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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第200回議事録(2023年2月8日)

 
 

2023年2月8日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第200回議事録

○日時

令和5年2月8日(水)10:00~

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 森昌平委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 村井泰介専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 中田医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応について(関係業界からの意見聴取等について)

○議事

○中村部会長
ただいまより、第200回「中央社会保険医療協議会薬価専門部会」を開催いたします。
なお、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。
本日は、全員が御出席です。なお、秋山委員は遅れての御出席と伺っております。
本日の議題は、先週に引き続き、個別の医薬品を取り扱うことから、当該医薬品の製造販売業者に所属しておられます、石牟禮専門委員につきましては、利益相反の観点から、本日の部会には出席を控えていただくこととしております。
それでは、議題に入らせていただきます。
本日は「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応について(関係業界からの意見聴取等について)」を議題といたします。
本日は、まず、関係業界からの意見聴取・質疑応答等を行った上で、その後、関係業界の方々が退出された後に、本部会でのこれまでの議論も踏まえて、議論の取りまとめに向けた御議論をいただくこととしたいと思います。
それでは、関係業界からの意見聴取を行います。
本日は関係団体として、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会より意見を聴取するため、意見陳述者一覧に記載の皆様に御出席をいただいております。
前回の部会で検討の方向性をお示ししてから1週間後の本日に意見聴取を行うこととなり、業界の皆様におかれましては、短期間での資料準備や本日の御参加をいただきましたこと、誠にありがとうございます。
議論を進める上で致し方ないことではありますけれども、このようなスケジュールになったことを、ぜひ御理解いただければと思います。
まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に質疑とフリーディスカッションを行います。
関係団体の皆様は、最初に自己紹介を行った上でプレゼンテーションをお願いいたします。
それでは、まず、日本製薬団体連合会よりお願いをいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○眞鍋会長
日本製薬団体連合会の会長を務めております、第一三共の眞鍋です。
本日は、意見陳述の機会を賜りまして誠にありがとうございます。高額医薬品、感染症治療薬に対する対応について意見を述べます。
資料の2ページ目を御覧ください。
初めに、高額医薬品への対応について検討するのに当たり、我々の認識を述べます。
本件は、国民皆保険の持続性の観点から、現行の仕組みで対応が困難な品目についてなされるものであり、極めて限定的に行われると認識をしています。
御承知のとおり、創薬のイノベーションは、研究開発活動に莫大な費用と時間をかけて、初めて創出されるものであり、その成果である医薬品は国民の健康維持だけではなく、医療資源消費の効率化による社会保障の持続性に寄与するとともに、様々な経済活動の生産性を向上し、日本経済の成長を牽引するものと考えています。
したがって、本検討は、イノベーションの適切な評価、患者さんへの早期アクセスの確保、企業の予見性の確保を前提に据え、より丁寧に進めていただくよう強く要望します。
高額医薬品への対応自体は、国民皆保険の持続性に必要な措置で、否定するものではありませんが、今回、本ルールの対象品目として、感染症治療薬が選定されたことについては、大変な違和感がございます。
今回、COVID-19パンデミックで得た教訓を含め、感染症領域の創薬の難しさ、ビジネス上の課題などを中心に説明いたします。
資料の3ページ目を御覧ください。
COVID-19パンデミックでは、スペイン風邪などの過去のパンデミックと同様、感染症は「いつ・どこで・何が」、パンデミックを引き起こすのか予測が困難であること、誰もが感染、発症し、死に至る可能性があることを改めて認識いたしました。
また、今回、近年のグローバル社会の急速な進展に伴い、感染者は各国だけの対策では不十分で、世界的に取り組まなければならない課題であることを学びました。
つまり、感染症対策は、国家の公衆衛生上の大きな課題と捉えなければならず、将来のパンデミックを見据え、準備をしておくことが必要です。
4ページ目を御覧ください。
感染症は、流行時期の予測が困難、かつ、現状の危機管理体制の整備が不十分であることを勘案すると、将来の次のパンデミックに向けた対策は、今から強化していくことが必要と考えます。
具体的には、感染症対策を国家の安全保障にも密接に関わる重要課題と位置づけた上で、産官学が連携し、平時から備えを強化すること、有事に備える枠組みを構築することが重要です。
枠組みとしては、例えば、感染症領域の研究開発が継続でき、安定生産・供給を可能とするインセンティブ制度の拡充、有事の際に迅速に対応できる治験体制の構築、有事、平時に柔軟に切り換えて対応可能な法整備、レギュラトリーサイエンスに基づく評価指標の整備などが必要と考えます。
5ページ目を御覧ください。
今までCOVID-19パンデミックの経験を基に意見を述べましたが、世界にはそれ以外にも警戒すべき感染症が多く存在しています。例えば、HIV、マラリア、結核といった3大感染症や、顧みられない熱帯病、薬剤耐性、AMRなどです。
