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2018年3月2日 第4回労働政策審議会人材開発分科会議事録

○日時

平成30年3月2日(金)14:00~


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○議題

(1) 青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針の一部を改正する告示案要綱について(諮問)
(2) 職業能力開発促進法第15条の4第1項の規定に基づく職務経歴等記録書の様式の全部を改正する告示案について(諮問)
(3) 2017年度の年度目標の中間評価について
(4) 専門実践教育訓練の指定基準に関する施行後3年後における見直しについて
(5) その他

○議事

○小杉分科会長 定足数に達しております。定刻になりましたので、ただいまから、第4回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日の出欠状況ですが、橋本委員、上野委員、荘司委員、臼田委員、河本委員、小松委員、美野川委員が御欠席です。なお、御欠席の河本委員の代理といたしまして、全日本空輸株式会社人財戦略室人事部、秋田グループキャリア支援室長に御出席いただいております。また、遠藤委員におかれましては、所用により途中退席の予定です。

 それでは、議事に入ります。まず、青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針の一部を改正する告示案要綱についてです。これは、本日付けで、厚生労働大臣から、労働政策審議会会長宛てに諮問がなされたところであり、これを受けて、本部会で審議を行うものです。内容について、事務局から説明をお願いいたします。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 議題1に関して、お手元の資料1-1、及び1-2に基づき、若年者・キャリア担当参事官室から説明いたします。資料1-1が、ただいま分科会長からお話がありましたように、青少年の雇用機会の確保等に係る指針の一部を改正する告示案要綱、諮問文書です。これを説明する資料として、資料1-2の概要を準備しておりますので、主にはこちらの資料に基づいて説明申し上げます。この告示改正案に関わる「働き方改革実行計画」の内容、それらを踏まえてのJILPTと連携をしての検討会での報告内容、また、この指針改正の方向性などに関しては、前回の分科会において説明の機会を頂戴をし、御報告、またこれに関わる御意見を頂戴したところです。こうした経過を踏まえ、今回、告示案という形でお諮りをするものです。

1ページを御覧ください。こちらが、告示改正案の概要で、今日説明いたします告示案のポイントです。それ以下の参考資料ですが、基本的には一番最後のページ以外は、前回報告申し上げた資料と同じものです。確認で申し上げますと、次のページがこの度の告示改正の検討の端緒となっております、昨年3月の「働き方改革実行計画」です。この中で、赤字の部分ですが、希望する地域などで働ける勤務制度の導入等を促進するため、若者法指針を改正し、経済界に要請をする、という内容が盛り込まれました。これが、今回の告示改正の検討の端緒、前提です。それを受けての検討会の概要も、前回と同様の資料を添付しております。このうち、6ページにあります、検討会の議論を踏まえての多様な選考・採用機会の拡大に向けた方策のうち、左上の「企業に求める取組」の、当該地域に限定して働ける勤務制度等の積極的検討、その下にあります、採用区分ごとの具体的なキャリア展望などに係る情報開示の積極的取組、これら内容が、本日お諮りする内容に直接結び付いているものです。

 最後のページが、若者法指針全体の構成です。左側に、指針全体の構成があります。本日お諮りをする内容のポイントとなる部分が、赤字で書かれています第二の四、学校卒業見込者等が希望する地域などで働ける環境の整備です。この項目を新たに起こすとともに、その前にあります第二の三の()について、一部を追加したいというのが、今日お諮りする内容のポイントです。若者法指針に関しては、若者法に規定された義務、努力義務事項に関わる留意点等を示したものと、法に直接規定は置かないけれども、若者法の趣旨を踏まえて、それぞれの企業の取組が望ましいと考えられる事項、大きくは、この2つの性格に分かれるものです。本日お諮りをする内容は、いずれも後者に属するものです。

1ページの概要にお戻りください。指針改正の背景・経緯については、今ほど申し上げたとおりです。その上で、その下の囲みにありますように、この度の指針改正案の狙いとして、「新卒者等にとって」ということで、地域などを限定した働き方、生活と仕事の両立が可能な働き方の実現、こうした観点から、これら働き方が具体的な選択肢となるような環境整備を図るといった意義。また企業の立場では、右側にありますように、若者が能力を発揮できる環境整備に取り組むことで、人材確保の機会拡大、職場定着につながるといった点をお示ししているものです。

 具体の指針改正の概要が、その下の囲みの部分です。初めに、今回項目として新設をいたしたいと考えております、下半分の四、「学校卒業見込者等が希望する地域等で働ける環境の整備」から、説明申し上げます。最初の数行が、この度、新たに盛り込みたいと考えております内容の、いわば趣旨、考え方に属する、いわゆる柱書きの部分です。青少年が希望する働き方を選択し、主体的・継続的なキャリア形成を図ることを可能とするため、より柔軟、多様な就業機会の選択肢が必要。特に、仕事と生活の調和などの観点から、学校卒業段階で希望する地域で就業機会を得、その地域において中期的にキャリア形成ができる環境が求められる、といった基本的な考え方を示しております。その上で、「このため、事業主は」ということで、働く場にも影響をもたらすICT利活用の可能性の検討も含めつつ、次に掲げる措置を講ずるよう努めること。その下の()()が、この告示改正案により、具体的にそれぞれの事業主との取組を促したいと考えている事項です。()地域を限定して働ける勤務制度の積極的な導入です。これが、「働き方改革実行計画」に盛り込まれている内容そのものに対応する部分です。学校卒業見込者などが、一定の地域において働き続けることができるよう、広域的な事業拠点を有する企業は、一定の地域に限定して働ける勤務制度の導入を積極的に検討するという形で、整理をしております。

()が、いわばこの()の取組を実効性あらしめるために取組が期待される事項、と説明申し上げることができるものです。キャリア展望に係る情報開示ということで、学校卒業見込者などが適職を選択し、安定的に働き続けることができるよう、採用後の就業場所、職務内容などを限定した採用区分については、()の場合がこれに該当するわけですが、それぞれの選択肢ごとのキャリア形成の見通しなど、将来のキャリア展望に係る情報開示を積極的に行うという内容を盛り込んでおります。

 その上の、三の()のイ、通年採用や秋季採用の積極的な導入という項目は、もともとあるものもので、この一部改正です。もともと、この項目に関しては、留学経験者などが実質的な応募、また就職の機会を得られる等の観点から、それぞれの企業に通年採用、秋季採用の導入などの取組を促すという趣旨で設けられていたものです。この度の検討会の中でも、多様な採用選考機会確保の一環から、こうした観点も御議論いただく中で、今申し上げましたようなニーズだけではなく、様々な事情の下で、幅広いキャリア探索、よりじっくりと多くの企業への募集機会を求めたいという学生のニーズがあり、ただ、同時に、それぞれの企業の採用選考活動に関わる様々な制約、あるいは意図といったものにも配慮しつつ、そうしたニーズに応えていく必要があるのではないかと。そういったことで、採用だけではなく、募集、学生の側からすれば、応募の機会という観点も加味した上で、双方の個々の事情に配慮した柔軟な対応を求めていくことが、今後より期待されるのではないかという御議論があったことなどを踏まえ、それと大変関連性の深い、この通年採用、秋季採用の項目の中での部分改正という形で、ここにありますように、個々の事情に配慮した柔軟な対応、という内容を、付け加えたいということです。

 もともと、「働き方改革実行計画」の中でも、この告示の改正を踏まえた上で、経済界、又は企業に対する要請、その前提となる広報活動が求められているところです。本日お諮りする内容について、御審議いただくとともに、そこで頂戴した御意見に関しては、今後の様々な要請、広報活動、その他の事業運営の中で、大いに反映していきたいと考えているところです。以上が、議題1に関しての事務局からの説明です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

○小杉分科会長 それでは、ただいまの説明について、御質問、御意見等はありますか。

○村上委員 今御説明いただいたことについて、何点か質問いたします。資料1-21ページで、指針改正の概要があります。その四の「学校卒業見込者等が希望する地域等で働ける環境の整備」の部分で、3行目に「事業主は、ICT利活用の可能性も検討しつつ、次に掲げる措置を講ずるよう努めること」とあります。この「ICT利活用の可能性も検討しつつ」というのは、具体的にどのようなことを想定して記載されているのかについて、教えていただければと思います。

