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2018年4月25日 第269回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局需給調整事業課

○日時

平成30年4月25日(水)10:00~

 

○場所

東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館
講堂(7階)

○出席者

委員

(公益代表)鎌田委員、松浦委員
(労働者代表)村上委員、永井委員、奈良委員
(使用者代表)高橋委員、佐久間委員
 

事務局

小林大臣官房審議官、牛島需給調整事業課長
新田主任中央需給調整事業指導官、佐野需給調整事業課長補佐、永島需給調整事業課長補佐

○議事

○鎌田部会長 ただいまから第269回労働力需給制度部会を開催いたします。
議事に先立ちまして、お手元の委員名簿のとおり、平成30年4月19日付けで異動があり、使用者代表委員として、佐久間委員及び高野委員が就任されております。高野委員におかれましては、本日は所用により御欠席されております。また、公益代表の藤本委員も所用により御欠席されております。佐久間委員におかれましては、本日初めての御出席となりますので、一言御挨拶を頂きたいと思います。お願いいたします。
 
○佐久間委員 おはようございます。全国中小企業団体中央会事務局次長・労働政策部長の佐久間と申します。よろしくお願いいたします。
この労働力需給制度部会ですが、派遣の関係、そして職業紹介の関係で、これだけ事前に資料を賜りまして、これだけの多くのものを見ていかなければいけないというのは、非常に責任を痛感しております。
そこの中で拝見させていただくと、やはり規模の大きな所、そして小さな所と、かなり業者が混在している中で、案件の審査でも見られるように、マージン率の関係、資産の状況という形で判断していく中で、使用者側ではありますけれども、この企業が本当にやっていけるのかどうか、また、急な事態があったときに、本当にその資産から払い込めるのかどうかということも、非常に重要な課題になると思います。その辺も観点として拝見させていただきながら審査に当たっていきたいと思います。今後とも御指導のほどよろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 どうもありがとうございます。大変資料の多いところで、御苦労が多いかと思いますがよろしくお願いいたします。
次に、事務局にも人事異動があったとのことですので、御紹介お願いいたします。
 
○永島補佐 平成30年4月1日付けの人事異動において事務局内に3名の転入者が参りましたので、御紹介いたします。まず、指導監督業務を担当する主任中央需給調整事業指導官の新田です。職業紹介業務を担当する需給調整事業課長補佐の浅沼です。指導監督業務を担当する需給調整事業課長補佐の冨田です。以上です。
 
○鎌田部会長 新任の皆さんも一つよろしくお願いいたします。
本日の議事に移ります。本日の進め方ですが、お手元の次第にある議題1及び議題2について公開で御審議いただき、その後に議題3及び議題4について、許可の諮問の審査を行います。議題3及び議題4の許可の審査については、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、これについては「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため、非公開とさせていただきます。傍聴されている方々には御退席いただくことになることを、あらかじめ御承知いただきたいと思います。
それでは議事に入ります。まず、議題1「労働者派遣事業報告書等の集計結果について」ですが、事務局から御説明を頂きます。その後に質疑の時間を取ることといたします。
 
