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2021年12月1日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第183回議事録

○日時

令和3年12月1日(水)診療報酬改定結果検証部会終了後~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
城守国斗委員 江澤和彦委員 林正純委員 有澤賢二委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 村井泰介専門委員
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
高宮保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○次期薬価改定について(論点整理案)

○議事

 


○中村部会長
では、ただいまより、第183回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
本日の委員の出欠状況について、御報告します。
本日は、全員が御出席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
初めに「次期薬価改定について」を議題といたします。
これまでの議論を踏まえ、次期薬価改定についての論点整理案が提示されておりますので、事務局より説明をお願いいたしたいと思います。
では、よろしくお願いします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料薬-1を御覧ください。
次期薬価改定に向けまして、これまで御議論いただいておりました論点につきまして、それぞれ対応方針案という形で御提示させていただくものになります。
1コマ目は、これまでの論点を整理したものとなります。
2コマ目を御覧ください。
まず「革新的な効能・効果の追加承認があった新薬の取扱い」でございます。
「現状・問題意識」についてまとめておりますが、4ポツ目にありますとおり、新規収載時には有用性加算等に相当するような効能・効果が追加された場合ですが、現状、薬価改定時には加算の対象となる場合が、新規作用機序という限定的なものになっているという問題意識についてでございます。
3コマ目は、これまでこちらで御意見いただいたものをまとめておりまして「対応方針案」でございます。
革新的な効能・効果の追加承認があった新薬の取扱いについて、どう考えるかとしております。
4コマ目に、これまでの新薬創出等加算適用の現状をまとめた図ということでお示ししてきているものでございます。
一番上の行は「有用性の高い医薬品の開発」ということで、右側の「収載後」は、効能追加等のときに該当しますが、現状はこのようになっておりますという御説明になります。
5コマ目は「先駆的医薬品及び特定用途医薬品の評価」についてでございます。
こちらは、令和2年に施行されました改正薬機法におきまして、新たに設けられた区分としまして、先駆的医薬品、それから、小児とか薬剤耐性菌を対象とした特定用途医薬品が新たに始まったというものでございます。
6コマ目は「対応方針案」でございます。
小児用医薬品、薬剤耐性菌治療薬等の開発を促進する観点から、先駆的医薬品、特定用途医薬品に係る有用性加算等について、既存の項目との関係を踏まえ、以下のように整理、見直してはどうかとしております。
その下は、俯瞰図でございますが、案としまして、まず、これまで世界に先駆けた日本での開発ということで、先駆け医薬品について、評価の対象としていたものを先駆的医薬品と置き換えるというもの、それから、特定用途医薬品の開発について新設することと整理させていただいております。
具体的なものを次にお示しします。
7コマ目を御覧ください。
まず「新薬創出等加算の企業指標」についてですが、下のほうにありますとおり、Cの区分としましてありました「世界に先駆けた新薬の開発」の部分を先駆的医薬品の指定に置き換えるというもの、それから、C-2としまして、特定用途医薬品を新設するという御提案としております。
8コマ目は「補正加算」の項目としまして、右下のほうにありますが「特定用途加算」を新設するもの、それから「先駆け審査指定制度加算」について「先駆加算」という名前に置き換えるというものと御提案しております。
また、小児加算については、特定用途加算と重なる部分がありますので、それについては、小児加算からは除くという御提案としております。
