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2019年11月29日 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会 第106回議事録

○日時

令和元年11月29日(金)8:59~9:54
 

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)
 

○出席者

関ふ佐子部会長 松原由美部会長代理 中村洋委員 荒井耕委員 
幸野庄司委員 佐保昌一委員 宮近清文委員 
城守国斗委員 島弘志委員 林正純委員 有澤賢二委員
堀之内晴美専門委員 林利史専門委員 五嶋規夫専門委員

<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医療機器業界からの意見聴取について

○議事

○関部会長
おはようございます。ただいまより、第106回「中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
本日は、染谷委員が御欠席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○関部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。関係団体として、「日本医療機器産業連合会」「米国医療機器・IVD工業会」「欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会」「日本臨床検査薬協会」より意見を聴取したいと考えております。順番に自己紹介をお願いいたします。
○日本医療機器産業連合会(新延)
医機連副会長の新延でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○日本医療機器産業連合会(田中)
同じく医機連の田中でございます。よろしくお願いいたします。
○米国医療機器・IVD工業会(加藤)
米国医療機器・IVD工業会会長をしております加藤です。よろしくお願いいたします。
○欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会(森)
欧州ビジネス協会(EBC)の医療機器・IVD協会の委員長をしております森と申します。よろしくお願いします。
○日本臨床検査薬協会(小野)
日本臨床検査薬協会会長の小野でございます。よろしくお願いいたします。
○関部会長
ありがとうございました。
それでは、早速、意見陳述に移りたいと思います。
なお、4つの団体より全体で35分程度でまとめてプレゼンテーションしていただき、その後に質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。それでは、35分以内でよろしくお願いします。
○日本医療機器産業連合会(田中)
改めまして、日本医療機器産業連合会材料保険委員長をしております田中でございます。
本日は8月に引き続きましてこういう意見陳述の場を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。私から、保険医療材料制度について御提案を申し上げます。
まず、スライドの2枚目をごらんください。こちらは本日の御提案内容になっております。たくさんお示ししておりますけれども、お時間の関係もございますので、「1.外国価格調整について」から「4.著しく単価の高い製品に係る補正加算」の4点に絞って御説明申し上げます。
スライド3枚目をごらんください。まずは「新規収載品に係る外国価格調整」についてです。10月の材料専門部会で比較水準の引き下げが論点となりましたけれども、日本で導入される製品のうち、国内で改めて治験や市販後の成績調査が求められる製品、さらには医療従事者へのトレーニングが薬機法での承認上義務づけられる製品など、海外に比べてコストがかかるものがございます。このような製品があることに対して、ぜひ御配慮をいただきたいと思います。
下のブルーの欄に平成27年に保険収載されました小児用補助人工心臓のケースを載せております。国内での症例数が極めて少ないことや、国内独特のコストがかかることなどを勘案した価格設定を企業は要望しておりましたけれども、結果、かなわず、企業は外国価格調整によって採算割れの価格での販売を余儀なくされて、その後、3年後に不採算再算定ということで申請を行って、ようやく償還価格が引き上げられたというケースがございました。このような事態が起きないように、国ごとの規制や市場の違いを吸収する意味からも、現行の比較水準であります1.3倍は最低限必要な水準として、ぜひとも維持していただきたいと思います。
