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2018年3月9日 第5回検体検査の精度管理等に関する検討会議事録

○日時

平成30年3月9日(金)9:30~12:00


○場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール2A


○議事

○野坂医療情報管理専門官 定刻になりましたので、ただいまから第5回「検体検査の精度管理等に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、御出席いただき、まことにありがとうございます。

 なお、本日は伊藤構成員が欠席になっております。また、事務局の医政局長の武田が所用により途中退席させていただきます。総務課長の榎本のほうも、こちらに向かっているところでございますが、所用により遅れております。

 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第、次に資料「検体検査の精度管理等に関する検討会とりまとめ(案)」、参考資料1、2として1枚紙が2枚ございます。

 資料の欠落等がございましたら、事務局にお申しつけください。よろしいでしょうか。

 冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。

 それでは、議事に移りたいと思います。以降の議事運営は座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○楠岡座長 おはようございます。座長の楠岡でございます。

 この検討会もいよいよ取りまとめという段階になりました。本日まとまることを期待しておりますので、御協力のほどよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、議事に入りたいと思います。まずは資料「検体検査の精度管理等に関する検討会とりまとめ(案)」につきまして、全体を通して、事務局から御説明をお願いいたします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。お手元に資料を御用意ください。

 表題は「検体検査の精度管理等に関する検討会とりまとめ(案)」という形で、これまで御議論いただいた内容につきまして座長と御相談させていただきまして、本案の取りまとめの準備をさせていただいているところでございます。こちらの案につきましては、事前に各構成員に郵送で送らせていただいているところで、いただいた御意見につきましても、本日の説明の際にそれぞれ追加する形で対応していきたいと考えているところでございます。その内容と全体の構成につきまして、改めて私から少しお時間をいただいて御説明させていただければと思います。

 1ページをお開きください。まず、全体のたてつけを御説明いたします。「はじめに」から始まりまして、本検討会の目的、位置づけ、その後の対応を第1にまとめております。続きまして、本検討会で御議論いただいた順番で整理しているところでございまして、第2で分類の見直しのお話、一次分類、二次分類のそれぞれについて記載しております。第3で、今回の法改正を受けまして、新たに医療機関、歯科医療機関、助産所が自ら実施する場合の精度の確保をどうするかということにつきましてまとめております。第4に関しましては、ブランチラボ、衛生検査所におきますいわゆる業務委託における検体検査の精度の確保の方法をまとめております。第5につきましては、遺伝子関連検査・染色体検査を特出しにした形でまとめているという全体の構成になっております。

 3ページにお進みください。「第1.はじめに」から御説明してまいりたいと思います。まず「1.本検討会の目的等」でございますが、事前にお送りしたものから、○の1つ目を今回は追記しているところでございます。検体検査の見直しが必要だったということに関しまして、もう少し丁寧に書いてはどうかという御意見を踏まえまして、○を1つ追加しております。追加した内容を読み上げさせていただければと思います。

 医療技術が日々進歩する中で、それらの技術を活用しつつ、患者にとってよりよい医療を届けることが求められている。本検討会のテーマである検体検査は、疾病の的確な診断や、治療効果の評価等のため、日々の診療の中で絶えず繰り返し実施されているものであり、先進的なものも含め、その品質・精度を確保することが非常に重要であるということをまずは書かせていただいております。

 2つ目の○の最初で、こういった状況を踏まえ、法改正に至ったという形で整理をさせていただいております。

 また、3つ目のところで、検体検査の分類に関しましては、国際的な基準等と合致していないこと、新たなものが生じるということで、必要な対応を行ったということ。

 4つ目の○といたしまして、ゲノムタスクフォースにおける指摘があったということを書いております。

 ○の5つ目としまして、本検討会の中で、これらを踏まえて大きく4つの観点から御議論いただいたという経緯を整理しているところでございます。

 続きまして「2.本とりまとめの位置付け」になります。まず、○の1つ目で本検討会の内容につきましては、事前に、昨年度、平成28年度の研究班におきまして、さまざまな御意見をいただきまして、それをベースといたしまして、有識者から構成されますこの検討会において、現時点におきます必要かつ現実的な方法、さらには分類について検討を行っていただいたところでございます。

 次の○になりますが、本検討会におきましては、結論が得られた事項のみならず、課題とされた事項についても今回の報告書の中に盛り込んでいるところでございます。これらにつきましては、世界標準に近づけるための第一歩という位置づけのもとに、現時点における精度管理の方法でありますとか分類についてまとめたということ。さらに、これにつきましては、今後も必要に応じて見直す必要があるという旨を記載させていただいております。

 「3.本とりまとめを踏まえた対応」といたしまして、この報告書を受けた後の対応といたしましては、私ども厚労省のほうで受けとめまして、医療法及び臨検法の関係の政省令の改正など、必要な対応を行うということを整理させていただいております。

 ○の2つ目になりますが、先ほど申しました、残された課題に対する対応も必要である旨を記載させていただいているところでございます。

 続きまして、4ページの下から、具体的な中身に入ってまいります。まず、最初のテーマであります「第2.検体検査の分類の見直し」につきまして記載しているところでございます。これにつきましては一次分類、次ページ以降に二次分類の話がありますが、2つに分けて整理をしております。

 最初に「1.検体検査の分類(一次分類)について」に関しましては、研究班の報告書を踏まえまして、現状の科学的な検体検査の分類と一致していない事項につきまして見直しが必要であるということを受けまして、次の5ページになりますが、表のような一次分類に見直しを行ったということになります。

 さらには「2.検体検査の分類(二次分類)について」に関しましては、研究班報告書におきまして意見が分かれていたということがございますが、本検討会におきまして、検体検査の品質管理や情報の管理を図る観点から、手法ごとに分類することが適当であること、ゲノムタスクフォースの意見の取りまとめ等々を受けまして、臨検法の施行規則等における分類としましては、ここにあります一次分類、二次分類が適当であるというまとめにさせていただいているところでございます。

 ここに関しましては、いろいろな御意見をいただいたところでございまして、6ページの一番上にございますが、これらの分類に関しましては、病理検体を用いる場合は、病変部を適切に採取しないと検査結果に影響があるということをこの検討会におきましても何度か御指摘いただいたところでございます。これらに関しましては、切り出す箇所・範囲の選択に当たって医師の関与が必要である。これらを踏まえると、分類に関しましても、他と一線を画したものが必要ではないかという御意見もいただいたところで、それに関しましては明記させていただいているところでございます。また、最後の2行でございますが、これらの指摘を踏まえまして、医師の関与が必要であるということで、病理検体を扱う際の留意すべき事項につきましては通知などで明記するという配慮が必要であるということをまとめさせていただいているところでございます。

 ここまでが分類に関する記載事項になります。

 続きまして「第3.医療機関、歯科医療機関又は助産所が自ら実施する検体検査の精度の確保の方法」に移りまして、医療機関、歯科医療機関、助産所におきます自ら実施する場合の基準になります。これに関しましては構造設備、下段にあります管理組織、それ以外の精度管理の確保に関する事項と大きく3つに分けて御議論いただいたところでございます。先にお送りしました内容では医療機関のみの記載になっておりましたが、歯科医療機関、助産所につきましても同等の扱いをするということを、まずは「1.構造設備」の1つ目の○で整理させていただいております。

 2つ目の○、3つ目の○につきましては、宮地構成員からいただきました感染症法との整理が必要だという御指摘を踏まえまして整理させていただいているところでございます。当然ながら、こういった感染の可能性のある検体等を扱う場合には十分留意が必要であろうと考えているところでございますが、3つ目の○の最後にありますように、構造設備に係る特段の基準までは設ける必要がないという取りまとめにさせていただいております。一方で、これらを取り扱う際に関しましては、国立感染症研究所におきます病原体等の安全管理規程といったものを参照しながら、適切な対応を行うということに関しまして、今後、明記させていただきたいと考えております。

 続きまして「2.管理組織」になります。まずは責任者の職種になりますが、これに関しましては、他の業務との兼任を妨げないとした上で、6ページの最後になりますが、医師、次のページに行きまして、臨床検査技師とすることと整理させていただいております。

 次の○になりますが、医療機関内での全ての検査は、主治医を含む医師の指示に基づいて実施されるものであることから、臨床検査技師を責任者にする場合であっても、特段指導監督する立場の医師を別途選任する必要はないという整理もさせていただいてございます。図になりますが、事前にお送りした資料で「検査部門」という形でお送りしているかと思いますが、この表記を「検体検査を行う部門」という整理をさせていただいております。その図3-1の※のところでございますが、精度の確保に係る責任者は、歯科医療機関の場合は歯科医師または臨床検査技師、助産所の場合は助産師とするということを追記させていただいております。

