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2024年3月13日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第223回議事録

○日時

令和6年3月13日(水)

○場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F

○出席者

安川文朗部会長 笠木映里部会長代理 小塩隆士委員 本田文子委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員
藤原尚也専門委員 石牟禮武志専門委員 荒川隆治専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○市場拡大再算定に関する対応について

○議事

○安川部会長
 おはようございます。ただいまより、第223回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は全員が御出席です。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 今回は「市場拡大再算定に関する対応について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 資料薬-1を御覧ください。
 本日は、令和6年度薬価制度改革に関連する事項として、市場拡大再算定の類似品の取扱いについて議論をいただくために資料を準備しております。
 2ページ目ですが、薬価制度改革の骨子です。類似品に関しては、あらかじめ中医協で領域を特定して、当該領域は類似品としての再算定の適用を除外することとされています。この取扱いは、令和6年度の四半期再算定から適用することとしており、最初の四半期再算定は5月に判断しますが、この際に用いるデータは3月のNDBデータですので、今月のうちに中医協で御議論いただくものです。
 中医協における手続は、1月17日の中医協資料で示していますが、薬価専門部会で検討し、総会に報告した上で決定することとしておりますので、本日は、まず、薬価専門部会での議論といたしました。
 3ページ目を御覧ください。
 薬価算定の基準における市場拡大再算定の類似品の規定でございます。
 最後に書いている赤字が、今回、追加したものです。また、既に黒色の太字のただし書きがありますが、再算定の対象品と競合性が乏しいと認められるものは、除外する規定はありますが、この規定では判断できないことが多いので、個別判断が難しい状況でございます。
 4ページ目、業界からの要望において、課題のある領域として、免疫チェックポイント阻害薬が示されており、また、業界からの意見聴取の際には、さらに、JAK阻害薬も例示として示されております。
 5ページです。
 再算定類似品の検討に当たっての課題は、薬価制度改革の議論において、11月の資料で示しております。
 今回の検討に当たっては、このとき示した課題も踏まえ、下の4つの考え方に基づき、製薬業界から示されている2つの領域を検討対象といたします。
 考え方としては、新薬として開発が積極的に進められ、対象部位や、対象疾患などに応じた適応拡大が繰り返し行われている領域であること。
 適応拡大の結果、市場規模の拡大によって再算定の対象となることが見込まれる領域であること。
 再算定を適用する場合、品目ごとの適応の違いによる競合性等の観点から類似品としての再算定の適用範囲を判断することが難しく、予見可能性に課題があると考えられる領域であること。
 また、対象を薬価算定に用いている「類似薬選定のための薬剤分類」において明確に特定できる領域であること。
 そういった点を基に考えることにしております。
 6ページ、まず、候補となる薬剤を順に説明いたしますが、免疫チェックポイント阻害薬であるPD-1/PD-L1阻害薬です。
 この阻害薬は薬理作用に基づき、様々ながん種を対象に開発されており、現在6成分ありますが、それぞれの医薬品は順次適応拡大されております。
 7ページ目、この事例は、今回の令和6年4月の改定における再算定の例でございます。バベンチオが再算定の対象となりましたが、類似品としては、バベンチオと同じ適応を持つ製品となり、オプジーボとキイトルーダが該当しました。キイトルーダは、類似品としての再算定を回避できるルールにより、今回は再算定の対象となっていません。適応を多く有する製品ほど、ほかの品目が再算定になったときに類似品に該当しやすくなるというものでございます。
 8ページ目は、令和3年の事例ですが、テセントリクが再算定の対象となり、色がついている適応を有する薬剤が類似品となったものです。
 9ページ目、PD-1に関しては、薬剤分類においては薬理作用の項目で、「PD-1/PD-1リガンド結合阻害作用」としているものが明確に該当します。
 10ページ目は、再算定の実績です。
 次に11ページ、ヤヌスキナーゼ阻害薬、JAK阻害薬と呼ばれるものです。
