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2021年11月12日 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会 第115回議事録

○日時

令和3年11月12日(金)費用対効果評価専門部会終了後~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

関ふ佐子部会長 永瀬伸子部会長代理 中村洋委員 飯塚敏晃委員 
松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員 末松則子委員 
長島公之委員 島弘志委員 林正純委員 有澤賢二委員
堀之内晴美専門委員 林利史専門委員 青木幸生専門委員

<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
高宮保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○令和4年度保険医療材料制度の見直しについて

○議事

○関部会長
ただいまより、第115回「中央社会保険医療協議会保険医療材料専門部会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
また、今回も会議の公開については、前回に引き続き試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
本日は末松委員が御欠席です。
議事に入らせていただきます。今回は「令和4年度保険医療材料制度の見直しについて」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
○中田医療技術評価推進室長
事務局でございます。資料の材-1を御覧いただきたいと存じます。
本日の議題といたしましては、3ページ目、「プログラム医療機器への対応について」と、そのほかの議題といたしまして「医療機器の安定供給について」でございます。
まず、プログラム医療機器への対応について御説明申し上げます。5ページを御覧ください。これまでの検討状況でございますが、令和3年6月の規制改革実行計画において決められております。特にこのエの「プログラム医療機器の普及に資する医療保険の評価の明確化」が示されているところでございます。
6ページ目でございます。これまでの議論について経緯をまとめております。特に保材専専門組織の意見といたしましては、プログラム医療機器の特性を反映できるよう、評価のポイントを明確化することについて検討してはどうか等の意見をいただいているところでございます。
次に、これまでの実績について御紹介申し上げたいと存じます。8ページを御覧いただきたいと思います。こちらはこれまでの医療現場での材料を使用するまでの流れのイメージをまとめたものでございます。まずは有効性、安全性に係るエビデンスの収集のための研究開発、また、薬機法での製造販売の承認等を経まして保険適用という流れになってございます。
9ページ目でございますけれども、薬機法におけるプログラム医療機器の定義でございます。プログラム医療機器につきましては、プログラム、またはこれを記録した記録媒体であるものとの定義でございます。
10ページ目にございますとおり、そのプログラム医療機器の該当の考え方でございますが、医療機器の定義に合致するプログラムにつきまして、人の生命、健康に影響を与えるおそれがほとんどないものです。これはクラスⅠ相当のものは除外されております。一方、治療方針の決定への寄与の大きさや、不具合が生じたときのリスク等を勘案して、プログラム医療機器に該当するかの判断となっております。その概念図は下の表のとおりでございます。
11ページ目には、これまでプログラム医療機器の評価をされた具体的事例について、2例御紹介をさせていただいております。
12ページにおきましては、これまでロボット支援下内視鏡手術等の評価を行っております。こちらにつきまして、既存技術と比較して優越性を示した技術については、診療報酬上は高い評価、優越性を示すまでには至っていない手術につきましては同等の評価となっているものでございます。
次に海外実態状況調査について報告申し上げます。14ページでございます。これまで医療課におきまして、海外での取組状況について調査を進めておりましたので、その結果について御報告申し上げます。
今回、アメリカ、イギリス、ドイツを対象に調査結果をまとめさせていただいております。それぞれのプログラム医療機器の定義、リスク分類、安全性の評価等はここの記載のとおりでございますので、御参照いただければと存じます。
特に15ページ目でございますが、評価の制度につきまして若干御説明申し上げます。