 (2)の配置人員に関しましては、医療機関の職員は多様な業務を行っているということで、特定の基準を設けないというまとめにさせていただいております。

 続きまして、8ページは「3.その他の事項(精度の確保等)」としまして、精度の確保に関する事項をまとめております。まず、標準作業書及び作業日誌になりますが、こちらにつきましては、研究班報告書の中で議論いただいている際は、カルテへの記録等をもって代替することができるということが整理されていたところでございます。少し説明すると、次のページになるのですけれども、表3-2で、実際にどういう項目を把握していただきたいかという中におきまして、検査の実施の有無だけではなくて、検査のエラー、不具合の発生件数、こういうものも把握いただくことが必要と考えているところでございます。こういった内容をカルテに記載することは想定されないということで、カルテの記載で置きかえるということはなかなか難しいかなと考えておりまして、ここにつきましては、別途日誌等の作成をお願いするという整理とさせていただいたところでございます。具体的にはどういったものを作成するかということにつきましては、表3-1の中で、※にありますように、医療機関において実施した場合に作成が求められるものにつきましては○をつけているところでございます。

 それらに記載すべき内容や頻度につきましては、表3-2にまとめてございますが、まずは検査項目について記載いただくとともに、先ほどの繰り返しになりますが、検査のエラーでありますとか、不具合の発生件数をまとめていただきたいと考えております。その頻度に関しましては、先にお送りしたものは「検査の実施の有無にかかわらず」というような表現がありましたけれども、矛盾がありましたので、検査を実施した都度で、その頻度としましては、集計するに当たっては週単位もしくは月単位で集計いただきたいと考えております。当然ではございますが、※にありますように、検体検査を実施しない、もしくは全てを委託している医療機関では、こういったものの記録は不要という整理になろうかと思います。

 続きまして、精度の確保の観点で必要な事項としまして(2)にありますように、内部精度管理、外部精度管理調査、適切な研修の実施の3つの項目がございます。外部精度管理調査につきましては、一律義務とした場合、申し込まれる受験の全ての実施体制が現時点において整っていないこと、地域医療の円滑な提供における影響へ配慮することが必要ということで、いずれにつきましても、まずは努力義務という形でスタートしてはどうかとまとめていただいております。

 これらにつきましては、当然ながら精度の確保の方法として重要なツールということで、今後、さらなる高みを目指すことが必要だろうと考えておりますので、外部精度管理調査を含めまして、各医療機関におきます実施体制を踏まえてどうしていくのかということは検討が必要だろうと考えております。こちらは矢冨先生から御指摘をいただいたところでございますが、高度な医療を提供する特定機能病院といったところにつきましては、より高度な基準が求められてもいいのではないかという御指摘もいただいたところでございますが、こちらにつきましては、それぞれの承認要件を検討する場で別途検討する必要があるという旨を明記させていただいているところでございます。

 続きまして、9ページの下に進みまして「第4.医療機関、歯科医療機関又は助産所からの業務委託における検体検査の精度の確保の方法」につきまして整理しているところでございます。まず、たてつけとしましては、設備、面積、人的基準、あとはさらにその中で用います機器をどうしていくかということをまとめております。

 一番下の1つ目の○でございますが、先ほど第2で整理いたしました検体検査の分類の見直し及び現在の科学的検体検査体系を踏まえた見直しを行っているところでございます。各項目については説明を省かせていただきますが、10ページの表にありますような、新たな検査分類、さらにそれに応じた形で検査用の機械器具を整理させていただいているところでございます。

10ページの下の(2)になりますが、衛生検査所の検査室の面積に関しましても、先ほどの分類を踏まえまして、一次分類、さらには新設の一次分類でどういう要件を当てはめるかにつきまして御議論いただいたところでございます。そちらにつきましては、11ページにありますように、分類の見直しによる影響を最小限とするという観点から、基準に関しましては、現行の基準を踏まえまして、表にあるような基準案をまとめていただいているところでございます。

 (3)に進みまして、次は衛生検査所におきます人員のお話になります。こちらにつきましても同じような観点で、今回の分類の見直しが実際に提供される検査への影響が最小限になるようにという観点から、表にありますように、現行の人員の基準を踏まえた見直しを行っていただいたところでございます。

 一方で、2に関しましては、業務委託における検体検査の精度の確保をさらに進めるために必要な標準作業書、日誌、台帳に関しまして、さらなる要件の見直しを少しお願いしたところでございます。こちらにつきましては、さまざまな検査の工程ごとに必要な精度管理のための要件や基準を明確化すること。さらには、昨今の課題となっています個人情報の保護でありますとか情報セキュリティーにつきましても、時勢に合わせた基準に修正するという方向で御検討いただいたところでございます。現行、指導要領で示されている内容のうち重要なものにつきましては関係省令で規定するという方向の見直しも行っていただいているところでございます。

 具体的には、12ページから御説明してまいります。まず、検査全般に係る内容としまして、依頼・結果報告における情報の連携・交換でございます。こちらにつきましては、情報の連携及び交換につきまして、IT技術の発展ということで、多様な形式で実施されているということがございますので、こういったどのような情報のやりとりをするのかという情報連携の手順や情報の評価の基準につきましては明確化が必要であろうということで、表にあるような記載事項でまとめているところでございます。

 続きまして(2)に関しましては、教育研修・技能評価に関するところでございます。昨今の高度で複雑な検査を行う場合の精度を確保するという観点から、検査分類ごとに要求されます教育の研修・技能評価につきまして基準を明確化し、教育研修・技術評価に関する事項も関係省令に規定して、さらには、それらの書類の作成を新たに求めることとさせていただいております。12ページの一番下の○になりますが、こういった研修につきましては、管理者が医師ではないブランチラボ、衛生検査所においては、指導監督医による労働安全衛生法、個人情報保護法等の分野横断的な規制に関する研修を追加することも重要との御意見をいただいているところでございます。

 続きまして(3)の委託検査の管理に関するところでございますが、ここにつきましては、いわゆる再委託をするような場合につきまして、外部に委託する関係事項を省令に規定して、外部委託標準作業書の作成を新たに求めるという整理をいただいているところでございます。

 (4)は工程管理・精度管理に関する事項になります。まず、工程管理に関しましては、さまざまな検査を行った場合に、異常値を示した検体の取扱方法について医学的観点からの指導監督医の役割を明確化するということを行っております。測定を行う際の設備の温度を記録する温度・設備管理台帳の記入要領を記載するということで整理させていただいております。

14ページにお進みください。温度・設備管理台帳につきましては、特にブランチラボの場合は排水・廃棄物の処理に関しましては医療機関として管理しているという点に対する考慮も必要であるということも明記させていただいているところでございます。

 続きまして、○2としまして、精度管理になります。この中では、現行の測定標準作業書から、精度管理の方法、評価基準等の記載事項を抜粋いたしまして、衛生検査所指導要領に記載されています精度管理に関する事項をまとめた精度管理標準作業書という形で整理を改めてしているところでございます。これらにつきましては、さまざまな追加する事項等を整理させていただいているところでございます。

 (5)の苦情処理に関しましては、委託元である医療機関から受けた際の手順を明確化するということをお願いしているところでございます。

 さらに1枚おめくりください。(6)といたしまして、ブランチラボや衛生検査所における検体の処理に関して整理を行っている項目になります。これに関しましては、遺伝子関連検査等の検体から抽出されるものにつきまして、中間産物を含む検体を用いて、再検査や追加検査を行うことが想定されるところでございます。その際の検体の保管、返却、廃棄における基準を明確化して、検体処理標準作業書及び保管・返却・廃棄処理の台帳を新たに作成いただくことを求めているところでございます。

 これらをまとめましたのが15ページの表4-1で、次ページまでつながっているところでございます。

16ページの上の○の1つ目になりますが、個人情報の保護や情報セキュリティーに関することに関しての記載になります。こちらにつきましては、厚生労働省において作成しております医療情報システムの安全管理に関するガイドラインの遵守を明記しているところでございます。また、これらの各衛生検査所、ブランチラボの取り組みがどうなのか、新たな要件に対してどの程度十分対応できるのかということに関しましては、矢冨先生の研究班におきまして実態の調査もいただいているところでございます。その中で、ほとんどのブランチラボ及び衛生検査所において、既に整備済みまたは記載事項が明確になれば整備が可能ということも、今後の対応の可否に関しまして報告をいただいたところでございます。

16ページは最後の「第5.遺伝子関連検査・染色体検査の精度の確保の方法」につきまして明記しているところでございます。「1.責任者の配置」でございますが(1)としまして、責任者の配置は、遺伝子関連検査・染色体検査の責任者を別途配置する必要があるという整理をさせていただいております。ただ、責任者の配置に関しましては、検査全般の精度確保に関する責任者との兼任を認めるという整理をさせていただいております。

