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2018年3月29日 第1回 医療等分野情報連携基盤検討会 議事録
政策統括官付情報化担当参事官室/医政局研究開発振興課医療技術情報推進室
○日時
平成30年3月29日(木)17:00~19:00
○場所
スタンダード会議室虎ノ門ヒルズFRONT店3階大ホール
(東京都港区虎ノ門1-22-14ミツヤ虎ノ門ビル3階)
○出席者
秋山 祐治 (構成員) | 石川 広己 (構成員) | 大道 道大 (構成員) |
大山 永昭 (構成員) | 金子 郁容 (座長代理) | 熊谷 雅美 (構成員) |
近藤 則子 (構成員) | 齋藤 俊哉 (構成員) | 澤 智博 (構成員) |
宍戸 常寿 (構成員) | 下邨 雅一 (構成員) | 杉山 茂夫 (構成員) |
田尻 泰典 (構成員) | 知野 恵子 (構成員) | 樋口 範雄 (構成員) |
三好 昌武 (構成員) | 森田 朗 (座長) | 山本 隆一 (構成員) |
事務局 |
○議事
○笹子政策企画官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第1回「医療等分野情報連携基盤検討会」を始めさせていただきます。
本日は、第1回目の開催となりますので、座長選出までの間、事務局において議事進行役を務めさせていただきます。
座長選出まで進行を務めます、厚生労働省政策企画官の笹子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、本検討会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
開会に先立ちまして、厚生労働省データヘルス改革推進本部の副本部長及び事務局長を務めます、厚生労働省医務技監の鈴木より御挨拶を申し上げます。
○鈴木医務技監 厚生労働省の医務技監の鈴木でございます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、また、年度末にもかかわらず、第1回の医療等分野情報連絡基盤検討会に御参画いただきまして、まことにありがとうございます。今、御紹介いただきましたように、副本部長兼事務局長を仰せつかっておりますので、一言御挨拶を申し上げます。
御承知のように、厚生労働省におきましては、平成29年1月に健康・医療・介護の分野を有機的に連結したICTインフラを2020年から本格的に稼働させるということで、省内にデータヘルス改革推進本部というものを設置しました。この本部は昨年7月にはさらに強化されまして、この本部のもとに8つのプロジェクトが置かれたわけですけれども、本検討会に関係するような保健医療記録の共有プロジェクトチームがその下にありまして、いわば全国的な保健医療ネットワークを整備して、円滑な情報交換を保健医療関係者に行っていただこうということでございます。
ただ、こういう地域単位の情報ネットワークはさまざまなものがございまして、都道府県単位、二次医療圏単位、市町村単位とありますけれども、用途もさまざま、どの範囲を包括するかもさまざまで、我々の理解している限りでは、大体今まで270ぐらいありますけれども、今でもきちんと稼働しているのは6割ぐらいではないだろうかという推計もございます。また、実際の費用面でも、大体が公費で支援している場合が多いのですけれども、更新費用をどうするのかとか、実際の運用の費用を誰がどう負担するのかというところで、幾つかの課題がありますし、技術的にも標準化が少しおくれているということがあって、その管轄の地域を超えたところで、なかなか情報がつながらないという問題がございました。そういうことを念頭に、我々としては、全国のネットワークがきちんと本格稼働をいたしますれば、初診もしくは救急の段階で保健医療の関係者が患者様の情報をきちんと把握して、治療歴等を踏まえたもしくは健診データを踏まえた診療ができるということで、国民の皆様にも大きなメリットになると思っています。
この検討会では、そうした全国ネットワークの問題、識別子と言われる利用の基盤になるような医療等分野の個人をアイデンティファイするやり方ですけれども、そういうものを御検討いただきたいということで、先ほど申し上げた推進本部の下で、情報政策担当の統括官のもとの情報化担当参事官室と、医政局の研究開発振興課の2つの共同で事務局を担っていただいて、先生方に御議論いただきたいと思っております。
先ほど申し上げましたけれども、恐らく課題は多々あるものだと思います。制度面、技術面の問題もあれば、費用面の問題もありますし、機微に関する情報もありますので、セキュリティーの問題も当然あるということだと思います。大変お忙しい中、申しわけないのですけれども、大体ことしの夏ごろを目途にぜひ提言をいただきたいという、ちょっと野心的なプログラムを抱いておりますので、工程表、先ほど申し上げた識別子の基本的な方向性といったものについて御意見をいただければと思っております。ぜひ闊達な御議論をお願いしたい。よろしくお願い申し上げます。
○笹子政策企画官 ありがとうございました。
続きまして、構成員の御紹介をさせていただきます。
資料1の構成員名簿に従って御紹介させていただきますので、恐れ入りますけれども、一言ずつ自己紹介をお願いしたいと存じます。
まず、川崎医療福祉大学副学長の秋山祐治様。
○秋山構成員 川崎医療福祉大学の秋山と申します。
岡山県の通称「晴れやかネット」と申します医療ネットワーク岡山協議会で活動しております。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 日本医師会常任理事、石川広己様。
○石川構成員 石川でございます。どうぞよろしくお願いします。
先ほどスピード感を持ってということですけれども、大いに賛成でございます。今はドッグイヤーではなくてマウスイヤーのスピードでぜひお願いしたいと思います。
○笹子政策企画官 続きまして、日本病院会副会長、大道道大様。
○大道構成員 日本病院会の情報担当、大道でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 東京工業大学科学技術創成研究院社会情報流通基盤研究センター教授、大山永昭様。
○大山構成員 東工大の大山でございます。
私自身は、放射線機器や内視鏡の開発をやっていたのですが、若いころに生涯にわたる健康管理を実現しようという話を当時の国立がんセンターの先生に言われまして、それをずっと続けてきて今日に至っている。まだできていないと残念な思いをしております。よろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 続きまして、慶應義塾大学SFC研究所主席所員、金子郁容様。
○金子構成員 先ほど2020年という話がありましたけれども、この数字をずっと聞いているような気がしますので、いよいよ2020年が間近に迫ってきたので、何とかここでもってきちんとできないかなと思っております。金子と申します。よろしくお願いします。
○笹子政策企画官 日本看護協会常任理事、熊谷雅美様。
○熊谷構成員 日本看護協会の熊谷と申します。
看護の領域は、今、在宅から病院までですので、非常に分野が広くなっております。この中でしっかりと意見を出させていただこうと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 続きまして、老テク研究会事務局長、近藤則子様。
○近藤構成員 在宅ケアを支援する情報ボランティア30年の近藤です。介護をする長男の嫁でございます。よろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 国民健康保険中央会理事、齋藤俊哉様。
○齋藤構成員 国民健康保険中央会のシステム担当の理事を務めております、齋藤です。医療系のいろいろなシステムの開発がこれから並行して進むような形のスケジュールだと思っておりますので、積極的に参加していきたいと思います。よろしくお願いします。
○笹子政策企画官 帝京大学医療情報システム研究センター教授、澤智博様。
○澤構成員 帝京大学の澤でございます。
私は、大学で病院情報システムを担当しているところでありまして、現実の問題に日々触れているところで、それを生かした意見が言えればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 東京大学大学院法学政治学研究科教授の宍戸常寿様は、本日は御欠席との御連絡をいただいてございます。
続きまして、保健医療福祉情報システム工業会運営会議議長、下邨雅一様。
○下邨構成員 JAHISの下邨でございます。
ICTで貢献してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 日本歯科医師会常務理事、杉山茂夫様。
○杉山構成員 日本歯科医師会で情報管理を所管しております、常務理事の杉山でございます。よろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 日本薬剤師会副会長、田尻泰典様。
○田尻構成員 皆さん、こんにちは。
日本薬剤師会でシステム担当を行っているわけですけれども、今までそれぞれのエリアでそれぞれの動きをしつつあるネットワークが何となくもやもやとしていたものが、1つにまとまって動けるような時代がすぐそこまで来ているのかと非常に期待しておりますので、いろいろな意味でスピード感を持って、何らかの成果をきちんと出していきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 読売新聞東京本社編集委員、知野恵子様。
○知野構成員 読売新聞の編集委員をしております、知野と申します。よろしくお願いいたします。
主に科学技術分野の記事の取材や執筆をしております。よろしくお願いします。
○笹子政策企画官 武蔵野大学法学部特任教授、樋口範雄様。
○樋口構成員 樋口と申します。
私は、専門はアメリカ法、英米法をやっておりまして、二十数年前にアメリカで医療情報に関する特別法、HIPPA法と呼びますけれども、それができたころから関心を持って、ちょうど、昔話になって恐縮ですが、開原先生の知遇を得て一緒に勉強会などをやったことを思い出しております。
よろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 社会保険診療報酬支払基金専務理事、三好昌武様。
○三好構成員 社会保険診療報酬支払基金で専務理事を務めております、三好でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私は、前職で医薬品あるいはヘルスケアの業界のいわゆるアナリストあるいはコンサルタントをずっと25年以上やってまいりました。その知見をベースに、どのようなデータが世の中に求められているのか、あるいは、私ども社保といたしまして、そのデータをどのように活用すべきなのかという点をしっかりと勉強させていただきたいと考えてございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
○笹子政策企画官 津田塾大学総合政策学部教授、森田朗様。
○森田構成員 森田でございます。
私も、中医協にかかわって以来、この医療の情報化の推進にいろいろと頑張ってきたつもりでおりますが、海外の先進諸国を見ますと、日本よりもはるかに進んでいる。日本は先頭を走っていると思っておりますと実は1周おくれだという状態だと思いますので、まさにスピード感を持って頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 医療情報システム開発センター理事長、山本隆一様。
○山本構成員 医療情報システム開発センターの山本でございます。
