ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第182回議事録(2021年11月5日)

 
 

2021年11月5日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第182回議事録

○日時

令和3年11月5日(金)総会中断後~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 眞田享委員
城守国斗委員 江澤和彦委員 林正純委員 有澤賢二委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 村井泰介専門委員
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
高宮保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○関係業界からの意見聴取について
○次期薬価改定について

○議事

 


○中村部会長
では、ただいまより、第182回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。
本日は全員が御出席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
初めに、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。
関係団体として、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、日本医薬品卸売業連合会より意見を聴取したいと考えております。
それでは、早速、意見陳述に移りたいと思います。
まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションしていただき、その後に質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。
関係団体の皆様には、最初に自己紹介を行った上でプレゼンテーションをお願いいたします。
それでは、まず日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会及び欧州製薬団体連合会よりお願いいたします。
○日本製薬団体連合会(眞鍋)
日本製薬団体連合会の会長を務めております、第一三共の眞鍋でございます。
本日は薬価制度改革に関する意見陳述の機会を賜り、誠にありがとうございます。
私ども日薬連の陳述でございますが、まず私から製薬業界を取り巻く環境と薬価制度全般に関して意見を述べさせていただきました後に、日本製薬工業協会の岡田会長より個別課題について補足をいただきたいと思います。
スライドの2を御覧ください。初めに、日本製薬団体連合会について御説明をします。日本製薬団体連合会は15の業態別団体と16の地域別団体により構成をされている連合会でございます。業態によって主張は様々ではございますが、おのおのの医薬品には価値があり、患者さんの治療に貢献するという目的は同じであると考えております。
スライドの3を御覧ください。本題に入ります前に、医薬品の安定供給への取組について御報告をいたします。昨今の医薬品の供給問題につきましては、後発医薬品だけの問題ではなく製薬業界全体の課題であると認識しているところであります。当連合会を代表しまして、医療関係者、行政当局、そして国民の皆様方に多大なる御迷惑と御心配をおかけしておりますことを深くおわび申し上げます。
今般の事案を重く受け止め、当連合会では医薬品の安定供給確保に向け最大限の強化を行うべく、7月に「安定確保委員会」を設置し、対応の強化を進めているところでございます。
スライドの4を御覧ください。こちらは日本ジェネリック製薬協会での後発医薬品の信頼回復に向けた取組について示しております。これらについてジェネリック業界を挙げて取り組むことにより、患者さん及び医療関係者に安心して使用していただける品質の担保された後発医薬品が安定的に市場に流通する状況を実現していきたいとのことであります。
当連合会といたしましても、コンプライアンスの遵守、ガバナンス、リスクマネジメントの強化、医薬品の製造管理・品質管理の徹底、安定確保への取組や積極的な情報開示などにつきまして、加盟団体を通じ、引き続き強く求めていくことを改めて御報告申し上げます。
続いて、感染症対策と製薬産業について御説明いたします。スライドの5を御覧ください。新型コロナの感染者数は現在一定の水準に収まっている状況ではございますが、製薬企業各社は早急に医療現場にお届けできるよう、関係機関等との連携を図りつつ、有効で安全な治療薬やワクチンの研究開発を鋭意進めているところでございます。今回の新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえますと、パンデミックへの迅速な対応を可能とする平時からの感染症対策の推進が極めて重要であると認識しております。
特に国産のワクチン・治療薬の創出のためには、国内製薬産業の健全な成長が不可欠であり、製薬産業を国の基盤産業・成長産業と位置づけ、産業政策を推進することが必要であると考えています。
スライドの6を御覧ください。本年9月、厚生労働省により「医薬品産業ビジョン2021」が策定されました。私どもといたしましても、医薬品は国民の健康寿命の延伸をもたらし、国民を健康危機から守る重要な手段であるとの認識の下、患者さんから必要とされる医薬品がその特性に応じた価値を一層発揮し、その価値が理解される努力を続けてまいりたいと考えております。
スライドの7を御覧ください。このスライドは日米欧製薬企業の研究開発費率と営業利益率の年次推移を示したものでございます。御覧のとおり、日本の製薬企業における研究開発費率は営業利益率を上回る水準となっており、これは欧米のメガファーマとの競争の観点から見て大変厳しい状況であると言えます。こうした状況の中で日本の医薬品市場が伸長しないとなると、国際的な競争力が相対的に低下することとなり、十分な研究開発投資が難しくなるということを御理解いただければ幸いです。
スライドの8を御覧ください。医薬品の研究開発は長期にわたって多段階の試験が必要であるため、新たに上市される製品は数年以上前に臨床試験を開始したものとなります。薬価制度が厳しくなったからといって、既に開始した臨床試験を中断することはないと考えられますが、計画段階のものについて日本の優先順位を下げるといった選択がなされる可能性は否定できません。したがいまして、近年の薬価制度改革が新薬開発に影響を与えるとすれば、それは数年後以降に顕在化するのではないかと考えています。
スライドの9を御覧ください。こちらはCOVID-19による医薬品の臨床開発への影響を取りまとめたものであります。COVID-19の感染拡大により、グローバルで臨床試験の遅延などの影響が生じており、これにより革新的新薬へのアクセス遅延につながることが懸念されます。各製薬企業の直近の決算ではCOVID-19が甚大な影響を及ぼしているといった状況ではありませんが、グローバルで臨床試験の遅延などにより中長期的な業績に影響を及ぼす可能性があるものと考えられます。最近では、追加的なリソース、コストを投入しながら、ウィズコロナの治験実施体制を構築するなどの対応を行うことで、新たな遅延が生じることを最小限にとどめるように努力をしております。
スライドの10を御覧ください。このスライドは日本の医薬品市場の推移を示したものでございます。御覧のとおり2015年以降、国内医薬品市場は伸びていない状況であることが御理解いただけると思います。
これまで説明いたしました背景、環境の下、次期薬価制度改革に向けた私どもの意見につきましてスライド11以降に取りまとめました。
スライドの11では、革新的医薬品のイノベーション評価、新薬創出等加算の見直し、原価計算方式の在り方などについて整理をしております。
スライド12では、安定確保医薬品や市場拡大再算定の類似薬の考え方、「リポジショニング」の際の薬価算定などについて整理をしております。
スライドの13では、類似薬選定基準の見直し、再生医療等製品の薬価算定、最低薬価などについて整理をしております。
また、後発医薬品の薬価算定については、参考資料を御覧いただければと思います。
スライドの14では、調整幅や中間年改定について整理しておりますが、こちらは5月の意見陳述時の内容から変わっておりません。
私からの陳述は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
なお、冒頭にお伝えしたとおり、特に新薬関連の事項につきまして、製薬協の岡田会長より補足をお願いいたします。
岡田会長、よろしくお願いいたします。
○日本製薬工業協会(岡田)
ありがとうございます。製薬協会長の岡田でございます。
スライドの15を御覧ください。研究開発型製薬企業の使命は、一義的に革新的新薬を創出することであります。それによって医療の質の向上に貢献するとともに、日本の経済成長に寄与することが医薬品産業の使命と認識をしております。
日本でイノベーションを創出するためには、イノベーション、すなわち新薬の価値が適切に評価され、特許期間中は薬価が維持される仕組みが機能することが必須と考えます。薬価に対する予見性を高め、革新的新薬創出のための投資サイクルを加速し、アンメットニーズを充足する新薬を国民の皆様にいち早くお届けするために、ぜひとも御検討いただきたいと思います。
スライド16を御覧ください。新薬の適正な薬価水準が維持される仕組みの構築には、新薬創出等加算の改善が不可欠であると考えております。具体的な要望事項といたしまして、「有用性加算の対象となり得る効能追加を行った品目」並びに「薬価収載時には確認できなかった有用性が市販後のエビデンス等によって認められた品目」、この2つについては新薬創出等加算の対象にしていただきたいと考えております。
スライド16の下の図でお示しをしておりますとおり、パターン1のタイミングで薬価収載をいたしますと、その薬剤は新薬創出等加算の対象にはならず、特許期間中であっても薬価は下落していくことになりますけれども、その後に有用性を示すエビデンスが得られることもございます。一方で、パターン2のようにエビデンスが得られた後に薬価収載されれば、新薬創出等加算の対象となり、薬価は維持されることになります。このため、有用性が認められるようなエビデンス等が薬価収載後に得られた品目については、薬価を維持していただきたいと考えております。
なお、これまでの御議論において対象領域等の一定要件を付してはどうかとの御意見もございますが、当該加算の本来の目的や開発が求められるような品目が品目要件に定められていることを踏まえれば、効能追加等の評価に基づき新薬創出等加算の対象を判断する場合にのみ一定の要件を付す必要性はないと考える次第でございます。
スライド17を御覧ください。薬価収載後のエビデンス等によって有用性が示される事例を3つお示しさせていただいております。これらによりまして、新薬創出等加算の対象となる品目の数は少ないと思いますけれども、現行の品目要件では捕捉し切れないこのような価値についても評価をし、薬価維持する仕組みを構築することが重要であると考えております。
スライドの18を御覧ください。これは5月の意見陳述のときにも御紹介をいたしました類似薬選定基準の見直しにつきまして、業界内でこれまでの算定事例を分析した結果、こちらにございます「臨床的位置づけ等の医療実態」に係る具体的項目案を整理いたしたというものでございます。今般の薬価算定組織の議事録公開によりまして、算定内容の詳細まで把握することが可能となり、薬価算定の透明性・納得性を高めることがますます重要になってくると認識をいたしております。そのため、「臨床的位置づけ等の医療実態」を含めて、総合的に類似薬の有無を判断できる仕組みの導入に向けて、業界内で取りまとめたこの項目案も参考にしつつ、引き続き検討を行っていただきたいと考える次第でございます。
