ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会労働力需給制度部会)> 第276回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録(2018年11月27日)

 
 

2018年11月27日 第276回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局需給調整事業課

○日時

平成30年11月27日(火)15:00~

 

○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
共用第6会議室(3階)

○出席者

委員

(公益代表)鎌田委員、松浦委員
(労働者代表)村上委員、永井委員、奈良委員
(使用者代表)正木委員、佐久間委員、高野委員
 

事務局

田畑大臣官房審議官、牛島需給調整事業課長、石田民間人材サービス推進室長
新田主任中央需給調整事業指導官、古屋需給調整事業課調査官
米岡需給調整事業課長補佐、永島需給調整事業課長補佐
大木民間人材サービス推進室長補佐

○議事

○鎌田部会長 定刻前ですが、皆さん、おそろいのようですので、これから、第276回労働力需給制度部会を開催いたします。議事に先立ちまして、本日は公益代表の藤本委員が所用により御欠席されています。本日の進め方ですが、お手元の次第にある、議題1、2について公開で御審議を頂き、その後、許可の諮問の審査を行います。許可の審査については、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、これについては「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため、非公開とさせていただきます。傍聴されている方々には退席いただくことになることを、あらかじめ御承知いただきたいと思います。
それでは、議事に入ります。議題1の過半数代表者の選出手続等及び労働条件等の明示等の方法の見直しに係る職業安定法施行規則及び労働者派遣法施行規則等の一部改正について、事務局から御報告を頂いた後に、質疑の時間を取ることといたします。それでは、事務局、御説明をお願いいたします。
 
○米岡補佐 御説明申し上げます。お手元のタブレットを御覧ください。資料1の過半数代表者の選出手続等及び労働条件等の明示等の方法の見直しについて、御報告させていただきます。まず、今回の改正の背景ですが、労働政策審議会の建議、平成29年のものと平成27年の2つの建議におきまして、労働基準法施行規則におきます過半数代表者の選出手続、それから労働条件の明示の方法、それぞれの見直しにつきまして盛り込まれたところでございます。具体的な内容につきましては下の(1)と(2)に記載がございますが、(1)につきましては、労働基準法上の過半数代表者の選出手続等の見直しとしまして、労使協定等を締結する際に過半数代表者を選出する手続がございますが、それにつきまして現行の労働基準法施行規則上も、挙手、投票によることとか、管理監督者でないことといったことが規定されていますけれども、それに加えまして、使用者の意向による選出が手続違反に当たるといった、これまでは通達に記載されていた内容を、施行規則に規定することが適当であることが建議に盛り込まれたところです。
そうした内容を踏まえまして、ここに記載のとおりの2点を施行規則に加えています。1点目が、選出要件に「使用者の意向に基づき選出された者でないこと」。それから、「使用者は、過半数代表者が事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならないとすること。」この2点が施行規則に盛り込まれまして、つい先日、改正されまして来年の4月1日に施行される予定になっています。
2点目が、(2)にございます労働条件の明示の方法の見直しです。労働基準法に基づきます労働契約の締結の際の労働条件の明示につきましては、これまでは書面の交付のみが認められていたところですが、これは平成27年の建議におきまして書面明示によることを原則としつつも、ファクシミリや電子メールの送信により明示することを認める方向で検討することが適当であるといった内容が、建議に盛り込まれたところでございます。これを踏まえまして労働基準法施行規則の中で、これまでの書面の交付に加えまして、労働者が希望する場合には、ファクシミリ又は電子メール等の送信の方法によることを認めるといった改正がなされたところです。ここで言う電子メール等の「等」の中には、いわゆるSNSのメッセージ機能を使った通信も含むような形で改正がなされたところです。こちらにつきましても同様に既に改正はなされていて、来年の4月1日施行の予定でございます。
次に、こうした労働基準法施行規則の改正内容を踏まえまして、職業安定法、それから労働者派遣法に規定されている同様の手続におきましても、労働基準法施行規則と同様の改正をしようとするものです。(1)の過半数代表者の選出手続等の見直しにつきましては、派遣法の施行規則になりますが、事業所単位の派遣受入期間を延長する際に、過半数代表者に対して意見聴取を行うという手続がございます。この手続につきましても、同様に「派遣先の意向に基づき選出された者でないこと」。それから、過半数代表者が事務を円滑に遂行できるよう必要な配慮をすることといった内容を、労働者派遣法施行規則に追加しようとするものです。
次に、2ページを御覧ください。(2)の労働条件等の明示等の方法の見直しですが、1で職業安定法施行規則におきましては、求人や募集の際の労働条件の明示、また地方公共団体等が無料職業紹介を行う場合の取扱職種の範囲の明示の手続について、これまでは書面の交付、電子メールでの送信を施行規則の中で認めていたところですが、これに加えましてファクシミリ、それから電子メールに「等」を加えましてSNSも含めて、労働基準法施行規則と同様の方法を認めようとするものです。
2の労働者派遣法施行規則の一部改正ですが、こちらにつきましては派遣元・派遣先間、また派遣元から派遣労働者に対するもの、様々な手続が規定されていますが、基本的には労働基準法施行規則と同様に書面、ファクシミリ、電子メール等による方法での明示を認めようとするものです。その中でも、2ページの下段にございます就業条件等の明示の方法につきましては、原則として書面の交付とした上で、派遣労働者が希望する場合には、ファクシミリ又は電子メール等を認めるという形にしようと考えているものです。
3ページで、こちらも基本的には労働基準法施行規則と同様の改正をしようとするものですが、特に真ん中の囲みにございます、紹介予定派遣で派遣先が職業紹介を受けることを希望しなかった場合における派遣元から派遣労働者への理由の明示の方法については、原則として書面の交付としながら、派遣労働者が希望する場合にはファクシミリ又は電子メール等の送信を認める。こういった改正をしようとするものでございます。
最後に、施行期日ですが、基本的には改正労働基準法施行規則の施行と同様、平成31年4月1日施行を予定しているものです。事務局からの説明は以上でございます。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明に対する御質問、御意見がございましたらお願いいたします。どうぞ自由にお願いします。
 