○小杉分科会長 事務局、どうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 今お尋ねがありました、「ICT利活用の可能性の検討も含めつつ」の趣旨ですが、この度の指針告示の改正により意図しているところは、先ほども申し上げましたように、その主眼は四の()地域を限定して働ける勤務制度の積極的な導入に関わる事項です。このように、勤務地に関わる採用区分、あるいは人事制度等を変更するということは、働く場所、もっと言えば事業所間、あるいは従業員間のコミュニケーションなどにも関わる課題であると認識をしているところです。

 技術的にも、また経済活動上も急速に進展が進んでおりますICTに関しては、このように場所の制約を越えていく、そういう企業、事業運営上の利点もあるものと、我々は解しているところです。

 したがって、この告示案で意図しております地域限定勤務制度の導入といった、勤務地に関わる仕組みの見直しを、より円滑に、あるいはより意味のあるものとして導入をする上での手法的な対応として、今後このICT利活用も、それに寄与する可能性があるのではないかといったことを、企業、その他の関係者に併せて御理解いただきたいということで、この「ICT利活用の可能性も検討しつつ」という一文を入れているという趣旨です。

○小杉分科会長 いかがですか。よろしいですか。

○村上委員 別の件です。資料1-27ページに、改正後の指針の構成があります。その中で、今回、右側の第二の四を新設されるということで、()で、「キャリア展望に係る情報開示」となっております。一方、そのすぐ下の第三の一の()は、「能力・資質、キャリア形成等に係る情報明示」となっております。この情報開示と情報明示は、どのように違うのかについても教えていただければと思います。

○小杉分科会長 お願いします。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 この若者法指針の中では、ただいま村上委員から御指摘がありました第三の一の()の項目名も含め、この「情報明示」というくだりを、かなり多数の箇所にわたって使っているところです。告示上の「明示」という用語に関しては、職業安定法、労働基準法などの法令により、情報の明示が求められている規定は多数あります。これら、安定法等の法令に基づく情報明示規定に基づき、その留意事項を示すという趣旨での指針の内容である場合には、それに対応する記述については、「情報明示」というワーディングを、基本的に使っているところです。

 この度、新たに設けようとしております第二の四の中の()情報開示については、冒頭にも説明申し上げましたように、法に基づく義務、あるいは努力義務に関わる解説留意事項ではなく、若者法の趣旨は踏まえつつ、法に規定をしている内容を超える内容についての企業の取組を求めている事項という性格上、ワーティングについても区分することが適当ではないか。あるいは、「開示」という用語については、求めに対して情報を提供していくという含意もあるわけです。この度のキャリア展望に係る情報開示については、募集に当たって、あらかじめオープンにするという形態ももちろんあり得ようかと思っておりますが、応募する学生の側が採用選考過程の中で確認を求め、それに対して個々に情報提示をするというやり方も、大いにあり得るのではないかと。ですから、そういう典型的な意味での求めに対する情報開示という形態も、大いにあり得ることなども念頭に置いて、この「キャリア展望に係る情報開示」という記載にしているという趣旨です。

○小杉分科会長 はい、分かりました。まだありますか。はい、どうぞ。

○村上委員 質問ではなくて、これは意見です。今、見ていただいた7ページの指針の構成のところなのですが、青少年雇用促進法の議論をする際には、いわゆるブラック企業の問題が背景にありまして、そのために労働条件の明示の部分が大きく問題になってきたところです。もちろん職業能力開発という視点もこの法律の中に入っておりますが、そもそも若い人たちが、より良い環境で職場定着できるようにということを趣旨にした法律であったと思いますし、法律に基づく指針も労働条件明示に重点を置いていたと思っておりまして、そういった中で、指針は現在の構成になっていると思います。

 今回、追加する部分の内容についての異論はないのですが、追記の仕方については、やや違和感があります。第二の四として新たに項目を起こすべき内容なのか、指針全体を見たときには、ほかの所に入れ込んでいくこともできたのではないかという違和感を持っておりますので、その点については意見として申し上げておきたいと思います。

○小杉分科会長 意見ということですね。ほかにありますでしょうか。

○早川委員 先ほどの御質問の中の回答の中にも既に含まれていたかもしれないのですが、意見として述べさせていただきます。明示と開示の違いについて、先ほど御説明があったところではありますが、今回の地域限定採用についての部分ですけれども、これに関して採用過程の中で確認しつつ進められていくということもあり、「開示」という表現になっているという御説明だったかと思うのですけれども、これに関して今回の指針の施行状況を見ながらということになるかもしれませんし、あとは本分科会の所管の法律ではないので、意見ということにとどめたいと思います。

 労働基準法と職安法には、それぞれ労働条件の明示義務が定められていて、その具体的内容は厚生労働省令、それぞれの法の施行規則の中で定められています。そこには就業の場所について明示するように書かれていますけれども、今回のこの地域限定であるという採用方法について、いずれこのような厚生労働省の省令の中に明示していくべきものではないかと思われたことがありますので、一応、意見として申し上げます。今回の分科会の指針ということではないので、すみません、少し意見がそれているかもしれませんけれども、述べさせていただきます。

○小杉分科会長 ありがとうございます。では、事務局からどうぞ。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 御意見ということで承り、関係部局ともども、よく検討させていただきたいと思います。入念的に申し上げるならば、求人条件、労働条件の明示に当たり、ただいま委員から御指摘がありましたように、この法に基づく省令の規定によって、明示をすべき事項の中に、就業の場所に関する事項が含まれているというのはそのとおりです。

 したがいまして、今日、お諮りをしております指針により対応する場合であれ、全くそれと関係ない場合であれ、就業の場所については、こうした関係法令に基づいて明示をしなければいけないということに変わりはない。そういうことを前提とした上で、本日、頂きました御意見も踏まえ、その在り方については引き続きよく検討していきたいと考えているところです。

○松井委員 これはお願いなのですが、この告示の改正後に恐らく周知の資料等を作られていくことになるかと思うのです。前回も同様のお願いをしたのですが、この勤務地限定社員を入れるということになると、1つは事業所閉鎖の場合の取扱いというのが問題になってきますが、以前、多様な正社員の報告書にもあったように、勤務地限定だからといって、企業の解雇回避義務が制限されるものではないということです。

 それから実際、これまで私どもの産業別組合に加盟する労働組合の職場で過去にこういう制度を導入した所も多いのですが、若者雇用ということで採用の段階でこういう区分を作ると、当然、既存の社員の方も、「どちらのコースになるんですか」という風に割り振りをされてくるケースが多いのです。その場合、やはりきちんとその労働条件については労使で話し合って、一方的な不利益変更がないように、是非その辺の留意事項をしっかりと記載していただきたいと思っております。

○小杉分科会長 これは御意見ということで。ほかにいかがでしょうか。ありませんか。幾つか御意見を頂きましたけれども、基本的にこの告示改正案の概要そのものを否定されるような御意見ではなかったかと思います。

 それでは当分科会といたしまして、諮問された「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針の一部を改正する告示案要綱」について、「妥当」と認める旨を私から労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                   (異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは事務局から報告文()の配布をお願いします。

                                (報告文()配布)

○小杉分科会長 では、お手元に配布された報告文()により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

                                   (異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。次に議題2に移ります。職業能力開発促進法第15条の41項の規定に基づく職務経歴等記録書の様式の全部を改正する告示案について(諮問)です。これも本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問がなされたところであり、これを受けて本分科会において審議を行うものです。内容について、事務局から説明をお願いいたします。

○松瀬キャリア形成支援室長 それでは資料2-12-2に基づきまして、御説明いたします。まず資料2-1です。職業能力開発促進法第15条の41項の規定に基づく職務経歴等記録書、以降ジョブ・カードと呼ばせていただきますが、ジョブ・カードにつきましては図画ですので、文字で改めるという形ではなく、資料2-1にありますように、全てを改正するという形式を取らせていただいています。

 資料2-2で概要を御説明させていただきます。1ページ目、これまでの経緯ですけれども、ジョブ・カード制度推進会議というものがありまして、この中で委員の皆様方からの御意見を受けまして、本年度、厚生労働省でジョブ・カードの弾力化等を含めた見直しに取り組みました。当該見直し案について、第6回ジョブ・カード制度推進会議、昨年度の127日におきまして報告をさせていただいたところです。