特にAMRは、サイレントパンデミックとも呼ばれ、今後、有効なAMR対策が取られなかった場合、2050年までに年間1,000万人以上が死亡、経済的インパクトは、100兆ドルに及ぶと報告されています。
AMR対策は、地球規模で取り組むべき課題として、今年のG7広島サミットでも重要アジェンダの1つになるものと思われます。
つまり、これらの様々な感染症に対して対策を講じていくことが必要となります。
次に、感染症治療薬の開発やビジネス上の課題を説明します。
6ページ目を御覧ください。
このグラフは、我が国の医療用医薬品生産額の主要薬効別の構成比の推移を表したものです。
近年、腫瘍用薬の生産額の割合が増加する一方で、抗生物質製剤については、1980年代前半の25%以上の水準から2000年に向け、その割合が大きく低下し、その後の20年間は、5%以下の低水準で推移をしています。
7ページ目を御覧ください。
ここでは、感染症治療薬のビジネス成立が難しい主な理由を説明します。
新薬の開発においては、莫大な額の研究開発を先行投資し、それを収益という形で回収し、さらにこの利益を新しい薬の研究開発に回すというサイクルで、ビジネスを成立させています。
感染症治療薬の場合は、社会的なニーズが高く、投資が重くのしかかる一方で、収益については、適正使用推進や、流行規模の違いで抑えられる、あるいは著しく予見性を欠いているのが現状です。
実際、この課題から近年、抗菌薬市場からの相次ぐ撤退や、抗菌薬を扱う企業の破産・買収が起きています。
つまり、直面するビジネス上の課題を解決しない限りは、同領域の研究開発は進まない上、さらに撤退する企業も増えてくる可能性もあります。
8ページ目を御覧ください。
感染症治療薬の開発のリスクの1つとして、臨床試験の難しさについて説明します。
まず、被験者のリクルートについては、流行に大きく左右され、非流行期には、治験に参加していただく対象感染者が少なくなります。
一方、流行期については、その流行期間の予測が難しいことに加え、大流行した場合には、医療体制が逼迫することで、治験への対応が困難になります。
また、ワクチン接種や流行株によって、患者の症状が変化するため、これが臨床試験のデータに影響を与えます。このことは、臨床試験の立案上の大きなリスクとなります。
さらに承認を取得した適応と流行時の症状が異なった場合には、承認を取得した薬剤を使用することができなくなり、臨床試験だけではなく、ビジネス上の大きなリスクとなります。
資料の9ページ目を御覧ください。
さらにビジネス用のリスクについて説明します。
本グラフは、季節性のインフルエンザの年ごとの発生動向を示したものです。御覧のとおり、2018年、2019年のように大きく流行する年もあれば、2020年のように流行が小さい年もあり、また、COVID-19が流行した2021年以降は、インフルエンザは全く流行していません。
これら流行の規模は、関連する医薬品の収益に大きな影響を与えます。つまり収益の予見性の低さもビジネスの視点では、投資判断を困難にする要素の1つとなります。
資料の10ページ目を御覧ください。
感染症治療薬に関する課題をまとめています。
まず、感染症治療薬は、流行や外部要因に大きな影響を受けることから開発が難しく、また、生産計画を立てにくいということ。
一方で、安定供給の義務により、流行にかかわらず、一定量の生産が求められます。パンデミックへの対策は、公衆衛生上の大きな課題であるものの、感染症治療薬はビジネスとして成り立たすことは困難であることを踏まえると、本来的にはワクチンを含めた国の感染症対策の中で検討されるべきと考えます。
資料の11ページ目を御覧ください。
これまで意見を述べさせていただいた内容を含め、製薬協では、将来のパンデミックに備えた政策提言を取りまとめており、近日中に公開する予定です。
資料の12ページ目を御覧ください。
本来的には、国の感染症対策の中で検討されるべきというのが基本認識であることを前提に、最後に薬価上の対応の方向性に係る意見を述べます。
まず、高額医薬品への対応として個別の薬価算定ルールを適用する際には、これまで御説明をした感染症治療薬の特殊性や当該企業の意見を十分に踏まえた上で、薬価算定いただきたいと考えます。
令和4年度薬価制度改革の骨子において、高額医薬品の定義は、年間1500億円の市場規模を超えると見込まれている品目とされていることから、この定義を踏まえ、別途推計したデータを用いて実施される再算定の対象は、1500億円超の場合に限るべきと考えます。
また、この場合の薬価の引下げ額の計算方法においては、引下げ率の上限など、現行の市場拡大再算定の特例よりも厳しくなる方向で見直す必要はないと考えます。
私からの意見陳述は、以上です。どうも御清聴ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、次に、米国研究製薬工業協会となりますが、本日のプレゼンテーションは、逐次通訳となります。
では、在日執行委員会のシモーネ・トムセン委員長、よろしくお願いいたします。
○シモーネ・トムセン委員長
PhRMAの代表といたしまして、PhRMAの意見を述べさせていただきたいと思います。
また、先ほどの中村部会長の御発言にもございましたように、2月1日、ゾコーバ錠に関しまして、中医協での議論があった後、本当に少ない日数の中で、私どもといたしましては、このプレゼンテーションを準備させていただきました。
その中で、私どもの意見として申し上げたいことがございます。特に、市場規模が大きくなる可能性のある品目の薬価算定に関する対応について、意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、私のプレゼンテーションをさせていただく前に、3つの重要なポイントがあるということを前もって申し上げたいと思います。
まず、1つ目でございますけれども、日本の医療制度、特に国民皆保険制度を維持しつつ、また、イノベーションに対しましては促進しなければならない、この間のバランスをしっかりと取っていかなければならないということについては、理解をしております。
