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2021年12月3日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第184回議事録

○日時

令和3年12月3日(金)9:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
城守国斗委員 江澤和彦委員 林正純委員 有澤賢二委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 村井泰介専門委員
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
高宮保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○関係業界からの意見聴取について

○議事

 


○中村部会長
おはようございます。
ただいまより、第184回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。
本日は全員が御出席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
まず、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。
関係団体として、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、日本医薬品卸売業連合会より、12月1日の本専門部会で示された論点整理案を踏まえた御意見を聴取したいと考えております。
それでは、早速、意見陳述に移りたいと思います。
まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。
関係団体の皆様には、最初に自己紹介を行った上でプレゼンテーションをお願いいたします。
それでは、まず日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会及び欧州製薬団体連合会よりお願いいたします。
○日本製薬団体連合会(眞鍋)
日本製薬団体連合会の会長を務めております、第一三共の眞鍋でございます。
本日は薬価制度改革に関する意見陳述の時間を賜り、誠にありがとうございます。
私ども日薬連と米国研究製薬工業協会及び欧州製薬団体連合会とは意見が一致しておりますので、まず私から三団体連名の資料に沿って意見を述べさせていただきました後に、PhRMAのトムセン副委員長、EFPIAの岩屋会長より、追加コメントを述べさせていただきます。
また、日薬連の傘下団体でございます日本製薬工業協会の岡田会長、日本ジェネリック製薬協会の澤井会長にも同席いただいております。
まず、資料の2ページ目を御覧ください。革新的な医薬品のイノベーション評価でございます。
新薬創出等加算の現行の品目要件では捕捉し切れない価値について評価することは、我が国での革新的新薬の開発や上市を促し、医療の質向上のためにも必要不可欠であると認識しております。イノベーション評価の観点から、品目要件に「有用性加算の対象となり得る効能追加を行った品目」を加えていただきますようお願いいたします。併せて、「薬価収載時には確認できなかった有用性が市販後のエビデンス等によって認められた品目」についても品目要件に加えていただきたいと考えております。また、効能追加等による評価は新薬創出等加算の対象の可否判断を行うものであり、適用されるとしても1回のみであることを申し添えます。
3ページ目を御覧ください。
再算定は適正な薬価設定を担保するための事後是正措置として、薬価算定時の前提条件である使用方法等が変化し比較薬との類似性が損なわれた場合など、極めて限定的な場合に適用されるものと認識しております。類似品の取扱いにつきまして、論点整理では一定期間内は対象外とすることが示されておりますが、これまで市場拡大再算定の特例の対象となった品目の薬価引下げ率の平均は25.6%であり、平均的な薬価改定率が6.0%程度であることを踏まえますと、通常改定1回分の猶予では不十分であり、少なくとも2回分の猶予は必要と考えております。したがいまして、一定期間につきましては3年ではなく5年程度としていただきますようお願いいたします。また、競合性の判断基準におきまして、過去の再算定の影響により対象品よりも一日薬価が低い類似品を除外できるようルールを見直すことも必要であると考えます。この点につきましてもぜひとも御検討をお願いいたします。
4ページ目を御覧ください。
原価計算方式でございますが、イノベーション評価及び開示度の向上への取組を進めるといった観点を踏まえますと、開示度50%未満の品目全てにおいて、有用性加算等が認められた結果が全く薬価に反映されないという見直し、すなわち加算係数をゼロとする見直しは実施すべきではないと考えます。
資料下段の表にお示ししましたとおり、開示度50%未満の品目においても、画期性加算や先駆け審査指定制度加算が適用されるような、革新性が高い薬剤も多く存在しております。また、開示度50%未満の品目に対し一律に厳しいルールを設けることは、開示に向けた取組を阻害する可能性がありますことから、例えば開示度20%未満などの段階を設けることについても検討が必要であると考えております。なお、薬価算定の透明性・納得性を高める観点より、「臨床的位置づけ等の医療実態」を含め、総合的に類似薬の有無を判断する仕組みについて引き続き御検討いただきますようお願いいたします。
5ページ目を御覧ください。新規後発医薬品の薬価算定でございます。
後発医薬品を継続して上市することは、国民負担の軽減に直接つながるものであり、現在の初収載薬価の水準は維持するという提案に賛同いたします。また、前回の陳述でもお話ししましたが、日薬連として医薬品の安定供給確保に向け最大限の取組強化を目指した諸対応を図ってまいりますことを改めて御報告いたします。
