このページではJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にしてください。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第216回議事録(2023年11月22日)

 
 

2023年11月22日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第216回議事録

○日時

令和5年11月22日(水)8:30~

○場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F

○出席者

安川文朗部会長 小塩隆士委員 本田文子委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員
藤原尚也専門委員 石牟禮武志専門委員 荒川隆治専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

令和6年度薬価改定について

○議事

○安川部会長
 おはようございます。ただいまより、第216回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信を行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、佐保委員、笠木委員が御出席です。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 今回は「令和6年度薬価改定について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。資料薬-1を御覧ください。
 本日は、新薬関連の内容をまとめております。
 3ページ目、まず、新薬創出等加算です。10月18日に議論をした続きでございます。
 4ページ目は、前回の論点。
 5ページ目、6ページ目は、これまでの意見をまとめております。
 7ページ目に、新薬創出等加算の見直しの考え方を整理したものをまとめております。
 1つ目、企業要件・企業指標ですが、本制度が試行的に導入された当初から、未承認薬・適応外薬の解消に取り組んでいる企業の取組を評価していましたが、品目要件で革新的な医薬品を対象にしているので、このような品目の開発促進にはつながっていると考えられること。
 また、企業指標は、企業の規模に依存するところがあり、ベンチャー企業やスタートアップ企業では高いポイントを得られにくい状況であることなどを考慮して、企業要件を廃止することが考えられます。
 2つ目、品目要件ですが、革新的新薬を評価するものなので、品目要件は維持して、対象品目に小児用医薬品を追加するということが考えられます。
 また、先日議論いたしましたが、日本へ早期導入した場合の評価、これを新たに設ける場合には、品目要件に加えることが考えられます。
 8ページ目、3の加算額でございます。単に改定前薬価を維持するという加算額とすることが考えられます。
 また、全品目の平均乖離率を超える新薬につきまして、現在でも加算額に差が設けられておりますので、改定前薬価を維持する加算額とは異なる評価とすることが考えられます。
 また、累積額に関しては従来どおりの方法で控除することが考えられます。
 4の控除時期でございます。後発品の上市または薬価収載後15年という規定は維持して、令和6年度薬価改定では、通常どおり控除することが考えられます。
 今後の控除の時期は、今回の令和6年度改定の見直しによる医薬品開発への影響も検証しつつ、次期薬価改定の際に結論を出すということが考えられます。
 9ページ目は、見直しのイメージで、仮に先ほどの考え方でまとめるとシンプルな薬価維持の制度となるというものでございます。
 12ページ目に論点をまとめております。
 革新的医薬品のイノベーションを適切に評価することで、ドラッグ・ラグ/ロスを解消するための対応として、業界要望も踏まえまして、先ほどの考え方の整理に従って見直すことについて、どのように考えるか。
 2つ目、見直しに当たっては、平成22年の試行的導入当初の目的が変わるものではありませんが、今回の見直しの妥当性を検証するため、今後の医薬品開発の影響を製薬業界の協力のもとで分析・評価等を行い、継続して議論を行うことについて、どのように考えるか。
 最後に新薬関連の見直し、今回は幾つかございますので、こういったものをまとめて医薬品開発の影響を検証するということを盛り込んでおります。
 次に13ページ目「その他の新薬のイノベーション評価」です。
 14ページ目は、薬価算定組織からの意見で、ここでは3つ触れております。
