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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第209回議事録(2023年9月20日)

 
 

2023年9月20日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第209回議事録

○日時

令和5年9月20日(水)9:30~

○場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア8F

○出席者

安川文朗部会長 笠木映里部会長代理 小塩隆士委員 本田文子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 村井泰介専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○関係業界からの意見聴取について
 

○議事

○笠木部会長代理
 ただいまより、第209回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 本日は、安川部会長が所用により中座される予定のため、部会長代理である私、笠木が座長を務めさせていただきます。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告いたします。
 本日は全員御出席をいただいております。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は、関係業界からの意見聴取を行います。関係団体として、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、再生医療イノベーションフォーラム、日本バイオテク協議会、米国バイオテクノロジー イノベーション協会、日本医薬品卸売業連合会より意見を聴取するため「意見陳述者一覧」に記載の皆様に御出席をいただいております。
 まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に、質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。
 関係団体の皆様におかれましては、最初に自己紹介を行った上で、時間厳守でプレゼンテーションをお願いいたします。
 それでは、まず日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会よりお願いいたします。
○日本製薬団体連合会
 おはようございます。日本製薬団体連合会会長の岡田でございます。
 本日は意見陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、最初に、日本製薬工業協会の上野会長より、新薬についてPhRMA、EFPIAとの統一の意見として陳述をいただいて、次いで、日本ジェネリック製薬協会の川俣副会長より後発品について、最後、日薬連の岡田より安定確保の観点から意見を述べさせていただきたいと思います。
 それでは、早速ですけれども、上野会長、よろしくお願いします。
○日本製薬工業協会
 皆様、おはようございます。ただいま御紹介いただきました、日本製薬工業協会の上野でございます。
 本日は意見陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 このパートでは、製薬協、PhRMA、EFPIAの3団体を代表して、私のほうから主に新薬の評価に関する意見を述べさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、スライド2を御覧ください。
 私たちは基本方針として、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性を両立し、患者の革新的新薬へのアクセス向上を実現することを目指しており、それを実現するためにも、新薬の評価の在り方として、2つの仕組みを訴えております。
 1つは、革新的新薬の価値が新規収載時に適切な薬価に反映される仕組みです。
  もう1つが、特許期間中の薬価が、海外先進国と同様に原則として維持される仕組みです。
 これら2つの仕組みが実現されることにより、喫緊の課題であるドラッグ・ラグ/ロスの解消につながるものと考えます。
 スライド3を御覧ください。
 それでは、ここから数枚のスライドを使い、前回の意見陳述の際に宿題としていただいた、ドラッグ・ラグ/ロスの追加調査の結果の概要について、お話をいたします。
 まず、このスライドでは、ドラッグ・ロスとなっている品目の分析結果です。前回の意見陳述で御報告したドラッグ・ロス86品目のうち、診断薬等11品目を除く75品目について分析した結果をお示ししています。
 これら75品目のうち、日本で当該疾患の既存薬がない品目が39品目、全体の52%であり、これらは国内で上市されれば、初めての治療薬となる品目です。
 また、日本で当該疾患に当該作用機序のない品目が56品目、全体の75%であり、これらは患者さんに新たな治療の選択肢を提供する品目になると思います。
 その他、小児、希少疾病など、医療上必要性が高い品目も数多く含まれています。
 左下の円グラフは、日本で当該疾患の既存薬がない品目、39品目の疾患領域の分析についてです。
 このグラフが示すように、これらロス品目は特定の疾患への偏りはなく、広範囲に及ぶことが分かりました。
 また、指定難病や小児慢性特定疾病の治療薬や、患者会から開発の要望が上がっているものもありました。
 以上の結果から、ドラッグ・ロスとなっている品目には、日本においても必要性が高い品目が数多く存在していることが確認されたと考えます。
 スライド4を御覧ください。
 このスライドでは、上段には先ほど述べたドラッグ・ロスの分析結果をまとめたものです。
 調査した結果から、ドラッグ・ロスは幅広い疾患領域で発生していることから、特定の疾患領域の個別解決策ではなく、各領域に共通する課題を総合的に見直す必要があるということ、そして、当該疾患で初の治療薬となる品目や、小児、希少疾患を対象とする品目も多く、患者会からの開発要望もあり、可及的速やかな対応が必要と考えております。
 次に、スライド5を御覧ください。
 ドラッグ・ラグ/ロスの発生要因についての分析結果です。
 左の図は、医薬品の各開発段階における投資判断と、ドラッグ・ラグ/ロスが発生する主な要因との関係を示しています。
 まずは、開発を開始するに当たって、最初から日本が開発対象国となっていない場合、また、試験の途中で次のステップに進む際に、日本での開発を中止する判断をする場合は、ドラッグ・ロスにつながると考えます。
 また、その後、開発を進めていく中、あるいは上市の際に、日本での開発、上市が遅延する場合には、ドラッグ・ラグにつながるものと考えられます。
 このような考え方のもと、右側には、近年、日本に拠点を設置した海外発ベンチャー企業5社への調査結果を示しています。その内容については、我々が想定したとおり、薬事的な要因と薬価的な要因が起因していることが確認できました。
 その中で特に薬価的な要因に関しては、算定方式が読みにくく、薬価制度が複雑であること、あるいは上市後の薬価改定の想定が難しいことなどが挙げられております。
 続いて、スライド6を御覧ください。
 こちらのスライドでは、PhRMA、EFPIAを通じて調査した米欧製薬企業を対象にしたドラッグ・ラグ/ロスの要因についての調査結果です。
 その内容については、記載のとおりですが、先ほどのベンチャー企業と同様に、諸外国に比べて収載時の薬価が低いこと、収載後の市場拡大再算定等による不確実性が主な要因として挙げられております。
 スライド7を御覧ください。
 ドラッグ・ラグ/ロス要因の分析のまとめです。
 先ほどの調査結果から、現在の日本の薬価制度では、他国に比べ日本の薬価が低いことから、相対的投資順位が下がり、ドラッグ・ラグあるいはドラッグ・ロスに至っていることが改めて確認されました。
 さらに具体的な意見として、開発検討段階で品目単独での事業性が成り立たず、ドラッグ・ロスに至っていることや、共通の要因として収載時の薬価を想定することが困難であること、上市後の薬価の予見性が低いことも挙げられていました。
 したがって、課題解決に向けては、国内の薬価が想定しやすく、分かりやすい制度にすること、欧米と比べて遜色のない薬価が期待できること、上市後の薬価が予見でき、薬価引下げのリスクが低いことが重要であり、これらを複合的に実現して、日本で事業性が見通せる薬価制度にする必要があると考えます。
 続いて、スライド8を御覧ください。
 以上、御説明した追加調査の結果を踏まえ、喫緊の課題であるドラッグ・ラグ/ロスを解消するために、2024年度薬価制度改革においては、次の4点を要望いたします。
 まずは、薬価収載時における①革新的新薬を迅速に導入するための薬価算定、②有用性加算などの評価を拡充すること。
 次に、薬価収載後における③新薬創出等加算の見直し、④市場拡大再算定の見直しです。
 それでは、この後に、これら4点に関して、一つ一つ詳しく御説明いたします。
 なお、ドラッグ・ラグ/ロスの解消に向けては、これらの解決策のみでは十分ではなく、日本での事業性が見通せる制度構築が必要であり、2024年度以降においても新たな価値評価の仕組みや、薬価改定の在り方について、引き続き抜本的な制度改革を検討していく必要があると考えております。
 それでは、スライド9を御覧ください。
 ここからは、2024年度薬価改定に向けた具体的な提案を申し述べます。
 提案1では、革新的新薬を迅速に導入するための薬価収載時の算定方法の見直しについてです。
 先ほどの調査結果からも、日本の薬価が他国の価格に影響を及ぼすこと、あるいは外国平均価格調整のために上市を遅らすことなど、薬価面の観点からドラッグ・ラグが生じていることがうかがわれました。
 また、現状において、先駆加算がございますが、先駆的医薬品の指定の要件が画期性、重篤性、高い有効性とハードルが非常に高く、該当する品目もごく限られており、十分に機能しているとは言えないと考えます。
 したがって、ファーストインクラスの新薬を日本に迅速に導入するためには、日本での上市時に外国価格が存在しなくても、欧米と同等の価格が期待できる仕組みが必要であり、それにより国内外の価格差を理由としたドラッグ・ラグ/ロスが解消していくと考えます。
 例えば、具体的な価格設定の案として、先駆加算に準じた補正加算の新設、海外で想定される価値評価を踏まえた価格調整が考えられます。
 続いて、スライド10を御覧ください。
 次に、薬価収載時の有用性加算などの評価の拡充です。
 新たなモダリティなど、従来とは異なる概念の新薬は、国内に比較対照となる薬剤が存在しないことなどから、その革新性の評価が難しい場合があります。
 また、薬剤の価値や有用性を示すデータがあっても、それが薬事承認に直接関わらない場合、現行のルールでは十分に考慮されません。このような問題を解決するために、日本での早期上市を促していく制度が必要です。
 具体的には、薬価収載後に標準的治療法となることが見込まれる場合、患者家族の社会生活上の有用性が検証されている場合、あるいは長期間新薬が上市されていない領域や開発リスクが高い領域での開発品目の場合等です。そういった場合において、加算で評価できる制度が必要と考えます。
 また、加算の評価に活用すべきエビデンスとして審査報告書だけではなく、適切な統計学的処理がなされた間接比較データなど、評価の根拠データの範囲を拡充することも検討すべきと考えます。
 続きまして、スライド11を御覧ください。
 続いて、薬価収載後の新薬創出等加算の見直しです。
 先ほどのスライド3、4、5で示したように、ドラッグ・ロス75品目の分析と、ベンチャーや外資系企業への聞き取り調査によって、2つの大きな問題点が明らかとなりました。
 1つは、現行の品目要件では、医療上の必要性が高い品目が、必ずしも新薬創出等加算等の対象にはならないことです。例えば、ドラッグ・ラグ/ロスが多く発生している小児用医薬品などがこれに該当します。
