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2018年3月23日 第6回人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会

医政局

○日時

平成30年3月23日(金)16:00~17:30


○場所

厚生労働省 専用第15会議室(12階)


○議事

〇堤在宅医療推進室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第6回「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 本日は、大変お忙しい中御参集いただき、まことにありがとうございます。

 本日は、木澤構成員、木村構成員から欠席の御連絡をいただいております。

 また、瀬戸構成員が、おくれて到着される予定です。

 事務局は、公務の都合上、出入りがありますことを御了承ください。

 本日は、上智大学生命倫理研究所教授の町野朔氏を参考人としてお呼びしております。

 議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席表、資料と参考資料1から5までをお配りしております。乱丁、落丁等がございましたら、事務局までお知らせください。

 冒頭、カメラ撮りをされている報道の方がおられましたら、こちらで終了をお願いいたします。

(カメラ退室)

〇堤在宅医療推進室長補佐 それでは、以後の議事運営を樋口座長に、お願い申し上げます。

○樋口座長 それでは、議事次第にありますように、きょうの議題は、1つしかないわけですが、報告書(案)をまとめるということであります。

 きょうは、第6回ということですけれども、後で繰り返し申し上げるかもしれませんが、皆様方と事務局、その他の方々の御協力を得て、6回というところでガイドラインの改訂も、この前、もう既に発表されましたし、きょうも最終的な報告書というところまでに至ったということについて、本当に感謝申し上げます。

 それでは、きょうは、この検討会の報告書をまとめるというのが大きな作業なので、それについて、事務局から説明をいただきたいと思います。

〇松岡在宅医療推進室長 それでは、事務局から説明をさせていただきます。

 皆様のお手元の資料に基づきまして行います。なお、先ほど、座長もおっしゃっていただきましたが、ガイドラインにつきましては、参考資料1、2としてつけておりまして、3月14日に公表していることをつけ加えさせていただきたいと思います。

 それでは、資料の1ページ目から説明をさせていただきます。

 まず、目次がございます。目次を見ていただきますと、この報告書は4つの構成になっています。

 まず「1.はじめに」がございまして「2.現状と課題」。それから「3.国民への普及・啓発」のところ、これが本文の一番大きい部分でございます。

 4つ目が、今回のガイドラインの改訂についてということがあります。

 あと、別紙といたしまして、検討会の審議経過、開催要項、構成員名簿、それから、過去の検討会の経緯という形でつけております。

 それでは、本文のほうに入ってまいります。

 「1.はじめに」のところでございます。6つの〇に分かれておるのでございますが、1つ目の〇は、まず、人生の最終段階における医療・ケアに関する基本的な考え方でございます。医師等の医療従事者から患者・家族に適切な情報の提供と説明がなされた上で、本人による意思決定を基本として行われることが重要であるということでございます。

 2つ目の〇は、地域包括ケアシステムの構築に至った経緯といたしまして、団塊の世代が75歳になる2025年を目指し、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的として、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けるということを目標にしている地域包括ケアシステムを構築するというのが喫緊の課題であると。

 3つ目の〇におきましては、そのためには、人生の最終段階において、十分に本人の意思が尊重されるよう国民に対し、人生の最終段階の医療機関に関する情報を適切に提供することや、普及・啓発を図ることが必要であると、この普及・啓発の必要性について書かれております。

 4つ目の〇につきましては、普及・啓発の現状の取り組みについてヒアリングをしたり、調査などを行うことによって、この議論がなされたということが書かれております。

 また、次の段落におきましては、調査のことが書いております。

 今回も5年ごとに実施しております意識調査をやっておりますが、調査項目の見直しを、この検討会を通じて行わせていただきまして、調査報告を取りまとめております。

 「さらに」ということで、2007年のガイドラインを、本人が家族等の信頼できる者や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合う重要性を強調するという観点と、在宅医療・介護の現場において活用できるようにするという観点から見直したということを書いているものでございます。

 これが「1.はじめに」のところでございます。

 次に3ページでございます。現状と課題に関する認識でございます。

 まず「1)人生の最終段階における医療・ケアの現状」ということでございます。

 こちらは、一つ一つ読むのはあれでございますので、ざっくりと中身を申し上げますと、まず、日本における高齢化の進展、高齢社会になったということ。そして、死亡がふえているということ。

 死亡場所が推移してきて、自宅で死亡する者というものが1951年の段階で8割以上だったのが、2016年には、医療機関でが75.8%になっているという死亡場所の変化があるということ。

 一方、2012年の調査において、どこで最期を迎えたいかについて自宅と答える方が半数以上であったというようなことを書いているわけでございます。

 そのような中、在宅医療・介護の需要が年々増していく中で、病院完結型から地域完結型へと医療の形が変わっていっているという現状。

 また、高齢者の救急搬送というものも、割合として上がってきていると、このようなことを書いているわけでございます。高齢化と、それに伴う社会、医療の変化について書いたものでございます。

 2)は、本人の意思を尊重した人生の最終段階における医療・ケアの提供体制の整備に関して、国がどのようなことを行ってきたのか、もしくは欧米で何が行われてきたのかということを概説する章でございます。

 1つ目の〇は、ガイドラインをつくったことでございます。射水の2006年の事件を契機に、厚生労働省において、2007年検討会において旧ガイドラインを取りまとめたこと。

 また、旧ガイドラインの中身というのは、次の4ページの一番上のところでございますけれども、人生の最終段階における医療のあり方を決定する際には、適切な情報提供と説明に基づいて、本人が医療従事者と話し合い、本人による決定を基本とすることや、医療・ケアチームにおいて慎重に判断することなどが盛り込まれているという旧ガイドラインの説明でございます。

 次の段落でございますけれども、この段落は、意思決定のための研修会を開いているということを書いております。2014年より、医療従事者を対象といたしました人材育成研修を行っているということでございます。

 次、通算で4つ目でございますが、このページは3つ目の〇でございます。

 地方自治体での取り組みといたしまして、これは、今回のヒアリングなどで聞き取ったことでございますが、宮崎、それから松戸のケースというものを、ここで書き込んでおります。

 保健師等が市民一人一人に説明をしながらパンフレットを配布することや、看取りに関する市民向けの講演会、学童、生徒に対する課外授業などの取り組みが行われていることが書いております。

 「さらに」ということで、これは救急搬送の状況でございます。救急搬送で本人の意思が、家族や医療機関等で十分共有されていないというようなことを背景にいたしまして、在宅患者の情報を在宅医療と救急医療と行政が連携して情報を共有するというシステムを整備するということを始めている自治体があるという現状でございます。

 これが、日本国内での、今まで国、自治体などが行ってきた取り組みでございます。

 「一方」といたしまして、英米諸国のことについて書かせていただいております。

 英米諸国におきましては、人生の最終段階における医療・ケアにつきまして、DNAR、リビング・ウィル、Advance Directiveといった取り組みが行われてきましたが、文書が残されていても、本人の意思が家族や医療・ケアチームと共有されていないことにより、本人の意思を反映した医療・ケアが十分に提供されない場合があるということが指摘されているという最近の知見を述べております。

 そのことから、5ページでございますけれども「このため、近年、英米諸国では」といたしまして、ACPの取り組みが始まっている。このような考え方に基づく取り組みが進められているということで、我が国においても、ACPの概念を盛り込んだ取り組みを普及していく必要があるのではないかという問題提起をしているわけでございます。

 次に「3.国民への普及・啓発」、ここが一番の中身でございますが、このようなことを背景にいたしまして、私どもといたしましては、普及・啓発を今後やっていかないといけないと。それを、どうやっていくのかということを次から書いているわけでございます。