今申し上げましたように、この国民皆保険の継続とイノベーションの両立を図ることが重要であることは理解しておりますけれども、市場規模が大きくなる可能性があることを理由に、薬価算定や保険適用の判断において、ルール外の運用をあまりに多用することは、薬価制度への予見性を損ねるおそれがあり、できる限り避けるべきであると考えております。
特に海外企業からは、既に薬価制度における予見性に懸念があると映っている中で、このようなことをされるということは、大変問題であると思っております。
つまり、こうしたことが引き続き起こっていけば、既に日本の患者様にとって問題となっておりますドラッグラグや、ドラッグロスを悪化させることになりかねません。
第2に、市場規模予測というものは、多くの仮定の上につくられております。ですので、変数の取り方次第では、大きく変化するものです。1500億円超と見込まれる品目に該当するかどうかにつきましては、当局と関係する企業の間で十分に協議された上で判断する手続が取られるべきと考えております。
第3のポイントといたしましては、感染症の治療薬は、感染が拡大した際にも、安定供給に支障を来さないように、安全在庫を常に確保するための大変大きな投資が必要となりますが、その一方で、感染が拡大しなければ、大量の廃棄が生じるというハイリスクの事業でもあります。
保険財政への影響のみならず、そうした感染症治療薬の特殊性、イノベーションの必要性を踏まえた、バランスの取れた対応が必要と考えます。
次に、スライドの3ページをお願いいたします。
この市場規模が大きくなると予測される品目に対する市場拡大再算定の適用について、意見を述べさせていただきます。
感染拡大により一時的に需要が増加した後、感染が急激に縮小し、実際の年間販売額が推計値に達しない可能性も十分に考えられます。
そのため、直近3か月の市場規模を4倍にして、年間販売額を推計するという方法を取りますと、その結果として、市場規模の推計が過大となる可能性があります。再算定を適用する場合には、実際の年間販売額の合計を基準に適用を判断すべきと考えます。
また、最後に申し上げたいことがございます。市場拡大再算定につきましては、現行でも既に非常に厳しいルールとなっております。ですから、それよりも、さらに引下げ率を厳しくする、また、その上限について現行よりもさらに厳しい対応を行う必要はないと考えます。
PhRMAからの意見は、以上でございます。ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、次に、欧州製薬団体連合会より、お願いいたします。
岩屋会長、よろしくお願いいたします。
○岩屋会長
おはようございます。欧州製薬団体連合会、EFPIA Japan会長の岩屋孝彦です。
本日は、このような発言の機会を与えていただき、感謝を申し上げます。
今回の高額医薬品として1500億円の市場規模を超える品目の承認が見込まれ、本方針が初めて適用されることになりますが、私どもの視点から申し上げれば、2点、大きく懸念を感じております。
まず、1つ目といたしまして、新薬の革新性の度合い、あるいは患者、社会における必要性にかかわらず、実質的には、この1500億円という市場規模で、イノベーションの対価に上限が設けられてしまう、あるいは海外からはそういうふうに見えてしまう、そういう状況。
そして、2つ目といたしまして、その市場規模だけの視点で売上を、薬価を切り下げることによって制限する、もし、そういう検討が行われた場合には、その薬価について、海外への薬価の影響というのも考えざるを得ない、この2つであります。
市場規模が大きいことのみを理由に薬価を下げるという事態が起きますと、今、申し上げましたように、日本の薬価を参照する他国への影響を含めて、日本の市場としての価値、革新的な医薬品の上市の判断に影響を与えかねず、結果としては、日本の患者に対して大きなリスクとなるということを強く懸念しております。
このことを踏まえまして、今回の方針と様々な例外的なルールの適用につきましては、当該メーカーの意見に十分御配慮をいただきますとともに、該当薬剤の対象疾患の特性等に鑑みて、非常に限定的な対応としていただくことをお願いしたいと考えております。
今後のルール適用につきましては、グローバルにおける我が国の市場の位置づけや、イノベーションの評価の観点などから慎重に御判断をいただくようにお願いしたいと考えております。
私どもからは、以上でございます。ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございました。
では、一通りの御説明をいただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。なお、御質問は日本語でお願いいたします。
では、長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島委員
関係団体の皆様、御意見ありがとうございました。
日薬連とPhRMAに安定供給について御質問いたします。
こういった有事の際には、今回のように、国による買上げと、保険適用を組み合わせる形で進めることになると考えています。
単に迅速に保険適用するばかりでなく、安定供給を見越した値づけが必要という御主張には、理解できる部分もありますが、中長期的には、医療保険財政の視点も極めて大事であります。
これらのバランスの取り方について、業界団体としてどのように考えておられるのか教えてください。
私からは、以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。では、後でまとめて御回答をお願いできたらと思います。
では、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
まずは、各団体におかれましては、御説明いただきありがとうございました。その中で、幾つか意見と質問をさせていただきたいと思っております。
まず、日薬連からの御説明の中で、患者さんへの早期アクセスの確保、それから、個別の薬価算定ルールを適用する際は、感染症治療薬の特殊性や、当該企業の意見を十分に踏まえることとありますが、重要な御意見と思います。
国民皆保険の持続可能性の範囲内でイノベーション促進を評価していくということは、重要な視点と考えます。