○奈良委員 よろしいですか。過半数代表者の選出手続の見直しの件ですが、基準法改正の議論のときにどういう議論が行われて、こういう見直しがされたか詳しくは存じ上げないのですが、言ってしまえば当たり前の要件が文言に加えられたということだと思います、規定のほうにね。そうせざるを得ない現状というか、それが求められる状況というのがあったのだろうと。それが議論の中でこういう結果になったのだろうと考えています。
労働組合の組織率がなかなか上がっていかない状況というのがありまして、私たち労働組合として組織化を進めるわけですけれども、一方で、過半数組合のない、特に中小零細の事業所とか非正規の雇用の多い事業所等々では、本当にこの過半数代表がきちんと民主的に選出されて、きちんと機能することが労働者の保護という観点では大事なのだろうと思います。その点で、具体的にこうして規定の見直しが行われ、それが4月1日から施行されるということで、現場の担当部局ではどういう対応を具体的にされる予定なのか。あるいは現場がどのように変わっていくのか。その辺り、もし具体的なお話をされているのであれば伺いたいと思います。
 
○鎌田部会長 事務局、いかがですか。
 
○牛島課長 お答えいたします。ただいまの奈良委員の御指摘ですが、まずは労働基準法施行規則に合わせて労働者派遣法施行規則、職業安定法施行規則関係についても所要の整備を行っていくというところです。御指摘のとおり、ごく当たり前のことを規定するというところですので、大部分の事業所において、そこまでおかしな運用はなされていないとは認識しつつも、こういう改正が行われたということは、当然のことながら周知を行った上で具体的にどういうことをやるべきか。使用者の意向に基づき選出された者でないこと、端的に言うと、一方的に使用者が、「お前、やれ」という形で過半数代表を指名するような行為はいけないと。ただ、これも既に民主的に選びなさいというところで一定程度担保はされている部分がありますので、往々に重なってくる部分がありますけれども、現行の仕組みも含めて過半数代表の選定の方法等について、こういう改正が行われたということも踏まえて周知をきちっとやっていきたいと思っています。
また、必要な配慮等につきましても、これは労働基準局の運用等々を横に見ながらになってきますが、当然のことながら過半数代表、いろいろな労力というところが関わってくると思いますし、諸々の資料の提供といったところでのフォローというのも一定程度必要になってくるかと思いますから、労使のコミュニケーションが円滑になされるような方向で、事業主側のほうも配慮していただくというところが肝だと思います。そういったところの改正の趣旨につきまして、まずは関係方面に周知をしていく形で取り組んでまいりたいと思っています。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。
 
