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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第218回議事録(2023年11月29日)

 
 

2023年11月29日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第218回議事録

○日時

令和5年11月29日(水)保険医療材料専門部会終了後~

○場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F

○出席者

安川文朗部会長 笠木映里部会長代理 小塩隆士委員 本田文子委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員
藤原尚也専門委員 石牟禮武志専門委員 荒川隆治専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

令和6年度薬価改定について

○議事

○安川部会長
 ただいまより、第218回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 保険医療材料専門部会と同様対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は全員が御出席です。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 今回は「令和6年度薬価改定について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。資料薬-1を御覧ください。
 本日は、令和6年度薬価改定の検討の方向性として、制度改革の論点整理案について、まとめております。
 3ページ目でございます。
 令和6年度薬価改定における基本的な考え方ですが、医療保険部会でお示しした、イノベーション推進と安定供給確保の2点を基に方向性をまとめております。国民皆保険の持続可能性との両立を前提とするものでございます。
 5ページ目は、検討項目の一覧で、点線の囲みは各項目に付したものの説明になりますけれども、補足をいたしますと「基準改正」と「運用上の対応」と書いているものが、令和6年度改定において実施する内容ということでございます。
 分量が多いので、ポイントのみに絞って説明いたします。
 まず、6ページ目、「ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消に向けた革新的新薬のイノベーションの適切な評価」でございます。
 7ページ目「(1)日本への早期導入に関する評価」です。
 ①は、革新的新薬を日本へ迅速に導入した場合の評価です。この内容は、以前に提案したとおりのものとなっております。
 ②は、収載後の外国平均価格調整です。現行のルールでは、原価計算方式のもののみ対象となっておりますが、類似薬効比較方式によって算定される品目に対しましても、価格調整は引上げ、引下げ、両方実施するという提案です。
 引上げに関しましては、患者負担増等への配慮から上限値を設定してはどうかと提案しており、ここでは1.20倍としております。
 次に、8ページ目、(2)新薬創出等加算です。
 見直しの方向性を示しておりますけれども、まず、企業要件・企業指標は、要件廃止について、対応の方向性として提示いたしましたが、それに対する御意見をいろいろいただいておりますので、その意見も記載しております。
 また、最後になお書きを書いておりますが、企業の要件に関しては、本加算の対象となる企業の規定と、加算係数を判断するための企業指標がございます。
 廃止の対象として提示したのは、後者の企業指標に関する内容でございますので、前者の規定を残して整理するということも考えられるのではないかということを示しております。
 9ページ目は新創加算のルールでございますが、1の(2)の「対象企業」と書いているところが、対象となる企業の考え方でございまして、10ページ目の「3 加算係数」と示しているところが、企業指標に基づく加算係数でございます。
 次に11ページ目、品目要件については、以前提案した品目を追加してはどうかという提案でございます。
 加算額は、改定前薬価を維持する加算額としますが、平均乖離率を超えている品目は、加算の対象外として実勢価改定を受けるということとしております。
 控除時期は、令和6年度においては従来どおりというものでございます。
 12ページ目の②で「新薬創出等加算の見直しに伴う対応」として、前回の議論でもお示ししたとおり、制度の見直しの検証を行うこと、そして、今後の累積額控除の時期に関しては、次期改定において結論を出すことを示しております。