 15、16ページ目は、前のページの(2)の新薬創出等加算の3年・3番手の課題。
 17ページ目は、改定時加算は併算定ができないため、複数の効能・効果が追加された場合には、薬価改定のタイミングにより評価が異なってしまうことを18ページ目に示しております。
 また、19ページ目は、改定時加算と新薬創出等加算の適用順により、両方の加算額を十分反映できないという課題でございます。
 20ページ目に、これら論点を示しております。
 ①が、3年・3番手の取扱いの変更。
 ②が、改定時加算の併算定を可能にするもの。
 ③は、改定時加算と新薬創出等加算の適用順を変えて加算を受けやすくすること。
 ④は、有用性系加算の判断要素となる標準的治療法の解釈。
 それぞれに関して、どのように考えるかということを提示しております。
 次に、24ページ「3.市場拡大再算定」でございます。
 25ページ目が、これまでの主な意見。
 26ページ目が、検討事項でございます。
 まず、27ページ目、類似品の取扱いに関して、7月に示した課題でございます。
 28ページ目に詳細を記載しております。
 免疫チェックポイント阻害剤は、その薬理作用から様々ながん腫に効果がありますので、適応拡大しながら開発されているものでございます。
 その中で、いずれかの効能でも一致したものがあれば、類似品として市場拡大再算定の対象になり得るため、積極的な効能追加の開発に影響を与える場合もあり得るというものでございます。
 29ページ目、最近の医薬品の開発動向から、様々な疾患や、様々な部位に適応が拡大される、そういった薬剤もございますので、そういった薬剤については、類似品として市場拡大再算定を受けやすくなるということで、予見可能性の低下になるということが指摘されております。
 このような繰り返し適応拡大されるようなものは、革新的新薬の開発が積極的に行われている分野に限られるものでございますが、こういった課題から、日本での開発にも影響を与えかねないということが指摘されております。
 最後のところですけれども、そもそもの類似品全般の課題として、他社品目の市場規模の拡大で再算定の対象になってしまうので、予見性と合理性の観点から廃止すべきという要望もございます。
 次に31ページ目、再算定の引下げ率上限値に関してでございます。
 こちらは、平成30年度以降の市場拡大再算定の対象品目のうち、引下げ上限に達した品目の成分数と、仮に上限がなかった場合の引下げ率の数値を示しております。
 32ページ目、これは関連する見直しの観点、視点をまとめて示しております。
 まず、右側の一番上「算定方式による適用条件」につきましては、類似薬効比較方式であっても、使用実態の変化なしに市場規模が拡大した場合でも、再算定の対象とすべきかといった論点でございますが、影響範囲の大きいものでございます。
 次の「引下げ率の上限」は、先ほど御説明したとおりでございます。
 3つ目、そのほか、赤枠で囲っている条件に関しては、何か見直すとなると、その影響も慎重に考える必要があるというものでございます。
 35ページ目、こちらは再算定が適用される際に、再算定の引下げ率を緩和する補正加算でございます。
 この補正加算に、収載時にあるような有用性系加算を加えてほしいという要望はいただいておりますが、多くの品目が対象となり得ますので、評価方法の検証等が必要と考えられます。
 37ページ目、市場拡大再算定の論点でございます。
 まず、類似品の取扱いについて、特定の領域における課題も含め、どのように考えるか、ということを、こちらで書いております。
 また、類似品以外の取扱いについて、どのように考えるか。
 そして、再算定時の補正加算について、どのように考えるか、という点を記載しているところでございます。
 次に42ページ目、「小児用の医薬品に関する評価」でございます。こちらも以前からの続きの議論でございます。
 43ページ目は、前回お示しした論点。
 44ページ目は、これまでの意見でございます。
 45ページ目、小児用医薬品の開発促進のための薬価上の対応案の考え方を整理いたしました。
 1つ目「小児適用の評価充実」でございます。ここで①と②については、既に部会で御議論いただいた点でございます。
 ③は、先ほど新薬創出等加算の品目要件で触れた内容でございます。
 2つ目「成人と同時開発の検討を進めた場合の評価」ということで、薬事制度においても、小児用の開発計画を策定した場合に審査当局が確認する仕組み、こういったものを設けることを検討している状況でございますので、こういった計画を策定して、結果、小児適応が追加された場合には、1.の評価の際に考慮してはどうかというものでございます。
