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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第214回議事録(2023年11月10日)

 
 

2023年11月10日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第214回議事録

○日時

令和5年11月10日(金)診療報酬改定結果検証部会終了後~

○場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F

○出席者

安川文朗部会長 笠木映里部会長代理 小塩隆士委員 本田文子委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員
藤原尚也専門委員 石牟禮武志専門委員 荒川隆治専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

令和6年度薬価改定について

○議事

○安川部会長
 おはようございます。ただいまより、第214回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 診療報酬改定結果検証部会と同様、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 なお、本日、部会長はオンライン参加のため、委員各位におかれましては、御不便をおかけしますことをおわび申し上げます。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
 本日は全員が御出席です。
 なお、本日は、部会長の安川がオンラインで出席しております。皆様には、大変御不便、御迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、今回は、配付資料に関する説明のため、資料にある研究班の研究代表であられる北里大学薬学部の成川衛教授に御出席をいただいております。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 今回は「令和6年度薬価改定について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。資料薬-1を御覧ください。
 2ページ目、本日は、新薬と基礎的医薬品に関連する内容の資料を準備しております。
 3ページ目から、まず、新薬の議論ですが、個別テーマの説明の前に、以前の薬価専門部会において、4ページ目でお示しした研究班で新薬関係の検討を進めていると説明いたしました。
 具体的には、5ページ目のような検討事項の課題をまとめていただいております。
 この研究班の報告内容につきまして、まず、研究代表者の成川教授より、御説明いただきたいと考えております。
 説明の後、これらの報告を踏まえて、事務局で準備した資料について説明いたします。
 一旦、私の説明を終わります。
○安川部会長
 それでは、成川先生より、御説明をお願いいたします。
○成川先生
 ありがとうございます。成川でございます。
 本日は中間報告の機会をいただきまして、感謝申し上げます。手短に御報告いたします。
 まず、薬価の話に入る前に、少し基礎的な環境とかバックグラウンドについて、最近の状況の御報告です。
 スライドの2枚目を御覧いただけますでしょうか。
 これは、日本で承認された新薬について、アメリカあるいは欧州との申請日あるいは承認日の差を年度ごとにプロットしたものでございます。中央値で示しております。
 大まかに申し上げますと、ラグは、調査開始時からだんだん短縮をしてきていまして、2013年、2014年ぐらいまでは短縮をしてまいりましたが、最近は頭打ち、あるいはやや増加傾向という感じかと思います。
 3枚目でございますが、先ほどの分析は、日本で承認された薬だけを対象にした分析でございましたが、3枚目のものについては、未承認のもの、あるいは開発中、開発に着手していないものも含めまして、分析をしたものでございまして、日本で承認されていない薬については、分析時点までのデータを打ち切りデータとして扱いまして、製造時間の解析をしております。
 その結果のところですが、日本での開発承認の遅延と統計的に有意な関連が見られた因子としましては、全薬剤における分析で、日本に類薬が存在しない新薬、新規性の高いものと御理解いただいていいと思います。
 それから、欧米の承認取得企業に日本法人がない新薬という結果でございました。
 似たような分析をしたのが4ページ目にございまして、こちらは抗がん剤に特化した分析でございまして、10年あまりの間にアメリカで承認された新規抗がん剤について、日米あるいは欧米の承認ラグを分析したものでございます。
 こちらについては、日米間の承認ラグは、最初の5年間と後ろの5年間で比べたところ、最近のほうが大きくなっているということで、これの要因としては、やはり未承認薬が影響しているということでございます。
 それから、一番下のところでございますけれども、承認ラグが大きかった背景として、中小規模の外国企業がアメリカで承認を取ったもの、それからアメリカの承認取得時の主要な試験に、日本が参加していなかったものという状況でございました。
 続きまして、5ページ目でございます。
 こちらは、日本の外資系企業上位10社が行ったフェーズ2、フェーズ3の国際共同試験に日本が参加をしているかどうかというものを経時的にプロットいたしました。
