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2022年10月26日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第189回議事録

○日時

令和4年10月26日(水)9:30~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀部会長代理 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
長島公之委員 江澤和彦委員 林正純委員 有澤賢二委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 村井泰介専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 中田医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○令和5年度薬価改定に向けた関係業界からの意見聴取について

○議事

○中村部会長
おはようございます。ただいまより第189回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。
本日は全員が御出席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は、関係業界からの意見聴取を行います。
関係団体として、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、日本医薬品卸売業連合会より意見を聴取するため、意見陳述者一覧に記載の皆様に御出席をいただいております。
それでは、早速、意見陳述を始めます。
まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に質疑とフリーディスカッションを行います。
関係団体の皆様は、最初に自己紹介を行った上でプレゼンテーションをお願いいたします。
それでは、まず、日本製薬団体連合会よりお願いいたします。
○日本製薬団体連合会(眞鍋)
日本製薬団体連合会会長を務めております、第一三共の眞鍋でございます。
本日は、このような機会をいただきまして誠にありがとうございます。
私ども日薬連の陳述でございますが、まず、私から2023年度の中間年改定について、製薬業界を取り巻く環境と、薬価改定全般に関しまして意見を述べさせていただきました後で、日本ジェネリック製薬協会の高田会長、日本製薬工業協会の岡田会長より個別課題について補足をしていただきます。
それでは、各資料の下の真ん中に書いてある数字、資料の3ページを御覧ください。
こちらは、昨今の物価上昇や円安などが、製薬企業に与える影響についてまとめたものでございます。
グラフでお示ししました物価、エネルギー価格の高騰や、円安の進行は日本経済に大きな打撃を与えておりますが、製薬企業にとっても例外ではございません。
研究開発においては、円安によるドル建てでの海外臨床試験費用が増加をしております。
また、製造においては、原薬、原材料価格の上昇、エネルギー価格の上昇など、製造過程における経費が増加しております。
さらにウクライナ情勢による輸送コストの上昇などもございます。
4ページ目を御覧ください。
こちらは、直近の調達コストの上昇につきまして整理したものでございます。
日薬連薬価研の常任運営会社、様々な業態の製薬企業が含まれております29社を対象にアンケート調査を実施しましたところ、物価上昇の影響を受けていると回答した企業が26社、為替の影響を受けていると回答した企業が27社ございました。
また、各社において、コストが上昇している上位5製品を集計したところ、原薬、原材料、包装材料の上昇は、右側のグラフのとおりであり、特に一般的に原価に占める比率の高い原薬につきましても、最大で2倍になっている品目も見られました。
5ページ目をお願いいたします。
こちらは、医薬品の製造で広く用いられる原材料や、包装材料の調達コストの状況です。
乳糖や有機溶剤、プラスチックボトルやPTPなどの汎用される原材料などの調達コストが上昇しており、多くの製品の製造コストに影響が出てきております。
特に低価格帯の医薬品の製造においては、これらの調達コストの上昇が大きな負担になっているものと推察されます。
6ページ目を御覧ください。
医薬品は一般的な消費財などと異なり、その特性のため、製造過程における効率化、製品への価格転嫁、製造供給量の調整といった対策を柔軟に行うことはできません。
医薬品の製造は薬機法にのっとり、承認書に記載された製造方法、製造場所にて承認書に規定された原材料、機材を用い製造し、承認規格を満たす必要があることから、製造の効率化を柔軟に実施できません。
さらに、価格への転嫁や製造業の調整も困難であることから、医薬品の特性としまして、原材料費などの高騰への対応が大変難しいという点につきまして、ぜひとも御理解いただければと思います。
7ページ目を御覧ください。
2023年度の中間年改定について、私どもの考え方でございます。
直近の原油価格の高騰や円安の影響は、医薬品の製造コストに多大な影響を与えており、特に低薬価品では、原価率が著しく悪化しております。
また、政府により、物価高騰や資材不足を踏まえ、適切な価格転嫁等の配慮について要請されているところでございます。
このような状況を踏まえれば、薬価を引き下げる環境にはなく、2023年度の中間年改定については、実施するべきではないと考えております。
8ページ目お願いいたします。
物価の上昇や円安の影響を考慮し、原価率が悪化している品目などにつきましては、中間年改定の実施とは別に薬価を引き上げる措置を実施すべきであると考えます。
1973年のオイルショックの際に、薬価引上げの措置が実施されておりますが、これが1つの参考事例になるものと思います。
その当時実施されました薬価の緊急引上げ措置の概要をお示ししましたので、御確認いただければと思います。
9ページ目を御覧ください。
最後に中間年改定に対する基本的な考え方についてお話をいたします。
薬価制度改革によるルールの見直しの影響の検証に一定の期間を要することを踏まえれば、薬価改定は2年に1回の頻度で実施することが基本と考えます。
中間年改定は2年に1回の通常改定とは異なる位置づけであり、薬価と実勢価格の乖離率が著しく大きい品目について、薬価の補正を行うものと認識をしております。
近年、度重なる薬価改定などにより、イノベーションの推進や、医薬品の安定供給の確保に支障を来している状況を踏まえれば、薬価改定の在り方について議論を行う時期にあると考えております。
私からの陳述は、以上です。御清聴ありがとうございました。
○日本ジェネリック製薬協会(高田)
それでは、続きまして、日本ジェネリック製薬協会から陳述をさせていただきます。
日本ジェネリック製薬協会の会長を務めております、高田でございます。
本日は、このような場で発言をさせていただくお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
スライドの通し番号14ページ目を御覧ください。
初めに、後発医薬品の品質問題、供給問題により、皆様に多大な御迷惑をおかけする事態となっておりますことを心よりお詫び申し上げます。引き続き、後発医薬品の信頼回復に向けて、業界一丸となって取り組んでまいります。
次のスライドを御覧ください。
これまでジェネリック医薬品企業は、国民負担の軽減と医療の質の向上を目指し、後発医薬品の数量シェア80%達成に向けて、増産体制を継続してまいりました。
後発医薬品は、今や医療上不可欠な医薬品となっております。
次のスライドを御覧ください。
後発医薬品の位置づけになります。
後発医薬品は、医療用医薬品の数量ベースで50.3%を占め、薬価ベースで16.8%となっております。
後発医薬品への置き換えによる医療費適正効果額は、年間推計で1兆9242億円と試算されております。
次のスライドを御覧ください。
後発医薬品の経営状況となります。
各社とも現在の供給不安解消に向けて取り組んでおります。そうした中で、売上原価率は上昇の兆候が見られ、2022年度第1四半期で見ますと、2021年度と比較して4.5ポイント上昇しております。
スライド18を御覧ください。
後発医薬品企業は、品質の確保と安定供給を図るとともに、後発品促進策に伴う増産対応を進めてまいりました。
促進策を進める中で、その信頼性を高める取組で、継続的な対応として原薬のマルチソース化や、設備の更新、新設への投資、人材確保育成などを図るとともに、世界的な規制の強化への対応を進めてきており、個社の事例となりますが、ここ10年の設備投資額の平均額は対売上で12.2ポイントに上ります。
現状においては、足元の増産対応や品質確保、保証体制の強化を図るなどの対応を進めるとともに、今般の原材料価格、エネルギー価格の高騰による製造原価の上昇への影響が顕在化しております。