特にプログラム医療機器の評価制度につきまして、米国では民間医療保険におきましては自由契約を前提としておりますので、それぞれの保険ごとの取扱いとなっておるものでございますが、公的保険でございますメディケアにおきましては、SaMDは給付対象となっていないという現状になっております。
イギリスではNHSの下、NICEが医療機器の費用対効果を評価して判断したところでございます。
ドイツの事例につきましては、医療でのデジタルヘルスケアの活用推進するための政策をとっております。いわゆるDiGAと呼ばれるような、区分を設けて政策を進めておるところでございます。
特にドイツの対応につきましては、リスク区分のうちクラスI、クラスIIa、いわゆる比較的リスクが低い医療機器に該当するものでございますが、患者が主体となって利用するプログラム医療機器を、最初の1年間は事業の希望額が認定されまして、当該期間中に疾病金庫中央連合会と価格調整するようなシステムになっております。また、申請したときにPositive Care Effect、有用性が証明できないような場合につきましては、効果の仮説また研究計画を示すことによって暫定的な保険償還がされるということです。1年間に研究を実施して効果を示す必要があるという仕組みになっております。
2021年10月13日時点で97個の申請がありまして、そのうち23が承認されているというものでございます。
また、患者への提供方法につきましては、医師が記入した処方箋を保険者に送付すると、保険者から患者にアクセスコードが提供されるような仕組みとなっております。
16ページ目は、ドイツにおきますそれぞれ関係者の方の意見表明を調査したものをお示ししております。
まず、ドイツの業界団体からの意見といたしましては、ここの記載のとおりでございますが、ドイツのDiGA制度のメリットとしましては、短期間で暫定的な承認を得ることができて、有効性を示す期間が12か月間与えられるFast Trackのプロセスがあるということは評価している一方で、正式に承認されるための条件が厳しく、承認を得るために必要な有効性の証明は、ランダム化比較化試験などを用いてドイツ国内で研究を実施する必要があるということです。それらの全てを満たすためには、追加のコストがかかるということが示されております。
また、17ページ目は疾病金庫と医療側の意見についてまとめたものでございます。疾病金庫側の意見といたしましては、被保険者に医学的利益があるのかということを検討すべきであり、これは既存の治療法と比較することによって証明されるべきであるということです。
上から4ポツ目にありますとおり、人によってはデジタルヘルスに関する理解度に大きな差があるため、どのような経験、理解度合いでもDiGAを利用することによって同じ効果が得られるように保証することが必要があるのではないかということです。
最後のポツには、保険者はDiGAがダウンロードされ、実際に使用されていることを確認できるべきであるという意見が表明されております。
医療側からは、DiGAの効果は十分に証明されておらず、利用者が正しく使用しているか確認できない中で、保険者が高い額を支払わなければいけないことの問題点、また、医師の間では、DiGAの処方に関して慎重な割合が多いということが示されております。
実際に海外でどういったものをプログラム医療機器として使用されているのか、幾つか事例をまとめましたので、若干御紹介申し上げます。18ページ目のドイツの事例でございますが、こちらは片頭痛に対するアプリケーションでございまして、これは暫定的追加ということで暫定追加されたものであります。
これは片頭痛の発生と一緒に症状や発生時の天候などを記録して、片頭痛の発生要因、薬の効果を確認することが可能となるようなプログラムであります。片頭痛の予防や痛みの軽減のための理学療法に基づいた運動などが紹介されるというものであります。
19ページ目は同じくドイツの事例であります。これはもう既に本追加、正式に承認されているものでありますが、こちらは不眠用のアプリでございます。利用者は睡眠の記録を登録して質問等に答えることによりまして、デジタルアシスタントが個人に合わせたトレーニングプログラムを提供するというものでございます。
その他、20ページ目は米国の事例です。
21ページ目はイギリスの事例についてまとめておりますので、御参照いただければと存じます。
22ページ目につきましては、8月25日に業界からの意見陳述をさせていただいた際、プログラム医療機器に該当する部分の資料をまとめて、そのまま抜粋させていただいております。23~25ページにその資料が掲載されておりますので、議論の際の参照としていただければと存じます。
最後に、26ページ目、これまでのまとめでございます。これまでの実績につきましては、上から2つ目のポツにございますとおり、有効性・安全性等が「同等」の場合には同等の評価、追加の有効性・安全性が認められる場合には補正加算等により評価している実態がございます。
