ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第178回議事録(2021年5月12日)

 
 

2021年5月12日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第178回議事録

○日時

令和3年5月12日(水)9:21~11:34
 

 

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
安藤伸樹委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 眞田享委員
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 岡田医療技術評価推進室長
山田保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 関係業界からの意見聴取について

○議事

 


 ○中村部会長
では、ただいまより、第178回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
なお、本日も、コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開については、前回に引き続き試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。
本日は全員が御出席です。
それでは、議事に入ります。今回は、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。関係団体として、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、日本医薬品卸売業連合会、再生医療イノベーションフォーラム、日本バイオテク協議会より意見を聴取したいと考えております。
早速、意見陳述に移りたいと思います。
まず、業界団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。関係団体の皆様は、最初に自己紹介を行った上でプレゼンテーションをお願いいたします。
まず、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会及び欧州製薬団体連合会よりお願いいたします。
よろしくお願いします。
○日本製薬団体連合会(手代木)
ありがとうございます。
日本製薬団体連合会の会長を務めております手代木でございます。
本日は、薬価制度改革に関する意見として意見陳述の時間を賜りましたことをありがたく、御礼を申し上げたいと思います。
本題に入ります前に、昨今の後発医薬品の製造・品質問題につきましては、後発医薬品だけの問題ではなく、製薬業界全体の課題であると認識をいたしているところでございます。当連合会を代表しまして、医療関係者、行政当局、そして国民の皆様方に多大なる御迷惑と御心配をおかけしておりますことを、改めまして深くお詫びを申し上げます。
私ども、今般の事案を重く受け止めておりまして、加盟団体を通じまして各企業に対して、医療用医薬品の製造管理、品質管理の徹底、ガバナンスの強化、コンプライアンスの遵守を強く求めていくということを御報告申し上げたいと思います。
さて、私ども日薬連の陳述でございますが、まず私から今般の中間年改定に関して意見を述べさせていただきました後、日本製薬工業協会の中山会長より、特許期間中の新薬につきまして、日本ジェネリック製薬協会の澤井会長からジェネリック医薬品の信頼性確保の取組につきまして、最後にまとめといたしまして、私から安定確保医薬品と総括を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、スライド2及びスライド3でございます。
こちらにつきまして御説明はいたしませんが、COVID-19に対する治療薬、ワクチンの開発状況をお示ししております。第3次の緊急事態宣言の期間が延長され、新型コロナウイルス感染症への対応が続く中、製薬企業各社、早急に医療現場にお届けできますよう、あらゆるリソースを最大限に活用いたしておりまして、他の企業や関係機関と連携を図りつつ、有効で安全な治療薬やワクチンの研究開発、臨床試験を鋭意進めておりますことを改めて御理解を賜ればと思っているところでございます。
スライド4でございます。こちらは2015年度から2020年度までの国内医療用薬品の市場をお示しさせていただいています。御覧いただきますとおり、2015年度をピークに国内市場は伸びていないということが御理解いただけると思います。
スライド5でございます。
こちらは近年の社会保障関係費の伸びの抑制につきまして、2016年度から2021年度の予算を見たものになります。御覧のように、2年に1回の薬価改定や再算定、本年の中間年改定によりまして、薬価関連抑制額は6年間、累計でございますが、国費ベースで6288億円、実に抑制額の約8割が薬価の抑制によって賄っているということを御理解いただけると思います。このことは、先ほど申し上げました国内市場が伸びていない要因と認識いたしております。
さらに、本年の中間年改定の実施によりまして、日本は薬価が毎年下がる国なのだという認識の下、私ども製薬各社はグローバルな動向を踏まえつつ、それぞれの立場で我が国のイノベーションの推進、医薬品の安定供給に継続して取り組んでいくためにも、必要なリソースの確保に非常に苦しみながら努めているところでございます。
本日は、これらの私どもの取組を前提といたしまして、我が国の薬価制度に関する意見をもう一度述べさせていただきたいと思っております。
スライド6でございます。
こちらは薬価基準制度下における医薬品の価格形成と薬価改定についてです。
まず、マーケットでは、保険償還価格であります薬価が取引における上限価格として機能するため、実勢価格は薬価よりも下で必然的に形成されてまいります。また、薬価制度上、改定後薬価は「改定前の薬価を超えることはできない」とされておりますので、実勢価格が調整幅の範囲に収まらない限り、必然的に薬価は下落する仕組みとなっているということは御理解いただけると思います。
さらに、改定薬価は、下の図で示しておりますとおり、自由取引下における多数の実勢価格を加重平均して一つに定めてまいりますため、改定後の薬価よりも安い価格で購入していた医療機関等が必ず残念ながら存在してしまう中で、制度的に改定時点でも薬価差が残ってしまっているということになります。
このように、薬価改定につきましては、改定により一斉に薬価が下落すること、実勢価格の加重平均によりまして一つの薬価を定める以上、完全に薬価差を解消されることはない、そのような現行制度の構造を踏まえて検討をしていただくことが肝要であると私どもは考えているところでございます。
7ページ目でございます。
前述の実態を踏まえまして、中間年改定の実施による影響につきましては、医薬品の価格低下が加速化することで新薬開発並びに安定供給に影響が生じ、国民医療の質が低下することが懸念されますので、当業界といたしましては、薬価改定の対象範囲は、薬価と実勢価格の乖離率が全ての既収載品目の平均乖離率よりも著しく大きい品目に限定すべきと主張してきたところでございます。
8ページ目でございます。
しかしながら、結果といたしましては、2021年度の中間年改定に関しましては、全薬価収載品目の実に7割が対象となりますので、影響額も通常改定とほぼ変わらない4300億円と、私どもの主張とは大きく異なる、大変残念な結果となってしまいました。
これは「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」の内容や、「経済財政運営と改革の基本方針2020」における決定事項から、私どもといたしましては大きく逸脱をしていると認識をしております。我が国の薬価制度の予見性を著しく毀損いたしますとともに、国民負担の軽減と医療の質の向上、もちろんイノベーションの推進、こういったことを両立する観点からバランスを著しく欠いている決定であると考えております。
9ページ目でございます。
改めて、中間年改定に対する基本的な考え方を、私どもの考えとして述べさせていただきたいと思います。
薬価と診療報酬との間に密接な関連性があることや、各種改定ルールの見直しによる影響の検証には一定の期間を要することを踏まえれば、薬価改定は2年に1回の頻度で実施することが基本と、私どもは本当にそう思っております。
中間年改定は、2年に1回の通常改定とは異なる位置づけと思っておりまして、薬価と実勢価格の乖離率が著しく大きい品目に関して薬価の補正を行っていただく、そういったものであると認識をいたしております。
イノベーションの推進や医薬品の安定供給への影響も踏まえれば、改定の対象範囲は極めて限定的にしていただきたいと思っております。
中間年改定で実施する改定ルールは、市場実勢価格に基づき行うもの、及び実勢価改定と連動してその影響を補正するものに限定していただきたいと強く思っております。
以上により、今後の中間年改定の対象範囲や改定方法につきましては、2021年度の中間年改定の延長線上ではなく、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うという趣旨に立ち戻っていただきました上で、イノベーションの推進や医薬品の安定供給の影響も十分に考慮した検討を改めて強くお願い申し上げたいと思っております。
それでは、引き続きまして、日本製薬工業協会、日本ジェネリック製薬協会より、それぞれ意見を述べさせていただきます。
○日本製薬工業協会(中山)
日本製薬工業協会の会長の中山でございます。
これから、私のほうで御説明させていただきます。
10ページを御覧いただければと思います。
下の図の左側に示されておりますように、近年、特許期間終了後の後発品への置き換えが急速に進められている一方で、薬価制度の抜本改革以降は、特許期間中の新薬の薬価を引き下げる方向でのルール見直しが繰り返されてまいりました。そのような中で、2021年度の中間年改定は、前述のとおり、抜本改革時点の前提とは大きく異なる内容で実施されることとなりました。
特許期間中に研究開発への投資を回収し、それを次の新薬の開発に再投資することで、革新的な新薬を継続的に創出するとともに、特許期間終了後は後発品に市場を譲るというのが欧米先進国における基本的な考え方であり、我々としましては、それが日本の医薬品市場のあるべき姿だと考えております。
そのような状況を踏まえれば、特許期間中の新薬については、適正な薬価水準が維持されるべきであり、そのためには新薬の価値が適正に反映されること、薬価が維持される仕組み・引き下がらない仕組みが機能することが必要です。
具体的には、特許期間中の新薬を中間年改定の対象としないこと、新薬創出等加算の対象範囲の見直し、市場拡大再算定のルールの見直しなどについて検討すべきと考えております。
11ページを御覧いただきたいと思います。
ここからは、新薬創出等加算についての意見でございます。
2018年度に実施されました薬価制度の抜本改革において、新薬創出等加算の品目要件が大幅に見直されました。それによって、新薬創出等加算の対象品目の数は大幅に減少することとなりました。抜本改革以前は、特許期間中の新薬の8割程度は新薬創出等加算の対象品目であったところ、2020年改定ではその比率は5割程度まで減少し、薬価が維持された品目については特許期間中の新薬のわずか3割程度にとどまっています。
12ページを御覧いただきたいと思います。
