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2018年7月26日 第2回 医療等分野情報連携基盤検討会 議事録
政策統括官付情報化担当参事官室/医政局研究開発振興課医療技術情報推進室
○日時
平成30年7月26日(木)10:00~12:00
○場所
スタンダード会議室虎ノ門ヒルズFRONT店2階大ホール
(東京都港区虎ノ門1-22-14ミツヤ虎ノ門ビル3階)
○出席者
秋山 智弥 (構成員) | 秋山 祐治 (構成員) | 石川 広己 (構成員) |
大道 道大 (構成員) | 大山 永昭 (構成員) | 金子 郁容 (座長代理) |
近藤 則子 (構成員) | 齋藤 俊哉 (構成員) | 澤 智博 (構成員) |
宍戸 常寿 (構成員) | 杉山 茂夫 (構成員) | 高橋 弘明 (構成員) |
田尻 泰典 (構成員) | 知野 恵子 (構成員) | 三好 昌武(構成員) |
森田 朗 (座長) | 山本 隆一 (構成員) | |
事務局 |
○議事
○笹子政策企画官 定刻となりましたので、ただいまより第2回、医療等分野情報連携基盤検討会を始めさせていただきます。構成員の皆様方におかれましては大変お忙しい中、本検討会にご出席をいただきまして誠にありがとうございます。3月29日に開催されました第1回検討会におきまして、医療等分野情報連携基盤技術ワーキンググループの設置をお認めいただきました。その後、ワーキンググループでは座長である山本構成員の下、6回にわたりまして精力的にご議論をいただき、医療等分野における識別子の在り方、及び医療等分野の情報連携基盤となる全国的なネットワーク、あるいはサービスの構築に向けた工程表について、ワーキンググループとしての結論を取りまとめていただきましたのでご報告いたします。開会に先立ちまして、厚生労働省医務技監の鈴木よりご挨拶を申し上げます。
○鈴木医務技監 医務技監の鈴木です。今日は暑さも少し和らいだとはいえ、まだまだ暑い中、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。今、説明にありましたように、本検討会を3月に開始していただいた後、ワーキンググループで識別子、それからネットワーク等々についてご検討をいただきました。多くの構成員の先生方にはワーキンググループのメンバーとしても兼務をしていただいて、4月から精力的な検討をしていただいて、7月11日にワーキンググループとしてのIDに関して、それからネットワークについての工程表を座長一任でおまとめいただいたということですので、ここで、この場をお借りして厚く御礼を申し上げたいと思います。
本日はワーキンググループの取りまとめについて紹介をさせていただき、本検討会としても情報基盤としてのIDの仕組み、それからネットワークの工程表をぜひおまとめをいただければと思っております。おまとめいただけました場合には、検討会およびワーキンググループの結論はここで中締めとさせていただいて、当面、厚生労働省におきましても予算等の要求等を含めて、今年後半に向けて継続的に検討会で議論を進めさせていただきたいと思います。
また、ビッグデータの活用、それからPHRなどを含めたデータヘルス改革につきましては、先月、閣議決定されました未来投資戦略等でも、2020年度にその具体化を図ると規定されておりますので、本検討会において議論いただいているIDそれからネットワークについても、議論の段階、計画の段階からいよいよ実行の段階に移ってきたということです。引き続き構成員の先生方のアドバイスをいただきながら、われわれとしても努力をしていきたいと思いますので、引き続きご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
○笹子政策企画官 続きまして、構成員につきまして今回より変更がございますのでご紹介いたします。資料4の構成員名簿をご覧いただけますでしょうか。
これまでご参加いただきました熊谷構成員、下邨構成員におかれましてはご退任されまして、新たに秋山智弥様、高橋弘明様に構成員としてご参加していただくことになりましたのでご紹介させていただきます。秋山様、高橋様、一言ずつごあいさついただけますでしょうか。
○秋山(智)構成員 日本看護協会、副会長の秋山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○高橋構成員 JAHISの高橋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 ありがとうございます。本日は樋口構成員から欠席とのご連絡をいただいております。
また、事務局において異動がございましたので紹介させていただきます。
サイバーセキュリティ・情報化審議官、椿でございます。
○椿審議官 7月20日付けで厚生労働省サイバーセキュリティ・情報化審議官となりました椿と申します。
よろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 次に資料の確認をさせていただきます。
お手元に議事次第、座席表の次に資料1、医療等分野における識別子の仕組みについて、ワーキンググループ取りまとめ。資料2、医療等分野の情報連携基盤となる全国的なネットワークやサービスの構築に向けた工程表、ワーキンググループ取りまとめ。資料3、データの利活用も見据えた標準規格策定の方向性に関する研究、澤構成員提出資料。その下に参考資料が1から9まで、付いております。
資料の不足などがございましたら事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。
よろしゅうございますか。
それではこれより議事に入りますので、円滑な議事進行のため、撮影等につきましてはここまでとさせていただきます。
森田座長、議事進行につきましてよろしくお願いいたします。
○森田座長 皆さまおはようございます。暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。先ほどから事務局からも紹介ございましたとおり、医療等分野情報連携基盤技術ワーキンググループでは、全部で6回にわたりまして医療情報の連携に必要な識別子と、全国的な保健医療ネットワークについて、精力的かつ建設的なご議論をいただいたと伺っております。
ワーキンググループの座長をお願いいたしました山本構成員、および関係構成員の皆さまにおかれましては、大変難しい課題につきまして精力的にご審議をいただき、案をお取りまとめいただいたということですので、心から感謝を申し上げたいと思っております。そこで、本日はその結論につきましてご報告をいただき、構成員の皆さまにご議論をお願いしたいと思っておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。それでは早速ですが議題に入りたいと思いますので、議事1、医療等分野における識別子について事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 事務局でございます。
冒頭、まず未来投資戦略が6月15日に閣議決定されております。参考9、2ページ目の一番上をご覧ください。医療等分野における識別子(ID)の在り方について、個人単位化される被保険者番号も含めた基盤を活用する方向で検討し、本年夏、早急に結論を得て、医療等分野におけるデータ利活用を推進する、と書かれております。
また本日、もう1つの議題のネットワークですが、その下、2の医療機関等における健康・医療情報の連携・活用という項に全国的に共有すべきデータとして、レセプト情報やサマリ情報などのミニマムデータセットを定めるとともに、データ共有を行うための標準規格等を策定する。併せてレセプト情報の診療等への有効な活用方策を検証する。
次のポツでありますが、新規のネットワーク構築及び既存のネットワーク更改に当たっては、上記の標準規格などに合致するものを支援するなど、適正規模の持続的な地域医療情報連携ネットワークの構築を促す。3つめのポツですが、上記を含め、費用対効果の観点も踏まえつつ、個人の健診・診療・投薬情報が医療機関などの間で共有できる全国的な保健医療情報ネットワークについて、本年夏を目途に具体的な工程表を策定し、必要な実証を行いつつ、平成32年度からの本格稼働を目指す。併せて当該工程表に、保健医療情報ネットワークにおける介護情報の提供について盛り込む、といった本検討会あるいはワーキンググループでのご議論を踏まえた書きぶりになっているということをまずご報告させていただきます。
その上で識別子の仕組みについて、私のほうから大変恐縮ではございますが、ワーキンググループでのご議論、そして取りまとめについてご説明させていただければと存じます。参考の3をご覧ください。
ワーキンググループにおきましては、これまでの見えない番号を新たに発行する案というものと、被保険者番号などを活用する案ということで、さまざまご意見がありご議論をいただきました。構成員の方は、多くワーキンググループの構成員と重なっておりますけれども、あらためて1ページ目から簡潔にご説明いたします。
A案ですが、医療等IDとして見えない番号を新たに発行する案ということで、左側がビッグデータ連結、データベース間の医療情報連結ということ、右側が診療現場でのカルテ情報などの閲覧という、そういったユースケースごとに整理したということです。
真ん中の医療等ID発行機関というものが医療機関向けIDというものを医療機関に発行いたしまして、左側でいいますと医療機関AがデータベースAに医療機関向けID、氏名、生年月日、医療情報、そういったものを提供するという、そういったケースがあったとして、そうした場合にデータベースAは医療機関向けIDを真ん中の発行機関に通知して、それによって研究用IDというものを、データベースA向けのIDというのを発行してもらうという仕組みです。その下のデータベースBというものも、同じように医療機関向けIDを基にデータベースB向けの研究用ID、同じ人であっても違う番号を振り出してもらう。仮にデータベースAとBを連結するという場合には、さらにデータベース向け研究用ID3というものを発行してもらった上でデータ連結をするという案です。
右側の情報連携の方については、IDは医療機関A、右上ですが、医療機関B、右下ですが、それぞれ同じ番号が振られているわけですので、医療機関Bから過去の医療機関Aの医療情報を参照しようということになりますれば、全国的なネットワーク、真ん中の所在管理機能のところにおいて医療機関向けIDと地域ネットワークの所在情報が登録されていれば過去の診療情報等を参照することが可能になる、閲覧することが可能になるという案です。
B案ですが、これも左と右、A案と同じユースケースということですが、それぞれビッグデータの方は、吹き出しが付いておりますが、大量の医療情報が集積するということですので、より高い水準のセキュリティを確保する必要がある。あるいは医療情報の提供などに関して患者本人の同意が得られていない場合があるといった特徴を踏まえた対応が必要ということです。
従いまして、A案は被保険者番号などを活用する案ですが、真ん中にある被保険者番号の管理機関というものに対して、先ほど申し上げたような医療機関Aに対してなんらかのIDを発行するということではなく、医療機関Aから被保険者番号、氏名、生年月日、医療情報、それがデータベースAに提供されるということです。データベースBも同じ人が転職等によって被保険者番号が変わった場合に、被保険者番号2ということで医療機関Bから医療情報がデータベースに提供されている。ここでデータベースAとBについて連結を仮にしようという場合においては、この被保険者番号の管理機関から被保険者番号の履歴をデータベースAなどが持つことができれば連結することが可能ということでありますが、先ほど申し上げたような、吹き出しにあるような特徴を踏まえまして、被保険者番号そのもので連結するということではなくて、被保険者番号から連結符号である見えない番号を取り決めて作った上で、これを用いて連結していただくというのはどうかというご提案でございました。