 続きまして、17ページにお進みください。これらの責任者に求められる相応の経験と資質に関しましては、原則として遺伝子関連検査・染色体検査に関する業務経験として一定の経験を求めること、資質に関しましては、そういった知識を有していることという整理をさせていただいているところでございます。

 図5-1の※でございますが、こちらに関しましても、歯科医療機関の場合は歯科医師または臨床検査技師である旨を追記させていただいているところでございます。

17ページの下に行きまして「2.内部精度管理の実施、外部精度管理調査の受検及び適切な研修の実施」になります。これに関しましては、病院全体のお話と少し分けて、こういった遺伝子関連検査・染色体検査を実施する場合は、内部精度管理の実施と適切な研修の実施については求めることが適当、義務とさせていただきたいと考えているところでございます。それ以降に書いてございますが、検査全体に関しまして、先ほどの整理という中で、努力義務の形で整理させていただいているところでございます。

 一方、18ページに進みますが、外部精度管理調査に関しましては、研究班の中でいろいろと御検討いただいたところでございます。この中で○の最後になりますが、現行を踏まえますと、他の検査で行われているような広域的な外部精度管理調査を実施できる体制が遺伝子関連検査についてはまだ整っていないということが現状かと認識しております。そのため、マル2としまして、代替方法につきまして、前回、御検討いただいたところでございます。現行の国内で実施されています体制が整っているものとしましては3つほどあろうかと思っていまして、結核菌群の定性、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスにおきます定量。これらの3項目につきましては、現行も実施可能というところでございます。

 それ以外にCAP等々のそれ以外の体制、外部精度管理調査につきましては代替方法が考えられるところでございますが、まずは国内において対応可能なものとして考えていますのが、19ページの○に書いているところでございます。この場合に大きく2つ分けておりまして、広域的かつ継続的に実施されるものと、技能試験スキームによって実施されるものということです。これらを少し詳細に書いているものが※1でございますが、広域的かつ継続的に実施されるものとしましては、各団体で行われている外部精度管理調査で、技能試験スキームとしましては、※2にありますように、施設間で互いに保有するサンプル等を用いて検査結果について比較するというやり方があろうかと考えております。こういった実際に実施できるものを一定程度要件として位置づけてやっていただくということが現状において対応可能な取り組みかと考えております。

 マル3でございますが、さらに必要な枠組み・プロセスに関しましては、さらなる高みを目指すという観点から、今後、取り組んでいく必要があろうと考えているところでございます。

 続きまして、下の(3)になりますが、検査施設の第三者認定に関してです。第三者認定でまずは何を担保すべきかということをマル1で整理させていただいておりまして、検査室の試薬等の技術的事項、管理体制、組織上の要求事項といったものを第三者認定の中では整理が必要であろうと考えております。

 マル2におきまして、第三者認定の現行の実施体制はどうなっているかというところで整理させていただいているところでございます。事前にお送りしたものから事実関係も含めまして大幅に修正しているところでございまして、19ページのマル1は現行としてこういう取り組みがあるということで、事前にお送りしているものと変更はないところでございます。一方で、20ページの○の1つ目、現状に対する認識でございますが、現在、いわゆる日本適合性認定協会でやっていただいているところでございます。こちらにつきましては、医療機関、衛生検査所から申請があったものにつきましては、現行は円滑な審査を行っていただいているというところでございますが、全ての遺伝子関連検査・染色体検査をやっている医療機関、衛生検査所から申請があったということを想定した体制にはなっていないということの事実関係を書かせていただいています。

 次の○でございますが、今後、こういったものが求められるということになりますと、大幅に申請件数が増加するということも想定されるところでございますので、それに応じた審査体制の整備も段階的に行う必要があるということで、まずは第三者認定の取得につきましては勧奨から初めてはどうかと整理をさせていただいております。

 当然ながら、我が国におきます遺伝子関連検査の質を欧米と同じ水準を目指すということが必要であるということも考えておりまして、順次こういったものの見直しも行っていく必要があるというまとめをさせていただいております。

20ページの下のマル3になりますが、第三者認定の取得に関しましては、今回は勧奨という整理をさせていただいているところでございますが、検討会の中におきまして、第三者認定を全ての遺伝子検査をやるところが必要かということにつきまして御議論いただいたところでございます。必ずしも必要ないというような要件につきましても御議論いただいたところで、その内容につきまして、20ページの下にまとめさせていただいているところでございます。こちらにつきましては、事務局から御提案しました検査検体が病理検体ではない場合、かつ、単一の核酸配列を検査の対象としていること、3つ目としまして、結果報告システムが薬事承認によるキット化されているものといった場合につきましては、必ずしもこういうものだけを扱っている場合は第三者認定は不要ではないかという御提案をさせていただいたところでございます。

 最後、21ページになりますが、第三者認定の取得が今回は勧奨と位置づけられたということもございますので、第三者認定が要らない場合の整理につきましては具体的な提言を行わないということでございますが、先ほど申しましたように、第三者認定がさらに今後、勧奨からグレードが上がっていったレベルになっていくと、こういった要件につきましても、再度検討が必要であろうと考えているところでございます。

 報告書の内容につきましては以上になっておりまして、次ページの別添1としまして本検討会の開催状況、別添2といたしまして本検討会の構成員の名簿をつけさせていただいております。

 長時間になりましたが、以上で説明を終わらせていただきます。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 それでは、今の取りまとめについて検討を進めていきたいと思いますが、非常に多岐にわたっておりますので、分野ごとに順番に進めていきたいと思います。最初に「第1.はじめに」と次の「第2.検体検査の分類の見直し」の2点につきまして御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 菅間構成員、どうぞ。

○菅間構成員 この検討会の初回に触れさせていただいた点ですけれども、この検討会の検討事項としては、厚労省では考えていないという話でしたが、変更される検体検査の分類、特に今後広がるであろう遺伝子関連検査を考えた場合には、当然、新たに分類が設定される結果、そのメリットを国民が享受できるように費用対効果も考える必要があることを発言させていただいたように記憶しています。

 その点を、ぜひとも「2.本とりまとめの位置付け」の○の1つ目の下のほうにでも入れていただきたいと思います。この検討会の報告案に、もろもろ結論が出なかったことがあることも記載されていることは評価すべきだろうと思うのですけれども、今後、検討を加えるに当たって、費用対効果も考慮した上でというような表現を入れていただければと思いました。とりまとめの結果は、今後も必要に応じて見直すという言葉が入っているわけですけれども、見直す際にきちんと費用対効果を入れていかないといけない。特に遺伝子検査は今後、大きな市場規模をもつと考えている方もおられると思いますので、ぜひともその観点を入れていただければと。

 もう一点ですけれども、2番目の○の段落ですが、3行目の「染色体検査を初めとする検体検査の精度の水準を世界標準に近づけるための第一歩」と表現をされると、現在の全ての医療機関における検体検査のレベルがえらく低いというイメージを受けると思いす。第一歩も踏み出していないと。遺伝子関連検査に関しては、世界的に始まったばかりで、日本は少しそのスタートが遅れているというのは了解されるわけですけれども、全ての検査に関して世界標準に全く追いついていないので、第一歩を始めましょうという表現はちょっとおかしいように思いました。

 以上です。

○楠岡座長 第一歩のほうはちょっと考えさせていただくこととしまして、前半の費用対効果なのですが、先生がおっしゃるのは、検査そのものの費用対効果なのか、精度管理に関する費用対効果なのか、そのどちらを特に意識されておっしゃっているのか。もし検査そのものの費用対効果になりますと、有用性とか頻度とかを考慮して、保険採用をするかとか、あるいは保険では行わないけれども先進医療においては自費等で行うことに関して認めていくのかという話になっていくと思います。一方、精度管理となると、余りそのための費用が高くなってしまうから、精度管理に関してもある意味でキャップをはめるという話であると、また意味が変わってくるかと思うのですが、その点に関して、先生の発言の費用対効果とは、どこを意識されているのですか。

○菅間構成員 基本的には両方で、まず検査の分類に関しては、今回分けることになった遺伝子関連検査を含めての検査項目をつくる、つくらないで大きなコストが生じることになると思います。それが検査そのものの話です。精度管理に関しては、前に西尾構成員あるいは難波構成員から、現状で、地方であってもある程度技能がある施設であればすでにやれていることが、いろいろな精度管理の枠をはめられることによってできなくなることもあり得ます。精度管理に関しても過剰な、例えばCLIA法という話が出ましたけれども、アメリカの規制が全部適用になったら、日本ですでにスタートしている遺伝子検査がほとんどができなくなってしまうということがあり得ると思います。両方に費用対効果を入れる必要があるのではないかという気がいたします。

