ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第204回議事録(2023年7月12日)
2023年7月12日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第204回議事録
○日時
令和5年7月12日(水)費用対効果評価専門部会終了後~
○場所
日比谷国際ビル コンファレンススクエア8F
○出席者
安川文朗部会長 笠木映里部会長代理 小塩隆士委員 本田文子委員 |
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員 |
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員 |
赤名正臣専門委員 石牟禮武志委員 村井泰介専門委員 |
<事務局> |
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長 |
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他 |
○議題
○令和6年度薬価改定について
○議事
○安川部会長
ただいまより、第204回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
費用対効果評価専門部会と同様、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について報告いたします。
本日は、全員が御出席でございます。
次に、厚生労働省におきまして異動がございましたので、事務局より紹介をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
医療課長でございます。
それでは、御紹介させていただきます。7月に事務局に異動がございました。
保険局では、池上総務課長でございます。
続きまして、木下医療技術評価推進室長でございます。
以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「令和6年度薬価改定について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
薬-1を御覧ください。
今回から各論の議論を行いますが、最初に新薬を議題といたします。
2ページ目を御覧ください。
薬価算定のルールの全体のイメージを示しておりますけれども、本日御議論いただくのは、イノベーションの評価に関してでございます。
3ページ目を御覧ください。
6月21日の本部会で説明した今後のスケジュールを、具体的に示したものでございます。
1巡目として課題整理のために各論の議論を行い、その後、薬価算定組織からの意見、そして2巡目の議論を行う予定でございます。
4ページ目を御覧ください。
新薬に係る検討事項としては、イノベーションの評価に関連する内容と、国民皆保険の持続性に関する事項がございますけれども、薬価改定時の加算や国民皆保険の持続性に関する内容は、次回議論を行うこととしております。
5ページ目でございます。
1つ目の検討事項、新薬の収載時における評価でございます。
6ページ目を御覧ください。
新医薬品の薬価算定プロセスの概要でございます。現状としては、薬事承認から原則60日以内、遅くとも90日以内に薬価収載することとなっております。
このような迅速な対応ができるのは、主として薬事承認の審査過程で評価されている臨床試験成績を基に判断しているからでございます。
7ページ目は、新薬の薬価算定方式の全体像、8ページ目は、類似薬効比較方式(Ⅰ)の説明資料、9ページ目は、補正加算の一覧でございます。
10ページ目でございますが、これまでの補正加算の変遷を示しております。
平成12年度に薬価算定の基準が定められて以降、加算の充実などが行われておりますけれども、評価の基本的なポイントに変更はございません。
11ページ目は、類似薬効比較方式(Ⅱ)、12ページ目は、原価計算方式の説明でございます。
次に、13ページ目を御覧ください。
有用性加算の加算率につきましては、平成26年度から定量的に算出しており、新薬の収載時には、この評価が何ポイントであるかということを、中医協の資料でも示しているところでございます。
定量化の課題を下側に示しております。まず、定量化の評価体系を検討した際に、過去の評価実績と整合するようにポイント制をつくっておりますので、当時評価されていなかった有用性に関する観点は、評価体系に含まれていない状況でございます。
次に加算自体は、画期性加算から有用性加算(Ⅱ)まで、5%から120%まで付与することが可能でございますが、ポイント制の積み上げ方もあり、加算率に偏りがあるのが現状でございます。
14ページ目は、加算率の定量化の具体的な方法、15ページ目、16ページ目は、実際に評価する項目の一覧でございます。