右側の方ですが、吹き出しに特徴として、医療機関による患者の医療情報の閲覧などに関して患者本人の同意を得ているという、そういった特徴があります。この場合においても先ほどの医療機関A、これが過去の受診した情報でございまして、その場合には被保険者番号1で受診していた。現在、右下の医療機関Bで受診した場合、これ被保険者番号1であれば問題ないわけですが、これが転職等によって変わった場合には被保険者番号2になっているという場合に、どのように医療機関Bから医療機関Aの情報を閲覧するかということになりますと、全国保健医療情報ネットワークの真ん中にある、先ほどのA案と同様の所在情報管理の仕組みの中に、過去の被保険者番号1においては地域医療連携ネットワークαという場所で受けました、現在は被保険者番号2を用いて、地域連携ネットワークβで受けましたという、そういった情報を登録していただくことになる。その場合において、真ん中にある被保険者番号管理機関から、全国保健医療情報ネットワークがこの被保険者番号1と2というのが同じであるという情報が提供されれば、医療機関Bから医療機関Aの情報が閲覧することが可能になるという仕組みです。
3ページ目ですが、A案・B案の比較ということで、A案につきましては、目的別に複数の見えない番号を発行するということで、研究用IDは研究機関ごとに発行するなど、目的別・研究機関別に新しい識別子を発行・管理する複雑な仕組みということで、複雑にすることによって医療情報漏洩時のリスクを低減するということでございます。また、特徴の2つ目といたしまして、番号そのものを比較すれば被保険者番号と見えない、容易に書き取りができないという意味でございますが、その番号を比べた場合には本人を特定できる可能性というのは、当然のことながら見えない番号のほうが低いということとです。
B案の特徴です。右上の1つ目の丸ですが、医療保険の仕組み、個人単位化された被保険者番号の履歴確認の仕組みを活用して、外部からの被保険者番号を用いた照会に対して、同一人の被保険者番号の履歴を回答する簡易な仕組みということです。2つ目の丸ですが、データベース内の医療情報の連結には、被保険者番号の履歴を用いつつ、データベース間の医療情報の連結には、先ほどB案の左の方でご説明したとおり、一方向変換された連結符号、見えない番号を作っていただいて、それで連結することによって情報漏洩時のリスクを低減するという工夫ができるのではないかということです。
被保険者番号につきましては、個人識別符号として個人情報保護法の規制がございますし、今後、被保険者番号の履歴の提供先につきましては、セキュリティが確保されているなどの主体に限定する、すなわち誰もがこの履歴管理主体から提供を受けることができるわけではないという限定を掛けることによって、さらにリスクを低減してはどうかということです。
下半分が課題です。A案の方に目を移していただきますと、A案の方は番号を発行するということでありますので、新たなIDを規律する法制措置が必要ではないか。2つ目ですが、IDの発行機関であるとか研究用IDの提供制限、こういったものに関する法制措置が必要ということでございます。さらに3つ目の丸ですが、システム的にID発行・管理のための新たなシステムの構築が必要ということですし、医療現場における課題ということで下3つの課題を掲げさせていただいております。医療機関側では、医療機関向けIDを取り込むためのシステム改修が必要ということ。医療機関は見えない番号を適切に管理する必要がありますし、一番下にございますが、本人から開示請求があれば見えない番号でも開示義務があるということ。一番下の丸ですが、診療現場で医療情報の提供などに関して、新たな複数のIDの発行・活用の仕組みについて患者様に説明を行う必要があるというところは煩雑ではないかという課題があるということです。
一方で、B案ということで右側に目を移していただきますと、1つ目の丸でございますが、先ほどご説明いたしましたとおり、被保険者番号履歴の提供先の制限であるとか、あるいは連結する際の取り扱い、データベース間の連結時には連結符号を用いるということについて法的な手当てが必要だろうと思っております。2つ目の丸ですが、医療保険の仕組みの中で構築予定の被保険者番号の履歴管理システムを活用するということですので、被保険者番号の履歴を外部に回答するシステムのみ構築するということになりますので、A案に比べれば低額になるということ。医療機関側でございますが、新たなIDを取り込むための特段の対応は不要ということ。最後に、医療現場ということで、新たなIDに比べれば、診療現場で医療情報の提供などに際しての説明は簡易という、そういった比較を出させていただきまして、ご議論いただいた結果が資料1ということでございます。なお、参考の4のところにワーキンググループにおける構成員の主な意見ということはまとめさせていただいておりますので、必要に応じてご参照いただければと思っております。
その上で資料1をかいつまんでご説明させていただきます。1ページ目は目次で、2ページ目からこの識別子を導入する背景・検討の経緯ということを書かせていただいております。
1つ目の丸ですが、人生100年を見据えて、質の高いヘルスケアサービスの効率的な提供であるとか、国民の健康寿命を伸ばしていくということで、社会保障制度の持続可能性を確保していくという、そういった課題に対応することでありますが、そのためにこのICTを活用した情報の利活用を推進するということは、こうした課題の解決の鍵となりうると書かせていただいております。こうした状況の中で、この医療情報などの共有・収集・連結を安全かつ効率的に行うための識別子の導入が求められているということを受けて、ここからがこれまでの経緯ですが、2014年に厚生労働省の医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会が設置されて、2014年12月に中間取りまとめが行われました。
3つ目の丸に移っていただきまして、その後の閣議決定におきましても、この医療等分野における番号の具体的な設計などについて検討するとともに、仕組みの導入を目指すべき旨が政府の方針として示されているということです。その後、番号制度研究会が平成27年12月に取りまとめた報告書、これは金子座長代理がこの研究会の座長でいらっしゃいましたけれども、この報告書では以下の仕組みについて考え方が示されました。個人識別の一意性の確保、医療機関間の情報連携の実現、二重投資の防止の観点から、マイナンバー制度と医療保険におけるオンライン資格確認の基盤を利用する。マイナンバー制度を活用して一意性を持った識別子(容易に書き取り等ができない電磁的な符号)ということですが、これを地域医療連携や研究活用などの目的ごとに生成し、オンライン資格確認のインフラを活用して医療機関等に発行する。3つ目のポツですが、識別子の発行・管理はマイナンバー制度のインフラを活用したオンライン資格確認の仕組みと一体的に行うことが効率的である、ということがこの27年12月の報告書で取りまとめられたということです。
一番下の丸ですが、その後、先ほど医務技監からのご挨拶にもございましたけれども、厚生労働省においては昨年1月にデータヘルス推進改革本部を設置いたしまして、この本部の取り組みの1つとして、個人の情報、健診・診療・投薬情報などを医療機関などの間で共有できる全国的な保健医療情報ネットワークであるとか、健康・医療・介護のデータベースで保有するデータを個人ごとに連結・分析できるようにする仕組みの構築を進めることとしました。その他にもがんゲノムの推進であるとか、科学的介護の推進であるとか、さまざまな政策パッケージを発表しましたが、その1つとして掲げられているということです。
3ページ目をご覧ください。関連の動きということでご紹介させていただいています。昨年5月に施行された改正個人情報保護法ですが、病歴等について、より慎重な取り扱いが必要な要配慮個人情報として定義され、要配慮個人情報については法令に基づく場合などを除き、あらかじめ本人の同意を得ないで取得や第三者提供をしてはならないということになっております。また、次の丸ですが、昨年の5月には、いわゆる次世代医療基盤法が成立しまして、本年5月に施行されているということです。
こうした状況の下、「新しい政策パッケージ」が昨年12月に閣議決定され、「医療保険の被保険者番号について従来の世帯単位、これを個人単位化し、マイナンバーのインフラを活用して、個人単位で資格情報などのデータを一元的に管理する仕組みについて検討し、オンライン資格確認の2020年からの本格運用を目指す。また、こうした基盤の活用も含めて、医療等分野におけるIDの在り方について引き続き検討し、来年夏、昨年の閣議決定でございましたので来年夏と書いておりますが、来年夏を目途に結論を得る、とされたという、そういった経緯を書かせていただいてございます。こうした背景の下で、厚生労働省医務技監が開催する検討会及びその下に設置されたワーキンググループにおいて、このIDの仕組みについて議論を行ってきたということ。
その次ですが、ワーキンググループでは、先ほどご説明した、目的別に新たな識別子を発行する仕組みの案と、個人単位化された被保険者番号及び個人番号で一元的に管理されたその履歴、以後、これらを「被保険者番号履歴」と申し上げますが、これを活用する仕組みの案について、セキュリティの確保、識別子の利用主体や提供主体、コスト、現場の医療機関などの負担などを勘案して議論を行いました。その結果、新たな識別子を発行する仕組みの案については、新たに生じるコストなどを含め、実現可能性になお課題があり、後ほどご説明するような一定の措置を併せて講ずることによって、被保険者番号の医療等分野における識別子の1つとして活用することが現時点においては現実的という結論を得たという取りまとめをいただいております。
4ページ目をご覧ください、識別子の検討というところで、1つ目の丸ですが、現在の被保険者番号は後期高齢者医療制度を除きまして世帯単位であるということです。被保険者の資格管理は保険者ごとに行われているということですので、これまで特定の個人の識別や加入する保険者が変わった場合の同一人物の確認に用いることは困難であった。しかしながら被保険者番号、これが個人単位化、そしてその資格情報の一元的な管理が実現すれば、被保険者番号履歴を用いることによりまして4情報、氏名、性別、生年月日、住所ですが、こういったものを用いる場合に比べまして、特定の個人の識別や同一人物の確認を効率的に行うことが可能になると考えられるということです。
2つ目の丸ですが、この履歴を活用する仕組みとしては、医療情報などの共有・収集・連結を行う者が、必要に応じて、被保険者番号履歴を管理・提供する主体から対象者の被保険者番号履歴の提供を受けることができる仕組みを整備することを基本として、ユースケースとして、1研究目的のデータベースの運営主体が収集した個人の医療情報などを個人単位で連結するための名寄せであるとか、2地域のネットワークに参加する医療機関などの間で健診・診療等に関する情報の共有にこの履歴を利用することが想定されるということです。
また、現状として、わが国は、ほぼ全ての医療機関及び薬局が公的医療保険制度に加入して、医療サービスの大部分が公的医療保険制度で提供されているということ、医療機関及び薬局においては被保険者番号と保険診療に係る情報が個人ごとに対応して管理されているということと、医療保険制度の運営基盤がおおむね電子化されているという現状をご紹介した上で、最後の丸ですが、新たな識別子を発行する仕組みにおいては、識別子を発行・管理するためのシステムの構築が必要となるほか、医療機関側において当該識別子を管理するシステム改修が必要となるということで、これに対して履歴を活用する仕組みの場合には既存のシステム、インフラの活用が可能ということで、二重投資を回避し、医療機関などにおけるシステム改修を極力抑えて効率的に医療情報などの共有・収集・連結を行うことが可能になるとの記述になっております。
5ページ目をご覧ください。ワーキンググループにおけるご議論の経緯です。被保険者番号の取り扱いについて必要と考えられる措置ということです。1つ目の丸ですが、平成27年の番号制度研究会の報告書では、識別子は人間の目で認識でき、書き取り等可能な見える番号よりも電磁的な符号である見えない番号を用いるほうが適当であるとの議論が行われました。2つ目の丸ですが、見える番号と見えない番号では、番号そのものについては先ほどA案・B案のところでご説明したとおり、盗み見など情報通信技術を使用しない方法での不正取得のリスクに番号だけを比べてみたら差異があるのは当然ですが、医療機関や多くのデータベースでは本人を特定できる情報(4情報や被保険者番号)と医療情報などが併せて管理されていると考えられます。この場合において、医療情報などを見えない番号によって管理したとしても、最も注意を払うべきリスクである医療情報などが、個人が識別される形で漏洩するリスクは変わらないと考えられます。病歴などは個人情報保護法の要配慮個人情報に該当しまして、また、病歴等を含む医療情報などを扱う主体は個人情報保護法に基づいて安全管理のために必要かつ適切な措置を講ずることが求められるとともに、医療機関などは『医療情報システムの安全管理に関するガイドライン』などに基づいて適切なセキュリティ対策を講ずることが求められているということで、医療情報などが、個人が識別される形で漏洩するリスクに対しては、こうした措置などの実施により対応する必要があるということです。