私はもともと医師なのですけれども、90年代、96~97年ぐらいからPPIを医療にどうやって応用するかと、セキュリティーから医療情報の世界に入って、今は何でも屋さんになっているのですけれども、もともとはセキュリティーとプライバシーを専門にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
○笹子政策企画官 続きまして、事務局を紹介させていただきます。
大臣官房審議官、椎葉でございます。
サイバーセキュリティ・情報化審議官、大橋でございます。
大臣官房参事官、末岡でございます。
研究開発振興課長、森光でございます。
医療情報企画調整官、森田でございます。
保険局保険システム高度化推進室長、赤羽根でございます。
また、オブザーバーとして、厚生労働省データヘルス改革推進本部の松本顧問、葛西アドバイザリーグループ長にも御参加いただいております。
さらに、関係省庁として、内閣官房情報通信技術総合戦略室、内閣官房健康・医療戦略室、内閣府個人情報保護委員会事務局、総務省情報流通行政局情報流通振興課情報流通高度化推進室にも御出席いただいております。
大変申し訳ございませんが、鈴木医務技監は、公務のため、ここで退室させていただきます。
(鈴木医務技監退室)
○笹子政策企画官 次に、資料の確認をさせていただきます。
議事次第。
座席表。
資料1「医療等分野情報連携基盤検討会開催要綱」。
資料2「ワーキンググループの設置について(案)」。
資料3「検討会のスケジュールについて(案)」。
資料4「医療等分野情報連携基盤に関する経緯と現状及び今後の検討事項」。
参考資料1「未来投資戦略2017(平成29年6月9日閣議決定)(抜粋)」。
参考資料2「新しい経済政策パッケージ(平成29年12月8日閣議決定)(抜粋)」。
参考資料3「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会報告書」。
参考資料4「平成29年11月8日社会保障審議会医療保険部会資料(一部改変)」。
資料の不足などがございましたら、事務局までお知らせください。
それでは、これより議事に入りますので、円滑な議事進行のため、撮影等につきましては、ここまでとさせていただきます。
続きまして、議事1「座長の選出について」でございます。
資料1「医療等分野情報連携基盤検討会開催要綱」をご覧ください。3に「(3)検討会に座長を置き、座長は検討会の構成員の中から選出することとし、座長代理は、座長が指名することができる」とされています。
本検討会の座長につきましては、事務局としては、津田塾大学教授の森田朗構成員にお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○笹子政策企画官 ありがとうございます。森田先生、よろしいでしょうか。
○森田構成員 はい。
○笹子政策企画官 それでは、森田先生に本検討会の座長をお願いいたします。
森田先生、座長席へお移りいただき、以後の議事運営をよろしくお願いいたします。
(森田構成員、座長席へ移動)
○森田座長 森田でございます。
一言御挨拶をさせていただきます。
ただいま座長の大役を仰せつかりましたが、構成員の皆様の御協力を得まして、円滑な議事運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。特に先ほどからお話に出ておりますように、スピーディーな議論ということですので、活発かつ建設的な御議論をお願いしたいと思います。
なお、先ほど事務局からございましたが、この要綱によりますと、「座長代理は、座長が指名することができる」ということですが、指名をさせていただきたいと思っております。座長代理につきましては、医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会の座長として報告書をまとめられました、慶應大学の金子構成員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
金子構成員におかれましては、座長代理の席に移動をお願いいたします。
(金子構成員、座長代理席へ移動)
○森田座長 一言、御挨拶をお願いいたします。
○金子座長代理 たくさんの方がいらっしゃるのでごく短くしますけれども、マイナンバー、医療等ID、オンライン資格確認、個人単位の保険証番号など、大変たくさんのアジェンダがございます。それをどのように料理するかということは森田座長にお任せするとして、必要ならば何かしらの補佐をさせていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
○森田座長 どうもありがとうございました。
それでは、まさにスピーディーに進めるということで、早速でございますが、議題2に移らせていただきたいと思います。
議題2は「検討会の進め方について」となってございますので、事務局から趣旨の御説明をお願いいたします。
○笹子政策企画官 事務局でございます。
資料2「ワーキンググループの設置について(案)」に基づきまして、御説明させていただきます。
1つ目の○にありますように、この検討会は、既存の「医療情報ネットワーク基盤検討会」を発展的に改組いたしまして、医療等分野の識別子及び全国保健医療情報ネットワークについて検討するほか、「医療情報ネットワーク基盤検討会」で検討してきた事項を検討することとしております。
2つ目の○ですが、これらの検討事項について、技術的な観点を含め詳細に検討するため、当面、以下の2つのワーキンググループを設置することとしてはいかがかと御提案させていただきます。名称は2つございますが、「医療等分野情報連携基盤技術ワーキンググループ」では、医療等分野の識別子(ID)、全国保健医療情報ネットワーク等の医療等分野における情報連携基盤の在り方に関する事項を検討事項とさせていただく。「医療等分野ネットワーク安全管理ワーキンググループ」では、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン等の医療機関等における情報システムの安全性の確保に関する事項」について御審議いただく。このため、両ワーキンググループを設置してはいかがかと考えております。
3つ目の○にありますように、ワーキンググループの取り扱いについてですが、議事は非公開、ただし、議事要旨、資料は公開とするということで、一部資料は非公開とすることができるという取り扱いにさせていただければと存じます。
その次の○についてですが、ワーキンググループの検討結果等々につきましては、随時、この親会、検討会において報告・議論を行うこととする。
次に、ワーキンググループのメンバーは座長一任とする。
最後に、運営につきましては、ワーキンググループ座長が決定することとさせていただければと思います。
説明は以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。
ワーキンググループの設置につきましての事務局の御提案ですけれども、ただいま説明のありました設置案につきまして、御意見のある方は、挙手、発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
私から1つ確認をさせていただきますけれども、この運営についての4つの○がありますが、下から2番目の「座長」というのは私のことでございますか。
○笹子政策企画官 先生のことでございます。
○森田座長 一番下は、ワーキンググループの座長ですね。違うということですね。
○笹子政策企画官 お見込みの通りでございます。
○森田座長 ありがとうございました。
重要なことですので、確認させていただきました。
特に御意見はございませんでしょうか。
それでは、本件につきましては、いずれも御了承いただいたということにいたします。ありがとうございました。
それでは、本検討会に2つのワーキンググループを設置することといたします。また、メンバーにつきましては、今、確認させていただきましたように、私に御一任いただきましたということについて、御礼を申し上げたいと思います。
続きまして、事務局から検討会及びワーキンググループの検討スケジュール案について御説明をお願いいたします。
よろしくお願いします。
○笹子政策企画官 事務局でございます。
資料3をご覧ください。スケジュール案を書かせていただいております。
1つ目の「検討会」ですが、本日、第1回目を開催させていただきまして、先ほどのワーキングのところでも御説明したとおり、必要に応じて開催させていただくということでございます。
「ワーキンググループ」につきましては、医療等分野情報連携基盤技術ワーキンググループでまさしく全国保健医療情報ネットワーク、医療等分野の識別子につきまして御審議いただくということでございますので、まず、こちらでおおむね月1回開催させていただき、下の※にありますとおり、夏を目途に整理すべく、お忙しいところを大変恐縮ではございますけれども、精力的に開催させていただければと思っております。
大きな方向性が夏を目途に出た以降は、随時検討会、ワーキンググループでさらに詳細あるいはセキュリティー面も含めて詰めていく作業をお願いしたいと考えてございます。
説明は以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。
ただいまのスケジュールにつきましての御提案ですけれども、これにつきまして御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。
これもよろしゅうございますか。
ありがとうございました。
それでは、次の議事に移りたいと思います。
議題3「医療等分野情報連携基盤に関する経緯と現状及び今後の検討事項」につきまして、事務局からまた説明をお願いいたします。
○笹子政策企画官 ありがとうございます。
資料4に基づきまして、事務局から説明させていただきます。これまでの経緯と現状及び今後の検討事項でございます。
全体像ということで、これまで、私どもの取り組みとか、私ども以外でもさまざまな取り組み、取り巻く状況の変化等々がありますので、まずはそちらにつきまして御説明させていただきます。
2ページをご覧ください。私ども厚生労働省といたしまして、データヘルス改革推進本部を立ち上げ、一番左ですけれども、厚生労働大臣を本部長といたしまして、本日もご出席していただいています厚生労働省顧問の松本純夫先生の御知見をいただきながら、さらにデータヘルス・審査支払機関改革アドバイザリーグループを設けておりますが、本日、ご出席いただいております葛西重雄先生にグループ長をお務めいただき、改革に向けた助言・指導ということで、多様な有識者の先生に御助言いただきながら、データヘルス改革全般として進めさせていただいているということでございます。右下に「事務局体制」とありますが、先ほど御挨拶させていただきました医務技監のもとに、審議官(医療介護連携担当)が事務局長代行でございまして、その下にプロジェクトチームを9つほど立てまして、担当審議官、関係課室長を定め、責任感を持って進めていく体制をとっているところです。