 「1)普及・啓発の目的と必要性」を書いております。

 これは、人生の最終段階において、本人の意思に沿った医療・ケアが行われるようにするためには、医療・ケアについて繰り返し話し合う取り組みというものが、医療・介護現場だけではなく、国民一人一人の生活の中に浸透していくということが必要ではないかと。

 しかしながら、医療・介護現場における意思決定支援の実践、地方自治体における情報提供の取り組みは、なかなか十分に広まっていないという現状もございます。

 ということで、生を全うするケアの質を高めていくことが必要である。

 このため、国民全体がACPの概念を盛り込んだ意思決定の取り組みの重要性をより深く理解できるように、一層の普及・啓発が必要ではないかということでございます。

 そして、次のページに移るわけでございますが「2)普及・啓発の方向性」でございます。

 人生の最終段階は、いつ訪れるかわからないということでございますので、多くの場面で、みずから意思を決定することは困難であると言われています。

 そのため、本人が希望する人生の最終段階における医療・ケアを受けるためには、全ての人が、人生の最終段階にあるか、否かを問わず、あらかじめ考え、家族等や、医療・ケアチーム等と繰り返し話し合い、その意思を伝えておくことが重要となります。

 また、普及・啓発の対象というものも、いろいろと変わってくるだろうと。本人であるか、その支え手であるかということ。本人であっても、属性に応じたやり方もあるでしょうと。

 ということで、まず、普及・啓発は、マル1といたしまして、人生の最終段階における医療・ケアのあり方を自分ごととして考える方を対象にすること。

 2つ目といたしまして、そうした方を身近で支える立場にある方という方々。

 3つ目、マル3といたしまして、本人や家族等を支える医療・ケアチームの3つの属性に分けまして、これらごとに提供する情報の内容、支援の方法などを分けて情報提供、普及・啓発を行っていくことが必要ではないか。

 加えまして、次の段落でございますが、上記3つの対象の属性に応じた普及・啓発に加えまして、取り組みの必要性に気づいた段階から話し合うことができる気運づくりが必要であるということから、マル4といたしまして、国民全体に向けた普及・啓発について検討することが必要であるとしております。

 そこで、普及・啓発の対象の時期は、マル1からマル4の4つの方々に分けるということを考え、普及・啓発の内容につきましても、その4つに沿った形で記載をしております。

 6ページの最後のほうの(2)から普及・啓発の内容となっておりますが、マル1といたしまして、人生の最終段階における医療・ケアのあり方を自分ごととして考える時期にある方々は、ア)心身の状況に応じた医療・ケアの内容に関する事項といたしまして、人生の最終段階において起こり得る心身の状態の変化や、人生の最終段階に行われる可能性のある医療・ケアの方法。例えば、点滴、胃瘻などや疼痛緩和の方法とか、人工呼吸器の使用があり得ることとか、心肺蘇生処置というのは、こういうものであるといったことの基本的な情報が必要になるであろうということや、療養場所、次のページに移りまして、そういったものが必要ではないか。

 それに加えまして「イ)本人の意思の共有にあたり留意すべき事項」ということで、繰り返し話し合うことが重要であること。家族等の信頼できる者たち等と話し合うに当たっては、希望する医療・ケアの内容だけではなく、その背景や理由も伝える。人生観や価値観も含めた十分なコミュニケーションが重要であるということ。

 心身の状態の変化にあわせて、本人の意思は変化し得るので、意思決定の内容は、繰り返し見直し、変更し得るものであるということ。

 変更した意思決定の内容は、家族等の信頼できる者や医療・ケアチームと共有することが重要であることを留意すべきであるということをお話しすると。

 また「ウ)家族等の信頼できる者について留意すべき事項」といたしまして、親族関係のみならず、家族等というのは、親しい友人等が含まれること、複数に存在してもいいということ。伝えられない状況になった場合に備えて、特定の家族等をみずからの意思を推定する者として前もって定めることも重要であるということ。

 「エ)本人の意思を文書にまとめるにあたり、留意すべき事項」として、細々と書いておりますが、文書にまとめるに当たって、例えば、背景や理由を把握するためにも、内容のみならず、書きながら、家族等の信頼できる者や医療・ケアチームとの意思の共有が必要であるとか、話し合いの都度、新しい情報に更新するなどといったことが必要であるということを述べております。

 「オ)相談支援の方法」といたしまして、例えば、医療従事者や介護従事者といった方々となかなか連絡がとれないような方、余りつながりのないような方が、本人になった場合には、専門職の支援に関する役割や相談が必要な場合の連絡方法などを知らせておくことが必要ではないかというようなことでございます。

 8ページのマル2でございます。つまり「マル1の方々を身近で支える立場にある家族等」ということでございますが、この方々は、医師の方々が、先ほど述べましたアからオのようなことを知らしめられているというようなことを知っていただくと同時に「イ)身近な方の人生の最終段階における医療・ケアの方針決定に関わるにあたり、留意すべき事項」といたしまして、例えば、話し合いをすること自体に不安や苦痛が生じる可能性があることとか、本人の意思を尊重することが重要であって、考えたくない、話したくないというようなことも含めて、そういったことを尊重することが必要であるということ。

 また「ウ)本人の意思の推定にあたり、留意すべき事項」として、まず、医療・ケアの方針決定は本人による意思決定が基本であるという基本的な原則を述べた上で、本人の意思は変化し得ることや、人生観や価値観などの情報を踏まえて、本人が何を望むのか、何が最善かということを医療・ケアチームとの間で話し合う必要があるというようなことを述べております。

 「マル3 本人や家族等を支える医療・介護従事者」のお話となります。

 この方々につきましては、まずは、ガイドラインの内容を知っていただくということが重要であるということをア)に書いています。

 また、イ)は、マル1やマル2を伝達にするに当たり、留意すべき事項といたしまして、先ほどから何度も申し上げておりますけれども、本人が考えたくない、話し合いたくないというような意思をくみ取るとか、常に意思や気持ちは揺れ動くようなものであるとか、上下関係にならないように留意するといったことがあるのではないかと考えております。

 「マル4 国民全体」でございます。

 これは、人生の最終段階における医療・ケアの方針決定においては、本人による意思決定が重要であると。みずから主体的に取り組む必要があるということ。これは、大原則でありますが、このことをまずは知っていただくということでございます。

 また、本人や身近な人のもしもの場合に備えまして、日ごろから考え、家族等の信頼できる者を決め、繰り返し話し合うことが重要である。また、内容は共有しておくこと、希望は、いつでも変更してよいということは理解しておく。

 具体的な心身の状態を踏まえて話し合いを行うことで、理解や考えが深まることなどを内容として挙げたいと考えております。

 「(3)普及・啓発の方法」でございます。

 マル1とマル2の方々の普及・啓発の内容は、若干違うものの、同じような方々からの情報提供が行われるのではないかとして、マル1とマル2をあわせて記載しております。

 マル1とマル2の方々につきましては、例えば、かかっておられる医療機関や介護施設などが、かかりつけ医、看護師、介護支援専門員などといった医療ケアチームが、医療・介護サービスの提供の機会を通じて、本人や家族の状況を判断しながら、医療や療養場所について具体的な情報提供を行うことが必要だと思われます。

 また、地方自治体は、医療・介護に係る行政の担当部局といたしまして、本人や家族等が在宅医療・介護に関する相談に訪れた機会を活用し、意思決定支援に関するリーフレットの配布などを行うといったようなことをやっていただく。もしくは、市民向けのセミナーの開催を行うといったことがあり得るのではないかと考えております。

 また、マル3でございます。医療・介護従事者でございますが、こちらにつきましては、国・地方自治体、医療・介護関係団体にお願いするようなお話になるのかなと思っているところでございます。