なお、スライド19及び20には、参考として「臨床的位置づけ等の医療実態」を勘案した場合の具体的事例をお示しいたしました。
ぜひイノベーションの評価、推進という観点から、新薬の適正な薬価水準が維持される仕組みの構築等に向けまして、ぜひ御検討をいただけますと幸いでございます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○中村部会長
では、米国研究製薬工業協会執行委員長のジェームス・フェリシアーノ委員長、お願いします。
○米国研究製薬工業協会(ジェームス・フェリシアーノ)
PhRMA委員長のジェームス・フェリシアーノです。
本日、意見を述べる機会をいただき、ありがとうございます。
初めに、次期薬価改定に関するPhRMAの意見は、日本、欧州の団体と一致していることを申し上げます。
その上で、PhRMAからは2つの論点について意見を述べさせていただきます。
スライド2を御覧ください。1つ目はイノベーションの評価、特に効能追加の評価です。新規収載時には、有用性加算の対象とならなかった場合でも、収載後に有用性の高い効能が追加されることがあります。ところが、新薬創出加算への該当性は収載時の評価に重点が置かれており、収載後に追加された価値を考慮する仕組みが十分ではありません。
そこで、意見ですが、新規収載時であれば有用性加算に該当するような有用性の高い効能が追加された場合には、新規作用機序であるか否かにかかわらず、薬価制度で評価いただきたいと考えます。具体的には、新薬創出加算の対象とする、また、再算定時の引下げ率を緩和することを検討いただきたいと考えます。
有用性の高い効能を追加した例を表に示しました。この品目は、薬価収載されたときには有用性加算や新薬創出加算の対象にはなりませんでしたが、その後、新型コロナウイルス感染症による肺炎の効能を追加しました。このような有用性の高い効能を追加した場合には、薬価制度で評価いただきたいと考えます。
スライド3を御覧ください。2つ目は市場拡大再算定の類似薬に関する意見です。現行のルールでは、効能追加が再算定のリスクとなるため、効能追加への投資判断が難しくなっています。また、個々の品目の薬価の水準や効能追加の状況が十分に考慮されずに、一部でも効能に重なりがあれば類似品も再算定が適用されるルールとなっています。
そこで、意見ですが、過去の再算定により、再算定対象品よりも一日薬価が既に低い類似薬は除外するべきと考えます。類似薬への適用に関するルール本来の趣旨を踏まえれば、対象品よりも一日薬価が既に低い類似薬の薬価をさらに引き下げる必要性は乏しいと考えます。また、対象品と主たる効能・効果が異なるなど、効能・効果の重なりが小さいことが客観的に認められる類似薬は除外するべきと考えます。
スライド4を御覧ください。そのほかの論点に対するPhRMAの意見をまとめています。ほかの団体の意見と重複しますので、説明は割愛させていただきます。ぜひ御検討のほどよろしくお願い申し上げます。
御清聴ありがとうございました。
○中村部会長
次に、欧州製薬団体連合会の岩屋会長、お願いいたします。
○欧州製薬団体連合会(岩屋)
欧州製薬団体連合会、EFPIA Japan会長の岩屋です。
本日はこのような発言の機会を与えていただき、感謝申し上げます。
EFPIA Japanといたしましては、今、説明のありました日薬連、製薬協及びPhRMAが主張された考え方につきまして、完全に賛同しているところであります。
その上で、本日は時間もありますので、ポイントを原価計算方式に絞ってEFPIA Japanの考え方を述べさせていただきたいと考えております。
資料の2ページ目を御覧ください。EFPIA Japanは、革新的な医薬品やワクチンの研究開発に基盤を置く欧州製薬企業で構成されています。日本の患者の皆様の健康及び生活の質の向上を目指し、革新的な医薬品を提供することにコミットしております。
EFPIA Japanは「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」の両立に賛同しています。ここ数年にわたって実施された薬価制度改革は、残念ながら「国民皆保険の持続性」に偏重していたと認識をしております。
グローバルで開発される新たな革新的医薬品を日本の患者の皆様にいち早くお届けするためには、日本においてイノベーションが薬価面でも適切に評価されることと、薬価の予見性が高まることが大変重要であると考えております。
資料の3ページ目を御覧ください。原価計算におきまして、移転価格を用いて算定された新薬につきまして、開示や移転価格であることを考慮した算定方法の検討などが論点で示されておりますが、移転価格の取扱いにつきまして、EFPIA Japanとしての考えを述べさせていただきます。
輸入品のバリューチェーンは非常に複雑で、複数の国にまたがっております。多くの委託先を経て製品化されている製品がほとんどであります。委託先における労務経費あるいは製造経費に関して、その全ての経費について根拠となる内訳を開示することは現実的には不可能でございます。
一方で、私どもも国内で行いました開発経費や国内における製造・検査・包装上の経費など、我々の力で提出が可能な費用につきましては、詳細情報を提供しております。しかし、私どもの製造コストに対しまして、これらは大きな割合を占めるものではないために、全体としての開示率は低いという結果になっております。
結果として、移転価格を用いて算定される新薬の原価の開示度向上には限界があると考えております。
なお、本年9月に公表されました「医薬品産業ビジョン2021」におきまして、「医薬品の研究開発・製造のグローバル化が進んだなかでは、他企業が海外で製造した新薬について、国内の自社製造と同水準の原価内容の開示を求めることは、基準や考え方の違い等から理解が得がたい場合があることに留意しなければならない」と述べられております。
一方、開示度が低い品目に対して小さな加算係数を適用することや費用対効果評価の対象とすること等、既に対応するためのルールが導入されているところであります。また、外国平均価格調整も仕組みとして機能しておりまして、結果として開示度が低い品目の算定薬価を欧米主要国と比較しても既に低い水準にございます。詳細は次のスライドで御紹介いたします。
4ページ目を御覧ください。これは2018年4月以降に収載されました新薬のうち、開示度が50%未満であった14成分について、日本の薬価を100とした場合の各国の相対的な薬価を比較したグラフです。御覧のとおり、開示度が低い品目におきましても、日本の薬価というものは欧米主要国の薬価と比較して低い水準にございます。
5ページ目を御覧ください。これが最後のスライドとなりますが、原価計算方式の在り方に係る論点に対するEFPIA Japanの意見を再度述べさせていただきます。
日本への移転価格につきましては、薬価算定組織におきまして、日本以外への輸出価格をもって妥当性の確認が行われております。結果として、御覧いただきましたとおり、日本の算定薬価は外国価格と比較して既に低い水準となっております。加えて、開示度が低い品目に対しては、営業利益率が最大で50%引き下げられるという2019年より導入された費用対効果評価制度からも調整を行う仕組みがございます。よって、係数等を用いて移転価格を調整するような仕組みの導入は行うべきではないと考えております。
また、原価計算方式の対象となる新薬は算定に用いる適切な類似薬が国内に存在しない薬剤であり、その多くはイノベーティブな医薬品でございます。原価計算に移転価格を用いるか否かにかかわらず、こうしたイノベーションが適切に評価されることが必要と考えております。
以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございました。
次に、日本医薬品卸売業連合会よりお願いいたします。
鈴木会長、よろしくお願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会(鈴木)
日本医薬品卸売業連合会の鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は意見を述べる機会を賜り、中医協及び厚生労働省の皆様に感謝いたします。
早速ではございますが、当連合会より医薬品の安定供給の維持・強化に向けて、資料に沿って御説明させていただきます。
1ページを御覧ください。医薬品卸はどのような状況下にあっても医薬品の配送を迅速かつ円滑に行う使命感をもって対応し、約1万4000品目の医薬品を、全国約24万か所の医療機関、保険薬局へ安定的に供給するために、最大限の努力を傾注しております。医薬品卸は単に医薬品の配送業務のみを行っているわけではなく、医薬品を安定的に供給するため、需給調整業務やそれに関わる代替品の確保、医薬品の安全性を担保するためのトレーサビリティーの確保や価格形成の機能なども担っております。
加えて、今般の後発品の製造問題に端を発した一部後発品の欠品対応では、最新の出荷情報を日々収集し、現場レベルでの需給調整や代替医薬品の確保などの要請に応えるべく努力を進めております。その業務負担が急激に増大しています。
また、昨今のコロナ禍にあっては、感染防止対策を徹底し、厳格な配送条件を守りながら、ワクチン配送を全国規模で展開するなど、医薬品卸が果たす役割が大幅に増大しております。
2ページを御覧ください。医薬品卸のこうした役割や業務が大幅に増加している一方で、医薬品卸を取り巻く事業環境は極めて厳しいものとなっております。ここでは医薬品卸の事業環境に影響を及ぼす主な要因として5つ挙げさせていただきました。
1つ目は、毎年の薬価改定と薬剤費の伸びの抑制です。右のグラフを御覧ください。2015年度以降は国内の医薬品市場は伸びていないことを示しております。これは薬価改定や薬剤費の伸びの抑制が影響しているものと思われます。
2つ目は、薬価調査・改定の頻度の増加です。2年に1度の薬価調査・薬価改定の対応として医薬品卸は対処してきました。中間年の薬価調査・薬価改定が導入されたことにより、薬価調査の頻度が倍増し、それに伴う薬価交渉を経た価格形成の業務が増大しております。
3つ目は、医薬品の構成変化です。高額なバイオ医薬品やジェネリック医薬品のウエートが高まるなど、医薬品取引の品目構成が変化しております。高額なバイオ医薬品は高度な温度管理を求められるなど、配送や保管における特別な管理方法が求められております。一方で、ジェネリック品は低薬価のものが多く少量多品種でもあり、事業環境に影響を及ぼしております。
4つ目は、取引の厳しい状況とますます厳しさを増す価格交渉です。新型コロナウイルスの影響により、取引先においては受診件数や手術件数が減少するなど、厳しい状況となっております。また、近年、医薬品は保険のプレーヤー以外の第三者が商流機能に加入するなど、価格交渉はますます厳しさを増しております。
5つ目は、一部の後発品の品質問題に伴う業務の増加です。医薬品卸は一部の後発品の品質問題などに関わる対応として、数千の出荷調整品を現場レベルで需給調整し、代替医薬品の調整・確保に努めております。昨今生じているこれらの追加負担が他の通常業務を圧迫するほどの大きな影響となっております。