大きくは①から④までありまして、それぞれ評価の対象となる事項が列挙されている状況でございます。
17ページ目、薬価制度の抜本改革が行われた平成30年度以降に、新医薬品として収載された成分の有用性系加算の適用状況です。
全体の38%である115成分に加算が適用されている状況で、適用された加算率はグラフのとおりであり、5%や10%の数は多いですけれども、例えば、有用性加算(Ⅱ)の中でも低いほうに偏っている状況でございます。
18ページ目から20ページ目は、先ほどの品目のうち20%以上の有用性系加算が適用された品目の一覧を、参考としてつけております。
次に、21ページ目からでございますが、こちらから24ページ目までは、前回の関係業界からの意見聴取における要望事項の中で、有用性系加算の評価の充実に関するものを挙げております。
どの要望につきましても、もう少し具体的な提案や事例などを整理しないと、議論が深まらないので、関係業界には、今後必要な資料を提出いただくよう、お願いしておりますが、前回の要望を参考として示したものでございます。
次に、25ページ目から2つ目の検討事項、新薬創出・適応外薬解消等促進加算、いわゆる新創加算でございます。
26ページ目を御覧ください。
新創加算の経緯ですけれども、平成22年度の薬価制度改革で試行的に導入され、平成30年度の薬価制度改革の抜本改革で見直しが行われたものでございます。
次に27ページ目でございます。
まず、制定当初ですけれども、22年度の薬価制度改革の骨子において、基本的な考え方として、特許期間中の革新的な新薬の適切な評価に重点を置き、特許が切れた新薬については、後発医薬品への置き換えが着実に進むような薬価制度としていく、ということが示されております。
これを受け、当時課題であった未承認薬・適応外薬の解消の促進や、革新的な新薬の創出を加速させるために、新創加算が導入されたものでございます。
28ページ目、制定から数年後の薬価専門部会において、専門委員から提出された新創加算のコンセプトの資料でございます。
特許期間中に研究開発費用を回収し、特許期間後は価格を引き下げるとともに、後発医薬品への移行を速やかにさせるというものでございます。
29ページ目でございますが、30年度改定で見直しが行われましたが、その際、品目に関しては、当初、平均乖離率を下回っている品目を対象にしておりましたが、革新性の低い品目も加算対象となっている等の課題があり、見直しの中で、医薬品そのものの革新性、有用性に着目して判断することとしたものでございます。
30ページ目を御覧ください。
こちらは、企業要件の見直しです。見直しによって革新的な新薬の創出や、ドラッグ・ラグ解消の実績や取組、あるいは世界に先駆けた新薬の開発の達成度に応じて、加算額を段階的に設定するとしたものでございます。
31ページ目は、現行制度の全体概要のイメージ図でございます。
32ページ目は、品目要件、33ページ目は、企業指標の具体的な内容でございます。
34ページ目を御覧ください。
新創加算の計算方法ですけれども、加算額は制定当初から計算式はほぼ変わっておりませんが、品目の乖離率等によって薬価が維持されない仕組みとなっておりまして、右側の上にあるように、0.8という計算式の係数もございますので、全体の平均乖離率より一定程度小さくすることが、薬価の維持のためには必要となっております。
下の表にあるように、例えば、令和5年度改定のように平均乖離率が7.0%の場合は、企業区分Ⅰの企業であっても、5.8%以下の品目であれば薬価は維持されますが、それより大きい乖離率であれば薬価は下がると。
区分ⅡとⅢの場合は、係数がかかりますので、もともと薬価は完全には維持されない状況でございます。
次に、35ページ目、新創加算の区分ごとの品目数の推移ですけれども、①の希少疾病用医薬品や、③の加算適用品が多くなっている状況でございます。
36ページ目を御覧ください。
新薬の中での新創加算の対象品目ですが、抜本改革の前後でみると、改革前は7割の品目が対象でしたが、改革後は5割強の品目が対象になっている状況でございます。
37ページ目を御覧ください。
直近2年間に収載された新薬の新創加算の適用状況でございます。全体の約半数は新創加算の適用を受けておりますけれども、その大半は、有用性系加算が適用されているものでございます。
表の下に18品目、15成分と書いていますが、こちらが有用性系加算以外の理由で新創加算の対象になっているものでございます。
38ページ目以降ですが、先ほどの2年間の中で有用性の加算が適用されていない品目として、最近の品目の一覧を示しているものでございます。
その中で、38ページは内用薬でございますが、真ん中にオレンジ色の囲みがありますけれども、これは、オーファン指定により新創加算の対象になった品目でございます。
次の39ページ目は注射薬ですけれども、この中で、例えば、上から2つ目の品目は、小児加算が適用された品目ですけれども、こちらは、新創加算の品目要件には該当しないので、加算対象外となっております。