3ページをご覧ください。データヘルス改革の取り組み全般でございます。2020年度と先ほどから御指摘いただいておりますが、そういった年度を一つの目標に、8つのサービスの提供に向けて、その具体化を進めているということでございます。ちなみに2つ目の○ですけれども、平成30年度予算が昨日に成立いたしましたので、データヘルス改革関連ということで申し上げると、平成29年度が17.1億円であるのに対して、約5倍の85.4億円を確保ということでございます。下に移っていただきまして、データヘルス改革で提供を目指すサービスということで、一番左にございますように、最先端技術の導入、例えば、がんゲノムあるいはAIといった最先端の技術を使いながら基盤をしっかりとつくり、その上で、右にございますように、個人、医療・介護等の現場でのデータの活用につなげていくということでございます。一番上のところが保健医療記録共有で、全国的なネットワークを整備していく。その右、救急時における情報共有サービスです。まさしくこの検討会で御審議いただくテーマです。その次の段に移っていただきますと、健康スコアリングで、健保組合等の加入者の健康情報等々をスコアリングして経営者に通知することによって、従業員あるいは国民の健康に向けて行動変容を促していく取り組み、あるいは、その右のデータヘルス分析関連サービスということで、各種データベースで健康・医療・介護の情報を保有しているわけですが、これを連結して、分析可能な環境を提供するということで、ビッグデータとしての活用を考えているということでございます。その下の段は、科学的介護ということで、少し詳細な個別分野になりますけれども、自立支援に向けたデータをデータベースとして構築していくということでございます。その右には乳幼児期・学童期の健康情報、これもまさしく生まれてからの情報をきちんととっていくという観点から、一元的な取り扱い、ビッグデータとして活用していくという観点が必要であり、プロジェクトチームで検討しているということでございます。
4ページをご覧ください。医療等分野の情報連携基盤に関する閣議決定ですが、「未来投資戦略2017」で、昨年6月に閣議決定されたものです。全国保健医療情報ネットワーク、医療等ID、それぞれ2020年からの本格運用といったことが閣議決定され、その下、これが直近の閣議決定ですが、昨年12月8日に「新しい経済政策パッケージ」で、「全国保健医療情報ネットワーク」について検討し、今年の夏を目途に工程表を示すということです。IDにつきましても引き続き検討して、夏を目途に結論を得るということが閣議決定されております。
6ページをご覧ください。改正個人情報保護法の施行ですが、平成27年9月に改正個人情報保護法が成立し、昨年5月30日に施行になっております。改正のポイントですが、個人情報保護委員会の新設から始まりまして、個人情報の定義の明確化ということで、利活用に資するグレーゾーン解消のために、個人情報の定義に身体的特徴等が対象となることを明確化ということで、個人識別符号という概念が入っていることと、2つ目にございますように、要配慮個人情報ということで、本人の人種、信条、病歴など本人に対する不当な差別または偏見が生じる可能性のある個人情報の取得については、原則として本人同意を得ることを義務化するといった内容になっているわけでございます。医療情報につきましては、原則として要配慮個人情報として本人同意を義務化していることを御報告させていただきます。そのほか、利活用あるいはグローバル化への対応等々のための所要の措置が講じられております。
8ページをご覧ください。医療情報につきまして、個人情報保護法の措置により、きめ細かな対応がなされているということでございます。一方で、世界を見渡した場合に、医療分野においても、ビッグデータをいかに活用していくかという観点が必要だということで、本日出席頂いている、内閣官房健康・医療戦略室のイニシアチブで次世代医療基盤法というものが昨年成立しております。本年5月までに施行とのことで、今、関係の所要の作業を行っているところです。法律の目的といたしましては、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関しまして、匿名加工医療情報作成事業を行う者の認定など規制を定めることにより、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出を促進し、もって健康長寿社会の形成に資することを目的としているということす。法律の内容としましては、基本方針を定めるほか、2にありますように、認定匿名加工医療情報作成事業者、「認定事業者」と申し上げますけれども、この認定事業者につきまして、厚生労働大臣も主務大臣ですが、主務大臣は、申請に基づいて、匿名加工医療情報作成事業が適正かつ確実に実施される基準を定めまして、これに適合するものを認定する仕組みでございます。認定事業者の責務あるいは認定事業者の監督といった規定を持ちながら、3にございますように、認定事業者には何ができるのかということですが、医療機関等は、あらかじめ本人に通知し、本人が提供を拒否しない場合に認定事業者に対して医療情報を提供することができるということで、先ほど個人情報保護法においては、原則、本人の同意が必要ということですが、この仕組みにおいては、本人に通知して本人が提供を拒否しないという手続のもとに医療情報を提供することができるという仕組みになっているということでございます。
9ページをご覧ください。それを図示したものでございます。
10ページをご覧ください。次世代医療基盤法によって実現できることは、データが集積することによって、治療効果や評価等に関する大規模な研究の実現ができるのではないかということで、さまざまな患者背景、治療、手術、投薬といったもののビッグデータを解析することによって、最適医療が提供できたり、あるいは、例2ですが、異なる医療機関や領域の情報を統合した治療成績の評価ができたり、最先端の診療支援ソフトの開発が可能になるということ。例3にございますように、医療品等の安全対策の向上ということで、医薬品の副作用の発生頻度の把握や比較が可能になるのではないか。さまざまなメリットが想定され、健康・医療に関する先端的研究開発と新産業を創出するための仕組みでございます。
以上が、厚生労働省が行っている全体的な取り組み、さらには取り巻く状況ということで、御説明させていただきました。
続きまして、2つのテーマ、全国保健医療情報ネットワークと医療等分野のIDでございます。まず、全国保健医療情報ネットワークにつきまして御説明させていただきます。
12ページをご覧ください。現在でも、地域医療情報連携ネットワークが稼働しているわけでございます。1つ目の○にございますように、患者の同意を得た上で、医療機関間において、診療上必要な医療情報を電子的に共有・閲覧できる仕組みということで、高度急性期医療、急性期医療、回復期、慢性期等々の連携体制を構築するといった仕組みでございます。地域の医療機関などの間で、患者の医療情報など、ICTを活用して共有するネットワークを構築することにより、医療サービスの質の向上、効率的な医療の提供が期待されるということでございます。下の図は、ネットワークに参加されている診療所あるいは病院のドクターが異なる医療機関において、注射とか、処方とか、レポートとか、時系列に閲覧・参照できるという画面例でございます。医療情報連携ネットワークの将来イメージとして、右下、状態に合った質の高い医療・介護サービスを効率的に受けられるということで、投薬や処置の効果を把握するなど、将来的には地域包括ケアの中核的なツールになっていくことが期待されるということでございます。
13ページをご覧ください。具体的な例ですが、本日、秋山先生がご出席ですので、私から御説明するのも大変恐縮ではございますが、岡山県の晴れやかネットで、ポイントは「マルチベンダ方式」ということで、左上に「電子カルテ・オーダリング・システムを持つ病院」と書いてございます。多様なベンダーの電子カルテが今はあるわけですが、これをポータルサーバーに集約して、地域の病院、診療所、保険薬局が見ることができるといった仕組みとともに、ケアキャビネット、これは県事業と聞いておりますけれども、多職種連携ツールということで、医療・介護関係の機関の皆様が連携シートの共有をして、それがポータルサーバーでも見られるといった仕組みをと聞いております。
14ページをご覧ください。島根県のまめネットの例ですが、まめネットのサービス構成ということで、連携のカルテとか、画像、ネット健診、在宅ケア等々の連携アプリケーションサービスが基本サービスの上に乗っているということ、12ページ目で画面例を御説明いたしましたけれども、まめネットの画面例ですが時系列に患者さんに行われた処置等々が把握できるといった例でございます。
15ページをご覧ください。地域の医療情報連携ネットワークを、全県単位という切り口で見た場合には、昨年10月に厚生労働省が調べた限りでは、医療情報連携ネットワークが26県で運用中ということで、青く塗られているところが26県でございます。例えば、九州でピカピカリンクであれば協議会、あじさいネットであればNPO、とびうめネットは福岡県医師会。協議会でも晴れやかネットは一般社団法人ということで、さまざまな運営主体が現在稼働しているということでございます。
16ページをご覧ください。地域連携ネットワークですが、医療と介護を総合的に確保するためのICTの基盤整備ということで、平成26年に地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針が定められ、これは法律に基づく告示でございますけれども、ここの中に情報通信技術の活用が明記されているということで、質の高い医療提供体制及び地域包括ケアシステムの構築のために有効な手段が明記され、さらに標準的な規格に基づいた相互運用性の確保、将来の拡張性を考慮しコスト低減に努めるなど、情報通信技術の活用を持続的なものとして進めていくことが重要であると書かれているということでございます。こういった基本的な方針に基づきまして、地域医療介護総合確保基金、これは消費税増収分を活用して都道府県に財政支援制度として基金が設置されているものですが、この一部が広島県等々でネットワーク整備事業で活用されているといった現状にあるということでございます。
17ページをご覧ください。こういった現状を踏まえまして、私ども厚生労働省といたしまして、保健医療記録共有サービスをつくっていくことを目指しているということでございます。課題として、個人の健診・診療に関する情報が、医療機関等に分散して管理されており共有ができていないということで、個人の病状、投薬歴などの診療に必要な基本的な情報をその都度把握し直さなければならないという観点から、これを打破するためのサービスを考えているということでございます。さまざまな主体が全国的なネットワークにつながることによって、その上に、健診情報、処方情報、診療情報などが参照できるということで、マルチベンダー対応のネットワークで患者情報の共有を目指していくということでございます。スケジュールですが、2017年度、本日の検討会での議論ということですが、2018年度、夏を目途に工程表を提示し、2019年度から本格稼働に向けての準備、2020年度に本格稼働につなげていきたいということでございます。平成30年度の関連予算ですが、6.5億円を確保させていただいております。まずはできることからという観点から、ネットワークのセキュリティー対策に関する調査・実証あるいはガイドラインの策定などに必要な経費、保健医療記録共有サービスで、どのような情報を共有するかという課題の検討や実証などに係る経費ということで、6.5億円を確保させていただいているということでございます。
18ページをご覧ください。「保健医療記録として共有するデータ項目のイメージ(案)」で、データの収集元、保管方法も含め、精査中ですが、通常診療時の情報という青いところでございます。現状ということで、医療従事者がどのような情報を見ているかを整理させていただきました。基本情報、診療行為関連情報、レポートなどということで、大きく3つあるのではないかと考えておりますけれども、基本情報につきましては、氏名などから始まりまして、保険情報、公費に関する情報、医療機関・薬局情報でございます。診療行為関連情報になりますと、診療行為に対応する傷病名情報、さらに診療行為の内容に関する情報ということで、診療内容、検査、処置、処方、手術、麻酔等々の情報、さらにはDPC病院であれば入院関連情報、さらに症状に関する情報を現状ではご覧になっていると伺っております。さらに、レポートなどで、DPCデータ、検査結果、画像、画像診断レポート、病理レポート等々、を参照されているということでございます。そういった現状を踏まえまして、全国で共有するネットワークで保健医療記録サービスとして共有するものとしての案が、真ん中のオレンジ色のところでございます。基本情報はそのままで、診療関連情報であれば、傷病名に加えて、診療行為の内容に関する情報ということで、検査、処置、処方、手術、こういった情報は非常に重要だと聞いております。さらに、レポート等ということで、さまざまなレポートがある中で、特にここに掲げているような退院時サマリーとか、診療情報提供書といったものは、自院あるいは機関の外に出た場合、あるいは介護とのつなぎという観点からも非常に有用な情報ではないかと考えておりますので、こういったものを共有してはと考えているところです。救急時に共有する医療情報ということで、基本情報はそのままですが、救急時ですので、レポートなどはなくして、さらに絞った形で項目を定めてはどうかということを考えているわけでございます。