 この阻害薬は、炎症性サイトカインに関連する箇所に作用するため、免疫が関係する疾患として関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、クローン病など広く開発されております。
 現在、内用薬は7成分、外用薬は1成分あります。
 12ページ目、今回の令和6年4月改定における再算定の事例です。リンヴォックが再算定の対象となりましたが、類似品としては、リンヴォックと同じ適応を持つ製品となり、青枠で囲まれている医薬品が類似品に該当しました。
 内用薬では1成分だけ適応が一致しないので、類似品に該当しないとされたものでございます。
 こういった領域も対象疾患が広がるほど、類似に該当しやすくなるものです。
 13ページ目、14ページ目ですが、JAK阻害薬に関しては、薬剤分類においては薬理作用の項目で、「ヤヌスキナーゼ阻害作用」としているものが明確に該当します。
 次の15ページ目は、再算定の実績です。
 以上を踏まえて、今回の論点でございます。
 「現状」の枠は、これまで説明した内容をまとめたものであり、最後の「論点」の枠を御覧ください。
 1つ目、作用機序や該当する品目の効能・効果の重複状況、これまでの再算定の実績等を踏まえ、PD-1/PD-L1阻害薬、JAK阻害薬を、類似品としての再算定の対象から除外する領域として特定することについて、どのように考えるか。
 2つ目、このほかの新たな領域については、次期薬価制度改革の検討に併せて関係業界からの意見も踏まえ、必要に応じて検討することとしてはどうかということで、資料をまとめておりますので、本日は、お示しした論点に基づき、御意見をいただきたいと考えております。
 なお、今後の手続に関してですけれども、仮にこの類似品として、再算定の対象から除外する場合は、資料の3ページ目に、薬価算定の基準がございますが、この基準を改正して具体的な領域を明記するということではなく、中医協の了承事項として、別途取りまとめ文書を示していく、そういったことを想定しております。
 何らかの方針を示すとすれば、次回の薬価専門部会で本日の議論を踏まえて、まとめていく予定でございます。
 説明は以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明について、何か御意見、御質問等がございましたら、お願いいたします。
 では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 では、16ページに論点が2つ示されました。まず、1つ目の論点について質問します。
 今回、いわゆる共連れの対象から、2つの領域の阻害剤を除外したとしても、これらの医薬品が適応を拡大して、ルールに当てはまれば、通常の再算定は適用されるという理解でよいでしょうか。
 2つ目の論点については、異論ありません。
 次に、本日の議題ではありませんが、不採算品再算定についてコメントすることをお許しください。
 医薬品の安定供給が製薬企業に対して求められていることは、この中医協でも再三指摘してまいりましたが、最近また、限定出荷される品目が増えているようです。
 3月5日付で、厚生労働省として業界に対し、今回、不採算品再算定の適用となった医薬品は、保険医療上の必要性が高いと考えられる品目として製薬販売業者から報告されたものであり、その安定供給を継続していくために、適正な価格で流通されることが望まれますと述べられていることを踏まえれば、不採算品再算定を受けた品目については、流通の動向を厚生労働省の責任において継続的に確認をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 今、長島委員から1つ確認の御質問がありましたが、それについて、事務局、いかがでしょうか。お願いします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 まず、本日の議題であります、市場拡大再算定に関する御質問に対して御説明いたします。
 今回、議論をいただく対応については、類似品の適用を除外するものでございます。ですから、御指摘のとおり、個々の医薬品に関しては、それぞれの市場規模を拡大して要件を満たせば、市場拡大再算定のものが適用されるというものでございます。
 これらの領域については、適応拡大を続けている中で市場規模が拡大するということが多いので、収載時の薬価算定方法、原価計算方式、類似薬効比較方式どちらにおいても、一定規模の拡大があれば再算定が適用されることになりますので、医療保険財政の観点としても、適切に対応できるのではないかと考えております。
 以上です。
○安川部会長
 長島委員、よろしいでしょうか。
○長島委員
 はい。
○安川部会長
 ほかにございませんか。
 では、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 対応案や論点について、幾つかコメントなどをさせていただければと思います。