 青の折れ線グラフが日本の参加率でございまして、順調に上昇してきておりますけれども、2020年がピークで、やや最近は下降気味とも見えるかなという感じで、参考にプロットした中国に追いつかれ、追い抜かれそうだという状況でございます。
 6枚目ですけれども、こちらは審査機関でございますが、これは御覧のとおり、日本の審査は、最近、非常に安定して早いということで、審査が遅くて上市が遅れるという御心配はもうない時代になっているということでございます。
 こういったことを踏まえますと、7枚目でございますが、革新的新薬の日本市場への速やかな導入のために検討すべき方向としては、国際共同治験への参加の促進と、それから日本法人を有さない海外企業、特に中小規模、バイオベンチャーのところをどう考慮するかということを、薬価の面、それから薬事の面、両面から対応していくことが必要ではないかということです。
 それ以外にも、臨床試験環境の整備とか、製薬産業における創薬力の強化とか、そのようなことが、相まって効果が発揮されていくということでございます。
 今回の具体的な御提案が8枚目から始まります。大きく3つ御提案でございますけれども、少しかみ砕いて一個ずつ御報告しますけれども、9枚目に行っていただけますでしょうか。
 まず、1つ目の御提案が「医療上の必要性が高い革新的新薬の早期導入のインセンティブ」ということでございます。
 これについては、適切な類似薬がないもの、かつ参照できる外国価格が存在しないものというのが、特に日本への早期導入の障害となっているという分析をいたしました。
 それへの対応といたしまして、10ページ目でございますが、国際的な開発が進行している革新的新薬を日本に迅速に導入した場合の加算、これは仮称ですけれども「迅速導入加算」と書きましたけれども、そういうものを対外的にメッセージとして出すのはいかがでしょうかという御提案でございます。
 このときに、革新的新薬の定義というものを薬機法のほうで優先審査の対象になったものが革新的なものとみなしまして、そういう品目、かつ、日本が真っ先に承認されたとか、あるいは多少遅れても米国、欧州のいずれか早いほうの申請日と、6か月以内ぐらいに日本で申請できたものと、ここは資料の翻訳とか、そういう問題がございますので、少し幅を持たせておりますけれども、そんな御提案でございます。
 それについて、直接的に何か加算をするということはいかがかということです。
 それと連動しまして、そのとき薬価収載時には、まだ外国価格が参照できないケースが多いものですから、収載後の引上げ調整というものを導入したらいかがかということです。
 これについては、いろいろ御議論があるのは承知しておりますけれども、あえて提案をさせていただいたということでございます。それが大きな1つ目です。
 それから、少し飛びまして、13枚目に行っていただけますでしょうか。
 こちらは、主に有用性加算のポイント制についての補足というか、見直しの御提案でございます。
 現在の薬価算定ルールは、昔からいろいろな時代を積み重ねて今日に至っていますけれども、もともと化学合成による低分子医薬品が主な対象の頃に骨格がつくられた制度でございます。
 今のポイント制につきましても、実は、次の14枚目のスライドを御覧いただければと思いますが、平成26年、2014年に、実は私が薬価専門部会に出席させていただいて提案をしたポイントでございまして、このポイントをつくったときには、いかに過去の加算率を定量化のポイントで再現するかということに念頭を置いてポイントをつくりました。
 ところが、最近ですと、15ページですけれど、新薬のプロファイルが大分変わってきております。ポイント作成時と、ポイント制適用後で、上下で比べましたけれども、バイオ医薬品が増えている、抗がん剤も増えていて、あとオーファンドラッグ、難病の薬も増えているということで、そういう新しいプロファイルのいいところを評価するために、ポイントの項目を少し追加してはいかがかというのが御提案でございまして、具体的には、16枚目でございます。
 大きく5点ございまして、今、イロハの要件がございますけれど、イの「新規の作用機序」のところにつきましては、臨床上有用な新規の作用機序を有し、それを前提として、かつ、創薬及び製造のプロセスが類似薬等と大きく異なることに基づいた臨床上の有用性が示されるということで、バイオ医薬品ですとか、核酸医薬とか、そういう新規モダリティーについての評価を少し充実させてはいかがかという御提案です。
 それから、2つ目のポツは、やはり新規の作用機序を有し、かつ、同じ疾患領域において新規の作用機序の新薬が長期間収載されていないとき、比較薬となる薬の薬価が大分下がってしまっているときに、加算という形で少し補正ができないかという想定でございます。
 ロの「高い有効性又は安全性」のところは、最近、難病とかの薬で無作為化比較試験ができないケースが増えてきていまして、そういう単郡の試験ですとか、あるいはプラセボ群を対象とした試験でも、間接的な比較ですけれども、類似薬に比べて高い有効性、安全性が客観的かつ信頼性を持って示されているという判断ができるようなときには、この加算を認めてもいいのではないかと、これは、算定組織で御議論いただいてはいかがかという趣旨でございます。
 ハの「治療方法の改善」のところで、作用機序に基づいて特定の患者集団に適用が限定され、例えば、特定の遺伝子変異を持っている方々だけに効能・効果が限定されているようなときに、その集団に対しては、高い効果が示されているケースで加算をしてはどうかと。あるいは、患者のQOLの向上など、臨床試験での重要な副次的項目において既存の治療方法に比べた改善が示されるという内容でございます。