 もう1つは、現行の企業指標による評価については、企業規模の影響を強く受けるため、希少疾病等の専門分野に特化した企業などにとっては、新薬の薬価を維持できず、日本で上市するインセンティブとはなりません。
 そのため、新薬創出等加算については、現行の品目要件に小児用医薬品などの医療上の必要性の高い医薬品、並びにドラッグ・ラグ/ロスの解消に資する、日本で早期上市した品目を追加すべきと考えます。
 また、企業指標、企業区分は、医薬品の価値の評価とは関係がないこと、かつ、開発促進にもつながらず、かえって日本への上市が遅れる要因にもなっており、廃止すべきと考えます。
 続いて、スライド12を御覧ください。
 次に、薬価収載後の市場拡大再算定の見直しです。
 他社製品の売上拡大を理由とした薬価引下げ、いわゆる「共連れルール」は、企業における事業の予見性を低下させています。
 近年では、薬理作用類似薬であっても、効能追加の状況や薬価改定の影響により、競合性の判断が難しくなっており、一律に価格を引き下げる必要性が乏しい状況にあります。
 また、上市後に新たな効能を追加することは、医療従事者や患者の治療の選択肢を増やし、医療の質の向上により貢献するものですが、一方で再算定のリスクを高めることになっています。
 また、類似品の取扱いについては、前回改定で除外ルールが導入されましたが、それは短期的に繰り返し再算定の適用を受けることを防ぐ効果は一部ありますが、「共連れルール」の根本的な問題を解決するには至っていません。
 そのため、薬理作用類似薬全てを類似品として、連座的に薬価を引き下げる「共連れルール」は、予見性と合理性を損なう点に加え、さらには患者さんの新たな選択肢を狭めてしまう点から廃止すべきと考えます。
 また、有用性の高い効能を追加した品目、例えば、新薬収載時であれば、有用性系加算などの対象になるような品目については、再算定時に引下げ率を緩和する形で評価すべきと考えます。
 続いて、スライド13を御覧ください。
 ここからスライド2枚を使って、先の薬価専門部会で御指摘のあった点についてお答えします。
 まずは、8月23日の薬価専門部会において、類似薬効比較方式で算定された品目についても、原価計算方式で算定された品目と同様に取り扱うことが指摘されました。
 しかしながら、類似薬効比較方式では、算定された品目への再算定の基本的な考え方は、価格設定の前提条件である、使用方法、適用対象患者の範囲等が変化し、収載時に選定された比較対照薬との類似性が損なわれ、市場規模が大幅に拡大した場合に薬価を補正する趣旨で導入されたものと認識しております。
 したがって、類似薬効比較方式で算定された品目について、収載時の前提条件が変化していないにもかかわらず、市場規模が拡大したという理由のみで薬価を引き下げることは、単に市場で評価された医薬品の価値を下げるものであり、設立時の基本的な考え方に反しており、また、イノベーションの推進という考え方にも著しく反するものであり、到底許容できません。
 市場拡大再算定をさらに厳しくすることは、革新的新薬の日本での上市を躊躇させ、患者さんに負の影響をもたらすドラッグ・ラグ/ロスをさらに助長するものになります。
 加えて、これまでのドラッグ・ラグ/ロス解消に係る関係者の一連の取組みを無にするものであり、断じて受け入れられません。
 スライド14を御覧ください。これが最後のスライドとなります。
 こちらは、8月30日の薬価専門部会において指摘のありました、原価の開示が難しい企業側の事情についての説明です。
 下段のフローは、医薬品の製造工程に関するサプライチェーンの事例を示しています。
 御覧のように、医薬品のサプライチェーンは複雑で、原薬製造、製剤化、包装の各工程は自社工場のみならず、外部委託先を多く活用し、また、それらは海外の委託先も活用して製品化されています。
 このような海外も含めた委託先を利用した場合、原材料費、人件費、設備償却費、エネルギー費等の全ての経費について根拠となる情報を開示することは、極めて困難な状況にございます。
 複数企業、複数国にわたるサプライチェーンの状況を御理解いただきますよう、お願いいたします。
 新薬パートは以上になります。
○日本製薬団体連合会
 続いて、川俣副会長、よろしくお願いします。
○日本ジェネリック製薬協会
 日本ジェネリック製薬協会の川俣でございます。本来であれば、会長の高田がここに来てお話をするところでありますが、体調不良により参加できませんでしたので、代理でお話をさせていただきます。
 まず、15ページ目の資料でございます。
 このスライドは、7月5日の意見陳述の際に宿題をいただきました件への回答でございます。
 令和4年10月の意見陳述時に、原価率が60%、70%、80%を超えている品目について御報告しておりますが、それらの品目を対象としてフォローアップをした結果でございます。
 令和4年10月の品目数4,879品目を調査対象としました。それに対して、今回の調査では品目数が4,158品目となっておりまして、これは当時の会員企業のうち4社が退会したことと、薬価削除をした品目があるためで、品目数としては減少しております。
 「①品目数」の行の一番右の80%を超えている品目数の割合は32.6%であって、原価高騰の影響は、いまだ改善されておらず、厳しい状況が続いているということでございます。
 製造原価が80%を超えている品目については、販売管理費、卸への費用、消費税等を含めますと、赤字の状態が続いているところであります。
 なお、前回のデータと比較するために、今回の調査でも令和4年10月の薬価に対する原価率でデータを示しております。
 なお、原価率80%、1,354品目を対象に、今後も追加調査を行ってまいります。結果がまとまり次第、データを御報告させていただくところでございます。
 次の16ページです。
 既収載品における薬価改定については、当協会からは、個別銘柄による薬価改定についてのみ、お話をさせていただきます。
 現状ですが、価格帯ルールは、市場実勢価を加重平均することによって算出した上で、価格帯集約によって薬価が決められてしまっておりますので、いわゆる適正な価格で販売している品目が、乖離率の大きい品目に引きずられるような形で影響を受けるという制度となってしまっています。
 将来にわたって品質確保、安定供給のための継続的な生産並びに設備投資を行う企業にとって、収益確保の見通しが立てづらい状況となっていると考えます。
 17枚目です。
 御説明した内容を踏まえての提案になります。安定供給確保と品質確保に向けた適正な活動を行う企業の品目で、医療上必要性の高い医薬品については、個別銘柄改定の対象とすることで御検討いただきたいと考えます。
 なお、安定供給確保等、品質確保に向けた適正な活動を行う企業については、次のスライドに示したように考えております。
 いわゆる企業要件ということですが、こちらの内容になります。
 19ページ目です。
 このスライドでは、8月30日の薬価専門部会において説明された、後発品の置換えに配慮が必要な長期収載品の有無やその品目などに関しては、有識者検討会において、多面的な分析をいただいておりますので、置換えが進まないという実態を的確に捉えているものと考えておりまして、私どもも同様の認識でございます。
 ジェネリック製薬協会からは以上でございます。
○日本製薬団体連合会
 ありがとうございました。
 ここからは、日薬連の岡田より安定確保の観点から意見を申し述べたいと思います。
 スライド20を御覧ください。
 これは、前回御要望いただきました物価高騰が原価に及ぼす影響について、御回答を申し上げるものでございます。
 これは、業界内で医療上必要性が高い医薬品について調査を行いました。向かって左の折れ線グラフでは、医薬品の製造原価が企業物価指数と同様に推移していて、近年の物価高騰等によって上昇している傾向が確認できるところであります。
 そして、向かって右のグラフでありますけれども、これは原価率の推移をお示しいたしております。原価率は製品特性等によってばらつきはありますけれども、中央値は、おおよそ60から70%程度でありました。これは、販管費等を含めれば、赤字に極めて近い水準であります。また、一部品目では、原価率が200を超えるものも確認されました。
 次に、21ページを御覧ください。
 そして、物価高騰等の影響が続く状況でありますけれども、現行の仕組みというのは、薬価は改定をすれば、必ず基本的には引き下がってまいります。基礎的医薬品、不採算品再算定、最低薬価といった薬価を下支えするルールを設定いただいておりますけれども、必ずしも十分とは言えない状況であると認識いたしております。
 医療上の必要性が高い医薬品の安定確保を後押しいただくためにも、物価高騰等に対応し得る薬価制度について、薬価改定の在り方も含めて、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 その中で、次期薬価制度改革では、薬価を下支えするルールの充実化をぜひともお願いしたいと思います。
 また、薬価を下支えするルールについては、基本的に医療上の必要性が高い製品に対して適用されるべきと考えておりまして、サイエンティフィックな観点から、それを峻別する必要があると考えております。
 まずは、その1つの方法として安定確保医薬品について、ぜひ精査するところから開始をお願いしたいと思います。
 次に、スライド22を御覧ください。
 ここからは、個別ルールごとに意見を申し述べたいと思います。
 基礎的医薬品は、不採算に至る前に薬価を下支えするルールでありますけれども、実際には、不採算品再算定が適用された品目が対象に追加されているという実態から、その対象となる品目の範囲は十分とは言えない実態であると考えております。
 安定確保医薬品など品目要件の拡充や、収載からの年数要件の短縮化を、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
 次に、スライド23を御覧ください。
 不採算品再算定につきましては、こちらに記載のある、ちょうど括弧でくくってありますけれども、類似薬要件のために、その成分を継続的に供給したいと考える企業が希望しても適用されないという実態がございます。我々の調査では、不採算品再算定が不適用とされた要因の4分の1が類似薬要件でございました。
 よって、安定供給や品質確保のための体制等を確認した上で、不採算品再算定を希望する銘柄のシェアが一定以上であれば、適用することをルールに追加するなど、類似薬要件の見直しをお願いしたいと思います。
 次に、スライド24を御覧ください。
 最後に医薬品全体について、これは7月5日の意見陳述でもお示ししたスライドでありますけれども、次期薬価制度改革以降の議論も見据えた意見を述べさせていただきたいと思います。
 医薬品には、この図でお示ししていますとおり、カテゴリーごとに役割があって、それらを推進するために、めり張りのある薬価制度の構築が必要だと考えております。
 加えて、本日御紹介いたしましたとおり、新薬の価値あるいは収載から一定期間経過した医薬品の医療上の必要性については、現行の仕組みでは必ずしも適切に評価しきれていないと思います。透明性、公平性を担保しつつ、医薬品の価値を評価する仕組みについて、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。
 日薬連、参加の団体からの陳述は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○笠木部会長代理
 ありがとうございました。
 それでは、次に再生医療イノベーションフォーラムよりお願いいたします。
○再生医療イノベーションフォーラム
 FIRM会長の志鷹です。本日は意見陳述の機会をいただき、ありがとうございます。
 2ページを御覧ください。
 本年7月5日の意見陳述において、再生医療等製品独自の制度の検討が必要と述べました。
 その後、8月23日に開催された薬価専門部会にて、薬価算定組織より再生医療等製品の特徴を踏まえた薬価算定の在り方について検討することとしてはどうか、との御意見をいただいております。