○佐野補佐 まず、私から議題1「労働者派遣事業報告書等の集計結果について」の御説明をいたします。資料1-1から資料1-5まで、概要について一括して御報告いたします。
初めに、平成30年3月30日付けで公表した労働者派遣事業の平成29年6月1日現在の状況及び平成28年度労働者派遣事業報告書の集計結果の概要について御報告いたします。まず、資料1-1を御覧ください。平成29年6月1日現在の状況概要にあるとおり、1の派遣労働者数は約156万人と対前年比19.4%増となっています。また、2の製造業務に従事した派遣労働者数は約29万人と対前年比32.6%増となっています。
続いて、資料1-2を御覧ください。平成28年度の労働者派遣事業報告書の集計結果です。平成28年度集計結果概要にあるとおり、1の派遣労働者数は約177万人となっております。2の派遣先件数は約72万件と対前年度比3.9%増となっています。2ページを御覧ください。その他、年間売上高、派遣料金、派遣労働者の賃金、いずれについても前年度から増加しているという状況でした。
続いて、資料1-3を御覧ください。これも同じく本年3月30日付けで公表した平成28年度職業紹介事業報告書の集計結果の概要です。1の民営職業紹介事業所(有料・無料)の状況です。新規求職申込件数は約1,322万件と対前年度比1.6%減となっています。一方で求人数は増加しておりまして、特に許可事業所においては約672万件と対前年度比20.7%増となっています。就職件数(常用求人)についても、約63万件と対前年度比6.4%増となっています。5の民営職業紹介事業所数は、有料と無料の事業所ともに増加しており、有料については1万9,355事業所と対前年度比で4.9%増、無料の事業所は1,051事業所と対前年度比5.5%増となっています。2ページを御覧ください。6は手数料の状況です。手数料収入の総額は、約3,876億円と対前年度比9.6%増となっています。その内訳は、(1)の上限制手数料が43億8,000万円と対前年度比2.9%減、(2)の届出制手数料が約3,809億1,000万円と対前年度比9.8%増、(3)のその他の手数料は約22億6,000万円と対前年度比で13%増となっており、届出制手数料による収入が全体の98%以上を占めているという結果となっています。以下、Ⅱの特別の法人無料職業紹介事業の状況、Ⅲの特定地方公共団体無料職業紹介事業の状況は御覧のとおりとなっています。
続いて、資料1-4を御覧ください。これは平成28年度の労働者供給事業の報告書の集計結果になります。平成28年度に労働者供給事業を実施している組合等の数は95組合であり、前年度から3組合増加しています。供給実績については、需要延人員、供給延人員、供給実人員は、全てにおいて前年度比で増加となっています。また、平成29年3月末日における供給対象組合員等の総数は前年度比で増加、一方、組合員等総数については前年度を下回る数字となりました。
最後に資料1-5を御覧ください。こちらは平成27年度~平成29年度の一般及び新法下で許可を受けたあるいは許可を受けたとみなされた事業主及び旧法の特定、いわゆる届出を行っていた事業主別の行政処分件数の推移です。直近の実績ですが、平成29年度の行政処分の件数は205件となっておりますが、新法下で許可を受けたあるいは許可を受けたものとみなされた事業主が6件、旧法の特定労働者派遣事業主が199件となっており、旧法のいわゆる届出を行っていた特定労働者派遣事業主への行政処分が約9割を占めているという状況です。なお、平成26年度から関係派遣先割合報告書の未提出企業に対する事業廃止・許可取消処分を実施しているところであり、各年度、その他の事由と区別して別グラフで記載しております。平成29年度の同実績は、許可を受けた事業主が2件、旧特定労働者派遣事業主が183件となっております。今後も、引き続き適切に行政処分を実施していきたいと思っております。事務局からの説明は以上です。
 
○鎌田部会長 それでは、この件について御質問、御意見がありましたら御発言をお願いいたします。永井委員どうぞ。
 
○永井委員 資料1-2の派遣事業のマージン率の情報提供の状況について、御意見と御質問をさせていただきます。資料1-2の17ページの表16についてです。派遣の料金と派遣労働者の賃金がともに対前年比で増加しているという御説明を頂きましたが、派遣料金の伸びに比べて派遣労働者の賃金の伸びは低くなっています。一概にマージン率が高いことが問題だとは言えないと思いますが、研修等の福利厚生費を含めて、マージン率が幾らなのかという情報は適切に提供されるべきだと思っております。
また、マージン率の公開についてですが、2015年の改正でインターネットでの情報提供が原則ということになっていますが、表16を見ていただくと22.5%ということで、インターネットでの情報提供は2割強ということになっております。派遣元の事業所に書類の備付けがあるといっても、就業規則のときなどもそうなのですが、なかなか労働者からは「見せてほしい」と言いづらいということも考えられるため、やはりインターネットでの情報提供を促していくべきだと考えております。
その上で質問ですが、この表でも「その他」という所が14.9%となっていますが、昨年度は7.3%でした。倍ぐらいに上昇しているということです。「その他」には、マージン率を公開していない派遣元も含まれると思われますが、なぜ「その他」が倍になっているのかの分析をされていましたら教えていただきたいと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 御質問と御意見があったと思いますが、事務局のほうで御用意いただけますか。
 