スライド4枚目をごらんください。次は外国価格調整のうち、「既収載品に係る再算定」についてです。こちらも比較水準の引き下げが論点となっております。現在の材料価格制度では、異なる製品であっても同一機能区分に入りますと、同一の償還価格として取り扱われているのは御承知のとおりかと思います。一方で、海外では、それぞれ個別の製品として市場の評価に見合った価格がつけられております。海外で高く評価され、異なる価格を有する製品であっても、同一機能区分に入りますと十分に評価が得られにくいこと、また、海外での評価いかんにかかわらず、それら異なる外国価格の単純平均値を用いて再算定が行われてしまう。そういうことを続けていきますと、優れた製品の日本導入に支障を来すおそれがあるものと懸念しております。以上のような製品ごとのばらつきを吸収する意味からも、既収載品の比較水準1.3倍につきましても、ぜひとも維持をお願いしたいと思います。
5スライド目をごらんください。外国価格調整の際の「為替変動への対応について」です。8月の業界陳述でも御説明しましたとおり、現在の制度では為替変動による影響が考慮されていないため、外国での販売価格が全く変化していないにもかかわらず、見かけ上、外国価格は低下しているように見える。つまり、日本との価格差が広がっているように見える場合がございます。また、この制度は為替変動により過度に調整が行われた後に、仮に為替が戻ったとしても、償還価格を戻すことは行われない、いわゆる一方通行の仕組みとなっており、長期的には必要以上の引き下げが行われてしまいます。この為替の問題につきましては十分御理解をいただけているものと認識しておりますけれども、前回の為替変動に対して、比較水準の見直しについて御提案申し上げました際に、アメリカドルでの例をお示ししましたところ、ほかにも通貨があるのではないでしょうかという御質問をいただきましたので、今回はアメリカドル、ポンド、ユーロ、オーストラリアドルの4通貨の相加平均値による計算式をお示ししております。詳細につきましては、後ろに参考資料1~3をつけておりますので、御参照いただければと思います。
6スライド目をごらんください。次は「原価計算方式によるイノベーション評価」についてです。前回の業界意見陳述でも申し上げましたとおり、原価計算方式においても類似機能区分比較方式と同様に価格全体に対して加算を行うという、保険医療材料等専門組織からの御意見に賛同いたします。また、開示度に応じて加算率に差を設けることについても理解を示すところでございますけれども、医療材料は外部委託の構成部品が多い製品などございますので、開示度を上げることが難しい場合があることも御留意いただきたいと思います。
次に、7スライド目をごらんください。原価計算方式に関する2つ目です。本件に関しましては、材料専門部会での論点としては上がってきておりませんけれども、もう2年以上前から業界として要望してきておりましたにもかかわらず、いまだ検討いただけていない案件でございますので、本日、改めて御提案させていただく次第でございます。類似機能区分比較方式で新たに機能区分を設ける際は、新規機能区分の基準材料価格が外国平均価格の0.5倍以下となる場合は、安定供給の観点等から、原価計算方式での算定を申請できるルールが現在として存在しております。
一方で、外国で未発売の製品、例えば、日本発の製品などは参照する価格がございませんので、このルールの適用とはなりません。例えば、患者にとって非常に有用な医療機器の開発が進められたとしましても、比較対象品の償還価格が長年の回答を経て大きく低下している場合は、幾ら加算がついても採算が合わないとか、上市後の安定供給が懸念されるなど、開発の継続とか販売をちゅうちょすることになりかねません。日本においてイノベーティブな医療供給開発が促進されますように、外国未発売の製品であっても、相応するルールを設定いただきたいと思います。
次に、8スライド目をごらんください。「保険収載後の市場が拡大した場合の対応」についてです。8月の意見陳述の際に、医療機器は機能区分方式をとっているため、同一機能区分内に複数の会社、複数の製品が混在していることから、銘柄別の医薬品で行われていますような市場拡大再算定はなじまないのではないかと申し上げましたところ、前回の材料専門部会において、破線の枠の中の一番上にございます1ポツ目に書かれていますように、市場における競合性が乏しいと認められるものがある場合については、機能区分を細分化した上で価格調整を行うことも検討されると、このように説明がされました。この点を含めまして市場拡大再算定における2つの懸念点について述べたいと思います。
次のスライド9をごらんください。1つ目は、現行機能区分制度との関係になります。繰り返しになって恐縮なのですけれども、特材は機能区分ごとに保険償還されていて、新たな機能区分を希望する場合には、C1/C2/C3申請することによって、保険医療材料等専門組織でその可否が検討されるとなっております。
また、既存区分の細分化とか合理化も同じく専門組織で検討されることになっておりますけれども、今、申しましたプロセスで新設された機能区分が残念ながら合理化されてしまうことがございます。企業側からも、適応対象が異なるなど、理由を御説明させていただいても、結果的には合理化ということで、1つの機能区分にされてしまうケースがございます。