その下にある囲みの品目は、オーファン指定により、新創加算の対象になっている品目です。
40ページ目においても、オーファン指定や、新創加算対象品目の剤形追加により対象になった品目があるというものでございます。
次に41ページ目、こちらは外用剤の一覧でございますけれども、こちらの囲みのあるものは、小児加算が適用されている品目で、新創加算の対象にはなっていない品目があるという状況でございます。
42ページ目から44ページ目までは、業界からの特許期間中の薬価維持に関連する要望でございますが、こちらも議論を深めていくためには、具体的な分析等のデータが必要になりますので、業界には準備をしていただくよう伝えているところでございます。
次に45ページ目、これは、今年の6月に開催された流改懇という流通関係の会議の資料でございます。
業界要望では、先ほどのように薬価維持の要望がある一方で、今年の4月の調査においては、薬価改定による仕切価率の変化について、新創加算の対象品目の中でも、低下している品目も少ないながら一定数あるということを示している資料でございます。
次に46ページ目から、最後の検討事項ですけれども「3.ドラッグ・ラグ/ロスの解消、日本への早期導入に関する評価」でございます。
このテーマについては、先ほどの1と2の両方に関係する内容なので、独立して項目にしております。
47ページ目から49ページ目は、業界から提出された国内の未承認薬関連のデータでございます。
前回の意見聴取の際にも、委員の皆様からも指摘がありましたように、課題としては重要なテーマなのですけれども、具体的な方策を検討するためには、品目の分析や、日本における必要性などの解析が必要になってきますので、業界で準備してもらっているところでございます。
今回は事実関係として、要望内容をそのまま掲載しております。
50ページ目でございます。
業界要望の中で、オーファンとか、小児とか、そういったところに言及されているので、これらの評価の現状を示した資料でございます。
希少疾病用医薬品など市場が小さい医薬品や、小児の医薬品等につきましては、新規収載時や、薬価改定時に広く適用されるルールがございますけれども、小児の開発に関しては新創加算の対象にならないなど、範囲の違いがあるというものでございます。
次に51ページ目、日本への早期導入の評価に関する現状でございます。
新薬の収載時には、世界に先駆けて開発された品目の先駆加算、そういった評価がございます。あるいは改定時には、新創加算の要件として品目要件で3年以内3番手のようなルール、あるいは先駆的医薬品といった評価がございます。
また、企業指標としては、世界に先駆けた新薬の開発や、国内試験や、日本を含む国際共同治験を実施した段階で評価対象にしているというものでございます。
次に52ページ目でございますが、有用性の評価については、この資料に書いている①から③の観点で判断しているのですけれども、オーファンとか小児用を開発しようとすると、比較薬を用いた試験が難しい場合もあり、そういったケースは②の類似薬に比した高い有用性等の評価が得られにくい状況になっているというものでございます。
ただし、①や③は評価の対象になります。
次に53ページ目、ベンチャー企業に対する評価でございます。
新創加算の企業指標で、新たに参入したベンチャーはポイントが積み上がらないので、区分がⅢになっても区分Ⅱとみなすという取扱いをしておりまして、現在、4社がその適用を受けております。
ただ、そもそも区分ⅡもⅢも、薬価が維持されないというところで、新たに参入したベンチャー企業は、薬価が維持されにくくなっているという指摘もございます。
次に、54と55ページ目は、迅速導入に関する業界要望でございますが、こちらも迅速導入に対する評価が、どのように開発に影響を与えるのか、どのくらいの品目数を想定しているの等の説明が必要になりますので、業界に準備をお願いしているところでございます。
次に56ページ目は、薬事規制に関する検討会でございます。
表題にありますけれども「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」ということで、医薬・生活衛生局のほうで、今週月曜日に第1回を開催したものでございまして、今後、毎月1回程度開催して、年度内までにとりまとめる予定になっているものでございます。
次の57ページ目のほうに、その検討会で示された検討事項の概要を示してございまして、薬事制度について幅広に検討することになっております。
特に、左上の開発促進の項目である希少疾病用医薬品や小児用医薬品の開発促進に関しては、薬価制度にも関係すると思われる内容でございますので、今後の検討会の検討状況も踏まえながら、薬価専門部会において必要な議論を行っていきたいと考えています。
当然この前提としては、これまでの業界要望で示された様々な御要望、データ、分析が必要と考えておりますので、今後議論が深まるように、必要なデータの準備を進めていきたいと考えております。