9コマ目は「新薬創出等加算の企業区分」についてでございます。
10コマ目に、これまでいただいている御意見をまとめておりますが「中医協での意見」の1ポツ目にありますように、めり張りのある見直しが必要という御意見、あるいは3点目にありますとおり、区分間のバランスを取ってといった御意見などをいただいております。
「対応方針案」でございます。
まず、新薬創出等加算の企業区分について、区分間のバランスを適正化する観点から、企業区分3の対象範囲、これは今、最低点数となっていますが、これから2ポイント以下と引き上げてはどうかとしております。
また、もう一点は、このほか、イノベーションの促進の観点から、どのようなことが考えられるかとしております。
11コマ目は「長期収載品の薬価の適正化」についてでございます。
こちらは、これまでの御意見で、段階的引下げはスピーディーにやっていくべきなどの御意見をいただいております。
「対応方針案」です。
長期収載品の薬価のさらなる適正化を図る観点から、どのようなことが考えられるかとしておりまして、12コマ目に、令和2年度改正が行われた後の現状のルールをお示ししております。
13コマ目は「安定確保の優先度が高い医薬品の取扱い」についてでございます。
こちらは、現状の1ポツ目にありますとおり、安定確保医薬品を本年3月に選定しております。これらの取扱いについてでございます。
14コマ目の「対応方針案」でございます。
安定確保医薬品のうち、優先度が高い品目(カテゴリAに分類されている品目)について、どう考えるかとしております。
15コマ目に「安定確保医薬品について」の概要をお示ししております。
上の説明にありますとおり、以下の要素やそれらの重要度を勘案して、安定確保医薬品が選定されております。
その選定に当たりましては、下の図にありますとおり、カテゴリA、B、Cそれぞれの成分数が選定されております。
16コマ目に、カテゴリAとして選定された成分が表示されておりまして、その右側に現状の薬価のルールとの関係性の中で、収載後25年とかG1などの該当要素についてお示ししております。
17コマ目は「原価計算方式における製造原価の開示度向上」についてでございます。
これまでるる御指摘いただいてきた項目でございます。
18コマ目に「対応方針案」をお示ししております。
1つ目は、薬価の透明性を確保する観点から、運用上、海外からの移転価格については、他の国への移転価格を確認することにより、その妥当性を確認する運用を行っているが、合理的な理由がある場合を除き、他の国への移転価格を上限とする運用を明確化してはどうかとしております。
こちらは、現状の運用をお示ししているものですが、他の国とは、日、米、独、仏の4か国を示しております。
2ポツ目は、上記に加え、現在の加算係数の傾斜において、必ずしも開示が進んでいないことから、開示度50%未満の場合の加算係数を現在の0.2から0に引き下げることとしてはどうかとしております。
また、もう一点は、さらに、移転価格として日本に導入される品目に係る営業利益率の適切な水準を見極め、次回の見直しにおける検討材料とするため、一定期間、移転価格として日本に導入される品目のメーカーに対して、必要な営業利益率についてのデータ提出の協力を求めることとしてはどうかとさせていただいております。
19コマ目は「市場拡大再算定の対象品目の類似品の取扱い」についてでございます。
「現状・問題意識」の中で、3ポツ目にありますが、業界団体から、こういった類似品の再算定について、適用することが不合理と考えられる場合には、対象から除外できるよう、要件を見直すべきとの御意見をいただいております。
20コマ目の「対応方針案」でございます。
再算定の対象となる品目の類似品に係る再算定ルールについて、市場拡大再算定の特例の対象品、または類似品として引き下げられた後、一定期間内は、他品目の市場拡大再算定の類似品としての対象外としてはどうかという御提案とさせていただいております。
21コマ目は「リポジショニングの際の薬価算定」でございます。
「現状・問題意識」の1ポツ目にありますが、リポジショニングという形で既に収載されている医薬品と成分が同じものが、新たな効能などで新規開発されて、収載される場合ですが、類似薬がある場合であっても、原価計算方式によって、算定される額を当該新薬の薬価とするルールがある中で、類似薬効比較方式のほうが低い場合には、その低いほうを用いるといったルールがございます。こちらにつきまして、業界団体より、その見直しが要望されているところでございます。
「対応方針案」です。