また、海外実態調査の結果につきましては、上から2つ目のポツにございますとおり、ドイツのDiGA制度では、クラスI・IIa、すなわち比較的リスクが低い医療機器に限定されておりますが、有効性を認められていないプログラムであっても、1年間は保険で使用を認めることとし、その間に蓄積されたデータでエビデンスが確認されれば正式に認める運用を行っております。
3つ目のポツにありますとおり、ドイツの業界団体からは、迅速な臨床導入を評価している一方、承認を得るための研究開発費への懸念が指摘されているところでございます。
ドイツの医師側・保険者側での意見といたしましては、有効性のエビデンスが確認されていないものを使用することによる倫理的な課題等について懸念があったということでございます。
27ページ目でございます。プログラム医療機器の特性につきましては、特にプログラムにはその活用によって得られるデジタルデータの特性といたしまして、医師の診療をサポートするもの、また、迅速にデータを活用して分析可能となるようなものも、期待されるものとして例示がございます。
以上を踏まえまして、今後の論点に移らせていただきたいと存じます。
28ページを御覧ください。まず、評価の明確化についてでございます。プログラム医療機器に係る保険上の評価につきましては、これまでも技術料として評価されているものにつきましては、有効性・安全性等を踏まえた準用技術料の選定、また、特定保険医療材料として評価されるものにつきましては補正加算等の適用によりましてイノベーションの評価を行っております。
これまでの実績を踏まえて、29ページのとおり、診療報酬上の評価を整理して、診療報酬上の位置づけを明確化し、適切に評価を進めることとしてはどうかという提案をさせていただいております。この29ページはまた後ほど御説明を申し上げます。
プログラム医療機器の特性から、医師の働き方改革の視点を踏まえて、医師の診療をサポートすることにより、より少ない医療従事者で同等の質が確保できる場合には、施設基準等に反映することを検討してはどうかということです。また、保険収載後に得られたデータから追加の有用性が認められる場合には、プログラム医療機器もチャレンジ申請の対象となることを明確化して、エビデンスに基づき適切な評価を進めることとしてはどうかということです。また、マニュアルを作成し、分かりやすく周知すること、診療報酬の中で、プログラム医療機器として評価していることを分かりやすく示すことにしてはどうかということを提案しております。
その他の点といたしまして、これまでの対応のとおり、プログラム医療機器についても選定療養の仕組みの活用があり得るものとして対応すること、また、保険医療材料として適切に評価できるよう、保険医療材料専門組織の専門委員の充実を図ることとしてはどうかという提案でございます。
こういった点を踏まえまして、29ページ目を御覧いただければと存じます。こちらはこれまでのプログラム医療機器の保険適用の流れです。先ほど論点のところで申し上げた点も含めまして、ここに整理をさせていただいております。
まず、この表の見方につきましては、左からプログラムの開発が始まりまして、現在、私どもの制度といたしましては、プログラム医療機器に関する一元的な相談窓口を設けさせていただいているものでございます。この窓口におきましてはワンストップの窓口といたしまして、まずは医療機器に該当するかどうか、また、薬事開発に関すること、医療保険に関すること、これらについて開発の初期段階から相談できる窓口となっております。その中で、今後開発されるものが医療機器に該当し得るようなものにつきましては、上のラインで今後評価がなされていくものでございます。
医療機器に該当するものにおきましては、臨床評価等の研究が進められてくるものでありますけれども、例えば、その点につきまして医療保険の中では、保険外併用療養費として、保険導入に向けてデータの収集を行う、こういった先進医療の仕組みがございますので、場合によりましてはこういった先進医療の枠組みの中でもデータの収集等が考え得るものとしてございます。
また、そういったデータ等を踏まえまして薬事承認・認証が行われた後、保険適用希望書に基づきまして有効性・安全性等を踏まえ、保材専・中医協において評価がされるものでございます。
この評価の方法につきましては、括弧の中に記載のとおり、製品の特性によりまして、例えば、技術料に包括されるもの、特定保険医療材料で評価されるもの等がございます。また、既存技術よりも医療上の有用性が高い場合には、価格を加算するなどして評価されるものがございます。
一方では、最初のプログラム医療機器の相談窓口の段階の中で、医療機器に該当しないと判断されたものにつきましては、下の矢印のラインに行くものでございます。ここでは例えば、データの加工・処理を行わないようなものとか、利用者への情報提供を目的としたプログラムであるようなもの、また、機能の障害等が生じた場合でも人の生命や健康に影響を与えるおそれがほとんどないものは、医療機器に該当しないものとして市販される流れになるものでございます。