 類似品の取扱いですが、制度導入当時は、適応症が共通する薬剤を対象に、類似品としての取扱いが行われてきましたが、近年、薬理作用により、様々な疾患等への適応拡大がなされる薬剤が存在するようになり、そのような薬剤における競合性の複雑さを踏まえ、企業の予見性への配慮の観点からも、類似品としての再算定の取扱いについて検討することは重要と考えます。
 まず、資料の5ページ目に示されてある対応案について、異論はございません。
 次に、資料の16ページ目に示されている論点についてですが、論点の1つ目の○について、PD-1/PD-L1阻害薬、JAK阻害薬を、類似品としての再算定の対象から除外する領域として特定することでよいと考えます。
 次に、論点の2つ目の○についてですが、新たな領域について、次期薬価制度改革の検討に併せて、関係業界からの意見も踏まえて対応していくことでよいと考えます。
 関係業界におかれましては、具体的に除外する必要のある領域について、その必要性や理由、その考え方、対応を行った場合の影響などを分かりやすく御説明いただけるよう、準備や関係者との連携などをお願いできればと思います。
 その際には、ドラッグ・ラグ/ロスへの影響なども示していただけると理解が進むものと考えます。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに、御意見、御質問ございますでしょうか。
 では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 まず、5ページに示されております対応案についてでございますが、あくまでもPD-1/PD-L1阻害薬とJAK阻害薬に限って検討対象とするということで理解をするものでございます。
 それを受けた上で、16ページの論点についてコメントをしたいと思います。
 現状の欄にございます、これまでの再算定の実績に記載されているとおり、事務局から提案のあった2つの領域につきましては、過去にも同じ作用機序の薬剤で、適用範囲の違いから対象とならなかった品目が存在するということですので、個別の判断を明確にするという観点から異論はございません。
 したがいまして、2つ目の論点については、個別の事例を積み重ねていき、新たな領域を指定することについて、必要に応じて検討することは否定するものではございませんが、仮に除外領域を拡大するのであれば、実績をしっかり示していただいた上で個別に妥当性を判断すべきものであり、先ほど5ページに示されました考え方に該当する領域が、自動的に対象から除外されるものではないということは指摘させていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。
 では、長島委員、お願いします。
○長島委員
 先ほど要望させていただいた、不採算品再算定に関する確認について、事務局から何かコメントがあるようでしたら、お願いできればと思います。
○安川部会長
 それでは、事務局、いかがでしょうか。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長
 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
 長島委員から御指摘がございましたとおり、不採算品再算定の趣旨に鑑みまして、3月5日付で、日薬連、卸連、医師会、薬剤師会と、それから流通関係団体全てに対しまして、不採算品再算定の趣旨に鑑み、対象品目が適正な価格で流通するよう適切な対応をお願いするということを発出させていただいてございます。
 この事務連絡に記載したとおり、不採算品再算定の適用となった医薬品、これは、保険医療上の必要性が高いものであり、まさに現下は、供給不安が続いているわけでございますが、まさに安定供給を継続させていく必要があるものでございます。
 そうした観点からも、不採算品再算定で薬価が上がるということを念頭に、製造販売業者が売り惜しみをするということはあってはならないことだと思っておりますので、私どもとして、しっかりそうした状況の把握に努めるとともに、安定供給に支障を来すような事案が発生した場合には、必要な指導を行ってまいります。
 以上です。
○安川部会長
 長島委員、今の御説明でよろしいでしょうか。
○長島委員
 はい、しっかりとした対応をお願いいたします。
○安川部会長
 ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 ほかに質問がないようでしたら、本件に係る質疑は、このあたりといたします。今後、事務局におきましては、本日頂戴した御意見を踏まえ、御対応いただきますようにお願いをいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
                                                     

<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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