これも個社の事例ですが、水道光熱費が前年度比で使用量2%増に対し、金額として140%増、対売上で0.7ポイント上昇しており、さらなる増加が懸念されます。
このように厳しい状況の中、今後も、国民の皆様に必要な医薬品の持続的な安定確保のために、品質保証体制の強化や、安定供給能力の余力を確保するなどの取組を進めなければならないと考えております。
次のスライドを御覧ください。
安定確保医薬品を含む、後発医薬品及び基礎的医薬品の当協会会社の製造原価の状況です。
後発医薬品全体で製造原価が薬価の80%を超える品目が3割以上を占めております。
その中の安定確保医薬品、A、B、Cそれぞれのカテゴリーの製造原価は、いずれも高い水準の品目が多くなってきております。
また、基礎的医薬品については、調査対象会社が承認を有する186品目中36品目、およそ2割が80%を超えている状況です。
製造原価が薬価の80%を超える品目については、消費税10%、販売管理費、卸への費用を含めると、薬価を超える水準となり、明らかに不採算となります。
また、製造原価が薬価の60%以上の品目についても、原材料高騰等の影響や、今後の薬価改定による不採算となる可能性が高い品目であり、これら医療上の必要性の高い医薬品の安定供給への影響が懸念されております。
次のスライドを御覧ください。
後発医薬品の原薬につきまして、約半数は海外から原薬として輸入しております。
昨年度末と比較し、価格が上昇した原薬です。大部分で為替変動による影響が強く出ております。
また、原薬メーカーにおける調達コストや製造コストなど様々な要因を理由として、価格上昇が顕在化してきております。今後も円安の影響が続くと予想されております。
次のスライドを御覧ください。
国内調達の原薬においても価格上昇が続いております。国内製造原薬における原材料費や光熱費など、製造費用の上昇は避けられず、原薬価格に転嫁されている状況が見られます。
次のスライドを御覧ください。
後発医薬品は、医療用医薬品の半数を超え、医療上不可欠な医薬品となっております。これまでジェネリック医薬品企業は、患者様及び医療関係者に安心して使用をいただける品質の担保されたジェネリック医薬品を安定的に供給していくために、積極的な設備投資と人材育成に取組、品質確保と安定供給体制の強化に努めてまいりました。
一方、歴年の薬価改定の影響もあり、会員企業30社の後発医薬品の3割が不採算に陥っている状況が明らかとなりました。
現在の安定供給の状況を踏まえ、今後も持続的な安定確保に向けて取り組むべき課題が多い中にあって、直近の原材料、光熱費の高騰、円安等の影響等も鑑みれば、2023年度に薬価の引下げを受け入れる状況にはないと考えております。
また、中間年改定に係る基本的な考え方としてはスライドのとおりでございます。
以上が、日本ジェネリック製薬協会からの意見です。御清聴ありがとうございました。
○日本製薬工業協会(岡田)
日本製薬工業協会会長の岡田でございます。本日は、意見陳述のお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
スライド27を御覧ください。
過去5年間の医薬品市場を見ますと、世界が年平均5%の成長をしているのに対しまして、日本は、先進国の中で唯一マイナス成長となっております。
また、右の棒グラフを見ていただいても分かりますけれども、過去5年間で特許品市場においてもマイナス成長となっております。この背景には、2016年の市場拡大再算定の特例の導入、そして、2018年度より毎年薬価改定が実施されているということがその要因であると考えております。
これは、日本市場の国際競争力、日本市場の魅力が低下しているということにつながっていることにほかならないと認識しております。
28ページを御覧ください。
ここでお示ししておりますのは、欧米で承認され処方されているにもかかわらず、日本では使用できない未承認薬が、2016年以降増加しておりまして、2020年には、その比率は7割を超えているということをお示ししたグラフでございます。
29ページを御覧ください。
そして、日本で未承認となっている176品目の中身をさらに分析したデータであります。
向かって左のグラフでお示ししておりますとおり、米国で各種優先審査の対象となっている製品、そして向かって右のグラフ、希少疾患、オーファンという医療ニーズが高い製品について、まさに未承認薬が増加しているということが分かります。
これは、言い換えれば、国民が最新の医薬品による治療を受けられない状態になっており、明らかに国民に不利益をもたらしていることを表しているのではないかと考えるところであります。
次に、30ページを御覧ください。
こちらは、厚生労働省の研究事業で北里大学の成川先生らが行われました、薬価制度改革に係る実態調査研究からの引用であります。
昨年9月に新薬メーカーへのアンケートが行われ、近年の薬価制度の見直しが直接または間接に影響して、社内における日本への投資優先度に変化が生じているかということを尋ねたところ、70社中10社が、優先度が下がった。そして28社が、将来的に優先度が下がる可能性があると回答しております。
また、その原因と考えられる薬価算定ルールの変更事項を上位3つまで選択してもらった結果、1位の回答、総回答とともに中間年の薬価改定としたものが最も多かったという結果であります。
31ページを御覧ください。
これは、製薬協の政策研が、製薬協加盟会社、それからPhRMA、EFPIA、加盟企業を対象に、本年の6月から8月に行ったアンケートの調査結果からの引用であります。
内資、外資含むグローバル大手企業で、日本市場への投資優先度が低下した、あるいは今後低下すると回答した企業が左の円グラフ、10社ございました。その10社のうち、もし、今後、市場が諸外国並みのプラス成長等になるのであれば、その位置づけを見直すと回答した企業は、7社あるということを示したものでございます。
つまり、グローバル企業が日本市場全体の成長性に応じて、投資優先度の意思決定をする傾向が、ここに見えるというデータであります。
32ページを御覧ください。
これまで説明をしてまいりました我が国の革新的新薬への患者アクセスに係る懸念という課題に対処するためには、日本の薬事・臨床試験環境を改善することに加えまして、薬価制度の在り方を検討していく必要があると考えております。
33ページを御覧ください。
このスライドでは、グローバル売上上位30品目について、その薬価収載時から現在までに、代表的な創薬国である日本のほか、米国、英国、ドイツでは、どの程度、薬価改定が行われたかを示したグラフであります。
欧米では、その価値が守られ、日本では薬価改定により引き下げられているということが明らかであります。
最後、34ページを御覧ください。
このスライドでは、中間年改定そのものに対する製薬協の考えをお示しいたしました。
臨床的・科学的な評価が変わらない限り、特許期間中の新薬の薬価は維持されることがグローバルスタンダードであると認識をしております。日本においても特許期間中の薬価は維持されるべきというのが製薬協の基本的な考え方であります。
また、日薬連の資料にもありました、直近の原材料等の高騰や円安の進行は、我々製薬メーカーにとっても、新薬メーカーにとっても、研究開発や生産等において非常に大きなコスト増となる影響を及ぼしております。
以上から、さらなる市場の魅力度低下によって、新薬アクセスへの影響がより深刻化するおそれがある現状を踏まえますと、特許期間中の新薬は中間年改定の対象とすべきではないということを強く申し述べさせていただきまして、私からの意見陳述を終えさせていただきます。ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、次に米国研究製薬工業協会となりますが、本日のプレゼンテーションは逐次通訳となります。では、よろしくお願いいたします。
○米国研究製薬工業協会(カイル・タトル)
おはようございます。日本のMSD株式会社で代表取締役社長いたしております、カイル・タトルと申します。本日は、PhRMA在日執行委員会を代表いたしまして、意見を述べる機会をいただき、誠にありがとうございます。時間の関係上、要点を絞っての御説明となりますこと、御了承ください。
まず、最初にスライド2を御覧いただきたいと思います。
革新的医薬品の研究開発投資に影響を与えている昨今の状況についてのPhRMAの認識をお示しいたしております。
資料の説明の前に、私は、薬価政策が日本の医薬品の研究開発、そして、多国籍企業における継続的な投資における日本の優先順位に強い影響を与えているということを、まず、強調したく存じます。
2010年に導入されました新薬創出等加算のようなイノベーション促進政策は、日本の患者さんに価値あるイノベーションをもたらすための投資を製薬企業に促し、投資回収の予見可能性を与えることで、日本における医薬品開発を大きく促進させました。
しかし、残念ながら、近年の制度改革により、ほかの国や地域に比べて日本への投資のインセンティブが低下し、投資回収の予見可能性が低下しております。
