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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第201回議事録(2023年2月15日)

 
 

2023年2月15日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第201回議事録

○日時

令和5年2月15日(水)9:30~

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員
赤名正臣専門委員 村井泰介専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 中田医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応について

○議事

○中村部会長
ただいまより、第201回「中央社会保険医療協議会薬価専門部会」を開催いたします。
なお、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。
本日は、全員が御出席です。
本日の議題は、先週に引き続き、個別の医薬品を取り扱うことから、当該医薬品の製造販売業者に所属しておられます、石牟禮専門委員につきましては、利益相反の観点から、本日の部会には出席を控えていただくこととします。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応について」を議題とし、これまでの議論を踏まえ、取りまとめをいたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明のほうをよろしくお願いいたします。
では、安川薬剤管理官、お願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。資料薬-1を御覧ください。
これまでの議論を踏まえまして、ゾコーバ錠の薬価算定方法等の対応についてまとめました。
まず、資料の冒頭は取りまとめの位置づけを記載しております。最初のパラグラフでは、ゾコーバ錠が高額医薬品に該当する品目であることから、薬価算定の手続に先立ち、中医協において薬価算定方法等の検討を行ったことを記載しております。
次のパラグラフでは、特例的な対応を取ることの必要性をまとめております。薬価制度は「国民皆保険の持続可能性」と「イノベーションの推進」を両立させることが重要であること。本剤については、特に開発に大きなリスクを伴う感染症分野の革新的な医薬品に対する適切な評価を行うとともに、市場規模が高額になる場合には、医療保険財政に与える影響をできる限り少なくする必要があるため、既存のルールを基本としつつ、特に対応が必要な事項に限って、特例的な対応を行うことが適切であること。そのような観点での検討の結果として、「以下のとおり取り扱う」こととしております。
最後になお書きで、本取扱いは、本剤に限った特例的な対応とするということを記載しております。
次に、具体的な対応として、まず「1.薬価収載時の対応」でございます。「(1)算定方法」。
1つ目の○は、本剤には比較薬となる類似薬が存在することから、類似薬効比較方式により算定することを記載しております。
2つ目の○は、今回何を特例的に取り扱うか示しております。「比較薬の選定にあたっては、対象疾患の類似性と投与対象患者の類似性のいずれを優先するかによって算定薬価が大きく変動する特殊性に鑑み、類似薬の中から複数の比較薬を選定し薬価を算定するなどの対応を行う」と記載しております。
これまで部会で示していた対応の方向性の中では、「柔軟な運用を可能とする」としておりましたが、「柔軟な運用」の裁量の範囲が大きくなるような受け止めがあることから、何が具体的な特例かを示し、そのほかのルールは従来どおりであることを書き分けております。
その際、算定の考え方を明らかにするということも最後に書いておりますが、具体的な考え方につきましては、本剤の薬価収載の議論を行う際に説明することになります。
次の2ページ目を御覧ください。最初の○では、先ほど示した比較薬の選定以外について、比較薬と一日薬価または一治療薬価が同一になるように算定することや、補正加算等のルールは通常どおりの考え方に従って適用することを記載しております。
次に「(2)薬価収載時の市場規模予測の設定」です。収載時に示す市場規模予測は、今後の感染予測や、現時点における本剤の投与割合を踏まえつつ、薬価収載後の流通方法の変化等も勘案しながら設定することとしております。
次に「(3)収載に向けた手続」です。最初の○は、具体的な薬価算定方法は、通常の手続と同様であることを記載しています。
次の○は、中医協総会においては、通常の新薬の収載でお示しする資料のほか、以下に示している留意事項通知の内容、市場拡大再算定の取扱いを併せて示した上で議論を行うことにしております。
次に「(4)保険適用上の留意事項」です。最初の○は、薬価収載に当たっては、最新の「COVID-19に対する薬物治療の考え方」における本剤の取扱いを踏まえた内容を、保険適用上の取扱いに係る留意事項として通知することにしております。