 ③の「その他の運用の見直し」は、3年以内・3番手の取扱いでございます。
 次に14ページ目「(3)新薬の薬価収載時における評価」です。
 ①は、有用性系加算の定量的評価に関しまして、15ページ目、16ページ目に示しているとおり項目を追加して、今後対応することとしてはどうかという内容でございます。
 また、14ページに戻りまして、②、補正加算の加算率についてですけれども、最近の医薬品の開発状況等を踏まえまして、加算率を柔軟に判断するという内容でございます。
 次に17ページ目「(4)新薬の薬価改定時における評価」です。
 ①は、改定時の加算の併算定を認めることの提案です。
 ②は、薬価改定時の加算と新薬創出等加算の適用の順番を変更するという提案でございます。
 次に18ページ目「(5)小児用の医薬品に関する評価」です。
 ①は、先ほど示した内容と重複しますが、小児加算等の加算率付与を柔軟に対応することと、新薬創出等加算の品目要件に小児加算による評価の対象となり得る品目を追加するということでございます。
 ②は、薬事において、成人用の開発時に同時に小児用の開発計画を策定する仕組みを検討していますので、その開発計画に基づき承認された場合の薬価上の評価を高くするというものです。
 ③は、②の開発計画により開発を進めている品目は、市場拡大再算定の対象となった場合に、開発中の段階でも、補正加算と同様の評価を行い、引下げ率を緩和することの提案です。
 次に19ページ目「(6)新規モダリティのイノベーション評価」です。
 ①は、原価計算方式における開示度でございますが、次期改定に向けて検討を進めること。類似薬効比較方式による算定を進めるための具体的な方策を検討すること。
 ②として、新規モダリティなどの革新的新薬の適切なイノベーション評価の在り方を、次期改定に向けて検討するということを提案しているものでございます。
 20ページ目「(7)その他のイノベーション評価に関する事項」です。
 ①から③は、記載されたとおりの内容で進めることを提案するもので、次の21ページ目の④は、類似薬効比較方式における薬価の適正化に関して、減算の考え方等を引き続き検討することとしております。
 ⑤の「その他」の1)ですが、この①から③の内容も含め、新薬の評価に関しては、今後、個別品目ごとに判断していくことになりますので、薬価算定組織での議論について、必要に応じて中医協総会で説明を行うことにしておるところでございます。
 また、新薬関連の制度の見直しによる医薬品開発への影響について、業界と協力しながら分析・評価等を進めるということも示しております。
 次に22ページ目「(8)市場拡大再算定の見直し」です。
 ①の類似品の取扱いは、特定の領域については、あらかじめ中医協で領域を特定した上で、類似品の適用を除外することとしてはどうかとの提案です。
 ②の補正加算は、整理すべき点があるので、引き続き検討ということとし、③の「その他」の関連事項につきましては、今回の改定では現行どおりとし、必要に応じて見直しを検討することとしております。
 続きまして、23ページ目「(9)長期収載品における対応」は、保険給付の見直しの議論が進められておりますので、その見直しが行われる場合には、薬価改定ルールの見直しを行わないという考え方と、いずれにしても何らかの見直しを行うという考え方の両方がある旨を示しているものでございます。
 次に24ページ目「2.後発医薬品を中心とした医薬品の安定供給確保のための対応」です。
 25ページ目「(1)後発品の安定供給が確保できる企業の考え方」です。
 ①の企業指標、そして②の薬価制度における取扱いは、後発品に関しての議論の際にお示ししたとおりの内容ですけれども、企業指標は26ページ目で示したものを対象として、その評価に関しては、27ページ目から31ページ目までに書かれている考え方に基づき、32ページ目の方法で企業を評価していく、ということをまとめております。
 25ページ目に戻りまして、③の最初のポツですが、令和6年度改定での導入に関しましては、以前の議論の際にお示ししましたが、企業指標に基づく評価結果に関してシミュレーションした内容を基に、最終的に判断をいただくこととしております。
 また、情報公開等のスケジュールあるいは今後の検証についても、ここで記載しております。
 次に33ページ目「(2)後発医薬品の新規収載時の価格」でございます。
 現在の内用薬の規定では、10品目を超える場合には0.4掛けとなるルールがありますが、最近の収載品目数や乖離率の状況を踏まえまして、7品目を超える場合としてはどうかとの提案でございます。今回は、バイオ後続品は除くこととしております。
 34ページ「(3)価格の下支え制度の充実」です。