19ページをご覧ください。こういった現状を踏まえまして、全国保健医療情報ネットワークの主な検討課題、事務局が考える論点ということで整理させていただきました。構成員の皆様方から、これだけでは足りない、ここについてはこういった考え方があるのではないか、そのような観点から御議論いただければと考えております。地域医療情報連携ネットワークの運営状況やこれまでの関連の実証事業の成果などを踏まえて、全国保健医療情報ネットワークの構築に関し、費用負担に見合った便益を得られるサービスやネットワークをどのように構築していくかが課題と考えております。なお、関連の実証事業の成果などということで、総務省にイニシアチブをとっていただき、厚生労働省としても参加させていただく中で、医療等分野におけるデータ共有の基盤の在り方という実証事業を、今年度、実施させていただいております。詳しくは、今後、総務省さんから御説明をいただければと考えているところではありますが、昨日に最終報告が出たということですので、概略だけ少し私のほうから口頭で御説明させていただきますと、ネットワークの2020年の構築に向けて、データ共有基盤のあり方につきまして、主に技術的な観点から、相互接続であるとか、標準規約によるデータ交換とか、あるいは安全な通信を実現するためのセキュリティー確保について検討し、実運用フェーズに移行するための運用方針などを策定するということで、岡山・島根・香川のフィールドであったり、沖縄・前橋・酒田などの合計5つのフィールドで実証をしていただいたということでございます。こういった実証事業の成果は、うまくいったところもあり、課題が見えたところもあると存じますが、そういったものを踏まえた検討が必要だということでございます。19ページ目の下の部分ですが、大きく分けて4つ課題があると考えております。1つ目が「サービスやネットワークの検討」で、先ほど18ページで具体的な共有すべきデータ項目案ということで御提案させていただきましたが、共有するデータ項目の精査あるいは標準規格の実装など、このような観点から検討が必要なのではないか。さらには、既存の地域医療情報連携ネットワークも、さまざまなデータ項目であったり、セキュリティーレベルも含んでいると承知しています。仕様の標準化が必要ではないかといった論点でございます。さらに、全国保健医療情報ネットワークということでネットワークがつながるわけでございますので、情報が漏えいするようなことがあってはならないということで、個人情報保護措置とかセキュリティーが確保されるシステムの検討ということで、さらには、このようなシステムに入ることができる保健医療従事者の資格確認方法や、ネットワーク医療機関が接続する際の認証要件といったものも検討していかなければならないということでございます。さらに「管理・運営主体」ですが、先ほど地域医療情報連携ネットワークの全国地図の中でさまざまな運営主体があると御説明申し上げましたが、全国ネットワークの管理・運営主体はどういったあり方があるのかというのは大きな課題だと考えており、「コスト」につきましても、全国ネットワーク整備の初期コストのみならず、リプレース、すなわち更新コストと運営コストをきちん考えなくてはいけないということに加えて、さらその負担者を決定していく必要があるということでございます。さらに、現在、実際に地域医療情報連携ネットワークは稼働しているわけですが、更新コスト・運営コストの関係も当然両輪で考えていかなければならない。さらに、クラウドというのも一つの方策であると思いますが、そもそも初期コスト・運営コストなどの低コスト化・平準化ということが一つの論点と考えております。最後に、現場で「運用ルール」というものをきちんと詰めていかなくてはいけないということで、医療機関、薬局などのネットワークへの参加の促進に加えて、患者さんの同意取得あるいは本人確認のあり方といったところも運用ルールとして課題があると考えているところです。
20ページ以降で「医療等分野における識別子(ID)」ということで御説明申し上げたいと思います。
21ページをご覧ください。これまでの医療等分野における識別子(ID)に関する主な経緯でございます。主なものだけ掲げさせていただきましたが、先ほど未来投資戦略の御説明を申し上げましたので、閣議決定上は、マイナンバー制度のインフラを活用して医療等分野における番号制度を導入すること、さらには、医療保険のオンライン資格確認システムの基盤を活用することが書かれており、2020年までに本格運用を目指すということでございます。閣議決定はそういった文言になっております。「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会報告書」で、平成27年12月に金子座長代理に纏めていただいたものでございます。ポイントですが、医療等分野の情報連携のユースケースとして、地域医療連携ネットワークをまたいで情報連携をする場合ということで、「地域医療連携用ID(仮称)」ということで、支払基金・国保中央会が発行機関となることに合理性があるという報告になってございます。2つ目として、地域医療連携や研究目的など目的に応じて異なる識別子(ID)を用いる場合でも、システム上、複数の者が持つことのないようにする必要がある。さらには、セキュリティーの観点から、書面への書き取り等々ができない電磁的な符号(見えない番号)を用いる仕組みが適当であるということが書いてあります。「オンライン資格確認の仕組みと被保険者番号の個人単位化を社会保障審議会医療保険部会に報告」が昨年11月8日で、こちらにつきましては、後ほど御説明させていただきます。
22ページをご覧ください。先ほどポイントということで、医療等分野における番号制度の活用などに関する研究会報告書を御説明申し上げましたが、もう少し詳しいものをおつけしております。「1.医療等分野の個人情報の特性、情報連携の意義」ということで、病歴等々、第三者には知られたくない情報が医療等分野にはあるということで、個人情報の取得・利用に当たっては、本人の同意を得るということと、患者個人の特定や目的外で使用されることのないよう、必要な個人情報保護の措置を講じる必要があるといった前提で、一方で、医療等分野の個人情報の適切な活用は必要であるということで、情報連携あるいは医学研究の発展といったことを見越しながら、この番号制度の活用を進めていくという情報連携の意義が書かれているわけです。さらに「2.医療保険のオンライン資格確認の導入」ということで、正しい被保険者資格の提示を確保するという観点から、マイナンバー制度のインフラと医療保険の既存のインフラを組み合わせて、これも平成32年までに本格運用を目指して準備を進めていく必要があるということが書かれております。さらに「3.医療等分野の情報連携の識別子(ID)の体系、普及への取組」ということで、先ほど申し上げたような地域医療連携IDを含めて、その具体的な仕組みが提言されているということでございます。
23ページをご覧ください。平成29年11月8日の医療保険部会の資料で御報告させていただきます。被保険者番号の個人単位化と資格履歴の一元管理ということで、現状・課題ですが、現在の被保険者番号は基本的に世帯単位ということで、保険者は個人(特に被扶養者)の方々の状況把握は求めていない。適切な保険制度の運用のためにも、保険者として、個人単位での状況把握をどう行うかが課題でございますし、今後、保健事業を通じた被保険者の健康管理等の役割が保険者に一層期待されている中、個人単位でデータを連結できない現在の状況は、データヘルスの観点からも課題でございます。保険者ごとの管理ということで、各保険者でそれぞれ被保険者番号を付番しており、資格管理も保険者ごとということで、現状、継続的な資格管理がなされていないという現状・課題を踏まえまして、対応方針にございますように、加入する保険が変わっても、個人単位で資格情報などのデータをつなげることを容易にするため、被保険者番号を個人単位化していくということ、新しい被保険者番号も保険の変更に伴い変わることとなりますが、加入する保険によらず資格情報等を連結させて管理するため、個別の保険者にかわって支払基金・国保中央会が一元的に管理するといった方法はいかがかということで、マイナンバー制度の情報連携のために構築されている既存のインフラを活用していくということを報告させていただいているということでございます。
24ページ、その一環としてオンライン資格確認ということで、現状・課題ですが、現行の保険証による資格確認では、資格喪失後の未回収の保険証による受診や、それに伴う過誤請求が請求時に判明するということで、保険者・医療機関などの双方に負担が発生しているということです。対応方針としては、マイナンバーカードの電子証明書、マイナンバーではなくてマイナンバーカードの電子証明書を保険医療機関・薬局の窓口で読み取って、受診時やレセプト請求時などにオンラインで支払基金・国保中央会に資格情報を照会・確認する仕組みを整備していくということでございます。「本人」という絵がございますけれども、マイナンバーカードをピッとやると、支払基金・国保中央会が共同で運営するオンライン資格確認サービスに飛んで、資格情報が保険医療機関に戻ってくるといった仕組みを検討しているということでございます。
25ページ、そういったこれまでの経緯等々を踏まえまして、主な論点ということで掲げさせていただきました。申し上げたようなマイナンバー制度あるいはオンライン資格確認の導入に合わせて整備されるインフラの検討状況なども踏まえて、見える番号、見えない番号について、見えない番号が適切であると27年度の報告書では書かれているわけでございますけれども、その相違点なども整理しながら、安全で、かつ費用負担に見合った便益を得られる医療等分野における識別子(ID)体系をどのように構築していくかが課題と考えてございます。こちらも大きく分けて4つということで、1番目、そもそもどういう体系にしていくのかということで、先ほど御説明したような、1つ目のポツにありますようなオンライン資格確認の導入にあわせて整備されるインフラの活用のあり方、さらには利用用途(ユースケース)ということで、情報連携とか、データベース、そういった目的などがあると思いますが、そのような用途に応じた識別子体系のあり方、さらに、「見える番号」と「見えない番号」の法令あるいは実態的な相違点、データベースにおけるデータの正確な連結は、これは次世代医療基盤法の趣旨から考えても進めていくべき点でございますが、正確な連結と安全な管理を実現するための識別子体系のあり方、さらにはそういった識別子はみんなに共有されるべきものなのか、それとも一定の方に限った共有等をするべきなのか。そういった仕組みと導入・運営などコストのバランス、ここは当然考えていかなければいけないところでございます。さらには「発行・管理主体」で、番号制度等研究会では、識別子ということで支払基金などが振り出すことが適当であると先ほどご説明いたしましたが、そのような発行・管理主体のあり方はもう一度論点として掲げさせていただきましたし、「コスト」ということで、発行・管理のコスト、そのシステムの運用コストは当然かかるわけでございます。さらにその負担者も決定していかなければいけないということでございます。さらには先ほどのネットワークと同様、本人同意も含めてこういったID、識別子の運用ルールのあり方を検討していかなければならないと考えてございます。
