このページではJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にしてください。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第206回議事録(2023年8月2日)

 
 

2023年8月2日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第206回議事録

○日時

令和5年8月2日(水)費用対効果評価専門部会終了後~

○場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア8F

○出席者

安川文朗部会長 小塩隆士委員 本田文子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員
石牟禮武志委員 村井泰介専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○令和6年度薬価改定について
 

○議事

○安川部会長
 おはようございます。ただいまより、第206回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 費用対効果評価専門部会と同様、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告いたします。
 本日は笠木委員、赤名専門委員が御欠席です。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は「令和6年度薬価改定について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 資料薬-1を御覧ください。今回は後発品・長期収載品でございます。
 2ページ目は薬価算定ルールの全体のイメージですが、本日御議論いただくのは後発品・長期収載品、安定供給の確保に関するものです。
 3ページ目は検討スケジュールでございます。
 4ページ目は後発品・長期収載品に係る検討事項について示したものであり、順に御説明いたします。
 まず5ページ目、最初に「1.後発品の薬価」でございます。
 6ページ目は新規後発品の薬価算定に関する現行ルールでございます。現在は先発品の薬価の0.5掛けとなっており、内用薬で銘柄数が10を超える場合は0.4掛けとなります。バイオ後続品は0.7掛けでございます。
 7ページ目は、後発品の収載時の薬価算定ルールの変遷でございます。
 8ページ目が平成26年度改定、9ページ目が平成28年度改定における当時の中医協の議論でございますが、新規収載された後発品の市場実勢価格が直後の薬価調査で大幅に下落していたことから、新規収載時の価格を引き下げるということになったものでございます。
 10ページ目でございます。後発品の価格は先発品の価格が基になりますけれども、先発品が新薬創出等加算の対象品目になった場合には、加算期間の終了後にそれまでの累積加算額を控除した後の価格を基に薬価算定されます。現在は薬価改定の頻度が多くなっており、中間年も薬価改定の対象になった場合であれば、その分、控除するときに価格がより引き下がるケースも出てくるという状況でございます。
 11ページ目でございます。次に、後発品の価格帯でございます。後発品の価格は、平成14年度改定では先発品の2割を下回るものを一般名収載としていましたが、その後、後発の銘柄数が多いことから、平成24年度改定から価格帯が集約され、平成26年度には3価格帯となり、現在は収載から12年を経過したものは原則1価格帯に集約することになっております。
 12ページ目は、価格帯が集約されることになった背景でございます。平成24年度の改定の議論において、当時、新規後発品が収載されるときの品目数が10以上、20以上になるものがかなり多くありました。
 13ページ目にありますけれども、品目ごとに価格が異なると、同じ成分規格の後発品なのに価格が多過ぎるという指摘がございまして、平成24年度改定では3%刻みで集約するということになりました。
 14ページ目は平成26年度改定の議論ですが、それでも価格帯が多い、ばらつきがあるとの指摘があり、さらに集約され、3価格帯になったというものでございます。
 15ページ目は現行制度でございます。
 16ページ目が令和4年度、5年度の改定後の価格帯の状況です。中間年改定では改定対象になるものとならないものがあるので、結果として価格帯が増えており、現在は最大で5価格帯となっております。
 17ページ目は、最近の新規後発品の収載品目数でございます。平成23年までの状況と比較していますが、直近2年以内では、10を超えるものも一定程度ありますが、15を超えるようなものはない状況となっております。なお、これらの資料は新規収載時の品目数ですので、新規収載から一定期間後に収載される後発品もあり、実際の品目数はもう少し多くなるものもあります。
