいたします。

NDBを使って地域の成果をはかっていくということが提案されておりますが、もしそうなりますと、一定の頻度で提供する、あるいはアクセスしていただきやすくするということは課題になってくるだろうと思います。私どもはデータヘルスの関係の省内本部をつくっておりますし、その中でNDBをもう一段活用していただくにはどうしたらいいのかということの省内検討はしております。今回の御提案、もしそういうことをやるべしという話であれば、その中で肉づけをすべく、検討していきたいと考えております。

○田中座長 費用対効果については泉田部長、お願いします。

○泉田参考人 費用対効果の重要性については同意いたします。ただ、まずはアウトカム評価という概念を都道府県に定着させるところが重要なので、このような書き方をしているということになります。

 以上です。

○白川構成員 ありがとうございました。

NDBの活用については、従来から、もう少し活用の方法があるのではないかという御意見をお持ちの方がたくさんいらっしゃると思います。定期的に提供するということは、トレンドを見るという意味でも、アウトカム指標の設定等で使うという意味でも重要だと思いますので、ぜひとも前向きに御検討いただきたいと思います。

 それから、泉田参考人の御意見はわかりますが、私はアウトカム指標の中に費用対効果も1項目として入れていくべきと考えておりますので、ぜひ御検討いただければとお願いいたします。

○田中座長 時間になってまいりましたがよろしいですか。

 では、武久構成員、どうぞ。

○武久構成員 参考資料4の9、12131617222327ページに関係することでございますけれども、全般的に医療と介護の境界域というか、ここをやるところがこの会議でございますのでお話をするのですが、大前提に一般病床と療養病床という分け方をしているのです。現実には療養病床にも高齢者の急性期患者が入っていますし、一般病床にも結構慢性期患者も入っている。

 入院期間が長い療養病床のベッドの数が、入院期間が短い一般病床の3分の1しかないというのもまだ日本ぐらいのことでありまして、現実に今、一般病床が120万床のうちの90万床ぐらいあって、療養病床は大体入院率が90%で、一般病床は75%ぐらいで、一般病床は結構ベッドがあいているわけです。

 御存じのように、特定除外といって、一般病床に長く入院することができる制度があって、そこもまだ整理が十分にできていない。こと医療と介護の間でこの人はどっちに行くのか。一般病床では平均在院日数を入れない場合は療養病床の入院基本料1の医療区分3を別に状態に関係なくずっと請求できたり、めちゃくちゃ優遇されているところがあるわけです。

 現実にあいているところの話ですけれども、図からいうと、療養病床から介護医療院のほうへまず行ってとなっているのですが、委員会の中でも一般病床をお持ちの方が一般病床からも介護医療院に転換させてくれないかと。病床転換の希望がしょっちゅう出ているわけです。

 現実問題として、一般病床の中でも本当の急性期病院病床とそうでない病床が明らかにあるということを厚労省側はどのぐらい認識していらっしゃるかということが非常に重要だと思うのです。というのは、介護と医療の間のところで、境界をある程度明らかにしていって、機能をきちんとしていかないと、間にある中途半端なところが結局医療費、また介護費用を食い続けるということは日本にとって余りいい制度ではないということでございます。参考資料4でも一般病床と療養病床に明らかに分けた状態で分析を始めているということについて、厚労省側の御意見をお聞きしたいと思います。

○田中座長 厚労省に対する質問ですね。お答えください。

○佐々木課長 27ページの資料に関連してということですので、地域医療計画課長のほうでお答え申し上げます。

 こちらは地域医療構想の中で、2025年の段階で介護保険施設と在宅医療等のところで追加の対応が必要と言われる約30万人の方について医療計画と介護保険事業計画でどのように見込んでいくかという図でございます。

30万人の方というのは、御指摘のとおり、一般病床から30万人に含まれるとカウントされる方と、療養病床からとなっております。これは御案内のとおり、地域医療構想で分析する場合に、一般病床については基本的にNDBを使って分析をしたわけでありますが、療養病床に関しましては、地域差ということで、違った視点で分析をしたというところもありまして、分けているところでございます。

 御指摘の30万人をどういう形で各制度で見ていくかということは、医療介護の両方の部局でも連携しながら、地域でも都道府県市町村と連携しながらやっていただくということでございますので、御指摘の点も含めまして、いろいろと調整しながら検討を進めてまいりたいと思っているところでございます。

○田中座長 武久構成員、どうぞ。

○武久構成員 それについて、一般病床は看護師の数で7対1から15対1まであるのです。療養病床は20対1から25対1なのです。これは別に7対1から25対1の傾斜配分をしても、ハードの部分は6.4平米の4人部屋なのです。ほとんど変わらないのですけれども、もうそろそろ医療と介護の境界を密にして、そのあたりのことを整理しようというのであれば、別に一般病床と療養病床という枠を外して病院病床という形にして柔軟に考える時期が来ているということで提案したいと思います。

○田中座長 ありがとうございます。

 皆様方、さまざまな御意見、ありがとうございました。PDCAの観点からも目標の設定、分析、事後検証が重要です。本日いただいた御意見を踏まえ、引き続き都道府県が基金を効率的、効果的に活用するため、国からもしっかりとした指導、助言を続けていっていただくようお願いいたします。

 きょうは時間が短くて議論が足りなかった気もしますが、予定の時刻となりましたので、本日はここまでといたします。

 次回の日程につきまして、事務局から説明をお願いします。

○黒田課長 次回の日程につきましては、改めて御連絡をさしあげます。よろしくお願いいたします。

○田中座長 以上をもちまして、第11回「医療介護総合確保促進会議」を終了いたします。ありがとうございました。

 


(了)

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