これが見直しの方向性を示しておりまして、現行ルールでは、薬価収載時であれば有用性加算の対象となり得るような効能を薬価収載後に追加した品目や、薬価収載時には確認できなかった有用性が市販後のエビデンスによって認められた品目でも、新薬創出等加算の対象とはならない場合がございます。
新薬が有する価値を適切に判断し、適正な薬価水準を維持するためには、薬価収載後に認められた革新性・有用性に基づき、新薬創出等加算の適否を改めて判断する仕組みが必要と考えております。
13ページを御覧いただきたいと思います。
再算定の在り方と効能追加の評価について申し上げます。
再算定は、薬価算定時の前提条件である使用方法等が変化し、薬価算定時の比較薬との類似性が損なわれた場合などに極めて限定的に適用されるものであると理解しております。
しかしながら、類似薬効比較方式で算定された品目においては、効能・効果が追加されたことのみをもって前提条件が著しく変化したと判断し、市場拡大再算定が適用されている実態があると推察されます。つまり、現行の薬価算定ルールにおいて、効能追加は再算定による薬価引下げのリスクを高める要因になっていると言えます。
ただし、例えば下の図1の新薬Aのように、効能bを追加しても市場規模に大きな影響を与えない場合には、再算定によって新薬Aの薬価を引き下げる必要性は乏しいと言えます。また、2は、新薬Bの追加した効能dにおける一日薬価が効能dの類似薬Yの一日薬価と同水準あるいは低い場合です。ここで、類似薬Yから新薬Bに市場が置き換わったとしても、効能dの領域における薬剤費は変わらないか、むしろ削減される方向にあるため、再算定によって新薬Bの薬価を引き下げる必要は乏しいと言えます。
このように、効能追加には様々なパターンがありますので、企業が有用な効能追加の開発を積極的に進めることができるよう、再算定の適用については個々の効能追加の状況を十分に考慮した上で慎重に判断すべきであると考えています。
あわせて、効能追加は、薬剤治療の選択肢を増やし、医療の質の向上に貢献することでありますことから、効能追加等による革新性・有用性を考慮した薬価上の評価を行うべきと考えております。
スライド14でございます。
透明性・納得性の高い薬価算定方法の確立についてでございます。
企業は、製品総原価の開示度向上に向け最大限の努力を行っておりますが、個々の品目の事情によって一定程度の限界があるのも事実でございます。薬価算定の透明性向上に取り組むことについて異論はなく、そのためには臨床的位置づけ等の医療実態を含めて総合的に類似薬の有無を判断できる仕組みの導入が必要であると考えています。これによって、より適切な類似薬を選定することが可能となり、結果として原価計算方式で算定される品目の減少が期待できるため、現在、業界内で事例を集積しつつ検討を進めているところでございます。
あわせて、新薬の価値を適切に薬価に反映し得る透明性の高い薬価算定プロセスの構築が必要であると考えております。
私からは以上でございます。
○日本ジェネリック製薬協会(澤井)
日本ジェネリック製薬協会会長の澤井でございます。
昨今の後発医薬品企業2社の品質問題について、3月24日の中医協総会で診療側、支払い側の双方の委員から、また4月21日の薬価専門部会で支払い側の委員から、後発医薬品に対する国民の信頼を失墜させる事例であるとの厳しい御意見がございました。まず、初めに信頼回復に向けた協会の取組を説明させていただき、その後、薬価制度に対する意見を述べさせていただきます。
スライド15を御覧ください。
今回の2件の品質問題に端を発した不適正事案でございますが、医薬品、とりわけ後発医薬品の信頼を著しく失墜させた当協会会員会社の違法行為は誠に遺憾であり、当協会として大変重く受け止めているところでございます。
医薬品は、患者様の疾病治療等のために使用されるものであり、生命に直接関わるものであること、不適正な製造管理、品質管理である場合は保健衛生上重大な危害の発生につながるということを、医薬品を製造販売または製造する者はいま一度しっかり認識する必要があると考えております。
患者様をはじめ、多くの皆様に多大な御迷惑をおかけしておりますことをこの場をお借りして心よりお詫びを申し上げます。申し訳ございません。
スライド16を御覧ください。
後発医薬品の品質確保への取組でございます。まず、製造承認書と製造実態のそごを確認するため、外部の有識者が監修した点検チェックリストを用いて、既に各社で自主点検を行っております。点検結果は、各社のホームページに公開をしてまいります。
原薬の取り違え防止策に関する事例を調査し、効果的な取組事例を共有しております。
また、今回の2社の事案を分析した上で、後発医薬品各社の製造所の製造管理・品質管理体制及び製造販売業者としての品質保証体制が整備されていることを確認しております。
これらの取組により、今回、発生したような品質問題を二度と発生させないよう、医薬品の製造管理、品質管理を一層徹底し、全ての患者様に安心して使用していただける後発医薬品のみが市場に流通する状況を実現してまいります。
スライド17を御覧ください。
コンプライアンス・ガバナンス体制の強化についてです。
2社の事案の根底にある問題との認識を踏まえ、会員会社に企業文化に対するアンケートを実施し、その結果を公表しており、現在明らかになった課題について各社内で共有・対応しているところでございます。また、トップ自ら製造現場へ訪問することを要請し、経営層向け研修会も実施しております。加えて、各社の内部通報対応状況を確認するとともに、これを補完する形で協会へのGMP相談体制を確立する予定でございます。
スライド18を御覧ください。
安定確保や情報発信等についてでございます。
安定確保への取組として、供給不安の発生時は、その原因や見通し、代替品等について、医療関係者様、医療関係団体様への迅速な情報提供、各社ホームページへの掲載を徹底してまいります。
当協会の取組につきましては、医療関係団体様、保険者様、都道府県の薬務主管課等の全てのステークホルダーに対して説明し、協会ホームページに特設サイトを開設して、その全てを掲載することで情報発信の充実を図ってまいります。
スライド19を御覧ください。
最後に、後発医薬品の薬価の在り方についてでございます。
後発医薬品に関わる薬価制度については、厳格な製造管理及び品質管理の下に製造された後発医薬品のみが継続して上市でき、安定確保が持続可能となる薬価制度が必要であると考えております。
以上でございます。
○日本製薬団体連合会(手代木)
改めまして、日本製薬団体連合会、手代木でございます。あと2ページだけお話しさせていただきたいと思います。
スライド20でございます。
安全確保医薬品に対する薬価上の措置に関する意見でございます。
今般、医療上必要不可欠であって、汎用され、安定確保が求められる医薬品として安定確保医薬品が選定されておりまして、この安定確保医薬品につきましては、特許期間中の新薬、長期収載品、そして後発品等、医薬品の全てのライフステージにおいて存在していると認識しております。
正直申し上げて、今般のパンデミックを受けまして、いろいろな物事に関しまして世界的に原料、あるいは部材の不足、言い過ぎかもしれませんが、トリアージのようなことも起こっておりまして、各社ともサプライチェーンの抜本的な見直しについて積極的に行っているところでございます。これらの品目につきまして、従来以上の安定供給体制の整備が求められていると私どもは考えておりますので、そのために薬価を維持あるいは下支えするための措置の充実が必要であると考えているところでございます。ぜひ、中医協のこの場で検討いただきたいと考えているところでございます。
それでは、21ページ目に総括をまとめさせていただきます。
私どもが述べさせていただきました薬価制度改革に関する意見として、以下の4点を申し述べさせていただきました。
まず、中間年改定の対象範囲や改定方法については、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うという趣旨に立ち戻っていただきまして、イノベーションの推進や医薬品の安定供給への影響も十分に考慮した検討が必要であること。
特許期間中の新薬につきましては、適正な薬価水準が維持されるべきであり、そのためには新薬の価値が適切に反映されること、また、薬価が維持される仕組み・引き下がらない仕組みが機能することが必要であること、これについてお話をさせていただきました。
後発医薬品に関わる薬価制度につきましては、品質管理、製造管理が徹底された信頼性の高い後発医薬品が継続して上市でき、安定確保が持続可能となるような薬価制度とすべきと我々は考えているところでございます。
また、医療上不可欠な医薬品の安定供給を継続させるための薬価上の対応が必要であると思っております。
以上、私どもの意見につきましてぜひ御検討賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
日薬連からは以上でございます。
○中村部会長
続いて、PhRMAのフェリシアーノ委員長、お願いします。
○米国研究製薬工業協会(ジェームス・フェリシアーノ)
PhRMA委員長のジェームス・フェリシアーノです。
本日は意見を述べる機会をいただき、誠にありがとうございます。
早速ですが、薬-2を御覧ください。
今回のパンデミックにより、有効で安全な医薬品やワクチンがあることの重要性が多くの人々に再確認されたと思います。どんなときでも質の高い医療を提供していくためには、最先端の新薬が外国に遅れることなく日本の保険診療で使える状況を常につくっておくことが重要です。
そのためには、国内企業だけでなく、海外企業も競って日本でビジネスを行うような活力ある市場をつくることが必要です。つまり、日本市場そのものが世界の企業の投資を引きつける国際競争力を有していることが必要です。
市場としての国際競争力を決定づける要素には様々なものがありますが、中でも透明で予見性のある薬価制度は最も重要な要素です。
スライド3を御覧ください。
ところが、近年の薬価制度改革は、企業による積極的な研究開発投資を困難にしています。過去10年間の医薬品産業による研究開発投資の推移を見てみると、前半5年間では年平均4.0%のプラス成長でしたが、後半5年間では年平均2.1%の減少となっています。2016年以降、新薬の薬価を引き下げるようなルール変更が繰り返し行われてきたことが大きく影響していると考えられます。
スライド4を御覧ください。
私たちが薬価制度に期待する基本原則は3つあります。1つ目は、収載時に新薬の価値が薬価に適切に反映されること。2つ目は、収載後に追加された価値が薬価に適切に反映されること。3つ目は、ほかのG7諸国と同様に、特許期間中の薬価が原則として維持されることです。以降のスライドでは、この3つの原則に沿って、PhRMAから見た課題と、課題解決に向けた意見を述べさせていただきます。
スライド5を御覧ください。
まず、収載時の有用性加算についてです。新薬の薬価算定では、既存の治療に対して追加的な有用性がある場合には加算が適用されるルールがあります。しかし、現状では多くの新薬は加算を認められていないか、低い加算率しか適用されていません。この背景には有用性を示すエビデンスが存在していても、PMDAの審査報告書で臨床的意義について評価されていなければ加算は認められないという運用の問題があると考えています。
そこで、意見ですが、加算の根拠となるエビデンスは、科学的評価に耐え得るものであれば、審査報告書に含まれなくても受け入れられることをルール上明確化していただきたいと思います。
スライド6を御覧ください。
