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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第208回議事録(2023年8月30日)

 
 

2023年8月30日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第208回議事録

○日時

令和5年8月30日(水)保険医療材料専門部会終了後~

○場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア8F

○出席者

安川文朗部会長 笠木映里部会長代理 小塩隆士委員 本田文子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 村井泰介専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○令和6年度薬価改定について
 

○議事

○安川部会長
 ただいまより、第208回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 保険医療材料専門部会と同様対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告いたします。
 本日は全員御出席をいただいております。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 今回は「令和6年度薬価改定について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 資料薬-1を御覧ください。今回は、その他の課題についてでございます。
 2ページ目に検討スケジュール、3ページ目に本日の検討事項を示しております。3つございますので、順に御説明いたします。
 4ページ目「1.医薬品流通に関する課題」でございます。
 5ページ目、これは薬価改定のイメージですが、各品目の市場実勢価格の加重平均値に調整幅2%を加えた額に改定することとしており、調整幅に関しては、このページの最後の行に書いておりますが、薬剤流通の安定のためとされております。
 6ページ目は、薬価基準改定方式の変遷で、バルクライン方式から平成4年度に加重平均値一定価格幅方式でR幅が、平成12年度に市場実勢価格加重平均値調整幅方式で調整幅が導入されました。
 7ページ目、R幅方式に関して平成3年の建議書でございます。R幅は段階的に縮小することとされておりました。
 8ページ目は、調整幅方式に関して平成11年の薬価制度改革の基本方針でございます。
 「医療機関の平均的な購入価格の保障」という新たな思想で導入されたものでございます。
 その後も9ページにありますように、平成14年度、16年度、18年度の薬価制度改革の基本方針において、調整幅方式を維持することとしており、現在に至っているというものでございます。
 10ページ目は、令和4年度薬価改定の議論の際の調整幅に関する主な御意見をまとめたものでございます。
 11ページ目は、6月に取りまとめられた有識者検討会報告書のうち、流通関係の指摘でございます。
 下の囲みでございますが「対策の方向性」として、適切な流通取引のために、流通改善ガイドラインを改定すること、「引き続き検討すべき課題」として、購入主体別の取引状況等の詳細を調査した上で、過度な薬価差の偏在の是正策を検討すること、調整幅について、流通コストの状況等を踏まえ、どのような対応を取り得るか検討すること、とされております。
 12ページ目は、流通改善ガイドラインの関係部分の抜粋でございます。
 13ページ目は、R幅方式が導入されて以降の薬価調査における平均乖離率の推移です。調整幅2%となって以降は、おおむね横ばいで推移しているというものでございます。
 14ページ目は、メーカーから卸売業者、医療機関・薬局までの流通構造の概要でございます。
 詳細の説明を、15ページ目に示してございます。
 ②の納入価と薬価の差が薬価差でございまして、それに調整幅を加えた額が改定後薬価となっております。
 流通段階では、①の仕切価より②の納入価が低くなり、中央に書かれている一次売差と言われているものが、マイナスの状態になっている場合があるというものでございます。
 流通改善ガイドラインでは、一次売差マイナスの解消に向けた対応を求めております。
 16ページ目は、仕切価率と納入価率の状況でございますが、調整幅が2%になった平成12年度から平成14年度にかけて差がなくなり、それ以降は仕切価率が納入価率を上回り、一次売差がマイナスなっている状況が続いております。
 ここ数年は双方が上昇傾向で、その差はわずかながら縮小しているというものでございます。
 17ページ目は、都道府県別の配送にかかる費用の状況ですが、大都市では低く、離島や山間部が多い県では高い傾向があったというものでございます。
 18ページ目は、調整幅による影響の緩和イメージですが、加重平均値を超える価格で取引されていたものは、薬価改定の影響を特に受けることになりますが、調整幅により改定の影響が緩和されているというものでございます。調整幅がない場合は、改定により影響を受ける割合が多くなってしまいます。
