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2018年3月22日 第3回腎疾患対策検討会 議事録

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成30年3月22日(木)17:00~19:00


○場所

厚生労働省専用第15会議室(12階)


○議事

 

○福井がん・疾病対策課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまより第3回腎疾患対策検討会を開会いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。健康局がん・疾病対策課の福井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。まず、本日の出席状況について御報告いたします。小室構成員から欠席の御連絡を頂いております。

 ここからは、柏原座長に議事をお願いいたします。

○柏原座長 皆様、改めまして、腎疾患対策検討会の第3回を迎えることができました。これまでの御協力に、心より御礼申し上げたいと思います。それでは、事務局より配布資料の確認をお願いします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。上から、議事次第、座席表、構成員名簿となります。資料1、今後の腎疾患対策の方向性()について(研究開発の推進)です。資料2、「かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準」及び「かかりつけ医から糖尿病専門医・専門医療機関への紹介基準」です。資料3-1、腎疾患対策検討会報告書 骨子()です。資料3-2、腎疾患対策検討会報告書の全体像()です。資料4、腎疾患対策の全体像()です。参考資料1、今後の腎疾患対策のあり方について(平成203)です。また、構成員のお手元には、第1回及び第2回検討会の資料を配布させていただいております。こちらは、会議終了後、机上に置いたままで、お持ち帰りになりませぬよう、よろしくお願いいたします。資料に不足・落丁等がありましたら、事務局までお申し出ください。以上をもちまして、撮影を終了し、カメラを納めていただきますよう、御協力をお願いいたします。

○柏原座長 資料等に問題がなければ、早速議事を進めさせていただきます。前回までのごく簡単なリマインドですが、腎疾患対策は、5つの個別対策を進めていきたいということで、普及啓発、地域における医療提供体制の整備、診療水準の向上、人材育成、5つ目が研究開発の推進ということでした。5つの柱に関して、これまで現状の確認と課題の抽出、そして、今後の方向性の検討、このような段取りで今まで進めてまいりました。最後に残ったのが、今回の議事1です。前回からの継続議事として、今後の腎疾患対策の方向性()について「研究開発の推進」です。5本柱の一番最後の部分です。これに移りたいと思います。それでは、事務局から資料1の説明をお願いします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 資料1を御覧ください。今後の腎疾患対策の方向性()について、継続議事である研究開発の推進に関する前回資料の抜粋です。スライド2枚目には、研究開発の推進の方向性()をお示ししています。国が定める「医療分野研究開発推進計画」等の中長期的な目標を踏まえた研究を関連学会、行政、企業等が密接に連携したAllJapan体制で推進すべきではないか。本検討会で定める目標等の達成に資する研究を推進すべきではないか。国と関連学会等が連携して、施策の提言や推進、施策の進捗管理等を行う研究も重要ではないか。これらの方向性を踏まえ、スライド3枚目では、AllJapan体制で研究に取り組むイメージ図を示します。腎臓学会のみならず関連学会と、行政、企業、AMED等が連携したAllJapan体制により、計画的、効率的、効果的に研究をすべきと考えております。AMEDとは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構のことで、各省庁からの委託を受けて、研究の公募や採択、進捗管理、資金の配分等を実施する機関です。

 スライド45枚目では、国と、関連学会等が連携した研究の例として、2つの研究班を紹介いたします。スライド4枚目の研究は、柏原座長を代表として、平成28年度から開始したCKD対策を実践するための研究班です。日本糖尿病学会と連携した様々な取組や、研究成果の取りまとめ、本検討会の検討内容に関する情報収集等も行っていただきました。本検討会の報告書に記載される腎疾患対策の進捗管理等も担っていただく予定です。

 スライド5枚目の研究は、門脇構成員を代表として、平成29年度から開始した糖尿病対策と医療提供体制への整備のための研究班です。腎臓学会、循環器学会、眼科学会、糖尿病眼科学会の関連5学会を含む研究体制を構築しております。糖尿病関連診療ガイドラインの比較検討や、腎臓病療法指導士、糖尿病療法指導士、高血圧循環器病予防療法指導士等を含めた療法士制度等の把握と提言など、糖尿病対策のみならず、腎疾患対策の推進にとって非常に重要な研究班です。

 スライド6枚目は、研究開発の推進の方向性()を踏まえた研究例をお示しします。この資料は、南学構成員の提出資料より一部改編したものです。➀関連学会との連携強化によるデータベース間の連携構築。➁研究及び診療へのICTやビッグデータの活用。➂国際共同試験を含めた臨床試験の基盤整備。➃病態解明に基づく効果的な新規治療薬の開発。➄再生・オミックス(ゲノム等)研究の推進。➅腎臓病の基礎研究力や国際競争力の基盤強化。これらは、いずれも先ほど御紹介した国の研究計画にも沿った内容になっております。

 スライド7枚目は、先ほどの方向性()を踏まえた研究の具体例です。柏原座長を代表として、平成29年度から開始したICTを活用したDiabetic Kidney Disease、糖尿病性腎臓病のことですが、その成因分類と糖尿病腎症重症化抑制法の構築というAMEDの研究班です。

 糖尿病学会と、腎臓学会の大規模なデータベースの連携により、糖尿病腎症を含めた糖尿病性腎臓病のデータを効率的に収集でき、先ほどの➀~➅の全ての推進に資する重要な研究だと考えております。

 スライド89枚目は、日本腎臓学会の研究方針を示す資料を転載したものです。8枚目の国際的視点に基づく取組や、9枚目の基礎研究の強化といった方針も、先ほどの国の研究計画に沿った内容となっております。以上です。

○柏原座長 5本柱の5つ目の研究開発の推進に関して、今後の方向性()を取りまとめていただきまして、説明いただきました。御意見等がありましたら、御発言をお願いいたします。

○南学構成員 国際腎臓学会の末期腎不全サミットというのがシャルジャーであって、私、ちょうど帰ってきたところです。そこで、日本の腎臓病対策というのが非常に高く評価されていて、全世界的に新規透析導入患者が、少なくとも増えなくなっている国というのは、ものすごくまれです。そういった意味では、ものすごい大きな効果を上げています。その対策の方針として、やはり国が長期的な計画を立てて、学会がそれと密接に協力しながらやっていることが非常に重要であるということが、そのサミットで評価されていました。

 あとは、やはりデータベースを作ることというのは、非常に重要だということは国際腎臓学会としても理解をしていて、やはりそういったものが整備されている国というのは対策が進んでいるので、更にそういうのを全世界的に整備して、いろいろな国々との比較や、統合して対策をすべきではないかということが発表されていましたので、御報告させていただきました。

○柏原座長 ありがとうございます。国際的にそのような評価を受けているということは大変うれしく思いますし、今まで以上に、その情報発信を国際的にもしていかなければいけないなと、そのように今、思いました。中元先生、いかがでしょうか。

○中元構成員 透析学会自体が今まで腎臓学会と余り積極的な連携をなせていなかったというのは1つの問題点だという話で、最近、柏原先生や南学先生とよくお話をしているのですが、例えばデータベースに関しても、糖尿病学会、あるいはCKD、日本腎臓学会のデータベースとはまた別に、透析医学会は統計調査委員会に、過去50年にわたるデータベースが構築されており、今までの透析患者の全てのデータが既にデータベース化されております。そういった患者さんの糖尿病、あるいはそういったDKD等の予後も含めて検討ができます。そういう意味では、腎疾患対策の中に、今回、合併症あるいは重症化予防ということが非常に重要な中で、透析患者も重症化予防という観点から考えると、糖尿病学会、あるいは腎臓学会とともに、このデータベースを連携できるような、行動が今後できれば非常に合併症予防の意味でも非常に連携が強められるのではないか。そういった意味で、今後、糖尿病学会や透析学会と、もっと強く手を組んでいきたいなと考えておりますので、よろしくお願いいたします。そういった考えで、また一緒にやっていければということで研究を進めていきたいと考えております。

○柏原座長 ありがとうございます。羽鳥先生、お願いいたします。

○羽鳥構成員 2つ申し上げます。1つは、今日、小室先生がいらっしゃいませんが、腎臓というと、心腎連関ということもあると思うので、やはり循環器、特に心臓病に関しても、例えばCKDは、心筋梗塞の独立因子である循環器関係のことも一言どこかで触れてほしいというのが1つです。

 もう1つは、2020年になると医療等IDがかなり現実のものになってくるので、ナショナルデータベースなどのデータが正確に集まってくる可能性があると思います。ほかの疾患も全てそうだと思いますが、その大きなデータベース、ナショナルデータベース等との関連も視野に入れて検討していただけたらと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。恐らく、これは南学先生が6つの柱を立ててくださいましたけれども、1番、2番はその辺りも念頭に置いて書いていただいたのだろうと思います。ほかにはいかがでしょうか。

○南学構成員 追加ですけれども、このデータベースに関してです。先ほどの国際末期腎不全サミットで、データベースを持っている国々の方々が言われていたのが、そういうデータベースを持っているような先進国は是非、利用したいのだけれども、利用に関する法的な壁が非常にいろいろなところで難しくて、それで、せっかくのデータベースを、公衆衛生の向上のために十分に利用できないということを海外の先生方もおっしゃっていました。これは、是非、正しい目的のために適切に使うことに対しての法的な、より簡便性のようなのを行政の方々に御支援いただければと思っております。ありがとうございます。

○柏原座長 ありがとうございます。福井先生、お願いします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 今、循環器関連の研究についても触れてほしいという御意見を頂きましたけれども、今日は小室構成員は御欠席ですが、コメントを頂いております。「日本循環器学会としても、データベース等について関連学会との連携を進めて腎疾患対策に資する研究を推進したい」というコメントを頂いておりますので、御紹介させていただきます。

○柏原座長 具体的にそのような協議も始めていきたいと思っております。それでは、研究開発の推進に関して、それ以外の追加の御意見等はありませんでしょうか。今後も時間がありますので、また追加の御意見があればお願いしたいと思います。最終的にこの報告書の骨子()について、事務局のほうで、今までの様々な構成員の御意見を整理して反映していただくことをお願いしたいと思います。

 続いて、議事2、専門医等への紹介基準についてです。資料2の説明を事務局よりお願いします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 議事2は、本来であれば各学会から御説明いただくべき内容とは思いますが、検討会の性質上、事務局から御説明いたします。資料21ページを御覧ください。かかりつけ医から腎臓専門医・専紋医療機関への紹介基準、2ページは、かかりつけ医から糖尿病専門医・専門医療機関への紹介基準(主に糖尿病治療ガイドより)です。ともに、平成30227日から作成に関わった日本腎臓学会及び日本糖尿病学会のホームページに公開されております。また、どちらも日本医師会に監修いただきまして、日本医師会雑誌の4月号に掲載予定と伺っております。まず、1ページの「かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準」について御説明いたします。

