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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第203回議事録(2023年7月5日)

 
 

2023年7月5日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第203回議事録

○日時

令和5年7月5日(水)9:00~

○場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア8F

○出席者

安川文朗部会長 笠木映里部会長代理 小塩隆士委員 本田文子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志委員 村井泰介専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 中田医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○関係業界からの意見聴取について
 

○議事

○安川部会長
 ただいまより、第203回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告いたします。
 本日は、全員に御出席いただいております。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 本日は、関係業界からの意見聴取を行います。関係団体として「日本製薬団体連合会」「米国研究製薬工業協会」「欧州製薬団体連合会」「再生医療イノベーションフォーラム」「日本医薬品卸売業連合会」より意見を聴取するため、意見陳述者一覧に記載の皆様に御出席をいただいております。
 それでは、意見陳述に入る前に、事務局より説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 薬価制度改革に向けた関係業界からの意見聴取においては、例年、本日御出席の団体のほか、日本バイオテク協議会からも意見聴取を行っているところでございます。
 しかしながら、令和5年度、前回の薬価改定に向けた議論の中でも、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスが論点となっておりまして、その中ではベンチャー企業の観点も重要な課題として指摘されていたと認識しているところでございます。
 このため、国内のベンチャー企業のみならず、国内に拠点を持たないベンチャー企業からも意見を聴取することが妥当と考えているところ、その準備を進めている段階であることから、日本バイオテク協議会からの意見聴取につきましては、次の意見聴取の機会に行いたいと考えております。
 例年とは意見陳述団体が異なることから、補足説明をさせていただきました。
 事務局からは、以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 それでは、意見陳述に移ります。
 まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に、質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。
 関係団体の皆様は、最初に自己紹介をしていただいた上で、時間厳守でプレゼンテーションをお願いいたします。それぞれの持ち時間が終わった時点で、ベルを鳴らしますので、円滑な議事進行に、どうぞ御協力をお願いいたします。
 それでは、まず、日本製薬団体連合会より、お願いいたします。
○日本製薬団体連合会(岡田会長)
 日本製薬団体連合会の会長を務めております、エーザイの岡田と申します。本日は、どうぞよろしくお願いします。
 本日は、薬価制度改革に関する意見陳述の時間を賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、まず私から、薬価制度全般並びに薬価を下支えする制度に関して、意見を述べさせていただきました後、日本ジェネリック製薬協会の高田会長、そして日本製薬工業協会の上野会長より、続けて意見を述べさせていただきたいと思います。
 次のスライドをお願いします。
 私ども製薬産業の役割は、スライドに記載のとおり、国民の健康を支える基盤産業であるということ。もう一つは、日本経済を牽引する基幹産業であるということだと認識しております。
 厚生労働省医政局の有識者検討会の報告書では、医薬品の安定供給の確保、創薬力の強化、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消など、それぞれの課題とともに、その対応策が示されたところであります。
 製薬産業の役割をしっかりと果たすためにも、本報告書にあるような諸施策や改革の実施が必要だと認識しております。その中でも、とりわけ薬価制度は極めて重要だと認識しております。
 次のスライド3をお願いいたします。
 私どもが考えるあるべき薬価制度について、簡潔に御紹介をさせていただきたいと思います。
 ここにお示しのとおり、医療用医薬品には、新薬、そして、後発品、長期収載品並びに基礎的な医薬品の3つのカテゴリーがあって、それぞれにおいて求められるもの、あるべき姿に違いがあると考えておるところであります。
 まず、一番左の新薬については、研究開発型企業は革新的新薬を創出し続け、いち早く国民にお届けすることが求められると考えております。
 そのためには、我が国でのイノベーション評価の確立と薬価維持が必須であると考えております。
 そして、真ん中ですけれども、特許が満了し、後発品が上市されれば、後発品がその成分の供給を担い、国民の健康維持と負担軽減に貢献することが求められると思っております。
 研究開発型企業からすれば、長期収載品、すなわち特許満了後は、ここに記載のとおり、基本的に撤退し、新薬開発へ再び集中するということが求められていると思っております。
 これを実現するためにも、高品質な後発品の安定供給が継続できる仕組みが必要であると考えるところであります。
 そして、一番右に記載のとおり、古くから医療を支える医薬品あるいは国民からも医療上必要とされる医薬品については、継続的な供給が求められると認識をしております。
 真に必要性の高い医薬品を峻別した上で、その薬価を下支えする仕組みが必要であると考えております。
 今申し上げましたように、カテゴリーごとに求められるもの、あるいは薬価制度のあるべき姿は異なるにもかかわらず、現在の、すべからく市場実勢価格に基づく薬価改定、1つの仕組みをベースとしている考え方は、まさに見直すべきタイミングを迎えているものと考えるところであります。
 加えて、医薬品というものを見た場合に、提供する側とされる側、すなわち医師サイドと患者サイドで持っている情報量が違うという、その情報の非対称性があるというのが、非常に大きな医薬品の特徴であると思います。これは、ほかの食品であったり、自動車であったり、いろいろな商材と大きく異なるところであると思います。
 ゆえに、この中医協の場にて、まさに科学的エビデンスに基づく価値評価をベースとして、医薬品のカテゴリーに応じた分かりやすい薬価制度を構築すべく、中長期的に検討を進めていただきたいと考えるところであります。
 その中で、短期的な視点から、次期薬価制度においては、足元で顕在化しておりますドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスや医薬品の供給問題に対しまして、薬価上の対応策を打つことが急務だと考えております。
 次のスライド4をお願いします。
 次期薬価制度にて検討いただきたい内容として、薬価を下支えする制度に関する意見を述べさせていただきます。
 安定供給を確保する観点から、基礎的医薬品、不採算品再算定、最低薬価、これを充実化することは極めて重要と考えております。
 この円グラフを御覧ください。安定確保医薬品であっても薬価改定が実施されれば、約8割の品目が、実は薬価が引き下がるという現状がございます。
 また、右の棒グラフと折れ線グラフのところですけれども、不採算品再算定の適用品目は年々増加する中、基礎的医薬品の年数要件である薬価収載から25年というのを待たずして、当該再算定を受けている品目の割合が増加しているということをお示ししたものでございます。
 これらを踏まえれば、安定確保医薬品の再整理も含めた品目要件の見直し、収載からの年数要件の見直しなど、基礎的医薬品の対象範囲を拡充する必要があると考えるところであります。
 加えまして、医療上の必要性を確認し、薬価を引き上げる不採算品再算定が柔軟に適用されるようなルールの見直しも必要であると考えるところであります。
 次のスライド5を御覧ください。
 御承知のとおり、物価やエネルギー価格の上昇は、引き続き、医薬品の製造に影響を与えておりまして、その影響は昨年よりも大きくなっております。
 右下のグラフのとおり、調達コストが上昇した原材料との割合は、昨年と比較して増加しておりまして、直近では7割以上となっております。医薬品の安定供給を確保する観点から、適時薬価を引き上げる仕組みが必要であると思います。
 加えて、今後の急激な物価上昇等に対応することができる薬価制度の在り方について、緊急措置的ではなくて、恒常的な仕組みについても検討を進める必要があると考えるところであります。
 次に、スライド6をお願いいたします。
 最後に、薬価改定の在り方について、意見を述べさせていただきます。
 こちらは、中長期的な視点から御検討をいただきたい事項でございます。
 現行の市場実勢価格に基づく薬価改定では、必然的に薬価差が生じるものでございます。薬価制度の抜本改革は、この薬価差を理由に毎年改定が実施され、結果的に加速度的に薬価が低下することとなりました。
 これは、革新的新薬の早期アクセスや、医療上必要性の高い医薬品の供給に影響を及ぼすことになっていると考えるところでございます。
 薬価差を理由に毎年改定を実施しているということが、これら課題の本質的な要因であることに鑑みれば、薬価差そのものが生じない仕組みを含めて、薬価改定の在り方について検討を進めていくべきタイミングであると考えるところであります。
 その他、Appendixには、日薬連の加盟団体の意見も掲載しておりますので、御確認をいただければと思います。
 私からは、以上でございます。
 続いて、日本ジェネリック製薬協会の高田会長より御説明をお願いいたします。
○日本ジェネリック製薬協会(高田会長)
 続きまして、日本ジェネリック製薬協会から陳述をさせていただきます。「医薬品の安定供給の確保に向けて」というタイトルでございます。
 日本ジェネリック製薬協会の会長の高田でございます。
 本日は、このような場で発言させていただくお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
 スライドは、右下の20ページから始めさせていただきたいと思います。
 これが、私ども安定供給の確保に向けた業界としての考え方でございます。
 現在起きております問題が顕在化した背景には、後発品産業の構造的課題が存在すると指摘をされております。構造的課題については、解決に向けて後発品産業のあるべき姿の策定や、その実現に向けた会議体が設定され、今後議論が開始されると認識しております。
 当協会では、安定供給確保のための増産に向けた対応を着実に進めるとともに、会議体等の議論の結論に基づいて、安定供給に貢献できるよう、さらに取り組んでまいりたいと存じます。
 今後、十分な製造能力を維持できず、供給に責任を持てない後発品企業は撤退をせざるを得ないと考えております。
 生産を集約化し効率化を進めるとともに、疾患領域に強みを持つ企業、生産に焦点を当てて製造受託を得意とする企業など、各企業の特性を生かして、役割分担を行い、医療上必要な医薬品の持続的安定供給を実現してまいりたいと考えております。
 次のスライドを御覧ください。
 「医療上の必要性の高い医薬品供給における現状と課題」でございます。
 後発品企業は、継続的に新規収載品を上市して収益を維持してきた結果、品目数が相対的に増加し、いわゆる少量多品目生産の構造がつくられてまいりました。
 一部の企業の法令違反に端を発し、現状においても後発品の供給体制を十分に確保できなくなっております。
 課題といたしましては、薬価改定の影響により、早期に市場から撤退する企業もあり、安定供給に真剣に取り組んでいる企業は、不採算となっても供給を継続せざるを得ない状況で、それらの企業は、製造余力を持つ余裕もなく、現在のように緊急増産等の柔軟な対応が困難となっております。
 また、薬価を下支えする不採算品再算定については、適用要件などにより、対象となる医薬品が限定されている現状でございます。
 次のスライドを御覧ください。
 御説明した現状を踏まえまして、当協会といたしましては、医療上の必要性の高い品目については、持続的に安定供給に取り組む企業の品目が不採算とならないよう、薬価の下支えをする制度が必要と考えます。
 また、例えば、市場規模の大きい多くの企業が販売し、代替がある品目については、医療上の必要性を十分考慮した上で、市場からの撤退を促し、集約化を進める仕組みも必要と考えております。
 次のスライドを御覧ください。
 次に「既収載品における薬価改定の現状と課題」でございます。
 後発医薬品の既収載品においては、3価格帯の集約により、市場実勢価格の安いものの薬価が引き上げられたり、その影響で安売りをしていない企業、適正な価格で販売している企業の医薬品の薬価が引き下げられております。
 特に後発品の継続的な安定供給を支えていく企業にとっては、価格帯の集約は予見性に乏しい制度となっております。
 次のスライドをお願いします。