 19ページ目は、販売先別の乖離率の比較でございます。販売先のカテゴリー別に集計して比較した場合のデータでございますが、20店舗以上のチェーン薬局の乖離率が一番大きい数値となっておりますが、資料の中でも指摘されているとおり、施設によって乖離率が大きく異なりうるというものでございますので、この資料だけでは、開設者・施設ごとの状況は明らかではないというものでございます。
 20ページ目は、乖離率のより詳細な分析が必要であることに関しては、有識者検討会の報告書でも指摘されているものでございますし、6月に開催された医療用医薬品の流通改善に関する懇談会、いわゆる流改懇においても、より詳細な分析を求める意見が出ているというものでございます。
 21ページ目は、医薬品のカテゴリーとして、新薬・長期収載品・後発品・その他品の医薬品別で乖離率を集計したところ、後発品の乖離率が一番高いと指摘されているものでございます。
 22ページ目、医薬品の取引に関しては、単品単価契約を進めているところですが、交渉段階、妥結段階で、資料のような分類がありまして、23ページ目には、その取引の実態の割合を示しているものでございます。
 単品単価契約の取引においても、総価交渉となっているものが多くなっているということでございます。
 24ページ目は、流改懇における今後の対応を示した資料でございますが、流通ガイドラインの改訂のほか、流通取引の改善に向けた議論を行うこととされているものでございます。
 25ページ目は、業界からの要望事項でございますが、調整幅については流通改善の道筋等の議論を踏まえて議論すべきと要望されているものでございます。
 次に、26ページ目から「2.診療報酬改定がない年の薬価改定」でございます。
 27ページ目は令和3年度、28ページ目は令和5年度の薬価改定全体の概要でございます。
 29ページ目は、令和5年度改定において適用した算定ルールを骨子から抜粋しているものでございます。
 30ページ目は、関連する意見の抜粋ですが、今回の改定の議論の中で、中長期的な課題も整理すべきとの意見や、令和4年度の改定に向けた議論では、ゼロベースの議論をすべきとの指摘があったものでございます。
 31ページ目から33ページ目は、業界団体からの要望事項として、毎年の薬価改定の影響が大きく見直してほしいというものでございます。
 次に34ページ目「3.高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応」でございます。
 35ページ目、新型コロナ治療薬のゾコーバ錠につきましては、高額医薬品としての議論を行い、薬価算定や市場拡大再算定において、本剤に限った特例的な対応を行いました。その概要でございます。
 36ページ目は、本剤に限った再算定の特例措置の概要を示しております。
 37ページ目は、本剤の特例的な対応をまとめた際の今後の検討課題を示しております。本剤は緊急承認品目なので、本承認の際にその審査の結果等を踏まえて、本剤の薬価について検討することとしております。
 また、パンデミックを来す感染症のような市場規模の推計が困難な疾患を対象とした薬剤の薬価算定方法等や、緊急承認された品目の本承認時における薬価算定の方法等は、次期薬価制度改革に向けた課題として検討することとしております。
 さらに再算定に関しては、本剤に限った特例措置であることから、この措置を講ずることとなった場合には、対応後の状況も含めた価格調整について検証することとしております。
 38ページ目、ゾコーバ錠についての現状でございますが、緊急承認後、本年6月に本承認のための承認申請がなされており、現在審査中となっているものでございます。
 説明は以上でございますが、最後のページに論点を示しております。
 「現状」の項目につきましては、先ほどの1から3の概要ですので省略し、「論点」の箇所だけ述べさせていただきます。
 まず1つ目、今回示した医薬品流通の課題に関して、どのように考えるか。調整幅の在り方が継続検討事項とされ、過度な薬価差の偏在に関する課題も指摘されているが、流改懇において流通に係るこれらの課題について検討が行われることから、これらの関係会議での議論や薬価差の実態に関するデータ等も踏まえつつ、検討を進めることとしてはどうか。
 2つ目、診療報酬改定がない年の薬価改定について、どのように考えるか。
 3つ目「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応について」において検討課題とされている薬価算定方法等に関して、どのように考えるか。新薬に関する検討課題であるため、個別品目(ゾコーバ錠)の本承認や再算定等の状況も踏まえつつ、秋以降に議論される新薬の課題の際に併せて議論することとしてはどうか。なお、個別品目に関しては、当該品目の承認等の状況を踏まえ、別途議論することとする。ということで、まとめているものでございます。
 引き続き、薬-2の資料についても説明をさせていただきます。
 こちらは、これまでの主な意見をまとめたものになります。
 新薬・長期収載品・後発品等の議論において示した論点に対して、いただいた意見の概要をまとめているものでございます。
 この資料では、8月2日までの意見をまとめたものでございますので、先週の薬価専門部会における薬価算定組織からの意見に対する委員からの意見は含まれておりません。