原価計算方式において、原価の開示度が低いことについて問題視されています。開示度を上げるために様々な対応が行われてきましたが、個々の品目の事情によって一定の限界があると考えます。そもそも新薬の薬価は価値に基づいて算定されるべきです。コストの積み上げによる価格設定は知的財産である新薬にはなじみません。
そこで、意見ですが、類似薬を選ぶ基準を見直しして、よりフレキシブルに類似薬を選択できるようにすることによって、結果として原価計算方式の使用を減少させる方向で検討するべきだと考えます。
スライド7を御覧ください。
新薬創出等加算についてです。新薬創出等加算の該当性は、収載時の薬価評価に重点が置かれており、収載後に追加された価値を考慮する仕組みが十分ではありません。革新性、有用性の高い効能が収載後に追加された場合には、その後は薬価が維持されるような仕組みに見直していただきたいと思います。
スライド8を御覧ください。
再算定ルールの強化がここ数年の間に繰り返し行われてきました。現行ルールでは、効能追加が再算定を引き起こすリスクとなるため、複数の効能を取得できる新薬の場合、再算定の対象になりやすく、効能追加への投資判断が難しくなっています。また、再算定による薬価の引下げ率は市場拡大の程度で決まるルールとなっており、その要因となった効能追加の価値は考慮されていません。さらに、再算定対象品と競合している全ての類似品は再算定をともに受けるルールとなっていますが、これは不合理であり、以前からPhRMAは見直しを求めてきました。
そこで、意見ですが、まず、再算定による引下げ率の緩和です。現行ルールでは、オーファン効能を追加した場合などに引下げ率を緩和する仕組みがありますが、これに加えて、革新性・有用性の高い効能が追加された場合も引下げ率を緩和するべきと考えます。
次に、類似品の再算定です。市場で競争している類似品であっても、連座的に再算定を適用することが不合理と考えられる場合がいろいろとありますので、そのような場合には対象から除外できるように要件を見直すべきです。
また、特例拡大再算定について、効能追加をしていない品目に対する適用は、市場で高く評価された品目に対する一種のペナルティーであることから、除外するべきと考えています。
スライド9を御覧ください。
新薬創出等加算の見直しや中間年改定により、特許期間中の多くの新薬が毎年改定の影響を受けることとなりました。毎年改定には様々な懸念があることから、PhRMAは強く反対してきました。前回の意見陳述でも申し上げましたが、新薬を対象に毎年改定を行っているのはG7の中で日本だけであり、研究開発投資の回収において他国に比べ不利な市場となっています。
次回中間年改定の議論では、特許期間中の新薬が対象外となるよう、対象範囲の再考を強く求めたいと思っています。
以上です。御検討のほど、よろしくお願いします。御清聴、ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございました。
では、EFPIAのプリンツ会長、お願いいたします。
○欧州製薬団体連合会(ハイケ・プリンツ)
皆さん、こんにちは。私はEFPIA JAPANの会長でありますハイケ・プリンツです。本日はこのような機会をありがとうございます。
私どもの団体EFPIA JAPANは、革新的な新薬を創出することに邁進しております欧州の研究開発型の製薬会社の団体でございます。私どもは、日夜、日本国民の健康に貢献すべく献身いたしております。
スライドの2枚目。
本日、私のほうからは、イノベーションを通じて日本の患者様に必要な医療をお届けすべく重要な点ということで、3点に絞ってお話ししたいと思います。
スライド3。
私どもは、あくまでもイノベーションを通じて日本における医療の質を向上させることに貢献したいという思いは同じであります。また、皆保険制度の持続性を守り、イノベーションを促進するという、両方の柱を達成していき、それによって国民負担の軽減、また医療の質の向上を図りたいという考え方に大いに賛同しております。
しかし、イノベーションが反映する、そうした環境をつくっていくためには、何と言っても医薬品の価値が薬価に反映されていかなければいけません。そして、この薬価制度の予見性というものを再び回復していく、そして特許保護期間における医薬品の薬価の安定ということが不可欠であります。
新薬創出等加算の制度は、この特許期間中での薬価の予見性というものを増す上で非常に重要な役割を果たしてきたわけですけれども、最近、その範囲が狭められてきたというのが我々の考え方であります。
私どもはイノベーションを評価するということは、取りも直さず医薬品の価値を適切に評価することによって可能になると考えておりますけれども、現行のこの制度の要件では十分に評価されていないと考えております。このことは、決して全ての医薬品において類似薬よりも高い値がつけばいいなどということを申し上げているのではございません。
私どもが主張しておりますのは、やはり価値の評価ということをいま一度見直していただきたいということであります。例えば、現在、有用性加算の対象から外れてしまうような品目でも新薬創出等加算の対象とできるような、そうした要件の拡充であります。
スライド4。
私ども新薬開発のために非常に限られた研究開発リソースを有効に、そして効率よく使っております。しかし、そうした研究開発の費用がどこから来るかと言えば、それはあまたある開発品目の中からついに承認を得ることができた、そうした数限られた新薬がその特許期間中に稼いでくる売上げであります。
過去におきましては、我々製薬業界のほうが少なくとも特許期間中における新薬の薬価を維持していただきたいということを訴えた、そのことが2010年の新薬創出等加算制度の導入に至ったわけです。
このことによりまして、その当時のいわばある一定のレベルでの収入は長期収載品に依存するという市場環境から、むしろ欧米型の市場環境、すなわち新薬の開発コストは特許期間中において回収してしまい、特許が切れた段階においては質の高い、より安価な後発品に市場を譲るという市場ヘ転換してきたわけです。
しかしながら、2018年の抜本改革によりまして新薬創出等加算制度の見直しがなされ、その結果、その範囲が大幅に狭められていき、2021年4月には中間年改定が実施され、それによりまして特許期間中の新薬の6割が価格改定に至ったわけであります。
そして、新薬創出等加算が適用されていない、それでも特許期間中の新薬についても、この改定によりまして2010年以前の時期よりも深い薬価の切り込みが行われたわけです。
日本は、以前はアメリカに次ぐ世界第2位の製薬市場でありました。しかしながら、今、日本に代わって中国が第2位となってきたわけで、中国におきましては積極的な薬事改革が行われていき、イノベーションが促進されていき、高い成長率を達成しています。これは臨床試験の数を見ても明らかで、既に臨床試験の本数が日本から他国へとシフトしております。
日本の患者さんに新薬を届けることができるようにするためには、イノベーションへの投資を引きつけることができるような市場環境がどうしても必要になるわけで、そのためには特許期間中の新薬の薬価維持が何と言っても重要になります。
スライド5。
日本は、薬事承認から薬価の収載まで60日から90日という期間で達成されるわけで、それによりまして新薬は迅速に患者さんのところに届けられます。
しかしながら、この薬価の予見性というものは、近年の度重なる薬価制度の変更によりまして著しく損なわれてまいりました。
医薬品の開発には非常に長い時間がかかり、そして膨大な、継続的な投資が必要です。ですので、ドラッグラグなくして日本の患者さんに新薬を届けるためには非常に早期の段階からグローバルな開発戦略の中に日本を含んでいかなければなりません。
また、日本におきまして新薬を開発しようということになりますと、他国とは違うユニークな規制とか要件がありますし、臨床試験自身も日本では非常に高くつきます。
そうした中において、私どもは非常に透明性が高く、予見性の高い薬価制度というものが必要不可欠だと考えているわけです。それをもって初めて日本の市場が国際的な競争力を維持して、そして世界中の企業からの投資を引きつけることでしょう。
以上です。ありがとうございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
次に、日本医薬品卸売業連合会よりお願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会(渡辺)
日本医薬品卸売業連合会の会長の渡辺でございます。
本日は、当連合会が意見を述べる機会を賜り、中医協及び厚生労働省の皆様に感謝いたします。
本題に入る前に、医薬品卸の談合をめぐる問題について一言申し上げます。
公正取引委員会により告発され、東京地検による起訴が行われた医薬品卸の談合をめぐる問題については、当連合会として大変重く、厳粛に受け止めており、関係者の不信を招き、国民に疑念を生じさせることとなり、誠に申し訳なく思っております。
当連合会といたしましては、コンプライアンスの強化に努めるとともに、会員卸組合(協会)及び会員構成員各社に対してもさらなるコンプライアンスの徹底を求めております。
新型コロナワクチンの配送や医薬品を安全かつ安定的に供給するなどの取組を通じて、社会的信頼の回復に努めてまいりたいと思っております。
医薬品の安定供給の維持・強化について、順次説明させていただきます。
2ページを御覧ください。
医薬品卸の役割・機能と急激な環境変化について御説明させていただきます。
中ほどの図にありますように、医薬品卸は主に3本の柱として、医薬品の安定確保と安定供給、国家安全保障上の有事の際の供給、社会維持のための医薬品の需給調整という機能を発揮しながら、医薬品を安定的に供給する役割を担っております。
具体的には、まず左側の「医薬品の安全確保と安定供給」でございます。医薬品卸は全国約24万軒の医療機関、保険薬局に対して、約1万6000品目の医薬品を類型ごとの品質管理を徹底しつつ安定的に供給を行っております。各医療機関などとの間で、早期妥結・単品単価契約を念頭に置いた価格交渉を行っております。
次に、真ん中の「国家安全保障上の有事の際の供給」であります。毎年頻繁に起こる豪雨・台風・地震などの自然災害時において、医療機関等の状況に応じて適時適切に医薬品を供給するなど、常に高い使命感を持って対応しております。さらに、当連合会、医薬品卸は、厚生労働省からの協力要請を受け、希望する国民への接種事業に対して新型コロナワクチンの配送業務などに全面的に協力しております。
次に、右側の「社会維持のための医薬品の需給調整」であります。医薬品卸は、社会、地域維持のため、医療機関などの様々な状況と需要を把握し対応することで、医薬品の需給調整としての機能も果たしております。
3ページを御覧ください。
先ほど申し上げました医薬品卸が3本の柱とする機能を脅かすものとして、薬価改定、新型コロナウイルス感染症、一部後発医薬品の製造問題などの3つの急激な環境変化が医薬品卸に重くのしかかってきております。医薬品卸は、このような急激な環境変化の中にあっても、医療が途切れることなく継続できるよう、その役割・機能を維持するよう努めております。これら3つの急激な環境変化について、具体的に御説明させていただきます。
4ページを御覧ください。
1点目は、薬価改定についてです。中央の図を御覧ください。医薬品卸は公正競争を求める市場原理における民間企業としての側面と、公的医療制度を支える担い手としての側面の両面を併せ持っています。例えば、医薬品卸は、不採算品目についても供給を行うなど、経済合理性を犠牲にしてでも安定供給を優先しています。現行薬価制度において、累次の薬価改定により薬価は下がり続けており、この累次の薬価改定が医薬品流通体制にダメージを与えております。