 御説明した内容を踏まえまして、当協会といたしましては、安定供給されている既収載品の薬価につきまして、適正な市場実勢価格が適切に個別銘柄ごとに反映される制度とすべきと考えております。
 以上が、日本ジェネリック製薬協会からの意見でございます。
 御清聴ありがとうございました。
○日本製薬工業協会(上野会長)
 続きまして、日本製薬工業協会からプレゼンをさせていただきます。
 日本製薬工業協会の会長を務めます、上野でございます。
 本日は、意見陳述の機会をいただき、誠にありがとうございます。
 それでは、26コマ目を御覧ください。
 まず、この10年ぐらいの間で創薬のスタイルが大きく変化しています。
 1番は、分子モダリティーが低分子から抗体、核酸、遺伝子治療と変化し、多様化し、その結果、これまで治療法のなかった疾患に対しても、薬物治療が可能となってきました。
 また、その製造方法や投与形態も、これまでの低分子とは異なるものになってまいりました。
 27コマ目を御覧ください。
 このようなモダリティーの変化も含めて、多様化する革新的新薬の価値の評価方法を適切にしていく必要があるものと思っております。すなわち、新薬の特性に応じた、個別に対応できる柔軟な価値評価です。
 その際に、個々の特性に応じた評価をするために、我々にはその説明責任があり、例えば評価の過程を公開するなど、納得性や透明性を高めるプロセスが必要であると考えております。
 28コマ目を御覧ください。
 一方、このような環境の変化の中、今、直面している課題がドラッグ・ラグ/ロスの拡大です。
 左のグラフは、国内の未承認薬の増加を示しています。薄いブルーは欧米で承認された医薬品、一方、濃いブルーは、そのうち日本で承認されていない医薬品の数です。未承認薬の数、そして、その割合は年々拡大傾向にあり、2020年時点では176品目、72%になっております。
 この国内未承認薬には、国内企業の開発品も含まれ、今後日本発の新薬であっても、上市が遅れる事態になりかねない、そういったことが危惧されます。
 右のグラフは、調査会社による今後の市場予測です。グローバル市場は、年率3から6%の市場でありますが、一方、日本市場は低い成長となっております。これは、日本市場の魅力が低下しているとも考えられ、ドラッグ・ラグ/ロスの原因の1つと指摘されております。
 29コマ目を御覧ください。
 基本的には、ドラッグ・ラグ/ロスを生じている理由は、各品目によっては異なりますが、大きくは薬事制度、そして薬価制度によるものと考えられます。
 本日この場では、薬価制度に関する解決の方向性について述べます。
 重要な点は、革新的な新薬を日本に迅速に導入する仕組みと、革新的な新薬の薬価を維持する仕組み、この2つの仕組みをセットで取り入れる必要があると考えます。
 30コマ目を御覧ください。
 まずは、革新的新薬を早期に日本に上市する際の問題点です。
 新規作用機序を有する新たなコンセプトの医薬品などは、薬価収載時においては、治療ガイドラインに掲載されていないなど、その臨床的な価値を評価するデータは日本では限られている場合が多いと認識しております。また、外国価格も存在しないため、参照する価格帯はございません。
 このような状況も、日本での早期上市を躊躇させる要因になっているのではと考えます。
 左下の円グラフ、これは革新的新薬について、日本で先行して上市された品目を青、日本以外の国で先行して上市されたものを赤で示しております。
 そして、左側は、新規作用機序の医薬品、右側は、高い有用性加算を認められた医薬品でございます。
 これらのデータから、多くの革新的新薬が海外で上市された後に日本で上市されていることが分かります。
 次に右側のグラフを御覧ください。
 これは、薬理作用1番手の薬剤において、世界で初めて日本で上市され、その後に欧州で上市された薬剤の日本と欧州の価格を比較したものをプロットしています。
 欧州価格を1とした場合、赤で示した品目が0.75倍以下となっています。これらは仮に欧州にて先行して日本に上市していれば、外国価格調整で薬価が引き上げられる水準に相当します。
 このような実態が、日本で先行して上市する際のディスインセンティブになっていると考えています。
 31コマ目を御覧ください。
 次に、上市後の薬価についてお話をさせていただきます。
 左側の円グラフは、2022年度の新薬創出等加算の対象品目の状況を示しています。特許期間中の新薬1,086品目のうち、新薬創出等加算品目の対象になっているものが571品目であり、そのうち薬価が維持されているものは約6割、残り4割、すなわち221品目は薬価が維持されておりません。
 次に、右側の棒グラフを御覧ください。
 グローバルの売上トップの医薬品について、上市後の価格水準を創薬各国と比較しています。
 青が、薬価が維持された品目、それ以外の色は、薬価が下がっている品目です。
 このように、特許期間中の新薬、ましてや革新的医薬品であっても、薬価が維持されていない実態があり、相対的に日本が魅力のない市場と映り、ドラッグ・ラグ/ロスの要因の1つとなっているとも考えられます。
 32コマ目を御覧ください。
 ここからは、2024年度薬価制度改革に向けた具体的な提案をさせていただきます。
 まず提案の1、新たな算定方式、迅速導入評価制度です。これは、医療上特に必要とされる医薬品を対象にしたもので、ポイントは3点です。
 1点目は、収載時の価格設定です。革新性が高く、類似薬の選定が困難な場合には、臨床的位置づけなど、医療実態を考慮した柔軟な類似薬の選定ができる制度にすべきと考えます。これは冒頭に申し上げた、多様化する革新的医薬品の特性に応じた柔軟な価値評価にも、将来的にはつながっていくものと考えます。
 また、類似薬の薬価は薬価改定によって下がってしまっており、欧米と比較してバランスの崩れた価格になっている医薬品もあります。その場合には、類似薬の外国価格も参照できる制度にすべきと考えます。
 2点目については、これらの品目は収載後の薬価も維持されるべきと考えます。
 3点目は、収載後にエビデンスの評価が整ったり、ガイドラインでの位置づけ等が明らかになった場合には、薬価が見直されることも検討されるべきものと考えます。
 33コマ目を御覧ください。
 提案2は、患者アクセス促進・薬価維持制度の創設です。これは薬価改定に関することです。
 現行は、実勢価の改定によって下がった価格に加算する仕組みですが、本提案は実勢価による改定から除外して、シンプルに薬価を維持する制度です。
 これにより、薬価が一定期間維持される、すなわち、医薬品の価値が一定期間維持され、予見性が高まること、また、日本は知的財産権を尊重する国であるというメッセージとなり、革新的新薬のアクセス促進につながることが期待されます。
 対象となる医薬品は、少なくとも現行の新薬創出等加算に加えて、迅速導入評価制度の該当品です。
 一方、当初の条件と異なる結果が得られた場合には、薬価を維持することなく引き下げることもあり得ると考えております。
 34コマ目を御覧ください。
 提案の3つ目は、既存ルールの一部の改善です。まずは有用性加算の改善です。
 加算要件である類似薬との臨床試験での直接比較が困難な場合には、リアルワールドデータなどを用いた間接比較による加算も可能にするというものです。
 もう一点は、市場拡大再算定の見直しです。他社の医薬品の市場が拡大した場合、薬理作用類似薬も一緒に再算定されておりますが、医薬品の価値は、それぞれの効能の取得状況や対象となる患者層など、個別に評価されるべきものだと考えております。他社の医薬品の市場拡大に伴う、いわゆる共連れルールを廃止すべきと考えております。
 35コマ目を御覧ください。最後のスライドです。
 私どもは、革新的新薬へのアクセス向上を目指して、ここに示しているとおり、2つの新制度を実現することにより、今後も革新的新薬を生み出し、患者さんへのアクセスが向上させるべく取り組んでまいります。
 今後とも、この制度の御検討について、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 次に、米国研究製薬工業協会となりますが、本日のプレゼンテーションは、逐次通訳となります。お願いいたします。
○米国研究製薬工業協会(シモーネ・トムセン委員長)
 日本イーライリリー社長のシモーネ・トムセンと申します。PhRMAを代表して、本日、意見陳述の機会をいただきましたことを感謝申し上げます。
 まず、PhRMAが目指しているものは、最先端の新薬をほかの国に後れを取ることなく、日本の患者さんに届けられる環境をつくることであるとことを、改めて強調させていただきたいと思います。
 そのためには、日本市場が国際競争力の高い、継続した投資を呼び込める魅力的な市場であることが必要となります。
 そのためには、総合的な対策が当然必要となりますが、中でも予見性と透明性のあるイノベーションを評価する薬価制度が重要であり、このあるべき姿と現状の間にはギャップがあると考えています。
 2ページを御覧いただきますと、具体的には特許期間中の薬価は維持されるべきと考えますが、現状では、半数以上の特許期間中の製品が、制度上必然的に生じる薬価差を理由に、毎年改定を受ける制度となっています。
 また、収載時の薬価算定においては、新薬の価値が適切に薬価に反映されるべきと考えますが、現行の制度では、様々な観点からの価値を捉えることについて限界があります。
 結果として将来の投資のためには、ほかの先進国に比肩する健全な市場成長が重要であるにもかかわらず、日本はそれらの国の中で唯一、市場のマイナス成長が予想されているのが現状です。
 3ページをお願いします。
 そうした中で、2024年の薬価制度改革は、これらギャップの解消、改善に取り組むことができる重要な機会になると、私どもでは考えております。
 本日は、赤い色でハイライトされた部分に限って御説明申し上げます。大きくは、特許期間中の新薬の薬価維持と収載時の薬価算定の改善の2点です。
 特許期間中の薬価維持として、市場実勢価に基づく薬価算定方式の見直しと、市場拡大再算定の見直しの2つが必要と考えています。そのうち、薬価改定方式の見直しについては、中期的な検討課題として、改定方式の抜本的な見直しを、そして新たな制度への移行までの短期の検討課題として、新薬創出等加算の改善を提案いたします。
 また、特許期間中の薬価維持とともに、収載時の薬価算定について改善することも重要であります。
 4ページをお願いします。
 なぜ、我々が今こそ中期的な課題として、市場実勢価格に基づく薬価算定方式の見直しをすべきと考えているかについて申し上げます。
 私たちは、これは日本の薬価制度が抱える構造的課題であると見ています。現在の制度では避けることのできない償還価格と実勢価格の差を持って、価格の切り下げを行うからです。実勢価に基づいて定期的に価格を引き下げる制度を採用している国は、先進国の中では日本だけでありまして、これが市場の魅力を著しく下げてしまっています。
 2010年に導入された新薬創出等加算は、対象品目が特許品全体の8割から約5割に縮小された2018年まででは、ほかの方策と並んでドラッグ・ラグ解消の大きな原動力となっていました。
 私は、グローバル企業の日本法人社長として、日本が常に新薬が真っ先に上市される国の1つに含まれることを望んでいますが、正直に申しまして、現在の薬価制度の下では、ほかの国よりも日本を優先するように本社を説得することがますます難しく、苦労するようになってきております。そして、これは特に中国、韓国、ヨーロッパなどと比較しての苦労がございます。
 日本において新薬の創出サイクルを促進し、市場を再び魅力的なマーケットにするためには、実勢価に基づく薬価改定の抜本的な見直しが必要であると考えています。日本に適した制度の検討を進めるに当たっては、循環的な価格下落を起こさないメカニズムとして、海外の制度も参考にできると考えています。
 5ページをお願いします。
 一方、新たな制度の検討と移行には時間を要すると考えています。そのため、それまでの間は経過措置として、新薬創出等加算の品目要件を変更し、あわせて、企業要件については廃止することを提案いたします。
 これは、短期的に日本への投資を呼び戻すための業界への重要なシグナルとなり、ドラッグ・ラグの拡大を止めることにつながると考えています。
 この変更により、解決できる現在の新薬創出等加算の要件が抱える課題については、資料の中央にまとめてありますが、時間の関係で本日は割愛させていただきます。
 2つ目の課題である市場拡大再算定について、6ページで2つの提案をさせていただきます。まず、いわゆる共連れルールについてです。共連れルールは、市場拡大再算定の対象品だけではなく、その薬理作用類似薬全てに再算定を適用し、価格を引き下げるというものです。
 このルールは、3つの点で日本市場の魅力にマイナスの影響を与えています。
 1点目として、他社製品の売上拡大を理由とした薬価引下げは、予見性と合理性を欠くものであると考えます。共連れが企業の財務成績に与える影響は大変大きい一方で、他社の競合品が、再算定の要件を満たすかどうか、いつ対象になるのか、どの程度の引下げ率になるかということを予想するのは非常に困難です。
 2点目として、適応症の重なりがある薬理作用類似薬は、共連れの適用を受けることになるため、適応追加の投資判断を難しくしているという側面もあります。
 3点目に、そもそも15年前に現在の共連れルールが導入された背景は、同じ市場で競合している製品が公平な薬価改定を受けるようにするというものでした。
 しかしながら、現行の薬価制度において、類似薬間での価格差は既に生じており、競争上の観点から類似薬の価格を同程度にしておくという趣旨で、類似薬に対しても再算定を適用する必要性は乏しいと考えます。
 以上の理由から、共連れルールは廃止すべきであると考えます。
 次に、市場拡大再算定についての提案、対象品の引下げ率の緩和についてです。