 18ページ目は業界団体からの要望でございますが、価格帯が集約されると低い価格に引っ張られるので、個別銘柄ごとに価格を反映してほしいなどの要望が出ているという状況でございます。
 次に19ページ目、「2.長期収載品に係る薬価改定ルール」でございます。
 20ページ目は薬価制度改革における長期収載品の考え方の経緯でございます。当初、先発品と後発品の価格差の在り方といったものがいろいろ議論されており、平成14年度の改定では先発品の価格が特許期間終了後もあまり下がっていなかったことから、特例的な価格引下げルールとして、いわゆるZが導入されました。
 また、後発品の使用促進を総合的に進めるようになった平成20年度以降は、薬価制度の基本的考え方の中で、後発品の置換えが着実に進むような薬価制度とするということが明記されるようになり、平成26年度改定では、後発品の置換え率に応じた特例的な薬価引下げルール、いわゆるZ2が導入されました。
 さらに平成28年の薬価制度の抜本改革に向けた基本方針では、「我が国の製薬産業について、長期収載品に依存するモデルから、より高い創薬力を持つ産業構造に転換する」ということが盛り込まれまして、平成30年度改定ではその趣旨を踏まえて、現行制度のいわゆるG1/G2ルールが導入されたというものでございます。
 21ページ目は関連する骨子等の記載、22ページ目は価格引下げルールの経緯でございます。引下げ率や要件は、改定の都度、厳しく設定されているというものでございます。
 23ページ目から25ページ目は、平成14年度、26年度、30年度の改定当時の中医協で議論された資料を示しているものでございます。引下げの対象等に関しては、当時の後発品の数量目標の割合を基に設定されているというものでございます。
 26ページ目が現行の長期収載品の改定ルールで、27ページ目が、同じような図でございますが、その具体的な考え方を示したものでございます。
 左側でございますが、後発品の収載後、最初の10年間は後発品への置換え期間となりまして、収載から5年が経過した後に置換えが進んでいないものは、置換え率に応じて価格を引き下げるというルールでございます。これがZ2です。
 10年が経過したら、後発品価格への引下げ期間となります。置換え率に応じて、置換えが進んでいるものはG1として、置換えが進んでいないものはG2として段階的に引下げを行って、また、ここで示している倍率より引き下がっているものはCとして、置換え率に応じた補完的な引下げが行われる仕組みになっております。なお、G1/G2ルールはまだ3回の改定しか経ていませんので、一番進んでいるものでもG1は1.5倍、G2は2.1倍となっているものでございます。
 このように長期収載品は後発品の置換え率と後発品との価格差を基に、通常の市場実勢価改定とは異なる改定ルールで価格が調整されているというものでございます。
 28ページ目は、G1/G2ルールで引下げが大きくなり過ぎると影響が出るので、係数を用いた緩和措置があるということを説明した資料でございます。
 29ページ目は後発品への置換え状況、つまり後発品の使用割合でございます。80%近くで推移しているという状況でございます。
 30ページ目は令和4年度改定における各区分の状況です。置換えが進んでいないものとしてZ2が適用されたものが一定数あり、G1/G2、Cは表のような状況でございます。
 31ページ目は平成30年度改定からの推移で、Z2の品目は減っていますが、G1は順次増えているという状況でございます。
 32ページ目は関係業界からの意見陳述の際の資料でございますが、医薬品のカテゴリに応じた薬価制度とするよう要望が出ており、新薬の期間を終えた後は後発品に置き換えて、長期収載品を撤退させるような方向性となる薬価制度の要望が出ているという状況でございます。
 33ページ目は、G1で後発品が増産されることで長期収載品が撤退できるルールがありますが、増産対応できる後発企業がいないとかいったことで、撤退したくても撤退できずに供給し続けるしかないという現状があるので、ルールを見直してほしいという趣旨の要望でございます。
 34ページ目からは「3.価格の下支え制度」でございます。
 35ページ目、基礎的医薬品が導入された平成28年度改定当時の資料でございます。最低薬価になる前の薬価を下支えする制度として設計されたものでございます。
 36ページ目は、導入以降、順次対象品目を広げてきた経緯でございます。
 37ページ目は、現行制度の説明。
 38ページ目は、令和4年度の改定で基礎的医薬品となった安定確保医薬品に関する説明資料でございます。カテゴリAのうち要件を満たすものは基礎的医薬品とされております。カテゴリB、Cも成分数は多いですが、このように区分されているという状況でございます。
 39ページ目は最低薬価でございます。剤形ごとに価格の下限値が設定されているというもので、日本薬局方収載品とそれ以外の品目で区別して設定されています。