次の○で具体的な記載内容を示しております。本剤の投与が必要な患者に投与されるよう、ガイドラインに示されている内容を留意事項通知で明示することとしております。
次の○は、添付文書に基づき、併用薬剤や妊娠の有無などの禁忌事項について確認を行うこと。
また、次の3ページ目に続きますが、現在、承認条件として、本剤の有効性・安全性に関する情報等についての文書による説明と同意取得が求められていることを、留意事項通知において明示するということとしております。
次に「2.薬価収載後の価格調整(市場拡大再算定)」でございます。まず「(1)再算定の方法」です。
最初の○は、市場規模を迅速に把握するために、NDBデータに代えて推計値を用いて市場拡大再算定、四半期再算定の適否を判断することとしております。
次の○は、年間販売額の推計方法ですが、これまで「対応の方向性」で示した論点では、「四半期ごとに、直近3ヶ月間の市場規模を基本に年間販売額を推計することについて、どう考えるか」と記載しておりましたが、前回の業界意見陳述において、単純に4倍して算出すると過大推計となる懸念も示されました。
これを受けて、四半期ごとに、直近1年間の推計データに基づき判断することとしました。ただし、収載から1年間は、直近1年間のデータはありませんので、収載からその時点までの期間における推計データを基に、年間販売額を算出して判断することとしております。
具体的なイメージとしては、収載から3か月後であれば、直近3か月間の値を4倍、収載から6か月であれば、直近6か月間の値を2倍、収載から9か月であれば、直近9か月間の値を3分の4倍、のようにして、年間販売額を算出して判断することになります。
次の○は、推計データに基づく再算定は、年間販売額が極めて大きい品目の取扱いに関する特例として、年間市場規模が1000億円超、1500億円超となる場合のルールがすでにありますが、これらに限って適用するものです。
次の○は、その場合に用いる算式ですが、こちらは、現在の特例再算定の規定で示されているものを用いることにしております。
次の○は、その場合の引下げ率に関するものでございます。お示しした「対応の方向性」では、「引下げ率やその上限をどのように考えるか」としておりましたが、収載時に示す予想販売額により影響が異なるものであること、また、引き下げること自体の激変緩和なども考慮した上で、現行制度どおりとすることも含め、慎重に検討する必要があることから、「薬価収載時に中医協総会において議論する」ということとしております。
最後の○でございますが、既存の市場拡大再査定のルールは、通常どおりの扱いであることを記載しております。
次に「(2)再算定を行う際の手続」です。最初の○は、再算定の流れは通常の手続と同様であることを記載しております。
4ページ目を御覧ください。最初の○でございますが、中医協での審議から再算定後薬価の適用までの期間は、医療機関等における薬価改定への対応に要する期間を勘案して、通常の再算定と同様の期間を設けることとしております。
さらに、どのくらいの期間で対応するかにつきまして、本取扱いは、通常の手続を迅速に行うための措置であることから、推計データ把握から適用まで4か月程度を目途に対応するということとしております。
最後に「3.その他」です。最初の○は、本剤は、緊急承認されたものなので、本承認後速やかに中医協総会に報告し、当該承認に係る審査の結果等を踏まえて、改めて本剤の薬価について検討することとしております。
次の○は、今後の感染動向や本剤の位置づけの変化などを踏まえ、本剤の薬価に関して、さらなる対応が必要となった場合には、その取扱いについて改めて検討することとしております。
次の○は、高額医薬品の議論を行う際の対応についてですが、今回と同様ではありますが、中医協での検討に当たり、事前にその品目の製造販売業者に対して、高額医薬品に該当し得るものであることを、客観的データに基づき確認等を行うことを明記しております。
最後の○ですが、パンデミックを来す感染症のような市場規模の推計が困難な疾患を対象とした薬剤における薬価算定方法等や、緊急承認された医薬品の本承認時における薬価算定の方法等については、次期薬価制度改革に向けた課題として検討することとしております。
以上が、本対応の取りまとめ案となります。
今回の資料では、このほかに、これまでの議論で御質問のあった内容に関する資料を追加資料としてお示ししております。
薬-2-1は、ゾコーバ錠の男性への影響に起因する催奇形性について、審査の段階でどのような内容を確認していたか質問がありましたので、その内容を資料としております。後ほど、担当部署から説明いたします。
薬-2-2は、前回の業界からの意見聴取において、日薬連が示した医療用医薬品の生産額の推移で抗菌薬の構成比が低下している点に関して、生産額ではなく数量ではどのような推移になっているかと質問がありましたので、直近の数量推移のデータを業界で準備しております。
資料の2ページ目は、前回お示しした生産額の推移、3ページ目が数量推移になっております。
それでは、戻りまして、資料薬-2-1を担当部署のほうから説明いたします。
○吉田医薬品審査管理課長