 ①の基礎的医薬品については、収載からの経過期間の規定がありますが、現行の25年を15年に短縮することの提案です。
 価格に関しては、一度基礎的医薬品から外れると、その後に再び基礎的医薬品となっても、改定前薬価を維持するということの提案です。
 ②の最低薬価については、市場実勢価格の乖離状況や、流通制度の議論等を踏まえながら、必要に応じて検討することとしております。
 ③の不採算品再算定については、令和6年度薬価改定における対応について、別途検討する旨、現時点ではそのような記載としております。
 最後に36ページ目「その他の課題」でございます。
 具体的には、37ページ目でございますが「(1)医薬品の流通に関する課題」については、①の医薬品流通の課題は、現在、別の場で議論されている検討状況も踏まえて対応すること。
 また、従来から検討事項となっている調整幅につきましても、流通制度に直接関わるものであり、①の検討状況も踏まえ、検討することとしてはどうかとしております。
 また(2)の診療報酬改定がない年の薬価改定については、その在り方について、来年度速やかに議論を開始することとしてはどうかと提案しております。
 また(3)の高額医薬品に対する対応については、個別品目であるゾコーバ錠は、本承認等の状況を踏まえて検討。
 今後の高額医薬品への対応に関しましては、これまでどおり、令和4年度薬価制度改革の骨子のとおり、対応することとしてはどうかと示しております。
 以上が論点整理でございますが、本日は、この記載内容に関して御意見をいただきたいと考えております。
 項目によっては、今後また資料提示が必要なものですとか、両論書いているものもございますので、今後また検討の際に資料を提示しながら議論を進めたいと考えております。
 また、本日の御議論を踏まえまして、関係業界からの意見聴取を行うこととし、それを基にさらに議論を深めて、骨子の取りまとめに向けた検討を進めていければと考えているところでございます。
 説明は以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 では、ただいまの論点整理につきまして、御意見、御質問ございましたら、お願いいたします。
 では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 薬-1の対応の方向性案について、コメントと質問をいたします。
 まず、7ページの日本への早期導入に関する評価の「②収載後の外国平均価格調整」について、事務局に2点質問します。
 適用イメージとして、1回に限り、外国平均価格調整を行うと書かれておりますが、この1回というのは、いつからいつまでの期間において、1回と数えるのでしょうか。
 また、外国平均価格調整を行う場合、そのときにおける為替レートの影響を大きく受ける可能性があります。これについては、どのように考えるのでしょうか。
 続いて、8ページの「①新薬創出加算の見直し」についてです。
 対象企業を定める、企業要件を残すことはもちろんのことですが、9ページにあるとおり、それほど厳しくはありません。
 この要件は、そもそも企業の新薬創出及び適応外薬解消に対する姿勢を評価しており、差別化することを目的として意識はしておりません。
 そのため、加算係数を検討する際において、企業の姿勢を加味することが必要になっているものと考えます。
 したがって、仮に加算件数を全廃してほしいということでしたら、加算係数に用いている企業の姿勢を示す指標を、対象企業を定める際の要件に設定する必要が生じていると思います。
 また、特にこの制度を導入する際には、国内での開発というものを重視していたように思いますので、企業指標のA-1、国内試験に関する指標をなくすということは、今後は、それほど国内治験を推進しないというメッセージを関係者に与えることになり、適切とは言えないと考えます。
 いずれにしても、単純に企業要件及び企業指標をなくせばよいということにはならないと思います。
 続いて、12ページの「②新薬創出等加算の見直しに伴う対応」です。
 ドラッグ・ラグ/ロスの解消のためには、薬価に加え、様々な治験や開発を取り巻く環境の影響も考えなければなりません。
 そのため、①の見直しの妥当性を検証することだけでなく、業界においては、薬価制度における対応以外の要素についても検討し、総合的にこの場で報告をお願いしたいと思います。
 なお、政策の影響は、すぐに目に見えて現れるものではありません。そこで専門委員に質問します。
 開発計画の見直しなどは極めて重要な事項であるため、決定にはそれなりの時間がかかるものと思いますが、例えば、グローバル企業において、すぐに日本での開発品目を増やそうという決断ができるものでしょうか。どれくらいの期間で、経緯を見守る必要があるのでしょうか。ぜひコメントをいただきたいと思います。