参考資料にもございますように、2015年以降、日本での医薬品の研究開発投資は成長していません。また、世界的に販売される新薬が日本で上市される割合が低下してきています。多数の関係者が一致団結して解消をしようとしてきたドラッグラグが再燃する兆しが、今、明らかに見られます。外部の独立機関の調べによれば、日本はこの先、先進国の中で唯一、医薬品市場のマイナス成長が見込まれる国となってしまっています。これらの減少の要因は、過度な薬価の引下げにあると考えます。
2018年の新薬創出等加算の制度見直し以降、新薬の半数は特許期間中に薬価を維持できなくなりました。主要先進国では、薬価が原則維持される仕組みが導入されており、この状況は、日本に特異なものです。
次のページをお願いいたします。
2018年以降、既に薬価改定は5年連続行われており、薬価が急速に下落しています。このような価格の急激な低下は幾つかの深刻な影響をもたらしております。
まず、第1に収益の急速な低下により、日本を拠点とする多国籍企業のリーダーが、日本のための投資を主張することが、より困難になってきています。
第2に、薬価の下落は将来の新薬の予想上市価格にも影響を及ぼすだけでなく、日本市場の将来の魅力をさらに低下させてしまいます。
また最後に、価格の低下は、将来の後発品の薬価水準にも影響し、安定供給にさらなる支障を来す可能性も考えられます。
中間年改定に対する私どもPhRMAの意見をまとめさせていただきます。新薬創出等加算は、日本での革新的医薬品の上市を促進するため、特許期間中の薬価を維持し、新薬の投資回収を支える一方で、特許失効後は価格を大幅に引下げ、後発品への置換えを進めることを目指した財政中立的な制度として導入されました。
その考え方に基づけば、特許期間中の新薬の薬価は維持されるべきと、我々は考えております。現行制度の下では、薬価を改定しても薬価差は必然的に発生いたします。薬価差に着目し、改定頻度を毎年に引き上げれば、先ほど申し上げたように、薬価の下落は、さらに加速するばかりで、革新的医薬品の日本での迅速な導入、日本の患者さんの治療選択に影響が及ぶこと我々は非常に懸念しております。
まとめますと、2018年以降、毎年改定、5年続けて改定されおり、この影響が既に各所に生じていることを踏まえ、来年の中間年改定は拙速に実施するべきでないと我々は考えます。
特に特許期間中の新薬は、改定の対象から除外し、安定供給に支障が生じている品目への影響を最小化することを最優先すべきと考えます。
中医協委員の皆様方におかれましては、慎重な検討をお願いしたく存じます。
PhRMAからは、以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、次に、欧州製薬団体連合会より、お願いいたします。
○欧州製薬団体連合会(岩屋)
おはようございます。欧州製薬団体連合会、EFPIA Japan会長の岩屋です。
本日は、令和5年度中間年改定に関しまして、このような発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
次のページ、資料の2をお願いいたします。
EFPIA Japanは、革新的な医薬品、ワクチンの早期導入を通じまして、日本の医療と患者さんに貢献することを使命として活動しております。
その実現に向けましては、薬価制度が極めて重要な役割を果たしていると考えております。
グローバルにおきます日本の医薬品市場の位置づけを考えました場合に、その薬価制度は、日本が海外、グローバル製薬企業から見ても魅力的な市場であり、優先的に革新的な新薬が早期に患者さんに届けられる、そういうことを支援し得るマーケットであるということが必要であると考えております。
これが、日本の国民にとって非常に重要なことだと考えています。
次のページをお願いいたします。
EFPIA Japanでは、欧州に本社を構えます、グローバル医薬品企業にとりまして、日本市場がどの程度重要であるかということを確認するために、薬価制度を抜本改革前と比較をいたしました各社の日本市場に対する認識について、私どもの理事会を構成しております。10社に対して調査を実施いたしました。
調査は今年9月の前半に実施しており、匿名にて10社全てから回答を得ております。
スライドの左側御覧ください。10社中8社、実に8割の会社が日本市場の優先度がやや低くなった、または低くなったと回答しております。
その要因につきましても回答を得まして、集計をしましたところ、収載時及び収載後の薬価を考慮した製品のライフサイクル上の将来価値と、その予見性が下がっているということが最も大きな影響を与えていると考えております。
具体的には、新薬創出等加算適否の予見性の低さと、適用されなかった場合の将来価値の低さが挙げられます。
また、中間年改定につきましては、対象範囲等について、令和3年度改定時のような予見性に欠ける意思決定が行われるのではないかということを海外の本社も懸念しております。
ここ数年、薬価を抑制する仕組みが複数導入されるとともに、そもそも、そのような制度改定が毎年のように行われておりますことから、各社日本市場における初期と将来薬価を可能な限り予測しようとすると、悲観的な状況にならざるを得ないという現状になっております。
次のページをお願いいたします。
特許期間中の薬価の在り方について、私どもの考え方を述べさせていただきます。
欧米の主要国の中で特許期間中の新薬の薬価を毎年強制的に引き下げる仕組みを制度として設けております国は、私ども承知しておりません。
そのような中で、抜本改革による新薬創出等加算の要件厳格化に伴い、新薬創出等加算の対象とならず、特許期間中であっても薬価が下落する品目は増加しております。これは、先ほどPhRMAが説明したとおりであります。
特許期間中にもかかわらず、多くの新薬の薬価が諸外国と比較して早期に下落していく日本の状況というものは、市場の魅力度といった観点から見ますと、著しく見劣りし、新薬開発における日本の優先順位にも悪影響を与えていると考えております。
そこで欧米同様、日本におきましても、特許期間中の医薬品の薬価が維持される仕組みとすることで、日本市場の優先順位を向上、あるいは維持することが重要であると考えております。
また、中長期的な観点からの意見にはなりますが、市場実勢価格加重平均値調整幅方式による現行の薬価改定の方式につきましては、現在、薬価差などについてなど、様々な議論がなされておりますが、その在り方そのものにつきましても、総合的かつ抜本的な検討が必要な時期に来ているのではないかと考えております。
次のページをお願いいたします。
最後になりますが、中間年改定に対するEFPIA Japanの考えを述べさせていただきます。
先般、令和3年度の中間年改定では、中医協における議論から想定される範囲を大きく超える品目が改定の対象となりました。
また、特許期間中新薬も改定の対象とされたことから、私ども日本法人の業績に影響を与えたのみならず、海外の本社からも非常に大きな警戒感を生じさせることになりました。
つきましては、令和5年度の中間年改定に関して、日本の医薬品市場の魅力度が低下し、ドラッグラグあるいはドラッグロスの懸念が高まっているという現状を十分に考慮していただき、実施の是非そのものを含めて慎重に御検討いただきたいと考えております。
また、仮に中間年改定を実施する場合でありましても、特許期間中の医薬品は対象から除外していただくこと。また、中間年改定は2年に1回の通常改定とは異なる位置づけであるということを踏まえまして、適用するルールにつきましては、令和3年度に実勢価改定に連動しその影響を補正するものとして適用されたルールに、極めて限定的にしていただくことをお願いしたいと考えております。
私どもからは、以上となります。御清聴ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、次に日本医薬品卸売業連合会より、お願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会(鈴木)
日本医薬品卸売業連合会の会長の鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、意見を述べる機会を賜り、中医協及び厚生労働省の皆様に感謝いたします。
本日は、医薬品流通の現状とともに、流通の現場の声を紹介させていただいた上、中間年の薬価改定に絞って意見を申し述べさせていただきます。
それでは、資料に沿って御説明いたします。
まず、最初に1ページを御覧ください。
医療用医薬品流通の現状についてです。
現在、医薬品流通の現場は、通常業務に加え、後発医薬品の需給調整に追われており、いまだ逼迫した状態が続いております。
加えて、中間年の薬価改定や、ガソリン代、電気料金の急騰により、収益構造が悪化しております。医薬品卸の経営環境は非常に厳しくなっております。
下の図を御覧ください。
医薬品卸は約1万3000品目の医薬品を全国津々浦々に所在する約24万か所の医療機関、保険薬局へ毛細血管状に網の目のネットワークを形成し、安定的に供給しており、それらの医薬品が処方、調剤され、患者の方々に使用されております。