開発が進みにくい分野における開発促進の観点から、リポジショニング特例の取扱いについて、例えば未承認薬検討会議の議論を踏まえ、開発公募された品目などを対象から除いてはどうかとしております。
22コマ目は「基礎的医薬品の改定ルールの見直し」でございます。
こちらは、基礎的医薬品のルールに基づきまして、一旦、基礎的医薬品から外れた品目が、基礎的医薬品として戻る場合に、薬価が引き上がるようなケースなどを想定したものとなります。
23コマ目の「対応方針案」でございます。
基礎的医薬品の改定ルールについて、一度基礎的医薬品から外れた品目が、再度基礎的医薬品の要件を満たす場合には、基礎的医薬品に復活するものの、それ以外の基礎的医薬品まで価格を上げず、原則、その際の薬価に維持してはどうか。
2点目、また、これまで基礎的医薬品であった品目が、基礎的医薬品から外れることによって、基礎的医薬品外れ品目の薬価が引き上がる場合には、もともと基礎的医薬品から外れていた品目と、今回基礎的医薬品から外れた品目で価格帯を分け、改定前薬価を上限額としてはどうか。
3点目、さらに、品目(規格)単位ではなく、同一銘柄全体の乖離率の加重平均値から該当性を判断することを基本としてはどうかとしております。
24コマ目は「新規後発品の薬価算定」でございます。
こちらも、25コマ目に「対応方針案」としてお示ししております。
これまでるる御意見をいただいております。
「対応方針案」です。
毎年薬価改定が導入されて間もなく、今後、薬価への影響等を見ていく必要があるため、新規後発品の薬価算定について、今回の改定では、現在のルールを維持することとしてはどうかとしております。
26コマ目は、前回のこちらの部会で御指摘をいただいたものでございます。
新規後発品について、その実勢価格がどのようになっているか、データを示してほしいという御指摘があったものでございます。
真ん中の四角に記載しておりますが、令和2年6月収載の新規後発品につきまして、令和2年9月時点で行った薬価調査結果に基づきまして分析したものでございます。
その乖離率については1.4~30.8%、平均で18.9%となっておりました。
参考までに、それらに対応する先発品の乖離率は6.7~13.7%、平均で9.5%となっておりましたということでございます。
27コマ目は「調整幅の在り方」についてでございます。
こちらも、様々な御意見をいただいてきております。
「対応方針案」です。
薬剤流通の安定のために、平成12年度改定において設定された調整幅について、どう考えるかとしております。
28コマ目は「高額医薬品に対する対応」についてでございます。
こちらは、今後に向けてということで、御提案させていただいたものでございます。
29コマ目に「対応方針案」をお示ししております。
今後、年間1500億円の市場規模を超える品目が承認された場合には、通常の薬価算定の手続に先立ち、直ちに中医協に報告し、当該品目の承認内容や試験成績などに留意しつつ、薬価算定方法の議論を行うこととしてはどうかとさせていただいております。
現行の薬価算定基準の中で、市場拡大再算定のルールがございますが、そちらの閾値の中で最も高いものが1500億円としておりますことから、御提案として一応、そちらをお示ししております。
30コマ目は「診療報酬改定がない年の薬価改定」についてでございます。
こちらは、昨年度の改定のときからるる御意見をいただいていたものでございます。
31コマ目に「対応方針案」をお示ししております。
診療報酬改定がない年の薬価改定の適用ルール等の在り方について、どう考えるかとさせていただいております。
事務局からの説明は、以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
では、ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。
では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
それでは、事務局の対応方針案に関しまして、コメントさせていただきたいと思います。
まず、3ページの革新的な効能・効果の追加承認については、既に意見としても述べましたが、対象領域や市場規模などの一定要件の整理を進めていただくことをお願いしたいと思います。
続きまして、6ページの先駆的医薬品等についてのところでございますが、ここに関しましては、事務局の対応案に関して、特に異論はございません。