 続いて、20ページ、その他のイノベーション評価に関する事項の「①標準的治療法の考え方」です。
 薬価算定時点において、国内のガイドラインに記載されていない場合については、学会においてガイドラインの記載について合意がされ、予定されている段階であれば理解できますが、それ以前の議論の段階であれば、対応は見送るべきと考えます。
 公正に運用できることが必要であり、そのための素材を整理していただく必要があると考えます。
 22ページ、市場拡大再算定の見直しの類似品の取扱いについてです。
 これは、前回も指摘したとおりです。重複している効能が、たとえ1つでも、それが主たる効能であれば、当然、類似薬として対象とすべきであり、状況は様々であることが想定されますので、明文化することは難しく、これまでどおり、薬価算定組織で検討された結果を中医協に御提案いただき、市場拡大再算定の趣旨である、公的保険制度における薬剤費の適切な配分を踏まえつつ、中医協で判断するのが適当であると考えます。
 25ページの後発品の安定供給が確保できる企業の考え方の「①企業指標の導入及び評価」についてです。
 導入した上で検証していくこととする前提で、今回の提案のような指標、評価となることは理解できると考えます。
 同じく25ページの「②企業指標の評価結果の薬価制度における取扱い」についてです。
 皆様御存じのとおり、価格帯を設けることになったのは、品目が多過ぎることが背景にあります。
 かつては、個別銘柄名で後発医薬品が承認されたこともありましたので、理想的には、個別銘柄でそれぞれに薬価を設けることが、各社各品目の薬価上の評価になるという考えに立てば、33ページにあるような品目の集約に向けた対応の経過とともに、価格帯とは別に薬価算定できる品目が生じることは許容できます。
 25ページの記載にあるとおり、同一成分規格の品目数や、さらに供給量なども考慮して、適切な条件を設定し、その条件に合う品目のみ対応することでよいと考えます。
 「③その他」については、導入の可否は、シミュレーションに基づき判断することで結構です。
 しかし、制度の適用については、企業から公表された情報に基づき、対応するべきと考えます。
 34ページ、価格の下支え制度の充実については、以前から主張しているとおり、市場実勢価格の乖離状況等を踏まえて検討していく事項であると考えます。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ただいま事務局に対して2件、それから専門委員の方に対して1件、御質問があったかと思いますが、では、初めに事務局から、ただいまの御質問について、お答えいただけますか。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 いただいた御質問に関してでございます。まず、7ページ目の早期導入のところ、収載後の外国平均価格調整でございます。
 ここの「1回に限り」というところでございますが、現行のルールにおいても、この1回というところ、特に何か期限が決まっているものではなく、初めて外国価格が出たときに限り発動するという意味での1回と認識をしております。
 もう一つ、為替レートに関しましては、このルール以外も含めてですけれども、現在、外国価格を参照する場合には、直近の為替レートに基づいて判断しておりますので、このルールを適用する場合にも、同じようにそのときの為替レートに基づき判断する、ということかと考えているところでございます。
 あと、御質問ということでもありませんが、新薬創出等加算の企業要件についての御意見もいただいております。もちろん、未承認薬の解消、ドラッグ・ロスの解消の趣旨に変わりはなく、そのために国内開発をどう進めていくかというところは、大事な視点だと思っておりますし、そのメッセージをなくすつもりもございません。
 どういった形でこのルールの中に、この対象企業の考え方に反映することができるかというのは、事務局のほうで整理をしたいと考えております。
 また、関連する意見として、新薬の標準的治療法の考え方でございます。御指摘のとおり、国内のガイドラインの中で規定されているかというところが重要な判断要素ですけれども、収載されていない段階、使用されていない段階では、なかなかガイドラインに規定されることは少ないがゆえに、こういった御提案をさせてもらっているところでございます。
 学会のほうである程度めどがついているとか、動きがあるとか、そういうところが判断要素になるかと思っていますし、こういったところは個別の運用の中で、ある程度判断できる範囲でもございますので、薬価算定組織の中でどう判断ができるか、そういったところを含めて考えたいと思っているところでございます。
 そのほかの点、様々御指摘の点も含めて、今後の議論の中で考えていきたいと思っているところでございます。
