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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第195回議事録(2022年12月16日)

 
 

2022年12月16日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第195回議事録

○日時

令和4年12月16日(金)12:15~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 有澤賢二委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 村井泰介専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 中田医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○令和5年度薬価改定について

○議事

○中村部会長
 ただいまより第195回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。
 本日は、佐保委員と秋山委員が御欠席です。
 では、議事に入る前に、医療課長のほうから一言お願いいたします。
○眞鍋課長
 医療課長でございます。
 本日の開催に当たりまして、背景を御説明申し上げます。
 本日午前中に「令和5年度薬価改定について」として3大臣合意が行われてございます。そのスケジュール上、このような変則的な時間帯での開催となりましたことをお詫び申し上げます。
 この後、管理官の安川より資料の御説明をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○中村部会長
 ありがとうございました。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は「令和5年度薬価改定について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 資料薬-1を御覧ください。「令和5年度薬価改定について(骨子案について)」として、資料を準備しております。
 まず、2ページ目、改定の対象範囲につきまして、前回、薬価専門部会で示している資料がございましたが、その資料に新薬創出等加算の対象品目を加えたものです。
 3ページ目、こちらは影響額に関して、同様に、前回の資料に新薬創出等加算の対象品目の影響額を追加しております。
 4ページ目、こちらは、前回の薬価専門部会で示した論点です。
 5ページ目、その論点に対する主な意見をまとめております。
 6ページ目、こちらは、先ほど課長から説明がありましたけれども、これまでの中医協の議論、あるいは薬価調査の結果を踏まえまして、本日、内閣官房長官、財務大臣、厚生労働大臣の合意事項として「令和5年度薬価改定について」というものが示されております。
 内容を紹介します。
 「改定の対象範囲については、国民負担軽減の観点から、平均乖離率7.0%の0.625倍(乖離率4.375%)を超える品目を対象とする。
 急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、不採算品再算定について臨時・特例的に全品を対象に適用するとともに、イノベーションに配慮する観点から、新薬創出等加算の加算額を臨時・特例的に増額し、従前の薬価と遜色ない水準とする対応を行う。」
 以上です。
 これを受けまして、7ページ目でございます。
 薬価専門部会において令和5年度の薬価改定の骨子を取りまとめていただきたいと考えておりまして、このような構成で考えております。これは、前回の中間年改定、令和3年度の薬価改定の骨子に倣って項目立てをしているものでございます。
 具体的な項目、どういった内容を記載するかということを、次のページ以降、示しています。
 まず、8ページ目でございます。
 「対象品目及び改定方式」について、四角の囲みの中に、骨子に記載する案を示しています。
 記載案と書いておりますけれども、実際に骨子をまとめる際には文章としてまとめることになりますので、表現ぶり等は変わることはありますけれども、このような内容を盛り込んではどうかという趣旨での案として示しているものでございます。
 まず、「改定の対象範囲」について、大臣合意を踏まえ、改定の対象範囲については、国民負担軽減の観点から、平均乖離率7.0%の0.625倍(乖離率4.375%)を超える品目を対象とする。
 「改定方式」について、市場実勢価格加重平均値調整幅方式(調整幅2%)により改定する。
 令和3年度薬価改定において適用した「新型コロナウイルス感染症特例(0.8%)」のような、薬価の一律の削減幅の緩和は行わない、ということで考えております。
 続きまして、9ページ目「2.適用する算定ルール」でございます。
 基礎的医薬品、最低薬価、新薬創出等加算、後発品等の価格帯集約につきましては、令和3年度薬価改定と同様に適用するということで考えております。