最後、まとめとして論点を59ページ目に示しております。
「現状」のところの記載は、これまでの説明内容なので省略いたしますが、「論点」については、「新薬のイノベーションを評価し、革新的医薬品の開発を促進するとともに、後発医薬品の上市後は長期収載品から後発医薬品への置換えを迅速に進める観点から、以下の点に関してどのように考えるか」ということで、3つ矢羽根で示しております。先ほどの資料の1から3に対応するものでございます。
1つ目が、新薬収載時における現状の補正加算の範囲、その加算率計算のための定量化の手法に関して、イノベーション評価の観点からどのように考えるか。
2つ目、現在の新薬創出等加算に関して、新薬開発企業の研究開発促進や未承認・適応外薬の解消の観点から、品目要件・企業要件の考え方について、どのように考えるか。
3つ目、ドラッグ・ラグ/ロスの解消、日本への早期開発を促すために、薬価の観点から対応する方策に関してどのように考えるか、ということで、こちらに示してございます。
説明は以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して、御質問等がありましたら、お願いいたします。
では、長島委員からお願いします。
○長島委員
ありがとうございます。
59ページの論点の3つの矢羽根に沿ってコメントいたします。
1つ目です。有用性加算率の算出に用いられている現在のポイント制は、過去の加算事例の整理・分析に基づいて作成されたものであり、今日の創薬環境の変化の中での新規医薬品の有用性の評価に必ずしも適切に対応できていないという点は、そのとおりと考えます。
一方で、薬価において期待に基づく加算は適切ではなく、臨床試験等による実証データ、エビデンスに対する国の評価に基づく加算の在り方について、議論することが重要であると考えています。
2つ目です。新薬創出等加算は、平成22年度に、革新的新薬の創出や未承認薬・適応外薬の開発を促進するのを目的に試行的に導入され、平成30年度に本格導入されたものです。
特に未承認薬・適応外薬の開発の観点で対応できていない企業にまで、薬価維持政策を適用したために、平成30年度にゼロベースで抜本的な見直しをした経緯があるということを、改めて申し上げたいと思います。
33ページに、新薬創出等加算の企業指標があり、厚生労働省の開発要請に適切に対応することが前提とあります。
本来的に言えば、その中で、ドラッグ・ラグ/ロスに役立つという前提を堅持する中で、見直しを検討する必要があると思います。
また、33ページの同じところで、企業指標では、ベンチャー企業については、新薬開発に関わる実績、今後の取組が限られており、企業区分の分類において配慮されていますが、ベンチャーが開発した品目の薬価が維持されにくいというのは、薬価調査に基づいた要件が満たせなくなった、すなわち、乖離率が大きいということではないでしょうか。
市場を反映するという国の姿勢に基づき、薬価が維持されるかどうかは、製造販売業者と卸、そして購入する我々の自由取引の結果が反映されるものと理解しています。薬価調査結果の乖離率を無視してまで、薬価を維持するというのは難しいと思います。
3つ目です。ドラッグ・ラグ/ロスは、研究開発段階の要素が大きいので、まずはその見直しをするのが先決ではないかということと、医薬品のイノベーションの研究開発費等について、公的医療保険の財源で手当するのは違うということを、重ねて主張させていただきます。
これまでの歴史の積み重ねで、薬価算定ルールを作成、手直ししてきました。このルールに基づき計算すると、安くなるから高くなるようにしてくれでは、ルールをつくっている意味がありません。米国の桁外れの薬価設定は、米国自体でも問題になっており、欧米と同じ薬価を設定できるようにすることで、ドラッグ・ラグがなくなるというのは言い過ぎではないでしょうか。
私からは以上です。
○安川部会長
いかがでしょうか。
では、森委員からお願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
論点に沿って、幾つかコメントをさせていただきます。
まず、1つ目の新薬収載時に関する件についてです。
有用性系加算については、イノベーションの評価の視点で、オーファンや小児など、個別に医薬品の特性が評価できるよう、現在の定量化による評価の見直しも含め、ある程度柔軟性を持たせた形に改善していく方向で検討していくものと考えます。
また、PhRMAの意見にあるように、有用性系加算の根拠データの対象を拡大することは一つと思いますが、どのような視点で価値要素とするのか、実際にどのようなデータを使って客観的に判断するのかなど、関係業界から具体的な事例、データなどを示していただければ、議論が進むと考えます。
また、原価計算方式の開示等の問題については、企業が公開したくても公開できないケースは別で見ていくなど、何かしらの配慮が必要と考えます。