 1つは、新しいガイドラインについての普及・啓発というものをやるということで、研修会の開催などをお願いすることになろうと思っております。

 また、医療・介護従事者の養成過程におきまして、人生の最終段階における医療・ケアの意思決定支援に関する教育や研修を行っていただくこと。

 それから、職能団体、学会は、ホームページ、学術集会などにおいて、このような意思決定支援に関する情報提供を行っていただいたり、もしくはガイドラインを新たに作成したり、改訂をする場合には、私どもが3月14日に公表いたしました新たなガイドラインを参考としていただくことなどがあるのではないかと考えております。

10ページ「マル4 国民全体」でございます。

 国民全体は、いろいろな主体があると考えておりまして、今回は、国、地方自治体、民間団体、教育機関の4つを挙げております。

 国は、例えばということでございますが、記念日の制定やイベントを開催すること。ACPの概念を盛り込んだ意思決定支援や人生の最終段階において提供される医療・ケアに関するポータルサイト、eラーニングの学習サイトなどを開設すること。

ACPについて、なじみやすい名称の検討など、メディアを意識した広報を行うということでございます。

 地方自治体は、リーフレットを作成したり配布する。もしくは市民向けのセミナーを行うこと。

 保険者による特定健診・保健指導の機会を通じたリーフレットの配布などといったものがあるのではないかと考えております。

 民間団体につきましては、結婚、出産など、退職といったライフイベントに関連する手続の機会等を通じ、社員などに対しまして、意思決定支援に関するリーフレットの配布やセミナーの開催を行っていただくことや、退職セミナー等の企業の福利厚生の機会を通じ、リーフレット、セミナーの開催を行っていただくこと。

 遺言や財産管理、不動産購入、生命保険加入の機会などを通じまして、顧客等に対して、このようなリーフレット、セミナーの開催を行っていただくこと。

 保険者による特定健診・保健指導の機会を通じたリーフレットの配布やセミナーの開催を行っていただくこと。

 また、企業におかれましては、特に介護離職防止等の観点からも、このような周知等を通じまして、社員とか家族等の状況を把握していただくということも重要ではないかと考えております。

 また、教育機関におきましては、例えばということでございますが、文科省や教育委員会の協力を得まして、小中学校、高校、大学における生命や医療・ケアに関する授業、講義の機会を通じまして、このような本人の意思決定支援の重要性について教育を行っていただくということを想定しております。

 次のページに移りまして、ただ、このような普及・啓発を行うに当たりましても、留意事項が幾つかあると考えております。

 まず、誰もが日常的に話し合える環境づくりを進めるということが重要であるということ。

 国民一人一人は、自分が希望する医療・ケアを受けながら人生の最終段階を迎えることができるようにするために行うものであり、決して医療費削減や営利目的のために行うべきものではないこと。

 あくまで個人の主体的な取り組みによって、人生の最終段階の医療・ケアのあり方について考え、決定されるものであり、対象者の心身の状態によっては、考えることが精神的不安につながり苦痛を伴うことがあるため、知りたくない、考えたくない、文書にまとめたくないという方への十分な配慮が必要であること。

 人生の最終段階における医療・ケアの普及・啓発に当たっては、意思決定の取り組みについて、以下の点について伝えることが重要であることとして、3つの点をコアなメッセージとして伝えるべきではないかと考えております。

 1つは、ア)として人生の最終段階の医療・ケアに関する考えを共有するに当たっては、人生観や価値観を含めた十分なコミュニケーションが必要であるということ。

 イ)本人の意思は時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて変化し得る可能性があることから、繰り返し見直し、変更することが可能であるということ。

 ウ)として、そのため、本人の意思を文書にまとめておく場合であっても、その文書に書かれた内容が人生の最終段階の状況に当てはまらない場合もあるということ。

 このようなことをお伝えする必要があるのではないかと考えております。

 ここまでが、普及・啓発に関する内容でございます。

 次に「4.『人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン』の改訂」という章になります。

 この章では、改訂の経緯、それから、改訂概要について、非常に短くサマリーをさせていただいております。

 改訂の経緯は、皆様も御承知のとおり、策定から10年が経過しており、地域包括ケアシステムの構築に対応したものや、ACPの概念を踏まえた研究・取り組みが普及していることを踏まえて見直しを行っているということを書いています。

 また、概要といたしまして、マル1からマル5にサマリーをさせていただいております。

 ガイドラインの名称を変更したこと、介護従事者が含まれることを明確化しているということによって、在宅医療・介護の現場でも活用できるものにしたというのがマル1番でございます。

 マル2番につきましては、ACPの取り組みの重要性を強調しているということ。

 マル3につきましては、本人の意思を推定する者について、家族等の信頼できる者を前もって定めておくことが重要であるということを記載しています。

 マル4としまして、家族の範囲を家族と親しい友人も含めるという形で書き下していること。

 繰り返し話し合った内容を、その都度、文書にまとめておき、本人、家族等と医療・ケアチームで共有することの重要性について記載しているというものでございます。

 ここまでが、本文でございまして、あとは、別紙1から4まで経緯などについて書いているものでございます。

 続きまして、これが報告書の本体なのでございますが、意識調査についての報告書の案も上がっておりますので、参考資料4という横置きのツーアップのものがあると思います。これと、次の参考資料5として、パワーポイントをツーアップしたもの、縦置きのものがございますので、そちらを手元に御用意いただければと思います。

 まず、この場で、少し皆様にお詫びと申しますか、補足をしておかないといけないことがございますので、少し申し上げます。

 参考資料5を見ていただきますと、意識調査結果ということで、これは、第5回のときに出されたものでございますが、数値を精査する中で、ダブルカウントなどがあって、集計の中で、若干の誤りがございましたので、数値が動いております。

 次のページ、ツーアップで3、4というページがございますけれども、回収数でございますが、四角で囲ったり、もしくはほかのところでは下線部になっているところが数字が変わっているのですけれども、例えばということで、回収数が、一般国民票のところ、医師であると1,088になっておりますが、前回のときには1,100としております。また、回収率も、当然、そこで変わってまいります。

 看護師、介護職員につきましても、1,637538という形で数字が動いております。

 このようなことを反映させてつくり直したものが、今、皆さんに見ていただいているものでございまして、これにつきましては、追ってホームページにもきちんと公表させていただきたいと思っております。

 本体の報告書をつくる中で見つけたものでございますので、非常に皆様には御迷惑をおかけいたしますが、修正をします。

 ただ、先ほども申し上げたように、客体として10程度の数字の動きなので、パーセンテージに直しますと、コンマ1から、多くてもコンマ7とか8ぐらいまでの動きでございますので、体制に影響はないというか、傾向としては前に御説明したものと、ほとんど変わりないということを申し添えたいと思います。

 それでは、次に、報告書のほうに入ります。

 これは、参考資料4という形でつくっているものです。この参考資料4の目次を見ていただきますと「第1章 調査の概要」として、調査の設計や配布・回収状況について書かれたパーツ。

 それから、調査回答者の属性が第2章になっております。これは、これは、フェースシートと申しまして、一つ一つの個票に自分がどんな人であるかということについて、個人データをある程度書いてもらうようになっているのですが、そのフェースシートのデータを集めたものでございます。

 第3章が調査結果でございまして、これが、自身の人生の最終段階における医療についてというのが、国民票を集計したものでございまして、II、ページ数について4ページと下に書いておりますが、「医療介護従事者としての人生の最終段階における医療について」ということで、これは、医療介護従事者向けの個票を集計したものでございます。