 また、この資料の最後の12ページ目でございますが、本日でこの薬価の議論を一巡するということになりますが、今後の議論につきましては、ここに示した論点と、これまでの意見あるいはこれから御議論いただく意見、そして先週の薬価算定組織からの意見のほか、次回開催予定の関係業界からの意見陳述に基づきまして、項目ごとに対応の方向性を議論することを予定しております。
 関係業界からの意見陳述では、前回の意見陳述の際に、委員から御指摘があったことを含めまして、この資料に示しているような事項も資料として提示していただくことが必要となりますので、それをまとめたものでございます。
 準備に時間を要するものがあれば、その後の議論の際にお示しすることも考えられるものでございます。
 いずれにいたしましても、この資料に記載されているこれまでの意見や、今後必要な資料等で何か追加すべきものがあれば、御指摘いただければと思っております。
 説明は以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明について、御意見、御質問等ございましたら、お願いいたします。
 では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 40ページの3つの論点についてコメントします。
 1つ目の医薬品流通の課題については、論点に提案されているとおりと考えます。
 医薬品流通に関しては、今後の医薬品産業構造の在り方にも関わる話ですので、論点にも記載されているとおり、まずは関係会議において先に議論していただく必要があると考えます。
 なお、調整幅については過去に議論を重ね、R幅10%を超える状態から、現在の形になった経緯があり、また、前回改定に向けた議論において、10ページで示されたような中医協の意見が出ております。
 したがって、関係会議においても過去の議論を十分に参考にしていただくのがよいと思います。
 また、20ページの流改懇における意見にもあるように、薬価差の実態をもう少し細かく見ていただくことを要望します。
 続いて、2つ目の論点、診療報酬改定がない年の薬価改定については、これまでは、平均乖離率を大きく下回る乖離率が基準となってしまい、品目が選定された結果、市場の7割もの品目が対象となり、結果として、安定供給に支障を来しているなどの指摘がなされています。
 薬価改定は、診療報酬改定と同時期に行うことが基本です。したがって、診療報酬改定がない年の薬価改定は、過去2回の中間年改定が、医薬品の安定供給やドラッグラグ・ロスなどに与えた影響なども検証しつつ、検討を重ねるべきであると思います。
 3つ目の論点、高額医薬品に対する対応は、医療保険財政の持続性という観点を重視して中医協で考えてきたものです。今後もこのように、従前の例では難しいような巨額の製品が出てきた、あるいは出てくる際には、中医協で議論してから薬価算定組織で価格づけの議論をしていただくことが必要と考えます。
 論点に記載されているとおり、個別品目ゾコーバ錠の本承認や再算定等の状況も踏まえて、今後議論するということに賛成であり、本日の時点では、それ以上のコメントはありません。
 最後に事務局にお願いです。新医薬品を薬事承認から原則60日以内に保険収載するという日本の制度は、患者さんに新医薬品が迅速に届くという点で世界に誇れるものであり、製薬企業にとっても最も高い予見性を担保しているものと考えられます。
 そこで、日本や諸外国における薬事承認から保険収載と同等の状態になるまでの平均期間と、保険収載される割合についてデータがあれば、次回以降に御提示いただきたいと思います。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 幾つか御提案をいただきました。ほかにいかがでしょうか。
 では、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 論点に沿って幾つかコメントをさせていただきます。
 まず、論点1つ目の調整幅の在り方についてですが、調整幅は、薬剤流通の安定のために確保されたものと理解しています。
 その上で、医薬品は民民の取引で、薬価を上限として交渉されるため、薬価差は必然的に発生しますが、その購入価格や流通管理コストにはばらつきがあるため、薬価改定の影響を緩和する仕組みとしても、調整幅は重要な役割を担っています。
 調整幅は幅広い範囲で様々な役割を持ち、流通安定のために設定されたものですが、調整幅2%に設定された当初と現在を比べても、高額医薬品や厳格な管理が必要な医薬品も出てきており、流通コスト、管理コストが増加している状況です。
 さらに、毎年の薬価改定や供給問題などの影響もあり、安定的な流通機能を保つ機能として、調整幅はますます重要なものとなっています。
 現状の流通体系は、調整幅2%という前提で成り立っているため、見直しにおいては、流通の現場にどのような影響があるのか正確な試算ができない以上、流通体系の崩壊を招く可能性があるため、現時点では見直すべきではないと考えます。
 サプライチェーンの状況などをしっかりと把握しつつ、調整幅のみではなく、流通全体の課題を含め、極めて慎重に議論が必要と考えます。