 少し間を飛ばさせていただきまして、すません、27枚目まで飛びますけれども、その他、3つ目の御提案でございますけれども、補正加算の加算率のめり張りということで、市場性加算、小児科さん、先駆加算、それぞれ実はルールの中で幅が設けられているのですけれども、実態としては、29枚目にお示しするように、その幅の中での最低のケースが適用されているケースがほとんどでございます。
 ですので、希少疾病用医薬品とか小児の薬の開発を促進するために、高めの加算率を適用してもよいケースの例示をしてはいかがかというのが、28枚目でございます。市場性加算でいいますと、患者数が極端に少ないとか、市場規模がすごく小さいような場合には、少し高めの加算率をつけるとか、小児加算ですと、重篤な疾病あるいはすごく臨床試験がやりにくいであろう、低年齢のお子さんを対象にした臨床試験をやった場合、先駆加算で言いますと、日本が世界で初承認、そういった場合に少し高めの加算率を適用するとか、そんなようなことの御提案でございました。
 以上でございますけれども、最後のところですけれども、そういう御提案を申し上げましたが、今後、将来に向けた課題としては3つ書きまして、類似薬効比較方式の適用範囲の拡大、それから再生医療等製品を含む新規モダリティー製品の評価の在り方、それから承認後の市販後のエビデンス収集と、それに基づいた価格の見直しを行うような検討ということを、少し将来に向けた課題として記載させていただきました。
 以上でございます。ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 では、引き続きまして、事務局より説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官です。では、約-1の資料説明に戻ります。
 6ページ目「日本への早期導入に関する評価」です。
 7ページは「これまでの主な意見」です。
 8ページ目は、研究班の分析を基に事務局で整理したものです。
 過去4年間に収載された新薬について、薬事承認審査における優先審査の対象になって、欧米より先に承認されたか、申請時期の差が6か月以内の品目を調査しました。
 その結果、対象となるのは19成分で6%であり、資料に示している分類の品目があったというものでございます。
 あと、外国価格の関係は、外国平均価格調整のルールのように、参照可能な価格が存在したものは12成分、そのうちルールに従って試算したところ、5成分が引上げに、1成分が引下げになりました。
 9ページ、10ページ目が、分析した情報です。
 9ページ目の右端の欄に価格を調整した場合の比率を示しております。
 11ページ目は、優先審査に関する根拠規定。
 12ページ目は、優先審査が薬価上どのように評価されるかを示しているものでございます。優先審査の指定を受けただけでは、評価されない分類もあります。
 13ページ目は、補正加算の概要です。
 14ページ目は、早期導入の考え方をまとめました。先駆加算の対象となる先駆的医薬品は、上半分に示しているような取扱いです。
 先駆的医薬品ではありませんが、日本へ迅速に導入したと判断できる考え方を下半分にまとめております。
 承認申請時期や承認時期が一定期間の範囲であれば、先駆加算に準じたものとして柔軟に判断して評価してよいかどうかというのが、1つの考え方ではないかと事務局では整理いたしました。
 15ページ目、日本の治験は、現在、全体の6割が国際共同治験で、その割合が増加傾向ということで、同時開発で進められている品目が多くなっております。
 研究班のほうでもありましたが、日本の開発を進めるためには、国際共同治験に関わることも重要な要素と考えております。
 16、17は、外国平均価格調整に関するルールでございます。
 18ページ目に、早期導入に関する論点をまとめました。先駆加算に準じた評価として、薬事承認の取扱いを踏まえ、どのように考えるかということで示しております。
 まず、①として、早期導入に関する評価ですが、例えば、ここで示しているような考え方を全て満たす品目を薬価において評価することをどのように考えるか。
 また、評価を行う場合は、現行の評価のタイミングが複数ありますので、新規収載品目の補正加算、あるいは追加された効能・効果における改定時加算の適用についてどのように考えるかということです。
 ②としては、収載後の外国平均価格調整です。2点示していますが、1つ目は、現行の収載後、外国平均価格調整のルールに、価格が引上げとなる場合も適用する。
 2つ目は、類似薬効比較方式で算定される品目も含めて適用するが、適用は価格の引上げも、引下げの両方行うということについて、これをどう考えるかという点です。
 ただし、価格の引上げについては、書いていますが、引き上げることによる患者負担増の影響等の配慮が必要なことにも留意が要るのではないかと考えております。
 次に、19ページ目、補正加算の評価です。
 22ページ目は、研究班の報告でございます。
 23ページ目が、有用性加算で薬価算定組織の判断で評価できる項目を活用した品目が少ないという分析で、具体的には、24ページ目に示しております。
 25ページ目からが提案でございまして、先ほどの研究班の報告に基づいて、開発状況を踏まえて、改正したほうがいいと考えるものをまとめております。
 赤字が追加項目箇所でございます。27ページ目まで続きます。
 28ページ目は、有用性加算以外の加算率の評価。先ほど研究班のほうの説明がありましたけれども、最近の開発動向等踏まえ、こういう考え方であれば、加算率の充実が考えられるのではないかということを、研究班の指摘も踏まえ整理をしました。
 29ページ目、論点です。下に矢羽根が2つあります。
 有用性系加算の定量化に関して、最近の医薬品の開発状況等を踏まえ、今回新たに項目を追加し、それを基に評価を判断していくことについて、どのように考えるか。