6ページ目をお願いいたします。
調整幅は経済合理的な価格のばらつきを吸収する機能を有しており、薬剤流通の安定のために必要なものであることを踏まえれば、引き下げる方向への見直しを行うべきではないと考えております。次期薬価改定におきましても、新型コロナウイルス感染症による医薬品流通などへの影響を考慮し、令和3年度薬価改定と同様に調整幅2%に加えまして一定幅を設ける措置をお願いいたします。
7ページ目を御覧ください。
今後の中間年改定の対象範囲や改定方法につきましても、薬価制度抜本改革にて示された「価格乖離の大きな品目について薬価改定を行う」という趣旨に立ち戻り、イノベーションの推進や医薬品の安定供給への影響も十分に考慮した検討が必要であると考えております。
8ページ目をお願いいたします。その他の論点に対する意見を取りまとめております。
まず、企業区分でございますが、区分間のバランスを適正化する観点からの見直しに併せまして、イノベーションを促進する観点から、区分1に分類される企業など、新薬開発に積極的に取り組む企業においては新薬の薬価が維持されるよう、加算額に係る計算式の見直しについても御検討いただきますようお願いいたします。
次に、先駆的医薬品及び特定用途医薬品の評価でございますが、「特定用途医薬品」として指定された医薬品につきまして、新薬創出等加算の品目要件や企業指標に加えていただくとともに、補正加算の対象とすることに賛同いたします。
長期収載品につきましては、安定確保医薬品の取扱い、後発医薬品の供給状況を踏まえた上で、慎重に検討すべきであり、今回ルールを見直す必要はないものと考えております。
次に、安定確保医薬品でございますが、特に優先度の高いカテゴリーAの医薬品につきましては、基礎的医薬品等の薬価上の措置を行っていただきますようお願いいたします。
9ページ目を御覧ください。
リポジショニング特例の取扱いにつきましては、開発公募された品目のみならず、開発要請された品目や市場規模が小さい品目、特にウルトラオーファンドラッグについても除外していただきますようお願いいたします。
次に、基礎的医薬品につきましては、不具合を是正する今回のルール見直しについては賛同いたします。一方で基礎的医薬品として継続的な供給を行う意思がある品目もあるものと想定されますので、見直しに係る激変緩和について配慮いただきますようお願いいたします。
高額医薬品の薬価算定につきましては、イノベーションの評価、必要とされる患者さんへのアクセス、企業の予見性の確保という観点も十分に踏まえた上で慎重に検討を進めていただければと考えております。
最後に、再生医療等製品でございますが、現行ルールではその価値を価格に適正に反映できない可能性があると思われますので、新たな算定方式の在り方につきまして引き続き御検討いただきますようお願いいたします。
私からの陳述は以上となります。御清聴ありがとうございました。
PhRMAのトムセン副委員長、EFPIAの岩屋会長からコメントをお願いします。
○米国研究製薬工業協会(シモーネ・トムセン)
PhRMA在日執行委員会副委員長のシモーネ・トムセンです。Eli Lilly Japanの社長を務めております。PhRMAとして追加でコメントさせていただきます。
PhRMAが日本の薬価制度改革に期待することは、ほかのG7諸国と同様に特許期間中の薬価が原則維持され、投資回収の予見性が改善されることです。その観点から3点、意見を述べさせていただきます。
1点目は、革新的な効能追加の評価についてです。
収載時であれば、有用性加算の対象になり得る効能が追加された場合には、新規作用機序であるか否かにかかわらず新薬創出加算の対象とし、その後の薬価維持が可能となるようにしていただきたいと考えております。
2点目は、再算定の類似品の取扱いについてです。
合理的ではない再算定が繰り返し適用されることを避けるために、除外ルールを見直す必要があると考えます。特例再算定の引下げ率が最大50%と極めて大きいことを考えると、除外期間を設けるという対応を取るのであれば、通常改定1回分の3年は十分ではなく、少なくとも通常改定2回分の5年間の猶予が必要であると考えます。また、一日薬価の水準を除外要件として設定するという対応も検討する必要があると考えます。既に価格が下がっている品目については除外するという意味です。
3点目は、骨太方針にも明記されている予見性の確保という点です。予見性があるからこそ、我々はイノベーションを継続することができるからです。それは骨太に示されているとおりです。
また、各論点の検討、そしてこの点は今日の全ての点に言えることでありますけれども、特に高額医薬品への対応の検討に当たっては、ルールやプロセスの変更が、イノベーションを開発する企業にとって予見性の低下につながるものではないかという点は、ぜひ十分に御配慮をお願いしたいと思います。特に、A、イノベーションの評価、B、必要とされる患者さんへのアクセス、C、企業の予見性の確保というこの3点の観点を十分に踏まえた検討が必要であると考えます。ぜひこちらの点の御検討をお願いいたします。
○欧州製薬団体連合会(岩屋)
おはようございます。欧州製薬団体連合会、EFPIA Japan会長の岩屋です。
本日はこのような発言の機会を与えていただき、まず感謝申し上げます。
EFPIA Japanといたしましては、ここまでに日薬連及び米国研究製薬工業協会が述べられた意見につきまして、完全に賛同しております。その上でEFPIAといたしましても追加で発言させていただきます。
我々EFPIA Japanは、日本の患者さんの健康及びクオリティー・オブ・ライフの向上を目指して、革新的な医薬品を提供することにコミットしております。本年の骨太方針にも示されておりましたが、そのような革新的な医薬品を日本の患者さんに迅速にお届けするためには、革新的な医薬品におけるイノベーションが薬価において適切に評価されるということが非常に重要であると考えております。私どもは前回の意見陳述でも同じ話をさせていただきましたけれども、原価計算方式の対象となります新薬は、既存薬の中に適切な類似薬が存在しないイノベーティブな医薬品でございます。我々といたしましても引き続き開示度を高めていく、そういう努力を継続してまいります。ただ、それで全て開示できるというケースばかりではないということについて、再度御理解をいただきたいと思っております。