当連合会は、4月下旬に実施した医療用医薬品を扱う構成会員47社に対して緊急アンケートを行いましたが、回答のあった39社全ての卸が累次の薬価改定に伴い業務やコスト負担は増加しているとして、そのうちおよそ8割の卸が累次の薬価改定の負担増加が医薬品流通にダメージを与えているとしております。
5ページを御覧ください。
2点目としましては、新型コロナウイルス感染症への対応であります。現在、医薬品卸は、通常の医薬品流通を行いつつ、下の枠にありますように、新型コロナワクチンを配送するため、地方自治体との調整や配送体制の構築など、新型コロナワクチンを的確に配送するよう様々な対応を行っております。
緊急アンケートでは、新型コロナワクチンの配送を担う回答もあった36社全ての卸が、新型コロナワクチンの配送に関する業務などは負担増となっていると。そのうち8割以上の卸が新型コロナワクチンの配送に関する業務などは、医薬品卸の通常の医薬品流通を圧迫しかねない、または圧迫しているとしております。
6ページを御覧ください。
3点目といたしまして、一部後発医薬品の製造問題により新たな業務・コスト負担が発生しております。具体的に増加する業務負担などは、下の枠にありますように、需給調整品の情報収集、医療機関などとの調整、代替品の確保などでございます。
中ほどの図を御覧ください。医薬品の流通に関わるコストへの影響を見ると、現行制度では、累次の薬価改定により医薬品の価値は下り続けることになります。一方で、医薬品の流通に関わるコストを大きく変えることは容易ではございません。
ここから少しページを行き来しますが、御容赦ください。
8ページを御覧ください。
医薬品卸のコスト構造について御説明させていただきます。医薬品流通に伴う様々なコストのうち、医薬品の在庫や医薬品の配送は、システムの導入による合理化や自動化で効率化が可能でございます。一方、品質管理や様々な調整といったコストは、個別対応などで変動も大きく、効率化がしにくい部分でございます。この部分が年々増加していることもあり、医薬品卸のコスト構造はさらに悪化するものと考えております。
6ページにお戻りください。
このように、医薬品流通に関わるコストを大きく変えることは容易ではないため、このままでは医薬品流通そのものが不採算となり、安定供給が難しくなっていくことは明らかでございます。
緊急アンケートの結果を見ても、回答のあった39社中38社と、ほとんどの卸が一部後発品の製造問題や医薬品の原料調達などの問題により、品薄が発生することに伴う需給調整などの業務が発生し、負担増となっているとし、また、負担増となっていると回答した38社全ての卸が、負担の増加により通常の医薬品流通を圧迫している、または圧迫しかねないとしております。
まずは、グラフを御覧ください。約500名のMSを有する医薬品卸の実例でございます。左側です。2020年4月から12月までのGMP逸脱に起因する医薬品卸現場の業務負担は、約1万1000時間を超えていることが分かります。右側です。2016年から2020年、医薬品年度別回収理由の状況を見ると、2020年度はGMP逸脱に起因する回収は相当な数となり、急激に増加しております。現在、GMP逸脱による相次ぐ後発品などの回収や原料供給不足による欠品などにより医薬品卸の業務負担が増大し、多額の追加コストが発生しています。
緊急アンケートの結果を見ても、回答があった39社中38社と、ほとんどの卸が一部後発品の製造問題などに伴う需給調整などの業務に対して追加コストが発生し、そのうち38社中26社、およそ7割の卸が多額の追加コストが発生しているとしています。
9ページを御覧ください。
薬価改定と新型コロナウイルス感染症の医薬品卸へのインパクトについて御説明させていただきます。
ここまで御説明したように、累次の薬価改定や新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う受診抑制、手術件数の減少により医薬品卸の営業利益は大幅に減少し、医薬品卸は極めて厳しい経営環境に置かれています。
株式上場大手卸6社の営業利益の推移を示したグラフを御覧ください。今年度はまだ通期の決算の公表がそろっていませんので、各年度の第3四半期で比較をしております。令和3年3月期、第3四半期の営業利益率は0.38%と大幅な落ち込みを示しております。
下の(参考)にあります一般運送業者5社の営業利益5.9%と比べまして、医薬品卸の経営は極めて厳しい状況となっております。
10ページを御覧ください。
医薬品の安定供給は危機的状況にあります。ここまで御説明してきましたように、医薬品卸は、このような業務量・経営状況ともにぎりぎりの状態であっても、国民の健やかな暮らしを守ることを第一とし、何とか医薬品を供給している状況であります。
緊急アンケートにおいて、薬価制度の下で医薬品卸が果たしている役割や機能についての質問について、回答があった39社中36社が、ほとんどの卸が適正に評価されていると思っていない、または、医薬品を安全かつ安定的に流通させるためのコストについては、その負担のルールが明確化されていると思っていないとしております。
現行の薬価制度の下において、薬価が下がっても医薬品の安定供給は確保されることが当然のことのようになっておりますが、足元ではその前提が崩れかけています。
最後に、医薬品の安定供給の維持・強化について、卸売業連合会の意見を申し上げさせていただきます。
次期薬価改定については、医薬品卸が果たしている役割や機能について適切な評価を行い、医薬品を安全かつ安定的に流通させるためのコストについて、どのようなルールで負担すべきなのかを検討し、今後の医薬品流通、ひいては医薬品の安定供給に支障が生じないようにしていただきたい。何とぞよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
次に、再生医療イノベーションフォーラム及び日本バイオテク協議会よりお願いいたします。
まずは、再生医療イノベーションフォーラムの畠会長、お願いいたします。
○再生医療イノベーションフォーラム(畠)
再生医療イノベーションフォーラム代表理事、会長をしております畠でございます。一昨年に引き続きまして、このような機会をいただきましたことを深く御礼申し上げます。再生医療等製品の価格算定に対する意見を述べさせていただきたいと思います。
資料の2ページ目を御覧ください。
初めに、再生医療等製品の特徴について、改めて御説明させていただきます。
再生医療等製品は、今までの治療が不可能であった疾患を治療することが可能になるなど、治療の概念を大きく変える可能性があるものでございます。また、単回投与あるいは1回の移植でその効果が長期に持続する可能性があり、患者様にもたらす利益は非常に大きいものと考えております。
一方、そのモダリティは極めて多種多様でございます。製品ごとに製造工程や品質管理は大きく異なります。また、現状では、対象となる患者さんの数はまだまだ限定的な製品が多く、医療費に及ぼす影響も限定的でございます。
次に、コストの特徴でございますが、ロットを構成しない自家製品や1ロットが少ないケースが多く、技術的にスケールメリットを出しにくいのが現状でございます。
また、生きた細胞を原料として製品を製造、品質を維持するための製造設備、多種多様な検査、特殊な保管や輸送のための費用が必要となってございます。
さらに、高度なバイオ技術を持つ人材の育成・確保が必要となります。また、細胞培養などには多くの知財が存在し、そのライセンス料が必要となる場合がございます。
さらに、製造施設・製造設備の転用も極めて困難であるというのが現状でございます。
資料の3ページ目を御覧ください。
まずは、原価計算方式における要望を挙げさせていただきました。再生医療等製品では、医薬品と同等のレギュレーションが求められております。さらに、医薬品以上に品質の均一性に特殊な配慮が必要でございます。そのため、コスト高となる工程内検査が課せられておりますが、その費用が認められていない事例がございます。そういった必要な検査費用についてお認めいただければと考えております。
また、再生医療等製品は、先ほど申し上げましたように、モダリティが極めて多様であり、製品ごとに特徴的な費用も異なります。特に建屋を含めた製造設備、クリーンな環境を維持するための工事費などはその特徴的な費用の一つでございます。このような製品専用の費用が認められていない事例もございまして、この点に関してもお考えいただければと思っております。
さらに、再生医療等製品は、製品ごとに医薬品の例で算定するか、医療機器の例で算定するかについて、中医協で協議されることとなっております。いずれの例をとりましても、必要なコスト、製品の価値について必ずしも十分に反映しているとは言えないかと存じます。特に医療機器の例で算定された場合、医療機器の係数は極めて低く、再生医療等製品の実態を反映できていないと考えてございます。
資料の4ページ目を御覧ください。
次に、再生医療等製品のイノベーション評価に関する要望でございます。再生医療等製品については、その特性上、保険収載時においては治験症例数が限定されることなどにより評価が限定される場合や、真の価値を適切に評価することが困難な場合が多いと考えております。現行ルールでは、収載後に再生医療等製品が有する真の価値、イノベーションを適切に評価できる仕組みがあるとは言い難いのが現状でございます。保険収載時に限定的な評価しか得られなかった場合、収載後に追加エビデンスが得られた段階で再度評価をいただけるような新たな仕組みを導入していただければと考えております。
資料の5ページ目を御覧ください。
最後に、新たな算定方式に関する提案でございます。現行の原価計算方式では、多種多様な再生医療等製品が持っている多面的な価値を十分に反映できない制度上の限界があると考えております。適切な価値の評価に向けて、新たな算定方式に関する議論を開始すべき時期に来ているのではないかと思っております。
今回、一例でございますが、我々が提案する新たな算定方式でございますが、企業自らが製品固有の価値を様々な項目から金額を算定して積み上げる方式をイメージしております。本質的な価値を柔軟かつ適切に価格に反映できる仕組みであると考えております。この考え方の算定額では、現行の原価計算方式によります算定額に比べて高い場合も、また低い場合もあり得るとは思います。こういったことがまさにイノベーションを適切に反映できるものであると考えております。
まずは、中医協において、新たな算定方式を検討するワーキンググループを設置いただき、ぜひとも議論を開始いただければと考えてございます。
以上でございます。御清聴、ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、日本バイオテク協議会の山田会長、塩村理事からお願いいたします。
○日本バイオテク協議会(山田)
日本バイオテク協議会の会長の山田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日は塩村理事も出席させていただいております。
本日は、当専門部会に出席させていただきまして、誠にありがたく、改めてお礼申し上げます。
6ページに記載のとおりでございます。バイオテク協議会の記載がございますが、本日は時間も押してございますので、塩村理事よりプレゼンをさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○日本バイオテク協議会(塩村)
日本バイアテク協議会の塩村でございます。
2ページを御覧ください。