 また、「3.小児開発に取り組んでいる企業の評価」ということで、小児開発は開発が困難であり、採算が合わないということがございますので、小児開発に取り組んでいる企業を評価するということもあり得るのではないかということで、案1のように、同時開発品目に市場拡大再算定が適用される場合には、引下げ率を緩和するとか、あるいは案2のように、これは新創加算で企業要件が廃止されなければになりますが、企業要件に同時開発に関する事項を追加する、そういったことが考えられるものでございます。
 ということで、47ページ目、小児用医薬品の開発の評価の論点でございます。
 最初のポツは、先ほどお示しした対応案に従って、対応することについて、どのように考えるか。
 2つ目でございます。
 こちらは、小児用医薬品の開発は国際的にも課題となっている中、日本でも先述のような薬事上の対応を踏まえ、製薬業界の見解とか、今後の開発の姿勢とか、そういった意見も踏まえながら、薬価上の措置を行うか判断することについて、どのように考えるか。
 あと、最後ですけれども、小児用医薬品の開発は、薬価上の措置のみで対応できるものではございません。しかし、そのほかの開発促進策とともに、製薬業界の協力のもとで、分析・評価等を行いながら、次回以降の薬価制度改革においても、小児用医薬品の評価の在り方について、引き続き議論を行うことについて、どのように考えるか、とまとめております。
 次に48ページ目「薬価算定の妥当性・透明性の向上」でございます。
 49ページ目、50ページ目には、薬価算定組織からの関連する意見をまとめております。
 51ページ目、原価計算方式における原価の開示度に関する課題でございます。
 こちらは、前回改定で見直した開示度に応じた加算係数の見直しに関するものでございます。
 そして、52ページ目、53ページ目は、それを踏まえた分析ということで、8月にお示しした資料でございます。
 開示度の向上のための方策をさらに検討することもあり得るのですけれども、54ページ目にありますように、現在、国際的にも医薬品開発はバイオベンチャーが多くの品目の開発に関わっているということで、海外からの輸入が多くなってしまう傾向があります。
 また、55ページ目は、業界の意見聴取の際に出された資料でございますが、サプライチェーンが複数国にわたるため、経費の根拠を開示させることが極めて困難になっている状況もございます。
 56ページ目は、先日、新薬関連で御出席いただいた成川先生の資料でございますが、「将来に向けた課題」ということで、新規モダリティ製品の評価の在り方、そういったことが課題とされております。
 再生医療等製品に関しましては、57ページ目の薬価算定組織の意見のほかに、58から60ページ目のように、業界要望でも、再生医療等製品の特性を踏まえた原価計算を考慮してほしいという要望がございます。
 63ページ目、以上の論点でございますが、1つ目の原価計算方式における開示度の向上は、かねてからの課題になっておりますが、先ほどのような医薬品の開発状況を踏まえると、ドラッグ・ラグとかロスとかの影響を回避しながら、実効性を伴う見直しというのは、なかなか難しいところがございます。ですから、今回の薬価改定では特段の見直しを行わず、引き続き検討していくことについて、どのように考えるか。
 2つ目のポツ、算定時にできる限り類似薬効比較方式で対応するという方策もありますが、これは、先ほどの研究班でも検討課題とされていることがございますので、このような対応をどのように考えるか。
 3つ目のポツ、再生医療等製品に関する要望もありますし、新規モダリティなど、類似薬がない革新的新薬の原価計算方式の課題でありますが、このような新薬の適切なイノベーション評価の在り方などを、次期薬価改定に向けて検討を進めることについて、どのように考えるかということでございます。
 「2.その他新薬の評価に関する運用上の課題」ですけれども、比較薬におけるG1/G2品目の扱いや、剤形追加等の取扱い、これは薬価算定組織の意見でございますが、こういったところについて、算定組織の提案されたとおり対応することについて、どのように考えるか。
 また、「類似薬効比較方式(Ⅰ)における薬価の適正化」ということで、比較薬との一日薬価合わせの後に、一定の範囲で減算するかということに検討の余地がありますが、その際に考慮すべき因子とか、調整の幅とか、そういったことを慎重に検討する必要があるということを踏まえて、この取扱いについて、どのように考えるか、ということを示しております。
 ということで、新薬関連の論点を、様々な観点から示したものでございます。
 説明は以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について、御意見、御質問等ございましたら、お願いいたします。