III、6ページでございますが、これは「施設における国のガイドラインに沿った体制等の整備状況について」ということで、施設票を主に集計したものとなっております。

 ずっとめくっていただきまして、11ページ、12ページ、これは、前回調査からの主な変更点ということで、調査の内容でどのようなことが変わっているかということが、このページに書かれています。

ACPの話が、結構、今回メーンになっておりまして、ACPの概念を含んだ項目がいっぱい入っているということなど。それから、老健施設を加えたことなどを書いているものでございます。

 配布・回収結果につきましては、1314ページのところになっております。

 次の15ページからは「第2章 調査回収者の属性」ということで、フェースシートの情報を集約したものです。

 こちらにつきましては、参考資料5には書いていない資料でございます。どのような方々を集めてきたのかということを書いています。年齢や同居人の有無、次のページの19ページになりますと、最終学歴、信頼しているかかりつけ医の有無、身近な方への介護経験、身近な人の死んだという経験、大切な人の死に対する心残りの有無などなどといったものが続きます。

 そして、医師、看護師、介護職員につきましては、22ページ以降に実務経験や専門領域、勤務施設の別、それから、研修の有無、それから、死が近い患者とのかかわりなどといったものになります。

25ページ以降は、施設長が、例えば、どのような施設に勤めておられるかということで、病床の有無、病床数、それから、入所定員などなどといったものを書いています。

 「第3章 調査結果」というのが30ページから始まります。

 この調査結果につきましては、ほとんどが前回の資料、今回つけている参考資料5に書いているものでございますので飛ばしますが、ところどころでクロス集計もしくは男女別の集計などを行っているところがございます。枝集計みたいなものは、少し省かせていただいて、全く書いていないものという観点で、少し整理をさせていただきますと、49ページ以降でございます。

49ページのところには「2.さまざまな人生の最終段階の状況において過ごす場所や治療方針に関する希望について」ということで、末期がん、重度の心臓病、認知症が進行した場合に、どのようなところで療養したらいいのか、どのようなところで死を迎えたいのかなどといったことを聞いておりますが、その中で受けたい治療などといったものを聞いているところもございます。

 そこにつきましては、書いておりませんで、例えば、がんのところで申し上げますと、56ページが希望する治療方針ということで、どのような治療を望みますかというようなことを聞いております。

 そして、それを属性ごとに分解して分析しているものが57ページ以降になっております。

 このような形のものを3つの状態の種類に応じてつくらせていただいているところでございます。

 次に、医療従事者のところで出していないというようなものが、87ページ以降なのでございますけれども、上半分のほうは、基本的には、参考資料5に書いておりますが、下のところには、亡くなる患者(入所者)を担当する頻度が1か月に1名以上の従事者のみを抽出した分析というのをしております。亡くなられた方と余りかかわらないような方々も、当然、この母集団の中に入っていますので、1カ月以内に亡くなるのが、大体アベレージで1人以上の方々の抽出した表をつけているものでございます。

 このような形で、少し参考資料5に比べますと、少し厚めに書いているわけでございますが、おおむね参考資料5の内容を、この中に格納してつくらせていただいたものでございます。

 このようなものを今回の議論の中で、抽出したものを使わせていただいていたということを御報告させていただきたいと思います。

 私のほうからは、以上でございます。報告書(案)に関する御議論をいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

○樋口座長 御説明ありがとうございました。

 では、報告書(案)というものに戻っていただいて、これについて御意見を伺いたいと思いますけれども、一応、本文だけで12ページありますので、少し分けて議論を進めたいと思っております大体の感じで、まず、最初の部分「1.はじめに」と、これは1ページだけなので、次まで進んで、5ページの半ばまでが「2.現状と課題」という、こういう報告書の前振りの部分になりますけれども、まず、この範囲で何か御意見があれば、あるいは御質問があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

 清水さん、どうぞ。

〇清水構成員 大筋についての意見ではなくて、重箱の隅なのですけれども、ただ、これを言わないと、樋口先生とか私が、読んだ人から、おまえらがいるのに、どうしてこういう間違いを放置するのかとしかられますので、申し上げますが、4ページの注の6、これは、厚労省の担当の方が一生懸命いろいろと御検討をいただいたと思うので、単なる書き間違いかと思うのですけれども、6で事前指示について書いてございますが「自身が医療・ケアの選択について判断できなくなった場合に備えて、どのような治療を受けたいか(受けたくないか)について」。「について」が問題です。「について、自分の代わりに誰に判断してもらいたいかを予め記載しておく書面」となりますと、代理人指名のことしか書いていないことになってしまいますね。

 多分、これは、どのような治療を受けたいか、受けたくないか及び自分のかわりに誰に判断してもらいたいかをあらかじめ記載しておく書面としますと、リビング・ウィルと代理人指名と両方となりますので、及びで結んでいいと思いますけれども、「について」というと、代理人指名にしかなりませんので、この「について、」を「、及び」に直されたらいいのではないかというのが、最後に重箱の隅で、話の本筋に余り関係なくて申しわけありませんが、私の立場としては、言わざるを得ないということです。

○樋口座長 ありがとうございます。

 ちょっと表現の仕方が十分でなかったというので、多分、意味は「について」で「予め記載しておく」へきっとつながると、でも、清水さんがおっしゃったように、これでは曖昧というか、誤解を招くという点では、そのとおりだと思います。

 ほかに、いかがですか。

 それでは、前に戻ってもらうことは、この中身も、いつでも本人の意思を変更し得るということが、自由だということを強調しているわけですから、先に行ってもいつでも変更し得るということで、3のところです。これは、この検討会なるものが、普及・啓発のあり方に関する検討会だということになっているので、やはり、報告書としては、ここが中心になるわけです。3の部分、5ページ目から11ページ目まで、この範囲で、御意見を伺いたいと思いますが、何か問題はありませんでしょうか。

 横田さん、どうぞ。

〇横田構成員 横田です。

 家族側あるいは患者側の気持ちというのは、常に揺れ動く、変化するものだと、前々回強調した部分が、きちんと盛り込まれているので、よろしいかと思います。ただ、この文章は、たしか3カ所あるのですが、本人の意思は常に揺れ動いているとか、あるいは本人の意思は常に変化するものだとあるのですが、もちろんそうなのですが、本人や家族らの意思はと、家族の意思も常に揺れ動いている、変化しているというところも、やはり重要かと思いますので、患者だけではなくて、患者や家族等のというふうな表現のほうがいいのかなと思います。たしか3カ所あると思いますので、よろしくお願いします。

○樋口座長 ありがとうございます。

 ほかには、いかがですか。

 斉藤さん、お願いします。

〇斉藤(幸)構成員 日本難病疾病団体協議会の斉藤でございます。

 私も重箱の隅みたいなものですけれど、6ページのところに、属性ごとに分けたという表現の中マル3のところが「本人や家族等を支える医療・ケアチーム」となっているのですが、その後出てくるところが、このケアチーム介護従事者となっている表記があります。もし、同じものだったら同じ表記の方が良い思います。

 それから、9ページのマル1、マル2、マル3、マル4の区分けのところで、(3)のマル1のところだけが、「べき」が入っているのです。「考えるべき時期がある」と、これ、みんな同じほうがいいのかなと思います。