事務局からは以上でございます。
○森田座長 詳細な御説明をありがとうございました。
ただいまの事務局の説明では、医療等情報連携基盤に関するこれまでの経緯と現状がどうかということ、そして、これから検討すべき論点について指摘があったと思います。論点につきましては、ネットワークに関する部分が19ページに整理されておりますし、識別子(ID)に関する部分が最後の25ページに示されていると思います。
きょうは第1回目でございますので、このまま全部を議論しますと拡散するかもしれませんが、できればネットワークに関する論点の部分あるいは識別子に関する論点の部分を念頭に置きながら、それ以外の部分についてももちろん結構でございますけれども、御質問、御意見のある方は御発言いただきたいと思います。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 日本医師会の石川でございます。
今まで6年間にわたる本当に膨大な会議のおまとめをしていただいたと認識しております。これまで多くの会議の中でこの構成員の方たちともいろいろな論議をしてきた、そのシーンがまざまざとよみがえるような感じがします。
こうやって苦労してここまで来たということなのですけれども、先ほどの7月ぐらいまでに4回の会議でまとめるということは、かなり大変な作業になるだろうと思っております。特に17ページと18ページについては、まだ十分に議論ができていないことなので、なかなかすぐには難しいと思います。特に18ページのデータ項目のイメージは、これをどうやって集めるのか、どうやってストレージをするか、ストレージの仕方、匿名化はどうなのか、どうやってストレージをするのか、引き出し方とかは難しいです。これは、今、内閣官房がおやりになっている代理機関の話ができ上がらないと、これは難しいだろうということで、17ページ、18ページを入れると、とても7月までにはできないと思います。それ以外のところまでだったら、少しは進められるかな、頑張れるかなという感じがあります。
以上、私のほうで質問もありますけれども、お願いしたいと思います。
○森田座長 これにつきましては、事務局から何か御発言はございますか。
お願いいたします。
○森田医療情報企画調整官 ありがとうございます。
18ページは、説明の中でもイメージ案ということを強調させてもらったのと、※のところ、今、石川先生がおっしゃった、まさにどこからデータをとってきて、どういう形で保管していくかということも含めて、これはまだ精査が必要なものというのは御指摘のとおりだと思います。
一方で、全体的な閣議決定を説明させていただきましたけれども、4ページにありますように、昨年12月の新しい経済政策パッケージでは、全国保健医療情報ネットワークにつきましては、さまざまな課題があり、それらの検討を行った上で、工程表は、今年の夏までに示すこととなっておりまして、ここはぜひこの検討会あるいはワーキンググループで御議論いただきたいと考えております。18ページのデータ項目一つ一つを全て固めないと検討が進められないということではないと理解しておりますけれども、論点の一つと考えておりますので、併せて御議論、御検討をいただけないかと思っております。
○森田座長 石川構成員、よろしゅうございますか。
○石川構成員 目指すということだったらいいかもしれません。
○森田座長 ほかにいかがでございますか。
山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 今の石川先生の御質問に関係するのですけれども、一体何のために全国をつなぐネットワークをつくるのかというのがかなり明確でないと、なかなか成果は出ないと思うのです。そういう意味では、コンテンツをどのように扱うかということが一つの目的ではあると思うのですけれども、一方で、こういったIDを使った医療連携をなぜやるのかと。今まで別に紙の紹介状でできていたのに、どうしてIDを使う必要があるのかというと、扱える情報量がふえる。情報量をふやさないと医療ができなくなってきている。どんどん検査項目は増えてきていますし、それを継続していろいろな施設で共同でそれを見ていかないと、ちゃんとした医療ができないような時代になりつつある。あるいは、そのレベルまで医療が上がってきていると考えたほうが正しいと思うのです。
そうすると、この18ページの項目のところは結構大事で、今まで日本では医療機関が決してサボっていたわけではなくて、厚労省がサボっていたわけではなくて、それぞれの医療機関の中で完結した医療を行うためのさまざまな項目の評価があったわけです。そのためには、何が言いたいかといいますと、その医療機関の中で変化がわかればいいのですよね。広域化、ITを使うということは、一部の項目は少なくともコンピューターで処理をして、医師あるいは患者さんの理解を助けるようなことをしていくということが目的なわけですけれども、そのためには複数の医療機関でこの項目が評価できないといけないのですね。
これは多分かなり難しいことで、今まで厚生労働省の御支援で、例えば、日本でも検体検査のコードとか、医薬品のコードとかというのも、私のいる医療情報システム開発センターがお世話をして一生懸命努力をしてきたのですが、実際はそんなに普及していないですね。これはなぜかというと、施設を超えて見る必要がなかったからです。それが、こういった全国医療ネットワークをつくって、地域医療の医療連携を、IDを使って促進しようとすると、たちまち施設を超えてそれを比較する必要があるのです。これは、今までできていなかったことがつけになって回ってくるときが来るわけで、ここを相当進めないといけない。ただし、今、日本で発売されている医薬品が、正確な数は知りませんけれども、恐らく1万以上はあるでしょうし、検体検査は2万に近づいていますし、病名は2万を超えています。これを全て共通にするというのはものすごい努力が必要で、なおかつ、多分その90%は無駄な努力といいますか、使われない努力になるのです。
赤羽根室長のところでつくられているNDBのサンプリングデータセットをつくるときに、出現する病名の0.1%、出現頻度0.1%以下を削ってダミーにしているのですが、それで90%の病名が消えるのですね。つまり、99.9%は10%の病名でつながっているのですね。この10%をやることは非常に大事で、残りの90%の病名は出てくればいいというところです。検査もそうで、例えば、ある大学病院でしかやっていない検査は連携しても意味がない。それは、人間が目で見ればいいだけの話です。でも、そうではなくて、例えば、ヘモグロビンA1cをいろいろな施設ではかっているものを30年にわたってその人の一貫したグラフで表示するなどというのは、これは人間にはできなくてコンピューターにしかできないわけですけれども、そのためにはヘモグロビンA1cがコンテンツとしての精度を持たないといけない。そこまでやろうとすると、項目を削らないといけないのです。
実際こうすれば本当に役に立つという項目をみんなで一生懸命選ばないといけない。MID-NETでやられている検査項目はそれぞれ大きな病院ですから、多分全部を集めると1万を超えると思いますけれども、800項目しかやっていないのですね。800項目をきちんとしたコードをつけてやる。まだコンテンツまではできていないけれども、きちんとコードをつけてやることによって、23病院のデータを同じ基準で集めることができる。あれは、例えば、5,000にすると、あんな比較は絶対にできないですね。ただ、役に立つかというと、800で十分に役立つのです。ですから、そういう時間軸との観点できちんと検討する。これは、夏までには検討するという方針を立てればいいと思うのですけれども、そういうことも非常に大事になるのではないかと思っています。
○森田座長 貴重な御発言をありがとうございました。
それでは、今の山本構成員の発言についてでも結構ですし、ほかの部分でも構いませんが、どうぞ。どなたか、いかがでしょうか。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 今度は医療等IDですが、医療等IDは、データヘルス推進のところでは、絶対にこれは研究用IDがないとだめなところに来ているのではないかと思っています。特に難病と小児慢性特定疾患のデータベースを突合したい。要するに、小慢の年齢が行ったら難病になるから突合したいという要求とか、介護データベースをこれから利活用するという方向に、この間、1回目の会合があったわけですが、その中には、現病となる病名が入っていないのです。医療が余り入らない。ところが、どうしても介護のデータベースには医療の情報は必要になってくる。何か医療のデータベースと突合することが必要になってきます。今の個人情報保護法の中では簡単な突合などはできませんので、これはデータヘルス推進の中では何としても医療等IDを現実のものにしなければいけない。かなり早くやらないと、このビッグデータの世界でどんどん欧米あるいは中国に抜かれていきます。
そういう状況の中で、24ページをごらんになっていただきたいと思います。オンライン資格確認が医療等IDについてはベースになることは間違いありません。だから、私たちもすごく期待しています。ですから、この1枚のポンチ絵が出たときに、本当にこの保険番号が個別化して、こういうオンライン資格確認の絵柄ができてきたときに、大変うれしく思うのですけれども、いまだにマイナンバーカードが上に描いてあって、それで被保険者番号が下に描いてあるのですよ。これは座長と長年の議論をしてきた内容なのですけれども、私が何回も言っていますように、マイナンバーカードの普及のスピードといいますか、現実的に考えていけば、最初に2018年に8,700万枚を普及するというのが目標だったのですけれども、現実は、今、普及しているのは1,400万枚です。総務省の方も頑張っていて、1日に1万何千枚をつくって本当に頑張っていると思うのですけれども、8,700万、これだと何かキャンペーンを打って倍にしたって10年がかかるのです。しかもマイナンバーカードというのは所得の捕捉ということで普及することが第一義的なものでありますので、給与者のマイナンバーは簡単につくることはありますけれども、お子さんたちはどうなのか。例えば、今、皆さん、こちらに役人の方がいらっしゃいますけれども、その子供さんたちはちゃんとマイナンバーカードをとっているかどうかですよね。なかなかそこまでいかないですよね。だから、現実的には、保険番号を個人別化するという内容の中で、このオンライン資格確認を現実に動かしていく方向しかないのです。
そこのところで、今、赤羽根室長も参加されて、高木さんなどが大変苦労されてやっている。今、保険者のところで、手不足の話、人員の不足の話とか、お金の話でなかなかすぐにはいかないわけですね。ここを何とかしないとこの医療等IDは難しいし、データヘルス推進もなかなかままならないというのが現状だと思うので、早くこれは現実的な絵柄にしてもらいたいのです。少しでも前に進めたい。そうでないと、7月に間に合わない。そういうことをもう一つ。
○森田座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
座長代理。
○金子座長代理 今の石川先生のコメントは、まさにそのとおりだと思います。私は、昔、マイナンバーの座長をやったのですけれども、本当にかなりというか、非常に苦労していますね。マイナンバーは要らないのではないかという議論も結構いろいろなところで出てきて、ここでもやるという話ではないのですけれども、ここに書いてあることは、全体としての枠組みは非常にいいと思うのですけれども、実際に個人単位の番号をどうするか、それは何かしらでぱっとやるのか、マイナンバーと紐づけるのか、マイナンバーを紐づける必要はないかもしれないという議論も出てくる可能性があります。ですから、そこをなるべくこの議論の中で、シンプルでなるほどと、今、石川先生がおっしゃったように、基本的には個人別の番号は非常に重要だと思っていますが、ほかのいろいろとくっついてくるものが今はずっと残っていますので、それをクリアするのか、一緒にやるのかということは、かなり精査しなければいけないと思っています。