 私ども企業は、患者さんのアンメットニーズに応えるために、効能追加の投資を行っています。しかしながら、現在の再算定のルールでは、効能追加による価値は一切考慮されず、効能追加がもたらす市場拡大が、再算定の適用を受けるリスクを高めるだけになってしまっています。効能追加に対するディスインセンティブとなっています。そのため、有用性の高い効能追加を行った際には、再算定を受けるとしても、その引下げ率が緩和されるようなルールの導入を提案いたします。
 3つ目、最後の課題として、7ページの有用性加算の適用ルールの改善について申し上げます。
 現状では、多くの新薬は、その価値が加算として認められなかったり、あるいはその価値に見合う十分な加算が適用されていません。
 その理由の1つとして、患者、家族の社会生活上の有用性が、十分に評価されていないことが挙げられます。そのほかにも、新規モダリティーなどによる大幅な有効性の改善があった場合、現行の基準においては、必ずしもその改善度合いに見合った加算が与えられていないということがあります。
 そのため、これらの観点を加算の要件に加え、大幅な改善には、より高い加算が与えられるなど、加算ポイント、体系を見直すことを提案いたします。
 加えて、現行の加算評価は、審査報告書の記載に重きが置かれていますが、より幅広いエビデンスデータを用いて価値を評価できるように、副次評価項目や統計学的処理がなされた間接比較データなどにも、根拠データの対象を広げるべきと考えます。
 最後に、本日は限られた時間の中で、私どもの全ての提案を御説明することができませんでしたので、別添の添付資料の中で、私どもの提案の詳細版を提出しておりますので、御覧いただければ幸いです。
 PhRMAからの意見は、以上でございます。ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 次に、欧州製薬団体連合会よりお願いいたします。
○欧州製薬団体連合会(岩屋会長)
 おはようございます。
 欧州製薬団体連合会、EFPIA Japanの会長を務めております、サノフィの岩屋と申します。
 本日は、まず、大変久しぶりに、こういう形で同じ部屋で同席をさせていただきまして、大変うれしく思っております。このような発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 次のページをお願いいたします。
 私どもEFPIA Japanは、日本で活動しております、ヨーロッパの研究開発型製薬企業23社から構成される団体です。
 日本法人の団体として、日本市場におけますドラッグ・ラグやドラッグ・ロスの課題について、非常に憂慮しております。
 グローバルの中で、日本の地位を向上し、優先順位を取り戻すということは、我々の喫緊の課題でございます。本日は、革新的な医薬品を日本の患者さんに迅速に届け続ける、そういう環境をつくるため、我々の考えを述べさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 次のページをお願いします。
 こちらは、EFPIA Japanの理事会を構成しております10社に対しまして昨年の9月に実施した調査の結果をお示ししております。
 左側のチャートを御覧ください。各社に医薬品の開発、上市における他国と比較した場合の日本市場の優先度の変化を質問したところ、残念ながら各社の意識として、全体的に優先度が下がっている傾向が見られます。
 また、右側は、日本の薬価制度や市場環境が、開発品目の上市に対して影響を与えたかという問いに対する上市の中止、上市の延期や遅延に関わる議論の実施という3つの事象に係る回答結果となります。
 上市の中止や延期には至らなかったものの、本社との間において議論を行ったことがあると答えた会社は、10社全てでございました。また、9社が、このような事象は薬価制度の抜本改革前と比較して増えたと回答しております。
 加えて、上市中止の事象についても、残念ながら10社中4社が、実際にこのような事象があったと回答しております。
 ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスにつながると考えられるこれらの回答の要因については、次のページで紹介をさせていただきますが、グローバル製薬企業の意識として、このような傾向があることについて、注意を払う必要があると考えております。
 次のページをお願いします。
 先ほどの調査におきまして、日本市場の優先度が下がっている要因について得られた回答を左側にまとめました。
 その結果、収載時の薬価と収載後の薬価の組み合わせで得られます、製品のライフサイクル上の将来価値、その水準そのものと、そもそもその予見性が下がっているということが最も大きな要因であると考えております。
 企業は、医薬品の開発に向けまして、承認申請までに、恐らく10年以上の期間の中、複数回にわたって投資判断を見直してまいります。
 薬価の水準及びその予見性の低下によりまして、例えば、日本市場での投資回収見込みの低下、あるいは諸外国の価格への影響というものが懸念されますと、日本が国際共同治験に参画することに承認が得られず、結果として、日本における上市の中止や延期、遅延につながる状況というのが、今、実際に発生しております。
 そこで、EFPIA Japanといたしましては、日本の制度を考えるに当たって、右に掲げる観点が非常に重要な要素になってくると考えております。
 具体的には、ルールに基づいて決定される薬価に高い予見性があること。革新的な医薬品の価値が薬価面で適切に評価され、他国に先駆けて日本の患者さんに早期に届けることができる魅力的な市場や制度であること。そして、その制度は、持続可能な仕組みであることが重要であると考えております。
 なお、我が国は、新薬が製造、販売、承認後に比較的速やかに薬価収載され、保険償還されます。これは、ほかの国と比較いたしますと、非常に大きな魅力であると考えています。
 この点につきましては、今後どのような形での制度設計をされるに当たっても堅持していただきたいと考えております。
 次のページをお願いいたします。
 こちらは、日本における新薬の収載時薬価と外国価格を比較したスライドとなります。先ほど製薬協からも同じようなデータがあったと思いますが、2018年4月以降に収載された新薬の中で、原価計算方式により算定され、かつ、制度上や参照可能な外国価格が2か国以上存在している、そういう条件で17品目を対象としています。
 薬価の参照を行っている米、英、独、仏、いずれの国の平均と比較いたしましても、日本の収載薬価は低い水準となっております。
 次のページをお願いいたします。
 ここからは、新薬の算定及び収載後の薬価改定について、それぞれ2点ずつ課題と提案をお示ししたいと思います。
 1点目は、先駆的医薬品や国内で初めてとなる効能・効果を有する新薬、新規作用機序医薬品など、国内に適切な比較薬がない新薬についての提案です。
 現状では、このような品目について、日本で早期に上市することにより、革新性や有用性が十分に評価されないことが懸念される場合に、欧米並みの薬価を目指すため、先立って欧米で収載されるのを待ち、外国平均価格調整による引き上げに頼らざるを得ない場合があると認識しております。
 そこで、このような品目に対します、言わば迅速導入加算を導入することを提案したいと思います。
 具体的には、先駆的医薬品や国内に適切な比較薬がない新薬などについて、国際共同治験などを実施した上で、欧米と同時期に日本において承認申請し、複数の外国価格の決定を待たずに、日本で薬価収載する場合に加算という形で評価をするという仕組みです。
 次のページをお願いいたします。
 こちらは、昨年12月9日に開催されました、第6回の有識者検討会における事務局資料から、新規収載時の薬価に係る課題を抜粋したものであります。
 審査報告書に記載されないデータ、主要評価項目以外のデータ等が補正加算の判断に使用されない傾向があること。また、治療の対象となる患者さんによっては、他剤との比較試験の実施が困難であることに起因する、評価上の課題について述べられております。
 次のページをお願いします。
 EFPIA Japanといたしましても、類似した課題認識をしております。審査報告書の機構見解や、第3相試験の主要評価項目に価値評価の重点が置かれ、十分に評価されていない価値の観点があると考えております。
 右側に、これらの観点を例示しておりますので、有用性加算の加算率に係る定量的評価と併せて、見直しを検討していただければと考えております。
 次のページをお願いします。
 こちらからは、収載後の薬価に係る課題認識と提案となります。
 日本では中間年改定が導入されまして、薬価の改定が、事実上、毎年実施されております。
 しかしながら、欧米主要国において、特許期間中の新薬の薬価を毎年強制的に引き下げる仕組みがルール化されている国は、ほかにはございません。これは、日本市場の魅力を著しく損ねていると認識しております。
 そこで、よりシンプルに特許期間中の薬価を維持できる仕組みの導入を提案したいと考えております。
 これにより、収載後の薬価の予見性が高まり、グローバル製薬企業の日本市場に対する投資判断を前向きに変えていくことで、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消につながると考えています。
 次のページをお願いします。
 こちらは、先ほどの有識者検討会の報告書から市場拡大再算定に係る課題を抜粋したものとなります。
 現在におきまして、1つの薬剤で幅広い効能・効果を有する医薬品が増加していること。そして、そのような中、類似品として再算定の対象となる可能性が増加しまして、その予見性の低さが、また問題となっておりますこと。効能・効果の追加において、企業側から投資コスト回収の見込みが立たないというリスクにつながり、日本での上市の魅力を低下させている懸念について指摘されております。
 次のページをお願いします。
 EFPIA Japanの課題認識は、有識者検討会の報告書と同様であります。追加効能の市場規模が小さい場合などは、再算定の対象から除外すること。
 また、類似品への再算定については、予見性を著しく棄損している実態を踏まえ、廃止することを提案いたします。
 EFPIA Japanといたしましては、革新的な新薬を日本の患者さんに迅速にお届けするためには、薬価の予見性の向上と適切な価値評価が必須であると考えております。
 その実現に向けて、今後の議論に、引き続き積極的に参画し、貢献をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 次に、再生医療イノベーションフォーラムより、お願いいたします。
○再生医療イノベーションフォーラム(志鷹会長)
 本年6月より、FIRM会長になりました、アステラス製薬の志鷹です。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、次期制度改革に向けた意見陳述の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 2ページを御覧ください。
 FIRMといたしましては、このスライドに示す2点を求めます。
 再生医療等製品と従来の医薬品では、ベネフィットとキャラクターとしての特長・特徴に多くの相違がございます。現行の制度では、それが反映されておらず、国内で再生医療等製品を上市しても、次の研究開発投資ができない状況となっており、再生医療等製品のベネフィットを踏まえた制度の検討を強く望みます。
 また、制度の導入までの緊急対策として、喫緊の課題を緩和すべく、別紙でお示しした現行制度の改善も実施いただきたいと考えます。
 3ページを御覧ください。
 再生医療等製品においても、ドラッグ・ラグ/ロスが生じております。
 左の図を御覧ください。
 日本で開発されていない37品目の中には、欧米でプライオリティレビューなどの指定を受けている開発品も9品目含まれております。
 また、右の図に示しますとおり、開発後期の品目では、ドラッグ・ラグ/ロスの傾向がより顕著になっております。
 補足資料13ページにありますとおり、再生医療等製品では、ベンチャーやアカデミアが起源である割合が、既存の医薬品より高くなっております。
 日本に拠点を持たない海外ベンチャーなどから見て、薬価及び規制制度、さらに支援の仕組みなどが魅力的でなければ、今後、日本での開発が世界からさらに遅れていくことも危惧されます。
 4ページを御覧ください。
 左の図に示しますとおり、再生医療等製品を患者さんに届けるために、企業は研究開発投資のサイクルを回し続ける必要があります。
 しかし、現実には右の図のとおり、本邦で再生医療等製品を開発する専業企業は、これまでにない革新的な価値を提供しているにもかかわらず、製品を上市しても、次の研究開発投資をするだけの資金を回収できておりません。
 海外では黒字化を達成し、次の研究開発投資を検討するベンチャー企業も現れてきておりますが、日本の現行算定方式では、企業が日本国内で次の研究開発投資の原資を得られないことから、このままでは、将来は日本発の再生医療も海外先行で開発することになりかねず、再生医療等製品の価格制度の見直しが急務と考えます。
 5ページを御覧ください。
 さて、再生医療等製品ですが、左の図に示しますとおり、現在20品目が承認を受けており、抗体薬の約4分の1程度となっております。
 補足資料の14ページにも記述しましたが、日本はiPS細胞の研究開発で強みを維持しており、今後も上市品目数が伸びることが期待されます。今が価格制度を見直すタイミングであると考えます。
 また、再生医療等製品は、組織、細胞移植型の製品、ex vivo、in vivo遺伝子治療型製品など、多様なモダリティーで構成されております。
 後ほどお示しする、従来の医薬品とは異なる再生医療等製品の特長を踏まえた価格制度が必要であると考えます。
 6ページを御覧ください。