また、今週水曜日の薬価専門部会におきましても複数の委員の方々から御指摘がありましたように、開示度が50%未満であれば一律に加算係数をゼロとする見直しは、評価されたイノベーションというものが全く薬価に反映されないということでございまして、したがって、適切ではないと考えております。仮に見直しを行うといたしましても、革新性の高い薬剤がその価値を適切に評価されるような、そういう仕組みとなるよう御検討いただけますようお願いいたします。
また、現行の薬価制度において見逃されている価値の評価といたしまして、革新的な効能を追加した品目や、市販後のエビデンスによって追加的な価値が証明された品目について、新薬創出等加算の対象となるよう、品目要件の拡充が必要とも考えております。
私どもからの発言は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは次に、日本医薬品卸売業連合会よりお願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会(鈴木)
日本医薬品卸売業連合会の鈴木です。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は意見を述べる機会を賜り、中医協及び厚生労働省の皆様に感謝いたします。
本題に入る前に、医薬品卸に対する公正取引委員会の立入検査について、一言申し上げさせていただきます。
今般、独立行政法人国立病院機構における医薬品の納入について、公正取引委員会が独占禁止法の疑いで九州に所在する当連合会の会員構成員6社に立入検査に入ったことにつきましては、当連合会として厳粛に受け止めております。
当連合会では、コンプライアンス遵守のための取組を積極的に進めてきておりますが、引き続き、会員構成員各社において、コンプライアンスが徹底されるよう努めてまいります。
当連合会としてのこれまでの取組並びに会員構成員への周知徹底につきましては、2ページにこれまでの強化の取組をまとめてございます。
医薬品の安定供給の確保について、順次御説明させていただきます。
3ページを御覧ください。医薬品流通の現状について述べさせていただきます。
一部後発品の欠品・出荷調整により、医薬品流通は依然として逼迫した状況が続いています。現在、全ての流通当事者が、医療に支障が生じないよう、危機的な状況に陥っている医薬品の安定供給の確保に全力で取り組んでおります。私たち医薬品卸においては、新型コロナウイルス感染症が予断を許さない中で、現場の人員のみならず、バックヤードにおける人員を含め、出荷調整対象品目の情報収集や連絡、代替医薬品の確保や提案など、需給調整業務への対応に尽力しております。このままでは、医薬品供給の通常業務に支障が生じかねない状況になっております。
4ページを御覧ください。
こうした一部後発品の欠品・出荷調整は連鎖的に発生し拡大傾向にあります。
下の図を御覧ください。
9月に実施した調査時点では約3,100包装が欠品・出荷調整の対象となっておりました。また、直近の数字として、先月下旬に6社の卸会社に聞き取りに行ったところでは、およそ4,200から6,800にまで対象が広がっています。医薬品卸としては、こうした増加傾向に危機感を抱いています。9月の調査では、出荷調整対応にかかる医薬品卸の追加業務出荷を15%増、追加コストが年間433億円増と推計しており、医薬品卸全体への影響は相当な規模になっております。こうした医薬品流通の逼迫は決して一過性のものとは考えられず、事態の収束を見るまではまだまだ時間を要するものと危惧しており、流通当事者全体への負担はこれまで以上になる可能性もあります。
医薬品卸にあっては、取引先からの発注を受けるものの十分な入荷量を確保できないことから、事態が収束するまでの間は、今後も取引先に対して丁寧な説明をし、きめの細かい対応をする所存です。
5ページを御覧ください。
中間年における薬価改定についてですが、流通当事者全体がこのような厳しい状況に置かれていることを踏まえ、仮に中間年の薬価改定を継続するのであれば、平成28年の4大臣合意による薬価制度の抜本改革に向け基本的に立ち返っていただき、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うべきと考えております。
また、同じく基本方針に「改革とあわせた今後の取組み」として明記されている、関係者の経営実態の把握や、安定的な医薬品流通の確保、流通改善の推進に進展が見られない中、薬価制度改革のみが一方的に先行されていることに大いに危惧しております。
6ページを御覧ください。ここでは医薬品卸の厳しい経営状況について説明しています。
調整幅2%以降の平均乖離率はおおむね収れんしている一方で、市場拡大再算定や長期収載品の段階的価格引下げなど制度面での影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、医薬品卸の経営は危機的な状況になっております。
下のグラフは、医薬品卸各社の業績の推移を示したものです。令和2年度においては、株式上場卸会社では対前年比で約7割、またそれ以外の卸各社では9割を超える営業利益の減少となっており、いずれも厳しい経営状況になっております。このような状況に加え、先ほど御説明させていただいた一部後発医薬品の需給調整問題による影響は、今後も長引くことが予想されることもあり、卸の経営状況はさらに悪化する可能性があります。
7ページを御覧ください。次に、調整幅についてです。
