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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第211回議事録(2023年10月18日)

 
 

2023年10月4日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第211回議事録

○日時

令和5年10月18日(水)薬価専門部会・費用対効果評価専門部会合同部会終了後~

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター 12F

○出席者

安川文朗部会長 笠木映里部会長代理 小塩隆士委員 本田文子委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員
石牟禮武志専門委員 村井泰介専門委員 赤名正臣専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○令和6年度薬価改定について

○議事

○安川部会長
 ただいまより、第211回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 先ほどの合同部会と同様に、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告いたします。
 本日は全員が御出席です。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 今回は「令和6年度薬価改定について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。資料薬-1を御覧ください。
 2ページ目、今回から2巡目の議論をいたします。ということで、まず、新薬に関する課題のうち新薬創出等加算をテーマといたします。
 3ページ目、議論に入ります前に、以前、長島委員から日本で新薬の薬価収載までにかかる期間と、欧米との比較について御質問がありましたので、それに関する資料を準備いたしました。
 4ページ目、こちらは、収載手続の通知でございますが、薬事承認前後の期間に薬価基準収載希望書を提出した場合、標準的事務処理期間を薬事承認から原則60日以内、遅くとも90日以内とすることが明記されております。
 5ページ、こちらは、平成30年度以降の新薬の薬事承認から薬価収載までの期間のグラフでございます。
 全体の3分の2が60日以内、9割が90日以内に収載されています。90日を超えているものがございますが、こちらは、企業の事情で希望書の提出が遅れたりしたものでございます。
 6ページ、これは海外との比較で、米国PhRMAが分析した資料でございます。
 日本は真ん中のところにございますが、薬事承認された品目のほとんどが上市されている状況で、保険償還まで、右列にありますが、平均2.4か月ということで、欧州各国と比較すると迅速な手続になっているというものでございます。
 7ページから、新薬創出等加算に関する資料を説明いたします。
 8ページは、検討事項でございます。
 9ページは、新薬のライフサイクルのイメージで、新薬の期間中に関する論点を、今回ここで扱うものでございます。
 10ページ、まず企業要件・企業指標でございます。
 11ページは、平成30年度改定で、抜本的な見直しを行ったときの企業要件の関係の資料でございます。
 12ページ、見直しの際の骨子で、企業指標に関して検証を行うこととされており、その次の令和2年度の改定では、企業規模によらず、評価されるよう実績の有無で評価する指標を追加しているというものでございます。
 13ページ目は、当時の検討資料を抜粋したものでございます。
 14ページは、表の色をつけた箇所が、令和2年度改定で追加されたものということでございます。
 15ページは、直近の令和4年度改定における企業区分と必要なポイント数をまとめたものでございます。
 企業区分Ⅰとなるには、上位25%に入る必要がございますが、10ポイント以上必要であり、一定の項目を満たしていく必要があるというものでございます。
 16ページは、新薬創出等加算は、もともと未承認薬や適用外薬を解消する目的で導入したものでございまして、この資料は、薬事のほうの検討会で、学会等の要望に基づき、未承認薬や適応外薬を解消するために、企業に開発要請をしたり、国内開発企業がないものは、開発公募を実施したりしているというものでございます。
 17ページ、平成21年から要望を募集しておりますが、国内に取り扱う企業がなかったので開発を公募した結果、開発意思を示した企業と品目数を示したものでございます。様々な企業に開発公募に応えていただいているという状況でございます。