 FIRMは、薬価算定組織の御意見に賛同し、引き続き事例の集積に貢献するとともに、アカデミアの先生方とも意見交換を行い、再生医療等製品の特徴を踏まえた価格算定の在り方の検討に資する、よりよい提案を模索してまいります。
 令和8年度改定を視野にFIRMは、最終的な制度実装に向けた議論に貢献していく所存です。
 次ページ以降、それまでの対応として喫緊の課題を緩和すべく、令和6年度改定に向けて、原価計算方式に関する課題と意見を述べます。
 3ページ目を御覧ください。
 新規技術を用いる治療方法のない疾患領域の場合、原価計算方式での算定になりやすく、再生医療等製品では、費用計上の検討と運用の段階において種々の課題が生じていると認識しております。
 再生医療等製品では多様な品質保証試験、製造に係る人材の配備、独自の製造設備が必要となりますが、会員企業へのヒアリングの結果、それらの費用の一部は認められておりませんでした。
 4ページ目を御覧ください。
 特に自家細胞製品ですが、製造の不確実性に起因する損失が企業の持ち出しになることや、流通やインフラ投資が反映されないことも、再生医療等製品特有の課題です。
 また近年、アカデミアやベンチャー企業をオリジネーターとする製品の割合が多く、オリジネーターからシーズを譲り受ける際に、企業が投資したライセンス料が十分に認められていないケースがあると認識しております。
 以上、包括的に課題の全体をお示ししました。
 次ページ以降で、原価計算方式の課題に係る意見を2点述べます。
 5ページ目を御覧ください。
 まず、再生医療等製品に特徴的な製造、品質管理に係る3つの課題と、その解決に向けた意見です。
 1点目の課題は、市販後のベリフィケーション費用が認められない場合があることです。承認書に記載される試験検査に加え、承認時に求められるベリフィケーションに係る費用についても計上する運用の検討が必要であると考えます。
 2点目の課題は、平均労務単価で労務費を算出すると、実際費用から大きく乖離する場合があることです。作業者の教育・習熟に係る労務費や、自家製品においては製造の繁閑対応のために確保する作業者の待機時間に係る労務費について、その費用を計上する運用の検討が必要であると考えます。
 製品数が少ないベンチャー企業では特に負担が大きく、彼らが日本で次の研究開発、その投資を行うためにも、検討をぜひよろしくお願いいたします。
 3つ目の課題は、自家細胞製品の場合、ドナー由来の生物原材料であることに起因する製造収率のばらつき、低下等や、あるいは患者の状態悪化等による投与キャンセルが生じた場合、企業がその費用を負担せざるを得ないことです。治験時において、投与に至らなかった損失費用についても、妥当な範囲で計上可能となるよう運用の検討が必要であると考えます。
 以上の課題を示す具体例については、補足資料に記載しておりますので、併せて御確認ください。
 最後に、医薬品にも関係する課題と、その解決に向けた意見を述べます。
 6ページ目を御覧ください。
 近年、大学やベンチャー企業を起源とする医薬品や再生医療等製品が多数あります。先の意見陳述にて御紹介したとおり、再生医療等製品では、他のモダリティーと比較しても、その割合が多くなっています。
 このような状況の中、契約金が原価計算方式に計上不可とされたケースもあります。これは、再生医療等製品以外のモダリティーにも共通しております。
 契約金全てが計上されない理由には、妥当な費用範囲を特定することが困難であることといった背景も考えられますが、それらを特定可能な場合は、内容をより精査し、原価計算方式として妥当な費用を計上できるよう運用していただきたいと考えます。
 なお、FIRMでは、原価計算方式に関連し、近い将来予想される課題として、市場拡大再算定の自家細胞起源の製品に対する影響についてシミュレーションを行っており、その結果については、補足資料に記載しておりますので併せて御確認ください。
 御説明は以上です。
○笠木部会長代理
 ありがとうございました。
 それでは、次に、日本バイオテク協議会、米国バイオテクノロジー イノベーション協会よりお願いいたします。
○日本バイオテク協議会
 日本バイテク協議会会長の山田でございます。本日は、意見陳述の機会をいただき、お礼申し上げます。それでは、意見を述べさせていただきます。
 2ページを御覧ください。
 弊協議会会員の7割を占める創薬ベンチャー企業の現状について、概略を示しております。詳細を次ページ以降で御説明いたします。
 3ページを御覧ください。
 右のグラフは、会員企業と大手製薬企業の売上高、研究開発費の比率を示しております。
 ピンク色の領域が売上高より研究開発費が大きいことを示しておりますが、多くの会員企業がこの領域に該当しております。
 参考資料10ページにもお示ししておりますとおり、会員企業の開発品目は、大手企業が扱わない市場規模の小さな難病、希少疾病用薬が多いため、投資回収を見込める十分な薬価がつかなければ、事業の継続は難しい状況でございます。
 4ページを御覧ください。
 そのため、十分な薬価を見込めない日本での上市を諦め、海外市場での開発を先行せざるを得ない状況が出てきております。
 会員企業にアンケートを行い、回答を得た15社のうち、海外先行開発を計画しているのは7社、そのうち4社は日本での開発をためらい、海外のみでの開発を検討しております。その一因として、高薬価が望めないことが挙げられております。
 5ページを御覧ください。
 投資回収が十分見込める薬価が期待できない理由を述べさせていただきます。まずは、先ほども述べましたとおり、会員企業の開発する医薬品には、大手企業が手がけないような市場規模の小さな製品が多くございます。特に患者数が1,000人未満のウルトラオーファン薬につきましては、開発難易度も高く、労力も多くかかります。
 現状の希少疾病用薬に対する加算率の適用実績では、その開発投資に見合う十分なインセンティブが得られていないと言わざるを得ない状況でございます。
 続いて、現行の新薬創出等加算に関わる企業指標では、ベンチャー企業がポイントを得ることが難しく、加算が減額されてしまう状況でございます。
 また、ベンチャー支援策である企業区分3から2への引上げ要件となる、いわゆるベンチャー要件につきましても、会員企業へのアンケートでは、約8割が要件に該当せず、ベンチャー企業の実態とは乖離がございます。
 続きまして、6ページを御覧ください。
 原価計算方式における課題を提示しております。時間が限られておりますため割愛いたしますが、原価計算に費用計上できない項目がございますことを御理解いただけると幸いでございます。
 7ページを御覧ください。
 以上のような状況に鑑み、具体的な方策として4点を提案させていただきたく存じます。
 まずは、新規ベンチャー企業に対する評価として、ベンチャー企業の薬価が維持できるよう、新薬創出等加算に係るベンチャー要件、企業区分の見直しを希望いたします。
 また、大手企業と異なり、製品数が少なく、かつ市場規模の小さな製品の売上で、製薬会社として体制を維持しなければならないベンチャー企業の実情に鑑み、薬価算定において販管費プラス補正を御検討いただきたく存じます。
 次に、品目への評価として、医療ニーズは高いが、患者数が非常に少なく、開発難易度も高いウルトラオーファン薬の開発意欲が湧くような薬価算定上の御評価を御検討いただきたく存じます。
 最後に、ベンチャー企業が活用することが多く、オーファン薬開発にも大きく貢献している医師主導治験を用いた開発品目について、現状では、効能追加に係る加算が必ずしも認められないルールとなっておりますが、効能追加のイノベーションそのものを御評価いただけるよう条件の見直しを行っていただきたく存じます。
 ベンチャー企業が、これからもドラッグ・ラグ/ロスの解消に貢献していけるよう、ぜひ御検討いただきたく、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 以上、御清聴ありがとうございました。
○米国バイオテクノロジー イノベーション協会
 続きまして、米国バイオテクノロジー イノベーション協会、略してBIO代表代理の海老原恵子と申します。本日は、意見陳述の時間を賜りまして誠にありがとうございます。
 米国新興バイオテク企業の日本市場上市に関する課題と解決に向けた提案をさせていただきます。
 22ページのスライドをお願いいたします。
 BIOは、米国ワシントンに本部を置く世界最大の団体であり、1,000以上の会員を擁しております。その70%が小規模企業になります。
 23ページをお願いいたします。
 BIOに加盟している新興企業について御説明いたします。
 BIO加盟の新興企業は、最先端イノベーションの最前線にて活動しており、世界における医薬品で、臨床試験実施中の6,984件のうち5,067件、73%に携わっております。
 また、臨床開発中の希少疾病指定医薬品の85%、また、FDAに提出された151件の承認申請数のうち94件、62%が新興企業の単独によるものとなっております。
 24ページをお願いいたします。
 BIOの新興企業に対して行ったアンケート調査結果でございます。
 およそ3分の2が日本で上市していない、もしくは開発する予定がないという回答になっております。
 断念した理由の1つといたしまして、薬価制度が挙げられております。
 アンケート調査の回答率が高くございませんが、それ自体が日本に対する興味の低さ、もしくはコンフィデンシャルな開発情報を日本のために開示したくないという理由によるものと思われます。
 次の25ページをお願いいたします。
 米国拠点のBIO加盟の新興企業が日本市場に対して感じている課題です。
 日本市場は、薬事承認取得後速やかに薬価が収載される点において魅力を感じている一方、以下の課題が挙げられます。
 まず、投資利益です。断念した理由として、上市のための先行投資費用、利益見通しが障壁となっております。
 早期段階の企業にとって収益性は、投資回収率を実証し、追加資金を引きつけるために極めて重要です。
 バイオテクノロジーが実際に黒字になるまでには何年もかかることがあり、上市した製品の収益を次の製品の開発の原資にするため、収益というところから、薬価、初期投資の収益率が見通せるということが非常に重要になってまいります。
 次に医薬品開発から上市に係る規制が障壁でございますが、本日は中医協の陳述でございますので割愛いたします。
 なお、上市に係る提携先投資、こちらに関しましても新興企業にとって、日本の開発環境は早期バイオテク研究開発に適していないと感じています。
 こちらは、次のページでまとめて説明します。26ページをお願いいたします。
 BIOから日本市場に向けた提言でございます。
 米国拠点の新興企業は、日本市場は重要と考えている一方、薬価制度が安定していないこと、薬事・薬価規制要件が複雑で多岐にわたることを障壁と感じております。
 日本の市場への新興企業のモチベーション向上のために、BIOメンバーからの意見、アンケート調査、ヒアリング結果を踏まえた提言を示しました。
 この中で、本日強調させていただきたいものが3点ございます。
 投資利益率でございます。特許期間(再審査期間)の薬価維持、新薬創出等加算の企業要件の見直し、新興企業は区分1に該当しないため、薬価改定時に新薬創出等加算が0.9掛けに減額されますが、開発する企業に区分を設けるのではなく、開発する医薬品そのもので薬価を評価していただきたいと存じます。
 次に、承認時の薬価算定に関する予見性の向上、原価計算の困難さ等の改善を求めます。
 医薬品開発から上市に係る規制に関しましては、割愛させていただきます。
 上市に係る提携先でございますが、新興企業の多くが単独で開発から上市まで行うには、莫大なコストとリソースが必要と考えており、JETROや他の日本の政府機関とともに、日本に関心を寄せる海外の新興企業と日本の提携先との結びつきや日本市場への参入、製品上市をより円滑に行うための規制・産業振興・支援策の設置が必要と考えております。
 以上、BIOからの意見陳述でございました。どうもありがとうございます。
○笠木部会長代理
 ありがとうございました。
 それでは、次に、日本医薬品卸売業連合会よりお願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会