○牛島課長 お答え申し上げます。永井委員の御指摘のとおり、平成27年改正に合わせて指針を改正し、マージン率等の情報提供については、基本的にインターネットによることが第一選択肢という形でやっております。ただ、それをインターネットでやらなかったから法律違反なのかというと、そうではございません。インターネット環境などを準備できるときは、やっていただければと思いますが、事業者によってはできない所もあるので、できればお願いするというベースで取組を進めているところです。
一方で、インターネットの数字が十分に伸びていないというところについて、私どももできればもう少し伸ばしていきたいと思っておりますので、啓発的な指導というような形になりますが、取組を促していきたいと思っております。
次に、「その他」についてです。これが前年度から2倍になっている理由については、分析しきれておりません。ただ、参考までに「その他」にどのようなものが入るかと言うと、例えばパンフレットに掲載する、厚労省が運営している人材サービス総合サイトにおいて掲出していただけるのであれば、インターネットを持っていない場合でも、そこで開示するという方法もありますので、そういったものを指しております。ですので、その人材サービス総合サイトへの掲載が「その他」の中でどれぐらいあるのかについては取りきれておりませんが、それらの取組も進んでいる可能性はあるかと思われます。2倍に増えている理由は十分に分析しきれておりませんが、引き続きインターネットでの開示が伸びていくように、啓発的なところはやっていきたいと思っております。以上であります。
 
○鎌田部会長 何か追加はよろしいですか。
 
○永井委員 はい。
 
○鎌田部会長 そのほかにございますか。村上委員どうぞ。
 
○村上委員 まず、質問です。資料1-1について、御説明を聞き漏らしたのかもしれませんが、派遣労働者数が全体的に大変増加していますが、注にあるように、報告書の提出率が前年より伸びたということなのか、それ以外の要因があるのか。その辺を分析されていれば教えていただければと思います。
 
○牛島課長 御指摘のとおり、156万人ということで対前年比19.4%という非常に大きな伸びになっています。1つの要因としては、下の注にあり村上委員も御指摘のとおり、平成28年と平成29年では報告状況が大きく上がっています。これは平成29年6月1日現在の状況についての報告と、もう1つある事業報告書の提出期限をそろえるということが去年からは行われましたので、それによって平成29年6月1日現在の状況についての報告の提出率が上がったということはあろうかと思います。例年、報告率を100%に割り戻して人数を算出するという取扱いはしておりませんので、報告率に応じて派遣労働者数が変わってくるというところがありますが、上がっていることについては、報告率が上がっているという要因があると思います。
統計的に十分な分析ではありませんが、関係者にいろいろと話を聞く限りでは、人手不足感が非常に強まっており、派遣労働者の引き合いもいろいろな業務で拡大しているというようなことを伺います。それらが合わさって、このような伸び率になっていると私どもとしては理解しています。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。追加ですか、どうぞ。
 
○村上委員 今の点は結構です。次に、資料1-2の18ページの表17について伺います。雇用安定措置の実施の状況ですが、雇用安定措置は1号措置が原則であって、それが実現しなかった場合に2号以下の措置を行うということとされています。しかし、結果を見ると1号措置を講じた人数よりも2号、4号のほうが大幅に多いのですが、これはどのように考えればいいのでしょうか。お考えがあれば教えていただければと思います。
 