何かいい考えがあれば、もちろんそれでいいと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
いろいろな論点があるということがよくわかりますが、ほかにいかがでしょうか。
葛西アドバイザリーグループ長、どうぞ。
○葛西データヘルス改革推進本部アドバイザリーグループ長 多少補足でございます。
厚生労働省内でアドバイザリーグループをやっているのですが、私の立ち位置が、今日の資料4の3ページ目にあるデータヘルス改革の本部をつくるときのこの8つのサービスを設定するだけでもかなり大変ではあるのですけれども、多様な分野でございますけれども、この内容の8個のサービスを設定したところにかかわった者でございます。
その背景でいいますと、ちょっと特徴的なものとして、例えば、IDにしても、今回のネットワークにしても、基本的に目的としては健康・介護・医療全ての分野で健康長寿を目指すというところがポイントになっておりまして、例えば、がんの克服とか、科学的介護で、健康的な長寿を迎えられるようなサービスをつくりたいという、全て基本的には有機的にこれらのサービスは連結をされている点をまず補足しておきたいと思います。
つまり、今回の議論が、保健医療記録共有サービスだけの議論で終わっているわけではなくて、例えば、がんゲノムですと、パイプラインの解析をすると同時に、その患者さんがどのような転帰、どのような経緯をたどってきたのかというのは非常に重要な情報になります。なので、がんゲノムでは、全くもって個人の特定をする識別はしないのかというと、意外とするのです。科学的介護においても、この間、検討会で中間報告が終わったところなのですけれども、こちらも介護のマスターと医療のマスターは当然全然違う状態で、さらにリハビリと、認知症であればケアまでを含めて、介入情報をできるだけ収集するというところでいうと、かなり幅広い情報を必要とします。
つまり、病院だけが対象ではなくて、介護事業所も対象になる可能性があるというかなり大きな分野での検討をするのと、データヘルス分析によって使うのは、研究者はいろいろといます。私もいろいろお会いしたのですけれども、サイエンスの方みたいなエビデンスが強く欲しい方と、当然ですけれども、医療経済のような動態が欲しい、ダイナミックな情報が欲しい方、シミュレーションを何回もしていきたい方もいらっしゃいますし、それぞれ分析の仕方は全然違う。最近、臨床研究は余りないかと思うのですけれども、なので、そういった意味で言うと、それぞれのユースケースが全然違うということも含みおきいただいて、できるだけ重複投資がないように互換性がとれるネットワークの議論とIDの議論を念頭に置いていただけるとありがたい。特に私としては設計を進めている身なもので、2年以内に具体的にどういう技術が適用できるのかということが非常に欲しいという状態でございます。
ちょっと補足的に御説明させていただきました。
○森田座長 ありがとうございました。
これから考えていく上での技術的な前提に関する御発言だったと思います。
ほかの方、いかがでしょうか。
近藤構成員、どうぞ。
○近藤構成員 先ほどマイナンバーカードが普及しないということを御指摘されて、それを何とかしなければということなのですけれども、私は民生委員をやったこともあり、認知症サポーターもあり、こういった厚労省関係のボランティアはたくさんいます。情報ボランティアも、今、総務省でもこういった活動を広げようとして頑張っておられるのですが、マイナンバーカードを使ってボランティアにポイントをつけたらどうかということを5年前ぐらいから御提案していて、いろいろな大臣の方はすごくいいとおっしゃるのですが、大臣が変わるとすぐに変わってしまいましてなかなか前に行かないのですけれども、J-LISという地方公共団体の情報システムの個人情報保護の委員もしているのですが、そこに御提案をして、こういうことをマイナンバーでやれないのかしらと。
例えば、自治体によっては、介護ボランティアをすると介護保険料が安くなるという自治体がございます。ですので、それと同じように、いろいろなボランティア活動をした人にマイナンバーでポイントをつけて、例えば、税金が安くなるとは言いませんが、せめて介護保険のポイントをつけるようなことができたらどうかとお伝えしましたら、それは内閣官房のお仕事だということでJ-LISの人は困ってしまいました。今日ここに内閣官房の人がご出席したら、そういうことが、ここは厚生労働省の検討会だと思うのですけれども、みんなで一緒にやらないと前に進まないのであれば、その内閣官房の人に調整していただいて、難しいのは当たり前で、難しいと言って誰も近づかないことの中に光があるとすごく思いますので、ぜひ頑張りたいと思います。
どなたか御助言いただける方がいらしたら、マイナンバーカードでボランティアポイント、オリンピックも来ますし、どなたか御協力いただけたら、マイナンバーカードは広がるような気がするのですけれども、どうでしょうか。
○森田座長 内閣官房、御指名ですが、お答えいただけますか。マイナンバーカードは総務省の方もですが、どなたか。二人発言していただいても構いません。
○内閣官房IT総合戦略室 内閣官房のIT室でございます。
今のお話は確認をとらせていただきますが、内閣官房も様々な部署がありまして、番号制度推進室というものがあり、そちらの担当かと思いますので、そこはまた確認させていただいて御報告させていただきます。近藤さん、済みません。
○近藤構成員 よろしくね。
○森田座長 よろしいですか。
それでは、ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○石川構成員 日本医師会の石川です。
先ほど3ページの御説明を葛西AG長からお話があったのですけれども、例えば、がんゲノムの話は、こちらに森光課長がいらっしゃいますけれども、要するに、先進医療のところでパネル遺伝子検査が今度扱われることになったのです。100数十の遺伝子を調べるわけですけれども、その時にどうしても生殖系の遺伝の情報が入り込んでしまう可能性もあるわけです。そうすると、これをどうやってストレージをするのか、どこでストレージをするのかということがすごく問題になりました。そのときに、患者さんにどういうことを、話をするのかということも含めて、大変喧々囂々とやった覚えがあります。
つまり、そのように、これからの医療というのは、こういう遺伝子情報が医療情報の後ろにくっついている可能性がある。先ほど子供の小慢の話をしましたけれども、小慢のデータベースは、小慢の子供たちのかなりの部分に遺伝的な異常とか先天的な異常がついてきますので、必ず医療情報の後ろにそういう情報がついてくる。そうすると、非常に機密性は高くて、それにフラグをつけると、どうしても医療等IDが必要。だから、この医療等IDは絶対に私は必要だと思っているわけです。
だから、現実的な意味で、一義的に、ちゃんとした、しっかりとしたところから持ってきて、これは住基でもいいと思うのですけれども、それを医療等IDにするという仕組みを早くつくらないといけないのです。それがこのオンラインのところで期待されているところであります。
私は、日本国民でありますので、このマイナンバーカードという法律で決まったことについては、遵法的にいきたいですよ。遵法的にいきますから、私自身もそれは反対しているわけではないです。しかし、ここ遅らせることはまずいだろうと思うのです。そういうことで、先ほどの意見を言いました。ですから、私はこの一義的な国民を表現する番号を早くつくって医療情報にくっつけたいということであります。
以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
樋口構成員。
○樋口構成員 なかなか大きな問題で、プレゼンテーション自体もこれまでの何年間かの成果をきれいにまとめたものなので、十分に私などには理解できないところもあるので、2点だけ感想というか、疑問というか、申し上げます。
1点は、ちょっと抽象的な話になりますけれども、ともかくも次世代医療基盤法というものがつくられて、匿名加工という方法によってデータを広く使えるようにしようと。これから動き出すので実際にどうなるのかはわからないのですが、これと今日の話との役割分担というか、連携がよく見えないのですね。研究とか産業利用のほうは向こうで、こちらは個人を中心として地域医療ネットワークの中で安心・安全な医療の情報連携が図れますというなら、それはきれいに分かれるのですけれども、本当はそうではないわけですよね。一番初めの8分野だって、結局「データヘルス」と言っているわけで、これは個人のデータヘルスの話に限らないという気がするのです。だから、昨年制定された法律と、今回の企てとの関連が私には十分理解できていない。第1点は、そういう質問の形にしておきます。
その関連で、2つ目は、コストとメリットの表現についてです。例えば、24ページ、後のほうのオンライン資格確認というものがありますね。現状・課題が、結局、山本先生と葛西アドバイザリーグループ長がおっしゃったこと、この制度のこういうことをやることの本当の目的をもっとはっきりさせたほうがいいと思うのです。私は本当に素人だからそう思うのかもしれないのですけれども、現行の保険証による資格確認では資格喪失後の未回収の保険証による受診などがあるので非常に問題だというので全国的なオンラインシステムをつくるというのは、余りにバランスを欠いているような気がするのです。この「資格喪失後の未回収の保険証による受診」とかという話は、私などにはすごく小さなことのように、物すごいコストをかけてやるという話にはならないような気がするのです。
同じようなことは、12ページで、この「地域医療情報連携ネットワークとは」で、将来イメージを一つ一つ見てみますと、みんな個人の利益なのです。でも、実際に個人が、さっきどなたかもおっしゃったように、例えば、私なども同じ病院にずっと通っているのです。だから、ほかに連携していなくても、いい人の方が実際には多数だと思うのです。しかし、これを個人のためにという話で全部を説明しているでしょう。それは本当ではないと思うのです。データヘルスというビッグデータでやろうとしていることはもっと大きな話なので、ただし、こちらのほうは、今まで個人の同意という話でやっているから、あなたにもこういうメリットがあるのですよという形で説明しているのだけれども、そんな話ではない、ビッグデータという話は、あなたのためにもなるが、それだけでなくこの社会全体のために不可欠だというそういう話であることを率直に売り出して、ユースケースというのか、こんなふうに、さっきの8分野であれば、この8分野の中でできればどれか一番早く成果が出そうなものを本当はどんどん進めてもらいたい。
でも、とにかくこういう分野を進めるために、スタンダーダイゼーション、データをまず標準化しないと、ただこういう大量の情報を集めても何の意味もないという専門家のお話ですから、そのためという話をはっきりさせて、だから、全国民から、あえて言えば、国を超えてもいいわけで、全人類のためぐらいの話をつくったらいいのに、あなた個人のためにこういうネットワークがあると大丈夫ですよと、もちろん個人が大事なのですけれども、しかし、その議論を説得力が必ずしもないような形で、こんなにコストがかかるのにこういうことなのですかというような感じがちょっとしてしまったものですから、余計なことを申し上げました。
○森田座長 ありがとうございます。
いろいろとご意見ありましたが、要するに、大きな目的を明確にという趣旨かと思います。これについて、事務局はコメントございますか。いろいろ書いてあってわかりにくいという趣旨かと理解したのですが。
○笹子政策企画官 事務局でございます。