海外の同一系列企業から輸入する場合などは、公開できる場合もあるのではないかと思いますが、企業がどうしても公開できないケースには、どのような事情があるのかなど、関係業界から説明をいただけると、議論が進むと考えます。
次に、2つ目の新薬創出等加算に関する件についてです。
新薬の特許期間中の薬価の維持は必要な対応と考えますが、新薬の全ての薬価が維持というわけではなく、一定程度のメリハリは必要かと思います。この辺りは、どのような品目は薬価を維持すべきなのかなど、業界が考える優先度など、今後のヒアリングで聞かせていただければと思います。
企業要件については、各団体からも変更の要望がありますが、制度の趣旨を踏まえると、企業の取組を促す効果もあると考えていますので、導入からこれまでの評価を行い、今後の在り方について検討する必要があると考えます。
また、PhRMAが提案しているネガティブリスト方式については、提案されている項目自体が適当かどうかの議論は必要ですが、このような示し方で活用していくことは、一つの方法と考えます。
最後に、3つ目のドラッグ・ラグ/ロスの解消に関する件についてです。
以前のヒアリングでも発言いたしましたし、先ほど事務局からの説明でも触れていましたが、単に品目数だけ示すのではなく、本当に日本に必要な薬であるにもかかわらず、ドラッグ・ラグ/ロスとなっている品目はどれくらいあり、どのような傾向があるのか、それに対しては、どのような手立てが有効と考えるのか、今後の業界から詳しいデータや意見を薬事と薬価の課題とともに示していただくことが、議論するにあたって必要となると考えます。
必要な薬が日本に届かないということは、国民の不利益になりますので、必要な対策を検討する上で、必要な資料の準備について、よろしくお願いいたします。
その上で、製薬協やEFPIAが提案している迅速導入に関する制度や加算について、このような視点での対応は必要と考えますが、迅速性を評価する必要性や効果を含め、提案のものが実行されることで、どれくらいの影響が見込めるのかについて、これからも今後のヒアリング等で業界から意見、データ提出が必要と考えます。
また、新薬創出等加算におけるベンチャー企業の企業要件については、ベンチャー企業が不利にならないような形で見直していくべきと考えます。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございました。
安藤委員からもお手が挙がっていますので、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
私のほうからは、ドラッグ・ラグ/ロスの解消について、意見を述べさせていただきます。
資料47ページにありますとおり、欧米では承認されているが、国内では未承認という医薬品は増加しており、ドラッグ・ラグの再燃や、我が国の医薬品市場の魅力の低下は、紛れもない事実であると考えております。
一方で、前回の薬価専門部会でも議論がありましたとおり、その原因については、薬価の下落のみによるものではなく、薬事承認や研究開発の支援体制など、複合的な要因が絡み合っているものと考えられます。
医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の報告書でも、ドラッグ・ラグの解消に向けて、薬事承認における日本人データの必要性を整理するなど、国際共同治験への対応の強化であるとか、希少疾病医薬品指定制度の見直し、海外ベンチャー等に対する日本の制度の伝達などの施策の必要性が提言されております。
こうした対策を講じることによって想定される改善も加味しつつ、メリハリをつけた形で薬価制度の見直しを議論すべきではないかと考えております。
以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございます。
それでは、佐保委員のほうが先にお手が挙がりましたので、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
今後検討に際しては、患者の利益につながるイノベーションの促進や、医薬品の安定供給の観点が欠かせないと考えております。
この点に関して、2点ございます。
1点目は感想でございます。イノベーション評価の仕組みが複雑となり、分かりにくくなっていると感じております。
2点目は、先ほど安藤委員からもドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスについて発言がございましたが、前回の業界団体ヒアリングでも報告がございました。国内未承認薬の合計数は、ヒアリング資料でも示されておりますが、実際に患者に対してどのぐらいの影響があるのか、その実態が分かれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○安川部会長