○楠岡座長 ほかに御意見はございますか。

 今の費用対効果は非常に重要な内容なのですけれども、書きぶりが、どのように書くかという、将来の検討項目の中で費用対効果の視点も入れてというような表現あれば、どこか入れられるところはあるかと思うのですけれども、それだけで本当にきっちり理解をしていただけるのかどうかというところ。

○菅間構成員 きっちりはなかなか難しいと思いますので、差し当たってはまとめの位置づけのところに、入れておけばよろしいのではないかと思います。

○楠岡座長 市川構成員、どうぞ。

○市川構成員 菅間先生に御質問なのですけれども、先生がおっしゃっているのは、遺伝子検査に関しても、地域の余り規模の大きくない病院でもやる可能性があるし、それに関しては規制をかけないほうがよろしいという話ですか。後段のほうの費用対効果です。

○菅間構成員 全く精度管理をすべきではないという意味ではなくて、ある程度地方の病院においてもできるような体制でスタートさせるべきだろうという意味です。

○市川構成員 一般的に、遺伝子検査までをするような病院は、ある程度規模とかそのような人員配置等があるところであって、ちょっとした診療所がやることは、むしろ問題なものですから、そこはきちんと線を画して、特に9ページで、内部精度管理云々のところの(2)の一番下の段落で「また、高度な医療を提供する特定機能病院等」という文章がありまして、そこはやはりきちんとした精度管理を行うべきだと書いてあるものですから、そこの枠は厳重に守っていかれたほうがいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○菅間構成員 そこの認識は、遺伝子関連検査に関しては精通している人とそうではない人に随分違いがあるのだろうと思います。宮地先生の資料の中で、日本の遺伝子関連研究はほかの国よりもむしろすぐれているというシーソーの絵を出してくださいました。遺伝子関連の研究をしている、今は医療機関の外にいる人たちを医療機関の中に取り込めば、簡単に、比較的すぐに高いレベルでできる体制ができあがります。場合によっては診療所で遺伝子関連検査をすることも、全く夢ではないような気がいたします。

○市川構成員 先生のおっしゃるとおり、薬食審のほうで、遺伝子検査に関して、ほとんど国外でやっているわけです。そうしますと、国外に持っていった遺伝子、検体が本当に破棄されているかどうかがわかっていない。日本人の遺伝子がどんどん国外の企業に、アメリカとかに持っていかれているということは確かなのです。しかし、だからといって、日本の医療技術が進歩するのを待つのは当然なのですが、現在その枠を緩くするというのは、ちょっとまた話が違うのではないかと思います。

○菅構成員 その枠をどのぐらいまで緩めながらという話だと思いますけれども、いずれにしても、特に遺伝子関連検査は、今後の、日本だけではなく、医療のイノベーションの1番目だろうと思います。それをいかに医療機関が取り込んで、安くやれる体制をつくれるかどうかが、国の医療保険全体の金額に関わる大きな分岐なのではないかと、私は考えています。

 以上です。

○楠岡座長 ほかに御意見はございますか。

 どうぞ。

○矢冨構成員 菅間先生の御意見は大変よく理解できるのですけれども、検体検査の品質・精度を保とうということで今の議論があって、遺伝子関連検査は特に品質・精度が重要であるという認識と理解しています。コストベネフィットの問題も、品質・精度が保たれた上のものでありますので、曖昧な書きぶりで挿入することに関しては、いかがなものかと思って聞いておりました。

○楠岡座長 ほかにございますか。

 どうぞ。

○宮地構成員 菅間先生の御指摘のとおり、日本は少子高齢化が進み、生産人口が減っていく時代になってきておりますので、医療経済の視点が一層重要なのは間違いないのです。限られた財源で良質な医療を提供するということは非常に重要なテーマだと思います。前回、遺伝子関連検査・染色体検査の報告を整理させていただいたときに、この法律ができてこそ、その基盤を3つ挙げさせていただいたのですが、経済基盤、人的基盤、医療提供基盤。こういうものが整備されてくるのだと思います。

 これらは現状に基づいてこれから整備されてくる。遺伝子染色体検査、遺伝子関連検査、のみならず、一般検査においても、国際標準、第三者評価という意味では、国際標準検査管理加算がやっとついたばかりで、120数施設しかまだ取得していないのです。これを取得していないがために、国際治験が日本に回ってこない。海外、シンガポールとかアジアの国に回っていってしまう。そういう現状も実際にあるわけです。一般の、通常の検査においてもです。したがって、この書きぶりは、全体で臨床検査が抱えている課題と認識しております。日本では、細かく言うとたくさんあるのですけれども、バリデーション、ベリフィケーションの問題で言えば、バリデーションは、通常の検査でも今まで経験も歴史もございませんし、まだまだ弱いところなのです。それが一例でございますが、この表現で「検体検査の実情を踏まえながら」ということが書いてありますので、実情には、先ほど言った経済のみならず人的な要因とか提供体制とか、さまざまなものが入っておりますので、今の書きぶりで十分だと思います。あとは事務局のマターでよろしいのではないかと思うのです。

○菅間構成員 曖昧ではなくて、今の話であれば、実情の後あたりに費用対効果を意味するようなフレーズを入れていただければと思います。

○楠岡座長 ほかはよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○田澤構成員 2点ございまして、まず、費用対効果なのですが、先ほどの菅間先生のお話ですと、費用対効果を踏まえて考えていくべきと言う事で御座いますが、いろいろな精度管理要件や品質基準を考えていく上でのアンド条件で費用対効果を考えていくべきということになると、品質に関わる基準設定の全ての要件を設定・変更することに対して、費用対効果に関して考察と評価を入れないといけないということになると思うのです。ですから、先生がおっしゃる内容自身が、全ての品質基準要素に対してそれを考慮した上で、そういう対費用効果の評価軸を入れろとかいうことではなくて、将来は費用対効果ということも考慮すべき課題だというような形で入れるという観点が望ましいと言う事で、前者はかなり厳しいのではないかという気がします。それが1点目です。

 2点目は、先生がおっしゃった地域の医療機関での遺伝子検査にどこまで規制をかけるかというお話なのですが、この後にきょうの議論の中で遺伝子検査の実施基準ということが出てくると思いますけれども、恐らくその議論の中でも、この検討会の結論としての遺伝子検査の基準というものも非常に厳しい基準ではないということになると思いますが、その基準すらも適用するべきではないような地域の遺伝子検査を実施する医療機関を許容するということでお話をされているのかどうかという確認をしたいのです。基本的には遺伝子検査を実施するのであれば、地方であろうが中央であろうが、今回の基準はそんなに厳しい基準ではないので、絶対に義務とすべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。

○菅間構成員 地方だろうと中央だろうと、ある程度の精度を確保するのに全く異議はないところですけれども、現状で通常の検体検査自体も8割ぐらいは病院の外に出てしまっているわけです。本来は医療機関の中でやるべき行為だろうと思いますけれども、業務委託という形で出てしまっているわけです。さらに、今回、新たに加わる遺伝子関連検査はスタートの時点で、全て医療機関の外に出てしまうのではというのが一番懸念されるところです。この点を頭に入れながら導入時の基準を設定することが重要です。精度管理を地方だろうと、小さいところだろうと、大きいところだろうと、ある程度きちんと定めていくことに関しては、全く異論はありません。

○楠岡座長 どうぞ。

○丸田構成員 現状報告になりますけれども、先般、がんゲノム医療の中核拠点病院が11施設認定されたということで、そこの施設の検査室に少し、幾つかですが、聞き取りを行いました。その結果、急速に整備が進んでいるということですので、我が国の医療機関における遺伝子関連検査はここ数年で目覚ましい進歩があるものと感じております。

○菅間構成員 今のがんゲノム医療は、いずれにしても、今書類が回っているのは特定機能病院を中心に、決まったところしか入れない。私としてはその範囲がすごく狭いという認識です。かなり認識が違うと思います。

○丸田構成員 今後、連携病院もそれにぶら下がって10施設ぐらい。

○菅間構成員 今の話からいくと、連携病院にはなかなか入れないというのが現状だろうと思います。ちょっと話がずれていますね。

○楠岡座長 ほかに御意見はございますか。

 どうぞ、佐々木先生。

○佐々木構成員 佐々木ですが、5ページの検体検査の分類の二次分類についてということで、ちょっと話題が変わります。

○楠岡座長 費用対効果を先に済ませてしまいたいと思います。ほかに御意見はございますか。精度の確保はもう大前提ということになりますが、どうぞ。

○難波構成員 同じような議論になるかもしれませんが、最初の○に「患者にとってよりよい医療を届けること」という総論的なことがございます。医療機関の中ではさまざまな形で実際に遺伝の検査も行われておりますが、そういうものを幅広くこの中で議論してきたとある程度考えられます。私はこの文章は、よりよい医療を届けるというのは費用対効果等も含んだ文言にも見えます。工夫するのであればこの最初の文章のところを少し工夫してやるのが良い。