細かくて済みません。

○樋口座長 御指摘ありがとうございます。

 ほかは、いかがですか。

 金子さん、どうぞ。

〇金子構成員 金子でございます。

 意思決定支援という言葉が出てくるのですけれども、医療とかケアチームが意思決定を支援するのはわかるのですが、本人にかかわるところで意思決定支援という言葉が出てくるところに少し違和感を感じました。その中でも特に10ページの最後の「教育機関」のところで、人生の最終段階における医療・ケアに関して、本人の意思決定支援の重要性について行う教育とあるのですが、支援する人を教育するのも大事だと思うのですが、本人が意思決定するということ前提にする必要があるのではないでしょうか。支援者ばかりふえても、本人による意思決定の重要性が浸透していないと、なかなか決められないと思いますので、特に事前の方、国民全体への普及では、支援の仕組みを紹介するのはいいのです、自治体とか、民間団体も支援者だけでなく、本人自身がどうしたらいいのか、本人に向けてのことについてもう少し盛り込んでいただけたらと思います。

 以上です。

○樋口座長 本人による意思決定とだけある部分と、ほかの部分で意思決定支援というのが混在というか、そういう部分があるということですね。

〇金子構成員 はい。支援多すぎると、ちょっと前提が崩れてしまうのかなと思います。

○樋口座長 ありがとうございます。

 ほかは、いかがですか。

 お願いします。

〇内田構成員 内田です。

 特に文言の修正を求めるものではありませんが、2点。

 1つは、10ページのところの「ACPについて国民に馴染みやすい名称の検討等」とあるのは、私や金子さんがACPのふさわしい訳語と言ったことから書かれたのかもしれませんが、個人的には、特にこだわりません。ACPでもいいではないかという声もあったので、例えば、頭文字をとった語呂合わせで、あらかじめ、ちゃんと、プランニングとかでもいいのかもしれませんし、基本的にACPという概念が定着していけばいいのだろうなと思っています。

 あと、2点目、11ページのところの上のほうに、医療費削減のために行うべきものではないことというのが入ったのは、大変意を強くしています。

 日本福祉大の二木立先生が常々おっしゃっていることですけれども、終末期の医療費が非常にかかっているのだという都市神話みたいなものがあります、二木立先生の業績から引かせていただいくと 終末期の最期の1年間にかかっている医療費が、高齢者の医療費の2割ぐらいかかるとか何とかという話は、恐らくはアメリカのメディケアのデータを日本に持ってきた誤用であろうと思われますし、過去の少し古いデータしかありませんけれども、終末期をどの範囲ととるかというのは、議論はあるかもしれません、最期の1カ月にかかる医療費のデータというのは、基本的には、国民総医療費の3%台ぐらいですこの3%台の医療費も、必ずしも高齢者の医療費ということではなくて、急性疾患による死亡も含めた医療費ですので、もともとそれほどパイが大きくない終末期にかかわる医療費というのを抑制する、削減するという必然性そもそも乏しいわけです裏返せば、今、この検討会でやっているような取り組みをすることが医療費削減、抑制を目的にしようもないわけですので、その点は、はっきりさせておきたいかなと思います。

 権丈先生、もし、異論補足があれば、言ってください。

〇権丈構成員いや、何かいいこと言っているなと思っているだけです。

○樋口座長 ありがとうございます。

 ほかは、いかがですか。

 早坂さん、どうぞ。

〇早坂構成員 地域包括ケアシステムが前提にあるということ踏まえると、8ページの「マル3 本人や家族等を支える医療・介護従事者」のアのところに「意思決定支援に関する必要な知識・技術に関する事項」とあるのですが、ここのところに、地域で共有する知識や技術というようなニュアンスを入れたらどうかと思います。決定した意思をつなぐための、地域における関係者の連携構築とか、複数の医療・介護者のチームであればそこでの共有は前提なのですが、やはり複数いるというところで、地域の中でつなぐ、地域の中で共有するというようなことが1つ入ると、少し現実的に意識をするのかなという気がします。

 以上です。

○樋口座長 ありがとうございます。

 ほかは、いかがですか。

 それでは、もう一歩先へ行ってしまって、11ページの4という部分、これは、いわゆる改訂ガイドラインの経緯等が書いてあるわけですが、そのほか、参考資料についても事務局から説明がありましたので、それらを含めて、あるいは全体としてということでよろしいのですが、コメントないし質問をいただきたいと思いますが、どうですか。

 斉藤さん、どうぞ。

〇斉藤構成員 この中の文言とかでなくてもよろしいですか、まだ、その他は早いですか。よろしいですか。

○樋口座長 もうどうぞ。

〇斉藤構成員 今朝、NHKテレビで、ACPを踏まえた形で、今日の検討会で最終報告が出るというニュースが流れました。

 それで、ACPに関して、みんな知っているのかなと思いましたら、そういう雰囲気ではなくて、初めて聞いた言葉のようなニュアンスで報道されていました。

 私昨日中規模の社会福祉法人特養の評議委員会がありまして、このACPの話をさせていただきました。内容を話したのではなくて、どのように知っていて、どういう形の取り組みをしているのかと聞きましたら、全く知らなかったのです。結構、5つぐらいの特養を持っている、都内でも中規模の福祉法人だと思うのです

 そこの施設長さんも知らないということなので、私が説明をしたら、すごくハードルが高いのではないかということを言われました。ヒト・モノ・カネ、それがないと、とてもではないけれども、やっていけないというお話をいただいたのですが、でも、よくよく話していくと、例えば入所している方に対して、繰り返し本人の希望が何か聞いていますねと言うと、皆さんしているとおっしゃるのです。

ACPそのもの新しい概念なのでしょうが、実は、今まで少しずつやっていたの、新しいことを取り入れると言っても、全く新しいことではなくて、システム化されて、表に出ていくような形になるだけのこと、そんなにハードルは高くな、労力かからない、むしろ、今までやっていることを認めてあげるシステムなのだという伝え方をしていかないと、取り組むこと自体を拒否されてしまうような、そんな感想を昨日受けました。

 そういう意味で、パンフレット等の宣伝、ニュース等で流すとき、広報のときも、そういうことを意識しながら伝えてあげると受け入れられやすいと思います。そうでないと、職員からの猛反発で、入り口論でだめになりそうな、そんなニュアンスを昨日受けましたので、発言いたしました

○樋口座長 貴重な御指摘をありがとうございます。

 事務局からは、余り慌てなくていいと、私は言われているのですが、いつだったか、とにかく時間が来たのも忘れてしまったという座長なものだから、きょうは、本当に余裕があるというか、せっかくこういう機会でもありますので、貴重な経験と、それから、実践をしておられる方が、こうやって集まってきてくださってありがたいと思っているので、特に、どうしてもということではないのですけれども、今の斉藤さんのような、単なる感想とは言えないような御指摘だったと思いますけれども、感想でも結構ですので、何か、せっかくの機会なので一言、こういう検討会に出てというような、この報告書は、一応、多分、大筋はこれでということになるのでしょうから、それを含めて、何かせっかくですから、思いの丈を話してもらうという時間はないかもしれないのですが、何かおっしゃっていただければ、それはそれでありがたいと思いますが、いかがですか。

 どうぞ。

〇岩田構成員 岩田でございますが、ほとんど貢献できていないのでということなのですが、2つだけ、この報告書についてではなくて、今後、せっかくこの検討会が終わって、意識調査も終わって大変なところだと思うのですが、多分、最初のころに意識調査のやり方について、どなたかから伝統的な郵送の方法だけではなくて、ほかの方法もあり得るのではないかというような議論があったと思うので、ぜひ次のときには、多分、また5年先とか言うと、大分テクノロジーとかインターネットとか、それ以外の方法なども随分進展していると思いますので、その辺は少し情報収集をされてやっていただくと、よりよいものが出てくるのではないかと思いました。

 たまたま少し前に、こういう関係でオーストラリアのほうに少し調査に行ったときに、そこで、ある民間の団体の方から言われたのは、フェイスブックを通じて調査をするという先進的なことをやっているようです。

