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2022年12月9日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第194回議事録

○日時

令和4年12月9日(金)8:30~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀部会長代理 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 有澤賢二委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 村井泰介専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 中田医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○令和5年度薬価改定について

○議事

○中村部会長
ただいまより第194回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まずは、本日の出欠状況について御報告します。
本日は、佐保委員が御欠席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「令和5年度薬価改定について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
では、安川薬剤管理官、お願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
では、資料薬-1に沿って説明いたします。
まず、2ページ目でございます。
先日、令和4年の薬価調査の結果を公表いたしましたので、その結果に基づき、改定の対象範囲による影響を試算したものでございます。
改定対象範囲を平均乖離率の2倍超、1倍超、0.75倍超、0.625倍超、0.5倍超としたときに、対象品目数がどのようになるかを、カテゴリーごとの内訳も含めて試算したものでございます。
3ページ目は、同様の試算でございますが、こちらは影響額を示したもので、実勢価による改定のみにより、どのような影響額が生じるかを、カテゴリー別の内訳を含めて試算したものでございます。
4ページ目ですが、既収載品目の算定ルールとその影響等でございます。
こちらは、先日の薬価専門部会でも紹介した資料でございます。
5ページ目は、「物価高騰や為替変動等による医薬品への影響」ということで、そういった影響で不採算となっている品目の調査結果の資料でございます。こちらも先日の薬価専門部会で紹介した資料でございます。
6ページ目も同様でございます。
7ページ目でございます。
ここからは、薬価の下支え制度として現在運用されているルールの御紹介でございます。
7ページ目は基礎的医薬品。
8ページ目は、それに関連いたしまして、安定確保の優先度が高い医薬品。
9ページ目は不採算品再算定と最低薬価。
こういったものが薬価を下支えする制度として現在運用されているものでございます。
10ページ目でございます。
ここからは医政局の有識者検討会の資料でございます。
こちらも11月9日の薬価専門部会で、この有識者検討会の報告を行っておりますが、その中で示された論点でございます。
今回、先ほどのような物価高騰、安定供給の観点の御指摘、あるいは後で論点として示しますが、新薬に関する御指摘等がございます。
そういった中で、薬価に関する事項ということで、薬価専門部会で御議論いただくことになりますが、それ以外の全般的な課題も含めてということで、有識者検討会の中でも、こういった形で論点が示されているという御紹介でございます。
10ページ目は、革新的な医薬品の迅速な導入に関して、産業構造なども含めた課題が示されております。
11ページ目は、引き続き有識者検討会の論点でございますが、医薬品の安定供給に関して、同様に産業構造などの課題も示されているところでございます。
こういった論点で、今後、この検討会の中で議論が進められると認識しております。
最後に、12ページ目でございます。
「令和5年度薬価改定における論点」ということで、これまで論点を総論、各論に分けて示させていただいておりましたが、それらをまとめたものでございます。
下線を引いているところが、これまで示した論点から記載ぶりを修正したり、新たに追加したりしたものでございます。
6つほど挙げております。
最初の3つは、従前から同様でございますが、1つ目、診療報酬改定がある年の薬価改定とない年の薬価改定、特に令和5年度の薬価改定について、どのように考えるか。
2つ目、改定対象範囲について、前回の中間年改定となる令和3年度薬価改定では、「平均乖離率の0.625倍」として「乖離率5%」を超えるものを「価格乖離の大きな品目」としたが、今回の薬価調査の結果を踏まえ、今回はどのように考えるか。
3つ目、適用する既収載品目の算定ルールについては、令和元年の消費税改定と前回の中間年改定では、実勢価改定と連動しその影響を補正するものを適用したが、今回はどのように考えるか。
4つ目は、安定供給の観点でございます。