次の丸ですが、一方で、被保険者番号の現状ということで、医療保険の保険者による加入者の管理番号として用いられているということですが、医療保険各法、健康保険法等ではそれ以外の用途での利用について特段の制限規制は設けていないということです。一方で、基礎年金番号あるいはマイナンバー、こういったものは、民間での目的外利用を排除するため、法律によって告知要求制限などの規制が行われているということ。他方で、被保険者番号は個々の保険者が付番するということから、加入する保険者の異動などによって番号が変わりうるものである点において、基礎年金番号とかマイナンバーとは異なるほか、医療保険の資格確認などの目的以外に、加入者が勤務する事業所において社員番号として利用されていることもあり、また、被保険者証は運転免許証やパスポートに準じて本人確認書類として幅広く用いられているといった現状を記述しております。
こうした状況を踏まえると、今後、被保険者番号が個人単位化された場合であっても、一律に民間での利用を排除することは現実的ではないということです。
しかしながら個人情報保護法に規定される個人識別符号ですが、こうした個人識別符号として、個人情報保護法に基づき適切な取り扱いを確保する。これは当然ですが、本人が関与しないところで被保険者番号が流通・利用されることを防ぎ、より適切な取り扱いがなされるよう、リスクと利用の必要性を勘案しながら、被保険者番号を取り扱う者などを対象とするガイドラインを制定することや、被保険者ご本人に対して、この被保険者番号の第三者提供について同意を求められた場合には慎重に判断すべきであることについて周知を行うことなどを検討する必要があると、おまとめいただいております。
その上で、さらに必要と考えられる措置ということで、1つ目の丸ですが、個人単位化された履歴が一元的に管理されるということですので、転職・退職などにより加入する保険者が変わっても、この履歴を用いて個人を識別することが可能になることなどから、被保険者番号履歴を履歴管理提供主体から取得できるものの範囲は必要最小限にすべきであるということです。従いまして、被保険者番号を活用する仕組みにおいては、履歴の提供を受けることができる者の範囲を、原則として被保険者番号履歴の利用目的が法令などにおいて明確にされていること、さらにはセキュリティ対策がしっかりしているということで、適切な組織的、物理的、技術的、人的安全管理措置が講じられていることなど、一定の基準に該当する者に限定すべきであるという、必要と考えられる措置がこういったものであると、おまとめいただいております。
4の活用する仕組みということですが、新たな識別子を発行する案については、以上のとおり、生じるコスト等も含めて、実現可能性になお課題があることから、申し上げたような一定の措置を併せて講ずることにより、このIDの1つとして活用することが現時点においては現実的である。具体的には医療情報などの共有・収集・連結を行う者が必要に応じて、この履歴管理提供主体から履歴の提供を受けることができる仕組みの整備を目指すことが適当である、ということです。
最後に、被保険者番号の履歴を活用するということですので、これもワーキンググループの構成員の先生方から多数ご意見をいただきましたが、医療保険に加入していない生活保護受給者に係る情報連携などについては課題があるということですので、生活保護受給者に係る既存の番号の活用の可否なども含めて、費用対効果も勘案しながら検討を進めるべきである、とご提言いただいております。
7ページ目をご覧ください。今申し上げたような被保険者番号の履歴の提供主体ということですが、この履歴はその取り扱いに十分配慮すべき情報であるということですので、その主体は法律により業務内容が特定されていることや、職員などに秘密保持義務などが課される等の措置が講じられるとともに、業務の指導監督は厚生労働大臣により行われるべきということです。2つ目の丸、効率的な業務実施の観点からは、医療保険制度において、この被保険者番号を一元的に管理する主体が履歴管理提供主体となることが合理的であると考えられる、ということです。
以下、(3)はユースケースごとの検討ということで、先ほど参考3の1,2ページでご説明した、左側のデータベースのユースケースと、右側にあった地域の医療連携ネットワークを越えた医療情報の閲覧という、2つのユースケースについて検討の結果が書かれております。
データベースの利用ですが、大前提を書かせていただいております。公的データベースというものは、医療情報などの収集の目的、データベースの運営主体、匿名化した情報のみで収集しているか否か、さらにはデータの外部提供の対象範囲などが区々であるということです。従いまして、異なるデータベースで管理されているデータの連結にも利用される場合には、この収集目的との関係、外部提供する場合の対象者などの範囲について整理し、必要に応じて法的手当を行うことが必要である。従いまして、以下の内容はこうした整理などがなされた場合において、データベースの運営主体が必要に応じてこの仕組みを利用するケースを整理したものであるという、大前提を書かせていただいております。
IDがあるからといってデータベースをつなげていいということではなくて、きちんとそのデータベースの目的、外部提供の可否等々をきちんと整理した上で、必要に応じて法的な手当を行った上で連結していいということであれば、こういった被保険者番号履歴を活用した仕組みを識別子の1つとして使えるのではないかという整理の仕方だということです。
その上で、「ア」をご覧ください。まずデータベース内での情報連結ということで、参考3の1,2ページのデータベースAの中において、同一人物のものを連結するための名寄せに4情報のみを用いた場合には、例えば婚姻等によって姓が変わった場合には正確に連結できない場合があるということですので、この運営主体は必要に応じて、医療情報等とともに被保険者番号を収集した上で、この履歴を取得し利用することによって、正確かつ効率的に同一人物のデータを連結することができる、ということです。
次の丸は、先ほど来、ご説明申し上げているとおり、誰でも持てるわけではなくて、目的であるとかセキュリティ対策、こういったものがしっかりしている、そういったデータベースに限って履歴が提供されるということを念のために書かせていただいております。
「イ」をご覧ください。異なるデータベース間での情報連結での利用ですが、1つ目の丸は先ほどのA案、B案のところの吹き出しで書かせていただいておりましたような、データベースにおける特徴を書かせていただいております。こういった点に留意する必要があるという前提の下で、このためという2つ目の丸でございますが、医療情報等とともに被保険者番号を収集しているデータベースの間で、履歴を活用して同一人物の医療情報などの連結を行うという場合には、個人が識別できる情報の第三者提供が可能な場合を除きまして、被保険者番号履歴などの個人識別できる情報を一方向変換して、容易に書き取りができない当該データベース間で取り扱う共通の連結符号を作成しまして、データを連結する仕組みとすべきであるということで、参考3のB案の左側にあったようなイメージのことを書かせていただいております。
9ページをご覧ください。もう1つのユースケースである医療情報連携での利用ということですが、1つ目と2つ目の丸は現状を書いております。のちほど全国ネットワークのところでもご議論いただきますが、現在、患者本人の同意の下で、健診・診療・投薬情報を県や二次医療圏などの範囲におきまして、医療機関などの間で共有できるネットワーク(地域の医療情報連携ネットワーク)が各地域で、およそ260、構築されているということです。こういった地域の医療情報連携ネットワークでは、当該地域の医療情報連携ネットワークの運用主体、これもさまざまですが、独自に患者ごとに発行するID、地域IDと申しますが、こういったもの等を用いて個人の健診・診療等の情報を共有するということを行っております。ただし課題として、地域IDでは地域の医療ネットワークを越えた医療情報連携を行うことはできない、ということです。
地域の医療情報連携ネットワークを越えた医療情報連携を可能とするためには、先ほど申し上げた、患者の被保険者番号履歴と、その方がどこで診療等を受けられたかという場所情報を管理する仕組み、いわゆる広域MPI(Master Patient Index)ですが、こういったものを構築する必要があるということを書かせていただいております。ちなみにこのシステムのところでは、ここもワーキンググループでご議論がありましたが、こういったシステムにおいては、被保険者番号のほか、患者が受診した医療機関が参加するネットワークの場所の情報、診察券番号、地域ID等、必要な情報を適切に管理する必要があるということですし、このシステム内部、次の丸ですが、ここは被保険者番号をキーのIDとして管理するということではなくて、便宜的な、当然のことですが、管理番号などを用いて安全なシステムというものを使っていくということについて、引き続き全国的なネットワークの構築に向けた検討と併せて検討する必要があるという記載になっております。
そういった仕組みの下で、9ページ目の下の部分ですが、介護分野などにおける対応ということで、介護分野等での利用については別途、介護保険総合データベースとナショナルデータベースの連結の精度向上などの方策として、医療保険の被保険者番号を活用することも含めて、費用対効果も勘案しながら検討を行うという方向性が出ていると聞いておりますが、多分野での利用というものの検討を行うべきとされております。
また、PHRサービスでの被保険者番号履歴の利用につきましては、現在、医療保険制度の中でマイナポータルを活用しまして、特定健診データ、医療費、薬剤情報などをご本人に提供する仕組みの導入が検討されております。保険者が実施するPHRサービス、これには保険者との契約により、保険者以外が提供するものも含みますが、こういったものを通じて情報を提供することも想定されていることから、この検討を進めるべきであるとされております。
また、費用負担、識別子の仕組みの運営に係る費用につきましては、被保険者番号の履歴を管理し提供する主体というものは、医療保険制度の下でこの履歴を管理するシステムを運営するとともに、データベースの運営主体であるとかネットワークの運営主体などからの問い合わせに対して、この履歴を提供するシステムを運営することとなる、ということになります。こういったデータベースであるとかネットワークの運営主体、これらのシステムを利用した際の運営経費の負担の在り方につきましては、想定されるコストなどを見込んだ上で今後、検討していく必要がある、ということですし、医療情報連携ネットワークの運営主体や医療機関間の負担の在り方については、全国的なネットワークの構築に当たって検討すべき課題であるということです。そのほか、本人同意、これをどういった形で取っていくか、法的な整理も含めて今後、検討すべきであるとされております。
最後にまとめとして、以上のように、この医療等分野における識別子の仕組みについては、医療情報などの共有・収集・連結を行う者が必要に応じて履歴管理提供主体からこの被保険者番号の履歴の提供を受けることができる仕組みの整備を目指すとともに、今後、検討を行うべきとした事項については引き続き検討を進めることが適当である、と取りまとめていただいております。
長くなりましたけれども私からのご説明は以上です。
○森田座長 ありがとうございました。大変、丁寧なご説明だったと思います。それではワーキンググループの座長をお務めになりました山本構成員から、さらにコメントをお願いできますか。
○山本構成員 まず、6回にわたるワーキンググループの議論に参加いただいた構成員の方々には大変、熱心なご議論をありがとうございました。お礼を申し上げます。今の事務局からの説明に付け加えることはそれほどないのですが、本当に議論の中での流れということのお話をしますと、この報告の資料1の3ページ目の一番下の丸、それから参考の3のA案、B案ですが、このA案というのはもともと、医療等IDが満たすべき要件をどう実現するかということで、さまざまな検討会の中で共通に検討されてきたもので、これは満たすべき要件を一番表に持ってきていますので、これが一番、安全性も高くて、プライバシーの確保も容易であるということは間違いないと思います。