 では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 各論点についてコメントします。
 12ページ「1.新薬創出等加算」についてです。
 まず、革新的医薬品の定義、範囲は、現行どおりが妥当と考えます。
 企業要件を廃止して無条件にすることについては反対いたします。
 企業要件は、経緯及び様々な意見があることは承知しています。ただし、新薬創出等加算の当初の趣旨に立ち返りながら検討すべきと考えます。
 その上で、区分3に該当した場合であっても、区分2とみなす要件である中小企業であること。加えて、他の法人が株式総数または出資総額の2分の1以上の株式または出資金を有していないことについては、引き続き、要件として設定するべきと考えます。
 一方、新薬の研究開発期、年数を鑑みれば、中小企業基本法の定義である、従業員数300人以下、または資本金3億円以下にとらわれず、本制度において、3億円の上限を引き上げることを検討してもよいと思います。
 なお、中小企業の資本や従業員数などは、企業のウェブサイトなどで公開されていないことも多く、第三者による確認ができないことは問題ですので、要件として、情報公開についても求めるべきと考えます。
 20ページ「2.その他の新薬のイノベーション評価」についてです。
 ①は、15ページにあるとおり、薬理作用、類似薬に限定せずとも、一定の条件のもとで新薬創出等加算の対象とすることでよいと考えます。
 ②は、併算定を認めるのであれば、迅速な効能追加が促されたのかどうかをフォローし、分析することも必要であると考えます。
 ③は、新薬創出等加算の意義が収載時の薬価を維持するというものであれば、収載時の薬価をできるだけ大きく超えるように再算定し、その価格を維持するような運用が適当と言えるのか、制度本来の趣旨に基づいて慎重に検討すべきではないでしょうか。
 ④は、8月の議論の際にも質問させていただきましたが、どのような場合であれば、国内のガイドラインに記載されていない場合であっても、標準的治療法となることが明らかであるかは、一律には判断できないとのことでした。
 したがって、再度専門組織で検討していただき、必要でしたら、過去の収載品目とガイドラインでの評価について、タイミングや内容を検討し、資料を提示していただくなど、状況の整理をしていただく必要もあるのではないかと考えます。
 37ページの「3.市場拡大再算定」です。
 1つ目の再算定類似品の取扱いについてですが、重複している効能が、たとえ1つであっても、それが主たる効能であれば、当然、類似薬として対象とするべきであり、状況は様々であることが想定されます。
 以前指摘したとおり、明文化することは難しく、これまでどおり薬価算定組織で検討された結果を中医協に提案いただき、市場拡大再算定の趣旨である公的保険制度における薬剤費の適切な配分を踏まえつつ、中医協で判断するのが適当であると考えます。
 2つ目の再算定類似品以外の取扱いについてですが、市場拡大再算定の制度趣旨の核心は、国民皆保険の持続性を確保するということからすれば、引下げ率の上限値については、上限値が適用された品目の状況なども分析した上で、見直しを検討してもよいのではないかと思います。
 3つ目の再算定時の補正加算ですが、今回改定で対応しないということを踏まえ、引き続き、本部会で過去の例などを参考に、評価の在り方について検討できればと考えます。
 47ページ「4.小児用の医薬品に関する評価」についてです。
 開発促進に向けた薬事制度における対応が検討されており、その制度に応じる形であれば、薬価制度での対応も検討に値すると考えます。
 いずれにせよ、このテーマについては、薬価のみで支えられるものばかりではないわけですので、薬事制度も含めた全体としての議論とすべきです。
 最後に63ページ「5.薬価算定の妥当性・透明性の向上」についてです。
 1ポツについてです。類似薬効比較方式の適用範囲の拡大に向けた具体的な検討を期待しますが、原価計算方式による算定品目をゼロにはできないと思いますので、新規モダリティーなど、類似薬がない革新的新薬の薬価算定の在り方については、次々回の薬価改定に向けて検討を進めていく必要があると思います。
 したがって、原価計算方式の透明性の向上についても、継続して検討することに賛同いたします。
 2ポツについてです。比較薬におけるG1及びG2品目の取扱いについては、新薬の薬価算定の際、G1/G2品目を比較薬として、類似薬効比較方式により算定できるようにするというものであり、類似薬効比較方式を拡大するという意味で賛同いたします。