 10ページ目、そのほか、大臣合意を踏まえまして、次の対応を臨時・特例的に実施するということで、2つ、特例的な適用をまとめております。
 まず1つ目、「マル1不採算品再算定の特例的な適用」でございます。
 急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、急激な原材料費の高騰により不採算となっている全品目、具体的には不採算状況調査の1,100品目につきまして、不採算品再算定を実施して薬価の引上げを行う。
 適用する不採算品再算定の算定ルールでございますけれども、具体的には、下の「【参考】」に書いております。下線部で示しておりますが、内容としては、成分規格は同一の類似薬がある場合は、その全てが該当する場合に限るという旨の制限を設けているところでございます。
 一方、昨今の状況を踏まえ、今回は安定供給確保のため個別に対応する必要があることから、今回の改定に限り、特例的に当該制限は課さないということで考えております。
 また、その際、安定供給を製薬企業に求めるとともに、そのフォローアップも実施するということで対応できればと考えております。
 続いて、11ページ目、こちらは、前回の薬価専門部会でも示している不採算となっている1,100品目の資料でございます。
 12ページも、その内訳でございます。
 次に、13ページ目でございます。
 大臣合意を踏まえた臨時・特例的な対応の2つ目、「マル2新薬創出等加算の特例的な適用」でございます。
 新薬創出等加算の対象となる医薬品であっても、企業要件や乖離率によって薬価が引き下がる場合がございます。大臣合意を踏まえまして、イノベーションに配慮する観点から、この新薬創出等加算の適用後、現行薬価との価格差の相当程度を特例的に加算して、従前の薬価と遜色ない水準とするということを考えております。
 また、この特例的な加算につきましては、通常の加算と同様に取扱い、その累積額を後発品の収載後等の薬価改定の際には控除するということで考えております。
 イメージとして、図で示しております。グレーの矢印は、通常の新薬創出等加算による加算でございます。今回の特例的な適用につきましては、緑色の矢印で示しておりますが、一定程度加算を加えることで、先ほどの従前の薬価と遜色ない水準まで持っていくということで考えているところでございます。
 14ページは、現在のルールの参考資料でございます。
 15ページも同様でございます。
 続きまして、16ページ目でございます。
 「適用する算定ルール」に関して、もう一点でございますけれども、17ページ目に既収載品の算定ルールの一覧を前回の薬価専門部会の資料のとおり示しているところでございます。その様々なルールを改めて精査したところ、先ほどの16ページに記載のとおり、このルールの1つである収載後の外国平均価格調整につきましては、薬価収載時に参照できる外国価格がないなど、一定の要件を満たす品目について、薬価改定の際に1回に限り、外国平均価格調整を行うものでございますが、今回の改定に関しまして、参照することとしている外国価格、これは外国における実勢価と一定程度連動するものでありますし、新薬に関しましては、為替変動の影響等も踏まえまして、新薬創出等加算の特例的な対応も実施するということもございますので、今回の改定において適用するというものでございます。
 続きまして、18ページ目、最後でございますけれども、「その他」ということで、これまでの薬価制度部会の議論の中では、新薬のイノベーションの観点や、安定供給の観点など、様々な課題の指摘もございました。
 そういったことから、今後行う対応をまとめております。
 「近年の革新的新薬に係る日本への導入の状況や、後発医薬品を中心とした安定供給上の課題を踏まえ、これまでの薬価制度改革の検証も行いつつ、イノベーションの適切な評価の在り方、医薬品産業の構造改革を前提とした医療上の必要性の高い医薬品の安定供給を維持するための評価の在り方などについて、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」での議論も踏まえ、令和6年度薬価制度改革に向けて検討を行う。」
 ということで、令和5年度の改定の次の令和6年度の改定の中で、このような議論を行うということも骨子の中に盛り込んではと考えているところでございます。
 資料薬-1は、以上でございます。
 資料薬-1の参考1では、関連する参考資料をつけております。
 また、資料薬-1の参考2では、医薬品の安定供給に対する対策ということで、これまでの薬価専門部会の中では、安定供給に関する様々な御意見がありました。薬価以外の様々な課題もございますので、安定供給に関して、これまでの対応と、今後実施する追加対応、これは先ほどの資料薬-1中の不採算品再算定の対応も含めてございますけれども、こういった取組をまとめている資料でございます。説明は割愛させていただきます。
 資料の説明は、以上です。
○中村部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関して、御意見、御質問等ありましたら、お願いいたします。