また、このA案というのは、実は今の番号制度、マイナンバー制度と相当程度アナロジーがあるということで、そういった仕組みを本当に活用すれば、実は導入も容易ではないかと思うのですが、なかなかそうはいかなくて、これを新たにつくるとなると、もう1個マイナンバー制度をつくるような形の費用が生じる、それから期間も生じるということで、2020年にはとても間に合いそうもないということです。それからもう1つは、この報告書の中では個人に結び付けられた、つまり一人一番号化された医療保険番号というのが前提になっていますが、これはわれわれが導入を決めているわけではなくて、保険証の資格確認の検討の中で一人一番号化を進められているという前提でお話をさせていただいておりますので、そのときに、一番号化された保険番号というのは、これはここで決めようが決めまいが、個人の医療等IDの1つにはもうなってしまう。つまり1つのIDになってしまう。そうであれば、今まで検討されてきた医療等IDの安全性であるとか、あるいは患者さんのプライバシー保護であるとか、あるいは効率的なデータベースの利用であるとか、そういったことにできる限り乗せていくといいますか、それに関する要件を整理するほうが合理的ではないかということで、ここで、3ページの一番下に書きますように、医療等分野における、最初に導入される識別子の1つとして活用するということに重点を置いた報告にしています。当然ながら、被保険者番号が今までどおり使われるのか、使われないのかと、それからその患者さんにどう説明するのかということは一応、書いてはありますが、まだ実現されてない、やっていないわけで、これから先の課題として十分注意深く検討していかなければならないと考えています。以上です。
○森田座長 ありがとうございました。それではただ今の事務局の説明と山本構成員のコメントを併せまして、ご質問、ご意見のある方は挙手をお願いしたいと思います。ワーキングのメンバーの方はもう十分にご議論されたかもしれませんが、そのさらに補足も含めまして、また、それ以外の構成員の方につきましてはこれが初めて議論される機会となろうかと思いますが、どうぞ活発にご議論いただきたいと思います。どうぞ、いかがでしょうか。ご意見ございませんか。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 日本医師会の石川でございます。今日は事務局のほうからA案、B案、本当に丁寧にご説明いただきありがとうございます。私は、平成27年の12月に医療等分野における番号制度の活用等に関する検討会が取りまとめた報告書が一番、私はあのときのベストの案だと考えておりましてずっとここまで来たわけでございます。今、山本構成員から、平成27年12月の報告書のあとの、今回のワーキンググループの経過につきましてご説明あったとおり、間に合わないということで、私たちはA案の目に見えない番号ということを、ずっとこれを目標にしてやってきたわけですが、残念ながら新被保険者番号を活用する案、これは目に見える番号であるということであります。しかし、この後いろいろと工夫をしていただけるという条件で、私はこのB案になったと理解しております。
振り返って考えますと、マイナンバーカードが提案されたときに、それを保険証、保険資格確認に導入して使ってもらいたいという提案が政府からあったときに、日本医師会あるいは三師会、薬剤師会や歯科医師会、現業の者たちは、それに反対しました。これについては、例えば7月17日にGDPRと日本は同じ域内の確認がされたということで、GDPRが日本でも同じように使えるというような形に取り決めがされたわけですが、GDPRでもやはり、医療情報については非常に重大な情報というようなことになっております。あれは基本的には、GDPRそのものは人権侵害だとかそういったものから個人情報の保護規則を作ったというようなことを考えてみますと、私たちも医療情報が、これが今回、今日で舵を切られて、見える番号で、これを工夫した形で医療情報連携やデータベースの識別子にするということを、提案を決めるわけですから、これは非常に重大なことだと考えております。
私たち、三師会が主張してきたことは、医療情報がやはり差別や人権侵害につながらないように、なるべく医療情報がその個人と結び付きが分からないようにしてもらうということが目的でずっと議論をしてきたわけですが、これがこのような形で決まったからには、さらに一層の努力と、国民に対して、この新しい被保険者番号等からいろいろな連携や医療情報のデータベースが構築されて識別子になっているのだということを分かりやすく国民に説明していただきたいと、特に国にはお願いしたいと思いますし、私たちも努力しようと考えておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○森田座長 どうもありがとうございました。それではほかにいかがでしょうか。知野構成員、どうぞ。
○知野構成員 今、石川構成員からもご指摘ありましたが、国民への説明というところですが、この資料1の報告書を読ませていただきますと、政策の必要性というのは経緯として書かれてきておりますし、それから制度の大きな改革であるということも分かるのですが、ではそれによって、私たち国民、一般の人々にとってどんな利点、プラスがあるのかということがあまり触れられておらず、その辺の疑問が残ると思います。これから費用の負担をどうするかということが議論、検討されていくのだと思うのですが、そういう負担、あるいは情報が漏れるかもしれないというリスクをも伴うものであるにもかかわらず、私たちにとっての利点、プラスになるものはなんなのかというようなことについてもう少し言及していく必要があるのではないかと思いました。以上です。
○森田座長 ありがとうございました。今の点について何かご発言ございますか。近藤構成員、どうぞ。
○近藤構成員 近藤でございます。短期間にこれだけの大仕事をなさった皆さまに、すごいなと思って本当に感動しています。今の知野先生がおっしゃった、国民に何のメリットがあるかというところですが、それは資料1の報告書の2ページのところに、世界に先駆けて超高齢社会に直面する日本が、とにかく質の高いヘルスケアサービス、国民の健康寿命うんぬんと書いてらっしゃいますが、本当にそのとおりだと思います。ですからそれにこの制度改革がどのように貢献できるのかということは、分かる人は分かるのですが、普通の人というか、あまりこのことをよく知らない人は分からないと思いますので、本当に、研究している人たちには当たり前のことですが、今、三師会の方からも説明が必要とおっしゃったように、私たちは日頃、パソコンとかスマホが分からないという人たちのために小さな草の根ボランティア研究会でボランティアサポートをしているのですが、病院ボランティアをしている人たちからよく聞かれます。「お医者さんの言うことがよく分からない」「お医者さんとコミュニケーションが取れない」と。お医者さんが当たり前のように使ってらっしゃる専門用語がなかなか患者や家族には伝わらなくて、そのことがなかなかつらい思いをする原因になっている。ますますこういう時代になってくるとそういう傾向は強くなると思います。ですので、本当に三師会の方たち、病院の窓口の方たち、保健所の方たち、区役所の方たち、そういった人たちとどうやってこの情報を共有できるかということの機会をぜひたくさん作っていただいて、全国での説明会であるとかセミナーであるとか、そういったものを積極的に開催して頂きたい。すでに高齢者にお伝えする機会は地域には山ほどあります。いろんな、高齢者大学ですとかそういったところはたくさんありますので、そういった無料で使えるさまざまな広報機会を捉えて、ぜひ分かりやすい説明をお願いしたいと思います。以上です。
○森田座長 大変重要なご指摘だと思います。ありがとうございました。ではほかにいかがでしょうか。大山構成員、どうぞ。
○大山構成員 感想と意見を述べさせていただきたいと思います。
まず感想です。今回、こういう形で山本先生がまとめていただいてできたというのは、ある意味、うれしい面があるのですが、心の中では大丈夫かと相変わらず思っているというのが本音です。何を申し上げたいかというと、私自身は住基の住民票コード、それから基礎年金番号の状態、さらにはマイナンバーとずっと見てきた者として、この今の建て付けを見ると、医療という中のある一定の限られた分野で見ると、今回の被保険者番号を使う話については、きれいに片付けたなと。しかしながら周りは全然片付いてなくて、被保険者番号というのは実はほかにも使われているという状況がございます。
ということは、ちょっと風が吹くとまたすぐ医療の中が汚れるような話になるかもしれないということをやっぱりちょっと懸念するわけでありまして、その辺は事務局側ともずいぶん話をさせていただいた中で、必要な措置は今後、最初から取らないということを言うわけじゃなくて、世の中にまず問うてみるということも1つのやり方かなと思うことから、私自身は今回、これで進むことを、それでも1つのやり方かなと思って自分なりに納得しているという状況です。
ただ、やはりこの中ではっきり、要はこの番号についてはいろんな国で状態が違うのもご案内のとおりだと思いますが、社会の需要性がどうかということに懸かっていると思うのです。その意味で、そのリスクと、それから得られるもの、このバランスをどう取っているのかということが常に大事なことで、まさしく知野構成員が言われたとおりの話だと思います。ただ、内容が分かりにくいがために、気付いたら、「えっ」という話になるのもやっぱり困るので、これはちゃんと周知しなきゃいけないよねと。それはそのとおりだと思います。
具体的に意見なのですが、資料1の5ページ目のところで、最後のところを見ていると、最後の白丸ですが、「こうした状況を踏まえると」って、それが何を言っているかというと、その上にいろんな、被保険者証が使われていたり、被保険者番号が使われていますよねという話が上に書いてあって、これを踏まえて今後、被保険者番号が個人単位化された場合にあっても、一律に民間での利用を排除することは現実的ではない、と書いてあるのですが、実は先ほど言った必要な措置の中には、これを排除することも出てくるかもしれない。そういうことを考えると、私は「こうした状況を踏まえると」から「しかしながら」まで取ったほうがいいのではないかなと。隠したいわけじゃなくて、これは民間での利用を排除することもありうるという意味で取っていただこうとすれば、逆にこれは書かないほうがいいだろうと思うところでございます。
それから大事な点は、同じ段落の中で言いますと、結局は安全措置について十分な実効性を伴ったものが講じることができるかどうかに懸かりますので、その意味では最後のところで、「判断すべきことについて周知を行うこと等を検討する必要がある」と書いてありますが、これは周知することは1つの、これも手段ですのでもちろん「等」で読めますが、「を含め、実効性を高めるための措置を検討する必要がある」と、あるいは「措置を講ずる必要がある」と書き直すべきではないかなと。ちょっと今、ここで言うのは恐縮ですが、全体見て、やはりそういうぐらいのことはしておいたほうがいいのではないかなと思うので、あえて意見を申し上げました。以上です。
○森田座長 ありがとうございました。全体についての感想、コメントもそうですけど、非常に具体的な修正のご提案がございましたが、これについてはいかがでしょうか。確認をしておきますと、5ページの一番下の丸の「こうした状況を踏まえると」というところですけど、「今後、被保険者番号が個人単位化された場合にあっても、一律に民間人での利用を排除することは現実的ではない」、これは丸ごと削除するというご提案です。
あとは文章のつなぎのために次の「しかしながら」も削除することと、そしてその次のページ、同じ項目の下の最後の部分ですが、「慎重に判断すべきであることについて周知を行うこと等を検討する必要がある」ということですが、ちょっとこれだけでは弱いのではないか。そこでさらに、例えば「実効性を高めるような措置を講じる」とか、「措置を検討する必要がある」というような一文を、一節も付け加えたほうがいいのではないかという具体的なご提案だと理解しておりますが、いかがでしょうか。はい、田尻構成員。