3ページを御覧ください。薬価制度は医薬品の生命線であります。医薬品卸が将来にわたってその役割・機能を果たしていけるか否かは薬価制度の在り方によっております。累次の医薬品改定により薬剤費の伸びが抑制されている状況下では、薬価制度の中で医薬品卸の役割・機能が適正に評価されていないまま、薬品卸の自助努力だけで医薬品の安定供給を維持し続けるのは困難です。
下の図を御覧ください。薬価により実質的な上限が決められている中で行われる自由競争で形成された価格交渉の結果を集計し加重平均したものが、市場実勢価格です。このため、公定価格を上限とした市場実勢価格では薬価は引き下がるのみの構造になっていることは言うまでもありません。現在の薬価は、この市場実勢価格に薬剤流通安定のための調整幅2%と、新型コロナウイルス感染症特例として0.8%を加えたものとなっております。調整幅については、全ての流通当事者において存在の必要性を認識されているのではないかと考えております。
4ページを御覧ください。これまで申し述べたことを踏まえまして、最後に、安定的な医薬品流通の維持・強化に向けた意見を述べさせていただきます。現下の状況を踏まえれば、医薬品の安定供給体制の維持をまずは最優先に検討すべきであると考えております。その上で、将来にわたって安定的な医薬品流通の維持・強化ができるよう、薬価制度の見直しを検討すべきです。
医薬品の安定供給は危機に面しております。医薬品を安定的に供給するためには、医薬品流通関係者による流通ガイドラインの遵守を徹底するとともに、薬価制度においては安定供給の維持を重視し、財政論に偏重すべきでないと思っております。
医薬品には医療に用いられるものとしての尊厳性、薬価には公共性があるものではないでしょうか。そのような根本的な議論も含め、将来にわたって持続的な医薬品の安定供給を維持・強化する観点から、医薬品取引の実態も踏まえつつ、薬価制度における医薬品流通の在り方について見直しを検討すべき時期に来ているものと考えております。
意見陳述は以上とさせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。
○中村部会長
ありがとうございました。
一通りの御説明をいただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。なお、質問は日本語でお願いしたいと思います。
では、城守委員からよろしくお願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
本日御説明をいただきました各団体の皆様、ありがとうございます。
各団体から御説明をいただいた中で共通の項目も非常に多いということがございますので、本日は代表として日本製薬団体連合会様に御質問をさせていただきたいと思います。
4ページの後発医薬品の信頼回復に向けた取組は、非常に重要なことと理解をしております。欠品や供給問題が相次いで発生してまいりましたが、製薬企業の法令遵守意識の低さが発端と考えざるを得ないものが多いと考えております。それにもかかわらず、企業が再発防止策の検討に取り組んできているのかが見えません。業界で考え、しっかりコンプライアンスの向上に努めることが第一であると言わざるを得ませんので、改めて表明をしていただきたいと思いますが、その上で何点か御質問をさせていただきたいと思います。
1点目ですが、4ページに5項目の記載をされておりますが、もう少し具体的に、例えば何をどれくらいの期間に行うのかなどの予定はあるのかどうかということでございます。記載の中に「継続的に実施」というお言葉がよく出てまいりますが、具体的な形がなかなか見えないこともございますので、まずお聞きをしたいと思います。
2点目、これは5月のヒアリングの際にもお尋ねをしたことですが、抜本改革や毎年薬価改定の経営への影響について、定量的には業界としてはどのように捉えられているのかという点でございます。
3点目でございますが、調整幅の必要性や今後の在り方について、業界としてどのように考えておられるのかどうかをお伺いしたいと思います。
4点目、これはずっと言われていることではございますが、現下の透明性について、限られた医療費財源を有効に活用するという観点からも各方面から強い要請がある中で、業界として先ほどいろいろ御説明いただきましたが、どういう取組をされるのかということをお聞きしたいと思います。
5点目、これは最後でございますが、移転価格でございます。この移転価格の中にも営業利益が当然含まれていると思いますが、それとは別に営業利益が計上される点についてどのようにお考えをされているのかどうか、移転された製品に関する営業利益率について、業界からデータを提出することはできないのかどうか、これらの点について御質問とさせていただきます。よろしくお願いします。
○中村部会長
では、御質問いただきましたので、日薬連の眞鍋会長からでしょうか。それから適宜関連の団体に振っていただく形でお願いします。
○日本製薬団体連合会(眞鍋)
ありがとうございます。眞鍋からです。
まず、後発医薬品の信頼回復に向けた取組ということで、今日、スライドの4で御説明しました。御指摘のように関係各ステークホルダーの方を含めまして御迷惑をおかけしているということもありまして、改めまして当日薬連といたしましても、コンプライアンスの遵守、ガバナンス、リスクマネジメントの強化、医薬品の製造管理・品質管理の徹底、安定確保の取組、積極的な情報開示と今日も申し上げましたが、ここで再度加盟団体を通じて引き続き強く求めることを表明させていただきたいと思います。
ページの4のところでいろいろと取組を記載してございます。
では、まずはジェネリック製薬協会の澤井会長からお願いしてよろしいですか。
○日本ジェネリック製薬協会(澤井)
ジェネリック製薬協会会長の澤井でございます。
御質問の回答の前に、一言おわびを申し上げたいと思っております。
相次ぐ供給停止、出荷調整など、ジェネリック医薬品の供給不足によりまして皆様方に大変御迷惑をおかけしておりますこと、この場をお借りして心よりおわびを申し上げるところでございます。
先ほど眞鍋会長から説明いただきました、4ページの資料にございます後発医薬品の信頼回復に向けた取組、これらにつきまして、協会として不退転の決意で現在取り組んでおるところでございます。
城守先生からは、具体的にいつどのようにという予定が見えにくいという御指摘がございました。ここに載せております4ページの各項目につきましてガントチャートでいつまでに何をどのようにやるのかという工程表をつくり、一つ一つ潰しながら取り組んでおるところでございます。具体例を挙げますと、コンプライアンス、ガバナンスの強化、これは11月中に、各社の経営者が社員全員に対して、自社、会社は法令遵守にこれからしっかり取り組んでいくという決意表明をしてもらうことになっております。そして、その決意表明の内容を協会にも報告をいただき、その後、会社がどのように変わっていったかという報告を受けていく予定でございます。
また、内部通報制度も機能しておりませんでした。各社の内部通報が機能していなかった、このことも踏まえ、まずは各社の内部通報制度をしっかりする。そして、それでもなかなか声を上げにくいということに対しましても、協会に内部通報の窓口を設けて協会にそういった意見をもらう、声をもらう、そういうところもガントチャートに落とし込んで取り組んでおるところでございます。また改めて御説明をさせていただければと思っております。
また、これまでの抜本改革が経営に与えた影響という御質問もいただきました。前回の薬価改定のときに薬価改定後薬価が引き上がるという考えられないような現象が価格帯制度の中で起きていた、これを是正いただきました。これによって企業の再編、大型化、これがあるべき方向に向かって進んでいるところだと考えておるところでございます。
一方で、必要以上に実勢価格以上に価格帯制度によって引き下がる、安定供給をしっかりやっていかなければならない状況においてここはまだ問題だと思っておりますけれども、前回の抜本改革で公正・公平な競争が実現できる、そういう状況になってきているという認識でございます。
以上でございます。
○日本製薬団体連合会(眞鍋)
抜本改革について少し追加をさせていただきますと、新薬創出加算等の見直しの影響が私どもは大きいと考えておりまして、販売中の新薬が加算対象外となることの影響もありますし、これから上市予定の品目の予見性が下がると考えています。ひいてはこれが臨床試験計画あるいは日本での開発のタイミング、投資の優先度に影響がありまして、今日御説明したように医薬品の開発には一定の期間がかかりますものですから、ドラッグラグなどが再燃する可能性もあることを危惧しております。
加えて、今般の中間年改定でございますが、これは抜本改革の趣旨からも大きく逸脱していると私どもは考えておりますので、今後の新薬開発、さらに医薬品の安定供給への影響もお話がありましたが、それを危惧しているところであります。
続きまして、調整幅のところの御質問だと理解しております。まず、調整幅を現行の薬価の改定方式の中で経済合理的な価格のばらつきを吸収するバッファー的な機能と考えておりまして、「薬剤流通の安定のため」に必要なものと認識しておりますが、ここに触れられたのは卸連ですので、鈴木会長の御意見をいただいてよろしいですか。
○日本医薬品卸売業連合会(鈴木)
折本理事から説明させていただきたいと思います。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
卸連の担当理事の折本でございます。よろしくお願いいたします。
調整幅につきましては、今般も中間年改定でコロナ禍の感染症特例で0.8ということでございましたが、我々の認識としまして、眞鍋会長がおっしゃったとおりの全国の医療機関、保険薬局で、当然ながら購入量、取引条件によって価格がばらついている現状の中で、それぞれのメーカー、卸、そして医療機関の立場での補正、調整をするものであると認識をしております。しかしながら、現状では卸はそれどころの状況ではないという点について、また後ほどお話しできる機会があればしたいと思いますが、現状の認識はそういう形であります。
以上です。
○日本製薬団体連合会(眞鍋)
ありがとうございます。
続いて、原価と移転価格に関する御質問、御指摘だったと思います。今日はプレゼンの中ではEFPIAから御発言がございましたので、EFPIAから御回答をお願いできればと思います。
○欧州製薬団体連合会(岩屋)
原価、移転価格について、私からお答えさせていただきます。
プレゼンテーションの中でもお話をさせていただきましたけれども、グローバル製薬企業にとって医薬品生産のサプライチェーンは非常に複雑でございます。日本の制度からの要求、私どもは重く受け止めておりますが、それを受けて原価を完全に開示いただけるサプライヤーは限られておりますし、結果として我々が日本の薬価制度において開示率、その物差しにおいてはかられた場合には開示度が低くならざるを得ないケースがございます。
一方、価格の中での利益の計上についてのお話がございました。基本的に回答は共通でございますが、移転価格の設定根拠につきましては、いろいろな品目ごと、あるいは会社ごとによっても異なっていると考えておりますし、一方、我々にできることといたしまして、この妥当性を確認するためにほかの国に対する輸出価格も薬価算定組織においては確認をしていただいているところでございます。こういった形で、この正当性、妥当性をこれからも確保していきたいと考えております。
以上でございます。
○日本製薬団体連合会(眞鍋)
以上、御回答申し上げました。
○中村部会長
では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
様々な点に関しまして御回答いただきましたことに感謝申し上げます。