毎年の薬価改定による製薬企業への影響、最近の原材料等の高騰や為替による影響等により、医薬品の安定供給に支障が生じている状況を踏まえ、医薬品の安定供給確保のために薬価の観点から検討すべきことについて、どのように考えるか。
5つ目でございます。
これは新薬の関係ですが、ドラッグラグの再燃の懸念や円安の進行による研究開発費の増大が指摘される中で、薬価の観点から対応すべきことについて、どのように考えるか。
最後の論点でございますが、これらの目下の課題への薬価上の対応として、令和3年度改定の「新型コロナウイルス感染症特例」のような一律の対応を取ることについて、どのように考えるか。
また、影響が大きいカテゴリー(品目)への特化した対応を行う場合の方法について、どのように考えるか。
ということで、具体的な手法に関して、論点として示させていただいているところでございます。
13ページ目以降は、参考資料ですので、説明は割愛させていただきます。
私からの説明は以上となります。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。
では、長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
資料薬-1の12ページの論点に沿って、今回新たに追加された論点を中心にコメントいたします。
まず、2つ目の論点の改定対象範囲についてです。
これまで申し上げてきたとおり、医療現場では、出荷停止、出荷調整によって、日常に使う医薬品がないため、患者さんに大変な御迷惑をおかけしている状況にあり、仮に処方できたとしても、代替品に変更しなければならず、患者さんへの丁寧な説明が求められるなど、医療現場では、追加的な負担が生じている現状があります。
医薬品による治療は、保険診療の根幹をなすものですから、国民の命と健康を守るためには、必要な医薬品を医療現場から患者さんへ安心かつ安定して提供できる状態を保つことが強く求められます。
さて、今回提示された資料の3ページによれば、前回並みの平均乖離率の0.625倍超を対象範囲にしたとしても、相当な経済的影響が出ることが見てとれますので、今申し上げた医療現場の状況を踏まえれば、改定対象範囲については、国民負担軽減に加えて、国民、命を守るための医療提供体制の安定化についても十分に配慮した上で判断すべきと考えます。
続いて、4つ目と5つ目の論点については、まとめてコメントいたします。
そもそも中間年改定は、通常の薬価改定とは異なり、価格乖離の大きな品目の薬価を改定することを目的とするものであることからすれば、本来の目的を超える対応をすることについては慎重に判断すべきであると考えております。
したがって、実勢価改定と連動しない算定ルールを適用することや、現行の算定ルールを超える対応を検討するのであれば、その根拠となる事情を厳格に判断した上で、緊急的・特例的対応の必要性を検討すべきと考えます。
そういった意味では、4つ目の論点である安定供給上の問題については、全体の28.2%、後発品の41%が出荷停止、限定出荷になっている厳しい現状が見てとれます。
ただし、前回、安藤委員も発言されましたが、今回の問題は、企業の対応に端を発するものであり、薬価上の対応をすることでこの問題が解決するとは思えませんので、同時に、産業構造やビジネスモデルに関わる課題への対応がどのように行われるのか、よく見定めた上で議論を行う必要があると考えております。
また、論点の5つ目については、新薬に対する配慮についてどう考えるかという提案だと受け止めておりますが、中間年改定の目的が、価格乖離の大きな品目の薬価を改定することであることからすれば、特許期間中の新薬を改定対象から外すことは、4大臣合意を超えることになると受け止めております。
イノベーションの評価は重要な視点ではあるものの、前回も指摘申し上げたとおり、例えば原価計算方式で算定される場合の原価の開示度が低いまま推移していることなど、問題も指摘される中では、前回の中間年改定である令和3年度改定を超える対応をするのは、慎重に判断すべきと改めて申し上げます。
最後に、6つ目の論点についてです。
前回の中間年改定である令和3年度薬価改定では、医療機関、メーカー、卸といった全ての関係者が新型コロナウイルス感染症による影響を受けているとみなして、薬価の削減幅を一律0.8%緩和したと理解しております。
一方で、今回は、安定供給に支障が生じている品目がある程度カテゴリー別に整理されている印象を受けております。
こうしたことを踏まえますと、一律に緩和を行うことの必要性は認めないと言えます。
影響が大きいカテゴリーに特化した対応を行う場合の方法について、繰り返しになりますが、今後は、産業構造やビジネスモデルに関わる課題への対応も踏まえ、検討すべきだと考えます。
私からは以上です。
○中村部会長
長島委員、どうもありがとうございます。
では、有澤委員、よろしくお願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
論点に沿って発言させていただきます。