この市販されたものにつきまして、医療機器に該当しないと判断された際の使用目的等で用いる場合におきまして、保険診療上の制限はないというものでございまして、こちらは医療現場で使用されたとしても、特段、保険診療上の制限を受けないというものでございます。
最後に、下の方にポツでありますとおり、プログラム医療機器の特性といたしまして、より少ない医療従事者で同等の質の確保ができる場合には施設基準等への反映や、患者の選択によるものにつきましては、選定療養の仕組みの活用があり得るものとしてまとめさせていただいております。今回はこのような全体の評価の流れを明確化させていただき、しっかりと評価を進めさせていただきたいと思います。
30~33ページにつきましては、この表が具体的な事例にどのように当てはまるのかということを分かりやすくお示しさせていただいたものでございます。個別に御覧をいただければと存じますが、例えば30ページ目は、X線画像の読影補助を行うようなプログラムです。医師によるX線画像の読影補助をするプログラムという目的のものではございますが、これは右の矢印のAと書いてあるもので、これは医師の読影法を補助し、治療方針に決定に寄与するものとして、医療機器に該当し得るものということで、Aの段階でこういう評価がされ、これは医療機器の開発に進んでいくということです。
読影の異常陰影の可能性のある病変を検出する等の機序によりまして、これは画像診断という特定の診療行為に関連するものであり、特に製品の特性による評価の中での評価としても「技術料」として評価し得るものです。
さらに、期待されるアウトカムのところでございますが、読影検出能の向上や医師の技術の均てん化が期待できるようなものです。こちらは下にありますCのところで、これは特に有用性が高い場合には価格を加算するなどしての評価です。Dのところは、施設基準等へ反映することもあり得るということです。このように、それぞれの製品の目的や機序、期待されるアウトカムによりまして、表に該当するこういった点におきまして評価され得るものであるということをお示した図になっております。
そういったものが、31ページ目も同じ医療機器に該当するものです。特に32ページ目は医療機器には該当しないのですけれども、医療現場で実際に使用し得るようなものの例をお示しさせていただいておりますので、御参照いただければと存じます。
ここまでがプログラム医療機器の説明でございます。以降、参考資料は御参照いただければと存じます。
次に、その他の課題といたしまして、医療機器の安定供給でございます。
49ページを御覧いただきたいと存じます。これまでも保険医療材料専門組織におきましても、例えば、小児向けのようには対象者の少ない医療機器の安定供給に支障が生じないよう、しっかり対応すべきではないかとの御意見等をいただいているところでございます。
50ページ目でございますが、これは安定供給が困難な事態に至るおそれがある場合には、厚労省に遅滞なく報告する制度を設けているところでございます。そういった制度がある前提の中で、51ページ目でございますけれども、過去3年間に安定供給に関する国への報告の内容を分析したところ、報告のあった169件のうち85件が供給停止に関わるような報告内容でございました。
それをさらに分析したところ、おおむね55%につきましては、採算性の低下が理由であるという報告がなされているところでございます。
52ページ目は、製造販売業者は原価割れの医療機器があると回答しておるところでございますが、一方では多くの製造販売業者がその見直しに関わる要望書を提出していないという実態がある中で、その理由を調査したものでございます。多くは要望書の提出方法、要件の複雑さ、過去の要望の不採用の経験から、提出されていない可能性が示唆されているものとして研究班で示されております。
53ページ目は、保険局医療課におきまして、この不採算品への対応についての制度の説明でございます。供給が著しく困難で、十分償還されていない特定保険医療材料に関しましては、このア、イ、ウの基準に基づきまして対応をしているところでございます。
具体的には54ページ目、過去2回の改定の実績についてお示しをさせていただいております。この中でも一部小児用の医療材料等も含めて、これまでも対応してきたところでございます。
55ページ目は安定供給の報告制度でございますが、下の枠で囲っているところに報告様式と報告する際の基準を示させていただいておりますけれども、報告様式が複雑で記載すべき内容が不明確な事項もありまして、適切な内容が報告されないおそれも指摘されているところでございます。