 右下の囲みでは、最低薬価が設定されていない剤形があるという指摘があることを記載しております。
 40ページ目は、最低薬価で引用されている日本薬局方についての参考資料でございます。法律に基づいて定められている医薬品の規格基準書でございまして、明治時代に制定されて以降、改正を繰り返して充実させているものでございます。医薬品ごとに品質確保に必要な規格・基準を示して、最新の改正に向けて保健医療上重要な医薬品を優先して収載するという方針にしておるということでございまして、日本薬局方に収載されるものは、我が国において重要な医薬品と位置づけられているというものでございます。
 41ページ目は不採算品再算定ですが、薬価が著しく低額で製造販売が継続困難なものは、原価計算により薬価を引き上げるというルールでございます。成分規格が同一の類似品が全て手を挙げる必要があるというものでございます。
 42ページ目は前回、令和5年度改定のときでございますが、不採算品再算定を臨時・特例的に適用して、成分規格が同一の類似薬が全て手を挙げなくても再算定の対象にしたものでございます。
 43ページ目は、前回の改定の際、臨時・特例的な不採算品再算定の対象となった品目は、その趣旨を踏まえ、適正な価格で流通するように周知をしたものでございます。これは卸売販売業者への周知文書でございますが、製造販売業者である製薬企業側も販売時に配慮することが必要なので、製薬企業側にも周知しているものでございます。
 44ページ目からは業界団体の要望でございます。
 薬価を下支えする仕組みを充実させてほしい、基礎的医薬品の収載後25年といった要件の緩和をしてほしい、あるいは不採算品再算定は柔軟に適用してほしい、そういったことなどが要望されております。
 47ページ目は、現在も物価高騰などの影響を受け続けているので、薬価を引き上げてほしいといった要望でございます。
 48ページ目、こういった形で下支えの要望がある一方で、新薬のときにもお示ししましたが、今年6月に開催された流改懇という会議において、製薬企業が卸売販売業者に示す仕切価が今年4月にどうなったかという調査結果でございます。後発品の中には仕切価を低下させている品目も一定数存在することが示されております。
 また、49ページ目は適正価格での流通を依頼した不採算品再算定の品目についても、仕切価を上昇させた品目も一定程度ありますが、下げてしまっている品目もあるという状況でございます。
 次に、「4.安定供給が確保できる企業の考え方」でございます。
 51ページは医薬品の供給状況の最新状況でございます。限定出荷・供給停止は全体の23%、後発品では34%と、まだ状況は改善していないというものでございます。
 52ページ目は、令和5年度改定の議論の際に示した安定供給のための後発企業の取組でございます。
 53ページ目も同様で、後発品を多く有している企業は赤字品目も多く、最近の薬価改定5回で赤字品目が倍増しているという資料でございます。
 54ページ目は令和4年度の薬価調査の結果に基づいて、製造販売業者ごとにその品目の平均乖離率を集計して、全製造販売業者の中央値となる乖離率を100とした場合の指数を示したものでございます。乖離率は具体的な数値が出せないので指数で示しております。表にあるように500を超える企業もありますし、200以上が33社ございます。後発品も新薬もまとめて集計しているので単純な比較はできませんが、品目ごとの医薬品の価値とは別に、販売時の製薬企業の姿勢も一定程度影響しているのではないかという結果となっております。
 55ページ目は、骨太方針2023で安定供給確保や後発品の産業構造の見直しが指摘されている箇所でございます。
 56ページ目は、有識者検討会でも安定供給確保が様々指摘されているというものでございます。
 57ページ目は、後発医薬品の産業構造の在り方等を議論する検討の場が設置されましたので、その概要資料を添付しております。検討会の名称は「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」ということで、今週7月31日に第1回が開催されて、産業政策について幅広に議論するというものでございます。
 58ページ目は、検討会の中での論点や進め方を示しておりますが、安定供給等の企業情報の可視化なども議論されますので、そういった方針を踏まえて、安定供給が確保できる企業とはどういうものかとか、あるいはそれを踏まえた薬価制度をどのように考えるかといった議論が可能になるのでないかと考えております。
 薬価専門部会でも必要に応じてこの検討会の検討状況を報告しつつ、議論を深めていきたいと考えている状況でございます。
 最後、まとめでございますが、60ページ目に論点を示させていただいております。
 「現状」の項目はこれまでの説明内容ですので省略して、「論点」の箇所だけ述べさせていただきます。
 薬価の適正化と医薬品の安定供給確保の観点から、以下の点に関してどのように考えるか、ということで、矢羽根を3つ示しております。