 日本医薬品卸売連合会会長の宮田でございます。
 本日は、意見を述べる機会を賜り、中医協及び厚労省の皆様に感謝申し上げます。
 それでは、資料に沿って御説明いたします。2ページを御覧ください。
 まず、医薬品卸を取り巻く環境の変化でございます。
 皆様、大変申し訳ございませんが、ページ左下の平均市場伸長率に誤植がございます。「過去4年度平均市場伸長率」とありますが、正しくは「過去3年度平均市場伸長率」でございます。訂正をさせていただきます。大変申し訳ございません。
 6年連続で薬価改定が実施され、薬価の下落スピードが加速しております。
 一方で、終息が見通せない出荷調整への対応がコストの増大をもたらしています。
 また、物価高騰や物流における2024年問題もコスト増の大きな要因でございます。
 配送センターでのオペレーション効率化など、各社ごとに工夫を重ねておりますが、卸の自助努力だけでは解消できるものではありません。
 新卒採用の応募者減少など、医薬品流通の担い手不足が深刻となっております。
 公定薬価において、コスト増加を価格転嫁しにくい制度や政策が、これらの環境の変化に関連し、また、その対応を困難にするのではないかと、そのように考えているわけでございます。
 3ページを御覧ください。
 医療用医薬品市場において、表の赤枠で示したとおり、包装単位別品目数では、薬価20円未満が49%となっております。薬価ベースでの金額は10%を占めております。
 4ページを御覧ください。
 限定出荷、供給停止、出荷停止予定となっている製品について、薬価の価格別に納入数量の構成比を見たものでございます。
 グラフにあるとおり、10円未満の限定出荷数量が合計で59.9%と多く、10円以上20円未満も26.3%となっており、合わせると86.2%になります。
 10円未満、10円以上20円未満には、新型コロナ禍において供給不足が生じている解熱鎮痛剤や鎮咳去痰剤も含まれております。
 それでは、5ページを御覧ください。
 安定確保すべき基礎的医薬品や安定確保医薬品カテゴリーAとBを見た場合、対納入価コスト率が、いずれも100%を超えており、納入価格を上回る流通コストが発生しております。
 また、不採算品目の割合は、品目数で見た場合、いずれも6割を超え、金額ベースでは、基礎的医薬品が8割を、安定確保医薬品カテゴリーAで7割を超え、カテゴリーBでは、4割を超えており、多くの品目で不採算となっております。
 6ページを御覧ください。
 当連合会傘下の医療用医薬品を主に取り扱う45社全てを対象に、新卒採用状況や若年層人材の離職に関するアンケート調査を実施いたしました。
 時間の関係で詳しくは説明しませんが、アンケート結果によると、多くの卸は流通現場の中核となる若手の確保に苦慮している状況となっております。
 7ページを御覧ください。
 ここでは、ヘルスケア産業プラットフォームが実施した緊急調査の中から、若手を中心とした現場の生の声を幾つか御紹介しております。
 医療提供体制の維持のために使命感を持って現場を支えてきた従業員も、出口の見えない出荷調整への対応で、心身の負担が限界にきている状況でございます。
 8ページを御覧ください。
 ただいまの現状分析として、4つにまとめてございます。
 1つ目、薬価改定による単価の下落、物価高騰、2024年問題、担い手不足への対応に取組ながら、これまで医薬品卸は医療提供体制の維持のために、社会インフラとしての役割と使命感を持って尽力してきましたが、限定出荷に係る負担は、医薬品の持続的な安定供給の重大なリスクとなっております。
 医療用医薬品市場においては、薬価20円未満品の品目数が49%を占め、金額では10%を占めております。限定出荷数量の86.2%は薬価20円未満に集中しているということでございます。
 安定確保すべき医薬品では納入価格を上回る流通コストが生じており、多くが流通不採算品となっております。このため、今後の供給に支障を生ずるリスクを常に抱えているという状況でございます。
 これらを踏まえて、当連合会の意見を申し上げます。
 2024年度の薬価改定に向けて、流通不採算が持続的に安定供給に与えるリスクの観点を考慮し、薬価20円未満の医薬品・安定確保すべき医薬品の薬価を引き上げて検討をお願いいただきたい。
 今後の検討に当たっては、詳しくは申し上げませんが、これまで当連合会が主張した意見を踏まえていただきたいと思います。この点については記載のとおりでございます。
 私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○笠木部会長代理
 ありがとうございました。
 一通りの御説明をいただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。なお、質問は日本語でお願いいたします。
 それでは、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 業界からの御意見ありがとうございました。幾つかの質問と意見を申し上げたいと思います。
 資料薬-1、3ページ、ドラッグ・ロス品目の分析、日本における必要性に関する質問です。
 「ドラッグ・ロス品目の分類」にて、一番上「日本で当該疾患の既存薬がない品目」が52%ということは、残りの48%の品目では、既存薬、代替できる類似薬があるという理解でよろしいでしょうか。
 続いて、4ページ「ドラッグ・ロス品目の分析(まとめ)」についてです。
 世界における日本円の状況を鑑みれば、いずれの領域においても薬価が安くなってしまう日本では、売上げが見込めないという企業経営論理に当てはまってしまう可能性があります。また、7ページの要因分析のまとめにおける海外との比較においても同様です。
 そこで、まず、7ページ下のほうの「課題解決の方向性」について質問いたします。
 3つの点を複合的に実現する必要があるとの御意見ですが、この複合的にという意味は、予見性を幾ら高くしても、それだけでは駄目で、欧米と比べて遜色ない薬価がついて、その後、薬価引下げがないという薬価制度にしなければいけないという要望でしょうか。その場合、予見性の意味は一体何なのでしょうか。
 また、欧米との比較ということで申しますと、アメリカでは、製薬企業は自由に価格を設定できるものの、医薬品のアクセスが患者さんの経済力によって左右されています。
 一方、日本では、国民皆保険制度のもと、国民負担の軽減と医療の質の向上の観点から、きめ細かい薬価の評価方法を定めております。このように、全くそもそもの前提が異なっています。これを比較する場合には、十分に留意する必要があると考えます。
 次に質問です。日本には、日本ならではのよさがあり、例えば薬事承認から一定期間内で迅速に保険適用し、保険適用後は広く国内で使用可能になることなどは、ほかの国にはない日本市場の大きな魅力ではないかと考えますが、そうしたメリットに加え、なおかつ、欧米のような高い薬価を設定しなければ、ドラッグ・ラグ/ロスは解消しないとお考えなのでしょうか。
 また、領域ではなく、バイオ医薬品に対応できない等の薬の性質の問題もあるのではないでしょうか。
 さらに、今回の資料では触れられておりませんが、近年の毎年薬価改定が、ドラッグ・ラグ/ロスにどのような影響を与えているのか、御見解がありましたら教えてください。
 5ページ、ドラッグ・ラグ/ロスの要因について質問します。
 日本は、薬価算定ルールが文書化されておりますし、個別医薬品の薬価算定の根拠が事後に公表されると理解しておりますが、将来の薬価の想定が難しいというのは、日本にだけ当てはまる問題なのでしょうか。
 次に10ページ「有用性加算などの評価を拡充」について質問します。
 10ページでは、統計的な有効性を示すことが難しい薬事承認に関わらないデータ等も評価することを御提案いただいておりますが、統計的な有効性が示されておらず、また、様々な価値の評価方法を体系的に整理した考えもない中で、どのように評価すればよいのか、イメージができません。何かイメージがありましたら教えてください。
 15ページ「後発医薬品・安定確保薬品等の製造原価」に関する質問です。
 本年8月の状況ということですが、本年度の不採算品再算定の臨時特例的適用による改善はなかったのでしょうか、教えてください。
 19ページ「後発品への置換えが進まない長期収載品について」の意見です。
 本文4行目に「長期収載品の薬価も低く、その薬価の差も少ないような成分では置換えが進みにくいと考えています」とあります。しかし、品質、有効性、安全性だけでなく、価格、情報提供、安定供給なども含めて差が少ないのであれば、医療機関や薬局の体制加算による推進策も含めて、後発医薬品への置換えは可能なはずであり、それができていないのは、信頼性の問題もあると考えます。
 33ページ「具体的な価格調整方法(案)」について質問です。
 海外で想定される価値評価を踏まえた価格調整とありますが、海外4か国ではどれぐらいの精度で価格の予測ができるのでしょうか。
 また、前回事務局にもお願いしましたが、海外4か国における新薬の薬事承認から保険適用までの期間について、情報の提示をいただければと思います。
 最後に、全体に対して質問いたします。
 通常にも増して、今回の御意見は、新薬、後発品ともにプラス評価を求める要望事項ばかりのように見えます。業界の皆様は、その財源については、どのようにお考えなのでしょうか。御意見をいただければと思います。
 私からは以上です。
○笠木部会長代理
 長島委員、ありがとうございました。
 それでは、関係業界の方々から、適宜、お答えをいただければと思います。
○日本製薬団体連合会
 では、最初の新薬系のところは、上野会長から。
○日本製薬工業協会
 それでは、今、いただきました14ページまで、長島委員から御質問いただきました点について、私並びに今回共同でということで、この席におりますPhRMA、EFPIAの方々からも御意見をいただきたいと思います。
 まず、最初の御質問のスライド3、今回分析した品目の中で、75品目のうち39品目が、当該疾患で既存薬のない品目ということで、当該疾患では、残りの36品目については当該疾患での既存薬があります。ただし、作用メカニズムも違うということもあり、必ずしも全てが代替できるということではないと認識しております。
 続きまして、スライド7での御質問ですが、3つの我々が提案する要望、これはドラッグ・ラグ/ロスの解決に向けて、薬価の観点から申し上げると、薬価が想定しやすく分かりやすい制度、欧米と比べて遜色ない薬価を維持できること、そして、上市後の予見性、この3点が複合的にと申し述べておりますが、基本的には、これらが全て満たされることが重要であると考えております。この点については、特に海外から日本に持ってくることについての御意見もあるかと思いますので、海外団体からも御意見をいただければと思います。
 では、EFPIAの岩屋さん、お願いします。
○欧州製薬団体連合会
 先にEFPIAの会長の岩屋です。いただいた意見について、できる限りお答えしたいと思います。
 幾つかの御質問をいただいた中で、日本は、薬事承認をいただいてから薬価がいただけるまでの期間というのが非常に短くて、しかもそこが非常に明確であると、これは利点ではないかという御指摘がありました。それは、まさにそのとおりだと思います。日本は、いわゆるマーケットアクセスが薬事から薬価という部分におきまして、非常に明確に決まって運用していただいておりますし、これは、本当に中医協の皆さん、先生方のおかげでもあるのですけれども、そこについては利点であるということについては、おっしゃるとおりでございます。
 ただ一方、それだけで実際に海外からないしは日本も含めて、例えば、ベンチャー企業が日本に投資をするかと言いますと、縷々説明をさせていただきましたけれども、やはりそれは実際の投資に対するリターンというのを考えたときに、そのリターンは、我々の医薬品であれば売上のほぼ全てが、この皆保険制度の中での売上ということになりますので、薬価がどうであるかというのは非常に重大な影響がございます。
 欧米と遜色のない薬価をつけていただくことが必要であるということについては、変わりはございません。