このように、機能区分の細分化と合理化を含めたあり方については、現時点では明確な基準があるとは言えない状況でありますので、先ほども御説明しました市場における競合性が乏しいと認められる場合には、機能区分を細分化するという取り扱いについては、一体どのような運用になるのか、我々業界が全く予測できませんので、非常に心配しております。
よって、まずは機能区分のあり方を整理した上で、市場拡大再算定の位置づけを明確にしていただいて、そして具体的な制度設計の議論を行っていただければと思います。
それから、2つ目の懸念点ですけれども、基準額の設定になります。これは11月15日の材料専門部会において、財政影響の観点から基準額は医薬品と同じにするのがよいという議論がございました。また、今週水曜日の総会でも同様の議論があったように伺っております。我々業界としましても、本年4月に本格導入されました費用対効果評価制度においても基準は医薬品と同じということを鑑みまして、基準額の設定は医薬品と医療機器は同じにするのが自然であると考えております。
それでは、スライド10をごらんください。「著しく単価の高い製品に係る補正加算」についてです。製品によって加算率に傾斜配分をつけてはどうかということですけれども、前回の業界意見陳述でも申しましたとおり、再生医療等製品を初めとする著しく単価の高いと言われる品目は、使用患者数が少ない場合がございますし、特に再生医療の場合は製造や流通が一般の医療材料と異なることからコスト負担が特徴になっております。このように製品の特性とか使用数量など、製品ごとに大きく異なりますので、一律のルールを当てはめるのではなくて、個々の製品特性を踏まえて、保険医療材料等専門組織で加算調整の必要の可否等を御議論いただければと思います。
以上4点に絞って御説明いたしましたが、後ろにつけております「その他」の項目につきましても、医療機器のイノベーション評価とか、安定供給の維持に非常に大切な事項でございますので、ぜひお目通しをいただければと思います。特に11スライド目にあります機能区分の合理化については、その目的とか審査プロセスが明確ではございませんし、イノベーション評価に逆行した制度でありますので、業界としては、この合理化の対応に非常に苦慮しております。この合理化含めて、本件含めまして、AMDDの加藤会長より引き続きコメントをいただきます。
私からは以上です。
○米国医療機器・IVD工業会(加藤)
米国医療機器・IVD工業会会長の加藤でございます。
本日の提案内容1~4について、田中さんから業界の意見を述べさせていただきました。中で、外国価格調整と再算定、それから、市場拡大した場合の対応、そして機能区分の合理化、これら3点につきましては非常に重要ですので、一部重複いたしますが、私からコメントさせていただきます。
1点目は、外国価格調整と再算定についてです。先ほど田中がお示しした資料の3枚目から5枚目で御説明したところですけれども、本制度は、たび重なる制度の見直しが行われておって、頻繁にルールが変更されます。これは事業の予見性を著しく損ない、業界の活力を削ぐということを改めて申し上げたいと思います。
新規収載品についての外国価格調整ですけれども、昨今、外国価格調整を行った新規医療材料はなくなってきていることを理由に、その比較水準を下げることには反対いたします。本日、資料でお示ししましたように、収載時に外国価格調整を受けて、その後、不採算算定に至った事例を踏まえますと、一定程度のバッファーは必要と考えられ、イノベーションの評価を適切に維持する観点から、現状の比較水準を維持するようお願いいたします。
次に、既存品についての再算定ですけれども、業界としては、これまで本ルールの廃止をたびたび求めてまいりました。一方で、それがかなわぬならば、ルールの変更はないようにということも繰り返し表明してまいりました。なぜなら、医療提供体制とそれを支える流通構造が諸外国と違う日本では、このルールによる大幅な価格削減が安定供給や情報提供を困難にすると、そう考えているからです。既に内外価格差がかなり縮小してきているとの事実認識は中医協の委員の方々も言われているとおりであり、複数の製品が同一価格として取り扱われている日本の機能区分の価格を個々に異なる海外価格の単純平均と比較するのであれば、一定程度のバッファーは必要と考えます。それゆえ、引き続き現状の比較水準を維持するようお願いいたしたいと思います。
また、業界から提案させていただきました為替変動への対応、今回は前回の御指摘をもとに複数の通貨に関して案を持ってまいりました。ここ数年、為替は一定の範囲内で安定しております。安定している今だからこそ、現状を基準とした為替の影響を回避する制度の導入、これをするよいタイミングではないかと考えております。外国価格による再算定は、価格が下がるばかりで上がることのない制度ですので、為替によってのみ下がることがないよう繰り返しお願いいたします。