 まず、紹介先は、「腎臓専門医・専門医療機関」とされており、腎臓専門医が不在の地域でも活用いただけます。前段の表の部分は、日本腎臓学会の「CKD診療ガイド2012」の紹介基準をベースとしております。判定は横軸の蛋白尿区分と、縦軸の腎機能を示すGFR区分から行い、糖尿病、高血圧、難病など原疾患を問わない紹介基準として使用できます。表の下の枠の中には、専門医療機関への紹介目的、つまり、専門医療機関で実施される診療内容が記載されております。一番下の枠内には、糖尿病診療に関しても、適切な時期に専門医療機関と連携が取れるよう紹介を考慮する場合について記載されております。

 続いて、2ページです。これは、糖尿病学会の糖尿病治療ガイドに、主に基づいて作成された基準であり、腎疾患対策を直接の目的としたものではありませんけれども、本基準が普及され、適切な時期に糖尿病専門医等の診療を受けられることにより、糖尿病からのCKDの発症予防の推進が期待されます。また、3.慢性合併症の項の※2.腎機能低下やタンパク尿(アルブミン尿)がある場合は、「かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準を参照のこと」と記載されておりますように、糖尿病を契機に発見されたCKDについても腎臓専門医等への紹介がなされることになり、両基準が連動していることが分かります。これら2つの基準を、かかりつけ医、専門医、そして必要に応じてメディカルスタッフや行政の方など、CKD診療を担う方々に広く普及して基準を用いて多くの関係者が連携して、患者の診療に当たることが腎疾患対策の更なる推進のために極めて有効だと考えております。以上です。

○柏原座長 今、糖尿病学会と腎臓学会との間で作成いただいた紹介基準について、紹介していただきました。この部分に関して、御意見等がありましたらお願いいたします。

○門脇構成員 少し遅れてまいりまして失礼いたしました。ただいま福井課長補佐から御紹介いただいた日本腎臓学会と日本医師会の腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準と、糖尿病学会と医師会で作りました糖尿病専門医・専門医療機関への紹介基準ですが、このような形になっていますが、実際には日本腎臓学会と糖尿病学会のそれぞれの理事会で、ここに作成と書かれている学会のカウンターパートの学会でもよく議論されて合意されたという、日本腎臓学会と日本糖尿病学会で、言わば、合同で作ったという点で、非常に価値があるのではないかというように思っています。

2つ目に、この作成の過程から、ここに監修と書いてありますが、実際にはかなり作成の過程から日本医師会の御意見を聞いて作ったということで、これは実際にかかりつけ医によって活用されるものですから、その現場感覚を非常に踏まえたものになったのではないかと思っています。

3つ目に、今、福井課長補佐から非常に適切に説明していただいたように、腎臓専門医の場合には、微量アルブミン尿で、あるいは検査アルブミン尿で一定のクライテリアを満たす、あるいは、andorになりますが、eGFRが一定程度下がっているものという組合せで、この紹介基準が決められているわけです。ただ、ここで紹介となっていない緑の部分と、あるいは黄色の部分の中で、血糖コントロールなどが適切にコントロールされていない場合には、将来は腎症を発症するリスクが当然高まってきますので、そういう点で糖尿病専門医・専門医療機関への紹介基準というのは、腎症の一次予防に資するようなものとして腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準と、言わば、コンプリメンタリーな役割を果たしているのではないかと思っています。

 最後に、今後、糖尿病専門医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準というものも作っていく必要があると考えていまして、糖尿病専門医は、ある時期からどうしても腎臓専門医に見ていただかなくてはいけない患者さんを抱えすぎて、正しい時期に紹介していないと思うことがしばしばあります。一体、どの時期から糖尿病専門医が腎臓専門医に紹介するのかということで、かかりつけ医とは自ら違った、もう少し進んだ時期からということになるのではないかと考えております。今後、腎臓学会と、その辺りについて協議していきたいと思います。実際に、糖尿病専門医の研修カリキュラムや、糖尿病専門医を認定する基準は定められていますけれども、この前、福井課長補佐がいらっしゃったときに、改めて確認したのですが、例えば専門医を取得する人は、糖尿病性腎症についてステージごとの治療を経験したことがあって、それを基本的にはできる人だというように書いてあるので、少なくとも、あるところまでは糖尿病専門医としても診るトレーニングはしているわけですけれども、ある程度以上は紹介すべきだということで、今後、そこのところを腎臓学会と討議をして、それについても定めてまいりたいと思っています。これらの「かかりつけ医から専門医への基準」また、両専門医の連携の仕方が具体的に定められることによって、重症化予防への貢献につながるように、これを十分に活用してまいりたいと考えております。

○柏原座長 ありがとうございます。ただいま門脇先生のほうから、この紹介基準の作成の経緯について非常に詳細に背景をお教えいただきました。さらに、まだ残った課題として両専門医会への紹介基準や、目安の作成が残っているところは今後、取り組むべきだという御発言もありました。この作成の過程では、日本医師会の監修も受け、実際にそれによる推薦も行っているわけですけれども、羽鳥先生、何か御意見はありますでしょうか。

○羽鳥構成員 分かりやすくなりました。G2あるいはG3aA2について、腎臓病専門の先生の講演会の中でも、是非、この言葉を使って症例紹介をしていただけると、より身近になると思いました。

 もう1つは、今、門脇先生から糖尿病専門医の先生から腎臓病専門医への紹介基準というのは、少し早めに紹介していただけたらと思います。というのは、やはり開業の中でも、糖尿病専門医の先生は実地医会の中で開業している人が多いので、その先生たちにとっては早く知りたいことかなと感じたので、どうぞよろしくお願いします。

○柏原座長 ありがとうございます。川村先生、お願いいたします。

○川村構成員 ジェネラルな医療を担当している立場からの質問ですが、ずっと先になりますけれども、資料4の所に、健診、かかりつけ医、腎臓専門医のフローのイラストがあります。紹介するベクトルのほうはよく分かるのですが、その後に戻ってくるのか、行きっ放しになるのかということが、送る側としては気になる場合もあろうかと思うので、腎臓専門医側として元に戻ってくる場合の目安とか、そういうのがあるのかどうか、あるいは、一方向性を主としているのか、その辺りをお教えいただければという気もいたします。

○柏原座長 この1枚の紹介基準にはそこまで盛り込めなかったのですけれども、CKD診療ガイドラインには、病診連携で2人主治医制で、どのような頻度で専門医に受診するかということもCKDのステージごとに述べております。それも整備して、この紹介基準と一緒に広げていきたいと、まずは1枚の紙でかかりつけ医からCKDに関しての紹介基準を普及したいというところで、そこの部分はこの中に盛り込めなかったということです。門脇先生、お願いいたします。

○門脇構成員 今、柏原先生がおっしゃったように、この中に詳細は盛り込むことができなかったのですが、例えば、糖尿病のほうを見ていただくと、一番下に「上記基準ならびに地域の状況等を考慮し、かかりつけ医が紹介を判断し、かかりつけ医と専門医・専門医療機関で逆紹介や併診等の受診形態を検討する」とありますが、正に先生のおっしゃったように、この進行度合い等やリソースを考えて、また、かかりつけ医に戻して、例えば、半年ごとに診ていくとか、あるいは併診で、通常はかかりつけ医だけれども、23か月に一遍ずつは専門医でとか、何かそういうこともここに含んでいます。それは腎臓学会のほうの紹介基準のちょうど真ん中辺に、「上記基準並びに地域の状況等を考慮して」というこの文言を腎臓学会のほうで入れていただいていたので、それをそのまま使わせていただいたということです。もう少し柏原先生がおっしゃるように詳細に、それぞれのCKDガイドライン、糖尿病治療ガイドには入っていますけれども、この文言でそこのところを何か活用できていければいいと思います。

○川村構成員 そういうこともきちんと視野に入っているということで、参照する資料もあるということで、承知いたしました。ありがとうございます。

○柏原座長 ありがとうございます。それ以外に何か紹介基準についてお気付きの点、御意見等がありましたらよろしくお願いいたします。

○南学構成員 1点よろしいでしょうか。先ほど、私、福井課長補佐に間違った情報を伝えていたら大変申し訳ありませんが、4月号の日本医師会雑誌に掲載予定と最初におっしゃいましたが、3月号に回っておりますので、もう既に発行済みです。もし、私が間違ったことを言っていたら大変申し訳ありません。すみません。

○福井がん・疾病対策課長補佐 失礼いたしました。

○柏原座長 それでは、この紹介記事について追加の御意見がなければ、次の議事に移ります。議事3、腎疾患検討会報告書 骨子()についての検討に移ります。まず、事務局から資料3-1、資料3-2、資料4の説明をお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 資料3-1、資料3-2、資料4と通して説明いたします。まず、資料3-1「腎疾患対策検討会報告書 骨子()」の1ページ目を御覧ください。本報告書の目次です。まず副題ですが、この10年間の対策で一定の成果が出ているものの、更なる対策が求められるということで、「腎疾患対策の更なる推進を目指して」としてはどうかと考えております。また、目次にはありませんが、まずイントロのセクションで、本検討会の開催や報告書の改定に至った経緯等を記載する予定です。そして本編は、1.腎疾患の現状、2.腎疾患対策の更なる推進のためにという2つのセクションとして、2番の「更なる推進」の中で、今まで議論した5本の柱に沿って個別対策について述べてはどうかと考えております。

2ページを御覧ください。1.腎疾患の現状のセクションでは、(1)慢性腎臓病(CKD)についてとして、まず定義や特徴などについて記載したいと考えております。そして、日本語の記載が抜けていますが、DKD(糖尿病性腎臓病)について、今回新たに記載したいと考えております。CKDと紛らわしい言葉ですが、腎疾患対策推進のために重要な概念と考えております。DKDについては、第1回検討会で南学構成員から御説明いただきましたが、簡単に申し上げます。

 糖尿病の方が高血圧も合併することは少なくなく、糖尿病性腎症と腎硬化症の両者が合併することも当然あるわけですが、高齢化によってそのようなケースが増加傾向とお聞きしております。このような糖尿病に関連した腎臓病を広く「糖尿病性腎臓病」としてまとめて扱う概念が、近年提唱されております。血圧や血糖のコントロールなど、治療の原則は共通でもありますので、まとめて扱うことで効率的、効果的な対策につながると考えております。