 再生医療等製品は、従来の医薬品で治療できなかった患者さんの救命が可能になったり、有効な治療法がない患者さんに、新たな治療法を提供したり、また、少ない投与回数で長期間の効果を示すなど、ベネフィットとしての特長を有しております。
 これらの特長により、病気の治療、治癒といった、臨床的価値のみならず、介護の社会的負担の軽減や、将来的な医療費負担の軽減や削減の可能性など、多様な価値の提供が期待されます。
 7ページを御覧ください。
 これは、多様なモダリティーで構成される再生医療等製品の有する特長・特徴を分類、整理したものです。
 それらは、新たな算定制度の中で、価値として反映すべきベネフィットとしての特長と、上市時点では、有効性、持続性等のエビデンスを十分に取得できない現実の制約に起因し、上市時点の価値を不確かにする特徴、そして、新たな算定制度として、価値に反映することができない特徴の3つに分類されます。
 価値として反映できる特長・特徴については、今後の制度検討の中で御議論いただきたいと考えます。
 一方で、製造原価が高いことや、バリューチェーンが複雑であるという再生医療等製品特有の特徴については、製品がもたらす価値とは関係ありませんが、4ページで御説明しましたとおり、現行算定方式では、次の研究開発投資の原資を得られない状況を鑑み、再生医療等製品に関する新制度導入までの緊急的な対応として、現行制度への反映をお願いするものです。
 8ページを御覧ください。
 この表は、補足資料15ページに示す価値分類に基づき、FIRMで検討した再生医療の価値を評価する仕組みの一例です。
 16、17ページに、そのイメージ図を載せておりますので、併せて御覧ください。
 再生医療の価値を評価する仕組みにつきましては、今後アカデミアの知見、行政の視点、開発製造及び製品供給の実態等を踏まえ、産官学による多角的な検討が必要であり、厚生労働省で議論の場を新たに設置いただきたいと考えます。今回お示しする対応案は、議論をしていただくための素案であります。
 その検討結果を中医協の場にフィードバックし、再生医療等製品に関する独自制度の構築につなげていただきますようお願いいたします。
 9ページを御覧ください。
 最後に、既存医薬品と再生医療等製品の違いを、価値に反映されない特徴にフォーカスして御説明いたします。
 左の図に示しますとおり、再生医療を患者さんに届けるまでに、製品開発企業を支える多くの企業が関わっております。
 中でも、右のテーブルに赤字で示す内容は、再生医療等製品の原価が既存医薬品よりも高くなる要因であります。
 製造、品質、輸送の現状の課題は、次のページで具体的にお示しします。
 なお、細胞を使う再生医療等製品の場合、医療機関がその採材に関わりますし、移植を伴う製品では、医師の技術が効果に影響するケースもあります。
 再生医療等製品を患者さんに届けるためには、製品価格だけでなく、医師の手技料も含めた診療報酬が適切であることも必要です。
 FIRMでは、この点も解決に向け、関連学会と連携をしております。
 10ページを御覧ください。
 このページでは、製造、品質、輸送に関する相違を具体的に御説明します。
 再生医療等製品は、従来の医薬品と比べ、ロット当たりの製造数が圧倒的に少ないため、検査に使用する割合が高くなり、大きなコスト負担となります。
 加えて最終製品のみならず、製造工程における検査も必要であり、その検査費用も高いことから、結果として、製造工程全体でかかる1vial当たりの検査費用は、従来の医薬品と比較して高額となります。
 また、再生医療等製品は製造プロセスの変更が容易ではなく、製品が大量に必要な場合、少量生産の繰り返しで対応をするため、スケールアップメリットが生じません。さらに流通に関しても、専用輸送では1vialずつ患者さんに提供しますので、医薬品の流通と比較して、患者さん当たりの流通費用が高くなります。
 製造原価に関わるこれらの違いは、現行制度では必ずしも価格算定時に考慮されておらず、再生医療等製品で研究開発投資のための資金が回収できない要因となっておりますので、制度に見直しが必要と考えます。
 11ページを御覧ください。
 本日の意見を改めてお示しいたします。
 FIRMとしては、①に示しますとおり、再生医療等製品のもたらす多様な価値を考慮した独自制度の検討を開始していただくことを強く希望いたします。
 説明は以上です。ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 次に、日本医薬品卸売業連合会よりお願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会(荒川副会長)
 ありがとうございます。
 日本医薬品卸売業連合会副会長の荒川隆治でございます。本日は、意見を述べる機会を賜り、誠にありがとうございます。
 また、本日は医薬品卸を取り巻く厳しい環境、継続する医薬品の需給調整について説明した後に、薬価制度、中間年の薬価改定の見直しなどに関する意見を申し述べさせていただきます。
 それでは、資料に沿って御説明いたします。2ページを御覧ください。
 まず、医薬品卸を取り巻く厳しい環境についてです。
 医薬品卸は、安定供給を支える使命を担って日々活動していますが、取り巻くビジネス環境は非常に厳しいものとなっています。
 経済のインフレ基調や労働市場での賃上げ基調が続く中、医薬品卸はいわゆる物流の2024年問題へも取り組んでいかなければなりません。
 その一方で、医薬品流通においては、毎年改定に伴い、薬価下落のスピードが加速している中、公定価格制度の下では、流通当事者の適切なコスト、こういったものの転嫁が難しい状況にあります。
 加えて、長らく続く医薬品の需給調整に流通当事者が、多くの時間と労力を費やさねばならない厳しい状況にもあります。
 厳しい収益構造にあって医薬品卸は、販管費削減にも取り組んでいます。
 下の図は、安定供給を支える医薬品卸の従業員とMSの数の減少傾向を示しています。特に2021年から2022年にかけては、従業員数、MS数の減少割合が例年以上に大きくなっており、安定供給を支える人材の維持が困難になるリスクに直面しています。
 持続的な安定供給のためには、流通過程における医薬品卸の役割、機能を公正に評価いただき、適正な利益を確保できることが不可欠であると考えております。
 3ページを御覧ください。
 継続する医薬品の需給調整についてです。
 ジェネリック医薬品をはじめとした医薬品の需給調整は、今なお、医薬品卸の現場の大きな負担となっています。
 下の図は、令和5年4月の調査結果を示したものですが、限定出荷の医薬品のうち、解消見込みが未定あるいはなしとの回答が9割以上を占めています。
 このように限定出荷解消の見通しが立たない状況の中で、医薬品卸の現場では、得意先からの問い合わせ対応や代替品の確保のため、日々業務の約2割もの時間と労力が費やされています。
 また、長期にわたる需給調整の業務負荷は、現場担当者の心身両面での負担となっていることを、この機会に改めて御理解いただけたらと思います。
 長期にわたる医薬品の需給調整業務は、従業員の離職の大きな要因にもなっております。
 続きまして、4ページを御覧ください。
 薬価制度の見直しについての意見です。
 医薬品の持続的な安定供給のためには、流通コストも含めた採算性を維持できるように、薬価制度を見直していただきたいと考えております。
 毎年改定により薬価下落のスピードが加速する厳しい環境の中にあっては、不採算に起因する供給リスクへの対応が急務となります。
 現行制度の最低薬価、不採算品再算定、基礎的医薬品について運用の改善を早急に図るようお願いいたします。
 これに加えて、新たな仕組みの構築として、例えば、安定確保医薬品カテゴリーAなど、医療上の必要性が高いとされる医薬品の薬価を下支えする仕組みや、また、薬価引上げも含め、物価急騰などに柔軟に対応できる仕組みを構築していただくよう、ぜひともお願いいたします。
 このほか、医療上の必要性が高いという観点では、例えば、オーファンドラッグなどは、供給リスクが生じないよう配慮が必要なのではないでしょうか。
 加えて、市場実勢価格に基づいて薬価改定が行われる現行の制度においては、流通改善の取組が非常に重要です。
 流通改善ガイドラインの実効性を確保するため、流改懇における議論を踏まえつつ、今後必要に応じ薬価制度における対応についても御検討が必要であると考えております。
 5ページを御覧ください。
 中間年の薬価改定の見直しについての意見です。
 中央のシミュレーショングラフは、昨年の中医協薬価専門部会における意見陳述資料を引用したものです。
 中間年の薬価改定を行わなかった場合と、仮に中間年の薬価改定を全面改定とした場合のシミュレーションとなります。
 2022年度の薬価を100として、中間年の薬価改定を行わなかった場合には、10年後の薬価は73.5となり、仮に中間年の薬価改定を全面改定とした場合には、54へと下落のスピードを加速させることが見て取れます。
 薬価の下落スピードを加速させる中間年の薬価改定については、今後、発生し得る医薬品供給の不安のリスク、あるいは安定供給を支える人材確保のリスクを軽減させるためにも、見直しの検討が必要であると考えております。
 続きまして、6ページを御覧ください。調整幅についてです。
 調整幅は、川上から川下に至る薬価流通安定のための多面的な調整弁として機能しています。
 調整幅は下の図に意義を例示していますとおり、異なる取引条件により生じる納入価のばらつきを是正するだけではなく、薬価改定による薬価下落のスピードを緩和する、自然災害などの不測の事態に備えるなど、卸の視点だけでも多くの機能、役割があります。
 医療機関や薬局などの視点を加えると、さらに多面的に機能していると考えられます。
 総価取引の是正など、流通改善の道筋や、また、抜本的な薬価制度改革の全体像が描けていない状況において、多面的な調整弁として機能を有している調整幅に絞った議論は、適当ではないと考えております。
 続きまして、7ページを御覧ください。
 本日の意見を2点にまとめてまいりました。
 全ての医薬品が適正な価格で医療機関・薬局に供給され、国民のもとへ安定的に届けられるために、医療上必要な医薬品の持続的な安定供給を見据えた薬価制度に見直していただきたいと考えております。
 その際には、流通過程において、医薬品卸が果たす役割・機能についても適正に評価していただきたいと思います。
 流通改善ガイドラインの実効性を確保するために、流改懇における議論を踏まえつつ、今後必要に応じ薬価制度における対応についても検討いただきたいと考えております。
 最後になりますが、私ども医薬品卸は、日本の医療提供体制の一翼を担う者として、いかなる状況下にあっても医薬品を途絶えさせることなく、国民の皆様の安心・安全な医療に貢献してまいりました。
 私たち自身の自助努力が求められることは申すまでもありませんが、医薬品卸が社会インフラとしての機能を持続するためには、健全な利益を確保し、再投資ができる制度や環境を整えていただくことが、最重要となります。
 こういったところも、ぜひ、何とぞよろしくお願いいたします。
 以上、御清聴ありがとうございました。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 一通りの御説明をいただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。
 なお、質問は日本語でお願いいたします。
 それでは、長島委員からお願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 業界から御意見をいただき、ありがとうございました。私から数点質問をさせていただきます。
 まず、ドラッグ・ラグやロスについて、日薬連、PhRMA、EFPIAから指摘されています。例えば、資料薬-1、37ページでは、製薬協の参考資料として、ラグ/ロスの実態として、日本国内未着手86品目の内訳が、ベンチャー発の医薬品、オーファン、小児とされております。
 ここで示されたベンチャー発の48品目は、最終的には、欧米の既存の製薬企業に買収やライセンス契約をされるなどして、承認されている品目もあるという理解でよろしいでしょうか。
 また、ドラッグ・ラグ/ロスは医療現場においても大きな課題である一方、なぜ起こるのか、どうすれば解決するのか、十分な分析がされていないと考えています。
 例えば、日本に拠点のない海外のベンチャー企業は、日本の薬事承認や薬価制度に関する英語の情報が少ないため、十分な理解に至っていないことが大きな原因の1つであり、日本から英語の情報を発信することが、解決策になり得るとも聞いています。
 この場は中医協ですので、ラグ/ロスの原因が、薬事承認や研究開発支援体制の問題なのか、薬価制度の問題なのか、深掘りできるデータに基づいての議論が必要だと思います。
 そこで御質問ですが、そのようなデータの提示は可能でしょうか。
 次に、薬-1の6ページで、日薬連から薬価差が果たしている役割を明確にした上で、必要分を診療報酬、調剤報酬の中で評価することも検討が必要であると提案されていますが、もう少し詳しく説明をお願いいたします。
 3つ目です。
 薬-1の25ページ以降にある製薬協の提案についてですが、有用性加算に関して、臨床試験で既存の治療法と比べた患者さんや家族の社会生活上の有用性が、明確に示された事例があるのであれば教えてください。
 薬価算定時に、薬事承認時の審査報告書以外の資料も参照して評価するとなると、相応の人手、時間が必要になると思われますが、薬価収載の迅速さとのバランスについて、製薬業界ではどうお考えでしょうか。
 4つ目です。
 薬-3のEFPIAの資料に関してです。
 4ページ、薬価制度のあるべき姿に高い予見性があることとあります。高い予見性とはよく聞く言葉でありますが、具体的には、どのような予見性を示しているのでしょうか。例えば、何年後の見通しができればよいとお考えなのか。頻回な制度見直しというよりも、制度の適用のタイミングの問題になるのでしょうか。