○牛島課長 雇用安定措置は御案内のとおり、1号、2号、3号、4号のいずれかの措置が義務となっており、当然派遣労働者の意向を十分に勘案し、きちんと聞いた上で、派遣元は極力その希望にかなった措置を講ずるようにしなければならないという構造になっています。
ですので、これも十分な分析はできておりませんけれども、第1号措置を講じたということの前提としては、派遣労働者がその措置を希望したというところがあろうかと思いますので、1つは派遣先への直接雇用を希望するかしないかというところで、少し分かれてくることはあります。
もう1つは、御案内のとおり「うち、3年見込み」という所が義務付けの部分ですが、平成28年度の状況ですので、対象者数がまだ多く出ていないというところがあり、第1号措置ということで、派遣先への直接雇用を希望される方に向けての諸々の取組は、これから現場で行われていくのではないかと思っております。
いずれにしても、まだ途中経過の数字ということがありますので、こういった状況になっておりますが、私どもとしては、雇用安定措置については派遣元に派遣労働者の希望をヒアリングしていただき、それに合った措置を講じていただくというところについて、きちんと周知していきたいと思っております。
また、当然1号措置を希望して、1号措置を講じても不調だった場合はそれでおしまいではなくて、2号、3号、4号のいずれかの措置を講じるというのも、併せて義務が掛かってきますので、そこについても併せて周知していきたいと思っております。
 
○村上委員 要望ですが、今のお答えにもありましたが、きちんと法の内容を周知していくことが重要です。今年の10月からは派遣の期間制限が本格的に到来しますので、少し時間的な余裕を持って、雇用安定措置を講じていく必要があります。派遣元はもちろんですが、派遣労働者にもそういったことがなされるのだということをきちんと周知する必要があると思います。
以前、2016年に開催された部会でも、派遣の調査でキャリアアップ措置に関して、派遣労働者に周知されていないのではないかというようなデータが出ており、その際にも派遣労働者に法改正の内容をきちんと周知するという答弁をいただいたところですが、改めて、もうすぐ10月が来るということもありますので、しっかりと派遣労働者に届くように周知を図っていただきたいと思っております。
 
○牛島課長 前回の部会でも「周知をきちんとやるように」というお話があったと思いますが、雇用安定措置について、派遣労働者、派遣先、派遣元にきちんとルールを守っていただく、もしくは知っていただくというのは非常に重要な話だと思っております。こちらにいらっしゃる委員の皆様方にも協力いただいて、いろいろと取組を進めているところですが、できることは何でもやっていくというような姿勢で周知は進めていきたいと思っておりますので、引き続き御支援いただければ幸いです。よろしくお願いします。
 
○鎌田部会長 それでは、周知についてはよろしくお願いしたいと思います。そのほかにございますか。佐久間委員どうぞ。
 
○佐久間委員 資料1-3の職業紹介事業報告書の集計結果の件です。この2ページ目に手数料収入がございます。この上限制の手数料と届出制の手数料があります。職業紹介においては、上限の場合は10.8を求人者から取っても構わないということとなるわけですが、この場合の上限制、届出制というのが、ここでは増ということになりますが、全体とすれば増があったり減があったりということになってくると思うのですが、今まで届出制というものと、事業者によっては上限制と届出制が混在してもいいものなのか。それと、この届出制手数料の上限のパーセンテージは大体どのぐらいなのかはわかりますでしょうか。
 
○牛島課長 1つ目の手数料について同一の事業者で上限制と届出制が混在していいかということについてですが、そこは職種を明確にしていただければ、この職種は届出制、この職種は上限制と分けることは可能になっています。
なお、手数料をどちらで採用しているか、その事業者の割合とか、届出制のパーセンテージがどのぐらいかというところは、データの集計はしておりません。ただ、今日、御覧いただく審査調書ですと、許可の申請ベースでは大半が届出制手数料という形になっていますので、もう9割を超える所が届出制手数料を採用しているという実態にはなっています。
 