 また、(2)の疫学では、透析患者数や原疾患に関する統計などについて、第1回検討会の守山参考人からの説明内容を中心に記載する予定です。10年前の記載の時点の修正のみならず、透析患者の高齢化など、昨今の課題についても記載したいと考えております。

 また、本報告書では、全体として図表等を用いて、基本的なことから丁寧に説明することで、ふだん腎疾患対策に携わっていない方々にも分かりやすいものとしたいと考えております。

 次に、資料3-2「腎疾患対策検討会報告書の全体像()」のスライドの1枚目を御覧ください。前回の検討会では、「全体目標」と新規導入患者数に関して「達成すべき成果目標(KPI)案」を設定することには御了承いただきましたが、KPIの確定には至っておりませんでした。本日は、「新規導入患者数の減少というアウトカムに関するKPIのみではなく、ストラクチャやプロセスに関するKPIも設定すべき」という御意見を門脇構成員と川村構成員から頂きましたので、それを基に、➀から➂の3段階のKPIを設定し直しております。

KPIは、➀多くの関係者が参画の下、地域の実情に応じて本報告書の腎疾患対策に取り組む。評価指標案としては、「市町村単位での対策の取組状況」としてはどうかと考えています。➁は、かかりつけ医、メディカルスタッフ、専門医等が連携して、全てのCKD患者が早期に適切な診療を受けられるよう、地域におけるCKD診療体制を充実させる。評価指標案は下記の2番で、地域における医療提供体制の整備の評価指標を用いてはどうかと考えております。「➀かかりつけ医と腎臓専門医等間の紹介・逆紹介率、地域別のCKD診療を担う医療従事者数、紹介基準に則った腎臓専門医等への紹介率」などとしてはどうかと考えています。➂は、2028年までに、年間の新規透析導入患者数を35,000人以下に減少させる。評価指標案としては、新規透析導入患者数を、現在データとしてある最新の数値が2016年なのですが、「2016年比で、5年で5%以上減少、10年で10%以上の減少を達成する都道府県数」としてはどうかと考えています。

 一番下の※の所には、研究班を中心に評価指標等に関して進捗管理を行った上で、KPIの達成が困難と判断される場合は適宜、実施すべき取組を再度検討の上、対策に取り組み、目標達成に努めることが望ましいと考えておりますので、そのように記載しております。

 次に、下側のスライドを御覧ください。前回は「個別対策の実施すべき取組ごとにKPIを設定してはどうか」と提案しておりましたが、現時点では実態把握が十分ではなく、数値等での目標設定が困難なものも多いため、KPIとはせずに時系列的に評価すべき項目として、「評価指標」としてはどうかと考えております。内容自体は前回示したものと変わりませんが、まずはこういった項目を用いて実態把握をしていくことが大切だと考えております。

 続いて、骨子案に関する説明に戻ります。資料3-1「腎疾患対策検討会報告書骨子()」を御覧ください。3ページは、資料3-2で説明した今の内容が記載されていますので割愛いたします。4ページの(2)個別対策の所を御覧ください。個別対策については、全体目標達成に向けて、目的、課題、それらを踏まえた今後実施すべき取組及び評価指標を、前回の議論を整理して示しております。ここでは時間の都合上、実施すべき取組と評価指標を説明いたします。腎疾患対策の推進には、今後実施すべき取組が重要ですので、特にこの部分については後ほど御意見を頂けますと幸いです。

 まず➀普及啓発の()今後実施すべき取組です。国は、関連学会等と連携し、啓発対象に応じて普及啓発すべき内容を検討、整理し、普及啓発資材を開発する。関連学会等は、地域での普及啓発活動の中心的役割を担う担当者を決定し、地方公共団体と連携して、活動を推進する。国及び地方公共団体は、地域での普及啓発活動の実施状況等を把握し、活動内容を評価することで関係者間で好事例を共有するなど、より効果的な普及啓発活動を実施する。()評価指標は、全都道府県での普及啓発活動の実施、市民公開講座等の実施数、CKDの認知度などを考えております。

 続いて、➁地域における医療提供体制の整備です。5ページに移りまして、()今後の実施すべき取組を御覧ください。関連学会や関係団体は、国や地方公共団体と連携し、受診勧奨基準や腎臓専門医等への紹介基準を普及する。関連学会や関係団体は、国や地方公共団体と連携し、地域のCKD診療を担うかかりつけ医や非腎臓専門医、腎臓専門医等が所属する医療機関等の情報を共有・発信することで、かかりつけ医と腎臓専門医等との連携を図る。国や地方公共団体、関連学会、関係団体等は、かかりつけ医、腎臓専門医をはじめとする専門医等が連携してCKD診療を担っている好事例を共有する。()評価指標は、かかりつけ医と腎臓専門医等の紹介・逆紹介率、地域別のCKD診療を担う医療従事者数、紹介基準にのっとった腎臓専門医等への紹介率としてはどうかと考えております。

 「➂診療水準の向上」の()今後実施すべき取組です。関連学会等が合同で協議し、推奨内容を合致させたガイドライン等を作成する。関連学会等は、患者、メディカルスタッフ、かかりつけ医など、利用する対象を明確にしたガイドやガイドラインを作成し、関係団体や関連学会等と連携し、普及する。関連学会等は、腎臓専門医への紹介基準に加え、かかりつけ医から糖尿病専門医等への紹介基準や専門医間の連携基準等を作成し、普及する。()評価指標は、学会横断的ガイドライン等の作成、各種診療ガイド・ガイドライン等の各利用者に応じた普及率、各種診療ガイド・ガイドラインで推奨される診療の実施率などを考えております。

 ➃人材育成です。一番下の()今後実施すべき取組の所を御覧ください。関連学会等は、腎臓病療養指導士等のCKDに関する基本的な知識を有する医療従事者を育成する。関連学会等は、かかりつけ医と腎臓病療養指導士との連携、腎臓病療養指導士と関連する療養指導士等との連携を推進する。()評価指標は地域別の腎臓病療養指導士数、腎臓病療養指導士と関連する療養指導士等間の連携事例数などを考えております。

 ➄研究開発の推進については、資料1の内容を記載しておりますが、報告書では、先ほど頂いた御意見を反映させて、報告書としたいと考えております。

(3)その他として、第1回検討会で事務局から御説明したように、関連する厚生労働省の取組について御紹介し、最後にこれらを踏まえ、腎疾患対策の全体像を整理したいと考えております。

 次に、資料4「腎疾患対策の全体像()」を御覧ください。縦軸には対策の大項目を記載し、横軸には腎疾患の程度、すなわち一番左は生活習慣病発症前、右に向かうほどCKDが重症化していることを示しております。関連するその他の対策も含め、全体像を示しております。

 まず、一番上の「地域における医療提供体制の整備」を御覧ください。まず健診受診率の向上が重要ですが、健診で腎関連の項目、すなわち尿蛋白や血清クレアチニンの異常が出ていれば、既にCKDを発症している可能性が考えられますので、紹介基準にのっとって早期受診をお願いしたいと思います。しかし、それ以外の健診の項目、つまり血圧、脂質、血糖、喫煙、尿酸は、どれもCKD発症のリスクであるため、これらの異常に対しても保健指導、受診勧奨を徹底して、CKDの発症を予防することが極めて重要です。例えば糖尿病の発症からCKDの発症までには10年以上かかるとされているように、糖尿病や高血圧など、CKDの原因となる疾病の重症化予防によるCKDの発症予防が重要です。CKDを発症した後でも、紹介基準にのっとって専門医療機関への紹介を行い、かかりつけ医と連携して重症化予防を徹底することで、新規透析導入患者の減少が期待できます。更に右に進んで末期腎不全に至ったとしても、最適な腎代替療法の選択や合併症予防がQOLの向上に重要だと考えております。普及啓発以降の対策は骨子案の内容を腎疾患の程度に合わせて記載したものですので、御参照ください。

 最後に、その他の関連する取組として、健康日本21(2)、糖尿病性腎症重症化予防プログラム、難病対策や移植医療を挙げています。その中で、難病対策について少し補足させていただきます。難病は生活習慣病の既往がなくても発症し、急速に進行する場合もあることから、早期発見、早期治療がより重要となります。しかし、専門医療機関への紹介基準は原疾患を問わず使用できるなど、基本的な対策は共通であると考えております。難病独自の対策としては、平成271月に施行された難病法に基づき、研究の推進や療養環境の整備などが行われております。特に平成30年度からは早期診断・早期治療を目的として、都道府県難病診療連携拠点病院を中心とした新たな診療体制が構築されることで、難病診療を契機として、かかりつけ医と腎臓専門医療機関との連携が強化されることが期待されております。

 全体目標のKPIで示している新規透析患者の減少という成果は、本検討会の検討内容だけではなく、CKDの原因疾病の発症予防やCKDの発症予防、難病対策移植医療などの様々な対策を含めた結果であることが御理解いただけたと思います。しかし、例えば原因疾病の発症予防の効果が新規透析患者の減少となって表われるには数十年単位の時間を要することから、5年、10年という単位での新規透析患者の減少には、紹介基準にのっとった診療が円滑に行われるCKD診療体制を構築することによる効果が主に反映されるのではないかと考えております。様々な施策がありますので、関係者が連携しつつ全体を見ながら取り組んでいけたらと思っております。

 最後に、普及啓発や診療水準の向上に関する対策などは、腎疾患対策に特有なものではありませんので、他の疾病等の対策にも活用していければと考えております。以上です。

○柏原座長 腎疾患対策検討会報告書の骨子案から始まり、最終的な全体像まで一気に御説明いただきました。3つの論点に分けて御意見を賜りたいと思います。まず、資料3-1に戻ります。この報告書は大きく2つのchapterに分かれていて、「腎疾患の現状」「腎疾患対策の更なる推進のために」となっています。まず、1.腎疾患の現状について盛り込むべき課題について、これの適切性について議論いただきたいと思います。資料3-12ページに、それが具体的に書かれています。腎疾患の現状としては、(1)CKDについて、定義から始まり、その他の項目です。(2)疫学についても6つの項目が挙げられております。この項目につきまして、過不足等があれば御指摘いただきたいと思います。CKDの定義と特徴の中には、新たに生まれた概念であるDiabetic Kidney Disease(DKDも含むとされております。御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。

○南学構成員 疫学が全部透析患者に関することになっていて、その前段階のCKDの状態の疫学を、恐らく学会としてデータベースとしても集めていると思うので、透析患者の疫学に加えて、DKDの方を含むCKDの方々のものも加えたほうがいいのではないかと考えます。