医薬品審査管理課長でございます。それでは、私のほうから中医協薬-2-1に基づきまして、これまで御指摘がございました、ゾコーバ錠の男性への影響に起因する催奇形性の審査段階の評価について御説明いたします。
結論から申し上げますと、ここに書いている以下の3つの○の内容を踏まえて、男性への避妊に関する注意喚起については、必要ないというような判断になってございます。
中身につきまして御説明いたします。1点目でございますが、まず、精子への影響ということで、催奇形性等を判断する際には、そもそもその薬剤が、いわゆる遺伝毒性があるのかということが、1つ大きなポイントになります。すなわち精子の遺伝子とか、あるいは染色体に異常を来すのか、そういったような影響を、いわゆる遺伝毒性試験という試験で確認いたしますが、本剤につきましては、結論としまして遺伝毒性はないという結果になってございます。ですから、そもそも遺伝毒性がない薬剤だというのが大前提でございます。
その上で、2つ目の○でございますが、いわゆる催奇形性を含めた生殖発生毒性を見る際には、各段階での3つの試験をやるのですが、ここに書いてある受胎能及び着床までの初期胚発生試験、いわゆる期間では初期段階、受精して受精卵が受胎して、それが着床する、そこまでの毒性があるのかないのかというのを調べる試験ですが、雄、雌のラットに本剤を投与して交配をさせて、そういう影響があるのかというのを見た試験でございますが、結論といたしましては、精子の形成とか受胎能、あるいは初期胚の発生に対する影響は認められていないという形なります。
したがって、まず、精子への影響は、実際の動物実験でも見られていないというのが、ここで確認されております。
最後3つ目でございますが、本剤については、妊娠中期におきまして胚が成長して、器官形成する期間があるのですが、その段階で、ウサギの極めて高用量で少し催奇形性を疑わせる所見が認められたということになってございます。
したがいまして、何をこの3つ目で評価しているかといいますと、いわゆる妊娠中期において、本剤を投与された男性が女性と性交渉を行った際に、その精液を介して女性が本剤に暴露されるといったようなことが起こった場合に、安全性に問題はないのかという評価でございますが、その評価の考え方としましては、男性の精子を通じて女性が暴露される本剤の暴露量、これは血中濃度で評価しますが、その濃度は、ウサギで催奇形性が確認されなかった毒性用量と比べても、1,000分の1以下でございますので、通常いろいろ安全性評価をする場合に、10倍差があるのか、ないのかというが1つのメルクマールですが、それに照らし合わせても1,000倍以上の差があるという形になりますので、仮に妊娠中期において性交渉があった場合であっても、女性を通じての胎児への影響はないと評価できる。
したがいまして、男性への避妊に関する注意喚起は必要ないだろうといったような結論になっているところでございます。
簡単ですが、以上でございます。
○中村部会長
詳細な説明をどうもありがとうございました。
資料薬-2-2は、業界からの提出資料ですが、専門委員から何か補足があれば、お願いいたします。
赤名専門委員、何かございますでしょうか。
○赤名専門委員
補足は、特にございません。ありがとうございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
では、資料薬-1の取りまとめの議論の前に、まずは、これまでいただいた意見に対する資料として提出されております、資料の薬-2-1、薬-2-2に関しまして、何か御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。
では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員
どうもありがとうございます。
資料の薬-1の対応案につきましては、これまでの部会での議論を反映したものであり、基本的に異論はございません。
また、本日御提出いただきました薬-2-1のゾコーバ錠の男性への影響に起因する催奇形性について、調査研究のデータを御提示いただきまして、感謝申し上げます。
今後、ゾコーバ錠が医療現場に流通していくに当たりまして、リスク管理と患者の安全性の確保は大前提になるものであると考えております。留意事項通知の改正等、遺漏のないように御対応いただくとともに、国民への広報は、幅広く実施していただきますよう、よろしくお願いいたします。
また、薬-2-2の抗菌薬の数量推移につきまして、薬価の低減等の影響もあり、年々販売量が減少しているということが見て取れます。この資料も提出していただきましてありがとうございます。
ただ、これはゾコーバ錠とは関係ありませんが、先日の日本製薬団体連合会様の資料にもありましたとおり、有事に向けた創薬環境、生産体制の整備に本腰を据えて取り組む必要があると考えております。今回の資料では、そこまでは見えませんが、ほかの医薬品の安定確保策に関する関係者会議等の資料などを見ますと、これらの課題については、至急対応していく必要があると思いますので、その点も留意して、今後、進めていただければと思います。
以上です。
○中村部会長
どうもありがとうございました。
また、資料薬-1に関しては、追って意見をお伺いしたいと思います。ありがとうございました。