今後の論点でございますが、56ページ目でございます。下の論点を御覧いただきたいと存じます。不採算品目に係る基準材料価格の見直しに当たりまして、引き続き個別の製品の実情を勘案しながら、基準への該当性について適正な対応をすることとしてはどうか、また、特に小児や難病患者を対象とする医療機器等、対象患者が少ないが医療上の必要性が高い医療機器等については、安定供給に係る配慮が必要ではないか。また、供給停止等の報告書への記載内容につきまして、記載項目を整理して、報告様式を定型化し、57ページのフロー図でございますけれども、これを踏まえた迅速な報告、状況把握が可能となるよう見直すこととしてはどうかと考えているところでございます。
私からの説明は以上でございます。
○関部会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明に関して、御意見、御質問等がありましたらお願します。時間が押しておりますので、幾つかお伺いして、その後にまとめて御回答するという形にしたいと思います。
まず、長島委員、お願いします。
○長島委員
ありがとうございます。
最初に、プログラム医療機器に対する総合的な体制の在り方につきまして、29ページのプログラム医療機器の保険適用の流れ図に沿って意見を申し上げます。
今後、ICT技術の進歩やリコマンド機能を持つ民間PHRサービスの普及が進むと、医療以外の分野からの参入も含め、医療関連のプログラム機器が大きく増えることが想定されるため、医療機器に該当しないものも含む総合的な体制整備が必要になると考えられます。その際、次に述べる5点の取組が重要になると考えます。
1つ目は、この図で一番左側に書いてあります、PMDAに設置されるプログラム医療機器に関する一元的な相談窓口の一層の充実です。
2つ目は、相談を待つだけではなく、能動的にITやPHR等の業界へ情報周知や意見聴取などの働きかけを行うとともに、デジタル庁、経済産業省などの関係省庁と横断的連携を深めることです。
3つ目は、医療機器に該当しないとされたものが市販される際、医師や患者が安全、安心に利用できるための環境整備を行うことです。例えば、当該機器の位置づけ、機能、限界、対応窓口など、分かりやすく提供する仕組みなどです。
4つ目は、薬事承認・認証や保材専における審査、評価機能を従事させる。例えば、人員を増やしたり、外部の必要な専門家の助言を得られるようにすることです。
5つ目は、医薬品と同様にプログラム医療機器についても、薬事承認後も継続的に有用性・安全性を確認するようにすることです。
そこで事務局にお尋ねしますが、これらの総合的な体制への取組をどのようにされる予定でしょうか。
次に、28ページの「プログラム医療機器への対応に係る論点」についてコメントいたします。
評価の明確化については、今回の整理はあくまでも既存ルールの明確化であり、基本的には賛同もできますが、一方、13ページから21ページに示されているとおり、海外でも国により様々であり、まだ試行錯誤の段階のように見えますことから、まずは個別事例を積み上げて、診療報酬上の評価、位置づけについて適宜見直しを行うような柔軟な対応をしていくことが必要と考えます。また、プログラム医療機器は医療機関にとって追加的コストになる場合もあると想定されます。
医師の働き方改革の視点から、有用であると認められた技術について、施設基準の緩和以外の医療機関での採用を促進するような評価が必要な場合もあるのではないでしょうか。そういったことについても、今後、個別事例に応じて適宜対応していくこととしてはどうかと考えます。
次に56ページの「医療機器の安定供給に係る論点」についてコメントいたします。医療上必要なものは当然手当てすべきであり、論点にあるように、個別製品の実情を勘案し、基準に該当するかについて適切な対応が必要と考えます。安定供給に関わる配慮と行う対処については、適切な部署の判断も参考にして丁寧に対応すべきと考えます。
55ページの「安定供給に関する報告制度」の2つ目の○、「報告様式が複雑で記載すべき内容が不明確な事項もあることから、適切な内容が報告されない恐れがある」という点は本末転倒でありますので、報告書への記載内容の見直しについて賛成いたします。
さらに、51ページの「供給停止またはその恐れのある医療機器の実情」のマル1において、供給停止理由の55%を「採算性の低下」が占めているにもかかわらず、52ページでは、多くの製造販売業者が基準材料価格の見直しに関する要望書を出しておらず、その理由として、要望書の提出方法や要件の複雑さなどの課題を挙げているため、こちらも改善すべきと考えます。
私からは以上です。
○関部会長
ありがとうございます。
有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
私からはプログラム医療機器の評価について発言をさせていただきたいと思います。
以前にも発言させていただきましたが、様々な医療用アプリが出てきています。これは当然、医師の指示の下で使用されるものとして理解しておりますが、アプリを正しく使用してもらうためのサポート、フォロー、不具合の対応、バージョンアップといったものは、当然のことながら一連の医療の中でやっていく必要があり、医療を提供する中で完結していくことが必要だと考えています