 また、日本における薬事承認後速やかに薬価収載の仕組みという仕組み自体が、極めて高い予見性を持つとも思いますが、そこはいかがでしょうか。
 5つ目です。
 後発医薬品についてです。
 安定供給も大きな問題で、直接的には企業における品質管理やガバナンスの不備が原因と考えます。
 また、薬価の下支え制度を要望されていますが、薬価が下がるのは安売りしているのも原因と思います。
 薬価を維持すれば解決する問題でもありませんが、後発品業界としてどのようにお考えでしょうか。
 また、後発医薬品の業界再編も必要と考えますが、具体的にどのような企業であれば安定確保できるのか、お考えをお示しください。
 物価高騰等についても主張されていらっしゃいますが、調達コストの上昇が薬価の中でどれだけウエートを占めているのかといった具体的なデータがないと影響の大きさが分かりません。今後で結構ですが、影響の大きさが分かるデータがあれば、提示していただきたいとしたいと思います。お願いいたします。
 6つ目です。
 最後に、薬-4の再生医療等製品についてです。
 これまで医薬品なのか、医療材料なのか、類似性を考慮して、薬価算定方式あるいは材料価格算定方式で対応してきましたが、承認品目数が20という現状において、それらの製品は価格面で現状どうなっているのかという点を、まず、確認する必要があると思います。
 また、再生医療等製品により、介護などの社会負担の軽減や、医療費の削減など、多様な社会的価値がもたらされることは歓迎しますが、製品の上市後に、そのような具体的なデータが取得されたものがあれば、提示をお願いします。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 幾つか御質問をいただきましたが、もうお一方ほど、御質問をいただいてから、業界様のほうからお返事いただきたいと思いますが、では、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
 各団体におかれまして、御説明ありがとうございました。私からも幾つか質問をさせていただきたいと思っています。
 まず、薬-1、日薬連の資料の38ページに関する質問ですので、これは、製薬協から、また、もし、PhRMA、EFPIAからも、このことに関して何かコメントがあれば、お願いをしたいと思っております。
 38ページを御覧いただければと思います。
 ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの問題は、非常に重要なことだと認識をしております。38コマ目、国内未承認薬の分類が示されておりますが、今回示されている全てが国内での承認の必要性があるということでしょうか。
 その中で、例えば、抗悪性腫瘍剤に関しては63%、皮膚科用剤に関しては12.5%と、分類ごとに開発中の割合の差が発生していますけれども、その要因などが、もし分かれば教えていただきたいと思っています。
 また、類薬や同種同効薬がなかったり、ガイドラインで重要な位置づけをされていたりなど、日本に必要であるにもかかわらず、導入がされてこない新薬は、どのような医薬品があるのか、具体的な医薬品とともに見解があれば、お聞かせいただきたいと思っております。これが1点でございます。
 2点目ですけれども、ジェネリック製薬協会に関しての御質問となります。
 20コマ目で構造的課題という文言がございますけれども、これは該当する団体としては、どのようなことを意図しているのか、具体的に1つ御説明いただければだと思います。
 それから、24コマ目、安定供給されている収載品について、個別銘柄ごとに薬価が反映される制度が提案されていますけれども、価格帯が複雑になり過ぎないように、現行の形になっているものと理解しています。
 その上で、薬価収載している以上、企業は安定供給をすることは、ある意味当たり前のことと考えますが、提案の意図について、何かあれば御説明いただきたいと思っています。これが2点目でございます。
 あとは、医薬品卸に関しての質問になります。日本の医薬品卸は、毛細血管型の流通網を持っていて、品質を保証した医薬品を正確、迅速に配送すること。それから、そういう機能のみならず、安全性情報などの情報提供機能や、価格交渉、価格形成機能を持っているというのが、医薬品卸の重要な機能だと考えます。
 その中で質問ですけれども、今言いました卸の重要な機能として、薬価形成に重要な役割を担っています。先日の流改懇でも指摘がありましたけれども、問題となっているのが、過度な薬価差、薬価差の偏在というものがあります。交渉している販売側の卸として、どのように受け止めているのか、また、どのように改善していきたいのか、お聞かせいただければと思います。
 私からは、以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 今、お二人の委員から、延べ9つほど御質問をいただきました。たくさんありますので、まずは、日本製薬団体連合会様から口火を切っていただいて、適宜、御質問に対応して、業界様のほうからお答えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○日本製薬団体連合会(岡田会長)
 御質問ありがとうございます。
 まず、長島委員から6点御質問いただいたと思います。
 1点目、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの原因が薬事起因なのか薬価なのかというお話がありましたが、これは、まず、上野会長から、御回答のほうをお願いします。
○日本製薬工業協会(上野会長)
 御質問ありがとうございます。
 まず、長島委員からの最初の御質問で、資料の37ページにあるドラッグ・ラグ/ロスの実態の中で、ベンチャー発の48品目はどうであったかという質問だと受け止めます。それでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。これらについては、調べました結果、その後、ベンチャー企業自身が承認を取得していることを確認しております。
 続きまして、ドラッグ・ラグ/ロスの原因分析についてでございますけれども、これまで、我々が行ったのは、どういうカテゴリーの医薬品であるかとか、その開発元がどういうところなのかという分業をさせていただきました。
 この後、深掘りとなりますと、そういったものが、どういった原因でラグ/ロスが生じているかということかと認識しておりますが、基本的には、これは各社の判断によるところが大きいものとは思いますけれども、もう一段踏み込んで、個別は難しいのかもしれませんが、ある程度セグメンテーションというか、分類を分けるようなことは可能ではないかということも、我々は、今、想定しておりまして、そこは、これから追求していきたいと思います。
 加えて、今までお示ししましたのは、2020年度までの結果でございますが、この1、2年、21年、22年がどうであったかという追跡の調査も必要だと思っておりますので、その点も合わせて、今後取り組んでまいりたいと思っております。
○日本製薬団体連合会(岡田会長)
 2点目は、薬価差についての補足説明をお願いしたいということであったと思います。
 この薬価差の役割につきましては、様々な議論があると思っておりますけれども、その役割については、まずきちんと関係者にて整理することが必要であると思っておるところであります。
 仮に、今日、御提案させていただきましたように薬価差が生じない仕組みということを、我々は考えることも1つの選択肢と申し上げましたけれども、その場合に、薬価差が薬剤管理であったり、あるいは経営維持に必要な費用という役割があるのであるならば、それは本来的には、診療報酬本体にて賄われる形とすべきということも、一つ考え得るポイントではないかと思います。
 以上、2点目でございまして、次の3点目は、引き続き、製薬協への有用性等に関する御質問かと思います。お願いします。
○日本製薬工業協会(上野会長)
 引き続き、製薬協のほうからお答えさせていただきます。
 御質問は、有用性加算に関して、臨床試験で既存の治療法に比べて患者さんや家族の社会生活上の有用性が明確に示された事例はあるのかという御質問だったと認識しております。
 その中で、新薬の臨床試験においては、患者さんの有効性、安全性を評価するために、既存の治療法と比べて、患者さんに有用性を示した事例があることは確認しております。
 しかしながら、一方で、家族の社会生活上の有用性というものは、薬事承認は求めておりませんので、現時点で明確に示された事例はないと思います。
 したがいまして、提案の3に掲げています、有用性加算の改善について、提案をさせていただきました。
 また、御質問の中で、こういった評価をすることによって、承認時期が遅れるのではないかという御質問がありましたけれども、私どもとしては、こういったデータは非臨床試験あるいは臨床試験等を通じて、ある程度評価をすることが可能と思いまして、現在の承認時期あるいは承認後の薬価収載時期を遅らせないように、こういった評価ができるようなことを考えてまいりたいと思っております。
○日本製薬団体連合会(岡田会長)
 4点目は、EFPIAへの御質問だったと思います。岩屋会長からお願いします。
○欧州製薬団体連合会(岩屋会長)
ありがとうございます。
 私のほうからは、具体的にEFPIAの資料について御質問をいただきました、高い予見性の部分についてもお答えさせていただこうと思うのですが、その前に、もう既に一度やり取りがございましたけれども、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスというのは、薬事の問題なのか、薬価の問題なのかという感じの質問をいただいたと思うのですが、端的に申し上げると、両方であると認識をしております。
 薬事制度につきましては、過去10年、15年の間に、大変国際的な調和というのも進んでおりますし、審査体制もめちゃくちゃ充実していますし、スピードの観点におきまして、日本がすごく遅いというわけではないと認識をしている一方、私どもの資料でも書いたのですが、例えば、薬事制度において審査をされる審査の観点と、薬価制度において、我々が期待しておりますイノベーションの評価の観点というのが、私どもからしますと、端的に申し上げれば、どちらで評価をしていただいても構わないのですが、現実的には、どちらにも評価をしていただけないというのが、現実的な課題だと認識をしております。
 もう少し分かりやすく申しますと、資料に書きましたけれども、例えば、審査の報告書におきましては、審査にとって必要なことがメインで書かれているわけでございます。
 審査側の見解といたしましては、これがそのまま薬価の査定において使われることは想定していないと、例えば、そういうコメントをいただくことがあるのですが、現実的には加算の評価をするときに、審査の報告書が引用されて、それで加算をつけられないと、そういったやり取りがあったりすると。
 こういうことが起きますと、それは、どちらの制度かというと、どちらも影響していると言わざるを得ませんし、業界といたしましては、きちんとその点について評価をしていただけるような制度にしていただきたいと思っております。
 EFPIAの資料につきまして、具体的にいただきました高い予見性でございます。何年後の見通しができればよろしいのかと、お聞きいただいたと思います。
 もちろん、長期的な見通しが立つというのは、大変大切なことでございますが、一方で我々が考えておりますのは、例えば、日本の場合には、繰り返し申し上げておりますけれども、特許期間中に薬価が下がるという仕組みでございます。これ自体が、欧米におきましては、あまり例を見ない制度でございますので、その点において、もう既に特許を取得いたしまして、上市をさせていただきましても、一体この薬価がどれだけ続くのかよく分からないと。
 また、具体的にコメントをさせていただいた点で申し上げれば、例えば、再算定の共連れにつきましては、自分たちで把握をしていない他社の営業成績によって、ある日突然、あなたの薬も共連れですと言われると、これも大変予見性が低いと認識しております。
 もう一つ申し上げますと、先ほどの加算の話にも、また通ずるのですけれども、こういう形で加算がございますと書いてある制度の解釈の余地というのが、非常に我々にとってみると分からない点が多くて、加算が受けられたり、受けられなかったりと、蓋を開けてみないと分からないという状況が、これはまた、予見可能性という意味では、非常に厳しいかなと思っております。
 単なる期間の問題ではなく、そういった適用というか、実際の判断も含めまして、今の制度というのをもう少し分かりやすく、誰にとっても事前に想像がつく、そういう制度にしていただければなと思っています。
 以上です。
○日本ジェネリック製薬協会(高田会長)
 それでは5点目、ジェネリック医薬品の安定供給に関する、長島先生の御質問に対してお答えさせていただきます。
 まず、安定供給は、直接的には、企業における品質、ガバナンスの不備が原因だったのではないかということ。
 そして、2点目については、業界再編が必要だと思うが、具体的にどのような企業であれば、今後、安定供給の責務を果たしていけるのかということかと思いますので、通ずるものもございますので、2点併せて回答をさせていただければと思います。
 まず、御指摘のとおり、現在、御迷惑をおかけしている安定供給に関して、発端は、やはり企業のガバナンスの問題であると認識しております。
 今後は、持続的な安定供給を将来にわたって品質と確保と併せて責任を持つ企業が、しっかりと果たしていくべきだと思っております。それに対して評価をいただきたいと思います。