まず、この安定供給、そして後発医薬品の信頼回復に関して、不退転の決意で臨むという御発言をいただきました。薬剤は我々医療者にとってみての生命線の一つでございます。この点に関しましてはしっかりと意識をしていただいて、安定した供給をお願いしたいと思います。また、信頼回復に向けた取組に関しての工程表もおありだとお聞きしましたので、可能であればそれを提示していただければと思います。
さらに、この調整幅に関して、大変厳しいというお話もいただきました。この点に関しましては、後ほどの本日の薬価のところでも議題が出ておりますので、またそちらで述べさせていただきたいと思います。
さらに、この原価の透明性に関して、さらには移転価格の問題でございますが、これは企業秘密も含めて大変難しいという点は理解しておりますが、国として適正価格を判断することも患者さんのためにあっても非常に必要な対応だと思いますので、算定組織の機能を充実した上で事務局と企業とで十分に議論を深めてもらえればと思います。
私からは以上です。引き続き、よろしくお願いいたしたいと思います。ありがとうございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、工程表等の追加の資料はぜひよろしくお願いいたします。
次に、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
まず、本日意見をいただきました関係団体の皆様に感謝申し上げたいと思います。
私から何点か質問させていただきます。
まず、革新的医薬品のイノベーション評価についてですが、日本製薬団体連合会とPhRMAから御意見をいただきました。イノベーションの評価の観点から効能追加の評価の在り方を検討する方向性については私も異論はないのですが、一方で、対象となる品目について一定の枠を定めることは必要になるのではと考えております。2団体の資料の中で具体的に幾つか挙げていただいておりますが、このような事例の規模感についてはどの程度と考えられているのか。つまり、今回例示していただいている事例くらいのかなり限定的なものであるのか、同様の事例がほかにも多くあるのかといった点について御教示いただければ幸いです。
また、PhRMAの資料で「新規作用機序であるか否かに関わらず」との記載がありますが、現行、新規作用機序医薬品であっても革新性、有用性の基準を満たすもののみが対象となっているところ、どのようなお考えでここに記載をされているのか、併せてお伺いできればと思います。
次に、原価計算方式の在り方についてですが、日本製薬団体連合会、PhRMA、EFPIAの3団体から御意見をいただきました。各団体の皆様も課題としては認識していただきつつ、実情、なかなか対応が難しいというところかと思いますが、特にEFPIAの資料では、結果として開示度が低い品目においても薬価は海外と比較して高い水準ではないことが示されております。日本の制度の中では移転価格の透明性が重要であるという指摘がなされてきているところ、結果としての価格水準だけで問題ないと言われてしまうと、透明性が重要というこれまでの我々の議論そのものを否定されているようにも感じられますが、その点についてどのようにお考えなのでしょうか。
また、EFPIAの資料では、海外の委託先を含めたバリューチェーンにおける労務経費や製造経費の開示が困難であることが具体例として挙げられております。この点を理由として挙げられますと、もうこれ以上どうしようもないということになるのかと思いますが、そのような限界も踏まえた上で、それであればどこまでならば透明性を高めることができるのかという観点から何かお考えがあれば、ほかの団体様も含めて御意見をいただければと思います。
最後に、卸連の方たちからの御意見で、とにかくこの調整幅を下げないでくださいという印象を抱きました。ただ、この調整幅だけではなくて、薬価制度そのものについて製薬連さんたちとそれに関連していらっしゃる企業の方たちはたくさんいらっしゃると思うのですけれども、その方たちが生きていくために薬価制度そのものがこういう形であればいいとお思いのことがあれば、その点について教えていただければと思います。
以上です。長くなりました。
○中村部会長
では、岡田会長、お願いします。
○日本製薬工業協会(岡田)
まず1点目、薬価収載後の効能追加に関する御質問をいただきました。具体的にその事例の数などに関しては赤名専門委員より回答いただければと思います。
○赤名専門委員
専門委員より回答させていただきます。
効能追加を行った事例でございますけれども、過去の薬価専門部会において効能追加のデータを提示されているというところでございますが、2018年から2019年に収載されたものであって、新薬創出等加算の対象外の品目のうち、効能追加を行っているものは13製品ございます。さらに、収載時に有用性加算を取得するものの割合は約3割ということでございますので、単純な掛け算をしますと2年間で13品目、さらにその3割が有用性加算を取っていることを考えますと、13掛ける0.3で3.9、約4品目が2年間であるのではないかと。
規模感は以上でございます。
○中村部会長
新規作用機序についての質問はいかがでしょうか。
○米国研究製薬工業協会(ジェームス・フェリシアーノ)
収載後に新たな作用機序が付け加わった場合の新薬の扱いにつきましては、まず、収載時にどういった薬剤が対象になったか、まず、収載時には3つの基準がございます。例えば可能性といたしまして、効果が既存の薬剤に比べて非常に優れている、また、ヘッド・ツー・ヘッドで、つまり直接対決をして非常に優れた効果が示されいる、あるいは既存の薬剤にはない効果があることが認められた場合には収載時に新薬創出加算が認められますけれども、もしこのような3つの要件の1つでも収載後にその価値が認められた場合には、収載時と同様に新薬創出加算の対象となるべきだと私どもは思います。つまり、申し上げたいことは、既存の現在使われております基準は厳し過ぎる、あまりにもそれが狭過ぎると申し上げたいわけです。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、開示度のお話はいかがでしょうか。欧州製薬団体連合会の方でしょうか。
○欧州製薬団体連合会(岩屋)
移転価格につきましての御質問に対して、私から回答させていだきます。
最初に申し上げますが、我々が最終的なプレゼンテーションの中で開示度が低い品目についてのお話をしましたのが、プレゼンの響きといたしまして開き直っているようにもし聞こえましたら、そういう趣旨ではございませんので、その点についてまず御理解をいただければと思います。
この制度の運用において、薬価全般につきまして透明性を高めていくというのは我々業界が望んでいることでもございますので、我々としてもその透明性を高めることについては最大の協力、努力をしていきたいと考えております。
その中で、現実的な問題といたしまして、外資系企業の日本法人として開示可能な費用については徹底的に開示する、そういう努力を各社がしているのが現状であることもどうか御理解いただければと思っております。日本での製造に関わりますような、我々にとって手にすることができるそういった資料については全て提供するように努めておりますし、薬価算定組織の議論を申し上げましたのは、原価そのものというか、移転価格の背景にあるデータ、経費が全て提供できないのであれば、日本での移転価格が妥当であることについては説明をしたいという思いで各国の資料を提供しているということでございます。
これ以上何ができるかという点について、今すぐ回答があるわけではございませんが、我々としてできることについては最大限の努力をしていきたいと3団体とも思っておりますので、その点について重ねて御理解いただければと思います。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
こちらの件については、ほかの団体からの御意見もお聞きしたいという話でしたので、PhRMAあるいは製薬協の岡田会長から何かございますか。
○米国研究製薬工業協会(ジェームス・フェリシアーノ)
ありがとうございました。
まず、グローバルの中で様々な委託会社などが世界中で入っていて、多くの国が関わっている非常に複雑な中で原薬製造が行われ、そして製剤化がなされ、そして包装工程などが行われているわけでありますが、その中で非常に詳細にわたって全てを把握して、全部つかんで透明性を実現することはなかなか難しいというのが事実でございます。しかしながら、その中にありましても製造の詳細のデータをできるだけつかむようにしている。そして、その中で特に日本への移転価格などを明らかにしていくことはできるわけでありますので、それで提出したデータを厚生労働省さんのほうで妥当性を確認、検証していただいているということで、最善を尽くしております。
○中村部会長
ありがとうございます。
岡田会長、お願いします。
○日本製薬工業協会(岡田)
製薬協の岡田よりも少しコメントをさせていただきます。
御指摘のありましたように、この原価計算方式の課題については我々も認識しているところでございまして、これは過去から指摘されてきた点であると認識しております。近年では科学技術の進展等によりましてこれまでにない発想や技術、モダリティーに基づく新薬が登場しておりまして、こうした革新的な新薬の算定の在り方を改善していくべきと認識をしております。本日の製薬協からのプレゼンテーションの中でも、そういう観点では原価計算方式の対象品目をぐっと絞っていって、比較薬の選定に柔軟を持たせて検討していく方向性、いわゆる類似薬選定について検討していただくことがしかるべき方向かと思っております。本日は限定された事例を基に資料スライド19、20という事例を出しておりまして、まだ限られた事例ということもありますので、こういった事例も踏まえながら、引き続き新薬の価値を適正にはかるという観点から課題解決に向けた議論を継続いただければと思う次第でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
調整幅に関して御質問がありましたが、いかがでしょうか。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
担当の折本から意見を申し上げたいと思います。
まず、先ほど卸側が調整幅を下げてもらったら困るのような表現でしたが、当然我々は今、下げてもらったらというよりも、逆に上げていただきたい状況と。経営というお話もちらっとお触れでありましたので、昨年暮れの薬価専門部会や5月に行われました意見陳述でも医薬品卸の上場大手6社の営業利益がどうだったか、また、その際に診療側から地方の卸の決算状況はどうなのだという御質問がございました。その段階では速報値でしかできませんでしたので、今日、資料の御提出はしておりませんが、令和2年度のコロナ禍で医療機関、保険薬局が大変だったときの状況は卸も同様でして、大手6社になりますが、営業利益が約7割減、率で申し上げますと0.4まで営業利益が冷え込みました。さらに地方卸、いわゆる地域で活動する卸11社の平均が確定いたしまして、何と令和元年度100億あった営業利益が令和2年度2億まで減額をして、97%減になりました。率で申し上げますと0.02という大変危機的な状況に陥ったというのが令和2年度です。