 2つ目の矢羽根、市場性加算、小児加算等の有用性系加算以外の補正加算に関して、最近の医薬品の開発状況や、症例数等による治験の実施の困難さ等を踏まえ、現在規定されている範囲内で、加算率を柔軟に判断することについて、どのように考えるかということで、これらの提案に関しては、最初のなお書きに書いていますが、単に加算となる品目や加算率をあらゆるものに広げたいという趣旨ではなく、イノベーションの適正な評価の観点から整理したものでございます。
 実際には、品目ごとに薬価算定組織で判断するものであり、その結果は、これまでどおり中医協総会で説明して承認を得る手続は変わらないものと考えております。
 次に30ページ目「2.基礎的医薬品」でございます。
 33ページ目に、基礎的医薬品における状況変化と現状をまとめました。
 まず「①薬価収載からの期間」です。今のルールは、薬価収載の日から25年を経過したものとされていますが、薬価改定の頻度が毎年となり、中間年改定の改定対象範囲も考えると、平均乖離率程度の品目であっても改定対象になりますので、制度制定当初より価格が早く下がるようになっています。また、不採算品採算と受けた品目でも25年未満の品目も一定存在する。こういった状況もありますので、収載時期の整理が必要ではないかというのが課題です。
 次に「②価格帯」ですが、当初の制度設計は基礎的医薬品とそれ以外の2つの価格帯と考えていましたが、改定が繰り返されると、基礎的医薬品から外れた品目が、次にまた基礎的なるとか、あるいは中間年改定の改定対象になる、ならないで分かれたりするので、想定している2つの価格帯に収まっておらず、改定ごとに整理することも複雑になっているというのが課題です。
 35ページ目は、業界から薬価収載の年数の改善等の要望があるというものでございます。
 36ページ目は、最近の不採算品再算定の収載時期の分析で、25年未満の品目も一定数存在しており、決して少ないものではないというものでございます。
 37ページ目は、価格帯の課題は、先ほど説明したとおりで、令和4年改定では運用改善措置が新設されましたが、このような措置が次々と必要になる可能性があります。
 38ページ目、基礎的医薬品に関する論点でございます。
 一番下に2つ挙げております。
 最近の薬価改定の状況や不採算品再算定の適用状況等を踏まえ、基礎的医薬品の対象となる品目の要件、特に収載からの期間を短い期間とすることについて、どのように考えるか。
 2つ目、基礎的医薬品の価格設定の在り方、特に基礎的医薬品の対象から外れた銘柄の価格設定について、どのように考えるかということでございます。
 説明は以上となります。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 では、ただいまの説明について御意見、御質問をいただきたいと思いますが、御説明を頂戴いたしました成川先生に対する御質問、それから事務局より説明いただいた内容、これに対する御意見、御質問を、できましたら両方をまとめてお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。
 では、長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島委員
 成川先生におかれましては、御丁寧な御説明ありがとうございました。
 それでは、各論点についてコメントいたします。
 まず、18ページ、早期導入についてです。
 先駆加算に準じた評価や、収載後の外国平均価格調整で価格が引上げになる場合も適用する等の提案がありましたが、検討の前提として、医療上の必要性が高い、革新的新薬の早期導入のインセンティブと、近年問題視されているドラッグ・ラグ/ロスの改善との関係について、明確にしておく必要があると考えます。
 つまり、これらの施策が導入されたのなら、ドラッグ・ラグ/ロスは本当に改善されるものなのか、事前にどういったところを指標として見ていくのかを定めておき、事後的な評価をきちんと行っていく必要があると考えます。その後の開発状況を継続して検証していくこととセットで措置するものと思います。
 ドラッグ・ラグ/ロスについては、他の施策とセットで相乗効果によって改善されるものであることは理解していますが、改善しない場合は、評価の在り方を見直すことも必要ではないかと思います。
 なお、外国平均価格調整については、前回意見の繰り返しになりますが、既に使用されている医薬品の外国価格が高いという理由だけで、収載後に薬価を上げることは、患者さんの理解は得られにくいのではないかと思います。
 日米欧で同時期に薬事承認を得たとしても、日本は承認から保険適用までの期間が短いため、比較できる外国価格がない状況は、ごく自然に発生してしまいますが、それは迅速に保険適用されるという我が国ならではのメリットの裏返しとも言えますので、16ページの現行の対応でもよいのではないでしょうか。
 続いて、29ページ、補正加算についてです。
 有用性系加算等の評価項目と定量化については、最近の医薬品の開発状況等を踏まえた研究班による分析をいただきましたので、新たに追加した項目を基に評価を判断し、加算率を柔軟に判断していくことに異論はありません。
 その上で、事務局あるいは成川先生に幾つか質問をさせていただきます。
 25ページの対応案にあるeに「同じ疾患領域において、新規の作用機序の新薬が長期間収載されていない」とありますが、この疾患領域の定義は、どのようにお考えでしょうか。アルツハイマーは該当するのでしょうか。
 また、27ページの対応案のうちeについては、最初の承認が限定的でも、効能追加を重ねる可能性を踏まえれば、対象から外すことも考えられるのではないでしょうか。