続きまして、10ページの新薬創出等加算のところでございますが、1点目に関しましては、これでよいかと思いますが、2点目に関しましては、イノベーションの促進を薬価で行うことには、やはり限界もあろうと思います。
薬価以外でも、例えば米国で行われているように、革新的な新薬が承認を取得した場合には、次の開発品目に使える特典を与えたり、そういうこともございますので、様々な工夫があってもよいのではないかと思っております。
続きまして、11ページの「長期収載品の薬価の適正化」でございますが、ここに関しましては、長期収載品の薬価の適正化は、重々理解はしてございますが、これまで後発品への置き換えを促進するために、累次にわたって制度を見直してきたわけでございます。
しかしながら、最近は、販売後の供給が不安定になることなどを回避するために、保険収載されても、販売開始日が決まらないという品目も散見される状態もございます。後発品が収載されなければ、市場の競争原理が働かないために、長期収載品の取引価格は下がらないということになります。
市場実勢価格を踏まえた薬価の適正化を期待するには、現状、薬価制度とは別の薬価の適正化を阻む要因もございます。そのため、現状、単純に長期収載品の価格を後発品と一緒にできるだけ早くすればよいとのみ言うことは、なかなか難しいという側面もございます。
現時点では、後発品への置き換えが進まない品目、G2とかCでございますが、それらについてその要因、また支援策を中医協、また関連部局で引き続き検討することが必要ではないかと考えております。
続きまして、14ページの安定確保の優先度が高い医薬品でございます。
これは、昨年度の医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議におきまして、議論を踏まえて、現在、医政局経済課において、サプライチェーンの実態把握調査、また供給不安の情報の整理を国としてどのように行っていくのか、検討している段階である状態でございます。
検討会では、中間帯、また原薬の確保なども課題になっておりまして、総合的な対策が求められているのが現状です。そのような段階において、安定確保を理由に、一律に薬価を引き上げることには賛同しかねます。
薬価制度には、既に不採算品再算定や基礎的医薬品の枠組みがございますことから、16ページのカテゴリAについて、まず、その適用の可否を検討した上で、対応できない品目に限って、特例的に対応を検討するべきではなかろうかと考えております。
続きまして、18ページの原価計算方式ですが、ここに関しましては、事務局案に特に異論はございません。
20ページの市場拡大再算定でございますが、連座的に再算定が適用されることに、一定の不合理があることは理解しておりますが、連座制の対象外にするとしても、一定期間で一度に限定するなど、一定の制限の工夫が必要ではないかと考えます。
効能追加の内容を踏まえた除外の検討につきましては、その判断の難しさや、検討するタイミングによって、市場における競合の状況が異なるようにも思えますことから、実際に運用するのは、なかなか難しいのではないかと考えております。
再算定対象品目よりも、既に1日薬価が低い類似品について、これを対象から除外することにつきましては、両者の価格が拮抗することで、市場競争が働くことを期待できるのであれば、検討してもよいかと考えております。
続きまして、リポジショニング、21ページでございますが、この論点につきましては、以前から指摘いたしましたとおり、リポジショニングの特例を外す方針は理解するものの、薬価が無条件に100倍を超えることが起きないような対応が必要であることは、当然でございます。
医療上の必要性の高い未承認薬・適用外薬検討会において、開発要請ではなくて、開発公募をすることになった候補薬について、企業が開発に手挙げしやすくなるように配慮することは、よいのではないかと考えます。
しかしながら、同じ疾患領域の場合、処方医が使いこなしているお薬であれば、リポジショニングという呼び方がふさわしいのか、単に効能追加ではないのか、その切り分けについて、企業またはPMDAとの相談で、その判断が間違ったり、また甘い判断にならないように注意していただきたいと思います。
23ページの基礎的医薬品の改定ルール、25ページの新規後発品の薬価算定に関しましては、事務局案に異論はございません。
27ページの調整幅でございますが、これに関しましては、先日述べた意見の繰り返しになりますが、コロナ対応や後発品の問題による供給不安等によって、流通経費や様々な在庫管理のコストが増加していることは確実でございまして、また、業界ヒアリングでも、卸の経営状況が危機的であるという御報告もございます。