さらに、中間年改定については先ほどからいろいろな議論がございましたが、乖離率8に対して5%以上ということで4,300億の薬価ダウン、ほぼいわゆる通常の全面改定に若干足りないぐらいというところでありまして、我々から感じますと2倍のスピードで薬価が落ちる中で、さらにこの上期の決算が11月中旬には大手上場6社も含めて出そろうかと思いますが、つかんでいる情報では、いわゆる仕切り価にリベート、アローアンスを転嫁しましょうという前提でありましたけれども、先般7月に行われた流改懇では確かにかなりの数転嫁されておりましたが、結果として仕切り価は0.3強値上がり、各原価も上がったと。これは流改懇の席ではスペシャリティードラッグが出たということが多かったことと、残念ながら後発品がいわゆる供給停止による発売ができなかったという様子もあろうかと思いますが、この11月中旬にどのような決算になるのかは、さらに大変悪化するという懸念でございます。赤字の卸が出てくると。
こういう環境の中で、大変申し訳ないお話でありますが、調整幅議論よりもいわゆる流通、我々は安定供給を第一義としておりますので、まずもって薬価調査の透明性のための単品単価契約並びに単品単価に伴う交渉が実態としてできているのかという御質問が多くございましたので、今、経済課さんにアンケートを集計いただいております。卸が提出を11月中旬することになっておりますので、それを踏まえて、本来のきちんとした薬価調査の中での薬価制度あるいは未妥結減算制度の見直しが図られませんと、調整幅議論だけでは甚だ今の卸の経営状況では大変厳しいということであります。
以上であります。
○中村部会長
ありがとうございます。
安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございました。
原価計算については、今後も透明性を確保できるように各企業の皆様に御努力いただきたいと思っています。
卸連の方たちも今、調査をしっかりとやっていただいているということで、その結果を見てまた薬価制度そのものの改定が必要なのかどうなのかも見極めればと思います。ありがとうございました。
○中村部会長
では、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
関係各団体の方から御説明いただきました。ありがとうございます。
本日のお話の中で様々な課題があることが分かりました。その中でも特に前回の薬価専門部会で私からも発言させていただきましたが、市場拡大再算定の類似品の取扱いについては、特例の対象となったものについて一定程度引下げ停止あるいは薬価改定の対象外にするなど、引下げの在り方はその条件を含め一度見直すべきだと考えていますが、この辺について業界団体の方はどのように考えておられるか。
後発薬品について幾つか質問させていただきます。先ほど城守委員からも質問があったと思います。重なるような部分もありますが、まず、本年6月も多くの企業が新規後発医薬品の収載を行っています。12月にもまた新しく新規後発医薬品の収載がされる状況でありまして、既に予定で営業活動もかなり一生懸命やっていらっしゃるようであります。企業の様々な戦略ということもありますでしょうが、私ども現場の人間からすれば、新規の収載よりもまずは既存の医薬品の安定供給に取り組むことが最優先ではないでしょうか。このように考えます。
現状、昨年からこの供給不足問題は解消されず、むしろ日々悪化していく、種類も増えて様々に刻一刻と変わっている状況であります。このような点についてどのように考えているのか、お考えをお聞かせください。
また、現状の供給不安の解消の見通しについて教えていただきたいと思います。時期はいつ解消されるのか、先ほどもお話があったと思いますけれども、業界としてどのような取組を進めているのか、具体的なものを教えていただきたいと考えております。
また、現場では供給不安に関する情報がとても不足しています。本当に日々週ごとに変わる状況でありまして、業界としてこの情報提供を早急に各医療機関あるいは保険薬局等に伝えるためにはどのように取り組まなければならないか、考えていることを具体的に教えていただきたいと思います。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
まずは市場拡大再算定について、製薬協の岡田会長からよろしいでしょうか。
○日本製薬工業協会(岡田)
製薬協の岡田より回答させていただきます。
市場拡大再算定の認識につきましては、薬価収載時の前提条件が変化したもの、その品目に対して実施されるものというのが製薬協の基本認識でございます。今回の我々の主張といいますのは、度重なる再算定の実施によりまして、再算定の類似品として薬価を引き下げることがあまり合理的ではないと考えられる場合があるので、ルールを見直していただきたいというのがポイントでございます。
また、いわゆる高額医薬品に関するところでございますが、高額医薬品が技術革新とともに世の中に次々と上市されてくる中で「イノベーションの推進」と「国民皆保険の持続性」という観点から、この特例拡大再算定というものが導入されたとまず認識しております。そして、市場規模が大きくなる品目については費用対効果評価の対象となることがもちろん想定される制度になっております。また、最適使用ガイドラインにて必要な患者さんに適切にお届けする仕組みも構築されてきたと認識をしております。したがって、高額だということによって市場メカニズムがというところがありますけれども、既に現制度の中で高額医薬品と国民皆保険の両立という観点の中で、必要な患者さんにお届けされつつもしっかりとコントロールされる仕組みが入っているというのが製薬協の認識でございます。
私からは以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、この件に関しまして、PhRMAのフェリシアーノ委員長、いかがでしょうか。
また、EFPIAの方にも御意見をいただければと思います。
○米国研究製薬工業協会(ジェームス・フェリシアーノ)
これについて私はよく考えておりますので、ぜひ申し上げたいと思います。
このように市場拡大再算定の問題というものは、つまり、自社の製品だけではなくて結局他社の製品、今うまく売れているものが今後どうなるか、他社の製品の売上げをモニターしていかなくてはならない。そうしないと自社の製品まで価格が下げられてしまうことになってしまいますので、本当に透明性と予見性が完全に失われてしまうような状況になっているわけであります。私自身、他社がどういう販売戦略をやって、どう売れているかというところは全く知らないわけですが、それでも他社の動きを注視していないと、他社の売上げがある段階に達してしまうと、今度は自社の製品の価格が下げられてしまうことになってしまうからであります。そこで本当は関係がないのに自社にそのような影響が出てしまうということであります。
私自身は日本という国の担当の経営をしている者でございますが、そういった事態をどうやって本社のトップに説明をするのかという立場に追い込まれてしまいますので、非常に難しい立場になってしまいます。ですから、ぜひ私の立場になって考えていただければ幸いでございます。そして、どうやって本社のトップにそれを説明することができるのか、他社の製品がうまく売れると自分のところの製品の価格が下がる、そういった事態の説明の仕方は本当に大変だということを御理解いただければと思います。
○中村部会長
では、EFPIAの方、何かコメントはございますか。
○欧州製薬団体連合会(岩屋)
この件につきまして、製薬協の意見とPhRMAの意見とそれぞれ賛同いたしますし、共感いたします。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、ジェネリック医薬品にも多数御質問がありましたが、いかがでしょうか。
○日本ジェネリック製薬協会(澤井)
それでは、ジェネリック製薬協会、澤井から御回答申し上げます。
最初に、薬剤師の先生方に大変御迷惑をおかけしておりますこと、改めておわびを申し上げます。
御質問のございました不安解消の見通し及び取組についてでございます。そもそも相次ぐ供給停止の理由がGMP違反によるものでありましたため、現在、12月を期限としまして会員会社で承認書と実生産との相互の点検、これを不退転の決意で実施しているところでございます。この取組の中で、先般、会員会社の中堅企業、承認書と実生産の中にそごがあることが判明をし、新たに84品目の供給不足を引き起こしてしまいました。本来は不安解消しなければならない状況の中、供給不安に拍車をかけることとなってしまいましたこと、重ねておわびを申し上げます。
各社におきましては、残業、それから、休日の返上による操業率を高めるというところで増産に取り組んでおります。もう少し詳細に申し上げますと、ジェネリックは切替えが多いので、この切替え時間の短縮に向けて1回生産当たりのロットを増やすとか、包装単位の集約を行うとか、そういったところでの増産に取り組んでおるところでございますが、先ほど申し上げましたように新たな供給不安が生じ、現時点では誠に申し訳ございませんけれども、解消の時期、いつというのがお答えできる状況にはございません。ただ、根本的には大手の企業は2024年度に向けて大幅な生産量の確保の設備投資を大金を投じて行うことを発表しております。ただ、これもバリデーション等、承認等いろいろ時間を要することもございまして、早くても3年の期間を要することになります。
このような中、新規の収載をしている場合ではないのではないかという御質問でございました。ジェネリック医薬品の工場というのは新薬メーカーの工場と違いまして、1製品1ラインという専用ラインはまずございません。1つの生産ラインで多くの製品を共有し製造しておりますため、急な製造はできにくい、時間がかかる状況であること、また、医薬品はどの工場でも自由に製造できるものではなくて、承認書で記された工場のみで製造する必要があるということで、本当に時間がかかるということでございます。現時点では各社の保有在庫をできる限り放出をして、解消に向けて取り組んでおる状況でございます。
そして、根本的に安定供給をしっかりするためには人員増、新たな設備投資など、製造能力を増強するものに取り組まなければなりません。ただ、その原資は中間年改定の影響もありまして、なかなか既存品からは期待できるものではなく、新製品に頼らざるを得ない、そういう状況でございます。また、新製品の上市は新たに患者様の負担軽減に貢献するということもございますので、収載する限りは供給に不安を生じることなくしっかり取り組んでまいる所存でございます。
最後に、情報提供が不足しているのではないかという御指摘がございました。昨年12月に発出をされました経済課長通知に記載されている供給不足時の情報提供、例えば原因となる理由、解消する時期、また代替薬はどういうものがあるのか、その供給状況、また、薬局様、医療関係者並びに卸様からの照会対応の窓口の情報、こういったものを徹底するよう会員会社に要請をしておるところで、その情報を各社のホームページにしっかりと記載する、そして、協会のホームページの特設リンク、ここにアクセスしていただければ協会会員会社の供給状況が一目で分かる、こういう状況をつくっておるところでございます。これらをしっかりと取り組んで情報提供を行っていくところでございます。
以上です。
○中村部会長
有澤委員、よろしいでしょうか。
○有澤委員
流通に関して、例えばメーカーさんは全くつくっていないことはほとんどないと思います。要するに絶対量が幾らか足りないということで、実際に流通、卸さんも含めて、そこはメーカーさんとどのようにやり取りをしているのか、全国津々浦々必要最小限のものがちゃんと供給できるような仕組みになっているのかどうか、あるいはそういったものはこれからどのように考えていくかということも改めて卸連さんからもお話をお伺いしたいと思います。というのは、地域あるいは取引先の卸によって様々な対応が違うということがあちこちの現場から声が聞こえていますので、その点も踏まえてお答えいただければと思います。