また、医薬品卸は医療機関、保険薬局へ医薬品を配送するだけでなく、それぞれの取引条件などを踏まえた価格交渉も行っております。
この価格交渉の結果が、薬価改定の根幹をなすことを意識し、強い責任感のもとで価格交渉に当たっております。
このような取引環境の中で、中間年改定が導入されてから、流通当事者は毎年の価格交渉などに多大な時間と労力を費やしております。
後発医薬品の需給調整に係る対応については、右の図のとおり、医薬品卸だけでも548億円相当のコストを費やしていることが試算されております。今もなお、需給調整の対応に追われていることから、流通当事者全体にかかるコストは相当なものとなっていることを推測されます。
2ページを御覧ください。
医療用医薬品流通の現状についてです。
後発医薬品の需給調整について、医薬品卸の現場で奮闘しているMSの生の声を御紹介いたします。
ヘルスケア産業プラットフォームが、今年9月に医薬品卸のMS約1,500名を対象に行ったアンケート調査では、出荷調整に伴う業務などに医薬品卸は、かなり疲弊し、このままでは退職者が続出し、事業継続が危ぶまれます。先の見えない需給調整に大きな不安を抱えております。
出荷調整対応に時間がかかっているMSが多く、流通改善も進まないのではないでしょうか、などの意見がございました。
現場が深刻な状況におかれていることを御理解いただきたいと思います。
3ページを御覧ください。
中間年の薬価改定についてです。
中間年で薬価改定は、薬価の下落スピードを加速させ、流通当事者の経営基盤を脆弱にすることから、医薬品の持続的な安定供給にとって重大なリスクとなっていると考えております。
下の図は、中間年の薬価改定を行わなかった場合と、仮に中間年の薬価改定を全面改定とした場合のシミュレーションとなっております。
左の図ですが、2022年度の薬価を100として中間年の薬価改定を行わなかった場合には、10年後の薬価は73.5となります。
右の図です。仮に中間年の薬価改定を全面改定とした場合には、54.0へと下落のスピードを加速するところが見て取れます。
4ページを御覧ください。
中間年の薬価改定についての意見を申し述べさせていただきます。
先ほど申し上げたとおり、流通当事者は、毎年の薬価改定に伴う薬価改定などに大変な労力を費やしております。
薬価が定められた多くの医薬品について、毎年薬価を改定することが、医薬品の安定供給の観点から、本当に合理的なものなのか、医薬品卸関係者の多くは、根本的な疑問を持っております。
そのことを申し述べさせていただいた上で、赤枠内の意見を申し上げさせていただきます。
「薬価制度の抜本改革について 骨子」、その中では、対象品目の範囲については、安定的な医薬品流通が確保するよう、国民負担の軽減の観点から、できる限り広くすることが適当であるとされております。
ここで言う、できる限り広くとは、全て製品群を対象にするということなのでしょうか。医薬品の安定供給の観点からすれば、例えば、医療上必要が高いにもかかわらず、現に不足が生じている、今後不足が生じるおそれがある、あるいは、低薬価品など不採算となっている医薬品については対象から除外することを検討していただきたいと思います。
また、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」の中では、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うとされております。ここで言う大きなとは、字義から考えれば、少なくとも平均を上回るということではないでしょうか。何を目安に価格乖離の大きな品目と判断するのかが不明確であり、価格乖離の大きな品目の範囲について、関係者の共通認識を形成いただきたいと考えております。
説明は、以上です。何とぞ、よろしくお願いいたします。
○中村部会長
ありがとうございました。
一通り御説明いただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。
何名かの委員の先生方からの質問をいただいた後、まとめて御回答をいただく形で進めたいと思います。
なお、質問は日本語でお願いいたします。
では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
業界の皆様、御意見ありがとうございました。まずは、全体に対する質問です。
物価高騰が製薬業界、医薬品卸業界に大きな影響を与えていることは理解しておりますが、特にどのようなカテゴリーの医薬品への影響が著しく、そして、どれくらい具体的に価格に影響が出ているのでしょうか。
また、人件費の高騰について価格及び人材確保にどのような影響が出ているのでしょうか、教えてください。
次に、日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会への御質問です。
毎年改定が行われ、新薬と長期収載品とで置かれている状況に違いはあるでしょうか。
さらに、日本製薬工業協会にお尋ねいたします。
御提出いただいた資料薬-1の33ページの特許期間中の薬価切下げにおきまして、イギリスは30品目の中でnが20となっています。これは、すなわち、残りの10品目が保険対象になっていないということで、ドラッグラグと考えてよいでしょうか。つまり、特許期間中の薬価を維持している割合が多いイギリスでも、結局、ドラッグラグが生じていると理解してよろしいでしょうか。
また、米国の薬価は、企業が決定権を持つ自由市場であり、28品目全ての価格が維持されるのは、当然のことではないでしょうか。米国をグラフに入れた意味を教えてください。
次に、日本ジェネリック製薬協会への御質問です。
後発医薬品を中心とした供給不安の問題につきましては、医療に多大な影響を及ぼしており、早期の改善を望みたいところですが、今後の見込みはいかがでしょうか。
安定供給の観点からは、どのような価格下支え策が必要なのでしょうか。また、その価格下支え策のみによって安定供給は達成されるのでしょうか、教えてください。
最後に意見を述べます。
新薬であれば、全て特許期間中の薬価が維持されるべきという考え方には、議論の余地があると考えております。既に類似薬が幾つも発売されている場合など、臨床的な価値の高い新薬については、その価格を維持するための仕組みとして、新薬創出等加算制度が整えられているところであり、その適用範囲の適切性については、次期ルール改定の議論の中で改めて検討すべきではないかと考えております。
私からは、以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
各団体におかれましては、御説明いただきまして、ありがとうございます。意見と質問をさせていただきます。
まず、現場では医薬品の供給不安は、いまだに悪化もしくは日々悪化しているように感じます。一部の製品では出荷調整を解除しているとアナウンスされているようですが、現場としては、その感じはありません。先発、後発医薬品を問わず、製造販売業者として責務を自覚して、必要とされる医薬品の安定供給に努めていただきたい。
また、医薬品卸にあっては、必要とされる医療機関、薬局に在庫が偏在することがないように、公平な供給に努めていただきたいということです。
特に地域で、面で多数の医療機関の処方箋を応需している薬局に関しては、十分に状況を把握の上、供給を行っていただきたいと思っています。
ジェネリック製薬協会におかれましては、後発医薬品の信頼回復に向けて、さらなる対応をお願いしたいと思います。
続きまして、今回の意見聴取の内容についてであります。
日薬連やジェネリック製薬協会、製薬協が示しているとおり、物価高騰、円安等の影響は製薬企業のみならず、日本経済全体に大きな打撃を与えている状況であります。
このような状況で、中間年改定を実施することは、日本の医療体制の根幹を崩すトリガーになってしまう可能性があります。ただでさえ、医薬品の安定供給に問題がある中で、不採算品などを抱えている企業は、さらなる窮地に追い込まれ、安定供給どころか、医薬品を生産することすら危うい状況になってしまうかもしれません。
医療において医薬品は不可欠なものであり、医薬品が生産されなくなるということは、日本の医療体制の崩壊につながってしまう懸念があります。
また、PhRMAやEFPIAが示しているとおり、グローバル的な観点からも中間年改定を実施することは、日本市場への投資が遠のき、日本経済の低下にますます拍車がかかってしまうと考えられます。
日本市場の魅力が薄れていることが、ドラッグラグが増えている一因と分かりますが、日本において再度ドラッグラグが起きるのは、何とか回避しなければなりません。
また、海外で治験を行う場合、円安の影響で費用が上がってしまうなど、企業がイノベーションに関する投資も弱腰になるのも理解できます。