○田尻構成員 薬剤師会の田尻です。ワーキンググループの中でも何度か申し上げたのですが、利用者である国民の方々が今まで何気なく扱っていた健康保険証が新たなリスクにさらされる可能性があるということを、先ほどのお話にもありましたように、国民の方々に再度、きちっとした周知が必要でしょうし、やはり時間切れという背景があった訳で、今、ベストでは無いにしろ、考えられる方法としてどうなのだということでここに一文入れてきているわけですから、少なくとも、利用者である国民の皆さま方にそういう新たな一面が健康保険証自体に加わったということを再認識していただく。その努力はやっぱり必要ではないかなと思いましたので発言させていただきました。
○森田座長 ということは、大山構成員のご提案には賛成、支持ということでございますね。はい、いかがでしょうか。どうぞ、金子先生。
○金子座長代理 石川構成員が「私は、平成27年の12月に医療等分野における番号制度の活用等に関する検討会が取りまとめた報告書が一番、私はあのときのベストの案だと考えておりまして・・・」と述べておられます。私も同感です。その頃、基本は、マイナンバーから来て、それを機関別符号に変換するという流れでした。昨年度あたりに、16桁の個人番号を使うという試案が浮上し、その後の検討の結果、二桁の被保険者個人番号で進めるということになりました。そのような被保険者番号は、分かりやすいですが、私の感覚だと、マイナンバー・機関別符号と個人番号としての被保険者番号とはちょっとレベルが違うと感じています。そういう観点からすると、「普通の人」はマイナンバーと機関別符号の詳しい仕組みについては知らなくてもいいものでしょう。
被保険者個人番号については、多少の懸念が一部にはあるかなとは思います。今日の笹子政策企画官のプレゼンテーションも「もうこれで、全部決まり」ということではないようです。その辺で大事なところは先ほど大山さんもおっしゃったように、資料1の5ページの一番下の2行のところをどういう形でもって、今後、良い形でというか、皆が安心できる形で進めるかについてですね。必要に応じて、今後も議論をして行きたいと思います。
○森田座長 ありがとうございます。基本的に大山構成員のご提案に賛成という趣旨でよろしゅうございますね。ではこれについて、やはりこのまま残すべきだというご意見の方はいらっしゃいますか。いらっしゃらないようです。ではこの部分については、文言につきましては、またあらためて事務局と私と、大山先生かほかの方との間で調整をさせていただきたいと思いますが、先ほどの資料1の5ページの一番下の部分についてはもう一度申し上げますと、「こうした状況を踏まえると」、「踏まえ」で切る。「今後、被保険者番号が個人単位化された場合にあっても一律に民間での利用を排除することは現実的ではない」。この部分は削除する、ニュートラルな形にするということでよろしいでしょうか。はい、ありがとうございました。
続きまして次のページの「第三者提供について同意を求められた際には慎重に判断すべきであることについて周知を行うこと等を検討する必要がある」という文言ですが、「周知を行うこと等」のあとに、ここも文言はまたちょっと調整させていただきたいと思いますけど、趣旨としましては、その実効性を高めるための措置を講じる、それを検討する必要があるという内容を付け加えるというご提案だったと思うのですが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それではこの部分に関しましては具体的な修正ですが、そのようにさせていただきます。それではほかにご意見ございませんでしょうか。
○松本顧問 よろしいですか。
○森田座長 はい、どうぞ。
○松本顧問 顧問の松本ですが、私がこの立場で言うべきことではないかもしれませんが、今まで議論に加わってきた経緯で、この案の中に国民が自分の情報にアクセスできる、そういうことで、それから自分の情報をどのように使われたかをアクセスして知ることができるということが、個人情報保護法の改正案をつくったときのワーキンググループであったわけですね。
先ほど近藤委員からも、国民にとって何がメリットかということがよく見えないとおっしゃったので、ぜひ自分のデータにアクセスできる権利と、それからどのように使われたかを知ることができるということがあると、国民の不安がないのではないかと思うのですが、その点をよろしくお願いいたします。
○森田座長 今の点につきましては、ワーキンググループのほうでそういう検討はされたのでしょうか。山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 2つ意味があって、1つは国民に自分の医療・健康情報をきちっとお返しをして、それを個人の権限の下で管理をする、いわゆるパーソナル・ヘルス・レコードと言われているものがございます。それはこの報告書にもありますように、マイナポータルを使って、これからその基盤部分を実現していって、その上に民間がやるようなこととかそういったことを付け加えていくという形で、今、検討が進められていますので、ここはいわゆる、ここで議論している医療等IDではなくて、公的個人認証サービスを使ってやるほうがたぶん良いだろうということで整理をしております。
それからこの中で、現状、データベースの活用とかは、今、データベースは一応、匿名化された状態、あるいはその状態に非常に近い状態で分析していますので、基本的には個人が追跡することは不可能なことになっています。それが必要になるのは、たぶんこのあとにある医療ネットワーク、医療情報連携のネットワークの基盤の中で、ここでご本人がいったいどこに自分の情報が流れたのかということを明確に知る必要がある場合があると思うのですが、それはたぶんこのあとの議論の中で出てくると思いますので、そこでまたお話ししていただければと思います。
○森田座長 ということですが、松本顧問、よろしゅうございますか。
○松本顧問 はい、よろしいです。
○森田座長 ありがとうございました。それではほかによろしいでしょうか。少し時間も押しておりますので、特にご意見がないようでしたら次に移らせていただきます。また最後に全体での議論の時間も設けておりますので、さらにご意見がございましたらその場で、お話しいただければと思います。
それでは議題の2に入りたいと思います。全国保健医療情報ネットワーク、保健医療記録共有サービスについて。これがテーマでございますので、これにつきましては、今、山本構成員のほうからも触れられましたが、事務局からご説明をお願いしたいと思います。そのあと、医療情報の標準化は大変大きなテーマでございますので、澤構成員から、データの利活用も見据えた標準規格作成の方向性に関する研究、これにつきましてご説明を加えていただければと思います。それではよろしくお願いいたします。
○森田医療情報企画調整官 それではネットワークの関係のワーキンググループでの取りまとめについて、事務局からご説明させていただきます。資料2ですが、その前に参考の6、7、8をご覧いただければと思います。ワーキンググループでの議論の流れも含めてご説明させていただきたいと思います。
まず参考の6ですが、全国保健医療情報ネットワークの主な検討課題と議論の方向性ということで、1ページは3月のこの検討会でお示しさせていただきました、スタート時点での検討課題ということになります。サービスやネットワークの検討、管理・運営主体、コスト、運用ルールということで、ワーキンググループでは最後の運用ルール、この部分につきましては今後行う実証事業などを踏まえて年度後半にご議論いただくという整理にさせていただきまして、2ページ以降はサービスやネットワークの検討、管理・運営主体、コストについて課題をブレークダウンしまして、その上で議論の方向性をまとめていただきました。これはワーキンググループの1回目、2回目で議論いただき、5月の時点のクレジットになっております。
2ページ目をご覧ください。そもそも患者・国民、あるいは保健医療従事者にとってのメリット、先ほどもIDのほうでもありましたけれども、このネットワークサービスについてもメリット、意義を整理して分かりやすく国民に紹介していく必要があるとなっております。
3ページをご覧ください。データ項目のお話がありますが、今、現状の地域ネットワークは、多くは大きな病院にサーバーを置きまして、そのサーバーに収納されているデータを外から見にいくという一方通行の連携になっておりますが、やはり患者中心に考えれば、クリニックや薬局も含めて双方向でのデータ連携が要るだろう。その場合には、標準化されているという意味でもレセプトデータを活用しながら、足りないものにつきましては、サマリなどは電子カルテのデータを共有していく、そういったミニマムなデータ項目というものの整理が要るのではないかということ。
それから標準規格ですが、これも順次、厚生労働省の標準規格は定めておりますが、規格によってはなかなか現場の実装が進んでいないものもございます。これは後ほど澤構成員からもお話しいただきますが、保健医療情報標準化会議でも議論していただいておりますので、こちらの検討会とも連携をしながら進めていくということにしております。
4ページをご覧ください。ネットワークの仕様の標準化としておりまして、これも地域に200以上のネットワークがございますが、それぞれの地域で関係者が議論されて、個別には最適なものを目指されながらつくられておりますが、やはり全体を俯瞰してみると、全体的な最適には至っていないのではないかということで、少なくともコアな部分につきましては、データの収集・保存・閲覧といったところの仕様を共通化していくということが検討できないかということで、実証事業を行いながらそういったものを整理していく方向で検討していきたいと思っております。
5ページをご覧ください。セキュリティの関係です。この点につきましては、特にワーキングではHPKIの普及ということがかなり多くの構成員からご指摘をいただいております。ここは運用ルールも含めて、また年度後半にもご議論いただきたいと思っております。
6ページをご覧ください。管理・運営主体ですが、これは先ほどの地域のネットワークがすでに動いておりまして、こういった地域のネットワークの運営主体との関係も整理しながら、全国的な運営主体を検討していくとしております。
7ページをご覧ください。コストですが、これも地域ネットワークではそれぞれの整理の中でコストを負担しております。初期費用につきましては公費を投入しているネットワークが多いですが、ランニングコストにつきましてはそれぞれ会費などを取りながら進めております。こういった地域のネットワークでのコスト負担との関係も含めて、この全国ネットワークでのコストも今後、コスト試算を行っていきますので、そういったものも含めて検討していくとしております。
続きまして参考7ですが、これは6月のクレジットになっておりまして、2回目以降、この6月27日までご議論いただきまして、順次、資料も修正しながら整理しているものでございます。
ポイントを4つに整理しております。1ページ目はデータの項目や標準化の関係です。先ほど申しましたような方向性で整理をさせていただいておりまして、2ページ目が現時点でのデータ項目のイメージということで、真ん中のオレンジ色のところが保健医療記録の案としております。これは上の段、真ん中の段は基本的にはレセプトから取れるデータで整理をしておりまして、一番下の段で退院時サマリですとか、いわゆる紹介状、こういったものは電子カルテなどから取ってくるということで整理をしております。また、ワーキンググループの議論では山本構成員のほうから、検査結果も非常に重要で、例えば検査センターなどから収集すれば共有できるのではないかというご指摘もいただいておりまして、そういうことも含めて検討していきたいと思っております。
3ページ目が標準規格の一覧でして、厚生労働省標準規格を定めておりますが、ICD10対応の標準病名マスター、こういったものはレセプトとの関係でかなり実装が進んでおりますが、なかなか実装が進んでいない規格もございますので、そういったものをどうやって実装を進めていくかということを議論していく必要があると思っております。
4ページ目、ポイント2ですが、これがネットワークの構成、コアな部分を共通仕様の形で整理できないかということです。5ページ目を見ていただきますと、今年度、厚生労働省で進めようとしております保健医療記録共有サービスの実証事業のイメージです。これ右と左でA県のネットワーク、B県のネットワークとしておりますが、要はまったく同じ絵にしておりまして、言ってみればこういったコアな部分につきましては、共通の仕様になればデータをレセコンや電子カルテから収集してデータセンターに保存し、共通のビューワで閲覧するということであれば、地域を越えてデータの共有ということも進んでいくのではないかということで実証事業を進めていきたいと思っております。