 それは、国民全体の意識調査というような形よりも、現状を調べるというよりも、むしろ探索的に、人々がどういうことを考えていて、どういうところに障害があるか、みたいなところを調べるようなことをやられていたのです。

 そういうのは、多分、私以外にもいろんな調査の専門家が先進的なことをやられていると思いますので、ぜひ、そういうことも含めてやっていただければ、より充実したものになるのではないかと思いました。

 それとの関連で、この報告書にあるような啓発の方法みたいなものは、全ていろんな先生方の知識も含めて考えられることはほとんど出ているのだと思うのですけれども、他方、それを実際に普及するのはなかなか簡単ではないというのも確かだと思うので、まさに、これは医療とか介護の専門でもあると同時にマーケティングの方法みたいなことですね。だから、むしろ、そういうマーケティングの専門家から見て、こういうものが、どこがうまくいって、どこがうまくいかないのかみたいなことがすごく重要なのかなというような感想を持ちましたので、今後、きっとこの政策の実施の過程みたいなものを十分見られていくと思いますので、そういうことについても検討をしていただければありがたいかなと思いました。

 雑駁とした印象で申しわけありませんが、以上です。

○樋口座長 調査方法の話と、結局、できた成果物というか、今後の方向性についてのコミュニケーションのとり方というのですかね、宣伝、広告という言葉で言っていいのかどうかわからないけれども、そういう表現の仕方等について、全く別の分野の人で、そういうことにたけている人がいれば、それはそれでありがたいかもしれないですね。

 ほかに、いかがですか。

金子さん、どうぞ。

金子構成員 少し遠い関連かもしれないのですけれども、資料4の20ページ目のところに「(7)最近5年間の、身近な人の死の経験」という項目があります。死別経験の有無を尋ねているわけですが、ここで経験していないという方が半分ぐらいいるというのは、非常に興味深く思いました。ちょうど地域でお墓屋さんをやっている方からお話を伺ったんですが、ことしに入ってから、5人も100歳以上の方の名前を彫ったとつまり、100歳以上の方が増えていると言うのです。それだけ死が遠くなっているというか、長寿であるという現実に直面している、お墓屋さんなりの体感だと思うのです。

 こういう中で、死に対する心残りの有無ということで、介護職員の方が結構多いのだなとか、どうしていたら心残りがなかったかということも結果に出ているのですけれども、こういった遺族の死後の後悔だけを取り上げるのではなくて、そこから得られるものの方にももう少し着目できたらいいな、と思います。 ACP はいわば死の前に行われるものですが、死別後の経験をそこにつないでいけるといいのかな、と。を前提にした話をするには、やはり、身近な人の死を経験してから、そこから得られるものというのは、とてもたくさんあると思いますので、それらをうまく生かしてACPにつなげられるといいと思います。遺族に対しては、正直、どこの誰が担当しているのかというのもわかりにくいとは思うのですけれども、確かにグリーフが強い場合が多い死別直後の方はまだしも、落ち着かれた方に対しては、遺族教育というと大げさなのですが、何か調査あるいはそれに合わせた啓蒙、きっかけづくりというものも用意できたらどうかと思いました。

○樋口座長 ありがとうございます。

 鈴木さん、どうぞ。

〇鈴木構成員 先ほど斉藤さんのお話を伺っていて私も思ったのですけれども、ACPという言葉はわからないけれども、実際そういうことをやっているということは、医療の現場では、結構多いのではと思っています。それは他にも言えることで、例えば、緩和ケアという言葉。緩和ケアは、がんと告知された段階から受けるものなのだけれども、終末期医療のものと思われていることが多く、学会などでは、どうやってその言葉のとらえ方を変えていけばいいのかみたいなことを話し合っているのですけれども、でも、本当に大事なのは、多分、緩和ケアという言葉を普及させるということよりも、なった段階から痛みをとることができるようにしていくことで、実質的に、言葉よりも中身が広がっていくことが大事ですよね。

 ですので、すごくハードルを落として、その言葉を知ってもらうということよりも、話し合うということが、実際に現場で行われる、家族内で行われるということを重視した啓発だったり、教育をしていってもらいたいと思います。

 あと、やはり、国民全体の中での普及・啓発で、10ページにありますけれども、記念日の制定とか、その日にあわせてイベントを開催するというのも書いてありますけれども、今までよくあるような難しいセミナーをやったところで、やはり、来る人は、もともと関心や知識がある人だったり、その業界の人が多いと思うのですけれども、そこを、このテーマに関しては、本当にハードルを下げて、何らかエンターテイメントと絡めるとか、誰にとっても身近と思えるような、興味関心を持ってもらえるような何かと絡めたものを考えていってほしいし、そういうことをもし考えるのだったら、私も一緒にやっていきたいなと、すごく思いました。

 あと、先ほど、御遺族についてとおっしゃっていましたけれども、その点について、私、マギーズ東京でがん患者さんと御家族の相談に乗るセンターをやっておりますけれども、御家族が意思決定しなければいけないぐらいの危機に面したときに、相談する場所がなくて来るケースがすごく多いのです。

 今は、患者さんをケアするところはたくさんあると思うのですけれども、自分の家族が、これは、もしかしたら死が見えているのかもしれないとなったときに戸惑うというのがすごく多くて、そこに対する何らかのケアなのか、情報提供なのか、どこでどうしたらいいのかというものも何か整備されていったらいいなと思います。

 実際に、直面する前の段階で普及・啓発するのはすごく大事なのですけれども、本当にピンチにならないと、なかなか本気で学んだり考えたりしようと思わない人も多いと思うので、ピンチになったときに、とりあえず、これを見ればいいとか、ここに行けばいいみたいなものがあったらいいなというのは、すごく思っています。そして、もし、あったら教えてもらいたいなと思いました。

 以上です。ありがとうございます。

○樋口座長 もちろん、私がお答えすることはできないのですけれども、多分、ここで議論になっているアドバンス・ケア・プランニングというのは、そういう機能も果たすようなものでないといけないのでしょうね。

 瀬戸さん、どうぞ。

〇瀬戸構成員 おくれて来てしまって済みません。

 先ほどの斉藤さんの話と、今の鈴木さんの話の関連なのですけれども、斉藤さんが特養でACPが全然わからなかったと言われましたが、現実的に、まさにそうだと思います。実際には、看取りを全国の特養で8割以上でやっていて、看取りには、必ず、常に意思の確認というのをやっているのですが、斉藤さんがおっしゃったように、それとACPはつながっているのだよということがわかっていないので、それをしっかりと伝えていくことが、今度は、我々の役割の1つでもあるかなと思っています残念ながら介護職員で半分がACPを知らないのですが、意思確認をすることが必要だと思いますかという質問だと、ほぼ知っていると答えていますので、その辺のところをうまくつなげることを、今後、我々もできればいいなと思いました。

 以上です。

○樋口座長 川平さん、どうぞ。

〇川平構成員 宮崎市の川平でございます。 

 第2回目の検討会の時にプレゼンをさせていただいたのですが、宮崎市では「わたしの想いをつなぐノート」というものを平成25年度から実施しておりまして、このノートを最初に手がけた先生方の根底にはACPという考えがあり、このノートをつくっております。

 これを広げるに当たって、全くACPという言葉とかは使っていません。実際の医療職の方や、介護職の方、特養の方にも、このノートを勧めていただくアドバイザーになっていただいているのですが、自分が行っていることが、イコールACPだということは、多分、知らなくてやっているのかなと思います。