 では、長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 これまで再三申し上げてきたとおり、医療現場では、物価高騰や医薬品の安定供給上の課題が、日常診療に大変大きな負担を与えております。
 このような状況下において、前回の中間年薬価改定と同様の改定対象と、範囲とされたことは、非常に厳しい結果であると受け止めており、現在の安定供給に支障がある中で、医療現場に与える影響がさらに大きくなることを強く懸念しております。
 一方、現下の厳しい状況を踏まえた緊急的、特例的対応として、医薬品の安定供給に向けた一定の対応がなされることは、やむを得ない部分もあるのではないかと考えております。
 ただ、これも再三再四申し上げてきたとおり、今回の問題は、企業の不適切な対応をきっかけとするものであることからすれば、安定供給が可能となる産業構造やビジネスモデルに再構築していく作業を並行して実施していくことが必須の前提になると考えております。
 その上で、薬価上の対応をするのであれば、現在、安定供給に支障が生じている品目を対象とするのが妥当であり、その他の政策上の対応がどのようになるのか明らかにすること。
 そして、今回、講じる薬価上の対応により、どのように問題が改善されるのか、現場に説明できるよう、状況の監視が行えて、確実に患者さんへの不利益にならないような方策を明確にすることが必要であると考えます。
 また、薬価の引上げがなされたからといって、安定供給に責任を持てない企業が参入してくるようなことがあっては、本末転倒でありますので、その辺りは、国及び製薬業界としても、供給の安定化に向けて、責任ある対応をしていただくよう強く求めたいと思います。
 次に、イノベーションの評価につきましては、本来、中間年改定で対応すべきものではないと考えております。
 ただ、こちらもドラッグラグへの懸念や、物価高騰等による影響による懸念への声も鑑みた上での、極めて例外的な対応であると受け止めております。
 今回、こうした極めて例外的な対応を行う以上、薬価上の問題を理由としたドラッグラグやドラッグロスが今後確実に解消されるよう、先発医薬品メーカーには、当事者としての対応を明らかにし、説明責任が果たされることを強く求めたいと思います。
 さらに、現在の安定供給上の問題についてですが、医療現場の感覚としては、一般的な処方内容の多くに不安定供給品が含まれてしまっているという印象です。
 この問題解決のためには、産業構造やビジネスモデルの転換が求められることからすれば、根本的な解決には、相当な時間がかかるものと予想され、その間、医療現場は処方に対して追加的な負担を担い続けることになります。
 この場は、薬価専門部会ですので、これ以上は申し上げませんが、今回、安定供給への対応として薬価上の対応が示されましたが、現場感覚としては、そうした対応だけでは到底不十分であり、供給体制全体に関するパッケージとして示されるべきと強く要望したいと考えます。
 そして、18ページの「3.その他」に記載されておりますように、今回の臨時的、特例的措置によって、安定供給やイノベーション推進の課題が解決するものではありません。
 そのため、今後の薬価制度改革の議論や、それ以外の場において、課題解決に向けてしっかりと対応すべきであります。また、その際には、医療現場に与える影響も十分考慮して議論すべきと考えております。
 最後に、薬価の中間年改定は、2年に一度の通常改定とは異なるものであり、今回の大臣合意や、本日提出された資料を見る限り、通常年の改定とは異なる位置づけであると認識しているところであります。
 私からは、以上です。
○中村部会長
 長島委員、どうもありがとうございます。
 では、有澤委員、よろしくお願いいたします。
○有澤委員
 ありがとうございます。
 今回示された骨子案について、発言させていただきます。
 まず、改定の対象範囲が0.625倍を超える範囲となり、大きくなってしまったということは、大変に残念であります。
 特に、薬局においては、調剤医療費に占める薬剤料が約7割から8割ほどあります。改定前に購入した備蓄医薬品の資産価値は薬価改定を境に減少してしまい、経営面に関する影響は甚大であります。しかも、定時改定も含めて、毎年毎年これが繰り返されるということは、非常に大きな影響を与えます。
 ただし、財政状況が厳しい中で、適用するルールにおいて、不採算品はしっかりと供給を続けることができるよう薬価を引上げ、新薬は新薬創出等加算の対象品目の薬価をできる限り維持する対応については、一定の配慮がなされており、これらは、一定程度の評価ができると考えます。
 目下の供給問題については、薬価が当然関係していると思われますけれども、薬価だけでは解決できない問題であります。
 しかしながら、薬価から手をつけていくということは、大きな意味を持っていると思いますし、供給問題の根本的な解消は、令和6年度の薬価制度の抜本改革に向けて、医政局で行われている有識者検討会の意見も踏まえ、具体的な対応の方向づけを中医協において決定できるよう、引き続き議論していくものと考えます。