また、PhRMAからの御意見の中で、市場拡大再算定の適用の直近3か月の市場規模を4倍にして、年間販売額を推計する方向について懸念が示されております。できる限り精緻に、過大、過小な推計とならないような方法で実施すべきで、年間を通じて販売額の推計データの活用などの方法について検討することも考えられると思います。
一方で、医療保険財政への影響を考えると、迅速に推計して判断することも重要です。また、感染症治療薬の特性を踏まえた安定供給の確保も重要な視点となると考えます。
また、EFPIAからの御意見で、今回の対応は、本剤に限ることはそのとおりと思いますし、日本市場の位置づけやイノベーションの評価の観点などから、極めて慎重に判断していくことは重要な指摘と受け止めました。
以上が意見となります。
ここからは質問となりますが、本剤は、緊急承認された初めての薬剤であり、現状、有効性などは推定の段階で承認され、その後、一定期間内に本承認を行うなど、通常承認の流れとは異なりますが、業界として緊急承認された医薬品の薬価算定については、どのように受け止められておりますでしょうか。この件については、各団体から、受け止めや御意見を伺えればと思います。
私からは、以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、すみません、松本委員と安藤委員のほうからお手が挙がっていますけれども、今、長島委員と森委員のほうから御質問がありましたので、こちらのほうの回答のほうをよろしくお願いいたします。
では、まず、日薬連の眞鍋会長から、お願いできますでしょうか。
○眞鍋会長
御質問をいただいたところで、まず、安定供給を含めて重要なのは、もちろんでございます。そういう認識の下ですが、今日御説明しましたように、感染症の治療薬は、非常に特殊性があるというのは、まず御理解いただいて、いつ、どこで、どの程度の広がりを見せるか分からないということです。
そういう中で、従来、持っている技術というものが、すぐにそこに生かせるかというのも分からない状況で、緊急の対応が要るということです。
しかしながら、なるべく早く患者さんに貢献したいという立場から、今回のような形で対応をしていただいているという状況を、まず、御理解いただいた上で、この特殊性の中で、長期的にはイノベーションの推進と、国民皆保険の維持という両方の側面から、もう一度再度見直すということも必要だと思います。まずは、緊急に必要であったということを考えていたことと、感染症の特殊性というのを理解していただくことが1つと、あとは、その中で、イノベーションと国民皆保険の維持というバランス、その中の議論の中でも、薬価の制限と薬剤費の制限という立場からのみ議論をするのではなくて、あくまでも、今、言いました2つのバランスをうまく考えていただければと思っております。
○中村部会長
では、先ほど森委員から出てきた緊急承認の薬価の話についても、先ほどの御回答の中で含まれるということでよろしいでしょうか。
○眞鍋会長
では、少し追加をさせていただくと、あくまでも一日でも早く患者の方々に届けしたいという状況の下で対応をしたということを、まず、理解していただくということが一番で、イノベーションと国民皆保険の維持ということについては、その中で考えなければいけないということであります。
また、いろいろなデータのところで、追加のデータが必要だということも、もちろんございますので、その場合は、そのデータをもって、また、議論の俎上に載ることもあるかとは思っております。
○中村部会長
ありがとうございました。
では、次にPhRMAのトムセン委員長、よろしくお願いいたします。
○シモーネ・トムセン委員長
御質問の中に四半期の需要を基にして、1年間の需要の予測、販売の予測をする、この計算の方法についての御質問があったかと思いますので、それについてお答えさせていただきたいと思います。
私どもといたしましては、やはり実際の年間の販売額を基にして計算すべきだと思います。今、提案されておりますように、例えば、直近の四半期の数字のみを見てみますと、そのときは、たまたま売上げが大きかった、需要が大きかったということがあったかもしれませんが、その次の四半期には感染が急速に収まって、そして、売上げが急速に下がるということもあります。
ですので、このように提案されております四半期のみの数字を基にして、年間を予測することには無理があると思います。つまり、実際には予測した数字よりも、もっと低い数字の売上げになる可能性があると考えております。
そして、このように非常に大きな上がり下がりがあるとか、スパイクがあったり、なかったり、また、急激に需要が下がるということは、感染症の特徴でもございます。
この会議の中にも専門家の方がいらっしゃいますので、お分かりいただけると思いますが、ここ3年間を見ましても、急激に感染が広がり、その後、次の波では、また急激に上がり、そして、また下がるというようなことが何回も繰り返されてきました。
ですので、こういった状況の中で、これまでの市場拡大再算定の考え方を使って、薬価を下げるというやり方については、私どもとしては無理があると思いますし、もし、そのようなことをされるのであれば、しっかりと十分に議論される必要があると思います。
そして、そのためには、関係する企業も交えた上での、できるだけ早期の段階からの議論が必要であると考えます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、長島委員からは、日薬連とPhRMAへの質問でしたが、EFPIAの岩屋会長様のほうにも、バランスの取り方について、あと、森委員からの緊急承認の薬価に関しての御質問にも、コメントあるいは御回答のほうをよろしくお願いいたします。
○岩屋会長
ありがとうございます。
まず、革新的医薬品と財政安定供給、そういったもののバランスにつきましてですけれども、既に日薬連から、あるいはPhRMAからもコメントがありましたが、私どもの国民皆保険の中で、きちんと革新的な医薬品というのを位置づけてもらうというのが、結局、医薬品のもたらす医療上の効果を考えても、国民皆保険というものを中長期的に維持していく上で、非常に重要な要素であると認識をしております。それが、まず、最初の回答でございます。