 18ページは、企業要件に関して医療系ベンチャーに該当するものは区分Ⅱに見なされておりますけれども、国内で薬事承認や薬価収載を初めて行うようなスタートアップ企業として、最初の薬価収載から5年以内の企業を調べたところ、表にあるように区分Ⅰに該当する企業はなかったという状況でございます。
 19ページは、業界からの要望ですけれども、企業規模の影響を受ける企業指標・企業区分の廃止が要望されているというものでございます。
 20ページ、21ページ目は、ベンチャー系の団体からの要望ですが、薬価が維持されるように見直してほしいということでございます。
 次に、22ページ、品目要件でございます。
 品目要件は、23ページの抜本的見直しの中で導入されたものでございまして、現在は、24ページに掲げる品目に限って適用されているものでございます。
 25ページは、抜本的見直しの後も、令和2年度、令和4年度も品目要件の見直しを行っておりますが、薬事承認制度の区分に合わせて対応しているものが多いものでございます。
 26ページ、業界からからの要望事項ですが、左下に小さくありますとおり、小児用医薬品、そして、日本で早期上市した医薬品、こういったものも、加算の対象にしてほしいとの要望がございます。
 この2つにつきましては、新薬創出等加算以外の観点での議論もございますので、別途議論を行いたいと考えておるところでございます。
 次に、加算の計算式/乖離率でございます。
 28ページ、抜本的見直しの際の見直しの経緯を書いておりますが、乖離率要件を撤廃して、加算額の上限で調整することにしております。
 29ページは、7月の薬価専門部会でも示しておりますが、価格が維持されないものも多くあるという状況でございます。
 30ページは、令和4年度改定のデータでございますが、新薬創出等加算で価格が維持されたものは、加算の対象品目全体の6割程度となっているものでございます。
 残りは企業区分がⅠであっても価格が下がるという状況でございます。
 31ページは参考ですけれども、昨年度の中間年改定の際に示した医薬品のカテゴリー別の乖離率分布イメージです。新創加算対象品は9割以上が平均乖離率以内で、約半数は平均乖離率の半分以内という結果となっているというものございます。
 次に32ページ、控除の時期でございます。
 33ページは、現行ルール、34ページは、抜本的見直しの際にも控除時期の変更は、予見性を著しく損ねる等の理由により、従来どおりとしているものでございます。
 その後、今回の新薬に関する議論の中で、加算額控除を中間年改定で行うべき、あるいは年2回の後発品収載時に行うべきとの意見が出ているということを、下にまとめているところでございます。
 35ページ、参考として、これまでの加算額と控除額を列挙いたしました。
 最後ですけれども、以上が新薬創出等加算の説明で、37ページ目に論点をまとめております。
 ポツのところですが、新薬の収載後の価格について、新薬創出等加算の平成22年度薬価改定における導入当初の目的、平成30年度薬価制度抜本改革における制度改正の経緯も踏まえ、以下の点について、どのように考えるか。
 ①、企業要件・企業指標について、どのように考えるか。特に、現行のルールにおいて特例の対象となる医療系ベンチャーが区分Ⅰとなっておらず、薬価が維持されにくいことに加え、当該特例に該当しない多くのスタートアップ企業も同様の状況であることについて、どのように考えるか。
 ②、品目要件について、どのように考えるか。特に真に革新性・有用性のある医薬品の範囲を広げることについて、どのように考えるか。※印が付けておりますけれども、小児等の個別の議論は別途行うということで、先ほど御説明したとおりでございます。
 ③、加算の考え方について、どのように考えるか。特に、計算式により、区分Ⅰであっても乖離率によっては薬価が維持されない場合があることや、平均乖離率を超える品目の取扱いについて、どのように考えるか。
 ④、新薬創出等加算の累積額控除を行う時期について、どのように考えるか。
 ⑤、①~④のほか、新薬のライフサイクルに着目すると、薬価制度の観点からの創薬環境の整備、制度導入当初の目的であったドラッグ・ラグの解消の意義等も踏まえつつ、新薬である期間中の価格の在り方、後発医薬品収載後の価格の在り方について、本制度の見直しも含め、どのように考えるか、ということで、論点をまとめております。
 また、薬-1の参考資料として、これまでの主な意見をまとめた資料を添付しております。
 こちらは、1巡目の議論で示した論点と意見等をまとめたものでございます。直近の9月20日に行われた業界からの意見聴取のときの内容も含んでいるものでございます。
 9月20日のときも資料として添付しており、そのときは、事務局から資料の紹介をしておりませんでしたが、前回からの変更箇所に下線を引いているものでございます。