 最後に1点確認になります。資料薬-1の2ページ、3ページの改定対象となる品目数や、改定の影響額が示されております。実際に、改定対象となっても、基礎的医薬品などの制度によって薬価が維持されるものもあるはずです。また、実際に薬価の引上げ、薬価維持、あるいは薬価の引下げとなる品目について、実際にどれぐらいの規模となるのか、今後、品目数や影響額について示していただくことは可能でしょうか。ぜひ御検討いただければと思います。
 私からは、以上です。
○中村部会長
 有澤委員、どうもありがとうございます。
 この点、薬剤管理官の方から、何かありますでしょうか。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 先ほどの有澤委員の確認事項につきまして説明します。資料薬-1の2ページ、3ページに示しているものについては、先ほど委員からありましたように、あくまで市場実勢価にのっとった改定のみの影響額でございます。
 改定対象につきましては、今回の0.625倍以上を対象にすることで、全品目の中の69%、1万3400品目が対象になりますけれども、算定ルールによって薬価が維持される品目や、引き上がる品目がございます。
 ざっくり申し上げますと、まず、薬価が引き上がる品目は、全体の6%。具体的には、先ほどの不採算品再算定の特例を行うということがございますけれども、それによる1,100品目が相当するというものでございます。
 また、薬価が維持される品目につきましては、全体の46%、約9,000品目でございます。薬価が引き下がるもの、こちらは全体の48%、約9,300品目でございます。
 新薬創出等加算については今回特例を設けますけれども、新薬創出等加算の対象品目は、全体としては600品目程度ございます。その中の約450品目が価格を維持、改定対象になっていないものを含めてですけれども、薬価が維持されます。また、残りの150品目につきましては、新薬創出等加算の特例によって、従前薬価と遜色ない水準になると、そのような変化があるというものでございます。
 また、影響額に関しましては、これから引き続き予算編成の過程で調整するものでございますので、影響額をどのように示すかというものは、また、今後検討させていただければと考えております。
 以上でございます。
○中村部会長
 どうもありがとうございます。
 有澤委員、よろしいでしょうか。
○有澤委員
 ありがとうございます。
○中村部会長
 では、次に林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 事務局におかれましては、骨子案の取りまとめ、ありがとうございました。
 提示された案につきましては、他の2号側委員と意見は同じでございます。
 その上で、今回の薬価改定は、医薬品の安定供給等の課題などに対応するため、一定の措置が講じられるものであると理解しております。
 しかしながら、薬価における対応だけでは必ずしも十分ではなく、医薬品の提供体制等も含めて、対応していくべき課題と考えております。
 厚生労働省におかれましては、関係部署間の連携をしっかりと図っていただきながら、必要な取組を行っていただき、医療現場や国民が混乱しないよう、重ねて歯科からも要望いたします。よろしくお願いいたします。
 以上です。
○中村部会長
 林委員、どうもありがとうございます。
 では、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
 どうもありがとうございます。
 どうも事務局におかれましては、骨子の取りまとめ、御苦労さまでございました。
 まず、大臣合意につきましては、これまで中医協で議論した内容も踏まえて、政府としての御判断があったものと受け止めております。
 本日、事務局から示されました骨子案は、平成28年に決定された薬価制度抜本改革の基本方針に沿いつつ、一方で、現下の社会経済状況にも配慮した内容であり、総論としては異論ございません。
 その上で、3つのパートに分けてコメントをいたします。
 まず、「対象品目及び改定方式」についてですけれども、前回、実勢価格の対象範囲を0.5倍まで広げて不採算品に対応する財源を作ってはどうかということを提案いたしましたが、以前から申し上げている0.625倍というベースは守られましたので、健保連としては、国民負担の抑制という最大の目的は果たされるものと考えております。
 また、調整幅につきましては、なかなか議論が深まらず、今回は例年どおりの2%となっておりますが、令和6年度の薬価制度改革に向けて、どのような対応があり得るのか、今後、ぜひ議論をさせていただきたいと思います。
 前回の部会で専門委員から、乖離率の縮小による影響は、金額として大きいという御趣旨の発言がございました。まさに原材料費の高騰や欠品を踏まえて、市場実勢価格が形成されたのだと受け止めております。
 メーカーの仕切価との関係もあり、卸売事業者にとっては、薬価差が縮小したから経営が改善するという単純な構造でないことは十分理解しておりますが、令和3年度に実施したコロナ対応のような、一律に薬価の引下げを緩和する措置を講じないことは、妥当な判断だと感じております。
 次に、「適用する算定ルール」につきましては、健保連の主張とは、かけ離れた内容であり、残念でございます。