 1つ目、後発品の収載時薬価及び収載後の価格帯集約の在り方について、どのように考えるか。
 2つ目、我が国の製薬産業について、長期収載品に依存するモデルから、より高い創薬力を持つ産業構造に転換する方針の中で、長期収載品から後発品への置換えを迅速に進める観点から、長期収載品の薬価の在り方について、どのように考えるか。
 3つ目、後発品等の安定供給に係る現状を踏まえ、企業における製造体制等の確保の必要性や、少量多品目生産といった構造的課題の解消の観点等から、価格の下支え制度や安定供給が確保できる企業の考え方を含め、後発品等の薬価の在り方についてどのように考えるか、でございます。
 長くなりましたが、説明は以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
 それでは、長島委員からお願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 それでは、60ページの論点3つについてコメントいたします。
 1つ目の矢羽根です。
 まず、17ページの最近の新規後発品収載実績を見ますと、医療現場の意見を踏まえて品目数が適正化されてきたのは、これまでの薬価制度改革によるものであり、国の取組を評価したいと思います。
 しかし、いまだに先発品に対して10品目以上の後発品が一定数存在しており、まだ改善の余地があると考えます。収載時薬価については、さらに適切な価格づけが考えられるのではないかと思います。
 そして、3つ目の論点にも共通することですが、後発品の安定供給を図るためには、どのような品目であったり、どのような企業であれば評価に値するのかということについて、データに基づきながら議論することが可能なのか、そして、それを要件化することができるのかについて、まずは事務局で検討していただきたいと思います。
 2つ目の矢羽根です。20ページの長期収載品に関する考え方の経緯に記されておりますが、平成28年の薬価制度改革に向けた基本方針にある、より高い創薬力を持つ産業構造に転換するというメッセージは、イノベーション促進を意識したものであります。後発品は、国が先発品と品質・有効性・安全性が同等であると認めているはずであり、これらの点から、後発品のある長期収載品は、後発品に道を譲ることが必要であることを改めて申し上げます。特に、オーソライズド・ジェネリックと称した後発品がある場合は、先発企業は適切な判断をするべきではないでしょうか。
 また、2年に1度の薬価改定時において、長期収載品の引下げをこれまで以上に拡大することで、産業構造の転換を加速していくことも考えられます。
 一方で、現在、後発品の安定供給が確保されていないために、品目によっては長期収載品に頼らざるを得ない現状があります。そこで、どの長期収載品が安定供給確保という観点から医療に貢献しているのかをどのように判断するのか、まずは事務局で検討をお願いいたします。
 また、長期収載品は、平成30年度改定で導入されたG1/G2ルールが当初想定した効果を発揮しているのか、データがあれば提示していただきたいと思います。
 3つ目の矢羽根です。安定供給問題については、薬事承認から逸脱した製造工程の問題だけでなく、セファゾリンのように中国での原料工場のトラブルに端を発した供給不安もありました。その後は原料のダブルソース化など、後発医薬品企業も対応に取り組んでいるとの報告が中医協でもありましたし、今は業界再編の過渡期であると認識しております。この混乱期を企業だけでなく医療機関においても適切な手法に努め、安定供給に寄与していくべく、取組に協力していきたいと考えております。
 なお、後発品専業メーカーは、そもそも多品目を扱う業態です。その業態が成り立つような国の主導が必要であると考えます。最低薬価や不採算品再算定など、薬価におけるセーフティーネットが既に敷かれておりますので、例えば承認内容からの逸脱に関して、製造工程を変更した際の行政手続が適切にできない要因も検討する必要がありますし、薬機法に基づく行政対応の見直しが今は必要なのではないでしょうか。
 54ページに製造販売業者ごとの平均乖離率の表がありますが、これを見ると乖離率の大きい企業があることが見てとれます。乖離率が大きければその分その品目の薬価は引き下げられますが、企業はそのルールを知った上で引き下げているはずと思います。本日提示された資料だけでは、現行の制度のほかに何かするということは考えにくいように思います。
 なお、不採算品再算定を受けた品目について、過度な値引きの対象になっていないかどうか、事務局におかれましては、実態が分かるような資料の提出をお願いいたします。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 論点に沿って幾つかコメントさせていただきます。
 まず、論点1つ目の後発医薬品の価格帯集約の在り方についてですが、価格帯を集約させていったのは多くの企業が参入したこと、そのため多品目となり、その影響を国民へどう説明するのかなどの理由があって価格帯を集約したと理解をしています。そのため、価格帯を増やす方向の見直しは慎重に検討すべきと考えます。