 また、類似薬効比較方式(Ⅰ)における薬価の適正化については、今後の継続課題ということになろうかと思いますが、考慮すべき因子や調整の幅等について、事務局または薬価専門部会での御検討をお願いいたします。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 では、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 論点に沿って幾つかコメントをさせていただきます。
 まず、12ページ目に示されている論点の1ポツ目についてですが、現行の企業要件は、企業の規模に依存するところがあり、ベンチャー等への配慮から企業要件を撤廃することに異論はありませんが、企業の取組が後退してはいけません。
 2ポツ目に示されているとおり、企業要件を撤廃した場合には、その後の企業の動向は引き続き注視していくことが必要と考えます。
 また、そもそも企業要件がドラッグ・ラグ/ロスの解消にどれくらい効果があったのか、企業のインセンティブとして機能していたのか、あるいは逆の効果がなかったのかという点については、関係業界の受け止めも確認した上で対応すべきと考えますので、専門委員からも改めて意見をいただきたく存じます。
 その上で、2ポツ目、3ポツ目にありますように、今回の見直しの妥当性等については、今後の収載品目の実績などを基に検証を行うことが重要と考えますので、関係業界におかれましては、検証への対応も含め、引き続き御協力をお願いできればと思います。
 次に、20ページ目の「その他の新薬のイノベーション評価に関する論点」について異論はありません。
 ②の併算定を認めることについては、効能追加を迅速に行った場合、かえって不利となる取扱いとなっているので見直しが必要と考えます。
 ③の薬価改定時の加算の評価については、イノベーションの評価を適切に行い、ドラッグ・ラグ/ロス解消の観点からも重要な対応と考えます。
 次に、37ページ目の「市場拡大再算定に関する論点」についてですが、再算定類似品の取扱いについて、2ポツ目で示されているPD-1/PD-L1阻害薬のような課題を有する領域については、あらかじめ特定が可能であることから、類似品の考え方を見直し、あらかじめ特定された領域について、対象からは除外するのも1つの考え方です。
 また、再算定類似品以外の取扱いについてですが、31ページ目に、上限値がなかった場合の引下げ率が示されていますが、現状、上限値が適用されている品目が一定数あり、激変緩和の機能を果たしているものと考えますが、現行のままで進めていくべきか、検討の余地があるものと考えます。
 また、再算定時の補正加算の対象とするべきかについては、改定時の加算との関係性も踏まえて、しっかりとシミュレーションをしつつ判断すべきものと考えますので、引き続きの課題と考えます。
 次に、47ページ目の「小児用医薬品の開発の評価に関する論点」について、小児製剤の開発の難しさ等から、一定のインセンティブを与えることに異論はありませんが、薬価上の措置の見直しの有無にかかわらず、企業にはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、63ページ目の薬価算定の妥当性・透明性の向上についての1つ目の論点「原価計算方式における開示度向上」等についてですが、検討を進めていくことについて異論はありませんが、まずは、企業の努力の範囲で取組が適切に進められるような対応が必要と考えます。
 その上で、どうしても開示が困難であり、開示度向上が進んでいない現状を踏まえて、今後どう対応していくのか、業界の意見も踏まえて、実効性のある対応を検討していく必要があると考えます。
 類似薬効方式による算定をより進めていくのであれば、一定の範囲の中で柔軟な運用をしていく必要があると考えます。
 2つ目の論点「その他新薬の評価に関する運用上の課題」について、異論はありません。
 類似薬効比較方式(Ⅰ)における薬価の適正化についても、慎重に検討を進めていくということで理解いたします。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見はいかがでしょうか。
 では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、論点に沿ってコメントをいたしますけれども、まず、全体的な印象を申し上げますと、今回、事務局から御提案のあったものは、幅広い項目に、かなりダイナミックに提案されているという印象を素直に受けたものでございます。
 イノベーション推進の重要性は十分理解しておりますが、医療保険財政にどのような影響があるのか、短期と中期の両面から見通しを示していただくことは不可欠だと指摘させていただきます。
 それでは、事務局案について、具体的な意見をコメントいたします。