 説明は以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等がございましたら、お願いいたします。
 では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 まず、資料の5ページ、6ページに、私の要望に応えていただき、新薬の薬価収載までの期間のデータを載せていただき、ありがとうございます。
 6ページの表を見ますと、制度が全く異なる米国を除けば、日本は、ほかの国と比べて薬事承認された品目のうち、上市された品目の割合が99.1%と極めて高く、薬事承認から保険収載までの平均期間が2.4か月と圧倒的に短いということが明らかになりました。
 これを見れば、日本における予見性がいかに高いかということが見事に表れていると考えます。
 さて、事務局に質問です。
 6ページの表で、フランス、英国では、上市されていない品目が多く、また、保険償還までの期間が長い結果となっておりますが、これらの背景、理由について教えてください。
 続いて、37ページの論点5つに沿って順にコメントいたします。
 1つ目、①です。ベンチャー企業や、スタートアップ企業であることで無条件に企業区分Ⅰとすることは、少し飛躍があるように思います。新薬創出等加算の趣旨である革新的新薬の創出や、ドラッグ・ラグ対策等の評価が骨抜きにならないように配慮しつつ、どのようなベンチャー企業であれば評価に値するのか、検討が必要だと考えます。
 論点の②です。品目要件については、小児用医薬品等の議論を別に行うとすれば、前回、前々回の改定で、業界要望を聞いて対応しており、現在の内容で革新性、有用性の高い医薬品はカバーされているように思います。
 そのほかに、どのような品目が考え得るのか、真に革新性、有用性のある医薬品の評価という観点から丁寧に議論すべきと考えます。
 なお、小児の対応については、従前の加算がありながらも、小児適用拡大がされてこなかったことは、被験者の確保や、治験実施体制などの加算以外の問題があると考えます。
 論点③です。乖離率には、市場での評価も反映されていると理解すれば、平均乖離率を超えている品目について、薬価を下げていく現行の対応方法は一定の合理性があると考えます。
 論点④です。薬価改定は、2年に一度の診療報酬改定と同時期に行うことが基本であり、最近の毎年改定がドラッグ・ラグ/ロスに与えた影響も考えれば、中間年における累積額控除については慎重に検討すべきと考えます。
 最後に⑤の論点です。新薬創出等加算の導入及びその見直しの際に、これで開発が促進されるかどうか、薬価専門部会や総会において何度も確認させていただき、その回答は、するということでした。
 結果として、業界が想定したとおりに、未承認薬、適応薬の解消ができないということは、業界において別の要因があったと考えるべきなのではないでしょうか。
 平成24年度から執行を経て導入された新薬創出等加算が、2回の見直しを経て大分精緻化が進んできましたが、革新的な新薬は評価するという基本に立ち戻って、シンプルにできるところがないか検討していくことも考えられるのではないでしょうか。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 では、今、御質問が出ました、ドイツ、フランス等におけるデータの背景について、事務局、お分かりでしたらお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 集計値に関して、その背景とか、そういった具体のところまでは承知しておりません。
 それぞれ各国の保険制度、医療制度の中での個別の判断として出てくる結果だろうと思っております。日本の今の制度では、薬事承認されたものが一定期間の中で薬価収載されている、といった背景がある中で、こういったデータになっているものだろうと推測しているところでございます。
 以上です。
○安川部会長
 長島委員、よろしいですか。
○長島委員
 ありがとうございます。
 もし、今後も何か情報が収集できましたら、お願いいたします。
○安川部会長
 ほかにいかがでしょうか。
 森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 論点について、幾つか発言させていただきます。
 まず、①の企業要件・企業指標についてですが、令和2年に企業規模によらず評価されるような見直しを行いましたが、区分の実績を見ると、医療系ベンチャーやスタートアップ企業は厳しい状況であり、企業規模の影響を受けやすくなっているように感じます。
 既に特例の対象となっている医療系ベンチャーのみならず、医薬品開発を始めたスタートアップ企業にとっても、不利になり過ぎないよう何かしらの見直しか、配慮があってもよいのではないかと考えます。