 それから、恐らく前回も議論をさせていただいたと思うのですけれども、予見可能性の話がございました。予見可能性につきましては、薬価の水準がどの程度であるかということも、もちろん大切である一方、企業が行動を決めていくに当たりまして、特に医薬品の場合には、非常に長期投資の製品でありますので、長期間に亘って薬価がどのように推移をするのかということについて見通せることというのが、やはり必要であると認識しております。
 これが特許期間であっても、薬価が変動する、ないしは導入の時の薬価がどの程度になるかというのが、必ずしも事前に明確に分からないという状況であると、やはり予見可能性が低いということになって、投資に対して躊躇される企業も出てくると認識しております。
 今申し上げた中で、もう一つ御質問いただきました、薬価基準もはっきり書いてあるし、薬価がどうしてそうなったかということについても、ちゃんと議論の結果が報告される、それでも薬価の予見性というのが低いのかという御質問がございました。
 事実を端的に申し上げますと、いろいろな要件について、実際に薬を申請いたしまして承認をいただいて、我々が薬価の申請をした際に、結果としていただく薬価と我々が想定していた薬価の間に乖離があるということは非常によくございます。
 これは、要件がないというか、ルールがないというよりは、やはりその要件を実際に適用されるに当たっての解釈の余地というのが、認識として申請者側と実際に薬価を算定される側の間に、やや乖離があるのかなと考えております。
 それから、全部カバーしきれていないのかもしれないのですけれども、新薬を導入する際の薬価の有用性加算などの評価に関する御質問があったと思います。
 統計学的に直接比較できないような部分についても、ある程度加算を適用できるようにしていただけないだろうかという、我々の意見に対しての御質問だったと思います。
 まず、現状の有用性加算の体系では、直接実薬対照の臨床試験を実施することが困難な領域での新薬、全く新しいモダリティーなど、そういう概念の新薬について十分に評価していただけていないのではないかという点。
 それから、審査につきましては、審査報告書にサマリーというか、いわゆるプライマリーエンドポイントに対する審査、当局としての見解というのが記載されますが、これは治験に対する評価でございまして、この評価の中で必ずしも、その薬の革新性とか画期性に対する評価というのは、されておりません。
 実際にデータが存在しないものについて、認めてほしいと申し上げているわけではなくて、プライマリーエンドポイント以外にも、存在するデータから導き出される有用性というものがあるのですけれども、それが必ずしも有用性加算で評価をされていないと、そういう事例があると申し上げております。
 したがいまして、そういった場合においても、もちろん科学的な範囲において、データを援用していただいて、有用性というのを認めていただけないかということを申し上げているというのが、この点での意見でございます。
 以上でございます。
○米国研究製薬工業協会
 先ほどのスピーカーの方々と同じ意見でございます。PhRMAのシモーネ・トムセンです。
 日本におきましては、承認後直ちに、非常に迅速に償還がされます。それは、日本の強みだと思います。しかし、アメリカ、ヨーロッパの国々などにおきましても、同様な迅速さがあります。
 私自身はドイツ出身でございまして、日本の制度はドイツととても似ていると感じております。つまり、公的な仕組みがペアになっているからであります。
 このように承認後に関しては、実際に薬価がどう設定されか、そして、どういう形で薬価が維持されるかということがあらゆるレベルで非常に重要であり、これは、先ほどの2人のスピーカーがおっしゃったとおりです。
 実際に薬価を平均で比較しますと、いろいろな領域を通して、日本では一般にその水準低くなっていす。
 そのため、研究開発を促進して、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスといったものを解決するため、やはり先ほど指摘された有用性加算ということを前向きに検討していただくことが大きな駆動力となってくると思います。
 それにより、日本市場の競争力との強化につながり、日本市場の魅力がさらに高まることになると考えます。
 日本におきまして、研究開発を中断した企業があるという点については、45ページの資料を見ていただきたいと思います。
 ここに現在の問題点が指摘されておりますが、まず、当初の価格設定、それから、新薬創出等加算の問題の部分、それから市場拡大再算定などの価格の見直し、これらが日本に優先順位を置くかどうかということに関わってまいります。こうした加盟各社の中で、日本においての投資を躊躇することの背景が説明されています。
 現在の制度の予見可能性といったことに、我々は危機感を抱いているおり、そうした困難の背景がここによく表されているかと思います。
 ありがとうございました。
○日本製薬工業協会
 長島委員から御質問あった点にについて、2点だけ、簡単に御説明します。
 まず、毎年改定以後の薬価がドラッグ・ラグ/ロスにどのように影響されているかという点についてですけれども、今回、我々が調査した176品目は、2016年から20年に起こった品目で、一部影響はあると思いますが、基本的には、これからますますその影響が出てくるのではないかと考えております。
 もう一点が、有用性加算などの評価を拡充することについて、統計的な有効性を示すことが難しい薬事承認に関わらないデータ等も評価するという趣旨ですが、例えば、直接薬事承認に関わらない副次的評価項目であっても、重要な成績が示されているデータ、実薬に対する優越性、QOLの改善等、薬事審査に参考資料として提出された資料、データ、統計がなされた間接的比較のデータ、査読付きの学術論文、こういったデータが使えるのではないかと考えております。
 以上でございます。
○日本製薬団体連合会
 後発品は、2つ長島委員から御質問をいただいていますが、川俣副会長より、お願いします。
○日本ジェネリック製薬協会
 15ページ目の製造原価の話でございますが、令和5年の薬価改定において、特例的に引上げ対応というのをいただいたわけですが、この物価高騰というのは、現在もさらに伸長をしております。
 また、このときの不採算品再算定の計算の仕方において、要件を満たさない品目というのもございましたので、こういったものが、十分な価格改定ができていなかったということで、これだけの品目が残っているということだと思います。
 私どもとしては、引き続き、これらのデータを注目して、また、まとまり次第、御報告を差し上げたいと思っております。
 19ページの件でございますが、やはり我々の努力不足ということは確かにあろうかと思います。置換えが進まない医薬品に対して、私どもが先生方に御説明をすることの取組方が十分でないという事例もあったかと思います。
 こういった部分に関しては、私どもとしても、さらに使用促進ができるような取組を行ってまいりますが、まず、現在は供給不足に対して、十分に対応するところから進めてまいりたいと思っております。
○日本製薬団体連合会
 最後に、長島委員から全体を通してということでコメントをいただきましたけれども、日薬連、岡田のほうより、コメントをさせていただきたいと思います。
 まず、大前提として、これまで社会保障関係費の伸びの抑制として、国民の命と健康を守る医薬品の薬価から、やはり多くを捻出してきた実態があると認識していて、それが今日の問題につながっているという認識を、基本的には持っております。
 本日の陳述におきまして、上野会長からは、ドラッグ・ラグ/ロスの要因分析を御紹介させていただき、また、イノベーションにさらに切り込むことは、その状況を一層深刻化させるというお話をさせていただいたかと思います。
 また、基礎的な医薬品の価格低下というのは、安定供給不安というのをさらに悪化させる可能性があると思っております。
 国民皆保険を持続性あるものにしていくという趣旨については、十分我々ステークホルダーも認識しておりますけれども、まず、このままでは、皆保険に必要な医薬品というものについて、非常に大きな課題を抱えたままになると思っております。
 一方で、特に財源的に改めて申し上げるべきことは、新薬あるいは基礎的な医薬品の全ての薬価維持をお願いしたいと申し上げているわけではないと思っております。特に新薬でも革新性や有用性の変化に応じて価格を見直していくべきと考えております。
 また、基礎的な医薬品も医療上なくては困るものを、今日お話ししたように峻別していく必要があると思っておりまして、まずは、現行の仕組みの中で安定確保医薬品という、A、B、Cのカテゴリーにこれがありますけれども、この精査をしっかりやっていただくということが、めり張りにつながっていくと思っております。
 例えば、古くから収載されていて、診療ガイドラインにはもう記載がなくて、医療上の必要性が低下しているものについては、本当に薬価収載し続けるのかどうかということも含めて、その出口を考える時期にも来ていると考えておりまして、そういった観点も含めて、ぜひ、我々としては、めり張りについては、特にサイエンティフィックな観点を含めて、御議論いただきたいと思います。
 以上でございます。
○笠木部会長代理
 どうもありがとうございました。
 海外の制度について、事務局のほうにも若干問いかけなさっていたかと思うのですけれども、もし事務局から今日の段階で補足いただけるようでしたら、お願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 海外の状況も含めまして、以前、御質問いただいた点に関しては、準備中でございまして、今後の新薬の議論の際に、提示できるものを提示していきたいと考えております。
○笠木部会長代理
 どうもありがとうございます。
 長島委員、いかがでしょうか。
○長島委員
 営利企業の経営論理として、欧米と比べて遜色ない薬価とか、薬価引下げのリスクが少ないことを求めるのは、企業としてはそうでしょう、ただし、欧米と日本では制度がそもそも違います。特に日本の国民皆保険、これをしっかりと継続させるというところでは、そもそも欧米とは仕組みが違うので、欧米の論理をそのまま持ち込むというのは、考えていただく必要があるかと思います。
 以上です。
○笠木部会長代理
 ありがとうございます。
 もし追加で御発言等ありましたら、お願いいたします。
○欧州製薬団体連合会
 今のお話を受け止めて、ただ、実際に薬価を導入するときにも、欧米の価格というのは、当然、参考にされているわけでありまして、世界のマーケットの中で流通している製品を日本でも使用するという中で、欧米の制度と全く同じものということではないにしても、比較すべきところは比較するということは、既にされていると思っておりますし、そういう観点で言えば、薬価の水準についても、きちんと欧米の制度を参照していただくということで、論理的には破綻していないかなと思っています。
○笠木部会長代理
 ありがとうございました。
 それでは、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 各団体におかれましては、御説明いただき、ありがとうございました。
 お願いしましたドラッグ・ロスの品目分析、革新的新薬の迅速導入や有用性加算などへの具体的な御意見、原価の開示が難しい事情などについて整理してお示しいただき、ありがとうございました。今後、具体の議論の際に活用すべき資料と考えます。
 まず、資料薬-1の日薬連、PhRMA、EFPIAへの質問となります。
 9ページ目の問題点の2つ目で、先駆加算は適用要件が厳しいという意見がございました。先ほど、画期性であったり、重篤性であったり、それから極めて高い有用性が要件となっているということですけれども、その中で具体的にネックとなっている適用要件は何か教えていただけますでしょうか。
 また、11ページ目の新薬創出等加算における企業指標、企業区分の撤廃についての意見ですが、他の団体からもありましたけれども、制度の趣旨や薬価制度の抜本改革における見直しの経緯も踏まえた上で、慎重な議論が必要だと考えております。
 今回の新薬創出等加算に関する提案は、7月の意見陳述の内容とは異なっていますが、次期薬価制度改革では、今回の要望を基に議論を進めることを希望するという理解でよろしいでしょうか。