では、佐保委員、よろしくお願いいたします。
○佐保委員
薬-1については、後ほどですか。
○中村部会長
はい、後ほどさせていただきます。今は、薬-2-1と薬-2-2でお願いいたします。
○佐保委員
では、後ほど発言いたします。
○中村部会長
ありがとうございます。少し混乱させて恐縮です。
では、資料薬-2-1、薬-2-2に関して、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
ありがとうございます。では、次に取りまとめの議論をいたしたいと思います。資料薬-1について、何か御意見、御質問等あれば、よろしくお願いいたします。
では、長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
資料薬-1の対応について(案)につきましては、これまでの議論をおおむね踏まえた内容となっており、異論ありません。
今後、薬価算定専門組織において算定案を検討され、その結果を総会にお示しいただく際は、考え方についても御提示いただくよう、事務局にお願いいたします。
私からは、以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
まず、事務局におかれましては、これまでの意見などを踏まえつつ、対応案を取りまとめいただき、ありがとうございました。お示しいただいた対応案については、おおむね異論はありませんが、意見をさせていただきます。
今回の議論を通じて、本製剤は、初めて緊急承認された薬剤であること、対象疾患の特殊性から市場規模予測が難しいこと、想定を超える患者数、市場規模にもなり得ること、比較薬と対象となる患者層が異なること、市販後は一定の在庫の確保や急な増産への対応など、感染症特有の安定供給への対応などから、これまでの薬価算定の考え方ではカバーし切れない難しい課題がありました。
このような医薬品を含め、取りまとめ案の最後にあるように、次期薬価制度改革でもこのような課題を検討していただきたいと考えます。
また、これは取りまとめに記載する内容ではなく、課題として認識いただきたいことですが、3ページ目「(2)再算定を行う際の手続」のポツの2つ目関連です。「医療機関等における薬価改定への対応に要する期間を勘案し」と記載されていますが、開封した医薬品や注射薬等は返品できません。猶予期間内に該当する患者が来局すればいいのですが、現状、必ずしもそうではありません。また、多くの患者が来局しても、在庫が少なくなれば、来局に備えて新たに仕入れを行います。拡大再算定の対象となる薬剤は、高額な薬剤が多く、かつ、最大50%の薬価の引下げが行われます。そのことは、薬局や医療機関の経営においては死活問題です。
この問題は、薬価制度だけではなく、企業に対応していただくものですが、包装単位や投与数量等の課題があることを言及しておきたいと思います。
私からは、以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
どうも御説明ありがとうございました。
まず、資料薬-1の対応案については、おおむね異論はございませんけれども、前回までの議論を踏まえまして、幾つか確認と要望がございますので、コメントをさせていただきます。
まず、1項の「薬価収載時の対応」につきましては「(1)算定方法」で、通常は1つの比較薬を選定するところ、ゾコーバの場合は複数の比較薬を選定して、ベースとなる薬価を計算する部分だけ特別な対応を行い、それ以外の部分については、補正加算だけでなく、新薬創出加算の適用や費用対効果評価の対象とするかどうかも含めて、通常どおりの考え方に従うということで理解いたしました。
前回まで薬価算定組織の裁量に対して、若干懸念も示されておりましたけれども、ここに書かれた取扱いで結構でございます。
薬価算定組織においては、複数の比較薬を用いて1つの薬価を導き出す部分についても、先ほど長島委員等からもありましたけれども、可能な限り合理的な説明ができるように、丁寧に議論のほうをお願いしたいと思います。
次に(2)の市場規模予測につきましてですが、先日のヒアリングで業界からも予測が非常に難しいという説明がございました。
感染症の中でも、コロナの流行は特に予測は難しいと思いますが、保険者としては、財政影響をなるべく正確に知りたいということもありますので、今後の感染予測や、一般流通に移行することによる変化について、十分に検討をお願いしたいと思います。
続いて「(4)保険適用上の留意事項」につきましては、かねがね要望しておりましたことを取り入れていただき、感謝申し上げます。
学会のガイドラインで推奨されているとおり、軽症患者の第一選択は対症療法であり、ゾコーバは強い臨床症状がある場合に初めて候補になるものと考えております。
さらに、先般説明もございましたが、催奇形性のリスクもあります。有効性と安全性について、患者が十分に理解し納得した上で、適切に薬剤が使用されることは極めて重要です。留意事項通知において、文書による説明と同意の取得が期待されることは、保険診療のルールとしては大変重いことですので、医療現場において通知に基づくプロセスを周知徹底いただきたいと考えます。
次に、2項の「薬価収載後の価格調整」についてコメントいたします。