2ページ、3ページにつきましては、本年度に行いましたヒアリングや、実際に企業や学校で試行的に導入した中で聴取した主な意見をまとめたものです。ヒアリングにつきましては、全都道府県労働局に対して意見聴取を行い、様式改正案に対する意見照会も行っております。また企業、学校におきましては、ジョブ・カードを試行的に在職者や学生の方々に書いていただきまして、3度にわたりヒアリングや、様式に対する御意見を頂くということもやっております。

 その結果ですが、4ページです。中ほどの改正の主な内容という所で御説明したいと思います。まず様式の見直しの所です。「様式1-1キャリア・プランシート」につきましては、本来、自由に自分のキャリア・プランを書く欄であるわけですけれども、現状においては、「何をどう書いていいか分からない」という在職者、学生の声が多かったということ。そして2つ目にありますように、現在、文科省で導入を検討中のキャリア・パスポートと項目を揃えて、生徒・学生の頃から社会人まで、統一感を持たせ、年代を超えてジョブ・カードへの移行を円滑にしようという目的もありまして、様式の見直しを行っております。それが資料2-11ページ目、「様式1-1キャリア・プランシート」というものです。

 これと5ページですが、様式1-2の第3面、これとも項目を揃えることとしています。様式1-1の第1面と様式1-2の第3面、これが文科省において検討を進めておりますキャリア・パスポートの項目とも一致しているということを、ここに記載しているわけです。

2つ目、(2)の様式の弾力化ですけれども、企業・学校、様々な組織が使うためには、所要の調整を認めるということを検討してほしいという声が非常に多かったことから、そこにありますように、「欄の統合・分節化」等の所要の調整をできるようにしたいと考えております。

 資料2-12ページ目を御覧ください。一番下ですけれども、注意事項の6番の所です。「必要があるときは、各欄を区分し、または各欄に所要の変更を加えることその他所要の調整を加えることができます」という文言を入れております。これは他省の例ですけれども、大臣告示よりもレベルの高い省令で国が定める様式にも同様に、こういった規定があるということで、これを参考にさせてもらっているというものです。

 現在、この弾力化、どこまでできるのか、どのようにやっていいのかという詳細なルールを通知に落とし込んでいるところです。例えば雇用型訓練になりますと、期間をまたいで申請書のやり取りがありますので、雇用型訓練の申請書類に盛り込む場合には、こういった弾力化は行わず、この大臣告示で定める様式をそのままを使うとか、あるいは専門実践教育訓練給付の際に作成するジョブ・カードについては、キャリアコンサルタントの記入欄の削除は認めないとか、そういった運用上での混乱を来さないようなルールは、今設定を考えているところです。説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。特にありませんでしょうか。三村委員もよろしいですか。この領域の専門家でいらっしゃるので、是非とも。

○三村委員 キャリア・パスポートに関しましては、今回の学習指導要領で明記されたもので、まだどういう方向で行くかということで定型はできておりませんし、現在も高等学校では、eポートフォリオなども別に走っていまして、なかなか危うい状況であります。しかし、こうした形でジョブ・カードをつないでくれることによって、キャリア・パスポートの意義というものが強まるという意味では、このまましていいかと思っております。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。ほかに特に御意見ありませんでしょうか。それでは、当分科会としては、諮問された「職業能力開発促進法第15条の41項の規定に基づく職務経歴等記録書の様式の全部を改正する告示案」について、「妥当」と認める旨を私から労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                   (異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは事務局から、報告文()の配布をお願いいたします。

                                (報告文()配布)

○小杉分科会長 それでは、お手元に配布されました報告文()により、労働政策審議会会長宛て、報告することとしてよろしいでしょうか。

                                   (異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。それでは議題の3番目に入ります。次は2017年度の年度目標の中間評価についてです。内容について事務局から説明をお願いいたします。

○志村人材開発総務担当参事官 それでは、2017年度の年度目標の中間評価についてです。年度実績評価と年度目標の設定につきましては、平成22年度より労働政策の推進に当たり、PDCAサイクル機能の充実強化を図るため実施しているものであり、今般は2017年度目標の中間評価について御議論いただきたいと思います。

 お手元の資料3です。これは分科会共通のいろいろな様式等ありまして、A410ページぐらいになり、多岐にわたり記載されておりますが、本日に関しては主に4ページ目と5ページ目を使って説明をさせていただきたいと思います。その中にエクセルの表がありますが、項目がマル1からマル7までありまして、エクセルの列が6つぐらいありますけれども、3列目の所の2017年度の目標と、一番右の2017年度の実績(4-10)を主に見比べて、目標達成の見込み等を御議論、御審議いただきたいと考えております。

 それでは、2017年度目標といたしましては、マル1地域若者サポートステーションの就職率、マル2ハローワークの職業紹介により正社員就職に結びついたフリーター等の数、マル3学卒ジョブサポーターによる支援、マル4ジョブ・カード作成者数、マル5公共職業訓練の修了3ヶ月後の就職率、マル6求職者支援制度による職業訓練の修了3ヶ月後の就職率、マル7技能検定受検合格者数、これら7つの項目を掲げております。

 マル1ですけれども、2017年度の目標60%に対し、201710月末時点の実績は49.3%です。現時点で目標を下回っているものの、ハローワークとの連携を強化するなど、就職に向けた取組を強化することで、月を追って着実に実績が向上しておりまして、最終的に目標の水準に達することを引き続き目指していくというものです。ニート等の職業的自立の支援を目指し、キャリアコンサルト等による専門的相談、コミュニケーション訓練、協力企業への職場体験、高校等との連携強化等の取組を通じ、引き続き就労支援機能の一層の強化を図ってまいります。

 マル2についてです。2017年度の目標29.2万人に対し、201710月末時点の実績が17.4万人です。10月末における実績は年度目標を上回るペースで推移しており、最終的に目標の水準に達するものと見込んでおります。目標達成に向け、引き続き「わかものハローワーク」等の支援拠点を中心とした、きめ細かな個別支援の徹底、トライアル雇用等の関連施策の積極的活用、関係機関との連携等を通じて、フリーター等の正社員就職の支援の強化に取り組んでまいります。

 マル3についてですけれども、2017年度の目標19.1万人に対し、201710月末時点の実績が11.1万人です。10月末における実績は年度目標に達するペースで推移しており、最終的に目標の水準に達するものと見込んでおります。景気回復による企業の採用意欲の改善等により、ハローワークでの職業相談件数が想定以上に減少している中、各労働局に年度後半の取組強化を指示したところです。目標達成に向け、引き続ききめ細かな個別支援の徹底、大学等との連携による支援対象者の新卒応援ハローワーク等への誘導強化等を通じて、正社員就職の支援の徹底に努めます。

 マル4ジョブ・カードですけれども、2017年の目標25万人に対し、10月末時点の実績は11.5万人です。2017年度におけるジョブ・カード新規作成者数は、目標25万人に対して11.5万人となり、目標の達成は難しい状況となっております。これは離職者訓練及び求職者支援の受講者数の減少や、企業内人材育成推進助成金、これはもう廃止しておりますけれども、キャリアコンサルティング制度導入による実績分が減少したというようなことなどが、主な要因と考えております。

 目標を達成するため、今後も引き続き、公的職業訓練や雇用型訓練の積極展開と併せた着実な作成促進、ハローワークにおける一般求職者を対象にした職業相談の際のツールとしての活用、企業における従業員へのキャリア形成支援、大学・専修学校等のキャリア教育等の際のツールとしての活用等を図り、一層の取得促進を図ってまいります。さらに来年度に向けては、201512月に開設しておりますジョブ・カード制度総合サイトの機能拡充、スマートフォン版ジョブ・カード作成支援アプリの普及等を図ってまいります。

 マル5です。公共職業訓練の施設内訓練につきましては、2017年度の目標80%に対し実績は86.8%。委託訓練につきましては、目標75%に対し実績は74.5%、なお、施設内訓練につきましては、9月末までに修了した訓練の修了3ヶ月後の実績、委託訓練に関しましては、8月末までに修了した訓練の修了3ヶ月後の実績です。なお、この公共職業訓練については、都道府県が自治事務として行う施設内訓練及び都道府県単独の委託訓練の実績は除いております。