 以上でございます。
○安川部会長
 では、長島委員、取りあえず、事務局からの御回答はよろしいですか。
○長島委員
 ありがとうございました。
○安川部会長
 では、専門委員からは、また、後ほどまとめて御意見を伺いたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 事務局におかれましては、令和6年度薬価改定における対応の方向性を取りまとめていただき、ありがとうございました。
 対応の方向性について、おおむね異論はありません。
 総論になりますが、イノベーション推進と安定供給確保に向け、創薬力強化とともに、ドラッグ・ラグ/ロスの解消に向けたイノベーションの適切な評価、医薬品の安定供給の課題を解消するための産業構造の転換、医療上特に必要性が高い医薬品の安定供給確保につながる薬価上の措置を、しっかりと進める必要があると考えます。
 ただし、イノベーションの評価は積極的に進めるべきですが、社会保障制度の持続性、公的保険制度における薬剤費の適正な配分メカニズムとしての機能が失われないよう、メリハリのある対応が必要だと考えます。
 これらの認識の上で、幾つかコメントをさせていただきます。
 まず、7ページ目の「②収載後の外国平均価格調整」については、類似薬効比較方式も対象とすることに異論はありませんが、価格の引上げ時には、患者負担への影響を考慮すべきであり、事務局案のように、上限値を設定する必要があると考えます。
 次に、8ページ目の企業要件・企業指標については、これまで何回か発言していますが、ベンチャー等への配慮が必要であると同時に、企業の取組が後退しないような配慮も必要と考えます。
 9ページ目に示されている薬価算定の基準にある対象企業の考え方については、規模により不利になるものでありませんので、何らかの形で残すべきと考えます。
 また、この要件が残るのであれば、開発要請品目については、対象企業の考え方、開発公募品目については、品目要件で対応できることになりますので、加算係数を判断するための企業指標を廃止することは妥当と考えます。
 次に、18ページ目の小児用の医薬品の開発については、ドラッグ・ラグ/ロスの解消や、安全・安心で、よりよい小児用の医薬品が開発促進されるという点で、評価の充実をしていくことについて賛成いたします。
 この評価の充実などによる開発促進策によって救える小児の命が増えるよう、企業には社会的使命感を持って、ぜひ積極的に医薬品開発をお願いしたいと思います。
 次に、19ページ目の原価計算方式における開示度向上は、企業による開示の努力を基本とした上で、開示がほとんどできていない状況を踏まえて、引き続き検討をしていくべきだと考えます。
 次に、22ページ目の市場拡大再算定の類似薬の取扱いですが、PD-L1阻害薬のように、複数の品目の効能が様々であり、課題のある領域では除外を検討してもよいと考えます。
 25ページ目の企業指標の導入については、初の試みであること、企業の準備期間が必要なこと、安定供給に支障を来す可能性もあることなどから、シミュレーションの内容を基に最終判断した上で、試行的に導入すべきと考えます。
 次に、34ページ目の②の最低薬価、③の不採算品再算定については、これまでも課題でしたが、今年になり、新たにフェーズが変わったと認識しています。
 物価高騰、賃金高騰等への対応をどうしていくのか、日本の経済動向などを踏まえた中長期的な視点でも議論が必要だと考えます。
 最後に37ページ目、その他の課題についてですが、薬価制度や供給問題は、流通改善と切っても切れない課題です。
 また、6年連続で薬価改定が行われており、診療報酬改定のない年の薬価改定は、本当に医療の質向上につながったのか、供給不安への影響がなかったのかということをしっかりと検証し、目の前の物価賃金高騰の影響も踏まえて、対象とする範囲、改定の是非も含めて議論していくことが必要だと考えます。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますでしょうか。
 では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 本日御提示いただきました論点整理案につきましては、今後の業界のヒアリングあるいはシミュレーション結果を見てから、判断をさせていただきたいと思います。
 本日は、4点ほどコメントを申し上げたいと思います。
 まず、8ページの新薬創出加算の企業要件につきまして、ほかの委員からも出ておりますけれども、実は前回、専門委員からディスインセンティブという御発言がございました。区分の3でもかなりの薬価引下げが猶予される仕組みの中で、インセンティブの低下ということであれば理解いたしますけれども、ディスインセンティブといいますと、もう阻害という形になりますので、かなり強い意見になりますけれども、仮にこの企業要件を廃止した場合に、どのように企業の中で研究開発が促されていくのか、これは具体的な説明をもって、業界ヒアリングの中でお願いしたいということでございます。