○中村部会長
では、卸連の方から回答をお願いしたいと思います。時間が大分迫ってきておりますので、要点は手短にお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
お答えする前に、現状、大変御迷惑をかけておるのは卸側からもおわび申し上げますが、実態調査だけ調査会社で本年9月、10月の2か月間でしたが、医薬品卸数社対象にいたしました結果、包装単位数が後発品、そして代替する先発品も含めまして、約3,100品目というデータが出ました。春先からずっと数えまして先ほど御指摘の今後もまだ続くとなると、5,000を超える品目になるのではないかと。現状1万4000種の中の5,000となりますと、今、我々卸も大変な状況に陥っております。
ただ、御指摘のことについては入荷日に伴ってということだろうと思うのですが、実態、そこまでの調査、御報告はできないのですが、例えば1日に入荷しますと午前中にほとんどなくなります。いわゆる最低限の各お得意様のオーダーに対しての配付を各卸は心がけていると思いますので、それに対して遜色をつけることは基本的には行っていないと思っております。
また、その調査会社で、年間で卸の余分にかかった金額とパーセンテージも出していただいたのですが、年間約400億円という推計データを出されております。それがどうだというわけでありませんが、まず卸は供給次第、適切に安定供給をするというのが第一義になっておりますが、卸さん同士のオーダーが各お得意様から同時に出ておりますので、そこら辺については各医療機関とのお話合いになろうかと思いますが、そのようなことで御意見申し上げます。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございました。
佐保委員、よろしくお願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
本日御出席された関係団体の皆さんに感謝申し上げます。
私からは質問を1点、医薬品卸売連合会の資料4ページに「薬価制度における医薬品流通の在り方について見直しを検討すべき」とありますが、業界として具体的にどのような考えをお持ちでしょうか。現時点で何かあれば教えていただきたいと思います。
私からは以上です。
○中村部会長
では、折本理事、お願いします。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
先ほど調整幅の際に少し触れましたが、薬価基準制度そのものの見直しということよりも、まずもって薬価調査の透明性を図るべきという卸連の考え方で、現在経済課さんの要請に伴って調査をしておると。いわゆる単品単価契約、単品単価交渉になっているのかという点であります。これが透明化になれば薬価制度そのものの全体的な見直しと、先頃未妥結減算制度の導入で以前より取引慣行が随分改善したという経験をしておりますので、これを踏まえて制度の見直しという意味合いで申し上げた次第で、大きな腹案は特にございません。中間年の改定はできれば再度御検討いただきたいという意見はございますが、以上であります。
○佐保委員
ありがとうございました。
○中村部会長
では、松本委員、よろしくお願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
まずは今日御説明いただいた各団体の方、どうもありがとうございました。
私から2つ質問がございます。
1つ目は、日薬連さんの資料の27ページ目に後発品の価格について記載がございます。特に2つ目、3つ目に、銘柄別の市場実勢価格が適切に反映されるであるとか、あるいは安定確保につながる適切な市場実勢価格の形成を推進する制度とすべきであるといった表現があるのですけれども、これに関して具体的なイメージであるとか、あるいはお考えがあれば御紹介いただきたいというのが1つ目の質問です。
2つ目は、卸に関する質問なのでございますが、これは以前私の前任の幸野も質問させていただいたようなのですけれども、薬価がどんどん下がってきている大きな原因として、薬価と卸の差、乖離の話ですね。これがどうしても外せないわけでございますが、2年ごとの改定でも毎年改定でも乖離率がある意味で同じようになっていくというのは若干不可思議な点があるのですけれども、先ほど卸連から単品単価の交渉をしているのかということを問われているという話もありましたが、その辺について素朴な疑問として教えていただきたいということでございます。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、まずは日薬連から後発品の薬価の具体的なイメージについて、よろしくお願いします。
○日本製薬団体連合会(眞鍋)
眞鍋からお答えします。
スライド27ページで御指摘があったかと思います。総論的にはここに書いてあることが全てでございまして、特に安定確保につながる適切な市場実勢価格の形成を推進すべき制度ということでございます。これについても総論的にはまさにこのとおりでございますが、実際のところ、市場実勢価格や安定確保にどの程度の費用、コストがかかるとかというのはまだまだ議論が続いていると思いますので、このような方向性をもって議論をさらに進めさせていただきたいというのがここの趣旨でございます。少し直接の答えになっておりませんが、議論を続けさせていただきたいと思っております。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、卸売連から、乖離率につきまして、いかがでしょうか。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
お答えいたしますが、基本的には新薬価の算定については御案内のとおりでありますけれども、今回の調整幅の議論が始まるときも20年間一緒だという御指摘から始まっておりますが、平成元年前はR15から始まって、その後、元年から2%の調整幅以降、加重平均が結果的に調整幅に加わっていきますので、薬価幅が出る仕組みになっております。ただ、一度も上がるということはございません。
しかしながら、その中で価格の競争やいろいろなポイントでは、拡大再算定の問題ですとか、今回の中間年の改定等々で大分ぎくしゃくはいたしますが、調整幅2%になって以降はほぼ御案内どおりに乖離率は一定になってきたのではないかという感触は持っております。それ以上の調査、意見は再度検討させていただきたいと思いますが、以上です。
○中村部会長
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
では、予定の時間を超えてしまいましたので、大変恐縮ですけれども、関係業界からの意見陳述についてはここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。
各関係業界の皆様におかれましては、御退室をお願いいたします。ありがとうございました。
(関係業界退室)
○中村部会長
では、次の議題に移りたいと思います。次に「次期薬価改定について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料薬-2を御覧ください。「次期薬価改定について(その2)」としまして、論点4点について、御説明をさせていただきます。
2コマ目を御覧ください。新規後発品の薬価算定についてでございます。まず、現行のルールについてですけれども、後発品の薬価算定につきましては、先発品の薬価に0.5を乗じた額を基本としておりまして、内用薬については銘柄数が10を超える場合には0.4を乗じた額、バイオ後続品については0.7を乗じた額としております。
3コマ目を御覧ください。こちらは前回改定時の骨子でございます。後発品の薬価算定につきましては、現在の取扱いを継続し、後発品の乖離率、安定供給への対応等を踏まえて引き続き検討することとするとされております。
4コマ目を御覧ください。こちらは毎年薬価改定との関係についてでございます。昨年度から毎年の薬価改定が始まりましたけれども、例えば6月に収載された新規後発品ですと、これまでですと最長で1年半そのままの薬価で販売されていたことになりますが、毎年薬価改定が始まりましたことから、6月に収載したとしても、薬価調査の結果に基づき翌4月には薬価改定されて、市場実勢価が速やかに、かつ1年ごとに繰り返し薬価に反映されることとなっております。
5コマ目を御覧ください。供給不安事案につきましては、現状、後発品について種々の事情により供給停止、出荷調整が行われておりますけれども、それ以外に個別品目の事情によりまして出荷調整が行われている事例もこちらのようにございます。
6コマ目を御覧ください。こちらは医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議におきまして、製薬団体の関係委員から提示された資料でございます。医療用医薬品原薬の安定確保の阻害要因としまして、様々な要因があるというものでございます。
7コマ目、論点でございます。薬価改定が毎年実施されることとなっている現状等を踏まえ、後発品の初収載ルールについてどう考えるかとしております。
8コマ目からが調整幅についてでございます。薬価改定のときのルールにつきましては、昔はいわゆるバルクライン方式というもので行われておりましたけれども、平成4年度以降、加重平均値一定価格幅方式、いわゆるR幅方式ということで行われておりました。これにつきまして、平成12年度改定に向けた議論の中で検討が行われまして、その際「薬剤流通の安定のため」の調整幅2%を設定するということで、いわゆる加重平均値調整幅方式、現行の方式にされているというものでございます。
この議論の中では、右下の枠の中にあります医療機関の平均的な購入価格の保障という新たな思想に基づきといった説明、可能な限り不合理な薬価差を解消するという観点、薬価の適正化、薬剤費の効率化を図るという観点、また、当時の長期収載品に係るR幅の水準等も勘案して設定されたとされております。また、医療機関における薬剤管理コストの評価についても指摘があったというものでございます。
9コマ目を御覧ください。こちらは薬価改定のイメージでございます。現行ルールにおきましては、市場実勢価格を基に薬価改定を行っているというものでございます。真ん中下のほう、四角囲みにありますけれども、その市場実勢価格につきましては包装形態、販売規模など、種々の事情によりまして一定のばらつきが生じるものとなっていると理解しております。また、このばらつきの結果としまして、それぞれの状況によりますけれども、薬価を超える購入価格での取引、いわゆる逆ざやが生じる場合もある、あるいはその品目もあるということだと思いますし、薬価以下であっても改定後の薬価よりも高い購入価格で取引がされている状況もあるものと理解しております。
10コマ目、5月の薬価専門部会で業界団体からいただいた御意見をまとめております。
11コマ目、論点でございます。薬価改定が毎年実施されることとなっている現状等を踏まえ、「薬剤流通の安定のため」に設定されている調整幅についてどう考えるかとしております。
12コマ目からは高額な医薬品についてでございます。
12コマ目、健保法の改正法案の審議における附帯決議におきまして、高額な医薬品・医療機器について、将来の医療保険財政に与える影響を早期に検証し、その適切な評価の在り方に関する検討を進めるとされていたというものでございます。
13コマ目を御覧ください。現状の薬価算定基準における高額な医薬品の薬剤費適正化の仕組みでございます。薬価の適正化と使用の適正化に分けておりますけれども、薬価の適正化の例としましては、外国平均価格調整、市場拡大再算定、費用対効果評価を挙げております。