 業界からは、市場実勢価格が適切に個別銘柄ごとに反映される制度が提案されており、価格帯集約をやめるという提案とも受け取れますが、価格帯を極力増やさないという前提でどのようなことが考えられるのか、業界からもう少し具体的な提案をいただけると検討が進めやすいと考えます。
 次に、論点2つ目の長期収載品についてですが、33コマ目の日薬連の資料で、長期収載品の見直し案として、医療現場からの要望等により、撤退したくても徹底できない、企業都合で撤退を希望しない場合の取扱いが示されていますが、医療現場の要望等は非常に重要なもので、尊重すべきものと考えます。企業都合で撤退を希望しないものについては、その理由については丁寧な説明が必要であると考えます。
 一方で、薬価収載品目が年々増加しており、品目数は約2万品目となっています。長年使用された医薬品の中で、新薬の開発や治療方針の変化等でほんの少量のみ生産されている医薬品もあると思います。そのような医薬品の中で、医療現場の判断で代替できる製品があるものは生産終了とすることで、製薬企業にとっての負担軽減ももちろんですけれども、空いた生産ラインを使用して他の薬を製造すること、また緊急時のためのライン確保ができるのではないかと考えます。医療現場や関係団体、企業とも協力しつつ、後発品の品目数などの在り方も含め、何かしらの対応ができないか検討していくことも一つと考えます。
 最後に、論点3つ目の薬価の下支え制度や安定供給の確保ができている企業の考え方についてですが、薬価の下支え制度については、下支えが必要なものなどについてはしっかりと支えていくべきと考えますが、全てを対象とすることは現実的ではないため、メリハリをつけて対応していくことは必要と考えます。また、安定確保医薬品は、このような区分を設けた趣旨を踏まえると薬価の下支えを進めていくべきと考えますが、カテゴリーBとCについては成分数も多いことから、品目の精査などもう少し整理が必要と考えます。
 その上で、基礎的医薬品との関係性の整理や局方品も保健医療上重要な医薬品が収載されているので、それを含めた整理も併せて必要と考えます。担当部局におかれましては、この辺りの御検討をお願いできればと思います。
 また、そもそもの問題として、仕切価を下げた品目は実勢価が下がるのは当然で、そのような品目まで薬価を下支えするのは本末転倒だと思いますし、総価取引をなくすなどの流通改善を一層進めていくことは大前提だと考えます。
 安定供給が確保できる企業についてですが、現状の供給問題で現場は非常に疲弊しており、企業の安定供給の確保の取組は非常に重要なもので、具体的な取組が進むよう、このような考え方の整理は最優先で検討していくべきものと考えます。安定供給の確保ができる企業については、どのような企業が該当するのか、業界からの具体的な提案とともに、57コマ目の新たな検討会で取りまとめられる考え方などを踏まえて、薬価における評価の必要性について検討すべきと考えます。
 さきにも述べましたが、薬価の下支え制度においてメリハリをつける際に、安定供給の確保ができる企業が供給している医薬品を優先的に評価していくことも一つの視点と考えます。
 また、最低薬価が設定されていない剤形については、医薬品としての安定的な供給を支えるという点からも、最低薬価を設定することも一つの視点と考えますが、具体的な価格の妥当性などの説明も必要と考えます。業界が希望しているのであれば、この点の説明をお願いしたいと思います。
 これまで長い間デフレが続いてきた中で、現在の薬価改定が繰り返し行われてきましたが、現在は物価が高騰しています。現在の安定供給の状況を見ていると、市場実勢価に応じた改定とはいえ、価格が引き下がっていくことは限界があるように感じます。
 そうした中、現在の最低薬価が医薬品として責任を持って供給できる価格なのか、製造原価の変動状況等のデータに基づき、今後検討していく必要があると考えます。その際、基礎的医薬品とは異なり、最低薬価については単に剤形だけの取扱いであり、医療上の必要性や乖離率が適用条件となっておりませんので、どのような形で薬価の下支えを進めることが適切なのかについても慎重に検討すべきと考えます。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 歯科の立場から1点要望させていただきたいと思います。
 資料の37ページ、基礎的医薬品の安定供給に関してでございますが、歯科の麻酔薬剤というものが問題になってございます。安定供給の問題、カートリッジ等の安定供給の不具合ということも関与しているかも分かりませんが、そもそも歯科業界に参入する企業が少なく、麻酔が安定供給できないということも問題視されております。今後、価格の維持、それから基礎的医薬品の仕組み、こういったものの中で引き続き検討いただきたいと思っております。