薬剤流通を安定させるために導入された調整幅は現在において重要な役割を果たしております。昨今生じている予見困難な様々な事態に機動的に対応する上でも、調整幅は医薬品卸のみならず全ての医療関係者において必要不可欠な価格形成要素です。特に、薬剤流通が逼迫している今だからこそ、調整幅の存在価値が再認識されるべきと考えております。さきに出された「医薬品産業ビジョン2021」にもありますとおり、医薬品の価値のみならず、安定供給のための費用を見込んだ薬価の基本的な考え方をいま一度認識していただきたいと思います。
8ページを御覧ください。
医薬品流通の逼迫は決して一過性のものとは考えられません。事態の収束までの見通しが立たない現状を踏まえると、医薬品の安定供給の確保を最優先に取り組むべきです。
また、今後の議論においては、流通当事者全体の事業環境に急激な影響を及ぼすことのないよう、財政面に偏らず、医療安全保障を重視した検討をすべきです。
まずは医薬品の安定供給の確保を最優先に検討をしていただきたい。
仮に中間年の薬価改定を継続するのであれば、平成28年の基本方針に立ち返り、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うべきです。また、基本方針に明記されたように、流通当事者の経営実態に配慮しつつ流通改善を進展させるよう取り組んでいただきたい。
調整幅につきましては、ぜひともその存在価値を再認識いただきたいと思います。医薬品流通の逼迫が続いている現状を踏まえれば、調整幅を引き下げることのような状況ではないと考えております。
何とぞよろしくお願いいたします。
○中村部会長
ありがとうございました。
一通り御説明いただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。
なお、質問は日本語でお願いいたしたいと思います。
また、いただきました質問につきましては、特に御要望がなければある程度まとめて関係業界の皆様にお答えいただければと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
では、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
まず、日薬連やPhRMA、EFPIA、また、卸連の皆様方には、御説明いただきましてありがとうございます。
本日は、皆様方の御意見をお聞きしましたということにさせていただきたいと思いますが、まず一点、中間年改定においての価格乖離の大きな品目については、乖離の大きなものに限るという御意見には賛同したいと思います。
また、卸連のお話にもございましたが、2年前の事案を踏まえた改善を取り組んでいる中において、先月、新たに公正取引委員会の指導を受けるという事案が発生したことは大変遺憾に思っております。こうした事案の影響を受けて、医療機関等への医薬品の納入が滞れば、一番困るのは患者さんでございます。業界全体でコンプライアンス体制強化にもっともっと強く取り組んでいただきたいと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
質問を1点させていただきます。特にジェネリック医薬品なのですけれども、我々、保険者、特に協会けんぽでもそうなのですけれども、4000万人の加入者のうちの約80%の方たちが、現在、後発品を使用していただいております。後発医薬品の果たす役割というのは、医療上においても経済上においても非常に重要であると考えており、今後、患者が安心して後発医薬品を服薬し続けることができる環境のさらなる整備が必要であると考えております。その上で質問なのですけれども、メーカーの立場として、今後、質と量を担保した上で常に安定供給を続けていくためには何が最大の課題であると考えておられるのかをお伺いいたしたいです。
それともう一点、先ほど、城守委員からもありましたけれども、日本医薬品卸売業連合会の方々につきましては、コンプライアンスを本当に業界の方たち全員できっちりと守っていただくということを切にお願いしたいと思います。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、質問のほうは後でまとめて御回答をお願いできればと思います。
では、眞田委員、よろしくお願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。
私からは1点、原価計算方式における製造原価の開示度向上に関しまして質問をさせていただきたいと思います。先般、1日の薬価専門部会で示されました論点整理案では、「原価計算方式における製造原価の開示度向上」として、現在の加算係数の傾斜について、開示度50%未満の場合の加算係数を0.2からゼロにするという提案がありまして、私からは、透明性の視点は重要であり、開示度の向上を図る点には異論がないものの、企業側にもやむを得ない事情がある場合も想定したほうがいいのではないかという点を指摘しました。こうした場合に加算部分が全く薬価に反映されないことでよいのか、イノベーションの評価という観点から慎重に精査すべきではないかという印象を持っていることを申し上げました。この観点から実態について確認させていただきたいのですけれども、本日のプレゼンテーション資料の4枚目の中ほどの2つ目の矢羽根では「革新性が高い薬剤も多く存在している」という記載がございます。また、開示度50%未満で、革新性が高い薬剤の例として2つ示されているわけでありますけれども、この例示以外のものを含めるとどの程度あるのか。その実態についてお教えいただければと思います。また、開示度50%未満の品目の加算係数をゼロにすることでどのような影響があるとお考えか。それについてもお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、有澤委員、よろしくお願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