 次に、21ページの類似薬効比較方式(I)における薬価の適正化についてでございますが、これは、引き続きの課題ということですが、新たな規定を設けていくという前提で、検討を進めるべきだということを指摘させていただきます。
 続きまして、25ページでございますが、後発品の安定供給の企業に対する指標の導入でございますけれども、これは、25ページのその他のポツのところに、シミュレーションをということでございますので、シミュレーションの結果を見たいと思いますけれども、現段階で、このシミュレーションのイメージ、例えば、今回は部分的な導入となっておりますけれども、部分導入だけを示されるのか、全体もやってみたシミュレーションを示されるのかとか、あるいはこの指標に対して重みづけを入れるかどうかとか、ある程度、現段階でイメージが決まっておりましたら、少し御紹介をいただけるとありがたいと思います。
 最後は33ページ、後発品の新規収載時の薬価についてでございますけれども、今回4掛けとなる基準を10品目超から7品目超に引き下げる案が示されました。
 一方、参考資料の31ページを見ますと、新規後発品の乖離率が5品目超で高くなっている傾向があることが分かります。
 参入のハードルを高めることも、安定供給の確保につながる一因と考えますので、これについても、業界のヒアリングやシミュレーションを踏まえまして、最終的に判断をいただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 今のシミュレーションのイメージは、事務局への御質問と受け止めてよろしいですか。
 では、事務局からお願いします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 後発医薬品のシミュレーションのイメージでございますけれども、今回、26ページ目で示しているものが企業評価の指標でございますので、それぞれシミュレーションをした結果を示していければと思っております。
 ただ一方で、赤い囲みのところについて今回の改定で評価してはどうかという提案でございまして、残りのところ、例えば、1つ目の情報公表のところは、まだスタートしていない段階でございますので、シミュレーションはしにくいのかなと思っております。
 いずれにしても、各項目の考え方とか、評価の仕方、どういう場合にどういうポイントになるかとかという重みづけも示しながら、仮に、現時点で各企業の評価をしたら、どうポイントが積み上がるか、どのような区分として判断されるかというところが、おおよそイメージができるような形で示せればと考えているところでございます。
 以上です。
○安川部会長
 松本委員、よろしいでしょうか。
○松本委員
 はい。
○安川部会長
 ほかに御意見、御質問は。
 では、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 今回の薬価改定をめぐっては、革新的な新薬などのイノベーションへの十分な配慮及び後発医薬品の安定供給の確保について、どのようにメリハリをつけて実現をしていくかが、中心となると考えております。
 その意味で、今回の新薬創出等加算の見直し及び後発医薬品の安定供給に向けた企業指標の導入及び評価については、特に丁寧に検証を進めていく必要があると考えております。
 特に企業指標の導入については、後発医薬品の安定供給確保に向けた見直しの第一歩となるものであり、早期の導入、公表をお願いしたいと考えております。
 以上になります。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに、では、佐保委員からお願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 これまでの発言の繰り返しになろうかと思いますが、患者の利益につながるイノベーションの促進や、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの縮小に向けて、革新的新薬や希少疾病用医薬品等の評価など、創薬力の強化は重要と考えます。
 また、不採算品目を含め、患者が必要とする医薬品の安定供給の確保に向けての検討も必要と考えます。
 18ページの小児用の医薬品についても、開発促進に資する検討は必要と考えます。