諸外国においては、これらのメンテナンスも含めた様々なサポートを、コールセンターなどの直接、メーカーが行っているという事例もあります。ある意味で、メーカーの医療への介入ということにもなりかねませんので、日本で行う場合は、ぜひこの辺のところについては、医療機関あるいは薬局で行うことを想定した立てつけを検討していただきたいということであります。
診療報酬上での対応については、医療用材料、医科の技術料だけではなく、必要に応じて調剤報酬の評価も必要となりますので、その辺りも視野に、今後、整理・検討していただきたいと考えます。
以上です。
○関部会長
ありがとうございます。
ただいま御意見と御質問等がありましたが、長島委員からの御質問について、事務局、お願いします。
○関野医療機器審査管理課長
医薬生活衛生局の医療機器審査管理課長でございますが、幾つか薬機法周辺の御意見、御質問がございましたので、私からまずコメント、お答えをさせていただきたいと思います。
長島先生からは5つ御意見をいただいておりまして、まず、1つ目は、29ページにもございますPMDAの一元的な相談窓口の充実ということでございました。これに関しまして、今年の4月からこういった一元的な窓口をPMDAに設けまして相談を受け付けてきているところでございますが、既に半年ぐらいたちますけれども、月当たり30件ぐらいの相談をいただいております。
その中には、先ほど先生からも御指摘あったように、これまで医療機器の分野で、あるいは薬機法の下で製造販売等を行ってきた、ある意味経験のある会社もあれば、そうではない会社さんもいるということでございますので、かなり相談対応に苦労しているところはあるのですけれども、きちんとしたプログラム医療機器が医療の場に提供されるよう、丁寧な説明に努めているところでございまして、この辺りはある程度の時期がたちましたら、人員との見合いで、十分な形でファンクショナルな形になっているかどうかを検証しながら、体制についても随時考えていきたいと思っております。
2点目に関しましては、該当性の判断も含めて普及、周知の辺りを新規参入の方も含めて能動的に行っていくべきではないかということでございます。これについては御指摘のとおり、これまで示してきておりますガイドラインとか、そのほか、もろもろ関係の文書等につきまして、学会ですとか講習会を設けて周知に努めてきているところでございます。
御指摘がございましたように、経済産業省とは随時プログラム医療機器に限らず、多方面でかなり密に日頃から連携もしておりますし、さらにデジタル庁ともこれから少し接点を持つような形で、うまく機能的に、お互いのそごがないような形も含めて対応していきたいと考えております。御意見ありがとうございました。
3点目は、該当しないものについての取扱いについて、安心して使えるような環境整備という趣旨であったかと思いますが、これにつきましてもプログラム医療機器に該当しない、要は薬機法の対象外になるものでもございますので、経済産業省とも十分連携して、これについてもきちんとした道筋が、該当性の判断も含めてなされるように対応していきたいと考えてございます。
審査の関係での有効性、安全性等の評価の充実という点が4点目だったと思いますが、これに関しましても今年度、年度当初の4月から我々の体制の中で専門の室をつくり、PMDAにも専門の部隊のプログラム医療機器審査室というものをつくりまして、そこで集中的に専任という形で行っているという体制はつくりました。
さらに、専門性が求められますので、関係の審議会である薬事・食品衛生審議会の中にも、通常医療機器の審査を行っている部会の下に、プログラム医療機器に特別な調査会を設けまして、そこで専門性を有する委員に審議、評価いただいているという状態はつくらせていただいております。
また、プログラム医療機器はなかなか多岐にわたりますので、限られた専門性の中で十分こなせるかという問題もございます。その場合はPMDAで個々に専門委員という形で、そういった専門を持つ先生方の御意見を聞くような体制も整えておりますので、それでこれまで対応してきているということでございます。
一方で、この分野は多様な人材確保が必要になってくると思いますので、各方面の先生方、あるいは、プログラム医療機器に精通する産業界の関係者からも、どのような人材が日本に存在するかということも、紹介とかそういったことで情報をいただきながら、さらにこういった評価する人材についての強化、体制充実ということに努めていきたいと思っております。
もう一点ございました。承認後の有効性・安全性もきちんと確認するようにという御指摘です。これに関しましても、当然医療機器である以上、承認された後に市販後の調査、PMSと俗に呼んでいますが、そういったものの対象にはなってございますので、何か使用に当たっての不具合等あるいは機能が十分果たせないという情報があれば、それは基本的に製造販売業者の方から報告をいただきます。当然、使っていただいております医療関係者からの報告も薬機法の下でいただくような制度もございますので、そういったところから上がってきました情報を基に、きちんとしたリカバリー、回収、見直し、改良も含めて、そういったことに努めていくということはしてございます。