 求人・求職者ニーズに合致した訓練の設定、訓練実施機関とハローワークとの連携による就職支援等の取組の推進が有効であったこと等により、目標は達成する見込みであります。今後は、訓練修了までに就職が決まらない可能性のある受講生について、訓練修了前からハローワークへ誘導するなど、訓練実施機関とハローワークの連携による就職支援を徹底するほか、長期の訓練コースや短時間訓練コースの設定、託児サービス支援の提供等を引き続き推進します。また、「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン」の活用促進等による訓練確保や訓練効果の維持向上や、必要に応じた、より安定した就職を実現するために求められる見直し等を行ってまいります。

 マル6です。求職者支援訓練につきましては、基礎コースは目標55%に対し実績は59.2%、実践コースは目標60%に対し実績は65.1%、この基礎コース、実践コースともに5月末までに修了した訓練の修了3ヶ月後の実績であります。訓練実施機関とハローワーク等の連携による就職支援等の取組の推進が有効であったこと等により、目標は達成する見込みであります。目標達成を図るため、効果的な訓練コースの設定、ハローワークへの指定来所日の更なる活用や担当者制による集中的な支援、訓練実施機関の就職支援に関するノウハウ向上のための支援の実施等により、就職に向けた取組を一層強化してまいります。

 最後にマル7です。技能検定の合格者数の目標は25万人に対し、実績は188,376人ということです。目標達成を図るため、職種・作業の新設など技能検定制度の普及・拡充に取り組んでまいります。また、2017年度より若者の実技試験受検料の減免措置を講じているところです。説明については以上です。

○小杉分科会長 それでは、この件につきまして、皆様から御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○遠藤委員 中間評価につきまして、それぞれの達成状況について御説明ありがとうございました。幾つかの指標につきましては、ある程度、達成の見込みが御説明の中で展開されたのではないかと理解しています。一方厳しい状況の中に置かれているものとして、1つ目にあります地域若者サポートステーションの就職率があります。

 ここでお尋ねをさせていただきたいのは、全国に展開している地域若者サポートステーションの実際の現場状況であります。1つはアウトリーチにおける就職支援が、どの程度、効果ある形で展開しているのか、道半ばという部分もあろうかと思いますが、その状況が1つです。もう1つは、定着支援の部分です。実際にどの程度、成果が上がってきているのか、お尋ねさせてください。

○小杉分科会長 では事務局、お願いします。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 ただいま、マル1のサポステ事業運営に係りまして、2点お尋ねいただいたところです。まず、1点目のアウトリーチの現状に関してです。サポートステーションでは、サポートステーション窓口に来所された方に対するサービスだけではなく、必要に応じ家庭、学校、その他、サポステ外の現場に出向いてのアウトリーチ支援というものも1つの柱に付けているところです。

 ただ、その中のさらに1つのポイントであります高校などの学校との連携を行ってのアウトリーチ事業に関しましては、その役割を担っていた本事業中の学校連携事業というメニューについて、行政事業レビューにより、このメニュー自体見直し後廃止ということで、一旦、途絶をされた状況でした。その後、一億総活躍プランを踏まえまして、特に高校中退者に対するサポステ等による切れ目ない支援が大変重要という方向性をおまとめいただき、これを踏まえ本年度から改めてサポステ事業に、従前のメニューから在り方は見直ししておりますけれども、高校中退者アウトリーチ事業ということで位置付け、本格展開をしております。まず、これが今の現状です。

 その取組状況ですけれども、事業運営を通じサポステスタッフなどから聞き取りを行う中では、やはりサポステそのものについての地域の学校とのネットワークについて、若干、粗密あるいは経験の蓄積に差があるということは認めざるを得ない部分があるということです。

 また、連携する学校側に関しましても、例えばもともと就学形態、生徒の方々の個々の事情が多様な定時制高校などに関しては、この高校中退者アウトリーチ事業、正に諸手を挙げて歓迎ということで、早速、連携がなされて定期訪問に至っているわけですけれども、全日制高校については、それぞれの事情、立場もある中で、サポステも含め外部の機関が日常的に入り込むことについては、スムーズにいく場合、なかなか難しい場合もあると。その両方の事情の中で、まだいささかばら付きがあるというのが、全体としてのこのアウトリーチの取組状況です。

 ただ、今回、今後の重点ということで書かせていただいている中にも、高校等との連携強化といった点を盛り込ませていただいているところでありまして、一億プランの趣旨を踏まえ、文科省とも方向性を共有した上で、今後、取組強化をしていきたいと思います。

 また、もう1点の定着フォローアップに関しましても、もともと就職、その後の継続就業にいろいろな困難を抱えているサポステ事業において、極めて重要なメニューであると思っております。こちらに関しましては、長年にわたる取組の中で各サポステとも、おおむね取組としては定着をし、現在サポステで就職をしている方の約6割に関しましては、この定着ステップアップのフォロー対象者ということになっているところです。逆に対象となっていないところについては、その必要性が認められない、あるいは少数ながら就職企業の協力が得られない、あるいはサポステスタッフの物理的な制約の中でなかなか回り切れていない状況ということで、御理解いただければと思います。

 この定着ステップアップの対象となった方についての一定期間後の定着率に関しましては、この定着ステップアップ事業の対象となっていない方に比べ、明らかに定着率が高いというデータも示されているところです。このように、既に一定の有効性が認められております、この定着ステップアップ事業に関し、より多くの就職先の企業の理解・協力も得ながら、よりきめ細かい一貫したフォローアップという観点で、今後の本事業における重点として位置付け、積極活用を図っていきたいと考えているところです。

○遠藤委員 ありがとうございました。ただ今、お話がございましたように、アウトリーチにおける学校側の受入れの問題については、その途絶える前の状況から課題として挙げられた内容かと思います。正に教育現場の方々がどのように受け止めるかというところに負うところが大きいとは聞いています。地道な活動ではありますが、効果のある施策ですので、引き続きお取り組みいただければと思います。地域若者サポートステーションにつきましては、専門人材をなかなか確保できない、あるいは予算繰りに苦労しているといったお話も、まだまだ聞こえてきております。今後も支援困難度の高い方々を、支援する割合が高まってくることは容易に想定できますので、一層の政策支援をお願いしたいと思っております。

○小杉分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見は。

○高田委員 年度目標の中間評価ということで、説明いただきありがとうございました。それぞれ7つの項目について目標達成するために、様々な施策に取り組まれるということで、是非、目標達成について取組を期待したいと思います。

 その上で3ページのマル7の技能検定受検合格者数の所、「目標達成するために、職種・作業の新設など」と書かれておりますが、これは主に合格者というよりも受検者数を増やすことに取り組むという認識でよろしいのでしょうか。

○小杉分科会長 事務局、お願いします。

○瀧原能力評価担当参事官 おっしゃるとおり、技能検定が社会のニーズにしっかり適応していくということが大事だと思っております。残念ながら、その業界の縮小に伴い受検者数が減少してきて、技能検定として成り立たない職種作業は見直していきますが、それと併せて、新しく増えてきている分野、特にサービス業関係の分野などはニーズがこれから出てくるだろうということで、職種新設等を業界等と一緒に検討しているわけです。それは、最終的には技能検定合格者、すなわち技能士という資格を持って、その分野で活躍していただく方を増やしていくという目的ではありますが、その前段として、受検者数を増やしていくというものです。

○高田委員 ありがとうございます。受検者数を増やすという観点で、今ある検定についても伸び率が少ないような検定分野については、なぜなのかとか、対策などを検討して講じることも必要かなと思いますので、是非そこもお願いしたいと思います。これは意見です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。

○瀧原能力評価担当参事官 御意見ありがとうございます。技能検定受検者数は職種全体で見ると伸びているのですが、職種ごとに見ると、そうでない職種もあります。その理由として、先ほど少し申しました、業界が縮小しているものもあるかもしれませんが、あるいは、潜在的な受験ニーズはあるのだけれども技能検定制度が知られていない、という職種もあるかもしれませんので、そこは制度の周知が大事かと思っております。