 しかしながら、現在の薬価流通の仕組みの中では、薬価が下がり続け、製造原価が薬価を上回るような製品が、これ以上増えていけば、そういった製品だけではなくて、企業としても責任を持って品質確保、設備投資、人材育成、こういったものが維持困難になってくると思っておりますので、こういったことが可能となるような薬価における下支えも必要なのかなと思っております。
 また、どのような企業であれば、安定供給が確保できるのかということにつきましては、繰り返しになりますが、持続的に将来にわたって、品質と供給に責任を持つ企業が、その役割を果たすべきだと思っております。
 また、そういった企業が、現在は余力がなく、例えば、緊急の増産あるいは今後進むであろう品目の集約化に対する代替品としての生産を引き受けていくということに対しても、十分な役割を果たせない状況でございますので、しっかりと生産能力を高めて、強化をして、そういった役割を果たしていきたいと考えております。
 また、3点目、御要望かと認識しておりますが、物価高騰のデータにつきましては、現在、御提示できておりませんが、非常に製造原価ということで難しいデータではございますが、検討をさせていただきたいと存じます。
 以上、ジェネリック製薬協会から回答を申し上げます。
○再生医療イノベーションフォーラム(志鷹会長)
 それでは、私から長島委員の御質問に回答させていただきます。FIRMです。
 20品目が承認されていて、まず、現状として、その価格がどうなっているのかという御質問が最初だったと思います。
 我々サマリーのテーブルを持っておるのですけれども、本日は持参しておりませんので、我々の資料の5ページを使って、簡単ですけれども、口頭で説明をさせていただければと思います。
 20品目全部が載っております。医薬品なのか医療機器で値づけされているのかという部分に関しましては、今、20のうち16価格がついておりまして、4つはまだ未収載です。そのうち10品目は医薬品として計算をされております。残りの6つが医療機器ということです。
 未収載の4つに関しましては、2つは医薬品として、残り2つは医療機器として計算されると聞いておりますので、それを合わせますと、12対8ということになります。
 それから、もう少し細かい情報を提供いたしますと、真ん中のex vivo遺伝子治療、いわゆるCAR-T療法というところですけれども、これに関しましては、一番先頭のキムリアが原価計算で、以降のものが類似薬効で計算されており、薬価は、いずれも3265万円となっております。約ですけれども。
 それから、左側の組織移植、細胞移植の部分です。組織移植のところは、全て医療機器として計算されているものになります。
 それから、細胞移植のところのビズノバ、これも機器で、残りの3つは医薬品ということです。
 価格のレベルですけれども、一番安いもので言いますと、組織移植のジャック、これは軟骨の自家移植の細胞ですけれども、キットA、B合わせまして215、216万円ということです。高いほうになりますと、ハートシート、ステミラックなどは、キットを全部合わせまして1500万円程度になっています。
 残りのものは、大体その間で500万前後のもの、それから、1000万前後のものというものが、この左側のカテゴリーの大体の値段のレベルになっております。
 右側の遺伝子治療ところですけれども、これは、ゾルゲンスマが類似薬効で薬価がついておりますけれども、御承知のとおり、1億6700万円程度ということです。
 それから、残りの薬価がついておりますコラテジェン、これは、60万掛ける3、最大3回のインジェクション、それから、デリタクトは、143万掛ける最大6回ということで、デリタクトに関しましては、850万程度と。
 すみません、口頭になりますけれども、これが現在の20品目の価格の概要ということになります。
 2つ目の御質問で、社会的な価値、介護などの軽減のデータがどの程度あるかということですけれども、本日お示しできるデータはございません。
 FIRMにおきましての現状ですけれども、現在いろいろなシミュレーションで計算をしているような現状です。例えば、介護負担が50%減ったらどうなるかとか、そういう現状ですので、ぜひその検討会等を設けていただければ、どういったデータが今、アベイラブルなのかといったところも併せてお示ししたいと思っております。
 また、こういった価値が価格に反映されると、まだ、バイオテックも含めて、そういった認識におりませんので、これまでそういったデータを積極的に取ってきていないところもあるかもしれません。
 そういった意味で、こういったものが価値に反映させられるとなったときに、どのようなデータを取ることができるかと、そういった見通しも含めて、今後検討会等で議論をさせていただければと思っております。
 以上になります。
○日本製薬団体連合会(岡田会長)
 次は、森委員の大きく3つの御質問への回答ですけれども、1点目は製薬協への38ページの資料に関連しての御質問であったと思います。
 2点目は、ジェネリック製薬協会への20ページの構造的な課題云々ということを含めた点。
 3点目は、卸連に対して薬価差の偏在をどう受け止め、改善していくのかという、大きく3つの御質問をいただいたと思っておりますので、まず、製薬協の上野会長からお願いします。
○日本製薬工業協会(上野会長)
 森委員、どうもありがとうございました。
 まず、1つ目の御質問、38ページ目の国内未承認薬の分類についての御質問だと思います。
 冒頭、御質問として、本当に全ての製品が日本で承認される必要があるのかという、非常に重要な問いだと思いますけれども、この中を見てみますと、1つ国内で承認に向けて開発したのだけれども、いろいろな理由で開発を中断されたものとか、あるいは日本で発生していないような感染症などもございまして、科学的な根拠がないものとか、あるいは本当に日本でのニーズがないものについては、必ずしも日本での承認が必要とは思いませんが、患者様の人数の多寡にかかわらず、やはり日本でアンメットニーズがある疾患に対する製品については、やはり基本的には日本で承認されるべきものと考えております。
 そういう中で、このグラフを見てみますと、御指摘のように抗悪性腫瘍剤が、数も多い一方で、国内でもその開発が進行中ということが見て取れます。
 まず、この抗悪性腫瘍剤等が多いのは、これは、我々製薬企業の中で、研究開発パイプラインを見ますと、やはりがんというものが、まだまだアンメットニーズが高い、あるいは治らないがん種が多いということで、研究開発の段階から、かなりの割合が、がんに向かっています。
 そういう中で、こういうグラフにしても、がんが多いのはよく分かることですけれども、一方で、この中で、国内で開発しているものも多いということは、国内でも、やはりがんに対するアンメットニーズが高いということが見て取れます。
 一方で、皮膚科用剤等については、これは低いからアンメットニーズがないということではないと思いますけれども、相対的にそういうアンメットニーズの違いから、こういう差が出ているのではないかと分析しております。
 以上でよろしいでしょうか。
○日本ジェネリック製薬協会(高田会長)
 続きまして、ジェネリック製薬協会のほうから、森先生の2点の御質問に対して、お答えさせていただきます。
 まず、構造的課題という点につきまして、やはり、現在、起こっております安定供給の課題につきまして、ジェネリック医薬品の構造的課題が根本的にあるのではないかという御指摘をいただいていると認識しております。
 これまで、80%というシェア達成に向けて、政府主導の下、促進策が図られ、増産拡大を図ってきた中でございますが、長年後発医薬品を主体にしてきた企業、あるいは新規参入した企業も合わせて、多くの企業が、特許が切れる製品に、同時に新規参入するということで、市場規模の大きい製品などを中心に、非常に多くの企業が参入し、その結果、非効率な生産であったり、あるいは過度な競争が生じる構造となっていると御指摘され、また、我々もそう認識しております。
 結果として、その間、人材育成あるいは設備投資というものが疎かになったり、あるいは早期に撤退する企業がある、そういったことも指摘される中で、今回の安定供給のような形で問題が顕在化してきていると考えております。
 先ほども申し上げましたように、今後、持続的な安定供給あるいは品質確保をしっかりと図られる企業が、そういった新たな役割を担っていくと考えております。
 また、次の御質問、御指摘ですが、価格帯につきまして、現在、複雑になり過ぎないように現行の形になっているということですが、改めて銘柄別収載の提案の意図についてでございますが、今、お話しさせていただきましたように、多くの企業が参入する中で、導入された価格帯のまとめの制度だと思っております。
 その結果として、例えば安く売っている会社の製品が引き上げられたり、逆に、将来的にわたって持続的に適正な価格で販売をしようという製品に関しましても、加重平均により引き下げられるといったゆがみが生じていると考えております。
 また、現在の流通の仕組みにおきましても、メーカーの仕切価以降関与できないという状況の中で、総価取引等によって、個別の製品によらず薬価が引き下げられるという現状もございます。
 今後、持続的な安定確保をするという観点で、そういった製品に関しましては、個別銘柄で薬価収載されるということを希望しております。
 以上、御回答申し上げました。
○日本医薬品卸売業連合会(荒川副会長)
 それでは、私、卸連の荒川のほうから、森委員からの御質問について、お答えさせていただきます。
 過度な薬価差や、あるいは薬価差の偏在についての認識あるいは改善についてという御質問だったと思います。
 薬価差につきましては、その発生要因は、取引先様との条件などの違い、あるいは様々な事象が複雑に絡み合った上で生じているものと認識しています。
 そういった中で、過度な薬価差あるいは薬価差の偏在というものが生じることにつきましては、公的な医療保険制度であることや、、あるいは医薬品の安定供給への影響などを考慮した議論が必要だと考えております。
 その中で私どもといたしましては、医薬品の価値に見合った値決め、あるいは経済合理性に見合った値決め、そういったことが、まずは改善のポイントだと考えております。こういったところについては、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 加えまして、御指摘がありましたように、6月26日に開催されました流改懇の中でも、こういった議論がされたと報告を受けております。
 そういったことも踏まえまして、厚生労働省の産情課のほうで、今後、過度な薬価差等の定義などについても調査をされると聞いております。そういった結果を踏まえて、私どもも引き続き、取組を進めてまいりたいと考えております。
 以上、お答え申し上げました。
○安川部会長
 続いて、安藤委員からお手が挙がっておりますので、安藤委員から、あと、ほかにございますか。
 では、安藤委員に続いて、松本委員、佐保委員、このお三人の方に御質問をいただくということで、お願いいたします。
 では、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
 まず、本日御参加いただきました皆様には感謝申し上げます。
 特に私としましては、PhRMA、EFPIAからの説明につきましては、大変勉強になりました。ありがとうございました。
 さて、前回のキックオフの際にも申し上げましたが、令和6年の診療報酬改定、薬価改定におきましては、先の有識者検討会の報告書も踏まえ、医薬品業界をめぐる根本的な課題について丁寧な議論を積み重ねる必要があると考えております。
 特に、医薬品の安定供給の問題は、少量多品目生産といった後発品産業の構造的課題に端を発するものであり、診療報酬上の評価による対応だけでは、問題の根本的な解決にはつながらないと思っております。
 我々保険者の立場からいたしますと、やはり患者に必要な薬が必要なときに使うことができないという状況をつくらないことが最も重要であると考えております。
 今回のヒアリングにおきまして、構造的課題があるというお話がありましたが、残念ながらその構造的課題が具体的に何なのか、また、それを具体的にどのようにして改善していくのかという御説明が、時間の関係だと思いますが、十分にはなされておりませんでした。
 例えば、品目数の適正化や適正規模への生産能力強化をどのようにして進めていくのかなど、今後、議論を重ねていければ幸いだと思っております。
 先ほど私が、医薬品の安定供給が患者にとって最も重要だと申し上げました。この問題は、単にジェネリック製薬業界だけの問題であるとは思っておりません。これは流通を含めた医薬品業界全体の問題であると考えております。
 と申しますのも、新薬メーカーも自社の製品をジェネリックメーカーに委託生産しているからでございます。
 そこで質問ですが、医薬品業界全体で、この課題解決に向けた話し合いというものはなされているのでしょうか。
 そして、なされていないのであれば、何が阻害要因で実現できていないのでしょうかということをお聞かせいただければと思います。
 以上です。
○安川部会長
 引き続いて、松本委員のほうからお願いいたします。
○松本委員
 御説明どうもありがとうございます。
 今日各団体のほうから、現状並びに団体としての考えを御説明いただき、どうもありがとうございました。
 こうした皆様方の御意見を拝聴する限り、イノベーションと安定供給のために、薬価を下支えしてほしいという要望に集約されると思いましたけれども、今でも大変厳しい医療保険財政、生産年齢人口の減少に今後ますます厳しくなるということを、議論の前提として、しっかり再認識いただきたいということを、まず冒頭申し上げたいと思います。
 その上で、各団体ごとに幾つかコメント、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、日薬連から示された資料の3ページでございますけれども、医薬品のカテゴリーに応じた薬価制度について概念図が示されております。