私どもも、データヘルス改革推進本部ということで、8つのサービスを3ページ目で発表させていただいています。その中で、今回はこのネットワーク等々ということで、私どもも大きな視点から検討しなくてはいけないという話ももちろんですが、一方で、着実に先ほどのできるところからという意識もあります。そういった意味では、葛西先生からも同じようなことを言われていますし、データヘルス改革全体として何が実現できて、国民にとってどういうものに利益があるのか、横串を通しながら重複がないように検討せよと大臣からも指示を受けているところです。その中で、夏までにそういったアピールポイントと、あとはできるところからということのご意見を頂きましたが、このネットワークの件にしても、具体的な工程表を示すというのはまさしくどこまでできるのか、段階はどのように踏むのかということを、それこそ2020年度からフルパッケージでできるものもあるでしょうし、そうでないものもあるでしょうし、そこら辺の方向性は出させていただいたのですけが、それを実際に構築する際の工程表をつくっていくのがまさしくミッションだと思っております。ここの検討会の場は、その中でももちろんほかのプロジェクトチームとも連携しながらやっていきたいと思いますが、閣議決定もあるということでありますので、ネットワーク等々について照準を絞らせていただいたということでございます。
○森田座長 これに関連しましては、先ほどのオンライン資格確認とかもありますけれども、支払基金あるいは国保中央会からコメントをいただけますか。
○三好構成員 樋口先生の御指摘、もっと大きな論点で論じるべきだということは、私自身も全くそのとおりだとは思ってございますが、その一方で、このオンライン資格確認が可能になれば、我々支払基金としても、あるいは恐らく国保さんとしても同様に、かなりの業務負担が軽減できるであろうという期待感は大変強く持ってございます。
といいますのは、確かに樋口先生は一つのお仕事をずっと長年やっておられるということでございますが、世の中にはかなりの部分で、例えば、協会けんぽさんから国保さんへ移行される方、特に中小企業の方々というのは、急に仕事をやめてそのままどこかへ行ってしまってわからないという人たちが結構おります。そういう方が古い保険証を持ったまま医療機関に通っているというのはかなり多くて、私どもが月間で扱っているレセの枚数、およそ9,000万件あるうちの、数字としては小さいということかもしれませんが、恐らく30~40万件ぐらいは資格が確認できないということで、私ども支払基金から医療機関さんへ、あるいは一旦保険者さんから戻ってきて、これは資格がありませんということで確認をしているという業務がございます。
そういう意味では、決してここは無視できない部分でありまして、もちろん先生が御指摘のような大きな絵面としてどうかということは大賛成でございますが、このことは、我々としてはかなりの部分を改善できるのではないかという強い期待感を持っているというのはお伝えしておきたいと思っております。
以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
国保もございますか。
○齋藤構成員 オンライン資格確認は、今、基金の三好さんからありましたので、純粋にきょうの説明の中で疑問なり意見として申し上げたいことをお話しさせていただきます。
ネットワークに関してのところなのですが、全国を1つにまとめるという発想と、現実的に、今ある全県26の地域のネットワークをうまく連結なり連携させるというやり方と両方があるのかなと思ったときに、現実的に、スケジュール感とか、かかるコストを考えると、申し上げて、後者のほうが早くできるのかなというものであれば、スケジュールを考えるときに、ある程度段階的な形でのスケジュールも視野に入れた形で工程表をつくったほうがいいのかなというのが、まず1点です。
2点目は、今度はIDの話なのですが、IDに関しては、工程表を同じタイミングで2020年8月を目指すのは厳しいのではないかと思います。理由としては、先ほど石川先生も御指摘されていたと思うのですが、関係するシステムが案外多いのです。いわゆるオンラインの資格確認のベースになるところには、中間サーバーと呼ばれている、いわゆる個人を紐づけするような仕組みのシステムがあって、それがベースでオンライン資格確認、医療等IDで連携していく形になりますので、いわゆる基盤となる中間サーバーなりオンラインの資格確認のところがはっきりとした形でできないと、医療等IDだとかのほうをやったときに無駄が発生する可能性もあるという気がします。そういう意味からすると、ほかのプロジェクトを含めた整合性をとったスケジュールを考えないといけないというのが率直な印象でございます。
以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
知野さん、どうぞ。
○知野構成員 先ほど来、工程表を夏までに、急がれる事情があるという御説明をいただきましたが、マイナンバーカードが広がらないという話も出ていますが、、もう少し一般の人に理解できるような説明、そして全体像を示すことが必要なのだと思います。
これは素人目で恐縮なのですけれども、この資料を見ますと、例えば、15ページ、医療情報連携ネットワークがいろいろありますという図があるのですけれども、運営主体がそれぞれ違っている。それによって何が違うのかという点とか、あるいは13ページで、これを見ていくと、ポータルサーバーに、例えば、保険薬局がつながる。それでは、この辺で安全性はどうなのだろうか、例えば、近所のあの薬局で情報を流しても大丈夫なのだろうかなど、いろいろ心配な点が出てまいりますので、工程表をつくる際には、目的、効果、及びマイナス面も含めてもう少し説明をしていかないと、一般の人にとっては、突然こういうものが出てきた、怖いといった感情が先に立ってくるのではないかと思いますので、その辺の検討が必要ではないかと思いました。
以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
今のことに関連してですが。
田尻さん、どうぞ。
○田尻構成員 そこら辺のところは、どうなのでしょうか。この医療ネットワークの中で薬に関する情報は割と肝の部分を握っていますので、そういう意味では、「あの薬局」で見るというよりは「あの薬局」からデータが上がってくると捉えられたほうが、何となく理解のしようがいいのかなと思っています。
それと、先ほど樋口先生が言われたように、これを日本国のために、このビッグデータを使うのだという見方をしたときに、例えば、資格確認に使うということで、ここは1文書いてありますけれども、資格確認=個人から発生したビッグデータを蓄積して、世間のために使うための方策の一つと考えたときに、先ほど石川先生からもおっしゃっておられましたけれども、マイナンバーカードでは赤ちゃんは持っていないし、お子さんたちも怪しい部分がある。それならば、きちんとそういうデータを活用できるようなベースをつくるためには、それに対応した保険証のほうからということを考えるのも一つの手ではないのかなと、私自身、いろいろなお話を聞いていて思ったものですから、ちょっと発言させていただきました。
○森田座長 ありがとうございます。
お待たせいたしました、大山先生。
○大山構成員 東工大の大山です。
幾つかあるので、順番に。
まず、ビッグデータのこの話、データヘルスですが、これは結構な話なのですけれども、気をつけなければいけないのは、しっかりと土台をつくらずに高層マンションを建てるようなもので、倒れますよと。なぜかというと、標準化を含めてしっかりと情報を集めてくる仕掛けができていないと難しい。ところが、標準化というのは時間がかかって、特に現場に入れるまでには相当かかります。したがって、そこについてはもっと現実的なことを考えないといけない。
それに関して、次にネットワークなのですが、ネットワークは先ほど笹子さんから総務省の話も言っていただいたのですけれども、あれはいわゆるインターネットエクスチェンジで、齋藤構成員にも言っていただいた後者の例だったのですが、あのやり方をもっと積極的に使えば、標準方式に変えてしまうということができるのです。それぞれのプロバイダーから来るものについては、情報交換のためのIXですから、お互いの方言を使っていたらどうせ通じないので、何をやっているかわからないことになります。したがって、IXなどを通るときは標準語に変換するというのが原則で、この辺は、今、三師会さんでもいろいろ御検討いただいていると思いますが、運用を含めてデータヘルスを本当にやるのならそこまでしっかり考えていかなければいけないのだろうと思います。特にそのためには、御案内のとおり、現在、レセプトオンラインで大体11万組織ぐらいがつながっていると思うのですけれども、今は、基金さん、国保連さんと一緒に集約されていると思いますけれども、医療機関と一方通行というか、n対1の通信なのですね。すなわち、基金さんが1個で医療機関のNが11万ぐらいある。これをIX接続に変えると、11万は一気に双方向通信に変わるのですよ。したがって、残っているあとの12万ぐらいをどうオンライン化するかというのを、この先、真剣に考える必要があるのではないかと思います。個人的には、5Gか何かでできるようだと非常におもしろいと思うのですけれども、今はまだ実用ではないので、この先かなと。ただし、ネットワークについてはそういうことを考えておく必要があるのだろうと思います。
3つ目、医療等IDなのですが、これは前から申し上げているとおり、私自身もマイナンバー制度のコアシステムをずっと見ていたこともあって、コアシステムから、基金さん、国保連さんの方へ出る、いわゆる機関別符号というものがございます。この機関別符号が社会保障分野で初めて全員をカバーする台帳になったのですよね。したがって、医療等IDを発番するだけであればすぐにできる。すなわち、はっきりとした台帳はできていますから、それはできるのですが、問題はどうやって本人に渡すかになります。本人に渡すときに、例えば、それが今までの議論ですと、保険証を個人番号化してという話になっているのだと思います。ただし、病院に行ったときあるいは診療所等に行ったときに、保険証を出しても、その番号の入力ミスやほかの人のカードを使った時点では、今度は病歴としてのつながりを見ると他の人とまざることが危惧されます。これを絶対に避けるというのは、今、出ている病院に行っている患者さんの数を考えても、年金ですらこの数でミスがいっぱいあるのですから、とても無理だろうと思います。そうなったときに、データヘルスは本当にヘルスなのですかというのはよくわからなくなります。それ以前に患者さんに対する第1次利用自体が失敗することが万が一起きたら、これは大変なことになるので、これは医療界がつながっているデータに対して信用しないということになってしまうのではないかということを、年金をずっと見ているものとしては、危惧するところでございます。
何しろそういう形でやり方はいろいろ見えてきているので、しっかりとした議論で進めていくことが大事ではないかと思います。
以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
重要な御指摘だったと思います。
ほかにいかがでしょうか。大分時間が残り少なくなってまいりました。
秋山構成員、どうぞ。
○秋山構成員 地域医療連携に携わっている者の立場からなのですが、全国保健医療情報ネットワークを構築すると言われたときに、それが何なのかということがこの構成員の先生方の中でもまだイメージができていないかと思うのです。17ページの図にあるような、先ほど樋口先生のコメントにもありましたが、長野県の診療所がかかりつけの人が、大阪の病院に入院するようなケース、その時には初診で入るので、過去の病歴が参考にできる。確かに便利だけれども、紹介状がついてくればそれで終わるかもしれません。それでは、同じ方が岩手県の薬局で薬をもらうのか。そのために、こういうものをつくるという発想ではもちろんないと思うのですよね。