関係業界の方の御説明、ありがとうございました。
日薬連、PhRMA、EFPIAから意見陳述として出された資料の中で幾つか質問と意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、2コマ目のところで、枠外のところの一番上の矢羽根のところになります。革新的な医薬品のイノベーションの評価ということで、ここの矢羽根に「第3者からも明確に確認可能なものについては、評価の対象としていただきたい」とあります。実際にどのようなことをイメージしているのかお答えいただきたいと考えております。
次に、3コマ目の市場拡大再算定の対象品目の類似品の取扱いについてですが、一定期間内が3年間、つまり通常改定1回分の猶予では不十分とあります。5年で2回分の猶予が必要とありますが、猶予し過ぎると特例のルールの設定をしている意味もなくなってしまうと思いますが、ここでその猶予期間を5年と置いた根拠があれば教えていただきたいと思います。
その次に、4コマ目のところになります。原価計算方式についてであります。まずこれは意見にもなりますが、先ほど眞田委員も発言された趣旨とほぼ同じだとも思いますけれども、50%未満をいきなりゼロにするのではなく、その中に段階を設けてそれに応じた加算係数を設定することが提案されています。この説明を聞いていて、非常に重要な視点だと思いました。この辺りの配慮は必要だと考えております。まさにイノベーションの評価が50%を切るところで全くなくなってしまうということに問題があるのではないかと考えます。その上で質問として、開示度を上げていくことについては、見える化の観点、推進の観点からは重要だと思いますが、移転価格など他社との取引関係で詳細な情報の入手が困難なものについては、企業の努力では進められないものがあると思っています。今後、この辺りについて開示できない理由によっては何らかの配慮を検討してはよいのかなとは思いますが、理由をつければ開示しなくていいという形になってしまうと、見える化に逆行してしまう懸念も同時に起こってしまうわけであります。この辺りをどのようにお考えになるかお答えいただければと思います。
最後に、8コマ目の新薬創出等加算の企業区分につきまして、これは意見になりますが、イノベーション促進の観点から、新薬開発に積極的に取り組む企業の新薬の薬価については維持してもよいのではないかと思います。
以上です。ありがとうございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、質問も増えてきましたので、この辺りで少しまとめさせていただいて、業界の方にそれぞれお答えいただきたいと思います。
まずはジェネリック医薬品について安藤委員から御質問がありましたので、こちらについては、澤井会長、御回答よろしくお願いします。
○日本ジェネリック製薬協会(澤井)
日本ジェネリック製薬協会の澤井でございます。
ただいまの安藤委員からの御質問、メーカーとして安定供給を続けていくための最大の課題は何かという御質問にお答えいたします前に一言。保険者の皆様におかれましては、加入者の皆様への後発医薬品の使用促進の周知に日々御尽力をいただき感謝申し上げます。そのような中、供給不安に関して御迷惑をおかけしておりますことに深くおわびを申し上げます。
医薬品メーカーの果たす役割というのは、品質が確実に保証された薬を製造し、安定供給していくことでございます。正しい情報を発信し、国民の皆様に正しく認知していただくことで、安心して患者さんに服用していただけると考えております。安定供給をし続けていくためには、土台の一つである高度な品質管理体制を揺るがすような事態、これを二度と起こしてはなりません。コンプライアンス、ガバナンス、リスクマネジメントの徹底の下に、製造管理、品質管理体制を維持し続けること、これが必須であり、最大の課題と考えております。現時点において、何よりも国民の信頼を回復していくために、ありとあらゆる対応を現在、メーカーは行っているところであり、これからも続けていかなければなりません。そのためには、医療関係者への情報発信だけではなくて、保険者の皆様、また、患者さんが求めている情報の発信にも応えていくよう、我々後発医薬品メーカーは一層の精進を行い、確かに改善しているということを御理解いただけるよう、業界団体だけではなく全ての会社が努めるべきと考えております。
ただ、メーカーだけでは解決できない課題もございます。例えば、原薬の安定確保、原油価格の高騰、中国の電力供給不足問題、新型コロナの影響、そして半導体の需要過多問題など、経済安全保障に関わるようなことでございます。これらに対しては、国に対して講じていただきたい措置等を業界として要望させていただき、さらに国の協力の下で対応しなければならないと考えております。その際、メーカーとしてリスクを抑えるような努力と体制整備、これを努めていくのは言うまでもありません。
このようにメーカー自身で解決すべき課題と他の要因も絡む課題、これをきちんと把握、分析して対応できるよう、業界だけではなくて、個社の体制強化も課題であると考えております。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
安藤委員、よろしいでしょうか。
(安藤委員首肯)
○中村部会長
ありがとうございます。
ではその次に、開示度の件について眞田委員、有澤委員より御意見、御質問がありましたので、御回答、よろしくお願いいたします。
○日本製薬工業協会(岡田)
製薬協会長の岡田より回答させていただきます。
○中村部会長
岡田会長、よろしくお願いいたします。
○日本製薬工業協会(岡田)
御質問ありがとうございます。