難病・希少疾病用薬開発の課題として、会員企業の開発する医薬品は、革新性が高い難病・希少疾病用薬が多く、現行新薬算定ルールではイノベーションの十分な評価がなされていない事例があります。
医薬品条件付早期承認制度等の積極的活用は、新薬アクセスにとって非常に重要です。しかし、検証的臨床試験結果のない新薬は、収載時にその有用性が薬価算定において評価されず、制度活用を躊躇いたします。
既存薬の全く異なる用途での開発、すなわちドラッグリポジショニング(DR)は革新的医薬品を生むことがあります。新型コロナの治療薬においても、ナファモスタット、イベルメクチン等、具体的な例があります。DRはアカデミア、創薬ベンチャーで多用されます。しかし、DR新薬は極めて低薬価となる減額算定ルールがあります。現行の係数に基づく原価計算方式においては、必要な開発経費等、最低限の経費を確保できないため、製薬企業は開発着手し難い状況にあります。
世界初の革新的医薬品を日本から上市すると、参考となる外国での価格形成が存在しないので不利です。創薬ベンチャーの多くが海外展開を視野に入れており、海外先行開発等、国益に反した企業行動を誘導しかねません。
3ページを御覧ください。
創薬ベンチャーは、特に難病・希少疾病用薬を開発することが多い。現在、333疾病が指定難病とされています。希少疾病は5万人以下と定義されていますが、指定難病の過半数が患者数1,000人以下のウルトラオーファン、ほぼ半数が患者数300人以下の疾病です。
このように、難病の多くは患者数が極めて限定的であり、高薬価でなければ採算が取れません。高薬価であっても、難病・希少疾病用薬は市場規模が非常に小さく、医療費に与える影響は小さいと考えます。
一定水準以上の薬価が予見できなければ、開発意欲は湧きません。また、収載後のエビデンスに応じた加算が予見できなければ、条件付早期承認制度等の活用には結びつきません。日本での薬価が諸外国より低ければ、日本創出の医薬品であっても海外先行開発を誘引します。これらの解決が難病等の治療方法の確立にも通じると考えております。
4ページ、最後のスライドを御覧ください。
具体的方策として3点提案いたします。
条件付早期承認を受けた医薬品の特例の新設。「条件・期限付承認を受けた再生医療等製品の特例」同様に、条件付早期承認を受けた医薬品については、収載後に承認時点では明らかでなかった医療上の有用性が客観的に示された場合には、現行の有用性加算の加算要件・加算率に基づき加算を評価いただきたい。
希少疾病用医薬品指定を受けた低分子DR新薬の場合は、DR新薬の減額算定ルールを適用せず、以下の新たな算定ルールを適用願いたい。
DR新薬の効能効果に類似薬が存在する場合、そのまま類似薬効比較方式を適用する。類似薬が存在しない場合、原価計算方式を適用するが、一般管理販売費に係数上限を設けない。
ウルトラオーファン加算の新設。希少疾病の中でも、特に患者数300人以下の疾病に対する医薬品開発促進のためウルトラオーファン加算を新設願いたい。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
では、一通りの御説明をいただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。
なお、質問は日本語でお願いしたいと思います。
いかがでしょうか。
松本委員、お願いします。
○松本委員
松本です。
関係業界の皆様方の御意見を拝聴いたしました。ありがとうございました。
まず、製薬団体からいただいた御意見についてですが、今後の中間年改定について、2021年度の延長線上ということではなくて、改めて検討が必要という御趣旨は診療側としても理解するところであります。
そのためには、製薬企業や卸業者による中間年改定の影響について、新薬開発や安定供給への影響を挙げていただきましたけれども、具体的に数字として示せるものがありましたらぜひともお示しいただきたいと思います。
同様に、来年の薬価改定の議論におきましても、前回の薬価改定の影響についての現状が必要と思いますので、併せて具体的な数字をお示しいただきたいと思います。
また、特許期間中の新薬に関して、新薬創出等加算の対象範囲や再算定ルールの見直しについて御意見をいただきました。これらのルールは、新薬の中でも価値のあるものについては薬価維持を行うとともに、販売額が予想を大きく上回った場合、保険体制への影響を考慮して適正化を行うものであり、中医協での審議を踏まえて現状のルールとなっていると理解しています。
本日の御意見ですけれども、新薬の価値の違いや保険体制への影響につきましてどのようなお考えがあるのか、御意見を聞かせていただきたいと思います。
さて、後発医薬品につきましては、安定供給も大切でありますが、品質が適正に管理されたものが医療現場に供給されることが大変重要であることは改めて言うまでもないことであります。今回の不適正事案は、業界全体としても猛省を促したいと思います。
一方で、一つの先発品に対する後発品の品目数があまりにも多過ぎることが問題であることは、診療側としてもこれまでも指摘してまいりましたが、品目数が多いことによる過当競争が今回の問題につながっていることはないのでしょうか。後発医薬品業界の今後の在り方について、御意見を聞かせていただきたいと思います。
次に、卸売業連合会についてですが、昨年末の中間年改定に関する中医協審議の際に直接御意見をいただけなかったことは残念でありました。今後は、信頼の回復に努めていただくようにお願いしたいと思います。
いただきました御意見についてですが、一連の不適正事案で規格に適合しない後発医薬品の回収や、今般の新型コロナワクチンの配送などで御尽力いただいておりますことは、医療現場としても非常に助かっております。
一方で、資料薬-4の8コマで御説明のあったコスト増加や、9コマ目の営業利益の低下については、その要因を具体的、客観的に理解できるものをお示しいただきたいと思います。
また、10コマ目に、医薬品を安全かつ安定的に流通させるためのコストについて、医薬品の安定供給に支障が生じないようにという記載があります。これは、薬価の調整幅、R幅を引き上げるべきという御主張なのでしょうか。補足説明をお願いいたします。
最後に、再生医療等製品やウルトラオーファン医薬品につきましては、個別の製品ごとにその状況が大きく異なると思われますので、個別に丁寧な議論が必要と考えております。
また、製造設備や希少疾病の開発費を全て保険財源である薬価に反映することは大変難しいのではないかとも考えます。補助金や助成金など、他の支援策と併せて検討することが必要と考えております。
以上、幾つかの質問と意見を述べさせていただきましたので、質問に対しての回答をお願いいたします。
○中村部会長
様々な御意見、御質問等をいただきましたので、まずは日本製薬団体連合会の方からいかがでしょうか。
○日本製薬団体連合会(手代木)
ありがとうございます。日薬連の手代木でございます。
1番目の質問については私、2番目の質問につきましては中山会長に、適宜PhRMA、EFPIAの方から追加、3番目につきましては澤井会長から回答をさせていただきます。
まず1番目の御質問でございますが、中間年改定あるいは通常の薬価改定の中におきます新薬開発や安定供給への影響を具体的な数字でという御質問、御意見でございます。
私どもも、今回の中間年改定につきましては、本当に船出してから1か月程度ということで、まだまだ正確な影響等を分析できる状況ではございませんが、御意見を承りましたので、事務局、厚生労働省様ともコンタクトさせていただきながら、なるべく具体的な数値を御提示させていただけるように日薬連内での検討を開始したいと思っております。できる限り御要望にお応え申し上げたいと思っております。
以上です。
○日本製薬工業協会(中山)
大きく御質問の中身をとらまえますと、イノベーションの評価と国民皆保険の持続性の問題かと思います。
私どももこの2つは重要であって、そのバランスを取ることが重要だと思っていますけれども、これまで御説明いたしましたように、社会保障費の抑制が薬価等の抑制によって賄われた結果、日本の医薬品市場は2015年以降、現実に伸びていない状況下にございます。今般の中間年改定は特に特許期間中の新薬も対象とされたということで、新薬創出等加算実施の前提でありました後発医薬品使用促進の実施等による薬剤費の抑制によって国民負担の軽減が十分実施されてきたと考えておりますが、一方で、新薬創出等加算の対象や薬価が維持される品目が減少し、中間年改定が特許期間中の新薬も対象とされたことから、イノベーションの推進は後退してきたと認識しておりまして、新薬創出等加算の見直しや、効能追加時の評価については、国民医療の質の向上に貢献するイノベーションを推進するために最低限必要な施策と考えております。
○日本製薬団体連合会(手代木)
PhRMA、EFPIAから、新薬について追加発言があるかと思います。
○米国研究製薬工業協会(ジェームス・フェリシアーノ)
ただいまの中山様のお言葉で私どもの懸念は非常によく示されていると思いますし、また、先ほどのプレゼンの中にもございましたように、過去数年間の市場におけますコストの伸びを見ていただきますと、しっかりと抑制されている。これは確かなところでございます。
私どものPhRMAのメンバーに対しまして、最近、調査を行いました。その結果といたしまして出てきたところを申し上げたいと思います。半分以上の加盟企業が、今般のこのような状況の中、R&Dのプロジェクトを遅らせざるを得ない状況が出てきているとなっております。
その理由といたしましては、やはり透明性が欠けている、予見ができない、これだけルールが多く、変わり、そして薬価制度がこのように予見できないところから、結局、R&Dのプロジェクトについては遅らせざるを得ないという回答が半分以上の加盟企業から出てきております。
もちろん、これはPhRMAの加盟企業でございますので、サンプルサイズ、数は非常に少ないとはいえ、私どもの実態を表しているものかと思います。
○欧州製薬団体連合会(ハイケ・プリンツ)
EFPEAのほうからも一言申し上げさせていただきます。
中間年改定は、特に私どもの本社側、本国において非常な警戒感を抱かせているわけであります。特にそれが幅広くかけられたということ、また、特許期間中の特許品に対しましてもそれが行われたという点を警戒しております。
これこそがまさに他の先進国、G7諸国とかは全く違っている点でございまして、このような特許期間中における毎年改定というのはほかの国では一切見受けられません。
その結果、私どもは本社側と非常に厳しい交渉をしなければならないわけで、他国ではなくて、いかに日本に開発を呼び戻すかということについて厳しい交渉を迫られております。
○日本ジェネリック製薬協会(澤井)
製薬協会の澤井でございます。御質問をいただきましてありがとうございます。
数が多いという問題でございますけれども、以前に比べまして初収載時に10社超で収載する品目は極めて少なくなっているというのが現状でございます。具体的には2019年度6月、12月においても10社以上収載はゼロでございます。2020年、この年は大型製品がありまして、6月、12月合わせて6成分ございましたが、今後ますます減少傾向に転じる傾向にあるという認識でございます。
この数が多いという問題が品質の問題に関係があるかという御指摘でございますけれども、我々としては、今回の問題は根底にコンプライアンスの欠如、ガバナンスの機能不全があったと考えております。決して数の問題ではないと理解をしているところでございます。
以上でございます。
○日本製薬団体連合会(手代木)
日薬連からは以上でございます。
○中村部会長