○佐久間委員 ということは、10.8には届いていないという形になりますか。
 
○牛島課長 そういう意味では、届出制手数料は上限がありませんので、むしろ10.8との比較においては、10.8を超えている所のほうが多いと思われます。ただ、ここはデータがありませんので、ここについては「不明です」という形のお答えを申し上げさせていただきたいと思います。恐縮でございます。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○佐久間委員 はい。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。高橋委員どうぞ。
 
○高橋委員 すごく細かいことで申し訳ないのですが、資料1-2の11ページを御覧ください。単純な質問で、表8の派遣労働者の賃金(その2)の55番、機械整備・修理従事者の(旧)特定労働者派遣事業の平成28年度の数字を見ると、派遣労働者平均が1万5,365円のところ、無期雇用派遣労働者が1万5,669円で全体的平均より高く、また有期雇用派遣労働者の賃金も1万5,383円と派遣労働者平均よりも高い数字になっているのです。これは明らかに何かがおかしいのではないかと思っています。
というのは、55番の有期雇用派遣労働者の平成27年度のデータとか、一般の許可を得た労働者派遣事業の平成27年度、平成28年度の有期雇用派遣労働者の賃金を見ても、平成28年度のデータは少し高いのかなという気がしております。もしかしたら、何かの間違いの可能性があるのかなと思ったものですから、御質問させていただきたいと思います。
 
○牛島課長 高橋委員の御指摘はごもっともでありまして、ただ現時点で、データを取った結果こういう形になっているというのも、これも一方で事実としてございますので、どうしてこのようになっているのかは研究したいと思います。恐縮でございます。
 
○高橋委員 それはチェックしていただければと思いますが、何で私がこのような問題提起をさせていただいたかと言うと、御承知のとおり、過去においてもこの統計の集計においてミスがあったことがありまして、委託業者を選ぶのに毎年競争入札をやって、安定しないのです。全て価格で決めるので、業者のほうにもノウハウが蓄積しないので、えてしてミスが発生しがちです。これは派遣の統計だけではなくて、政府統計の根源が抱える問題とも言えるのですが、かつて派遣についてはミスもありましたので、つい私としても穿った目で見ている部分があるのかもしれませんが、是非公表に当たってはくれぐれも精査していただいて公表していただければと思っております。以上です。
 
○鎌田部会長 御指摘いただいた部分については、改めて調査をしていただきたいと思います。
 
○牛島課長 はい、恐れ入ります。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。よろしいですか。それでは、議題1「労働者派遣事業報告書等の集計結果について」は、今言いましたように、一部については御確認いただきたいと思いますが、それ以外については事務局案のとおりということでよろしいでしょうか。
 
(了承)
 