1つ目と2つ目の論点にあります、令和5年度の薬価改定についてどのように考えるか、そして、改定対象範囲についてですが、これまでの発言の繰り返しになりますが、新型コロナ感染症や物価高騰による影響など、想定を超える現在の状況を考慮すれば、実施できる状況にはないと考えますが、もし仮に実施する場合であれば、平成28年4大臣合意に基づき、定時改定とは異なり、価格乖離の大きな品目を対象に限定的に行うべきものと理解しています。少なくとも、前回を超える範囲での実施は行うべきではないと改めて主張させていただきます。
3つ目の論点の適用する既収載品目の算定ルールにつきましては、中間年改定の趣旨に鑑みれば、実勢価格に基づき行い、実勢価格と連動し、その影響を補正するのみの実施とし、連動しないものについては、当然適用すべきでないと考えます。
4つ目の論点である医薬品の安定供給については、現在も、現場では、患者さんに必要な医薬品を提供するため、多大な労力と時間を使い、何とか対応しているところですが、残念ながら、状況の改善が見られるどころか、日増しに悪化しているのが現状であります。
例えば抗生剤、抗菌剤、あるいは抗精神病薬、解熱鎮痛消炎剤などをはじめ、ほかにも供給に支障を来すと非常に困る医薬品は数多くありますが、現在の不安定な状況を考慮するならば、これ以上、安定供給に支障を来すような対応はすべきでないと指摘させていただきます。
少しでも安定供給の確保、もしくは改善につながるのであれば、今回は緊急的な措置として、不採算品となっているものについては、従来のルールにとらわれ過ぎず、現状を踏まえた柔軟な対応を行うなどの配慮が必要ではないでしょうか。
5つ目の論点です。
新薬の対応については、先日の業界ヒアリングでも御意見があったとおり、日本の創薬環境を損なわない対応を取るべきと考えます。
新薬の開発には多くの時間を要するものであり、臨床上の評価についても時間を要します。短期的な視点だけでは見極め難いところもあると思われますので、慎重な判断が必要であると考えます。
最後に、6つ目の論点です。
安定供給や新薬のイノベーションの推進のためには、改定する薬価の引下げを広く一律に緩和するという対応ではなく、影響が大きいカテゴリーに特化した対応などが必要ではないかと考えます。
私からは以上です。
○中村部会長
有澤委員、どうもありがとうございます。
では、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
資料中医協薬-1の論点について、意見を申し述べます。
まず、論点の2つ目の改定対象範囲につきましては、従来から申し述べておりますが、仮に改定を行う場合には、価格乖離の大きな品目を限定的にすべきであると考えております。
論点の4つ目でございます。
原材料等の高騰や為替による影響等により、医薬品の安定供給に支障が生じていることにつきましては、5ページ目の資料のとおり、多くの品目が物価高騰等の影響を受けて不採算となっており、こうした不採算品の品目につきましては、価格の引上げを含めた対応も必要であると考えております。
最後に、論点の6つ目ですが、今回の改定におきましては、一律の対応というよりは、例えば不採算となっている品目へより明確な形で対応を行うのがよいのではと要望いたします。
歯科からは以上でございます。
○中村部会長
林委員、どうもありがとうございました。
では、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
それでは、私からは、最初に、一昨日の業界ヒアリングの感想を含めまして、基本的な認識を述べさせていただきたいと思います。
先日のヒアリングの場では、私から今回の薬価調査で例年並みの乖離率になった理由をお尋ねしましたが、業界側の御説明は、値引き競争によって乖離が生じるという一般論にとどまり、ほかの委員の皆様方が質問されたことへの回答も含めて、データの背景や今の状況について、特段御説明はなかったと受け止めております。
そういうことを考えますと、令和5年の改定に向けて、具体的な検討をするために必要な踏み込んだ御説明を残念ながら業界からはいただけなかったと感じております。
これは全体をならしてみますと、少なくとも薬価制度として一律に対応しなければならない重大な変化が足元で起きているわけではないと理解せざるを得ません。
ましてや、改定を実施しないという選択肢は、中医協の判断としてはあり得ないということは強く指摘させていただきます。
逆に、欠品や出荷調整については、日薬連のアンケート結果から、ほとんどが法令違反を発端としたもので、製薬業界とは別の事情によるものはごく僅かということが分かりました。
安定供給については、今回、薬価で何か対応するというよりは、有識者検討会の御意見、あるいは先ほどから2号側委員からの御意見もありましたが、産業構造を含めて、業界の在り方を改善しなければ、問題の解決にはつながらないと思います。
ヒアリングの場で、業界としても、この件については真剣に取り組むという決意表明もございましたので、期待しております。
続きまして、12ページの論点についてコメントいたします。
まず、1つ目と3つ目の論点につきまして、まとめて発言いたします。
再三申し上げているとおり、診療報酬改定のある年、ない年にかかわらず、政策改定ルールについては、原則同様に扱うのが健保連の基本的な考え方です。