 それと、先ほどから遺伝の検査を医療機関の中に取り込むというお話がございましたが、実際には、これは必ずしもペイしているのかといいますか、本当に保険診療の中等の費用でいけるか心配です。我々やっている者から言うと結構危機感がございます。外国に検体を出すのは私も反対なのですが、外の受託検査の会社と医療機関とがどういうバランスでうまくやっていくかをきちんと考えていく。そのためのきっかけに十分なる資料だと私も評価しています。そのように考えていくと、最初の○の文章に費用のこともおさまってくるのかなというのが私の意見です。

 以上です。

○楠岡座長 ほかにございますか。精度を確保するということはもう大前提であって、それに伴うコスト面のことに関しても、特に遺伝子関連のところはこれからどんどんその点に関しても決めていくというか、求めていくことになるかと思うのですが、その際に、言うなれば、過度な精度管理を求めることによって、経済的負担が全体の進展を阻害することがないようにという考え方。それが多分、費用対効果と菅間先生がおっしゃるところだと思うのですけれども、逆に言うと、過度な規制によって全体が阻害されないような、そこには経済的なものも含めて注意しなければならない。

 これは行政全般に対する根本的なルールみたいな話になってしまいますが、そのような言葉でどこか、今後の対応とかを進めていく中において、そのようなものを加味するということ、その中に経済的なものも、これは明文化するか、それとも、それも含めた形にするか。ここは今後、検討させていただきたいと思います。これらの点に関しまして、事務局と座長で調整ということで御了承いただけますか。

 菅間先生、いかがですか。

○菅間構成員 了解いたします。

○楠岡座長 佐々木先生、次は5ページの話です。

○佐々木構成員 検体検査の分類の見直しの5ページなのですが、繰り返し、病理学会として、検体検査の分類見直し案の表に関しては、遺伝子関連検査・染色体検査と上の検査の間に太い線、あるいは二重線という線を設けていただきたいという立場は変わらないということをこの場で表明させていただきます。

 その一方で、5ページの「2.検体検査の分類(二次分類)について」の1つ目の○、最後の行から2つ目のところです。病理学会の立場をかなり考慮いただいて「臨検法施行規則等においては」という文言をつけていただいたこと、2つ目の○で「病理検体を用いる体細胞遺伝子検査以外の二次分類については」という文言が入ったこと。さらに、6ページの1つ目の○の「病理検体を用いる場合は」の後ですが、下から3行目の「他の検体検査の分類と一線を画すべきとの意見があったところであり、医師の関与が必要であることなど病理検体を用いた遺伝子関連検査・染色体検査において留意すべき事項を通知において示すなど配慮が必要である」というような文言に置きかえていただいたということは、学会としても非常に評価しているというところでございます。

 表以外のところは、この二次分類についても、病理学会として同意するというようなことを表明いたしたいと思います。

 以上です。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 ほかに御意見はございますか。

 表に関しては、病理学会からもいろいろと御意見をいただいたところでありますけれども、今回、一応座長預かりにさせていただいたところでは、病理学会の希望どおりにはなかなか難しい点でありますが、その点に関しましては、先ほど御指摘いただいた6ページの一番上の○の中の、特に後半の通知等において示すということで御了解いただければと考えておりますが、今回、この取りまとめにおいては御了承いただけるということでよろしゅうございますか。

○佐々木構成員 立場的に了承するかと言われると、学会の意向を示しますが、非常に評価していただいたということは、学会としても感謝しているというか、評価しております。

○楠岡座長 病理学会としては、完全に納得はできていないけれどもということですね。

○佐々木構成員 そのように理解していただければと。

○楠岡座長 わかりました。ほかに御意見はございますか。

 どうぞ。

○矢冨構成員 佐々木先生の御意見も非常によく理解できました。私としては、遺伝子関連検査・染色体検査が表の一番下にあるということが、先生のおっしゃっているところの太線に相当するのではないかと思っております。これも先生が何度もおっしゃっています病理医の関与の重要性に関しては、例えば通知等などにおいて示すことも重要でしょうし、私は日本病理学会と大変関係の深い日本臨床検査医学会の理事長を務めておりますが、当学会においても、先生のおっしゃっている御趣旨をきちんと周知徹底するように努めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○佐々木構成員 矢冨先生、ありがとうございます。この点に関しても、実は、参議院の附帯決議の中でも医行為とはっきり分けなさいというような内容が書かれていて、そのことが6ページの1つ目の○の中に、恐らくは書き込まれているというように理解できますので、今回、学会としてずっと反対の立場を表明してきましたけれども、この報告書の中にあっては評価する内容になっていると解釈しております。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 ほかに御意見はございますか。

 表に関しましては、今回の取りまとめではこの形ということでさせていただきたいと思います。ほかの点に関しまして、御意見はございますか。

 もしなければ、次の「第3.医療機関、歯科医療機関又は助産所が自ら実施する検体検査の精度の確保の方法」に移りたいと思います。この点に関しまして、何か御意見はございますでしょうか。歯科医師会、助産師会のことは最初のバージョンから修正が加わった形になっております。これでよろしゅうございますか。

 歯科医師会。

○三井構成員 今回、こういう書きぶりできちんと配慮していただいたことに、歯科医師会としては非常に感謝しております。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 ほかに御意見はございますか。

 日高構成員、どうぞ。

○日高構成員 9ページなのですけれども(2)の内部精度管理の実施云々の最後の段落で「また」というところなのですが「高度な医療を提供する特定機能病院等」で「等」という書きぶりになっておりまして、ここには何が含まれるのかを教えていただければと思います。

○楠岡座長 事務局。

○木下保健医療技術調整官 従前お送りした資料には臨床研究中核病院を書かせていただいたところでございます。その際に、限定的な書きぶりにしていたので、ほかのものに波及することも考えられなくもないということで、今回は明確に、高度な医療を提供するという役割が明確になっている特定機能病院を挙げさせていただいて、それ以外、臨床研究中核病院とかも念頭に置いているところでございますが、ほかのものも幾つか入ってくるだろうということで「等」で丸めるという整理をさせていただいております。

○楠岡座長 よろしいでしょうか。

○日高構成員 例えば中核病院以外に何か想定されているものはあるのでしょうか。

○木下保健医療技術調整官 想定しているものとしては、関係局と相談をちゃんとしていないのですけれども、がんゲノム医療中核拠点病院等も入って来得るかなと思っていますが、所掌という関係でいきますと、私どもの担当ではないので、関係局ともちゃんと相談しながら進めていかなければいけないと思っているところでございます。

○日高構成員 わかりました。

○楠岡座長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。よろしいでしょうか。

 それでは、またお気づきになった点で後ほど御指摘いただくということで、次の「第4.医療機関、歯科医療機関又は助産所からの業務委託における検体検査の精度の確保の方法」に移りたいと思います。この点に関しまして、御意見がございましたらお願いいたします。

 どうぞ。

○宮地構成員 10ページの検査用機械器具に係る基準案なのですが、余り議論をここでしていなかったのですけれども、今回、病理学会も分類案に賛同いただいたということで、改めて、病理側から見て、遺伝子関連検査・染色体検査の必要な機器を見ていただいて、これでよろしいのかということは確認したほうがいいのではないかと思います。

 それから、衛生検査所から、田澤構成員にも確認をいただければと思います。

○佐々木構成員 ありがとうございます。佐々木ですが、この必要な機器に関しましては、全てが書き込まれているわけではないと理解しております。ですので、このほかに、特に遺伝子関連検査・染色体検査に関しましては、恐らくこれから新しい機器等もたくさん出てくるだろうということで、最低限このようなものがあればいいということで、我々としても特に異論はございません。

○田澤構成員 田澤でございます。佐々木先生のお話の内容と全く同感でございまして、ここに書かれているものは衛生検査所登録における必置機器ということで、これが置いていないといったところに対して登録できないという最低限の基準ということで理解しておりますので、それが1点目で御座います。

 もう一つは、平成23年度の研究班での検討結果として必要機器と設定された内容を踏襲して平成28年度の研究班の中でも、この辺は十分議論されたのではないかと理解しておりますので、衛生検査所としてもこれに関して全く異論はございません。