○永井委員 ありがとうございます。労働条件等の明示方法の見直しについて御質問させていただきたいと思います。特に電子メール等の「等」の所でSNSによることを想定しているということでしたが、LINEなどのSNSはメッセージを送信した後に、送信した側のほうからメッセージの取消しができる機能や、受信から一定期間経過後にファイルなどを自動削除する機能があります。こういったことは送信側から送信後に削除ができないメールなどとは決定的に違うので、労働者が就労後に自分の労働条件が募集時、派遣時と違うといったことに気付いたときに、既に募集情報が削除や取消しされていて、見られないといったトラブルが生じかねないのではないかと思っています。このような点について、どのように整理されているか教えていただければと思います。
 
○鎌田部会長 事務局、どうぞ。
 
○牛島課長 ただいまの永井委員の御質問ですが、確かにSNSメッセージの中には取消機能が備えられたものがあるようですが、そもそも一旦、送ったものを事業主側から取り消すというのは、条件明示の趣旨からしてどうなのかというところがある。そういったことは問題ですよというところ、そこは運用の中で担保していきたいと思っています。また、SNSを利用した明示は出力することにより書面を作成できるものに限ると、省令のほうにも書き込んでいるところですから、例えば送信に当たっては受信者に対して内容確認した上で、まず受信者の側で保管をしていただくというのがあるかと思います。そういったところをちゃんとやってくださいということを、送信に当たってメッセージの中で織り込んでもらう、また、仮に保存期間が切れてしまって削除されてしまう。消えてしまうという場合については、当然、本人の求めに応じて再送いただくというところがあって然るべきではないかと考えていますので、いずれにしても書面による出力が可能な状態が、きちんと確保されるように適切に対応することが求められます。この辺りの取扱いについては、業務取扱要領等において明記して適切に明示がなされるように運用を図ってまいりたいと考えているところです。
 
○鎌田部会長 他にございますか。ありませんか。では、私のほうから確認の意味でお聞きします。過半数代表者の選出要件に関わる今度の規定で、使用者の意向に基づき選出された者でないことということですが、これに違反した場合、すなわち使用者の意向に基づき選出された者と認められる場合の過半数代表者について、これは労働者派遣法に関わっては、事業所単位の派遣受入期間の更新に関わる条文との関連でいうと、これに違反している場合には、過半数代表者による意見聴取がなされなかったと理解してよろしいですか。
 
○牛島課長 ただいま、部会長から御指摘がございました事業所単位での期間制限を延長するために、過半数代表者からの意見聴取というところが必要になってきて、過半数代表者の要件として、こういった事項が付け加わることになってきますと、ここの部分について確保されていない形で過半数代表を選定し、意見を聴いた形になったとしても、それは適法な意見聴取という形にはなりませんので、法律上は、そのままやってしまいますと期間制限違反に該当する形になってきます。そういった基本的に大きな部分もございますので、なお一層、周知等々については派遣先の方々にもやっていく必要があると考えているところです。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。他にございますか。ないようですので、過半数代表者の選出手続等及び労働条件等の明示等の方法の見直しに係る職業安定法施行規則及び労働者派遣法施行規則等の一部改正について、事務局案のとおりとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
次に、議題2の職業紹介事業・労働者派遣事業分野に係る事業分野別指針案について、事務局から御説明いただいた後に質疑の時間を取ることといたします。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○大木補佐 それでは、職業紹介事業・労働者派遣事業の事業分野別指針の案につきまして説明させていただきます。資料2を御覧ください。まず、今回の指針策定の経緯、背景についてですが、中小・小規模事業者が人材コストやコスト管理などといったマネジメント、設備投資といった自社の経営力を向上させるために実施する経営力向上計画につきましては、その根拠法となる中小企業等経営強化法で定められた業種横断的な基本方針に基づき、その事業者が計画書を作成、各業種の主務大臣に申請する流れになっています。そこで各担当省庁での審査の結果、認定されれば税制優遇や補助金などの支援が受けられる。こういった制度となっています。また、同法律で、中小企業等の経営力向上が特に必要と認められる事業分野を選定し、業種別に事業分野別指針を策定できると定められています。
これまで、職業紹介事業・労働者派遣事業におきましては、業種横断的な基本方針に基づき計画認定を行ってきましたが、現下の労働力人口の減少や労働力の人手不足の状況にあって、労働力需給の的確かつ円滑なマッチングを図る人材サービス事業者の役割が、ますます重要となってきているところでございます。そこで職業紹介事業・労働者派遣事業に特化した指針を策定し、事業者が経営力向上のために具体的にどのようなことに取り組めばいいのかをより明確化させて、経営力向上とともに、この業界全体の活性化を図ることが、今回のこの分野別指針策定の狙いとしています。
それでは、指針案の内容につきまして簡単に説明させていただきます。この指針の中で核となる事項は、経営力向上の実施方法に関する事項の所と、内容に関する事項の2つになります。
経営力向上の実施方法に関する事項では、経営力向上計画の計画期間や目標とする指標が定められており、指標につきましては職業紹介事業・労働者派遣事業では労働生産性を採用しています。ここでいう労働生産性とは営業利益や人件費、あるいは減価償却費の合計を労働投入量で割った値を指すもので、この定義は基本方針の中で定められています。また、経営指標につきましては、計画期間終了時までの労働生産性の伸び率の目標を求めることとしています。
また、経営力向上の内容に関する事項のほうでは、事業者が経営力向上計画の作成に当たって、どのようなことに取り組む必要があるのかを例示したものです。1つは、求職者や派遣労働者のほか、人材サービス従事者を含めた人材の確保や育成に関する事項、例えば労働者についていえば、多様な人材を対象とした職場説明会やセミナーに参加することによる労働市場への参加促進や労働力の確保、また、教育訓練の受講によるスキルの向上、人材サービス従事者につきましては、キャリア・コンサルティングなどの資格取得によるサービスの質的な向上などが当たります。2つ目の事項が経営管理に関する事項で、例えばPDCAサイクルの徹底による経営マネジメント、ローカルベンチマークや利用者満足度、こういった自主管理指標として活用する経営管理を、この中では想定しています。3つ目が営業活動に関する事項、4つ目の事項が営業システムやバックヤード業務システムといった、ICTの導入や省エネルギーの推進に関する事項です。なお、ここでいうICT導入の際にはセキュリティ対策をしっかりと講じて、高度化、多様化するICT化に対応するために、ICT有識者の育成、または外部専門家の活用を行うこととしています。この4つを示しており、これらの事項から1以上を実施することとしています。以上が、この分野別指針の主な内容となります。
なお、この指針案の今後の策定スケジュールですが、12月より30日間のパブリックコメントにかけまして、その後、事務手続を経た後、来年1月下旬に公布予定、施行は公布と同日の予定となっています。また、中小企業庁のホームページにも掲載される予定となっています。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、この件につきまして御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
 