 その上で、仮に御要望のように見直す場合、企業規模によって高い区分になりにくいことが問題なのか、それ以外にも問題があるのかなど、特にどこを見直すと、日本でのドラッグ・ラグ/ロスの解消が進むと考えているか教えていただければと思います。
 また、14ページ目の原価の開示について、外国の委託企業のところ以外は基本的に開示できるという理解でよろしいでしょうか。
 次にJGAについてです。
 まずは意見になりますが、長く続く医薬品供給問題で、医療現場はその手配や患者さんへのお詫びと説明などで疲弊しきっています。
 先日、8月の供給状況が公表されましたが、改善の兆しが見えません。この問題は、行政側では中医協を含め、様々な場で後発医薬品に係る議論が進められていますが、JGAがしっかりと音頭を取って、全ての関係者が連携し、おおよそ何年以内に問題解決するのかお示しいただきたいと考えています。
 その上で質問ですが、このビジョンが見えないと、現場の不安を増すばかりです。この辺りをどのように考えているのか教えていただければと思います。
 また、18ページ目で、企業要件に関する提案が示されていますが、流通を含めた在庫状況の見える化、供給量やバックアップ体制の確保、これまで供給問題に取り組んできた実績のある企業を評価するような要件も必要と思いますが、いかがでしょうか。
 次に資料薬-3の日本バイオテク協議会からの意見についてですが、重要な取組を行っている創薬ベンチャーが日本の上市に不利にならないよう企業区分や、ウルトラオーファン、医師主導治験などに関する見直しの重要性に関しては理解できました。
 最後に、資料薬-4、卸連についてです。
 医薬品卸は、喩え最低薬価の医薬品一箱でも、毛細血管型流通網を活用し、必要な医療現場に品質を確保し、迅速、正確に配送を行っていることが、日本の医薬品卸の特徴だと思います。医薬品卸なしに医薬品の安定供給や医療提供体制の確保はできません。
 質問ですが、薬価20円未満の医薬品の薬価引上げを要望されていますが、薬価を引き上げることで、現状がどのように解決していくと想定されていますでしょうか、お考えを教えていただければと思います。
 また、調整幅については、それだけを議論することは適当ではないことは理解できますが、薬価専門部会の議論で、流通に関する検討課題は流改懇で議論している旨の説明がありました。卸連としては、流通上の課題を含め、これらの議論をどうすべきか、今後の中医協での議論に資するデータの収集の在り方も含め、お考えを教えていただければと思います。
 これらのデータに基づく議論は、卸連の協力がないと進まない内容と考えますので、お聞きした次第です。
 私からは以上です。
○日本製薬団体連合会
 では、まず、上野会長から。
○日本製薬工業協会
 まず、御質問どうもありがとうございました。
 それでは、新薬パートについてお答えしますけれども、まず、最初の先駆加算については、EFPIAの岩屋さんのほうから、よろしくお願いいたします。
○欧州製薬団体連合会
 先駆加算につきまして、私のほうから御説明をさせていただきます。
 先駆加算は、先駆的医薬品に指定されたものが対象となっておりますが、指定には治療薬の画期性、対象疾患の重篤性、対象疾患に係る極めて高い有効性、世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思、この4つを満たす必要があると言われております。
 これら全てを満たすというのは、非常に難しいのですけれども、特に対象疾患の重篤性という点につきましては、海外の類似の仕組みとしまして、米国のBreakthroug制度とか、欧州のPRIME指定制度、それらにもない要件でございまして、他国に比べてひときわハードルが高いと考えております。
 実際、先駆加算が適用された品目は、2016年からだと思うのですが、現時点までの7年間で、たった13品目しかございません。直近で申し上げると、もっと少ないと認識をしております。
 この厳しい要件に対しまして、いただける加算が、それほど大きくないというところについても、この企業の意思をそぐ一因になっていると考えておりますことを申し添えます。
 以上でございます。
○日本製薬工業協会
 続きまして、2番目、3番目にいただいた新薬創出等加算についての、我々の提案についての御質問に対する回答ですが、今回の提案内容が7月の陳述内容と異なっているのではないかという御質問もあったかと思います。
 私どもとしては、基本的な考え方としては、最終的に目指すのは、特許期間中の薬価の維持ということには変わりません。
 ただ、やはり段階的にどう実現していくかということを考える中で、喫緊の課題であるドラッグ・ラグ/ロスを解消するために、まずは、新薬創出等加算における品目要件の追加であったり、あるいは企業指標・企業区分の撤廃というものを提案させていただいているものです。
 それで、今回提案させていただいている企業指標・企業区分の撤廃の内容についてですが、基本的には、新薬創出等加算は真に有効な医薬品を適切に見極めてイノベーションを評価するものと、私どもは理解しており、品目要件では、真に画期性や有用性の高い医薬品に限定されております。
 今後さらに新しいモダリティに変わり、創薬スタイルが変わる中で、新しいイノベーションを評価するには、過去の実績よりも生み出された製品そのものを評価すべきであるというのが基本的な考えで、こういった企業指標そのものが、現在のドラッグ・ロスの一因になっているということも指摘されていることから、今回、企業指標・企業区分の撤廃を御検討いただきたいと御提案しているところです。
 4点目、今回、製薬企業のサプライチェーンにおける状況を御説明させていただきますが、御覧のように、自社だけで製造している例は極めて少なく、様々な委託先を使っております。
 その際、海外だけでなく国内の委託先も使っている中で、それぞれの委託先の価格は非常に高い秘匿性を持っており、ほとんど開示されることはありません。
 したがいまして、お答えとしては、海外にとどまらず、国内においても状況は変わらないということをお話しします。
○日本製薬団体連合会
 次の質問、川俣副会長、お願いします。
○日本ジェネリック製薬協会
 後発医薬品の供給問題に対しては、これほど長く皆様に御迷惑をおかけしてしまっていること、本当に残念に思っております。
 ただ、私どもジェネリック製薬協会として、協会を挙げて生産調整をしたりとか、特定の企業に、ここの企業はこの製品をつくり、ほかの企業はこの製品をつくりという形で、協会としての取組というのができれば、もう少し状況が変わっていたと思うのですが、やはり公正取引委員会関係の問題がございまして、各社が情報のない中で必死に取り組んでいるということに対して、協会としてどのような支援ができるかというのを悩んでいるところでございます。
 それぞれの企業においては、品目数の削減ですとか、効率化ですとか、それから生産供給量の増大ということに取り組んでおりますが、実は、状況はどんどん変化しておりまして、もともとの不祥事において供給が停止したものの、バックアップ、カバーだけではなく、そうした企業のものがどんどん使われなくなってしまっているという傾向もございますので、我々既存企業が、どの量を製造していけば、この安定供給という問題が解消できるのかというのが、把握できていないところが最大の問題だと思っております。
 こちらについても、今の産業構造の在り方検討会、こういったものを通しまして、より効率よく取り組んでまいりたいと思いますし、この取組について、また、見える化をできるように努めていきたいと考えております。
 あと2つ目、企業要件の件ですが、企業要件というのは、本来、医薬品企業があるべき要件でございまして、このあるべき要件を満たした企業を、そもそも誰が評価するのかということに関しては、私は医療関係者の方であると思っております。
 医療関係者の方々が、その企業要件を満たす企業の製品を優先的に使用するということになれば、それでもう十分だと思っておりますが、こういう企業要件を満たした企業に対して、どのようなインセンティブを与えていくのかという部分についても、今後の検討会においての進捗を見守ってまいりたいと考えております。
○日本製薬団体連合会
 では、バイオテクの山田会長が先だと思います。最後に宮田会長。
○日本バイオテク協議会
 山田でございます。
 先ほど御指摘いただきましたベンチャー支援策の件につきましては、御理解いただいたというお言葉を頂戴しましたので、ぜひ、どうぞ今後とも御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
○日本医薬品卸売業連合会
 卸連の宮田でございます。
 今、森委員から2問御質問があったかと思いますが、1つ目の20円未満の薬剤についての引上げということで、今後どうなるのかということでございますが、先ほどお示ししたように、この中間年改定が始まって以来、6年連続で薬価改定があり、大きく薬価の下落スピードが加速している状況の中で、見ていただいたように、品目数の5割近く、49%が20円未満の薬剤まで下がってきている。
 今、異常なぐらい、3年以上にわたって出荷調整が起こっていること、こういったことを考え合わせると、やはり20円未満の薬剤の中で、本当に必要な薬が患者さんに届かなくなってしまう、こんなリスクが大きくなっているのではないかということを前提に、20円未満の薬剤について、薬価の引上げを検討していただきたいという御提言をさせていただいているのですが、薬価を上げることによって、製造メーカーも、ある面、生産性を改善し、今、限定出荷をしているような製品について、早期に収束が期待できるものもあるのではないかと。
 私どもとしましては、今、異常なぐらい20円未満の薬剤の中に必要な薬が出荷限定になっているということを、どうすれば改善できるかという点が、非常にリスクの増大としてあるのだということを皆さんに御承知願いたいということが1点でございます。
 それから、調整幅のお話がございました。私どもは、先ほど委員からもお話があったように、今の時点で、薬剤の流通安定のための調整幅でありますので、これは、医薬品卸のみではなくて、川上の製造メーカー、あるいは川下の医療機関、保険薬局さん、流通担当者全員が重要な役割を果たしているということは、多分、御認識されていると思います。
 ですので、医薬品の継続的な安定供給によって、調整幅を欠くことなくというか、この重要性は、さらに今増しているのだということを、ぜひ御理解していただいて、データについては、川中の卸だけのデータを抜いて、調整幅をどうしましょうという御議論ではなくて、今申し上げたように、川上、川中、川下、全体的なエビデンスをもって調整幅の議論を、ぜひしていただければなというのが、今、考えているところでございます。
 以上でございます。
○森委員
 ありがとうございました。
 手短に、まず、後発品のところなのですけれども、幾ら後発品メーカーが頑張って増産しても、ミスマッチというのですかね、必要な品目を増産しなければ何もならない。
 ここに関しては、JGAだけではどうにもならない、公取の関係もあるのであれば、国が入っていただいて、しっかりと必要な医薬品が効率的に生産できるようにというのが重要だと思っています。
 また、もう一つは、JGAが早期解決に向けて、具体的にどういう取組をしているのか、正直見えてこないのです。そこの見える化と進捗状況の見える化に関しては、ぜひお願いしたいと思っております。
 また、卸連ですけれども、20円未満の医薬品薬価の引上げというのは、私も流通コスト等を考えれば、理解はいたします。
 ただ、この問題に関しては、総価交渉などの流通上の課題もあると思います。医薬品卸の重要な機能の1つとして価格形成機能があります。総価交渉などの流通上の課題もあり、卸としてしっかりと取り組んでいただきたいと思っています。
 以上です。
○笠木部会長代理
 ありがとうございました。
 それでは、オンラインで安藤委員の手が挙がっておりますので、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
 私のほうからも幾つか意見と質問をさせていただければと思います。