2点目については、先ほど8枚目と9枚目にございました、市場が拡大した場合の対応についてです。機能区分制度に市場拡大対応を導入する場合の対応として提案されている市場における競合性が乏しい場合の細分化、これについては、その判断基準や審議プロセスなどの具体的な制度設計なしに議論を進めることはぜひとも避けていただきたいと思っております。医療材料については、次々回改定においての市場拡大再算定の導入を前提とした議論を次回改定以降に精力的に行って、気になっております機能区分のあり方の議論を含め、制度間の整合性を考慮した上で制度化を実施すべきではないかと考えております。
なお、本制度が導入されている場合の基準額については、総会でも御議論があったように、あくまでも医療全体における財政影響の観点から、医薬品と同じであるべきと考えております。
3点目は、「機能区分の見直しについて」です。論点として、制度の運用、それから、区分の見直し、特に合理化のプロセスにかかわる提案であることから、本日の資料では、「その他」という章の最初、11枚目に記載しておりますけれども、私のほうで要点を申し述べさせていただきます。これは、業界としては非常に重要な問題であると捉えております。
機能区分の合理化というのは、これまで2年ごとの改定のときに、これも含めて見直しが行われてまいりました。しかし、その中には、臨床での使用実態が異なる区分同士を合理化するような例がございました。このような実態がある中で、市場における競合性が乏しい場合の細分化、これは市場拡大対応のところで出てきた文言を繰り返し私は使わせていただいておりますけれども、これが適切に行えるかに業界は不安を感じており、機能区分のあり方を含めて、どのような場合に合理化、もしくは細分化を行うかについての議論が必要と考えております。
また、合理化のプロセスにおいては、これまで十分に議論を行う時間的猶予がないまま進められてきたことに、業界全体、それから、各社、大変困っており、中には強い不満を抱いているところもございます。私どもは、それゆえに、さまざまな機会を通じてプロセスの改善を要望してまいりましたが、依然、今改定においても十分な議論を行える状況にない状況で、こういった全体の話と、個々の区分見直しの話が重なって、非常に困っております。それゆえ、この場をお借りして意見を述べさせていただいている次第でございます。
私からは最後になりますけれども、業界といたしましては、引き続き低侵襲化による治療法の改善など、国民の健康寿命の延伸、それから、患者のQOLの改善に資する医療材料の改良、改善及びイノベーションの創出に取り組んでいく所存でございます。つきましては、イノベーションを醸成する環境の維持の観点を踏まえた議論をお願いできればと思います。
材料に関する意見は以上でございます。ありがとうございました。
○欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会(森)
続きまして、医療機器、医療技術につきまして、医機連、AMDD、EBCを代表いたしまして、EBCの森より説明させていただきたいと思います。
平素より医療機器行政に御理解を賜りまして、まことにありがとうございます。本日はこのような意見陳述の場を頂戴いたしましてありがとうございます。
それでは、私どもからは3点の御説明をさせていただきたいと思います。2ページ目にお移りください。
最初に、医療技術のイノベーション評価について、使用実績を踏まえた評価、いわゆるC2チャレンジについて御検討いただきたいと考えております。背景と現状ですけれども、特定保険医療材料においては、2018年度の改定においてチャレンジ申請の制度が新設されまして、今回の改定においてはB1、B2への拡大について議論がなされております。第101回の保材専では、使用実績を踏まえたC2区分の再評価制度新設を業界より意見陳述させていただきました。C2申請は企業申請ですけれども、一旦上市された既存技術の再評価に関しましては、関係学会から医療技術評価分科会へ申請するルートしかなく、企業からの申請ルートは現在は存在しておりません。しかしながら、企業所有のデータでは、企業側から再評価申請を行ったほうがよいケースもございます。例えば、安定供給に係るコスト、当該医療供給の海外使用実績データ、あるいは海外の規制当局への承認申請のデータ等が考えられます。
このような状況を踏まえますと、御提案としては、特材同様、既存技術の再申請について、企業からも申請できる制度、いわゆるC2チャレンジの創設をぜひ御検討いただきたいと考えております。また、使用実績を踏まえまして、新たなエビデンスを評価していただくために、公的な特定評価機関の設置や、専門的な評価を行う体制整備に関して、業界としても大いに進めていただきたいと考えております。
3ページ目にお移りください。続きまして、CT、MR等の医療機器の共同利用についてでございます。高額、高機能の医療機器の共同利用の基本的な考え方につきましては、業界団体として賛同するものではございます。しかしながら、診療報酬上の共同利用と地域医療構想での共同利用の意味合いに相違が見られることの是正について御説明させていただきます。
