このページではJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にしてください。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第220回議事録(2023年12月13日)

 
 

2023年12月13日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第220回議事録

○日時

令和5年12月13日(水)総会中断後~

○場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F

○出席者

安川文朗部会長 笠木映里部会長代理 小塩隆士委員 本田文子委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員
藤原尚也専門委員 石牟禮武志専門委員 荒川隆治専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○令和 6 年度薬価 制度改革 の骨子( たたき台 )について

○議事

○安川部会長
 それでは、ただいまより、第220回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、全員が御出席です。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 今回は「令和6年度薬価制度改革の骨子(たたき台)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。資料薬-1を御覧ください。
 本日は、11月29日に示しました論点整理案や、関連する議論を踏まえまして、令和6年度薬価制度改革の骨子のたたき台を作成しました。
 また、たたき台に関連する資料や、一部の項目は、改定内容に関する議論が必要でございますので、資料薬-2も作成しております。
 まず、両方の資料を一通り説明させていただきます。
 資料薬-1、まず「第1 基本的考え方」ですが、これまで示していたイノベーション評価と安定供給の観点に加え、骨太の方針や別の場でも議論されております、長期収載品の取扱いの件もございますので、3つ目の矢羽根も追記しているものでございます。
 次に「第2 具体的内容」の「1.ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消に向けた革新的新薬のイノベーションの適切な評価」に関してです。
 まず「(1)日本への早期導入に関する評価」は、①の「革新的新薬を日本に迅速に導入した場合の評価」については、論点整理の内容と同様でございます。
 2ページ目でございます。
 ②の「収載後の外国平均価格調整」は、最初の○のただし書きで、ルールを適用する期間を示しておりますが、ほかの箇所は論点整理の内容と同様です。
 次に(2)の「① 新薬創出等加算の見直し」でございます。
 企業要件・企業指標に関しましては、このページの最後の○に書いていますけれども、加算係数の設定に用いていた企業指標は廃止しますが、本制度における革新的医薬品の国内開発を進めていく趣旨は継続させるため、新薬創出等加算の対象となる企業につきまして、現行の対象企業の要件に追加をすることとしております。
 具体的には、加算係数に用いていた企業指標の項目を基に、この資料の11ページ目の別添1で示している項目に従って、企業ごとの開発状況を確認し、過去5年間、いずれの項目も満たさない企業は、新薬創出等加算の加算対象外とすることとしております。
 また、3ページ目の最初の○にありますけれども、これらの項目につきましては、各企業における開発状況が把握できるものでもございますので、後で説明いたしますが、これらの検証においても活用することということで記載をしております。
 品目要件、加算額、控除時期は論点整理のとおりです。
 「② その他の運用の見直し」の内容も論点整理のとおりでございます。
 次の「(3)新薬の薬価収載時における評価」も、論点整理のとおりでございます。
 4ページ目「(4)新薬の薬価改定時における評価」は、引上げによる患者負担増への影響等を配慮するため、1.2倍の上限値を設定する旨を追記しております。
 資料薬-2の中にも書いておりますが、改定時加算は、加算ごとに最大15%の価格引上げが可能ということになっていますので、併算定を可能にすることも踏まえて、1.2倍という上限を設定いたしました。
 「(5)小児用の医薬品に関する評価」は論点整理のとおりです。
 次、5ページ目「(6)新規モダリティのイノベーション評価」、「(7)その他のイノベーション評価に関する事項」は論点整理のとおりです。
 7ページ目「(8)市場拡大再算定の見直し」の①の「類似品の取扱い」については、あらかじめ領域を特定して適用除外する取扱いを示しておりますが、これは、令和6年度の四半期再算定から適用することとし、特定すべき領域については、今後中医協で議論することとしてはどうか、とするものでございます。