 また、検定制度の概要を知っていただくことも大事なのですが、技能士が役に立つものだと、取得することによって企業や労働者の方に価値があるものだということを知っていただくことも大事かと思っています。それは、高い技能を持つことによって、例えば生産性が上がったり、企業の活動に非常にプラスがあるということもありますが、もう少し多角的な面は考えられないかという意識もあります。その観点で、1つ御紹介させていただきたいのが、今年度から、グッドスキルマークというのを始めました。技能士の方が、その製品を作るにあたり一貫して携わったものについては、国で定めたマークを付け、これは技能を持った方が作ったものです、ということを示せるような制度を作りました。現在、第1回の募集をしたところです。

 それで、これは高い技能の持ち主が作ったのだというのを、国が支援して付けることによって、技能士を取得することにより、商売にも役に立つのではないかということで、このような取組も始めました。今後とも、技能士を受検する方が増えるような取組は、いろいろ考えて実現していくように努力してまいりたいと思います。

○小杉分科会長 分析も進めているし、いろいろ対策も打っているというお話でした。

○高田委員 ありがとうございます。グッドスキルマークも非常にいい取組だと思います。やはり受検者数を増やすという意味では、一番最後の行にも書いてあるのですが、2017年度から若年者への受検料の減免措置が講じられています。技能検定は若者のキャリア形成支援に役立つと思いますので、これは是非、継続をお願いしたいと思います。これも意見です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。ほかのことについて、あるいは同じことでも。

○早川委員 マル1からマル3に関して意見を申し上げます。私、佐賀県から参っていますので、佐賀県には国のヤングハローワークと、あと、このサポステと、そして佐賀県のジョブカフェが一体になった「ユメタネ」という施設があるのですけれども、非常にいい施設で、かなり佐賀労働局様の努力もあって、うまくいっているように思います。

 それで、特にマル3学卒ジョブサポーターについて、ここに書かれているとおりなのですけれども、確かに景気の回復で、ほとんどの学生はハローワークを利用せずに就職が順調に決まっている状況ではあるのですけれども、そうありながら、やはり支援が必要な学生というのは一定割合おります。

 そうした際に、大学だけでの応援というのが必ずしもきめ細やかに届かないところもありますので、このジョブサポーターの支援を充実させていただいて、支援を必要とする学生に対する重点的な状況の把握とか誘導とかを、是非サポートしていただきたいと思います。現状として佐賀大学にもこういった方が派遣されていて、学生も相談に乗っていただいて、いろいろ眼も開くところもあるようですので、引き続きお願いいたします。

○小杉分科会長 ありがとうございます。

○浅井委員 2点御指摘させていただきたいと思います。1点目は、先ほどからのグッドスキルマークの点なのですけれども、製造現場を研究対象にしている立場から言いますと、技能士の方が貢献された結果が11に対応していて、目に見える形で分かりやすいものはいいのですけれども、日本の製造現場の例えば設備保全であるとか、生産技術であるとか、それから生産性向上というような、間接的に技能士の方の貢献があって結果が出ているのだけれども、それが11で明確に出てこないようなものが日本の製造業の競争力の源泉だったりする、そういった要素が極めて大きいと思いますので、このグッドスキルマークの議論をされるときに、その点についても念頭に置いて議論を深めていただけたらと思います。

2点目はマル1の地域若者サポートステーションの就職率についてです。評価及び今後の方針においても、ニート等の若者の職業的自立を目指すということがうたわれているのですけれども、当初に定義されたときと、かなりその様相が変わってきています。現在も60万人弱ぐらい存在すると言われていますが、年々、年齢が高くなってきているという深刻な課題があるかと思います。

 今までは、家庭の中で家族の経済的支援によって生活していくことができた部分があるかと思うのですけれども、今後、経済的な意味でもその方たちの極めて深刻な状況が年々、かなり顕在化していくのではないかということが考えられます。ニートの定量的な問題と同時に、今後、定性的な視点を厚生労働省としても考えていかざるを得ない、そういったことが大きくなっていくのではないかと考えております。以上2点をよろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ありがとうございます。お話がありそうですね。どちらかにしましょうか。では先に。

○瀧原能力評価担当参事官 グッドスキルマークへの御意見、ありがとうございます。我々も現在、第1回の認定を進めているところでして、技能と商品・物というのは、恐らく11で非常に分かりやすいので、まずはここから始めていって、認知度を高めていこうと思っております。ただ、議論の中で、物以外もありますので、そこをどのような形で示していくか、技能を作業などで活かしている方にもスポットが当たるというか、その技能は発揮されていますということを世の中の使う方に知っていただくような形の、更なる検討を進めたいと思っていますので、今の御意見も踏まえてやっていきたいと思います。どうもありがとうございます。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 大学とジョブサポーターの連携については御評価いただいて、本当に有り難いと思っております。私どもこの事業運営を通じて、現在の学生支援の中で見えにくい層を対象とする、困難な課題を抱える学生の姿というのが徐々に見えてきた、また、大学とハローワークの得手不得手もあるかと思います。それぞれの持ち味、得意を組み合わせることによって、いわば正社員を希望する学生が全員就職可能になるようにという心意気の下で、今後、この取組を一層強化していきたいと思っております。

 また、サポステに関わる、より上の年代の方々の支援、私どもも問題意識として有しているところです。これまでニート、統計的には35歳未満、現在のサポステは40歳未満という対象年齢の下で事業運営をしているわけですが、いわゆる就職氷河期世代に当たる30代後半又は40代前半層の無業者数に関して、35歳未満のいわゆるニートの数が、もちろんサポステだけの功績ではありませんけれども、徐々にようやく少しずつ減少基調となる中で、高止まりをしている。このことは各方面からも今、指摘を受け、来年度のサポステ事業の中では、まだ予算案段階ですけれども、10箇所のサポステにおきまして、40歳台前半層の無業者に対するモデル的な支援、この中でこうした層に対する、より効果的なアプローチ、手法の開発等を行うといったメニューも盛り込んでいるところです。

 こうした取組を通じ、より上の無業者層の抱える課題を明らかにするとともに、就労支援の立場での効果的なアプローチ策を明確化、具体化していきたいと考えております。

○小杉分科会長 よろしいですか。ほかにこの件に関して御質問、御意見のある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。それでは、当分科会といたしましては、この中間評価につきまして、本日の議論を踏まえ、私と事務局とで相談して取りまとめたいと考えておりますがよろしいでしょうか。

                                   (異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。では、次の議題です。次は専門実践教育訓練の指定基準に関する施行後3年後における見直についてです。内容について事務局から説明をお願いいたします。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 それでは、議題4に関し資料4に基づき若年者・キャリア担当参事官室から御説明申し上げます。お手元の資料、見直しについてマル2となっております。前回、26日から専門実践教育訓練の指定基準の見直しに係る、いわゆる3年後見直し御審議を開始いただいたところです。前回御質問、御指摘いただいた内容、また前回の時点で準備が整っていなかった、3年後の見直しに関わり御審議いただく上で必要と思われるデータその他の資料を、今日は準備させていただきました。

 前半のほうが前回の御指摘に関わる事項です。初めに2ページを御覧ください。前回、受講・受給者からの専門実践訓練に関わる評価、ニーズに関わり、何点かの御指摘をいただいております。それらに関わる資料です。

2ページですが、この専門実践教育訓練受給者に対し、施設を通じアンケート調査を実施をしております。同じ調査について、前回の資料でも一部引用させていただいております。ここにあります平成28年度時点での受給者を対象とした回答(3,200)、この範囲での把握内容ですが、専門実践教育訓練に対する受講・受給者の講座に対する満足度ということで、大きくはプログラム内容が自分の期待した能力習得に役立つものとして満足できるのか、もう一点は自らのキャリア志向との関わりで、そのキャリア形成に役立つものとして満足できるのか。非常に基本的な問いですが、いずれも「大変満足」、「おおむね満足」という回答が圧倒的多数という状況です。