現状といたしましては、診療報酬においては、特掲診療科の施設基準である「CT撮影及びMRI撮影の施設基準に係る届出書添付書類」における施設共同利用率に係る事項では、画像の撮影を実施する保険医療機関へ転医目的で紹介された場合は、共同利用率の対象からは除外されております。その一方で、外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドラインでの医療機器の共同利用では、「対象となる医療機器について、連携先の病院又は診療所から紹介された患者のために利用される場合を含む。」となっております。
そこで御提案ですけれども、高性能機器の共同利用の推進は賛同いたしますが、医療機関が混乱している、その定義に関しては、ぜひ同義になるように御検討いただきたいと考えております。
4ページ目にお移りください。最後に、超音波についてです。さきの保材専の論点に対して、以下の提案を御検討願えればと考えております。
まず第1に、超音波検査におきましては、多臓器を精査する場合や、単一臓器を検査する場合もあることを踏まえて、実情に応じた評価を適切に行う観点から、領域別に評価することについて、どのように考えるか、こういう点につきまして、我々としては、超音波検査は広い臨床領域を低侵襲、簡便かつリアルタイムで検査できることから、広く普及しているため、評価見直しにより制度が余り複雑になることは望ましくないと考えております。
次に、超音波検査の結果の取り扱いについて、どのように考えるかにつきましてです。これにつきましては、治療医療連携を踏まえて、施設間で相互に参照できる環境の整備が重要と考えております。業界といたしましては、標準化機構、学会等のグローバル化を見据えまして、標準化に沿う機能を装置に実装することを検討していきたいと考えております。
最後に、パルスドプラ法等、日常診療の中で一般的に行われるようになった超音波検査の評価をどのように考えるかについてです。これにつきましては、カラードプラはハイエンドクラスに位置づけられるほとんどの市販装置に現在、搭載されてきております。そのような機能であることについては十分理解をしております。一方で、学会が提案している技術革新によって生み出される新たな機能、例えば、乳房のかたさを描出するエラストグラフィー等につきましては、新規開発投資のインセンティブにもぜひ御配慮いただいた上で、臨床価値を評価していただきたいと希望しております。
なお、参考までに次のページをごらんください。こちらは超音波の進歩を添付させていただきました。ごらんいただいておりますのは、汎用装置と大型装置では、同じパルスドプラ、カラードプラでも、画質分解能など、大きな差が生まれていることが御理解いただけると思います。
以上、診断・治療機器3団体より、イノベーションの評価につきまして、C2チャレンジ、そして共同利用の定義化、さらには超音波の活用に関しての3点、御説明をさせていただきました。御検討のほど、よろしくお願いいたします。
○日本臨床検査薬協会(小野)
それでは、改めまして、臨薬協の小野でございます。
本日はこのような場をいただきまして、まことにありがとうございます。体外診断用医薬品について、臨薬協、EBC、AMDDからの共同提案として発表いたします。
それでは、2ページ目をごらんください。今回は中医協総会での検討事項であり、保険収載後に市場が拡大した場合の対応に対する要望と、悪性腫瘍関連遺伝子検査に関する取り扱いに対する要望について述べさせていただきます。
3ページ目をごらんください。1つ目は、保険収載後に市場が拡大した場合の対応に対する要望です。これは適応拡大等による市場拡大時の価格抑制についての意見として、一昨日の第436回中医協総会で示された論点になります。
4ページ目をごらんください。まず、「財政影響を無視できない範囲」についてですが、市場規模にかかわらず、医薬品の同一の基準にすべきであると考えます。
5ページ目に示しておりますとおり、医薬品、約9兆円、特定医療材料、約1兆円、体外診断用医薬品、約0.4兆円と、市場規模は大きく異なりますが、そもそも財政影響を無視できない市場拡大を防ぐために導入する制度であることから、その市場規模にかかわらず、医薬品と同一の基準にすべきであるという要望でございます。また、導入する際には、技術料における制度上の課題を考慮していただきたいと思います。
1つ目の課題については、6ページ目をごらんください。検体検査実施料を含む技術料には医療機関での人件費、材料等が含まれており、また、その割合も高いことから、薬価と同様の原価方法では医療機関側への影響が大きいため、御考慮いただきたいと思います。
2つ目の課題につきましては、7ページ目をごらんください。薬価と製品が1対1であるのに対し、技術料には複数の製品が含まれています。個々の製品の市場拡大への寄与が異なるため、一律の価格算定を行うことは、製品の寡占化と安定供給の観点から問題になる可能性がございます。この点、御考慮いただければと思います。