眞田委員、有澤委員から、原価計算方式で算定される品目でその革新性が評価されているものがどれぐらいあるのかという御質問をいただきました。実際に2018年以降に新規収載された新薬を調べましたけれども、補正加算の適用割合というのは全体で4割でございます。うち、原価計算方式にて算定された品目の割合は7割ということで、非常に高い比率を占めているところでございます。したがって、薬価算定の透明性の確保については十分に産業側としても理解しておるところでございますし、また、開示度の向上を目指しているということについても、今日、EFPIAからも申し上げたとおりでございますけれども、この50%を切る開示度の場合に加算係数をゼロとする見直しは、やはりイノベーションの評価という観点からは非常に厳しく、ぜひ慎重に御検討をお願いしたいところでございます。
私からのコメントは以上でございます。
○中村部会長
では、開示度につきましてはPhRMAとEFPIAの方からも何かコメント、あるいは御回答はございますでしょうか。
○欧州製薬団体連合会(岩屋)
EFPIAの岩屋でございます。
まずは、委員の皆様からこの開示度の件につきまして、一定程度非常に難しいことについてやむを得ない側面もあるというふうにコメントいただきましたことを大変心強く感じております。誠にありがとうございます。
先ほど、製薬協からもお答えがありましたけれども、原価計算方式というのは、非常に革新的な画期的な医薬品の算定方式としては非常に大きな位置づけ、役割を果たしておりまして、その中で開示度の割合が5割というところで一気に評価をゼロにするということについては、やはり非常に革新性のある画期的な医薬品の開発を阻害していくものというふうに重ねて感じております。数字的なものにつきましては、先ほど、製薬協から説明をいただきましたので、委員の皆様にも御理解をいただけたかなと思っております。
最後に、移転価格につきまして、理由によってはというお話がございました。一方で、その理由ということだとみんなその理由があって開示度が上がらないのではないかという御心配もいただきました。この点につきましては、前回の意見陳述でも申し上げましたけれども、まず御理解というか信頼をしていただきたいと思っておりますのは、外資系企業、アメリカ系につきましてもヨーロッパ系につきましても、この薬価の算定におきまして一貫してこの議論の中でどうやって透明度を上げていくかということが議論されていて、それに向けて関係者の皆様が努力されていることは十分理解をしております。日本市場で製造販売をしております外資系企業にとりましても、その日本の制度の中でどれだけ自分たちが貢献できるかということを常に考えておるところでございまして、理由をつけて、例えば、開示できるところを開示しないといった行動というのは、我々は行うつもりはございません。今までどおり開示できるところについては徹底的に開示をしていきたいと考えておりますし、その上で技術的に開示が100%は難しいところについては御理解をいただければと考えております。
したがいまして、そういう状況でその制度をある意味アビューズして悪用して開示度を下げるようなことというのは絶対ないと考えておりますことを最後に付け加えたいと思います。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、トムセン副委員長から何かございますでしょうか。
○米国研究製薬工業協会(シモーネ・トムセン)
ありがとうございます。
御質問、本当にありがとうございました。
まず、今の説明にもございましたけれども、現在、その製造工程の様々な部分が国際化しているわけでありまして、もちろん全部社内での関連工場などで工程を管理できればいいわけですが、実際は国際化、グローバル化した形でいろいろなところに工場や工程があります。そして、その中にはいろいろなステークホルダーが関わってやっているわけでありますので、その中で全ての関係者の情報や過程を全部把握するということが難しいということが背景にありますために、100%開示というのがなかなか困難になっているわけであります。
先ほども岩屋会長がおっしゃったように、私たちは開示したくないということでは全くございませんで、開示の必要性を十分理解して最善の努力をして協力したいと思っております。そして、今後も開示率を引き上げていきたいということを考えているということを申し上げたいと思います。
○中村部会長
ありがとうございます。
有澤委員から、他にも、イノベーションの評価における第三者のイメージであるとか、市場拡大再算定の類似品の取扱いについての御質問がありましたので、岡田会長あるいは専門委員の方から、御回答をお願いできればと思います。
○日本製薬工業協会(岡田)
それでは赤名専門委員より回答したいと思います。
○中村部会長
では、専門委員の赤名委員、よろしくお願いいたします。
○赤名専門委員
では、私からお答えいたします。
有澤委員からいただきました2コマ目の、エビデンス等によって学術論文及びガイドラインへの記載というところへのご意見でございますが、ここは決して多いものではなくて、査読された上で学術論文、雑誌に掲載されるものは非常に限定的であると考えてございます。また、ガイドラインにつきましても、単に第一選択薬として掲載されて治療の選択薬として増えたというものではなく、その疾患における標準治療を変えるようなものを想定しておりまして、数は非常に少ないのではないかと考えてございます。新たなエビデンスが示され、添付文書が改訂されるものやガイドラインにて高い推奨を得るものは非常に限られていて、数品程度ではないかと考えてございます。
私からは以上でございます。
○中村部会長
では、市場拡大再算定の類似品で5年とした根拠はいかがでしょうか。
○日本製薬工業協会(岡田)
では、それに関しましては岡田よりお答えします。
○中村部会長
では、岡田会長、よろしくお願いいたします。
○日本製薬工業協会(岡田)
ありがとうございます。
日薬連眞鍋会長からの説明にもありましたとおり、特例拡大再算定の薬価引下げ率は最大50%と非常に大きなものでございます。現行のルールでは、それが適用されても短期間のうちに類似品として薬価が引き下げられるということになっておるところでございます。このような場合にはその薬価の予見性は非常に極めて乏しいものになって、企業への影響は非常に甚大であると考えるところでございます。