○佐々木構成員 逆に宮地先生、具体的に何か欠けているものがあるということですか。

○宮地構成員 これは法律、省令なのか、指導要領なのかはわかりませんけれども。

○田澤構成員 医療法施行規則、臨床検査技師等に関する法律施行規則です。

○宮地構成員 法律は非常に重いのです。登録要件になりますから、絶対になければいけない。佐々木先生がおっしゃるとおり、必要最小限なのです。以前から議論があるのが安全キャビネットなのです。微生物学的検査の基準には安全キャビネットがなくて、ここにあるのは、今ある臨検法の施行規則において、遺伝子の分類がなかったために一次分類に紐付けされた二次分類をつくったときに必要な機器ということでここに置いたわけです。今回、改めて分類ができてみると、微生物にはなくて遺伝子にある。遺伝子にある理由が、二次分類をつくったときにも、そのときはいろいろな理由で入れたとお聞きしていますけれども、遠心などをすると試料の表面が揺れて、エアロゾルが発生しますので、そういう意味で入れているわけです。一方、最近は遠心などをしないで核酸抽出ができる方法が出てきているので、必ずしも安全キャビネットはなくてもいいかなと。絶対になければいけないとなると、安全キャビネットは高額なのです。例えば病理検体を扱っている検査室で、安全キャビネットはどれぐらいの割合で設置されているのでしょうか。

○佐々木構成員 恐らく検査センター、いわゆる登録衛生検査所においては必置で、病理検体を作製している部門には置かれていると認識していますが、田澤さんのほうがよく知っていらっしゃると思いますので、いかがですか。

○田澤構成員 まず、最初の遺伝子検査の分類のところに安全キャビネットが入っているということに関しては、たしか1回目か2回目に事務局からの説明の中で、現行法令では遺伝子検査自体が微生物と血液と病理にまたがっており、しかも機器についての兼用は認めるけれども設備については兼用を認めないということが説明され、現行法令ではクリーンベンチ、安全キャビネットは3つ必要であったが、今回の改正案では遺伝子検査ひとつに纏められたので3つ置く必要がないという事が説明されました。こういう流れの中で今回の検査分類の纏めにおいては病原体遺伝子検査、生殖細胞系列遺伝子検査、体細胞系列遺伝子検査を包括して安全キャビネットが一つで対応できるという事は非常に合理性が高いのではないかと思います。

○宮地構成員 例えば生殖細胞系列の遺伝子検査だけを行うところに安全キャビネットを置くことが今後は必須になるわけです。

○楠岡座長 どうぞ。

○難波構成員 遺伝子の関係で安全キャビネットが必要なのは、いわゆる遺伝子組換えのカルタヘナ法等を遵守する場合ですが、普通の検査でカルタヘナ法に抵触するものは何もありません。ですので、通常の細菌とかウイルスとか、微生物を除く検体検査に安全キャビネットを使うことは、なくてもというか、むしろ使うことがほとんどないのが現状だと思います。これは衛生検査所の要件なので、医療機関はこの要件が余り書いていなかったので、特に問題はないと考えていたのですが、これが病院のほうにも入ってくるとなると、やはりここの部分は整理していただきたいと思います。整合性の観点から御議論いただければと思います。

 以上です。

○楠岡座長 どうぞ。

○田澤構成員 研究班の中でも、今の論点で安全キャビネットの必要性等々について、スクラッチから議論したかというと、従前の基準が一つのレファレンスになっていたので、それに対しては、3つに跨って必置とされてきたことが微生物を含む一つの遺伝子検査室としてひとつ必要だろうということで、安全キャビネットの設置が提案されました。

 今のカルタヘナとか、感染性病原体の拡散の可能性とかの根本的な議論になると、またこれは大きな議論をしないといけないことになると思います。先ほど議論された構造設備におけるところでは例えば広さの基準とか人的基準だとかも、この基準の広さが何で必要なのかとか、この基準の管理者の数がどうして必要なのかとか、ここまで踏み込んで一つ一つの内容についての議論するということになると、検討に要する時間を踏まえて現実的ではないという流れの中でここまで来たという理解をしています。今までも安全キャビネットが現行微生物学的検査の中にあった病原体遺伝子検査や、血液学的検査の中にあった生殖細胞系列遺伝子検査、病理学的検査の中にあった分子病理学的検査にそれぞれ必要とされていたということで、この段階の中では、それらが集約された形の中の遺伝子検査室の中に安全キャビネットがあるということに対しては、特には違和感が無かったということと、今の衛生検査所の業務を続けるに当たって、大きな支障になるということはないであろうと考えていました。

○楠岡座長 ほかに御意見は、どうぞ。

○西尾構成員 これは基準案と書いていますね。案だから右のところは参考にすぎないのかなという理解をしていたのですけれども、先ほどこれは重いものであるので、この時点できっちりと確定しないといけないというようなことだと理解しました。そういう点においては、完全に必要なものだけに絞るべきで、きっちり品質を確保するとすれば、例えば我々のところでやったら、医療用に承認された機器を使うのかどうかのほうが重要で、ここの書きぶりだと、別に研究用の機器であってもよい。この会での意見は、どのような取りまとめになるのかが少し興味というか、気になる点です。

○楠岡座長 使用機器に関しての承認等に関しては、事務局の意見はどうでしょうか。実際、顕微鏡とかは医療用も何もないわけで、多分、どうしても医療用でないといけないというようなものがついているようなものは、この中では特にないとは思うのですが。例えば自動血球計数器とかは当然のことながら、これは承認された機器になると思うのですけれども、顕微鏡とかミクロトーム、精製水の製造器とか、これは一般に使われるものであって、一定の基準さえクリアしていればということにはなると思うので、認証、承認の機器という必要はないと思うのです。問題は、安全キャビネットに関して、これが入ってきた経緯に関して、事務局のほうで意見があれば、特に今、安全キャビネットに限っての話としてはいかがでしょうか。

○益田医療関連サービス室長補佐 事務局でございます。安全キャビネットに関しては、遺伝子関連検査を追加した平成23年、このときに御議論いただいた中で入ってきたものでございまして、今回、ここで実際に安全キャビネットが必要ないというように、この検討会の中で御議論いただければ、少しそこは検討する余地があるかと思っております。特に衛生検査所は、このあたりはどのようなご意見ありますでしょうか。

○田澤構成員 ですから、繰り返しお答えしていますけれども、衛生検査所は、現在でも遺伝子の検査が、正確には病理学的検査だとか、血液学的検査だとか、微生物学的検査の範疇に入っている中で、安全キャビネットが二次分類の中に入っているわけで、これについては特に違和感はないというところです。これはこの安全キャビネット自身が本当の意味で本質的に必要なのかどうかということと、菅間先生が先ほどおっしゃった投資コストという観点で見たときに、現状をそのまま踏襲する事は現状と何ら変化が無いと言う事と、現実的にこの移行が速やかに行われる事の観点で評価した際に、今の基準がそのままベースとしては生かされていて、今回ある一つのところ所謂遺伝子検査に集約されたという理解でおりますので、これについては特段、異論はありません。もう一度衛生検査所の今の業務プロセスを考えた上で、そして先ほど来御指摘されている観点で、安全キャビネットが本当に必要なのかどうかを再考する必要があるかどうかを御指摘されているのでしょうか。

 そうであれば、今はちょっと即答できないです。もう一度業務の細部の棚卸しをして、全てのプロセスの中からどうしてこれが必要なのかということをやっていかないといけないということになりますし、研究班の中でも、その辺はある程度検討言及されたという理解ではいたのですが、宮地先生、違うのでしょうか。

○宮地構成員 研究班のところでは、余り深く議論していないのです。つまり、平成23年度の二次分類のところで議論していて、施行規則でもう出ているわけです。それを運用しているわけですので、行政側からすると、ある意味継続性というものも必要ではないですか。ある時期から要らないよと言うと、準備していた側は、どうして負担してきたのかという説明責任も出てくるわけです。その理由は先ほどお話ししたのですけれども、技術の進歩です。必ずしも必要ない測定系も導入されているので、見直してもいいのではないかというお話です。

 私は県の精度管理委員会の委員長を担っていますが、最近、遺伝子だけを単独で登録してくる衛生検査所が非常にふえていると受け止めています。そういう衛生検査所が、こういうものを設置しなさいとなると、数百万円の設置費用がかかるわけです。それは検査の費用にはね返ってきます。必要最低限のものということに限って、必要があれば入れられると。各施設の運用の判断で入れるという形でもいいのではないかと。本当に必要がないのに入れると、それは費用がかかって、検査料金にはね返ってくるわけです。

○楠岡座長 どうぞ。

○難波構成員 書き込んでしまうと、例えば病院と検査所が違うということになると、違和感が出てくる可能性がある。カルタヘナ法はもう関係ありませんので、はっきり申し上げますと、今の生殖細胞系列において宮地構成員が言われますように、安全キャビネットは病院等でやるときに必要は感じられない。