それでは、続いて、松本委員もお手が挙がっていましたね。どうぞ。
○松本委員
ありがとうございます。
3ページに改定に向けたスケジュールが示されておりますけれども、このスケジュールを拝見する限りでは、今回、薬価制度の抜本的な見直しを行うには、少し時間的には足りないと感じておりますので、今回の薬価制度改革は、現行制度を前提とした上で、どのようなことができるか、議論すべきだと考えております。
その前提で、59ページの論点に沿ってコメントをいたします。
まず、新薬収載時の加算については、現行制度でもかなりきめ細かい評価がされているというのが率直な印象です。
イノベーションの重要性は理解できますけれども、評価の方法を見直すということであれば、定量化の具体的な方法や、それによる影響が示されなければ、議論を進めるのはなかなか難しいと考えております。
次に、新薬創出加算については、36ページにございますとおり、抜本改革によって加算対象の割合が低下いたしましたけれども、そもそも抜本改革の前は、薬価差に注目した仕組みだったものを、医薬品の価値や新薬の開発実績を重視した仕組みに見直したことが要因です。
その後、加算の対象となる割合は横ばいで、品目数は、むしろ増加しており、おおむね抜本改革で意図した効果が現れているものと考えております。
また、前回の業界ヒアリングでは、薬価の下支えについて熱く語られたと記憶しておりますけれども、一方で45ページのところに、ある意味で非常に興味深いデータがございます。
そこにもございますとおり、新薬創出加算では6.9%のものが、特許品の中でも2.7%のものが、仕切価が低下しております。
ヒアリングの中でも、経済環境の厳しい中という御説明があったかと思うのですけれども、一方で、そうした主張と、こうした数字で見た構造の中にも、少し乖離が出ていると感じておりますし、また、低下させた理由のところも、その他ということで、具体的に示されておりませんので、この辺りを踏まえて、この加算の要件については、慎重に議論すべきだろうと指摘させていただきます。
さらに、各委員から出ておりますドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスは、懸念材料ではありますけれども、患者にとって実際にどのような問題が起きているのか、品目の数字だけではなく、代替品の有無など、具体的な内容を細かく見る必要があると考えております。
最後に、論点には挙げられておりませんけれども、原価計算方式における原価の開示度が高まらないことは、薬価の透明性の観点からも極めて重要な問題だと考えております。
資料の7ページに、薬価算定方式の全体像というのが示されております。
そこに書いてありますとおり、類似薬がない場合は、原則、原価計算方式で算定されますけれども、次に、同じ効能・効果であるとか、薬理作用があるものであれば、次は類似薬ありということで、類似薬効比較方式になると一般的には考えられます。
そうすると、一番先頭バッターで、原価計算方式で算定した薬価が、しっかり算定されていないと、それをベースに類似薬効比較方式で、次の薬価が算定されていきますので、ある意味では、そういう形での問題が生じることもありますので、今後こうした原価計算の在り方についても、しっかり議論をさせていただきたいと思います。
私からは以上になります。
○安川部会長
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
私からは1点だけ、論点の最初の矢羽根であります、新薬収載時に関しましてコメントをさせていただきたいと思います。
イノベーションの適切な評価、革新的医薬品の開発を促進する観点からは、13ページに定量化の課題が記載されておりますが、現在の新薬の状況に鑑みて、仮に有用性系等加算において評価されるべき項目が含まれていないといったような状況があるならば、そういったエビデンス、データを確認しながら見なおしていくことも必要であろうと思います。
以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございます。
この辺りで、もし事務局から補足、付言等ございましたら、お願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
いただいた一通りの意見に関しましては、今後の議論が進むように、それを踏まえて、資料の準備をさせていただきたいと思っております。
その中で、松本委員のほうから原価計算の話がございました。令和4年度改定でも開示度に関する規定を改正したところもございまして、そういったような状況がどうなっているかも含めて、そういった資料に関しましても、今後、タイミングを見て資料を提示したいと考えているところでございます。
以上です。
○安川部会長
委員のほうからは、特にほかにございませんでしょうか。
それでは、専門委員からも、もし御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