ここで、申しわけございませんが、4ページ目に戻っていただけますでしょうか。業界意見の最後の部分についてですが、検体検査実施料を含む技術料の保険算定は、厳密な運用基準、留意事項が規定されており、市場が拡大するような場合には改めて、その留意事項の変更を含めた保険適用希望を出し、保材専で検討される制度になっています。これに該当しない市場拡大が起きた場合に関しても、保材専等で製販企業が意見を述べることができるようにしていただきたいと考えます。
改めまして8ページ目にお移りください。2つ目が「悪性腫瘍関連遺伝子検査に関する取扱いについて」に対する要望であります。こちらにつきましても、第436回中医協総会で示された論点です。この意見は、がん遺伝子パネル検査を想定したものであると解釈し、以下の要望を述べさせていただきます。
9ページ目をごらんください。まず、悪性腫瘍遺伝子検査の単項目測定検査と複数項目同時測定検査では、次の10ページ目に示していますように、医療上の有用性に違いがあるほか、その検査技術及び検査の費用構成も異なることから、次の改定で収載される複数項目同時測定検査は悪性腫瘍遺伝子検査の単項目測定検査の項目とは別に、新たな項目を新設して収載すべきであると考えます。
また、11ページ目に示しておりますが、がん遺伝子パネル検査にはプロファイリング目的とコンパニオン診断目的の2つの目的があり、目的により必要な検査工程が異なります。がん遺伝子パネル検査の実施に当たっては、必要な検査工程の実費用が担保される点数設定が必要であり、コンパニオン診断目的として使用する場合も、必要な検査工程の実費用が担保される点数設定を御考慮いただければと思います。この算定方法については、臨床検査関連学会が所属している臨床検査進行協議会でも同様の考えと伺っております。
さらに、12ページに示しておりますように、既収載の悪性腫瘍遺伝子検査の単項目測定検査の中においても、それぞれの項目ごとに、検査技術、検査の費用構成、医療上の有用性などが異なることから、一律の点数とする合理的妥当性はなく、検査原価を踏まえて点数を設定すべきであると考えます。特に対象例が少ない希少疾患等の場合には、流通や在庫管理への負担があるため配慮が必要であります。例えば、EGFR遺伝子変異の検査対象はDNAであるのに対し、ROS1融合遺伝子検査対象はRNAであり、検査対象が異なるため、検査技術も異なります。また、前処理方法につきましても、有効性、安全性の観点から最適化された方法が薬機法上の承認事項として規定されており、容易に変更できるものではありません。実際にこれらのことを考慮して設定された既存の3項目測定検査の点数は2100点から6520点と、個々の検査項目で異なる技術及び費用に応じた点数になっており、一律の点数とする合理的妥当性はないと考えます。今後も検査の原価を踏まえた点数設定をお願いいたします。
前回の意見陳述でお示しした要望事項についても継続的な課題といたしまして、参考資料に上げさせていただきました。
以上、体外診断薬業界からの提案を説明させていただきました。今後、開発導入される革新的な体外診断用医薬品は医療に大いに貢献できるものと確信しております。その活躍の場と枠組み、そしてその推進について、今後も継続的に議論させていただけますことを重ねてお願い申し上げます。
以上でございます。
○関部会長
ありがとうございました。
一通りの御説明をいただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。御発言の前にお名前をよろしくお願いします。
城守委員。
○城守委員
2号側の城守でございます。
今、るる御説明をいただきまして、それに対しまして何点かコメントを述べさせていただきたいと思います。
まず、資料の材-1でございますが、1番目の「外国価格調整について」でございます。3ページに矢羽根がございますが、この比較水準というのは、1.0倍ではなくて1.3倍という倍率が設定されているのは、御説明されたとおり、さまざまなコストがかかることを加味して、我が国への製品の円滑な導入とか、そして普及を確保する観点での配慮と考えております。現行の比較水準1.3倍は最低限必要な水準ということですが、製品の円滑な導入や普及を確保することに当たっては、例えば、1.3倍が1.2倍ないしは1.1倍、それがどうなのかと。そのあたりの妥当性を検証して判断する必要があろうかと思います。
続きまして、4ページの「既収載品に係る再算定」でございますが、これに関しましては、我が国の材料価格制度は、製品の構造とか使用目的、また効能効果等に着目した機能区分別に評価が行われているわけでございますが、海外で高く評価されて、異なる価格を有している製品につきましては、他製品と比べて高い臨床的有用性を有していることが考えられますが、その場合は異なる機能区分として評価されるのではないでしょうか。また、再算定につきましても、外国価格調整と同様に、製品の円滑な流通を確保するということに当たって、1.3倍である必要があるのか、その妥当性を検証、判断する必要があるのではないでしょうか。