 ②、③は、論点整理のとおりです。
 次「(9)長期収載品における対応」は、長期収載品の保険給付の在り方について、社会保障審議会医療保険部会での議論において、実施の方向性が示されておりますので、これを踏まえ、今回の改定では薬価改定ルールの見直しを行わずに、必要な検証等を行って、さらなる長期収載品の薬価上の措置について検討することとしてはどうか、としております。
 次、8ページ目「2.後発医薬品を中心とした医薬品の安定供給確保のための対応」です。
 「(1)後発品の安定供給が確保できる企業の考え方」の「① 企業指標の導入及び評価」、「② 企業指標の評価結果の薬価制度における取扱い」は、今回の改定では、後発品の価格帯について対応を行う方針でまとめておりますが、具体的には、企業指標に基づくシミュレーション結果と併せて、資料薬-2で説明したいと考えております。
 次、8ページ目の下「(2)後発品の新規収載時の価格」と、9ページ目の「(3)価格の下支え制度の充実」の「① 基礎的医薬品」は、論点整理のとおりで、「② 不採算品再算定」については、本日の議論等を踏まえて整理することにしております。
 次「3.その他の課題」の「(1)医薬品流通」、「(2)診療報酬改定がない年の薬価改定」、「(3)高額医薬品に対する対応」については、論点整理のとおりでございます。
 次、10ページ目、最後に「第3 その他」として、今回、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消、イノベーションの適切な評価、そして、医薬品の安定供給確保の視点に関しまして、今回の薬価制度改革の影響等を検証するということにつきまして、それぞれ記載をしているものでございます。
 11ページ目以降は、骨子の項目に基づく別添の資料でございます。
 骨子のたたき台の説明は以上となりますが、次に、資料薬-2を説明いたします。薬-2を御覧ください。
 まず、3ページ目から、先ほど説明した骨子のたたき台において、論点整理の内容から変更のあった項目について、補足説明の資料を示しております。
 4ページ目は、先ほどの新薬創出等加算の対象企業の考え方に関するもの。
 飛んで7ページ目は、新薬創出等加算の見直しイメージ。
 8ページ目は、その前提となった業界からの提案に関するものでございます。
 10ページ目は、市場拡大再算定の類似品の取扱い。
 12ページ目は、改定時加算の関連で、13ページも同様ですが、改定時加算の上限が最大15%ということ、そして、併算定では、それらの和を加算する仕組みとなっている現行制度の説明資料です。
 次に、14ページ目、後発品の企業指標に基づく評価のシミュレーションでございます。
 15ページ目に、シミュレーションの評価対象を示しております。
 後発品を製造販売する190社について、後発品と、その他品目という、両方の分類に当たる品目について評価を行いました。
 次、16ページ目、この評価の考え方は以前お示しをしましたが、具体的なポイントの付与方法等をまとめたものでございます。
 項目ごとの評価方法の詳細と、その分析結果につきましては、この資料の31ページ目以降にまとめているものでございます。
 17ページ目、こういった評価の結果、以前お示しした評価方法で、具体的に点数化して高いほうから並べた結果、18ページ目のとおりとなりました。
 A区分は、上位20%と示しておりましたので、分類すると41社がA区分となります。そして、合計点数がマイナスの企業はC区分としております。
 また、19ページは、ポイントには加算と減算がありますので、評価項目ごとのポイントの内訳を示しております。
 合計点が上位になる企業につきましては、他社品目をカバーして増産したことなど、安定供給の取組が評価されているというものでございます。
 一方、合計点が低い企業は、自社都合の出荷停止等もありますし、品目の乖離率が大きかったものもマイナス要素としては大きく影響しているというものでございます。
 次、20ページ目、薬価制度における試行的取扱いでございます。
 21ページ目に対応案を示しております。
 今回は価格帯に関して対応を行うこととして、まず、収載から日の浅い品目として、最初の後発品収載から5年以内の後発品。
 もう一方で、長年収載されたものの下支えの必要性の観点から、安定確保医薬品のAまたはBに該当する医薬品を対象としました。
 対象となるものを限定するため、適用条件として、後発品全体の平均乖離率以内であること、そして、仮に今の後発品のルールで集約した場合に、最も高い価格帯となる品目であること。
 また、自社理由による制限出荷等がないもの、そういったものを対象とすることを条件としました。
 その結果、22ページ目のように、収載後5年以内のものであれば、およそ100成分規格、安定確保A、Bであれば、20成分規格が対象になり得るものでございます。
 企業ごとに価格帯を別にするという対応であれば、それだけ価格が増えますけれども、今回はA区分の企業の価格帯を1つに集約することで、価格帯の増加を抑えるように整理しております。