 薬-2、22ページの補足データの事例で言えば、有用性加算による評価を、患者数を基により細かく規定することも考えられますが、そのような検討はされたでしょうか。
 次に、27ページ、対応案のうちfについて、副次評価項目が重要かどうかは、どの立場の視点で重要と判断されるのでしょうか。
 最後は、38ページの基礎的医薬品についてです。
 基礎的医薬品制度は、平成28年度の導入以降、対象の追加がなされてきた一方で、毎年改定の影響もあり、運用が相当複雑化しております。
 医療上の必要性の高い医薬品の安定供給確保は非常に重要な課題であり、現状のもとで考え方をしっかり整理する必要があると考えます。
 25年未満で、不採算再算定の対象となる品目があるのであれば、安定供給確保のため、要件である年数を見直すことも検討に値すると考えます。
 ただし、基礎的医薬品という価格が維持されていることを期待されている品目が、全品目の平均乖離率以下の乖離率となる場合もあることについては、制度の目的を考えますと、理解に苦しみます。
 薬価上の評価を与えるのであれば、安定供給に向けた情報を開示するなど、何らかの企業努力を見える化することを求めることも検討に値するのではないでしょうか。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 今、幾つか長島委員より成川先生及び事務局へということで御質問をいただきましたが、まず、成川先生のほうから、もし可能な範囲で御回答いただけるような部分がございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
○成川先生
 承知しました、成川です。御質問をいただきまして、ありがとうございました。
 最初の御質問のドラッグ・ラグ/ロス対策の効果の評価をしていくべきではないかと、すごく重要な御指摘であると思います。
 それについては、提案をしたという責任もございますし、あるいはこの分野の研究をしているという専門性もありますので、フォローアップをしていきたいと思います。
 難しいところは、薬の開発というのは時間がかかりますので、承認の出口のところまで来るのには多少時間がかかりますので、もう少し前半のところも何らかの指標を適切に捉えながら、例えば先ほど御紹介した国際共同試験の参画の状況とか、そういったものを含めて、ぜひフォローしていきたいと考えております。
 それから、2つ目の25ページ目の対応案のところですが、疾患領域でございますけれども、もともと感染症とか、そういうところを念頭に考え出したところではあるのですけれども、私の考えとしては、特に提案としては、疾患を限定する意図はございません。場合によっては、認知症なども候補に挙がってもいいのかもしれませんが、そこはまさに個々の品目の状況を踏まえて、薬価算定組織で御検討いただくということが必要ではないかと考えております。
 3つ目の効能追加を重ねる予定があるものがあるのではないかという御指摘でございました。こちらにつきましては、実は作用機序的にも理論的にもといいますか、大幅な効能追加というのは、考えにくい医薬品を想定してはいますけれども、そこは、その品目の開発状況なども少し踏まえて考えないといけない面はあるのかなと考えております。
 それで、より細かい分析をしていますかという御質問につきましては、すみません、そこは、これ以上の詳細のところはしていないというのが正直なところでございます。
 それから、最後の4点目で副次的評価項目の御質問がございました。副次的評価項目というのは、試験の中では結構数多く設定されますので、やはりそれを全部見ていると切りがないないという背景がございます。ですから、重要という限定を入れさせていただきまして、そこの考え方としましては、1つは薬事審査において重要性が指摘されているということがあると思いますし、それ以外でも、例えば薬価算定組織の議論の中で、やはりこの疾患について、そういう指標は重要だという御判断がなされる可能性もあるのではないかということでございます。
 以上です。ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 事務局からお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 直接の質問ではありませんけれども、先ほどの検証に関してでございまして、今回、こういった形で提案させていただいたのは、業界からの要望も踏まえて、論点として提示をしたものでございまして、御指摘のとおり、今後の検証というところも、当然必要ではないかと考えております。ただ、どういったやり方がいいかというのは、先ほど成川先生のお話もありましたけれども、いずれもそういったところは考えていくべきものかなと思います。
 いずれにしても、こういったところに関しては、専門委員あるいは業界からも、まず、ドラッグ・ラグ/ロスの解消のために今回で示した論点といったところも含めて、措置が必要であること、それはどう考えているか、あるいはこういった対応によって、日本の開発状況がどう変化するかを業界としてもどう考えていくのかと、そういったところも意見をいただきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 長島委員、よろしいでしょうか。
○長島委員
 ありがとうございました。
○安川部会長
 それでは、ほかに御意見、御質問はございますか。
 では、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 成川先生、御説明どうもありがとうございました。論点に沿って発言させていただきます。
 まず、18ページ目の論点の①についてですが、論点に示されている考え方を全て満たす品目については、早期導入の考え方に即しているものであり、一定の評価があってもよいものではないかと考えます。