 資料の7ページから8ページに記載がございます「考え方の整理」のうち、先ほど来、各委員からも出ておりますけれども、1つ目の企業要件・企業指標については、ベンチャー企業に配慮する必要性は十分理解いたしますが、企業指標が研究開発の取組を評価するものであることを踏まえれば、企業要件そのものを廃止することには、少し議論が飛躍していると感じております。
 したがいまして、企業要件と連動する8ページの加算額についても、基本的に2の品目要件さえ満たせば、単に改定前薬価を維持するという考え方には、疑問を感じざるを得ないというのが考えでございます。
 また、4項の累積額控除については、業界ヒアリングで、特許期間中の薬価維持とセットで議論すべきという御趣旨の発言があったと記憶しております。
 今回の改定は、累積額控除のタイミングですので、従来と同じ対応となりますが、私どもといたしましては、製薬業界の御認識のとおり、今回から薬価の維持を重視するのであれば、今後は少なくとも毎年度累積額を控除する方向性を、年末にまとめる薬価制度改革の骨子の中で、中医協の共通認識として確認すべきだと主張いたします。
 8ページの控除時期の下から2行目にございます、次期薬価改定というのは、令和7年度の改定と理解しております。
 続きまして、20ページにございます、その他の新薬のイノベーション評価に関する論点に移りたいと思います。
 論点の①については、以前にも発言いたしましたが、3年以内・3番手以内の枠組みを維持したとしても、資料の15ページのイメージで、例えば、医薬品のB、Dが存在しない場合、加算の対象品目が増加する可能性があることを指摘させていただきます。
 論点の②については、例えば、オーファンと小児では、市場規模が小さいという面では評価が重複いたします。もちろん、両方の要素が重なることで開発や収益性が一層厳しくなることは否定いたしませんが、単純に評価を足し合わせることが妥当なのかは十分な見極めが必要です。
 論点の③、④についても、評価の妥当性を十分に踏まえた対応が必要だと考えます。
 続きまして、37ページ「市場拡大再算定に関する論点」に移りたいと思います。
 類似品の取扱いにつきましては、競合性が複雑な領域をあらかじめ特定することは、予見性を高める観点から、検討の余地があると考えます。
 一方、類似品以外の取扱いにつきましては、引下げを強化すべきと考えております。
 補正加算による緩和については、臨床上の有用性を薬価算定組織で個別に評価する方向であれば、異論はございません。
 続きまして、47ページ「小児用医薬品の開発の評価に関する論点」です。
 補助金等による開発促進策とあわせて、薬事制度との整合の取れた薬価上の措置を検討することであれば、評価を充実することには異論ございません。
 45ページに示された対応策については、既存の評価と重複しないことに配慮すれば、いずれも検討の余地がございますが、47ページの最後の論点にあるとおり、次回以降の制度改革でも引き続き議論する前提で、効果が高いものから優先的に実施するということもあり得ると考えております。
 最後に、63ページ「薬価算定の妥当性・透明性の向上に関する論点」です。
 1つ目の原価計算方式に関してですが、これまで様々な措置を講じても、開示度が向上してこなかったこと。また、新規モダリティに対する評価の考え方は、持ち合わせていないことを踏まえますと、また、研究班における検討課題になっていることも踏まえますと、もう少し時間をかけて検討したほうがいいのではないかと考えております。
 2番のその他の課題については、事務局案のとおりで進めていただきたいと考えております。
 類似薬効比較方式(Ⅰ)における、一日薬価合わせの調整については、加算のポイント制等も参考にして、ある程度客観的な判断ができるようにすべきと考えております。
 私からは以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 私、冒頭、佐保委員は御欠席と申し上げましたけれども、ただいま御参加いただきました。よろしくお願いいたします。
 ほかに御意見等ございますでしょうか。
 では、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 12ページの論点に沿って、少しお話をさせていただきますが、ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスの解消に向けて、新薬の研究開発に注力する環境を整備する観点から、本資料に掲げられたとおり、新薬創出等加算の企業要件の廃止などの見直しを行うことについては賛成いたします。
 しかしながら、1点ですが、今後の控除時期についてですが、以降の薬価改定の際に検討することが考えられるとされておりますが、後発医薬品が登場した際に、スムーズに市場の移行が進むよう、毎年の薬価改定時に、累積額を控除する方向で検討していただきたいと考えております。