物価高騰、円安等の様々な課題を抱える今の日本にとって、何とか負のスパイラルから脱出するためには、日本経済の成長が必須であり、日本国民の生活を守っていくという視点も重要であります。本来であれば、このような状況下で、中間年改定を実施すべきではないと考えますが、もし実施することを前提に検討するとしても、このような状況で中間年改定を本当に実施しても大丈夫なのか、どの範囲であれば大丈夫なのか、医薬品の生産に影響を及ぼさない範囲はどの程度なのか、日本経済にさらなる打撃になってしまうのではないか、これらの視点を持って検討を進めていくべきと考えます。
国民負担の軽減を図る観点からの中間年改定を行うとされていますが、一方では、イノベーションの推進、安定供給、最新の薬物治療に国民がアクセスできるようなことも両輪として考えることが重要であると考えます。ここまでは意見であります。
日薬連、ジェネリック製薬協会、製薬協、PhRMA、EFPIAへの質問になりますが、日薬連の6枚目のスライドで、原価高騰対策として、医薬品特性として、製造過程における効率化、製品への価格転嫁、製造量の調整ができないとありますが、製造において赤字が出た場合、どのように対処されるのでしょうか。製造コストの削減の余地があるのでしょうか。それとも、人件費削減なのでしょうか。どのような対応が考えられるか御質問させていただきます。
また、安定供給のためのコストも必要という説明がありましたが、その点については、より詳細な説明をいただきたいと思います。
もし赤字が積み重ねるということであれば、日本経済への悪循環が懸念されるところでありますし、人件費削減となれば、企業力の低下や人材の流出につながることや、安定供給のために必要な投資ができないということであれば、適切な医療の提供に支障が出ることを懸念しています。
私からは、以上であります。どうぞよろしくお願いいたします。
○中村部会長
ありがとうございます。
長島委員と有澤委員から多くの質問をいただきましたので、まとめて各団体の皆様より、それぞれ御回答いただければと思っております。非常に多岐にわたりますので、まずは、日薬連の眞鍋様から御回答をいただけますでしょうか。
○日本製薬団体連合会(眞鍋)
眞鍋でございます。
まず、最初の長島先生の御質問です。
今回の私どもの提示の中で、インフレの部分です、物価上昇、円安、それから原材料、原薬、エネルギー価格、輸送コストの上昇などがあるということは、御理解いただいているものと思います。
それ以外のところで、細かい御質問がございました。今日のところ、手元には資料がないので、お答えしづらいのですが、私どもが言いたかったのは、こういったものが上昇した場合に、どういう対応が我々できるかということで、有澤先生の質問にも共通いたしますが、公定薬価なので価格転嫁ができないということが1つ非常に大きいところでございます。
それから、これも有澤先生の質問にもございまして、共通しますけれども、非常に法的な規制が強くて、例えば、製造場所であったり、それから、実際に製造に使う各原薬を含めて、そのグレードの資材も全て規定をされているところで、最終的には厚生労働省の承認が要るというところが、ほかの製造業とは全く違っています。出口のところだけクオリティを担保すればいいというものではなくて、全ての過程で変更があれば、必ず承認を取らなくてはいけない。そのためには、もちろんデータが必要ですので、かなりの時間がかかります。このような部分が普通の製造業とは違うということが、一番私たちとしては、お話ししたいところであります。
という中で、どこでコストを下げるかということで、これも議論がございますが、製造工程においては、ほとんど対応ができないと、あるとしても中長期的に製造方法についてデータを取りながら、承認を取りながら、中長期的に改善していくとか、CMOの対応を考えるとか、短期の対応はできないということですので、本当に差し迫ると、人件費をどうするのだという話にもなってくるのかもしれません。
あと企業として、PhRMAや、皆さんお話されたように、成長性というものを、やはり人材の確保については見ていらっしゃいますので、将来的に日本のPhRMA、どの程度の成長があるのかということを見ながら、人材確保というのも、将来においては困難になってくる可能性もあるかなと思っております。
長島先生、有澤先生の両方の質問を少し交えながらお答えをしました。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、製薬協の岡田様、よろしくお願いします。
○日本製薬工業協会(岡田)
岡田でございます。御質問ありがとうございます。
長島先生からの2点目の御質問で、毎年改定の影響について、新薬と長期収載品では、その差があるのかという趣旨の御質問をいただいたと思います。
もう御案内のとおり、新薬と長期収載品の価格の構造はもちろん違っておりますので、毎年改定が行われるということのインパクトの大きさは、もちろん変わりませんけれども、新薬については、たちまち赤字になるということではございません。ただし、新薬の価値の中には、次の将来のための研究開発投資というものが含まれておりますので、この価格が下がっていくと、いわゆるその余地がなくなるということは、おのずと、次の研究開発活動に対する原資が減っていくということを意味しております。
長期収載品につきましては、新薬のときからどれだけ価格が下がったかということにもよりますけれども、長期収載品あるいはジェネリックに至っては、やはり、原価構造としてはかなり厳しい状況に至っておると思います。最低薬価に近い薬剤であったり、ということになりますと、昨今の様々な原材料の高騰あるいは円安のインパクトを吸収できないという、まさに安定供給に懸念を生ずるようなところに、その影響が及ぶということでいくと、より深刻な、違う形で、安定供給というところで影響が出てくるものと思うところであります。
私からは以上で、3点目の33ページの棒グラフで御質問をいただいたところについては、赤名専門委員より補足をさせていただきたいと思います。
○赤名専門委員
それでは、33ページの点につきまして、専門委員の赤名から補足させていただきます。
長島先生から御質問いただきました、まず、英国のn数が20になっているということでございますけれども、下のほうの注記で書いてございますが、それぞれ出典がございまして、米国でありますとREDBOOK、英国におきますと、MIMSという薬価のプライスが記載されている価格のブックがございますけれども、そこから情報を取っているということでございます。ドイツ、フランスも同様でございます。
イギリスのMIMSに、この上位30品目のうち、プライシングリストとして載っているものが、20品目であったということでございまして、残り10品目が、果たしてドラッグラグかどうかというのは、今の段階では確認できないという状況でございます。
もう一点、なぜ、アメリカが載っているのかということでございますが、米国は、先ほどございましたとおり、自由薬価でございますけれども、一番世界でイノベーションが進んでいる国、新薬がどんどん出てくる国、そういったマーケットはどうなっているのかということで載せさせていただいたという経緯でございます。
私からは、以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、日本ジェネリック製薬協会の高田様、よろしくお願いいたします。
○日本ジェネリック製薬協会(高田)
それでは、長島先生、有澤先生の質問に対して順番にお答えさせていただきます。
まず、物価高の影響については、皆様から、今、お答えいただいたとおり、やはり薬価に対する製造原価の割合が高い低薬価品への影響というのは大きくなっております。
まず、先ほどプレゼンテーションの中で御説明させていただいたとおり、現在、光熱費が非常に上がっている状況でございまして、先ほどの繰り返しになりますが、対前年で140%の増加というのが現状でございまして、今後のさらなる価格上昇が懸念されております。
また、製造原価が、ジェネリック医薬品におきましては、6割から8割を占めておりますので、その中で、さらに原材料費というのは、多くの割合を占めておりますので、これらに対する値上げというのは、非常に大きな影響が現在ございますし、今後も出てくるものと思っております。
また、人件費に関しましては、コロナ禍の中で、長い間、人手不足が続いておりまして、そもそも、今、人材を集めることが非常に難しい状況の中で、品質確保、製造管理には多くの人材、あるいはその育成が必要になってきますので、その影響は、少なからずあると思っております。
また、現在、先ほど御指摘いただきましたように、医薬品の供給不安におきまして、皆様に多大な御心配をおかけしている状況、改めまして申しわけないと思っております。早期の改正を図らないといけないと思っておるところでございます。
安定供給に関しましては、各企業の増産対応を、今、努めているところでございますが、先ほど、日薬連の御説明にもありましたように、早急に大幅な増産対応ができていない状況もございまして、いつ、どのような形で解消できるかいうことを申し上げることが現在できません。