 次のページ、これは訓練そのものではなく、専門実践教育訓練に関しては支給要件上、訓練を受ける前にキャリアコンサルティングを受けていただく、私どもは「訓練前キャリコン」という言い方をしておりますけれども、この訓練前キャリコンに関わる評価に係る資料です。先に下から申し上げますと、先ほどのアンケートとはまた別のアンケートなのですが、訓練前キャリコンを受けた方、したがってその時点ではまだ受講希望段階ですが、こうした方々がこの訓練前キャリコンそのものについてどのような評価をし、どのような点で役に立ったかをアンケート調査で尋ねております。役に立ったかどうかという意味では9割強の方に役に立ったとお答えいただき、役に立った点としてはその右、受講目的の明確化、キャリアの方向性の整理、受講意欲の向上といった、この仕組みの中で私どもがおおむね意図しているような点での回答が出てきているということです。

 また、これとは別に、実際にこの訓練前キャリコンを担っているキャリコンの方からのヒアリングも、実施をしてきたところです。それがこの上、(1)の部分です。今ほど申し上げましたように、この訓練前キャリコン、受給の要件ではありますけれども、受ける方の中には支給の要件という観点とは別に、せっかくの機会なので訓練を受ける前に、自らのキャリア設計、受講目的をどのように活かすかということにキャリコンを活用したい、という明確な意図で来られている方も相当数いる。全体的な状況としては受講の目的、あるいはそれをその後のキャリアにどのように活かすのかについて、専門家であるキャリコンの見立てとしても、一定合理性があると見られるケースが多いものの、一部、自らのキャリア設計、あるいは労働市場の実態理解が必ずしも十分ではないままに受講を希望している方も、キャリコンの目線で見て散見されるようです。こうした方に対しては労働市場の客観情報を提供したり、専門家としての気付きを促す助言を行うことで一部の方についてはキャリアプラン、あるいは受講講座そのものが見直されるケースもあると聞き取りをしているところです。

 次のページ以下が前回、必ずしも十分なデータ等お示しできておりませんでした在職者の、あるいは在職者が多数を占めるような講座に関わる受講効果に関わる資料です。

5ページをお開きいただけますでしょうか。前回は、受講開始時点で離職者であった方を対象とした追加給付受給率、すなわち課程が目標としている資格を受験・合格し、引き続き在職あるいは新たに就職をしたことによってプラス2割の給付を受けた方の割合でしたが、今回は在職者についても把握をしたということです。前回報告をした離職者については全体として追加給付受給率65.7%でしたが、在職者については右側、黄色にありますように、それより少し低い61.7%です。それ以上に特徴としては、ここにありますように第1類型から第4類型、課程類型ごとにかなり差がある、このことがむしろ特徴の1つなのではないか。また、離職者との比較でも高めに出ております第3類型や第4類型については、離職者に係る追加受給率よりも高く、1類型や2類型についてはその逆の傾向ということになっております。

 在職者ということで、業務に従事していることが資格受験、あるいは受験対策にどのような影響を及ぼしているのか。あるいは、これは非常に技術的な話ですが、ハローワークに申請しなければ出ない給付でございますので、その辺りがどう影響しているのか。そういったいろいろな考察を更に進めていくべきと認識をしております。

 また、前回の説明の中で専門職学位課程に関し、必ずしも十分なデータを示しきれていないということもあり、ヒアリングという形で、データだけではない観点も含めどのような評価が可能かということで、東京都下の専門実践指定を受けておりますMBA3校、MOT1校からヒアリングを行いました。施設自体の評価、あるいは受講者や受給者の評価に関しても本人からということではなく、今申し上げましたように施設を通じて聞き取った内容のポイントをお示ししております。

 時間の関係で端折った説明になりますが、このMBAMOTについては受講者全体に占める専門実践の受給者の比率が非常に高い。左上にありますように6割から8割と非常に高い。前回もデータでお示ししていますけれども、受講開始時点で在職者の方の割合が非常に高い。また、ここでは活字化しておりませんが、専門実践の指定を受けるまでは経済的理由、あるいは仕事との両立等の観点から中退される方も一定数いらっしゃったということですが、この専門実践指定講座では、受給者がかなりの部分を占める状況の下、中退者の割合が非常に下がったことも大きな影響ではないかという聞き取りもしています。

 受講者のプロフィールについても幾つか記述がございます。詳しい説明は割愛いたしますが、MBAの場合には様々な業種の主に在職者、年代的には30代が多数、MOTに関しては製造業、IT業界主体、それぞれの受講者の目的などについても記述をしておりますので、また御参照いただければと思います。

 その次の資料、その他雇用保険データの詳細分析ということで9ページです。受講開始時点で離職者か在職者かと、受講した講座の形態の関係性について整理をしたものです。上が離職者です。離職者の講座の開講形態は通学が96%と圧倒的多数ですが、より具体的な開講の形態としては平日昼間主体の開講が5,100名余りと多数です。ただ、離職者であったとしても、これは恐らく希望するプログラム内容が、たまたま土日・夜間であったことも含めてだろうかと拝察されますが、土日・夜間コースを受講されている方も一定数いる。

 逆に在職者ですが、こちらは通信の割合が離職者に比べて圧倒的に高い、半数近くである。また、より具体的な半数強の通学制の開講形態については、これまたある程度予想されたとおり土日・夜間受講者が多数ではあるのですが、在職者であったとしても昼間のみの講座を受けている方も1,000名強、一定数いらっしゃる。離職か在職かということで希望する受講形態に一定のパターンはあるけれども、それぞれ置かれている状況などから多様性もあるということが見て取れる資料ではないかと思っております。

 大きな2つ目の塊ですが、「専門実践教育訓練」の基本コンセプトという表題で整理をさせていただいております。前々回までの御議論の中で、この3年後見直し審議に当たって専門実践訓練、目指すところの中長期キャリア形成という考え方を整理しておく必要があるのではないかという御指摘を受けていたということで、事務局で整理をした資料です。11ページは言わば現行制度のおさらいです。専門実践教育訓練の法令上の定義ということで、雇用保険法施行規則に基づく教育訓練のうち、中長期的なキャリア形成に資する専門的かつ実践的な教育訓練という定義、また制度創設時に前身である能力開発分科会で整理をされた、より具体的な考え方についても添付をさせていただいております。当初から設定されておりました3つの課程類型について、ここにありますような形でその狙いとするところが整理されております。以上が言わばおさらいに属する部分です。

 その次の12ページです。その後の専門実践教育訓練の給付制度そのものが改正をされた経過や、新しい課程類型追加に当たり本分科会においても様々な議論がなされた、そういったことを踏まえた上で考え方を変えるという趣旨ではなく、先ほど申し上げましたような制度創設時の考え方を明確化あるいは再整理するという観点で、12ページにありますような資料を準備させていただきました。

 例えば、「中長期的な」ということに関しては制度創設時、受給インターバル要件10年ということで、言わば10年働いていけるような資格教育訓練という説明を差し上げてきたわけですが、給付制度上のインターバル要件の見直しであるとか、実態としての産業構造、技術変化等のスピードアップなどを踏まえ、分野などに応じて3年から10年ぐらいといった幅を捉えた考え方が可能ではないか。「キャリア形成への寄与」に関しても、多義性があるわけですが、就職、正社員転換、定着等の可能性が高まる、その後の就業経験などと相まって、広い意味でのキャリアアップに結び付くというように一旦整理をさせていただいているところです。

 こうした考え方を踏まえて、これを満たすための教育訓練の概念的な満たすべき資質として、当初の整理と基本的に変わっているわけではないと我々は思っておりますけれども、「習得目標とする職業実践的な能力水準の高さ」、またこうした「能力の確実な習得に繋げるためのプログラムの質」という点が求められる。それを体現をする客観性、具体性を備えた代理指標として、その下半分にありますような現行の課程の基本的な要件、それぞれの課程類型ごとの能力習得量の言わば代理指標にもなるような時間数・期間要件、さらには講座ごとの質を保証するという観点での就職等実績、パフォーマンス要件といったものが整理をされています。このような考え方が可能ではないかというペーパーです。

 その後の13ページは、今申し上げましたような考え方を現行の6つの課程類型に当てはめた場合に、どのような整理ができるかの確認的整理資料です。また14ページの資料、先ほど中長期的なキャリア形成ということで御説明申し上げたわけですが、このキャリア形成も同じ分野でのキャリアアップであるとかキャリアチェンジなどいろいろな概念が当然あり得るわけです。現行の専門実践の受給の形態と併せて、この中長期キャリア形成、多様性について少しまとめ上げるとしたらこうした形、同じ分野でのレベルアップとか、関連分野の中で幅を広げるとか、全くのキャリアチェンジ、そういった幾つかの分類が可能ではないかということです。考え方の整理、御参考資料として整理をしたものとして御覧いただければと思います。