 23ページ目「薬価制度における試行的取扱いの論点」ですが、まず、シミュレーション結果を踏まえて、今回の令和6年度薬価改定から企業指標の導入と評価を行うこと。
 次に、薬価上の取扱いは、後発品の価格帯における対応として、その影響を今後検証していくこと。
 そして、最後の論点は、今回の薬価制度改革の影響等の検証を行いながら、安定供給が確保できる企業の考え方や、評価結果の薬価制度における取扱いについては、引き続き議論を行うこと、そういったことをまとめておるところでございます。
 24ページ目以降は、関連資料で、参考でございます。
 また、今回は適用しない評価項目になりますが、情報公表に関しましては、この資料の41ページ目、42ページ目で、今後の整理事項であるということを示しておりますし、43ページ目、これはイメージでございますが、今後、関係する企業情報の可視化に関する情報公表ということで、こういった方法で、厚労省のホームページから確認できるようにということを考えているものでございます。
 続きまして、46ページ目、不採算品再算定でございます。
 47ページ目は、令和5年度改定における臨時・特例的な対応、48ページ目は、業界資料ですが、物価高騰の影響がまだ継続しているという状況、49ページ目は、医薬品の供給状況の資料ですが、今でも医薬品全体の24%では、限定出荷、供給停止となっているという結果でございます。
 次に50ページ目、これらを踏まえまして、今回の改定における不採算品再算定の考え方をまとめております。
 「考え方」の枠の中の上、「現状」でございますが、上の3つの○は、先ほど説明した現状のとおりでございますが、4つ目の○、令和6年度の不採算品の状況は、現在、企業の希望を整理している段階でございますが、前回より企業からの希望が多くなっているという状況でございます。
 こういったことを受けて「対応として考えられる方向性」に記載しておりますが、現行の不採算品再算定のルールであれば、対象となる組成、剤形区分、規格、全ての企業が不採算でないと不採算品再算定は適用されないということになりますが、そういった運用になりますと、採算が合わず、継続して製造販売ができなくなる品目もあり得るということであれば、こういった状況下の措置としては、前回に引き続き、希望した全品目を対象とすることも考えられるのではないかということで、示しているものでございます。
 一方で、次の○でございますが、昨年度の薬価改定の議論から現在まで継続して御指摘いただいていますけれども、こういった医薬品に関しましては、流通段階で適正な価格で販売されているのかという点が指摘されております。
 先に51ページ目を御覧ください。
 こちらは前回の令和5年度改定で不採算品再算定が適用された1,100品目の、今回の薬価調査における乖離率を品目ごとに集計したものでございます。
 この再算定を受けた1,100品目全体の平均乖離率は3.3%。品目ごとの状況を見ると、今回平均乖離率は6.0%でしたので、大半の品目は平均乖離率未満、または平均乖離率に近い値でございますが、12%を超えているものが全体の6%、9%を超えたものが合計すると14%となっているものでございます。
 50ページ目に戻っていただいて、「考え方」の最後の○ですが、この乖離状況より、大半の品目は、流通において適正な取引をしていたものと考えられますが、今回、令和6年度の不採算品再算定の検討に当たりましては、今回の薬価調査において適正な取引をしていたものが前提として考えると、品目の乖離率の状況も考慮して、不採算品再算定の適用から除外することが考えられるのではないかということで、記載をしているものでございます。
 最後の「論点」は、上記の考え方で対応することについて、どのように考えるかとしております。
 53ページ目以降は参考資料で、薬価調査の平均乖離率や仕切価に関する資料を添付しております。
 資料の説明は以上となりますが、本日は、この骨子のたたき台でまとめている内容と、後発品の企業評価や不採算品再算定のように、追加で議論をしていただく必要があるものがありますので、資料が大部になってしまっておりますが、それぞれの資料について御意見をいただきまして、本日の議論を踏まえて、最終的には、令和6年度の薬価制度改革の骨子案をまとめていきたいと考えているところでございます。
 説明は以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について、御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 では、長島委員、お願いします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 全体としまして、今までの議論が整理されており、たたき台の取りまとめに尽力された事務局に、感謝いたします。
 その中で、幾つかの点についてコメントします。
 まず、1ページの「第1 基本的考え方」です。