○石牟禮専門委員
ありがとうございます。専門委員の石牟禮でございます。
委員の皆様方の意見の中でも度々ございましたけれども、先日の関係業界からの意見聴取におきまして、委員の皆様からいただきました御質問、データの御要望、これにつきましては、現在、業界団体において御提示する準備を進めておるところでございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
資料56ページに、検討会の状況がございました。
ドラッグ・ラグの原因につきましては、薬価のみならず、薬事制度の問題もあるということで、既に検討が開始されていると承知しております。
この中でも、小児医薬品の薬価上のインセンティブについての議論もあったと伺っております。一般的に成人に比べますと、やはり患者さんが少ないということで、かかる費用に比べて収益が見込めないという観点から、なかなか手をつけにくい領域でございます。
それから、一般的には成人の効能を取った後に、小児の効能を取るということがあろうかと存じます。
そのため、薬価算定ルールにおきましても、収載時及び改定時それぞれに加算が設けられていると承知しておりますが、実際の加算率がほとんど下限値の5%にとどまっているという状況がございます。
こういう状況からしますと、コストを再審査期間中に回収できるレベルとは、なかなか見えないというのが現状かと認識しております。
また、効能追加の場合の加算につきましては、再算定ですとか、新薬創出加算と併算定の場合には、ルール上、加算分が薬価に反映されにくいという課題もございます。
小児に対する医薬品の開発が強く要請されているということは十分承知しておりますので、成人とは異なる開発の難しさですとか、剤形、規格の必要性といったことも鑑みまして、ルールの見直しが必要と認識しております。
あと2点、申し上げたいと思います。
委員からの御意見に対してのコメントでございます。先ほど、松本委員から仕切価についての御指摘がございました。仕切価が低下した品目の理由については、私どもこのデータを知り得ないので、回答することは難しいのですけれども、一般論といたしましては、流通改善懇談会で課題とされております、一次売差マイナス、仕切価より低い実勢価格で卸さんの利益が取れないという問題、それにより適切な仕切価の設定が課題とされていることも踏まえまして、企業が仕切価率を変更する主な理由としましては、実際の卸さんに提示する取引条件の中で、自社の製品構成及び市場での使われ方といったところも踏まえた上で、判断された結果と考えられるところでございます。
それから、原価計算による開示度が上がらないという御指摘、以前からいただいております。近年の新薬の開発、サプライチェーンは非常に複雑でございます。複数の国にまたがって、多くの委託先を活用するような形で製品化されており、特に新たなモダリティーを有する製品は、そのようなものが多いと伺っております。
委託先における費用につきまして、その全ての根拠となる内訳をお示しすることがなかなか難しいと認識しております。
こういった医薬品の開発、製造におけるサプライチェーンの複雑化ということが起因しているものと認識しております。
一方、国内の開発経費ですとか、自社で行っている製造経費につきましては、可能な限り提出していると認識しておりますので、ぜひ御理解のほど、お願いしたいと存じます。
長くなりましたが、以上でございます。ありがとうございました。
○安川部会長
ありがとうございます。
あと、専門委員の赤名専門委員、村井専門委員からは、いかがでしょうか、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
ほかに委員の方から、もし追加の御質問等があれば、松本委員、お願いします。
○松本委員
先ほど言い忘れましたけれども、事務局にお願いが1点ございます。
今の45ページに、仕切価の変化というのがございましたけれども、令和5年度の薬価改定の折に、不採算品の再算定というのを行いましたけれども、この再算定をした品目の仕切価が、どのように変動したかというのを、そういう形で絞って、次回以降にデータとして提示いただければということを要望したいと思います。
よろしくお願いいたします。
○安川部会長
ありがとうございます。
ほかに御意見等がないようでしたら、本件に係る質疑は、このあたりといたします。
今後、事務局におきまして、ただいまいただきました御質問、御意見等を踏まえて情報提供等、御対応をいただくよう、お願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
<照会先>
厚生労働省保険局医療課企画法令第1係
代表: | 03-5253-1111(内線)3288 |
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