その中で、医療関係者、患者様の皆様が不安に思われている中で、その不安を少しでも解消すべく、なるべく多くの情報開示に努めているところでございます。
今後も、各企業の増産対応、そして供給状況に対する情報開示を努めてまいりたいと思っております。
また、安定供給を踏まえて、どのような下支えが考えられるかという御質問ですが、まず、日薬連の資料8ページにもございましたように、現在、一時的に非常に物価高、エネルギー価格の上昇ということもございますので、その中で、薬価上の下支えをいただけると大変ありがたいと思っております。
また、現在、不採算品再算定等もございますが、不採算品目が多くなっている中で、このような制度の使い勝手の見直しということも必要なのかなと思っております。また、医療上必要性の高い安定確保医薬品等の薬価上の下支えの措置も御検討いただければありがたいなと思っております。
続きまして、有澤先生の御質問ですが、重ね重ねになりますが、供給不安、御心配をおかけしてございます。ジェネリック医薬品の信頼回復に向けて、業界一丸となって対応してまいりたいと存じます。
まず、先ほどから御説明させていただいておりますように、後発医薬品メーカーとしても、短期的な赤字の対策というのは、特に品質や安定供給に影響を与えるような活動の停滞あるいは費用の削減というのはできないと考えております。
企業としては、赤字にならないように、赤字の可能性があれば、新規の設備投資あるいは研究開発の見直しということは、一時的な削減は可能ですが、設備投資や人材育成、研究開発投資というのは、先行的な投資になりますので、赤字に近い状態が長期化すれば、将来の品質確保、安定供給に影響を及ぼしかねないと考えております。
また、通常であれば原材料費の見直し等、削減も考えられますが、現状では、それは極めて困難でありまして、今後、赤字品目が増加すれば、非常に大きな安定供給への懸念は拭い去れないと思っております。
また、次の御質問になりますが、安定確保のために様々な投資活動をしておりますが、現在、リスク回避のために、増産あるいは在庫の積み増しということもやっております。
その中で、現在のエネルギー高騰等の影響を受けまして、物流あるいは保管費、また、在庫を積みますと、もし、その需要がなくなれば、廃棄品目の増加ということも考えられます。
そのような見えないコストも、現在、増加しておりまして、物流費に関しまして具体的に申し上げますと、個別の事例になりますが、前年比で昨年度に対しまして1.7倍という状況になっております。これらは、生産体制の強化あるいは安定供給のための必要なコストと考えております。
以上で回答を終わらせていただきます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、PhRMA、それからEFPIAの方々からも御回答をいただければと思いますけれども、まず、PhRMAのカイル・タトル様、いかがでしょうか。
○米国研究製薬工業協会(カイル・タトル)
御質問ありがとうございます。時間もございませんので、焦点を絞ってお話をさせていただければと思います。
具体的には、インフレがどのような影響を与え得るのか、また、それに対してどのような活動が考え得るのか、原材料の高騰、このインフレの問題について、まず、お答えしたいと考えます。
先ほどの眞鍋会長の御指摘にもございましたように、この原材料費の高騰というのは、これは、製薬業界で仕事をしております企業にとりましても大きな影響を与えております。
また、円安がさらにそれに追い打ちをかけてきております。いろいろな原材料などを外国から輸入しなければならない場合には、まさにこの円安というのが非常に大きなインパクトをもたらします。
また、このような価格に影響を及ぼすだけではなく、円安というのは、日本のビジネスが世界のビジネスに対して貢献している、その貢献度にも影響を与えてしまいます。
例えばですけれども、対ドルの円が120円から150円になったとします。そうしますと、これは全く成長がなかったとしても、実は、米国本社から見ますと、日本での価値が20%も下がったということにほかなりません。
それに、さらに毎年薬価が改定ということになりますと、経済状況がさらに悪化をするということは、日本の市場の魅力がさらに減ってしまうということにつながってしまいます。
それでは、こういった状況に対しまして、原材料、いろいろなコストが上がっている中、弊社、加盟企業としてはどのような活動をしているかということのお話をしたいと思います。
具体的には、例えば効率化などがございますけれども、これは今回に限ったことではなく、常に製薬会社といたしましては、効率を上げるために、製造の現場におきましても、流通の現場においても、常に努力をいたしております。
例えば、効率を上げるためには、プロセスそのものを改善するということも1つの手です。
ところが、このような中で、さらに毎年改定が、これからも長く続くということになりますと、私ども、日本におけるビジネスが非常に不安定になり、つまり社会に貢献ができないということになりますし、結局、諸外国と比べて日本に投資をする、その意味がなくなってしまうということにもなりかねます。
これは、長期的にどういう結果になるかということになりますと、日本への投資が少なくなる、また、日本の患者さんの手に渡る新薬の数が少なくなる、結局はドラッグラグにつながる、ビジネスの縮小につながる、そして、製薬会社に働く日本人の従業員の数が少なくなってしまうということになります。
以上でございます。ありがとうございました。
○中村部会長
では、EFPIAの岩屋様、お願いいたします。
○欧州製薬団体連合会(岩屋)
簡潔に申し上げます。
今、日薬連、製薬協、それからPhRMAからいろいろお答えいただきましたことについては、EFPIAといたしましても同感しております。
ただ、非常に短期的な影響といたしましては、本当に円安によって日本の市場の魅力というのが、相対的に低くなると、これは当然でありますし、実際の原価高が、我々のコストアップにつながるという点もそうなのですが、やはり研究開発型企業といたしましては、これから、例えば投資をするというものが、リターン、我々が予測できるのは、本当に5年先、10年先という、そういう環境におきまして、むしろ中長期的な安定性、予見可能性というのが非常に重要であります。それがあって初めて、今年、例えば投資をしようかと、そういう判断につながっていくわけでありまして、現下の状況につきましては、その判断をするためには、非常に通常以上に厳しい環境であるということについては、そのとおりでありますが、元に戻りまして、我々といたしましては、予見可能性の高い制度設計をしていただくというのが、大変大切だと再度感じている次第であります。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、卸売業連合会の皆様、何かコメント等ございますでしょうか。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
担当理事をいたしております、折本でございます。
簡潔に申し上げますと、先ほど各メーカーの原価高騰という流れで、やはり、我々改定ごとに仕切価及び最終原価が毎年度改定で0.2ポイントずつぐらい上昇しております。それに伴う価格交渉も準じておりますけれども、そんな中で大変苦渋をしておるというのが現状です。
また、人材確保の面では、先ほど御意見申し上げましたとおり、退職者が増えてきておるということを懸念しておりますとともに、採用においても、医薬品卸の現状、学生も含め十分御存じのようで、なかなか地域においては、採用が難しくなっているというのが現状であります。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
先ほど眞鍋様より手元にない資料もあるという話でしたので、また追って、事務局等を通じて、提出いただければと思います。
先ほど長島委員と有澤委員から質問ありましたが、長島委員から何かコメント等ございますでしょうか。
○長島委員
回答ありがとうございました。
物価高騰、円安、人件費高騰の影響について、一般論的、全体論的には既に理解しておりますが、今後もしも対応を検討するとなれば、やはり一定程度、具体的なデータというものがないと難しいと考えておりますので、そのようなデータ提供が可能であれば、ぜひ御検討ください。
また、特許期間中の薬価とドラッグラグの関係については、皆様が強く指摘されているところですので、そこについて、きめ細かい資料があれば、それもぜひ御提出をお願いしたいと思います。
私からは、以上です。
○中村部会長
資料、データの提出のほう、ぜひよろしくお願いいたします。
では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員
本日は、皆様からの御説明ありがとうございました。
加入者が4000万人いる協会けんぽの立場としては、安定供給を可能とする薬価制度と薬価改定をしていただかないと非常に困ります。