○宮地構成員 全てではなくて、エアロゾルが発生する場合はあっても然るべきなのです。それは医療機関であっても同様です。

○難波構成員 それはそうだと思います。ただ、現実には、エアロゾルが発生しないようなキットとかが非常に多く出ているという現状で、キット化が進んでいまして、安全に、簡便にできる状況になってきたという背景から、必ずしも安全キャビネットはなくてもいい。要するに、書くと絶対に必要になる。それが医療機関とかそちらにも波及すると、少し影響があるということだけを申し上げる。もしそういうことに影響があるようであれば、表現を工夫していただきたいというのが意見です。

○楠岡座長 ほかに御意見はございますか。

○矢冨構成員 繰り返しになりますけれども、田澤構成員、宮地構成員が御紹介いただきましたように、研究班においては、今の論点は十分な議論をしておりません。ただ、今のお話を伺って、「検査用機械器具」の表に載せるものは、絶対にこれが必要というものであるべきだと思います。そういった意味では、私は、今のお話を伺って、安全キャビネットは除いたほうがいいのではないかと思いました。以上です。

○楠岡座長 ほかに御意見はございますか。現状においては必要なリストには入っているけれども、今の検査の状況と将来を考えると、必ずしも必須ではない。それは何か、例えば星印をつけて注書きにしておいて、実際にこの取りまとめどおりに施行規則なりが出るわけではないので、その時点でもう一度関係者で検討してというような、そういう取り扱いは可能なのでしょうか。

○益田医療関連サービス室長補佐 事務局でございます。今の御意見を踏まえまして、確かに安全キャビネットに関しましては、こちらのほうで検査技術の進歩に伴いまして、必要のない技術もあるという御意見もありましたので、座長の御意見をいただきまして、その部分でちょっと検討させていただければと思っております。

○楠岡座長 これについては、事務局で今後、検討していただいてということでよろしゅうございますか。

○佐々木構成員 安全キャビネットの話でいいですか。病理学的検査の中にはミクロトームがあるのですが、昨今、検体を入れておくと自動的に薄切してくれる装置が出てきておりまして、衛生検査所の中にも導入されているところがある。そうすると、ミクロトームに関しても必置ではないということになる可能性があって、細々としたことを言うと、見直すのが非常に大変なのではないかというようなことを私は実感として持っております。この辺も、今、ミクロトームを入れていて困るところは逆にないと思うのですけれども、そういうところでミクロトームは入っていると思うのですが、今後、報告書の中にもありますように、見直しが必要になってくると思いますので、そのときに随時見直していただければと思っておりますが、そういうものも病理学的検査の中では出てきているということを御承知したいと思います。

○楠岡座長 どうぞ。

○田澤構成員 続いて同じ内容なのですが、今回、安全キャビネットについては宮地構成員から指摘があって、ここで考慮するのは、この部分だけ限定で再検討ということで、あとは佐々木先生がおっしゃるように、今後の施行規則の更新のたびに見直しましょうということにするのであれば、私はそれでいいと思うのですが、もう一度これを全部見直すということになると、かなり時間がかかると思うのです。例えば一番下の染色体の写真撮影装置または画像解析装置などもそうなのですけれども、写真撮影装置では無くてカメラがあったらいいではないか等か、この議論をしていくと、かなり堂々めぐりになってきて、相当の時間が掛かります。過去からもこういう必置機器の定義、平成23年のときも私はかかわったのですが、そのときの見直しも過去からの経緯や現状を踏まえた合理的な議論がされているという理解でおり、そういう流れの中で現在に至ったと考えております。

 最後の去年の研究班の中では十分な議論がされていないという部分については、若干の再度の見直しとして、安全キャビネットだけは少し見直しましょうという結論であれば問題ないと思いますが、全部見直しということになるとかなり大変な作業になると思いますので、その他についてはこのままいくべきではないかと思います。

○楠岡座長 そうしますと、基準の機器に関しては随時見直しが必要ということと、先ほどのようなミクロトームがなくてもそれと同等の機能を持つものが出てくるとなると、機器で書くのか、機能で書くのかという話になりますし、逆にミクロトームを必須にしてしまうと、金輪際使わないものを飾っておかなければならないという矛盾にもなってしまいます。今後、事務局、何か随時検討するような機会はあるのでしょうか。

○益田医療関連サービス室長補佐 事務局でございます。先ほどの佐々木構成員の御意見なのですけれども、今、省令のほうにも、検査用機械器具に関しましては、代替する機能を有するほかの検査用器具をもってこれにかえることができるということもございますので、基本的にミクロトームは薄切するものでございますので、機械が新しいものになったとしても、同じような機能ということで、これは代替機能ということになります。

 基本的な技術としては同じようなものですので、そういう意味で、最低限の機械を設置していると御理解いただければと思っております。

○楠岡座長 わかりました。そうしますと、例えば安全キャビネットは、物としてあるわけですが、それを使わないで先ほどのようなキット化がされているとかで、同じ結果を得られるようなものであった場合には、今の条文の深読みで、安全キャビネットを省略するというところまではまだいっていない。そういう考え方でよろしいですか。

 そこはまた検討していただくということで、安全キャビネットに関しては、とりあえず注釈つきで、今後検討していただくという取りまとめにさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。ほかの点に関していかがでしょうか。

 そうしましたら、次は「第5.遺伝子関連検査・染色体検査の精度の確保の方法」につきまして御議論いただきたいと思います。

 どうぞ、難波構成員。

○難波構成員 質問がございますが、19ページのマル3、外部精度管理調査の○の最後の文章なのですが「検体検査の精度について相互に確認することが適当である」という表現が使われております。そのほかのところでは努力義務あるいは義務、勧奨という言葉が使われていますが、これはどういう位置づけになるのかを教えていただきたいのです。

○楠岡座長 事務局、お願いします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。表現がそろっていなくて大変失礼しました。これに関しましては、努力義務という整理をさせていただきたいと思っているところでございます。

○難波構成員 ありがとうございます。

○楠岡座長 それがわかるような形に修文をいただくということで、ほかにございますか。

 どうぞ。

○宮地構成員 全体を、ほかの部分との関連で、用語の整理を大分したつもりでいたのですけれども、表現が2つある部分に気がつきまして、18ページの図に内部精度管理を行う上で、精度管理物質ということで、これは英語で言うマテリアルなので物質でいいと思うのです。既知検体や市販コントロール等という形で、よくきれいに整理されておるのですが、気が付いたのは14ページの外部委託のところの真ん中の枠です。精度管理について新たに求める書類に係る基準で、精度管理標準作業書で、ここは管理試料及び標準物質、2番が精度管理試料になっていて、精度管理試料と精度管理物質の2種類があるということに気がついたもので、精度管理試料、14ページのほうは、こちらはもう臨検法で使われている言葉なので変えられないのですか。

 管理試料、標準物質が1番。2番が精度管理試料なので、恐らくこれは内部精度管理に使う精度管理物質でしょうか。

○楠岡座長 事務局、お願いします。

○益田医療関連サービス室長補佐 事務局でございます。これに関しましては、今回、新しく省令のところになりますので、文言を統一することは可能でございます。

○宮地構成員 どちらで統一するかなのですが、そうすると、上の管理試料にもつながってきます。一方、管理試料及び標準物質は、試料と物質がここは並んでいますね。だから、物質と試料の使い分けは整理をしたほうがいいかなと思いました。英語で言いますと、サンプルなのか、マテリアルなのかです。書式的な問題なのですけれども、省令に入っていきますと非常に重いもので、一貫性という意味で検討が必要と思いました。

○楠岡座長 これは事務局のほうで検討いただけますか。

○益田医療関連サービス室長補佐 文言につきましては、こちらのほうでもう一度整理させていただきまして、また取りまとめのところでちゃんと書かせていただければと思っております。

○楠岡座長 ただ、従来の検体検査で使われていた言葉と、今度、遺伝子のほうになってくると、新しく出てきた分野で最初から別々の言葉が使われていて、それぞれの分野ではそちらのほうが標準的ということもあるかもしれませんので、それも関係のところで調査いただいて、統一いただくというところでお願いしたいと思います。ほかにございますか。

 どうぞ。

○難波構成員 非常にうまくまとめていただきました。恐らくこれである程度きちんとできていると思。います。この内容と直接関係ありませんが、今後の検討課題になると思うのですが、実は、難病等の遺伝学的検査で、特に現在、網羅的解析をやって最も悩むのが、最後の情報処理の問題があります。特にゲノムタスクフォースの意見等にも、ゲノム解析の特性を考慮すると、遺伝子関連検査は他の一般的な検査と異なり、多数の情報を総合的に判断する必要があり、検査の品質と精度管理だけではなく結果の解釈、質の確保も重要であると記載されております。