また、使用の適正化としましては「最適使用推進ガイドライン」などがあるというものでございます。
14コマ目、外国平均価格調整についてですけれども、外国価格との乖離が大きい場合に価格の調整を行うというもので、外国平均価格の1.25倍を上回るような場合には引下げ調整を行う、また、逆に下回る場合には引上げ調整を行うというものでございます。
15コマ目、市場拡大再算定でございます。こちらは年間販売額が予想販売額の一定倍数を超えた場合などに、薬価を引き下げるということとなっております。
16コマ目、費用対効果評価制度についてですけれども、左下にありますとおり、費用対効果の評価結果に基づきまして価格調整を行うというものでございます。
17コマ目、「最適使用推進ガイドライン」についてでございます。こちらは革新的かつ高額な医薬品や再生医療等製品につきまして、その使用に際して対象患者、医療機関の施設要件・医師要件などを取りまとめた「最適使用推進ガイドライン」というものを作成して、それに従った使用をお願いしているというものでございます。これまでに作成してきたガイドラインの概要についてお示ししております。
18コマ目、市場規模が大きな医薬品の例としております。3つ挙げておりますけれども、1つ目が、市場拡大再算定の特例として最近対象となった品目でございます。年間1000億円を超えるもの、予想販売額の1.5倍以上というもので、こちらのような品目がこれまでに特例の対象となっております。
2つ目、四半期の市場拡大再算定の対象となったもの、こちらは年間350億円を超えるもの、予想販売額の2倍以上となったものということでございます。
3つ目、それ以外に薬価収載時点でピーク時の予測市場規模が上位のものということで例としてお示ししております。
また、こちらの資料について1点修正です。2つ目の一覧の中にありますタグリッソのところに※がついておりますが、こちらの※は削除をお願いいたします。ですから、下にある注釈は、「バイオ医薬品」に該当するものは7品目が正しい数字でございます。
19コマ目、こちらは単価であります薬価が高額な医薬品の例として5品目を挙げております。いわゆる再生医療等製品がこちらに挙がっていることになります。
また、下のほうですけれども、これまでの中医協における御指摘としまして、高額薬剤の問題についても検討が必要であるという御指摘をいただいているというものでございます。
20コマ目、薬剤費に及ぼす薬価改定等の影響の分析というものでございます。左の折れ線グラフが今から10年前、2011年を起点としまして薬剤費の推移を示したものとなります。赤い実線が国民医療費ベースの薬剤費の推移となります。また、下の青い折れ線グラフがこれまでの薬価改定における薬剤費の推移をその比率として示したものでございます。2017年以降、薬価改定が毎年行われている結果、このような形になっているというものでございます。また、薬価改定の結果、赤い実線の薬剤費になっているということですので、これらから薬価改定を行わなかった場合の薬剤費を推計しますと、上の赤い点線の折れ線グラフになるというものでございます。また、この薬剤費の推計は後発医薬品への置き換えが行われた結果としての推計ですので、もし後発品への置き換えがなかった場合をさらに推計として加えますと、その上の薄い緑の点線のような形になると想定されるというものでございます。
右側、真ん中の円グラフにつきましては、薬剤費の構成割合ということで、新薬創出等加算の品目、それ以外の先発品、長期収載品、後発品、その他といったカテゴリー別に分けた場合の比率を2017年と2019年についてお示ししたものでございます。
また、右下の表につきましては、それぞれの年度の薬価改定の際にお示ししております後発品への置き換えによる医療費適正効果額をまとめてお示ししたものとなります。
21コマ目、論点でございます。今後、これまでの品目の市場規模を大幅に超え得る薬剤(例えば、数千億円を超えるような品目)が承認された場合の対応について、「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」を両立し、「国民負担の軽減」と「医療の質の向上」を実現する観点からどう考えるかとしております。
22コマ目、ここからは診療報酬改定がない年の薬価改定についてでございます。
22コマ目は、平成28年に取りまとめられました「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」、いわゆる4大臣合意でございます。左の赤枠で囲っておりますところで、毎年薬価調査を行い、その結果に基づき薬価改定を行うとされております。
23コマ目を御覧ください。こちらは平成29年に中医協で取りまとめていただきました「薬価制度の抜本改革について 骨子」でございます。薬価調査の対象範囲、対象品目の範囲について記載がされております。
24コマ目、「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる骨太の方針の2018、2019の記載、25コマ目が同じく2020の記載となっております。
26コマ目、こちらが昨年度に行いました薬価調査の概要についてでございます。真ん中3.のところですけれども、従前、薬価調査につきましては全数調査として行っておりましたけれども、(1)販売サイドの調査におきましては3分の2、購入サイドについては従前の2分の1といった規模で薬価調査を行っております。
27コマ目、「毎年薬価改定の実現について」ということで、令和3年度薬価改定の概要についてでございます。対象範囲につきまして、価格乖離の大きな品目としまして、平均乖離率の0.625倍を超えるもの、それから、新型コロナウイルス感染症特例としまして薬価の削減幅を0.8%分緩和としております。
28コマ目、既収載品目の算定ルールを一覧としてお示ししております。令和3年度の薬価改定におきましては、実勢価改定と連動するルールについて適用し、それ以外については連動しないこととしておりました。
29コマ目、5月の薬価専門部会で業界団体からいただいた主な御意見でございます。
30コマ目、論点です。診療報酬改定がある年とない年における薬価調査や薬価改定の在り方についてどう考えるかとしております。
以上でございます。
○中村部会長
紀平薬剤管理官、ありがとうございます。
1点ですが、参考資料の5ページ目のアンケートにある系列の具体的な内容について、後で分かればお願いします。
では、質疑応答に行きたいと思います。
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
次期の薬価改定全体の方針につきましては、その1の審議の際、適正化を進めるなどのメリハリの利いた見直しが重要と述べさせていただいております。その上で、今回の各論点についてコメントさせていただきたいと思います。
まず、7ページの新規後発品の薬価算定についてですが、4ページにございますように、新規後発品の収載とその後の薬価改定については、昨年度までと令和3年度以降の状況が明らかに異なるということは理解をしております。後発品が初めて収載されるときの薬価は先発品の0.5掛けあるいは0.4掛けとなっているわけですが、後発品の薬価の基準となる長期収載品についてはどの程度薬価が下がっていて、その状況に変化が生じているのかどうかといったことも確認しながら、総合的に判断をしていく必要があるのではないかと考えております。
続いて、11ページの調整幅の在り方についてですが、この調整幅は先ほどのヒアリングでもございましたが、薬剤の流通安定のための一定幅であるということ、これまでの様々な歴史的な経緯によって2%とされてきたということは理解をしておりますが、価格や経費のばらつきがどうしても生じていることを前提といたしますと、それをある程度平均的に吸収させる仕組みとしてこの調整率が必要であることに変わりはないと思います。
先ほどのヒアリングでも業界の方が説明をされていたように、今回のこのコロナの対応であるとか、また、後発医薬品の問題による安定供給障害等によってその流通経費が増加をしていたり、様々な在庫管理のコストが増加していることを鑑みれば、これ以上現時点においてこの調整幅を引き下げたり、また、これを変動させることはなかなか難しいのではないかと考えております。
続きまして、21ページの高額医薬品に対する対応でございますが、まず一般論として、これまでも幾度となく我々は主張してまいりましたが、有効性、安全性が確認された薬剤は、患者さんの治療に必要ということで保険適用にするのが原則でございますが、高額な医薬品に関してもこの原則は同じであると我々は考えてございます。
その上で、この高額の薬剤に対してどのように考えるのかということであるわけですが、まず、薬事承認の段階において有効性、安全性に関する議論をこれまで以上に充実させていく必要があると思いますし、そのためにその対応としての薬事承認においての体制整備をさらに強化していただきたいと思います。そこで確認されたエビデンスに基づいて「最適使用推進ガイドライン」などで適応症や対象患者さんをしっかりと設定していくべきであろうと考えております。
そして、その後、薬価算定組織で薬価が決まるわけでございますので、この薬価算定組織においてもさらなる組織の体制の拡充が必要であろうと存じます。
そして、薬価が収載された段階において、薬価収載後も本当にその費用に見合う効果があるのかどうかということで費用対効果評価制度というものがございますので、これによりまして継続的に費用対効果を検証していく必要があろうと思いますし、そのためにも費用対効果制度の拡充もしっかり図っていくことが必要であろうと思います。
その上で、この「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」という大変難しいものを両立していくためには、先ほど共連れも含めて市場拡大再算定の御意見がございましたが、基本的には市場規模が非常に大きくなったときに適用される市場拡大再算定、これに際しまして、それに対して迅速に拡大の状況を察知して、それに対して対応できるという形で、現行の市場拡大再算定の機動性をさらに高めるような仕組みで検討していくことになるのではないかと考えてございます。
最後の論点の30ページの診療報酬改定がない年の薬価改定、中間年改定でございますが、これに関しましては29ページの業界団体からの御意見にもありますとおり、薬価と診療報酬との間には密接な関係がございます。また、22ページにございますもともとの抜本改革の基本方針にもありますように、中間年改定は2年に1回の通常改定とは異なる位置づけでございますから、薬価と実勢価の乖離が著しく大きい品目に限定して薬価の補正をするものであるべきと我々は考えております。
私からは以上です。
○中村部会長
城守委員、ありがとうございます。
では、有澤委員、よろしくお願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
私から論点に沿って発言をさせていただきます。
まず、7コマ目の論点であります。初収載の薬価算定ルールとは直接的には関係ないと思いますが、先ほどもお話しさせていただいたとおり、後発品の医薬品のメーカーの不祥事の影響による供給不足問題が昨年から今も続いていて、日々悪化している状況であります。また、中間年改定の影響がどこまであったのかはっきり見えない状況でもありますし、今、収束を見せているコロナについても今後どのような展開をするか分からない状況でありまして、まだ収束が見えていない状況。このような状況に鑑みますと、後発医薬品の初収載ルールについては今回のタイミングで大きく変更すべきではないと考えます。