その中で、先ほど長島委員からも御指摘があった、ドラッグラグに関して、PhRMAの7ページの資料、そして、日薬連からの28ページの資料にもありますように、非常に大きくなっていると大変危惧しております。
そこに関して言えば、本来ならば、世の中に出ていて治る可能性がある新薬が、日本にまだ入ってきていないということになります。世界の企業の方たちが日本へ薬の申請をしていない理由や、それを遅らせている原因について、PhRMAから理由を教えていただきたいと思います。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
後で御回答をいただければと思います。
では、眞田委員、よろしくお願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。
日薬連の6ページの原価高騰対策と医薬品の特性について、御質問をさせていただこうかと思いましたが、もう既に有澤委員より御質問をいただき、眞鍋会長からも回答をいただきましたので、私のコメント、感想に代えさせていただきたいと思います。
この6ページの左の図にあります一般的な原価高騰対策については、一般的な製造業であれば、当然のコスト対策として推進するものと考えておりますけれども、その一方で、医薬品の場合には、その実施が非常に困難であるという説明をいただきました。
そうなりますと、医薬品産業については、通常の一般産業とは異なる立場にあり、コスト対策という非常に厳しい課題に直面しているのだということを、改めて認識した次第でございます。
回答いただきまして、ありがとうございました。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、佐保委員、よろしくお願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
今日は、関係業界の皆様、御説明をいただき、ありがとうございました。
先ほど安藤委員からも発言がございましたが、患者、被保険者にとって医薬品の安定供給の観点というのは、大変重要であると考えております。そういった観点で検討することも大切だと考えております。
そうした上で、お願いがあります。全体的に、さらにいろいろな詳細な資料等の御提示をいただければ、今後の検討や議論に資するものと考えております。
そういった点で、より詳細な資料をいただければと思っていますが、例えば、先ほど長島委員からも御発言がございましたが、日薬連の資料、スライド番号3ページの「物価高騰、円安等が製薬企業に与える影響」という部分の枠組みで、影響を及ぼしているとして3点ほど記載がございますが、そういった記載の具体的な例やより詳細なものがあれば、より検討が進むのではないかなと思っています。また、卸売業連合会の皆様方の資料のスライド番号2ページの後発医薬品の需給調整の箇所で、アンケート調査結果が出ておりますが、これについて、どういった事例があるのか、どういった統計を取られているのかといったものもあれば、お示しいただけるとありがたいと思っております。
私からは、以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
まず、各団体の方、御説明どうもありがとうございました。
日薬連、PhRMA、EFPIA、いずれも来年度の改定の実施自体について、非常に慎重にすべきという御意見でございますけれども、改定を実施するか否かは、これは、もともとが大臣合意から発しておりますし、政府が判断するということで、私としては中医協の範囲を超えていると思っておりますので、この場では、改定を実施するという前提で幾つか質問、確認をさせていただきたいと思います。
まず、対象範囲についてですが、日薬連の資料の9ページであるとか、22ページあるいは卸連の資料の中にも言及がございますけれども、そもそもは、平成28年に乖離が大きな品目を対象とすることが大臣合意されております。
今回の資料を拝見しますと、その上に、乖離が著しく大きい品目と修飾語が加わっております。この著しいというのは、どんな指標で、どんなレベルを対象範囲として想定されているのか、具体的な考え方を御説明いただきたいというのが、まず、1つ目の質問でございます。
2つ目でございますが、次に日本で新薬が上市されなくなっているということを、製薬協、PhRMA、EFPIAの皆様が一様に指摘されています。
ただ、日本では国民皆保険の下、安全性と有効性が証明された医薬品は、薬事で承認され、遅滞なく保険適用されるという、ある意味、マーケットとしてはかなり広く確認できる考え方の日本に魅力がないのだとあっさり言われてしまうと、納得しかねるものがございます。
特許期間中薬価が下がるから、日本向けの開発はしないのだという単純なことだけではないように思いますので、例えば、研究開発の環境であるとか、薬事承認の仕組みであるとかを含めて、問題の本質についてどのように認識されているのか、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。
それと、3つ目、卸連の関係なのですが、先ほど佐保委員からも言及があった担当者の、ある意味、悲鳴というか、嘆きの対応なのですけれども、これが薬価の改定であるとか、今日は挙がっておりませんが、調整幅の問題というよりも、どちらかというと、私の印象としては、医療機関との契約あるいは業務内容、そういったものに起因するものが多いのはないかと感じております。その辺の改善について図られる動きがあるのかどうかについて教えていただきたいと思います。
それと、最後でございますが、これは、製造コストが増えているということは、各団体から異口同音に伺っているのですけれども、特に昨今の為替レートの影響は大きいと思うのですが、これは、いろいろデータ的に主張があるかもしれないと思いますけれども、肌感覚で結構ですが、外貨で払っているコストというのが、例えば、製造コストの中でどれぐらいのウエイトを占めているのか、日薬連の資料を見ますと、上がっていますはあるのですけれども、どれぐらいのウエイトを占めているかということは見えません。
ジェネリック協会の資料の中には、売上原価率が上がっていますということで、多少は見えるのですけれども、その為替レートの影響というのは、どれぐらい考えなくてはいけないのかという意味で、その辺について、コメントをいただければと思います。
私からは、以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、まとめて御回答のほうをお願いできたらと思います。
日薬連の眞鍋様からお願いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○日本製薬団体連合会(眞鍋)
眞鍋でございます
幾つか不足のデータということで、要求をしていただきました。可能なものにつきましては、追って提出をさせていただきたいと思います。
それから、安定供給のところについては、再三御指摘をいただきまして、日本ジェネリック製薬協会を含めて、いろいろな形で回答させていただいております。
やはり薬価というものは、企業の活動の源泉ですので、これが様々な形で安定供給のところについても影響があるということで、具体的には、ジェネ協の方々から御説明をいただいたところだと思っております。
最後の為替の影響のところですけれども、これは、メーカーによってかなり違うと認識をしておりまして、まず、治験のところで、海外で治験を行っておりますと、圧倒的にここの治験の費用がかさむ企業もございます。また、いろいろ原薬を含めて、そこのところは、原薬価格の高騰プラス円安ということで、資材を含めて、それは一般的な企業とほぼほぼ同じかなと思っておりますので、個別の企業で海外展開をどのぐらいしているかとか、どの程度、原薬を含めて海外に頼っているかによってかなり違いますので、少しお答えするのは難しいのかなと、今、思っております。
○日本製薬工業協会(岡田)
先ほど長島委員より詳細なデータをという御質問もありましたけれども、加えまして、安藤委員並びに松本委員より、いわゆるドラッグラグに関する御質問をいただいていると思っております。
まず、我々製薬協も、この未承認薬、ドラッグラグが増加しているという現状を極めて憂慮していて、そのための解決提案をさせていただいているというのが、まず基本スタンスであります。
そして、今日の我々の資料でいきますと、32ページにも少しその解決の方向性と書いてございますけれども、今般、やはり日本でドラッグラグが生じているということに関する原因は、1つは、やはり薬価制度のところに、1つ原因はあると思っております。
そして、もう一つは、薬事・臨床試験の環境であると思います。これに関しては、また、詳細な資料をできれば準備したいと思っておりますけれども、薬事に関しましては、やはり日本の申請というのは、日本語で申請資料を整えるということ、あるいは一部先駆的な医薬品の審査制度等のインセンティブについても、十分ではないという声も出ていると承知しております。