 最後、前回の説明資料の中で課程類型ごとに、現行講座指定数と併せて、言わばそれぞれの制度ごとの講座の母数を対比した資料をお示ししていたところです。それを補足する資料といたしまして16ページ、どのような課程・講座が現在指定基準になっていないものとしてあるのか、少し実例的に整理をさせていただいたものです。

1つは就職・在職率80%要件との関わりで対象になっていないものに関してです。この就職・在職率80%要件に関しては、現行では分母を入講者全数、これは一切例外を認めないというかなり厳格な運用をした上で、分子に修了後の就職・在職者数、これが8割以上という要件を設定しているわけです。ここにありますように、こうした基準の下では、例えば入講者に長期の履修生が多数含まれるような課程や、上位・関連資格があって修了者の一定数が上位の別の課程に進学をする場合には、当然のことながらこの8割要件を満たさないという実態がある。こういった点を今後どのように解釈をしていくかという課題。

 あるいは2点目、第1類型の業務独占・名称独占資格の養成課程についても現在厳めて厳格な運用をしているところです。法令により明確に業務独占・名称独占資格として確認をされるものについて、さらにその講座の修了のみを以って受験資格を得られるものだけを現在対象としているものです。ここにありますように、例えば介護福祉士実務者研修のように、当該養成課程の修了プラス一定の実務経験を以って国家資格受験ができるようなもの、こういったものは今対象になっていないわけですが、こういったものを今後どのように考えていくのか。

 それから原則2年、最大3年かつ法令上最短期間という期間要件を現在設定させていただいているわけですが、これに関しても、言わば例外を認めないような運用をしているわけです。ここにありますように、例えば在職者を念頭に置いた定時制の課程についてはプログラム編成上、必要な単位を3年間で設定するということは物理的にほぼ不可能ということになってくるわけです。そうしたことから、事実上の最短コースとして在職者用定時制ということで4年課程になっているもの、決して多数ではありませんが、ここにございますように看護師等で一定数ある。こういったものをどのように見ていくのか。今後、指定基準全般について御審議をいただく上でこうした現行制度の運用、あるいはその中で当てはまるもの、そこから外れているものについて御報告を差し上げた次第です。

 後半の資料は前回と同様、現行制度の関連参考資料ですので御参照いただければと思っております。事務局からの説明は以上です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○小杉分科会長 どうもありがとうございます。それでは、ただいまの説明につきまして皆様から御質問・御意見を受けたいと思います。いかがでしょうか。

○松井委員 意見ということになるかと思います。11ページ、12ページから「専門実践教育訓練」の基本コンセプトの整理若しくは再整理ということで示していただいております。私も教育訓練の重要性、働き方改革等でも言われていますように、リカレント教育等の重要性が高まっているということは十分認識しておりますし、こうした検討は重要だと思っております。

 ただ、この専門実践教育訓練給付自体は、財源が雇用保険制度にあるということについては、やはりしっかりと踏まえて論議をする必要があるのではないかと思っております。特に二事業ではなく、労使がお金を出している、従来で言えばもともとは失業保険から始まった財源でこれを行っているということですので、教育の必要性という観点での論議と、その教育がどこまで雇用保険の中でカバーすべきものなのかということは、やはり一定程度区別をして論議をしていく必要があるのではないかと思っています。

 併せて言えば、必要な教育への支援については、雇用保険以外の財源でしっかり手当をしていくようなことも考えていくべきではないかと思っております。その観点での論議もお願いしたいと思っております。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○村上委員 今、松井委員からもありました11ページ、12ページなのですが、基本コンセプトの整理、再整理として制度創設時に分科会で整理された具体の考え方と、12ページで考え方の再整理()とされたものについて、並べてみてもどこがどう違うのかが読み取れないのです。訓練の基本的な考え方は創設時と変わらないというお話がありつつも、やはり変わっていると思うのです。どの点をどのように変えていこうとしているのか。たたき台としてこの思料に示されていると思うのですが、もう少し分かりやすく示していただかないと、納得できるような議論ができないのではないかと考えております。

 先ほど松井委員も申し上げているように、やはり雇用保険料が財源となっておりますので、その中で、教育訓練は大事なのだけれども、一部の人が受給するものであって、失業時の手当とはかなり性格が異なってくるものです。雇用保険の保険料を負担している人に対して、これは公平なのだとか納得性があるのだということを十分説明できるような議論をして再整理していくべきだと考えておりますので、資料の作り方についても、少し工夫をいただけないかと思っております。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。

○早川委員 すみません、度々発言しています。多少、私は別の観点なのですが、在職者が自分のキャリアを考えて専門性を高めていく、あるいは他の分野の知識も深めていくということは非常に重要なことであろうと。人生も100年ですからその中で専門性を高めておくことは将来的な失業を防ぐ、また逆に何かイノベーションにつながることもある。

 こういった在職者の支援ですが、これは高い学費を全額支援というわけではないので、支援の金額は検討する必要があるかもしれませんけれども、在職している人が更にキャリアアップするのを雇用保険が支援するというのも、やはり制度としては合理性があると私は考えております。

○小杉分科会長 ありがとうございます。ほかにこの件に関していかがでしょうか。

○遠藤委員 前回に続き、新たに統計資料を加えていただき、どうもありがとうございました。今後、見直しについての議論を継続するに当たっては、対象講座を拡大していくのかどうかがポイントになるということになり、労側2人の御意見がありましたように、やはり使側といたしましても、財源が雇用保険料であることを踏まえれば慎重な議論が必要であると思っております。

 その上で、少し頭を違う角度に持っていきますと、例えば2018年度の雇用保険の予算案を見てみると、求職者給付に関わる予算額を、育児休業給付や介護休業給付、高年齢雇用継続給付に係る予算額が上回っている。いわゆる、本来、雇用保険がメインにしている場面よりも、育児休業給付等を中心とした雇用継続給付が上回ってしまうような状況が今後見込まれています。雇用保険の役割としてどこまでをしっかり制度としてみんなで支えていくのか、こういった視点もこの時期は必要なのかなと思いつつあります。いずれにしても高額給付なので、慎重な上にも慎重な議論をお願いしたいと思います。

○小杉分科会長 ありがとうございます、ほかにいかがでしょうか。今日のところはこのぐらいでよろしゅうございますか。考え方の再整理など、大久保委員が求められたところでもありますが。

○大久保委員 いろいろ御整理いただきましてありがとうございました。私も読んで、まだ100パーセント頭の中が整理しきれていないところがあります。

 専門実践教育訓練は助成している金額が結構大きいものなので、これを受ける個人からするととても有り難い制度です。一方、その金額の大きさに見合った成果なのかどうかを、考えなければいけないのかなと思いました。例えばMBAについても、在職者の中で活用している率が非常に高いということなのですが、この制度がなければ個人にとってそういう講座を受けたいというニーズがあったのだけれども受けることができず、この制度があったから初めてそういう講座を受けることができたということに至ったのかなど、もう少し周辺的なものまでデータを拾えないかと思いながら話を聞いていました。

○小杉分科会長 事務局、いかがですか。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 今、お話がありました、給付によって初めて受講が可能になったと、これがもし何がしかのデータの裏付けをもって確認できるとするならば、なおかつ前回、また今回お示ししている資料によって受講、受給が一定のキャリアアップに総じてつながっていると解すことができるとするならば、それはこの制度が在職者に関して一定の成果、パフォーマンスをもたらしているということが言える。この課題構造は今、委員から御指摘があったとおりであると思っております。

 制度があったから、なかったからということによる実質的な効果というのはなかなか、統計学的な観点で言うと証明が非常に難しい課題です。データ、ヒアリング、何がしかの方法によって今、委員から指摘があったような点について一定の効果があったのか、何らかの制約があるのか、そこは引き続き事務局として工夫をしてみたいと思っておりまいす。

○小杉分科会長 そのほか、よろしゅうございますか。やはり、この専門実践というのは給付金額が大きいというところが一番のポイントなので、コストとリターンの関係、ほかの一般給付、一般訓練などとの違いを整理しておくというのは大事なことではないかと思います。