ありがとうございます。それでは次の議題に入ります。議題2「その他」についてです。事務局から説明をお願いいたします。
 
○永島補佐 それでは、議題2「その他」について説明します。資料2を御覧ください。2月の需給制度部会において、村上委員から御指摘の金融庁による銀行監督指針の改正についてです。その後の経過と対応について、この場で報告します。
1ページです。1.概要の1つ目の○です。現行の職業安定法において、原則として職業紹介事業と他業との兼業は禁止されておりませんが、一方で、銀行法では銀行等が本業である「銀行業に付随する業務」等を除いて兼業が禁止されているところです。その中で、今般、平成30年3月30日付けで、金融庁において2つの銀行監督指針が改正されました。1つは、都市銀行、メガバンク向けの「主要行等向けの総合的な監督指針」、もう1つは、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」です。
2ページをご覧ください。具体的には、改正後の欄にある1つ目の下線の部分です。銀行が行うことのできる「その他の付随業務」の例示として、「人材紹介業務」が追記されております。こちらにより、銀行業を営む事業者が職業安定法に基づいて厚生労働大臣の許可を取得することにより、職業紹介事業を行うことができる旨が明確化されたということになります。これまで銀行においては、職業紹介を行うことが禁止されていたわけではないのですが、銀行が職業紹介を行うかどうかというところが明確ではなかったということがあり、今回、明確化されたものです。
1ページにお戻りください。2.銀行業及び職業紹介事業における留意点及び適正な事業運営の確保です。明確化されたことにより、今後、地域金融機関等が銀行業と職業紹介事業を兼業するに当たり、銀行法と職業安定法の双方のルールに従って適切に事業を行っていただく必要があり、その際に留意すべき事項として2点挙げております。
1つ目は、銀行法あるいは銀行法施行規則において銀行が付随業務を兼業する場合に、銀行としての優越的地位を濫用することが禁止されております。2つ目は、職業安定法に基づく指針において、職業紹介事業者が事業主に対して退職勧奨を行うように積極的に働き掛けることなどが不適切であるとされております。
6ページをご覧ください。1の銀行法に係る事項においては、○が付してある部分ですが、先ほど申し上げた優越的地位の濫用となり得る具体的な例示を3つお示ししております。記載にあるように、融資先企業や融資先の個人に対して、銀行が債権者としての優越的地位を不当に利用して、職業紹介に応じないことをもって不利益な取扱いを行ったりすることが禁止されているということです。2つ目の職業安定法等において留意すべき事項としては、下の2に記載があります。雇用主の雇用する労働者に対して、直接、職業紹介事業者として、退職の強要や勧奨を行うこと又は雇用主に対して退職の強要や勧奨を行うことなどは不適切な行為とされております。
1ページにお戻りください。これらの留意点を踏まえ、銀行と職業紹介事業を兼業する事業者に適正な事業運営を行っていただけるように、2.(2)として、厚生労働省と金融庁で連携を取りながら対応させていただく内容として2点挙げております。
1つ目は、銀行が職業紹介事業の許可申請について都道府県労働局に申請があり、労働局から許可証を交付する際に、先ほど少し説明申し上げた6ページの別紙1、続いて7ページに添付している別紙2のリーフレットを申請者に手交して、記載の内容の説明とともに注意喚起を行うこととしております。2つ目は、先ほどの留意事項に係る不適切な行為の可能性のある事案が情報として厚生労働省、金融庁に寄せられた場合、厚労省と金融庁で情報共有を図りながら、必要な指導監督を実施してまいりたいと考えております。
以上、金融庁と連携を図りながら、銀行業と職業紹介事業を兼業する事業者の適正な事業運営の確保を図ってまいりたいと考えております。説明は以上です。
 
○鎌田部会長 この件について、御質問、御意見ございますか。
 
○村上委員 丁寧に御報告いただきありがとうございました。銀行は融資による大きな影響力を持っておりますので、職業紹介を行う場合においても慎重にやっていくということは必要だと思っております。その観点から、パブリックコメントなども踏まえ、金融庁の改正指針、監督指針において、注の3として職業安定法に基づくことが必要であるということと、また、取引上の優越的地位を不当に利用することがないよう留意するという文言を入れていただいたということは、大変、重要だと考えております。
御説明の際にもありましたが、銀行が職業紹介の許可を申請して許可するという場合について、資料の別紙1や別紙2を手交して注意を促すということですが、是非、きちんとやっていただきたいということと、不適切な運用が判明した場合については、金融庁と連携して監督、指導をきちんとやっていただきたいということをお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 
○鎌田部会長 事務局から何かコメントはありますか。
 
○牛島課長 今の村上委員の御指摘はごもっともな御指摘ですので、適正に運営がなされるように、金融庁とも連携しながら私どもも取り組んでまいりたいと思っております。
 
○鎌田部会長 そのほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
 
(了承)
 
ありがとうございました。それでは、公開の部分は以上です。議事録の署名は村上委員、佐久間委員にお願いいたします。高橋委員におかれましては、所用があるということで御退席されるということですので、よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 事務局から連絡事項はありますか。
 
○永島補佐 傍聴者の皆様に御連絡を申し上げます。傍聴者の皆様は、委員の随行の方が御退席した後に事務局の誘導に従って御退席をお願いいたします。
 
 

(了)

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