6ページ目が、岡山県の晴れやかネットの全体像です。ワーキンググループでは秋山構成員や岡山県庁の課長さんから岡山県の取り組みをご説明いただきました。
それから7ページ目、8ページ目ですが、全国的なネットワーク、あるいは保健医療記録共有サービスの展開計画案ということで、検討中ですが、7ページ目が2018年度、2019年度ということで、2018年度につきましては先ほどありました保健医療記録共有サービスの実証事業を行うとともに、下のほうで点線に囲っておりますが、ネットワーク基盤、クラウドサービス基盤につきまして調査実証事業を進めていくという予定にしております。その上で2019年度につきましては、これから予算要求を行っていきますが、8ページの2020年度の形に向けてプロトタイプ検証・構築を行っていきたいと思っております。
8ページを見ていただきますと、ネットワーク基盤、クラウドサービス基盤の上にさまざまなサービスを展開していくということで、その1つの柱として保健医療記録共有サービス、あるいは外部保存サービスということで、ここでミニマムなデータセットにつきましては、ネットワークごとに当然、区画は分けますが、こういったクラウドサービスを利用していただくことで、今、県単位のネットワークがないところに広めていく、あるいは今ネットワークのあるところでも病院にサーバーを置いていく方式ですと、やはり5年程度で更新が来るとまた費用をどうするかということになりますので、コストの平準化ということも進められるのではないかということで検討していきたいと思っております。
それから9ページ目ですが、先ほど松本顧問からありましたうちの、全部ではなくて一部になりますが、この保健医療記録共有サービスにつきましては当然、情報開示の設定ですとか、あるいは先ほどありました、誰がアクセスしたかという履歴を本人が確認できるような機能は当然、要るだろうということで、ここでPHR的にデータを見ることまでは今は想定しておりませんけれども、少なくともアクセス履歴につきましては、ここで自分が確認できる仕組みとする想定です。あるいは情報開示につきまして、右の下のほうにありますけれども、例えばこの病院のデータはほかの病院の人には見てほしくないということであれば、それが設定できるというようなこと。あるいはさらにHPKIともうまく絡められれば、従事者資格によって本人が情報開示範囲を設定できるという仕組みは検討していく必要があるだろうと考えております。
それから10ページですが、ポイントの3ということで、継続的な運営体制とガバナンスということで、ここは事務局としても整理していく必要性がありまして、都道府県の行政の方ですとか地域のネットワークの運営主体とも今後、意見交換しながら整理した上で、年度後半にワーキンググループ、あるいは検討会で再度ご議論いただきたいと思っております。
11ページを見ていただきますと、ここでは基盤として全県単位のネットワーク基盤のあるところということで昨年調査した26県のものを挙げております。各ネットワークの運営主体も書いておりますが、協議会として法人格を持っているところが7県、協議会ですが法人格のないものが9県、県の医師会が運営している場合が7県というようなことで、さまざまございます。地域での顔の見える関係をつくられながら進められているネットワークは、当然、全国ネットワークでこういうものを壊すというわけにはいきませんので、こういった地域のネットワークの運営主体との関係も整理しながら検討を進めたいと思っております。
それ以降は関連の資料ですので説明を省略しますが、13ページには現状の幾つかのネットワークでの初期費用、更新費用、運営費用、あるいはそれに対する会費をどういうふうにされているかということを整理させていただいております。
それから16ページがポイントの4ということで、ここは運用ルールですので詳細は年度後半にということで、今後、実証事業などを進めながら整理をした上で年度後半にご議論いただきたい。あるいはもう1つ、安全管理ワーキンググループ、これは今後検討いただきたいと思っておりますので、そういったセキュリティも含めて整理をしていきたいと思っております。
参考の8ですが、ワーキンググループでの構成員の皆さまからいただいたご意見を整理させていただいております。説明は省略いたします。それでは資料の2にお戻りいただければと思います。ワーキンググループでの6回のご議論をいただきまして、全国ネットワークにつきましてはこの夏に工程表の取りまとめをお願いし、ワーキンググループとして7月11日にまとめていただいております。ネットワークにつきましては運用主体ですとかコスト負担のような仕組みの検討もありますが、それに加えましてネットワーク基盤、クラウドサービス基盤のような非常に技術的な仕様を検討していく、あるいは先ほどありましたように、先行している地域のネットワークとの関係の整理ということもございますので、IDとは違いまして今日で何か全てを取りまとめということではなくて、まず検討スケジュールも含めた工程表を取りまとめいただきまして、調査実証事業を厚生労働省として進めてまいります。その中で、例えばフィールドの、地域のネットワークの現場の方からもご意見を伺い、あるいは都道府県行政の方々とも意見交換を行いながら、さらに年度後半にご議論いただきたいということで工程表を取りまとめいただいております。
資料の2をお開きください。1ページ目が閣議決定でして、昨年、平成29年の未来投資戦略2017で全国保健医療情報ネットワーク、これを2020年度からの本格稼働に向けて検討していくということ、それから昨年12月の経済政策パッケージで、来年というのは今年ですが、今年の夏を目途に工程表を示すとされまして、今年6月の未来投資戦略の中でも、冒頭にご紹介したとおり、本年夏を目途に具体的な工程表を作成して、必要な実証を行いながら2020年度からの本格稼働を目指すとされております。2ページ目は先ほど紹介しました検討課題一覧。それから3ページ、4ページも同じ資料でございます。5ページも同じです。
6ページ、7ページが工程表になっておりまして、6ページは文章にしておりますが、7ページがスケジュールの形で工程表を取りまとめいただいたものでございます。大きく申しますと、上から2つ目の欄で保健医療記録共有サービスということで、この実証事業を今月からスタートしようと思っておりますので、この中でプロトタイプ検証を行いながら、全国的に情報共有するミニマムデータセットの標準化仕様などを策定していきたいと思っております。その上で、来年度予算要求を踏まえて基本機能のプロトタイプ検証や、個人がアクセスするようなポータルですとか外部保存サービス、こういったもののプロトタイプ検証を行い、2020年度の稼働を目指していくという、サービス稼働の準備というのが1つと、それから全国的なクラウドサービス基盤、ネットワーク接続というところでネットワーク基盤のところの調査研究を別途進めますので、それを踏まえて、こちらも来年度、プロトタイプ検証、2020年度の稼働に向けての整備、テスト運用などを進めていきたいと思っております。
それから認証関連というところで、これはいわゆるHPKIの話、それから患者個人の認証もございます。こういったものについて今、調査研究を既に進めておりますので、これも2020年度に向けて基盤整備などを進めていくという工程になっております。それから一番下、介護ですが。介護保険関連情報につきましては共有するデータ項目を精査、あるいは収集元・保管先の検討を行った上で、2020年代初頭からこういった有効なデータについて共有を進めていくということで工程表を取りまとめていただいております。
それから8ページは、今年度、進めようと思っておりますサービス実証事業のスケジュール。それから9ページは先ほどと同じものでございます。10ページは介護関連の参考資料を付けておりまして、11ページをご覧いただければと思います。
今日、工程表についてこの検討会で取りまとめいただければ必要な実証事業を進めていきたいと思います。その上で、まだまだこの全国的なクラウド基盤、あるいは保健医療記録共有サービスについては継続して検討していただく課題がございまして、大きく3つに整理しておりますが、1つ目がコスト負担も含めたクラウドサービス基盤の構成を、技術的なことも含めて整理をしていく必要がございますので、ネットワーク関連の調査実証事業で検討、あるいはコストの試算を行った上で、年度後半にまたご議論いただきたいと思っております。それから2点目、運用主体でして、これも地域のネットワークとの関係ということを先ほど申しましたけれども、国内外のこういった全国的なネットワーク、あるいはクラウドサービス基盤の事例なども参考に調査しながら、事務局におきまして運用主体の候補などを検討の上、ご議論いただければと思っております。それから3点目の運用ルール、同意の話、あるいは本人確認、資格確認の話ですが、実証事業で整理した上でご議論いただきたいと思います。運用ルールについては年度後半で全てが決まるということではないと思いますので、2020年度からの稼働に向けてこの検討会で継続的にご議論いただきたいと思っておりますので、さまざまな運用ルールについて順次整理をしていただければと思っております。説明は以上になります。
○森田座長 ありがとうございました。それでは澤先生、お願いできますか。
○澤構成員 帝京大学の澤でございます。
資料3をご覧ください。私のほうからは研究ということで、「データの利活用も見据えた標準規格策定の方向性に関する研究」という研究内容をお話しさせていただきたいと思います。
まず資料3の1ページですが、全体の概要となります。研究目的はありきたりなことが書かれておりますので、どのように研究を進めているかというプロセスについてご理解いただければと思います。1つ目は、調査における4つの視点ということで、国内の標準規格を調査し、海外の標準規格を調査し、あとは標準規格候補ですね。現在、先ほど厚生労働省の17標準規格のご発表がありましたが、そのほかにこれから規格となるべき候補というのが議論されておりますので、そちらの検討も進めております。そしてユースケース・活用ドメインということで、医療安全ですとか、研究開発ですとか、医療AIですとか、ビッグデータという切り口で、ユースケース活用のドメインを検討しております。
2ページをご覧ください。こちらが研究の具体的なプロセスとなりまして、左から右に向かって流れていきます。今、お話しいたしました調査視点ということで、国内の標準規格、海外の標準規格、そして規格化候補、各ユースケース・活用ドメインという、この4つの切り口で、まずは現状、標準規格はどのような状態になっているのかという現状の俯瞰マップを作りまして、そして右に向かって標準規格化策定ロードマップを作る。ゴールは、文言としてはありきたりですが、診療の質・精度向上ですとか、医療の安全・質の管理ですとかというところから順番に書いてございます。
左側に戻っていただきまして、標準規格の現状に関する俯瞰マップの内容のご説明ですが、例えばという話で1つの本を想像していただきたいのです。医療記録を例えば本に例えますと、本を構成しているのはページ。ページから中身には文章が書かれていまして、その中には文、そして単語という単位になっていると思います。同様のアナロジーで、下のほうから医療の場合は用語・コードですね。その上に文に相当する電文・通信、そして文章またはページに相当する文書ですとか画像、本に相当するモデル・構造という、こんな形で考えておりまして、それぞれ各項目にどういう標準が今、当てはまっているのかということを調査してございます。
3ページになりますが、標準規格を使うと何がいいのですかというお話があると思いまして。図の中で、ここの場所というのがなかなか指し示しにくいのですが、真ん中に書かれています角が取れた水色の四角、医療施設ですね。これ2つ書いているのですが、それぞれの医療施設で電子カルテシステムが稼働しておりまして、そこで医療記録というのが作られております。施設の中ではシステム更新というのが必ず入りますので、最近は情報システム、あまり機能が増えないわりにはシステム更新だけはしなきゃいけないのでコスト負担になっている。ここはおそらく標準化が進むことによってコストを減らすことができますというのと、施設間の連携、ここは交換・連携という四角で囲った文字が書かれていますが、医療記録を交換したり連携したりということが可能になってきます。