 左から真ん中のほうへ移っていくのは、特許が切れて後発品が出たタイミングで、はっきりしていると思いますけれども、この真ん中から右に移るのは、薬価制度上あるG1、G2、あるいはCが適用されるタイミングと考えてよいのか、これを、まず伺いたいということでございます。
 私自身は、現行の制度は基本的には、ここに書かれているイメージをベースに設計されていると考えております。
 それでも新薬メーカーが、ここの真ん中にもございますけれども、長期収載品の撤退ではなく、そこの依存から抜けられないということに関しては疑問を感じております。
 同じ資料の8ページを見ますと、後発品メーカーが増産できないことに原因があるように書かれておりますけれども、一方でジェネリック製薬協会の20ページにあるような産業構造の見直しが実現するということになりますと、後発品の増産が難しいということを合わせますと、かなりの時間がかかると受け止めております。
 そうした観点で、製薬協には長期収載品からの撤退の進め方、ジェネリック製薬協会には、安定供給や増産の見通しについて、具体的な想定というのをお伺いしたいと思います。
 次に、日薬連の資料の5ページでございますが、原材料等の調達コストが高騰とございますけれども、保険者の立場からいたしますと、これまで賃金が伸び悩んでいた状況下でも、皆保険を守るために保険料率を引き上げてきた経緯がございます。
 長いデフレの間に、原材料コストがどう推移してきたのかを精査しなければ、直近の状況だけを捉えての判断は難しいと思いますので、長期トレンドをぜひデータで示していただきたいと思います。
 さらに、製薬協の27ページに、価値についての資料が出ております。新たな価値評価の枠組みというのがあるのですけれども、この27ページのお考えと、次以降に出てきます、32ページ以降に書いてある御提案というのは、リンクしているものなのかどうなのか、そこを確認させていただきたいと思います。
 次にPhRMAからの説明についてなのですが、資料の16ページに、新薬226品目の内訳を出していただいているのですけれども、この中では新興バイオテック企業が、ちょうど半数開発しており、こうしたバイオベンチャーが日本向けに販売する場合に、俗に言うグローバルメガファーマとは違う課題があるのかどうか伺いたいと思います。
 次にEFPIAに対してなのですけれども、資料の3ページ、日本での上市を延期、中止した事例があるということですけれども、議論の結果、日本で上市したものを含めて、具体的にどのようなカテゴリーの医薬品があって、具体的にどんな課題だったのか、もしお分かりであれば、教えていただきたいということでございます。
 次に、製薬協、PhRMA、EFPIA共通でございますけれども、類似品の再算定についてルールの廃止を要望されておりますけれども、市場で競合する製品を同様に扱うことは、薬価制度としては一定の合理性はあると感じております。
 また、冒頭に申し上げた保険財政の状況を踏まえれば、どうしても類似品の再算定を廃止するということであれば、市場拡大再算定そのものについて、下げ幅の拡大あるいは対象範囲も広げるということもセットで当然議論すべきだろうと考えます。この点について見解を伺いたいということでございます。
 最後に、卸連に対してでございますが、調整幅については、これまで再三申し上げているとおり、長い間一律2%で固定されていることには疑問を持っており、丁寧な議論が必要であると考えておりますので、ぜひ取引の実態が分かるデータをお示しいただきたいと思います。
 また、資料の4ページに、新たな仕組みの構築という記載がございます。薬価が下がるそもそもの理由は、薬価よりも卸の納品価格が低いからであり、保険者の立場としては、どのような制度であっても、薬価差は国民に還元すべきであるということが基本的な考え方です。
 そうした中で、5ページのグラフを拝見しますと、特に右側のグラフですが、前提のところ拝見しますと、乖離率8%という記載がございますけれども、これは、先ほど来製薬業界から御説明があったコストの上昇、あるいは人件費の高騰で、厳しい状況にあるのに相変わらず乖離率が続くのですということを見通されているものだとすれば、少し考え方を改める必要があるのではないかと感じております。
 むしろ過剰な値引きとはどんなものであるとか、それを防ぐにはどうすべきだとか、そうしたことを当事者間で認識を共有すべきであるということを指摘させていただきます。
 いささか長くなりましたが、私からは以上になります。
○安川部会長
 では、佐保委員、お願いします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 本日は、関係業界の皆さんからの御説明、誠にありがとうございました。参考になりました。
 薬-1の資料の中で、次期薬価制度改革に向けた要望事項と、中長期的な視点からの要望事項に触れられております。
 薬価については、今回の改定で議論することと、中長期的な課題とが考えられます。その年々の改定議論に追われ、中長期的な議論が後回しにならないように、今回の改定を議論する中で、中長期的な課題についても整理して、今後の議論につなげていく必要があると考えます。
 卸連に対して、お願いが1点あります。
 2ページの「医薬品卸を取り巻く厳しい環境」の中で人材確保難について触れられております。従業員数とMS数の減少についてグラフがありますが、それ以外、左側の表にいろいろ書かれておりますが、これについて、もう少し詳しい資料、実情が分かる資料があれば、今後お示ししていただきたいと考えます。
 以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 また、今、7つほど質問がございましたが、時間の関係もございますので、もし端的にお答えいただけるものがございましたら、よろしくお願いいたします。
○日本製薬団体連合会(岡田会長)
 では、私のほうから、まず、安藤委員から御質問をいただいた点、安定供給に関するところでございますが、まず、これは後発品、ジェネリックについてという御指摘とともに、全体としてもというお話がございました。
 昨今の医薬品の供給問題については、やはり御指摘のとおり、後発医薬品だけの問題ではなくて、製薬業界全体の課題であると、まず認識をしているということを申し伝えたいと思いますし、本当に関係者の皆様、行政当局、そして国民の皆様に多大な御迷惑をおかけしているということを、この場をお借りして、改めておわび申し上げたいと思います。
 まず、日薬連全体としては、医薬品の安定供給確保に向けて最大限の強化を行うべく、一昨年の7月に安定確保委員会というのを設置して、対応の強化というのを進めているところでございます。
 また、今日のスライド12でもお示しをいたしましたけれども、医薬品の銘柄別の供給状況調査ということも、毎月実施することとして、取組の強化を行っているところでございます。
 今後、供給不安の問題について、引き続いて、高田会長からも、いつ解消されるのかを含めて、御指摘があったかと思いますけれども、コメントをお願いしたいと思います。
○日本ジェネリック製薬協会(高田会長)
 それでは、安藤委員の御指摘、あるいは、次の松本委員からの安定供給の見通しを具体的にという想定も含めて、御質問いただきましたので、併せて回答をさせていただきたいと思います。
 引き続き、繰り返しになりますが、皆様に御迷惑をおかけしていることをおわび申し上げます。
 不祥事に端を発した供給不足でございますが、まず、現状を申しますと、この不祥事、コンプライアンスの問題から3年以上経過しているわけですが、その間、コロナなど世界的に不安定な情勢の影響により、原材料の調達など、供給が滞る要因が非常に多岐にわたっておりまして、また、製品も多く、連鎖的に供給が滞る状況が続いております。
 また、後発品の割合が非常に多いということですが、今、日薬連のほうからも申し上げましたとおり、医薬品全体の問題ということでございます。
 まず、短期的には、個社として、人員を増員したり、あるいは設備を増強、生産体制の強化ということで増産を図っておりますが、ある特定の製品は、それで増産をして限定出荷あるいは出荷停止の解除ができても、また連鎖的に別の製品で限定出荷になるなど、全体として大幅な改善に至っていないという状況でございます。
 協会としましては、日薬連とも協力をして供給状況の情報開示に積極的に努めているところでございます。
 中長期的には、現在、大手企業を中心に工場の建設を進めたり、買収による移転を図るなど、大幅な増産を図ろうということを取り組んでおります。
 しかし、これには複数年を要するということでございまして、また、今後、有識者検討会の取りまとめに応じて、新たな会議体等でも議論されると思いますが、製品の集約化をするなどによって生産効率を図ることであったり、あるいは増産体制の強化の一環として、先ほど申し上げましたが、急な増産対応や、他社さんの代替を引き受けられるようなバックアップ体制をしっかり取って、製造能力の余力を持つということで、全体としての安定供給に貢献してまいりたいと考えておるところでございます。
 以上です。
○日本製薬団体連合会(岡田会長)
 続いて、松本委員の御質問について、順次、お答えさせていただきたいと思います。
 まず、最初に日薬連スライドの3ページの医薬品のカテゴリーに応じた薬価制度の構築に関する御質問をいただきましたけれども、松本委員御指摘のとおり、G1、G2、あるいはCが適用されるまでは、後発品の置き換え期間であることから、そのタイミングで、こういった基礎的な医薬品に移行していくということもあると思いますけれども、ここに、あくまでも医療上の必要性を勘案した上で、基礎的な医薬品に移行するものと考えております。そういった意味では、医療上の必要性を判断する新たな仕組みが必要ではないかと思っております。
 現在、安定確保医薬品というのは506品目ございますけれども、現行、A、B、Cランクの3つに分かれております。まず、一番直近の科学技術といいますか、サイエンスの観点から、安定確保医薬品の再整理というものが必要だと思っております。
 そして、何年でこれに切り替えていくのかということについては、足元で、ジェネリックにしっかりとそれが置き換わっていかないという観点も含めて考えると、この医療上の必要性が高いと判定された品目については、この当該ルールが始まるタイミング以前に、しっかり薬価を下支えするようなルールを早い段階から入れるようにしないと、なかなか長期収載品として残ってしまうという逆の課題が出てくると思っておりますので、この点を一つ回答させていただきたいと思います。
 次に、大きくスライド3にも関連するところで、新薬メーカーの長期収載品への依存を含めて、非常に包括的な御質問をいただいたと思います。
 私のコメントの後、製薬協の上野会長と、GE協の高田会長にも補足をいただきたいと思いますけれども、今日、私からのプレゼンテーションでも申し上げましたとおり、まず、長期収載品に依存しないビジネスモデルへの転換といいますか、この構築については、もう10年以上前から国から示された明確な方針でありまして、業界としては、これはもう完全に受け入れているということを、まず、明確に申し上げたいと思います。
 この3ページのところでも、特許満了が長期収載品の撤退と書いておりますところも、そのことを明確にお示ししたつもりであります。
 今の後発品への置き換え率を踏まえれば、もはや長期収載品に依存できず、研究開発に軸足を置く企業は、引き続き新薬を出し続ける構造に転換しつつあると思っておるところでございます。
 また、先ほどの御質問に対するお答えでも少し触れましたけれども、後発品の安定供給が確保されることによって、長期収載品はその成分を後発品に譲ることができると思っておるところであります。
 したがって、今日のスライド8でお示しをしたところに御質問が触れられたと思いますが、既に大幅にシェアを失った先発品については、現状、様々な価格の問題を含めて、撤退しようとしても、現実できないと、長期収載品に依存しているというよりも、我々としては、長期収載品のところから撤退したいと言っても、それを後発品が増産体制で受け入れることができないというのが、今の実態であると思っておるところであります。
 この長期収載品への依存云々というところについては、上野会長にも補足をいただくのと、全体の安定供給で、もう一度高田会長にも補足をいただければと思います。
○日本製薬工業協会(上野会長)
 ありがとうございます。
 私ども製薬協、いわゆる革新的な新薬を創出することを大きな目標としてやっている企業としては、その長収品に頼るというよりは、より一層新薬の創出に力を入れるというところで、そこに大きな投資をかけています。研究開発費でございます。
 そういうことで、そういったものをいち早くイノベーションを創薬として実現して、それを早く患者さんに届けるというときに、本当に注力してきていると思います。
 したがって、その結果、長収品から得られる収益というのは、過去に比べて大きく変わっているというところを、まずは、お話ししたいと思います。
 そういう中で、新薬に対する研究開発の投資を早く成果として、そして、それを次の投資に回す、そういう早いサイクルで研究開発投資を回しながら、次の新薬創出に向けて取り組む、そういったサイクルを目指して、現在、取り組んでいるところで、この傾向はますます今後強くなるのではないかと考えております。
 以上です。
○日本ジェネリック製薬協会(高田会長)
 今、お話にありましたように、長期収載品から安心してジェネリック医薬品に切り替えられる体制を、私どもとしても早急に、足元の安定供給が不安定な中でつくり上げていかないといけないということで、先ほど申し上げた短期的あるいは中長期的な取組を、引き続きしっかりと図ってまいりたいと思っております。