 また、企業要件・企業指標が企業にとってうまく機能していないようであれば、撤廃も含め、企業の開発促進をより促す形に改めることも1つと考えますが、平成22年度の試行的な導入当初から、未承認薬や適応外薬の解消のために企業を促していた側面もありますので、その点は専門委員や業界の意見も聞きながら議論していくべきと考えます。
 次に、②の品目要件について、特に真に革新性や有用性のある医薬品の範囲を広げることに異論ありませんが、ドラッグ・ラグ/ロスの解消に向けた視点が必要です。別途議論することとなりますので、そのときに改めてコメントいたします。
 次に③の加算についての考え方ですが、企業区分Ⅰ、平均乖離率以内であっても、必ずしも薬価が維持されていない。区分Ⅱ、Ⅲを含めて、もう少し薬価が維持されるよう計算式の見直しや配慮が必要と考えます。
 その際、めりはりをつける観点から、高く売られているものについては薬価を維持しやすくする一方で、安く売られているものについては、加算額を減らすといった形に改めることも1つと考えます。
 次に④の新薬創出等加算の累積額控除を行う時期については、現状の2年に1回のサイクルで行われているもので、影響もある程度大きいため慎重に見て影響などを議論しつつ、新薬の薬価の維持と併せて検討していくべきものと考えます。
 最後に⑤についてですが、医薬品のサイクルなど、企業の予見性をさらに高め、ドラッグ・ラグ/ロスの解消につながるよう、もう少しシンプルな形に見直すことや、めりはりをつけていくことは、1つの対応と考えます。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 どうもありがとうございます。
 それでは、新薬創出等加算の在り方につきまして、論点に沿ってコメントをいたします。
 論点の1つ目のベンチャーの取扱いについてでございますが、まず、公平性の観点が最も重要だと考えております。
 薬価が維持されにくいからということではなく、イノベーションの努力に対する評価が不当に低いということであれば、企業指標のポイントで考慮することも考えられますけれども、ベンチャーだからという理由だけで一律に区分Ⅰにするということが果たして妥当なのかどうかについては、長島委員からもございましたけれども、同様の意見でございます。
 続きまして、論点②の品目要件についてでございますが、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスが生じているのであれば、患者アクセスを確保する観点で議論をすることは否定いたしませんけれども、これまでも申し上げてきましたとおり、評価と適正化はセットで議論すべきであり、論点の④とセットで検討が必要だということを改めて強調させていただきます。
 論点の③でございますけれども、少なくとも平均乖離率を超える品目の場合、それなりに値引きをして販売されているということが明らかでありますので、それでも薬価を維持する妥当性については乏しいと、これについては言わざるを得ないと考えております。
 論点の④でございますけれども、後発品が上市された場合に、速やかに先発品の市場を譲るという基本的な考え方のもと、年2回ある後発医薬品の収載時に累積額を控除することが最も公平だと考えております。
 少なくとも毎年の薬価改定時に累積額を控除することは、特許期間中に新薬の薬価引下げを猶予する条件だと考えます。
 最後に論点の⑤でございますが、これについては、そもそも業界が財政中立で、薬剤費の上昇を抑える前提で御提案された内容が、新薬創出等加算のベースになっているという認識でございます。
 その後、革新的な新薬の開発状況等の企業努力を反映したものに修正されましたけれども、その考え方は必ずしも間違っていないと感じております。
 したがいまして、基本的には新薬創出等加算の枠組みを維持した上で、保険財政の持続可能性の確保とイノベーションの評価が両立できる仕組みに改善すべきだと考えます。
 私からは以上になります。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
 では、眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 私からも1点コメントをさせていただきたいと思います。
 薬価につきましては、先ほど松本委員がおっしゃったように、国民皆保険の持続可能性の確保と、イノベーションの促進の両立が大変重要だと認識しております。
 新薬創出等加算の趣旨につきましては、革新的な新薬開発やドラッグ・ラグ解消に取り組むインセンティブであるということに鑑みれば、ドラッグ・ラグ/ロスが再燃されている中、何らかの対応が必要ではないかと考えます。
 国民負担への配慮はもちろんでありますけれども、いかに企業のイノベーションを適切に評価するかという観点で、必要な見直しを検討すべきかと考えております。