下のほうを見ますと、今度は患者単位になるのですが、患者さんはそれぞれの医療施設で受けた記録を1つのまとまりとして、これは自分のものという形で認識できるといいかなということで、これが生涯医療記録になるのですね。逆に上のほうになりますと、集めた医療データを集計・集約しまして、さらには右のほうに分析という緑の四角がありまして、これを知識化することが非常に重要かなと思います。先ほど、集めてネットワーク化してどのような利点があるのですかというお話があったかと思いますが、やはり集めたものは医学知識として、英語で言うとShared knowledge、集合化した知識として、それを医療現場に還元する。または患者さんに対しては、自分の病気に対して主流の治療法はいったいなんなのか、手術がいいのか投薬がいいのか、多くの人はどういうものを受けているのかという知識を還元できるかなという、そのデータのエコシステムをつくっていくことが重要かなと考えております。
4ページをご覧ください。また標準化の話に戻るのですが、17規格が今、どのような形で分布しているのかということを示したもので、用語から始まって電文、文書、モデル・構造という枠組みに、現存している17規格がこの分野にはまっていますというものです。これまで多く扱われてきたものが、やはり下のほうから用語・コード類、または病院情報システムの部門システムと電子カルテを連携させるためのシステム間連携の電文という形がやっぱり多かったのですね。
5ページです。例えばという形で、患者さんの情報を集約して交換していくに当たってどんな記録が発生しますかということで、下から順番に、患者基本情報ですとか、外来・入院を含めた受診形態ですね。その中で医療記録に必要な主訴ですとか問診ですとか、現病歴・既往歴、アレルギー、所見。上にいきますと、プロブレムリストですとか経過、診断。検査をしまして薬剤、処置という形で上に上っていくのですが、そこと、先ほどから繰り返しになりますが、用語、電文、文書、モデル・構造、右に向かっていく。このクロスしたものを見ていきますと、緑が充足している部分です。黄色がまあまああるのですが、まだちょっと拡充が必要。オレンジ色は不足している部分と認識していただければと思うのですが、下のほう、特に診療録を記録するところというのがかなり抜けていますので、これからは診療録の記録をどのように標準化していけばいいのかですとか、あと、上のほうにまいりますと文書関連ですね。放射線レポートですとか、あとはリハビリ記録ですとかという、その記録類をどう標準していくかということは考えていかなきゃいけないのかなと考えております。
6ページは今お話ししたとおりで、できていることと課題という形で書かせていただいております。7ページからは今度は海外の視点で調査を進めている内容をお話しさせていただきますが、データですとかネットワークというとだんだん忘れてしまうのが、やはり診療の質と精度向上のことですね。そこは忘れないようにということで1番目に掲げています。2番目が信頼できる情報連携・共有ということと、3番目、医療ビッグデータと書いているのですが、最近、海外の言葉ではヘルス・データ・サイエンスですとか、バイオメディカル・データ・サイエンスという言葉が使われはじめておりますので、そちらを併記しております。
真ん中に医療安全・質の管理、効率的・効果的な情報資産の管理という形で並べてまいりまして、説明がちょっと不足していたのですが、角の取れた四角の右下のところに小さく書いてある、例えばNAMですね。これは米国でいうとNational Academy of Medicine、旧IOM、Institute of Medicine。真ん中がONCですね、Office of the National Coordinator、3番目がNIH等々という形で、それぞれのことについてどの機関がどのように、どのようなことに取り組んでいるかという形で調査を進めています。
8ページをご覧ください。こちらはNational Academy of Medicine、旧IOM、Institute of Medicineで、どの方もご存じかと思うのですが、1999年にTo err is humanということで医療ミス・医療事故に関する提言がなされて、それから10年、ラーニング・ヘルスケア・システムという形で日々の診療データをバッググラウンドで集めて新たな医療知見を出していきましょうという提言が行われたのですが、P8の資料は2015年に出されました、診断の精度をどこまで高めていけますか、データを使って、ということですね。あらためて精度の高い診断をして、質の良い医療を提供しましょうという、医療のベーシックなのですが、そこについて言及しているものであります。
9ページをご覧ください。こちらのほうはONC、The Office of the National Coordinatorのもので、Trusted Exchange Frameworkということで、今、実際に厚生労働省のほうで考えていらっしゃいます全国ネットワーク。アメリカも同じく、地域医療ネットワークがもう多数存在していますので、このTrusted Exchange Frameworkというのはネットワーク・オブ・ネットワークス、複数のネットワークが集まった1つの大きい全国ネットワークという考え方で構築を進めていますというお話です。
10ページをご覧ください。それの必要要素ということで、サービス、セキュリティ、トランスポート、あとはSYNTAX、SEMANTICSと書いてあるのですけど、ちょっと専門的になりますので、ここのところは省略させていただきます。
11ページ目ですね。そのネットワークの中をどういうデータを流したらいいかということで、USCDIという、Core Data for Interoperabilityという言葉を使っているのですが、基本的なデータになるコアデータ、その具体的な項目が11ページの左下角に掲載させていただいております。
12ページをご覧ください。こちらは少し注目すべきものなのかなと思っておりまして、電子カルテ製品、または医療情報システムの製品群については、HITECH Actという法律によって標準API、プログラム同士が連携できる口を設けることが定められているのですね。今はサーティファイド製品、認証された医療情報製品というのは、右上の角に標準・Open APIと書いております、Patient Selection、患者を同定するのと、Data Category Request、例えば検体検査の情報をくださいというカテゴリーを定めてリクエストする、ですとか、あとはAll Data Requestですね、全データを出してくださいという。これらについては標準APIがもう定まっていますので、いろんな医療施設同士の連携も可能になっていますし、サードパーティーが入ってきて新たな、新しいエコノミーもでき始めているという、そんな状態になっております。右下はEpicという、日本でいうと富士通、NECのメジャーな電子カルテ製品の提供ベンダーなのですが、そこもOpen Epicという形でインターフェースを提供していますというストーリーです。
13ページをご覧ください。こちらは市民目線で、CMS、Center for Medicare & Medicaid Servicesが提供しているBlue Button。こちらも標準API、具体的にはHL7 FHIRという形を使っているのですが、それを使うことによって市民が自分のデータを見ることができるような標準の口を作っています。市民は別にプログラムをするわけではないので、それを基にいろんなアプリケーションベンダーがアプリケーションを作って市場が活性化しているというお話になります。
14ページをご覧ください。これは繰り返しの図になります。先ほどのこれまでのお話から、下のほうの個人のデータを束ねるという生涯記録という視点と、上のほうの、集めたデータを知識化して流通させるエコシステムを考えていきましょうというものになります。以上になります。
○森田座長 どうもありがとうございました。それでは山本構成員、何かワーキンググループ座長としてコメントございますか。
どうぞ、お願いします。
○山本構成員 特段、付け加えることはないのですが、今回、決めさせていただいたのは工程表ということで、工程表の中にコンテンツに結構、踏み込んだところがありますので、この結果を大いに期待をして、そのあとの検討にしたいと考えております、以上です。
○森田座長 ありがとうございました。それでは、ただいまご説明いただきました澤構成員および事務局、そして山本構成員のご説明に対しましてご質問、ご発言ございましたら挙手をお願いいたします。はい、石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 日本医師会の石川でございます。ネットワークの話は、これはもう本当に素晴らしいことだと思うのですけど、実際問題として、これは識別子のところで出てきました、オンライン資格確認と、それから例えばレセプトのオンラインというのが、各医療機関と、このネットワークとの関係というのをもう少し明確にしていかないと、実際問題として難しいと思います。それは次のステップだと思うのですが、あまりここ、今回はあまり触れられてないので、ちょっとこういう方向ぐらい言っておいていただいたほうが、現業の方たちにはすごく先が見えるのではないかなと思うので、ちょっとご説明お願いします。
○森田医療情報企画調整官 ワーキンググループでもご指摘いただきました。省内でいくつかの検討が今、同時並行で動いている部分もありまして、そういう意味では年度後半の議論の中でそこは整理させていただければと思いますが、工程表の中で、資料2の4ページのネットワーク基盤、クラウドサービス基盤につきましては、第1回の検討会で森田座長からもご発言があったと思うのですが、拡張性というか、そういったことは当然踏まえて検討しなければいけませんので、この4ページでは2020年度以降としておりまして、さまざまな民間サービス、公的サービスもこういった基盤の中で提供していけるような基盤を今後、調査研究の中で検討していきますので、拡張性は当然あるという前提の中で、それぞれ、複数の検討会が動いておりますが、それらの議論の集約については、省全体としてはデータヘルス改革推進本部がございますので、調整しながら整理をしていきたいと思います。
○森田座長 ありがとうございます。それではほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。
○秋山(智)構成員 日本看護協会の秋山でございます。ご説明ありがとうございました。先ほどの資料2の5ページ目のところで、ミニマムデータセットの保健医療記録(案)ということで、真ん中のオレンジの保健医療記録(案)に今ほどご説明がありましたけれども、その最後のレポート類のところに、検査データ等々についてはそれぞれ、退院時サマリ、あるいは診療情報提供書等が書かれるということでございました。左側に、通常診療時の情報の中に看護サマリというものがございまして、これが保健医療記録の案の中では入ってきてないわけでございますが、今、医療機能の分化で、それぞれ強化して連携していこうという中で、サマリというのは非常に重要になってきております。特に今、地域包括ケアの推進では在宅が中心になっていく中で、訪問看護師等々が集めるデータというのは非常に包括的なアセスメントの部分が非常に多くございます。それからご家族のことですとか、それからご本人のアドバンス・ケア・プランニング等にありますような、医療に対するご意思、いろんな今後のことを決定していく上で患者さんが考えらっしゃるようなことなども、実際に書かれているところは看護サマリですので、そういったことが抜け落ちてしまうと有効な情報連携というのができなくなっていくのではないかなと思います。医療を中心に考えるとこれでいいのかもしれないのですが、もう少し包括的なケアというところで考えていきますと、看護サマリというのは今後ますます重要になってくるのではないかなと考えておりますので、今現状ではあまり十分に質のいいサマリが載せられていないということからこうなったのかもしれませんが、これからはますます重要になってくるということを考えますと、ミニマムデータセットの案の中にはぜひ看護サマリも追加していただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○森田医療情報企画調整官 今のご指摘はワーキンググループの中でもいただきました。その際も2点、お答えさせていただいたのですが、1つはまず、今の地域のネットワークの中で、確かに看護サマリを共有しているネットワークが数多くございます。このミニマムデータセットの考え方は、今後、保健医療記録サービスの実証事業の中でフィールドの方のご意見を聞いていきますので、まだこれはイメージということですが、このデータ項目は厚生労働省として提示したら、基本的にはどのネットワークでも必ず共有しているという形にしたいと考えております。そういう意味では看護サマリ、今、現時点も共有されてないネットワークも実は多くありますので、どこでも確実に共有できるかということがあります。