 2つ目の矢羽根にある安定供給については、これまでも申し上げてきたとおり、産業構造の転換は、後発医薬品企業だけが取り組む問題ではありません。医薬品業界全体で取り組むべき課題であり、3つ目の矢羽根に記載された内容も必要と考えます。
 続いて、2ページの新薬創出等加算の見直しについてです。
 今回の新薬創出等加算の見直しに対する全般的なコメントとして、先日の業界ヒアリングでは、制度を見直しても、すぐにその効果が現れてくるとは予想し難いということでした。
 しかしながら、薬価改定の影響に関しては、今後の薬価制度改革における議論において必要なことであります。
 したがって、今回の新薬創出等加算の見直しをはじめとする新薬に係る改正内容については、10ページの「第3 その他」の(1)にあるように、ドラッグ・ラグ/ロスの解消等の医薬品開発にどのような影響が、特に効果が出ているか、しっかり検証していただく必要があると思いますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、4ページの「(4)新薬の薬価改定時における評価」については、患者負担増への影響等を配慮して、1.2倍を上限とすることについては、1つの指標としてあり得るのではないかと思いますが、この影響については、今後も検証していただくことが必要と考えます。
 5ページの「新規モダリティのイノベーション評価」について、再生医療等製品は品目がまだ少ないことから、医薬品あるいは医療機器の算定方式に準じて検討がされているところであり、いずれは整理されていくべきものと考えます。
 8月23日の薬価専門部会では、引き続き事例を集積し、再生医療等製品の特徴を踏まえた薬価算定の在り方について検討することに賛同しているところです。
 これとは別に、医薬品における新規モダリティに関しては、業界からの要望も踏まえ、議論を進めていくことでよいかと思います。
 ただ、医薬品と再生医療等製品については、制度上別の議論となりますので、現時点では、混ぜて議論するべきではなく、医薬品は医薬品、再生医療等製品は再生医療等製品として明確に区別していただくことが必要と考えますが、事務局の見解を教えてください。
 また、①の「原価計算方式における開示度向上」について、引き続き検討を進めることに異論はありませんが、再生医療等製品については、現時点で国内開発品のほうが多いのではないかと思います。それらについても開示度が低いのでしょうか、教えてください。
 8ページの「(1)後発品の安定供給が確保できる企業の考え方」についてです。
 総論として、安定供給を推進する観点から、今回の薬価制度上の対応に理解を示すところですが、そもそも、行政指導、行政処分を受けている企業や品目については、GMP、GQP、GDPといった運用基準に従い、品質が確保された製剤を市場に供給できるよう、体制を早期に整えていただきたいと思います。
 また、ジェネリック医薬品については、先発医薬品と治療学的に同等であるものとして、製造販売が承認されているという国による説明があるにもかかわらず、患者さんにとりましては、どの会社の後発品が調剤されるかによって、自己負担が変わってくるような状況にもなっておりますので、品質や企業の体制によって、同じ成分でも薬価が異なることについて、国が国民・患者に対して説明を果たすべきと考えます。
 続いて、この部分の各論ですが、薬-2の22ページを見ますと、企業評価がA区分の企業が製造販売する後発品について、今回の対応案で示された要件を適用した場合の対象品目の概数は、成分規格として約120件とのことです。
 これを現行の3価格帯とは別の取扱いにするにしても、3価格帯に集約する制度設定時の趣旨を踏まえると、この価格数があまりに多くなるのは避けるべきだと考えます。
 いずれにしても、今回の試行による影響についてデータを収集してフォローしていくことが重要だと考えます。
 ここで事務局へ質問します。
 後発品の数が約8,600品目あるとされている一方で、いわゆる準先発品として扱われている品目、すなわち、昭和42年以前に承認薬価された医薬品であって、後発医薬品があるものについては、現在、約4,400品目程度あるかと思います。今回の企業指標の導入にあっては、こうした準先発品については、どのように扱われるのでしょうか。
 最後に9ページ「② 不採算品再算定」についてです。
 不採算品再算定については、乖離率が大きい品目を適用対象から除外することは適切であると考えます。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 今、長島委員から大きく分けて2点、延べ3点の御質問があったかと思いますが、事務局、御質問に対する御回答をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 まず、新規モダリティに関する御指摘でございます。便宜上、医薬品、再生医療等製品という形で書いておりますけれども、実際にこういったことを検証する際には、再生医療等製品につきましては、今、医薬品と医療機器、どちらかとして取り扱うということになっておりますが、再生医療等製品としてどう考えるかということで、そういった整理をしていくべきものだと思いますし、そういった指摘は業界のほうからもいただいているものと認識しておるところでございます。