したがいまして、今日の提案の中にもありますように3年間、すなわち改定1回分ではこれだけの引下げということを埋めるにはかなり厳しく、せめて2回分、5年間は猶予をぜひいただきたいことを申し上げた次第でございます。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、眞田委員、有澤委員、よろしいでしょうか。
(眞田委員、有澤委員首肯)
○中村部会長
ありがとうございます。
では、その次に、また引き続き御質問に移りたいと思います。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
私は卸に関しての御質問をしたいと思っております。
資料の5コマ目のところに平成28年の薬価制度の抜本改革についての基本方針というのが記載されておりまして、その中の2.の(4)のところに「流通の効率化を進めるとともに、流通改善の推進」という文言が含まれております。こういう観点からすると、そういった流通の効率化というのはどんな形で進められているのかというのが一つ。
それと、7ページに調整幅についての御説明があるのですけれども、当然、お薬はいろいろな種類がございますけれども、例えば、新薬、長期収載品、後発品、あるいは内用薬、外用薬、注射薬といった違いで、当然、流通量やコストの違いがあると思うのですけれども、それにもかかわらず調整幅そのものは従来からずっと同じ幅になってきております。この件についてどのようにお考えになっているのか。せっかく今日、業界の方がいらっしゃいますので、卸の方並びに製薬会社の両方からまずお伺いしたいということが一つでございます。
それと、先般、総会で御指摘しました公正取引委員会の関係で非常にお取組をされているということに関しては十分認識いたしました。ただ、これを実効性のあるものにしていただくべく引き続き努力をしていただきたいということを申し添えておきます。
あと、最後になりましたが、各団体から御説明いただいたことに対してお礼を申し上げます。
以上であります。
○中村部会長
ありがとうございます。
質問はまたまとめて御回答いただければと思います。
では、佐保委員、よろしくお願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
私からも各団体の御説明に対してお礼を申し上げたいと思っています。
原価計算方式における開示度について、50%未満の品目についての厳しいルールを設定することは、1日の薬価専門部会にて、影響が生じるのではないかと発言をさせていただきました。この点については、先ほど、眞田委員、有澤委員から質問があり御説明をいただいたので省略をしたいと思っていますが、追加で何か補足があればお願いしたいと思っております。
もう一点は、医薬品卸の関係で、公正取引委員会による立入検査については、コンプライアンス重視というのは言うまでもないと考えております。まだ疑いということでコメントできないかもしれませんが、なぜ起きたのでしょうか。いろいろな事象が発生したときに多分そういったことは検証されていると思います。なぜ起きたのかということについては、再発防止という観点からも非常に重要であると考えております。今日はコメントできないかもしれませんが、検証のうえ、説明いただく機会を設けてほしいと思っていますので、よろしくお願いします。
私からは以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほかに何か御質問等はございますでしょうか。
では、まとめて御回答お願いします。
まずは卸の関係で、流通の効率化、調整幅、コンプライアンスの関係の御質問をいただきましたので、こちらは日本医薬品卸売業連合会の鈴木会長からでしょうか。よろしくお願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会(鈴木)
担当理事の折本から答えさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○中村部会長
はい、よろしくお願いいたします。
では、折本理事、よろしくお願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
折本と申します。よろしくお願いいたします。
ただいまの御質問で、流通の効率化という面と流通改善の推進ということで少し申し上げさせていただきます。
まず、我々の今、販管費という形で申し上げますと、今議論されている調整幅が始まりました20年前の販管費が医薬品卸全体で約8.5%ございました。直近で、細かい数字は別としまして終わりました20年度で5.5と。ほぼ3%販管費を縮小したということは、通常の産業界、医薬品卸、卸卸業にとっても多分希有なことだろうと思います。
いずれにしても、我々の一番大きな人件費、特に労働力が地方も含めて大変少なくなってきている中で、自動倉庫の創出でありますとか、いろいろな形での工夫をしてまいりました。システムの向上も含めてというところです。
さらに、流通改善の推進では、今まさに流改懇等でいろいろな御指導をいただきながら推進をしておりますが、お得意様との適正在庫、今、大変御迷惑をかけていることはちょっと置いておきまして、返品問題、急配問題並びに我々、諸外国でないプロモーションの在り方もより適切に、いわゆるお得意様とどのように合理化していくかということが、今、工夫をしております。そういう流通改善のガイドラインもいよいよ発表されるというところでありますので、4年前のガイドラインを踏まえて、さらにステップアップしてまいりたいと思っております。
取りも直さず一番重要なのは、単品単価契約、それに伴う交渉がどういう実態なのかというのは、今、調査が終わって経済課様で集計していただいて、今回の流改懇で出されると。これにとって我々、薬価調査の透明性ということをまず第一義に今、検討してまいりたいと思っておりますので、その点もまた御理解いただければと思います。