○柏原座長 今までのCKD診療ガイドライン、ガイドブックのCKDの有病率に関するデータも推計のデータにとどまっていたということで、川村先生からは何か御意見はございますでしょうか。

○川村構成員 南学先生がおっしゃるとおり、せっかくCKDを包括的に取り扱うので、末期の話だけではなくて、ピラミッドと言うと変ですが、進展度とその人口という包括的な見方ができれば、より全体像をつかめるのではないかと思います。

○柏原座長 いかがでしょうか。

○羽鳥構成員 2ページの2に「年末患者」とあるのですが、「年末」というのは正しいのですか。末期という意味でしょうか、毎年調べるという意味でしょうか。

○中元構成員 2のデータは、全て日本透析学会のデータベースから毎年出している年末調査のデータだと思いますので、これは末期腎不全患者の年末患者ということになると思います。

○羽鳥構成員 分かりました。もう1つは、資料4の「その他」の所に減塩やK(カリウム)の話がありまして、これはとても大事だと思うのですが、栄養指導の辺りが開業の先生たちは不得意かなと思います。糖尿病は糖尿病の栄養士も一生懸命やってくださるのですが、腎臓病の話を栄養士にお願いすると「ちょっと私は」という感じで避けられてしまうことがあるので、これから腎臓病療養指導士が増えてくるからいいかと思うのですが、例えば減塩しょうゆでも、しばしばカリウムを入れての減塩がありますので、その辺についてのしっかりした冊子があってもいいのかなと思います。以上です。

○柏原座長 よろしいでしょうか。

○中元構成員 いろいろな地域別の取組を、今後指標として追っていくということですが、透析学会の統計調査は各県別のデータも出せますので、そういった地域の現状の数字を出してみると、今後の取組の地域への活性化につながるような気がします。

○柏原座長 今後、この報告書に基づいてCKD対策を進めて、進捗管理をしていくわけなのですが、そういうときにそういったプロセスの指標として、データを使わせていただければなと思います。ほかには御意見はございませんでしょうか。CKDの疫学データについては課題だと思っております。学会を挙げて、これについては取り組んでいきたいと考えております。よろしいでしょうか。現状に関しては、こういった項目について報告書に盛り込んでいただきたいと考えております。

 続きまして、資料3-2で事務局から説明いただいた報告書の全体像について、御意見がありましたらお願いいたします。事務局から全体目標に対する達成すべき成果目標案というものを、前回の検討会の議論を基に設定し直したという説明もございました。全体目標に対する達成すべき成果目標案を中心に、御検討いただければと思います。ちなみに、前回の報告書では、慢性腎臓病(CKD)対策の目標として、添付資料の6ページですが、腎機能異常の重症化を防止し、慢性腎不全による透析導入への進行を阻止し、新規透析導入患者を減少させることと、まずは透析の患者を減らすことです。さらにCKDに伴う循環器系疾患の発症を抑制することを目標とする。このように、大きく透析の予防と付随する循環器疾患の発症予防が大きな目標であったわけなのですが、今回の報告書の全体的な目標というのは、透析患者も含めて、患者のQOLを向上させたいということで、より包括的な内容になっていると思います。この全体目標に関して、御意見がありましたらお願いいたします。

○川村構成員 前回のこの会議での議論を整理していただいて、表現がすごくエレガントかと言うと少し泥臭い感じもするのですが、これが現実をよく捨象していると思います。➀➁で、現実に取り組む体制、あるいは行動というかプロセスのところを表わして、最終的な展望を➂に込めると。もちろん、最終的な目標と言っても、透析はsymbolicに扱っているものと理解しておりまして、早期の対応による進展の防止というのが、そこに掲げている本当の主眼であろうと思っています。

 あとは、➀と➁についてもそうなのですが、「地域の実情」や「地域における」という言葉がよく出てきます。もちろん行政が深く絡みますし、地域単位で見るのは基本で、医療自体が地域をベースに構築されている場合が多いので、地域が現実に中核になるとは思いますが、地域以外の様々なコミュニティ、所属する社会というものがあって、特に初期の段階では、例えば事業所とその中にいる産業医のようなものも、初期受診の辺りには非常に深く絡みます。「地域」という言葉を使ってあるし、実際に評価指標としては地域単位以外の、地域以外の評価をする集計というのはなかなか難しい面も多いかと思いますので、数字として出してくるのは市町村単位あるいは都道府県単位が中心になるとは思いますけれども、やはりそれ以外の、地域に所属している意識の希薄な事業所や産業医など、あるいは最近は全国横断的な医療ネットワーク、東大や京大に「HIGH MEDIC何とか」もありますし、そういう最新の医療、予防医学の取組などもされているので、必ずしも地域が全てではない。広く捉えられるように、意識を持っていただくように、表現としてどうするかとか、あるいは評価する実際の数字はどうかというと、地域を中心としたものになるとは思うのですが、そういう読み取りができるような意識を持てる表現あるいは補足の説明というのがあればいいかなと思います。

○柏原座長 申し遅れましたが、今の議論は資料3のカラーのページです。全体像の全体目標と達成すべき成果目標(KPI)()の部分を主に議論しております。川村先生から、➀の「地域」という文言に関して、この言葉にはコミュニティも含めてかなり広がりがあるという御指摘を頂きました。これも含めて御意見はいかがでしょうか。松村先生、お願いします。

○松村構成員 産業医の活用も非常に大切なことだと思います。それと同時に、日本全国を見ると地域格差が非常に大きいのが現状だと思います。一部では、熊本市のように、非常にCKD患者へのアプローチがうまくいっている所、そういう所を勉強するために、ほかの地域の人たちがもっと行って、自分たちもやろうというような動機付けを何らかの形でできないだろうかと思います。

 それについて、療養指導士の育成と、もっと地方にいる薬剤師の活用もやらなければいけないし、地域格差をなくすために、これは厚労省にお願いしたいのですが、各県別などで、ここの県はここまでいっているというような指標作り、ここの県はここまでひどいのかということがあると奮起してくれるのではないか。そこで奮起して頑張ると、住民税から払っている透析患者への費用が減って実質的に自分たちにもメリットがあるということを、もう少しPRしていかなければいけない。

 それには、普及啓発が大切だと思います。普及啓発で市民公開講座などを、どこの県のどこの市はどれぐらいやっているかとか、そういうことを横断的に発表したりすると、お互いに切磋琢磨して、もう少しCKD対策を具体的に進める可能性が出てくるのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。

○柏原座長 馬場構成員、お願いします。

○馬場構成員 今お話いただきましたように、私どもはその立場で、熊本でもしっかりと貢献させていただいて、取り組んでいるところです。松村先生におっしゃっていただいたように、地域によってかなり温度差がございます。ですから、今これだけのものを、今回私は、UB勉強会で福井先生から御指導いただいたときに、前から見ると、ものすごく我々素人にも分かりやすい指標になってきたなと。その中で、今、御指摘のあった啓発に関しても、ここに書いてあるように、「地域で中心的な役割を担う担当者」という言葉だけであって、各市町村に帰ると、そういう方は、なかなかおいでにならないのです。前にも保健師の話もいたしました。

 今、特にこういう形の要注意は、前期高齢者と言うか、退職されて間もなくの方について、企業のほうからも指導がない、自分で生活して、もっとこうしたほうがいいと言われても、なかなかその生活になじまない、こういう方たちの啓発をどうされるのかという部分をやるには地域の取組というか、そういうものをもっと。

 今、お聞きする限りにおいては、1年に1回、2回のフォーラムというような形ですので、それではなかなか浸透しないのかなと。でも、今回は我々にしてみると分かりやすい指標を出していただいたので、これを具体的に、今のような形で推進できるように、現場に問合せして、私たちも一緒になって取り組んでいければというように考えているところです。大変いい指標を作っていただいて、これを分かりやすく実践していきたいと考えています。

○柏原座長 それ以外には、中元先生、KPIの➂に、2028年までに新規透析導入患者数を35,000人以下に減少させる、2016年比で5年で5%以上の減少、10年で10%以上の減少を達成するということを掲げているのですが、この辺りはいかがでしょうか。

○中元構成員 今、大体38,000人前後の導入年間数ですので、この35,000人という数字というのは、現実的には10%近い減少ということなので、かなり目標値としては高いという認識があります。ただ、熊本が現実的には10%ぐらいの減少を達成していることを考えれば可能なのだとは思うのですが、これを全ての県で達成するには、もう少し何らかの盛り上がりを達成しないと無理だという認識はあります。透析導入患者数が年々減ってきている印象を持っているのは導入数が減っているのではなく、むしろ死亡数が増えているという事実がありますので、現実的にはこの35,000人という目標は、高齢者が減少していくことになれば、結構厳しいかなという印象は持っています。もう少し全県において盛り上がりを持たないと、厳しいかなという正直な印象を持っています。

○柏原座長 門脇構成員、お願いします。

○門脇構成員 私は、この全体目標も、達成すべき成果目標(KPI)案も、この班のこれまでの討議を踏まえて、非常によくできていると感心しています。先ほどお話がありましたように、➀と➁で、「地域の実情に応じて」「地域におけるCKD診療体制を充実させる」ということが書かれていることに加えて、今の年間の新規透析導入患者数の問題ですが、評価指標案として、2016年比で、5年で5%以上減少、10年で10%以上減少を達成する都道府県数ということで、この「都道府県数」ということがポイントだと思います。進んでいる所はどんどん達成していくでしょうし、進んでいない所は達成しないということで、これが平均値でもっていくと、これはall or noneということになってしまうのです。達成すするかしないかということです。この都道府県数ということで書いたところに、私は非常に➀➁とも有機的に連携して、極めて各都道府県の地域における腎疾患対策をプロモートするような、非常に適切な目標だと思いました。

○柏原座長 ありがとうございます。松村先生、お願いします。

○松村構成員 この間、厚生労働省が主催のCKDシンポジウム、東京国際フォーラムで厚労省が主催でなさったのですが、そこに参加している人たちの数が厚労省が音頭を取っている割に、関係者以外は全くいらっしゃいませんでした。お金がもったいないな、何と予算の使い方がもったいないなという感じがいたしました、ひどい土砂降りの雨の中でしたから、ある程度は仕方がなかったのですけれども。昨年までは尿検査をやっていらっしゃいました、慢性腎疾患のタカハシ先生の所と、J-CKDIが協賛なさって。その尿検査があるために一般の市民も参加してきたのですけれども今年はそれも一切ありませんでしたし、厚労省が大変な、国際フォーラムみたいな所で主催なさっているのにパラパラとしか人がいないのはもったいない。もし、さっき私は各県で競争させたらというようなことをちらっと申し上げましたけれども、一番遅れている所に重点的にこの間のあの予算などを投入して、頑張れという、その普及啓発活動のために底を引き上げてあげるような、厚労省もこんなに頑張っているんだぞというような、そんな姿勢も示していただけたらなんて、希望的観測ですけれども。