 今、4年ぐらい行ってきて、なかなか伸び悩んでいるというか、普及が難しい状況です。ノートを手にしていても、救急の方にそれを見せて、救急の方が、それを理解して医療につなげるという流れが、まだまだ現実的にはできていないような現状です。これから国のほうが、いろんなイベント等で、ACPという考え方があることとか、そういうことが大事なのだということを大きく広げていただけると、宮崎市の中でも、今は賛成していない市民もいらっしゃると思いますけれども、大事なのだというのが少しずつ広がっていって、このノートの普及につながっていい方向に行けばいいなと期待しております。

○樋口座長 ありがとうございます。

 ほかに、いかがですか。

 権丈さん、どうぞ。

〇権丈構成員 私も感想めいたことを発言させていただきます。

 先ほどの11ページ、内田構成員が話していたところです国民一人一人が自分が希望する医療・ケアを受けながら人生の最終段階を迎えることができるようにするために行うものであると。このあたり、日本老年学会とか、老年医学会のほうから、終末期の医療のあり方を考えなければいけないという話が出てくるわけですね。そして、両学会QODという言葉を使った死に向かう医療の質というのは、今の医療ではないほうが高まるという意識のもとに、こういう活動を彼らが始めていくわけです死を敗北だと考えて、臓器別に教育されていった人たちが看取りにかかわっていくのではダメなのだという意識があって日本老年学会、老年医学会はQODを高めることを言っているのであって、この話は、医療費の問題でも何でもないのです。

 医療費の問題でも何でもなく、そして、実際のところ、終末期にかかっている医療費を数字で見ていくと、実は、そんなに大きくないしという形で、これを問題にする必要はないのですけれども、医療費を抑制するために、厚生労働省と財務省がこういうことをやり始めたというストーリーのほうが、どうしても売れるし、PVも稼げるしという状況があって、それをつぶしていくのが私の仕事なのかなというのがあるわけです。

 そのときに、この文章を私が引用するかなと考えると、医療費削減、営利目的のために行うべきものではないという文章になると、ああやっぱり、終末期の医療費は高いんだ、本当は医療費削減のためなんだと読み取られる可能性もあるのかなとも思えます。だから、医療費削減、営利目的のために行われるものではなくく」だったら使えるかな

ただ、それだけだと、メディアを含めて、いろんなところに禁止事項も出てこないので、「行われているものではなくまた行うべきではないと、2つぐらいそろえてもらったほうが自然な文章としてというか、医療費削減のために行われるものではなく、現実として、そんな話ではないのだよというニュアンスがでるのかなと少し考えております。

 そういう形で、これは、やはり、終末期の医療の質を高めるためには今の医療ではなく、違う形のものが必要だと、老年期の人たちを対象とした医療関係者たちが考えていって、終末期の医療の在り方を考えるという活動は、我々社会科学者あるいは行政の人たちは、医療関係者の求めに応じて、死に向かう医療の質を高めるために懸命にやっていきましょうという位置づけだと思うのです。それが、少し出てくるような言葉というのがあったほうがいいのかなと思っております。

 それと、事前のレクチャーを受けたときに、私が冗談で言っていたのですけれども、出だしのところで、高齢化率、65歳以上人口割合とあります数年後には、高齢化は65歳以上というところの言葉が変わるかもしれないこれも老年学会、老年医学会の人たち高齢者を75歳以上にしようと一所懸命言っているところですけれども、ここの65歳以上高齢者のところ、数年後に書きかえなければいけなくなるかもしれないですね。それで、冗談みたいな話だけどね、というふうには言っておりますけれども、報告書の出だしのところは、「団塊の世代が 75歳以上になる」という形で始まっているわけですが、ここら辺のところも、少しみんなでわかった上で了承していくというのはあっていいのかなと思っています。

○樋口座長 ありがとうございます。

 ほかは、いかがですか。

 どうぞ。

〇町野参考人 終末期医療の検討会は今回で7回目で、このような報告書も5つ目6つ目になると思います。私は、2回目ぐらいからずっと関与させていいただいているので、報告書が出るたびに、これはどういうところに意味があるのだろう、このような報告書でよかったのだろうかとかいつも考えます。今回の報告書についても、やはり同じです。

 最初は、安楽死と自己決定という、法律家好みのテーマからスタートし、ある程度、法律家の人も議論するということがあったのですけれども、これがだんだん医療・ケアの問題に変わってき。恐らくこの方向は正しかったのではないかと思います。本人の意思の重要性については、最初はリビング・ウィル中心というところがあったのです。しかし、本人の意思を書面1枚で契約のように決めるという考え方は、検討会の回を重ねるごとに薄くなってきたように思います。このことも、やはり妥当なのではないだろうか。

 もう一つは、これは、前々回ぐらいから出てきた話だと思いますけれども、この報告書の中にも強調されているように、終末期の医療・ケアは病院完結型ではないということです。これはかなり重要なところだろうと思います。

 そうなってくると、病院から脱却した後は一体どうなるのかということになります。地域包括的支援が、先ほどの御質問にもありましたとおり、どうも余り明確ではない。唯一はっきりしているのが、終末期医療ガイドラインのほうを病院外のほうにも適用するというところしかです。もう少しほかに考えるべきところがあるのではないだろうかということは、少し考えさせられました。

 最後に、終末期という言葉というのが、今や適切ではないのではないかと、つまり、死に方だけの問題ではなくて、それまでいかに生きるかと、要するに店じまいの問題だろうと思いますけれども、私が、今、それをまさにやらなければいけないわけですけれども、そういうことの問題になってきているので、死が遠くなっているということは、その点では、いいことなのかなと考えます。そう考えると、まだ、これから、この問題は発展し、変わっていくのではないかと思います。

 この報告書は、こう考えると、良い報告書ではないかなと思います。参考人なのに参考にはならない、よいしょみたいな感想で失礼します。

○樋口座長 本当にありがとうございます。

 町野先生は、この前のときの、その前もそうかもしれませんが、座長を務めておられた方なので、本当にいろんな意味で、私は助けられたと思っております。

 ついでに、私も、もちろん、皆さんとの議論の中で学ばせてもらったことも多いのですけれども、しかし、こういうことにかかわっていたものだから、ほかの方で教えてくださる方もあって、それを全部ここで披露するわけにはいかないので、2つだけ、申し上げます。1つは、これは、お医者さんなのですけれども、英米のあり方とか、アドバンス・ケア・プランニングなども非常に詳しい人だからということだと思うのですが、英米のアドバンス・ケア・プランニングだと、ここで書いていないことが1つ入っている。ほかにもあるのかもしれませんけれども、それは、アドバンス・ケア・プランニングの中へ、例えば、臓器移植についてどう考えますか、もちろん、いやいや考えたくないですというので構わないのですけれども、そういう項目は、必ず入っているのです。

 その先生は、そういう分野に関係している人だから、何か自分の専門のところでというふうに思われるのは非常に嫌なので、慎重に伝える必要があるのだけれども、どういう意味かというと、そのお医者さんの経験の中でということだと思いますが、やはり、人間いずれは死ぬのですけれども、そういう意味では、みんな平等にということですが、やはり、亡くなるまで何か自分が役に立っているという意識があると、亡くなり方が、だから、もちろん、臓器移植は、ほかの人のためなのですけれども、その先生の経験では、単にほかの人のためというだけではなくて、御本人にとってもすごく精神的な慰藉を与えるという意味でいい場合というのがある。

 そういう話が、この報告書の中では、議論もなかったしということに気づかされたというのが1つ。

 2つ目は、高齢者になると、ともかく食べることというのは大事ですね。高齢者にとってだけではないと思うのですけれども、そうすると、アドバンス・ケア・プランニングの中に、口腔ケアとか、食べられることをできるだけ長く自分の口で食べられるということのためには、やはり、口腔ケアみたいな話というか、歯医者さんの話なのかもしれないのですけれども、そういうことだって、当然入ってきていいし、というようなことを、そういう専門の方から少し教えていただいたので、この2点だけ御披露しておきたいと思います。