○正木委員 この事業での人材の確保や育成で、特に育成のほうは結構難しくて出口でというか、正社員に転換することがあればハッピーなはずなのですが、そうすると生産性の目標うんぬんから外れていってしまうことになる。その辺の派遣社員なりが正社員化することについては、これを作る過程で議論があったのかというところをお伺いしたい。
 
○鎌田部会長 事務局、どうぞ。
 
○石田室長 この指針の目標は、事業者が自らの経営力を向上させるために計画を立てていただき、それにより、労働生産性も向上させるということです。その中には人件費の向上なども入っています。人材育成について、今、想定しているのは派遣労働者に対するキャリアアップ、質の向上を図っていただくことによって派遣労働者の処遇の向上とか、より上位のスキルを取得するための教育訓練を想定しています。派遣元で正社員化し、賃金の上昇を伴う場合は生産性の向上に寄与するものと思います。派遣先の場合は、算定対象からは外れてしまうという考え方になっています。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○正木委員 はい。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。
 
○佐久間委員 今回、中小企業等経営強化法に基づいて経営力の向上計画ということで計画を立て、それが認められればという形になると思いますが、中小企業者にとっては、こういう選択の場が広がったということでは喜ばしいと思います。1つお伺いしたいのが、この法律自体が固定資産税の軽減とか、あと金融措置がメインになるわけです。ほかの補助金というのは、この計画を取っていれば加点措置ということもあることはあります。人材派遣会社で、パソコン、コンピューター関係では資産という形になるかもしれませんが、あまりメリットがないような気がします。その辺の見込みというのは、どういう形で派遣事業者を入れてきたのかお伺いしたいのが1点です。
それから、この経営力向上計画の付加価値額の算出ですが、経済産業省、中小企業庁が行っている営業利益プラス減価償却等々の計算式と、厚生労働省が一般的にこちらの労働関係でやっているのだと租税公課とか、確かもう1つぐらい何か入るのですよね。その計算式の違いというのは、これは中小企業庁の施策のほうでの付加価値額の算出の式を当て込んでいくという理解でいいのか。その2点を教えていただきたいと思います。
 