先ほど齋藤さんの話もありましたけれども、既に15ページにあるようにそれぞれの都道府県単位でこういったネットワークをつくっているところもあり、岡山県はちょうどほどよい大きさなので全県でできているのですが、それでも、広島県との県境においては広島医療機関にかかる人もいるので、その際、つなぐような仕組みは考えている。こういうネットワークをつなぐときにはどのようなつなぎ方をしたら、全国どこに行っても、万が一旅先で倒れたときに大丈夫かなということを考えていくのは、これからワーキンググループで検討すると思っているのですが、他方、この26県以外のところで、例えば、首都圏などでいくと、日常の生活圏域で複数の医療機関にかかっている方はたくさんいると思うのですが、ネットワークをすぐに超えてしまうという場合には、ネットワーク間をつなぐような仕組みが何か必要だろうし、そこに最低限載せておくものは何なのかということをまた御議論いただきたいと思うので、もちろん目指さなければならない目標だと思いますが、全国保健医療情報ネットワークというものは、どういうものを最終形としてでき上がるのか。結果として、どこでも誰でも安心してかかれる仕組みができれば理想だと思いますが、1つ、日本全国どこでも、という大きなものをつくってしまうというのはコストに合わないと思いますので、そのあたりはまた検討いただけたらと思っております。
以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
○石川構成員 日本医師会の石川です。
先ほどの各県のネットワークはおっしゃったように26件ぐらいなのですけれども、これは例示されているまめネットを見ても全員ではないのです。あまねくというわけではないのですね。私たちがこういう全国のネットワークというものを計画しているのは、ネットワークにつなげると、いろいろなサービスが医療従事者に展開できるということもありますし、一方で、データの共有もできるということを目指して、これはある面では、今まで参加していない、各県でやっても参加できていない方たちにも、いろいろな形で、簡単に、しかも定価が安くて、しかもセキュリティーが高い、そういうネットワークを供給することによって医療・介護は進展するだろということを目指しているわけなのです。かつ、データヘルスにも貢献できるということを目指しているから、こういうものをつくる。ある面では、全国的なブームをつくって変えていくという形の考えであるということです。
○森田座長 ありがとうございました。
時間が残り少なくなりましたので、あとお一方かお二方か、御発言をまだされていない方で御発言をよろしいですか。
大道構成員、どうぞ。
○大道構成員 今、皆さん方の話を聞いていて、我々は病院団体ですから、会員の1,000床を超える病院から20床の病院まで、皆さんこういうシステムを今後つくりますからぜひ入ってくださいと、こう言っていかなければいけないのですけれども、入ったところでどんなメリットがあるのですかということで、縷々説明するはめになると思うのですが、現実面として、地域に、非常に病院というのはドメスチックな存在ですので、その中で全国規模と言われても、というところをどう説得するかというところが一番のポイントになってくると思うのですね。
ですから、端的に言えば、こういうものに入ることによって、全国共通の、要するに、日本の電子カルテというものを先生方は手に入れることができるのです。これが全国で1つの電子カルテが動く形になるのですよというのは、病院にとっては非常にわかりやすくて入りやすい、ありがたい一つのケースかなと思うのですけれども、今の話ではそういうわけではない。個々のいろいろなベンダーの電子カルテも使いつつ、その中で標準化をどこかでしながら、そこにデータの数値を出していくという形がうまくいくのかというところは、今までさんざん構成員の先生方が言われたとおり、非常に困難なところではあると思います。片やマイナンバーが普及していない。今、ポイントをという話で、これも非常にいい話だと思いますし、極端に言うと、センター試験を受けるときにはマイナンバーがないと受けさせないとかというのも一つの方策かもわかりませんけれども、何らかの形で早く普及させていただいて、もっと利便性の高いものにしていく必要があるかなとは思います。そのあたり、ここで病院と一くくりに言っても、いろいろな病院がありますので、ぜひ勘案していただければと思います。
以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
熊谷構成員、どうぞ。
○熊谷構成員 日本看護協会の熊谷です。
13ページにありますように、看護の領域でも、これから地域包括ケアシステムの推進という中で、医療と介護をつないでいかなければいけない。今回の診療報酬改定でも、病院から地域に出るときに、入院が決まった段階で、介護領域の方、つまり、ケアマネジャーとつながって情報を共有して、それも顔の見える関係で病院に来てもらって、いろいろな計画を立てそれから入院して退院につなげることの強化が始まりました。病院までケアマネが来て、短い入院期間の中でいろいろな話をしてというのはすごく大変なことですが、そこをやらないと、地域でうまく地域包括ケアシステムが回らないという中で、こういった情報共有ができるというのは、一つはメリットだと私どもは考えています。
ただ、例えば、訪問看護ステーションに関しては、まだ電子化がすごく遅れています。なので、大山先生がおっしゃったように、まず、基盤整備をどうするのかということは大変重要なことだと思います。訪問看護ステーションの電子化が遅れている中で、病院とつながる時にどういうシステムでつなげていくのかということもすごく大きなことで、訪問看護ステーションというのは、大規模もあれば、本当に小さい訪問看護ステーションもあります。病院とはまた違う領域なので、そのあたりを慎重に検討されて、基盤整備ということをしっかりとやっていかないと、訪問看護ステーションもどうしていいかわからないと思います。
よろしくお願いします。
○森田座長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
それでは、最後に杉山構成員、どうぞ。
○杉山構成員 日本歯科医師会の杉山でございます。
先生方には本当に最後の最後で大変恐縮なのですが、毎日臨床をしていると、いつも思っていることがあって、それは本当に我々の医療が患者さんのためになっているということを確信できるかという部分なのです。それは、受け手の側の患者さん、あるいはここで言うと広く国民という捉え方をしてもいいと思うのですが、その人たちにとってもメリットがないといけない。そして、医療従事者にとってもメリットがないといけない。さまざまな形でプラスをつくっていかないといけない。概念的な話で、精神論になってしまうかもしれないので大変恐縮なのですが、医療者を含めた、大山先生はシステムとしての基盤とお話しになったのですが、人には心があって、その人たちの心の基盤がきちんとできないと、これは多分使っていけないだろう。やらなければいけないということは事実わかっています。諸外国の例を見ても、当然進めていくべきだろうと思っています。
ただ、そういう観点で言っても、今、申し上げたように、やる側、受ける側、連携をする人たち、それを管理する人たち、そういう人たちが本当に自分たちの中で、これは大事なんだと確信すること。日本としての大きなビジョンに沿った形で、みんながここにそういう基盤をつくって対応していかないと、必ず大きな問題が起こってくるだろうなという漠然とした不安があるので、それだけお話しさせていただきました。
ありがとうございます。
○森田座長 ありがとうございました。
時間がまいりましたので、よろしいでしょうか。
私もいろいろ言いたいことがあるのですけれども、一言だけ感想を述べさせていただきますと、7月までに、これだけさまざまな御意見、さまざまな課題があるものをまとめていくというのは容易ならざることだなと思って、座長を引き受けたことを若干後悔しているような気分でございます。
ただ、私自身、この分野について少し見てまいりましたけれども、ヨーロッパの国などは、先進国を見ていると、入っているわけですよね。その国が決しって、すっと入ったわけではなしに、個人情報の問題をどうするか、標準化の問題をどうするか、コストをどうするかという議論をかなり経た上でも、このシステムを入れるべきだと考えて入っている。これはヨーロッパだけではなくてお隣の国もそうかもしれませんけれども、そういう状況であり、これをなぜ入れたのかということは少し考えてみる必要があるのかなと思っております。
一時、欧州の方に日本の事情も含めて言ったときに、彼らがこういう医療情報のシステムを入れるときに何を考えたかというと、3つ、簡単なことを言っていました。1つは何かといいますと、システムはできるだけシンプルなほうがいいと。2番目は、将来の技術が読めない以上、発展の可能性があるものでなければいけない。3番目は、コストの問題だというわけです。ほかの国にあって我が国の議論でないと思いますのは、これによってどれくらいのコストベネフィットの評価をするべきかと。もちろん直接かかるコストの問題もありますし、イニシャルコストはかかるのですけれども、将来的に金銭的に節約できるコストと国民に対する医療サービスの質が向上するベネフィットを計算したときに、我々は間違いなくこの道を歩むことにしたというのは、ある国の方のおっしゃったことでして、我が国の場合にはなぜかそのコストの話がないと思います。
先ほどのオンライン資格確認は、私も何年かかかわっておりますけれども、結局、誤ったというか、返戻になるようなケースで、全部で後から回収できるものもそうですけれども、動く金額が年間1,000億を超えていたという状況だったわけです。クレジットカードでも有効性はその場で確認できるわけですから、それに近い仕組みを入れれば、1,000億とは言いませんけれども、システムの導入コストを入れたとしても、大幅に削減できるのではないか。そして、誤った保険証で、請求はともかくとして、誤った診療が行われるということを防ぐということは非常に重要ではないかということを考えたということを思い出したということだけを言わせていただきます。
あと、若干この議論を聞いていて思いましたのは、マイナンバーという制度とマイナンバーカードがまだ少し混乱をしているところがあるのかなという気がしていて、これはどう違うかと私はきちんと説明できませんけれども、違いを共有しておく必要があるかと思います。
これ以上言うとまた時間がオーバーしますので、これぐらいにさせていただきますけれども、今回、第1回目ということで大変課題が多く見えたような気がしますけれども、しかし、方向性とこの議論で何とか夏までにまとめていくという、その決意は確認できたのではないかと勝手に思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。これから、多分ワーキンググループでもって、より詰めた議論が展開されると思っております。
それでは、これで予定された議事を終了したということにいたしまして、事務局から何かありましたらお願いいたします。
○笹子政策企画官 事務局でございます。
本日は、大変活発な議論をいただきまして、ありがとうございました。
次回の検討会の開催につきまして、改めて調整の上、日程、場所等について、御連絡を申し上げたいと思ってございます。
また、本日の議事録につきましては、作成次第、構成員、オブザーバーの皆様方に御確認いただきまして、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。
それでは、本日はこれで閉会といたします。
ただいま6時59分58秒でございますので、ぴったりということです。大変活発な意見交換をいただきまして、ありがとうございました。
これで終了いたします。
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