 また、流通の関連で、乖離率のデータが19枚目の資料で示されています。これは、長島委員、安川薬剤管理官からもありましたけれども、医療機関や薬局の区分ごとのデータでは、開設者や施設で乖離率に違いがあることが分からないので、これだけで薬局では過度な薬価差が生じていると結論づけることはできないと思います。
 担当課においては、医療機関と薬局の乖離率の状況について、より詳細が分かるデータの準備をお願いします。
 次に、論点2つ目の診療報酬改定がない年の薬価改定、いわゆる中間年改定についてですが、今年の4月に令和3年度に続き、2回目の中間年改定が行われ、6年連続での薬価改定が行われました。
 中間年改定の実施により加速度的に薬価が下落し、企業や卸、薬局や医療機関の経営に大きなダメージを与えています。特に薬代が保険収入の75%を占める薬局においては、資産価値の減少や売上げの減少にもつながり、薬局経営に深刻な影響を受けているところです。
 このような薬局経営など関係者への影響や、昨今の物価、賃金高騰、医薬品の供給問題などの影響、サプライチェーンの経営実態などを踏まえて、中間年改定の対象範囲や改定の実施の是非を含めて、慎重な検討をすべきと考えます。
 このまま同じように続けば、医薬品のライフサイクルを短命にし、新たな医薬品創出の機会を損ない、薬局や医療機関、企業や卸の経営に甚大な影響を及ぼし、結果として国民が必要な医薬品にアクセスできなくなってしまいます。
 また、現在は令和6年度の薬価改定の議論をかなり幅広く行っている段階であり、本年度は次期薬価改定の議論を最優先で行うべきであり、その次の中間年の議論まで行うことは難しいのではないかと思います。
 最後に論点3つ目の高額医薬品への対応についてですが、パンデミックを来す感染症のような市場規模の推計が困難な疾患の治療薬や、緊急承認の医薬品などの課題については、秋以降の新薬の議論の際に併せて検討するのがよいと考えます。
 事務局におかれましては、必要な資料の準備をお願いできればと思います。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見は、いかがでしょうか。
 では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 どうもありがとうございます。
 それでは、論点に沿ってコメントを差し上げたいと思います。
 まず、医薬品の流通の課題については、関係会議での議論や、流通コストの実態に関するデータ等を踏まえて検討を進めることについて異論はございません。
 その上で、従前から申し上げておりますけれども、長い間調整幅が一律2%に固定されていることについては、ずっと疑問を持っております。流通コストの状況等を調査することになっておりますけれども、調整幅に関する議論を前に進めるためにも、こうした調査結果がいつ中医協に示されるのか、今後の具体的なスケジュールをぜひ御提示いただきたいと思います。
 また、市場実勢価格を反映するという観点で、やはり乖離率だけではなく、乖離額も考慮する必要があるということは改めて主張いたします。
 それと、資料の14ページを御覧いただきたいと思うのですけれども、ここに一次売差マイナスの説明と補塡について説明がございますけれども、これは、私の個人的な意見にもつながりますが、公的な価格である薬価の議論をする際に、こうした割り戻しとかアローアンスという非常にある意味特殊な契約といったものが、こういった形で出てくることに関しては、今回非常に大きな違和感を感じたというのが素直な印象でございます。
 特にアローアンスの金額が、卸の利益に直結するということは、これからもよく分かるわけで、そうしますと、業界のほうから非常に厳しいのだ、厳しいのだというお話をいっぱい伺うのですけれども、それはこういったものの要素もあるということになってしまいますので、こうしたものについても有識者検討会で挙げられておりますので、十分議論していただきたいということは、別途お願いをしておきたいと思います。
 続きまして、診療報酬改定がない年の薬価改定についてコメントいたします。
 まず、基本認識として27ページ、28ページにもありますけれども、診療報酬改定のない年の薬価改定は、国民負担軽減が最大の目的であるということは改めて認識をいただきたいと思います。
 そうした目的に照らし合わせれば、今後議論がなされると思いますけれども、新薬創出等加算について少しお話をしたいと思います。
 累積額控除が2年ごとということになりますと、例えば特許が切れて後発品が収載される時期によっては、製品ごとに累積額の控除のタイミングに最大1年以上のタイムラグが生じます。
 薬価改定は、現在、毎年行われておりますので、公平性の観点からも最低限累積額控除は毎年行うべきではないかと考えます。
 仮に診療報酬改定のない年の算定ルールは、実勢価改定と連動するものを原則とする場合であっても、新薬創出等加算が実勢価改定を一定程度猶予するものであることから、実勢価改定に関連するルールとして累積額控除を適用するべきであると思っております。
 さらに、そもそもの趣旨が特許期間中の措置であることから、後発品の新規収載時の薬価が、新薬の累積額控除後の価格で決まることを踏まえれば、現在年2回ある後発品の薬価収載と同時に累積額控除するということを提案いたしますので、今後の議論で、ぜひ、またお話をしたいと思っております。