調整幅の件はいろいろな議論がなされてまいりましたが、大変卸業にとっても、先ほど会長から申し上げましたとおりに、私どもの経営実態が大変厳しくなってきたと。また、今、コロナワクチンの配送もさせていただく中で、先ほどの需給調整のお話も申し上げました。約433億円という数字を出させていただきましたが、それから以降もう6,000品目を超えているという状況で、多分、集計はできておりませんが、1.5倍近くのコストが漏出しているのではないかと思っております。そんな中で調整幅問題については、正直申し上げまして御勘弁いただきたいという状況でございまして、一定幅も含めて再度御検討いただければと。
個人的な数字だけで申し上げますと、ちょうど乖離率が15年から20年までの平均を取りますと8.22という数字で、簡単に電卓で速算してみますと、最初の初発が一定の金額だとしますと、従来の2年に1回の薬価改定で調整幅2があるとして、何も再算定、いわゆる拡大再算定とか追加の長期収載品の云々というのがない状態での単純計算で行きますと、従来では22%ダウンと、8年後という数字になります。それが、今、中間年の改定が今議論されておりますが、同じような形で中間年の改定があるとすると4300億という数字でございましたが、それをやりますと約4割、8年後に落ちるということになります。さらに、調整幅がないというふうになりますと、単純計算でございますが、ちょうど5割、8年後。ということは、8年後には薬価が半分になってしまうと。これは新装品であれ何であれ何もカテゴリー関係なしに単純計算しております。さらにそこに拡大再算定等々がありますと、当然ながらこれは5割を切ってしまうと。ビジョンでも示されたお話でございますが、10年以上かけて数千億の御投資をされて、上市確率が0.044でしょうか。大変な状況の中の新薬がこのような形で早期に2倍以上のスピードで薬価が下落するという中で、我々卸業も本当にそれでいいのかということと、調整幅が、先ほどの剤形でありますとか包装ですとか様々なものがございますが、それぞれに価格形成のためのばらつきの是正というふうな理解をしておりますので、そのような意見ということで御理解いただければと思っております。
以上です。
○中村部会長
コンプライアンスについては、なぜこういった問題が起きたのかということにつきまして、可能な範囲でコメントをお願いできればと思います。こちらのほうは卸連からいかがでしょうか。
○日本医薬品卸売業連合会(鈴木)
それでは、コンプライアンスのことについてちょっとお話しさせていただきます。
先日の九州における公取委立入検査についてなのですけれども、当連合会九州地区の会員構成員に立入検査が入ったことについては、本当に厳粛に受け止めております。また、本件につきまして公正取引委員会において調査中でありますので、現段階ではコメントすることは難しいと思っております。対象となった会員構成員においても、当局の調査に全面的に協力するものと伺っております。
連合会として、今後とも引き続き会員構成員における法令遵守及びコンプライアンスを徹底的に取り組んでまいりたいと思います。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、流通改善と調整幅に関しては製薬団体の方にも御質問がありますので、何かコメントあるいはその御回答がありましたらよろしくお願いします。
○日本製薬団体連合会(眞鍋)
では、調整幅につきまして、日薬連の眞鍋からです。
卸連から御説明がありましたように、私どもとしましても、現行の薬価の改定方式において価格のばらつきを経済合理的な形で吸収する機能があると思っております。
したがいまして、薬剤流通の安定のために調整幅はぜひ必要であるという立場で考えております。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
PhRMAあるいはEFPIAの方はこの辺りのコメント等は何かございますでしょうか。
○欧州製薬団体連合会(岩屋)
EFPIAからは今の皆様の意見に賛同いたします。追加のコメントはございません。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、PhRMAの方もいかがでしょうか。
○米国研究製薬工業協会(シモーネ・トムセン)
今おっしゃったことに賛成ですので追加コメントはございません。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、佐保委員から開示度について何か補足がないかという御質問でしたので、この辺りはいかがでしょうか。
○日本製薬団体連合会(眞鍋)
特にありません。ありがとうございます。
○中村部会長
松本委員、佐保委員、こちらのほうでよろしいでしょうか。
(松本委員、佐保委員首肯)
○中村部会長
ありがとうございます。
何かほかにコメントあるいは付け加えるポイント、質問あるいはその質問に対する御回答はよろしいでしょうか。
あと、専門委員からも何か御意見はございますでしょうか。
○赤名専門委員
特にありません。ありがとうございます。
○中村部会長
よろしいでしょうか。ありがとうございました。
では、大体御意見、御質問も出尽くしたようですので、関係業界からの意見陳述についてはここまでとさせていただきます。
各関係業界の皆様におかれましては御退出をお願いいたします。どうもありがとうございました。
では、本日の議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会をこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。


 

(了)
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