○柏原座長 ありがとうございます。

○馬場構成員 すみません、1ついいですか。

○柏原座長 はい、お願いします。

○馬場構成員 今、松村先生がおっしゃっていただいて。先生、私どもも県単位ではなかなか集まらないのです。やはり市町村単位に入ってこないと、やはり指導していただける方が目に見える方でないと、なかなか実感として。やはり地域、地域で、先ほど来お話のありますように、市町村の中における腎臓専門医の先生方からおいでいただいて講演していただく、これが今までの中で一番効果があって、その後の質問などでもかなり活発に質問されています。ですからそういった面で、やはりもう少し小さな器の中で、各地でやっていったほうが、松村先生がおっしゃるように有効的なPRになるのかなという感じがしています。

○柏原座長 ありがとうございます。

○中元構成員 透析学会の統計調査は全てのデータを把握しておりますので、実は導入患者数を県ごとに出すのも、御依頼があれば毎年出せますし、市町村別にも出すことはできます。福井先生から正式な御依頼があればそういう指示を出しますし、実は年間の導入患者数の減少率も、毎年、我々は全くお金を掛けずに提供することはできますので、もう少し透析学会の統計調査を利用していただくと、そういった数字が如実に現れる。ただ、我々は、県ごとのデータは、依頼があった場合、その県に対して提供しているということはしておりましたが、それについては、各県の競争意識や各県の患者さんの意識をちょっと鑑みて、そういった比較は余りしていなかったのですが、もしそれが目標として出されるのであれば、御依頼いただければそういうデータを出すようにできますので協力できるとは思います。

○柏原座長 ありがとうございます。羽鳥先生からお願いします。

○羽鳥構成員 松村先生の話と関係するのですが。糖尿病の場合には糖尿病対策推進会議というのが各都道府県にあり、都道府県の医師会も必ず参加してやっていて、なおかつ、県民公開講座や市民公開講座を開くときに、血糖値、尿糖も測ったりして、診療所の申請をして測りますが、CKDの普及をするためには、診療所を作ってクレアチニンを測るなど市民、県民公開講座を開くのも不可能ではないでしょう。そのようなやり方もあるのではないかと思います。

 それからもう1つ、一番最後の所に移植の話がありましたよね。3-17ページに移植医療とありますが、ここをもうちょっと特出ししていただいてはいかがでしょうか。私は脳死下での臓器移植の委員会に出ているのですが、脳死下での臓器移植は確かに増えているのですが、腎臓病に関しては必ずしも脳死でなくていいと、心臓死でできるということもあるので。もっと増えてもいいと思います、もちろん御家族から生体腎移植する事もあるでしょう。腎臓移植をすれば医療費は安くなるなど、腎臓移植のことをもう少し強調していただいてもいいのではないかとも感じました。以上です。

○柏原座長 ありがとうございます。

○川村構成員 今の一連の議論は非常に大事だと思いました。市町村がイニシアチブを取ると。実践というのは、できるだけ小さいコミュニティに落とし込んだほうが良いと思うのです。ですので、例えば私の学生時代に、大学の医学部が模擬病院というのをやって検尿のサービスをやって、医学生もトレーニングの意味で必死になって勉強して、遊びに来たのだけれどもついでに検尿をやって発見できるとか。あるいは、今、SNSが非常に力を持っている、もちろん年齢層の偏りがあったりするのですけれども。とにかく、小さいコミュニティで身近感があるところに落とし込むことが非常に大事なのです。全国一括の厚労省直営のものだと、なかなか浸透しにくいというのがあると思うのです。ですので、これは戦術だと思うのですが、できるだけ小さい単位を巻き込んで。ただ、届く情報が間違っているといけないので、そこの正確さを担保するためにいろいろな努力、正しい教材とか、ある程度のイニシアチブを取った情報展開は要ると思うのですが、そういった、戦略、戦術で、今扱っているのは大体が戦略的なことだと思うので、この次の段階として具体的な戦術についても、この先踏み込んでいただければと、特に第一線でやっていらっしゃる方にはイニシアチブを取っていただければと。

○松村構成員 羽鳥先生がおっしゃってくださいました臓器移植の腎臓移植、これが今、ものすごく日本では、心臓死からの移植が少ない状態で生体腎移植がほとんどですよね。今回の腎疾患対策検討委員会ではCKD対策ということで、あえて申し上げませんでしたが、CKD対策と同時に腎臓移植に関してもっともっと同時に啓発活動をやることでスペインのように増えたら、これはすごいことだと思います。それにはやはり、移植コーディネーターをもっと養成しないといけないとか、いろいろございますが、その辺のところも、厚労省にはもっと大所高所から見て全体的な患者を減らしていく方策を作っていただけるといいのではないかと。羽鳥先生がおっしゃってくださったので、ちょっと追加発言をさせていただきました。

○柏原座長 移植、ドナーを増やすことについてはまた、本当に大きな取組が必要だと思います、移植推進室もございますが。そこと少し重なる活動としましては、今回、療法選択に診療報酬が付くこともあって、そこで患者さんの意思も反映するような「shared-decision making」の技法を取り入れて全国で療法選択を適切に展開しようということで、shared-decision makingの腎臓病SDM推進協会というのが立ち上がっています。先生も入っていますね。こういう活動を広げることで移植も次第に、PDも含めて、バランスの取れた腎不全診療が展開できるのではないかとは考えております。ありがとうございます。

 最初の普及啓発について私から少し付け加えるとしましたら。厚生労働省は、過去10年にわたって全国的な普及啓発のイベントを都内で行っていただきました。これには一定の役割があって効果もあったと思うのですが、やはり10年やってきて、それぞれ、次のステージに移るべきだろうと思っています、川村先生もおっしゃったように、戦術レベルに落とし込んでやっていこうと思うのですが。今まで、糖尿病対策推進協議会に該当するものにCKD対策推進会議というのがありました。ただ、これは任意団体だったものですからサステナビリティについて万全でなかったということで、今年から新しくNPO法人日本腎臓病協会というのを立ち上げました、南学先生も理事のお一人なのですが。ここで従来から行っていたJ-CKDI活動を検証し、さらに地域ごとに細やかに行っていくという、戦術レベルで実践できる部隊を作っていこうと思いますので、CKD対策は次の新しいステージに入れると考えております。この研究班で出していただく新しい報告書がその大きなバックボーンになってくるのではないかと考えております。いろいろと御意見を頂きました。全体目標に関しましてはよろしいでしょうか。

 続きまして、まだ時間もございますので個別に。腎疾患対策検討会報告書 骨子()について、今までの議論も踏まえて、5本柱、それぞれの対策について御意見を伺いたいと思います。

 まずは資料3-14ページの➀普及啓発のところに、評価指標を3つ挙げていただいております。これにつきましての御意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。全都道府県での普及啓発活動の実施、市民公開講座等の実施数、CKDの認知度、こういうものを評価指標としてはどうかということです。これは最初のときに川村先生から御指摘いただきましたアウトカム指標というよりも、どちらかというとプロセス指標をここに書いていただいているということだと思います。

○福井がん・疾病対策課長補佐 評価指標だけではなくて、()今後実施すべき取組の所もこの検討会で重要な部分になりますので、そこにも御意見を頂ければと思います。

○柏原座長 失礼いたしました。ということで()の所ですね、()()について特に御意見を頂ければと思います。

○中澤構成員 神奈川県の中澤です。先ほどからなかなか厳しい御意見を頂いて、都道府県単位の健診等とか。神奈川県は会議体をもって普及啓発のために市民の方と医療従事者の方に対してずっとやってきているのですが、その中で、やはり効果的な普及啓発をやっていかなければいけないのかなという。どうしても、多分、こういう疾患に対する普及啓発で市民公開講座みたいにすると同じような方がずうーっといらっしゃって、なおかつ、うちは相談会も一緒に組み合わせてやっておりますので、結構、常連さんみたいな形になってしまうと、そうでない方たちにはなかなか広まっていかないということになってしまうのかなということをちょっと、うちの中でも懸念しているところです。

 一方で、やはり腎疾患というのは、このようにいろいろな学会の先生方がいらしているように、幅の広いところがある中で、どのようにやっていくかというところも都道府県単位でも非常に難しい、いろいろな人に知っていただいたりとか。特に、例えば健康診断で保健師さんたちにも、御自分が毎日やっていたりとか、普及啓発とか、「健診、受けましょうね」と言うことが腎疾患につながっていることが今ひとつ分かっていないということがあるかと思うのです。ですから、市民に対する啓発と、かかりつけ医の先生方に知っていただくことと、それから行政、県だけではなくて市町村の現場に関わっている保健師さんたちが今やっていることが正に腎疾患対策に直結しているんだよということも知っていただく必要があるのかなと思います。そういうことで一言、腎臓にも関わってくるからこういうことにも気を付けて、そういう所の主治医の先生に相談してみてねという、この一言が、なかなか今のところ、まだ出てこないのかなと思います。それで今までの、単に研修会をやればいいやとか、講演会をやればいいやみたいな、そういうことではなくて、正にそういうことが必要なのだと。

 こういうふうにやればうまくやれるよというのは、例えば何らかのモデル事業をどこかの行政で、例えば普及啓発活動のモデル事業みたいなものをやってみて、それで、特に学会の先生方からいろいろアプローチしていただきながら、一緒にやりながら、そうしてみたらばこんなふうに、例えば指標の中で、評価指標でも構いませんし、こういう効果が表れたというのがありますと。特に、行政は、いわゆる好事例というものにはものすごく飛び付きやすい、どうしたらいいか分からないときに。特にいろいろな、好事例が全部パッケージになっているものではなくて、その好事例の中で、ここの部分だったらうちの市町村ではすごくやりやすいとかということをよく見ていますので、是非、そういう手法で好事例を共有するというのは、モデル事業なり何なりとかということをやっていくというのも1つ有りなのかなと思います、単に、好事例、好事例と言っているだけですと、皆、すっと読んで終わってしまいますので。そういう、実際に先生方と、例えば市町村であったりとか、都道府県であったりとか、行政の中でやっていったというのを非常に参考にしますし、全国的にもそういうものは非常に貴重な資料として私たちは拝見して、それを自分たちの事業に生かしていくということはあるので、そういう方法もあるのかなとはちょっと、拝見していて思っていました。