 このほかに、令和5年の改定では該当品目がございませんでしたが、既収載品の外国平均価格調整がルールとして追加されたことを踏まえれば、健保連としては、ほかの算定ルールについても、原則として全て適用することを検討すべきと考えております。
 最後に論点の3つ目でございますが、高額医療品、感染症治療薬に対する対応については、本承認取得に向けた申請がなされたということでございますので、特例的な対応であることも踏まえれば、実際の市場規模や有効性については、データを示していただいた上で丁寧に検討することが必要だということを主張いたします。
 私からは以上になります。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員
 ありがとうございます。
 私のほうからも、40ページの論点につきまして、意見を述べさせていただきます。
 前回の本部会でも指摘しましたとおり、近年の不安定供給問題であるとか、ドラッグラグ・ロスを踏まえれば、調整幅の問題について議論する際に、特に後発医薬品業界の産業構造など、根本的な課題へのアプローチ方策をどのようにするのかという点を整理した上で、議論を進める必要があると考えております。
 関係会議での検討状況であるとか、関連データを踏まえるとの方針につきましては賛成でございます。
 また、2点目の診療報酬改定がない年の薬価改定につきましては、そうした根本的な議論を行う中で、課題や改善策が見えてくると考えておりますので、この中医協におきまして議論をすべきであると考えております。
 次に、高額医薬品につきましても、レカネマブの議論を控える中、実際に具体的なデータや、ゾコーバ錠の算定状況等を踏まえながら議論を行うべきと考えるため、この秋以降の新薬の課題の際に、議論をすることで異論はございません。
 以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。では、お願いいたします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長
 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
 先ほど、松本委員のほうからスケジュールの関係でお尋ねをいただきましたので、その関係を少し御説明させていただきます。
 まず、松本委員、安藤委員からも御指摘がございましたとおり、私ども6月に医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の報告書をまとめてございます。
 本日資料としてお示しをしました流通の問題だけではなくて、安定供給の確保、創薬力の強化、ドラッグ・ラグ/ロスの解消、こうした様々な論点について議論を整理し、今度はそれを、それぞれの個別の検討の場、後発医薬品産業のあるべき姿ですとか、薬事規制ですとか、そして今日の論点になっている流通につきましては、流改懇のほうで御議論をいただいている、そうした状況でございます。
 それぞれのところで個別に御検討いただいてございますが、一方で、今日の御議論にもあったとおり、それぞれが有機的に連関している問題でございますので、私どもとして、そうしたものを連動して検討を進めていきたいと考えてございます。
 流改懇におきまして、この有識者検討会の報告書の御指摘を受けまして、配送コスト等の地域差が市場実勢価に与える影響、こうしたものについて、データに基づいて議論すべきということで、6月26日から議論を開始してございます。
 検討に必要なデータは、一部のデータは今年度の厚労科研で検討しているところでございますが、そのほかのデータも含めて、まさに議論の一端を今日御紹介させていただいたとおり、どういうデータが必要か、どのようにそれを取ることができるのか、そうしたことも含めて議論を開始したところでございますので、一定の時間がかかることには御了解をいただきたいと思ってございます。
 いずれにいたしましても、この流改懇で議論するものの中には、流通改善ガイドラインの改訂という形を取るもの、あるいはそこでの議論を踏まえて、さらに中医協で御議論いただくもの、様々なものがあろうかと思います。私どもとして、今、具体的なスケジュールをお示しできる段階ではございませんが、引き続き、そうした整理をしながら検討を進め、また中医協にも御報告させていただきたいと考えてございます。
 以上です。
○安川部会長
 あと、事務局はよろしいですか。
 今、事務局から補足の意見もございましたが、よろしいでしょうか。追加の御質問、御意見等はございませんか。
 ほかに御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりといたします。今後、いろいろ御提案いただきましたように、事務局において、いただいた御意見を踏まえ、御対応いただきますようにお願いをいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
                  
                                   

<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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