 また、評価を行う場合、新規収載時における補正加算も効能・効果による改定時加算も、いずれも適用すべきではないかと考えます。
 次に②についてですが、論点に示されている考え方に、より引上げ調整を行うこと、類似薬効比較方式で算定される品目も対象とすることに検討の余地はあるものと考えますが、収載後に薬価の引上げを行うと、継続的に薬剤を使用する患者さんにとっての負担感は小さくないと思われます。患者負担額への影響に配慮し、価格が引き上がり過ぎないよう、上限を小幅に設定する設定などの対応は必要と考えます。
 また、このような課題があることを踏まえれば、収載後に薬価を引き上げるよりも、収載時の評価を充実させることが重要と考えます。
 早期導入に関する論点への意見は以上ですが、先ほどの長島委員と同様の指摘になりますが、このような薬価上の評価をすることにより、本当にドラッグ・ラグ/ロスの解消につながるのかどうか、今ひとつ明確でないと感じています。
 この点について、成川先生と業界のほうにどのように捉えているのか、御意見をいただきたいと思っております。
 次に、29ページ目に示されている論点については、新規モダリティー製品の開発などの変化に対応した評価、市場性加算等の加算率が低い等の点から、評価を行うべき品目については、しかるべき評価がされるように見直すべきと考えます。
 ただし、薬価算定組織の個別の判断によって加算を行う場合には、その根拠を中医協総会で説明して承認を得ることが前提と考えます。
 薬価算定組織におかれましては、考え方や評価の妥当性をしっかりと総会に御報告いただきますようお願いいたします。
 次に、38ページ目の基礎的医薬品に関する論点の1つ目のポツですが、34ページ目にも示されているとおり、薬価の中間年改定により、長期間にわたり収載されている品目という意味合いが変わってきています。
 倍のスピードで短期間に薬価が下がっていってしまう現状に鑑みても、基礎的医薬品の要件である収載から25年というところは見直す必要があると考えます。
 また、平均乖離率以下が対象となることから、総価取引等による予期しない引上げとならないように、一層の流通改善の必要があると考えます。
 2つ目のポツについてですが、価格帯が分かれ過ぎないよう、合理的な整理が必要と考えます。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ただいま、森委員からも1点、政策によるラグ/ロスの解消効果に関する御質問がございました。業界からの御意見は、また後ほどまとめて頂戴したいと思います。
 成川先生のほうから、もし、今の御質問に加えて御回答があるようでしたら、お願いいたします。
○成川先生
 ありがとうございます。
 森委員からの御質問ありがとうございました。
 今回の研究を行って提案をまとめたベースとしては、やはり将来、日本の患者さんの方々に必要な薬が届かなくなるような事態を何とも避けたいというものが、検討のベースでございます。
 そういった視点で、薬価だけの対応でそれができるとは思っていないのですけれども、こちらの場ですので、薬価の観点でどういった工夫ができるかというところで、基礎的な分析を行って御提案をしたという経緯でございます。
 ですから、研究を行った立場といたしましては、これが効果を発揮して、今の事態の改善につながると思っております。
 御指摘のように、やはりフォローアップは重要でございますので、そこはきちんと効果の検証なりということは、いろいろな場でやっていく必要があると思っております。
 以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 森委員、よろしいでしょうか。
○森委員
 ありがとうございました。
○安川部会長
 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
 では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 成川先生におかれましては、御説明どうもありがとうございました。
 それでは、論点に沿ってコメントしたいと思います。
 まず、18ページの早期導入に関する件でございますけれども、論点のうち①につきましては、10月20日の部会でも、薬事制度と整合が取れていることが不可欠と申し上げたことが反映された御提案であると受け止めており、試行的に実施する余地についてはあると考えております。
 続きまして、2つ目の外国平均価格調整でございますけれども、これは、長島委員、森委員からも御説明がありましたが、私どもも10月20日の部会で、外国のほうが高いという理由だけで、途中から値上げすることは、患者の理解を得られないと申し上げました。
 今回の資料を拝見いたしましたけれども、そこを覆すような合理的な理由自身は、なかなか示されていないこともありますし、資料の8ページを見ましても、対象価格引上げになる候補そのものも非常に対象が少ないということから考えますと、その調整の導入そのものは難しいと考えております。
 したがいまして、類似薬効比較方式で算定した品目を収載後の外国平均価格調整の対象とすることにつきましても、引上げと引下げがセットということであれば、患者負担への影響に配慮して慎重に検討すべきということでございます。
 続きまして、29ページ、補正加算の評価に関する件でございますが、研究班の御指摘も踏まえまして、真に医療上の必要性がある品目について、一定のルールに従って個別に薬価算定組織で判断するということであれば、運用の見直しについて検討することに異論はございませんけれども、これにつきましては、業界の意見も聞いた上で、最終的に判断をしたいと思っております。