調整幅は、下げるのではなく、上げていただきたい状況であるという見解が卸からも示されたことを鑑みますと、現時点で調整幅を下げたり、変動させたりということは、なかなか難しい状況にあると認識いたしております。
29ページの「高額医薬品に対する対応」でございますが、ここに関しましては、特に事務局の案に異論はございませんが、医薬品の価値に関して議論するときには、我々が常々申しておりますように、様々な角度からの議論が必要であるということをしっかりと認識していただいた上での議論の展開をしていただきたいと申し述べさせていただきたいと思います。
31ページの「診療報酬改定がない年の薬価改定」ですが、この論点につきましても、これまでの主張と同様でございまして、中間年改定は、2年に1度の通常改定とは異なる位置づけであって、薬価と実勢価格の乖離が著しく大きい品目に限定して、薬価の補正をすべきものと理解すべきであろうと思います。
算定ルールにつきましても、実勢価格に連動するもののみに適用するのが適切だろうと考えます。
長くなりましたが、私からは以上です。
○中村部会長
ありがとうございました。
では、有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。
次期薬価改定の論点整理案ということで、お示ししていただいた対応方針案については、おおむね賛成させていただきたいと思います。
その中で、幾つかの対応方針案に沿ってコメントさせていただきます。
まず、3コマ目の「革新的な効能・効果の追加承認があった新薬の取扱い」であります。
これの方針案では、イノベーションの評価の観点から、薬価収載後に効能追加が行われた場合であっても、有用性の高い医薬品の開発については、薬価への加算や新薬創出等加算への適用は必要と考えます。
次に、10コマ目になります。
「新薬創出等加算の企業区分」についてですが、イノベーションの促進の観点については、意見にもあるとおり、区分1のうち、新薬開発に特に貢献している上位の会社については、さらに評価していくことや、コロナワクチンやコロナの治療薬の開発は、評価の対象とすることが必要だと考えます。
また、今後、何かほかの新興感染症が発生し、不測の事態や緊急事態が起きた場合、製薬企業を支援できるような評価も、これらの評価に関連して、何か配慮できることがよりよいのではないかと考えます。
11コマ目の「長期収載品の薬価の適正化」の対応案ですが、スピーディーにし過ぎると、後発医薬品メーカーがそのスピードについてこられず、また、不祥事につながるといった可能性があるということでありまして、長期収載品は、後発医薬品に道を譲ることが必要ではありますが、安定供給を最優先にした上で、スピード感が過度にならないような配慮が必要と考えます。
次に、14コマ目の「安定確保の優先度が高い医薬品の取扱い」の対応案についてです。
安定確保医薬品は、医療上、不可欠なものでありますし、安定確保が難しくなってきた段階で評価の検討に入るのでは遅いと考えます。国民の生命に関わる問題ですので、切れ目ができてはいけないものと考えます。
これらの理由から、基礎的医薬品などは、薬価上の評価の対象とすべきと考えますし、今回、カテゴリAの品目を対象とすることが妥当ではないかと考えます。
あわせて、G1、G2などのほかのルールとの整合性も図る必要があると考えます。
次に、20コマ目の「市場拡大再算定の対象品目の類似品の取扱い」の対応案です。
3年間が妥当かどうかは分かりませんが、いずれにしても、類似品としての引下げの対象外とする期間については、制限が必要と考えます。
1回だけの免除という条件をつけて、対象外とする期間をもう少し延ばすことも一案ではないかと考えますが、業界の考えもよく伺いたいところであります。
また、業界からの意見陳述で、この件に関して、1日薬価や効能・効果の重なりによって、対象かどうか判断してほしいとの要望がございました。
1日薬価については、効能によって異なる場合があることや、収載時の加算の有無などで、既に1日薬価がずれている場合に、どう考えればよいのかなど、難しい課題があると思います。
効能・効果の重なりについても、どのようなデータに基づき判断するのか、どの程度の重なりまでを対象とするのかなど、同様に技術的な課題があり、ルール化は困難ではないかと考えております。
次に、27コマ目の「調整幅の在り方」の対応案についてですが、意見にもあるとおり、調整幅には、様々な役割や意義、意味があり、薬剤流通安定のために必要なものであり、さらに、現状に鑑みると、設定している調整幅は変更すべきではないと考えます。