2つ目の緊急承認されたものについての薬価の考え方でございますが、これにつきましては、これから委員の皆様方の間でも議論されることと認識をしておりますが、私が思っておりますのは、緊急承認をされるというのは、よっぽどの医療上の必要性があって、まさに急いで承認しなくてはいけないと、そういう差し迫った状況での承認をされる、そういう医薬品であろうと、革新的な医薬品であろうということを前提に考えますれば、この革新的な医薬品に対して、仮にペナルティーになるような、そういう形での薬価づけというのは、おかしいのではないかなと、率直に言えば、感じております。
有効性の推定が、仮に市場で使われた結果、当初予想していたほどではなかったということが、仮にあった場合であっても、私は、それに対してペナルティーを与えるというのは、リスクを取る、そういう行動を行う企業がいなくなってしまうので、反対であります。
このような医薬品については、ぜひとも、それをエンカレッジするような、そういう薬価上のお取扱いをお願いできればと考えております。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
長島委員、森委員、よろしいでしょうか。
では、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員
日本薬剤師会の森でございます。各団体、ありがとうございました。
緊急承認の発動の要件ですけれども、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延、その他の健康被害の拡大を防止するために、緊急に使用されることが必要な医薬品となっており、国民が緊急時にそうした医薬品にアクセスできるようにしなければならないと思います。
緊急承認された医薬品の薬価算定方法や、本承認時の薬価算定をどうするのかについては、検討課題とすべきと考えます。
以上です。ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございます。
すみません、お待たせいたしました。では、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
どうもありがとうございます。
まず、3団体の代表の皆様、短期間で資料を御準備いただき、また、プレゼンをいただき、どうもありがとうございました。お礼を申し上げます。
各団体のプレゼンを拝聴した印象としましては、今回、特定の医薬品を対象としているということもあって、なかなか各団体としては、やはり高額薬剤であるとか、感染症治療薬の一般論にならざるを得なかったということは、やむを得ないと受け止めました。
また、日薬連からは、今後の新型コロナを踏まえた、今後のパンデミック対策についての御提案もいただいておりますけれども、これについては、中医協の範囲を少し超えている部分も多いかなと思っております。
そこで、私からは、ゾコーバに限った対応ということを十分意識して幾つか質問を差し上げたいと思います。
まず、日薬連の資料の6ページに、抗菌薬の生産金額が40年前に比べて相対的に低くなったという御説明がございました。
背景としては疾病構造の変化、抗菌薬の適正使用、長期収載品が多いといった様々な要因があるのだろうと思います。
ただ、ゾコーバ自身は、抗菌薬ではなく、抗ウイルス薬であるというものです。できれば、抗ウイルス薬の市場動向がどうなっているのか、どうお考えになっているのかを教えていただければと思います。
次に、同じ日薬連さんの資料の9ページ目で、インフルエンザ治療薬を例に挙げて、予見性の低さを指摘されております。
また、PhRMAからも感染症の特殊性について、同様の御意見がございました。
保険者の立場としましては、ゾコーバが対象とする新型コロナウイルス感染症、特に重症化リスクのない患者は、増減を繰り返しつつも、今後しばらくの間は、一定規模で続くだろうと想定しております。
新型コロナ感染症の見通しについて、皆様方がどういうふうにお考えなのか、御意見を伺えればと思います。
同じく7ページ目のところに、ビジネスモデルの説明をいただいております。今回、報道等を見る限りでは、ゾコーバの開発、生産に当たっては一定規模の補助金が出ている、あるいは一定規模の政府介在がなされているということが報道されております。
これによって、私個人としては、リスクは相当なくなっていると認識しておりますけれども、これについては、どうお考えなのか。なかなか個別のことでお答えしにくい要素もあるかと思いますが、一般論としてお答えいただければと思います。
最後は、お願いになります。3団体それぞれからイノベーションの評価について御意見がありましたが、新型コロナウイルス感染症のように、急激に患者数が拡大する疾病の場合、保険財政に短期間で極めて大きな影響があります。
再算定で迅速かつ厳正な対応ができないということであれば、収載時の薬価でイノベーションを評価すること自体も、かなり難しくなると考えております。
保険財政そのものが深刻な状況であることを踏まえれば、イノベーションを評価するにしても、一定の制約があることは、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
私からは、以上になります。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、安藤委員から御意見、御質問をいただいた後に、まとめて御回答をいただければと思います。
では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
3団体の皆様、資料並びに御説明、ありがとうございました。今回のゾコーバの話から少し離れるかもしれませんが、日薬連様の資料の6ページと7ページにあります、経済安全保障上の重要物資でもある抗菌薬の生産額割合が、25%以上あったものが、この30年で5%以下に低下しているということについて御説明がありました。その原因についても御説明がありましたが、これに関して、お示しいただいた資料は、金額のみとなっております。金額のみですと、どのぐらいの量の変化があるのかというのが、分からないので、数量に関する年次の推移というのが、もしお分かりであれば、お教えいただきたいなと思います。
以上です。
○中村部会長
安藤委員、どうもありがとうございました。
では、いただいた御質問がありますので、では、まずは日薬連の眞鍋会長のほうから、お願いできますでしょうか。