○鎌田部会長 事務局、お願いいたします。
 
○石田室長 今、委員がおっしゃったとおり、確かにこちらの経営強化法に基づきます経営力向上計画が認定されることのメリットというのが、生産性を高めるため取得した設備に係る固定資産税の軽減措置等があります。平成28年7月から運用していますが、これまで全体で約6万件ある中で、当該業種に係る認定件数は64件と極めて少ないということです。ただ、その少ない中でも、事業者はIT導入の関係で業務ソフトウェアとかバックヤード業務に関するソフトの活用をして、生産性の向上を図りたいという計画が出てきています。我々としましてはこの業種別指針を作って、これまでのICTだけでなく、むしろ人材育成や経営管理のほうにも目を向けて、一緒に併せてやっていただけないかなというのもあり、今般、網羅的に例示させていただいているという経緯がございます。
あと、付加価値額の算定につきましては、おっしゃるとおりいろいろな考え方があるかと思いますが、こちらは基本方針のほうでは労働生産性を原則とするという考え方で定められていますので、基本方針と同様の考え方で算定させていただくことを考えています。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○佐久間委員 はい。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。
 
○村上委員 参考資料のほうで意見を申し上げたいと思います。今、佐久間委員からもございましたように、今回のスキームでは事業分野別指針にのっとって派遣会社が経営力向上計画を策定し、その認定を受ければ、税制優遇や助成金の優先採択を受けることができるというものです。その観点からすると、この指針の中身は、もう少し実のあるものにしていくことが必要ではないかという印象を持っています。
また、参考資料の2ページ、人材の確保及び育成に関する事項で求職者及び派遣労働者の部分です。女性、高齢者等の多様な労働力の活用による人材確保とあるのですが、「労働力」や「活用」という表現に違和感があるので、表現を再考いただきたいと思います。
加えて、派遣労働者に対する段階的かつ体系的な教育訓練の実施によるキャリアアップ及び評価体制構築とありますが、段階的な教育訓練やキャリア・コンサルティングなどは、派遣法上の義務として、当然、派遣会社が行うべき事項です。経営力を向上させるということであれば、同一労働同一賃金の法整備を先取りした賃金テーブルの策定や改善など、法を上回るような取組を促すことが必要ではないかと思います。
さらに、教育訓練やキャリア・コンサルティングについても、前回の部会で「平成29年派遣労働者実態調査の概況」の報告もありましたけれども、キャリア・コンサルティングの相談窓口が「置かれていない」とか、「分からない」という回答が6割以上ございましたし、教育訓練を「受けたことがない」という回答も半数近くありました。教育訓練やキャリア・コンサルティングにより派遣労働者の能力を向上させて、派遣会社の生産性向上につなげるというのであれば、教育訓練やキャリア・コンサルティングも単に実施するというのではなく、例えば受講率の数値目標を指針に掲げるなど、法を上回る取り組みを指針に明記していく必要があるのではないかと考えます。以上です。
 
○鎌田部会長 事務局、どうぞ。
 
○石田室長 今、村上委員から御指摘がございました。本指針自体は事業者が自らの経営力向上を図るための計画を策定するに当たって、推奨する取組を例示させていただいています。こちらの計画の策定から認定につきましては、事業主の創意工夫をいかした取組というのを支援することが重要であり、効果的であると思っています。そのため指針の本文においては、今、担当から例として挙げさせていただいたように、できる限り事業者の参考となるような取組例をお示ししたいと考えていますが、一方で、個々の事項に係る達成度合い等につきましては、経営力の向上に取り組もうとする事業者の現状や、それぞれが持つ課題というのは様々ですので、なかなかここまでといった基準を一概に記載するのは難しいのかなと考えています。ただ、もちろん、計画を実施していただく以上は効果的な取組を実施していただくということは必要だと思いますので、計画された審査段階あるいは指針の周知段階におきましても、事業主に取組の効果等を意識した計画策定を求めてまいりたいと思いますし、審査でもしっかり見てまいりたいと考えています。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○村上委員 はい。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。それでは、議題2の職業紹介事業・労働者派遣事業分野に係る事業分野別指針案について、事務局案のとおりとすることでよろしいでしょうか。ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
公開部分は以上といたします。議事録の署名は、村上委員、正木委員にお願いいたします。事務局から連絡事項はありますか。
 
○永島補佐 傍聴者の皆様に御連絡申し上げます。傍聴者の皆様におかれましては、委員の随行の方が退席された後に、事務局の誘導に従って御退席をお願いいたします。
                           

 

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会労働力需給制度部会)> 第276回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録(2018年11月27日)

ページの先頭へ戻る