 それに関連して、再生医療等製品の開示度に関しまして、こちらは、実際の品目数自体がまだまだ少ないので、一概に申し上げるところは難しいのですけれども、開示度が高いものもあれば、そうでないものもありますので、そこも含めて、どういった対応をすべきものなのかというところは、今後、整理が必要かと思っているところでございます。
 そして、後発品の関係でございます。準先発品、昔からの品目でございますが、今回、企業指標として、安定供給に係る様々な指標を評価する際には、後発品のみならず、そういう昔からの「その他品目」と言われているものも含めて評価しているものでございます。
 それをどう薬価に反映するかというところでは、様々な対象範囲が考えられるかと思いますが、今回の後発品の価格帯であれば、後発品の分類の中での整理になります。
 もう一点、先ほどの価格帯のところにつきまして、御指摘のとおり企業数が多くなって、価格帯が多くなると、3価格帯に集約することとした、これまでの経緯もございますので、我々としても、最初の試行的段階の中では、まずは、A区分のものを1つの価格帯にまとめた上で、どう影響が出るかというのを見ていければと思っているところでございます。
 説明は以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 長島委員、いかがでしょうか。
○長島委員
 ありがとうございました。
○安川部会長
 ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 では、森委員、お手が挙がっております。お願いいたします。
○森委員
 事務局におかれましては、これまでの議論などを踏まえ、令和6年度薬価制度改革の骨子を作成いただき、ありがとうございました。
 薬-2に示されている考え方や論点などについて、おおむね異論はございません。
 50ページ目の不採算品再算定についてですが、先ほど長島委員からも指摘ありましたけれども、臨時・特例的な措置として、希望した全品目を適用することは理解できますが、令和5年度薬価改定において、臨時・特例的に不採算品再算定を適用された品目において、乖離の大きい品目が一部に認められることには十分留意する必要があります。
 せっかく不採算品再算定を適用したとしても、すぐに安売りされてしまうのであれば意味がありません。資料にあるように、9%を超えるような品目は、さすがに行き過ぎではないかと思います。
 平均乖離率を大きく超えた品目については、不採算品再算定の対象から除外することに異論はございません。
 いずれにしても、今回の薬価改定において、不採算品再算定の対象となった品目については、その後の乖離状況等を注視し、今後の採算品再算定の在り方を検討する必要があると考えます。
 また、たびたび指摘させていただいておりますけれども、総価取引などの流通上の課題も指摘されているところですので、その是正に向けた対応が必要と考えます。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
 では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、令和6年度薬価制度改革の骨子のたたき台についてコメントいたします。
 まず、最初に示されています、基本的な考え方につきましてでございますけれども、当然、財源には限りがございますので、記載はございませんけれども、医療保険制度の持続可能性の確保が前提であることを改めて指摘させていただきます。
 続きまして、具体的な内容につきまして、大きく4点にポイントを絞ってコメントいたします。
 まず、資料の2ページの一番上段のところから始まっております、収載後の外国平均価格調整についてでございますが、以前にも申し上げましたとおり、外国価格が高いという理由だけで、既に使われている医薬品の薬価を途中から引き上げることは、患者の理解が得られないという基本認識は変わっておりませんし、以前にほかの委員からも御指摘があったとおりでございます。
 しかし、収載後に薬価を引き上げる仕組みがないために、企業の経営判断として薬価が高いほかの国で先に上市した後で、日本に導入する戦略を取れば、結果的に、日本への導入が遅れ、なおかつ高い薬価がつくことになります。
 そうした企業戦略を、また否定することもできません。仮に引上げを適用するのであれば、単に上限を設定するだけではなく、実際に該当品目が発生した場合には、患者の理解を得られるように、企業にも努力をしていただくことが必要だと考えます。
 さらに、引上げの導入によって、企業の戦略がどのように変わるのか、マインドを含めて丁寧に検証することは不可欠だと考えます。
 また、今回の改革で、迅速導入加算の新設や有用性系加算の見直しが行われた場合、新規収載時の薬価が充実することになります。