○柏原座長 ありがとうございます。大変重要な御指摘だったと思います。実は私もつい昨日、岡山県県民公開講座でCKD対策を行って250人来てくれました。岡山県ぐらいの規模では250人と言うと最大規模で成功だと思ったのですが、参加者の顔ぶれを見ると、先生が御指摘いただいたとおりで、5回、ほぼ同じような方々が来られていて、その疾患の相談のような形になりましたし、やはり、市民とか未病の方々への啓発には、この仕組みだけでは不十分だなと痛感通感いたしました。私どもはそういうものも含めた好事例を作って、是非、行政の方と作らせていただいて普及していきたいと考えておりますので、是非、御指導いただきたいと思っております。

○松村構成員 実際に、例えば市民公開講座などをやる方が本当に大勢の方に来てもらいたいと思っているのか。怠慢だと思うのです。というのは、もっとマスコミを利用すべきだし、地域のFM放送などもありますよね、それから、タブロイド版の、新聞社や何かが出している小さい新聞がありますね、そういうものを、皆さん、割によく読むのです、ただでの講演会とか何かプレゼントがあるというと、皆さん、結構見ています。そういう所に必ず講座の広報をするとか、地域のFM放送でやるとか、大きな新聞社でも、地方版に必ず23行でよいから載せてくださいというようなことを熱心に頼むとか、そういう広報活動が足りないのは、努力不足だと思うのです。本当に公開講座をやって皆さんに来てもらいたいと思ったら、どうやったら常連さんでない人が来るかというのを工夫して、口コミでやるか、学校の子供たちを通して親御さんに参加してもらうようなことをするとか、いろいろな方法があると思います。その辺が広告会社などは上手なわけです、テレビ局なども上手です。できるものはどんどんまねして、本当に我が国からCKDの人を減らす、腎臓病も減らす、糖尿病も減らすということを本気になってやれば、結構いろいろな人が来てくれます。この広報活動をもっともっと活用しない手はない。この前の厚労省の国際フォーラムで開かれたときは、どんな広報活動をしたのか、何で関係者だけしか来ないのかなというのは非常に感じました。

 車を運転している人はラジオを聞くのです。必ずラジオで誰かが、パーソナリティなどが、何日にこういうことがあるよと言いますと結構、ラジオで聞いたから来たという人がたくさんございました。もっともっと、マスコミなりミニコミなり、いろいろなネットワークを使って、みんなが努力したらもっと良くなるなと思います。努力不足、いっぱいあるのではないでしょうか。

○馬場構成員 一言だけいいですか。

○柏原座長 はい、お願いします。

○馬場構成員 私はそこまでは余り考えていなかったのですが。1つは、自分の体のことなのだという意識が不足しているのは確かなのです。ですから、幾ら行政が頑張って案内を出してくれても来ない人は来ないのだろうと思いながら。ただ、今、松村先生から、私は第1回のときにも申し上げたと思うのですが、学校とタイアップするというのは非常に効果があったということだけは言えます。やはり子供たちにそういう教育を、道徳の時間の中で私の立場で話をさせていただいて、それが作文になって、親御さんに伝えていただいて、「お父さん、お母さん、今度こういうのがあるそうよ」という形の中で。これは、やはり口コミの中で、自分の子供に言われるということは「たばこ辞めますか」のコマーシャルでヒットしたのと同じだというような感じがしております。ですから、行政がいいとか悪いとかの前に、もう少し現場を踏まえたそういうPR活動みたいなものを、私たちも含めて。

 私たちは取り組ませていただいて10年近くなるのですが、立場的には、なってしまった患者の立場ですとこうなんですよというものをしっかり話をしようという形でお話させていただくと、必ず、やはり恐怖心を煽るような形の話になってしまうのですが、やはりそれは現実だと思うのです。そういうものをしっかり。だから、行政がいいとか悪いではなくて、一緒になって取り組んでいかなければこの成果は出ないと感じております。

○川本構成員 川本でございます。前回も発言させていただいたのですが、現在、保健師さんがかなり疲弊しているのです。地域包括ケアシステムに関する事項の事業が非常に多くて、連携をしていかなければいけない、いろいろな事業をしていかなければいけないという現状があります。マンパワー不足の中で本当に効率的な広報活動は非常に重要だと思っておりますが、今言ったように、限られた人材の中でやっていかなければいけないという現実がございます。その点から考えますと私はやはり、効率的なことを考えて、そして効果的なことを今後やっていくためには、4番の人材育成と絡んでくると思います。やはり要となる人が育っていかないと、それは実現していくときに大きな支障になるかと思いますので、人材育成等を含めて、タイアップしながら考えていただくことが必要かなと思って今、発言させていただきました。

○羽鳥構成員 保健師さんのお気持ち、本当によく分かります。中澤さんと一緒に私も神奈川県の医師会理事の会に出たときに特定健診の保健指導の話がたくさん出てきました。そのときには、ヘモグロビンA1C6.2で切って、3つの市町を選んで保健師さんがダイレクトに受診者の所に行って声掛けして、呼び出してきてやったということもあります。ただ、糖尿病の場合は、A1Cとか血圧や体重とか、一定の目安で3か月、6か月間指導すると動くものがあるのですが、多分、慢性腎不全(CKD)の場合だと動きにくいだろうなと思うので、良くなったかどうかという感覚がなかなかつかめないのではないかと思います。

 今回、特定健診で、クレアチニンeGFRが入ってきて、もしかしたら莫大な数の方が対象になってくる可能性があります。例えばG2G3aは全部呼び出しだと言ったら、多分、保健師さんはものすごい数が必要になってくると思います。それが全部、展開したら大変なことになると思うのです。そういう意味では、意外とたくさんの人が意識を持って市民公開講座にも来てくれるのではないかと思うので、やはり何か、行政と、医師会も協力しますので、工夫して、みんなで訴え掛けるのがいいのだろうと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。普及啓発については、まだまだ努力の余地があると。メディアとか広報をもっと活用すべきであるし、市民公開講座のようなものを定例的に同じように繰り返すのでは駄目で、もう少し広がりを持たせるような工夫が必要であると。学校に対するアプローチも必要ではないかと。関与する医師会、保健師の方々等々と連携してもう一度アイディアを出さなければいけないのではないかと、いずれも本当に大事な御意見だったと思います。

 連続しておりますので普及啓発から、今度は4ページ目の下、➁地域における医療提供体制の整備に移りたいと思います。この医療提供体制について5ページに、()今後実施すべき取組、()評価指標が書かれております。この部分について御意見を賜りたいと思います。医療提供体制としては、紹介基準の普及であったり、情報の共有であったり、そういうことが挙げられておりますし、評価指標としては、紹介率、逆紹介率、地域別のCKD診療を担う医療従事者数、専門医への紹介率、こういうものが挙げられております。これについて、先ほども既に意見が一部で出ましたが、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○南学構成員 ちょっと確認なのですが。ここと➃の項目で、かかりつけ医に加えて「非腎臓専門医」という言葉が出てくるのですが、この「非腎臓専門医」というのは、かかりつけ医ではない腎臓以外の専門医を持っているという意図で使われている言葉なのか、私、見ていてちょっと混乱したので確認させていただきたいのですけれども。

○柏原座長 これは福井先生から御説明いただけますか。5ページの()今後実施すべき取組の上から4行目になりますか。

○福井がん・疾病対策課長補佐 ここでは専門医の資格をお持ちであっても腎臓以外の専門医を「非腎臓専門医」と呼んでいて、それはかかりつけ医の方と重複することもしないこともあるとは思うのですが、このような記載にさせていただいております。

○佐々木がん・疾病対策課長 イメージで言うと、ほかの診療科の専門医療科に掛かっている場合をイメージしていただければと思います。

○柏原座長 ここの部分につきまして御意見を頂けますでしょうか。評価指標ですが、実際に、どういう単位で行うかということなのですが、紹介率、逆紹介率、こういうものも、川村先生、具体的にどのようにできますでしょうか。

○川村構成員 今回、示されたこの紹介基準では専門医の方向への流れが示されていて、レセプトデータを使って評価はできるとは思うのです。ただ、逆紹介だったり、他医紹介をどういう狙いでやっているかというのはレセプトデータだけでは分かりにくい。やられた検査で、多分こうだろうということを推定することは可能だと思うのですが、信頼に足る数値が、すぐに比較的簡単な作業で出るかどうかは、少し内容を吟味しないと。カルテデータの活用は非常に重要です。レセプトデータとか、あるいは、DPCデータと呼ばれるものが今、商業ベースで使えるようになってきていますので、しかもかなりの包含率ですので、有効に使えば出ると思うのですが、単に解析をやると該当しないようなものまで含んでしまったりというようなことで、使い方を正しくやらないといけないと思うのです。病名から入ると、例によって保険病名とか、いろいろなことが出てくるので、読みきれる場合、読みきれない場合、それから、保険を変わったときに切れてしまうとか、DPCデータだと医療機関が変わると切れてしまうとか、いろいろな限界もあるので、その辺については、今度の運用を、より実践を詰める段階で、研究班のほうで検討していただく必要があろうかと思います。

○門脇構成員 私も川村先生と同じことを考えていたのですけれども。この評価指標案は非常に素晴らしいと思うのですが、もう一方、現実にどのようにそれぞれを把握可能かという、feasibilityの所を更に検討していただいて、最終的な文言なども調整する必要があるのかとも思うのです。

 例えば評価指標案で、紹介基準にのっとった腎臓専門医への紹介率。その辺りはどのように把握するのかとも思いますし、➂診療水準の向上のところの「推奨される診療を実施する」も、それがうまく把握できれば非常にいい指標なのですけれども、後でそれがなかなか把握困難であったということですと、評価指標案としてこれが独り歩きすると、また困るということになるので、具体的にどうやってこれをつかむのかというイメージも、最終的に確定するまでに、是非、御検討いただければと思いました。

○柏原座長 ありがとうございます。

○羽鳥構成員 門脇先生の話と関係するのですけれども、今、日本のレセプトデータは、ただ保険請求をしたかしないかという行為しか出ません。電子カルテなどには基本的な情報を容易に出せるしくみも必要ではないでしょうか?