「(1)再算定の方法」については、業界の要望や事務局の作業負担を考え、当面は四半期ごと定期的に、累積の販売推計から算出し、1年が経過した後は、直近1年間における販売額の推計を更新していくという方向で了解いたします。
ただ、新型コロナの先行きは、依然楽観視できず、急激な財政インパクトも否定できないことも事実であります。コロナ患者の発生状況と、医療現場におけるゾコーバの投与割合に基づいて市場動向を適時適切に把握し、1000億を超えた段階で速やかに特例再算定を適用することは不可欠だと考えております。
再算定の引下げ率や下げ止めについては、薬価収載時の市場規模予測を踏まえて検討することで結構ですが、医療保険制度が極めて厳しい状況にあり、まさに財政負担の在り方について、国を挙げた議論が行われていることも押さえておくべきことということは、指摘させていただきます。
次に「(2)再算定を行う際の手続」につきましては、猶予期間は通常どおり2か月から3か月ということですが、トータルの点につきましては、4か月程度という目安が明確になり、通常の半分に短縮されることが担保されましたので、これで了解いたします。
最後に3項の「その他」についてですが、基本的に事務局案のとおりで結構ですが、最後にあります次期薬価制度改革に向けた議論につきましては、感染症全般を射程に入れるのではなく、本資料にも記載のとおり、市場規模を予測しにくい疾患に絞って検討することを明確にしていただいたものと理解しております。
この場合でも、例えば、耐性菌が発生した場合に、最後の切り札となるような抗菌薬や、第8次医療計画で想定する新興感染症の治療薬のようなものは、実際に使うことがないような社会が望ましく、薬価による評価というよりは、むしろ公衆衛生上の課題として薬価制度以外の政策を検討したほうがよいのではないかと考えます。
私からは、以上になります。
○中村部会長
ありがとうございます。
事務局のほうから何かございますか。よろしいですか。ありがとうございます。
では、佐保委員、よろしくお願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。私からは2点申し上げます。
1点目、先ほど安藤委員、松本委員からも発言がありましたが、患者の安全性を最優先にすることを前提に、この間、私も発言してきました。痛ましいことに、直近で使用が禁じられている妊婦にゾコーバが処方されたケースがありました。
1ポツの(4)保険適用上の留意事項の3つ目の○で対応策が記載されていますが、こうした内容を踏まえ、国や医療機関、薬局においては、患者の安全性について細心の注意を払っていただきながら対応していただくよう、改めてお願いいたします。
2点目は「3.その他」で、今回の方針に関しては、本剤の対象疾患の特性等を踏まえたものであり、本剤に限った対応として議論するということに賛成してきました。
「当該承認後、速やかに中医協総会に報告し」とありますが、その検討の際には、議論が深まるよう、今後の感染動向や本剤の使用状況についてのデータ等をお示しいただくよう、お願いいたします。
私からは、以上です。
○中村部会長
ありがとうございました。
では、眞田委員、よろしくお願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。
私も今回の案につきましては、特段の異論はございません。
その上で、あえてではありますけれども、重ねて要望事項について申し述べさせていただきたいと思います。
今回の特例的な対応については、これまでも申し述べたとおり、客観性、合理性のある説明が重要だと考えております。
今後、薬価算定組織で検討が進められていくと思いますが、3月に本件を中医協に諮る際には、複数の比較薬を選定し、最終的な価格を設定した際の考え方であるとか、あるいは市場規模予測の設定の根拠等につきましても、可能な限り説明をいただきたいということを、改めて要望として申し述べさせていただきたいと思います。
私からは、以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
先ほど安藤委員から、資料薬-1についてもお考えをいただきましたけれども、何か追加で補足とかはございますでしょうか。
○安藤委員
いいえ、特にございません。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほかは、御意見等いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。ほかに御質問等ないようでしたら、本件に関する質疑は、この辺りとして、本案を本日の総会に報告するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○中村部会長
ありがとうございました。それでは、そのようにしたいと思います。
本日の議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

(了)

<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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