 それでも、なお日本の薬価が低いということであれば、どこに原因があるのか。例えば、イノベーションがまだ評価できていない、あるいは為替の影響、あるいは保険償還率の違い等、そうした別の形の議論が必要だと考えております。
 次に、2ページの下にございます、新薬創出加算の見直しについてです。
 企業指標を加算率の調整には使わず、対象企業要件として位置づけるということで、業界からの提案に基づくものと理解をしております。
 最初の事務局案からは前進したと受け止めますが、先日のヒアリングでは、この指標を対象企業要件として活用する影響について、明確な回答は得られませんでした。
 また、累積額の控除については、本日の資料の3ページの中ほどで、医薬品開発への影響等を検証した上で、次期薬価改定、我々は令和7年度と受け止めておりますけれども、そこに結論を出すということで、やむを得ないと考えましたが、業界ヒアリングでは、薬価改定は2年に1回が基本であり、新薬創出等加算の控除時期は、ほかのルートとの整合性を踏まえ、慎重に検討されるべきとの資料が提出され、さらに薬価を維持することでポジティブな効果が出るまで、10年程度かかるという御発言もございました。
 正直申し上げますと、イノベーションの推進につながるのか、依然として不安があります。したがいまして、企業指標に反映されない開発方針の変化等を早急に調査していただき、中医協の議論に活用できるよう、業界と事務局に強く要望するものであります。
 続きまして、骨子の8ページからございます、後発品の安定供給が確保できる企業の考え方についてコメントいたします。
 資料薬-2の18ページのシミュレーション結果を見てみますと、最高得点から最低得点まで傾斜がかかり、比較的きれいな分布になっているという印象を持ちました。
 また、19ページを見てみますと、左のほうに位置する企業は、他社品の増産、グラフ上は黄色で示されておりますけれども、プラスに作用し、一方、中ほどの企業、BからCの上位の企業は、プラスとマイナスいずれも振れ幅が比較的小さく、右のほうに行くとプラスが小さく、出荷停止、限定出荷、これは赤とか緑で示されておりますけれども、そうしたもののマイナスが大きいという傾向が分かります。
 ただ、左側のプラスが大きい企業でもそれなりにマイナスが大きく、業界全体として安定供給が大丈夫なのか、強い不安を覚えるものです。
 また、19ページのA区分とB区分の境界を見てみますと、B区分に入っている数社は、他社製品の増産をしていますので、20%で線を引くのか、議論の余地があるように思います。
 また、C区分の中ほどでも左のほうと右のほうでは、かなり状況が違っておりますので、やはり企業指標の一部のみを先行的に適用することで弊害が生じないのか、疑問を持つものです。
 骨子の8ページ、②、薬価制度における取扱いについては、一定程度理解できますので、仮に試行的に実施するとしても、安定供給に支障を来すことのないよう、企業区分の線引きについては、ここでは判断を保留させていただきたいと思います。
 最後に、不採算品再算定については、同じく資料薬-2の50ページに「対応として考えられる方向性」が示されておりますが、原則ルールを超えた対応はすべきではないというのが基本的な認識です。
 しかしながら、現行ルールに限った運用では、安定供給にさらに支障が出ることが否定できないことや、資料の51ページを見てみますと、令和5年度に特例対応した品目の平均乖離率は3.3%と、全体平均のおおむね半分程度になっており、薬価差が縮小する中でも、特に手堅く販売をしているという実態を考慮することも、一定程度は理解できます。
 ただ、ほかの委員からも御指摘がありましたが、特例対応品の中でも、かなりの値引きをしているものも散見されております。
 仮に特例対応を再度実施する場合には、前回の特例対応のベースとなった令和4年度薬価調査の平均乖離率7%を超えるものについて、除外することが妥当だと考えます。
 さらに、物価高の影響があるとしても、こうした特例対応を繰り返せば最低薬価の問題と同様に、値引きをしても薬価が戻るという悪循環に陥る懸念がございます。そもそもの原因が一種の制度疲労にあるということなら、骨子の9ページにあります、医薬品流通の課題や、調整幅の取扱いを含め、薬価改定ルールの根本的な見直しについて議論すべきと考えます。
 私からは以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見は、では、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 お示しいただいた骨子については、これまでの議論を踏まえたものであり、総論としては賛成させていただきます。
 その上で、後発医薬品の安定供給のためには、関連検討会の御意見も踏まえ、本改定のタイミングで、抜本的な対応策を講じる必要があると考えております。
 薬-1の8ページに掲げられた企業指標の導入及び評価と評価結果の薬価制度における取扱いは、その第一歩と考えておりまして、早期の導入及び着実な検証を通じて、第2、第3の改善につなげていただくよう、改めてお願いいたします。