その上で、政策改定ルールを実勢価改定に連動するもの、しないものに選別するとしても、新薬創出加算の累積額控除と長期収載品のG1・G2ルールについては、適用する合理性があるということです。
次に、2つ目、4つ目、6つ目の論点ですが、先ほどの薬価調査に関するところでも触れましたが、全体として、前回から対象範囲を狭めるような理由は見当たりませんので、以前から申し上げているとおり、0.625倍をベースとして、仮に今回に限った特別な配慮を行うということであれば、3ページにありますように、範囲を0.5倍まで広げれば、影響額が100億円増加しますので、この財源の範囲で、例えば不採算で安定供給ができないものを個別に精査して救済することは、検討の余地があると考えております。
特定の分野を対象から外したり、令和3年度改定のコロナ特例のように、一律に引下げを緩和したりするのは不適切だと指摘させていただきます。
最後に、5つ目の論点のドラッグラグの再燃や研究開発費の増大への対応につきましては、薬価の観点からは、新薬創出加算こそが令和5年度改定において取り得る措置だと考えております。
その意味で、資料の2ページ、3ページの試算について、新薬創出加算の対象品目数と影響額をお示しいただきたいというのが要望になります。
最後に、それ以上の対応につきましては、業界ヒアリングの中で、長期的視野で考えるべきという御意見がございましたので、どのような対応があり得るのか。令和6年度の薬価制度改革に向けて、これは慎重に議論すべきだと考えます。
先ほども御意見がありましたが、まずは原価を開示していただくことが検討を前に進める上では重要な要素になります。
日本市場の予見性を高めるためにも、海外企業にも御理解いただきたいと思います。
私からは以上になります。
○中村部会長
松本委員、どうもありがとうございます。
では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
前回の業界ヒアリングでは、医療品業界をリードしております欧米の製薬会社が日本における今回の薬価改定を注視しており、今後の日本におけるマーケットの関わり方をどのようにするのかを検討するという旨の御発言がありました。
非常に示唆に富むお話が多くありましたが、薬価改定において最も重要視すべき客観的データである薬価調査の結果を踏まえれば、薬価制度の抜本改革について、骨子等で示されております対象品目の範囲については、国民負担の軽減の観点から、できる限り広くすることが妥当であるとの方針に沿った検討をすることが本来のあるべき姿ではないのかと考えております。
そうした基本的考えの下、資料12ページの論点につきましては、先ほどの松本委員の御意見と同様なのですが、安定供給の問題と薬価の問題とは別の問題であると認識して議論をしなければならず、乖離の状況を考慮に入れず、ある分野を一律に対象から外すようなことは慎むべきであると考えますが、安定供給に深刻な支障が生じている状況を鑑みまして、不採算となっているものにつきましては、改定対象には含めた上で、一定程度の配慮を行うことも考慮に入れて議論をしても良いと考えております。
以上です。
○中村部会長
安藤委員、どうもありがとうございます。
ほかに御意見等はございますでしょうか。
では、要望がありましたので、安川薬剤管理官からお願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
先ほど松本委員から御指摘がございました「改定の対象範囲について」のうち、新薬創出加算対象品目への影響について、口頭ではございますが、御紹介させていただきます。
まず、2ページ目でございます。
対象品目数ですが、まず、新薬創出加算の対象品目につきましては、このうち新薬のカテゴリーの中に含まれるものでございます。
総数として、概数ですが、600品目ございます。
その中で、改定対象範囲によってどのようになるかということでございますが、順番に申し上げますと、平均乖離率2倍超の場合は0品目。
1倍超の場合は50品目。
0.75倍超の場合は160品目。
0.625倍超であれば240品目。
0.5倍超であれば310品目ということで、例えば0.625倍超であれば、大体4割ぐらいの品目が影響を受けるということで試算しているところでございます。
続きまして、3ページ目の影響額でございます。
こちらも新薬のカテゴリーの中の内訳になりますが、新薬創出の対象の場合は、2倍超のときは0品目でしたので、0億円。
1倍超の場合は190億円。
0.75倍超は460億円。
0.625倍超は640億円。
0.5倍超は700億円という形で試算しているところでございます。
以上でございます。
○中村部会長
松本委員、よろしいでしょうか。
○松本委員
はい。どうもありがとうございました。
○中村部会長
では、よろしければ、先ほどのお話は口頭でしたので、資料にして提出をお願いいたします。
ほかはいかがでしょうか。
専門委員から何か御意見、あるいはコメント等はございますでしょうか。
では、赤名専門委員、よろしくお願いいたします。
○赤名専門委員
ありがとうございます。
