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2021年8月4日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第180回議事録

○日時

令和3年8月4日(水)保険医療材料専門部会終了後~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
安藤伸樹委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 眞田享委員
松本吉郎委員 城守国斗委員 林正純委員 有澤賢二委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 村井泰介専門委員
<参考人>
薬価算定組織 前田委員長
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
山田保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○ 薬価算定組織からの意見について
○ 薬価改定の経緯と薬剤費及び推定乖離率の年次推移について

○議事

 


○中村部会長
では、ただいまより、180回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
なお、本日もコロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。本日は、全員が御出席になります。
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は、次期薬価制度改革に向けて、薬価算定組織の前田委員長より、薬価算定組織からの意見をいただくこととしたいと思います。
それでは、前田委員長、説明をよろしくお願いいたします。
○前田委員長
薬価算定組織の委員長の前田でございます。次期薬価制度改革に向けて、薬価算定組織からの意見について、説明いたします。
資料中医協薬-1を御覧ください。「イノベーション等の適切な評価について」として、3点提案いたします。
「(1)効能追加の評価」についてですが、新規収載品については、臨床上有用な新規の作用機序を有すること、類似薬に比して高い有効性または安全性を有することが客観的に示されていることなどの要件に該当すれば、有用性加算等として収載時に加算し、薬価算定をしています。
また、加算がつけば、新薬創出等加算の対象となります。
他方で、収載後の効能追加については、小児や希少疾病などに係る効能が追加された際には加算の対象とし、また、令和2年度の薬価ルールの見直しの際、新規作用機序医薬品に相当すると認められる効能が追加された際には、新薬創出等加算の対象とすることとなりましたが、新規収載時に比べると限定的であります。
そこで、新薬創出等加算の対象外の既収載品の効能追加について、新規収載時であれば有用性加算等に相当する場合には、対象領域や市場規模などの一定の要件を付した上で、新薬創出等加算の対象としてはどうかという提案でございます。
続いて「(2)原価計算方式における開示率向上」に関する提案です。
現在、原価計算方式における開示度を向上し、薬価の透明性を高めるために、開示度に応じて補正加算の額を減額するなどの取扱いを行っております。
しかしながら、依然として海外からの輸入製品を中心に、約半数の品目は開示度が50%未満にとどまっており、その多くは移転価格として示されております。
現行でも、海外からの移転価格については、運用上、他国への移転価格も確認することにより、我が国への移転価格の妥当性の確認を行っています。その運用の明確化のほか、移転価格であることを考慮した算定方式をルール化してはどうかという提案でございます。
最後に「(3)薬機法改正に関する対応」に関する提案です。
令和2年9月に施行された改正薬機法により、例えば小児用医薬品や薬剤耐性菌治療薬といった医療上のニーズが著しく充足されていない医薬品の研究開発を促進する観点から、特定用途医薬品の枠組み、また、画期的な新薬等のさらなる迅速な実用化を図る観点から、先駆け審査指定制度に置き換わる形で、先駆的医薬品の枠組みがそれぞれ法令上に位置づけられました。
そこで、これらの医薬品の実用化を進めるため、薬価算定においても、現在の算定ルールの内容を整理した上で、特定用途医薬品及び先駆的医薬品に係る薬価改定等の在り方を検討してはどうかと提案いたします。
薬価算定の基準に関する意見は以上です。
次期薬価改定に向け、これらの意見を踏まえて議論を進めていただけると幸いです。ありがとうございました。
○中村部会長
前田委員長、どうもありがとうございました。
では、事務局より補足があれば、お願いいたします。
では、紀平さん、よろしくお願いします。
○紀平薬剤管理官
特にございません。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、ただいまの説明について、御意見、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
では、城守委員、お願いします。
○城守委員
ありがとうございます。
算定組織での日頃の御検討の過程で浮かび上がった課題への対応についての御意見をいただきまして、前田委員長をはじめ、算定組織の先生方には感謝申し上げます。
次回改定に向けては、いただいた御意見をベースに検討していくということに関して、異論はございませんが、各項目に沿って少しコメントをさせていただきます。
まず「(1)効能追加の評価」でございますが、既収載品について、臨床的に有用な効能・効果が追加された場合、それが新規作用機序に該当するものではなくても、新薬創出等加算の対象にしてはどうかという御提案でございますが、これはどのような品目が想定されるのかなど、もう少し具体的なイメージを共有できるよう、今後、検討する際には、資料を御用意いただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
続きまして「(2)原価計算方式における開示率向上」についてでございます。
これは原価の開示といいましても、移転価格の場合、原材料費の内訳が示されるわけではございません。輸出価格しか示されないことが多いという問題意識をお示しいただいたものでございますが、こうした状況は、薬価の透明性を高める観点から、改善が必要であると我々も考えておりますので、移転価格であるということを考慮した算定方法等について、今後、算定組織で十分に御検討をお願いしたいと考えております。
続きまして「(3)薬機法改正に関する対応」でございます。
薬機法は、品質、有効性・安全性を最低限確保しつつ、薬事承認を取るための枠組みとして位置づけられているものでございます。
2ページに記載されているとおり、研究開発の促進、優先的な取扱いなど、薬事承認取得の後押しを薬機法で行うことと、薬価で評価することは別次元の話でございます。小児や画期性について評価する現行の枠組みがあることを踏まえて、整理をしていただくということでよいのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
○中村部会長
城守委員、ありがとうございます。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