 恐らく、今回、検体の品質・精度の管理という観点から、こういうまとめができていまして、今後、これと密接に関連して、結果、解釈の質も課題になってきます。ここでこれ(結果、解釈の質)を議論することはできないと思うのですが、この結果、解釈の質も踏まえて今後はやっていく必要があるということを参考までに述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○楠岡座長 ありがとうございます。

 その関連のところに関しましては、検討会の中で慶應大学の西原先生からも問題事例があるという御指摘があったので、これからはデータそのものの信頼性と同時に、それの解析の信頼性、そこから出てきた結論が現実の臨床と合わない場合にどうフィードバックをかけてやっていくかというのは、全く別のプロセスとして完成させる必要があるかと思いますので、その点は本題から外れますが、検討会では十分認識していることかと思いますので、ありがとうございました。

 ほかにございますか。よろしゅうございますか。

 そうしましたら、一応各パートは御検討いただいたわけでありますけれども、全体を通して、取りまとめそのものに関して、あるいは今後のことも踏まえて、何か追加の発言等がございましたら、お願いしたいと思います。

 どうぞ。

○田澤構成員 先ほどの精度管理試料だとか管理物質のところの、宮地構成員から指摘された内容なのですが、厚労省の研究班が最後に1回残っていると思うのです。その中で、再度ここの確認をするというような御提案をしたいと思いますがいかがでしょうか。というのも、これは昨年度の研究班の取りまとめの中で、こういう文言を使って提案内容を確認をしてきたという背景があって、確かにそれぞれの言葉の出典自身が、いろいろなところから引いてきているという事があります。いろいろな文献・書籍やガイドラインから引用した訳で、そういう意味での今回の提言書における文言の統一ということであれば、29年度の研究班もまだ1回残っているところでございますので、その中でも細部の検討ということで取り上げたらいかがかなと思うのですが、ここはいかがでしょうか。

 矢冨先生にお伺いして申しわけございません。

○矢冨先生 そのとおりだと思います。

○楠岡座長 この分野は全く素人なのでお伺いしたいのですけれども、こういう用語に関するJISみたいなものはまだ何もないような状況なのでしょうか。

○田澤構成員 宮地先生にご発言頂いたほうがよろしいと思います。

○宮地構成員 臨床検査は第三者評価で、ISO 15189が邦訳されておるのですけれども、それはISO 17025といって工業界で既に広く使われてきて、その中で邦訳版が長く使われて一般化しております。それにのっとってなるべく事前に整理させていただいたつもりなのですけれども、全体での調整で、漏れがあったというところでございます。

○楠岡座長 ありがとうございます。

 今後、またその辺の整理、検討をお願いするということでよろしくお願いしたいと思います。ほかにございますか。

 菅間構成員。

○菅間構成員 全体の話で、先ほど難波構成員からも、遺伝子検査に関しては、最終的に複雑な解釈が含まれるという話がありましたけれども、もうその段階になると、それは医師の判断による診断、医行為なのです。どこまでが検査でどこまでが医行為かというのは、この報告書の中には一切触れられていないのですけれども、できれば、検査の分類の、二次分類の後にでも、その点をきちんと一行を入れることが必要とです。

 というのは、先ほど宮地先生から、300万の安全キャビネットを入れると、遺伝子に特化した検査所がつくれないという話がありましたけれども、どんどんふえてくるのだろうと思われる遺伝子関連の検査所で、最終的に複雑な遺伝子情報も含めて判断した診断結果が病院に返ってきたという事態になるのだと思われます。この分類の案を決めるに当たって、どこまでが医行為でどこまでが検査なのかをきちんと確認しておくことが必要です。

 いろいろな検査が既に医療機関から外に出ています。その中で、外部の検査所のデータを受け取り最終的に判断して、診断を下すのは医療機関の中の医師です。本来、全ての検査は、ある意味では医師の指導のもとにきちんとなされる体制にあるべきことを確認しておくことが一番大事です。医師法と相反する行為が検査所で行われているのが現実です。例えば病理診断については、田澤構成員が何回目かのときにお話しされました。病理検査報告書は出しているけれども、それは診断書ではなく一応の病理の報告という形であると。実際は、報告書の中には診断名が書いてあって、病理専門医の番号までついているわけです。そういったことと同じことが、今後、遺伝子関連検査に関しても起こる可能性があります。どこまでが検査で、一次分類、二次分類も含めて、どこからが医行為かという点を、今後もきちんと議論して定めなければならない。今後、300万の安全キャビネットを設置するのに困る小さな遺伝子に特化した検査センターが、最終的な疾患の診断を遺伝子情報をもとにすることになり、それに対して多額の請求が病院や患者になされるということにもなり得ると考えられる。医行為、医師の指導のもとで行う行為、どこからが診断で、その前の検査がどこまでかということも、できれば分類の後のところに入れていただければと思います。

○楠岡座長 その点に関しては今までも議論してきたところですので、御意見として承っておきたいと思います。ありがとうございました。

 ほかにございますか。

○矢冨構成員 この検討会におきまして、何度も言及いただいた研究班の班長を務めた者として一言だけコメントさせていただきます。平成28年度の報告書は既に公表させていただいており、この検討会におきましても、それを踏まえてご議論いただきました。もちろん、修正、追加はあったわけですが、基本的には報告書と整合する形で取りまとめいただき、趣旨も全く同じと理解しており、大変ありがたいと思っております。

 平成29年度の活動としては、我が国における検体検査の精度管理に関する現状を調査すべきということでこれを行い、適宜この検討会においても中間報告させていただきました。あとは、外部精度管理の重要性に関しては申し上げるまでもないのですが、やはり大きな課題として残っていると思いますので、本年度はそれに関する議論も取りまとめさせていただき、報告書をまとめたいと思っております。

 以上、コメントさせていただきました。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 ほかに御意見、コメントはございますか。よろしゅうございますか。

 そうしましたら、本日は幾つか御指摘の点がございましたけれども、基本的に「検体検査の精度管理等に関する検討会とりまとめ(案)」は御了解いただいたものとしまして、少し事務局と修正を加えた上で最終版にしたいと思っております。事務局におかれましては、本報告書を踏まえて検体検査の精度の確保に係る基準について必要な省令改正等を行っていただければと思っております。本当に短時間の間にいろいろ深い議論をいただきまして、ありがとうございました。

 事務局から何かございますか。

○野坂医療情報管理専門官 本日は最終回であり、検討会の閉会に際して、医政局総務課長の榎本から、武田のほうが官邸の会議に出発してしまいましたので、御挨拶を申し上げます。

○榎本総務課長 総務課長の榎本でございます。検体検査の精度管理に関する検討会におきましては、これまで、本日を含めまして5回にわたって御議論を頂戴したところでございます。本日は、皆様、大変お忙しい中お時間をとっていただきまして、忌憚のない御議論を頂戴いたしましたことに、心より御礼を申し上げたいと存じます。どうもありがとうございます。

 昨年6月に、御承知のとおり医療法等の一部を改正する法律が公布されまして、その中で、医療機関や衛生検査所などで行っていただいている検体検査において精度の確保をするということが明示的に盛り込まれまして、この検討会において、まさに検体検査の精度の確保に係る具体的な基準につきまして御議論を5回にわたって頂戴したところでございます。本日、この検討会として「検体検査の精度管理等に関する検討会とりまとめ」ということでおまとめをいただいたところでございます。細かい文言につきましては、座長とよく御相談をさせていただきながら調整させていただいて、最終的に公表させていただきたいと思っておりますが、この検討会でいただいております御議論・御提言は、ゲノム医療におきます遺伝子関連検査も含めまして、疾病の的確な診断あるいは治療効果の評価といったことのために、日々の医療現場における診療の中で確実に生かされてくるものだと確信しているところでございます。

 一方で、今回の検討会の御議論によりまして、精度の確保において諸外国と同様の水準を満たすための幾つかの課題というところも提起をいただいたところでございます。さらなる検体検査の精度の確保に向けまして、今後とも引き続き、継続的に見直しを行っていく必要があるということも先生方の議論の中ではっきりと見えてきたところでございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、この課題に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。今後とも、構成員の皆様方から、御指導、御鞭撻、御意見を賜ればありがたいと思っているところでございます。

 最後に、改めまして構成員の皆様方に御礼を申し上げまして、閉会に当たっての御挨拶とさせていただきたいと存じます。これまで忌憚のない御議論を頂戴いたしまして、本当にどうもありがとうございました。

○野坂医療情報管理専門官 それでは、これで閉会いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、これまで5回にわたり御指導をいただきまして、ありがとうございました。

○楠岡座長 どうもありがとうございました。

 


(了)

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