 まず、薬-1の14ページに、輸入医薬品のサプライチェーンが複数国の外部委託先にまたがる形となっており、原価の開示が困難であるとの意見が示されております。
 また、薬-3の23ページでも、世界における医薬品開発の多くは、新興企業が積極的に関わる形で行われているとのデータが示されております。
 こうした形で、日本の医薬品市場をめぐる環境が、ますます世界全体の市場や開発の流れと不可分に関連しつつあることを踏まえれば、海外の制度も考慮した上で、我が国独自のルールの在り方や対外発信を考えていくべきではないでしょうか。
 特に、26ページにあります米国拠点の新興企業は、日本市場を重要と考える一方で、薬価制度が安定でないこと、そして、薬事・薬価規制要件が煩雑で多岐にわたることを障壁と感じているとしております。
 特に言語障壁の問題が大きいと考えられ、改善を図る必要があると考えております。
 また、薬-1の17ページのJGAから示されている資料でございますが、安定供給確保と品質確保に向けた適正な活動を行う企業とあります。
 まず、適正な活動を行う企業ということは、適正な活動を行っていない企業もあるということだと思うのですが、どのぐらいの数が適正でない活動を行っている企業の数としてあるのでしょうか。
 また、JGAが考えていらっしゃる安定供給確保、並びに品質確保に向けた適正な活動基準とは何なのか教えていただければと思います。
 また、医療上必要性の高い医薬品等について、個別銘柄の改定の対象とするようにとのことでございますが、そもそも、薬価収載されている医薬品は医療上必要性があるものであると考えますが、その基準をどのようにお考えなのかということを教えていただければと思います。
 以上です。
○笠木部会長代理
 安藤委員、ありがとうございました。
 それでは、御質問は、特にジェネリックに関するところだったかと思いますけれども、その他の点も含めて、お答えをお願いいたします。
○日本ジェネリック製薬協会
 ありがとうございます。
 適正な活動を行っていない企業が、今回不祥事を起こしまして、供給停止をしているわけですが、私ども残りの企業で、これをバックアップする努力をいたしております。
 これに加えまして、現在、我々が取り組んでいるのが、いわゆる生産余力でございます。
 現在、供給している供給量に対して十分な余力を持つことによって、今後の自然災害ですとか、特定の企業における爆発事故、火災、こういったものの供給停止に対して、我々がバックアップできるような生産余力を持っているということも、今後の企業要件にとっては大事なことだと思いますので、そちらが対応できていくところというのが、どれほどの数になるのかというのが、今後の議論ということになろうかと思っております。
○笠木部会長代理
 安藤委員、よろしいでしょうか。
○安藤委員
 ありがとうございます。
 生産余力を持っていただくというのも大事だと思うのですが、患者の立場とすれば、やはり安定供給をするために、どのようにジェネリック業界の産業そのものがやっていくのかというところが、非常に大事だと思っておりますので、そこは、ぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○笠木部会長代理
 どうもありがとうございました。
 そのほか、御質問、コメント等、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 どうも御丁寧な御説明をありがとうございました。
 日薬連をはじめ、各団体の方々にはお礼を申し上げたいと思います。
 それでは、資料に関しまして幾つかコメントと質問をさせていただきたいと思います。
 まず、製薬業界に対してでございますけれども、ドラッグ・ロスについて、資料の3ページから8ページで具体的な事例であるとか、改革の要望等を御紹介いただきまして、少し理解が深まったと感じております。
 ただ一方で、日本で当該疾患の既存薬がないものが39品目ということですけれども、例えば35ページ以降を拝見いたしますと、必ずしも保険診療の中に早期に導入する必要性の高くない抗感染症薬なども含まれているように感じております。
 また、36ページ以降の表の一番右の欄を見ますと、指定難病であるとか、既に未承認薬検討会の対象になっているものも多数含まれております。
 こうしたその他のものも含めて、日本に導入すべきとの判断が一定程度ついたものについては、薬価制度でも評価するという、現在の枠組みが、それほど間違っていないのではないかと思います。
 引き続き、現行の枠組みの中で、どのような対応ができるのか検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 続きまして、7ページでございますけれども、先ほど長島委員からもあったのですが、分かりやすい薬価、ベーシックな収載時の薬価の算定は類似薬効方式と原価計算があるわけですけれども、例えば、原価計算方式については、最近は開示ができないということで、だんだんこの適用が難しくなっていることもあると思うのですけれども、これに対しても、分かりやすさがないというお考えをお持ちなのかどうか、確認をしたいと思います。
 それと、14ページなのですが、先ほどの原価開示の話なのですけれども、ここにある意味、極端といえば極端かもしれません、これがノーマルなのかもしれないのですけれども、この全てにおいて、そこに書いてあるような品目の開示が本当に要求されているのかどうか、これは、事務局も含めて確認をさせていただきたいと思います。
 続きまして、新薬創出等加算の関係なのですけれども、この返還について、31ページのところで、特許期間中の新薬の薬価を維持する仕組みの構築と併せてという御指摘をいただいております。
 また、前回のヒアリングでは、24ページの医薬品のカテゴリーに応じた薬価制度の関係で、業界のトップの方からは、後発品が上市された場合には、速やかに市場を撤退するという御表明もあったと認識しております。
 私といたしましては、一律に薬価を維持するということは、企業の開発姿勢あるいは個別の医薬品の価値が反映されず、イノベーションの評価に必ずしもつながらないと考えております。
 新薬創出等加算による特許期間中の評価そのものを否定しているわけではございませんけれども、新薬創出等加算の累積額控除のタイミングについても併せて議論させていただきたいと思いますので、これについて、もし、業界からコメントがあれば、お願いしたいと思います。
 続きまして、ジェネリックについてでございますが、先ほど、ほかの委員からもございましたけれども、15ページに原価率の調査結果が示されました。
 ここに原価高騰の影響が改善されていないと明言されておりますけれども、やはり令和5年度改定で対応したにもかかわらず、なぜ問題が解決されないのか、例えば、特定の企業が対応できていないとか、もともと非常に低い価格で受けていたのでカバーができていないとか、もう少しそこを突っ込んで教えていただかないと、単純に薬価を上げただけで解決するとは、私自身は考えにくいと思っております。
 続きまして、再生医療製品についてに移りたいと思いますけれども、これは令和8年度以降に向けた御要望と承りましたけれども、原価計算方式が再生医療製品になじまない部分があるという御指摘だと受け止めております。
 具体的には、個別の製品ごとに原価の積上げを行うことがよいのか、例えば、再生医療製品に限った何か係数とか、そういうものを設定したほうがよいのか、もしそれに関して、どちらが望ましいとかお考えがあれば、教えていただきたいと思います。
 続きまして、日本バイオテク協議会とアメリカバイオテクノロジーイノベーション協会からは、創薬ベンチャーが担っている役割、日本市場の参入障壁について御説明をいただきました。
 ベンチャーが開発した製品を上市する場合、既存の製薬企業がライセンスインするパターンであるとか、あるいはベンチャー企業そのものが直接販売するパターンであるとか、ほかにも多数あると思うのですけれども、ベンチャーのお立場としては、どのような方法で、日本で製品を上市したいとお考え、あるいは希望されておられるのか、もし何らかなりの御意見があればいただきたいと思います。
 最後に、卸連からは薬価20円未満の品目で出荷調整が多いこと、安定確保医薬品で流通コストが高いこと、さらには従業員の方の業務負担や心身のストレスについて御説明をいただきました。
 令和6年度改定に向けた意見としては、20円未満の医薬品と安定確保医薬品の薬価を上げてほしいと、非常にストレートな御要望であると理解をいたしましたけれども、一方で、なぜそのような価格水準で妥結をしているのか、原則は個別製品ごとの価格交渉だと思いますけれども、他の品目を含めた全体で損益を見ているから、妥結したのではないかとか、あるいは取引製品全体でコストの吸収を図っているのでないかとか、もう少しそういう点を教えていただきたいと思います。
 特に調整幅のところで、流通改善の道筋という言葉を使っておりますけれども、私からいたしますと、先ほどから言われております、製薬メーカー、卸、医療機関、いわゆる取引の慣行というか、慣習といいますか、そうしたものの何らかの改善というのがないといけないと思うのですけれども、卸の立場からすると、こういったことをぜひ改善してほしいということを、やはり、ある程度こういった場で御発言をいただいたほうが、インパクトがあると思いますが、いかがでしょうか。
 私からは以上になります。
○笠木部会長代理
 松本委員、ありがとうございました。
 それでは、関係業界の方々からお答えください。
○日本製薬団体連合会
 では、新薬の上野会長、お願いします。
○日本製薬工業協会
 御質問並びにコメントを、どうもありがとうございます。
 今回、私どもが追加調査した結果により、委員の方々の御理解が多少でも進むということであれば、我々としても非常にうれしく思います。
 まず最初のドラッグ・ロスとなっている36品目について、その必要性についての御質問であったかと思いますが、確かに品目により必要性の高い低いはあるかと思います。
 ただ、それは医療従事者の方あるいは患者様にとって、その品目はどうかということもあり、それを私どものほうから申し述べるのはこの場では適切でないと思い、こういう表記にさせていただいております。
 ただ、必要性の違いがあるということは、当然あろうかと思っております。
 2点目の類似薬効方式と原価計算方式の点についての御質問、コメントかと思います。
 確かに、今、日本には類似薬効比較方式と原価計算方式という2つの算定方法があります。
 ただ、これから生み出される、いわゆる革新的な新薬については、基本的には先行する類似する製品が少ない中で、比較していくことになると思いますので、どういうものが類似しているのかという観点を、もう少し幅広く柔軟にしていただければ、こういった方式がさらに有効なものになるのではないかと考えており、ぜひ御議論させていただければと思います。
 3点目の製造プロセスについて、今回示した結果が非常に極端なものではないかという御質問であったかと思います。
 確かに、製品や企業によって、どういう委託先を使い、あるいはどこで、どの工程を自社でやるかというのは異なります。
 したがって、これが極端だということも言えるのかもしれませんが、大きな傾向として、製造コストを抑えて収益を出していくということが前提の中で、かつモダリティが変わってく中で、その製造技術そのものを自社で持っていないケースがこれから、ますます増えていくと思います。
 よって、委託先を使うというのは私ども新薬メーカーとしてもそのトレンドはますます広がっていくことを前提に、ぜひまた御検討をいただければと思います。
 3点について、私からお答えさせていただきました。
○日本製薬団体連合会
 次に24ページの、いわゆる大きくカテゴリーがあって、長期収載品からの撤退ということに関連しまして御質問、御意見をいただきましたけれども、松本委員のおっしゃるとおり、ここにも示しておりますけれども、長期収載品は、速やかに特許満了後は、後発品に道を譲って撤退することが基本であるということを改めて申し上げたいと思います。
 これは、2010年に新薬創出等加算制度が試行導入されたときから、いわゆる制度の改定の方向はそちらに向かっていると認識をしております。