 歯科の麻酔薬剤の薬剤問題というものは、考え方は変わるかも分かりませんが、薬価偏在の一種と認識しておりまして、実態を把握の上、課題解決に向けてしっかりと対応いただきたいと思ってございます。
 以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、佐保委員からお願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 良質な後発医薬品の普及促進のため、情報提供、品質管理、トレーサビリティーの確保、安定的な供給体制などを含めた評価システムを確立することが重要です。
 57ページ、58ページに記載されていますように、後発医薬品の供給不安に係る課題について検討会の議論がスタートしております。供給不安問題を全て薬価で解決することは難しいことから、検討会の論点で挙げられているサプライチェーン強化といったことも含め、トータルでの対策が必要と考えます。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、先に手が挙がりました眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 私からは長期収載品についてコメントさせていただきたいと思います。
 ページ33には業界の意見要望が掲載されておりますけれども、その中で、業界といたしましても、長期収載品に依存しないビジネスモデルへ転換すると明確に記載をされております。その一方で、現行の撤退ルールの課題も指摘されているところでございます。
 後発品への置換えが確実に進む体制をつくっていくためには、今後議論をされます後発品の安定供給に関する検討会の議論も踏まえ、後発品の産業構造の見直しに向けた施策と併せて、薬価制度上の課題を明確にして、総合的な政策を導入していくことが必要なのだろうと思います。
 私からは以上でございます。
○安川部会長
 続いて、松本委員。
○松本委員
 ありがとうございます。
 60ページの論点に沿ってコメントしたいと思いますが、その前に、今回は詳細な資料が示されておりませんけれども、6ページにございますバイオ後続品については、2029年度末までに数量ベースで80%の成分を60%以上という目標も踏まえ、次回以降、品目や薬価差などが分かるデータを基に検討すべきと考えております。また、併せて記載がございますバイオAGについても、薬価の在り方について議論が必要だと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、60ページの論点に戻りたいと思います。
 まず、後発品についてですが、17ページを拝見いたしますと、直近2年間の新規後発品の収載品目数が減少しているということが示されております。これで十分なのかどうか、あるいはこの減少をどう捉えるのか、産業構造の在り方も含めてしっかり議論すべきだろうと考えております。
 次に、長期収載品についてですが、資料の31ページを拝見いたしますと、G1品目が増加しており、Z2の期間に置換えが進んでいることが伺えますが、Cの品目そのものは横ばいで推移をしており、Z2の期間に長期収載の価格がもう少し下がり、Cの品目が増えてもいいように感じております。
 また、32ページには業界ヒアリングで製薬団体から示されたイメージ図がございますけれども、特許が切れたら速やかに後発品に市場を譲るという考え方で新薬創出等加算の累積額控除のタイミングを考えるべきであり、置換え期間を経た後には、なるべく早期に長期収載品と後発品の価格差がなくなるように、G1/G2ルールの運用も見直すべきだということを指摘させていただきたいと思います。
 続きまして、価格の下支え制度についてですが、資料の49ページを見ますと、前回の薬価改定で急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するために実施いたしました不採算品再算定の品目について、仕切価格が同水準になっているものが最も多く、低下させた品目もあることが分かっております。この2つで全体の約4分の3を占めているところでございます。
 最終的には薬価調査の結果を踏まえて判断したのだと思いますが、このデータを見る限りでは、前回の薬価改定で行ったことの結果がうまく反映されずに、残念な結果になっていると言わざるを得ないと感じております。
 続きまして、55ページにございます骨太の方針の関係でございますけれども、安定供給を推進するとされておりますので、今後、中医協においてもこうしたテーマについて議論をすることになろうかと思いますが、その大前提にありますのは、そこにも記載されております産業構造の見直しということについての道筋を具体的に示していただくことが最低限必要であるということは改めて強調したいと思います。
 一方、54ページに、先ほど長島委員からも御発言がありましたが、製造販売業者ごとの平均乖離率の指数が示されておりますけれども、かなりの値引きをしている業者があり、正直驚いたというのが素直な感想でございます。こうした状況については詳細に分析する必要があると考えます。