続きまして、5ページ、「為替変動への対応について」でございますが、価格変動による影響については、一定の配慮をする必要があるといった御主張は理解はいたしますが、外国価格調整や再算定の比較水準は、我が国における、先ほどから申しておりますように、製品の円滑な導入、流通を確保するという観点から設定されたものでございまして、これを為替の変動に応じて調整することは、現実的にはなかなか難しいのではないかと思います。例えば、為替レートの平均を算出する対象期間を長くするといった方法で対応することも可能かと思いますが、これは制度設計上、今後議論をしていくこともあり得るかなと思っております。
続きまして、7ページの「原価計算方式におけるイノベーションの評価(2)」でございます。外国平均価格の0.5倍以下となる場合には、原価計算方式での申請が認められておりますけれども、外国価格比は1.0倍という上限も設けられており、これは外国価格の参照制度の一環として行われているという認識であろうかと思います。原則、類似機能区分があるものは類似機能区分の比較方式で算定することになっておりますことから、これを原価計算方式で算定する場合には、相応の妥当性が必要であろうと考えられますとともに、上限設定も含めて検討すべきかなと思っております。
続きまして、9ページの「保険収載後に市場が拡大した場合の対応」でございます。これに関しましては、通常の機能区分の合理化、細分化と、市場拡大再算定とをあわせて議論されておられますが、これは異なるものであって、切り離して議論すべきと考えております。市場拡大再算定においては、適応の追加等の市場が拡大している要因を踏まえて、機能区分を細分化することになるのではないでしょうか。
続きまして、10ページをごらんください。「著しく単価の高い製品に係る補正加算」でございますが、この費用対効果の評価に基づく加算部分の補正とは趣旨が異なるものでございまして、単価が著しく高い製品では、加算率が大きくない場合でも、補正加算額は大きくなることに対する対応であって、個々の製品特性に応じて調整するというのではなくて、やはり一律のルールを設定する必要があろうかと考えております。
「その他」に関しましては、事務局にて可能な範囲内で対応、御検討をお願いしていただければと思います。
続きまして、材-3について、少しだけコメントさせていただきます。材-3の4ページでございます。「保険収載後に市場が拡大した医療技術への対応」の部分でございますが、個々の技術料、検査項目でございますが、には複数の製品が含まれておりまして、個々の製品の市場拡大への寄与が異なることは理解はいたしますが、製品間での市場競争によるものであって、シェアが大きいもののみ見直されて、小さいものはそのままということはやはり不合理ではないかと考えております。
最後でございますが、材-3の9ページでございますが、「悪性腫瘍関連遺伝子検査に関する取扱いについて」ですが、これは中医協の総会でも出たテーマでございます。10ページに単項目検査と複数の遺伝子検査の比較が表で示されておりますが、単項目検査につきましては、個々の有用性を踏まえた評価を行いつつ、複数遺伝子検査については、サクセスレートとか作業時間と労力の効率化を踏まえて、単項目検査の点数の積み上げではない、適切な評価を行うべきではないかと考えております。
私からは以上です。
○関部会長
幸野委員。
○幸野委員
ヒアリングありがとうございました。何点か確認と意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、材-1の外国価格調整ですが、今でさえ結構複雑なルールになっているので、さらにこれにスライド制を、あえて為替が安定している今、入れるかと、意見陳述では、安定している今だからこそルールを設定していただきたいということなのですが、安定している今、これを見直す必要があるのかということをあえて言わせていただきたいと思います。
まず、1.3倍の妥当性ですが、前回の資料で、どれだけ影響を受けたかというと、平成28年から4年間で該当する区分が3区分であったこと、それから、平成30年度6月から令和元年度6月までの外国平均価格比が0.7から1.0に集中していることを踏まえれば、そんなに違った設定ではないのではないか、価格調整を見直す必要があるのかということについては少々疑問を感じます。
それから、現行のルールでも最高価格2.5倍外しのルールがありますし、3カ国以上では、1.8倍外しというルールは、為替をある程度考慮しているからこそ、外すことを設定されたのではないかと思っていて、今の為替変動が全く考慮されていないかというと、そうではないのではないかと思います。御提案の為替スライド方式を入れた場合に、ちょっとお聞きしたいのですが、2.5倍外しルールや、1.8倍外しルールは廃止することを前提にスライド制を提案されているのかということについて、まずお聞きしたいと思いますが、これについてはいかがですか。
○日本医療機器産業連合会(田中)