では、卸連の渡辺会長のほうからお願いできますでしょうか。
○日本医薬品卸売業連合会(渡辺)
先ほど松本委員から御質問がありました件について、連合会の折本理事のほうから御回答させていただきます。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
担当理事をいたしております折本と申します。御質問ありがとうございます。
御指摘のとおり、前回、提言を卸連としてできませんでしたこと、大変申し訳なく思っております。今回、御提言についての御質問にお答えさせていただきます。
8ページの医薬品卸のコストが増加していることについてということでございますが、取りも直さず本日も御審議される新薬品13剤を鑑みましても、ほとんどが高薬価品、かつほとんどと言っていいほど保冷品でございます。超低温での保管管理とか、今回のコロナワクチンにおいても振動制限といったことで大変厳格な取扱いがそれぞれ高薬価品において指令をされている。かつ、有効期限も1年とか、遺伝子組換えということもあろうかと思いますが、そのような管理に今なっていて、医薬品卸がそれに伴う投資、また我々を規定しておりますPIC/SのGDPに準じるといった形で、いわゆる物流センター、配送に関しても保冷については細心の注意、あるいは投資をしているところでございます。
そういったものが全般的に卸のコストの増加が吸収できる状況の営業利益なのかどうかということについて、先ほど御提言させていただいたところでございます。
また、2番目の9ページの営業利益の低下についてでございますが、今回、まだ最終決算は各社出ておりませんが、見込みとしては大変厳しいという御報告をいたしました。これは現時点の卸連合会としての考え方としては、やはり仕切価上昇、それに伴うリベート・アローワンスから仕切価に置き換えるという考え方の中で、結果的に最終原価が上昇した。かつ,医薬品卸そのものの公正な競争が激化したということは、前回の問題でもありましたが、薬価調査の乖離率が0.8悪化した、また、この3月においてもさらに悪化しておるというものであります。そういったことであって、今後、営業利益の低下は大変厳しい状態の中であるという御報告をさせていただきました。
最後の調整幅の御質問に関してですが、非常に微妙な項目でございまして、我々もこの調整幅は誰のものといったものは全く数値でも表せられておりません。ただ、私の知るところによりますと、いわゆる薬剤の流通の安定化のための最小限の流通経費、いわゆる調整経費率であると認識しております。
振り返ると、92年のリーズナブルゾーンが15%あったというところでは、大きな購入機関の病院さん、クリニックさん、薬局さんでは、それぞれの違いがあるという中でのリーズナブルゾーン、それがちょうど2000年に急遽調整幅に切り替えられました。これがやはり我々混乱というよりもその調整幅の理解がないままにここまで来たということについては、再度、こういう場合で薬価制度においての調整幅、流通経費の負担の明確化ということをぜひ御検討いただきたい。
引き上げていただきたいということよりも、この点で医薬品卸の流通経費のことについても、引き続きそれぞれの医療機関様、メーカー様、それに卸が議論すべきものであろうと認識しております。
以上、回答申し上げます。
○中村部会長
ウルトラオーファンと再生医療等製品についてもコメントがありましたが、再生医療イノベーションフォーラムの畠会長、あるいは日本バイオテク協議会の山田会長あるいは塩村理事のほうから何かございますでしょうか。
○再生医療イノベーションフォーラム(畠)
FIRMの畠でございます。
松本委員、御意見ありがとうございます。
基本的には、やはり価格に反映していただきたいところではございます。そのために、いわゆるモダリティの複雑さや多様性といったものを、先ほど申し上げましたようにワーキンググループで御検討いただければと思います。
ただ、複雑性を含めいろいろなことが絡みますので、御意見のとおり、補助金、助成金等も考えの一つであろうと思っております。その際は、ぜひとも引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○中村部会長
では、塩村理事、お願いします。
○日本バイオテク協議会(塩村)
日本バイオテク協議会の塩村でございます。
全ての経費を保険薬価で賄わなければならないという主張ではございません。そうではなくて、その他いろいろなグラントもありますし、AMEDも充実しておりますので、様々な手段で賄っているのが事実でございます。
○中村部会長
では、松本委員、よろしくお願いします。
○松本委員
ありがとうございました。
2点ほど、長くなって申し訳ないのですけれども、澤井会長が社内のガバナンスのことについてお触れになりましたけれども、これは社内だけではなくて、薬機法上のガバナンスの問題もあるのではないかと思っています。
薬事上、その承認をするのは、しっかりと医療に供給するためでありますので、供給に関する薬機法上の整備がしっかりと必要ではないかと考えております。これにつきましては、後で厚労省のほうからお考えをお聞かせ願いたいと思います。
もう一点、関連して経済課長に質問するのですけれども、安定確保医薬品のリストは初の試みとして学会から提案があったものを押し並べてリスト化したものと思います。今後もリストが変更になる可能性があると聞いていますけれども、リストの今後の取扱い等、経済課での取組を伺いたいと思います。
日薬連のスライドの20ページにありますが、価格が下落するのは価格交渉で下げているという製薬企業及び卸業界の責任もあるかと思います。経済課長の説明のとおり、国として税金を投入して支援すること、リストの扱いの変更があり得るということなので、現時点で安定確保医薬品というカテゴリーでの価格の議論は時期尚早ではないかと思います。
下落してどうしようもないものは、今までどおりに再算定や基礎的医薬品の適用を検討してはいかがかと思います。
また、これは最後に意見ですけれども、PhRMAの資料の5ページ目に、臨床的有用性以外の関連情報ということがありますけれども、これは学会ガイドラインに反映され、広く臨床医が認識して使用することによって受け入れている形を取っているということを意見として述べたいと思います。
2つについて、厚労省の回答をお願いします。
○中村部会長
では、経済課長、お願いします。
○林経済課長
経済課長でございます。
1点目、今日は医薬食品局の担当がおりませんので、私の認識でお答えさせていただきます。
ジェネリックの問題については、薬機法上のGMPあるいはGQPの問題というのも大きな課題と認識をしてございます。これらを行政としてどのように企業に守らせるのか。また、その際に基準なり運用の中身も含めて、よりしっかりとこれらのことを守らせるために、どのような対応をすべきかということについても、行政側の対応も検討なり、対応を今行っておりますので、それらと企業の取組と併せて、当然ながら品質はきちっと確保されたものが医療現場に流通するように徹底していく、こういう取組を行ってまいる所存でございます。
あわせて、業界に対する対応としても、経済課としても現在、医薬品のビジョンの議論などもしておりますので、ジェネリックの医薬品がいわゆる80%の置き換えの時代を迎えた中で、これまでの量的拡充から当然ながら質の確保、そして安定供給という形でかじを切り替える必要があると考えておりますので、そういった方向でのビジョンの提起。
共同開発の課題についても、従来より中医協の場でも御指摘をいただいているかと思いますので、そういったものの在り方についても、これは規制制度の話でございますけれども、併せて検討が必要と考えてございます。
2点目の御質問ですが、安定確保医薬品リストについてでございます。これは、御案内のように、医療上重要な役割を果たしていて、汎用化され安定供給が必要なものということで選定させていただいております。
基本的な考え方としては、まず臨床上重要な位置づけの医薬品であるということについて、関係学会から具体的な品目について御推薦をいただいております。それらの推薦いただいたものを基本的に全て対象としつつ、これらの重要度に応じてカテゴリーをA、B、Cと3段階に分けてございます。その際の考え方としては、疾病の重篤性、患者の数の多さ、代替薬の状況、そしてサプライチェーンの状況、こういったものを勘案してカテゴリーを決めております。
この品目の見直しについてでございますけれども、具体的に厚労省が設置しました医療用医薬品の安定確保の関係者会議の提言を受けて、関係者によるワーキンググループを設置して選定とカテゴリー分けをさせていただいております。
その場でも確認されましたが、医療上、定着されて、汎用されているものということでございますので、頻繁な見直しを行うことは基本的に必要ないだろうと考えておりまして、明確に合意はされておりませんけれども、2年ぐらいのスパンで必要なものがあればまた追加等見直しをしていくような考え方でいいのではないかなということで御意見もいただいております。そういう意味では、現時点では一旦、安定確保医薬品のリストとしては、関係学会も含めて、ある程度固まったものとして御議論いただければありがたいと考えてございます。
以上でございます。
○中村部会長
松本委員、よろしいでしょうか。
では、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
薬価の制度改革についてですけれども、意見として、新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発については、製薬企業による国際競争力が大変重要なものになっていると実感しております。医療費の効率化は適切な形で進めていくべきものと理解していますが、メーカーの開発意欲やよりよい医薬品を日本の国民に迅速に届けるという使命を全うするための競争力を失わせてはいけないと考えます。
イノベーションの評価については、国民負担の軽減を念頭に置いた上で、バランスを持った前向きな議論が必要であり、また、毎年の薬価改定については、薬局、医療機関における資産価値の減少、あるいはメーカー開発意欲の減退を引き起こしています。中間年改定の在り方については、改めてこの場合できちんと議論すべきと考えます。
そういったことから、日本製薬団体連合会、PhRMA、EFPIAの方にいま一度お尋ねしたいのですが、新薬創出等の加算の見直し、あるいは効能追加等の評価の在り方について、国民医療費のバランスの観点から、あるいは今日本の国内でこのような評価の在り方について、逆に言うと、どの程度自分たちにとって評価が不足しているか、そういった考え方をお聞かせいただければと思います。
次に後発医薬品であります。国の施策として後発品の使用の促進、推進をしてまいりましたが、昨今、ジェネリックメーカーによる相次ぐ不祥事により様々な問題が露呈したのではないかと感じております。
例えば生産管理や生産体制、あるいは品質管理、あるいは品質管理体制、人材育成をはじめ、実際に生産できる範囲を超えた応需状況であったのではないでしょうか。もしそうであるとすれば、これからは使用率のみに着目するのではなく、メーカーの生産体制や製品の品質管理体制、品質についても、いま一度立ち止まって見直す時期に来ていると思われます。
特に、共同開発や製造施設を一切持たない企業でも参入できてしまう現行の制度が、後発医薬品の品目数を過剰に増やしていることや、1社に問題が起きると、同じ製造施設を利用している企業製品が連座して供給停止になっていくといった状況は、安定供給の確保の点では極めて問題があります。