 また、骨太の方針には長期収載品等の自己負担の在り方の見直しについても明記されております。後発品の使用が当たり前になり、負担の在り方について議論できる状況にもなってきていると感じております。もちろん患者の事情には配慮する必要がございますが、医療保険財政の持続可能性の観点からも、薬剤負担の在り方にメリハリを利かせていくことは極めて重要であり、社会保障審議会の医療保険部会において、給付と負担の在り方について制度的な議論を進めていくべきだと考えております。
 私からは以上になります。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 安藤委員からも手が挙がっております。では、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
 ありがとうございます。
 私のほうからは、ただいま松本委員から長期収載品等の自己負担の在り方について、医療保険部会の場で議論をお願いしたいとの御提案がございました。協会といたしましても、医薬品の安定供給の確保や企業の創薬力の強化に向けて、骨太の方針にも掲げられた長期収載品の自己負担の在り方について、制度的な議論が必要不可欠であると考えております。厚生労働省におかれましては、ぜひ前向きに御検討いただければ幸いでございます。
 次に、後発品についてですが、全都道府県において数量ベース80%以上という目標がある程度の都道府県で達成されつつあり、金額ベースの新たな目標の設定も今後検討されることになっているという状況の変化も踏まえれば、診療報酬上の加算・減算の在り方を検討していく時期に来ているのではと考えております。
 例えば協会ではジェネリック軽減額通知サービスという形で、加入者が服用している先発医薬品をジェネリック医薬品に切り替えた場合の自己負担額の軽減可能額をお知らせする取組を毎年実施しております。例年、年2回通知を行ってきたところ、2021年度は後発医薬品の安定供給の問題から年1回のみの通知となりましたが、それでも通知を送付した加入者のうち約3人に1人がジェネリック医薬品に切り替え、年額約160億円の軽減効果がございました。
 一方で、2021年度の協会けんぽ全体の後発医薬品の各体制加算の加算実績は、合計で約374億円であり、軽減額通知による適正化額の2倍以上の額が加算されているという状況でございます。体制加算につきましては、その導入時など後発医薬品が普及していない状況で使用促進を図る上では有用な仕組みであったと考えております。
 しかし、現状既にジェネリック医薬品の使用割合がある程度の水準に達し、患者側にも後発医薬品を選ぶという習慣がある程度浸透していると考えられる状況であることを踏まえますと、後発医薬品の体制加算につきましては、段階的に廃止をしていくことを検討すべきであると考えております。
 また、こうした例からも明らかなように、ジェネリック医薬品の使用割合が高まる中で、保険者のみによる取組は限界に達しつつあります。本資料にもありますとおり、後発医薬品産業のあるべき姿の明確化であるとか、安定供給等の企業情報の可視化を通じた後発医薬品に対する信頼回復、地方厚生局や都道府県の薬務課なども巻き込んだ関係者が連携する形での後発医薬品使用の働きかけなど、後発医薬品のさらなる推進には国のリーダーシップがこれまで以上に求められていると考えております。
 事務局におかれましては、関係部局とも連携の上、業界の構造上の課題も含めた制度のトータルデザインを描いていただくよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 今、いろいろ出ておりますが、ほかに追加で御意見、御質問等ございますでしょうか。
 今回提示されました課題と論点等について、皆様満遍なく御意見をいただきました。安定供給の問題、企業の行動の可視化といった幾つか業界側の問題についても御意見等がございました。もし専門委員のほうからも御意見等がございましたら頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。
 石牟禮専門委員、お願いいたします。
○石牟禮専門委員
 ありがとうございます。専門委員の石牟禮でございます。
 手短に大きく2点コメントさせていただきたいと存じます。
 後発品の安定供給に関してでございます。論点で言いますと1つ目のポツになりますけれども、後発品の価格帯集約につきまして、安定供給の継続を志向する品目が他の品目の影響を受けて引き下げられる可能性があるという仕組みでございます。以前の生活習慣病薬のように一度に多数の品目が収載される成分は現状限られてきていると認識しておりまして、そういった状況も鑑みまして、一部、銘柄別収載を導入するという方法も一考していただければと存じ上げます。