 要するに、身長、体重、血圧など、1年に一遍でいいですから、その最低限のデータ、ここで言えばクレアチニン、蛋白尿、A1Cなど、そういう基本的なデータも提出を求めると。提出を求めるというか、電子カルテに表現できるようにして、それを電子的に集めるようなことができれば、これも集められますよね。

 紹介率がどうだったかなど、きちんと適ったことをしていたか。そういうことをやっていくような仕組みを作っていかないと、10年経っても20年経っても、やはり同じことをずっと議論しているのだと思うので、これを診療報酬のところで決めていくのでもいいでしょうし、あるいはもっと別のところで決めていくのがいいのかもしれません、

 今日、午前中ずっと経産省のイノベーションの会議に出ていたのですが、やはりそういうことも将来は提案されていかなければ駄目なのではないかと感じました。記者の皆さん、記事にしないようにしていただきたいですが、そういう取組も大事だろうと思います。

○柏原座長 今、先生がおっしゃっていただいた、最も基本の身長、体重、血圧というのは、今の電子カルテでは、全くテキストデータでは取れないのですね。

○川村構成員 今、可能なのはレセプトデータですが、日本医療データセンターでしたか、あそこは健診データとつなげるので、定期的に健診を受けている人については、検尿の結果も含めて、要するにプレホスピタルの状態が分かります。

 ただ、先ほど言ったように、保険が変わると切れてしまうことがあることと、一番大事なことは治療の意図が読めないということ。先生がおっしゃったように、事実は分かるけれども、それは何の狙いなのか、目的を達成したかどうかとか、インテンションや到達点などが全然読めないのです。その辺の電子カルテのデータを落とし込む試みというのは、片方でいわゆる代理機関というものがあって、それは厚労省の人のほうがよく御存じだと思いますが、かなり実現が迫っていると聞いているので、そういったカルテを全部匿名加工して使える状態にするという企画等の進み具合、それと健診データとのリンクなど、そういうことをむしろお尋ねしたいぐらいなのです。

 そこで日本のきちんとした医療を、より有効にするためには、非常にワイドスペクトラムなデータを集約しないといけないということです。カルテだと、まだ少し分かりますが、インテンションやアウトカムの評価などがカルテには入っているでしょうけれども、そのようことは定形化したフォームでは得られていない。薬の処方だけで推定するというのは、なかなか難しいし限界もあるので、その辺りは仕組みを考えていただく必要があるかと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。少し研究班のスコープも超えてしまう大きな課題があるということで、よく分かりました。門脇先生、川村先生、それから羽鳥先生におっしゃっていただいたようなことも、是非、報告書の中に、どこまで具体的にこれを提案できるかというと、かなり技術的に難しいところがあると思うのですが、もう少し踏み込んだ記載ができればいいと思っております。まだ課題がありますか。

○門脇構成員 また違う話なのですが、先ほど南学先生が言われた、非腎臓専門医という言葉、私も福井さんがいらっしゃったときに、これはどうだろうという話になって、ほかにないかと思ったのですが、改めてやはり「非」が腎臓専門医に掛かると、腎臓専門医以外の全ての医師ということになって、「非腎臓」の専門医だと先ほどの御説明のとおりだと思うのですけれども。

 全然これは強い意見ではなく思い付きなのですが、例えば、非腎臓専門医に対して腎臓専門医と対になって出てくるので、「他」専門医や「他疾患」専門医など、そのほうが紛れが少ないかという感じがするのです。ただ、これは素人考えですので、その辺りは事務局にお任せいたします。

○柏原座長 ありがとうございます。

○川村構成員 今、門脇先生が言われたことと同じことを考えていて、同じような意見ですけれども、要は、かかりつけ医というと、どちらかというとプライマリーケアを想定します。腎臓専門医は腎臓のスペシャリストで二次医療圏以降ということになると思うのですが、そうではなくて、別の疾患で掛かっている場合ですよね。別の専門医に掛かっているのだけれど、別の専門医といえども腎臓のことも気にしてというメッセージが読み取りにくい。

 そういう意味で、先生がおっしゃったような腎臓以外、他分野の専門医で、他分野の専門医受療中の患者さんについても、人間をトータルで見るようにしましょうという、それはある意味、医療が逆に細分化され過ぎたことで、診ていない、せっかく医者に掛かっているのに、何か大事な疾患を漏らしてしまったということがないようにというので、これは厚労省全体が既に目標を立てていらっしゃるはずなので、その辺を表現していただければと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。

○松村構成員 今、川村先生がおっしゃってくださったのですが、私は逆紹介というところで、非常に下世話なことで素人的な質問なのですけれども、高血圧で専門医の先生に診ていただいていた患者さんが血圧の薬を頂いていて、今度は腎臓がかなり悪いようでステージ3だというので腎臓専門医に掛かって、一旦また逆に戻された場合、血圧のお薬はどちらの先生が出してくださるのかという点が、その逆紹介などはどういう住み分けができるのか、その辺りも是非知りたいところです。

 患者さんによりましては、専門医に紹介していただきたいけれど、今、掛かっている先生とずっと付き合っていきたい、その場合のお薬は、どちらから出るのだろうというのは患者の素朴な疑問なのです。この辺の住み分けの指導は厚労省なのでしょうか。

○南学構成員 これは完全にケースバイケースだと思うのですが、私の外来のケースだと、それまでの主治医の先生からもらいたいとおっしゃっている方については、こちらから「こういう薬の変更が必要だと思いますので御検討ください」と書いて返信を出しています。逆にあちらから「こちらで一括してください」と頼まれる場合もあるので、それはこちらで一括していますので、完全にケースバイケースで、恐らく規定することが難しいのではないかと思っております。

○柏原座長 患者さんによっては2人の主治医がいれば、より安心感が得られると。それで主治医間での個々の話合い、それが大事だということではないかと思います。

 まだ少し課題が残っておりますので、次に進ませてください。次に5ページの一番末尾から6ページにかけて、➂診療水準の向上があります。6ページ目の()今後実施すべき取組と、()評価指標です。ガイドラインについて中心的に書かれておりますが、これについて御意見を賜りたいと思います。

 複数の学会で、同じで被るような病域についてのガイドラインを作るときに、そこに不一致があれば、もちろん現場は混乱するだろうとか、そのようなことを回避するための方策が必要だろうということで書かれていると思います。あるいは共通する部分については、学会横断的なガイドラインがあってもいいのではないかなど、いろいろな御提言を書かせていただいております。あるいは、ガイドやガイドラインの普及率など、これまでのクオリティ・インディケーターなどを使って評価しようという動きもあります。いかがでしょうか。中元先生、何か御意見ありますか。

○中元構成員 例えば貧血ガイドラインが透析医学会と腎臓学会で数字が違うなど、いろいろなガイドラインで指標が違うし、あるいはそういった患者さんも若干違うという所があるので。ただ、ガイドラインですが、今の考え方によりますと、システマティック・レビューやエビデンスに準じた、逆に横断的にこういうものを作るのは、ものすごく難しいという印象は持っています。

 透析医学会も今、全てのガイドラインをMindsGRADEに従ったような形に作り直していくと、かえって逆に分かりにくいし、さらにクリニカルクエスチョンなど、ものすごく使いにくい、現実に合わないガイドラインができてしまう。そういう意味では、ガイドラインにこだわらずに、ガイドという形で、むしろ患者さんに使いやすいような形のものを学会横断的に作れればいいのかという気もします。

 そこに患者さん目線という考え方が、今のガイドラインは、逆に抜けてきているような、エビデンス重視、あるいはシステマティック・レビューのようなことが出てきているので、ここに出てくるのは、むしろ患者さん目線でガイドという形で、それを横断的に作る。そして、それがこういった行政とも連携して作れるような新しい考え方を、むしろ入れてきたほうがいいのかという気はします。ガイドラインにこだわると、正直、かえって患者さん目線から離れるような気がしています。

○柏原座長 門脇先生、前回、日本医学会の動向をお話されたと思うのですが、再度お教えいただきますでしょうか。

○門脇構成員 ちょうど私も発言をしたいと思っていたので、ありがとうございます。Mindsは日本のガイドラインのクオリティを非常に上げる、質の向上に極めて大きな役割を果たしていると思います。日本医学会連合では、南学先生に診療ガイドラインの検討委員会の委員長になっていただいて、医学会連合は主な臨床医学会をほとんど含んでいますので、それらの学会の間で、ある疾患や病態について、それこそ不一致がないように、いろいろな学会の連携の下にガイドラインなどを作るような事業を推進するというミッションで付けられています。正に、Mindsと、それからいろいろな学会を連携させる医学会連合の診療ガイドライン検討委員会がうまく組み合わされて、今、課題となっているようなことに対して御支援できればということで、南学先生を中心にされているので一言頂ければと思います。

○南学構成員 ちょうど419日に、平成30年度の第1回の会合を開く予定にしておりまして、Mindsとも連携しながら、皆様のお役に立てるような、分野横断的なものができるようなお手伝いをできればと思っております。ありがとうございます。

○柏原座長 ありがとうございました。それ以外にここの部分で御意見ありませんでしょうか。

○羽鳥構成員 例えば、高血圧のガイドラインJSH2014が出たとき、札幌医大の島本先生が大変苦労されて、様々なクリニカルクエスチョンを募集して、整合性のあるガイドラインにしていたと思います。

しかし再び、スプリント試験の結果がでて、降圧すべきという新ガイドラインが出ています。

 やはり日本単独ではうまくいかない。また欧米の情報が入ってくると動いてくるようなものもありますし、NOACDOACのときも同じですけれども、なかなかガイドラインは数年おきに替わるというのもあるので、先ほど何度も皆さんがおっしゃっていたように、ガイドでよければ開業の先生も納得して、みんな使えるかと思ったのですが、ガイドラインが余りにもいろいろな学会からいろいろ出てくると、年度ごとに違うということもあるので、その辺は何か良い方法で解決していただけたらと思います。ちょっと歯切れが悪くてすみません。

○門脇構成員 私も全くそのとおりだと思うのです。恐らくガイドラインも必要だし、ガイドも必要で、やはり総合的なもので、実際には糖尿病学会も糖尿病の診療ガイドラインと、それから治療ガイドがあって、診療ガイドラインは3年に一遍、学会によっては5年に一遍ぐらい、よくシステマティック・レビューをして、その間のエビデンスに基づいたコメンデーションということを出すわけです。

 実際に、それは診療の現場では、なかなかすぐに活用しにくいので、それに裏打ちされながら糖尿病学会であれば治療ガイドというものが、非常に多くのかかりつけ医、あるいは専門医、それから他疾患専門医にも使っていただいて、その場合には3年や5年に一遍ではなくて、2年に一遍ずつ改定するようにして、恐らく南学先生の診療ガイド検討委員会でも、そのような形での診療ガイドラインと、ガイドの総合的な活用というようなものを検討していただけるのではないかと期待しています。