 続きまして、38ページ、基礎的医薬品に関する件でございますけれども、毎年の薬価改定の導入など、以前と状況が変わってきたことを踏まえれば、そもそも25年要件が妥当なのかを検討することは否定いたしませんけれども、やはり薬価が下がっている根本的な原因は、実勢価格が低下していることにありますので、まずは市場で適切な価格で取引されるようにすべきだと指摘させていただきます。
 また、基礎的医薬品を対象から外れた銘柄について、特に市場で大きな値引きが行われているものであり、運用が複雑だからという理由で、加重平均で一緒に薬価を引き上げることについては慎重に考えるべきだと思っております。
 それで、成川先生の御説明に1点質問がありますけれども、7ページですけれども、これは、多分、薬事かと思いますけれども、2つ目に日本法人を有さない海外企業、特に中小企業への考慮というポイントが示されておりますけれども、これについて、何かこういったことはということを、もしイメージされてもいるものがあれば、御紹介いただければと思います。
 私からは以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 今、松本委員から御質問のありました、中小企業への考慮という点について、成川先生、もし御回答いただけるようでしたら、お願いいたします。
○成川先生
 成川です。ありがとうございます。一言御回答申し上げます。
 これもすごく妙案があるわけではございませんけれども、特に米国でのバイオベンチャー発の薬が増えてきているというところは、もう避けようがないものですから、そういった方々に日本に目を向けてもらうということで、実は薬事の面からも日本のいろいろな薬事の規制を、対外的に発信を強めようという検討が行われております。
 それと相なりまして、薬価のほうでもいい薬であれば、早期導入のインセンティブということで、今回御提案した1番のところ、そういうメッセージ性といいますか、海外の企業の方に分かりやすいようないい薬を日本も大切にするという仕組みを、薬価のルールの中にも少し盛り込んでいただくということかと考えております。
 以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 松本委員、よろしいでしょうか。
○松本委員
 どうもありがとうございました。
○安川部会長
 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
 では、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 イノベーションの適切な評価の観点からは、メリハリのある制度にしていくことは、無論、大事なことだと思っておりますけれども、一方で、予見可能性を高めていく必要があるとも考えておりまして、基礎的医薬品の制度が複雑な仕組みとなっていること自体は、非常に留意すべきことだと思っております。
 収載から対象となるまでの期間を短くしつつ、対象から外れた銘柄を価格集約する際には、改定前薬価までの引上げとするなど、価格帯が一定の範囲に収束するような仕組みとすべきではないかと考えております。
 以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 続いて、眞田委員、よろしくお願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 何点かコメントをさせていただきたいと思いますが、まず、18ページの論点の①についてでありますけれども、革新的な新薬の日本への早期導入に対する評価を新たに行うということについて、異論はございません。
 14ページの日本に早期に導入することの考え方にあるとおり、先駆的薬品でない場合であっても、迅速な導入を評価するという、その軸を検討すべきだろうと思います。
 なお、1点質問をさせていただきたいのですけれども、成川先生からの御説明もありました薬-2の10ページ等に一定期間について、6か月と設定をされておりますが、この6か月という設定をされている理由について、もしあれば、お伺いをさせていただきたいと思います。
 続いて、29ページの論点でありますが、1つ目の矢じり、有用性系加算の定量化に関して、新たに項目を追加するということについても異論はございません。
 2つ目の矢じりの補正加算についてでありますけれども、これも28ページの考え方に基づき、現在、規定されている範囲内で、加算率を柔軟に判断することについて異論はありません。
 その一方で、加算率について一律の基準を設けることは困難とありますけれども、患者負担が増加し得る見直しでもありますので、公正・公平な判断がなされているかということが大前提になろうかと思います。
 今後も引き続き、薬価収載の際に丁寧な説明が求められるべきと考えております。
 私からは以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 眞田委員からの御質問、期間設定の理由について、成川先生から御回答をいただけるようでしたら、お願いいたします。
○成川先生
 成川です。御質問ありがとうございました。
 6か月の基準でございますけれども、これは、実は絶対的な指標があるわけではございませんで、6か月を設定した背景としては、1つは、やはり資料の翻訳にそれなりの時間がかかるということがございます。それから、日本の申請書に記載する医薬品の製造方法ですとか、規格及び試験方法といった品質の関連の日本語の資料をつくる必要があるということですとか、あと、国際共同試験のデータを出すことが多いのですが、そこから日本人のデータを取り出して、全体の集団と効果とか安全性に一貫性があるかと、大きな差がないかということを追加で分析をしたり、考察をするという時間が一定必要ではないかということで、6か月という形にいたしました。