最後に、31コマ目の「診療報酬改定がない年の薬価改定」の対応方針についてですが、今回の中間年改定は、大変厳しいものでありました。現場に非常に大きな影響を与えており、特に保険薬局では、経営状況は悪化したという話をよく耳にしております。
厚生労働省におかれましては、この影響を引き続き把握していただくことをお願いしたいと思います。そして、対象となる品目の基準や、そもそもの中間年改定の是非の判断について、いま一度、中医協の中で議論していくべきものと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、次に、佐保委員、お願いします。
○佐保委員
ありがとうございます。
薬価改定については、患者、被保険者の安心・安全につながるイノベーションの推進や、医薬品の安定供給確保の観点から、革新的新薬や希少疾病用医薬品等を評価する必要があると考えております。
6ページに書かれております先駆的医薬品、特定用途医薬品に係る見直しについても、理解できると考えます。
18ページの開示度50%未満の場合の加算係数を0に引き下げることについて、開示度を上げる観点は理解いたしますが、そのことによって、影響が生じるのではないかと考えます。どのような影響があるのか、分析をお願いしたいと思います。
27ページの調整幅については、価格や経費のばらつきがある以上、必要性はあると考えます。安定的な医薬品の流通に係るコストなども検証し、必要な幅を持たせるべきと考えます。
31ページの「診療報酬改定がない年の薬価改定」については、国民皆保険の持続性、イノベーションの推進、国民負担の軽減、医療の質の向上を実現する観点から、丁寧な検討が必要であると考えます。
私からは以上です。
○中村部会長
ありがとうございました。
では、眞田委員、よろしくお願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。
次回の薬価改定に際しましては、国民皆保険の持続性とイノベーション推進の両立を図るとの政府方針に基づいて、バランスの取れた見直しにする必要があると考えております。
また、今年の骨太方針でも、革新的な医薬品におけるイノベーションの評価の視点、さらには、透明性・予見性の確保にも留意すべきであるとされている点も十分に考慮していくことが重要であり、さらには、安定供給という視点も踏まえていることは言うまでもありません。
この点を踏まえますと、今回の論点整理案の中には、イノベーション評価推進という観点から、若干厳し過ぎるのではないかという論点も見受けられます。
例えば先ほど佐保委員からもコメントがありましたが、原価計算方式における製造原価の開示度向上について、18ページの「中医協での意見」にも明記いただいておりますが、前回の議論でも申し上げたとおり、透明性の視点は重要であり、開示度の向上を図る点に全く異論はないものの、企業側にはやむを得ない事情がある場合も想定されるところであります。
今回、有用性等が認められて、補正加算がついた場合でも、開示度50%未満の場合の加算係数を現在の0.2から引き下げ、0になってしまうという提案がございます。しかし、開示度が50%未満となる理由について、やむを得ない事由もあるのではないかと考えられます。そういった場合に、加算係数が全く薬価に反映されないということでよいのか、慎重に精査してもよいのではないかという印象を持っております。
例えばこうした点などを今後、業界からの意見聴取の機会などで実態を確認して、それを踏まえた上で検討していってはどうかと考えております。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
それでは、整理された論点に沿って、対応方針案についてコメントいたしたいと思います。
1点目のイノベーションの評価でございますが、革新的な効能・効果の追加がされた場合、これについては、有用性をしっかりと判断することを条件に、新薬創出加算を適用して、企業の開発が活性化することを期待したいと思います。
ただ、既に使用されている医薬品の薬価を途中で引き上げることは非常に難しいという現状は、業界の皆様にはぜひ御理解を賜りたいと思っております。
続きまして、6コマ目にあります特定用途医薬品については、先駆的医薬品とおおむね同様の取扱いとし、特定用途以外の小児用医薬品とは、新薬創出加算の適用で差をつけることで整理は可能であると考えております。
また、特定用途医薬品の開発を新薬創出加算の企業指標で講評することについては、異論はございません。
続きまして、7コマ目でございますが、2つ目の論点です。