○柏原座長 ありがとうございます。日本医学会連合は大所高所から全体像を考えていただいているということで、その動向も見ながらやっていきたいと思います。まだ残りの課題がありますので、6ページ目の➃人材育成の所です。この()今後実施すべき取組、あるいは()評価指標に、療養指導士の数であったり連携事例数、こういうものが挙げられていると思います。療養指導士の数については、このNPO法人がこれからもやっていくと思います。この人材育成につきましては、先ほども少し御意見がありましたが、いかがでしょうか。

○川本構成員 全体像のまとめていただいた所には、療養指導士とメディカルスタッフと書いてあるのですが、こちらのほうは医療従事者という表現になっていますけれども、どちらかに統一したほうがいいかということが1点です。

 それから、これからの腎臓病の療養指導士等を育成されるために尽力されると思うのですけれども、既存の専門性の高い医療従事者がおります。例えば透析看護の分野を専門にしている認定看護師という者がおります。現在237名おります。ただ、2県ほどゼロという県もありますが、そのような状況でおりますので、この人たちを有効活用していただければと思っています。こちらのほうは腎臓の看護の日本腎不全看護学会等が教育等に貢献しておりますので、知識等は、かなりのものを持っているのではないかと思っております。

 それから、関連する分野としては糖尿病看護という分野もあります。そちらは860名おりますので、そちらのほうの専門職を活用していただくということも、この方法が更に推進されていくのではないかと考えております。

○柏原座長 分かりました。是非、そういった専門看護師の方々についても、最終的な方法・手段を反映していただければと思います。いかがでしょうか、人材育成に関しましては御意見ありますでしょうか。それでは後ほど、お気付きの点は、また御意見を頂くということで、最後に、➄研究開発の推進のところにつきましては、その性格上、評価指標というものを設けておりません。内容については先ほど見ていただきましたが、何か追加で御意見を頂ければと思います。これは実際に南学先生に取りまとめていただいたのですが、何か追記するようなことはありますか。7ページ目になります。

○南学構成員 基本的に重要なところは全部網羅されていると思います。恐らく研究というのは思いも寄らないことができてくるので、例えば5年後に、何かこのままでいいのか、それとも全く新しい、今ここにいる人が誰も思い付いていないようなことが起きてくるかもしれないので、そういった場合に、また方針の見直しなどが必要になるかもしれないということは、ひょっとすると追記しておくべきかもしれません。

○柏原座長 ありがとうございます。中元先生、いかがですか。

○中元構成員 やはり今後、さらにAIIT、さらにこういったビッグデータの利用、さらにロボット機械といった、明らかに医療の流れが変わってきていますよね。そういった分野が、もう少し教育指導等も含めて研究にも関わってくるようなニュアンスを非常に持っています。そういう意味ではもう少し、10年後も踏まえた研究を入れたほうがいいような気がします。

○柏原座長 なかなか予測しにくいところもあるということだと思います。

○松村構成員 もっと根本的なところが、ちょっと気になってしまったのですが、この表で「かかりつけ医から腎臓専門医」と書いてあるのですが、糖尿病の専門医に掛かっている患者さん、それから高血圧の専門医に掛かっている患者さんからも腎臓専門医に紹介するという、かかりつけ医「等」か何かが入らないと、ちょっと片手落ちかなと、今、気が付いてしまったのですが、かかりつけ医からだけ腎臓専門医の紹介でよろしいのでしょうか。

○柏原座長 これは先ほど門脇先生も言及されたのですが、専門医間の紹介基準も、これから作っていくということです。

○松村構成員 ですから、ここにかかりつけ医「等」からとか、何か入れなくてもよろしいのかという疑問です。

○南学構成員 作成したときの意図としては、まず、これはかかりつけ医の先生から専門医への紹介基準を作って、その次の段階として、専門医間のものを作るということで、それは恐らく少し違ったものになります。「等」を入れてしまうと、次のものと矛盾ができてしまうので、まず、これを作ったという状況になります。

○松村構成員 まず、これでよろしいわけですね、分かりました。

○門脇構成員 よろしいですか。そして、この緑の所の腎臓専門医、医療機関等の下を見ると、「メディカルスタッフ、他科専門医等との連携」と書いていて、そこの「他科専門医」という言葉が出てくるというのが、そういう意味ではないかと思います。

○松村構成員 なるほど、そうですね。

○門脇構成員 ちょうどここにいい言葉があって、先ほどは他専門医や他疾患専門医というようなことはどうかと思ったのですが、他科専門医というのは、これが一番いい言葉かと。それをもしかしたら、先ほどの非腎臓専門医の代わりに他科専門医と、ここで既に使っているので、それがいいような感じがいたしました。

○松村構成員 そのほうが分かり良いですね。

○柏原座長 ありがとうございます。

○中元構成員 私、大学病院で総合診療をやっていて、かかりつけ医からも当然たくさんの腎疾患の紹介を受けるのですが、ものすごく最も多いと認識しているのが、今はドックです。人間ドックなどで見付かった患者さんや、健診で見付かった患者さんが、直接、専門医に来られることが多い。これは総合診療をやっていると、ものすごくそれを感じますし、そのニュアンスがここに入っていないのは、ずっと私は気になっていました。現場を見ていないのかなと認識を持ちます。

○福井がん・疾病対策課長補佐 この資料2の基準というのは、かかりつけ医から専門医療機関等への紹介基準ですけれども、これとは別に健診から医療機関への紹介基準、受診勧奨基準というのは別にありまして、それは前回も御紹介。

○中元構成員 それは入れるべきではないですか、腎疾患全体を把握するには。

○福井がん・疾病対策課長補佐 紹介基準は資料2だけではなくて、そちらの健診からの紹介基準も併せて、紹介基準として資料4には記載させていただいているところです。

○中元構成員 それなら、いいと思います。

○柏原座長 それも昨年、整備したところです。いろいろ御意見を頂きまして、最後に資料3-2と資料4、資料3-2については、今、個別に議論いただいたところで、それをこの中に、また反映いただけると思います。最後の資料4に全体像というものがあって、これは恐らく今回の報告書の中でも長く引用されてくるような資料になってくると思います。これにつきまして何かお気付きの点があれば、非常に工夫されていると思うのですが、腎臓病の病期と、それぞれの施策、5本柱ごとに病期に応じて対策を考えていただき、今回の腎疾患対策のスコープから少し外れた予防の辺りも書いていただいていると思います。何かお気付きの点があれば、是非、御指摘を願えればと思います。福井先生、何か追加で解説がありますか。

○福井がん・疾病対策課長補佐 前回の報告書にはなかった点としては、腎代替療法や合併症予防など、全体目標の変更に伴って書かせていただいているところもありますので、中元構成員などに御意見を頂ければと思います。

○中元構成員 全体像としては、人材育成という取組、これは非常に流れとしていいので、重症化予防という観点で、慢性腎疾患も入ってきたということで、資料4のほうに合併症予防といったCKDの定義に、DKDの人もニュアンスとして入ってきたのかという気がしますので、それなりの進歩はあるのかという気はします。もう少しそういった重症化予防というところ、合併症予防というところの観点が入ってくると、我々透析医学会等としては、より良いという気はしております、次のステップで、是非、入れていただければという気はします。

○柏原座長 本文の中に、もう少し各論的なことが、多分、盛り込まれていくとは思います。でも、今回の新しい報告書で、透析以外の3もスコープの中に入ってきたというのは、大きな進歩だと思います。

○馬場構成員 これは最終的には、市町村などの現場のほうに降りる資料として考えていいのでしょうか。まだ時期尚早ですか。これは確かに非常に分かりやすいのです。

○福井がん・疾病対策課長補佐 報告書の資料の1つにはなると思いますけれども、まだ改良を進めておりますし、この1枚だけで報告書の図表ではなくて、あと何枚か併せて説明をさせていただこうと思っておりますので、また次回の検討会で提示させていただきたいと思います。

○馬場構成員 分かりました。是非、期待していますので、よろしくお願いいたします。

○柏原座長 恐らく、今日は初めて目にしていただくので、これからまた気付かれる点もあろうかと思います。今日の会議の時間のこともありますので、この点も含めて、お気付きの点があれば、最終的な報告書()を作るまで時間がありますので、是非、厚生労働省のほうに御意見を寄せていただければと思います。いかがでしょうか、全体を通して何か御意見があればお願いしたいと思います。

○羽鳥構成員 中元先生にお伺いしたいのですが、先ほどの、いわゆる健診からダイレクトに専門医療機関に来る例が多いということだったのですが、ということは、それはかかりつけ医を持っていないからそうなってしまった。あるいは毎年、会社で健診を受けているのに突然悪くなってそちらへ行くということですか。

○中元構成員 ありがとうございます。現実的には、やはり健診を受けていて、今まで掛からなかった人というのも当然いっぱいいますけれども、やはり人間ドックが非常に普及してきて、そういった健康意識を持った人がかかりつけ医を持っていなかった。気が付いたらCKDだった。窓口が総合診療なので、総合診療のほうで、かなり。

○羽鳥構成員 では逆に言ったら、総合診療がかかりつけ医という意味ですよね。

○中元構成員 という形に、今後、なる可能性はあります。

○羽鳥構成員 先生がたまたま総合診療専門医であり、透析医であるからということですよね。

○中元構成員 そうですね。ただ、かかりつけ医を経ずして専門医に行く方が、非常に今後は増えていくような気がします。

○羽鳥構成員 先生、余りそれを強調されると、日本医師会からパチンと来ますので。

○中元構成員 そういった方をどういうニュアンスに入れるかというのは、重要なポイントだと思います。

○柏原座長 新しく保健指導に関する実際の指導法については、昨年、これも確定しておりますが、その中には、eGFRの低下だけではなくて蛋白尿のあった場合に、かかりつけ医の受診勧奨だったり、なければ保健指導だったり、かなり細かく書かれていたと思います。

 今日は限られた時間の中で多くの議論を頂き、御意見を頂きましたことを、改めて感謝申し上げたいと思います。次回は今まで頂いた御意見を、いよいよ最終的に反映させていただいて、報告書()を事務局のほうから提示していただき、議論を頂きたいと思っております。そのほか、事務局のほうから何か議事や御連絡はありますでしょうか。

○福井がん・疾病対策課長補佐 ありません。

○柏原座長 それでは特にないようでしたら、ちょうど予定していた時間になりました。本日の会は終了したいと思います。どうも御協力ありがとうございました。

 


(了)

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