その上で、日本ジェネリック製薬協会の澤井会長にお尋ねしたいのですが、ジェネリック医薬品は価格競争だけではなく、医薬品の品質の向上、あるいは情報提供の強化などの競争が必要と考えます。今後の後発医薬品の安定供給や信頼回復について具体的にどのように取り組んでいくか、どういう対応が必要であるかということをお教えいただきたいと思います。
あとは、卸についてであります。医薬品の安定かつ確実な流通のために医薬品卸の機能は不可欠であると考えますが、日本医薬品卸連合会の10コマ目のスライドにあります、先ほども調整幅ということも出ておりましたが、具体的に調整幅以外に何か対応が必要だというものがありましたらお聞かせいただければと思います。
以上です。
○中村部会長
いくつか御質問をいただきましたので、最初の評価に関しては、日薬連の手代木会長、お願いします。
○日本製薬団体連合会(手代木)
評価のほうは、新薬関係ということで製薬協の中山会長、PhRMA、EFPIAから、それに追加してあればと思います。ジェネリックにつきましては澤井会長のほうから回答させていただきたいと思います。
では、中山会長、お願いします。
○日本製薬工業協会(中山)
では、国際競争力をつけていく上でどういう評価が必要かということでございますけれども、スライド10を御覧いただきますと、いろいろな改正が今まで行われてきたわけでございますけれども、私どもの中で議論した上で、やはり医薬品の評価について一番基本的なベースは、10ページの右側に示しましたように、特許期間中は薬価が変わらないというのが基本で、欧米先進国はほぼこの考え方で統一されております。ただし、特許期間が終了すれば、それは後発品の市場になっていくのだということがベースではないかと思っておりますし、こういうふうに日本の市場がなれば、日本のメーカーだけではなくて、欧米のメーカーも日本で新薬を早く開発して患者さんに届けたいということになろうかと思います。
あとは国民負担とのバランスということでの判断であろうと思っていますので、ぜひとも特許期間中に薬価が変わらないという市場を実現いただきたいと思っております。
以上でございます。
○中村部会長
では、PhRMAのフェリシアーノ委員長、お願いします。
○米国研究製薬工業協会(ジェームス・フェリシアーノ)
先ほどおっしゃったところは、まさにそのとおりだと思います。やはりバランスを取るというところが重要ではございますが、ただ、現実を見ていただきますと、過去数年間、薬価に関わるところの規則、ルールが50回以上も変わっております。これだけ頻繁に変わるということになりますと、例えば博士号を持っている人のみしか日本のルールは理解できないところまで来ていると思います。つまり、現実的に、このように頻繁にルールが変わると、それを理解するのは不可能ですし、また予見性も透明性も失われてしまうと考えます。また、こういったルールを頻繁に変えるということは、結果的には意味のない変更もあったのではないかと考えております。
ですので、先ほどの話もありましたように、まず重要なポイントといたしまして、特許期間中は薬価をぜひ守っていただきたいというところをお願いしたいと思います。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、EFPIAのプリンツ会長、お願いします。
○欧州製薬団体連合会(ハイケ・プリンツ)
私は十分な価値が反映されていないというところを具体的な事例でお話ししたいと思います。
既に、その他団体からもお話がありましたように、当初の薬価収載時において評価されてくる、その根拠となってくるのがPMDAからの審査報告書というのが根拠になってくるわけです。
抗がん剤の例を取っていただきますと、例えばOS、全生存率におきましては非常に長期にわたっての評価が必要になってくるわけで、こうしたものは当初の収載時、そして薬価算定時においては全く評価されなくなってしまうわけであります。やはり、収載後、長くたたないとその評価が出てこないわけです。
ということで、私ども関係団体が集まりまして、具体的な形でこれから提案を出していくことができるのではないかと考えております。こうして医薬品の価値をどうやって薬価に適切に反映するのかということ、それを新薬創出加算等の制度でやっていくのか、また、基本的な薬価算定制度の中でやっていくのかといったところの具体的な提案はこれから出せるかと考えております。
○中村部会長
安定供給と信頼回復の話が出てきましたので、ジェネリック製薬協会の澤井会長のほうから、簡単にお願いできますでしょうか。
○日本ジェネリック製薬協会(澤井)
御質問ありがとうございます。
先ほど経済課長からもございましたように、ジェネリックは数量の時代から品質と情報提供、安定供給の時代、そういう認識を協会としてもしっかり持っておるところでございます。そういう中で、先ほど説明いたしましたように、品質確保、コンプライアンス・ガバナンス体制強化、こういったものを図ることによって、しっかりと目指すべき質と安定供給の時代に向けて取り組んでおるところでございます。
具体的に申し上げますと、まず現在流通している製品が大丈夫なのかどうかというところで製造販売承認書と製造実態の齟齬、原薬の取り違え防止のチェック、それらを責任持って行い、実行させていくということ。それから、もう一つ、コンプライアンス、ガバナンス、これは有識者を迎えて経営層向けの研修会。そして、自己点検で品質をチェックしておりますので、社内の内部通報制度の充実。それを補完する意味で、協会内にGMPの相談窓口を設け、自己点検のさらなる厳格化を目指してやっているところでございます。
そして、これらを各社のホームページもしくは協会内の特設サイトで、皆様方に見えるような形で我々の取組を説明してまいりたい。また、全国の薬務課並びにいろいろなところに出向いて取組を説明していく覚悟でございます。
また、安定確保につきましても、各社増産体制の整備に各社現在取り組んでおるところでございます。一日も早い市場の混乱を解消すべく取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
○中村部会長
最後、卸連の方、コメント等はございますでしょうか。
では、折本理事、お願いします。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
それでは、御質問の安定的に流通させるためのコストという意味合いでございますが、先ほど調整幅に関しては少し触れましたが、現状ではやはり日本各エリア全体の流通という前提でのばらつきを補正するものであったり、1万6000種に伴う品目で5倍ぐらいの製剤がある、これらのばらつきというのは認識いたしております。これについては先ほどのように議論すべきものと思っております。
また、先ほども申し上げましたスペシャリティーファーマ、オーファンドラッグ、それに後発品、今回の安定確保医薬品、基礎的医薬品も含めて、最低薬価5円80銭のものから3億3300万まで至る、非常にカテゴリーが大きく乖離してきた。これら全体を含めての価格交渉、いわゆる薬価調査の在り方、薬価制度の在り方、我々で言う未妥結減算制度の在り方を見直す時期ではないのかなという議論の中で、このコストをどうするのかという議論の中に御提言をさせていただいた次第であります。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、1号側の安藤委員からお願いできますでしょうか。
○安藤委員
ありがとうございます。
今まで御質問があった委員の御意見と重なるところがあるのですが、今回、参加していただいた業界の皆さん、本当にありがとうございます。心から感謝いたします。
その上で、私は全国健康保険協会の理事長をやっておりますが、私ども保険者としましては、薬のイノベーションを絶やすことはいけないと思っています。また、加入者の方たちの健康、安心・安全を守るということも我々の使命でございますので、そのための大切な薬というものが今後も進歩していくということに関しては、もちろんぜひ続けていただきたいと思っています。
そして、この日本という国の薬価制度によって海外の製薬メーカーの方たちが撤退するとかイノベーションの意欲がなくなるということも、やはり避ける必要があると思います。ただ、私どもの現在の日本の国民皆保険制度が維持、存続していくために、薬価の急激な伸びを抑えるということもバランスをとっていく必要があるということを御理解していただいた上で、今後も継続して事業をやっていただければと思います。
その中で、少しまだ質問がございます。まず、日本ジェネリック製薬協会につきましては、今までおっしゃっていただいたことを確実に実行していただくということが我々からも望むところですが、そのために日本ジェネリック製薬協会の皆様が置かれている現状の中で、制度上の問題がある、今後よくしていくために課題があるのであれば、それについて教えていただきたい。
資料薬-1の19ページで主張されているような制度、これが実現するのが望ましいのですけれども、例えば、過去の収載品目で供給開始の遅れや欠品を起こした企業について、新たな収載品目でも供給問題を起こした場合に、次回の収載を見送る趣旨の念書を提出するという仕組みなどもございますが、その辺のいろいろな課題を今後解決しながらやっていく必要があると思いますので、その点の認識をお聞きしたい。
もう一つ、卸のほうで流通コストに関して非常に重要になってくると思います。今回の卸の団体の方からの御意見もありましたように、品目によって特段の配慮を要するなど、今までの医薬品とは異なる物流の形態を取る必要がある。保管につきましてもそういうものがどんどん増えてくるということに関して、当然のことながらそこの部分について評価、調整幅も考える必要があるのですが、これについては、卸団体の方ではなくて製薬業界の方たちはその点をどのように思っているのかということについてお聞きしたいなと思います。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、時間も限られていますので、簡単に御回答をお願いできればと思います。
ジェネリック製薬協会の澤井課長からまずお願いします。
○日本ジェネリック製薬協会(澤井)
御質問ありがとうございます。
制度上の課題があるかどうかということでございますけれども、製薬企業にとってGMPを遵守するということは当然のことでございます。特に制度上の課題について我々から申し上げることではございませんけれども、GMPをきちんと遵守していれば問題は生じないものと考えております。
また、初収載の品目の供給問題ということでございますけれども、初収載時にしっかりと安定供給を整えた上で発売に踏み切る。これは企業の責務でございます。その上でジェネリックの薬価の在り方について、先ほど申し上げましたように、初収載時の薬価につきましては、国民負担の軽減につながるものであるという観点から、現在の水準を維持していただき、既収載品の薬価につきましては、中間年改定が実施され、安定供給が求められる中で、個別、銘柄別の市場実勢価格が適切に反映される制度にしていただきたいと考えているところでございます。
ありがとうございます。
○中村部会長
卸の件について、製薬企業からの視点でという御質問がありましたので、手代木会長、まとめて御回答をお願いできればと思います。
○日本製薬団体連合会(手代木)
ありがとうございます。日薬連の手代木でございます。