 また、全体としましては、新薬に関する制度見直しについては、後発医薬品の安定供給に向けた積極的な課題解決の検討と併せて、その効果を見ていくべきと考えておりまして、次回以降の薬価制度改革に向けた検討の中で、丁寧に検証を行えるよう、事務局におかれましては、御配慮をお願いしたいと考えております。
 以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見は。
 では、眞田委員から、お願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 私からは、12ページの論点、新薬創出等加算に関して、コメントをさせていただきたいと思います。
 この論点につきましては、7ページ、8ページの考え方の整理にまとめていただいておりますけれども、この方向で見直すことに異論はございません。
 今回の案というのは、骨太方針2023に明記されているとおり、「創薬力強化に向けたイノベーションの適切な評価」という観点からの見直しの一環であると受け止めているところでございます。
 その一方で、患者負担であるとか、制度の持続可能性確保の観点からは、その他の薬価に関する論点について、今後、バランスの取れた議論を行うべきだと考えております。
 以上でございます。
○安川部会長
 では、続いて、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 最初に、遅参をしてきたことをおわび申し上げます。
 私からは1点でございます。10月20日の第212回薬価専門部会でも発言をさせていただきましたが、小児用医薬品に関するドラッグ・ラグ/ロスの解消、開発促進の検討が必要です。
 47ページに書かれている論点、3点につきまして、異論はございません。
 以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに、では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 仮に企業要件を廃止するといった場合に、では、企業要件で評価していた価値、例えば、革新的新薬創出、ドラッグ・ラグ対策、世界に向けた新薬等、企業としての要件が、果たして、例えば品目要件で評価できるのかといった、そこで失われるものがないのかというところ、ここは十分に検討すべきではないかと考えます。
 以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 森委員から、先ほど出ました企業要件について、ドラッグ・ロス/ラグ等への影響の度合いはどうなのか、どういう認識なのかということについて、専門委員からも御意見を聞きたいということがございましたが、それも含めて、もし専門委員のほうから御発言がございましたら、お願いいたします。
 では、石牟禮専門委員、お願いいたします。
○石牟禮専門委員
 ありがとうございます。専門委員の石牟禮でございます。
 新薬創出等加算の企業要件に関しての業界の受け止めを専門委員として申しあげます。
 まず、企業要件につきましては、前回この議論があったときにもお話し申し上げましたところでございますけれども、現在、特許期間中の新薬の価値からの収益を最大化させたいと、これがないと、企業経営としても非常に厳しい状況でございます。
 各社それぞれ研究開発に取り組んでいるところでございますけれども、どんなに革新性や有用性が高い新薬を出したとしても、企業区分によって75%の企業の新薬の薬価は維持されないというのが現状の仕組みでございまして、開発に向けてのインセンティブというよりは、むしろディスインセンティブという受け止めも可能だと考えております。
 そういった観点から、もともと未承認薬等の取組について求められているところでございましたけれども、現在、新薬創出加算等の品目要件には、開発公募品目であることということが入っております。これこそ、私どもにとってはインセンティブとなっておりますし、企業要件の中には、言わば、品目の質といいますか、価値を評価するようなもの、その数をカウントするというものもありまして、品目そのもので、その評価も可能だとは考えております。
 そのため、現在、業界全体としても、これまでどおり、未承認薬あるいはドラッグ・ラグ/ロスの解消に関して取り組んでまいりたいと考えておりますし、12ページの論点にございましたように、3点目にもございますように、検証を行っていくことについては、業界としても異論はないところでございます。
 企業要件の廃止によりまして、新薬創出等加算というのは、基本的に薬価を維持する仕組みになると思います。