 以上になります。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
 それでは、先ほど来、イノベーション評価に関する企業指標の問題であるとか、あるいは安定供給について、また、不採算に関する問題等、幾つか重要な点が御指摘されておると思いますので、専門委員のほうから、もし御意見等ございましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、石牟禮専門委員、お願いいたします。
○石牟禮専門委員
 ありがとうございます。専門委員の石牟禮でございます。
 ただいま、薬価制度改革の骨子、たたき台につきまして、各委員からの御意見を拝聴いたしました。
 私からも幾つかコメントをさせていただきたく、お願いいたします。
 令和6年度薬価制度改革の骨子、たたき台に示されております内容は、先日の業界ヒアリングでも業界代表が申しましたとおり、現下の課題であるドラッグ・ラグ/ロスの解消と後発品を中心とした安定供給の確保に向けた活動を、力強く後押しするものと認識しております。
 また、これは医薬品のカテゴリーに応じた薬価制度の構築、ビジネスモデルへの転換への大きな一歩と認識しておりまして、制度改革の影響の検証につきましては、今、委員からも御指摘がございましたとおり、業界も積極的に参画してまいる所存でございます。
 その前提で、4点コメントをさせていただきたいと存じます。
 1つ目は、別添の1にございました、企業指標に関するところでございます。今回、そこによる区分を設けることは廃止した上で、この指標を活用して企業の開発について確認していただくという方向性になりました。
 この指標自体が、そもそも適切なのかどうかという検討も必要と考えておりまして、今後の企業の活動変化を踏まえて、検証に積極的に参画させていただきたいと考えております。
 特に、リソースが少ない企業にとって、このような指標で開発を行っていることの確認ができているかどうかということは、私どもも若干気になっているところでございますので、データの提出等につきましても、積極的に参画してまいりたいと考えているところでございます。
 続きまして、早期導入に関する評価について、骨子のたたき台で言いますと、1ページから2ページにかけてでございます。
 日本に迅速に導入した場合の要件の中で、以前も御指摘しましたが、承認時期についての要件がございます。日本における新薬の承認時期というのは、薬価収載に合わせて3か月に1回とある中で、薬価改定のある年につきましては、通例12月が1月にずれるといった対応もなされているところ、また審査当局の状況によって、やむを得ず審査期間が延長してしまうようなケースもあり得ることを考えますと、企業の努力だけで対応が困難な状況も生まれます。
 この要件にだけ該当しないという場合で、加算が適用されないというのは、せっかくこのようなルールを設けていただくことの趣旨等も考えますと、柔軟な検討をお願いしたいと考えております。
 それから、6ページの③、剤形追加の取扱いについてでございます。
 ここの2つ目の○には、5年を経過するなど、大きく間をおいて希望書を提出された場合に、新薬創出等加算の対象としないということが記載されてございます。
 有用性の高い医薬品の開発を促進するという観点から申しますと、対象疾患に合わせた特殊な製剤や開発要望があった場合など、個別品目によっては、医療上の必要性が高いと判断されるものにつきましては、その下にございます、⑤、1)に記載の薬価算定組織の御判断にて、加算の適用が可能となるような運用をお願いしたいと考えております。
 最後に、不採算品再算定でございます。
 各委員からも御指摘がございましたように、現下の原材料等の高騰が続いていることを踏まえますと、薬価の下支えルールであります不採算品再算定につきまして、確実に適用していただきたいと考えております。
 令和5年度改定における不採算品再算定対象品目の実勢価格の乖離状況をお示しいただいておりますが、メーカーの意図とは異なる取引が行われる事例もあると認識しておりまして、そのような状況も御勘案いただきまして、安定供給に尽力する企業の品目につきましては、不採算品再算定が適用されるよう御配慮いただきたく、お願い申し上げます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかに御質問等がないようでしたら、本件に関する質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局において、本日いただきました御意見等々を踏まえ、御対応いただきますようよろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
                  
                                   

<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第220回議事録(2023年12月13日)

ページの先頭へ戻る