また、臨床試験の環境ということに関しましては、諸外国に比べて、日本は比較的規模が小さくて、かつ、私立の医療機関が、やはり多いということもありまして、治験を行う際の1施設当たりの症例が非常に少なくなるということと、それに伴って、コストがかなりかさむということが、この治験環境上の大きな課題であると認識しているところでございます。
加えまして、赤名専門委員より補足させていただきます。
○赤名専門委員
乖離率の御質問がございまして、9ページ目でございますけれども、ここに記載されておりますのは、中間年改定に関する基本的な考え方ということでございまして、2年前に業界から提示したとおり、この乖離率が著しく大きいということでございます。
翻って、来年度でございますが、ここに関しては、今日、様々御説明させていただいた為替の影響、それから、インフレーションを鑑みますと、慎重に検討すべきということでございます。
私からは、以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
日本ジェネリック製薬協会の高田様から、何かございますでしょうか。
○日本ジェネリック製薬協会(高田)
先ほどから、皆様から具体的なデータということの御指摘をいただきまして、それについては、現在、高騰の状況を各社推移のデータを集めているところかと思いますが、例えば、水道光熱費のように、単年度契約で明確に上がったというものが示されるものばかりではございませんので、少しお時間をいただいて検討させていただければと存じます。
また、為替レートの件につきましては、ジェネリック医薬品の加盟団体の集計によりますと、約半数が海外からの原薬としての輸入になっております。その部分において、現在のレートが、かなり想定される取引の枠から外れてきているということの影響は出ているかなとは考えております。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、PhRMAのカイル・タトル様は、いかがでしょうか。
○米国研究製薬工業協会(カイル・タトル)
ありがとうございます。
時間もございませんので、手短にお答えしたいと思います。
私どもPhRMAの加盟企業にとりまして、ドラッグラグといいましょうか、といったものがなぜ起きるのかということについて、まず、お話をしたいと思います。
PhRMA加盟企業の社長とも、いろいろと話をいたしましたけれども、皆が異口同音に言っておりますのは、まず、第一に重要なのは、日本の患者様に、非常に革新的なお薬を、できるだけ早くお届けしたい、そのために最大限の努力をしたいと言っております。
ただ、そのように日本の患者様にイノベーションのある薬剤を届けようと思いましても、安全性、効果の評価をするためには、やはり日本独自の投資というものが必要となってまいります。
日本を見ていきますと、例え特許期間中であっても新薬の価格が、毎年どんどん下がってきておりますということは、日本の市場の魅力がどんどん下がっている。それだけではなく、日本の市場も成長していない、こういった状況になりますと、幾ら日本の、私どもの社長が頑張ったにしても、日本への投資を諸外国よりも、まず日本に投資をしてほしいと、本社に言おうとしても、なかなかそれが聞き届かないという、届けてもらえないという状況になってしまいます。
その解決策といたしましては、いろいろな側面が考えられます。複数のやり方が必要ですけれども、その中で特に重要なのは、日本におきます、バイオファーマシューティカルエコシステムの導入であると思います。
その中でも特に重要なのが、官民のパートナーシップでありますし、また、薬事上の要件をできるだけ簡単にして、世界と協調できるようなものが必要であると考えます。
ですが、現在のこのような日本のやり方というのは、私どもにとりまして、決して経済的に魅力があるものではございません。非常に厳しい状況にあります。
このような中で、諸外国と比べて日本で投資を増やせと言われましても、非常にそれは難しい、私たちとしても、できることは限られているということになってしまいます。
ということで、このような課題に対しましては、全般的な広い観点での解決策を皆様方と一緒に考えていきたいと思っております。
ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、EFPIAの岩屋様、お願いいたします。
○欧州製薬団体連合会(岩屋)
ありがとうございます。
もうたくさん答えも出ましたので、追加で簡潔に申し上げたいと思います。
まず、松本委員から御指摘いただきましたけれども、日本の市場が薬事の承認を受けると、ほぼ自動的というか、ほぼ100%の確率で保険の償還を受けることができるという、この点につきましては、誠に世界に冠たる制度であると思っております。このマーケットアクセスが、マーケットアクセスと我々は呼びますけれども、優れている点については、日本の市場の美点だと思いますし、この点につきましては、本当に堅持していただきたいと思っております。
私どもが投資を判断いたしますときに、当然のことながら薬価だけではなく、投資するための環境といたしまして、コメントにありましたとおり、研究開発であるとか、あるいは薬事承認の仕組みについても考慮いたします。
したがいまして、この課題は、全て薬価であるということではないと認識をしておりますが、一方で、近年の歴史的な経緯というのを考えましたときに、やはり薬事承認の仕組みというのは、先ほどの岡田会長からも御説明がありましたけれども、日本であるということ、あるいは日本が皆保険制度を取っていて、医療の提供体制というのが、患者のフリーアクセスというのを保障していると、そういうことから起因します研究開発ないしは治験の難しさ、臨床研究の難しさというのは存在しております。また、日本語の問題ももちろんございます。
そういう中で、厚生労働省、PMDAとして非常に努力をしていただきました結果、研究開発、薬事承認のプロセスについては、歴史的に考察いたしますと、非常によくなったというか、国際的に調和が取れたものになりつつあるという状況だと認識をしております。
当然、課題があるとしても、そういう状況の中で、相対的に薬価が非常に厳しくなっているというのが、過去5、6年の状況であると認識をしておりまして、したがって、せっかく魅力的な市場を作るための努力を一方でしてきたものが、この近年の薬価の改定によって、また、日本の市場の魅力というものが、国際比較をしたときに落ちてきているのではないかということを申し上げているところでございます。
したがいまして、総合的に投資をしたくなるような環境を作っていただく、その中での薬価制度の重要性というのをお伝えしたいと思ってお話をしている次第であります。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、最後に、卸売業連合会の皆様、何かございますでしょうか。よろしくお願いします。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
それでは、私のほうからお話をさせていただきます。
松本委員の御質問、流通改善と契約する卸の、いわゆる需給調整とは似て非なるものではないのかというような御質問だったと理解しておりますが、当然、さようだと思っております。
しかしながら、現状で先ほど御意見申し上げましたとおり、民間の調査会社によるデータを出させていただきましたが、今回の需給調整に伴う通常業務の、いわゆる、かかった時間というのが考察として出まして、1.2倍であるという結果が出されております。
我々といたしましては、いつ収束するか分からない今回の需給調整の中で、増員をするといったものはなかなかできない卸が多うございます中で、やはりこの需給調整業務に対して卸の営業、MSが、いわゆる内勤業務をしたり、コールセンターの支援をしたりして、今、急場をしのいでいる中で、その2割の業務といったものが負担になっておるということを申し上げて、我々、卸連としては、やはり医薬品卸としての重要な情報伝達業務、そして流通改善のための価格交渉業務、これが阻害されているのではないかという懸念を申し上げた次第であります。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございました。
先ほど1号側、2号側の先生方から、データの不足の指摘がございましたので、データのほうを、事務局等を通じて提出いただければと思います。
ほかは、何かいかがでしょうか。
では、専門委員から何か御意見等はございますでしょうか。
ほかに御意見等ございませんね。ありがとうございます。
御意見、御質問等も出尽くしたようですので、関係業界からの意見陳述については、ここまでとさせていただきます。
各関係業界の皆様におかれましては、御退室をお願いいたします。
どうもありがとうございます。
では、本日の議題は、以上になります。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
 

(了)
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