調整幅に関しましては、現行の薬価改定方式によって、卸様の方からもお話がございましたように、ばらつきを解消するバッファー機能を有しておりまして、薬剤流通の安定のために必要であるという認識ではございますが、調整幅の在り方に係る検討に関しましては、市場取引の実態、私の資料にも少し書かせていただきましたが、この検証は必要だろうと思っていまして、医療機関様、薬局様の安定購入、医薬品卸様、製薬企業が安定供給の影響について検討する余地は十分にあるのではないかと思っているところでございます。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、時間も超過していますので、これまで出てこなかった点について、佐保委員からお願いできればと思います。
では、佐保委員、お願いします。
○佐保委員
ありがとうございます。
関係業界の皆さん、御意見ありがとうございました。
患者、被保険者にとっても、医薬品のもたらす安心というのは一番でございますので、引き続き医薬品の開発、流通について御尽力賜ればと思っております。
一つ、品質問題の話をしたかったのですけれども、松本委員がお聞きになって、それに対してお答えがあったと私は理解していますので、その話は置いておきたいと思います。
医薬卸のほうで、9コマ目に大手6社の営業利益の推移というものがあったのですが、中小の卸がどういう状況なのか。今日は時間がないようですので、後日でも構わないのですが、中小の状況等も教えていただければと思います。それも含めまして、今日はいろいろな御意見をいただいた分について、その根拠となる資料を今後お出しいただいて、議論の参考にできたらと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○中村部会長
時間の御配慮をいただきましてありがとうございます。
では、中小の卸の状況につきましては、また後日、業界あるいは事務局のほうから提出していただくことにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会(渡辺)
了解しました。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
時間が超過した中で大変申し訳ないのですが、今まで重複した部分については省略しますが、重複していない部分について、この業界団体に対する私なりの主張をさせていただきますので、それについて異論とか反論があれば、関係するところから御指摘いただきたいと思います。
まず、製薬団体さんですが、日薬連のペーパーにあります4ページのグラフ、これはすごく気になるところですけれども、2015年度以降、医薬品市場は伸びていないということを出されているのですが、これがよいのか悪いのかについてということですが、私はこれはいい方向ではないかと思っています。これが右肩上がりになってもいけないし、右肩下りになってもいけない。これが横ばいでコントロールされているということは、薬剤費のプライスとクオンティティーがうまくコントロールされている、いわゆる価格と販売量がうまくコントロールされているから横ばいになっているのではないかと思っていて、これは非常にいい傾向ではないかと思うのですが、その辺についてコメントがあれば、日薬連以外のPhRMA、EFPIAの方についても御意見をいただきたいと思います。
それから、根本的な問題は中間年のところが一番皆さんのこだわりの主張だと思うのですが、中間年改定が薬価を低下させて新薬開発や安定供給に影響を生じさせているということですが、実際を見てみますと、2017年から2020年まで、消費税改定なんかもあったこともあって4年連続薬価調査が行われているのです。その結果を見てみると、実勢乖離率は2017年が9.1%、18年が7.2%、19年、20年が8.0%と、ほぼ同じ乖離率が出ているわけです。毎年このように乖離率が同じようなものが出てくる中で、日本は実勢重視主義を取っていますので、それに合わせていくというのは非常に自然な形ではないかと思っています。
この乖離率がどんどん減っていって、ゼロに向かって進んでいるというのであれば、皆様の御主張は正しいかと思うのですが、毎年薬価改定をやっても毎年同じ数字が出てくるというのは、そこには取引の中でそういうメカニズムが生まれているのではないかと思うので、毎年薬価改定は、市場を重視するのであれば、やるべきではないかと思うのですが、このメカニズムについて私の理解にもし間違いがあれば御指摘をいただきたいと思います。
それから、新薬の薬価を特許期間中に維持するという御主張がそれぞれの団体で行われているのですが、そもそも公定価格と市場実勢価格に差がなければ、具体的には調整幅の中で乖離がなされているのであれば維持されるわけですよね。ですが、調整幅を超えて7%、8%の価格の乖離があるから、薬価をそれに合わせて見直さねばいけないということになっているわけで、毎年なぜこのようなところについて乖離が出ているのか。だから、薬価を引き下げねばいけないのだということを思っているわけです。そういうところについて、もし御意見があればと思います。
特に卸さんの団体については、現場でどういうことが起こっているのかということについてお聞きしたいと思います。流通コストが年々上昇しているということで、非常に厳しい状態になって、このままではやっていけないという御主張だと思うのですが、そうであれば、なぜ川下の状態で毎年7%、8%台の価格の差で取引がされているのか。医療機関とか薬局との間でどういうことが起こっているのかについて、現場の生の状況についてもし分かればお教えいただきたいと思います。
毎年の薬価改定については、毎年乖離が生まれるからそれに合わせて見直すのだということで、これは現場の市場を重視する日本の薬価制度であれば当然の原理だと思うので、もし薬価を維持されるということであれば、市場価格を調整幅以内の取引でやれば薬価は維持されるわけで、それがなされないというのはどういう理屈なのかということをぜひお聞きしたいと思います。ここが私の最大の論点で、今後の中間年改定の在り方に対しても非常に重要なところだと思います。
それから、日薬連の資料の14コマ目で、原価計算方式をどんどん少なくしていくために、臨床上の位置づけ等の医療実態を判断材料にしてはどうかという提案があったのですが、ちょっと具体的なイメージが湧かないのですが、どういうことを想定されているのかという例をお教えいただければと思います。
あるいは、米国とか欧州において、例えば価格がどういうふうなやり方で決められているのか、もしPhRMAさんとかEFPIAさんのほうから、アメリカとか欧州ではこういう方法であるというところがあれば、ぜひお教えいただきたいと思います。
それから、製薬協さんに見解をお伺いしたいのですが、業界こぞって言われているのは、新薬の特許期間中に利益を回収し、特許が切れればジェネリックに速やかに道を譲るというのが共通の理念だと思うのですが、今年の2月に出された政策提言を私も読ませていただきました。非常に重要なことが書いてありまして、そのとおりだと勉強させていただきました。
その中で、イノベーションを的確に評価するためには、医療保険の持続性の観点から、安価な後発医薬品を引き続き推進することや、保険給付範囲の見直しを検討すべきというふうなくだりがありました。我々もこの保険給付範囲の見直しというところについては主張しているのですが、新薬のイノベーションを高く評価するのであれば、こういったジェネリックの価格の在り方とか保険給付範囲の見直しも含めて財政中立的な考え方を取れば、新薬の評価もより財源が確保できるのではないかと思うのですが、その辺について、製薬協の政策提言の中でどういうふうに考えておられるのかということが聞けたら聞かせていただきたいと思います。
それから、最後、時間もありますので、日本ジェネリック製薬協会の澤井会長にお聞きしたいのです。今般の不適正事例の再発防止策についていろいろ御報告いただきましたが、その後、資料の19ページで品質管理、製造管理が徹底された信頼性の高い後発品のみ上市できるようにするという御提案があったのですが、これは薬価制度上、具体的にどういうことを考えられているのかということについてお聞きしたいと思います。
それから、安定確保が持続可能となる薬価制度とすべきとうたわれているのですが、今回のGMP違反の原因の一つが薬価制度にあるとお考えになっているのであれば、どのような制度を入れるべきなのかというふうな具体的な例をお示しいただきたいと思います。
長くなりましたが、どなたでも結構ですので、私の意見とか考え方にもし間違いとかそごがあれば、そこは御指摘いただきたいと思いますし、質問についてはお答えいただきたいと思います。
長くなりましたが、以上です。
○中村部会長
幸野委員、どうもありがとうございます。
非常に重要な点を御指摘いただいたと思います。また、いろいろと必要なデータ等の提示の御要望等もありましたので、こちらのほうも回答をお願いしたいと思います。ただ、予定時間も過ぎており、非常に重要なことにもかかわらず時間配分が少なかったと反省しております。幸野委員、また別の機会ということでもよろしいでしょうか。
○幸野委員
それでは、毎年7%、8%の乖離が出るのはどう考えるのかについてだけでも教えていただけますでしょうか。
○中村部会長
では、その点について、製薬協の中山会長からのほうがよろしいでしょうか。
○日本製薬団体連合会(手代木)
多分それは私だと思います。
○中村部会長
では、手代木会長、お願いします。
○日本製薬団体連合会(手代木)
私どもの資料の6ページ目にございますように、メカニズム的には加重平均の数字を取る扱いとして実勢価格で書かせていただいているところでございますが、こういった(安く購入される)医療機関様の数字が出てしまいますと、それに引っ張られてしまうということでございます。
もう一つは、マーケットでお話しさせていただきますと、フラットな部分で中身はどうしても分析が必要だろうと思っております。やはり原材料でありますとか、国際的にいろいろな物を調達している中で、そういった物の物価が上がっている中で、我々医薬品メーカーも含めて、その特性に応じてかなりいろいろなことをカットしながら進めている中において、主要マーケットのみならず、新興国のマーケットも含めて、医薬品のマーケットが伸びていないのは我が国だけであるという状況を考えたときに、フラットであるから健全であるというふうには我々は考えておりません。
したがいまして、この中身によりましてどこが健全だけれども、どこが健全ではないかという議論はどうしても必要だろうと思っております。
乖離率の話につきましては、卸連さまからの御意見を賜りたいと思います。
○中村部会長
今、手代木会長の最後のほうは聞き取れなかったのですけれども。
○日本製薬団体連合会(手代木)
今、部会長がおっしゃっていただきましたように、本当に短時間で幸野委員からの御質問に御議論させていただけるような状況ではないと思いますので、これは別途、議論の場を頂戴したいと思います。
○中村部会長
時間が超過しておりますが、大変貴重な御意見あるいは御質問だと思います。また別の機会を設けさせていただくことで、議論の場をつくれればと思っております。また、時間配分もあらかじめ長めに取るというような対応も必要かと思っております。
今回、貴重な機会でありましたが、時間確保とマネジメントの点で不手際があり大変申し訳ございませんでした。
では、こちらのほうで今日の意見聴取を終わりたいと思います。
本日の議題は以上になります。次回の認定につきましては、追って事務局より連絡いたします。
それでは、本日の薬価専門部会でこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。


 
 
 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第178回議事録(2021年5月12日)

ページの先頭へ戻る