 グローバルにも、我が国が新薬のイノベーションを評価する国であるということを示すこともできるということは、革新的な新薬であっても薬価が下落する国であるという認識を変えることにもつながり、日本市場の魅力度を回復させ、ドラッグ・ラグ/ロスの解消につながると確信しております。ぜひ、この論点に従って、企業要件の廃止について御検討をいただければと思います。
 それから、ドラッグ・ラグ/ロスの観点で申しますと、今、再算定の引下げ率についてのコメントがございました。
 再算定自体も、グローバル企業から見ますと、日本の市場の魅力度を低下させるルールの1つとなっております。
 現在、上限値が幾つかの品目において機能しているという状況を踏まえ、これを拡大するという見直しが、今、御検討いただいているドラッグ・ラグ/ロスに対する対応について、足を引っ張ることにならないかということを心配しております。ぜひ現行のままで、引き続き検証を進めていただければと考えております。
 また、最後に、小児の医薬品についてのコメントもございました。企業の取組についての御期待もあるということは十分承知しておりますが、この論点にありますように、様々な要因で小児の開発は難しい状況がございます。
 薬価制度だけではないですが、薬事制度とともに、引き続き改善に向けて検討を進めていくことは必要と考えておりますし、業界としても積極的に協力させていただきたいと考えておりまして、45ページにございますような薬価上の対応策について、ぜひ実施していただけるように、御検討いただきたくお願い申し上げます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 では、ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
 ほかに御質問等ないようでしたら。
 では、事務局から。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 様々な御意見をいただきましたので、全体的な補足も含めてさせていただきます。
 今回、こういった新薬の関係で、様々な御提案をさせていただきました。
 この辺りは、薬価基準の改正が必要なもの、それ以外も、運用上の対応となるもの、かなり細かい点も含めまして、提案をさせていただいているところでございます。運用ルールとかを改正するもの、あるいはもうそこに至らない個別判断の開示というところも含めてあります。
 事務局としても、今までの御意見、御要望とかも含めまして、新薬に対して、ドラッグ・ラグ/ロスの解消に向けたメッセージを、どのように示すかというところで、このようにまとめさせていただきました。
 今回、様々な御懸念も含めて、いろいろ御意見をいただきましたので、今後、また整理をさせていただきたいと考えております。
 その中で、やはり財政影響、もちろん国民皆保険の持続性というのも重要な視点でございます。
 そういった中で、先ほど新創加算の中での影響という点も御意見をいただきましたけれども、具体的な影響に関しては、予算編成の過程の中の議論とか、今回の薬価調査がどうなるかとか、そういったところで大きく変わってくるとは思いますが、この辺り、お示しできる範囲で、今後の議論の中で説明ができればと考えているところでございます。
 いずれにしても、個別の運用に関わるものというのは、基準をここで合意するというよりかは、もしかしたら、個別品目、個々の判断というところがございますので、その中で常に新薬というのは、こういう判断でやりましたということを、いつも総会のほうでお示ししていますので、その中で個別に説明する、あるいは御質問に対して御回答する、そういった中でもできるのかなと思っているものもございますので、それも含めて全体的な新薬のイノベーション評価の視点の薬価制度改革の改正の方向性、そういったところを検討させていただければと思っております。
 以上でございます。
○安川部会長
 今、事務局からの補足もございました。御意見、御質問等よろしいでしょうか。
 では、本件に係る質疑は、この辺りといたします。
 今、御説明がありましたように、事務局におきまして、今後いただいた御意見を踏まえて、さらに御対応をいただきますよう、お願い申し上げます。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
                  
                                   

<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第216回議事録(2023年11月22日)

ページの先頭へ戻る