 また一方で、長期収載品をジェネリック、G1ルール等を用いて切り替える際には、やはり、今まで蓄積されてきました膨大なデータを引き継ぐ、あるいは残っている2割、あるいはその程度の製品の生産を引き継ぐことになりますので、そういった体制もしっかりと取れるような、総合的な対応を取っていかないといけないとも考えておるところです。
 以上です。
○日本製薬団体連合会(岡田会長)
 続きまして、3点目の御質問でございます。物価高騰等に関連するデータ等の提示をというお話であったと思います。
 もちろん御要望いただいたデータについては、今後検討させていただきたいと思っておりますけれども、原価の部分については、企業にとって結構センシティブな情報でございますので、業界内で全体を網羅的に調査が、どこまでできるのかということについては、宿題にさせていただきたいと思います。
 また、これだけ物価が上昇している中で、特に後発品あるいは古くからある薬価が低い医薬品については、薬価引き下がる中で、物価高騰、エネルギーの高騰というものは非常に大きなインパクト、ウエイトを占めるという状況については、ぜひとも定性的な表現になって申し訳ないのですけれども、御理解をいただければと思います。
 続いて、4点目の御質問は、製薬協の27ページへの御質問であったと思います。
 上野会長、お願いします。
○日本製薬工業協会(上野会長)
 改めて製薬協のほうから御説明します。
 まず、大変重要な御指摘だと思いまして、御質問ありがとうございました。
 また、ちょっと説明が分かりづらいというところも、そこの点はおわび申し上げます。
 まず、冒頭申し上げた新しい価値評価ということについては、やはり今の環境が、冒頭申し上げたように、モダリティーがいろいろ多様化する中で、その薬として価値というものが非常に多様になってきている。また、製造コストというところも、新しいモダリティーについては、高いものもあれば、非常に多様になっている。
 そういう中で、現在の類似薬効比較方式と原価計算方式だけでは、なかなか薬の価値というものを判断するのは難しいということで、改めて薬の価値とは何だという点で、そういう考えを、この環境変化から提案させていただきました。
 一方、後半の3つの提案というのは、現在、足元で起こっているドラッグ・ログ/ラスについて、薬価制度という点からどういう提案ができるかということで、提案を申し上げさせていただきました。
 特にその中で、新薬を早く導入する、迅速導入評価制度というところでは、先ほどの前半の説明で、多様な価値をしっかりと評価するということでもって、新しい収載時の価格設定ができるのではないかという点で、その点については、その2つの話というのはつながっていると、このように考えていただければよろしいかと思います。
 以上でございます。
○日本製薬団体連合会(岡田会長)
 続いて、5点目の質問は、PhRMAへの質問で、16ページに関する御質問であったと思いますが、シモーネのほうから、お願いします。
○米国研究製薬工業協会(シモーネ・トムセン委員長)
 皆様、よく御存じと思いますけれども、この問題に関しましては、今、指摘されておりますようドラッグ・ロスとかドラッグ・ラグの問題が、今、再発しようとしている、まさに危機的な状況でありまして、国家予算といいますか、社会保障費などの節減が求められている中にあっても、この危機という状況があるということをよく御認識いただければと思います。
 この16ページに出ておりますスライドは、松本先生も御指摘のように、これは大手ファーマだけが直面している問題ではなくて、またバイオベンチャーと両方が直面している問題であります。
 そこで、民間の全ての企業などが研究開発をしているわけでありますけれども、やはり投資をしたなりに、それを回収するということが必要であります。それをまた原資にして、新薬の開発をしたりしていく、そのための薬価が重要であるということで、それが損なわれますと、悪循環が起こってドラッグ・ラグとかドラッグ・ロスといった問題が起こってしまうわけでありますから、やはりこのよき循環を維持していくということが必要であります。
 大手ファーマと、より小規模なバイオテックベンチャーとの違いは3点あると思います。
 1つは人的資源があるかどうかということ、第2に資金力があるかどうかということ、第3点としては、技術的な能力、技術力があるかどうかということでありまして、特に技術力の範疇に、例えば、日本における規制制度などに対する理解とか、日本語対応能力とか、そういった点もビッグファーマと比べてバイオベンチャーがないということがあるかと思います。
 しかし、大手ファーマと小規模なバイオテックベンチャー等の共通項もあるかと思います。それはROI、投資収益率に注目するということでありまして、投資をして収益があれば、その市場の魅力があるということになりまして、さらにそこでの研究開発を進めようということになるきっかけになります。
 その具体例を御紹介したいと思いますが、中医協の先生方もよく御存じと思います。
 1つはメルクという会社でありますけれども、ベンチャー企業が行っていた肺動脈性の高血圧に関する薬の第3相試験に関して、日本が組み込まれておりませんでした。しかし、メルクがその製品の権利を取得した後、これを日本でもやろうということで、いろいろ苦労がありましたが、それを進めることにしております。
 これも開発を続けていく、そしてドラッグ・ロスをなくすために、着手の遅れによるドラッグ・ラグは残るものの、日本で研究開発を進めるという、いい例の動きが出た。それも市場に魅力があったから、そういうことができるようになったということが言えると思います。アクセレロンというバイオベンチャー企業発の薬です。
○欧州製薬団体連合会(岩屋会長)
 EFPIAの資料の3ページ目について、質問をいただきました。どのようなカテゴリーが課題かということでございました。
 私どもの団体といたしまして、個社の研究開発情報について個別に把握はしておりませんが、理由につきましては、次のページにございますように、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスが生じる要因の左側に記しました。ここに記してある理由に尽きると認識しております。
○日本製薬団体連合会(岡田会長)
 7点目は、類似品の再算定の合理性があるのではないかということに関して、3団体とありましたけれども、時間もありますので、上野会長から代表してコメントをいただければと思います。
○日本製薬工業協会(上野会長)
 これは、いわゆる共連れの件の御質問と受け止めます。
 我々は、やはり共連れの現状を見ますと、確かに類似薬であるのかもしれませんが、それぞれ見ますと、特に抗がん剤の場合は、複数効能を有したり、あるいは用法・用量も違うもので、必ずしも類似品と言えるものではないのではないか、そういった点での合理性はどうなのかと、そういった懸念を持っています。
 一方、予見性がなく、他の類似品が下げられることによって、他社の類似薬も下がるというところで、そこにも、先ほどのPhRMAの御発表にありましたけれども、そういった点も大きな問題だと考えまして、今回撤廃すべきということを述べさせていただきました。
 一方、その撤廃の代わりに財政という点で言うと、市場拡大再算定の範囲を広げることもあるのではないかという点で、お話がありましたけれども、そもそも共連れという制度が日本特有のもので、そういったことでも相対的に、日本の市場の魅力が低下しているということで言えば、この市場拡大再算定の幅を大きくするということも、それに通ずるものということで、我々としては反対の意見を述べさせていただきたいと思っております。
 以上です。
○日本製薬団体連合会(岡田会長)
 最後8点目は、卸連に対して調整幅の問題、あるいは4ページに関連して、新たな仕組みということに松本委員から御質問をいただきました。
○日本医薬品卸売業連合会(荒川副会長)
 卸連のほうから御回答申し上げます。
 まず1点目の調整幅2%を議論する上で、流通コスト等の資料というか、データが要るのではないかということで、御指摘ありがとうございます。
 私どもといたしましては、調整幅というのは、御存じのように川上から川下に至る薬剤流通安定のために多面的な調整弁として機能していると御説明申し上げました。
 したがいまして、川中の卸の部分、医薬品卸のみを対象として、配送コスト等の地域差について調査を実施し、その限定的な範囲でエビデンスを持って議論が行われることは、必ずしも適切ではないのではないかと考えております。
 そして2点目の御質問、こちらは、薬価改定につきまして、卸の価格が低いことが原因ではないかということで、私ども薬価差については、一定レベルのものは当然必要であるということで、これは医薬品の患者様までの安定供給というレベルのことを考えても、一定レベルは必要であると認識しております。
 ただ、過度な薬価差というところにつきましては、先ほども御説明しましたように、私ども卸連といたしましては、医薬品の価値に見合った値決め、あるいは経済合理性に見合った値決めということを推進させていただくこと、いわゆる流通改善を推進させていただくことで、徐々に解決に図っていきたいと考えております。
 そして3点目、こちらは、私どもが御提示しました資料の5ページのところで、薬価差8%という前提は、過剰ではないかという御指摘ですけれども、これにつきましては、資料の右下に書いてありますように、前提として、過去5年間の平均という数字を、昨年この資料をつくったときに設定させていただきました。
 実際には、今年の薬価改定、中間年改定におきましては、これを下回る数字となっております。
 また、今日、PhRMAのほうから御提示いただいた資料につきましても、6%の薬価差ということで、加重平均ということで、数字をとらまえられております。
 そういったところも踏まえて、私どもも、こちらは宿題事項としてアップデートさせていただきたいと考えております。
 以上、よろしいでしょうか。
○日本製薬団体連合会(岡田会長)
 佐保委員からの御質問も。
○日本医薬品卸売業連合会(荒川副会長)
 分かりました。
 では、佐保委員御質問につきましては、私どもが御提出した2ページの資料のところで、いわゆる人数の削減のところで、もう少し詳しい資料をいただけないかということで、これにつきましては、卸連のほうで宿題として持ち帰って、次回までに準備できるものはしていきたいと思っております。
 以上、御回答申し上げました。
○安川部会長
 ほかに委員のほうから、長島委員、お願いします。
○長島委員
 短く1点のみコメントします。
 予見性についてです。
 特許期間中に薬価が下落することは、いつ、どれだけ下がるか予見できたとしても、下落自体が問題であれば、予見性を高めることは関係ありません。
 それ以外にも、いつ、どれだけ薬価が下がるかがはっきり予見できるようになれば、製薬企業としては、日本での上市の中止をより判断しやすくなるということもあり得ますので、ドラッグ・ラグ/ロスの解決に必ずしも結びつくものではありません。
 以上です。
○安川部会長
 では、眞田委員からもお願いいたします。
○眞田委員
 すみません、時間が押している中ですけれども、1点だけ、質問ではなく要望をさせていただきたいと思います。
 今回、丁寧な御説明をありがとうございました。
 その中で御指摘いただいている課題や、提案につきましては、今回の6年度の改定で対応すべきものと、今回の改定には時間的に厳しいかもしれませんが、中長期的に議論することが必要なもの、その2つに整理をして、これから継続して議論をしていく必要があるのではないかと思います。
 次回の業界ヒアリングの際において、要望でございますけれども、できるだけその観点から整理をいただくと同時に、客観的データあるいは分析等、具体的な事例をもってお示しいただくように、ぜひ御努力いただければと、そうすれば深い議論につながるのではないかと思いますので、改めて御要望させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○安川部会長
 ほかに委員のほうからは、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。今回、第1回目の業界ヒアリングということで、いろいろと御意見をありがとうございました。
 大体、本日の時点では、御意見、御質問は出尽くしたと理解をしておりますので、関係業界からの意見聴取については、本日はここまでとさせていただきます。
 今ございましたように、委員のほうから幾つかデータ、資料等をアップデートして。
 どうぞ。
○欧州製薬団体連合会(岩屋会長)
 大変申し訳ないです。蛇足にならないようにしたいのですけれども、今、最後に予見性のお話をいただきました。
 私ども予見性が高ければ、それだけでイノベーションが持ち込まれるとは思っておりません。
 一方で、予見性がないところにおいて、投資がしづらいというのは、ごく自然な企業としての企業行動であります。その点については、繰り返しになりますが、どうか御理解いただければと思っております。
 以上です。
○安川部会長
 御意見ありがとうございました。
 繰り返しになりますが、委員から提示されたデータ等をアップデートしていただきたいという意見もございましたので、今後、必要な資料やデータは、まずは事務局のほうに御提出いただいて、今後の議論に反映していただきますようにお願いを申し上げます。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡をさせていただきます。
 それでは、本日の「薬価専門部会」は、これにて閉会といたします。皆様、どうもありがとうございました。 
                  
                                   

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