それから2つ目は、今、秋山構成員からもお話がありましたし、澤構成員のお話もありましたが、文書類はなかなかまだ標準規格自体が定まっておりませんので、その辺りの整理が要ると思っております。保健医療記録の案として掲げております診療情報提供書につきましては規格がございます。それから退院時サマリも、山本構成員からワーキンググループでお話がありましたが、今、HELICS協議会で議論されておりまして、近々、厚生労働省標準規格に、という議論になると聞いております。そういう意味でこの2点がクリアされれば当然入れていくということではないかと思います。
○森田座長 よろしいでしょうか。それでは近藤構成員、どうぞ。
○近藤構成員 澤先生に質問です。Blue Buttonというのは私、今日初めて知って、今、スマホで検索をしたら大変面白いサービスで、自分の履歴を見られる、先ほど松本先生がご指摘されたような、患者が自分の病歴を見ることができる。それにRed ButtonとかGreen Buttonとかアメリカにはいろんな取り組みがあるみたいなのですが、これを日本で研究してらっしゃる方は澤先生だけなのでしょうか。
○澤構成員 なんとも言えないのですが、規格はHL7という団体の規格ですので、そこはもう医療情報に携わっている方だったら広く理解できているかな、と思います。
○近藤構成員 秋にアメリカの国際会議に参加する予定があるのですけど、アメリカではここで非常に頑張ってらっしゃる研究機関とか大学とかというのはあるのでしょうか。
○澤構成員 そうですね、そこはVA Hospital、Veterans Affairsが一番大きいですし、あそこはもともとEHR、電子カルテ自体も自前で作っていましたので、オープンソースでしかも公開してという、かなり精力的な取り組みをされているかと思います。
○近藤構成員 ちょうどフロリダに行きますのでぴったりです。ありがとうございました。
○森田座長 ほかにいかがでしょうか。それでは、この後半部分だけでなくて、全体を通しましてもさらにご質問とかご意見のある方は挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○金子座長代理 ちょっと、1点だけ。
○森田座長 はい、どうぞ。
○金子座長代理 今日の議論で、全体の「立て付け」についてはかなり良くなっていると思います。それはそれとして、一つ、いつも私が指摘する「持論」なのですが、せっかくしっかりとした安全なシステムを構築するのですので、お年寄りを含めた「普通の人」がマイナポータルを使えるようにして、簡単にさまざまな利便性が享受できるような仕組みを作っていただきたい。例えば、引越しをするとき、ワンストップサービスの仕組みで、1回で手続きが全て完了する。マイナンバー分科会の最初の集まりでの三鷹市の清原市長の発言だったと思いますが、市役所に申請する期限が今日までだが、子供が熱を出してしまって役所に行けないが、それがマイナポータルですぐに解決する。さらに、高木医療費適正化対策推進室長が数年前に提案した電子処方箋サーバーが、全国どこでも簡単にアクセスできれば、患者にとって最も身近な医療・服薬情報を自らすぐに閲覧でき、医療品の相互作用や患者のアレルギー情報などがすぐに分かる。そういう仕組みを誰でも簡易に使えるようになると良いなと思います。
○森田座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ、秋山祐治さん。
○秋山(祐)構成員 川崎医療福祉大学の秋山です。今のタイミングで申し上げるのがいいかどうか、このたびの西日本の豪雨で広島や愛媛とともに岡山も大きな災害を受けまして、紙のカルテは泥で駄目になってしまって、それからレセコンや電子カルテも電源が駄目になってつぶれてしまっているのですが、今回、被災を受けた医療機関が、もし情報提供側の機関であればどこかに外部保存されている情報を活用できるということで、今回のネットワークもいい基盤になるのではないかなと思っているところなのですが、資料2のところになるかもしれませんが、今後の工程表の中で、ネットワーク接続や認証関連について議論されるところで、ネットワークが、電源は駄目になるのですが意外とLTEなんかの回線は生きていて、ですからソフトウエアVPNでつなぐと結構つなげるかなと思ったりしたところとか、あとは利用者の認証で日本医師会はじめ多くの支援をいただいたのですが、通常の岡山県の医師会の会員ではない方が入ってきた場合に、この方は医療者だから資料を、情報を見てもいいですよ、みたいな認証がテンポラリーにでもできればスムーズな支援につながりますし、新たにそこで入力した情報を、日常診療に戻ったときにまた継続して使えるのではないかなと思いますので、BCPの観点からこの工程表の中でご検討いただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○森田座長 どうぞ、三好構成員。
○三好構成員 支払基金の三好でございます。今、秋山先生から大変貴重なお話がございました。例えばこの資料の9ページに保健医療記録共有サービス実証事業のイメージという図柄がございます。ここでのデータといいますか絵面は大半のものが電子カルテと表記されておりますが、私ども支払基金で取り扱っているレセプトを数値で申し上げますと、いわゆる紙と呼ばれるものはたったの2%でございますが、オンライン化されているものというのは74%でございます。逆に申し上げれば、その差分の24%というのは電子媒体という形で、いわゆるCD-ROM化されたものが毎月10日をめどに各医療機関から私ども支払基金のほうへ持参をされるという形でございます。
今回の西日本の豪雨に当たっては、まさにタイミングが非常に最悪のタイミングでございまして、各医療機関において保存されていたレセプトから、いざCD-ROM化をして私ども支払基金のほうに持って来るタイミングで全てのものが流されてなくなってしまったというような形であります。つまり申し上げたいのは、これがオンライン化されておれば随時、例えばクラウドを経由するなんなりで適宜、データとしてレセプトのデータ、特に診療側の経済的な側面もかなりの部分、サポートができたと思うのですが、そういうことが非常にかなわなかったということで申し上げれば、地震で物が倒れるということであれば、そこに物がというかレセプトが存在するわけですが、水で全て流されてしまうとどこにもデータがないというような形で、結果的には概算払いというような形になっております。
そういう意味においては、紙の2%ももちろん問題ではございますが、CD-ROM化された、いわゆる電子媒体というのも、これもオンラインにしていかないと、今、ここで絵面になっているものが形的には出来上がらないという意味では、その24%をできるだけオンライン化させていただけるように、ぜひとも関係諸団体にお願いをできればと考えてございます。以上でございます。
○森田座長 貴重なご指摘をありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは時間もだいたい予定どおりでございますが、以上で予定されていた議事につきましては終了とさせていただきたいと思います。活発なご意見を出していただきましてありがとうございます。なお、本日いただきましたご意見につきましては、先ほどございました具体的な文章の修正も含めてですが、事務局で修正案を作成していただきたいと思います。そして私と、場合によりましてはご意見をいただいた構成員の方にもご確認をいただくということで、最終的な文章を固めていきたいと思っております。
そして、それを前提といたしまして、ワーキンググループで取りまとめていただきました医療等分野の識別子の仕組みの在り方、および全国的な保健医療ネットワークの工程表について、座長である私の責任におきまして本検討会としての取りまとめとさせていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。ありがとうございます。それでは今後の進め方等につきまして、事務局のほうにお返ししたいと思いますのでよろしくお願いします。
○笹子政策企画官 ありがとうございます。事務局でございます。本検討会につきましては、今回を持ちまして医療等分野の識別子の仕組みの在り方、全国的な保健医療ネットワークの工程表に関するご議論の区切りとさせていただきたいと存じますが、最後に厚生労働省審議官の椎葉よりごあいさつを申し上げます。
○椎葉審議官 大臣官房審議官の椎葉でございます。本日はワーキンググループの取りまとめ内容につきましてご議論をいただきまして、医療等分野の情報連携基盤となる識別子の仕組み、それから全国的なネットワークの稼働に向けた工程表を取りまとめていただきまして、誠に感謝申し上げたいと思います。
本検討会及びワーキンググループにつきましては本日で中締めとさせていただき、今月から厚生労働省におきまして実証事業を着実に進めることとしたいと思います。また、来年度予算におきましても要求をしっかりとやらせていただきたいと考えているところでございます。調査実証事業の進捗を踏まえまして、継続課題とされました検討課題につきましては年度後半にまたワーキンググループを再開させていただきたいと考えておりますので、引き続きご指導をお願いしたいと考えているところでございます。
それから、厚生労働省におきましてはデータヘルス改革推進本部の中でさまざまな課題につきまして集約し、調整させていただきたいと思いますし、また関係省庁とも連携をしながらしっかりと進めさせていただきたいと思います。最後になりましたけれども、森田座長や、ワーキンググループの山本座長をはじめまして構成員の皆様に精力的にご議論をいただき、取りまとめていただきました。今後とも厚生労働省として、しっかりやらせていただきますので、今後ともよろしくお願いします。どうもありがとうございました。
○笹子政策企画官 医療等分野の識別子の仕組みの在り方、全国的なネットワークの工程表に関しましては、先ほど座長からご指摘いただきましたとおり、事務局で案文を作りまして、ご相談の上、必要な修正を加えた上で後日、厚生労働省のホームページなどで公表させていただきます。また、本日の会議の議事録案につきましては作成次第、構成員の皆さま方にご確認をいただき、その後公開させていただきます。次回の検討会につきましては座長ともご相談の上、あらためて構成員の皆様にお知らせいたします。活発なご議論をいただきましてありがとうございました。
○森田座長 ありがとうございました。今、椎葉審議官から挨拶がございました。私も長くこの問題に関わっておりますし、いろいろ思いもございますが、もう昨今の暑さで忘れましたので、それについては触れませんが、今日の結論につきまして2点だけちょっと申し上げておきたいのは、1つ、まだこれは固まってないところがございますので、ぜひそれはきちっと固めていただいて、この仕組みが実際にワークするように十分に配慮をしていただきたいというのが1点目でございまして。
もう1つはやはり、ほかの諸外国を見ていてもそうですけど、この仕組みによって一番目指しておりますのは、やはり国民に対する医療サービスの質の向上だと思いますので、それはいわば病気になられた方がより良い医療を受けるためにこれが非常に重要な役割を果たすというのは世界中、共通しているところだと思います。その辺りも含めまして、今日ご意見出ましたけれども、ぜひこれを進めることが、わが国の医療にとりまして、高齢化、人口減少、そして保険財政が厳しくなる中で非常に重要であるということをぜひ強調していただきたいと思っております。
余計なことを申し上げましたが、時間もちょうどのようでございますので、この辺りで終わらせていただきたいと思います。本当に短期間でこの2つの難しい課題につきまして同時に議論していただき、また、これだけの結果としてまとめていただきまして、特にワーキンググループの構成員の方に感謝申し上げたいと思います。それでは皆さまのご協力に感謝いたしまして、本日の検討会はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
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