 以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 眞田委員、よろしいでしょうか。
○眞田委員
 ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 そのほかに、いかがでしょうか。
 では、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 どうもありがとうございます。
 新薬、基礎的医薬品、どちらにいたしましても、患者の視点から考えると、やはり安定供給が大事ではないかと思っておりますので、そういった視点での検討が必要と思っております。
 以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、先ほど来、業界の意見も踏まえて、あるいは業界の意見も聴取してという、何人かの委員の方からの御質問等がございましたので、専門委員の方のほうから少し御意見を頂戴できればと思いますが、いかがでしょうか。
 では、石牟禮専門委員、よろしくお願いいたします。
○石牟禮専門委員
 ありがとうございます。
 専門委員の石牟禮でございます。
 特に新薬の部分につきましての業界の受け止め等を中心に申し述べますが、時間の関係がございますので、かいつまんでのコメントとなりますことを御容赦いただければと思います。
 まず、今回の新薬の薬価算定ルールに関する御提案を御検討いただきました、成川先生には、私どもからも感謝を申し上げたいと思っております。
 特に薬-2の32ページ、将来に向けた課題につきましても、我々の課題認識とも合致しておりますので、ぜひ引き続き研究を進めていただきたくお願い申し上げたいと存じます。
 また、本日、事務局より示された新薬の論点につきましても、業界の陳述内容に沿ったものと理解をしておりまして、ドラッグ・ラグ/ロスを解消するために必要な薬価上の対応と認識しております。研究班の御提案に沿った形で、ぜひ御検討をいただきたいと考えております。
 その上で、新薬の論点それぞれにつきまして、また、基礎的医薬品につきましても、1点コメントをさせていただければと思います。
 18ページの日本への早期導入に対する評価についてでございます。論点①につきましては、薬事のほうでも検討されております、国際共同治験への参画を後押しするということにつながると、私どもも考えておりますので、こういった加算の新設を、ぜひ御検討いただきたいと考えております。
 その上で、適用の考え方、先ほど6か月という理由の御説明がございましたけれども、まさに私どもも最低6か月はかかるという認識はございます上で、4つ目のポツでございますが、承認時期につきましては、現在、薬価改定の時期に応じて新薬の承認時期が遅れるタイミングがどうしても発生するという状況もございますので、企業にとってはやむを得ない場合ということも考慮して、柔軟に適用いただけますようお願い申し上げます。
 また、論点2につきまして、専門委員としましては、現在、引下げしかないルールの公平性という観点はあるとは考えますけれども、収載後に外国価格をもって薬価を引き上げること自体が必要ない仕組みを御検討いただければと考えております。
 29ページの補正加算の評価につきましても、こちらも業界から要望しておりましたこともございますし、1つ目の矢羽根につきましては、評価の視点が明らかになることによりまして、新たなモダリティーにより開発された新薬の価値評価ですとか、開発が困難な領域の企業の取組を促進することにつながると考えております。
 2つ目の矢羽根につきましても、28ページのような考え方によりまして、開発コストの回収が難しい領域への取組が評価されるということが明示されますと、企業の意思決定の後押しにもなると考えます。
 その点で、1点、成川先生の御研究では、薬-2の27ページでございますけれども、補正加算の加算率のめり張りにおきまして、複数種類の加算の併算定について御提案をいただいております。こちらにつきましても、ぜひこの場で御検討いただければ幸いでございます。
 最後に、基礎的医薬品についてでございます。
 先日の意見陳述でも業界代表より、基礎的医薬品や不採算品再算定といった、薬価の下支えをするルールの充実化を要望しております。
 その中で、基礎的医薬品は、不採算に至る前に薬価を下支えする制度であるということを踏まえますと、今回御提案いただいております、不採算品再算定対象品目における収載からの年数が考慮された要件の見直し等は、必要なことと考えておりますので、ぜひ、この方向で御検討いただければと存じます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 今の専門委員の御発言も踏まえて、もし追加で御質問、御意見等ございましたら、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特に御意見、御質問がないようでしたら、本件に係る質疑は、このあたりといたします。
 今後事務局において、本日頂戴いたしました御意見も踏まえ、御対応いただくようにお願いいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
                  
                                   

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