○眞鍋会長
松本委員からの最初の質問で、私どもの6ページ目のところ、抗生物質製剤の構成比が下がっているというところで、これは抗生物質なので、まずは、ウイルス剤はどうかということですが、ウイルス剤で、例えばHIVや、あとはC型肝炎が大きなところでございまして、C型肝炎は一時的に流行し、今は収まっているというのは御存じのとおりだと思います。
HIVについては、ある程度継続しつつ、抗ウイルス薬の生産も続いているということで、全体として、抗菌剤に比べてそれほど落ちているという認識はございませんが、ただ、今回のゾコーバについては、従来の抗菌剤が対象とするような感染症と同じで、予想ができない段階で急激に発症が広がって、また、その収束が見えない中で薬を作っているということなので、非常にビジネスとしても、また、発症の仕方としても、抗菌剤と同じような形で動いているという意味を含めて、御説明をさせていただきました。
それから、今回のCOVID-19を含めたコロナ感染症の動向の見通しですが、例えば、インフルエンザにしても、我々は十分な経験を今までしてきていますが、それにおいても、どのように広がって、どのように収束するかというのは毎回の課題で、うまく経験則からは導かれていません。
その上で、今回はCOVID-19を我々は初めて経験しているものですから、今までいろいろな形で予測が、1波、2波、3波と起こっていますが、なかなか予測ができていないという状況なので、極めて難しい。いろいろな想定はしますけれども難しく、その中で対応しないといけないというのは、十分理解していただければと思います。
それから、ゾコーバ自体の事業性のことについては、個別のことなので、私からは御回答することはありません。今日も御説明したつもりですが、感染症薬の難しさということを含め、将来に向けて準備をしておく必要がある。1剤だけの事業性だけでは、もちろん判断できませんし、このような製品についても、今後の収束の仕方、感染症の広がりの中で、判断が難しいという状況を考えていただければ、極めて特殊であるということを申し上げたいと思います。
それから、もう一度6ページのところで、金額のところと量のところですけれども、ちょっと今のところデータを持ち合わせていないので、必要に応じ、お届けできればと思っております。
私からは、以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、PhRMAのトムセン委員長、何かありましたら、よろしくお願いいたします。
○シモーネ・トムセン委員長
私のほうからコメントを2つさせていただきたいと思います。まず、委員の皆様方に、御理解いただきたいことといたしまして、例えば、今、新たに感染症のアウトブレークが起きたといたします。そうしますと、それに対応すべく、できるだけ早く治療薬を開発しなければならないというところから、適切なインセンティブをできるだけ多くの企業に与えることによって、できるだけ早く新たな薬剤が開発されるようにしなければなりません。
なぜ、私が今、こういったことを申し上げているかといいますと、やはり現在のコロナの状況を見ても、また、ゾコーバの問題が、今、議論されていることを見ましても、ぜひ皆様方にご理解いただきたいからです。
つまり、今回のコロナのアウトブレークに当たりましては、非常に短い期間で、私どもは臨床試験を行い、そして、生産の設備を整え、そして、多くの皆様にそれをお届けするという、これを普通であれば、少なくとも3年、4年はかかるようなことを、本当に1年以内で行うことができました。そして、それができたのも非常に大きな投資をしたからであります。
今回、弊社におきましても、実はコロナ治療薬ということで3剤開発をいたしまして、そのうちの1剤は、日本でも承認をされております。これに対しましても非常に大きな投資を短期間で行うということを決定したからできたわけでございます。
このような私どもの企業側の努力に対しましては、ぜひこれが正しいやり方であるというシグナルをいただきたい。インセンティブをいただきたい。つまり、薬価という面におきましても、また、保険償還の面におきましても、しっかりとこういった私どもの努力が報われるようなシグナルやインセンティブをいただきたいと考えております。
ですので、薬価を考える際には、どれだけ大きな投資を短期間でしなければならなかったかということも含めて御配慮をいただけるとありがたいと思います。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、次は、欧州製薬団体連合会の岩屋会長、お願いいたします。
○岩屋会長
私のほうからも、2点コメントをさせていただきます。
まず1つは、インフルエンザの状況も踏まえつつ、コロナが、これ以降どうなっていくか、どういう見通しをしているかという御質問があったと思いますけれども、一言で申し上げれば、非常に見通しが難しいと。これは、我々の参加企業、全て同じだと思いますけれども、コロナがだんだん収束をしていくパターン、それが収束していかないパターン、両方の可能性を見ながらビジネスを走らせていると。そういう意味では、今まで以上にリスクを背負った形での、恐らくビジネス運営をしているというのが実態であると考えております。
もう一つ、本剤の開発に当たりまして、補助金が投入されているということで、リスクを若干軽減しているのではないかという御指摘があったと思います。
その点におきまして、研究開発に当たる費用の一部を国から補助金という形で、負担をしていただいていることは、これは事実だと認識しておりますが、これも非常に特異な、通常であればないことが行われたという背景は、すべからく、それだけリスクが大きくて個社の開発だけでは背負い切れないようなリスクというのを、国が感じていたということだと思いますし、さらに言えば、非常に緊急性が高かったということの証左だと思います。
この結果、実際に研究開発されて出てきた本剤について、今度は薬価上の、繰り返しで申し訳ないのですけれども、ペナルティーに近いような制限というのが加わりますと、これは、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるような状況になりかねないのではないかなというのが、私自身が、今、感じていることであります。そういうことのないように、ぜひ委員の皆様の御配慮をいただければと思っています。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