御質問ありがとうございます。医機連の田中でございます。
そもそも為替の変動は、先ほど申しましたように、円安に戻ったとしても価格が戻るような制度になっていない。一方通行と申しましたように、そういった制度であるがために、本当は戻していただきたいのですけれども、そうはいかないであろうということで、せめて為替スライド方式を入れていただきたいということでお示ししておりますので、さっき言われた2.5倍、1.8倍みたいなものも外していいよということは考えておりません。
○幸野委員
では、残した上でスライド制を入れると理解しますが、相当複雑なルールになるので、ちょっとどうかなと。
○日本医療機器産業連合会(田中)
先ほど城守委員からも御指摘ありましたけれども、複雑なので、ちょっと為替が変わっただけでこれをいじるのは非常に煩雑な部分もあろうということで御指摘をいただいているものだと思いますけれども、そういうことですと、例えば、2年に1回の改定のタイミングでこれを行うことにして、為替が変動したからすぐ変更するとかいうのではなくて、2年に1回の改定のタイミングにしていただくとか、そういうことで対応できるのではないかと我々は考えております。
○幸野委員
その上で私の意見を申し上げますが、今のルールもある程度為替を考慮しているので、想定を超えるような、例えば、2008年にあったリーマンショックのときに大きく為替が変動したというような事態が生じたときには個別に対応するということで、今のルールを維持するほうがいいのではないかと。本当に世界的な恐慌があったりした場合には、これは大事になりますので、そういう場合には特別なルールを設けるというのは必要ですが、今の状態で外国の価格調整を、スライド方式を入れるというのは妥当ではないのではないかと思いますので、意見として言わせていただきます。
それから、2点目の原価計算方式によるイノベーションの評価についても、前から言っているとおりで、材料については、営業利益部分、7.8%から価格全体の100%に加算を見直すことによって、現行に比べて12.8倍の補正加算が単純計算では乗じることになるのですが、この場合、開示度に応じた加算係数、50%未満で、もし8割減算の、医薬品と同じように0.2を乗じても、医薬品以上に影響を受けなくなるので、開示度に対するインセンティブがますます働かなくなります。今の薬価制度における、前回見直した価格全体にかけて、開示度に応じて減算するというのは、全然機能していなくて、いまだに医薬品においても6割ぐらいが開示度50%未満という状態になっているので、薬価専門部会でも、これはやはり見直すべきだと伝えているのですが、これを材料に入れてしまうと、医薬品以上に影響を受けないので、さらに開示度を増すインセンティブはなくなることから、ちょっと賛同しかねるということを申し上げます。
それから、市場拡大再算定の部分ですが、機能区分をどうするかということについては賛同させていただきます。医薬品の場合はとも連れということで、競合するものも同様に引き下げますが、競合しないものはとも連れしないというルールがありますので、機能区分の考え方は材料においてもちゃんと整理しておく必要があるので、9ページの前半の部分については、やはり検討すべきだと思います。
あと、基準額についてどうするかについては、市場規模が医薬品とは全然桁が違うので、これを同一にすることについては慎重な検討が必要なのではないかと思います。
それから、材-2のチャレンジ申請をC区分にも拡大してはどうかという提案については、賛同というか、これは検討の余地があると思います。
それから、共同利用ですが、これは我々も推進していくべきという考え方に変わりはありませんが、転医した場合は共同利用と言えるのかなということについては、確かにどうかと思いますので、今の基準を見直すことについては慎重に検討する必要があると思います。
材-3のがんの遺伝子検査については、多分、これからどんどん拡大していくことが想定されて、対象患者数も限りなく増えることが想定されますし、1つの検査の単価も数万円ということがありますので、いずれ包括化せざるを得ないので、これはいたし方ないのではないかと思います。
以上でございます。
○関部会長
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、関係業界からの意見陳述については、ここまでとさせていただきます。
本日予定された議題は以上です。本日の業界意見陳述の内容も踏まえて、次回、事務局より、令和2年度保険医療材料制度改革の骨子案を作成していただきたいと思います。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いします。
それでは、本日の保険医療材料専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 
 
 


 

 

(了)
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