私からは、本日の薬価算定組織委員長の前田先生からの御提案の中には入っていないのですけれども、今後の大きな課題として、いわゆる高額薬剤のことについて、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
もちろん、安全性・有効性が確認された薬に関しましては、速やかに保険収載するということは当然のルールでありますけれども、これまでは、いわゆる高額ではあっても、比較的使用される患者の数が限られていたり、市場拡大再算定などの薬価制度のルール上でコントロールできたり、費用対効果制度を適用したり、最適使用推進ガイドラインを有効に使って総合的に対応できてきたとは思いますが、今後、高額かつ使用される患者の数が非常に多く、市場規模が非常に大きくなってきたり、あるいは例えば軽症のところから使用することが望ましいような薬剤で、今後、最適使用推進ガイドラインで対応することがなかなか難しいような薬剤が出てきた場合に、現在の薬価制度全般を使ってもなかなか対応しにくくなるというようなことも想定されます。
今日は意見だけですけれども、今後、薬価制度全体の中で検討していく課題だと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○中村部会長
松本委員、御意見をありがとうございました。
では、次に、手が挙がっておりますけれども、安藤委員、お願いします。
○安藤委員
ありがとうございます。
今回、算定組織からいただいた御意見につきましては、4月に一度事務局からお示しいただいた主な課題に含めた上で、改めて個別に議論していくという認識でございます。「(1)効能追加の評価」につきましては、見直しを行った場合に、どれぐらいの規模の対象拡大になるのかといった点も含めまして、今後、慎重に議論していくことが必要であると考えております。その議論に資するような資料を改めて要求したいと思います。
また「(2)原価計算方式における開示率向上」につきましては、もともと4月の段階で論点として挙げられていたもので、議論に時間を要する項目であると認識しております。具体的な対応案についてしっかりと議論を積み重ねていけるよう、議論の段取り、体制を含めて検討いただきますよう、事務局に対して改めて要望させていただきます。
以上です。
○中村部会長
御意見並びに要望をありがとうございました。
ほかに御意見等。
幸野委員、よろしくお願いいたします。
○幸野委員
各御提案についてコメントをさせていただきたいと思います。
まず、(1)の効能追加に伴う新薬創出加算の適用なのですけれども、これは非常に大きな話で、慎重に検討する必要があると思っております。
新薬創出加算は、まさにイノベーションの評価であって、真にイノベーションを有する品目に限定してつけるべきと主張してきましたが、今回、新規作用機序以外でも、有用性があればつけるということなのですけれども、新規作用機序以外でどのような事例があるのか、想定できないので、具体的な例を見てみないと判断できないと思いますので、これはちょっと慎重に検討する必要があると思います。
それから、(2)の原価計算方式なのですが、やっと取り上げていただいたというのが正直な感想です。
原価計算方式は、透明化が極めて重要な要素になりますので、開示率の向上も不可欠だと考えています。どのような方法をされるのかということで、移転価格に調整率を掛けるとか、加算を取る場合に移転価格を外して加算をつけるのか、いろいろな方法があるかと思いますが、少なくとも、中身が分からないような移転価格に加算が乗るということだけは避けていただきたいと思います。
それから、せっかく原価計算方式に手を加えるのであれば、我々がほかに問題としております営業利益率についてもぜひ検討していただきたいと思います。
あと、(3)なのですが、これは薬機法改正の対応ということなのですが、材料部会でも申し上げたとおり、先駆的医薬品と特例的医薬品のいずれも単純に評価を引き上げるということではなくて、現行の加算を踏まえてメリハリをつけるということが前提になると考えます。
また、先駆的医薬品については、時々例があるのですが、ゾルゲンスマなんかがそうだったのですが、いたずらに審査期間が延びた場合でも自動的に加算がつくという事例もあるのですが、指定の取消しが薬事のルールでも明確になったということを聞いておりますので、先駆的医薬品に指定されたから自動的につくというものではなくて、審査の状況も踏まえて、しっかりと運用していただきたいと思います。
以上でございます。
○中村部会長
コメント並びに御意見をありがとうございました。
では、ほかに御意見あるいは御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、ほかに御意見等がございませんでしたら、この議題については、この辺りとしたいと思います。
ただいま御説明いただいた薬価算定組織からの意見については、今後検討していきたいと思います。
前田委員長、どうもありがとうございました。
では、次に「薬価改定の経緯と薬剤費及び推定乖離率の年次推移について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
では、紀平薬剤管理官、お願いします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。資料薬-2を御覧ください。こちらは定例で御報告しております資料となります。
1枚目でございます。「薬価改定の経緯」ということで、これまでの薬価改定における改定率等をまとめた資料でございます。一番下の行に、令和3年度改定についての記載を追加しております。
2ページ目を御覧ください。「薬剤費及び推定乖離率の年次推移」として、図でお示ししている資料でございます。
最後の行の平成30年度につきまして、まず、国民医療費の数字が、昨年11月末に公表されております。これを基に薬剤費と薬剤費比率を新たに算出した結果を本日お示ししております。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御意見や御質問等がありましたら、お願いいたします。
では、佐保委員、お願いします。
○佐保委員
ありがとうございます。
薬価改定について、乖離率で考えていくことが果たして正しいのかどうかということは、議論すべきではないでしょうか。薬価そのものについて、価格乖離が発生するのは当然の成り行きであり、このまま消耗戦のようなことを続けていくことで、医薬品の安定供給、国内での新薬創薬などに影響が出ないかどうか、懸念を持っています。
医薬品の信頼性が損なわれるようなことがあれば、患者(被保険者)がその影響を受けることになります。薬価改定の方法等をこの際しっかりと議論することが重要であると考えます。
以上です。
○中村部会長
佐保委員、御意見をどうもありがとうございました。
ほかに何か御質問あるいは御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、ほかに御意見等もないようでしたら、この議題については、この辺りとしたいと思います。
本日予定された議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。




 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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