加えて、プログラム医療機器の物によりましては、承認時の段階で、承認された後の一定の使用成績を集積するような形で、それを指示して、製造販売業者のほうに求めるといったことも可能でございますので、そういった個々の医療機器ごとにも手厚い市販後の情報を集めた上で、その後の対応ということも、個別の中で必要なものに関してきちんと適切に対応したいと思っております。
長島先生からいただいた5つについて、薬機法の観点でのコメント、回答は以上でございます。不足の点ございましたら、また御指摘いただければと思います。
ひとまず以上です。
○中田医療技術評価推進室長
医療課でございます。
保材専の体制充実につきましては、これまでの論点でもお示しさせていただいていますとおり、専門委員の充実を図りたいと考えておりまして、引き続き体制整備、強化に努めてまいりたいと考えております。
長島委員への回答は以上でございます。
○関部会長
個別事象を積み上げて、適宜見直していくことで、柔軟な対応という点についてもよろしかったでしょうか。
○中田医療技術評価推進室長
医療課でございます。
今回、これまでの既存の評価の流れを整理させていただきました。当然、今後の具体的事例におきまして、適宜、御意見、御検討を進めていただきたいと考えております。
以上でございます。
○関部会長
長島委員、以上の点についていかがでしょうか。
○長島委員
ありがとうございました。これからも省庁横断的、業界横断的に丁寧な対応をお願いいたします。
以上でございます。
○関部会長
次に佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。私も論点に沿って話をしたいと思います。
プログラム医療機器については、今後様々なものが評価検討に上がってくると思われますが、保険適用の観点から、判断基準を設けてグレーゾーンをつくらない取組が求められると考えます。
医療機器等については、対象患者は少ないものの、医療上必要性の高い機器を含め、患者、被保険者の方のために、安定供給に係る一定の配慮が必要と考えています。加えて、しっかりと実態調査や検証を行うことも重要であると考えます。
以上です。
○関部会長
ありがとうございます。
続いて、眞田委員、お願いします。
○眞田委員
ありがとうございます。私から簡単に1点コメントさせていただきたいと思います。
規制改革実施計画など、政府方針も踏まえて、有効性・安全性が確認されたプログラム医療機器について、活用推進に向けて環境整備を進めていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○関部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、28コマ目の論点でございますけれども、評価について、製品の特性に応じた形で個別に判断していくという方向性については、特に異論はございません。
ただ、23~25ページ等にも保険上の評価について資料が出ておりますけれども、特に25ページにありますアウトカム等を十分に配慮した評価という形で運用していくべきということと、プログラム医療機器という性格上、特に安全性です。情報の保全であるとか流出等とか、そういった点も十分に入れていただいて評価をお願いしたいということでございます。
56コマ目の安定供給の話でございますけれども、特に不採算品の該当性について、医療上の必要性について、特に高いかどうかの判断について、関連学会等の意見も十分聴取した上で判断をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○関部会長
ありがとうございます。
御意見でしたが、事務局は何かありますでしょうか。
○中田医療技術評価推進室長
いただきました御意見を踏まえて、今後検討させていただきたいと存じます。ありがとうございます。
○関部会長
ほかはいかがでしょうか。特によろしいでしょうか。
どうもありがとうございます。ほかに御意見がないようでしたら、本件の議論はここまでとさせていただきます。
本日予定されていた議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますのでよろしくお願いします。
本日の保険医療材料専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 


 

 

(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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