これまでも業界から、直近の原油価格の高騰、もしくは円安の進行といったものが医薬品の製造コスト、研究開発費の上昇につながっているという意見がございました。これは、中間年改定が決定された4大臣合意時点では全く想定されていなかった事態が起きているということだと思います。
さらに、国内未承認薬は増加し、医薬品の安定供給問題が発生している現状を鑑みますと、薬価を引き下げる状況ではないのではないかと考えております。
先ほどもございましたが、PhRMAの代表からは、5年連続改定で日本への投資優先度は下がっているというお話もございました。
本日、資料の22枚目にございますが、国内未承認薬の中には、対象となる患者数が非常に少ない、いわゆるオーファンドラッグと言われる希少疾病用医薬品として米国で指定されているもの、もしくはブレークスルーセラピーといいまして、非常に重篤な疾患を対象として、既存治療よりも有効性がかなり期待できるものを早期に承認するための制度でございますが、こういった制度に指定されている大変重要な医薬品が含まれているということでございます。
今、こういった医薬品が日本に入ってきていない状況ということでございます。
中間年改定の実施ですが、我が国において、こういった必要性の高い医薬品、新薬へのアクセスに支障を来してしまうおそれがあるのではないかと考えます。
また、後発品を中心とした安定供給問題でございますが、これについては卸、医療機関様におきまして、十分な供給量がない中で、物流を途切れさせないため、大変な御努力をされていると理解しております。
現在、十分とは言えませんが、業務停止処分となった企業に代わりまして、いち早く通常出荷ができるように、企業は増産対応に努めているという意見もこの間ございました。
そんな中で、スライド2にございますように、数多くの医薬品の薬価を引き下げるということは、安定供給の回復に努めている企業の取組を阻害することになりかねず、避けるべきではないかと考えます。
令和5年度の薬価改定につきましては、このような状況を十分に踏まえて、慎重に検討すべきではないかと考えております。
また、改定の実施いかんにかかわらず、スライド5にございますように、医療上必要性が高く、物価高騰の影響により、著しく採算性が悪化している品目については、薬価を引き上げる措置についても実施が必要ではないかと考えます。
最後に、スライド3に改定の影響額がございますが、この5年間、毎年数千億にも上る薬価引下げ分が、社会保障関係費の伸びの抑制に使われてきた実態がございます。この結果として、現在のドラッグラグの再燃、さらには不採算品目の増加といった問題が顕在化していると考えます。
現在の制度では、必然的に薬価差が発生し、改定を何度繰り返しても薬価差がなくなるということはないという制度になってございます。
国民が革新的医薬品にアクセスが可能で、さらに必要な医薬品が安定供給されるための薬価制度の在り方につきましては、関係者でしっかりと議論すべき段階に来ているのではないかと考えます。
私からは以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
では、村井専門委員、よろしくお願いいたします。
○村井専門委員
ありがとうございます。
先ほど松本委員から、今回の薬価調査の結果、これまでとほとんど変わりがないという御指摘がございましたが、これについては、私どもの認識とかなりかけ離れておりますので、ひとつ申し上げたいと思います。
去年よりも、全体の平均乖離率でも0.6%、前回の中間年の改定時からは1%という圧縮が平均乖離率でもございました。
1%といいますと、1000億を超える額になりますので、うちとしては、これはかなり大きな変化と思っております。
また、内用薬、注射薬の全ての主要薬効で乖離率が減少しております。
外用薬は、ごく僅かの眼科用薬でほぼ横ばいですが、微増しているものがございますが、それ以外のものは、薬効別に見ても、全て圧縮になっております。
こういう意味では、平均乖離率で見ても、コロナ前の水準以上に薬価が圧縮されていると見てとれるのではないかと、私どもとしては受け取っております。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
乖離率に関して、ほかの専門委員の方、何か追加のコメント等はございますでしょうか。
○赤名専門委員
ございません。
ありがとうございます。
○中村部会長
松本委員、先ほどの御回答はよろしいでしょうか。
○松本委員
はい。回答をどうもありがとうございました。
結構でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、ほかに御意見、コメント等はございますでしょうか。
事務局からは大丈夫ですか。
ありがとうございます。
御意見、御要望等も出尽くしたようですので、本議題についてはここまでとさせていただきます。
今後、事務局において、本日いただいた御意見も踏まえ、御対応いただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。

 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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