国民皆保険の持続性・適正化の観点ですが、7コマ目の新薬創出等加算の企業区分の話でございますが、2ポイント以下に見直すことは、企業指標に2品目以上該当すれば、区分2になることがこれで明確になりますので、企業側も予見性を高めながら、全体としてめり張りがつくということで理解しております。
参考までに、2ポイント以下という基準を設けた場合に、企業が何%ぐらいになるのか教えていただければ、ありがたいと思います。
続きまして、12コマ目の長期収載品でございますが、そこに書いてございます段階的な引下げを前倒しで適用することとか、Z2の後発品置き換え率の水準の引上げは、今後、継続して考えていく必要があると考えます。
続きまして、安定確保医薬品、安定供給や薬価の透明性・予見性の確保についてでございますが、まず、安定確保医薬品のカテゴリAに分類された品目の薬価を一律に維持することは、そこの表にもいろいろと過去の歴史等も書いてございますが、個別の事情を考慮した対応とは言えませんので、少し難しいという認識を持っております。
続きまして、18コマ目にありました原価計算方式に関する対応でございますが、これまでの議論を踏まえれば、妥当な対応であろうと考えます。
20コマ目にございます市場拡大再算定の類似品でございますが、3年間対象除外とするのは、少し長いのではないかという印象を持っています。除外の判断に再算定品と類似品の価格水準を考慮するなど、一定の条件をつけることも必要ではないかと考えます。
21コマ目のリポジショニングの特例は、開発公募品目を除外する取扱いについては、患者の治療のアクセスの観点から、一定の妥当性があると考えております。
その他の項目に移りますが、23コマ目の基礎的医薬品のルールの見直しでございますが、対応案の内容で、不合理が特に起きないのか、検証を進めながら運用してみてはどうかと考えます。
続きまして、新規後発品の薬価算定について、収載直後に2割近く市場実勢価格が下落していることがデータで示されております。
それを見て、収載時の薬価をさらに引き下げることも考えられますが、下落幅が1.4~30.8%までと非常にばらつきが多いことを考えますと、もう少し細かいデータを示していただけないかというのが要望です。
また、内服薬について、今、先発品の4掛けになる基準が10品目ということで定められておりますが、これについても、検討できるデータを出していただきたいと要望したいと思います。
27コマ目の調整幅でございますが、過去に市場実勢価格や乖離率の分布をある程度カテゴリー別に出していただきたいと、かなりお願いしてまいりましたが、なかなか対応いただけないことは非常に残念に思っています。
調整幅については、議論できるよう、引き続きしっかりと準備していただくよう、強くお願いしておきます。
続きまして、29コマ目の高額医薬品についてですが、薬価算定の作業をする前に、中医協で算定方法を見直すことには、異論はございません。
市場規模が大きい品目に限って、類似薬を柔軟に選定して、類似薬効比較方式で算定し、原価計算方式による算定値と比較しながら、どちらを採用するかを判断することも一つのアイデアかと思いますので、御検討いただければと思います。
最後になりますが、診療報酬改定がない年のルールについては、毎年薬価改定ということで、診療報酬改定の有無にかかわらず、原則的な政策決定ルールも適用すべきであると考えます。
長くなりましたが、以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
質問をいただきましたが、事務局には後でまとめて御回答いただければと思います。
では、次に、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
私も、松本委員とほぼ同じ意見なのですが、1点、調整幅について意見を述べさせていただきます。
調整幅につきましては、医薬品の安定供給に関していえば、必要なものであると考えております。
そして、現在の2%は、本当に妥当なのかということにつきましては、もっと関係業界の方たちの御意見も聞きながら、より具体的な金額などもお示しいただきながら決めたほうがいいのかなと。
特に、現在の状況を考えますと、本当に2%で足りるのかというところが非常に懸念されます。今まで2%ということで長年やってきておりますが、今後、本当にそれでいいのかどうか。
上がるときもあれば、下がるときもあると思いますので、そこの部分を柔軟に調整できるような調整幅の使い方なども、今後、検討したほうが、安定供給のためにはいいのではないかと考えております。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございました。