松本委員、安藤委員、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
安藤委員からの抗菌薬の量的な変化についての質問がありましたので、よろしければ、後でまた事務局等を通じて、資料を提出いただけるとありがたいと思います。
ありがとうございます。
では、ほかに御質問あるいは御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
あと、専門委員のほうから何か補足等ございますでしょうか。よろしいようですね。
ありがとうございました。
では、御意見、御質問も出尽くしたようですので、関係業界からの意見聴取については、ここまでとさせていただきます。関係業界の皆様におかれましては、御退室のほうを、よろしくお願いいたします。
本日は、どうもありがとうございました。

(日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会退室)

○中村部会長
では、続きまして本議題の検討に入りたいと思います。
事務局より資料が提出されておりますので、説明のほうをよろしくお願いいたします。
では、安川薬剤管理官、よろしくお願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。資料薬-2を御覧ください。
この資料ですけれども、前回の部会でお示しした論点と対応の方向性に関して、いただいた御意見を項目別にまとめているものでございます。
2ページ目、こちらは、論点1の収載時の薬価算定の方法についてでございます。「算定方法」、「収載に向けた手続」、「投与に当たっての留意事項」について関連する意見を示しているものでございます。
3ページ目、こちらは、論点2の投与対象者数や市場規模予測、薬価収載後に価格調整を行うルールの適用についてでございます。「再算定の方法」、「再算定を行う際の手続」について関連する意見をまとめております。
4ページ目、こちらは、「具体的な運用方法の論点」について関連する意見をまとめたものでございまして、薬価収載時の市場規模予測の設定、四半期ごとの年間販売額の推計、再算定の特例で用いる算定式、引下げ率や、その上限について示していますが、そのときにいただいた意見をまとめているものでございます。
5ページ目、こちらは、「その他の意見」ということで、本承認時に改めて本剤の薬価を検討すること、あるいは今後の感染状況等からさらなる対応が必要となった場合には改めて対応を検討することなど、全般的な対応に関する意見をまとめております。
以上が、前回の意見をまとめた資料になっております。
以降に参考資料としてつけていますのは、前回までの資料でございます。
前回示した対応の方向性につきましては、参考資料の中に含めております。
資料の説明は、以上となりますけれども、本日は、前回お示しした対応の方向性に関して、これまでの議論や、先ほどの業界からの意見聴取における説明、質疑応答を踏まえまして、追加の御意見、御質問をいただければと考えております。
私のほうからは、以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、先ほど行った業界からの意見聴取の内容を踏まえまして、本件に対する対応について、追加で御質問あるいは御意見等がありましたら、よろしくお願いいたします。
では、長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
感染症は、流行しないと評価ができず、また、販売量の予測も立てづらいという困難さがあるとの業界の御主張は、そのとおりであると思います。
その意味では、その時々の状況を踏まえた柔軟な対応が必要であり、再算定も柔軟かつ迅速に行うという対応に尽きるのではないでしょうか。
したがって、そういった趣旨を踏まえ、推計値で判断するという本剤に関する特例の対象は、年間市場規模が極めて大きい品目である1000億円を超える場合のルールに適用することが必要と考えます。
ここで、先ほど業界が指摘された御意見について、事務局に質問をいたします。
PhRMA提供の資料薬-1-2において、直近3か月の市場規模を4倍にして、年間販売額を推定する方法は、過大推計となる可能性があるため、実際の年間販売額合計で再算定の適用を判断すべきとされています。
直近1年間の推計データを基に判断することにより、当初提案されていた直近3か月間の場合と、再算定を行う迅速性は変わらないという理解でよいのでしょうか。市場規模がどのように推計されることになるのか、次回でもよいので具体例を示していただくようお願いいたします。
私からは、以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、薬剤管理官、よろしくお願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
推計データに関してでございます。「対応の方向性」では、推計値を用いて年間の市場規模を算出するということとしております。
そういった観点から申し上げますと、当初提案をしております、直近3か月間ということでも、直近の1年間ということでも、四半期ごとに迅速に市場規模を推計して再算定を行うという点は、変わらないと認識をしております。
ただし、収載してから1年間は、実際には1年間そのもののデータはないので、直近の3か月間あるいは6か月間とか、そういう再算定を判断すべき四半期のタイミングで把握できる期間のデータを基に年間の市場規模を推計して再算定を行う、ということになるのかなと思っております。
ただ、これに加えて、「その他の意見」の中でも触れておりますが、本剤は、本承認の際に、再度薬価に関して検討すべきという御意見もいただいており、「対応の方向性」でもその旨を資料として示しているものでございます。
直近の1年間の推計データが入手できる時期になる頃には、本承認の結果とか、あるいはそれまでの感染状況等を踏まえて、再算定、薬価そのものについても、改めて議論するということも可能と思われるところでございます。