 続きまして、2点目は薬価の下支え、論点で言いますと3つ目に関する部分でございます。ここは後発品等の安定供給という形で記載されておりますけれども、後発品に限らずなかなか新薬が出てこない領域、業界から提示いたしました32ページの図で申しますと、赤の新薬の部分がなかなか出てこない領域というのもございます。また、特殊な生産設備が必要な製剤といったものにつきましては、長期品・後発品に限らず成分全体の安定供給を担保しているという状況もございます。
 こうした現在の収載品目を継続供給することが求められている品目につきましては、確実に薬価のほうで下支えしていただく仕組みについて、引き続き御検討いただきたいと考えております。
 35ページに基礎的医薬品の位置づけについて記載されています。陳述でも指摘いたしましたように、収載から25年未満でも不採算品再算定が適用された品目が増えているという状況もございますので、この不採算品再算定適用品目は、収載からの年数にかかわらず基礎的医薬品の対象とするということも御検討に値するのではないかと考えております。
 また、不採算品再算定につきましては、先ほどの仕切価のご指摘、これは企業が真摯に調査に協力して回答した結果と認識しておりますので、こういった事実があるのだと私も理解をしたところでございますけれども、一方で、仕切価を引き上げたりしている品目もございます。
 現行の要件では、不採算品再算定の適用のハードルが高いという課題もございますので、医療上必要性の高い品目につきましては、柔軟に不採算品再算定が適用される仕組みについても引き続き御検討いただければと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 村井専門委員からもお手が挙がっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○村井専門委員
 ありがとうございます。
 私からは、48ページ、49ページのスライドについて幾つかコメントさせていただきたいと思います。
 後発医薬品と申しましても、同種同効品が多く非常に競合の多い品目から、安定確保医薬品あるいは不採算品目、あるいは最近の供給制限のかかっている品目など、その実相は多様でございます。したがいまして、薬価改定後の仕切価率の対応については、メーカーの設定する仕切価率がある程度このようにばらつくことは、私はむしろ長期収載品あるいは後発品の実相を表しているものである、自然なものであると受け取っております。
 特に仕切価率が下がっている商品については、厚労省が設定した流通ガイドラインで、売差マイナスの改善、そのために仕切価率を下げるようにずっとうたわれておりますので、少ないメーカーさんではありますけれども、一部のメーカーさんがそのガイドラインにのっとって、それを下げられたケースもあるのではないかと考えております。
 49ページの不採算品再算定の医薬品の先ほど松本委員から御指摘のあったところでございますが、この資料につきましては、私ども自社のデータではございますが、今回、いわゆる不採算品再算定で薬価の上がりました商品のうち、仕切価が実際に下がったという品目は1品目しか見つけることができませんでした。しかも、1円下がったというだけですので、実際はほぼ据え置きという状態だったと思います。
 したがいまして、事務局のほうには、この資料そのものがどのような出典であったのか御調査いただければ幸いだと思います。
 私のほうからは以上です。
○安川部会長
 専門委員の皆様、ありがとうございました。
 今、専門委員の皆様からも御見解等をいただきましたが、それも踏まえて、もし追加で御質問、御意見等がございましたら。よろしいでしょうか。
 今、幾つかデータの出典等も含めて御質問、御見解等がありましたが、事務局のほうからもしコメントがございましたらお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 各委員から様々な御意見を幅広にいただいておりますので、次回以降の議論に資するように、いろいろ準備を進めたいと思います。
 ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見等もございませんので、本件に係る質疑はこの辺りとし、今後、事務局において、本日いただきました御意見を踏まえて、御対応のほう、よろしくお願いをいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡をいたします。
 それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。
 どうも長時間ありがとうございました。

                  
                                   

<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第206回議事録(2023年8月2日)

ページの先頭へ戻る