 今回論点となっております①の企業要件・企業指標につきましては、ベンチャー企業に関して、革新的な新薬の開発を行ったとしても企業規模によって不利になるような現状があるのであれば、制度上の工夫をすることは必要ではないかと考えております。
 以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
 今、いろいろと御意見を承りましたが、企業要件あるいは品目要件と、現場の業界の方にとっても大変重要な論点かと思いますので、もし、専門委員の方から御意見等ございましたら、伺いますが、いかがでしょうか。
 では、石牟禮専門委員、お願いいたします。
○石牟禮専門委員
 ありがとうございます。専門委員の石牟禮でございます。
 ただいまの議論の中でも企業要件についての御議論がいろいろございました。私どもからも①の企業要件について、コメントをさせていただきたいと存じます。
 もともと企業の立地、規模あるいは得意な領域ですとか、最近では新たなモダリティーを用いた開発への挑戦など、医薬品の研究開発をめぐる状況につきましては、多様で、かつ変化し続けております。
 そういった中で、一定の指標で企業の優劣をつけるということにつきましては、ある程度の限界があるのではないかと感じますし、ただいま御議論がありましたようなベンチャー企業の評価について、こういった議論があるということも、企業要件による評価の限界を示しているのではないかと、専門委員としては認識しておるところでございます。
 御案内のとおり、新薬創出等加算につきましては、新薬の薬価を維持することで、企業にとりましては、投資回収のサイクルを早めるという形で、革新的な新薬、有用性の高い新薬の研究開発を促進する制度であると認識しておりますが、現状、ドラッグ・ラグ/ロスといった課題も表出しているところでございます。
 前回、業界代表からも御説明申し上げましたとおり、もはや長期収載品からの収益は期待できない状況で、新薬から得られる収益を次の新薬の創出に向けて回していくサイクルを加速させなければ、企業は存続できないという危機感も持っていると、私どもは認識しております。
 このように、各社それぞれ研究開発に取り組んでいるにもかかわらず、相対評価によって決められる企業区分によりまして、75%の企業の品目では薬価が維持されないという仕組みは、私どもにとりましては、むしろ、ディスインセンティブを与えられているとも感じておるところでございます。
 新薬創出等加算が収載された新薬の革新性を評価する仕組みとなったことによりまして、企業指標、企業区分というのは、言わばその役割を終えているのではないか、こういった新薬を開発しているという結果をもって評価していただければ、十分ではないかとも考えております。
 そういうことも含めて、先日の業界意見を踏まえまして、企業要件・企業指標の撤廃を御検討いただくべきと考えております。
 あと、もう一点、平均乖離率以上の乖離率となった品目につきましてでございます。
 先ほど申しましたように、新薬からの収益は非常に重要だということでございまして、なるべく値引きはしない形で販売しているのが実態ということは、データからも見ていただいたとおりかと思います。
 ただ一方、上市時の評価によって、新薬創出等加算の対象となった品目でありましても、薬価差に高低が生じるという理由は、医薬品の特性ですとか競合状況、取引量など、複数の要因があると推察いたします。
 結果として現在のルールにおいて、平均乖離率を超えた品目に対して50%減算という加算式が設けられていること自体は、もともと業界が当初提案した考え方を踏まえますと、致し方ないものとも、専門委員としては感じております。
 以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 御意見、御質問等いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかに御質問等もないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりとし、今後、事務局におきまして、本日頂戴いたしました御意見を踏まえて、対応いただきますようによろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。長時間どうもありがとうございました。
                  
                                   

<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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