 一方で、いわゆる新薬創出等加算の累積額控除のタイミング等の議論については、この長期収載品の価格だけを何か削減するという議論だけが走るのではなくて、あくまでも新薬の評価とともに、それが特許満了したときには、価格も含めてということを申し上げておりますので、ぜひこのバランスをもって議論していきたいと、それによって財政的には、十分バランスが取れると考えております。
 次の質問は、川俣副会長、お願いします。
○日本ジェネリック製薬協会
 再算定につきましては、先ほどから御説明申し上げているとおり、十分な再算定とはなっていなかったということ。それから、原材料原価の継続的な高騰と、それから製造経費が十分に反映できていなかったというのが実情であると考えております。
○再生医療イノベーションフォーラム
 FIRMの志鷹でございます。御質問ありがとうございます。
 我々、7月5日の意見陳述でも、2本立てで提案をさせていただいております。
 1本目は、令和8年度の改定に向けて、再生医療等製品の特徴を踏まえた薬価算定の在り方を考えていただきたいということで、そこは、現在の原価方式から離れて、多様な価値、臨床的なものだけではなくて、経済的、産業的な、そういった多様な価値を考慮したような独自の再生医療の算定方式を考えていけないか、ということを、2本立ての1本目として提案をさせていただいています。本日の資料では、2ページ目にそれが対応しています。
 もう一つの2本目は、それまでの対応として、令和6年度の改定に向けて、現行の原価算定方式に関する喫緊の課題を緩和すると、そういう観点でお話をさせていただいています。
 その意味におきましては、医薬品や医療機器の現行係数に縛られることなく、個別の再生医療等製品の原価構造を適切に評価していただいた上で、本日述べたような課題に対応する運用上の考慮いただいて、妥当と判断される費用については、原価を積み上げていただきたいと、そういう提案に2本目はなっております。
 以上です。
○日本バイオテク協議会
 先ほどバイオテク協議会と、BIOにつきまして御質問をいただきました。
 大手製薬にライセンスインするケース、あるいはベンチャーが直接販売するケース、どのように、今後、将来を含めてお考えかという御質問をいただきました。
 御認識のとおりでございます。ベンチャーの類型は、ベンチャー自らが販売するパターンと、成長途上で大企業に売却するパターンと、大きく2つのパターンに分けられるのが現状でございます。
 また、どちらのパターンが望ましいかということも回答はございません。その企業の経営陣の考え方により方向性が決まってまいるかと思います。
 当協議会等におきましても、自社で製造販売まで行っているのは3社、導出しているのは5社という現状でございます。
 繰り返しになりますが、どちらが望ましいというよりも経営方針、ポリシーの違いかと存じます。
 また、この機会に御質問いただきましたので、改めて今後とも動向を見ながら考え方を整理してまいりたいと思います。
 御質問ありがとうございました。
○米国バイオテクノロジー イノベーション協会
 BIOからも一言御回答させていただきたいと思います。よい御質問をありがとうございます。
 まず、先ほどバイオテク協議会様がおっしゃったように、これという1つの回答というのはないと理解しております。
 しかしながら、先ほどプレゼンテーションでも申し上げましたように、まだ国内で基盤がないような初期には、大手の企業にライセンスアウトすることが、より早く日本に導出することができる方法であり、また、日本での開発、上市に向けてのノウハウといったことを学ばせていただく機会として捉えているところもございます。
 したがいまして、医薬品開発供給の初期段階として、日本企業との提携を開拓するような支援策がございますれば、その支援策等を利用して、日本に早く導出することのオプションとしてはあるのかと思っております。ただし、それが最善かどうかというのは各企業の判断と考えております。ありがとうございます。
○日本医薬品卸売業連合会
 松本委員からの御質問、ありがとうございます。
 大変難しいといいますか、卸連合会としまして、個々の企業の利益の在り方、コストをどうやって、粗利の中で吸収しているのかということを、具体的に示す手立てが実はございません。ただし、なぜこういう価格で妥結するのかという点につきましては、まさに、今、厳しい環境の中で、バイイング・パワーだとか、あるいはコンサルの価格代行業者だとか、いろいろな中で、各卸企業が、自社の中の様々な経営判断あるいは努力によって、全体の収益を確保していこうということで、コストの圧縮も含めて、全体で少なからず利益を出しているというのが、今の状況であるということで、ぜひその点は御理解いただければと思います。
 ただし、こういう状況の中で、こういった薬価の安いものが非常に限定出荷になっているということは、今後さらに、こういう限定出荷のリスクが深まるのではないかということでありますし、今年度はまだ調査されていませんが、約1,100品目ぐらいの不採算算定薬剤の薬価が上がっているということでございます。
 これは、今まさに価格交渉をしているところでございますので、経過的に、こういった場で御議論をさせていただければありがたいなと思っております。
 そして、非常に本質的なところでございますが、今、流改懇も含めて、来年にかけて流通改善ガイドラインの実効性を高めていこうという取組、あるいはそういった薬価差の偏在に対しての議論といったものもこれから進んでいく中で、まさに今、御指摘いただいたように、こういった場の中で、もう少し具体的に意見を申し上げて、皆さん、御議論をしていただければと、そのように考えております。
 どうぞよろしくお願いします。
○笠木部会長代理
 ありがとうございました。
 原価開示の点、事務局から補足をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 原価の開示に関しましては、資料薬-1の14ページ目に書かれていますように個別企業とやりとりを通じて、例えば、製造コストとしては、原薬から製剤化、そして包装、つまり一連の行為に関して実際にどれぐらいかかっているかというところを確認します。その中で、開示されている情報に基づき、妥当性を確認しているという状況でございます。
○笠木部会長代理
 ありがとうございました。
 松本委員、よろしいでしょうか。
 その他の点、御質問、コメント等ありますでしょうか。
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 私からは、コメントを1点申し上げます。
 まず、御説明いただいた関係業界の皆さんへお礼を申し上げたいと思っております。
 前回の意見聴取の際に、私からの卸連への質問について、卸連さんの資料の6ページ、7ページに離職状況や退職、転職実態に係る緊急調査結果の内容をお示しいただいたことに感謝申し上げます。従事者の心身負担への対応が大変重要と考えております。
 ドラッグ・ラグ/ロスや医薬品供給の不安定によって、患者、国民に影響が生じないよう、さらに様々な観点・対応策を含めて検討が必要と考えます。
 私からは以上です。
○笠木部会長代理
 どうもありがとうございました。
 続けて、眞田委員からお願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 本日は丁寧な御説明をいただきまして、誠にありがとうございます。
 特にドラッグ・ロスの状況について分析を示していただきましたこと、感謝申し上げます。
 ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの問題につきましては、危機感を持っているところでございます。国民負担や制度の持続可能性の確保に留意をしつつ、何らかの対応を講ずる必要があると考えた次第であります。
 これとは別に一点、重ねての質問になりますけれども、薬-1の14ページのサプライチェーンの図に関しまして確認の質問をさせていただきたいと思います。
 このページでは、原価の開示が難しい企業の実例として、原薬、製剤、包装、市場に至るまでのサプライチェーンを示していただいているところでありますが、このように複数国にまたがり、グループ会社以外の委託先も含まれる複雑化したサプライチェーンというのは、製薬業界においては一般的な事例なのでしょうか、それとも、ある特殊な事例なのか、国内、海外、その差があれば教えていただきたいと思いますし、もし分かれば、今後のサプライチェーンのトレンドとして、どういうところに向かっていこうとするのか、そういうものも、もし分かれば、御教示いただければと思います。よろしくお願いします。
○笠木部会長代理
 では、お答えをお願いいたします。
○日本製薬工業協会
 御質問どうもありがとうございました。
 それでは、製薬協の上野のほうからお答えさせていただきます。
 従前ですと、低分子医薬品の場合は、製薬企業の中に化学という1つの基本サイエンス、基本テクノロジーをもった中での製造ですので、自社でマネージすることが多かったと思います。
 ただ、一方で、やはりコストをいかに下げていくかという1つの大きな流れと、もう1つは、低分子からバイオ、さらに新しいモダリティへと変わっていく中で、自社で製造する技術を持っていない、あるいは他社に委託するほうが、さらに安くできるということがあり、製造を委託することは増えてきていると思います。
 今後、委託先を使うということについては、原薬だけではなく、包装やデバイスなどにも広がっていくため、ますます、その機会は増えていくものだと我々は認識しています。
 以上でございます。
○眞田委員
 ということは、総じて言うと、ここのサプライチェーンの図というのは、一般的な事情、事例になりつつあるという理解でよろしいでしょうか。
○日本製薬工業協会
 はい、そのように御理解いただければと思います。
○眞田委員
 ありがとうございました。
○米国研究製薬工業協会
 一言私どものほうから申し上げますと、海外企業についても同様の状況で、これは全く共通して見られる一般的な状況になっているかと思います。
 さらに、今、触れられました、ますます技術が多用されるようになる、ますます多様化ということが進むことになれば、こういったことはもっと広く行われるようになると思います。
 最後にもう一言付言いたしますと、製造のサプライチェーンにおいて、こういった傾向が進んでいるというだけではなく、同様のことが臨床治験のサプライチェーンの中でも進んでおります。
 例えば、原価計算方式ということで薬の価値というのを評価するという場合、先ほどバイオテクノロジー イノベーション協会からも説明がありましたように、多くの場合こういったバイオベンチャーは、メガファーマすなわち大手の製薬会社とパートナーシップを組んでいることが多いため、その場合、例えばロイヤルティーなども含めて、秘匿性の高い契約を結んでいることが多く、そのような場合、ますます開示が難しくなります。
 ということで、サプライチェーンの状況に加えて、さらにそういった状況も出てきて開示が難しいということです。
○笠木部会長代理
 ありがとうございました。
 その他、御質問、コメント等よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。大体、御意見、御質問も出尽くしたようですので、関係業界からの意見聴取については、ここまでとさせていただきます。
 今後、事務局において、本日いただきました御意見も踏まえて、御対応をいただくようお願いいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
 それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。
 どうもありがとうございました。
                  
                                   

<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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