次に、11コマ目の論点であります。こちらにつきましても後発医薬品の供給不足問題、あるいは中間年改定の影響がどこまで出ているのか見えない状況であります。薬剤流通安定のために設定している調整幅を変更することはすべきでないと考えております。
また、今回の後発医薬品の供給不足問題により医療用医薬品全体に影響が出ている状態で、現場の薬局としては必要な医薬品が必要な患者さんに適切なタイミングでお渡しできない今の状況は、患者さんの命に関わる可能性もあり、非常につらい状況であります。薬剤流通安定のためというものの必要性は現場で痛いほど感じているところでありますので、平時であっても引き続きこの設定は必要と考えております。
次に、21コマ目の論点です。現状、薬剤が承認されたらそのまま薬価算定、保険収載という流れになっていると思います。市場規模を大幅に超える薬剤が承認された場合、「国民皆保険の持続性」あるいは「イノベーションの推進」「国民負担の軽減」「医療の質の向上」など、総合的な判断が必要となります。その場合は承認後は中医協の中でしっかり議論して薬価算定という流れが必要だと思っております。もちろん新薬を必要な患者さんに早く届けるという視点も重要ですので、その視点も含め、どの程度の市場規模の品目であれば議論が必要なのか、また、そうした品目が承認された後どのように中医協の中で議論を進めるのかなどについて、事務局で具体案を提示していただければと思います。
最後に、30コマ目の論点になります。市場実勢価格を適時に薬価に反映して国民負担を抑制することは理解いたしますが、それ以上に今回の中間年改定は大変厳しいものであり、製薬企業、医薬品卸売業あるいは保険医療機関、保険薬局の経営に非常に大きなインパクトを与えていることは事実であります。特に保険薬局においては、改定日を境に在庫の価値、つまり保険薬局の資産が一気に目減りをしてしまう。これらのことによって保険薬局の経営状況が悪化し、場合によっては地域における医薬品供給拠点としての機能ができない状況が発生すれば、結果として国民にとって非常にマイナスなものになります。診療報酬改定がない年については薬価改定はすべきでないと考えていますし、その判断については、今後、中医協の中で慎重な検討を継続して行うべきと考えます。
以上です。
○中村部会長
有澤委員、ありがとうございました。
安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
それぞれの論点に沿って意見を述べさせていただきます。
まず、新規後発品の薬価算定につきましては、オーソライズドジェネリックをどのように考えるのかという点について整理する必要があると考えております。2ページにも記載されておりますとおり、現状バイオAGについては他のバイオ後続品と同様、先発品の薬価に0.7を乗じた額となっております。両者の違いを考慮した上で、同等の取扱いとすることが望ましいのかという点について今後議論が必要であると考えております。
次に、調整幅の在り方についてですが、調整幅の在り方については2021年度の薬価改定の議論では特に議論がされないまま、結果として2.0%から2.8%に緩和する決定がなされました。この0.8%につきましては新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた1回限りの対応ということでしたので、改めてゼロベースで議論を行い、調整幅の在り方、その概念から議論をしていくべきであると考えております。
その際に、現状のデータがないと具体的な水準についての議論は困難であると考えております。調整幅は「薬剤流通の安定のため」に設定されていることから、事務局におかれましては、今後の議論に向けて、特に物流コストといった薬剤流通の安定に関するデータの提供について可能であるかどうなのかという点も含め、検討をぜひお願いしたいと思います。
次に、高額医薬品への対応でございます。高額医薬品への対応についてはまだ承認前ではありますが、アルツハイマー病に対する新薬のアデュカヌマブが念頭に置かれた論点でもあると認識しております。この薬剤が仮に承認された場合、市場規模がこれまでの品目を大幅に超えることが見込まれることから、従来どおりの対応では難しく、複合的な対応を考える必要があると考えております。透明性を確保した上での原価計算方式、市場拡大再算定、費用対効果評価の組合せで対応するというのが基本線となろうかと考えておりますが、承認を待たずに事前に検討を進めておくべきであると考えております。
最後に、診療報酬改定がない年の薬価改定についてですが、2021年度の薬価改定がその初年度で、本来であればその際の議論でルールを決めておくべきであったと考えておりますが、結果的に1回限りの特例的な対応を決定するにとどまったため、こちらにつきましても改めてゼロベースでの議論が必要であると考えております。対象範囲や方法といった薬価調査の在り方、対象品目の範囲の基本的な考え方等につきまして、具体的に議論を進めていく必要があると考えております。
以上です。
○中村部会長
安藤委員、ありがとうございました。
では、佐保委員からよろしくお願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
最初に、以前にも申し上げましたが、薬価そのものについて価格乖離が発生するのは当然の成り行きであり、このまま消耗戦のようなことを続けていくことで医薬品の安定供給、国内での新薬創出などに影響が出ることを懸念しています。医薬品の信頼性が損なわれるようなことがあれば、患者、被保険者がその影響を受けます。適正な薬価を考える上で様々な情報開示が求められていると考えております。
30ページの診療報酬改定のない年における薬価改定については、「イノベーションの推進」や医薬品の安定供給への影響、「薬価制度の抜本改革について 骨子」などに示されている「国民負担の軽減」といった視点、さらに実務的なこと、そういった重要な点を踏まえて検討すべきと考えております。
私からは以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、眞田委員、よろしくお願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。
私からは包括的なコメントをさせていただきたいと思います。
本日、お示しをいただきました各論点につきましては、「国民皆保険の持続性」の観点に加えて、イノベーションの適切な評価や創薬力の強化、医薬品の安定供給の確保などについても十分考慮して検討していく必要があるということを改めて申し述べたいと思います。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
それでは、論点に従ってコメントさせていただきたいと思います。
まず、新規後発品の薬価の算定ということでございますけれども、4コマ目にスケジュールが示されておりますが、せっかくここで議論するわけですから、初収載後の市場実勢価格がどうなっているのかといったデータが出せないのか。それを見て検討するのが非常にリーズナブルだと思いますので、これについてぜひ御検討いただきたいと思います。
次の調整幅の関係なのですが、9コマ目、そこにいろいろな枠囲みで包装形態や販売規模、販売先等、いろいろばらつきが生じますというのは観点としては十分理解しておりますけれども、例えばそこに書いてあるものがどんな形で違いがあるのか。薬の剤形や投与の経路、あるいは医薬品の新薬、ジェネリック、あるいは薬価の水準とか、そういったものの分布というか、そういうものがないのか。単純に平均ですという形で行くよりも、その辺を少しお示しいただけるともう少し具体的に検討しやすくなるのではないか。調整幅そのものの必要性についての理解も深まると考えております。
次に、高額医薬品については皆様がいろいろ触れられておりますけれども、治療を待ち望んでおられる患者さんにできるだけ早く届けるという観点も必要でありますが、それについてプライスと使用量の関係ですね。これについては適切なバランスを取っていただく必要があるかと思います。
最後でございますが、薬価の改定の話でございますけれども、せっかくこういった改定が進行いたしましたので、先ほどから1回限りというのではなくて、こういったものが今後毎年実施されることを前提に、そうしますと調査のほうも同じような形で継続的に行えないのかという観点で検討すべきだろうと考えております。どうしても中間年改定という言葉が、診療報酬が2年ごとに控えている関係があって中間という言葉が使われておりますけれども、できるだけ毎年改定であるという言葉をしっかり浸透させていく必要があるのだろうと思います。
その中で、28コマ目に既収載品目の算定ルールということで、令和3年度に適用されたものと適用されなかったものが区別されておりますけれども、特に2.にある今回実勢価格と連動しないということで算定されなかったものが幾つかありますけれども、特に新薬創出等の加算の関係等はぜひ今後こういったものを適用していくようにお考えいただきたいと思います。
以上であります。
○中村部会長
ありがとうございました。
ほかに、何か御意見、御質問等はございますか。
先ほど様々な委員の先生方から、長期収載の価格の推移、流通安定にかかるコスト、初回収載後の価格データ、あるいはそもそもの取引価格の分布など、議論に必要なデータを出してほしいということでしたので、可能な範囲でぜひよろしくお願いいたします。
事務局から何かございますか。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
本日いただきました御意見を踏まえまして、今後、資料の提供などについて検討していきたいと思います。
それから、先ほど部会長から御指摘いただきました資料薬-2参考の5コマ目の右の棒グラフ、系列1、2、3と表記をしております。こちらのデータのリンクが切れたもので大変失礼いたしました。内容としては、左の水色のものが「通常の医薬品流通に支障はない」というもの、真ん中オレンジが「通常の医薬品流通を圧迫しかねない」、一番右側が「通常の医薬品流通を圧迫している」というデータでございました。失礼いたしました。
○中村部会長
ありがとうございました。
ホームページの資料に、データの記載のほう、よろしくお願いいたします。
では、専門委員の方から御意見があればよろしくお願いします。
村井委員、よろしくお願いします。
○村井専門委員
ありがとうございます。
先ほど安藤委員から、調整幅に関して流通の安定のためのコストということで、物流費はどうなっているのかという御指摘がございました。医療用医薬品の場合、これはメーカーさんの工場から出てから患者さんに渡るまで、これら全てがその流通の当事者であると考えておりますので、流通費イコール物流費ということではないことを一言申し添えさせていただきたいと思います。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほか、専門委員の方々、御意見はございますか。
では、ほかに御意見等もないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りにしたいと思います。
本日の議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会をこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。



 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第182回議事録(2021年11月5日)

ページの先頭へ戻る