 今後の薬価制度改革の中で、毎年改定を前提とした全般的なルールの在り方について、ぜひ議論すべきと考えております。
 また、今回の臨時的かつ特例的な対応として、不採算品再算定の特例適用、新薬創出加算の拡充を行うことについては、今回限りの措置ということで理解いたします。
 不採算品再算定につきましては、同一成分、同一規格の全てが不採算というルールを外すことはやむを得ませんが、原価の妥当性については、厳しく精査すべきとコメントいたします。
 新薬創出加算の拡充については、研究開発の妥当性について、研究開発の努力に応じて評価するという企業要件の趣旨を踏まえ、少なくとも3つの区分、階段は必要だと考えております。
 また、今回の措置による引上げも含めて、実勢価格が猶予された部分につきましては、適切かつ公平なタイミングで返還をぜひお願いしたいと考えます。
 収載後の外国平均価格調整につきましては、内外価格差を速やかに反映させるという趣旨で、ぜひ実施していただきたいと思っております。
 その他でございますが、国民、患者の医薬品アクセスを確保する観点から、イノベーションの評価や安定供給の確保は、極めて重要であることは十分に理解いたします。
 ただし、これまでも再三申し上げているとおり、薬価制度で対応する部分はどこなのかを慎重に見極める必要があります。
 特に、安定供給につきましては、多くが後発品メーカーの法令違反を発端としており、業界の体質や産業構造そのものを改善する必要があるということは、強く指摘させていただきます。
 令和6年度の薬価制度改革は、議論すべき課題が従来より多いと思いますので、事務局には、改定間際に時間切れで消化不良にならないよう、検討スケジュールを含めて工夫をお願いいたします。
 最後に、先ほど、長島委員のほうから薬価とパッケージで、医療機関等への配慮という御発言があったかと思いますが、これが、診療報酬本体の引上げを意味するのであれば、これについては、明確に反対させていただきます。我々は、診療報酬の改定のある年であっても、薬価引下げの効果は、国民に還元するべきと主張してまいりました。
 さらに、診療報酬改定のない年の薬価改定は、国民負担の軽減が最大の目的であり、国民生活のあらゆるところに物価高が影響している現状を鑑みれば、ただでさえ厳しい立場にある患者に、負担増を強いるような対応は、臨時的な措置だとしても取るべきではないと考えます。
 後発品を中心とする医薬品の偏在や欠品による処方変更の対応が必要になることは、現実としてあるとは思いますが、ふだん使っているものと別の薬になることで、患者も不安や戸惑いを感じているはずです。場合によっては、より高い薬で負担増になることもあるということを強く指摘させていただきます。
 私からは、以上になります。
○中村部会長
 松本委員、どうもありがとうございます。
 では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員
 ありがとうございます。
 事務局におかれましては、骨子案の取りまとめを行っていただきまして、感謝申し上げます。私の意見を述べさせていただきます。
 これまでの業界ヒアリングや本部会での議論を踏まえまして、令和3年度薬価改定の前例を踏まえつつ、平時のルールに基づき、平均乖離率の0.625倍を超える品目を改定対象とすべきであり、その際の救済措置につきましては、緊急的、特例的な対応であることを前提に、薄く広く一律の対応を実施するのではなく、個別に精査を行った上で検討すべきであるというのが、私の考えでございます。
 これを踏まえまして、今回の骨子案につきましては、総論として賛成したいと考えております。
 その上で、現在、私が大変懸念していることは、今週も製品に異物が混入して、工場が製造停止となったケースが発生し、一部製品が限定出荷となるなど、医薬品の安定供給の問題は、引き続き深刻であり、ますますこの問題が、長期化することが予想されております。
 本骨子案にもありますとおり、令和6年度診療報酬改定においては、医薬品の迅速、安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の議論も踏まえ、後発医薬品企業のビジネスモデル上の課題であるとか、新薬と後発品などの取引条件や、商品特性が異なる製品を全て同じ薬価改定ルールで扱うことの是非など、本質的な問題を議論し、医薬品の安定供給をめぐる問題の根本的な解決に向けた議論を進めていければと思っております。
 事務局におかれましては、その点について特段の御配慮をお願いしたいと思います。
 以上です。
○中村部会長
 安藤委員、どうもありがとうございます。
 ほかは、何かございますでしょうか。
 ありがとうございました。御意見、御質問も出尽くしたようですので、本議題については、ここまでとさせていただきます。
 今後、事務局においては、本日いただいた御意見を踏まえ、骨子案を作成いただくようお願いいたします。
 本日の議題は、以上になります。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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