現時点で可能な範囲での説明は、以上となります。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島委員
データが入手できる期間によって違ってくるということと理解しましたが、基本は、急激な市場拡大に対応できるということが大前提と考えますので、そのような対応をお願いいたします。
私からは、以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
先ほどの意見を踏まえて、幾つか発言をさせていただきたいと思います。
今の推計のところですけれども、先ほども発言させていただきましたけれども、医療保険財政の影響を考えると、迅速に判断するということは必要だと思っております。
難しいのですけれども、そこはできるだけ精緻な推計方法を考えるということで、例えば、収載後の年間販売額の把握については、年間を通して市場規模を把握していって、ピーク等を捉えて、前後の月も参考にして、その時点での年間販売額を推定して判断していく対応も一つの考えだと思っております。
また、市場拡大再算定における引下げ率の上限についてですけれども、薬剤の特性等から現行のルールの範囲内では対応が追いつかない可能性が懸念されますが、一方、推計に基づいて行われること、感染の動向に影響されることもあり、予想販売額を大きく下回ることも考えられます。
薬剤の特性から年間販売額の予想は難しく、現行のルールを基本としつつ、推計に基づき再算定を実施し、その上で、さらに財政に多大な影響が出た場合の対応方法は検討しておくべきと考えます。
私からは、以上です。よろしくお願いいたします。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
先ほどまでの議論を含め、前回の議論を踏まえまして、意見を述べたいと思います。
まず、今日、業界からは特に御意見がありませんでしたけれども、前回までの議論の中で、収載時の薬価設定の折に、類似薬効比較方式で複数の比較薬を用いることについては、委員の間では、ほぼ意見の一致を見ておりましたし、今日、特に業界からも異論がございませんでしたので、これについては、これをベースに合意できたものと考えていいのではないかと思っております。
その上で、ゾコーバについては、従来も述べておりますけれども、新型コロナの既存の経口薬よりは、インフルエンザの既存の経口薬に近いというのが、健保連の考え方でございます。
一方で、安全性に関しまして、投与に当たっての留意事項の文章の説明は極めて重要だと考えております。
承認条件は、企業に対して課されているものであり、医師に対する規定ではないため、保険診療上の取扱いとして、留意事項通知にその旨を明示すべきであると考えております。
次に、再算定の猶予期間に関してでございますが、これも前回の議論の中で、発動前の期間については4か月程度まで圧縮が可能であり、再算定の猶予期間を2、3か月と見込んでおいても、整合性が十分取れるという御発言をいただいておりますので、それをベースに、ぜひ進めていただければと思います。
それと、ほかの委員から御発言がありました、市場規模の観察期間でございますが、四半期に固定せず、連続した3か月のローリングというのが可能であれば、そのほうがよいのではないかと考えます。
一方、長島委員からも御発言がありましたけれども、特例再算定の適用基準については、1000億超を基準として引下げ率と下止めについては、新型コロナが急拡大した場合の保険財政の影響を踏まえれば、特に厳しく対処すべきであると考えます。
私からは、以上になります。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
本日、御提示いただいた資料について、意見を述べさせていただきたいと思います。日本製薬団体連合会の資料11ページの有事に向けた創薬環境、生産体制整備につきましては、コロナ禍や世界情勢の不安定化の中、非常に重要な課題であると認識しております。
医薬品の安定供給に支障が生じている現状への対応と合わせて、医薬品業界の構造的な課題と根源的な部分についての議論と対策を図っていく必要があると考えております。
また、例えばですが、昨年の4月13日に行われました、財政制度審議会の中の財政制度分科会に提出された資料の中に、薬剤費の適正化に関する提言が幾つか盛り込まれておりました。
そのようなことも、医療保険部会であるとか、この中医協でも議論をしていく必要性があると思います。
資料の3ページにおいて、先ほど長島委員からも指摘がございましたが、市場拡大再算定について、直近3か月の市場規模を4倍にして年間販売額を推計する方法は、過大推計となる可能性があるため、実際の年間販売額合計で再算定の適用を判断するべきとの記載がございます。
しかし、今回のコロナのような感染症患者の急激な拡大による保険財政への影響を最小限に抑えるためには、現行ルールよりも柔軟かつ迅速に対応できる仕組みが必要であると考えております。
連続した3か月間の推計から、年間市場規模を算出すべきであると考えますが、業界からの意見にもありましたが、迅速性を求めるために、3か月間の推計で行った場合、市場規模よりも大きく下回った場合の対応についても検討すべきであると考えております。
いずれにせよ、医薬品業界に対して、新薬開発へのイノベーションを起こすことへの意欲を阻害しないこと、また、丁寧な議論が行われることを前提として、本部会で行ってきた議論の全体的な方向性には、御賛同いただけていると思っております。
引き続き、様々な可能性を想定した上で議論を進めていければと思っております。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、ほかに御意見、御質問等よろしいでしょうか。
ありがとうございます。ほかに御意見等ないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとし、今後、事務局において、本日いただいた御意見を踏まえ、御対応いただくようにお願いいたします。
では、本日の議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

(了)

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