 なお、前回改定の議論の際にも発言をいたしましたが、中間年改定を含め、薬価制度の在り方について、検討する機会が早期に必要と考えます。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 では、続けて、眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 私からは、1点、新創加算の見直し、8ページにあります、企業要件、企業指標に関しましてコメントをさせていただきたいと思います。
 前回の議論でも申し上げましたとおり、ドラッグ・ラグ/ロスの解消、創薬力の強化の観点から、イノベーションを適切に評価できるよう、新創加算を見直していくことは必要であろうと考えております。
 今回、8ページの最後の下段にお示しをいただいているとおり、本加算の対象となる企業の規定は残しつつ、企業指標については廃止するという方向性が望ましいのではないかと考えております。
 以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
 そうしましたら、先ほどありました、グローバル企業の開発の決断の問題であるとか、あるいはディスインセンティブということで、御指摘がありましたが、これについて、では、藤原専門委員からお願いいたします。
○藤原専門委員
 ありがとうございます。専門委員の藤原でございます。
 長島委員から御質問のありました開発計画の見直しにはどれぐらいの期間、経緯を見ておけば良いかという質問でございます。
 企業の開発の意思決定におきましては、薬価のみならず、治験環境、それから薬事の環境、そうした総合的な観点から開発の投資判断をするものと考えております。
 今回議論していただいているように企業要件を廃止するということになりますと、これはグローバルに対して、日本は適切にイノベーションを評価するという強いメッセージを発信することになると思いますので、企業の開発の意思決定に大きな影響を与えるのではないかと考えております。
 一方で、開発の期間は10年ぐらいかかると言われていますので、承認、収載という形で結果が表れるには、そうした期間が必要ではないかと考えております。
 ディスインセンティブについては、石牟禮専門委員のほうから回答をさせていただきます。
○安川部会長
 では、石牟禮専門委員、お願いいたします。
○石牟禮専門委員
 ありがとうございます。専門委員の石牟禮でございます。
 先ほど、先回の私の発言につきましてのコメントがございましたので、少し補足させていただきたいと思います。
 先日、ディスインセンティブという強い言葉で申し上げましたのは、我々業界としましては、企業要件そのものについて、ドラッグ・ラグ/ロスを誘引するような阻害要因になっているという見方もあるということを踏まえて、申し上げたところでございます。
 どんなに革新的な新薬であっても、基本的には薬価を下げるという減算という仕組みでございますので、その仕組みが入っていること自体が、革新的新薬の薬価を維持し、その収益をもって、次の開発に進めるという点からしますと、阻害要因になっているという見方があることを踏まえて、申し上げた次第でございます。
 また、今、グローバル企業のお話がございましたけれども、我々日本の企業にとりましても、マザーマーケットである日本市場の魅力度を高めるという点でも、非常に大きな見直しになると理解をしておりまして、国内企業におきましても国際共同治験などに、日本を組み入れていくという活動が増えていくものと確信をしております。
 以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 長島委員、松本委員、よろしいでしょうか。
○長島委員
 ありがとうございます。
 この点については、業界のヒアリングの際にも少し整理して、お示しいただければと思います。
 以上です。
○安川部会長
 よろしいでしょうか、松本委員。
○松本委員
 私も業界ヒアリングの際に、また改めて確認させいただきます。よろしくお願いします。
○安川部会長
 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。もし、御意見、御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑は、このあたりといたします。
 今後事務局において、本日いただいた御意見も踏まえ、御対応いただくようお願いいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
                  
                                   

<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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