ほかに何か御質問、御意見等はいかがでしょうか。
では、事務局から、よろしくお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
ありがとうございました。
本日いただきました御意見を踏まえまして、こちらの対応方針案について、また今後、検討、調整を進めさせていただければと思います。
それから、松本委員から1点御質問をいただきました。
新創加算の企業区分につきまして、今の0ポイントから2ポイントに変えたときに、どれぐらいになるのかという御質問でございます。
次の改定に向けた企業区分については、現在、情報を各企業から出していただいて、精査中でございますので、前回改定のときの情報として御説明させていただきます。
10月20日の薬価専門部会で、現状の企業区分のポイント数についてお示ししたものがございます。
そのときに、89社中、0ポイントが8社、10%弱です。
それから、2ポイントまでを含めると、14社になるというものをお示ししております。パーセントでいくと16%程度になります。
今回の改定に向けては、また企業数の変動等がありますので、今後、精査を続けてまいります。
以上でございます。
○中村部会長
松本委員、よろしいでしょうか。
○松本委員
はい。ありがとうございました。
○中村部会長
ほかに何か御意見、御質問等はいかがでしょうか。
では、なければ、専門委員からも何か御意見等はありますでしょうか。
では、赤名専門委員、よろしくお願いいたします。
○赤名専門委員
ありがとうございます。
前回、業界から意見陳述がございましたが、それを踏まえまして、専門委員として3点コメントさせていただければと思います。
新薬創出等加算、原価計算方式、再算定の3点でございます。
まず、新薬創出等加算でございますが、スライド3の革新的な効能・効果の追加承認があった取扱いでございます。
有用性があり、開発が求められるような新薬の薬価の維持については、業界代表より意見陳述があったものございます。
追加した効能の有用性が評価できる場合、薬価収載後に得られたエビデンス等で評価される場合については、新規の収載と同様に、新薬創出等加算の対象とする検討が必要ではないかと考えてございます。
また、新薬創出等加算が企業区分への意見がございましたが、イノベーション推進の観点から、新薬開発に特に貢献している企業の新薬の薬価が確実に維持される仕組みといったものが必要ではないかと考えてございます。
2つ目は、原価計算方式でございます。
こちらも、前回、欧米の団体から意見がございましたが、開示度の向上の必要性については、業界も深く理解しており、薬価算定の透明性を高めていくことの重要性を認識しているということでございました。
また、スライドの18枚目に書いてある「対応方針案」の2つ目のポツでございますが、先ほども意見がございましたが、開示度50%未満全てを係数0といたしますと、逆に企業が開示度を高めようとする意欲を阻害することもあるのではないかと危惧してございます。
今回の見直しに当たりましては、企業における開示度向上への取組として、イノベーション促進への意欲といったものをそぐことがないような検討が必要ではないかと考えます。
最後に、3点目は、市場拡大再算定でございます。
こちらも、スライド20の対応方針にございましたが、特例拡大再算定の対象品、もしくは類似薬として引き上げられた後、3年間類似薬としての対象外とすることが示されてございますが、3年間という期間は、通常の改定であれば、1回分の猶予と考えられると思います。特例拡大再算定は、最大50%の薬価引下げ率となりますので、通常の市場拡大再算定よりも引下げは大きいということになります。
また、再算定の対象となるような新薬の薬価への改定率が数%ということを考えますと、通常改定1回分の猶予では、もしかすると不十分ではないかとも考えられますので、この辺は、業界代表からの意見も踏まえて御検討すべきではないかと考えます。
私からは以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
では、ほかに御意見等がないようでしたら、本件に関わる質疑は、この辺りとしたいと思います。
では、本日の議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。


 

(了)
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