 ほかに、どうぞ、御遠慮なく、どなたでも、清水さん、どうぞ。

〇清水構成員 今、お話になったことにも関係があるかもしれませんが、その前の先生方のお話も受けてというか、私は、ACPというのに対して、前から広げていいのかとか、何とか言っていましたけれども、ざっくばらんに本心で言うと、そもそもアメリカから入ってきたときに、結局、自分が意思を表明できなくなったときのために、あらかじめ考えておこうという発想なわけです。

 そういう発想が、そもそも日本人に合っているのか、例えば、今回の意識調査の結果は見ていませんけれども、前の意識調査の結果ですと、自分がそういう表明ができなくなったらというと、誰か家族で話してほしいとか、それで済んでいる人が多数なのではないかと。

 それは、本家のアメリカに行ったって、アングロサクソンとか、そういう自律尊重の人たちは自分で決めておきたいかもしれないけれども、そうではない人たちは、例えば、アジア系もそうでしょうし、それから、イタリアとか、スパニックヒスパニックとか、そういった人たちは、必ずしも自分で決めておかなければというような意識ではないのではないかと思うのです。

 私が言いたいのは、日本で、そういう向こうの問題意識を受けて、それでACPという、今までは、あなた決めなさいと本人は言われていたから、やりにくかったところを、一緒に考えましょうという感覚がついてきたので、みんな飛びついたわけですけれども、その感覚は、私はいいと思うのです。ですけれども、何も人生の最期のところから始めて広げる必要はないのではないかという気がしていまして、例えば、介護の世界だったら、ケアプランをケアマネさんと御本人が立てる、その状況で、これから先の一月あるいはこれから先の何カ月間どうしようかと、そこでだって、やはり、御本人はどういう人生観を持っておられ、どういう価値観を持っておられるかということを聞いて、ケアマネさんはこの方にとってどういうプランを立てて差し上げたらいいかというお話になると思うのです。

 そういう意味では、ACPでやっている考え方というのは、そもそもそういうごくふつうのケアプランにおいても必要なことだし、それの延長線上で、今はまだ一人で暮らしていけるけれども、だんだん要介護度がついてくると、一人で暮らしていくためには、相当社会資源が要るとか、この地域だと、なかなか難しいという話になってきたら、では、どうなるかという話になるし、それの先に、もっと最期のほうになったらどうしましょうねということも入ってきておかしくないと思うのです。それは、最期のほうから行くというよりも、今のところをどうしましょう、その先どうしましょう、その先どうしましょうということの延長線上で、最期のときの話になるので、そのほうが、私普通だと思えます。ですから、むしろ、最期のときではなくて、今から最期までどうしようかを考える、そういうようなつくり方とか、もっていき方のほうが、ふつうの人たちには合っているような気がして、そういう方向を考えたいなと思っているところです。

 以上です。

○樋口座長 ありがとうございます。

 ほかの方、いかがですか。

 もう一人の斉藤さん、どうぞ。

〇斉藤(克)構成員 今、聞いていて思ったのですけれども、人の思いというのが、なかなかつながっていかないというのがあって、それでACPということが、ずっとついていけばいいなと、本当に日々思っているのですけれども、急性期なりで治療をして、例えば、サマリーをいただいて、急変時はDNARですという一言で送られて、本当にうまくしゃべれないので、伝わるかわからないのですけれども、人工呼吸器をつけるか、つけないかということだけ聞いて次へ送るみたいな、まだ、現実にそういうことが多いと思うのです。

 やはり、その人の生き方、ケアプランでケアマネさんがというお話もありましたけれども、その方の生き方、こういう考えだということが、どこの場に行ってもついて回るようになっていって、初めて、例えば、特養での看取りが豊かなものになるとか、そういうことってすごくあると思うという感想です。

○樋口座長 ありがとうございます。

 松原さん、どうぞ。

〇松原構成員 私から、厚生労働省さんに、恐れず進め進もうと大分申し上げたところですけれども、文章的に進んだかどうかはともかくとして、私としては、認知症になる可能性があって、そして、みずからの意思を推定する者として前もって定めていくことが重要であるという文章を入れていただいた。法的に担保できなくても、これをACPで進めていけば、かなり現場はいろんな面で改善すると思いますこのことが進んだことについて、まず、お礼を申し上げて、私の感想といたします。

○樋口座長 ほかによろしいですか。

 それでは、肝心の報告書ですけれども、何点も、単なる字句の修正では済まないのかもしれませんが、発言していただいた意図は十分理解できましたので、その点の修正は、私と事務局に任せていただいて、一応、報告書は、これが軸になって最終的な報告書、とにかく3月の末ですので、この3月末までに報告書も出すということにいたしたいと思います。

 それで、さっきも申し上げましたが、昨年8月以降、わずかな回数だったのかもしれませんが、構成員の皆様には、極めて、本当に御協力をいただいて心から感謝申し上げます。

 あと、事務局のほうで少しお願いいたします。

〇堤在宅医療推進室長補佐 構成員の皆様におかれましては、全6回の検討会に御出席並びに闊達な御議論をいただき、ありがとうございました。

 最後に、審議官の椎葉より、御挨拶を申し上げたいと存じます。

〇椎葉審議官 局長がいないので、私のほうから、かわってお礼の言葉を申し上げたいと思います。

 構成員の皆様におかれましては、昨年の8月3日の第1回検討会以来、本日まで全6回にわたりまして、活発な御意見を賜りまして、本当にありがとうございます。一言御挨拶を申し上げたいと思います。

 この検討会におきましては、人生の最終段階における医療・ケアに関する普及・啓発のあり方につきまして、関係者の方からのヒアリング、また、国民の皆さん、それから、医療・介護従事者に対する意識調査結果に基づきまして、さまざまな角度から検討をいたしまして、情報提供の内容や方法、そして、留意事項などにつきまして、今後の取り組みの方向性を示していただきました。

 また、平成19年度に策定いたしました人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドラインにつきまして、近年のアドバンス・ケア・プランニングの概念を踏まえた取り組みの広がりを踏まえるとともに、地域包括ケアシステムの構築に対応するため、約10年ぶりの改訂を実施させていただきました。

 実は、平成18年の3月でございますけれども、富山県の射水市民病院の人工呼吸器取り外し事件、ちょうど今から十何年前ですけれども、そのとき、私は富山県庁に勤めておりまして、この事件に県の職員として一番向かい合った担当の1人でございます。

 そんな中で、ガイドラインをつくってほしいということで、当時、石井知事と一緒に厚労大臣のほうに面会をして、ガイドラインをつくってくださいと言った担当者でございまして、その担当者が、こうして10年ぶりの改訂を担当するということで、本当に、ある意味、運命を感じるところでございます。

 今後、我が国におきましては、高齢化社会を迎える中で、全ての人が自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるようにするため、生を全うする医療・ケアの質を高めていくことが非常に重要になっていくものと考えております。

 今後、今回御議論いただきました方向性を踏まえまして、人生の最終段階における医療・ケアにおきまして、本人の意思が十分に尊重されるように、国民への普及・啓発、そして医療・介護従事者の育成などにつきまして、一層努めてまいりたいと考えているところでございます。

 樋口先生を初め、構成員の皆様方に改めまして感謝を申し上げ、御挨拶とさせていただきます。

 本当にありがとうございました。

〇堤在宅医療推進室長補佐 以上をもちまして、第6回「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」を閉会いたします。

 ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局地域医療計画課 在宅医療推進室
TEL:03-5253-1111(内線2662)

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