○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 今、多くの委員から大変重要な点を御指摘いただきました。考え方の整理自体がまだ分かりにくいという御指摘もありましたので、その点については全体として更に工夫してみたいと思います。

 また、多くの委員から雇用保険財政にも関わる指摘を頂戴したところです。申すまでもなく、例えば現行の指定基準の中でも、先ほどの説明の中でもちらりと申し上げました訓練期間の上限などに関しては、委員からも御指摘があったような負担と給付の均衡という観点も大いに加味した上で設定されている基準であるということを、我々事務局としても十分認識をしているところです。

 同時に、雇用保険財政そのものに関しては、御案内のようにこの専門も含めての教育訓練給付制度の給付そのものに関しては職業安定局、また講座指定については私ども人材開発部門、労政審上もそこは任されている部分もございます。今日頂いた御指摘については職業安定局、関係部局などとも相談をしながら、この人材開発分科会においてどのような形でお示しすることができるのかについては、更に工夫をしてみたいと思っております。

 また、もともと前回、今後御議論いただきたいポイントということで事務局案として提示をさせていただいている内容でも、まだ御審議いただく材料を御提示申し上げていない部分もあります。そういった点も含め、分科会長ともよく御相談をしながら次回以降もより充実した御審議を頂けるよう、資料等準備に努めていきたいと考えているところでございます。

○小杉分科会長 ありがとうございました。この件に関して御意見はありませんか。

○三村委員 そのデータを示していただく際、今回の専門実践教育訓練に関して質的な高さは、ある意味で給付の額に応じているものと思います。ですので、単なる量的なデータだけではなく、質的なものをどうカウントするかというのは非常に重要なところだと思いますので、その辺を考慮していただいたデータを示していただきたいと思います。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、この議論についてはここまでということでよろしゅうございますか。

 それでは議題5、最後にその他として事務局から1つ報告がございます。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構第4期中期目標についてです。事務局から説明をお願いいたします。

○波積人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の波積です。資料5-1と資料5-2を用い、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の第4期中期目標についてごくポイントを絞って説明させていただきたいと思います。

 まず、資料5-11ページ目を御覧いただきますと分かりますとおり、昨日、31日付けで大臣名にて独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構宛てに、今後達成すべき業務運営に関する目標、いわゆる中期目標、こちらの指示をしたところです。本文はここに書いてありますとおり18ページ、20ページ弱にわたるような大部のものですが、18ページの後、別紙1でまず政策体系上の位置付けを御説明させていただければと思います。この別紙1にありますとおり、独立行政法人の機構の体系図としては、まず現在、日本経済・労働市場が抱える課題、潜在成長力の問題、生産性の伸び悩みの問題等を踏まえて、未来投資戦略2017などの中で政府が取り組むべき政策が掲げられているわけです。

 こういったことを踏まえ、厚生労働省のミッションとして若者、女性、高齢者、障害者等の働く意欲のある全ての人々がその能力を最大限発揮できる環境を整備する。そして、働き手一人一人の能力・スキルを産業構造の変化に合わせ、経済社会全体の生産性を向上させるための人材への投資をする。これがミッションであるということを前提に、機構の役割を下段に示したような形で取りまとめております。

 具体的には、機構そのものが例えば高い専門性を有する人材を有しているということ、

あるいは蓄積した支援のノウハウがあるということ、全国に展開する地方組織をしっかりと持っているということ、また、地域の事業主や関係団体との信頼関係もこれまで築いてきたということ。こういったリソースを持っておりますので、それを最大限に活用することで高齢者、障害者、そして職業能力開発関係の業務でしっかりと役割を果たしてほしいという方向性が示されております。

 この分科会の対象となっております職業能力開発関係業務につきましては右下の括弧の中、公共職業訓練等を通じた雇用のセーフティネットを維持、要するに離職者訓練であります。そして、技術革新に対応できるべき質の高い労働者の輩出、技能向上ということで学卒者の訓練、また中小企業等の生産性向上に向けた支援ということで在職者訓練、こういったものを適切に行うことによって、第4次産業革命の進展に対応した中小企業等の生産性の向上につながるような人材育成の取組をしっかりと果たすことが役割であるということを、前文の中で書いております。

 その上で次のページ、別紙3を御覧ください。この中で指標という形で、この機構の指標の設定及び数字の考え方について取りまとめをしております。今回、総務省及び厚生労働省の独立行政法人評価委員会におきましても機構の取組、特に職業能力の部分につきましては、かなり高い評価を得たわけです。それが分かる所がこの指標の右上の重要度、難易度の取扱いです。重要度はもちろん政策としての重要性ですが、難易度につきましては新しい、前向きなチャレンジングなものをしているかということで、高い評価を得られる枠組みとなっております。

 具体的には、能力開発につきましては次のページを御覧ください。次のページの一番下、4番目に書いていますが職業能力開発業務に関する事項、まず離職者については2つの指標が書かれております。マル1ものづくり分野のIoT技術等第4次産業革命の進展に対応した離講者訓練コースの受講者数を設定する。右を見ていただきますと重要度、難易度はそれぞれ「高」という形です。

 また学卒者訓練、これは次のページ、(2)に相当するところですが、高度技能者の養成のための職業訓練の実施ということで、マル1では全ての職業能力開発大学校において、ロボット技術を活用した生産システムの構築、運用管理ができる人材を養成するためのコースを開発・実施するということ、これは全10校ですね、そういったことも含めて3つあります。また、在職者におきましても、例えばマル1ではIoT技術者をはじめとした高付加価値化、業務効率化に必要な知識及び技能・技術を習得させる在職者訓練の受講者数、30万人以上を設定すると、こういったものが3つあります。それぞれ右を見ていただきますと重要度、難易度が「高」という形で設定をされております。こういった形で今回、高く期待を持って中期目標を設定したわけでございます。

 具体的な内容につきましては資料5-2を御覧いただければと思います。1ページ目は今、資料5-1の別紙1で説明したものと同じ中身です。その上で6ページ、7ページで職業能力開発業務に関する事項を取りまとめております。それぞれ、細かくいろいろな事項を書いておりますのでざっと見ていただければと思います。(1)では離職者、(2)では高度技能者、学卒、(3)では在職者の事項をまとめております。

 さらに(4)の部分で、前回の分科会でも御説明いたしましたが、訓練指導員の養成等につきましても指標を書いております。指標としては5年間で500人以上、毎年100人をしっかり養成するといったことが取りまとめられているところです。簡単かもしれませんが、以上のような形で今回の中期目標を昨日付けで指示しております。説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。この件に関しまして皆様から御質問、御意見等ございますでしょうか。

○松井委員 難易度と重要度の御説明がございましたが、誰が評価をしているのかをもう一度御説明いただけますか。

○波積人材開発政策担当参事官 どういうことでしょうか。

○松井委員 難易度とか重要度を高い低いという。

○波積人材開発政策担当参事官 これは今回の中期目標を作成するに当たり厚生労働省、総務省のそれぞれに独立行政法人の目標を評価する委員会がありまして、そこでの議論を踏まえて決定したものです。もちろん、最終的に決定したのは厚生労働省ですから我々が決定したということになっております。

○小杉分科会長 よろしいですか。非常にチャレンジングな計画であるとうことですね。

○波積人材開発政策担当参事官 はい。高く評価をされて、余りこういうこともないものですから、私も若干戸惑ったところもありましたが、むしろそういった高い評価を踏まえてしっかりと実績を出してもらいたいと、そういう気持ちも込めて作っているところです。

○小杉分科会長 ほかにはいかがでしょうか。浅井委員、御専門の立場から何かありますか。よろしいですか。

 ございませんようでしたら、この議題についてはここまでとさせていただきます。そのほか、皆様から何かございますでしょうか。

 特にないようでしたら本日の議論は以上とさせていただきます。また次回、第5回の日程につきましては328日、10時より開催を予定しておりますのでよろしくお願いいたします。

 本日の議事録署名委員ですが、労働者側は高田委員、使用者側は角島委員、よろしくお願いします。

 本日はこれにて終了いたします。皆様、議事進行への御協力、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(了)

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